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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その2

409小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/04/02(日) 21:53:19
>>407

  「八百屋さん――ではないようだけど……」

ひとまず軒先に入らせてもらってから、改めて看板を確認する。
『八百十一屋』という内容からは、この店が何を売っているのかさえ分からない。
看板というのは、普通は通行人に分かりやすくするものだと思うのだが……。
今の時点で分かっているのは、この場所で野菜は買えないだろうということだけ。
自分が行こうとしていたのは確かに春野菜を売っている店だった。
けれど、それはここじゃない。
少なくとも、ここで春キャベツや新たまねぎを買うことができないことは察せられた。

  ――あれは……?

『剣状の鋼』と『ピンク色のスライム』に思わず目が止まる。
あんな奇妙なものは、まずスタンドだと考えて間違いないはず。
奇妙な場所に奇妙な人々と奇妙なスタンド……非日常が忍び寄る気配を感じた。

『また増えたか』という言葉も気にかかった。
普通に考えれば、単に雨宿りの人数が増えたというだけだろう。
雨を凌げそうな場所がここだけなのだから、別に不思議なことではない。

けれど、『簡単に済む依頼だと聞いた』とも誰かが言っていた。
つまり、この中の何人かは依頼を受けてやって来たということになる。
この住宅街の一角で、何かが起きようとしているのだろうか?

  「あっ……常原さん、こんにちは」

人々の中に知人の姿を見かけて挨拶し、頭を下げる。
彼とは、以前に喫茶店で話をしたことがある。
それ以来、彼には個人的な好感を抱いている。

  「これは――腕を折ってしまいまして……」

  「転んで手を突いた拍子に……。お恥ずかしいです」

申し訳ないと思いながらも、嘘をついてしまった。
それに、立ち話として語るには少し長すぎる。
もっとも、彼の慧眼にかかれば、たちまち看破されてしまうかもしれないが……。

  「――常原さん、入られるんですか?それでは、私も……」

飲食店に雨宿りだけして帰るというのも失礼だ。
雨が止むのを待つ間、何か注文しよう。
そう思って、先に行く常原の後について店の中に入っていく。


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