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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その2

109小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/06/17(金) 21:14:05
>>108

  ――『ゴースト』……?

   【Ghost(ゴースト)】
  1.亡霊、怨霊、妖怪
  2.影、幻、面影
  3.少々、極小、微塵

この場合、『目』の前にいる『妖精』が発した『ゴースト』という言葉は、『1番』を意味していると考えられる。
普通の人間(彼女は人間ではないが)が、
切り離された『目』や『耳』や『手』だけが宙に浮いているという奇怪な光景を見て、
それを『ゴースト』と表現したとしても何ら不思議なことではないだろう。
なにはともあれ、話は通じたようだ。
まずはそのことに対して胸を撫で下ろした。
そして、人知れず思考を進める。
工場にいるらしい『あの人』というのも気になるが、それは後回しにしておこう。
そして、彼女の言う『お兄ちゃん達』というのは、
おそらく工場に入る前に見た二体の『小人』のことではないだろうか。
はっきりした証拠はないが、同じ場所に同じような『小人』がいたという状況から考えると、
その考えが一番妥当に思える。
じきに帰ってくるらしい彼らも、この『妖精』の彼女と同じように、こちらの話を聞いてくれればいいのだが……。
ひとまずは『妖精』の彼女から話を聞いてみよう。
送り込んだ『手』を操作して、携帯の画面に新たな文章を打ち込んでいく。

  『ありがとう。では、ここでお話しましょう。私のせいで、あなたが叱られてしまっては悪いから。
   もし教えてもらえるなら、少しあなたのことを聞かせてちょうだい。
   あなたはどなた?いつからここにいるの?ここで何をしているの?』

出来上がった文章を『妖精』に見せて、彼女の答えを待つ。
そして、視界の片隅で、作業員達が帰宅の準備を始めている様子が見えた。

  「――はい、承知しました……。
   本日は、お仕事中に突然お邪魔してしまったにも関わらず、ご親切にしていただいて、
   どうもありがとうございました。どうかお気をつけてお帰りになって下さい……」

彼らの方を向いて、改めてお礼を言い、深々と頭を下げる。
あの様子からすると、もはや彼らは完全に無関係だろう。
最初から、何も知らされていなかったのだろうと思う。
そうなると、彼らから話を聞いたとしても、それらしい情報は何も出なかったということだろうか。
しかし、それに諦めずに食い下がる有菜の熱意には、どこか圧倒されるものを感じずにはいられなかった。
さすがは記者といったところだろうか。
そのエネルギッシュな性格の彼女とは対照的に、
自分はいつも心のどこかで死を意識している人間だということもあり、
情熱にあふれる有菜の姿が余計と際立って見える気がした。
しかし、当の作業員達が全員引き上げてしまっては、さすがにお手上げだろう。
もし、有菜が自分達も帰ろうと声をかけてきたら、少し待ってもらうように頼むつもりだ。
もしかすると、この工場の謎が解けるかもしれないと言えば、彼女も納得してくれるだろうと思う。


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