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エレン「この長い髪を切る頃には」2

1進撃の名無し:2014/07/25(金) 18:53:56 ID:Yeod/N2g0
*続編です。ミカサ「この長い髪を切る頃には」→エレン「この長い髪を切る頃には」の続き。もう1回エレン視点で書いていきます。

*現パロです。現在、エレンの髪がちょっとずつのびています。(ミカサよりちょい長め。小さいしっぽ有り)

*舞台は日本ですがキャラの名前は基本、カタカナのまま進めます。漢字の時もあるけど、細かいことは気にしない。

*実在の人物とかは名前やグループ名等をもじっています。時事ネタも有り。懐かしいネタもちらほら。

*原作のキャラ設定は結構、崩壊。パラレル物苦手な方はご注意。

*原作のキャラ性格も結構、崩壊。原作と比べて「誰だてめえ」と思った方はそっと閉じ推奨。

*レスに対するお返事レスは返せない事が多いかも。体力温存の為。無視している訳じゃないんで、OK?

*感想は毎回有難い。でも自分の妄想話を書くのはNG。読んでいる人が混乱するから。本編と混ぜるな危険。

*雑談は雑談スレでお願いします。雑談嫌いな読者の方もいらっしゃるからね。

*現在、ジャン→ミカサ、ジャン(?)→サシャ、オルオ→ペトラ→リヴァイ←ニファ リヴァイ→ハンジ←モブリット ライナー→クリスタ←アルミン←アニ(?)←ベルトルト イアンリコあたりもちらほら。というか、そのつもりで書いています。

*安価時以外のアイデア・オリジナルの設定等の提案は禁止させて頂きます。(エレン「この長い髪を切る頃には」の時にトラブルが発生した為です)

*その代わり、安価出した時は出来る限り(多少無茶振りでも)採用する方針でやっていますので、宜しくお願いします。

*モブキャラも多数出演。オリキャラ苦手な方もご注意。キャラ濃い目。

*そんな訳で、現在設定しているオリキャラをざっとご紹介。


マーガレット(2年生♀)→大道具リーダー。漫画描ける。腐ってる女子。皆のお姉さん的ポジ。

スカーレット(2年生♀)→大道具。立体造形専門。ロボットもいける。たまに腹黒。

ガーネット(2年生♀)→大道具兼衣装。コスプレ好き。ちょっと大人しめのオタク。

アーロン(2年生♂)→役者。元野球部。高校から演劇始める。

エーレン(2年生♂)→役者。元サッカー部。高校から演劇を始める。

カジカジ(1年生♂)→役者。外見はエレンに似ています。明るい男子。愛称は「カジ」。

キーヤン(1年生♂)→役者。ジャンよりイケメン。歌上手い。

マリーナ(1年生♀)→役者。少年の声が出せる。ナレーションうまい。ほんわか系女子。


*原作のモブの名前が判明すれば……途中加入もあるかもです。

*外伝のキュクロとシャルルも出ています。二人は野球部投手とマネージャー。

*先生方の年齢設定が原作より(恐らく)若干高め設定になっています。

*リヴァイ先生(38歳)というおっさん設定に耐えられない方は御免なさい。

*加えてリヴァイ先生の潔癖症が病気レベル扱い(笑)になっているので、御免なさい。

*リヴァイ先生の性癖(?)も大分、斜めってる設定になっています。ご了承下さい。

*エルヴィン先生(43歳)も相当なオタク設定になっています。リヴァイより更に斜め方向に変態です。本当に御免なさい。

*ハンジ先生(36歳)が昔は美人だったよ設定です。ややモテキャラですが、リヴァイに比べれば蟻の触覚程度です。

*リヴァイ先生がモテ過ぎ設定です。気持ち悪いくらいモテキャラです。愛され過ぎて御免なさい。



*ラスト100レスは完成する迄、レス自重お願いします。レス足りないと書き手としてプレッシャー過ぎる。

*そんな訳で、現パロ(エレン視点編)を始めます。OK?

814進撃の名無し:2014/08/28(木) 20:22:27 ID:h5NBsT5c0
すみません。
これ以上はちょっと雑談になってしまうので、ここまでで打ち切ります。
雑談苦手な方もいらしゃるので、これ以上は自重して下さい。

次は「ジャン」にスポットが当たります。
いろんな意味で「イタイ」青春をさせるので、
ジャンのファンの方は覚悟を決めておいてください。すみません。

815進撃の名無し:2014/08/30(土) 18:24:57 ID:/SNFqRtU0
キレキレでもぬるくても>>1にどこまでもついてくよ

816進撃の名無し:2014/08/31(日) 13:00:07 ID:j6jKiycY0




12月26日。怒涛のクリスマス公演が終わった次の日。

俺は朝目が覚めてからまだ暫くは「ぼー」としていた。

ミカサもまだ寝ている。何だろうな。この変な感じは。現実に帰ってきたような感じとでもいえばいいのかな。

すげえ長いシナリオのRPGゲームをクリアした直後の、エンディングを見終わった後のような虚脱感に近いかもしれん。

とにかく疲労感があるんだけど、精神的には満たされているような。そんな感じだ。

今日はどうしようかな。冬休みだし。部活の方はどうなるんだろうか。

ジャンに確認するべきだろうか。でも昨日の今日だし連絡してもいいんかな。不安だ。

もしかしたら今日は部活の方も「お休み」になるかもしれない。

まあいいや。とりあえず困った時はアルミンに相談だ。電話してみよう。

アルミン『はいはい。おはよーエレン』

エレン「おはよー。今日は部活どうする? 一応学校行った方がいいんかな?」

アルミン『あーそう言えば何も決めてなかったね。どうしよっか。一応、学校に行ってみる?』

エレン「部活はいつも午後からだから、飯食ってから一応、集まってみるか。アルミン学校来るか?」

アルミン『うん。いいよー。昨日の反省会もしたいしね。集まろうか』

という訳で昼飯を食べてから身支度してオレとミカサとアルミンはとりあえず学校に行ってみる事にした。

公演が終わった直後だから特にやる事もないんだけど。

音楽室に行ってみると、そこにはいつものメンバーが先にわいわい集まっていたんだけど。

ん? 何だ? 何か空気が重いな。どうしたんだろう?

アニ「あー………参ったね」

先に音楽室に来ていたアニが渋い顔をしていた。

エレン「ん? どうしたんだ? 何かあったのか?」

マルコ「ジャンがまた、いろいろやらかしたみたいだ」

エレン「え?! あれ以上のこと、何かやらかしたのか?!」

というかジャンの姿がないな。まだ来てねえのかな。

ペトラ「ええっと……うん。ちょっとジャン、猛省中らしいよ」

と、3年の先輩達も全員集まってくれている。

エレン「何が起きたんですか……?」

マーガレット「あーうん。どうしようか。この問題、どこまで人に話していいのかな」

スカーレット「まあうちらは部外者だけどさ。一応知っておいた方がいいかもよ」

マーガレット「かなあ? まあここまで来たからには仕方がないか」

と、腹をくくったみたいだ。

817進撃の名無し:2014/08/31(日) 13:00:49 ID:j6jKiycY0
マーガレット「んー……ジャン、今度はサシャと修羅場った」

エレン「………は?」

何だって? どういう事だ?

マーガレット「昨日のさ、ジャンの様子が変だったじゃない? 昨日はうちの仕事、締切前とはいえ、余裕のある感じだったからそこまで切羽詰ってなかったのが幸いだったけど。それでもやっぱりさ、仕事持っている状態で酒飲んで仕事にならない状態になっていたジャンに対して、サシャもイライラしていたみたいでね。ジャンの酔いが結局、朝まで醒めなかったんだよ。うちの母は「まあこういう事もあるよ」って笑って許していたけどね」

そうなのか。その辺はやっぱり大らかなお母さんなんだな。

マーガレット「で、朝から酔いが醒めてから、ジャンが我に返って平謝りしてくれたんだけど。サシャがそこで「酒だと分かって飲んだのか」「そうでないのか」を確認したらしいんだよね。そしたらジャンは「分からない」と答えたの。どうも途中から味が急に「美味しい」って思って飲んだらしくて。何か変だなって思いつつ飲んじゃったんだって。あの時はジャンもほら、冷静じゃなかったし。味の違いに気をつける余裕がなかったんだろうね。だから「酒かもしれない」と思いつつ飲んだようなそうでないような。曖昧な状態だったんだって。だから私、其の時に朝からすぐ、エルヴィン先生にメールで聞いてみたんだよね。ジャンに飲ませたお酒の値段は1本いくらの奴ですか? って。そしたら「1本500万の高級のやつ。自分用にたまに飲んでいるやつだよ」って返事が来て、母に確認したら「そら気づかないわ! 美味過ぎて素人にはお酒だと分からないくらいの美味い酒だったんだね」って言っていたから、恐らくジャンは本当に「分からない」状態で飲んだと思うんだよね」

まあ、エルヴィン先生ならそれくらいの高級の酒を飲みそうだよな。

マーガレット「でも、サシャの方はその返事に対して「ジャンって仕事を舐めていませんか?」とか「ジャンはぬるい。ぬるすぎです」とキレだして、口論になっちゃって。サシャ曰く「怪しい」と思った時点で飲むべきじゃなかったと言い出してね。まあサシャの方が正論なんだけど。その言葉にジャンもカッとなってしまって、「アルバイトなんだから別にいいだろ!!」って言い返して、サシャがジャンをぶん殴った」

ひええええええ……サシャ、すげえな。

あいつ、仕事に関してはすげえ真面目なんだな。さすがアルバイターだ。

マーガレット「まさか私もサシャの方がジャンに手出すとは思わなくてね。慌てて止めに入ったけど。サシャはその後、先にうちの家を出て行ってしまって……ジャンも一応、自宅には帰ったけどさ。母も母で「参ったわね〜」と困惑してしまってね。母は「まあ騙されて飲まされたのならしょうがないわよ」っていうダメ親だからいいんだけど。どっちかというとサシャが今、一番キレていて、どうしようもない状態になったんだ」

うわああああ……なんか凄まじい事になって来たな。

どうすんだ。コレ。もうどんどん事態が悪化していく一方じゃねえか。

アニ「どうしよう……軽はずみな気持ちで煽るんじゃなかった」

アルミン「うん。何か話を聞けば聞くほど罪悪感が……」

マルコ「だね。ジャン、今日はこっちに来ないかもしれないね」

ミカサ「……………」

ミカサの落ち込みっぷりが酷い。

今回の騒動の原因は「自分」だと思っているようだ。

エレン「ミカサ。自分を責めるな。これはお前のせいじゃねえ」

ミカサ「でも……でも……!」

エレン「けしかけたのはオレ達だ。これはもう「連帯責任」だと思う。お前の責任じゃねえよ」

アニ「うん。ミカサ、絶対自分を責めないで。これは私達「全員」の責任だよ」

アルミン「うん……ミカサは全然悪くないよ。悪いのは僕達だ」

ミカサ「うううう………」

と言ってもミカサも責任を感じているんだろう。

でもこればっかりはどうしようもねえよ。ミカサはジャンの気持ちには応えられないって判断したんだから。

遅かれ早かれいずれは決着をつけないといけなかったんだ。

それがたまたま「昨日」だったってだけで、避けて通る事は出来なかったんだから。

ペトラ「ねえねえ。その……けしかけたとか何とかって何の話?」

と、ペトラ先輩が首を傾げた。

818進撃の名無し:2014/08/31(日) 13:02:03 ID:j6jKiycY0
オレはアルミンに目で合図して、頷いたので事の流れを大体話す事にした。すると、

ペトラ「あちゃー……なるほど。そういう事だった訳ね。通りでジャンの様子が何かおかしいと思ったわ」

オルオ「エルヴィン先生にけしかけたらそりゃあ強引な手を使うに決まっているだろ」

エルド「あの先生、その手の「トラップ」仕掛けさせたら容赦ねえぞ」

グンタ「うまくいく場合はいいが、それで失敗して破局したカップルもいるんだぞ」

エレン「ああ、やっぱりそうですか」

だろうな。何でもかんでも「成功」する訳ねえもんな。

リヴァイ先生とハンジ先生のアレだって、成功したから良かったものの。

失敗する可能性だって十分にあった筈だ。

ペトラ「ううーん。あんまり人の恋路に茶々入れるのは良くないって事よね。これを教訓にしてもう今後はあんまり首を突っ込まない方がいいわよ」

アルミン「そうですね。身に沁みました」

オルオ「ああ。こういうのってなる様にしかならねえって」

ペトラ「うん……ジャンは根は悪い子じゃないから余計に可哀想ね」

エレン「あいつ今、どうしてんだろな……」

どん底に堕ちていそうだな。大丈夫かな。

今回の件はあいつ自身が悪い部分も勿論あったけど、不可抗力の部分もある。

キーヤン「あー……そっとしておくしかないんじゃないんですかね」

カジカジ「うーん。今、下手に触るとますますこじれそうだよね」

マリーナ「そうだね。デリケートな問題だし…」

と、カジ達まで心配してくれているようだ。

アーロン「どうしようもない感じだな」

エーレン「うーん。本当に困ったね」

と、皆思い思いにジャンを心配していた。

あいつ、意外と愛されていたんだな。こんな事態になってもジャンを責める奴がいないのか。

アニ「…………サシャと仲のいいユミルとクリスタの助けを得た方がいいかもしれない」

アルミン「え? 2人にも話すの? 事情を」

アニ「でないとますます拗れるんじゃないかな。余計なお節介かもしれないけど」

マルコ「でも、2人は野球部のマネージャー業で忙しいんじゃないかな」

アニ「うん。だから部活が終わってから夜、ちょっと時間を作って貰って話すしかないね」

と、話していたその時、

819進撃の名無し:2014/08/31(日) 13:02:59 ID:j6jKiycY0
クリスタ「ごめーん。昨日の演劇で使った衣装、間違えて家に持って帰っていたから返却しに来たよ」

と言ってクリスタとユミルが音楽室にやってきた。

アニ「あ、丁度良かった。2人、今、時間ある? ちょっと話したい事があるんだけど」

ユミル「ん? いいけど。どうした?」

と、いう訳で、アニが一通りの事情を2人に大体説明した。

するとその説明で「なるほど」という顔をした2人だった。

ユミル「なんかジャンの様子がおかしいと思ったらそういう事だったのか」

クリスタ「お酒、エルヴィン先生のと間違えて飲んじゃったんだね」

アニ「まあね。その……けしかけたのは私達だし、エルヴィン先生もきっとジャンの為を思ってした事なんだとは思うけど、今回はその、失敗して拗れちゃったんだよね。サシャが今、キレてるらしいからどうしたもんかと思って」

ユミル「ううーん。サシャがキレたっていうのは珍しい事かもしれんな」

クリスタ「そうだね。サシャは滅多にキレないよ。でも、そういう事情ならキレてもおかしくないかも」

ユミル「だな……あいつ、金を得る為なら超真面目に働くタイプだ。だからそういう「いい加減な態度」の従業員と揉めた事あるって前にも言ってたな」

クリスタ「そうそう。やたらナンパばっかりして仕事しない男とか」

ユミル「そのくせ、悪いのは女の方みたいな扱いされて店長と揉めた事もあるって言ってたしな」

エレン「そうなのか………」

ユミル「従業員同士のトラブルも結構あるぞ。真面目に働く奴ばかりじゃねえからな。その分、真面目な奴が負担を負う場合も多い。サシャはその辺「シビア」な考え方だから、仕事に対する姿勢が悪い奴はすげえ毛嫌いするぞ」

うわああ……ジャンの奴、どんどん好感度が下がっているな。

ユミル「ううーん。でもこの場合って、ジャンは本当に「不可抗力」なんだよな? ジャンは「分からない」って言ってたなら、わざとじゃないんだろ?」

エレン「らしいぜ。そのエルヴィン先生が飲んでいた酒は1本500万くらいする奴らしくて、素人だと区別出来ないくらい「美味い酒」だったらしいし」

ユミル「だったら尚更、そこまでキレるのも「妙」だな」

アニ「え?」

ユミル「いや、だって……わざとじゃねえんだろ? そりゃ「わざと」だったらサシャがキレるのも頷けるんだが、わざとじゃねえんなら、流石にそこまで「キレる」のはおかしくねえか? サシャはそこまで度量のない女じゃねえよ?」

クリスタ「そうだよね。「人間だからミスはあります!」が口癖だったし」

ユミル「フォローし合うのは当たり前だって言ってたしな。チームでやる場合は。そういう部分を「許す」のも仕事のうちだとも言っていた。いちいち気にしていたら仕事にならんからな。仕事はその日だけの物じゃねえし。次の日にはまた「新しい仕事」が舞い込んでくるから、気持ちの切り替えが大事だって、いつも言っていたのに……」

そうなのか。なるほど。確かにそれは一理あるな。

ミカサ「もしかして、だけど」

其の時、ミカサが口を挟んだ。

820進撃の名無し:2014/08/31(日) 13:04:38 ID:j6jKiycY0
ミカサ「サシャの中に「ジャン」への嫉妬の感情があったのかしら?」

エレン「え? どういう意味だ?」

ミカサ「サシャは「ヒッチ」とジャンのキスを見てしまっている。その「苛立ち」のせいで冷静でいられなかったのだとしたら、その……キレたのも頷けるんだけど」

と、言い出すと一同は「!」を合わせて驚いた。

アニ「え……その可能性、あるのかな?」

ミカサ「分からない。あくまで「可能性」だと思うけど。普段のサシャらしくないのだとしたら、そこに「嫉妬」の感情が混ざっているような気がする」

恋愛経験値のあるミカサが言うんだ。これは案外、当たっているかもしれねえぞ。

するとそこにペトラ先輩も頷いて、

ペトラ「あり得るかもしれない。サシャの中でジャンへの気持ちがどの程度あったのかは分からないけど。少なくとも「同僚」としてそれなりに「尊敬」している男が他の女とキスした挙句、仕事もまともに出来ない状態になったら、いろんな意味でイライラするかも」

エレン「それって、サシャの潜在意識の中に「ジャン」への想いがあるかもしれないって事ですか?」

ペトラ「少なくとも、もしもオルオがジャンと同じ事したら私もサシャみたいにオルオをぶん殴ると思うしね」

オルオ「俺はそこまで馬鹿な真似はしねえよ」

ペトラ「分かんないわよ? 酒に泥酔すれば。リヴァイ先生だってお酒で多々失敗してきているし?」

オルオ「ううーん……」

と、オルオ先輩も微妙な顔をしている。

オルオ「まあ、それをあえて「仮定」として考えるのであれば、サシャの「苛立ち」は「泥酔した事」じゃなくて「自分以外の女とキスした事」に対する苛立ちかもしれないのか」

ミカサ「可能性はあると思います」

オルオ「ううーん。でもだとしても、この場合、どうやったらサシャって子の「怒り」が鎮まるんだ? ジャンがサシャに謝ってもどうにもならん気がするぞ」

エレン「そうですね。というか、本来ならマーガレット先輩のお母さんが「叱るべき」場面だと思うんですが」

マーガレット「あーごめんね。その辺、うちの親、緩いからさ。うん」

スカーレット「ダメ親だよね」

マーガレット「本当はけじめつけさせる為にも叱った方が良かったんだろうけどね。そしたらサシャの気も済んだかもしれないけど。でもうちの親、そういうの苦手なのよ。自由人だから」

エレン「そうですか………」

マーガレット「漫画家ってそういう「普通の感性」の人間じゃないからやれる職業でもあるんだよね。所謂世間のはみ出し者というか……一般の社会の常識の世界で生きている訳じゃないからさ。その辺は本当に「個人主義」で生きているのよ。だから先生によってはジャンみたいな事をやらかしたら「速攻クビ!」っていう先生も勿論いるよ? でもうちの場合は、そういうのやったら、アシスタントに「来てくれる若者」がいなくなっちゃう恐れもあるし。だから多少のトラブルは大目に見ているんだよ。勿論、許した理由はそれだけじゃないけどね。普段からジャン、真面目にうちで仕事やってくれているし、フォトショだって覚えて上達しているし。なんかもう、このままずっとうちのアシスタントで働いてくれないかなあって勢いで急成長しているんだよね。ジャンは根は真面目だし。手先は器用だし。根性もそれなりにあるし。だから、もしジャンが普段から「仕事出来ない子」だったら、うちの親も流石に許してないよ。ジャンにはとても感謝しているし。だったらたまの「失敗」くらいは許してあげないとって思ったんじゃないかな? うちの母親は」

821進撃の名無し:2014/08/31(日) 13:07:08 ID:j6jKiycY0
という訳で1回ここで区切ります。
あいたたたーな青春模様ですみません。ジャン、強く生きろ。

ではまた次回ノシ

822進撃の名無し:2014/08/31(日) 21:11:59 ID:j6jKiycY0
エレン「ううーん……」

そういうものなのか。だとしたらオレもこれ以上何も言えない。

よその家の事だしな。それ以上の事を言うのもただの押し付けのように思える。

と、皆でそれぞれジャンの心配をしながらぐだぐだしていると、そこにエルヴィン先生が音楽室にやってきた。

エルヴィン「やあ皆。今日は昨日の反省会をするのかな? 結構集まっているようだね」

ミカサ「エルヴィン先生、あの……ジャンが」

エルヴィン「ん?」

エレン「ジャンがまだ来ていないんです。その………昨日、間違って酒飲んだせいでいろいろトラブルが勃発しちまったようで」

エルヴィン「ふむ。詳しく聞かせてくれるかな?」

という訳でエルヴィン先生にも大体の概要を話してみた。すると、

エルヴィン「ああ……そういう事か。分かった。だったら私が直接サシャの家に出向いて説明してくる。きちんと釈明してくるから。サシャのおうちを知っている子は私に教えてくれるかな?」

と、急に真面目な表情になってエルヴィン先生は身支度を始めた。

ユミル「だったら私が付き添います。クリスタは野球部に戻れ」

クリスタ「いいの?」

ユミル「クリスタがいなくなるとうちの野球部のやる気が半減するからな。いいよ。ちょっと抜けてくる」

エルヴィン「ピクシス先生には私から説明しておこう。ではユミル、サシャの自宅まで案内を頼む」

という訳で急遽、エルヴィン先生がサシャを宥めに行く事になったようだ。

これで少しはサシャの怒りが収まるといいんだが……。

アルミン「エルヴィン先生が直接サシャに説明すれば少なくともジャンが「わざと」飲んだ訳じゃないって事は伝わるよね」

エレン「ああ。きっと伝わる筈だ。………多分」

確証はないけれど。でも今よりは事態は良くなると信じたい。

部長がいない状態だったので、副部長のマルコが皆の前で声を出した。

マルコ「ジャンがいない間は出来る事がないから、今日はどうしようか」

アニ「ああ……反省会も部長無しでやる訳にもいかないしね」

オルオ「少し待ってみたらどうだ? もしかしたら誤解が解けて後から学校に来るかもしれないぞ」

ペトラ「そうね。ジャンを信じてみましょう」

という訳で先輩達の言葉もあり、オレ達はそのまま待機する事にした。

823進撃の名無し:2014/08/31(日) 21:35:32 ID:j6jKiycY0
そして一時間くらい経ってからエルヴィン先生とジャンとサシャの3名が音楽室にやってきた。

あれ? 何故かサシャの顔が赤いし、おどおどしている。キレている様子はないようだ。

ジャンは頭を掻いている。何か様子が変だぞ。

エルヴィン「待たせたね。昨日の誤解は私が解いてきたらもう問題ないよ」

マルコ「え? 誤解が解けたんですか?」

エルヴィン「ああ。サシャはジャンの言葉を信じたよ。彼は決して「わざと」酒を飲んでいないと。不可抗力だったってね」

サシャ「……………すみません(シュン)」

何をどうやって説得したんだろう? サシャがもう全然、怒ってないようだ。

ジャン「はあ」

ジャンはジャンでため息をついている。

ジャン「結構、オレ、傷ついたんだけどな………」

サシャ「本当にすみません。まさかあんなに「ジュース」の味に似た「酒」だったなんて……試飲させて貰って分かりました。あの「味」では確かにジャンが間違えるのも無理ないです。本当にすみませんでした」

え? つまりそれってもしかして?

エレン「サシャにも「あの酒」を飲ませたんですか?」

エルヴィン「ここだけのオフレコにしておいてね? 誤解を解くにはこの方法しかないと思ってね。昨日ジャンがうっかり飲んでしまった「酒」を一口だけサシャにも飲ませた。酒というより限りなく「ジュース」に近い味の酒だったから彼女もこれでようやく納得したよ」

サシャ「本当に本当にすみませんでした……」

ジャン「……………」

ジャンがサシャと目を合せない。そりゃそうだよな。誤解とはいえぶん殴られたんだし。

気まずいよな。どうしたらいいか分かんねえよな。

サシャ「あの……その………どうしたら許して貰えますかね?」

ジャン「…………」

サシャ「あの! 私、何でもしますから! お詫びに! ジャンの気が済むまで!」

ジャン「何でもする………? (ピクン)」

サシャ「はい! そしたら許して貰えますかね? 私、何をしたらジャンに許して貰えますかね?」

ジャン「……………」

ジャンが一度、目を伏せた。

何だ? 何か考え込んでいる様子だけど。

824進撃の名無し:2014/08/31(日) 21:37:55 ID:j6jKiycY0
ジャン「だったら……………オレに奉仕しろよ」

サシャ「え?」

ジャン「3か月だけでいい。期間限定で、オレの「所有物」としてオレに奉仕しろ。そしたら許してやってもいい」

サシャ「!」

えええええええ?! 何だそれ?! 何処のギャルゲーの世界だよ!!!!

おま、ちょっと、周りの女子、ドン引きしているぞ?! いいのかよそれで!!!

サシャ「ええっと、それって……つまり「小間使い」みたいなものですか?」

ジャン「まあそういう事だな。オレの荷物持ったり、肩でも揉んだりして貰おうか」

サシャ「分かりました! 3か月ですね! その程度ならお安い御用です!」

えええええええええ?!

そしてサシャも了承しやがった?! ちょっと待て!!!

