【場】『　星見スカイモール　―展望楼塔―　』

344：斑鳩　翔『ロスト・アイデンティティ』：2018/07/15(日) 23:45:54: >>343

世の中には『笑って済む事』と『済まない事』が有る
　要はその時の僕には致命的に『想像力』が足りなかったという話だ。

　　　　　　　　　　「――？」
　
　（……あれっ？少し前の笑顔とかからかう様な笑い声が無くなったぞ？）

　（なんで顔を背けてるんだ？何か耳の辺りが赤い……気もする。）

僕が探しているのが『スタンド使い』であり
　たった一回とはいえ面倒事にも巻き込まれているせいか、いつの間にか『観察する』癖がついてしまった

　（ん？『顔を隠して』『僕に見えないように背けて』『耳まで赤くしている』……多分『照れてる』んだよね？）

　　　　　ｶｼｬﾝ　　ｶｼｬﾝ　　ｶｼｬﾝ

　（で、その原因が…他に何も無さそうだし消去法で『僕が口説く真似』をした事で……えーっと。）

過去の行動から家族以外とはほぼ会話する必要が無かった僕だが、テレビやラジオで流れるドラマ
　本の表現は、二つの脳が目の前の少女の内面の様子を想像させるのに足りてしまった…正しいかは兎も角。

　　　　　　　　　ｸﾘﾃｨｶﾙ・ｻｸｾｽ
　（ま、まさか……『決定的成功』しちゃったのか！？僕の下手な口説き文句で！？　いや、そんなわけないや、自惚れるな僕。）

　　　　　　　　　　　　　　　　　ｵﾝﾅﾉｺ
　（い、いや僕の予想以上にこの子が『純真』だったぁーッ！いや女の子ですよね！失礼と失敗したァーッ！）

（ど、どうしよう……もし僕が『女の子を泣かせた』なんて言い出したらお祖父ちゃん、僕を『拳骨』じゃすませないぞ…）

　　（お、おかしいぞ、夏なのに急に寒気がしてきた　表情筋も引き攣ってるッ……ど、どうやったら彼女を元に……元に？）

ここまでを二つの脳内でお手玉した後に最適解を導き出せるほど、彼には経験が無かった。
　結果的に混乱した状態のまま『目の前の女の子をどうにかする』『精神の瑕にならないように罪悪感を消す』『祖父に顔向けできるようにする』
　の3つを同時に全て達成するような言葉を思いつけなかったのだ。

　「……ご」

直立状態から直角に腰を曲げて頭を下げる
自業自得で、何とも情けないが仕方ない子供だった。

　　　　　　　　「ごめんなさいッ！調子に乗りましたァッ！許してくださいッ！！！」

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