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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その2

148小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/07/12(火) 21:02:04
>>147

  「――そんな『味』も……あるのね……」

ポポノ博士の説明を聞いて得心が行った。
この部屋の奇抜さに圧倒されて、ここが金平糖工場の一部だということを忘れていた。
それなら、この部屋でも新しい味の開発が行われていたとしても不思議はない。

     スッ

知らず知らずの内に、そっと指先を伸ばして自分の唇に触れる。
愛する者との口付けの体感――もし、それが実現できたとしたら、どんなに素敵なことだろう。
今は上手くいっていないようだが、是非とも完成させて欲しいと、心から思った。
しかし――そうなると、この部屋に置かれている奇妙な品々も、そういった研究の結果なのだろうか。
だとすれば、それらは一体どんな味を目指して作られたものなのだろう?
その点に関しての疑問は尽きないが、ひとまず頭の片隅に追いやることにした。

  ――この『工場』の『最初』の『住人』……。

博士の言葉から、『ゴースト』がスタンドの本体であるという仮説は、より信憑性を増してきたように思える。
やはり、『彼女』に出会うことができれば、一連の謎を氷解させられる可能性は高い。
問題は、『ゴースト』の居場所だが、こればかりは自力で探すしかなさそうだ。
そして、ここにきて、また同じ言葉を聞かされてしまった。
こうも間違えられるということは、自分と『ゴースト』の容姿は、よほど似通っているのだろう。
何度も言われていると、まだ一度も出会ったことがないにも関わらず、奇妙な親近感を覚える。
そして、気になることは、もう一つあった。
『ゴースト』が文字通りの意味で『幽霊』であることは、博士の話で既に確定している。
また、ラポポ達の父親は、『彼女の中には大きな愛情が詰まっている』と言っていた。
そうなると、『ゴースト』である『彼女』が工場に留まっている理由は、『愛』なのだろうか……。
もし、この仮定が正しいとするなら、とても他人とは思えない。
『彼女』に会ってみたい――その思いが、自分の中で一段と強くなるのを感じた。

  「――ありがとうございました。この研究の成功をお祈りします……。
   二人とも……もう一つの部屋に行くことにしましょう」

収穫としては十分だ。
あとは二人も行ったことがないという部屋を調べてみよう。
『魔法』の部屋を出て、残った部屋へ向かいたい。
ラポポ達の父親は、『求めたならば彼女は望みに応じるでしょう』とも言っていた。
彼の言葉を信じるならば、自分は少しずつ『ゴースト』に近付けているのだろうか?

     ドクン ドクン ドクン ドクン

ひそかな期待を込めて、最後の部屋の扉を開く……。


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