アルミン「ええええジャン、それは幾らなんでもアレ過ぎるよ……」

ジャン「ああ?」

マルコ「まさか、サシャにあんな事やこんな事を……」

ジャン「何想像してやがる。そんなんじゃねえよ」

アルミン「いやだって、そういう意味じゃないの?」

ジャン「サシャも言っただろ。「小間使い」だって。パシリに行かせたりするだけだよ」

エレン「本当か? 手とか出す気じゃねえよな?」

ジャン「アホか。オレはそこまで鬼畜じゃねえよ。せいぜい、サシャをこき使ってやろうって話だよ」

それならいいんだが………。

ん?

あれ?

今、何か、一瞬、あいつ。

頬が赤くなって、すぐ消えたけど。

ん? あ! これってまさか………!

エレン「あーそういう事か(ニヤニヤ)」

ジャン「あ? 何か言ったか? エレン」

エレン「いや別に? 何でもねえよ」

そうかそうか。あいつ、この「お詫び」を「チャンス」に変えるつもりだな?

825進撃の名無し:2014/08/31(日) 21:56:09 ID:uo/B/B1M0
サシャを「こき使う」フリをしながらサシャとの時間を増やすつもりなんだ。

なーんだ。そういう事かよ。こいつもややこしい奴だな。

サシャ「では早速何から始めましょうか?」

ジャン「あー今日は昨日の反省会をしたいから、サシャもついでに残っておけ。他のバイトは入ってないんだろ?」

サシャ「今日は流石にお休み入れていますので大丈夫です」

ジャン「だったらオレの隣に座っておけ」

サシャ「了解です!」

おおおおおおお?! これは、もしかして。

やっぱりそうだ。ジャンの奴、「お詫び」を利用してサシャの傍にいる作戦に出たのか。

ヘタレだな! いやでも、案外これ、いいのかもしれない。

一緒にいる時間を徐々に増やしていくつもりなんだ。あいつは。

何だかいじらしい作戦に思えた。ジャン……あいつ、成長したな!

ジャン「あー遅くなって悪い。今から昨日の舞台の反省会をざっとやるけど」

と言いながらジャンが昨日の台本を出してダメだし会をした。

ジャン「昨日は初の「長丁場」の演劇だったからいろいろ戸惑いも多かったと思う。でも皆最後までやりきって無事に怪我もなく終える事が出来て良かったと思う。お疲れ様でした」

と、部長らしい挨拶をする。

それからいくつかの気になった点をそれぞれ出し合って、次の演劇の『糧』にする。

役者は裏方の欠点をダメだししたり、裏方は役者のダメ出しをしたり。

この「ダメだし」作業は公演が終わったら必ず1回ざっとやってしまう。

そして次の公演に繋げるようにしていく。経験値を全員で一気にUPしていくんだ。

ジャン「………以上かな。気になる点は」

マルコ「だね。今回の教訓は次回の演劇にも利用していこう」

826進撃の名無し:2014/08/31(日) 22:14:22 ID:j6jKiycY0
ジャン「今日は昨日の演劇の様子を皆で観て終わるか。ビデオ撮影していたんですよね?」

エルヴィン「うん。ナナバ先生に頼んでおいたからね。大丈夫だよ」

ジャン「だったら部室で皆で昨日の演劇を観るぞ。今日はそれが終わったら解散ってことで」

という訳で昨日の演劇を今度はオレ達が観る事になった。

うおおおおおビデオで観るとまた違った感触がある。

恥ずかしいな。いろいろと。振り返ると急に恥ずかしくなってくる。

リヴァイ先生が憤死したシーンは何度見ても笑えるな。

男5人がかりで押さえつけているんだもんな。すげえ。

ミカサがすげえエロい手首の動きをした瞬間、爆笑が起きた。

この手首「クイクイ」は禁じ手だな。もう1回、リヴァイ先生の前でやったら窒息させられそうだ。

ミカサ「このシーンは家で何度もこっそり練習した(どや顔)」

エレン「マジか。そんなにやりたかったのか」

ミカサ「うん。だってこのシーンが1番、辱められると思って。ククク……」

ドSな顔してやがる。楽しそうだなオイ。

エルヴィン「いや、女の子なのによくやったよ。ミカサ。男役なのに結構頑張ったよね」

ミカサ「意外としっくりきました。三村の時もそうだったけれど。私は「男役」にあまり抵抗感がないようです」

エルヴィン「まるで家宝塚学園の男役のようだね。そっちの道でやっていけそうだね」

ミカサ「そうでしょうか? まあそこまでは無理だと思いますが」

とかいろいろ雑談しながら演劇を観て、今日の活動はここまでとなった。

827進撃の名無し:2014/08/31(日) 22:26:00 ID:j6jKiycY0
そしてその帰り際、エルヴィン先生が「サシャの調査は無事に終わったよ」とオレ達にこっそり報告してきた。

調査? ああ! サシャの「潜在意識」の件か。

アルミン「あのその件なんですけど、エルヴィン先生、取り下げて貰えませんか?」

エルヴィン「ん? どうして?」

アルミン「今回の件でその、やり過ぎたって反省したので。これ以上は2人の間に茶々を入れない方がいいと思って」

アニ「私達が悪かったと思います。もうやたらな真似はしない方がいいと思いましたし」

マルコ「これ以上はそっとしておいて欲しいんです」

エルヴィン「ん? そう? 折角サシャの「潜在意識」が分かったのに? いいんだ?」

アニ「はい。拗れた場合の恐ろしさを身に沁みて理解したので」

エルヴィン「ええ? 拗れた? 全然拗れてないと思うけど? 見てよ。ジャンとサシャの様子を」

アルミン「いや、でもそれは「仲直り」したから、たまたま………」

エルヴィン「んー……勿体ないねえ。私はジャンとサシャのルートが動き出したように思ったんだけどな」

オレも実はそう思っている。これはジャンにとっての「チャンス」だ。

クラス替えまでにサシャとの距離を詰める「最初で最後」のチャンスだと思う。

アルミン「いや、でも…………」

エルヴィン「今度の事は私が悪かった訳だし、サシャがそこまでキレるのはどう考えてもおかしいよね? それが意味するところを君達は気づいていないのかい?」

ミカサ「それってつまり、やっぱり「ヒッチの件」を………」

エルヴィン「100%そうだね。サシャの「無意識」が動き出したよ。ジャンルートも十分あり得る可能性が見えてきた。ここでジャンがどう動くかは分からないけど、まだ試合は始まったばかりだよ」

とエルヴィン先生が悪い顔をする。

828進撃の名無し:2014/08/31(日) 22:52:00 ID:j6jKiycY0
エルヴィン「ふふ……「小間使い」として傍に置くなんてジャンらしいじゃないか。臆病な彼らしい精一杯の作戦だよ。でも、これで首の皮一枚繋がったね。残りの3か月以内に何かが起きれば一発逆転ホームランもあり得るよ」

エレン「エルヴィン先生はジャンを応援するんですか? 以前はコニー推しだったのに」

エルヴィン「ふふふ……先程のサシャの様子を見て気が変わったんだよ。あれはまだ「小さい芽」かもしれないが、確実に「嫉妬」のような物を感じていたとみて間違いない。ヒッチとのキスを快く思っていない自分にサシャ自身はまだ気づいてはいないようだけど」

おおおおお。嫉妬していたんだったら、可能性あるぞ!

ミカサも頷いていた。やっぱりミカサすげえ! 女の勘ってやつだな!

ミカサ「私も似たような経験があるので分かる。その……ニファ先輩とか」

エレン「そうか。やっぱりあの時、ミカサ……」

ミカサ「嫉妬くらいする。島に取り残されていたのだから」

あああもう。あの時のオレの馬鹿!

でも、感謝もしねえといけねえな。「嫉妬」は「恋」の始まりみたいなもんだからな!

アルミン「そうですか………」

でもアルミン達は先程の事があってこれ以上は乗り気ではないようだ。

アルミン「でも今回はたまたま運が良かっただけのように思います」

アニ「私もそう思います。これ以上は見守るだけの方がいいような」

エルヴィン「んーでも、私は君達がジャンの味方になってあげた方がいいと思うけど」

エレン「どういう意味ですか?」

エルヴィン「ジャンには「第3の女」がいる事を忘れたのか? ヒッチは今、作戦準備期間に入っているよ。嬉しそうにジャン攻略について私にいろいろ情報を聞いてきたからね」

アルミン「えええええ?! まさかエルヴィン先生、ヒッチの味方するんですか?!」

エルヴィン「私はヒッチの味方はしないよ。でも、ヒッチは私の「助力」なんか「必要ない」からね。言っている意味、分かるよね?」

皆、青ざめた。これは何だか波乱の予感しかしねえぞ。

829進撃の名無し:2014/08/31(日) 23:04:41 ID:j6jKiycY0
エルヴィン「ヒッチの男に対する執着は相当な物だよ。初心なジャンが陥落しないといいけどね……」

と、一抹の不安を残すような発言をしながらエルヴィン先生が去って行った。

アルミン「ひえええええ……ヒッチ、本気でジャンにロックオンしているんだ」

アニ「どうしよう。ヒッチの男への執着は私も十分知ってるし。誘惑かけられたら、ジャンも堕ちるかもしれない」

ミカサ「そうだろうか?」

アニ「うん。あいつ、本当、狙い定めた男に関しては100%堕としてきた。落とせなかった男はまだ1人もいない筈だよ」

エレン「ううーん。ジャンの奴、ヒッチの事、どう思っているんだろうな?」

マルコ「一緒に写真撮ってあげたくらいだから、嫌いではないんじゃないかな? たまに2人で話している時もあるしね」

ミカサ「ヒッチが一方的に話しかけているだけだった気もするけど」

アニ「いや、それでもやっぱりヒッチは危険だよ。ジャンに注意しておかないと……」

アルミン「でも何て言うつもり? ジャンはもしかしたら、「あの時」の事を「覚えていない」可能性もあるよ?」

と、アルミンが言うと一同は固まってしまった。

そうだった。リヴァイ先生もそうだったけど、記憶が飛ぶタイプの酔い方だったら「忘れている」可能性もある。

830進撃の名無し:2014/08/31(日) 23:16:01 ID:j6jKiycY0
中途半端ですみません。眠いのでここまで。
続きは次回。ではまたノシ

831進撃の名無し:2014/09/01(月) 05:55:19 ID:jkhlCOtY0
確認するのがこええ。どうするんだよ。

ジャン「おい。まだくっちゃべってるのか? 早いところ教室閉めるぞ」

と、こっちにジャンがやってきた。サシャと共に。

サシャ「そろそろ帰りましょう! へへへ〜荷物お持ちします」

ジャン「おらよ。丁寧に扱えよ」

と、自分の荷物を本当にサシャに預けやがった。

何だこれ。ムズムズしてくるんだが。

あ、ミカサもオレと同じような顔している。ムズムズしているようだ。

そして皆で校門を出てそれぞれの家に帰って行った。

それぞれの心の中にいろんな「不安」の思いを抱えながら……。






12月27日。土曜日。

その日も一応ジャンから連絡があって演劇部の集合がかかった。

今年最後の活動にするらしい。明日からは本格的な冬休みだ。

ジャン「あー今日は部活動というより、演劇部で『忘年会』みたいにして皆で遊ぼうと思うんだが、何処か遊びに行かないか?」

エレン「おーいいかもな。慰労会みたいなもんか」

ジャン「まあな。何処に行きたい?」

アルミン「うーん……カラオケとかでいいんじゃない?」

ジャン「カラオケでいいか?」

マーガレット「いやー今の時期はカラオケは混雑するんじゃないかな? 忘年会のシーンズンだよ」

ジャン「あーそう言われればそうっすね。じゃあ別のところにします?」

アニ「だったら、近場の遊園地とか? 皆で行くのも悪くないんじゃない?」

マーガレット「いいかもね!」

ジャン「じゃあ今回はそっちにしますか。遊園地嫌いな奴いるか?」

と、一応確認したけど誰も挙手しなかった。

ジャン「全員、遊園地はOKか?」

エレン「むしろ大好きだな」

ミカサ「同じく」

ジャン「だったら一旦、家に帰って遊園地に再集合って事でイイか? 着替えなおしてからまた集まるぞ」

ヒッチ「こんにちは〜」

と、其の時、話題の人物がなんと突然、音楽室にやってきた。

え……髪色が全然違う! 髪が「黒」に染まっている。

制服の着方も真面目だ。一瞬、ヒッチだと分からないくらいに印象が違う!

ジャン「………誰だお前?」

ヒッチ「やだなあ。私だよ。ヒッチ。ちょっとだけイメチェンしてみたんだけど」

ちょっとどころじゃねえよ! 別人かと思ったぞ!

髪の色は黒で、くせっ毛はそのままだったけど、メイクの印象も全然違う。

所謂ちょっと「凛とした」イメージに変わっていた。ジャンが好きそうな感じの。

ジャン「はあ?! え……なんか別人みたいに変えたな」

ヒッチ「似合う?」

ジャン「ああ。似合ってる。そっちの方が断然いいじゃねえか」

エレン「!」

いかん! いきなり食いついてやがる! あいつ本当に「そういうの」が好きだな!

832進撃の名無し:2014/09/01(月) 06:16:26 ID:jkhlCOtY0
ヒッチ「良かったあ。こういうメイク、初めてやってみたからちょっと不安だったんだよね」

ジャン「そうなのか? そっちの方がいいぞ。いつものケバケバしいメイクよりそっちの方が断然いい」

ヒッチ「うふふ〜ありがとう〜今日は演劇部の活動、やってるの?」

ジャン「いや、今日はこれから忘年会だな。これから皆で遊園地に遊びに行く予定なんだが」

ヒッチ「そうなんだ〜私、今日1日暇だから、ついでに参加してもいい? この間の公演、すっごく感動したからさあ。皆ともっとお近づきになりたいなあ」

ジャン「ああ……お前、すげえ食いついて観てたよな。ありがとよ。いいぜ。一緒に来るか? 遊園地の場所は分かるか?」

ヒッチ「1番近いところだよね? だったら分かるよ」

ジャン「まあ、近場のとこで済まそうって話になったしな。私服に着替えてから再集合って事になった」

ヒッチ「了解〜♪ ありがとう。じゃあ皆、また後でね♪」

うわあああああすげえええええ!

懐の入り方がすげえ自然だった。ジャン、お前、本当にそれでいいのか?

アニ「ジャン、最低」

ジャン「はあ? 何で」

アニ「あんた、サシャルートに入ったんじゃなかったの? ヒッチ、あんたの事を狙ってるのに」

ジャン「は? ねえだろ。何でヒッチがオレを狙うんだよ」

マルコ「………やっぱり覚えてないんだ?」

ジャン「何の話だよ?」

エレン「あー……お前、ヒッチとキスしたんだけど。この間」

ジャン「…………? なんの冗談だよ」

エレン「やっぱり覚えてなかったか。泥酔した直後、ヒッチが絡んできたから、そのままぶちゅううってすげえディープなキスをヒッチにぶちかましていたぞ」

この世界は残酷だ。真実を伝えた瞬間、ジャンの顔色が真っ白になった。

ジャン「は? じょ、冗談だよな?」

ミカサ「本当。あの時のジャンは一気に泥酔してしまった……ので」

ジャン「……………」

滝汗きたな。絶体絶命のなるほど君ばりの。

833進撃の名無し:2014/09/01(月) 06:23:48 ID:jkhlCOtY0
ジャン「え………じゃあまさか、ヒッチが恰好を変えてきたのって、オレ好みに合わせてきたって事か?」

アニ「そういう事になるね。ヒッチは相手の男の「好み」に合わせるタイプだから」

そう、アニが言い切った瞬間、ジャンの奴、ぶわっと顔を赤面した。

ジャン「いや、ちょっと待て。何だそれ。ちょっと待て。待ってくれ!」

すげえ動揺してやがる。あいつ、嬉しいのか。

ジャン「なんだコレ。心臓バクバクしてきたんだけど。え? え? あいつ、オレとのキスで、オレに堕ちたって事か?」

アニ「正しくはあんたの「キステク」に堕ちたんだって。ジャン、自分で意識してないのかもしれないけど、キス上手いらしいよ。ヒッチに言わせると」

エレン「超絶キステク持ってるとか言ってたな」

ジャン「覚えてねえよおおおおおおおおおお!!!!」

と、叫んでその場にしゃがみ込むジャンだった。

ジャン「待ってくれ! オレ、人生の初キスを泥酔した挙句、ヒッチに捧げてしまったのか?!」

マルコ「初めてだったんだ」

ジャン「当たり前だろうが! オレ、童貞なんだぞ! 彼女もいたことねえよ! どんなキスをしたかも覚えてねえって、あんまりだろおおおおおお!!!」

だよなあ。乙って感じだよな。可哀想だけど。

ジャン「しかもそのキスが「あのヒッチ」に評価されるって! 意味分からねえ! あいつ、男いっぱいいた筈だよな! 過去の男の記録をオレが塗り替えたって事だよな?!」

アニ「段違いに「上手い」って言ってたよ」

ジャン「あああああああああああ?!」

真っ赤になって悶絶し始めた。無理もねえか。

834進撃の名無し:2014/09/01(月) 06:34:52 ID:G0r8rHa20
ジャン「待ってくれ! 何だこの急展開は! ヒッチの事は、ただのビッチとしか思ってなかったのに! まさかこんなの、ねえだろおおおお!」

床に転がってゴロゴロし始めた。あーあ。

アニ「知らないよ? あいつ男にロックオンしたらマジで凄いからね。ジャン、断るなら早めに断った方がいいよ」

ジャン「断るに決まってるだろ!!! あーだから遊園地についてくるって言い出したのか。あいつ……」

と、言ってやっと立ち上がった。

ジャン「分かった。教えてくれてありがとよ。知らないでいたらもっとまずい事になってたわ。エレン、助かった」

エレン「いや、まあ………別にいいけどさ」

誰かが言わないといけない事だったしな。

ジャン「そういう事ならオレ、サシャ誘ってみるわ。ヒッチと2人となるのは危険過ぎる。ちょっと電話してみよう」

と、言い出してサシャに連絡を取るけれど………

直後、肩を落とすジャンだった。

ジャン「マジかよ……こういう時に限って別のバイトが入ってやがるとは……」

サシャを誘い出せなかったらしい。どうすんだ。この場合。

ジャン「あーでも、1回OK出したのに来るなって言えないよな。仕方がねえ。今日だけはヒッチに付き合ってやるしかねえか」

ミカサ「ジャン、あまり中途半端な優しさは良くない。断るならさくっと断った方がいい」

ミカサが言うと重みがあるな。ジャンもすぐ頷いた。

ジャン「ああ。そうするよ。というか、オレ、キスの事を全く覚えてねえからな。きっとその「キステク」の件は泥酔していたせいで「たまたま」そうなっただけだろ。素面の時も同じように出来るかどうかなんて、分からねえし」

と、言い訳しながら、頭を振るジャンだった。

そして皆1度家に帰宅して着替え直して遊園地に再集合した。

ヒッチが先に入り口で待っていた。なんか可愛い格好をしている。

下は脹脛までのレギンスで、上はゆったりとしたチュニックタイプだ。

ミスコンの時のイルゼ先生が着ていた服の組み合わせに近い。

それを見た瞬間、ジャンがすげえ動揺してしまったのがこっちにも伝わってきた。

835進撃の名無し:2014/09/01(月) 06:42:01 ID:jkhlCOtY0
ジャン「なんだあいつ、すげえ可愛い………」

ミカサ「…………ヒッチに乗り換えるの?」

ジャン「いやいやいやいや! 乗り換えないからな! 絶対に!」

ヒッチ「何の話〜?」

ジャン「何でもねえよ!! さっさとチケット買って中に入るぞ!」

という訳で皆でぞろぞろ遊園地で遊ぶことになったんだけど………

すげえ。伊達に男を堕としてきてねえな。ヒッチ、さり気にジャンの隣のポジションキープしてやがる。

ああああああ! あれは伝説の「当ててんのよ」作戦だ!

ジャンの二の腕にしれっと捕まって自分の「胸」を相手に押し付ける作戦のようだ。

屈むと胸がチラ見出来るみたいで、ジャンが一瞬、胸の方に意識が吸い寄せられるのが分かった。

アニ「………やっぱりジャン、最低」

ミカサ「ううーん……」

ミカサですら困惑している。

マーガレット「うひひ……本当にヒッチ、ジャンにロックオンしかけて来たんだ?」

エレン「みたいですけど……あいつ女の免疫ねえからグラグラしてますよ」

マルコ「でも確かにあの大きな胸を押し付けられたらグラッとくるかも」

アルミン「うん……気持ちは分からなくないかも」

エレン「そうかあ? オレ、あそこまで露骨な女は好きじゃねえけどな」

なんていうか、わざとらしい女が苦手なんだよな。クリスタの時もそう思ったけど。

「狙ってるな」って思った瞬間、冷める性質みたいなんだよな。オレの場合は。

836進撃の名無し:2014/09/01(月) 07:02:08 ID:jkhlCOtY0
ジャンの様子が気になったのでオレはミカサの事はアニに任せて暫く様子を遠巻きに見ていた。

とりあえず遊園地に来たら乗り物に乗らないといけないけど、どれにしようかな。

ジャン「ヒッチ、あの……この間の件だけどさ」

ヒッチ「ん?」

ジャン「オレ、泥酔していた時にヒッチにキス、ぶちかましたんだってな?」

ヒッチ「うん。そうだけど? 何、もう1回してみたい?」

ジャン「しねえから! その、忘れてくれないか? 事故チューみたいなもんだし」

ヒッチ「無理だよ。あんなに気持ちいいキス、私、初めてしたんだもん」

ジャン「!」

ヒッチ「忘れられないよ。ジャンのキス。あんなに温かくて優しくて気持ちいいキス、生まれて初めての経験だった。私、数えきれない程、今までキスしてきたけど、あんたのが歴代1位のキスだったよ。最高だった」

ジャン「いや、だからそれは泥酔していたせいだろ? 素面の時はそんなん、出来ねえよ絶対!」

ヒッチ「分かんないよ? 試しに後でしてみる?」

ジャン「絶対しねえから! それにオレはサシャの事が好きで……!」

ヒッチ「知ってるよ。だから私は2番目でイイ」

ジャン「!」

愛人宣言かよ。やっぱりそうきたか。

ヒッチ「なんなら「お試し」でもいいと思ってる。そんなに「重く」考えなくていいよ。私、元々そういう女だし。どうしてもダメになったらやめてくれてもいいし。だから、1回だけでもいいからシテくれない?」

そうヒッチが誘惑を仕掛けたら、急にジャンの奴の空気が冷たくなった。

あ……なんかまずい。ジャンは「この気配」になるとキレる一歩手前だ。

ジャン「そうやって自分を安売りするんじゃねえよ」

ヒッチ「え……?」

ジャン「自分を安く売るなって言ってるんだよ。だからお前は「ビッチ」って呼ばれるんだろうが」

ヒッチ「あはは…そうかもね。でも別にいいよ? 事実だし」

ジャン「オレが嫌なんだよ! オレとキスしたいっていうなら、そういうところ、変えろ! オレは尻軽女は好きじゃねえんだよ!!! もっと自分を大事にしろよ!!!!」

ヒッチ「!」

ジャン「オレに近づくな。今日はもう、しょうがねえからつきやってやるけどさ。べたべたはするな。迷惑だ。オレもこれ以上、最低な男にはなりたくねえんだよ」

ヒッチ「…………………」

ヒッチが目を丸くしてやがる。何か様子がおかしいな。

ジャンがヒッチから離れてこっちにやってきた。大きなため息をついている。

ジャン「あーもう。しんどい……」

マルコ「お疲れ」

ジャン「あのクソビッチ。本当に厄介だ。もう誰か再教育してやって欲しい……」

と項垂れているけど。

なんか、さっきからヒッチの様子が本当に変だ。顔が赤い気がするんだが。

837進撃の名無し:2014/09/01(月) 07:05:02 ID:jkhlCOtY0
>>836
訂正というか、挿入です。
間違えてカットしてしまった。

ジャン「お前、勝手にくっつくな! やめろ! 恥ずかしいだろ!!」

ヒッチ「ええ? 何でダメなの? いいじゃん」

ジャン「良くねえよ! 頼むからちょっと離れろ! (ドン!)」

あ。うっかり引き離しやがった。ヒッチがこける。

ヒッチ「あん……」

ジャンが青ざめた。やり過ぎたって思ったようだ。

ジャン「あ……悪い」

ジャンは優しい奴だからな。こけたヒッチに手を差し伸べる。

ヒッチ「もう、照れちゃって〜分かった分かった。やり過ぎたから、手繋ぐだけにしよ?」

と言って、ぐっと恋人繋ぎを仕掛けてきた。それに対してジャンはそっぽ向いて困っている。

うわあ……グダグダだな。ジャンの奴。あいつ、意外と押しに弱いのか?

アニがすげえ冷めた目でジャンを見ている。アニはいい加減な男が嫌いらしい。

アルミン「あちゃー……アレは僕でも拒否出来ないなあ」

マルコ「ううーん。手、差し伸べちゃうよね。アレだと」

アニ「あっそ」

と言ってアニはミカサの方に近寄った。

アニ「男って最低。いこ。ミカサ」

ミカサ「う、うん……」

と言って2人で先に行ってしまった。ミカサも困惑している様子だ。

やれやれ。どうなるんだろうな。この変則三角関係は。

ヒッチがもう1回ジャンとキスして、そこで「やっぱり違う」って思ってくれたら話が早いような気もするが、もしもう1回キスして「やっぱりイイ!」と思ったらもっとダメだしな。


の後に>>836
のシーンに繋がります。すみません。

838進撃の名無し:2014/09/01(月) 07:14:28 ID:jkhlCOtY0
ヒッチ「自分を大事にしろ……なんて初めて言われたかも」

と呟いて、頬を掻いているようだ。

ん? 何か嫌な予感がしてきたぞ。寒気がする。

ヒッチ「こんなに堕ちない男って初めてかも……やばい。楽しい!」

やっぱりか! 追う女は逃げられると余計に燃えるのか!

