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エレン「この長い髪を切る頃には」2

1進撃の名無し:2014/07/25(金) 18:53:56 ID:Yeod/N2g0
*続編です。ミカサ「この長い髪を切る頃には」→エレン「この長い髪を切る頃には」の続き。もう1回エレン視点で書いていきます。

*現パロです。現在、エレンの髪がちょっとずつのびています。(ミカサよりちょい長め。小さいしっぽ有り)

*舞台は日本ですがキャラの名前は基本、カタカナのまま進めます。漢字の時もあるけど、細かいことは気にしない。

*実在の人物とかは名前やグループ名等をもじっています。時事ネタも有り。懐かしいネタもちらほら。

*原作のキャラ設定は結構、崩壊。パラレル物苦手な方はご注意。

*原作のキャラ性格も結構、崩壊。原作と比べて「誰だてめえ」と思った方はそっと閉じ推奨。

*レスに対するお返事レスは返せない事が多いかも。体力温存の為。無視している訳じゃないんで、OK?

*感想は毎回有難い。でも自分の妄想話を書くのはNG。読んでいる人が混乱するから。本編と混ぜるな危険。

*雑談は雑談スレでお願いします。雑談嫌いな読者の方もいらっしゃるからね。

*現在、ジャン→ミカサ、ジャン(?)→サシャ、オルオ→ペトラ→リヴァイ←ニファ リヴァイ→ハンジ←モブリット ライナー→クリスタ←アルミン←アニ(?)←ベルトルト イアンリコあたりもちらほら。というか、そのつもりで書いています。

*安価時以外のアイデア・オリジナルの設定等の提案は禁止させて頂きます。(エレン「この長い髪を切る頃には」の時にトラブルが発生した為です)

*その代わり、安価出した時は出来る限り(多少無茶振りでも)採用する方針でやっていますので、宜しくお願いします。

*モブキャラも多数出演。オリキャラ苦手な方もご注意。キャラ濃い目。

*そんな訳で、現在設定しているオリキャラをざっとご紹介。


マーガレット(2年生♀)→大道具リーダー。漫画描ける。腐ってる女子。皆のお姉さん的ポジ。

スカーレット(2年生♀)→大道具。立体造形専門。ロボットもいける。たまに腹黒。

ガーネット(2年生♀)→大道具兼衣装。コスプレ好き。ちょっと大人しめのオタク。

アーロン(2年生♂)→役者。元野球部。高校から演劇始める。

エーレン(2年生♂)→役者。元サッカー部。高校から演劇を始める。

カジカジ(1年生♂)→役者。外見はエレンに似ています。明るい男子。愛称は「カジ」。

キーヤン(1年生♂)→役者。ジャンよりイケメン。歌上手い。

マリーナ(1年生♀)→役者。少年の声が出せる。ナレーションうまい。ほんわか系女子。


*原作のモブの名前が判明すれば……途中加入もあるかもです。

*外伝のキュクロとシャルルも出ています。二人は野球部投手とマネージャー。

*先生方の年齢設定が原作より(恐らく)若干高め設定になっています。

*リヴァイ先生(38歳)というおっさん設定に耐えられない方は御免なさい。

*加えてリヴァイ先生の潔癖症が病気レベル扱い(笑)になっているので、御免なさい。

*リヴァイ先生の性癖(?)も大分、斜めってる設定になっています。ご了承下さい。

*エルヴィン先生(43歳)も相当なオタク設定になっています。リヴァイより更に斜め方向に変態です。本当に御免なさい。

*ハンジ先生(36歳)が昔は美人だったよ設定です。ややモテキャラですが、リヴァイに比べれば蟻の触覚程度です。

*リヴァイ先生がモテ過ぎ設定です。気持ち悪いくらいモテキャラです。愛され過ぎて御免なさい。



*ラスト100レスは完成する迄、レス自重お願いします。レス足りないと書き手としてプレッシャー過ぎる。

*そんな訳で、現パロ(エレン視点編)を始めます。OK?

627進撃の名無し:2014/08/21(木) 23:23:56 ID:FTVzlUXI0
その後、次の日の朝にハンジ先生が登場して二日酔いに陥ったリヴァイ先生を弄ったそうだ。

ハンジ(エレン)『エルヴィンから聞いたよ! リヴァイの限界値、20杯だったんだってね! 私の勝ちだね! 大丈夫?』

リヴァイ(ミカサ)『あんまり大丈夫じゃねえよ。昨日の記憶が途中から飛んでいる』

ハンジ(エレン)『あははは! 記憶ぶっ飛びおめでとう! その恐怖を越えてこそ初めて「大人」になるわけですよ!』

リヴァイ(ミカサ)『あんまり笑いごとじゃねえ……ううう。気分悪い』

ハンジ(エレン)『ウコン買ってきたからどうぞ☆』

リヴァイ(ミカサ)『後で頂く。ありがとう……』

ハンジ(エレン)『良かったね! 今日はお休みで! 今日はさすがにお風呂はお休みだよね?』

リヴァイ(ミカサ)『ああ……そうだな。俺は寝る』

ハンジ(エレン)『うん。じゃあお休みー。またね〜♪』

と、お風呂がキャンセルになってウキウキで退場していくハンジ先生の姿を見て、

リヴァイ(ミカサ)『あ、ちょっと待てハンジ』

ハンジ(エレン)『ん? 何? なんかおつかい頼みたいの?』

リヴァイ(ミカサ)『いや、そうじゃねえんだが……1人で風呂には入れないのか?』

ハンジ(エレン)『そこまで強制されたくないよ! いいじゃん! 1回くらいお休みしたって!』

リヴァイ(ミカサ)『でも………』

ハンジ(エレン)『それに今は2月だし、お風呂結構寒いから、3月になってから入ればいいじゃない』

リヴァイ(ミカサ)『3月1日には卒業式がある。それまでに1回入っておかないと……』

ハンジ(エレン)『先心配し過ぎ! 其の時は当日の朝に一緒に入るよ! はい! 決定! もういいよね?』

リヴァイ(ミカサ)『朝はバタバタするから無理だろ。お前、ちゃんと起きられるのか?』

ハンジ(エレン)『起きます! 卒業式くらいはちゃんとします! だからほら、リヴァイは寝る!』

と無理やりベッドに押し戻す。

ハンジ(エレン)『もーリヴァイって、変なところで頑固だね。リヴァイが彼女に振られたのって、そういうところも原因なんじゃないのー?』

ぐさああああ!

というSEが入って会場が笑いに包まれた。

ハンジ(エレン)『潔癖症も過ぎるしー? 過保護なところもあるしー? 結構、欠点多いのに。何でモテるのかな? 不思議!』

ひどいwwwwwフルボッコwwwww

という声が聞こえた。実際はもっと一杯酷い事を言われたそうだが、そこは省略だ。

628進撃の名無し:2014/08/21(木) 23:26:31 ID:FTVzlUXI0
リヴァイ(ミカサ)『うるさい。傷口に塩を塗り込むな』

ハンジ(エレン)『寄り戻した彼女にまた振られたんでしょ? 何が原因だった訳?』

と、優しい声音になってベッドに座るハンジ先生。ベッドに寝ていたリヴァイ先生は起き上って……

言えない。と思ったそうだ。理由は分からないが。

リヴァイ(ミカサ)『すまん。それはハンジには言えない』

ハンジ(エレン)『という事は、余程悪い事をやらかしたんだね?』

リヴァイ(ミカサ)『だろうな。あの剣幕は凄かった。もうやり直せないと思う』

ハンジ(エレン)『やり直したくない、の間違いでしょ? ダメだよ。自分の感情に嘘ついちゃ』

リヴァイ(ミカサ)『え?』

ハンジ(エレン)『拗れた経験だったら私もそれなりに持っているよ。そういう時は、ちゃんと自分に責任を持たないとダメ。自分を悪人にしたくないのは分かるけど。「自分がどうしたいか」という感情から逃げちゃダメ。相手のせいにしちゃダメだよ』

リヴァイ(ミカサ)『そういう時は厳しい意見なんだな。ハンジは』

ハンジ(エレン)『んー…私も以前はそうだったからね。世間から見たら「酷い」って思われる事をするのは勇気要るし。ついつい「相手」が悪いんだって思うようにして自分の心を守っていたから。でも、それって「ずるいよ」ってエルヴィンに昔言われたの。手汚すんだったら、そこは覚悟しないとって。「悪者」になる覚悟みたいなものかな? 我を通すんだったら、いい人では居られないよ』

リヴァイ(ミカサ)『…………そうか』

ハンジ(エレン)『相手から「別れたい」って言われたんだよね? 多分』

リヴァイ(ミカサ)『ああ……「やっぱり別れたい」と切り替えされた』

ハンジ(エレン)『もう2回も相手から別れを切り出されたんだよね? だったらもう良くない? リヴァイ自身がそこまでその子に執着ないなら、もうその子との縁はそれまでだったって事だよ』

