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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その2

159小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/07/18(月) 19:54:54
>>158

  「――そう……ですか……」

『彼女』は本当に忘れてしまっているのだろうか。
それとも、言いたくないという意味なのかもしれない。
いずれにせよ、『彼女』に話す気がないというのなら、これ以上の追及はできないだろう。
だが、それでもいい。
もともと無理に聞き出すつもりはなかった。
全てを知りたいという気持ちはあるが、それよりも『彼女』の意志を尊重したいと思う。

     コクッ……

『彼女』の言葉を聞いて黙って頷き、その後に続いて廊下を歩く。
向かう先は、初めて見た時にも不思議に感じた場所だ。
あるいは、自分の質問に対する『彼女』の答えが、この先に待っているのだろうか。

  ――この場所そのものが能力の産物……?

この工場の所在に関しては、決め手になるような手がかりが得られなかった。
しかし、『彼女』の話によると、この工場自体がスタンド能力で作り出された空間だと考えた方が良さそうだ。
今までは確証がなかったが、管理人である『彼女』の言葉によって、それが裏付けられたことになる。

  「――もし違ったのならごめんなさい……。『ご存じ』だったのですか?私の行動を……」

そして、『彼女』は『傷つけようとする素振りが少しでもあれば』と言った。
つまり、工場に来てからの自分の行動は、最初から把握されていたということだろうか。
そう考えると、『追憶』の部屋で自分が現実に帰還した直後に、
まるで見計らったかのように『彼女』が姿を現したことの説明にもなるように思えた。

  ――記憶の再現……。やっぱり、そう考えるのが一番……。でも、あれは……。

柔らかな表情の後に続く言葉――分かってはいたものの、率直に言われると、
それを受け入れるのには勇気がいる。
確かに、冷静に考えれば、『彼』と出会えることなど有り得ない。
『彼女』の言うように、部屋に入った人間の記憶の再現だというのが、最も理にかなった解釈だろう。
しかし、あのリアルな感覚は、単なる幻想だったとは思えない。
現実と見間違う程の実体感を持った幻とも言えるかもしれないが……。
実際に体験した自分としては、とてもそうとは思えなかった。
それに、あの部屋で自分は苦しみなど受けなかったし、むしろ感謝しているくらいなのだ。
安っぽい表現ではあるが、そこで何かの奇跡が起こって『彼』と出会えたのだと、自分は信じていたい。
これだけは、誰に何を言われようとも、譲りたくなかった。

  「スタンド使い……。先程あなたはその言葉を使っていました。
   既にご存知でしょうが……私もスタンド使いです。
   あなたも……そうなのですか?
   この工場や住人達は、あなたの能力が関わっているものだと……?」

一瞬だけ『スーサイド・ライフ』を発現してみせ、すぐに解除する。
『彼女』が工場や小人達の本体だというのは、もはや疑いようがないようにも思えるが、
念のために確認しておきたい。
万に一つという可能性もないではない。

  「この工場に来る他の人達もスタンド使いなのですか?
   会社の方達のようですが……。
   あなたとは、どういった繋がりがあるのでしょう……?」

これも気になる点だ。
『彼女』の方から――または小人の方から――会社と接触したのか、それとも逆なのだろうか。
ここが『異世界』であることを考慮すると、前者の方が妥当に思えるが……。


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