リヴァイ先生が「襲ってくる女」は苦手だと言っていた理由が分かった気がする。

こりゃあ災難だな。ジャンの奴。あいつ、女運ねえなあ。

アニとミカサは2人でティーカップに先に乗っていた。ミカサに手を振ってやると、困惑顔で返してきた。

アニの機嫌が最高潮に悪いらしい。ジャンのいい加減な状態が気に食わないようだ。

ミカサ自身はそこまで機嫌が悪い訳ではないようだ。

ティーカップから降りてこっちに戻ってくると、ミカサは言った。

ミカサ「アニが思っていた以上にイライラしているみたい。どうしたらいいだろうか?」

エレン「ミカサはイライラしていないのか?」

ミカサ「え? 何故? 全然」

エレン「お前、ジャンとヒッチがくっついてもいいのか?」

ミカサ「私自身はヒッチでもサシャでもどっちでもいいと思っている。くっついてくれさえすれば」

エレン「へーそうだったのか」

ミカサ「うん。私はそこまでジャンに思入れはない。好きにすればいいと思う」

エレン「そういうもんか」

839進撃の名無し:2014/09/01(月) 07:24:00 ID:jkhlCOtY0
ミカサ「アニは純粋な部分があるので男の浮気は許せないタイプみたい。「愛ある選択」の劇の台本を読んだ時もリヴァイ先生に対しての嫌悪感が凄まじかった……ので、リヴァイ先生を苛めるメンバーが増えて其の時はちょっと嬉しかったけど」

OH……ミカサの奴、リヴァイ嫌いの仲間が増えて嬉しそうだな。

まあ、今はその話は横に置いて。

ミカサ「私はヒッチでもいいと思っている。とにかくジャンはさっさと彼女を作るべきだと思う。彼自身、それを願っているなら猶更」

エレン「まあそうだな。ジャン自身は「彼女欲しい」ってずっと思ってる訳だしな」

ミカサ「うん。手を伸ばす勇気があれば大丈夫だと思う。サシャであれ、ヒッチであれ。ただ、両方はダメだけど」

エレン「そりゃそうだな。あ………ヒッチがこっちに来たぞ」

ヒッチがニコニコしながら手を振ってこっちに来た。

ヒッチ「ジャンに怒られちゃったよ〜ミカサ〜慰めて〜」

ミカサ「どう慰めたらいいのだろうか?」

ヒッチ「ん〜よしよしってしてくれればいいかな?」

ミカサ「分かった。ではよしよししよう」

という訳で何故かヒッチの頭をミカサが撫でている。すると、ジャンが釣られてこっちを見た。

ジャン「おま! 何やってんだよ!!!」

ヒッチ「えへ☆ ミカサに甘えちゃった。ジャンが意地悪言うからさ〜」

ジャン「おま、ミカサから離れろ! ミカサにお前のビッチを感染させるんじゃねえ!」

ヒッチ「それちょっと酷くない〜?」

とケラケラ笑ってジャンに引っ張られていく。

うわ…あいつ、ウインクしてきた。今の、作戦だったんだ。

ミカサ「凄い。ヒッチは本当に「やり手」のようね」

エレン「ああ……あいつ、成績も悪くないし、頭いいってのも嘘じゃねえみたいだ」

840進撃の名無し:2014/09/01(月) 07:58:52 ID:jkhlCOtY0
策士だな。アルミンもそういうところたまにあるけど。

恋愛事に関してだけはヒッチも負けてないかもしれん。孔明の罠に引っかからないといいが…。

そんな訳で一抹の不安を抱えながら遊園地で遊んでいたら、着ぐるみのうさぎがこっちに近寄ってきた。

しゃべらないけどな。何かジェスチャーで楽しませてくれるようだ。

エレン「おお……なんか動きが楽しい奴だな」

ミカサ「何かくれるみたい。ん? 風船?」

エレン「なるほど。風船を配っているのか。1個貰っておくか」

という訳でうさぎから風船を頂く。腰に適当に繋いでおくか。

周りを見たら風船を持っている小さな子供もいるようだ。

あ。木に引っ掛かって、子供が1人泣いている。親は「諦めろ」って言ってるけど。

あーどうしょうかな。風船、持ってるけど。子供にあげてもいいかな。

オレは適当に貰っただけだしな。そう思って様子を眺めていたら……

ヒッチ「ねえ、ジャン! 私を肩車してよ」

ジャン「はあ?! 何で」

ヒッチ「あの子可哀想じゃん。風船とってあげようよ。肩車して取ればいけそうな高さじゃない?」

ジャン「いや、それだったらオレとマルコでやるわ。マルコ、頼む」

マルコ「ああ、いいよ」

ヒッチ「ちっ……」

太ももでジャンの頭を挟もうとしたんだな。隙あらば狙ってるなあ。ヒッチの奴は。

ジャンとマルコが肩車をして風船を取ってやっていた。子供は「ありがとう!」と喜んでいたけど。

ジャン「…………よく気づいたな」

ヒッチ「何が?」

ジャン「いや、子供の事だよ。オレ、すぐに気づかないでスルーしそうになったし」

ヒッチ「あ、そうだったの? うーん。私、元々子供好きだしね」

ジャン「え……意外だな」

ヒッチ「そう? 子供可愛いじゃん。私、将来、子だくさんの大家族を形成するのが夢なんだ」

ジャン「…………」

ヒッチ「まあ性欲強すぎるだけかもしんないけどwwwだから旦那になる男はある程度「技」を持ってる男じゃないとダメだと思うんだよね〜」

ジャン「あっそ」

と言いながらジャンはヒッチから離れていく。それを追いかけるヒッチだ。

その様子をうさぎがじーっと見ている。あれ? さっきみたいに動いていないな。

キビキビした動きがなくなった。あんなに滑らかに動いていたのに。

俯いて、落ち込んでいるようにも見える。どうしたんだろうな? うさぎさん。

あ……うさぎさんがどっか行った。おいおい、仕事放置していいんか?

エレン「………………」

何だろうな? 何か変な心地になった。あと走り方が、何処かで見覚えがある。

あの本気の走り方。何処かで見覚えが……。

エレン「!」

いや、まさかな。まさか。

でも、今日、別のバイトだって言ってたし、可能性あるのか?

841進撃の名無し:2014/09/01(月) 08:07:48 ID:jkhlCOtY0
エレン「あのうさぎさん、まさか中身、サシャじゃねえよな」

ミカサ「え?!」

エレン「いや、体育祭の時の本気走りのサシャの走り方に似ていた気がして……」

パン食い競争の時のサシャはかなり前傾姿勢で走っていた。ちょっと独特なフォームだったんだ。

短距離で走る時は、奔り方に「癖」が出やすい。いや、気のせいかも分からんが。

ミカサ「追いかけよう。エレン」

エレン「ああ。一応、追いかけてみるか」

2人でうさぎさんを追いかけてみた。すると茂みの中で頭が外れて………

やっぱりサシャだった。何だか辛そうな顔で俯いていてこっちに気づいていない。

そしてハッと我に返ってこっちに気づいた。

サシャ「あ、ミカサ、エレン。奇遇ですね」

顔が引きつっている笑顔だった。

サシャ「すみません〜ちょっと疲れちゃったんで休憩しようと思って」

と言いながらタオルで頭を拭いているサシャだった。

サシャ「夏場に比べれば楽ですが、着ぐるみのバイトは重労働ですからね〜」

と話を誤魔化しているのが見え見えだ。

ミカサ「サシャ、大丈夫?」

サシャ「大丈夫ですよ。休憩入れたらまた仕事に戻りますし」

ミカサ「いえ、その事ではなく、その……あの……」

サシャ「ん? 何の事ですか? 何が言いたいのか分からないですけど」

エレン「サシャ。ミカサはまだ何も言ってねえぞ」

サシャ「!」

サシャの顔が強張った。もう間違いない。

あいつ、ジャンとヒッチが仲良さげにしているところ、見ちまったんだ。

だから1回逃げたんだ。そうに違いない。

842進撃の名無し:2014/09/01(月) 08:28:56 ID:jkhlCOtY0
サシャ「…………………ジャンって、いつもフラフラしてますよねえ」

と、愚痴を零し出したサシャだった。

サシャ「ヒッチとお似合いですよね。フラフラしている者同士。案外くっついたらうまくいきそうですよね」

ミカサ「サシャ……」

サシャ「何ですか?」

ミカサ「サシャ自身は、ジャンの事をどう思っているの?」

サシャ「ただの職場の同僚ですよ? あとクラスメイトです」

エレン「サシャ、お前、今、自分がどんな顔しているのか気づいてねえのか?」

エルヴィン先生がよくリヴァイ先生に言っていた言葉を思い出す。

こういうのって本人より客観的に見れる「他人」の方が案外先に気づくもんなんだな。

サシャの顔が歪んでいるんだ。こんな顔のサシャ、今まで見た事ねえぞ。

いつも笑っていて明るくて。元気いっぱいのあの「サシャ」が。

辛そうに顔を歪めているんだぜ? これってもう、サシャ自身の心の中に「ジャン」がいる証拠じゃねえか。

サシャ「え? どんな顔、しているんですか?」

エレン「すげえ辛そうで泣きそうな面してんぞ。本当は嫌なんだろ。ジャンが他の女と仲良くしている姿を見るのは」

サシャ「そんな事ないですよー。私、別にジャンの彼女でも何でもないんですよ? そんな事、ある訳……ない…で……」

その直後、サシャの体が勝手に涙を零した。

溢れてきたみたいだ。感情より先に体が動いたようだった。

サシャ「あれ? あれ? 何で私、泣いているんでしょうか? あれ? 目にゴミでも入ったんでしょうか?」

エレン「サシャ! 違う! それは違うぞきっと!」

ミカサ「私もそう思う。サシャ、それは「悲しい」って感情の筈」

サシャ「違います! 私は悲しくなんかありません! だって私はジャンの彼女ではないですし!」

認めるのが怖いんだ。きっと。怯えている。

サシャはきっとこれが「初めての感情」なんだ。きっと。

だから訳が分からなくて怯えているんだ。気持ちは分からなくもねえけど。

エルヴィン先生の言う通りだった。サシャの潜在意識の中に「ジャン」の姿はあったんだ。

だとしたら、それを「表」に出してやらないと。

843進撃の名無し:2014/09/01(月) 08:43:42 ID:jkhlCOtY0
エレン「サシャ。大丈夫だ。それは正常な感情だ。認めてもいい感情なんだ」

サシャ「な、何を言っているんですか? 私は、そんなんじゃありません! 別にジャンが別の女の子とどれだけ仲良くしようが、私には関係ありませんから!」

エレン「サシャ! 逃げるな! 逃げたら逃げるだけ、後で大変な事になるんだぞ!」

リヴァイ先生がいい例だろうが! 16年間逃げたツケが一気に回ってきた時は死ぬかと思ったと本人も言ってたしな。

こういうのは避けて通れない「道」なんだ。気づいたらもう、後戻りは出来ねえものなんだよ。

だけどサシャは首を左右に振っている。どうあっても認める気はないようだ。

サシャ「いやですいやですいやです! 私はジャンの事を、そういう意味で好きな訳ではありません! 同僚としては尊敬していますが、異性として好きな訳ではないんです!」

と、其の時、




ガサ…………




足音がした。

今、1番、ここに居てはいけない人物が、ヒッチと共にこっちに来たんだ。

ジャン「なんか騒がしいなと思って来てみれば……サシャがいたのか」

サシャ「!」

ジャン「お前、今日別のバイトだって言ってたよな。遊園地の着ぐるみのバイトだったのか」

サシャ「そう……です」

ジャン「だったらこんなところでサボるなよ。まあ、休憩していただけなのかもしれんが。あんまり長く休憩すると怒られるだろ。給料減らされたくなかったら、さっさと持ち場に戻れよ」

サシャ「わ、分かってますよ! 水分補給をしに来ただけですから! では!」

そしてサシャがうさぎさんに戻って仕事に戻って行った。

今のサシャの言葉をあいつ、聞いていたのかな。どうなんだろう。

ヒッチ「……………………また、叶わない片思いするつもり?」

ジャン「……………」

ヒッチ「聞こえたでしょ? あの子、逃げてるじゃない。自分の気持ちから。ミカサの時とは違うケースだけど。望みないんじゃないの?」

ジャン「はあ? 何馬鹿な事言ってやがる」

其の時、ジャンは嬉しそうに笑っていた。不思議と。

ジャン「望みがねえだって? 逆だろ? アレを聞いてそう思うような奴はただの馬鹿だろ」

ヒッチ「え……?」

ジャン「やばい。オレの方も燃えてきた。そういう事ならオレも手加減しねえ。全力でサシャを追いかけてやる!」

ヒッチ「え?! 何で? だって、今……異性として見てないって叫んで……」

ジャン「あんなもん、嘘に決まってるだろ! くそ……何だよこれ。やべえ。ウズウズしてきた!」

と、超喜んでいる。あいつ、前向きだな。

そうか。ジャンも今のサシャの言葉を聞いてそう思ったのか。だったらいいんだが。

844進撃の名無し:2014/09/01(月) 09:06:40 ID:jkhlCOtY0
ジャン「こんな感情、初めてだ。くそ………ミカサの時と全然違う! サシャの奴、覚悟しろよ」

と、ニヤニヤ気持ち悪いくらいの笑顔になった。

その瞬間、今度はヒッチの方が顔面蒼白になってふらっと倒れそうになったんで、ミカサが支えてやった。

ミカサ「ヒッチ……?」

ヒッチ「嘘でしょ……? 何でそうなるの?」

ミカサ「…………」

ヒッチ「だって今、サシャ、逃げたじゃない。何で追いかけようと思えるの?」

ミカサ「恐らくジャンは私で耐性がついたんだと思う」

ヒッチ「え?」

ミカサ「私が絶望的にジャンを拒否したので、ジャンは拒否される事に慣れてしまっている。だとしたら、サシャ程度の「拒否」はジャンにとっては「拒否」に値しないのでは?」

所謂「免疫」が出来ちまったようなもんだよな。恋愛の。

つまりジャンにとってはミカサとの恋は無駄ではなかった事になるのか。

いや、むしろ必要だった「過程」だったのかもしれない。

リヴァイ先生が、長年だらだら付き合った女達や、ナンパした女やマリアさんとの事があったように。

失敗した「恋」は次の「恋」に繋げられるんだ。きっと。

だとしたら今度こそ、ジャンはうまくいくかもしれない。今のあいつなら。

サシャを「堕とせる」かもしれない。

845進撃の名無し:2014/09/01(月) 09:28:09 ID:jkhlCOtY0
ヒッチ「待ってよ。でもそれでも、拒否されている事には変わりなくない? ジャンの奴、ドМなの?」

ミカサ「ある意味では。そうだと思うけど」

ヒッチ「ええ? そうなの? いや、待って。でも、私、キスされた時、ドSなんだと思ってた。だって凄かったよ? 中に入ってくる感覚が。その、容赦なくて、その………」

エレン「ドSもドМもさほど差がないんじゃねえか? リヴァイ先生がそんな感じだっただろ?」

そもそも人間ってどっちの要素も「ある」んじゃないかと思ってるしな。

それがどういう場面で出てくるかが人それぞれで、違うってだけで。

ヒッチ「えええ……まあ、分からなくはないけど。そっか。だったら、ジャンはもう諦めた方がいいのかなあ」

アニ「諦めな。あんたが引っ掻き回すと碌な事にならないよ」

と、其の時、アニもこっちにやってきた。

アルミンとマルコも実はそっと様子を見ていたようだ。遠巻きに。

ヒッチ「うう〜ん……初めての黒星かあ。連勝記録がジャンでストップするとは思わなかったなあ」

と、ヒッチが頭を掻いている。

ヒッチ「せめてもう1回だけキスして確認してみたかったんだけどね〜まあしょうがないか。うん。ジャンの事は諦めるしかないみたいだね」

ミカサ「諦めるの?」

ヒッチ「うん。深追いはしないよ。男なんて世の中に腐るほどいるし。ジャンのキステクは惜しいけど。タイミングが悪かったんだったらもうしょうがないよ」

とヒッチは言っているのでとりあえず、ひと段落かな。

でもその時、ミカサは言った。

ミカサ「本当に………いいの?」

ヒッチ「ん? 何で?」

ミカサ「いえ……ヒッチはジャンの事が好きなのかと思っていたから」

ヒッチ「ううーん。顔は好みじゃないけどね。キステクは大好きだけど」

ミカサ「いえ、そういう意味ではなく、ジャン自身を気に入っているように見えたので」

ヒッチ「……………」

その直後、ヒッチの顔が強張った。

ヒッチ「ん? それってどういう意味?」

ミカサ「ヒッチもちゃんとジャンの事を好きなのだと思っていた」

アニ「いや、それはないでしょ」

ミカサ「いいえ。でないとあの時のような、嬉しそうな顔はしないと思う。遠目に見ていたけど。ジャンが「もっと自分を大事にしろよ!!!」と叫んでいたのはこっちにも聞こえていた。あの時のヒッチ、凄く嬉しそうに見えた」

ヒッチ「……………」

ミカサ「あの、余計なお世話かもしれないけれど、ヒッチ自身もリヴァイ先生と同じように「本気の恋」を今までしてきていなかったのでは? だからこそ、フラフラ彷徨ってしまっていたのではないかと思ったのだけど」

ヒッチ「そう、見える?」

ミカサ「私のあくまで主観だけど」

そう言い切ると、ヒッチはぐたーっと項垂れてミカサに倒れ掛かった。

そして凄い勢いで笑いまくったのだ。

846進撃の名無し:2014/09/01(月) 09:45:33 ID:jkhlCOtY0
ヒッチ「やっぱりね〜そうだよね。そんな気がしてたんだよね。私も実は」

ミカサ「そうだったの?」

ヒッチ「うん。だからこそ、凄い感情移入が出来たの。リヴァイ先生の事も、ハンジ先生の事も! まるで自分を見るようだったんだもの! ハンジ先生の「とりあえずお試し」とか。リヴァイ先生の「好きにしろ」発言とか! あの2人、最高だと思ったの! あんなに赤裸々に恋愛観を話してくれる先生、今までいなかったし! 私、自分の事、異常だと思ってたから凄く安心したんだよね。でも異常でもしょうがないか。私は私だしって開き直っていたけど。それでも、やっぱり「同じ感覚」を持ってる人が他にもいるって知ったら、凄く嬉しかったんだよ」

なるほどな。だからあれだけ食い入るように見ていたのか。ヒッチは。

ヒッチ「そうなのよ。私今まで「本気の恋」した事ないんだよ。多分、ハンジ先生のいう「トキメキ」を追う旅をしてきたんだと自分でも思うよ」

ミカサ「だったら、その相手は「ジャン」ではないの?」

ヒッチ「ん〜それはまだ分かんない。でも、最初にジャンに会った時から何か「引っかかる」ものはあったのは事実なんだよね」

と言ってヒッチはミカサから一度離れた。

ヒッチ「あの頃のジャンはミカサに夢中だったからね。4月のあの時点でずっとミカサを視線で追いかけていたから。最初は「キモイwwwこいつwww」って思いながら観察していたんだ。でもその「一途」なところが凄く羨ましくて。私には絶対真似出来ないって思ったの。だからついつい、からかっちゃって。あいつも反応が面白いし? だから私、ジャンの事は「嫌いじゃない」とは思うんだ」

アニ「意外……あんた、そういう事いうの初めてじゃない?」

ヒッチ「自分でもそう思うよ。でもあの馬面だしね? そこんとこの葛藤はまだあるかな?」

と、てへぺろしているヒッチだ。

ヒッチ「でもどうなんだろ? 今のジャンはもうサシャにベクトルが向いているしね。あんまり深追いすると拗れそうだし。そこはちょっと1回冷静に置いて考えてみる。客観的に自分を見てみたいんだ」

アニ「…………本気なの?」

ヒッチ「だからまだそれは分かんないってば。もしかしたら明日には違う別の男を追いかけてるかもしれないし?」

アニ「いや、あんたが「冷静に自分を見てみたい」なんていうの初めてだしさ」

ヒッチ「そうだったけ? 言わなかっただけじゃない? 私、自分を「客観視」する癖は常につけているよ? というか、男堕とす時の『必須テクニック』だし」

アルミン「ええええ……そうなの?」

ヒッチ「そうだよ? それは男にも言えるけどね。モテたいんだったらまず「自分」を「客観視」する癖をつける事。相手から「どう見られている」かを常に意識する事。これが出来ないと絶対うまくいかないよ? 今回の私の場合はとにかく「ジャンの懐」に入る必要があったから、とりあえず「ジャンの好み」に寄せていった。でも、だからと言って私が「ミカサ」をトレースしたってうまくいくわけないじゃん? だからそこはあくまで「ちょっとだけ真似」するに留めて、残りは自分の「キャラ」で売っていく。この辺の「変化」を上手に使っていく事がモテる為のコツだよ?」

うおおおおお何かすげえ事言い出したな。ヒッチの奴は。

847進撃の名無し:2014/09/01(月) 09:58:37 ID:jkhlCOtY0
ヒッチ「その点じゃ、ミカサは凄いよね。私の場合はミカサの域までは自分を変える事は出来ないと思う。聞いたよ。丸坊主だってやってやるって」

ミカサ「ああ………あの時の事を聞いてたのね」

ヒッチ「当然でしょwwwジャンの振られるところ見ない訳ないじゃんwwこっそり気配隠して観察していましたよwww」

ミカサ「でもエレンはそういう事を言いだす人じゃないから大丈夫」

エレン「当たり前だろ。何が悲しくて丸坊主にさせなないといけないんだよ」

ミカサ「あくまで例えだけど。でも、私はエレン次第だと自分でも思っている。もうそういう生き方の「自分」でいいと思っている」

エレン「…………」

ミカサ「御免なさい。エレンに負担をかけるのは分かっているけど。でも私は「そういう女」なのだと自覚している。これはもう仕方がない事だと思っている」

エレン「オレとしては複雑だけどな。でも、自分の「好み」が全くない訳じゃないんだろ?」

ミカサ「なんとなくの程度だと思う。その熱は「浅い」ので変更がきく程度のものだから」

エレン「じゃあエッチな下着をつけて欲しいって言えばつけてくれるのか?」

ミカサ「ど、どんな……? (ドキドキ)」

エレン「ん〜? 黒のレースとか? あ、紫とか白もいいなあ」

とか言っていたら後ろからアニに頭を小突かれた。

アニ「ミカサを辱めるのはやめて。というか、ミカサもデレデレしない」

ミカサ「ごめんなさい(シュン)」

アニ「なるほどね。だったら今回のケースは今までとちょっと違う訳ね? ヒッチ」

ビッチ「微妙にね。まあ皆が「やめろ」って止めるなら諦める程度の物かもしれないけど」

ミカサ「…………」

ミカサの眉間に皺が寄っているな。複雑なんだろうな。心境としては。

ヒッチとは友達って程ではないにしろ、女は女の気持ちが分かる筈だ。

サシャを応援してあげたい気持ちの方が強いとは思うが、ヒッチがもし「本気の恋」に発展する場合はどうしたら良いのか分からないのだろう。

848進撃の名無し:2014/09/01(月) 12:03:36 ID:jkhlCOtY0
ヒッチ「そんなに深刻にならないでいいよ。ま、もしも私が本気の恋に発展しても、そこで振られそうな気もするけどね。でもそれはそれでもいいんだ。私、もっと「気持ちいい」ことがしたいだけだと思うし」

ミカサ「まるでマリアさんのようね」

ヒッチ「考え方は近いかもしれないね。別に叶わなくてもいいんだよ。恋愛ってその「過程」の方が「実」みたいなもんじゃん? だからちょっと私も冷静に考えてみるよ」

じゃあねって言ってヒッチは先に帰って行った。

ジャンはいつの間にか姿を消していた。恐らくサシャを追っていったのだろう。

アニの機嫌は少し落ち着いていた。いろいろ思うところが出てきたようだ。

アニ「ちょっと驚いたかも。今までのヒッチと様子が違ったしね」

ミカサ「なのだろうか?」

アニ「うん。全然違った。遊び以上本気未満なのかもしれないけど」

ミカサ「だとしたらもう、余り邪魔も出来ない。本人がやりたいようにやらせるしかないような」

アニ「そうなんだろうけど………はあ」

と、アニはため息をついた。

アニ「何か一人でイライラしたりやきもきしたり、馬鹿みたい。他人事なのに。何で私、いつもこうやって他人に振り回されるんだろ」

ミカサ「それがアニの良いところ。アニはクールなようでいて、中身はそうでもない」

アニ「褒めても何も出ないよ。ミカサ」

アルミン「まあまあ。後は僕達は僕達でアトラクションを楽しもうよ。ジャンはサシャを追いかけちゃったし。放っておけばいいよ」

エレン「それもそうだな」

ジャンの様子を見ていたらちょっと安心した。多分、だけど。

今度こそ、うまくいくんじゃねえかな。本当に「多分」だけど。

849進撃の名無し:2014/09/01(月) 12:17:29 ID:jkhlCOtY0
そんな風に思いながら残ったオレ達はオレ達で遊園地を楽しんだ。

途中でマーガレット先輩達やカジ達のグループと合流したりしながらあちこち回っていたらあっという間に夕方になり、ジャンも戻ってきた。

あ、サシャと一緒に戻ってきた。どうやら今日の仕事は終わったようだ。

手荷物をやっぱり持たせている。あいつ、サシャを本気でこき使うようだ。

サシャ「酷いです。着ぐるみのバイトが終わった直後なのにまた別の労働をさせられてます」

ジャン「小間使いやるって言っただろ。まあ、今日はこの後、オレの部屋まで来て貰うけどな」

サシャ「えええええ?! 部屋まで荷物を運ぶんですか?! 鬼ですよ……」

ジャン「家にホットケーキがあったような気がするんだけどなあ」

サシャ「あ、いきますお供します! (キリッ)」

馬にぶら下げた人参作戦じゃねえんだから。いや、引っかかるサシャも悪いけど。

マルコ「おおお……自宅の部屋に連れ込む気なんだ。ジャン、やるね。今までと全然違う」

アルミン「うん。なんか吹っ切れた顔しているよ。ゲスいけど」

エレン「だな。でも良かったんじゃねえの? とりあえずは」

ミカサ「うん。いいと思う」

と言いながら、オレ達はジャンとサシャの様子をそっと見守ってニヤニヤするのだった。

サシャ「ホットケーキ……えへへへ」

ジャン「あー……家に帰ったらオレの部屋でちょっといろいろやって貰おうかな」

サシャ「え? 何をするんですか?」

ジャン「ん? デッサンのモデルの相手だよ。サシャ、脱いで貰うからな」

サシャ「えええええええヌードですか?! それは流石に無理ですよおおお!」

ジャン「ん? 誰もヌードなんて言ってねえだろ。期待したのか? (ニヤニヤ)」

サシャ「い、いやいや、そんな訳ないじゃないですか。期待したのはジャンなのでは?」

ジャン「オレはどっちでもいいけどな。まあ、服着ている方が練習にはなるんだが、ヌードはヌードで勉強になるしな」

サシャ「いやああああ! ジャンはドスケベですね! 絶対嫌ですよ! ヌードは!」

ジャン「だからヌードじゃねえって言ってるのに。勘違いしたのはそっちだろ?」

と、まあ何だか既視感のある会話をしている。

ああ………ここにもリヴァイ先生×ハンジ先生のような漫才カップルが誕生か。

ミカサがニヤニヤしている。何だか嬉しそうだ。

エレン「ん? どうした?」

ミカサ「いえ……ジャンがもう、すっかり吹っ切れたような顔をしているので」

エレン「みたいだな。完全に気持ちがサシャの方に向かったみたいだな」

あいつもいろいろあったけど、気持ちが切り替わって良かったぜ。

ミカサへの恋は辛かっただろうけど。でもそれを乗り越えて新しい恋に迎えたなら。

今が幸せならそれでいいと思う。頑張れよ。ジャン。

850進撃の名無し:2014/09/01(月) 12:45:17 ID:jkhlCOtY0
今日はここまで。やっとジャン×サシャの始まりです。
ここに来るまでが長かったな…いや、作中のリヴァイ×ハンジよりは短いけど。
長く感じたのは執筆期間的な意味で、です(笑)。

