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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その2

121小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/06/24(金) 21:49:57
>>120

  「このドアの向こう側……。気にはなっていたけど……。そう……中はこうなっていたのね……」

最初に来た時から思っていたが、この工場の中で内部を確認できない場所といえば、ここぐらいしかない。
まず真っ先に疑われる場所であり、だからこそ真相を覆い隠すためのダミーとして使われているという言葉は、
信憑性が高いと感じられた。
そして、見せかけの偽りの中に本当の秘密を隠すという手法が、この会社の方策なのだろう。
全てを虚偽で固めるやり方はいずれ暴かれるが、偽りと真実を織り交ぜたやり方は、
長く見抜かれることがない。
ふと有菜の言葉が脳裏を横切る。
確かに彼女の言う通りだったようだ。
しかし、そのことを『ゴースト』に聞いたという点が引っかかった。
この『ゴースト』は一体何者なのだろうか?
『ゴースト』の正体に関する謎は、ここにきて更に深まったような気がする……。

「――これは……『入口』ということかしら?」

目の前で小人達が描き上げた『輝く円』を前にして、誰ともなしに呟いた。
彼らが言うように、それはまさしく別世界――小人の世界へ通じる『入口』なのだろう。
『不思議の国のアリス』の冒頭に出てくる『ラビット・ホール』が思い起こされる。

「ふう……。まるで『アリス』になったような気分ね。『小人の国のアリス』なんてあったかしら……」

斜めに傾けて被っていた帽子のツバを、両手で軽く持ち上げて、角度が水平になるように整える。
気持ちを整えるための準備運動だ。
不思議な輝きを放つ『ホール』を正面に見据えて、静かに深呼吸する。
先程は『メルヘンやファンタジーではない』と自分に言い聞かせたものの、
こうして小人達を肩に乗せていると、本当は『メルヘンかファンタジーなのではないか』という錯覚すら覚える。
どこかの遊園地の新しいアトラクションだと言われても納得するだろう。
ただし、この先に待っているのは空想ではなく現実だ。
そして――少々大げさかもしれないが、決心はついた。
小人達の言葉に応えるために、その一歩を踏み出す。
そして、そのまま『ホール』の中に進んでいく……。


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