リヴァイ(ミカサ)『執着……か』

ハンジ(エレン)『うん。捨てられるか。捨てられないか。要はそういう事でしょ? 相手の方もその辺が知りたかったから、1回嘘ついたんじゃないのかな? ……多分』

リヴァイ(ミカサ)『………』

答えが見えないまま黙り込むリヴァイ先生だった。

そしてその時、家のチャイムが鳴る。

ハンジ(エレン)『あ、いいよ。私出るから。エルヴィンじゃない? 多分』

ハンジ(エレン)『はいはいー今出ますよー』

ハンジ(エレン)『!』

ハンジ(エレン)『エルヴィンじゃない! どどどどどうしよう! リヴァイ!』

リヴァイ(ミカサ)『え?』

ハンジ(エレン)『女の子だよ! あんたの元彼女じゃない?! うわ……ヤバい! 私、帰るね! ベランダから帰るから!』

リヴァイ(ミカサ)『いや、危ないから止めろ。そこに居ていいから』

ハンジ(エレン)『絶対だめ! 修羅場になるから! クローゼット! ベッドの下! 何処でもいいから! 私を隠して!!!』

リヴァイ(ミカサ)『別に何もやましい事はしてねえだろ。堂々としてろ』

ハンジ(エレン)『無茶言わないで!!!! あ、ちょっと待ってリヴァイ!!!』

そしてリヴァイ先生はドアを開けたそうなんだ。

オレだったら同じ真似は絶対出来ない。修羅場になるの確定だもんな。これ。

629進撃の名無し:2014/08/21(木) 23:28:32 ID:FTVzlUXI0
女2(アニ)『あ………リヴァイ、寝ていたの?』

リヴァイ(ミカサ)『二日酔いだ。今日はあんまり気分が良くない』

女2(アニ)『……でも、靴、あるよね。誰か来ているの?』

リヴァイ(ミカサ)『客が来ている。俺の友人だ』

女2(アニ)『………そう。もう、新しい「友人」が出来たんだ』

リヴァイ(ミカサ)『職場の同僚だ。ハンジが来ている』

女2(アニ)『!』

リヴァイ(ミカサ)『ハンジ、こっち来い。紹介する』

ハンジ先生はこの時、本気で「アホかああああ!」と思ったそうだ。

同じ眼鏡をかけた女性同士が対峙して物凄く気まずい空気になったそうだ。

女2(アニ)『出直した方がいいみたいだね』

リヴァイ(ミカサ)『別に構わん。中に入るか?』

女2(アニ)『いや、いいよ。帰る。もうここには来ないよ』

リヴァイ(ミカサ)『何で』

女2(アニ)『その人の方が大事なんでしょ? そういう事なんでしょ? 私よりも』

ハンジ先生はこの時、窒息しそうな勢いで息が出来なかったそうだ。

別に悪い事は何もしてないんだけどな。誤解なんだけど。

だから説明するべきか迷ったけど、ここでそれを言っても信じて貰えそうにないので、黙るしかなかったそうだ。

リヴァイ(ミカサ)『さあな。それは俺にも良く分からん』

女2(アニ)『は?』

リヴァイ(ミカサ)『2人同時に溺れたら、俺は両方助けに向かうだろう。その力も持っている。もし2人とも助けられないと思ったら、俺は自分の命を犠牲にするかもしれないな』

女2(アニ)『……笑えない冗談だね』

リヴァイ(ミカサ)『人を助けるっていう事は自分の命を懸けるって事だろ。俺は人が死ぬ様は出来るだけ見たくないと思う性質だからな』

女2(アニ)『そういう話がしたい訳じゃないんだけど』

リヴァイ(ミカサ)『なら、話したい事をここで言ってくれ』

女2(アニ)『その人に聞かせてもいいの?』

リヴァイ(ミカサ)『ハンジ、帰りたいなら帰っていいぞ』

ハンジ(エレン)『帰ります! 帰らせて頂きます!!!!』

と、まるで逃げるように帰ろうとして……

630進撃の名無し:2014/08/21(木) 23:30:04 ID:FTVzlUXI0
女2(アニ)『待って』

ハンジ(エレン)『!』

女2(アニ)『あなた、リヴァイの「友人」? 本当に……そうなの?』

ハンジ(エレン)『友人です! 職場の同僚です! それだけです!』

女2(アニ)『……………』

ハンジ(エレン)『う、疑いたい気持ちも分からなくもないけど、本当です! じゃあね!』

女2(アニ)『やっぱり待って』

ハンジ(エレン)『ううううう……』

女2(アニ)『リヴァイが他の女と繋がっているのはいつもの事だし、そんなのは皆、承知しているけど』

ハンジ(エレン)『でしょうね! こいつ、最低最悪のプレイボーイだもんね!!』

女2(アニ)『友人なら別にここに居てもいいのに。何でそんなに慌てて逃げようとするの?』

ハンジ(エレン)『無茶言わないで!!! どう考えても私、部外者でしょうが!! 聞いちゃイケナイ話まで首を突っ込む程、厚顔無恥じゃないからね!』

女2(アニ)『……………やっぱりこの人が本命?』

と、今度はリヴァイ先生の方を見たそうだ。

リヴァイ(ミカサ)『何故そう思う?』

女2(アニ)『だって、今までこういう反応した女、いなかったじゃない。私、何度も見て来たし。他の女が居ても別に構わなかったし。遭遇した相手も「どうもー♪」くらいの軽いノリだったじゃないの』

うーん。この辺がもういろいろアレ過ぎて何も言えないよな。

大人の世界過ぎる。子供に見せていいのかな? って思う劇だよな。

まあ、純粋な子供は「?」ってなっているだけだろうけど。

あ、でもヒッチがすげええワクワクした目で劇を見ている。

あいつ、こういう「修羅場」が好きなのかな。それっぽい。

リヴァイ(ミカサ)『……………はあ』

しかしそこでリヴァイ先生は大きなため息をついたそうだ。

リヴァイ(ミカサ)『だったらどうした? ハンジは今までの女と毛色が違うだけだ。それだけだろ』

女2(アニ)『………否定しないんだ』

リヴァイ(ミカサ)『もう、そう思うなら好きにしろ。俺も説明するのが面倒だ。信じないなら、それでも構わん』

女2(アニ)『!』

ハンジ(エレン)『あ、あんたねえ…!』

リヴァイ(ミカサ)『今ここで「ハンジは本命じゃない。ただの友人だ」ってどんなに言っても信じないなら意味ねえだろ。俺も少々疲れた。別れたいって言い出したのはそっちだろ。もうお前の好きにしたらいい』

うわ……最低男、ここに極まりだな。好感度ダダ下がりだけど。

リヴァイ先生、このシーンOK出したんだよな。何故か。

多分、この後のシーンが重要だからだと思うけど。

631進撃の名無し:2014/08/21(木) 23:31:28 ID:FTVzlUXI0


ゴッ………!!!!!!



この直後、ハンジ先生の右ストレートと、エルボーと掌底と、ええっと、いろいろ。

ぶちかまして、リヴァイ先生をはり倒したんだそうだ。

このシーン、本当はやりたくないけど。オレは出来るだけミカサを傷つけないように手加減しようとしたけど。

ミカサが「それはダメ」と言い出したので、オレもなるべく本気でやる。

むしろスッとするシーンだからガツンといけ! と言われてしまってオレとしては複雑だ。

目を白黒するリヴァイ先生にハンジ先生は言ったそうだ。

ハンジ(エレン)『…………リヴァイとは絶交する』

リヴァイ(ミカサ)『は?』

ハンジ(エレン)『あんたがここまで酷いクソ野郎だとは思わなかった。何が「好きにしろ」よ。あんた、自分の事、何様だと思ってんの? ああああ?!』

リヴァイ(ミカサ)『えっと……あの…』

ハンジ(エレン)『ええっと、彼女さん? こんな最低な男といつまでもグダグダ付き合う必要なんてこれっぽっちもないよ! 金輪際、縁切っちまっていい!!! 絶対、寄り戻さない方がいいよ!』

女2(アニ)『えっと、あの……』

ハンジ(エレン)『私はあんたの事、結構、認めていたんだけどね! 女には優しいし、痴漢は許さない正義感はあるし! 気遣い屋だし?! だから「友達」としてまずは知ってみたいと思った! でも、あんたもやっぱり「男」なんだね。結局はただ、ずるいだけじゃないの!!!!』

リヴァイ(ミカサ)『……………』

ハンジ(エレン)『彼女がどんな気持ちでここに来たと思ってるの? 私には彼女が羨ましいよ! 私、そういう意味で一途に人を好きになった事、ないんだもの! 青春を捧げた事、ないんだもの! そういう乙女を、あんたは適当にあしらった。面倒臭く感じたっていう、ただそれだけの理由でね! 二日酔いを差し引いても、今のあんたはピー(自主規制)を切って処分した方がいい程度の最悪の男だよ!!!』

女2(アニ)『あの、その辺で押さえて……』

ええっと、これでも大分、規制入れているんだ。実際はもっと長い台詞だったそうで。

リヴァイ先生、本気で呆気に取られたんだ。いや、女の人って怒らせると怖いよな。本当に。

ハンジ(エレン)『なんなら今すぐ手術してやろうか? ああ? どうする? どうする?』

マッドな表情に豹変したハンジ先生にさすがのリヴァイ先生も自分が悪かったと自覚したようだった。

リヴァイ(ミカサ)『すまん! 俺が悪かった!!!!』

と、ハンジ先生の前で土下座したそうだ。

632進撃の名無し:2014/08/21(木) 23:33:02 ID:FTVzlUXI0
ハンジ(エレン)『土下座の相手が違う!!!! こっちでしょ!!!』

リヴァイ(ミカサ)『すまん! 俺が悪かった!!!! (2回目)』

女2(アニ)『えっと、顔、あげていいよ? リヴァイ……』

リヴァイ(ミカサ)『いいや、俺が悪かった。まずは謝らせろ。頼む』

女2(アニ)『えええ……』

リヴァイ(ミカサ)『確かに俺は自分勝手だった。その……こいつは本当にそういう相手じゃない。これで分かったよな?』

女2(アニ)『うん。理解した! これは確かに、そういう相手じゃないね。分かった。信じる』

リヴァイ(ミカサ)『良かった。信じてくれたか……』

女2(アニ)『うん。うん。信じる。信じるよ……リヴァイ!』

会場は凄いドン引きだったな。居た堪れない空気だったけど。

ハンジ『あー若気の至りで許してね☆』

リヴァイ『ハンジはキレると本気で怖いからな……(ガクブル)』

と、いろいろ思い出してリヴァイ先生も両目を閉じていた。

あ、でも、一部の女子の間ではウケているようだ。ヒッチとか。

あいつ、腹抱えて笑ってやがる。強いなー。

ハンジ(エレン)『あーこれでOK? くっつくにしろ、くっつかないにしろ、1回ちゃんと話し合いなさい。その上で別れるならスパッと別れて、新しい男、見つけなさい! いいね!』

女2(アニ)『は、はい………』

という訳でハンジ先生は退場して、この結果どうなったかと言うと……。

場転。後日、リヴァイ先生はハンジ先生に話したそうだ。

633進撃の名無し:2014/08/21(木) 23:35:06 ID:FTVzlUXI0
リヴァイ(ミカサ)『あー別れる事になったよ。今度こそ』

ハンジ(エレン)『あ、そうなんだ。良かったねー』

リヴァイ(ミカサ)『ああ。お互いにはっきりさせないでズルズル曖昧に続けていたのが悪かった。あいつもふんぎりがついたそうだ。俺自身も、自分の気持ちとちゃんと向かい合って、結論を出した。俺はただ、相手に甘えて流されていただけだったんだってな』