ミカサとの事を吹っ切るまでの流れをどう持っていくかに迷いました。
ジャンみたいな一途な子がそれを諦めるのだとしたら何か「切欠」ないとなーと思ってこうなった。

途中で何度かジャンミカいやだーの声とか、
いい加減ジャンうぜええwwwwとか思わせてしまってすみません。
むしろこのジャン×サシャまでの壮大な「伏線」だった訳でして。
そこんとこご理解頂けたら幸いです。

851進撃の名無し:2014/09/01(月) 15:21:54 ID:91Nz6ZLc0
リヴァハンが正直あまりにも長すぎたから短くてびっくりした
でもこれくらいがいいな
とりあえず乙

852進撃の名無し:2014/09/01(月) 15:56:50 ID:jkhlCOtY0
>>851
すみません。
あくまで「始まり」なのでジャン×サシャも長くなるかもです。
むしろ波乱の幕開けなので、ここからが本腰入れて頑張ります。

853進撃の名無し:2014/09/01(月) 16:16:31 ID:jkhlCOtY0
あとリヴァイ×ハンジ編が長くなったのは2人の年齢のせいもあるかもです。
遅咲き過ぎた恋だったので歴史が長くなってしまって……本当、すみません(笑)。

854進撃の名無し:2014/09/01(月) 19:22:16 ID:fe1p0Zug0
もともとアニ好きだったがやっぱ可愛いわ
そして意外とヒッチの今後が楽しみに

855進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:04:13 ID:YIeP0RoU0















12月31日。大晦日の日は流石に親父もお休みだ。

家で年越しそばを家族で食べながらテレビを見る。今年も笑ってはいけないアレシリーズをやるようだ。

去年も大晦日にあったような気がする。ひたすら「笑ってはいけない」んだけど、結局は吹いて「アウトー!」になる。

くだらないテレビを家族で一緒に観て笑っていたら電話がかかってきた。

エレン「はいはい。あ、アルミンか」

アルミン『やあエレン。今年の初詣どうする?』

エレン「ん〜うちは家族でいつもの神社に行くけどな。元旦に」

アルミン『あ、じゃあエレン達はパスかな』

エレン「ん? どうした? あ、もしかして皆で集まっていくのか?」

アルミン『うん。アニとマルコとジャンとサシャとあとライナー達も来るみたい。でも出かけるのが夜からで、午前0時に合わせて行こうって話だけど、親がダメっていう場合はダメだよね』

エレン「ちょっと待ってろ。父さんに確認する」

という訳で親父に相談してみたら「それだけの大人数で行くなら行って来ていいよ」との話になった。

ミカサ「ちょっと早く初詣に行くの?」

エレン「ああ。アルミン達が集まるらしい。一緒に行かないかってさ」

ミカサ「待って。夜出るなら、着物を着る時間が取れない…」

エレン「え? 初詣に着物で行くつもりだったのか?」

ミカサ「うん………」

エレン「あーそっか。ならどうするかなー」

ミカサの母「何時から? 0時に合わせるならあと3時間くらいあるからお母さんも手伝えばいけるわよ。着せてあげるわ」

ミカサ「いいの?」

ミカサの母「一人で支度すると時間かかるものね。いいわよ。今から着替えましょ」

という訳で急遽、テレビは打ち切って着替える事になった。

おおおおお。着物は着なれているのかな? 今度は女装の和装だ。綺麗だなあ。

856進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:05:58 ID:YIeP0RoU0
ミカサ「年に一度、お正月の時だけ着物を着るので」

エレン「へーそうなんだ。オレも着たくなってきたなあ」

ミカサ「お父さんが来ていた着物、まだある?」

ミカサの母「あるわよ。待って。ちょっと出してくる」

という訳で亡くなった親父さんの着物を借りる事になった。

オレとミカサは和服に身を包んで初詣に向かう事になった。

きっと皆、びっくりするだろうなあ。ククク……。

そしていつもの馴染みの神社の前で待つと、そこにはいつものメンバーが全員集まっていた。

あ、マルコの隣にはミーナも一緒に来ている。こっちもそういや出来立てカップルだった。

皆、思い思いの冬服ファッションだけど、着物組はオレとミカサだけだった。

アルミン「着物着てきちゃった! スゴイ! 気合入ってるね!」

エレン「ミカサの家は毎年、正月だけは着物なんだってさ。なあミカサ」

ミカサ「うん」

エレン「皆は普通の恰好だな。お前らも着物着てきたら良かったのに」

アニ「いや、1人じゃ流石に着付けが出来ないよ。演劇部の時は皆でやったけど」

ミカサ「私も母に着せて貰った。アニが着たいなら今からでも手伝うけど」

アニ「いやいや、今年はそこまでしなくていいって」

といいつつ皆でわいわい境内の中でスタンバイだ。時刻はまだ11時30分くらいだ。

ジャンとサシャがいつものように言い合っている。

あ、今日はコニーもこっちに来ているようだ。

コニー「それ酷くねえか? 3か月もパシリ契約って! 一週間くらいでいいじゃん! 許してやれよ。サシャが可哀想だろ」

ジャン「嫌だね。オレの心の傷は根深いんだよ。サシャに「最低」だとか「ぬるい」とか散々言われたからなあ」

サシャ「ううう……本当にその件は御免なさい。私の勘違いでした」

コニー「いや、だからもう、いいじゃん。誤解だって分かったんだし。サシャもサシャで反省しているし。いい加減許してやってもいいと思うけどなー」

と、コニーは度量が大きいようだ。サシャの味方をするらしい。

ジャン「ふん……オレはまだまだ手放す気はねえよ。とことん、サシャにはオレに尽くして貰わないとな」

と言い切っているその様子を遠目で見ていたライナーがぽつりと一言。

ライナー「ジャン、あいつも相当の変態だな」

ベルトルト「ううーん……」

と、言ってちょっとげんなりしている2人だった。

857進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:07:30 ID:YIeP0RoU0
サシャ「はい。尽くします。誠心誠意、尽くさせて貰います……」

と、しみじみ言い出すサシャが何だか可愛かった。あ、ジャンも顔が赤い。

あいつ、言わせたいんだな。

あれ? でもあいつ、Мだと思っていたけどサシャ相手だとSに切り替わるのかな?

多分、そうなんだろうな。サシャを相手にする時とミカサと話す時の顔、あいつ全然違うもんな。

コニー「ジャンをあんまり調子に乗らせない方がいいと思うぞ? サシャ、あんまり酷い要求されたら断っていいんだぜ?」

サシャ「その辺は今のところ大丈夫です。自分が出来ない要求はされてないですし」

ジャン「サシャ、お茶持って来ているか?」

サシャ「あ、はいはい。持参してますよ。どうぞ」

どはあああああ! あいつ、お茶持たせていたのか。用意周到だなオイ!

コニーがポカーンとしている。びっくりだよな。これは。

あ、ちなみにうちの場合はミカサが「自発的」にこっちが何も言わなくても「お茶」は携帯してくれるんだけどな。

うちの彼女の方が上だからな。言っとくけど(どや顔)。

コニー「おま、それ、まるで……アレだろ?! なんか、アレだろ?!」

あ、流石にコニーがツッコミ入れたくてしょうがない顔をしている。

ジャン「ああ? 何がアレだよ。別にいいだろ? (ズズズ)」

お茶を飲みながら待機中だ。ジャン、本当にアレ過ぎるよな。

そして飲み残しはサシャに預けて「残りはサシャが飲んでいいぞ」と言って手渡している。

サシャも遠慮せずに飲んでいる。うは! やべええ!

皆の前でもう、堂々とやる事にしたようだ。ジャンもやるようになったな。

コニー「うわあ……それは流石にオレ、引くわージャン、極悪非道じゃねえか」

ジャン「何のことか分からねえな? オレは「償い」をして貰っているだけだし」

サシャ「そうです。器物を破損したら弁償するのと同じです。心を傷つけたら、誠意を見せるしかないんです」

とサシャも承諾しているようだ。

コニーは頭を抱えていた。頭痛がするらしい。

858進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:08:51 ID:YIeP0RoU0
コニー「サシャが悪い男に引っかかっているような気分だ」

アニ「いや、ような、じゃなくて実際引っかかっているけどね」

アルミン「うん。ジャンって悪い奴だよねー」

と、陰でこそこそ言い合っているアルミン達だった。

でもミカサはニコニコして機嫌がいい。ジャンとサシャを温かく見守っている。

エレン「機嫌がいいな。ミカサ」

ミカサ「うん。サシャがとても嬉しそう」

エレン「分かるのか?」

ミカサ「お茶を貰って飲み終わった時の顔、凄く可愛かった」

と、こっちはこっちでチェックしていたようだ。

さて。適当に雑談していたら時間が経ったのでそろそろ移動開始するか。

今日はいろんな人が大勢、初詣に備えて夜中から待機中だ。

午前0時を回った後、ぞろぞろと団体参拝客が前へ移動し始めた。

御賽銭入れて、手を合わせて2015年の抱負や目標を神様に報告する。

今年はとにかく成績を上げる! そしてミカサとイチャイチャするぞ!

と、いうまあ本音爆発のお参りをして移動すると、コニーがふと立ち止まった。

ん? どうしたんだろ? 急に立ち止まって。

コニー「………………」

何か凄い顔になっているな。皆もコニーの異変に気付いたようだ。

ライナー「どうした? コニー」

コニー「何でここにヒロがいるんだ」

ライナー「え?」

コニー「オレの彼女だよ。あいつ、今日、予定入ってるからオレと初詣無理だって言ってた癖に」

え…………ちょっと待て。それってまさか。

コニー「今、知らん男と歩いてた。あいつ……まさか!」

いかん、コニーがキレかかっている。

コニーが凄い顔で飛び出していった。人ごみをかき分けて彼女のところに向かったようだ。

859進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:10:05 ID:YIeP0RoU0
コニー「ヒロ!」

ヒロ「あ………コニー」

コニー「何でここにいる? 隣の男、誰だよ」

ヒロ「…………………」

隣の男「あれ? 前の彼氏とは切れたんじゃなかったの? コニーは元彼じゃないの?」

ええええええ?!

やばい! 修羅場勃発だ! これ、まずいぞ!

二股かけていたのか。こういうのって生で見るのは初めてだ。

コニーの顔に血の気がない。青い顔のまま立ち尽くしている。

ヒロ「……………コニーは元彼だよ。もう知らない」

コニー「はあ?! 何だよそれ?! オレ、悪い事したのか?!」

ヒロ「クリスマスイブも、クリスマスも、どっちも予定あけてくれなかったでしょ」

コニー「いや、それは部活と学校の用事があったからだし……」

ヒロ「その前の休みもそうだよね。その前も。ずっと電話とメールだけはちゃんと連絡してくれたけど。もう無理。こんなに放置され続けるなら付き合い続ける意味ない。野球部が忙しいのは知ってる。だったらせめて、野球部の用事がない時くらいは私を優先してくれたっていいじゃない」

コニー「いや、だって、オレ、学校に友達もいるし、用事だってあったし……」

ヒロ「ならその用事が終わってから1分でもいいからお互いに会えば良かったじゃん」

そして彼女は冷たく言い放ったんだ。

ヒロ「コニーは一体、何の為に私と付き合ってたの?」

コニー「そんなの、好きだからに決まってるだろ!」

ヒロ「それは「過去」の私であって「今」の私じゃないと思う。もう野球部のマネージャーとでもつきあったら?」

うわあああああこいつ、酷いな。

幾らなんでも言い過ぎだ! コニー、震えているぞ。

コニー「何でそんな事、言うんだよ……」

ヒロ「野球部で頑張っているコニー、好きだったけど。もうあの頃の私じゃない。ごめん。もう連絡しないで」

と、彼女は言い切って別の男と去って行った。

元旦からこれって、きつ過ぎるだろ。コニー、呆然自失だぞ。

コニーが倒れそうになった。それを最初に支えたのは、なんとサシャだった。

860進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:11:42 ID:YIeP0RoU0
サシャ「コニー! しっかりして下さい! コニー!!!」

心配そうに声をかけている。サシャもどうしたらいいか分からないようだ。

サシャ「息してますか? 私の事が分かりますか?! 意識をちゃんとして下さい!」

コニー「あ、ああ……」

そしてやっと我に返ってコニーが力を取り戻した。

コニー「そっか……オレ、クリスマスに学校でタダ飯なんか食ってる場合じゃなかったんだな」

そういえばクリスマスはリヴァイ先生とハンジ先生の結婚披露宴だった。

コニーはタダ飯に釣られてそれに参加していたんだ。

あの行事はあくまで「学校の用事」というか、流石に「他校生」までは来ていなかった披露宴だった。

OBOGは多数来たけれど。あくまで「講談高校」の関係者のみで行った披露宴だったんだ。

つまりそういう場に「他校生」はただの部外者だから。

コニーも気を遣って彼女を呼ぶという事はしなかったんだろう。

でも、リヴァイ先生の事だから、きっと「話せば」「OK」を出したかもしれない。

それをしなかったのは、コニー側の落ち度になるんだろうか。

と、其の時、

ピクシス「ふむ。年々、着物の美女が減っておるのう。残念じゃ」

エルヴィン「全くですね。正月くらいは着物美人を拝みたいところですが」

ハンジ「うひゃー人多いね〜おや? あそこにエレン達がいるよ? リヴァイ!」

リヴァイ「ああ……お前らも来たのか。初詣に」

キース「ん? コニー・スプリンガーの様子が変だが……気分でも悪いのか? 人に酔ったのか?」

と、先生達5人組がこっちに気づいた。

コニーはピクシス先生に縋り付くように駆け寄った。

ピクシス「どうした? コニー。何かあったのか?」

コニーは項垂れて何も言えない状態のようだ。

コニー「すんません。監督。明日、明日1日だけ、休みを下さい」

ピクシス「ふむ? 2日から野球部の練習を再開する予定じゃったが、何か用事が出来たのか?」

コニー「…………たった、今、彼女にフラれました」

ピクシス「!」

一同は驚いた。ピクシス先生の目が急に鋭くなって、

ピクシス「………中学時代の彼女じゃな? 例の娘か」

コニー「はい。初詣で、他の男に乗り換えたところを見ました。もう「彼氏じゃない」ってはっきり宣言されてしまって」

ピクシス「ふむ……」

と、ピクシス先生は困った顔をして一同を見まわした。

861進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:13:30 ID:YIeP0RoU0
ピクシス「ここじゃ話を聞くのに不都合じゃな。リヴァイ、自宅を借りても良いか?」

リヴァイ「構いませんよ。お前らも来るか?」

エレン「コニーが良ければ」

コニー「一緒に居てくれ。頼む」

コニーが頭を下げた。どうやら今から反省会をするようだ。

エルヴィン「では安産祈願は私が代わりに買っておこう。君達は先に戻るといい」

ハンジ「ごめんね。頼んじゃっていい?」

エルヴィン「ああ。後でそっちに合流するから」

ん? 今、何て言った?

ミカサ「今、安産祈願って……」

ピクシス「ああ。ハンジは今、妊娠しておるよ。大体2か月だそうだ」

エレン「えええええええええ?! 早くないですか?!」

ピクシス「リヴァイが一発命中させたんじゃよ。流石じゃの。ククク……」

OH……そっちの腕も一流か。マジか。いや、めでたい事だけどな。

って、リヴァイ先生の事はとりあえず横に置いて。

今はコニーの事だ。一同は全員、リヴァイ先生の自宅にお邪魔する。

フラれたばかりのコニーは皆に縋りたい様だ。

今、ここにいるのはオレとミカサとアルミンとアニとマルコとミーナとジャンとサシャとライナー、ベルトルトだ。

今回はユミルとクリスタだけ欠席だ。多分、ユミルがクリスタの「ナンパ避け」で連れて来なかったか、もしくはあっちは2人だけで初詣に行っているか、だな。

コニーはグズグズに泣いていた。余りの突然の出来事に何も出来ないでいるようだ。

コニー「うううう………」

ピクシス「話の流れを聞いても良いか?」

コニー「はい……」

そしてコニーは静かにお茶を飲みながら話を始めたのだった。

コニー「さっき、初詣に行った帰り、ヒロが別の男と歩いているのを偶然見かけて、問い詰めたら、もう完全にヒロの心が相手の方に行っていました。オレは声をかけた時点で既に「元彼」扱いだったみたいで。電話やメールではやりとりしていたのに。ちゃんと約束通りにしていたのに。ヒロの心はオレから離れていたんです。オレ、別れを切り出されるまで全然気づかなくて…」

ピクシス「ふむ。まあ……難しい問題じゃな。野球と恋愛の両立は、マネージャーと選手でも難しい。それを他校生とここまで続けられたコニーの方が凄いのじゃぞ」

コニー「そうなんですかね」

ピクシス「遠距離恋愛のような状態じゃったろ? 野球部の生活は普段から朝の4時から夜の10時までほぼフル活動じゃからな。彼女と会う時間は相当限られた筈じゃ」

コニー「ですね。でもどうやら、クリスマスイブとクリスマス、両方の予定を彼女に「合わせなかった」のが原因なんじゃないかって思います。オレ、リヴァイ先生の披露宴の方に出ちゃったし」

リヴァイ「ん? 彼女も連れてくれば良かったのに。別に他校生の入場は禁止してなかったぞ」

コニー「いや、でも学校の行事だし、彼女の方が気遣うんじゃないかって、思ったんですよ。其の時は」

ハンジ「ん〜人によるかな? 私はタダ飯とタダ酒飲めるなら何処でもついていくけどね」

リヴァイ「だろうな。ハンジはその辺、あまり人見知りもしない性格だしな」

862進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:15:48 ID:YIeP0RoU0
コニー「はい。彼女、繊細な部分もあったし、その、慣れない場所に連れてくるのも何だしと思っていたんで、其の時はただ「学校の行事があるから」って事で会うのを断ったんです。でもあいつは「終わってから1分でもいいから会えば良かった」って言ってて。今、思えばそうですよね。オレ、馬鹿だからそれに気づかなくて、あいつの「不満のサイン」を見逃してしまった」

ピクシス「ずっかけてしまったんじゃな。付き合いが慣れてくるとよくある事じゃ」

コニー「ですよね。オレ、あいつの事、だんだん「雑」に扱っていたのかもしれない……」

ピクシス「反省は十分に出来ておるようじゃな。だとしたらそれはもう、コニーにとって「必要」な経験だったのじゃよ。別れを受け入れろ。その上で新しい女子を見つけなさい」

コニー「いや、暫くは無理です。オレ、野球に打ち込みます」

ピクシス「ダメじゃ。コニーのような「ノリノリ」タイプは精神に大きくプレイが作用される。お主を支えてくれる「女」は居た方がいい。コニーはモテる方じゃろ? 大丈夫じゃ。すぐ新しい女子は見つかるよ」

コニー「でも………オレ………」

ピクシス「リヴァイとハンジの劇をお主も観ておったじゃろ? 時が経てば自然と「笑い話」に出来る時が必ず来るんじゃよ。いい経験をさせて貰ったと思って感謝するのじゃ」

コニー「ううううう………!」

コニーが泣いていた。号泣していた。

その辛そうな表情をジャンも眺めている。

あいつにとっては昨日の出来事のようなもんだもんな。

コニーの辛さを一番理解出来るのは恐らくジャンだろう。

コニー「明日、1日だけ休んでもいいですか?」

ピクシス「構わんよ。腹でも当たった事にしておく。ライナー、ベルトルトも口を合わせてくれ」

ライナー「分かりました」

ベルトルト「了解です」

という訳でコニーはそこで一通り泣いて先に一人で帰ろうとして、

そこにサシャが駆け寄った。

サシャ「コニー、あの………明日、私、スケジュール空けましょうか?」

コニー「え……?」

サシャ「ご飯、食べに行きましょう! あの、奢りますから! ちょっとだけ!」

ジャン「!」

ジャンの顔が強張った。あいつ、まさかサシャが自分からコニーに向かうとは思わなかったみたいだな。

ジャン「…………オレも何か奢ってやろうか? フラれる辛さはオレも分かるしな」

コニー「ありがとう。でも、いいよ。今は1人になりてえんだ。落ち着いてからでいい」

と、コニーはその優しさを拒絶して一人で先に帰って行った。

その様子をサシャは心配そうに見つめている。

863進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:17:41 ID:YIeP0RoU0
エルヴィン先生はずっと黙り続けていて、コニーの様子を見ていた。

ピクシス先生が宥めている間も何も話さなかったのが奇妙だった。

何か、意味深に注意深く観察しているような。そんな空気だった。

オレ達は暫く何も言えない状態で客間に正座して座っていた。

この人数でも全員、部屋に入る和室の客間部屋だからよく考えなくてもリヴァイ先生の家って広いよな。

エルヴィン「ふむ………」

エルヴィン先生が考え込んでいる。何か嫌な予感しかしないんだが。

でもそれを聞くのが怖くてオレは何も言わなかった。

ミカサもオレと似たような顔をしているようだ。

そしてとりあえずオレ達は夜中だからタクシーで家まで帰った。

時刻は夜の2時過ぎだった。結構遅くなってしまったな。

親父達は意外とまだ起きていた。もしかしたら待っていてくれたのかな?

グリシャ「おかえり。人が多かったのかな?」

エレン「ああ、初詣だしな。夜は多かったよ。やっぱり」

グリシャ「そうか。体が冷えているだろう。風呂でも入って温まってから寝なさい」

ミカサ「はい」

という訳でオレ達は一緒に風呂に入る事にした。

交際が親父に正式に認められてからは、オレとミカサは一緒に風呂に入る事を許可されたから、時間が合えば一緒に入っていた。

でも風呂の中でミカサが微妙な顔をしていた。だよなあ。オレも今、同じ事を思ってるぜ。

ミカサ「サシャ、コニーに真っ先に駆け寄った」

エレン「あーまあなあ」

ミカサ「まるで、溺れたハンジ先生を助けようとしたリヴァイ先生みたいだった」

エレン「だよなあ」

ミカサ「もしかして、今のサシャは心の中に「2人の男性」がいるのかしら?」

エレン「ジャン自身がそうだった訳だしな。十分あり得ると思うぜ」

ミカサ「……………そうね」

ミカサが湯船の中で困った顔をしていた。向かい合ってお湯で遊ぶ。

864進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:19:10 ID:YIeP0RoU0
ミカサ「サシャの幸せを考えれば、どちらがサシャの相手として相応しいのかしら」

エレン「何とも言えねえなあ。オレは……」

外野が口出す事じゃねえしな。こればかりは。

ミカサ「………コニーの彼女の言い分も分からなくはない」

エレン「ん?」

ミカサ「私とエレンは、こうして一緒に風呂だって入れるし、寝るのも一緒の布団で寝られるし、ご飯も一緒だし。学校も一緒。部活も同じ。一緒にいる時間は他のカップルに比べると段違いに多いと思う」

エレン「あーそう言われたらそうなるな」

ミカサ「その「時間」が減っていけば不安になると思う。例え1分でもいいから「会いたい」と思うのは女としては当然の「思い」だと思う」

エレン「1分でいいのかよ」

ミカサ「もっと言うなら30秒でも構わない。会えないなら、会いに行きたい。それが「恋」なのでは?」

エレン「………それ考えたらオレ達、すげえ贅沢な恋人同士なのかもしれねえな」

ミカサ「そうね。それは私も思った。今、こうしている瞬間の「価値」を私は知るべきだったと思う」

エレン「そうだな。オレもそう思う。コニーには悪いけど。オレ、すげえ思ったよ」

こうやってミカサと一緒に居られる「時間」があるって事はすげえ「贅沢」なんだ。

というか、一緒に暮らしている時点でアドバンテージあり過ぎるよな。ある意味では。

リヴァイ先生とハンジ先生ですら、「同じマンション」だったし。

リヴァイ先生達より更に「近い」関係なんだよな。オレ達って。

そう思ったら急にミカサと「したく」なっちまった。

風呂の中でヤる訳にもいかんけど。なんか急にキスしたくなってきて。

ミカサを見つめていたら、ミカサもその気っぽい表情で見つめてくる。

エレン「………生理の予定日、明日だったっけ?」

ミカサ「うん。予定では。なので今日は、やろうと思えば出来る日」

限りなく「安全日」ではある。だったら、もういいかな。

姫初めって言葉もあるくらいだし。舞台も終わったし。

リヴァイ先生もテスト明けにやっちまった訳だし。タイミングとしてはベストかもしれない。

エレン「ミカサ、もう眠いか?」

ミカサ「全然……今日の事があったせいで何か、興奮して逆に眠れない気がする」

エレン「だよな。オレもだよ。コニーの事、すげえ可哀想だったもんな」

ミカサ「うん……」

エレン「こんな時に不謹慎かもしれんけど……オレ、今日、ミカサと最後までやってみたい」

ミカサ「…………うん。私も」

エレン「オレの部屋でいいか? 勿論、ゴムはつけてやるからさ」

ミカサ「うん。そうしよう」

そしてオレ達は身体を拭いて、服を着て部屋に戻った。

865進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:21:16 ID:YIeP0RoU0
夜中の3時前だけど。まだ眠気が来ねえ。

何だろう。この不思議な感覚は。

人の別れを見た後だってのに。不謹慎だって詰られそうだけど。

オレ、ミカサとすげえ繋がりたいって思った。

いや、人の別れを見たからこそ、離れたくないって思ったのかもしれないけど。

とにかくこの日、20015年の1月1日。元旦にオレはミカサとの一夜を決意した。

今まではアレだ。ゴム手袋で変態プレイとかしちまったけど。

今回は普通に出来る。だからそういう方向は今回は封印する。

ミカサを自分の部屋の布団の上に寝かせてお互いに両目を閉じる。

重ねていく。唇を。体温を。

温かい。何度キスしてもこの「温もり」の幸せには勝てない気がする。

テクニックとかはまだまだ稚拙かもしれない。

だからこそ、丁寧にミカサの反応を観察するんだ。

ミカサ「ん………」

静かに始めていく。リヴァイ先生に習った事を思い出しながら。

服の上から1時間以上、触る。

服は半脱ぎ。ええっと、後はなんだっけ?

