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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その2

129小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/06/29(水) 20:20:29
>>128

  「……ありがとうございます」

こちらの話に耳を傾けてくれたことと、温かい心遣いをしてくれたことに対して、心から感謝の言葉を述べる。
『どんな相手であろうと話せば必ず分かり合える』などと言うつもりはない。
この世界には、様々な立場や考えを持つ者がいて、話し合いが通じないこともあるのが現実だ。
しかし、たとえ全く別の存在だとしても、こうして腹を割って話すことで、お互いに理解し合うこともできる。
それを実感できたことが素直に嬉しかった。
星見町で暮らすようになってから、この町がどんな場所なのかを、自らの肌で感じてきたつもりだ。
だからこそ、なんとなく分かるような気がした。
大きさは違えど、ここは紛れもなく『星見町』なのだと。
そこに住む人々は、『体の大きさ』が小さくても、『心の大きさ』は変わらない。
まだ出会ってから短い時間しか経っていないが、彼らとの関わりの中で、そんな思いを感じていた。

  「そうね……。じゃあ、まず『砂漠』の方へ行ってみましょう。
   せっかくだから、あなた達のお父さんにも一言ご挨拶しておきたいし……」

自分の目的は金平糖の秘密について知ることだ。
それは有菜のためでもあり、また自分のためでもある。
しかし、今は特に急ぐ必要もないだろう。
『スタンド』という奇妙な能力を持つ者としての『引力』のせいか、
不思議と心惹かれるものを感じる『小人達の世界(ワンダーランド)』を、
可能な限り見ておきたいという意識もあった。
少し寄り道して、『通路』に行く前に砂漠へ向かうことにする。

  「――あなた達の気持ちも分かるけど、お母さんも二人を心配しているのよ。
   それだけは分かってあげてね……。
   だから、これからは黙って外へ行くのは出来るだけ控えて欲しいの……。
   そのことを、今度は私と約束してくれないかしら?これは、私からあなた達へのお願いよ」

『砂漠』へ向かう道すがら、肩の上にいる二人に、優しく諭すような口調で言葉をかける。
帽子の下にある表情――穏やかな微笑みを浮かべる瞳の奥には陰が差していた。
愛する者を案ずる母親の気持ちは痛い程に分かる。
自分は、それを失ってしまったから。
だからこそ彼らには、そんなことが起きて欲しくないと切に思う。


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