ハンジ(エレン)『だよねー。流され過ぎだよね。風に吹かれる柳じゃないんだから』

リヴァイ(ミカサ)『決してあいつの事は嫌いじゃなかったんだがな。でもそれは「好き」とは微妙に違う物だと気づいたよ。あいつはずっと「それ」が欲しかったんだそうだ。それが手に入らないなら諦めると。そうきっぱり言われたよ』

ハンジ(エレン)『あー良かった! 一見落着だね! あ……』

リヴァイ(ミカサ)『ん?』

ハンジ(エレン)『私、リヴァイと絶交するって言っちゃったのに、会話してるんじゃん! ダメじゃん! ええっと……』

リヴァイ(ミカサ)『すまん、絶交は取り消してくれ』

ハンジ(エレン)『ええ?』

リヴァイ(ミカサ)『というより、今日から正式に申し込みたい。俺の「友人」になってくれ』

ハンジ(エレン)『ん? つまりどういう事?』

リヴァイ(ミカサ)『あの一発で目が覚めたんだよ。今までの俺がどれだけ「アホ」だったかって。もう同時に複数の女と付き合ったり、一晩だけの関係とかは止める。今までのやり方は全部捨てて、1対1の関係からまずは始めようと思う。交際期間が短くなってもそこは守ろうと思う』

ハンジ(エレン)『そうだね! まずはそこからだね! 私もいろいろあったけど、そこだけはせめて守っていたからね!』

リヴァイ(ミカサ)『あと……すまなかったな。あの時、咄嗟に「友人だ」って言わなくて』

ハンジ(エレン)『え?』

リヴァイ(ミカサ)『本気だったんだな。ハンジの言葉を疑っていた俺が悪かった。今までは「友人」でいたいと言いつつそこから「恋人」のような関係か、体の関係を望む女ばかり、俺に近寄ってきていたから、ハンジの言葉も半信半疑だった。というか、限りなくクロに近いグレーだと思っていたんだよ』

ハンジ(エレン)『OH……疑われていたのね。それは確かに心外だねー』

リヴァイ(ミカサ)『ああ。だから今度からはちゃんと「友人だ」って女には説明するよ』

ハンジ(エレン)『んんーそれはそれでまた問題でもあるんだけどね』

リヴァイ(ミカサ)『え?』

ハンジ(エレン)『ええっと、あんまり誇張すると、逆に「嘘だー」って思うのが人の常というか、その辺は「さあな」くらいで曖昧に濁してもいいよ?』

リヴァイ(ミカサ)『え? じゃあ何であの時、あれだけキレた?』

ハンジ(エレン)『いや、私がキレたのは友人関係である事を言わなかった事じゃなくて、相手に「好きにしたらいい」って冷たく言い放ったところだよ。あの時のリヴァイ、本当に「冷めた目」していたからね。相手に愛情がないのは分かるけど。あれはやり過ぎだと思ったのよ』

リヴァイ(ミカサ)『そうか。俺はそんなに「冷めた目」をしていたのか。自分では自覚がなかったな』

ハンジ(エレン)『うん。相手に選択権を委ねていい場合と悪い場合、あるからね。あの場合はリヴァイが彼女に対する愛情が薄れていたのも分かっていたけどさ。だからと言って、丸投げはあんまりだと思ったの。それってただの責任逃れのようにしか見えなかったし。それだったら自分が悪役になっても「すまん。俺、お前の事、どうしても生理的に受け入れられないから無理」って言われた方がまだマシかなーって』

リヴァイ(ミカサ)『生理的に無理って、それも結構酷い振り方だな』

ハンジ(エレン)『え? 私、言った事あるよ? 大昔だけど。さすがに「酷過ぎる」って言われたからそれ以後は止めたけど』

と、ハンジ先生の過去を暴露した直後、またドン引きする人々がいた。

しかし、何故かヒッチだけが「それすっごく分かる!!!!」って共感していたので内心吹いた。

634進撃の名無し:2014/08/21(木) 23:38:03 ID:FTVzlUXI0
リヴァイ(ミカサ)『ほー……いつも汚らしい格好をしているお前が偉そうな事を言ったもんだな。お前の場合は「言われる側」なんじゃないのか?』

ハンジ(エレン)『え? そ……そんな事はないよー……多分』

リヴァイ(ミカサ)『だったら「生理的」に受け付けない感覚はお前も理解出来るんだな? だったら、俺がお前の「汚さ」を許容できない気持ちも理解出来るよな?』

ハンジ(エレン)『え? それとこれとは別だよー。微妙にニュアンスが違うって!』

リヴァイ(ミカサ)『いいや? 同じだろ。この間の休みはいろいろあったから、出来なかったが……今日の夜、やるか』

ハンジ(エレン)『いやー! 墓穴掘った! やめて! 今回くらいサボってもいいじゃん! 来月に回してよおおおお!』

リヴァイ(ミカサ)『断る。卒業式の朝なんて短い時間でやれるか! 夜、洗ってやる。この間の礼も含めてな』

ハンジ(エレン)『お礼だったらお酒の方がいいよ!! 飲ませてくれた方が余程いい!』

リヴァイ(ミカサ)『仕方ねえな。だったら妥協して「酒風呂」にでも入るか?』

ハンジ(エレン)『え? そんなのあるの?』

リヴァイ(ミカサ)『あるぞ。風呂の中に少しだけ酒を混ぜて入る方法だ。それなら入るよな?』

ハンジ(エレン)『え? なんだ……一瞬、お湯を全部「お酒」に代えて入るのかと思った』

リヴァイ(ミカサ)『それも出来なくはないが。金がかかり過ぎて札が吹っ飛ぶな』

ハンジ(エレン)『それもそうだねーというか、それだけのお酒を飲まないのも勿体ないからいいやー』

リヴァイ(ミカサ)『だったら普通の酒風呂なら入るよな? 風呂上がりにビールつけておくぞ』

ハンジ(エレン)『あああああ! それ卑怯だよおおおおお!』

リヴァイ(ミカサ)『麒麟か? 朝日か? どっちも好きか?』

ハンジ(エレン)『麒麟でお願いします!!!! (ネルトン風握手ポーズ)』




マリーナ『こうして、いろいろありながら着任1年目は怒涛の勢いで時が過ぎ去り』

マリーナ『2年目に突入した2人の教師はその後も「友人」関係を継続していきます』

マリーナ『周りからは「付き合っているの?」と多々問われる2人でしたが……』

マリーナ『リヴァイ先生はハンジ先生の提案通り「さあな」と言って曖昧に濁しました』

マリーナ『それでも2人の間には確かな「友情」が出来つつあり、それを否定する材料もこの時点ではありませんでした』

マリーナ『しかしそんな2人の関係を微妙に変える「時期」がやってきてしまいます』

マリーナ『そう。それはリヴァイ先生が30歳という節目を迎える年の事でした……』

635進撃の名無し:2014/08/21(木) 23:39:52 ID:FTVzlUXI0


と、マリーナのナレーションの後、一旦休憩を挟む。5分だけだけど。

この間に1回幕を閉じて、裏方スタッフが走り回るんだ。

ピクシス『ただいまより5分間の休憩に入らせて頂きます。ご観劇の皆様、今のうちに自由休憩に入られて下さい』

オレはその間、舞台裏でミカサに駆け寄って「さっきの殺陣大丈夫だったか? 当たってないか?」と確認した。

ミカサ「大丈夫。ちゃんと避けた」

エレン「オレ、もう2度とごめんだぞ。ミカサを殴る役なんて」

ミカサ「でも、他にオイシイシーンも沢山あるから問題ない。エレンに抱きしめられるシーンは美味しかった」

エレン「ああ、女子大生時代のアレか」

ミカサ「他にもエレンの膝枕とか、柔道の寝技とか……ふふ」

エレン「タフだなあミカサは……」

ミカサ「次はいよいよ、三十路編に突入する。あともうちょっと頑張る」

エレン「だな。水分、ちょっとだけ取るぞ」

あんまり取り過ぎるとダメだけど。飲まないと冬でも脱水症状起きるからな。

んで、準備が整ったら次は三十路編に突入だ。この三十路編も結構怒涛の勢いだから気合入れないとな。






マリーナ『さてさて。リヴァイ先生が30歳になる年の事ですが……』

マリーナ『この年の2月頃、ハンジ先生は突然「社交ダンス」に目覚めました』

マリーナ『リヴァイ先生は当時「なんかそういう関連のメディアにでも感化されたか?」といった程度の認識だったのですが』

マリーナ『実はそこには驚くべき「サプライズ」が用意されていたのです』

636進撃の名無し:2014/08/22(金) 00:05:40 ID:pOvkcZKQ0
若気の至り大爆発中ですみません。
今回はこの辺で。次回またノシ

637進撃の名無し:2014/08/22(金) 00:26:27 ID:ga72YXLQ0
ミカサ熱演乙!!