いかん。忘れた。まあいいか。「適当」で。

もうミカサの体を触っているとだんだんマニュアルがどうでも良くなってくる。

いや、自分勝手だと自分でも「思う」んだが、何か「誘導」されるんだよな。

こう………ミカサに吸い寄せられるような「感覚」があるんだ。

唇が可愛い。鼻だって、すっとまっすぐ伸びて綺麗だ。

ニキビねえし。肌も艶々。このレベルをずっと保っているミカサの努力が伺える。

ミカサは暇があれば必ず「顔面マッサージ」をして「リンパの流れ」を良くしている。

それをすると、顔の張りが違うそうだ。そういう「マメ」な努力をコツコツしている。

いつもありがとうな。ミカサ。

そういう「まめまめしい」ミカサが本当に好きだ。オレは。

ミカサ「んー……」

舌を絡めると、唾液が漏れていく。糸がひくくらい、ねちっこいキスもする。

ふわふわのキスもするし、噛みつくようなキスもする。

もう、全部だ。ミカサとだったらいろんなキスが出来るしな。

ミカサ「ああ………エレン、もっと触って」

エレン「この辺とか?」

乳首を狙い撃ちする。もう固い。やっぱりミカサは「エッチ」な体してんな。

キスだけで感じてこんな風に変わっちまう。

866進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:22:48 ID:YIeP0RoU0
ミカサ「ああ……」

服の上から触っても分かる。乳首の反応が。

風呂上りはブラジャーないからやりやすい。ふわふわをどんどん楽しんでいく。

ごくり。1回ツバを飲み込む。

何か腹の底からぐるるる……って唸るような声が聞こえてきた気がした。

オレの中の「何か」が「飢えている」のが分かる。

でもまだ解放しない。まだ早い。

あいつに「バトンタッチ」する前に「理性」の方のオレでミカサとのエッチを楽しむ。

「本能」のオレはメインディッシュだ。今はまだ、前菜を食うつもりでゆっくり食していく。

バイキングの時もそうだった。野菜を先に食べないと体に悪いからな。

いきなりがっつくのは、マナーがなってないだろうし。

ミカサの乳房を服の上から丁寧に愛撫していく。するとミカサがだんだんうっとりした表情で天井を見上げた。

ミカサ。視線を逸らすな。今はオレを見てくれ。

エレン「ミカサ……オレを見ろ」

ミカサ「ん……」

頷いてくれた。こっちを見た。

ミカサの瞳の中にオレがいる。ミカサから見た時にも写るのかな。

不思議だ。ミカサの目が柔らかい。

笑っているのか。そうか。ミカサの目が笑っているんだ。

幸せだと思った。今、この瞬間が。壊したくない。ずっとこのままでいたい。

ミカサ「ああ……」

エレン「ミカサ……好きだ。愛している」

ミカサ「私も……愛してる」

お互いに自然と言葉が溢れて、もう1回キスをした。

目を閉じて、手を握り合って。何だろうな。この感じ。

デートした時にがっついた時のような感じじゃねえ。

生理の時に血に触れた時ともまた違う。

電話でエッチした時とも、また違う。

このセックスは「今まで」とは「違う」って事しか分からなかった。

うまく言えないけど。これってもしかして、リヴァイ先生の言っていた「スロー」の方のやり方なのかな。

丁寧に丁寧に薄い皮を剥いでいくような感じだ。

バームクーヘンを1枚ずつ剥いて食べる様な感覚に近い。

ミカサ「ん……エレン………ああ……」

キスを続ける。ミカサの服の上からでも全身にキスをする。

特に首筋にキスをすると、身を捩って可愛い声を出してくれるようだ。

この時、ふと思い出したのはリヴァイ先生とハンジ先生が歌っていた歌の中の一曲だ。

☆矢の曲なんだけど。後で歌詞を確認して凄くいい歌だなって思ったんだ。

867進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:24:19 ID:YIeP0RoU0
和訳が大体こんな感じの曲だったけど。


When I look into your eyes I realize
(あなたの瞳を見つめて知りました)

That my love for you will never ever die
(あなたへの愛が永遠に死なないと)

Together for the rest of our lives
(2人の命が続く限り)

I always want you here by my side
(あなたにはわたしの隣にいて欲しい)


何も言わず抱きしめた

貴方の優しさを

忘れる日はないの

You are my reason to be
(あなたはわたしの生きる理由なのです)

You are a dream come true
(あなたは目の前に現れた夢)

You are everything to me
(あなたはわたしのすべて)

You are so beautiful
(あなたはとても美しい)

You are my reason to be
(あなたはわたしの生きる理由なのです)



和訳を読んだ瞬間、何故この曲を2人が選んだのか意味を理解した。

これはリヴァイ先生から見たハンジ先生であり、またハンジ先生から見たリヴァイ先生でもある。

そしてオレにとっても。ミカサから見ても同じかもしれない。

You are my reason to beというフレーズが凄く共感出来るんだ。

868進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:50:12 ID:YIeP0RoU0
As I lay here all alone in my bed
(わたしが1人ベッドで眠っていると)

The thoughts of you keep runnin' through my head
(ふと、あなたのことが頭をよぎります)

When you're here the time goes by so fast
(あなたといる「今」はとても早く過ぎ去り)

The present disappears into the past
(遠い過去へ消えてゆきます)


ミカサと出会ってから今日の日まであっという間だった。

「今日」という日もいつか「遠い過去」へ消えていく事になるだろう。

遠い「未来」から見たらきっと。


Of all the people in the Universe
(この宇宙に住む多くの人達の中)

Who would ever guess I'd find you first
(すぐにあなたに出会えると誰が思ったでしょうか?)

I'm so lucky that you're here with me
(あなたの傍にいること、それがわたしの幸せなのです)

You are my reason to be
(あなたはわたしの生きる理由なのです)



You are a dream come true
(あなたは目の前に現れた夢)

You are everything to me
(あなたはわたしのすべて)

You are so beautiful
(あなたはとても美しい)

You are my reason to be
(あなたはわたしの生きる理由なのです)



I never knew, how good it could be
(わたしを愛してくれるあなたに会うまでは)

Till I had you you loving me
(人生がこんなに素敵だとは知りませんでした)


You are uh You are so beautiful to me

You are everything to me

You are my reason to be...


ミカサが大きく身を捩り始めた。辛そうだ。

ミカサ「あああ……エレン、ん……あ……」

声が漏れるけど、オレは唇を塞いで打ち消した。

もう多少聞かれてもいいや。夜中だけど。もう知らん。

タオル出してくるのが面倒臭かった。

ずっとキスで口を塞いでやれば声漏れも押さえられる筈だ。

ミカサ「ん……ん……ん……」

ミカサの口の中が気持ちいい。吐息が漏れる度に「二酸化炭素」を循環する感覚がある。

吸っていいのか知らんけど。まあいいや。死にはしない。

869進撃の名無し:2014/09/02(火) 01:15:11 ID:YIeP0RoU0
服の上から乳首を擦り続ける。柔らかい刺激を続けていくとだんだんミカサの身の捩り方が激しくなってきた。

ミカサ「あ…あ……エレン、もう……早く、下を触って……!」

おねだりがきた。脱がせていいのかな?

オレはミカサの服をゆっくり剥いでいった。オレ自身も、全部脱いで布団をかぶりなおした。

ミカサは濡れるのが早いみたいだから、リヴァイ先生がいう程丁寧な前戯じゃなくてもいけそうではあるが。

でも、オレとしては濡れるのが早いからこそ、焦らしてやってみたい気持ちもある。

顔を下げてミカサのあそこに顔を近づけてみる。

濡れていた。すげえビチョビチョだ。やっぱり濡れるの早いんだな。

ぬるぬるするそこに鼻を近づけて、舌の先で弄ってみる。

ミカサ「んー……」

ミカサが声を漏らさないように堪えているようだ。

今日はタオル噛ませてないからな。だから余計にしんどいんだろうな。

ゾクゾクしてきた。やっぱり声は聞いた方が興奮の度合いが増す気がする。

ミカサは困っているだろうなと思いつつ、オレは太ももを触りながら、ミカサのあそこに直接、愛撫を仕掛けた。

舌を上下に動かして、丁寧につついたり、回したり。

その度にミカサの体の痙攣が起きて感じているのが伝わって来た。

ミカサ「あ……あ! あ! あ!」

短い喘ぎ声が続いていく。親父達にバレてるだろうけどもういいや。

親父達も今頃、部屋でヤッてるかもしれんし。あとついでに言うなら親父の寝室は「防音」だ。

ラブホテルもびっくりな完全防音の部屋の夫婦部屋だから、気遣わないでセックス出来る仕様になっている。

……………今度、親父達がいない時にこっそり部屋借りてミカサとやろうかな。

とか下らない事を考えつつ、オレはミカサのあそこを丁寧に愛撫し続けた。

ミカサ「ああ……あああ……ん……んーはあ……エレン、エレン……もう、いきそう……」

イキそうだという話だったので1回止めた。

ミカサ「ええええ……何で止めるの?」

エレン「あーちょい休憩」

ミカサ(しょぼーん)

あ、今、(´・ω・`)の顔になった。超可愛い。

何だよ。そんなに一気にイクところまでイキたかったのか。せっかちだな。

870進撃の名無し:2014/09/02(火) 01:34:41 ID:YIeP0RoU0
エレン「そんな可愛い顔するなよ」

ミカサ「だあって……」

エレン「一気にイク方が好みなのか?」

ミカサ「かもしれない」

エレン「じゃあ次はイカせる。指、入れてみるぞ」

ミカサ「うん……」

思い出した。指は3本入るようになってから挿入だったな。

1本目。余裕だ。2本目。ちょっときつそうだ。ミカサが一瞬、目を細めた。

まだ早いようだ。だろうな。まだまだこれからだ。

指を中に入れたり出したりをそーっと繰り返しながら、ミカサの気持ちいい部分を指の腹で擦っていく。

ミカサ「ああ………あう……ん……うう……」

唇は太ももの内側をなぞって舐めていく。左手は尻の方だ。

優しく撫でて3点同時にやってみる。するとミカサのバウンドが激しくなってきた。

ミカサ「あ……や……ああ……あああああ!」

バシ!

いってー!

ミカサの膝がオレの体に当たっちまった!

無意識だったみたいだけど。善がり過ぎて事故が起きてしまった。

ミカサ「! 大丈夫エレン?!」

ミカサが慌てている。いや、このくらいは大丈夫だけど。

ミカサ「抑えていたのに……ううう」

そう言えば「うっかり怪我させなくない」って以前言ってたな。

そっか。善がり過ぎた時の反動で怪我させたくないから、あの時に渋っていたんだな。

871進撃の名無し:2014/09/02(火) 01:44:27 ID:YIeP0RoU0
ミカサ「エレン、やっぱり私を拘束して」

エレン「は?」

ミカサ「やっぱり怖い。もし善がり過ぎてエレンを蹴ってしまったらと思うと……」

エレン「いや、別に蹴っても構わねえけど」

ミカサ「でも骨を折ってしまったら……」

エレン「折れても別にいいよ」

ミカサ「私が嫌! 絶対いや! 私を縛って! エレン!」

うううーん。初めての挿入なのにいいのか? それじゃまるでSMじゃねえか。

どうしたらいいんだ。コレ。

ミカサ「エレンに万が一の事があってはいけない。縄でも何でもいい。エレン、私を縛って」

エレン「縄あったかなあ?」

一度布団から出て、部屋の中を探してみるけど流石に「縄」は見つからなかった。

エレン「あーなわとび用のならあったけど、これでいいのか?」

ミカサ「それで構わない。それで私の力を封じ込めて欲しい」

無茶苦茶だなあ。本当に。

うーん。こういう時は、発想を逆転させた方がいいかもしれんな。

エレン「あえて暴れて貰おうかな」

ミカサ「え?」

エレン「ミカサが頑張ればいいんだよ。騎乗位、やってみっか」

という訳でポジションチェンジだ。頑張ってみよう。

エレン「ほら。ミカサが上に乗ってみろ。オレはミカサのおっぱいを下から拝んで楽しむからさ」

ミカサ「う、うん……(ポッ)」

872進撃の名無し:2014/09/02(火) 01:56:34 ID:YIeP0RoU0
挿入はまだしないけど。ミカサに乗って貰った。

うひょーいい眺めだな。マーガレット先輩の家で体位のモデルした時の事を思い出すぜ。

おっぱい揉み揉みさせて貰おうか。下からだけど。

ミカサ「あ……エレン……やん……」

えへへへ〜いいなコレ! アングル最高だな!

ミカサ「や……乳首、や……」

乳首を下から掬うように何度も刺激を与えるとミカサの顎が上下に揺れた。

ガクンガクンしているぜ。おもちゃみてえに。

ミカサ「あああ……ああ……ん……やあ……やああん」

乳首だけでイケるかなこれ? 意外といけそうな気配だ。

ミカサ「や……や……ああ……」

あ、もう力が入らなくなって倒れて来た。騎乗位でいられなくなったみたいだ。

背中に指を添わせて耳元に唇を寄せて。暫くそのまま撫でていた。

尻の方にも手を寄せて。後ろから尻の穴にもちょっとだけ触ってみる。

ミカサ「いやああ……直接はらめええ……」

エレン「ああ、すまん。別に中には入れない。悪い悪い」

ミカサ「…………入れないの?」

エレン「え?」

ミカサ「入れるかと思った」

エレン「いや、今、ダメって言っただろ」

ミカサ「そう言った方がいいのかと思って」

同人誌の読み過ぎだ! ミカサ、誘惑テクニックを磨き過ぎ!

エレン「いや、そこまでざーとらしくしなくていいからさ」

ミカサ「そうなの?」

エレン「オレ、あんまり「わざとらしい」演技が苦手なんだよ。たまにクリスタがやり過ぎているところ見て引いた事あったし」

ミカサ「そうなの? エレンはクリスタが苦手なの?」

エレン「ん〜女としては、だな。アルミンは逆に好きみたいだけど」

ミカサ「そう……良かった」

エレン「だからミカサもあんまり、マニュアルばっかり読まなくていいからな。素直が一番だろ? こういうのは」

ミカサ「うん……じゃあ、入れて」

エレン「へ?」

ミカサ「お尻、触ってもいい。正直、あの時、開発されるような変な感覚があって、新しい自分に目覚めてしまった。責任取って欲しい」

エレン「えええええそうだったのか?!」

873進撃の名無し:2014/09/02(火) 03:02:25 ID:YIeP0RoU0
ミカサ「責任取って欲しい。責任取って欲しい。責任取って欲しい」

エレン「何回も言うなよ。怖いから! 分かった! 責任取るから!!!」

あーでも、ゴム手袋ここにねえんだよな。1回下に降りるの面倒だなー。

ミカサ「………直接触ったらやっぱり危ない?」

エレン「粘膜を傷つける恐れがあるんだよ。爪の中に雑菌あるからな。それが直接体の中に入ったらダメなんだ」

病院とかでも直腸の検査をする時は必ずゴム手袋してからするからな。

だからそういうプレイをする時も「雑菌」に気を付けるのは常識らしい。

ミカサ「そうなのね。だったら今日は諦める。また今度で」

エレン「そうだな。それがいい。また今度でイイよ」

今日は別に尻を使う必要性がないからな。

ミカサの「子宮」に入れられるならそっちの方が断然いい。

尻はあくまで「予備」みたいなもんだ。そっちに触れない時の為の。

だから今日はこっちに専念する。尻の方を通過してもっと前の方に指を届かせる。

ミカサ「あう……ん……うあ……はあ」

あそこを擦りながらミカサの乳首に吸い付いてみる。

おっぱいは出ないけど。オレも昔はこんな風に母親に吸い付いていたんだろうか?

赤ちゃんの時の記憶はないけど。でも、その時の事をもしも「覚えていたら」きっと比べられただろうな。

いつか遠い未来、ミカサが母乳出るようになったら吸い付いて飲んでみたいな。

とか言ったら変態の烙印を押されそうで怖いけどな。

………もう手遅れか。うん。

ミカサ「エレン……エレン……ああ……あああああ!」

ミカサがオレの上に乗ったまま一度イッたみたいだ。

がくんと、急に体の力が抜けたような衝撃がきた。

874進撃の名無し:2014/09/02(火) 03:06:49 ID:YIeP0RoU0
とりあえず1回目。カウント間違えないようにしないと(笑)。
姫初めエッチで初エッチになりました。キリがいいからいいよね?

ではまた次回ノシ

875進撃の名無し:2014/09/02(火) 10:14:15 ID:YIeP0RoU0
ミカサ「はあ…はあ…はあ……はー……(がくり)」

エレン「1回イッたみたいだな」

ミカサ「イッたあ………(ふにゃあ)」

ぶふー! なんだその間抜けな顔は!

やべえええええ! なんかもう、こっちも滾ってくる!

んー! ぶちゅうううっと乱暴なキスをして、オレは体勢を入れ替えた。

騎乗位でいこうかなって思ったけど気が変わった。やっぱり正常位でいこう。

ミカサのあそこは一度イカセたら大分指が入りやすくなった。2本入れても痛がらない。

3本入れてもそこまで抵抗しない。やっぱり先に一度女の方をイカせた方が挿入しやすそうだな。

そこを確認した後、オレは布団から出て、バスタオルやコンドームを用意した。

ミカサの下にバスタオルを敷いておく。コンドームのつけ方は個人的に何度も練習したから大丈夫だ。

手早く装着を済ませて、コンドームの上に少しだけローションを塗り付ける。

エレン「ミカサ。痛くなったらすぐ言えよ」

ミカサ「うん………」

準備を整えてからミカサの上に覆い被さった。

尻を支えながら少しずつ挿入を試みる。

狭い。やっぱり女の体の中は狭いんだな。

でも少しずつ、本当に少しずつ前に進む。ミカサの表情を注意深く観察しながら。

ミカサの胸に食いついてみた。乳首に刺激を与えたら、子宮の入り口が一緒に動いた。

脈動が伝わって来た。それに乗せるようにして、また一歩。奥へ行く。

ミカサ「あああ……あああ………」

苦しそうだ。出来るだけ痛い思いはさせたくねえけど。

1回止めるべきか? でもミカサは首を左右に振った。

ミカサ「一思いに、一気に、いって!!」

そうか。ならもう遠慮はしねえ。押し進める!



ぐっ………!



完全に入った。今、この瞬間、オレとミカサは繋がった。

876進撃の名無し:2014/09/02(火) 10:22:49 ID:YIeP0RoU0


ドクドクドクドクドク……………


心臓が高鳴る。すげええ。なんだこの感動は。

やった。オレ、入ったんだ。コンドーム越しだけど。すげえ温かい。

急に涙が出て来た。自然と零れてきたんだ。

ミカサも泣いていた。感動を一緒に分かち合っているんだ。

暫くそのままで動けなかった。お互いに何も言えない。

そして10分くらい動けないでいたら、ミカサから言い出した。

ミカサ「動かないの?」

エレン「動いていいのか?」

ミカサ「動かないとセックスにならないような?」

エレン「まあ、そうなんだけどさ。ククク………」

なんかもう、浮かれ過ぎてやばい。

エレン「痛くねえか?」

ミカサ「予想していたような痛みはない。全く痛くない訳じゃないけど。生理痛よりは痛くない」

エレン「そっか。女の人って生理痛で痛みに慣れているのかな」

ミカサ「そうだと思う。だから動いていい」

エレン「んじゃ、ゆっくりいくぞ………」

腰を前後に振ってみる。すると、ミカサがまたあの「ふにゃ顔」に変わった。

ミカサ「ああん………」

かわええ……滅茶苦茶可愛いな。ミカサの「ふにゃ顔」は。

普段が「キリッ顔」の方が多いから気合抜けているとすげえギャップがある。

ああ。だからなのかな。オレ、ミカサには「リラックス」して欲しいのかもしれん。

そういう「寛いでいる時のミカサ」を見たくてしょうがなかったのかな。

だからゲームで誘惑して、サボらせたり、家事仕事を休ませたかったのかも。

877進撃の名無し:2014/09/02(火) 10:33:44 ID:YIeP0RoU0
ミカサ「ああ……ああ……エレン……もっと、もっと奥に突いて……」

エレン「ああ……どんどん突いてやる」

ミカサとオレのあそこが上手い具合にしっくりくる感覚がある。

凸凹が噛みあっている感じだ。正常位で良かったみたいだ。

体位の参考書には「女の子宮の位置によってベストな体位が変わる」とあったから、心配していたんだよな。

正常位でそこまで痛がらないって事は、恐らくミカサは「上つき」タイプの女なんだろう。

もし「下つき」タイプだった場合はバックからの挿入がお勧めとあったから、かえって良かった。

バックは挿入が他の体位より難しいらしいとあったから出来るなら「正常位」もしくは「騎乗位」で挑戦したかったんだ。

腰の前後の振りを徐々に大きくしていく。まだまだこっちはHP残ってるからな。

とか油断していたら、急にぐっと吸い込まれる感覚が来た。

う……なんだこれ?! ああ……まずい。ミカサの身体が気持ち良すぎて、まずい。

入れたばかりなのにイクなんて、恥ずかしい!!

一旦、休憩しよう。早漏過ぎるのは良くねえ。ふー。

ミカサ「エレンの意地悪……」

エレン「いや、今、オレ、イクところまでイキそうだったから1回止めたんだよ」

ミカサ「? イッていいのでは?」

エレン「早過ぎるだろ! もうちょっと待て。この感じをもっと楽しみたいんだよ」

このふわふわで幸せな時間を引き延ばしたい。一気に味わうのは勿体ないだろ。

ミカサ「ふふ……それもそうかも」

エレン「だろ? だから休憩を挟みながらでいいんだよ」

ミカサ「うん……」

幸せなセックスだった。

878進撃の名無し:2014/09/02(火) 10:47:54 ID:YIeP0RoU0
もうずっとこのまま繋がっていたい気持ちになった。

でもそういう訳にもいかないし、何よりオレも「絶頂」に行きたい。

山の山頂に辿り着くような。あの達成感を味わいたい。

小刻みに腰を前後に振る。ミカサの表情がもっと「ふにゃふにゃ」になってきた。

顔に力が入ってない。普段、どれだけ「気合」を入れているのか良く分かる。

もう完全に「別人」だ。今のミカサの顔を知っているのは「オレ」だけだろう。

そう思うと急に興奮が増した。今、オレ、ミカサを独占してんだよな。

涎が零れている。目が虚ろで、涙を拭う気力もなくて。

声を押さえる余裕もない。善がり続けるミカサをオレは責め続けた。

腰の動きと一緒に乳首も当然、弄っている。ちょっと強めに捩じるとまた、子宮が疼く感覚が伝わってきた。

ああ。口でされている時の感覚に近いけど、それを更に「強化」したような気持ち良さだ。

吸い込まれる。ミカサの中に。もう我慢出来ない。

オレの方もそろそろ限界に近付いてきた。

一気にイク。腰の速度を加速する。弓なりに、ミカサの背中が反った。


ミカサ「ああああああ………!」


コンドームの中に出した瞬間、すげえ吸い付きがきた。

ミカサもほぼ同時にイッてくれたようだ。2回目の「イク」感覚はさっきより激しかったみたいだ。

終わった後、気怠い感じがきた。眠い。

繋がったまま、眠ってしまいたいけど。どうしようかな。

ミカサが起きない。あ、堕ちたみたいだな。スースー寝息が聞こえてきた。

…………抜くの面倒だからこのままでいいか。

オレは半眼の自分に甘えながらそのまま目を閉じた。

ミカサの股の間から赤い鮮血が零れている事に気づかないまま、眠ってしまった。

だから朝、目が覚めた時にそれに気づいてオレは「ああああ?!」と叫んでしまった。

879進撃の名無し:2014/09/02(火) 11:04:45 ID:YIeP0RoU0
ミカサ「どうしたの? (むにゃむにゃ)」

エレン「血が……」

ミカサ「あ……」

エレン「すまん。すぐ気づいて洗うべきだった。時間経ったら落ちにくいよな」

ミカサ「大丈夫。こっそり落としてくる」

と、ミカサがささっと着替えて後始末をしようとするけど、

エレン「いや、オレがやるから! やり方教えてくれればやるから!」

ミカサ「そう? じゃあ2人で洗おう」

という訳でおばさん達が起きてこないうちにこっそり後始末をした。

結構、血が出てたんだな。最中は気づかなかったけど。

所謂「処女膜」が破れると大体皆、こうなるらしいけど。

ミカサを「女」にしたんだよな。オレ。

オレも「男」になった訳だけど。

なんか不思議な感覚だった。越える前は「ドキドキ」が凄かったけど。

越えてみたら意外と「なーんだ」って感触が強い。いや、勿論楽しかったけどな。

でも思っていた以上に「大変な事」ではなかった。なんていうか「えい!」って一度乗り越えてしまえば、以後は普通に出来る様な感じだ。

出来なかったバク転が、コツを掴んで出来るようになった感覚かな?

それとも、食べられたかった苦手な食べ物を食えるようになった感じかな?

