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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その2

125小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/06/26(日) 22:25:37
>>124

  「……え……?ここ……は……?」

目の前に現出した予想外の光景――それに圧倒されて思わず言葉を失う。
プレートに記された『小人居住区』という名前から、小人達の住む木造の家が何軒か並んでいるような、
質素で慎ましい山中の小村のようなものを想像していた。
ところが実際には、自分が考えていたよりも、遙かに規模の大きな場所だったようだ。
これは、ささやかな小村どころではない。
ただ一つサイズの違いという点を除けば、完全に現代の町そのものだ。
しかも、この町は自分が暮らしている『星見町』に他ならない。
先程までの牧場も、確かに現実的ではあるが、それでも小人達には似つかわしい場所だった。
しかし、この『ミニチュア版星見町』は、妖精のような姿の小人達に似合う場所とは思えない。
リアルな町とファンタスティックな小人達――対照的な両者の織りなすミスマッチさが、
まるで『沖縄の海辺で開催される札幌雪祭り』のように、
何とも言えない奇妙な雰囲気を醸し出しているように感じられる。

  「――どうもありがとう……。仲良くできるかどうかという心配は……必要なかったみたいね……。」

こちらに向かって手を振る小人達に気付き、自分も軽く手を振り返して、それに応じる。
やはり、ロポポ達の時と同様に、彼らは人間を恐れていない。
小人達にとって、人間は見慣れた存在であると同時に、歓迎すべき対象だと認識されているようだ。
巨人を恐れない小人――その背景には、どんな理由があるのだろうか?
この小人達と直接の繋がりを持つ可能性のある人間といえば、まず金平糖会社の人間しかいないだろう。
彼らが小人達の世界を作り、保護あるいは管理していると考えるのが、最も自然な発想だ。
そうなると、小人達にとって人間というのは、自分達を援助してくれる存在ということになる。
それならば、小人達が人間を恐れたりせず、むしろ友好的に接してくるのも何ら不思議ではない。
まだ会社側の人間と接触しておらず、彼らと小人達の間にある事実関係を確認できていない現段階では、
あくまで推測の範囲を出ていないのだが……。

  「……『自然公園』ね?じゃあ、ちょっと行ってみましょう」

そこには何度か足を運んだことがある。
町の中とは一味違う穏やかな時間が流れる憩いの場だ。
ふと、そこで出会った『綺麗な桜色の瞳を持つ少女』のことを思い出した。
さて――まずは彼らの家族を見つけることにしよう。
『自然公園』を目指して、ゆっくりと歩き出す。
その最中に、ヨポロの言葉が脳裏を掠めた。
彼は、『ゴースト』が『こっち側』に来ることはないと言っていた。
『こっち側』というのは、先程の工場のことだろう。
そうなると、『ゴースト』がいるのは『向こう側』――つまり『ここ』ということになる。
肩の上にいるロポポ達に聞いてみようかとも思ったが、少し前の反応から見て、
彼らの前で『ゴースト』の話題を出すのは、あまり好ましくないようだ。
もし、『ゴースト』が同じ場所にいるとすれば、いずれ対面する機会もあるだろう。
今は、ラポポとロポポの母親を捜すことに専念することにした。


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