638進撃の名無し:2014/08/22(金) 16:04:49 ID:pOvkcZKQ0







リヴァイ(ミカサ)『は? 社交ダンスの大会に出たいだって?』

ハンジ(エレン)『そーなのよ! リヴァイ、運動神経いいでしょ? 一緒に出ようよ!』

リヴァイ(ミカサ)『お前、それは嫌味か? 俺との身長差、考えろ。やるんだったらエルヴィンとの方が映えるだろ』


マリーナ『えー……この当時のリヴァイ先生の身長は160cm。ハンジ先生は170cmあり、10cmの差がありました』

マリーナ『演じているミカサさんの身長は170cmですが、ここでは想像で補って下さい』

と、マリーナが注釈を入れると会場がどっと笑いに包まれた。


ハンジ(エレン)『えっと、エルヴィンは既にそういう「資格」を持っているんだよね。だから意味がないんだ』

リヴァイ(ミカサ)『どういう意味だ?』

ハンジ(エレン)『今回の大会で「優勝」するとそういう「社交ダンス」の資格の認定になるんだよね。講師としての資格が取れるのよ』

リヴァイ(ミカサ)『あーつまり、それが欲しいから、俺につきあえと』

ハンジ(エレン)『そういう事です! お願い! 付き合って!』

リヴァイ(ミカサ)『俺は今までそういう「上品」な事は1度もやった事がないんだが』

ハンジ(エレン)『大丈夫だよ! むしろ男の方が女性を「持ち上げ」たりする場面があるから力ある男性の方がいいんだよね』

リヴァイ(ミカサ)『衣装はどうするんだ? 買うのか?』

ハンジ(エレン)『レンタルも出来る筈だよ。本番だけメイクアップすればいいんじゃないかな?』

リヴァイ(ミカサ)『その大会はいつあるんだ?』

ハンジ(エレン)『12月だよ。場所はT都!』

リヴァイ(ミカサ)『関東に飛ぶのか。飛行機に乗るのは久々だな』

ハンジ(エレン)『あ、そうなんだ。私は乗り慣れているから大丈夫だよ』

リヴァイ(ミカサ)『ホテルとか予約して行くのか?』

ハンジ(エレン)『その辺は大会近くなってからパック取ればいいんじゃない? ツインで取れば安くなるし』

リヴァイ(ミカサ)『ツイン………いいのか?』

ハンジ(エレン)『え? 何が?』

リヴァイ(ミカサ)『いや、ハンジがそれでいいならいいんだが』

ハンジ(エレン)『あ、シングル方がいいならシングル取るよ。その辺は好みだしね』

リヴァイ(ミカサ)『いや、ツインで構わない』

ピクシス(アルミン)『何の話をしておるのだ? (ぬっ)』

ハンジ(エレン)『あ、ピクシス先生! 実はですねー社交ダンスを習おうと思っているんですよ!』

ピクシス(アルミン)『大会に出るのか?』

ハンジ(エレン)『その予定です! リヴァイとペア組んでいっちょ飛んできたいと思います!』

ピクシス(アルミン)『ほーそれはいい事だ。頑張って優勝してくるんだぞ』

ハンジ(エレン)『はーい! 頑張ります!』

そしてピクシス先生がリヴァイ先生を捕まえたそうだ。

639進撃の名無し:2014/08/22(金) 16:12:13 ID:pOvkcZKQ0
ピクシス(アルミン)『リヴァイ、お前、何故「ツイン」を選んだ?』

リヴァイ(ミカサ)『え? ああ……ハンジがそうすると言ったので』

ピクシス(アルミン)『いや、今の会話は「シングルでも良い」とも言っておったぞ? 何故そこであえてシングルにいかない? ん? このドスケベめ』

リヴァイ(ミカサ)『変な言いがかりは止めて下さい。俺は別に………』

ピクシス(アルミン)『男らしくないのう……まあ良い。社交ダンスなら親密度を上げる絶好のチャンスだ。ここで男を見せろ。いいな?』

リヴァイ(ミカサ)『男を見せろと言われても……』

エルヴィン(アーロン)『やあリヴァイ。社交ダンス習うんだって? 私も協力しようか?』

リヴァイ(ミカサ)『ああ、聞いたぞ。お前、踊れるんだってな?』

エルヴィン(アーロン)『そういう「場」に誘われる事が多かった時期に、ついでだから習おうと思って取ったんだ。一応、一通り教える事は出来るけど。ただ、スタジオを借りてやる方が上達は早いと思うよ。学校だと、床の問題があるからね』

リヴァイ(ミカサ)『まあそうだろうな。出来ればスタジオに通いつつ、時間がある時にエルヴィンにも習う形がいいだろうな』

エルヴィン(アーロン)『じゃあその方向で考えておくね。スタジオは私がいいところを紹介してあげるよ』

リヴァイ(ミカサ)『分かった。宜しく頼む』





マリーナ『そして2人は週に1度、夜通える社交ダンスの講座を一緒に受けに行く事になりました』

マリーナ『勿論、この時間帯に習いに来ている方々は社会人ばかりです』

マリーナ『何人かの大人の生徒と混ざりながら、2人は基本から習い始めました』

640進撃の名無し:2014/08/22(金) 16:14:14 ID:pOvkcZKQ0
ダンス講師(マーガレット)『まず、社交ダンスを教える前に先に1つ、注意をしておきます』

ダンス講師(マーガレット)『社交ダンスは正式には「ボールルームダンス」または「競技ダンス」と呼ぶのが正しい言い方になります。一般の方にはなじみが薄いかもしれませんが、ダンスには「趣味で楽しむ」方々と「スポーツとして競い合う」方々に分かれています。微妙にニュアンスが違いますので、今回教えるのは「競技ダンス」の方だと解釈して下さい。美を競い合い、華麗に舞う事を目的としたダンスになりますので、練習内容はより厳しい物になると思いますが心してかかって下さい』

ダンス講師(マーガレット)『そしてこのダンスの種類ですが、大きく分けると「スタンダードモダン」と「ラテンアメリカン」に分かれます」

ダンス講師(マーガレット)『スタンダードモダンは「ワルツ」「タンゴ」「スローフォックストロット」「クイックステップ」「ヴェニーズワルツ」』

ダンス講師(マーガレット)『ラテンアメリカンは「チャチャチャ」「ルンバ」「サンバ」「パソドブレ」「ジャイブ」があります』

ダンス講師(マーガレット)『スタンダードモダンの方は女性がお姫様のようなドレスを着て踊る方、露出が多い衣装で男女が情熱的に踊るのが「ラテンアメリカン」だと覚えて下さい』

ダンス講師(マーガレット)『ダンスを審査するにあたってその基準となるものを説明します』

ダンス講師(マーガレット)『まずは「ポスチャー」または「ポイズ」です。リーダー(男性)とパートナー(女性)が組んだ時のシルエットや床にまっすぐ立つ事など踊り手の恰好を見るものです』

ダンス講師(マーガレット)『次に「リズム」です。いかに曲のリズムにのって踊っているかを見られます』

ダンス講師(マーガレット)『最後に「ムーブメント」。その種目らしさをどれ程その動きに表現出来ているかという点です』

ダンス講師(マーガレット)『本日は「モダン」の方から説明していきましょう。パートナーとまずは向かい合って下さい』

ここでエキストラも含めて皆で社交ダンスだ。

ペアはオレとミカサ。アルミンとアニ。ジャンとサシャ。マルコとミーナ。オルオ先輩とペトラ先輩。エルド先輩とニファ先輩。ユミル(男装)とクリスタだ。

この辺の指導はエルヴィン先生にやって貰った。基本的なところしかオレも踊れないけど、一斉に踊るから結構気遣う。

まずは「ワルツ」からだ。123…123…が基本の3拍子の優雅な踊りだ。

膝と足首の使い方が重要で、時計の振り子のように屈伸してもバランスを崩さない程度の力を膝と足首を使って身体全体を横にスイングさせるように送り出せばワルツらしい踊りになるそうだ。

でも口で説明するのと実際やるのは全然違う。これ、慣れるまでは結構難しかった。

そんな感じでまずは「ワルツ」から練習してその日の練習は終わった。

実際は10か月かけてマスターしていく訳だから一気には無理だ。

641進撃の名無し:2014/08/22(金) 16:46:23 ID:pOvkcZKQ0
練習が終わって着替えてからリヴァイ先生は言ったそうだ。

リヴァイ(ミカサ)『やっぱり少し恥ずかしいな……』

ハンジ(エレン)『えー? 何で?!』

リヴァイ(ミカサ)『他のペアは男女の身長差がちゃんとあったのに、俺達だけ逆だからな……』

と、身長ネタで自虐的になってしまったそうなんだ。

リヴァイ(ミカサ)『本当に俺がパートナーで良かったのか?』

ハンジ(エレン)『り、リヴァイじゃないとダメなんだよ!!! 大丈夫だって! あんた、運動神経は滅茶苦茶いいんだからすぐ覚えるよ!』

リヴァイ(ミカサ)『覚えるのは大丈夫だとは思うが………はあ』

と、現実を突きつけられて凹んだそうなんだ。可哀想に。

リヴァイ(ミカサ)『せめて同じくらいの身長なら良かったんだがな……ブーツはいたらダメか』

ハンジ(エレン)『は、はいたらこけた時が危ないと思うよ? 私は気にしないよ! そういうお笑い番組あったよ! 身長が逆のペアもいたよ!』

リヴァイ(ミカサ)『そうなのか?』

ハンジ(エレン)『エルヴィンがその番組が好きでビデオ撮っていたから、参考になるかも? って言って私に貸してくれたんだ。だから大丈夫だよ!』

リヴァイ(ミカサ)『だといいんだが……』

と言いつつも不安を残してリヴァイ先生は練習を始めたそうなんだ。

そして練習を始めた2人は常に「姿勢」を意識するようになり、胸を張るようになったそうだ。

「臍のむき」も意識して体を動かして、所謂「体幹」トレーニングに似た動きを意識するようになったそうだ。

勿論、格闘術を習う時も似たような事はするけど、ダンスの場合は「優雅」な部分をより意識しないといけないから大変だ。

流れる様な所動作っていうのかな。普段からそこを忘れないように動いていたら、ハンジ先生が急に「モテ期」に突入したらしくて、この年、告白される事が増えたそうだ。

642進撃の名無し:2014/08/22(金) 18:07:18 ID:pOvkcZKQ0
場転。リヴァイ先生の部屋でビール片手にぐだまくハンジ先生だった。

ハンジ(エレン)『どーしよー』

リヴァイ(ミカサ)『また何か悩んでいるのか?』

ハンジ(エレン)『今年新卒の新人の先生に告白された……』

リヴァイ(ミカサ)『ほう……良かったじゃないか。付き合うのか?』

ハンジ(エレン)『いや、でも今はちょっと忙しいし、断りたいんだよね。ダンスの練習だってあるし、私、生物部の顧問に加えて4月からもう1個、顧問を掛け持ちする事になりそう』

リヴァイ(ミカサ)『掛け持ちか。何部だ?』

ハンジ(エレン)『まだ部じゃないよ。同好会。漫画研究同好会ってやつだね』

リヴァイ(ミカサ)『ふーん。お前、漫画の事を詳しかったのか』

ハンジ(エレン)『いやーあんまり。栄螺さんは好きだけど。流行りの漫画とかはあんまり分かんない。タイトルだけなら分かるけど。エルヴィンが好きだから』

リヴァイ(ミカサ)『ならエルヴィンがやればいいじゃないか』

ハンジ(エレン)『いや、エルヴィンが出来ないから私に回ってきたのよ。あれ? あんた知らなかったの? エルヴィン、今、漫研の顧問やってるの』

リヴァイ(ミカサ)『すまん。そこまでは俺も把握していなかった。あいつ、今、テニス部の顧問じゃなかったか?』

ハンジ(エレン)『そうそう。漫研と掛け持ちしていたけど、エルヴィンの方が4月から進路指導の先生も受け持つ事になりそうで、ちょっと3つは無理かも? みたいな話になって、漫研が私に回ってきたの』