まあ、何でもいいけどな。とにかくオレは一歩、「大人」になったんだ。

階段を一段、登ったんだ。ミカサと一緒に。

そう考えると自然と笑みが零れて、ミカサを労わりたい気持ちになった。

ミカサ「ん?」

エレン「朝飯はオレが適当に作るよ。今日くらい休め」

ミカサ「いいの?」

エレン「こういう時くらい、オレにさせろよ。いいだろ? ま、下手くそな飯だけどさ」

ミカサ「ううん。任せる」

なんかもう、既に新婚さんみたいな生活だけどな。オレ達。

一緒に暮らせるアドバンテージに感謝するしかねえ。

きっと他の恋人たちより贅沢な関係なんだ。その事に、心から感謝しよう。

そう思いながらオレは、冷蔵庫を開けて卵やら何やら取り出して朝飯を作った。

卵焼きやサラダ。味噌汁。ご飯は冷蔵庫の冷や飯があったからそれを温めて食べる。

幸せだと思った。本当に。だからこそ、壊したくないと思った。

コニーの事は凄く残念だったけど。でもあいつはモテるからきっと大丈夫だ。

これからどうなるかは分からねえけど。でも、あんまり悲観する事はねえよな。

他にイイ子は沢山いるし。何よりサシャが傍にいる。

三角関係になる可能性はあるけど。でも、それはそれで仕方がないと思う。

オレとミカサとジャンもある意味では三角関係だった訳だし。

リヴァイ先生とハンジ先生とモブリット先生もそうだった。

加えて言うなら、リヴァイ先生とハンジ先生とエルヴィン先生だってそうだった。

でも落ち着くところに落ち着いた。時がくればきっと、そうなるから。

だから、立ち向かうしかねえと思った。「自分自身の心」に。

サシャはそういう意味ではまだ「自分の気持ち」を正面から見れない状態みたいだけど。

根が「臆病」なのかもしれないな。気持ちは分からなくはねえけど。

880進撃の名無し:2014/09/02(火) 11:20:53 ID:YIeP0RoU0
ミカサ「修学旅行……」

エレン「ん?」

ミカサ「修学旅行の時は気をつけないといけない」

エレン「ん? 何で?」

ミカサ「計算通りで行けば、性欲が高まる時期になる」

エレン「マジか! いや、そうか」

ううーん。重なっちまうのか。それはまずいなあ。

でも修学旅行を休む訳にもいかんしな。そこはどうにかしないと。

ミカサ「うん。1月14日から18日まで、危ない時期なのでドンピシャ」

エレン「そっか…………分かった。覚悟しておく」

と、未来を案じながら2人で朝飯を食っていると、

ミカサ「サシャの事、だけじゃないけど」

エレン「ん?」

ミカサ「私はむしろ、アニの方が心配」

エレン「ん? 何で? え? まさか、アニも好きな人がいるのか?」

ミカサ「ううーん。確証はないけれど。もしかしたらっていうのは、ある」

エレン「え? 誰だよ。まさかジャンとかじゃねえよな?」

ミカサ「いや、ジャンではなく………………」

エレン「あ、確証がないなら話さなくていいや。すまん。聞いたオレが悪かった」

ミカサ「いえ、可能性としては五分五分くらいだと思うので、一応話しておきたい」

エレン「…………誰だろ?」

思いつく人物が出てこない。すると、ミカサは言った。

ミカサ「………アルミン」

エレン(ぶふー!)

お茶を拭き零した。え? え? 本当に?!

エレン「アニがアルミンを好きかもしれないって思ってるのか?」

ミカサ「でないと、遊園地でのあの「苛立ち」に説明がつかない」

エレン「ええ? どういう事だ?」

ミカサ「ジャンがヒッチにフラフラしている時、ジャンに対してというより、アルミンが「アレは僕でも拒否出来ない」みたいな事を言った瞬間、凄い怖い顔になった」

エレン「あー……」

そっか。なるほど。だからアニの奴、機嫌が悪くなったのか。

881進撃の名無し:2014/09/02(火) 11:32:58 ID:YIeP0RoU0
ミカサ「自覚はないのかもしれない。でもあの時の夜叉のようなアニの顔、正直怖かった」

エレン「ミカサもたまにそうなるけどな」

ミカサ「うん。私もちょっと自重しようと思った。出来るだけ」

エレン「そっか……でもアルミンもクリスタに失恋したようなもんだし、いいんじゃねえかな? 2人がくっつけば」

ミカサ「ううーん。でもアニにはもう1人、アニを好きでいる男の子もいるし」

エレン「………ベルトルトの事か」

ミカサ「エレンも気づいていたの?」

エレン「まー球技大会でのサッカーしていた時のベルトルトを見ていたら自然と気づいたよ」

ミカサ「そう。私は文化祭の時に確信した。甘味所で結構、楽しくしゃべったそう」

エレン「ああ、聞いたのか。其の時の事を」

ミカサ「そうそう。ベルトルトの奢りで、ライナーも交えて食べてきた時の様子を知って、これはベルトルトの方に気があるとしか思えなかった」

エレン「なんかもう、いろいろ複雑な感じになって来たなー。これに加えてライナーからクリスタへのベクトルもあるわけだろ?」

ミカサ「ライナーはまだクリスタとユミルの件は気づいてないと思うけど」

エレン「なんかそれっぽいな。気づいたら大変な事になりそうだな」

ミカサ「うん……ユミルとクリスタは本格的に付き合う事になったそうだから」

エレン「え………それ、本当か?!」

ミカサ「うん。メールでこっそり教えてくれた。クリスマス公演でユミルとクリスタも男女ペアに扮装して踊ったのが切欠で、そういう空気になったそう」

エレン「すげ! 社交ダンスのカップル成立率すげえな!」

こりゃあリヴァイ先生がハンジ先生に堕ちた筈だよな。

あれだけ密着すればだんだんその気になってもしょうがねえよ。

オレとミカサの場合は最初からその気だったけど。そうじゃない場合は戸惑うかもしれんな。

882進撃の名無し:2014/09/02(火) 11:43:08 ID:YIeP0RoU0
エレン「そうかーそういう意味じゃアルミンもアニとペア組んだ訳だし、意外とくっつくかもしれんな」

ミカサ「だといいけど………」

エレン「ん? どうした? 何か不安なのか?」

ミカサ「いいえ。その………うーん」

エレン「煮え切らないな。アルミンに何か問題あるのか?」

ミカサ「その、アニは「博打」をする男が苦手だから」

エレン「………………」

その言葉で何となく意味を察したオレだった。

エレン「あーうん。アルミン、意外と「博打好き」だからなー」

文化祭の時のごり押し具合や、ジャンとの茶々入れを見て貰えば分かると思うが。

アルミン、意外とそういう「気質」は持っているんだよな。

仕掛けて、その結果を楽しむっていうか。たまに失敗して落ち込む事もあるけど。

というか、麻雀も出来るし頭使うゲーム好きだしな。

多分、成人したら「賭け事」を趣味にしそうな気配はある。

エルヴィン先生と似た部分を持ってるからな。アルミンは。

ミカサ「だからその点だけが心配。アニの親父さんも博打で身を崩しかけた事があるそうだから、出来るならそういう男とは結婚したくないって言ってるけど」

エレン「理性と本能は別物だからなあ。親父さんが博打好きなら、また同じような男に惹かれる可能性もあるって事だな」

ミカサ「つまりそういう事。アルミンがもし「博打」に目覚めてしまったら流石にちょっと許容は出来ない。友人としては」

エレン「難しい問題だな。オレは博打にそこまで興味ねえけど。アルミンはちょっと、その気質は持ってるっぽいからな」

883進撃の名無し:2014/09/02(火) 22:37:45 ID:YIeP0RoU0
あとコミケの時の金の使いこみ方とかな。一気に3万使ったあたり、金銭感覚がオレとちょっと違う。

行くときは一気にいくタイプなんだよ。アルミンは。

ミカサ「そういう意味ではベルトルトの方が「安全」な男のような気がする。最初は公務員を希望していたそうだし」

エレン「それっぽいよな。確かに。でも、その辺はもう、本人達がどこまで「許容」出来るかによるよな」

アルミンはアルミンだしな。博打好きな気質も含めてアルミンだからしょうがねえよ。

ミカサ「うん。出来るなら、アニには幸せな選択をして欲しいけど。苦労をかける男とは付き合って欲しくないけど……本人が相手を好きになった場合は仕方がない」

エレン「大丈夫だって。アルミンはそこまで酷い身の崩し方はしねえと思う。あいつ、運がいいからな」

ミカサ「そうなの?」

エレン「ああ。うまくいえないけど………土壇場に強いぞ。オレとは違った意味で」

でないとオレもアルミンの友達をやってないと思う。

エレン「まあ、まだ本人達の自覚がない状態なら何とも言えないけどな」

ミカサ「そうね。こっちがやきもきしてもしょうがない気がする」

と、いろいろ話していたら朝飯を食い終わった。

ミカサ「あ……片付けくらいは私がやる」

エレン「いいのか?」

ミカサ「うん。手持ち無沙汰の方が落ち着かない」

エレン「分かった。じゃあ後は任せるよ」

という訳で皿洗いをミカサに任せてオレはテレビを見たりした。

親父達が降りて来た。ちょっと遅い起床だな。

グリシャ「おはよう。エレン。ミカサ」

エレン「おはよー父さん」

ミカサ「おはようございます」

グリシャ「………………………」

親父が微妙な顔をしていた。

いや、言いたい事は分かるけど。出来ればスルーしてくんねえかな。

グリシャ「おせち料理はお昼でいいか。朝は普通の朝食を食べようかな」

と言いながら、ツッコミたい事をスルーしてくれたようだ。助かる。

そして親父は冷蔵庫から自分の食べたい物を取り出して自分で適当に料理をした。

ミカサ「母さん、まだ起きてこない……」

グリシャ「ああ。ちょっと寝坊しているよ。寝かせていていいから」

ミカサ「……………分かった」

ミカサも何となく気づいたようだな。

まあ、親父は親父達できっと昨夜はお楽しみでしたねって事だろ。言わないけどな。

グリシャ「そう言えば冬休みがあけたら修学旅行の予定だよね。エレン」

エレン「ああ。確か14日から19日の5泊6日だったかな」

グリシャ「入金は新学期が始まってからで良かったのかな」

エレン「ああ。確かその筈だ。13日までに入金してくれって知らせがあった」

グリシャ「了解。忘れないうちに入金しておくね」

親父の場合、2人分をいっぺんに支払ってくれる訳だから感謝しねえとな。

エレン「…………親父」

グリシャ「ん? なんだい?」

自分の分の朝飯を軽く摘まみながら親父がこっちを見た。

884進撃の名無し:2014/09/02(火) 22:40:21 ID:YIeP0RoU0
エレン「あの、さ。親父から見て、オレの成績、どう思う?」

グリシャ「ん〜医者になれるかなれないかって意味かな?」

エレン「うん。正直言えば、まだ全然足りてねえと思うんだけど」

グリシャ「でも一気に成績が上がって来たんだろ? だったら問題ない」

エレン「医者ってでも、もっと頭がいるよな」

グリシャ「何が言いたいのかな? エレン」

エレン「…………可能性、何パーセントだと思う?」

正直言えば今、オレはオレ自身を客観視出来る状態ではなかった。

だから「本音」の意見が聞きたくて其の時、親父に聞いたんだけど。

グリシャ「それはエレンの努力次第だよ。私が決める事じゃない」

エレン「ううう……」

グリシャ「数学の成績が伸び悩んでいる事を気にしているのかな?」

エレン「はっきり言えばその通りだ。オレ、結構頑張ったんだけど。思っていたより伸びなかったし」

グリシャ「エレンの場合は数学の「最終問題」だけは何故か正解するよね」

エレン「ああ……そうだな」

自分でも良く分からんが。最終問題は何故か得意だ。

グリシャ「それってつまり「応用力」はあるっていう証拠だと思うよ」

エレン「応用力……」

グリシャ「最終問題は必ず「頭を捻って答えを出す」問題がくるからね。そこをクリア出来る力はあるんだから、他の基礎的な問題も頑張れば何とかなると思うよ」

エレン「だといいけど……」

ううーん。まだ不安があるんだよな。

アニとの勝負の件もあるし。実力テストで結果出してえけど。

885進撃の名無し:2014/09/02(火) 22:55:02 ID:YIeP0RoU0
グリシャ「エレン。焦ったらダメだよ。エレンはようやく本腰を入れて勉強を始めたばかりだし、部活動の方の両立もしないといけない。成績は徐々に伸びていく時と、伸び悩む時期もある。焦ってペースを崩したら遠回りになるだけだ」

エレン「そっか……」

グリシャ「勉強するのもいいけれど、ペースを崩さない事の方が大事だよ。地味だけど。その努力は実を結ばない場合でも必ず「糧」になるから。出来る限り頑張りなさい。浪人したいっていうなら、父さんは反対しないから」

エレン「え……浪人、してもいいのか?」

グリシャ「一発合格出来る人間ばかりじゃないからね。父さん自身も1回浪人経験をしているし。親がしているのに子供には「するな」なんて言えないよ」

エレン「そっか……」

ありがてえけど。でもあんまり過保護にされ過ぎているような気もする。

グリシャ「あともし、途中で「気が変わった」場合も遠慮なく言いなさい。私自身も、高校時代、進路についてはフラフラしていたしね。医者だけじゃなくて、もし他の職業にも興味が出てきたらそっちも視野に入れていい。勉強はするに越したことはないけれど。進路を最終的に決めるのは「高校3年生」になった時点でも構わないよ。父さんがそうだった訳だしね」

エレン「そっか………じゃあもしも途中で「やっぱり医者は無理かも」って思ったら、進路を変えてもいいのか」

グリシャ「うん。挫折する人間の方が圧倒的に多いからね。医者の道は。目指してくれるのは親としては嬉しいけれど。それに固執し過ぎて他の事がおざなりになり過ぎるのも良くないよ。エレンの「部活動」での活動はエレン自身の「一生の財産」になると思っていていい。十代の頃の「経験」こそが、一番必要な「勉強」であるから」

と、まるでキース先生のような事を言いだす親父だった。

エレン「そっか……ありがとう。父さん」

グリシャ「他に何か悩み事はない? 父さんも普段忙しいし。あまりゆっくり話せないからこういう時くらいしか話せないしね」

と、親父が歩み寄ってくれる。

エレン「ううーん。悩みって程の事じゃねえけど……」

過ったのはジャンやコニーやアルミンや、その他の恋愛模様だった。

エレン「……親父は十代の頃、三角関係とか経験した事ある?」

グリシャ「恋愛事の悩みかい? 私はモテた訳じゃないからそういう経験はないかな」

エレン「そっか……」

グリシャ「ミカサを狙う男が他にもいるのかな?」

エレン「いや、そっちの件はもう解決したからいいんだけどさ」

グリシャ「ふむ」

エレン「なんていうか……周りがさ。ちょっといろいろ、ゴタゴタしそうな気配なんだよ」

グリシャ「ああ。そういう意味か。だったら父さんも沢山、見聞きはしてきているよ」

エレン「周りは結構、そういうのあったのか?」

グリシャ「私自身の話ではないけれど。確かに十代の頃は複雑な恋愛模様は周りではよく起きていたね」

886進撃の名無し:2014/09/02(火) 23:16:34 ID:YIeP0RoU0
親父も経験しているのか。やっぱりそういうのって通るべき「道」なのかな。

グリシャ「四角、酷い時は六角関係もあったねえ」

エレン「六って……それ、酷いな」

グリシャ「うん。全員片思いっていう、不毛な恋愛模様だったけど。でも結局6人ともグループ交際みたいな感じでわいわいやっていたようだった。均衡が崩れた時に、それぞれパートナーが出来て、結局はカップルが3組出来たから良かったけど」

エレン「へーそういうのもあるんだ」

グリシャ「後はそうだな……やっぱり二股関係の修羅場とかかな。結構、そういう激しい恋愛模様もやってる奴は普通にやっていたしね。当時の私にとっては「別の世界」のような感覚だったけど」

エレン「あー自分が経験しないと分かんないもんな。やっぱり」

グリシャ「そうだね。私の場合は恋愛については遅咲きだったと思うよ。医者になった後に初めて「恋愛」を経験した訳だから」

と、親父がしみじみ言っている。

グリシャ「でもそういうのって、人それぞれだからね。早い人もいれば遅い人もいる。エレンもそういうので「やきもき」する事もあるかもしれないけど。あまり「深入り」しない方がいいよ。話は聞いてあげた方がいいけど。結局はなるようにしかならないと思うしね」

エレン「あーやっぱりその辺は親父とオレ、考え方が似ているんだな」

グリシャ「親子だしね。まあ、そうだろうね。そういう意味ではエレンは皆より「早咲き」だったんじゃないか?」

エレン「ああ。2番目くらいかな? 周りで1番早かったのはコニーだけど。2番目はオレかもしれん」

グリシャ「だとしたら、今ぐらいからどんどん、そういう「話」が沸いてくる時期だろうね。父さんの時もそうだった。高校1年の後半くらいから高3の始め辺りまでがそのピークだったように思う。高校3年生に入ると一気に「進路」の関係が出てくるから、恋愛事も少しは落ち着いたけれど」

エレン「そっかーだったらもうしょうがねえかな。うん。分かった。オレも腹括る」

グリシャ「巻き込まれそうな気配なのか?」

エレン「それはまだ分かんねえけど。いろいろ「ううーん」と思う事は出てきそうな気配かな」

グリシャ「まあそうだろうね。でもそれも「青春」だしね。いいなあ。若いって」

と、親父が何故か「ニヤニヤ」している。

エレン「親父も新婚さんだろ」

グリシャ「それとこれとは別だよ。エレン。時が過ぎてから分かる。十代の頃の「輝き」は年を取ってからしか分からないんだ」

エレン「うう……そうなのか」

今、言われても分かんねえよな。そう言われても。

もしかしたら10年後、20年後、親父と同じ事を言いだす自分がいるかもしれんけど。

少なくとも「今」のオレには全く理解不能だった。

そんな訳で抱えていた「もやもや」は親父に話したら少しすっきりしたような気がする。

そして冬休みの間は部活も殆どお休みして勉強に打ち込んだ。

部活動の方は特に先の予定もなかったし、集まりたい奴は集まって練習していたみたいだけど。

オレの場合はちょっとお休みさせて貰った。勉強の方を優先したかったからだ。

あっという間に冬休みは終わり、実力テストも終わった。

順位は前回と全く変わらなかった。やっぱり今のオレの限界は「ここ」あたりになるようだ。

アニ「ふふん。エレン、あと1回だからね。チャンスは」

アニに負けてしまった。くそ! 次こそは負けたくねえ!

887進撃の名無し:2014/09/02(火) 23:40:49 ID:YIeP0RoU0
ミカサ「アルミンとの差が出て来た。悔しい…」

ミカサはミカサで落ち込んでいるようだ。どうやら今回も「2位」だったそうだ。

ミカサ「むむむ………何故? 何が原因なのかしら?」

エレン「あーもしかして、オレに付き合って勉強していたからじゃねえか? ミカサ自身の勉強の時間、削ってオレに教えてくれただろ」

ミカサ「いや、そんな筈は……」

エレン「うーん。あんまりミカサにばっかり甘えるのも良くねえのかな」

ミカサ「ええええ……(ガーン)」

エレン「いや、ミカサが落ち込む事じゃねえだろ?」

ミカサ「エレンに教える方が優先なので、2位のままでいい(キリッ)」

エレン「そ、そうか? うーん。なんか悪い気がするな」

ミカサ「そもそも、2位でも十分成績はいいのでこれ以上を望む方が贅沢だと思う(キリッ)」

エレン「うーん」

まあ、2位でも十分点数的には医者の進路には届いている成績ではあるんだが。

どうしたもんかな。やっぱりオレ、塾とか行くべきなのかな。迷う。

いろいろ思うところもあるけれど。とりあえず、次は修学旅行の件だ。

1月10日。土曜日。この日は修学旅行の班を決めるロングホームルームが行われた。

もう来週の事だしな。ぱぱっと決めないといけない。

888進撃の名無し:2014/09/03(水) 00:12:04 ID:N46kN.jg0
クリスタ「えーっと、修学旅行の班は7人を1つの班にした5つのグループに分かれます。グループごとに自由行動を取って貰いますので、計画表を立てて13日までに提出して貰います」

と、結構バタバタなスケジュールだった。

ただまあ、冬休みの間に大体の「案」は皆、予め考えてはいた筈だから、そこは問題ないか。揉めるとすれば「どこを選ぶか」になるだろう。

オレは当然、ミカサとアルミンとアニと組んだ。残り3人は誰と組むかな。

マルコ「ごめん。今回は僕はミーナと組みたいから、ハンナ達のグループに合流してもいいかな?」

ミーナとハンナは割と仲いいみたいだしな。まあしょうがねえか。

ジャン「ああ。彼女優先してやれ。オレは……どうしようかな」

ジャンはサシャと組みたいだろうけど。サシャはどうするつもりかな。

コニー「サシャ! この間の研修旅行では別の班だったから、今回は組まねえか?」

サシャ「いいですよー。組みましょう」

ジャン「!」

ジャンが焦っている。やっぱりそうだよな。

ジャン「…………」

助け船になるか分からんが、オレはサシャとコニーに声をかけた。

エレン「だったらお前らうちの班に来いよ。ジャンも含めれば3人だし。丁度7人集まるし」

ジャン「………いいのか?」

エレン「その方がいいだろ? 班が分かれるよりはマシだろ?」

ジャン「………助かる」

ジャンがこっそり礼を言った。嬉しそうで何よりだな。

コニー「お? いいのか? サンキュ! エレン!」

そんな訳で、修学旅行の班分けは大体こんな感じに分かれた。


【修学旅行班分け】


1班 エレン ミカサ アルミン アニ ジャン サシャ コニー

2班 ライナー ベルトルト ユミル クリスタ マルロ ヒッチ ダズ

3班 マルコ ミーナ フランツ ハンナ サムエル ミリウス ナック

4班 トーマス トム その他モブ

5班 その他モブ



今回、オレが何故か班長になってしまった。じゃんけんで負けたからだけど。

まあいいか。別に。そんなに大した大役でもないしな。

そんな訳で、14日、15日、16日の京都の自由行動の計画を皆で立てる事になった。

17日、18日は長野のスキー旅行だから特に決める事はない。

19日の午前中には長野を出発して夕方までには学校に帰る予定だ。

観光案内のパンフレットにチェックをつけてサシャがニヤニヤしている。

コニーも行きたい場所が沢山あるようだ。アニも何気にパンフレットに沢山付箋をつけているし、アルミンに至っては……言わなくても分かるかな。すげえ下調べをしてきているようだ。

889進撃の名無し:2014/09/03(水) 00:20:12 ID:N46kN.jg0
という訳で修学旅行編です。
京都のどこに行かせるかまだ決めてないので、希望があれば採用します。
特に何も希望がなければ定番コースになります。良ければ↓にどうぞ。

修学旅行の行き先も伏字の方が良かったかな。まあいいか(笑)。
京都と長野で決定しちゃったんで、ここだけはそのままいきます。

ではまた次回ノシ

890進撃の名無し:2014/09/03(水) 22:55:22 ID:N46kN.jg0
特に希望もないようなので定番コースでいきまーす。

891進撃の名無し:2014/09/03(水) 23:02:36 ID:N46kN.jg0
自由行動が出来るのは15日になる。14日は団体で決まったコースを移動して、15日は丸一日班ごとに自由に行動出来る。

16日は移動日で、17日と18日がスキー研修になる。

19日には帰還する。大体そんな感じの修学旅行の予定だ。

学校によってはもっと長い日程の修学旅行もあるそうだ。

海外に行く高校とかもあるらしい。すげえよな。贅沢だよな。

コニー「集英高校はオーストラリアに行くらしいぜ」

エレン「オーストラリア?! すげえなそれ!」

コニー「あそこは金かける学校だからなあ。あと白泉高校はフランスとか言ってたような」

エレン「おおおお何か次元が違うな」

ミカサ「私は国内の方がいいと思う」

アルミン「国内で十分だよ。日本語が通じる方がいいって」

アニ「だよね。外国語だと会話が不安だし」

サシャ「ですねえ。日本にも一杯いいところはありますよ」

ジャン「…………」

ジャンが無口だな。何か考え込んでいるようだけど。

エレン「あーどうする? 自由行動の大体の日程考えないといけないけど」

ミカサ「団体で移動するのは「金閣寺」「龍安寺」「仁和寺」の3つよね」

エレン「14日の方はそうだな。その3つを主に見に行くコースを巡るみたいだ」

ミカサ「だったら自由行動の時はそれ以外の場所を見て回ろう」

エレン「そうだなー。清水寺とかは基本かな? 二条城も一応見てみるか」

基本的な観光名所は押さえた上で、他に行きたい場所は……

コニー「はいはいはい! オレ、映画村行きたい!」

アルミン「あ、僕もそこは絶対行きたいと思ってた」

アニ「偶然だね。私もだよ」

サシャ「いいですね! 皆でお姫様になりましょう!」

ジャン「あー……いいかもな」

エレン「ミカサもいいか?」

ミカサ「うん。お姫様になってみたい」

エレン「じゃあ自由行動は「清水寺」「二条城」「映画村」の3つでいいか」

あんまり多く回ると1個あたりの時間が短くなるからな。

午前中は「清水寺」「二条城」に行って、午後は丸々映画村で遊ぼうかな。

892進撃の名無し:2014/09/03(水) 23:15:19 ID:N46kN.jg0
ヒッチ「あ〜そっちの班も映画村に行くんだ?」

と、その時、ひょいっとこっちの班に顔を出してきたヒッチだった。

ジャン「ああ……満場一致だな。そっちも行くのか?」

ヒッチ「うん。ライナーがすっごい推してね。映画村で1日遊ぼうって話になったよ」

ユミル「まあ、クリスタをお姫様に扮装させたいんだろうな」

ヒッチ「だよね〜」

と、ヒッチは割と誰でも仲良くなれるようで、向こうの班のメンバーともあっさり馴染んでいた。

エレン「オレ達は午後からだな。午前中は一応、基本的な観光名所を押さえておく」

ヒッチ「ふ〜ん。まあいいんじゃない?」

と、其の時、ヒッチが何か思い出したように言った。

ヒッチ「あーでも、今回の修学旅行、他の高校とも日程が被るらしいよ」

エレン「そうなんだ。どこと?」

ヒッチ「小学館高校とだったかな? 私の中学の時の元彼が教えてくれたよ」

コニー「!」

其の時、コニーの表情が一瞬、強張ったのが分かった。

サシャもだ。何だ? 何かあるのかな。

ヒッチ「他校の生徒ともすれ違うかもしれないね。クリスタ、ナンパされないように気をつけないと」

ユミル「その点は本当にそう思う。クリスタ。当日はサングラスでもしておけ」

クリスタ「ええええ……そんなあ」

と、微妙な顔をしているクリスタだったけど。

サシャ「……………」

サシャが微妙な顔をしている。何だ? 何かあるのかな。

コニー「あーまあ、大丈夫だろ。多分」

サシャ「ですかねえ?」

コニー「うん。そう何度も偶然は起きねえだろ。もう、元彼女だし。もし会ってもスルーするよ」

エレン「え? まさか、元彼女って、小学館高校の生徒なのか?」

コニー「ああ、まあな。でも、もう大丈夫だ。休みの間に気持ち整理したしな」

と、コニーは苦笑いだった。

893進撃の名無し:2014/09/03(水) 23:37:37 ID:N46kN.jg0
その様子を心配そうに見つめているサシャを複雑そうな顔で見つめるジャンだ。

