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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その2

155小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/07/15(金) 22:17:05
>>154

  「あぁ……!私も……私も愛しています……!!治生さん……!」

これは夢?それとも幻覚なのだろう?
しかし、そんなことはどちらでも良かった。
再び『彼』と出会えるなら、たとえ残酷な悪魔の戯れであろうと、一向に構わない。

  「――これからも私は生きます……!
   この世界で生き続けます!
  あなたとの約束を必ず果たします……!」

『彼』の『言葉』――それは今でも昨日のように思い出せる。
あの日、『彼』は『自分の分まで生きて欲しい』と言い残し、すすり泣く自分の前で息を引き取った。
それが『彼』の『遺言』だった。
その『遺言』を全うすることこそが、『彼』に対して自分がすることのできる最大の手向けであり、
『真実の愛の証明』なのだ。
自らの命を絶つことで、『彼』の下へ旅立ちたいという欲望に苦しめられたとしても、
『死の誘惑』に負けることは許されない。
その決意を、今この場で改めて、強く胸の内に刻み込む。

「だから――どうか私を見守っていてください……!」

心の中では、この時間が永遠に続いて欲しいと願っているが、
それが叶わない望みであることも分かっている。
それでも、終わりが訪れる前に、この一言だけは伝えておきたかった。
光の粒子に包まれた空間の中で、最後の瞬間まで目を離すことなく『彼』と向き合ったまま、
白い奔流に押し流されていく――。

やがて――目の前にある白い壁を見て、戻ってきたことが分かった。
だが、しばらくの間は動くことができず、呆然と立ち尽くしていた。
まだ夢の中にいるような気分だった。
しかし、それは決して夢ではない。
あの思い出深い場所で、死に別れたはずの『彼』と再会し、確かに触れ合ったという感触が、
そのことを裏付けている。
『彼』がいなくなった後の空白を埋めるには、余りにも短い時間ではあったが、
『彼』と想いを伝え合えたことを実感できただけでも十分だった。
そっと胸に手を当てて、静かに深呼吸する。
未だ深い底に沈んでいる意識が、現実の世界に引き戻される。
背後から音が聞こえたのは、その直後だった。

それは、自分と同じように工場に迷い込んだ第三者なのか。
それとも工場を管理している金平糖会社の人間なのだろうか。
あるいは――この工場の最初の住人である『彼女』なのかもしれない。

     ゴ   ゴ   ゴ   ゴ   ゴ   ゴ   ゴ

その正体を確かめるために、ゆっくりと振り向いた……。


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