リヴァイ(ミカサ)『漫研って何するんだ?』

ハンジ(エレン)『普段はそれぞれ個人で活動しているそうだけど「コミケ」っていうお祭りの時はお手伝いするくらい? あと漫画甲子園に出た場合は引率とかもするんだって。K県で開催しているんだって! 鰹のタタキ食べられるよ! うひひひ……お酒も有名どころだし、もし行けたら飲み尽くしちゃおうかな』

リヴァイ(ミカサ)『割と乗り気だな。だったら掛け持ちすればいいじゃないか』

ハンジ(エレン)『うん。だから今はちょっとーお付き合いの方は無理だなー』

リヴァイ(ミカサ)『…………ハンジ』

ハンジ(エレン)『ん? 何?』

リヴァイ(ミカサ)『お前、俺の3つ下だから、今年で27歳になるよな』

ハンジ(エレン)『そうだねー』

リヴァイ(ミカサ)『結婚とか、考えていないのか?』

ハンジ(エレン)『え? 何で急に結婚の話?』

リヴァイ(ミカサ)『いや、俺と以前別れた女達はその辺の年齢で俺に見切りをつけて「結婚」を選択したからな。少し心配になって……余計なお世話かもしれんが、その告白された相手は新卒なら22〜23歳ってところだろ? 年下はダメか?』

ハンジ(エレン)『ん〜別にダメじゃないけど。優先順位ってあるじゃん? だからいいよ』

リヴァイ(ミカサ)『そうか………』

ハンジ(エレン)『私の事よりあんたの方が心配だよ〜今年で遂に三十路に突入するじゃん!』

リヴァイ(ミカサ)『12月が誕生日だからまだあと10か月も先の話だろ』

ハンジ(エレン)『そんなのあっという間だよ! ぼやぼやしていると四十路(よそじ)になっちゃうよ! リヴァイが先に結婚しなよ!』

リヴァイ(ミカサ)『うう〜ん………(頭抱える)』

ハンジ(エレン)『あれ? その様子だとまた何かあった? 振られちゃった?』

リヴァイ(ミカサ)『「あんたエッチ上手すぎる。絶対他に女いるでしょ!!」とキレられてしまって、現在停戦中だな……』

ハンジ(エレン)『ぶふーっ』

ビール吹き零す勢いで吹いた。汚いけど。

それをちゃんと拭きながらリヴァイ先生は言ったそうだ。

643進撃の名無し:2014/08/22(金) 18:09:38 ID:pOvkcZKQ0
リヴァイ(ミカサ)『流石に俺の過去を全て話したらドン引きされるだろうしな。そこは話していないが……今のところ、ちゃんと「1人」に絞って交際しているのは事実なんだがな。信じて貰えない』

ハンジ(エレン)『そこはもう自業自得だよ! 今までのツケが回って来たね! あはは!』

リヴァイ(ミカサ)『わざと下手くそにするっていうのも難しい話だぞ。もう、俺の中である程度の「やり方」は確立しているし、最初の頃のような乱暴なやり方は、相手を傷つけるっていうのも知った以上、そのやり方では出来るだけやりたくはない』

ハンジ(エレン)『ん〜………なんかから回ってるねえ。相変わらず』

リヴァイ(ミカサ)『だろうな。あと「潔癖症過ぎてキモイ」とか「たまにウザい」とか結構容赦ない。口の悪い女なんだが……今までの女よりはしっくりくる感覚はあるんだ』

ハンジ(エレン)『へ〜いい傾向じゃないの。だったらもうちょっと頑張ってみれば?』

リヴァイ(ミカサ)『もしかしたら俺にはそういう「遠慮しない」女の方が合っているのかもしれないな。グザッと刺さっても、割とそれが悪くないと思う自分がいる』

ハンジ(エレン)『リヴァイ、それ、なんていうか知ってる? ドМっていうんだよ? あんた実はそっちだったの?』

リヴァイ(ミカサ)『さあ? ドSと呼ばれる事の方が多いが、そういう部分もあるのかもしれないな』

ハンジ(エレン)『あードSに見せかけた本性ドМだった訳ね』

リヴァイ(ミカサ)『その辺はどっちでもいいけどな。自分でも良く分からん』

ハンジ(エレン)『ぷぷぷ………リヴァイが結婚したら、ご祝儀弾むよ』

リヴァイ(ミカサ)『そうか。それは有難いな。俺はその倍出してやろう』

ハンジ(エレン)『それは有難いね! じゃあリヴァイが先に結婚しないと!』

リヴァイ(ミカサ)『いや、でも、年齢を考えるとハンジが先だろ』

ハンジ(エレン)『いやいや、リヴァイが先ですよ』

リヴァイ(ミカサ)『ハンジだ』

ハンジ(エレン)『リヴァイ!』

という不毛な会話がこの辺から始まったそうだ。

もう、「お前らが結婚しろよ!!!」って外野はツッコミたいノリだよな。

リヴァイ(ミカサ)『お前も頑固だな。今回の相手を振ったら次はいつ縁があるか分からんぞ』

ハンジ(エレン)『んー別にいいよ。というか、出来れば同僚になる子とはお付き合いはしたくない』

リヴァイ(ミカサ)『職場恋愛は苦手なのか』

ハンジ(エレン)『拗れた時が大変だよ? 下手すると私の方が仕事辞めないといけなくなるかもしれないからね』

リヴァイ(ミカサ)『まあ、その気持ちは分からんでもないが……』

ハンジ(エレン)『私、人を好きになってみたいんだよね』

リヴァイ(ミカサ)『ん?』

ハンジ(エレン)『生徒の皆、結構、カップル出来たらイチャイチャしているじゃない? あんな感じに、情熱的に、こう……ぐっと、青春してみたいんだよね。いつかは』

リヴァイ(ミカサ)『青春を謳歌せずに過ごしたのか』

ハンジ(エレン)『いや、決してそういう訳じゃないよ? 友達もいたし、高校時代はそれなりに楽しかったし。でも「恋」だけは勉強出来なかったなあっていうのが心残りかな』

リヴァイ(ミカサ)『そうか………』

ハンジ(エレン)『エルヴィンはよく「ときめき」って言うんだけどね。私、その感覚がイマイチ理解出来なくて今に来ているから。だから惚れっぽい子とか凄く羨ましいんだ! その感覚、私にも教えてよ! ってついつい思いつつ観察しちゃう』

リヴァイ(ミカサ)『デバガメじゃないんだからあまりやり過ぎるなよ』

ハンジ(エレン)『てへ☆ そうだね。遠くから見守るだけにするよ。うん』

644進撃の名無し:2014/08/22(金) 18:45:22 ID:pOvkcZKQ0
リヴァイ(ミカサ)『なら、今度の相手は「ときめき」がないから断るのか?』

ハンジ(エレン)『そうなるね。なんて言って断ろうかな〜う〜ん……』

リヴァイ(ミカサ)『「私の理想は金持ちでセックスうまくてイケメンだから貴方は無理です」とか言えば?』

ハンジ(エレン)『それは極悪非道すぎるよ!!! 過去最高の悪女だよ!!!』

リヴァイ(ミカサ)『「生理的に無理です」とどっこいだと思うけどな』

ハンジ(エレン)『もー……真面目に考えてないね? 適当過ぎるよー』

リヴァイ(ミカサ)『その新卒の先生とはあまり俺は関わってないからな。教科違うし』

ハンジ(エレン)『私と同じ理科系だしね。化学の先生だから今後も何かと関わるだろうし。あんまり酷い振り方するのもなあ』

リヴァイ(ミカサ)『友達でいようと言ったら、そこから調子に乗ってくる奴もいるから難しい問題だよな』

ハンジ(エレン)『そこは流石に分かってる。あんたみたいに本当に「友達」だと思ってくれる人じゃないと続けられないよ』

ハンジ先生のこの台詞の後、観客の失笑が沸いた。

一番危ない奴が目の前にいるのにっていう意味でな。やれやれ。

ハンジ(エレン)『ぬー……相手の事が嫌いだったら逆に断り易いんだけどね。相手がいい人だと余計にこう……ねえ?』

リヴァイ(ミカサ)『言いたい事は分かるが、お前も以前「悪人になる覚悟」云々言っていただろ。手汚さない訳にはいかんなら、一気にやってしまえ』

ハンジ(エレン)『バッサリと?』

リヴァイ(ミカサ)『バッサリと、だな。一思いにヤレ』

きっと「この時の記憶」がどこかに残っていて、そのせいで甘えてしまったんだろう。モブリット先生に告白された時も、ハンジ先生、ついリヴァイ先生に甘えちゃったんだろうな。

ハンジ(エレン)『分かった。一気にやる。バッサリと。「ごめんなさい! 仕事優先したいから無理です!」でいいかな?』

リヴァイ(ミカサ)『それ言ったら「仕事に差し支えない程度でいいから付き合ってくれ」って返されないか?』

ハンジ(エレン)『あーそっか! それもそうか! ええっと…「あなたは私のタイプじゃないから無理です!」これでどうだ!』

リヴァイ(ミカサ)『そしたら「どんな人がタイプですか?」って言われるぞ。「努力して自分を変えます!」って言われたらどうするつもりだ?』

ハンジ(エレン)『うぐぐぐ……手ごわいよお。リヴァイ、あんた意外とやるね!』

リヴァイ(ミカサ)『いや、俺自身の話じゃないぞ。………まあ、経験談ではあるんだが』

ハンジ(エレン)『女の子達にそう言われてきた訳ですね』

リヴァイ(ミカサ)『そうなるな。俺の場合は以前は「他の女とも平気で寝るようなゲスな男でもいいのか?」で半分は振り落してきたけどな』

ハンジ(エレン)『それでも半分残るのが凄すぎるよね。いいなあ。私もその手使った方がいいのかなー?』

リヴァイ(ミカサ)『ビッチを演じるつもりか? 止めた方がいいぞ』

ハンジ(エレン)『どうして?』

645進撃の名無し:2014/08/22(金) 19:47:54 ID:pOvkcZKQ0
リヴァイ(ミカサ)『バレると思う。お前にはその「空気」がない。意外とその辺は慎重派だろ』