ジャン「コニー。修学旅行の時、何か奢ってやろうか?」

コニー「ええ? いいのか?」

ジャン「言っただろ? 落ち着いたらって。アイスとか、向こうで食べる機会があれば奢ってやるよ」

コニー「なんか悪いな……本当にいいのか?」

ジャン「気持ちは分からんでもないからな。まだ暫くは気持ちの整理をする時間が必要だろ」

コニー「まあな。…………あの時は悪かったな。ジャン」

ジャン「ああ?」

コニー「オレ、ジャンがフラれてるところを見て、笑ってたしな。自分がその立場になってみて初めて、その気持ちが分かった。オレ、ひでー奴だったよ」

ジャン「あー……そうだったのか」

コニー「ああ。だからオレの方こそ、ジャンに何か奢るよ。お互いに交換しようぜ」

ジャン「まあ、別にいいけどな」

ヒッチ「………ん? え? コニーまさか、別れたの?」

と、其の時になって初めて話題に気づいたヒッチが言った。

コニー「元旦にフラれたんだよ。偶然、向こうに二股かけられていたの知ったんだ」

ヒッチ「ええええ……それはご愁傷様。でも勿体ないなあ。私だったら絶対、コニーを手放さないけどなあ」

コニー「え? なんで?」

ヒッチ「だってコニー優しいでしょ? 他校生同士で結構長く付き合ってたんでしょ? しかも野球部だし。忙しいでしょ? それでも時間作って彼女と付き合えるんだからいい男に決まってるじゃん」

コニー「あーでも、最近はちょっと、あんまり時間作って会ってなかったんだよ。その不満が爆発したみてえだ」

ヒッチ「放置したの、どれくらい?」

コニー「秋大会に入ったあたりだから、11月は殆ど会ってねえな」

ヒッチ「ええ……それってちょっと我儘過ぎない? 私、遠距離恋愛も経験あるけど、2か月くらい会えないのって普通だよ?」

エレン「そうなのか」

ヒッチ「言わなかったっけ? 最長で1年だったって。その相手が遠距離だったの。まあ、遠距離だったからこそ、1年続いたのかもだけど。でもその相手が、歴代で1番エッチ上手かったから我慢したよ?」

ジャン「お前は……」

ジャンが半眼になっている。無理もねえけど。

ヒッチ「おっと。ごめんごめん。だからまあ、一か月や二か月会えない程度に他の男に流れるのって、ちょっと変だね」

コニー「そうなのか?」

コニーが首を傾げていた。

オレも心境としては同じだった。

ヒッチ「いや、私にみたいにフラフラしている女子なら話は別だよ? でもそもそも、スタートの時点で他校生同士で付き合うなら、相当な「愛」がなければ始めようと思わないじゃん? 私は相手の女の子の事は全く知らないけど。私みたいに飛んでる子じゃなかったんでしょ?」

コニー「まあ、普通の女の子じゃねえのかなあ?」

ヒッチ「だとしたら、尚更「妙」だね。まさか…………いや、でもなあ」

と、何か引っかかるものを感じたようだった。

アニ「どういう事? 何か裏があるっていうの?」

ヒッチ「裏というか……いや、確証のない事を話すと違った場合が怖いから言わない方がいいかも」

コニー「そこまで言って引っ込めるなよ! 何かあるのか???」

ヒッチ「怒らないで聞いてね? あくまで私の「推察」だからね?」

と、前置きしてヒッチは言った。

894進撃の名無し:2014/09/03(水) 23:57:22 ID:N46kN.jg0
ヒッチ「もしかしたら、本当の理由が「別」にあるのかも」

コニー「ん? どういう意味だ? オレが放置し過ぎたせいじゃねえのか?」

ヒッチ「ううーん。コニー側の「浮気」を疑ったとか? そういう噂を聞いたとか? リヴァイ先生とハンジ先生が若い頃に一度、修羅場ったシーンあったでしょ? あれみたいに、他に「本命」がいると勘違いしたとか……?」

コニー「本命? んな馬鹿な。オレ、彼女が本命だったぞ」

ヒッチ「だから「勘違いしたか」だよ。そういう情報を誰かから「意図的」に情報操作されて、気持ちを揺さぶられて……コニーにダメージを与えたいと思った「誰か」がいるとか。コニー、野球部じゃん? 小学館高校の生徒に恨まれるような事、した覚えない?」

コニー「そりゃあ、去年の県予選で小学館高校を破って優勝した訳だから……………まさか」

そこでコニーは思いつく事があったようだ。

コニー「まさか、試合に負けた「腹いせ」でオレの彼女を奪ってやろう、みたいな話か? それって」

ヒッチ「確証はないけど。でも、可能性はあるかも?」

コニー「マジかよ。可能性、あるんだとしたら、絶対許せねえ………!!!」

もしそうだとしたらオレも許せねえな。それは。

それはつまりコニーの元彼女を「利用」した「嫌がらせ」って事になる。

サシャ「で、でも……証拠は何処にもないんですよね?」

ヒッチ「だから、あくまで「推察」って言ったでしょ? そこんとこの裏付け捜査、したいんだったら……まあ、協力してあげなくもないけど」

コニー「……………」

ヒッチ「分かんないけどね。真実は。本当にコニーの「放置」が原因だったのかもしれないし。でも、そういう「恋愛事」を利用した「復讐」って割とある話だからさ。気をつけた方がいいよ。私自身は流石にそういうの経験ないけどさ。結構、見聞きはしてきているからさ」

すげえな。ヒッチより更に「上」のビッチが世の中には存在するらしい。

そういう人間とは関わらないのが1番だとは思うが。

895進撃の名無し:2014/09/04(木) 00:13:04 ID:RZG0mcR20
ユミル「そういう話なら、もしかしたら元彼女の方は「サシャ」の存在を「勘違い」した可能性あるかもな」

サシャ「え?!」

其の時、ユミルがいきなり口を挟んだのでサシャが驚いた。

サシャ「な、何で私ですか?! あり得るとすれば野球部のマネージャーの方じゃないんですか???」

クリスタ「ううーん。いや、私は「サシャ」も十分あり得ると思う。だってサシャ、甲子園に応援に行ったでしょ。あの時、元彼女さんとも会ったじゃない」

サシャ「ええ……会いましたけど。でも、コニーの元彼女さんと会うのは私、初めてじゃないですよ? コニーとは中学が同じですし、元彼女さんの事は私も昔から知っていますし」

ユミル「いや、まあそうだけどさ。あの時、サシャの方が元彼女より先にコニーに会っただろ? 偶然とはいえ。その時の空気、正直微妙な感じだった気がするんだが」

コニー「…………………そうか。だったらあいつ、オレとサシャの事を勘違いした可能性もあるのか」

サシャ「ええええ?! それ、困りますよ! 誤解です! 誤解は解いた方が」

コニー「いや、今更だ。今言ってもしょうがねえよ。もう別れたんだし。誤解が解けたとしても、もう元には戻れねえよ」

と、コニーががっくりしていた。

コニー「そっか。なんかもう、どうしようもねえな。元彼女の事は忘れる努力をする。あんまりゴチャゴチャ考えたら、野球の方がおざなりになっちまうしな」

ジャン「だろうな。でもあんまりオーバーワークはするなよ。コニー。怪我したら元も子もないぞ」

コニー「その辺はピクシス監督にも厳しく言われたよ。練習に逃げるなって。練習メニューは逆に減らされた。こういうのは「時間」が「自然」に解決してくれるって。そう言っていたよ」

サシャ「何だか申し訳ないです……」

今度はサシャが落ち込んでいた。

コニー「気にするな。勘違いした方も悪いだろ。オレ、別にリヴァイ先生みたいに「否定しない」行動なんかしてねえし。サシャとはちゃんと「友達」だってずっと言ってきたし。もうあいつの事はいいんだよ」

と、コニーはサシャを責めなかった。

こういうところが本当に「優しい」よな。コニーは。

仲間思いっていうのかな。リヴァイ先生程の極端な物じゃねえけど。

コニーが「モテる」のはオレも頷けるぜ。

896進撃の名無し:2014/09/04(木) 00:34:55 ID:RZG0mcR20
サシャ「…………」

でもサシャ自身は余計に落ち込んでいるようだ。真実が分からないから余計にそう思うんだろう。

ヒッチ「大丈夫だって。コニーはモテるから新しい彼女、すぐ作ればいいじゃん。何なら立候補してあげようか?」

コニー「いや、流石にヒッチはオレ、無理。お前、ビッチ過ぎるだろ」

ヒッチ「あはは〜フラれちゃったwwwだったら私の友達、紹介しようか?」

コニー「似たような女紹介されそうでこえええよ! 遠慮する!!」

と、コニーは笑っていたけれど。

その様子をジャンは複雑そうに見つめていた。

カラ元気なのが分かるからだろうか。ジャンはコニーの気持ちも分かるし、サシャの気持ちも分かるのかもしれない。

今の時点ではサシャの中に「2人の男性」がいる事に、サシャ自身、気づいていないようだけど。

いつ、「着火」するかなんてわかったもんじゃない。

リヴァイ先生とハンジ先生の劇の例があるから余計にそう思うんだろうな。

ヒッチ「ああそう? じゃあしょうがないね。まあ、そのうち新しい彼女出来るって」

コニー「ピクシス監督にも同じ事を言われたよ。オレ自身はまあ、その……彼女と付き合っている間に他の女にも告白された事もねえ訳じゃねえけど」

アニ「そうだったの?」

コニー「まあ、甲子園出場したくらいだし。野球部は活躍と比例してモテていく法則があるからな」

ライナー「うぐ……ではもっと早く野球部に入部してれば、俺もモテていたかもしれないのか」

と、其の時、外野でそっと様子を見ていたライナーが言った。

コニー「だから早く野球部来いって言ったんだよ!!! オレ、何回勧誘かけたと思ってんだよライナー!!」

ライナー「すまなかった。いや、あの頃は俺も弓道部に興味があって……」

クリスタの間違いだろ?

コニー「まあいいけどな。ライナーとベルトルト入ったおかげで、うちの野球部の攻撃の幅も広がったし。ライナーが正捕手に上がってからはキュクロのストレートも急速が上がったし。150キロ超えたからな」

ジャン「マジか! え……ちょっと待て! ライナーが正捕手って、フランツはどうなったんだ?」

コニー「ああ。フランツは補欠に下がった。準レギュラーみたいな感じかな。でも、ライナーはサブポジで「ショート」もやってるから、ポジションチェンジする時はフランツがキャッチャーやるけど」

エレン「………それが決まったのって、もしかして秋頃か?」

コニー「そうだけど。何で?」

エレン「いや……何でもねえ」

そうか。フランツがサボっていたのはそのせいだったのか。

ミカサも思い出しているようだ。フランツとハンナがデートしていた時の事を。

897進撃の名無し:2014/09/04(木) 01:00:48 ID:RZG0mcR20
コニー「そういう訳で、今の打順はオレが3番でライナーが4番でベルトルトが5番でキュクロが6番で、クリーンナップが充実してきたから結構、打撃力もあるんだぜ。おまけにベルトルトが「投手」もやり始めたから、キュクロだけに負担をかけずに済んでいるのも大きい。秋大会には調整は間に合わなかったけど。2年次は去年よりいいところまで行けるんじゃねえかなって思ってる」

アニ「え……待って。ベルトルト、投手始めたの?!」

と、其の時、ぶったまげたのはアニだった。

ベルトルト「う、うん……実はそうなんだ」

アニ「待ってよ。ベルトルトに投手って、酷過ぎない? こんなに気弱で繊細な奴なのに」

コニー「繊細だからこそ、いいんだよ。ベルトルトにボール投げさせてみたらすげえコントロールが良かったんだ。急速も悪くねえし。中継ぎとしては優秀なんだぜ? 何よりライナーとのバッテリーがすげえうまいし。セカンドもやってるけど。ライナーと組ませたらうまくいくみたいだから監督がそう決めたんだよ」

エレン「へーなるほど。そういう事か」

ベルトルト自身が言っていたもんな。ライナーと組みたいって。

つまりバッテリーと二遊間を2人で受け持っているのか。

アニ「ほ、本当に大丈夫なの? 炎上しそうで怖いけど」

コニー「あーたまにあるけどな。でもその時はキュクロが交替してばしっと締めるから大丈夫だよ。ベルトルトもキュクロがいるから投げられるってのもあるよな」

ベルトルト「そうだね。僕一人だけだったらとてもじゃないけど投げられないよ」

ユミル「ベルトルさんが覚醒すればうちはもっと強くなれそうだけどな」

ベルトルト「うう……ごめん」

コニー「いやいや、十分貢献しているぜ? ベルトルトの球速140キロ超えているし。変化球もすぐ覚えたし。お手本のような投手だよな」

ベルトルト「まだカーブとスライダーしか投げられないよ」

コニー「2種類をすぐ覚えた時点ですげえって。それにストレートも加えたら3種だろ。野球初めてまだ1年経ってねえのにすげえよ。マジで」

と、何気にベルトルトも優秀らしい。

ジャン「すげえな。ベルトルト。もう変化球を覚えたのか」

ベルトルト「僕の場合はストレートを投げるより変化球の方が投げやすいのもあるけどね」

ジャン「いや、それでもオレもカーブとスライダーをちゃんと覚えるのには1年かかったぞ」

コニー「普通はそんくらいかかるからな。投げ方を覚えて、試合で使える「状態」まで持っていくのに」

ジャン「ああ。練習でただ「投げる」のと「試合で使える」のは別物だからな」

と、すっかり野球談議になってしまっている。

そろそろ時間かな。チャイムが鳴った。

クリスタ「あ、しゃべってたら終わっちゃったね。とりあえず、計画表出来たなら貰ってもいい?」

エレン「ああ。いいぜ。ほらよ」

と、ざっとした計画表をクリスタに渡して回収させた。

そして休み時間になった。皆それぞれの席に戻るけど。

サシャ「…………はあ」

サシャが深いため息をついていたのに気づいたのはきっと、オレだけじゃなかっただろう。

でも声をかける事はしなかった。今ここで突いたら余計にいろいろ拗れそうな気がしたからだ。

サシャ「………食欲がないなんて、いつぶりですかね」

と、いう独り言をいいながら、サシャは教室を1人で出て行ってしまった。

その様子を見守りながらミカサも言った。

ミカサ「………………追いかけた方がいいのだろうか?」

エレン「分かんねえ。でも追いかけたいならオレは止めねえよ」

ミカサ「………やめておく。まだその必要はないと思う」

エレン「そっか」

ミカサ「うん。サシャは冷静に「自分」と「相談」するべき「時期」だと思う。その上で、必要になれば手助けしてあげたい」

エレン「そうだな。女のミカサの方が親身になれるだろうしな」

ミカサ「多分。私の手が必要な時は、そうする」

と言いながら、次の授業の準備に入るオレ達だったのだった。

898進撃の名無し:2014/09/04(木) 01:09:46 ID:RZG0mcR20
ええっと。リヴァイ×ハンジ編の既視感を覚えながら、
ジャン×サシャとコニー×サシャが同時進行していくような展開になってきました。

今回はここまで。ではまたノシ

899進撃の名無し:2014/09/04(木) 22:08:09 ID:RZG0mcR20









リヴァイ「あー3学期は定番のマラソンの授業になる。冬は走るのが定番だ」

と、2限目の体育でリヴァイ先生が新しい授業内容を発表した。

リヴァイ「男子は毎年20キロ、女子は10キロ走る。2月9日はマラソン大会を行うからそれに向けて少しずつ練習を始めていく。いきなり20キロ走ると普段、走っていない奴が肉離れを起こす可能性もあるので、徐々に走る距離を増やしていく方針にする。今日は軽く5キロ走って貰ってそのタイムを測っていく形にする」

という説明があった後、グラウンドをぐるぐる走る練習が始まった。

今回は男女混合の練習になった。珍しい。

普段は男女別れて体育の授業を行うんだが、マラソン大会だけは別のようだ。

女子はまず3キロ走らされるようだ。グラウンドの外周トラック1周で大体1キロなので、女子は3周、男子は5周走る。

皆、今日は最初のマラソンの授業なのでのんびり走っている。

徐々に体を慣らしていくのが目的なので本気で走っている奴はいない。

と、思った其の時、

コニー「あれ? 皆、おせーな! スピード出さねえの?」

と、先頭を走っていたコニーが後ろの方を気にした。

ジャン「しょっぱなからスピードは出さねえよ。今日は軽いランニングだろ」

コニー「えええ? のんびり走り過ぎじゃねえか?」

と、コニーは普段、野球部で走らされているからか息を全く切らしていない。

ジャン「コニー達は普段から走ってるからだろ。まあ、オレ達演劇部も走るのは走るけど」

エレン「オレ達の場合はタイムはあんまり気にして走らないからな」

ジャン「ああ。それより走りながら早口言葉を言ったり、軽い羞恥プレイをやらされるからな」

エレン「そうそう。劇の台詞をいいながら走ったりな」

コニー「あはは! それはそれでもおもしれーな!」

と、コニーがこっちを気にしながら走っていると、

リヴァイ「ビリだった奴には罰ゲームが待ってるぞ。トップには褒美をくれてやる」

と、タイムを測っていたリヴァイ先生がいきなり言い出したので男子全員「げ?!」って顔をした。

エレン「マジっすか?!」

ジャン「やべえ! 罰ゲームは受けたくねえな!」

コニー「オレはむしろトップを狙うぜ!」

と、コニーは先に行ってしまった。そういう事ならオレも負けていられない。

ミカサ「また物で釣って……いやらしい男」

と、其の時、ミカサが後ろから追いついてきた。

エレン「リヴァイ先生がいやらしいのは今に始まった事じゃねえだろ?」

ミカサ「そうだけど………何だか癪に障る」

と、言いつつミカサと同じ速度で走っていると、

アニ「女子は貰えないのかな」

と、現金なアニが話題に食いついた。

900進撃の名無し:2014/09/04(木) 22:27:45 ID:RZG0mcR20
エレン「男子だけじゃねえの? 女子はリコ先生が担当しているし」

アニ「そう。残念……」

と、ちょっぴり残念そうにするアニだった。

アルミン「ううう……罰ゲームは嫌だなあ」

1周遅れで追いついたアルミンが愚痴っていた。

アルミン、足が遅いもんな。クラスでも後ろから数えた方が早い。

エレン「アルミン! 頑張れ!」

後ろから追いついたオレはアルミンの背中に声をかけた。

アルミン「エレンに追いつかれた?! やばい!」

1周遅れに気づいたアルミンがスピードを上げたけど。やっぱり足が遅い。

ミカサ「アルミン。気持ちだけ焦ってもダメ。手足をゆっくり大きく振って」

アルミン「こう?」

ミカサ「そうそう。同じペースを続ける方が大事。焦ってはいけない」

アルミン「分かった。こうだね」

と、アルミンのペースが徐々にアップしていった。おお。流石ミカサだな。

エレン「長距離走は焦ったらダメだもんな。ペース崩れると戻すのに時間かかるし」

ミカサ「そうそう。罰ゲームが嫌ならこのペースでいけばきっと大丈夫」

エレン「ああ。アルミンより遅い奴、1人いるもんな」

ダズって言ったかな。あいつ、運動神経良くねえみたいだしな。

そんな感じでその日は軽い距離を休憩を挟んで何度か走った。

5キロ×3回走ったから、合計では15キロ走ったけど、間に5分休憩を挟んでいるから問題ねえな。

本番はぶっ続けで走る訳だからこれよりもっとしんどい筈だ。

20キロならハーフマラソンみたいなもんだからな。普段から時々走る癖をつけていて良かった。

普段から走っていない奴らは少々しんどそうな顔をしていたからだ。

リヴァイ「ふむ。トップはコニーだったな。よし、褒美をやろう」

と言いながらリヴァイ先生は怪しげな封筒をコニーに手渡したのだった。

コニー「中身何かな〜おおお! バイキングのチケットっすか!」

リヴァイ「タダ券だ。肉を食って筋肉をたんまりつけるといい」

コニー「あざーっす!!!」

サシャ「う……いいなあ」

リコ「女子も実は用意しているぞ。こっちはケーキバイキングの方だが」

ざわ……

女子の方が「何で走り終わってからそれ言うんですかああ!」と抗議の声をあげた。

リコ「ん? 私はリヴァイ先生程、優しい教師ではないからな。ククク……マラソンの授業の初回特典だ。以後はご褒美つかないからな」

えええええ……

「真面目に走れば良かったー」という声が聞こえた。

901進撃の名無し:2014/09/04(木) 22:46:34 ID:RZG0mcR20
リコ「女子はミカサだな。おめでとう。ケーキバイキングに行ってくるといい」

ミカサ「ありがとうございます」

ミカサがチケットを受け取って戻って来た。

リヴァイ「さて。罰ゲームはダズだな。お前には追加メニューだ。これをやろう」

と言って何だか怪しげな……リストバンドかな? を渡されたようだ。

リヴァイ「1キロの重りをつけたリストバンドだ。次の体育の授業の時もこれを手首につけて走って貰うぞ」

ダズ「ええええ……まるでDBの修行みたいじゃないですか」

リヴァイ「まあその通りだな。ちなみにこの「重り」は次回の「ビリ」にリレーしてく形にする。順位を上げたら重りから解放されるから頑張れ」

ダズ「とほほ……」

なるほど。そうやって運動が苦手な奴に無理やり「モチベーション」を与える訳だな。

リヴァイ「走るのは足の力より「腕の振り」の方が重要だからな。腕の振り方が雑になればなるほどリズムよく走れなくなる。だから家でも腕をしっかり上下に振る練習をしておけ」

ダズ「分かりました……」

リヴァイ「今日の授業は以上だ。次回も同じペースでやっていく予定だ。レベルを上げるのはもう少し先になるから安心しろ」

と言ってその日の授業は終わったのだった。

ミカサ「ケーキバイキングのペアチケットを貰ってしまった」

エレン「今度はミカサが貰ったのか。良かったな」

ミカサ「エレン、ケーキ好き?」

エレン「おう! 甘いもんは好きだぞ」

ミカサ「恥ずかしいとかは思わない?」

エレン「んにゃ全然。ミカサと一緒に行けるなら何処でもついていくさ」

ミカサ「………そう(ポッ)」

お? ミカサが赤くなった。よしよし。

いいデートの機会に恵まれてラッキーだな。

コニーの方もペアチケットなのかな? コニーは誰と行くのかな。

コニー「ペアチケットだな。誰誘おうかな〜」

サシャ<●><●>

コニー「サシャ?! 目が怖ええよ! 一緒に行きたいのか?」

サシャ「バイキングなら何処でも誰とでも一緒に行きますよ(じゅるり)」

コニー「そっかーこれ、ペアチケットだから、まあいいか。サシャ一緒に行くか?」

サシャ「行きましょう! 是非!」

食欲の方はもう回復したみたいだな。良かった。サシャはやっぱりこうでないとな。

あ、でも、ジャンがすげえ微妙な顔しているな。今度は別の男と一緒に行くのかって顔している。

902進撃の名無し:2014/09/04(木) 23:02:38 ID:RZG0mcR20
コニー「あーでも、待てよ。これ、期限が来週までだな。来週は修学旅行あるし、行けるのは11日〜13日の間になっちまうな。だったら野球部の練習と被るからいけねえや」

サシャ「え? そうなんですか? 1回くらいさぼっちゃえばいいんじゃないんですか?」

コニー「いやー空気読めねえ奴になりたくねえからやめとくわ。こういうの、バレたら後が怖いし。サシャに譲るよ」

と、サシャはそのペアチケットをコニーから譲り受けてしまった。

サシャ「えええ? 本当にいいんですか?」

コニー「しょうがねえよ。まあ、修学旅行でもたんまり飯を食う気でいるし、いいよ。サシャが一緒に行きたいと思う奴と行って来れば?」

と、本当にコニーにチケットを譲り受けてサシャは「ありがとうございます!!!」とお礼を言っていた。

サシャ「えへへへ〜明日はオフなので早速行ってきましょうかね〜」

ジャン「………………」

サシャ「だ、誰と一緒に行きましょうかね〜」

ジャン「………………………………」

ああもう! ジャン、自分から行けよ!! 明日は暇だって!

今、演劇部は繁忙期じゃねえから、スケジュールの調整は出来るだろ!!

イライラするな! もう! ジャン、ヘタレ返上しろよ!!!

サシャ「………………………」

サシャもサシャで誘えないのかよ!!! ああもう。

目線が合っても、お互いに話を切り出せないみたいだ。

サシャ「明日、誰か暇な人、いますかね〜?」

独り言みたいにして言っている。ジャン、チャンスだぞ!!

