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【場】『 星見スカイモール ―展望楼塔― 』

384美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2018/11/25(日) 02:01:24
>>383

隣の女は、稗田こいひめより十歳は年上に見えた。
ラフなアメカジ風ファッションに化粧っ気のある顔。
年相応の落ち着いた明るさがある。

「そうね。その場合は素直に謝るわ」

「私がハジかいて、それでオシマイ。それくらいなら安いものよ」

人当たりのいい表情を崩さないように意識している。
しかし、やはり心のどこかで緊張しているのは否めない。
普段は、内心の迷いや躊躇いは表には出さないことにしている。
ただ、この時ばかりは上手くいかなかった。
少しばかり、顔に出てしまっているかもしれない。

「アハハ――そんな格好してたら却って目立っちゃうんじゃない?
 でも、逆に目立つ格好をするっていうのは意外と効果あるかもしれないわよ」

「特徴は特徴を消してしまうから。
 身に着けているものに注意が向いて、
 着ている人自体には注意が向きにくくなるものなの。
 警官の制服は覚えていても、警官の顔は記憶に残りにくいのと近いわ」

「『目出し帽』や『黒ローブ』がいいかどうかは別の話だけれど、ね」

変装について話しながら自分自身の過去の経験を思い出す。
自分も、かつては町を歩く時には変装する必要があった。
だから、色々と考えては実行していた。
その場合、目立たないことを意識した格好をするより、
逆に人目を引くような服装を選んだ方が効果的なこともあった。
もちろん、その場の状況にもよるが。

(今は変装しなくても町を歩ける。嬉しいんだか悲しいんだか)

「ええ、分かってるわ。それじゃあ、少しだけ世間話でもしない?」
 
「気軽なノリで、ね」

「――っと、私だけ名前を知ってるっていうのも失礼よね」

よく通る声だ。
単に生まれつきのものという感じでもない。
ボイストレーニングとか、専門的な訓練を積んでいるような響きがある。

「申し遅れました。私は、こういう者です」

ややかしこまって名刺入れを取り出し、そこから一枚の名刺を取り出す。

「『業界的』には、ちょっとだけ近いかもしれないわね。
 受け取れないっていうなら見せるだけにしておくけど」

           スッ

そう言いながら、少女に向けて名刺を見せる。
そこには、次のように記されていた。

   『 今日も、あなたの隣に電気カナリアの囀りを
          
         《 Electric Canary Garden 》
      
                  パーソナリティー:美作くるみ 』

隅の方には、手書き風の小さなイラストが添えられている。
『電源コードの付いたデフォルメされたカナリア』だ。
マスコットキャラクターの『電気カナリア』。
――ちなみに、考案者は美作くるみだ。


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