ハンジ(エレン)『そ、そんな事ないよ? 私、結構、ビッチじゃないかな?』

リヴァイ(ミカサ)『ふーん……』

ハンジ(エレン)『ううう……すみません。経験は3人程度です。27歳で3人って少ない方かな』

リヴァイ(ミカサ)『普通か、むしろ少ない方じゃないか? 多い女だとその年齢なら10人超える』

ハンジ(エレン)『まじかー……ううう。私ももっと経験しておけば良かったかな』

リヴァイ(ミカサ)『いや、多ければいいってもんでもないぞ。男の本音を言えば「自分」だけを知っている女が1番いい』

ハンジ(エレン)『それって「処女」が1番いいってこと?』

リヴァイ(ミカサ)『そうなるな。現実的には無理だと分かっていても男はそこに「幻想」を見る。例え嘘でも「初めて」だって言われる方が嬉しい。男はそれに騙されていると分かっていても、それに乗っかる生き物だ』

ハンジ(エレン)『そうなんだ。ええ……じゃあ私、騙されたのかなあ』

リヴァイ(ミカサ)『は?』

ハンジ(エレン)『いやーなんか、「処女はださい」みたいな事を言われて鵜呑みにしちゃったからさ』

ガタガタ! リヴァイ先生、この時本当にソファから落っこちそうになったそうだ。

リヴァイ(ミカサ)『誰だそんなふざけた事言った奴は! そして何で騙された! お前も!!』

ハンジ(エレン)『お、怒んないでよ! 若気の至りだよ! しょうがないじゃない。捨てちゃったもんは取り戻せないよ!』

リヴァイ(ミカサ)『タイムマシンがあれば俺が過去のハンジに説教してやるのに』

ハンジ(エレン)『過去にまでお世話焼きに来ないでよ!! 絶対見ないで! やだ!』

この「やだ!」がちょっと可愛いと思ってしまったらしく、リヴァイ先生も反省したらしい。

646進撃の名無し:2014/08/22(金) 19:50:01 ID:pOvkcZKQ0
リヴァイ(ミカサ)『すまん。それもそうだな。俺もハンジに過去を実際に見られたら恥ずかしいかもしれん』

ハンジ(エレン)『でしょ? ええっと……話が脱線したね。つまり、どうしたらいいかな』

リヴァイ(ミカサ)『他に男がいる……だと、2番目でもいいからっていうパターンもあるし、その相手がどの程度「ハンジを好き」でいるかにもよるんじゃないか?』

ハンジ(エレン)『本気だったら、断るのは難しいって事?』

リヴァイ(ミカサ)『多分な。もしかしたら「ちょっとコナかけてみようかな」って程度かもしれないし、あんまり深く考えず、その辺は探り入れつつ断ってみたらどうだ?』

ハンジ(エレン)『そうだねーそうしてみるわー。ありがとう! ちょっと頭の中整理出来たかな?』

リヴァイ(ミカサ)『ハンジは頭の中の整理は早くても自分の部屋の整理は遅いよな』

ハンジ(エレン)『すんません。リヴァイに殆ど丸投げですみません』

リヴァイ(ミカサ)『まあ別にそれはいいんだが……俺も俺で問題を抱えている最中なんだよな』

ハンジ(エレン)『今の彼女さんの件? 自分から会いに行くしかないんじゃない?』

リヴァイ(ミカサ)『そうだな。次の予定を入れる方が先だな。そうしよう』

と、あっさり方針を立ててその場で電話をして、顔面蒼白になったそうだ。

リヴァイ(ミカサ)『………』

ハンジ(エレン)『あれ? 電話に出ないの?』

リヴァイ(ミカサ)『着信拒否されている……』

ハンジ(エレン)『ええええ?! マジか!! いきなり?! それ酷いね……』

リヴァイ(ミカサ)『メール送ってみる』

と、何とか連絡とろうとするものの……。

返信メールを見て青ざめるリヴァイ先生だった。

そしてその場で崩れ落ちて、ハンジ先生にもたれ掛かる。

ハンジ(エレン)『ちょっと! しっかりして! 息して! 何が起きた?!』

リヴァイ(ミカサ)『「あんたの過去、人伝えに聞いた。さすがに女3桁抱いたような男は死んだ方がいい。以上」だそうだ……』

ハンジ(エレン)『ええええ?! 三桁って?! それ本当?! あんた馬鹿じゃないの?!』

リヴァイ(ミカサ)『いや、それは教習時代にうっかり漏らした冗談だったんだが……』

ハンジ(エレン)『って事は、相当前の話だよね。え?! その時点で3桁?! それは流石に引くわー…』

と、ハンジ先生も流石にドン引きしたそうだ。

647進撃の名無し:2014/08/22(金) 19:57:29 ID:pOvkcZKQ0
リヴァイ(ミカサ)『どどどどうしたらいい。電話に出ないからメールでやりとりするしかないが、俺は文章能力がない! うまく伝えられる自信はない』

ハンジ(エレン)『うう〜ん。自業自得だしね。過去のツケが今頃回ってきたんじゃない?』

リヴァイ(ミカサ)『しかし、その……何だ。今までの女に比べたら、その……』

ハンジ(エレン)『手放したくない気持ちはあっても、もう遅いかもね? どれどれ。代筆してあげよう。何て書く?』

リヴァイ(ミカサ)『ええっと……その話は誤解だ。正確な数字じゃないと……』

ハンジ(エレン)『ふむふむ「3桁は大げさだ。誇張して出回っているデマだ。信じてくれ」でいいのかな?』

リヴァイ(ミカサ)『それでいい。送ってくれ』

ハンジ(エレン)『あ、返事きたー。「そういう問題じゃないだろ! あんた、私に過去の事、何一つ話さなかったのがムカつく!! 女舐めるな! もう連絡するな!」だそうですが?』

リヴァイ(ミカサ)『うわああああ……』

この瞬間、会場も爆笑した。当然の結果だもんなあ。

もう完全にorzになったリヴァイ先生が可笑しくてしょうがない。

リヴァイ(ミカサ)『れ、連絡するな……か』

ハンジ(エレン)『あーまあ、そうだよね。これは女の方は許容出来ない問題だと思いますよ? うん』

リヴァイ(ミカサ)(しょぼーん)

ハンジ(エレン)『うーん……気のきつい感じの彼女みたいだね。今までそういう子と付き合った事なかったの?』

リヴァイ(ミカサ)『今までの女がどれだけ優しい女だったか身に沁みた……(ズーン)』

ハンジ(エレン)『手放してから気づいてもねえ? もう遅いよねえ?』

リヴァイ(ミカサ)『連絡するなっていうなら、しない方がいいよな』

ハンジ(エレン)『そこは私の決めるところじゃないよ。代筆もう必要ない?』

リヴァイ(ミカサ)『そうだな。俺は過去の自分を今から殴りに行きたい気分だ』

ハンジ(エレン)『タイムマシンは確かに魅力的だけどね。でも、未来の自分が過去の自分に会いに行って説教しても話聞いてくれるかなあ?』

リヴァイ(ミカサ)『え?』

ハンジ(エレン)『結果論って言葉、知ってる? 確かに未来から過去を見れば「あの時ああすれば」って思うけど。でももし、2番目のルートを進んだらもっと「悪い結果」になったかもしれないよ?』

リヴァイ(ミカサ)『そ、それは……そうか。それもそうだな』

ハンジ(エレン)『うん。その辺は完全に「博打」の世界だから。エルヴィンが良く言うんだけどね。最後に選ぶのはやっぱり「感覚」的なものだって。理屈を飛び越えた「何か」が降ってくる時があって、それに従って人は生きるしかないんだよって、言ってたよ。今のリヴァイは、この後、どうしたい? 自分の心の声、聴いてごらんよ』

リヴァイ(ミカサ)『…………何も聴こえない。選ぶのが怖い』

ハンジ(エレン)『だったらそれは「停止」を選ぶって事だよ。彼女には連絡しない。それで様子見。はい、OK?』

その直後、もう1回メールがきたようだ。

648進撃の名無し:2014/08/22(金) 20:20:53 ID:pOvkcZKQ0
ハンジ(エレン)『ええっと……「言い訳も無しか! やっぱりその程度にしか見てなかった訳ね! 性病にでもかかって死ね! もし街で偶然会っても絶対話しかけるなよ!」だそうです。OH……』

会場は大爆笑だった。これは酷いwww

でもしょうがねえよな。それだけの事をしてきているもんな。

リヴァイ(ミカサ)『れ、連絡するべきだったのか……(ズーン)』

ハンジ(エレン)『みたいだねー。ぐずぐずしていたのが悪かったのかな?』

リヴァイ(ミカサ)『そうか………』

ハンジ(エレン)『でもひとつ勉強になったじゃない。気の強い子と付き合うデメリットが知れて良かったんじゃない?』

リヴァイ(ミカサ)『そうだな。気の強い女と付き合う時は、グズグズしたらダメだな』

ハンジ(エレン)『失恋記念に飲むー? ワイン開けるー?』

リヴァイ(ミカサ)『そうだな。飲むよ。とりあえず、飲む』

ハンジ(エレン)『はいはい〜用意するから待っててね』

ワインをまた飲む。失恋したらワインっていうのが何とも言えない感じだが。

リヴァイ(ミカサ)『短い春だった……』

ハンジ(エレン)『何か月だったの?』

リヴァイ(ミカサ)『一か月だった。ピクシス先生に「受け身ばかりにならず、お主は自分から動いてナンパする事も少しは覚えた方がいい」って言われてバーに飲みに連れていかれて、その時に声をかけてみた女だったんだが……』

ハンジ(エレン)『ナンパで捕まえた女の人だったの。そりゃバーに飲みに行けるような女は気が強い人だろうね』

リヴァイ(ミカサ)『分かるのか?』

649進撃の名無し:2014/08/22(金) 21:04:15 ID:pOvkcZKQ0
ハンジ(エレン)『だって私もそうですし? てへ☆』

リヴァイ(ミカサ)『……………1人で飲む事もあるのか?』

ハンジ(エレン)『んー今はないけど、昔はそうだったね。というか、私の場合は酒さえ飲めれば何処でもいいんですけどね』

リヴァイ(ミカサ)『1人で飲むなよ。飲む時はつきやってやるぞ』

この時のリヴァイ先生、色気が出ていたそうで、ちょっとドキッとするシーンだったそうだ。

でも、ハンジ先生は当時はそれを「気のせい」だと処理したそうで、慌てて誤魔化したそうだ。

ハンジ(エレン)『うん。ありがとう。だから今、こうして飲んでいるでしょ? 乾杯♪』

ゴクゴクゴク……

実際に飲んでいるのはただの葡萄ジュースなんだけど。

でもこうやってそれっぽい演技するだけでも結構ドキドキするんだけどな。

当時の2人がここから「男女」の仲にいかなかったっていうのがオレにとっては信じられない。

もしオレがミカサといつか、こうやって2人で飲む事が出来るようになったら、きっと、そのままベッドに連れ込む。

それを想像しかけて、オレはうっかり赤くなってしまった。

しまった。今、ここで赤くなるのは台本通りじゃない。脚本を無視しちまった。

それに釣られてミカサまで赤くなってしまった。ま、まずい。どうしよう!