903進撃の名無し:2014/09/04(木) 23:52:10 ID:RZG0mcR20
中途半端ですが、ここまで。
もう眠いので限界です。次回またノシ

904進撃の名無し:2014/09/05(金) 10:48:17 ID:u77iekT.0
ジャン「……………」

ミカサ「サシャ、そのチケットのバイキング、場所は同じホテルだろうか?」

サシャ「あ、待って下さい。ああ……この間のホテルとは別のところみたいですが、そっちのチケットと同じホテルのようですね」

ミカサ「だったら一緒に行く? 同じホテルであるならその方がいいと思う」

サシャ「そうですね。だったらこの間と同じようにして行きますか?」

エレン「そうだな。ジャン、明日暇か?」

ジャン「ああ、まあ……明日は暇だけど」

やれやれ。結局またオレ達が助け船を出す事になった。

オレ、ピクシス先生がリヴァイ先生とハンジ先生を見守ってイライラしていた当時の気持ちを今、理解した。

ピクシス先生、本当に忍耐強く見守っていたんだな。その忍耐力に敬意を覚えるぜ。

そんな訳で2回目のグループデートだ。今回はオレとミカサはケーキオンリーになるけど。

11日の夜、以前のようにまた駅で待ち合わせしてホテルのバイキングへ一緒に行く事になった。

今回はアルミン達は尾行しないらしい。前回の拗れかかったアレを反省したそうだ。

まあオレも今のジャンには尾行は必要ないと思ってるしな。

今回のバイキングは普通のバイキングとケーキバイキングが合体しているので、ケーキオンリーのオレ達はケーキのみ食べる事になる。

今日のミカサは体調も普通なのでゆっくり食べられる。

小さくカットされたケーキを皿に盛って食べる。チーズケーキとかショートケーキとか。

サシャ「えへへ〜修学旅行では抹茶系の甘味を征服したいですね」

と、サシャはサシャで小皿をつつきながら話した。

ジャン「そうなのか?」

サシャ「京都と言えば抹茶系です! もう凄いんですよ! どこのお店にもすぐ行けるように頭の中に店のリストをインプット済ですから! 通りかかった店、全部征服したいくらいですよ!」

ミカサ「和風スイーツの聖地とも言えるかもしれない」

サシャ「そうなんですよおお! 超楽しみですううう!」

と、テンションがあがりまくっているサシャだった。

そんなサシャの様子を、以前より柔らかい視線で見守っているジャンだった。

前は「げんなり」していたのにな。もう慣れたのかな。そんな感じだ。

905進撃の名無し:2014/09/05(金) 11:12:40 ID:u77iekT.0
サシャ「抹茶大福……抹茶ぜんざい……抹茶ロールケーキ……ぐふふふ」

ミカサ「みたらし団子も美味しそうだった」

サシャ「ですよねえ! マップルの案内に沢山書いてありましたよね!」

ミカサも甘味所を既にチェック済みのようだ。可愛いなあ。

何だろ。女子がスイーツで盛り上がっている様子って可愛いよな。

そういう「可愛い私」を演じているアレじゃないから余計にな。

サシャは「ガチ」でスイーツが好きだしミカサも好きだし。

サシャ「あーでも、一個だけ修学旅行では懸念があるんですよねー」

ミカサ「何?」

サシャ「例のコニーの元彼女の件ですよー。はあ。考えると憂鬱になりますー」

と、サシャが珍しく愚痴を零し出した。

サシャ「私、コニーとは本当に「友達」と思っているんですけどねえ。元彼女さん、コニーとは小学校から同じだったそうですし、私はコニーとは中学からですが、歴史で言えばコニーは元彼女との縁の方が長いんですよ」

エレン「へーそうだったのか」

サシャ「はい。だからコニー、本当は相当落ち込んでいると思うんですよ。表面上は元気にしていますけど。もし、私のせいで誤解が生じてそうなったのだとしたら、本当に辛いです………」

と、サシャが箸を1回止めて愚痴った。

ジャン「その、ヒッチの言っていた「腹いせ」で「元彼女」を奪った説っていうのは、可能性あるんかな」

エレン「ううーん。どうなんだろうな? ヒッチは裏付け捜査するなら協力してやらなくもないとか言っていたけど」

ミカサ「でも、それがもし「本当」にそうだった場合、コニーはどうなるだろうか?」

ジャン「…………真っ先にぶん殴りに行きそうで怖いな」

エレン「オレでも殴りそうだ。でも問題起こしたら甲子園に行けなくなるだろ」

ジャン「野球部はそういう「不祥事」を起こしたら致命的だからな…………まさか」

エレン「ん?」

ジャン「相手の本当の狙いって「そこ」じゃねえのか?」

エレン「え? つまりどういう事だよ」

ジャン「だから、元彼女を奪って「嫌がらせ」する事も目的だったのかもしれんが、そこからコニーを「挑発」して自分を殴らせるのが「最終的な目的」だとしたら、やばいぞ」

サシャ「え………それって、もしかして講談高校の出場そのものを潰す作戦って事ですか?!」

ジャン「いや、分かんねえけどな。確証のある話じゃねえし。でも、コニーには「真実」に近づけない方がいい気がする」

エレン「修学旅行先でうっかりコニーの「耳」に情報を入れないように注意してやった方がいいかもしれんな」

ジャン「ああ。ちょっとこれは裏付け捜査、した方がいいかもしれん。ヒッチに電話してみるか」

と、其の時、ジャンがヒッチにコンタクトを取った瞬間、サシャはぴくっと微妙な顔になった。

おおおーい。ジャン。それは「今」やらなくてもいいんじゃねえか?

とも思ったが止める事はやめておいた。

サシャは微妙な顔をしているが「嫉妬」は恋の起爆剤だしな。

ミカサもそれを察知して「やっぱり」という顔をしている。

ジャン「ヒッチか? 今、いいか? いや………コニーの元彼女の件何だけどさ。ちょっと心配になる事が出て来たから、裏付け捜査をやっぱりこっそりやって欲しいんだよ。ヒッチなら出来るよな? ああ。コニーには悟られないように頼む。ああ。お前の言う通りだよ。オレ達も「それ」を心配してんだ。もしそれが「真実」だとしたら、コニーがぶちキレかねないからな。頼むぞ。ええ? 今度デート?! それは却下だ! あー……分かった。貢げってか。そっちならいいけど。分かった。頼んだぞ」

と、言って電話を切った。

おいおい。今「貢げ」って言葉が聞こえたぞ。

906進撃の名無し:2014/09/05(金) 11:31:29 ID:u77iekT.0
ジャン「やれやれ。服買って♪とか言われちまったな」

サシャ「!」

おおおお? サシャの全身が毛が逆立っているような感じだ。

でも、言い出せないんだな。微妙な顔で堪えている。

サシャ。そこは「貢がないで」って素直に言った方がジャンが喜ぶんだけどな。

ジャン「まあいいか。適当に買ってやれば。コニーの件は修学旅行中、全員で注意深くしておこうぜ。うっかり小学館の生徒と接触して、コニーがもし「万が一」暴れたら、問題になるからな」

サシャ「そ、そうですね。コニーの為にも、そうしましょう」

と、サシャは自分の気持ちを押し殺したようだ。

ミカサ「男の嫉妬はとても怖い」

と、其の時、ミカサがぼそりと言った。

エレン「ん? どういう意味だ?」

ミカサ「恐らくその相手の男は「コニー」の「才能」にとても嫉妬しているんだと思う。野球部として活躍しているコニーを何としてもで「引きずり降ろしたい」と思っているのかもしれない」

エレン「そうだな。そうなんだろうな。きっと」

ミカサ「私も中学時代、自分の「学力」を男子に嫉妬されて絡まれて大変だった事もある」

ジャン「え? 何でだよ。頭いい女はいいじゃねえか」

エレン「オレもそう思うけどな。嫉妬されたのか」

ミカサ「(こくり)男より頭がいいのが許せない。みたいな感じで言いがかりをつけられたり……」

サシャ「それは大変でしたねー」

ミカサ「男の人は女の人より嫉妬深いような気がする。特に「才能」に関しての「嫉妬」は女のソレとは比較にならない」

ジャン「気持ちは分からなくもねえけど」

エレン「まあ、なあ」

と、男同士で微妙な顔をするオレ達だった。

ミカサ「女の場合は「幸せ」そうだと嫉妬する。いい男と付き合っている女は嫉妬されたり。でも女同士は「頭の良さ」や「運動神経」等の嫉妬はあまりきかない。そういうのは男の人の方が「嫉妬」するんだと思う」

エレン「まあその通りだろうな。オレもそういう「部分」がねえ訳じゃねえし」

ジャン「ああ。そうだな。そういう意味じゃ、コニーは嫉妬されて当然の立場だ。甲子園に出場するわ、彼女とはラブラブ。遠距離恋愛っぽくても続いているって、順風満帆過ぎるもんな」

ミカサ「うん。だからと言って、それを他人が壊していい理由にはならない。コニーには絶対、暴れさせないようにしないと」

エレン「そうだな。野球部員が問題を起こしたら今までの努力が全部無駄になっちまう」

ジャン「ああ。絶対、皆でコニーを守ってやろうぜ」

と、其の時の4人のメンバーは飯とケーキを食べながら誓い合ったのだった。

907進撃の名無し:2014/09/05(金) 12:28:49 ID:u77iekT.0






13日。ヒッチから早速、裏付け捜査の結果が出たらしくその報告がきた。

昼休み。オレとミカサとアニとアルミンとジャンとサシャはヒッチの報告を聞いて青ざめる羽目になる。

ヒッチ「ビンゴだったよ。小学館の生徒の伝手を頼って情報を集めたら……コニーの元彼女の今の彼氏、あんまり評判のいい男じゃなかった」

ジャン「って事はやっぱり……」

ヒッチ「その元彼女が好きで奪ったとかの話じゃないっぽいね。しかもその男、どうも「誰か」に頼まれて元彼女に手出したみたいな話だったよ」

エレン「それって、奪った男が犯人じゃねえって事か?」

ヒッチ「巧妙だね。主犯格は別にいる。でも、そこまでは私も特定出来なかった。容疑者としてあげられるのは小学館高校の野球部全員だろうけど。あそこも野球には結構力を入れている学校だし。人数が多すぎて絞り込みは出来なかった」

ヒッチの情報網の凄さに感服した。たった2日程度でそこまで調べ上げたのか。

アニ「………許せない」

男関係では純粋なアニが怒りに燃えていた。

アニ「手出してきた男も、コニー恨んでいる男も許せない。そいつらが茶々入れなければコニーは今も幸せだった筈じゃないの」

ヒッチ「付き合い始めて9か月目に入るあたりだったんでしょ? 3の倍数は気をつけないと。別れやすいっていうしね」

ミカサ「そうなの?」

ヒッチ「最初の3週間。そして3か月。6か月。9か月。1年過ぎたら3年目が危ないってよく聞くね」

ミカサ「肝に銘じておく(キリッ)」

オレ達の場合は2月頃を特に気をつけないといけないな。丁度半年になるしな。

ヒッチ「そういう訳だから、私ももうちょっと調査を続けるけど。でもコニーにとってはあまり「いい情報」じゃなかったから、気をつけておいてね。もしコニーの耳に入ったら、多分、修羅場が勃発するよ」

ジャン「ああ。分かってる。ありがとうな。ヒッチ」

ヒッチ「ま、こういうのは得意中の得意だからね〜ところでジャン。服買ってくれる約束、いつ果たしてくれる?」

ジャン「修学旅行が終わってからでいいだろ」

ヒッチ「修学旅行中でもいいんだけどな〜」

ジャン「分かった。だったらテキトーなのを見つけてテキトーにやる。サイズはMでいいよな」

ジャン「Lでもいいよ。私、ゆったり系の服が好きだしね」

アニ「え? 何でジャンがヒッチの服を買う約束してるの?」

ジャン「コニーの裏付け捜査の件のお礼だよ。オレがヒッチに裏付け捜査を頼んだからな」

アニ「…………やっぱりジャンって最低」

ジャン「何でだよ?!」

アニ「別に」

アニがやっぱりジャンのいい加減なところにキレている。

908進撃の名無し:2014/09/05(金) 12:43:35 ID:u77iekT.0
サシャはジャンとヒッチのやり取りを微妙な表情で見守っている。

アルミンも同じ顔だ。アルミンは「ううーん」と唸って、

アルミン「ジャン、フラフラするのは止めようよ」

ジャン「はあ? オレ、フラフラしてねえよ」

アルミン「いや………まあ、いいや。うん」

アルミンはそれ以上言えないようだ。オレもあえてツッコミは入れない。

サシャは俯いて何も言えないようだ。こういうところ、やっぱりサシャは「臆病」なのかな。

サシャは「そういうのは止めて下さい」って言えない性格のようだ。

ヒッチ「あ、そうそう。私達の班も午前中、やっぱり別のところを回る事になったよ。コースを変更したんだ」

ジャン「映画村で1日遊ぶんじゃなかったのか?」

ヒッチ「ええっと、調べなおしたら清水寺に「縁結び」の神社があるって分かったから、それを知ったライナーが「予定変更するぞ」と言い出したwwww」

ミカサ「ああ。そう言えばそのようにマップルにも載っていた。見過ごしていたの?」

ヒッチ「みたいだね。そっちも清水寺には行くんでしょ? 午前中、よろしくね」

と、ウインクひとつ残してヒッチは去って行った。

エレン「清水寺の縁結びの件はオレ、知らなかったけど。まあいいか」

アニ「むしろグッジョブじゃない?」

ミカサ「グッジョブ。エレン」

エレン「適当に「名所」をあげただけだったんだが。かえって良かったな」

ミカサと縁結びの願掛けしに行こうかな。むふふ。

ジャン「…………」

サシャ「…………」

ジャンとサシャは互いに見合って何も言わない。

ああもう、こっちのカップルはリヴァイ先生とハンジ先生よりイライラするな!

どっちも先になかなか仕掛けない。平行線のまま行く気なのか?

909進撃の名無し:2014/09/05(金) 18:20:11 ID:u77iekT.0
アルミン「縁結びの神社か……僕もお参りしようかな」

アニ「アルミンも彼女欲しいの?」

アルミン「そりゃあこれだけ周りでわいわいやられるとね……」

アニ「ふーん」

アルミン「アニもお参りする?」

アニ「一応ね。金の稼げる安定した仕事を持つ男が見つかりますようにって願掛けしてくる」

アニはそこだけは絶対に譲らないらしい。

アルミンが将来「弁護士」になれれば十分「その相手」として相応しいと思うんだけどな。

アルミン「ははは……アニはその辺抜け目がないね」

アニ「お金の苦労をして育った訳だしね。うちのクソ親父のせいで自己破産寸前までいって大変だった時期もあるんだ。だから持ち直した時は本当に「死ぬかと思った」し、お金で苦労するのは二度と御免だと思ったの」

アルミン「そうだったんだ………」

アニ「博打は身を滅ぼすよ。だから賭け事をする男だけは絶対、ダメだね。私の場合は。それ以外は、多少不細工だろうが、体が細かろうがデブだろうが大目に見るよ。男は見た目じゃない。絶対「中身」だと思ってる」

アルミン「もしかして、アニのお父さん、結構イケメンだったりする?」

アニ「いや、その辺は普通だと思うけど。割と女にはモテるタイプかも。だから女関係でも面倒臭い事が多々あって……本当、ダメ親父だから困ったもんだよ」

アニの「浮気性の男が嫌い」な理由はやっぱり親父さんが関係しているようだ。

アニ「だから私は絶対、親父みたいな男とは結婚しない。いい男が見つからない場合は独身でもしょうがないとすら思ってる」

ミカサ「アニ、それは幾らなんでも大げさ……」

アニ「結婚して不幸にだけはなりたくないんだよ。リヴァイ先生とハンジ先生は幸せな結婚が出来たからいいけど。リヴァイ先生のアレも、今は収まっているから許してやれるんだろうけど。もし復活したら本当にあそこ手術して大学の研究用に保管してやってもいいと思うよ」

エレン「アニ、折角削った「本当の台詞」をここで言うなよ」

実はあの時の「台詞」には「あんたのあそこを大学の研究用に保管させてやろうか?」っていう言葉が入っていたそうだ。

それは流石に「あんまりだ」という事で舞台上ではカットになったけどな。

いや本当。そこをちょんぎる想像は男としては最もしたくない想像のひとつだからやめて欲しい。

910進撃の名無し:2014/09/05(金) 18:40:11 ID:u77iekT.0
アニ「ああ。ごめん。でも女から見たらそれくらいの事、してやりたいくらい浮気は許せないもんなんだよ」

サシャ「激しいですね〜」

アニ「サシャだって浮気は許せないんじゃないの?」

サシャ「わ、私ですか? ど、どうでしょうかねえ〜?」

と、曖昧に誤魔化すサシャだった。

サシャ「私はその辺の事は良く分かりません。恋愛をした事がないので……」

また誤魔化し笑いだ。ジャンが半眼でそれを見つめている。

サシャはまだ「認める」気はさらさらないらしい。

この辺の攻防に決着がつかない事にはジャンも一歩踏み出せないよな。

サシャ「でもそうですね。いつか……いつか将来は、彼氏が欲しいなあって気持ちがない訳ではないですよ」

ジャン「!」

サシャ「誰かと一緒に暮らしてみたい気持ちはあります。デートだって、してみたいですし。彼氏の奢りで」

ミカサ「そうね。以前、サシャは言っていた。「一緒に居て楽しい」「飽きない」「料理上手」な相手が見つかるといい」

サシャ「よく覚えていましたね!? 言った自分が忘れていましたよ! それを話したのは確か研修旅行の時でしたっけ?」

ミカサ「そう。研修旅行のお風呂でいろいろ理想を語り合った」

ミカサ達のお風呂の様子を盗み聞きしたのも今ではいい思い出だな。

アニ「そういう意味じゃ、サシャはコニーが割と理想の相手じゃないの?」

サシャ「ええ? そうですかね? ううーん」

サシャは首を傾げている。

サシャ「確かに一緒に居て楽しい相手ではあるんですが………コニーは本当にそういう意味でドキドキした事がないんですよね」

アニ「分かんないよ? 今はそうでも。ハンジ先生みたいに気が変わるかも?」

サシャ「や、やめて下さいよ変に煽るのは! あの劇はあくまで「ハンジ先生」がそうだったって話で、私にそのまま当てはまる訳ないじゃないですか!」

アニ「ハンジ先生もずっとそうやって抵抗していたのにねえ」

と、アニはジャンの事が気に食わないせいなのか、コニー推しになったようだ。

911進撃の名無し:2014/09/05(金) 19:15:59 ID:u77iekT.0
と、其の時、昼休みが終わるチャイムが鳴った。

話はここまでだ。それぞれ自分の席に戻った訳だけど………。

サシャ「ドキドキしたのは、コニーじゃないんですけどね」

と、独り言のような言葉が後ろから聞こえて「ん?」となった。

振り向くと、目が合ってしまった。サシャは慌てて「な、なんですか?」と誤魔化し笑いを浮かべた。

オレは「何でもねえよ」とあえて突っ込まないで前を向いた。

今の台詞を分析するなら「コニー以外の誰か」には「ドキドキ」した経験があるという事になる。

やれやれ。それを「恋」っていうんだけどな。土俵際に追いやられている癖にまだ粘るのか。

隣のジャンは今のサシャの声、聞こえていたのかな。

微妙な顔で前を見ている。こっちと目が合って「何だよ」と言われた。

エレン「いや、まだまだ前途多難だなって思ってな」

ジャン「ん? 別に。全然。この程度の障害は「障害」のうちに入らねえよ」

エレン「へー前向きだな。お前。以前と比べて変わったな」

ジャン「ミカサで耐性ついたからな。サシャが「彼氏」を「欲しい」と思っていると聞けただけでも上出来だ」

と、ニヤリと気持ち悪い笑みをこっそり浮かべているジャンだった。











そして14日。修学旅行当日になった。あっという間に当日が訪れた。

バスの中でクラスの人数を確認するキース先生だったが……

キース「あーまたコニーが来ていないのか?」

コニー「オレ、もう来てますよ?」

キース「何?! いつも遅刻魔のお前がこういう時は真面目だな!」

コニー「当然っす! 修学旅行は気合入っているんで!」

キース「では誰が遅刻しているんだ? 1人まだ来ていないぞ?」

912進撃の名無し:2014/09/05(金) 23:39:18 ID:u77iekT.0
遅れているのはなんとジャンだった。その直後、滑り込みセーフで駆けつける。

ジャン「遅れてすんません!!!!!」

汗だくで走って何とかバスに間に合った。1分遅刻だ。

キース「あーまあ、1分程度だから良しとする。急いで席につけ!!」

今回のバスの席順は出来る限り班のメンバーが近くなるように決まっていた。

オレ達は1班だから右側の前列に固まっていた。2班の余りの奴と隣同士で座る。

ジャンの隣はヒッチだった。ヒッチは「何で遅れてくるのよwww」と笑っていたが。

ジャン「すまん………昨日の仕事がちょっとな」

ヒッチ「ああ。漫画家のアシスタントしていたんだっけ?」

ジャン「そうだ。緊急でちょっと、夜呼び出されてな。昨日は1時間しか寝てねえ」

ヒッチ「えええええ……過酷だね。何で修学旅行の前日に呼び出されているのよ。断れば良かったのに」

ジャン「そういう訳にもいかねえよ。金を貰っている身分だし。あとヒッチにも奢る約束しているしな」

ヒッチ「おお? これは期待していていいのかな?」

ジャン「猫の全身ツナギでいいか? 寝間着とかで使うようなアレで」

ヒッチ「ちょっとwwwキャラものかよwwwウケるwwww別にいいけどさあ」

とか何とか楽しそうに話しているのが後ろの方で聞こえる。

オレはミカサと、その後ろにアニとアルミン、その後ろにはサシャとコニーが並んで座っていて、その後ろにジャンとヒッチが座っているんだが。

バスが動き出してからコニーが身を乗り出して後ろに話しかけていた。

コニー「なあなあ。アシスタントって、そんなに忙しいのか?」

ジャン「いや、昨日は特別だ。オレ、作画の手伝いしているから。頁が急遽、増量したから来てくれって頼まれたんだよ」

サシャ「では明日から先生、忙しいんでしょうか?」

ジャン「恐らくな。でもオレも今日から修学旅行だし。流石に修学旅行をサボる訳にはいかんだろ。だから昨日の夜の時点で出来る範囲だけでアシしてきたんだよ」

サシャ「私には声がかからなかったんですが……」

ジャン「電話入ったのが10時過ぎていたからな。女の子をそんな時間に出歩かせたくなかったんだろ。多分」

サシャ「ううう……呼んで貰えたら私も行ったんですけどねえ」

ジャン「いや、そこは流石に気遣うだろ。オレは男だからこういう時も動けるけど。女は夜出歩くもんじゃねえよ」

サシャ「男女不平等ですー(ズーン)」

コニー「いやーでも、気持ちは分かる。うちの野球部も女子マネージャーは8時までには絶対家に帰すからな。部員は9時まで練習やっているけど。女子は危ねえよ。夜は遅くならん方がいいって」

ヒッチ「ん〜でも待って。深夜って確か、18歳未満は働いたらダメなんじゃなかったけ?」

ジャン「法律上はそうなるな。だから深夜に呼びだされる時はオフレコだ。経理上は時間帯を変えて記録するんだよ」

本当はやってはいけない事だけどな。真似しちゃダメだぞ。

ヒッチ「ええ……それって不当なやり方じゃない? 深夜に働けばもっと稼げるのに。ジャン、要領悪すぎない? 残業手当がついてないようなもんだよ?」

ジャン「あーその辺は頭では分かってはいるんだが、オレ、今のアルバイト、気に入っているから別にいい」

と、ジャンが言っている。

ジャン「今の仕事、クビにならん限りは続ける予定だし、18歳になったらちゃんと深夜手当の経理にしてくれる約束だしな。大学に行っても今のアルバイトは続ける。地元の大学を受けるつもりだしな」

ヒッチ「ジモティーになるんだ。へー。私、てっきり県外に出るかと思ってた」

ジャン「自宅から通える大学に行くつもりだよ。ヒッチは高校卒業したらすぐ働く予定だったっけ?」

ヒッチ「ん〜そのつもりだったんだけど、親が「学力ある癖に何でわざわざ水商売になるの?!」ってキレかかっているから、どうしたもんかと。とりあえず、女子大に行って箔をつけておくのも悪くないかなあって、気持ちが揺れているんだよね」

913進撃の名無し:2014/09/06(土) 01:38:03 ID:ONBOCIvY0
コニー「女子大に行ける学力あるなら行った方がよくねえか?」

サシャ「私もそう思いますー」

ヒッチ「そう? やっぱりそうかな〜? まあ女子大生やりながらバイトで水商売もやれなくはないし、そっちでもいいかなって気もしているけどね」

ジャン「そっちの方がいいんじゃねえか? だったら来年は大学進学組になるのか」

ヒッチ「ん〜まあ、多分そうなるかな? とりあえず、栄養学を学べる女子大にでもいこうかと思うよ。私、料理好きだし。栄養士の資格でも一応、取っておこうかな」

ジャン「そのままそっちの方面で仕事に就いてもいけそうな気がするけどな。ヒッチは要領いいだろ」

ヒッチ「いや〜でも金の稼ぎがね〜水商売に比べたら稼げないからね〜私、金使い荒いし」

と、ヒッチはまだまだ進路がフラフラしているようだ。

ヒッチ「コニーとサシャは就職組だっけ?」

サシャ「そうですね。そっちを希望しています」

コニー「オレもそっちだな。ドラフト会議に呼ばれるのが夢だけど」

ヒッチ「じゃあこうやって話せるのも1年のうちだけかもしれないね」

サシャ「え? クラス別れても遊べばいいじゃないですか」

ヒッチ「うーん。どうだろ? クラス別れたら授業の進度も変わってくるし。遊ぶ時間がなくなるかもしれないよ」

ジャン「大学進学組と就職組では時間割が変わってくる。オレも受験体制に入ったら流石にバイトの頻度は一時的に落とすよ」

サシャ「あ………そうなんですか」

ジャン「当たり前だろ。3年になったら進路決まるまではお休みさせて貰うつもりだ。先生にはもうその話は先に通してあるしな。だからこそ、今のうちは無茶な呼び出しにも対応しているんだよ」

と、ジャンは計算高く考えているようだ。

サシャ「そ、そうだったんですか………」

サシャの声が急に萎んでいくのが分かった。

サシャ、その気持ちの正体にそろそろ気づいてもいいんじゃねえか?


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