劇が一時中断してしまった。台詞、言わないといけないのに。

でも観客は「おおお?」と反応している。

予定とは違う流れにリヴァイ先生も『ん?』と違和感を覚えたようだ。

しまった。修正しないと。修正……。

リヴァイ(ミカサ)『はー……でも、確かに勉強になったかもしれない』

あ、ミカサが先に空気読んで動いてくれた。

すまん。ここはミカサが先だったな。ちょっと頭の中、混乱しかけた。あぶねー。

リヴァイ(ミカサ)『この年になってようやく、自分の「好み」が少しずつはっきりしてきた気がする』

ハンジ(エレン)『マジか! 三十路にしてようやくだね! おめでとう!』

650進撃の名無し:2014/08/22(金) 21:25:39 ID:pOvkcZKQ0
リヴァイ(ミカサ)『正確に言えばまだ29歳だけどな』

ハンジ(エレン)『もう三十路でいいじゃん! で? どんな感じか分かったの?』

リヴァイ(ミカサ)『気が強くて、遠慮のない、表情豊かで、年下の女だな』

ハンジ(エレン)『おおおお…4つも条件そろったんだ。いいなあ。麻雀で言うと1槓子だね!』

リヴァイ(ミカサ)『何で麻雀に例える。麻雀好きなのか?』

ハンジ(エレン)『へへへ〜エルヴィンに教えて貰ったから打てますよ? 今度サンマやる? あ、ピクシス先生入れれば普通に打てるけど?』

リヴァイ(ミカサ)『徹麻になりそうだな。その面子だと。あと俺はエルヴィンには勝てる気がしないので止めておく』

ハンジ(エレン)『そこはハンデ貰えばいいじゃーん』

リヴァイ(ミカサ)『あいつはハンデくらいなんとも思わない博打打ちだぞ。勝てない勝負はしたくねえ』

ハンジ(エレン)『ちぇー……4人で遊んでもいいじゃーん。トランプとかでもいいよ?』

リヴァイ(ミカサ)『中学生じゃねえんだから……』

ハンジ(エレン)『まあそうだけど。でもいつか、今度は4人で何かしたいなあ』

リヴァイ(ミカサ)『俺もピクシス先生には最近、何かと世話になっているしな。そうだな。いつかそう出来たらいいな』

と言いながら酒を空けていく。

そしてまたリヴァイ先生の方がソファに横になったそうだ。酒の耐性はハンジ先生の方が上だから。

ハンジ(エレン)『こらー膝枕2回目か! 2万円取るぞ!』

リヴァイ(ミカサ)『勝手に抜き取れ。ちょっと太ももを貸してくれ……』

ハンジ(エレン)『え? ちょっと、今回は本気? うそーん。ここで寝る気?』

リヴァイ(ミカサ)『いや、寝る訳じゃない。ちょっとだけ、休みたいだけだ』

ハンジ(エレン)『ベッドに移動した方が良くない?』

リヴァイ(ミカサ)『………面倒臭い』

ハンジ(エレン)『なら抱えようか? 私、おんぶ出来るよ?』

リヴァイ(ミカサ)『いい。本当に金、抜き取ってもいいから。ちょっとだけ、貸してくれ』

ハンジ(エレン)『………………』

観客が「おおお?」という声をあげた。この意味深なシーンにドキドキしているようだ。

651進撃の名無し:2014/08/22(金) 21:48:15 ID:pOvkcZKQ0
そして寝る訳じゃないと言った癖に結局そこで眠ってしまうリヴァイ先生にハンジ先生は言ったそうだ。

ハンジ(エレン)『いいなあ。私、まだ1面子も揃ってない感じだよ。牌がバラバラで形にすらならない。今のリヴァイはリャンシャンテンまで揃っているみたいだね。こりゃ、リーチかけられるのは、リヴァイの方が先になるかもなあ』

と言って寝付いたリヴァイ先生を結局は抱えてベッドに戻してあげたそうだ。

そして部屋を出て合鍵で鍵をかけて部屋を出て行く。

ベッドに残ったリヴァイ先生はその日、いい夢を見たそうだ。

それはあの時の「美人な女子大生」に再会する夢だったそうだ。

夢の中では、まるで初心な少年のようにオロオロしていて、まともに話しかける事も出来ない自分が居て。

そんな自分が恥ずかしくて、でも、その女と再会出来て嬉しくて。

この時の様子はイメージ映像でスクリーンに音声無しで映して表現した。

そして朝になり、朝の感覚になって、ちょっと赤くなる。

リヴァイ(ミカサ)『……………夢か』

と、言いつつ照れくさそうに体を起こすリヴァイ先生だった。





場転。学校の体育館のあいたロビーを借りて2人で練習する。その様子をエルヴィン先生が見守る。

エルヴィン(アーロン)『そろそろ形になって来たね。2人とも。上達が早いよ』

リヴァイ(ミカサ)『そうか?』

ハンジ(エレン)『うん。まだちょっとぎこちない部分もなくはないけど、完成度は7割のところまできたかな』

ハンジ(エレン)『マジで? まだ練習して2か月程度だけど。もうそんなに上達した?』

652進撃の名無し:2014/08/22(金) 21:50:38 ID:pOvkcZKQ0
>>651
訂正

場転。学校の体育館のあいたロビーを借りて2人で練習する。その様子をエルヴィン先生が見守る。

エルヴィン(アーロン)『そろそろ形になって来たね。2人とも。上達が早いよ』

リヴァイ(ミカサ)『そうか?』

エルヴィン(アーロン)『うん。まだちょっとぎこちない部分もなくはないけど、完成度は7割のところまできたかな』

ハンジ(エレン)『マジで? まだ練習して2か月程度だけど。もうそんなに上達した?』



エルヴィンの台詞を間違えました。すみません。

653進撃の名無し:2014/08/22(金) 23:00:38 ID:pOvkcZKQ0
エルヴィン(アーロン)『今度、試しに実践的にパーティーに出てみる? 実際にそういう場所で踊るとまた違った感触を味わえるよ。4月10日の夜になるけど、パーティーに誘われているから君達も来るか?』

リヴァイ(ミカサ)『踊っていいのか? 俺達部外者じゃないのか?』

エルヴィン(アーロン)『別に構わないよ。私の友人枠で来るといい。衣装は私が用意してあげよう』

ハンジ(エレン)『わーい! ありがとうエルヴィン!』

エルヴィン(アーロン)『では4月の予定は1個埋まったね。当日は私の車でいいね? 2人は飲んでもいいよ』

ハンジ(エレン)『わーい! もういっちょありがとうエルヴィン!』

という訳で、お試し感覚で2人は実際の社交場にデビューを果たす事になる訳だが…。

この時、エルヴィン先生が呼ばれた「パーティー」というのは、なんと「コスプレダンスパーティー」だったのだ。

なのでダンスはどちらかというと、おまけみたいな感じで、コスプレ衣装に着替えて適当に踊っていたのだ。

リヴァイ(ミカサ)『こ……ここで踊れって言うのか? 場違いじゃないか?』

この時のリヴァイ先生は当時テニス部の顧問をしていたから「テニスの王子様達」のコスプレをリヴァイ先生とハンジ先生にさせたらしい。

ちなみにリヴァイ先生は「リョーマ」でハンジ先生が「手塚」だったそうだ。

会場には多種多様なコスプレイヤーが揃っていて、皆楽しそうにしゃべったり踊っている。

エルヴィン先生は「乾」の格好をしていたそうだ。この当時はテニヌとだんだん呼ばれ始めた時期かな。

エルヴィン(アーロン)『大丈夫だよ。むしろ今の君達なら注目の的かもしれない』

リヴァイ(ミカサ)『それはどういう意味だ?』

エルヴィン(アーロン)『踊ってみれば分かるよ』

リヴァイ(ミカサ)『音楽が全然違うんだが、いいのか?』

ハンジ(エレン)『まあ、そこは適当でいいんじゃない? このリズムで踊れるダンスなら……』

リヴァイ(ミカサ)『分かった。チャチャチャに近い感じでいくか?』

ハンジ(エレン)『うん。任せるー』

リヴァイ(ミカサ)『なら復習ついでに踊ってみるか』

そしてリヴァイ先生とハンジ先生が躍り出した瞬間、周りは「リョ塚? いや、塚リョ?!」という腐った女子が注目してきたらしい。2001年〜2005年くらいの間はテニヌが結構流行っていた時期だったそうで、今の「テニミュ」の原型もこの時期に出来上がったそうだ。

というのはマーガレット先輩の談だ。テニヌも結構好きなんだろうだ。先輩は。

そんな訳で、テニヌのコスプレをした2人が踊ればそれはもう、周りから見たらキャーキャー言われるのは当然の事だった。

チャチャチャは結構、他のダンスに比べたら激しい方のダンスだろう。

リズムの取り方が他のより難しいんだけどミカサは難なく踊りこなした。

苦戦したのはオレの方だ。ミカサにリードされる形で食らいつく。

そして踊り終わった後、拍手がきた。なんか照れくさくなってリヴァイ先生はすぐ逃げたそうだ。

リヴァイ(ミカサ)『もういい! 後は適当に酒飲んでおく』

と、さっさとフロアの端っこに逃げたそうだ。

654進撃の名無し:2014/08/22(金) 23:29:39 ID:pOvkcZKQ0
ハンジ(エレン)『え? もう終わり? もうちょっと踊ろうよ』

リヴァイ(ミカサ)『俺はもういい。後はエルヴィンと一緒に踊ってろ』

エルヴィン(アーロン)『いいのかい?』

リヴァイ(ミカサ)『なんか知らんが好奇の目で見られているから、もういい』

エルヴィン(アーロン)『はは……流石に気づいたか。皆、萌え死んでいるよ』

ハンジ(エレン)『んーま、いっか。次はエルヴィンと踊ろう♪』

という感じで踊っているエルヴィン先生とハンジ先生を眺めていたら、リヴァイ先生は何故か妙な気分になったそうだ。

お互いに男装をしている筈なのに。その身長の差が凄くバランスが良くて優雅で、綺麗に見えて。

そんなところを気にしている自分が凄く小さな男に感じて、つい酒をかっくらってしまったそうだ。

今思うと、恐らく嫉妬していたんだろうな。エルヴィン先生の「身長」に対して。

リヴァイ先生の唯一のコンプレックスは「身長」が低い事だから。

ハンジ先生をリードするならやっぱり背が高い男の方が見栄えが良くなる。

そのことに気づいて、ちょっとだけ気持ちが凹んでいる自分に気づいたんだそうだ。

でも、そんな自分を見つめたくなくて、酒に逃げたそうだ。

気持ちは分からなくもない。オレも身長は大きい方がいいなあって男としては思うからな。

655進撃の名無し:2014/08/22(金) 23:39:51 ID:pOvkcZKQ0
しかしそんな風に1人でいたら、なんと、リヴァイ先生、逆ナンパされてしまったそうで。

不二女子(スカーレット)『あの、一緒に踊って貰えませんか?』

菊丸女子(サシャ)『踊りましょう! 是非!』

リヴァイ(ミカサ)『は? 何で。嫌だ』

不二女子(スカーレット)『くううう! クールなところがリョーマそっくり!!!』

リヴァイ(ミカサ)『???』

不二女子(スカーレット)『桃ちゃん連れて来よう! 桃! あんたもこっち来い!』

桃城男子(ジャン)『はあ? なんだ? この生意気な1年は』

リヴァイ(ミカサ)『???』

ネタがいまいち分かってない状態だったので対応に困ったそうだ。

跡部女子(アニ)『おい、越前。お前、何やってんだ。あーん?』

リヴァイ(ミカサ)『越前? 俺の事なのか?』

不二女子(スカーレット)『自分のキャラ分かんないでコスプレしてたんだ。可哀想にwww』

跡部女子(アニ)『あ、そうだったんだ。御免御免。ノリにつき合わせて』

リヴァイ(ミカサ)『はあ……』

跡部女子(アニ)『良かったら、ちょっと話さない? そっちでさ。あんたのダンス、結構格好良かったし』

リヴァイ(ミカサ)『連れがそこで踊っているんだが……』

跡部女子(アニ)『エルヴィン先生でしょ? 知ってる知ってる。呼んだのうちらだし。大丈夫だよ』

リヴァイ(ミカサ)『……………』

そしてリヴァイ先生の悪癖がここでも出て、結局流されて彼女らと話す事になったそうだ。

656進撃の名無し:2014/08/23(土) 00:01:08 ID:ca51ImzA0
で、結局彼女達と酒を飲みながら話していたらだんだん、酔いが深くなってしまって……

遂にはまた泥酔して記憶がぶっ飛んでしまったそうだ。

で、ここからが恐ろしい事に、その時の彼女にリヴァイ先生は逆お持ち帰りされてしまったそうで。

気がついたら、その跡部女子と一晩、過ごしてしまっていたそうで。

ヤッたのか、ヤッてないのか。それすら分からない状態で朝から目が覚めて顔面蒼白になったそうだ。

跡部女子(アニ)『おはよー。昨日は楽しかったね。リヴァイ先生』

リヴァイ(ミカサ)『……………今、朝の何時だ?』

跡部女子(アニ)『朝の8時だね。あれ? どうしたの? そんなに慌てて』

リヴァイ(ミカサ)『今日は入学式だ!!! ここ、何処だ?! 講談高校との距離はどれくらいある?!』

跡部女子(アニ)『んー車で1時間くらいかなあ?』

と、言われた瞬間、orzの状態になってしまったそうだ。

リヴァイ(ミカサ)『嘘だろ……初日から遅刻か。しかも逆ナンパ帰りで遅刻とか……』

跡部女子(アニ)『ごめんねえ。昨日はついつい、面白かったからさ。持ち帰っちゃった♪』

リヴァイ(ミカサ)『俺はあんたと寝たのか? ヤッたのか? 記憶がないんだが』

跡部女子(アニ)『ヤッた……と言いたいところだけど、そこまではやってないよ。でも昨日は楽しかったよ。いろんな意味で』

リヴァイ(ミカサ)『そうか……すまない。俺の服は何処だ。あ、でもコスプレ衣装では学校に行けない。スーツはないか? ジャージでも構わん。貸してくれ』

跡部女子(アニ)『んーリヴァイ先生に合うサイズのスーツあったかなあ。ちょっと待ってね』

と、言って開けたクローゼットの中には凄まじい数の衣装があった。

そこには男女問わずいろんな衣装が備えてあり、その在庫の凄さに面喰ったそうだ。

跡部女子(アニ)『これでいいかな? 着れる?』

リヴァイ(ミカサ)『十分だ。ありがとう。あ、名刺渡しておく。後で連絡するから。連絡くれ。衣装を返しに行くから』

といいつつ着替え始める。ここはカーテン越しの生着替えだ。着替えの様子は観客には見せない。

跡部女子(アニ)『遅刻しそうなら送ってあげようか? ヘリ使う?』

リヴァイ(ミカサ)『え? ヘリ? 自家用のヘリコプターを持っているのか?』

跡部女子(アニ)『うん。あるよー。ちょっと待ってて』

と言いつつ一度舞台をはけて、戻ってくる。

跡部女子(アニ)『飛行大丈夫だって。いいよ。送ってあげる。昨日無理させたし、そのお詫び。講談高校まで送ればいい?』

リヴァイ(ミカサ)『た、頼む……』

そして伝説の入学式が、遂に始まる。

657進撃の名無し:2014/08/23(土) 00:17:00 ID:yLCbz0SQ0










バラバラバラバラ………

ヘリコプターの音が講談高校の上空に響いている。

ここで宙づりアクションだ。ミカサが吊るされた状態で上から吊るした縄梯子に掴まっている。

ジャッキー・チュンが映画とかで良くやっているアレだ。ガチであの状態で学校に登校してきたそうで、入学式は騒然となったそうだ。

第一体育館の生徒達はその異変に気づいてついつい、窓の外を注視した。

グラウンドの中央に降ろされたリヴァイ先生はそのまま地面に無事に着地した後、ダッシュで体育館に入ってきて、

リヴァイ(ミカサ)『…………すまん。遅刻した』

と、小さく呟いてしれっと職員用の列に合流したそうだ。

生徒達は突然の「笑ってはいけないアレ」状態に陥って失笑の爆弾を抱えたそうだ。

そして場転。再びナイル先生のお説教だ。

ナイル(マルコ)『あー言いたい事は分かるよな? リヴァイ先生』

リヴァイ(ミカサ)『はい』

ナイル(マルコ)『ヘリコプターを使って通勤してはいけないというルールはないが、常識を考えろ。しかもさっきのアレは何だ? アクションスターみたいな事をして、もし怪我でもしたらどうするんだ』

リヴァイ(ミカサ)『時間をショートカットしようと思ってあのやり方にしました』

ナイル(マルコ)『それだったらもう、普通にヘリに着陸して貰った方がいいだろ! そこ数分の差だ。どうせ遅刻しているんだから、そこはもう無理するべきところじゃないだろ』

リヴァイ(ミカサ)『ギリギリセーフを狙ったんですが、ダメでしたか』

ナイル(マルコ)『ダメに決まってるだろ。5分遅刻だ。やれやれ……普段はちゃんと時間通りに来るのに、何かトラブルが起きると滅茶苦茶な方法で時間を短縮して学校に来る癖はやめた方がいいぞ。あとちょっと酒臭い。牛乳飲んでちょっと散らして来い。いいな』

リヴァイ(ミカサ)『はい。すみませんでした……』

という訳でようやく釈放される。

その後、ハンジ先生とエルヴィン先生がバツの悪そうな顔でそーっと様子を伺った。

658進撃の名無し:2014/08/23(土) 00:28:17 ID:ca51ImzA0
リヴァイ(ミカサ)『お前ら、昨日はよくも……(拳プルプル)』

ハンジ(エレン)『ごめんって! まさか逆ナンパされてお嬢様にお持ち帰りされるなんて思わなくて』

エルヴィン(アーロン)『私達が気づいた時には既に遅かったんだ。彼女からメールで後で連絡が来て、「エルヴィン先生の小さな連れを持ち帰りました。めんご☆」って言われて……あの子、気に入った人をすぐ自宅に連れ込む悪癖があるからねえ。お嬢様だから。本当、ごめんね』

リヴァイ(ミカサ)『さすがはエルヴィンの知り合いだな。人を拉致る趣味は同じってか』

ハンジ(エレン)『それを言ったらあんたもでしょうが。私を自宅に連れ込んだの、忘れたとは言わせないよ?』

リヴァイ(ミカサ)『俺の場合は意味が違うんだが?』

ハンジ(エレン)『ええ? 本当に〜? まあ、別にいいけどー?』

と言いつつ、

ハンジ(エレン)『それより、そのお嬢様と仲良くなったの? 新しい彼女になりそう?』

リヴァイ(ミカサ)『え? いや……それは知らん。そんな事を考える余裕はなかった』

ハンジ(エレン)『じゃあ次に会う時に頑張りなよ。今、あんたフリーなんでしょ? 逆玉の輿ってやつじゃなーい?』

リヴァイ(ミカサ)『そうなのか?』

エルヴィン(アーロン)『うん。あの子は超がつくほどのお嬢様なんだけど、ちょっと変わった子でね。アニメとかのオタクでもある。私がコミケで知り合った友人だよ』

659進撃の名無し:2014/08/23(土) 01:03:20 ID:ca51ImzA0
という事で、なんとここでまた新しい彼女候補のような人物が現れるのであった。

もう何だろうな? リヴァイ先生の女運って一般人の100倍くらいあるような感じだよな。

リヴァイ(ミカサ)『いや、でも……その』

ハンジ(エレン)『何で尻込みしているの? いいじゃん。お嬢様』

リヴァイ(ミカサ)『…………世界が違い過ぎないか?』

エルヴィン(アーロン)『確かに住んでいる世界は全然違うけど。でもそのスーツ、リヴァイのじゃないよね。彼女に借りたんだろ?』

リヴァイ(ミカサ)『そうだが……返却しないといけないな。クリーニングに出してから。あ、早速メールが来ている。「間に合った? また今度遊ぼうね〜リヴァイ先生(ハート)」だそうだ』

ハンジ(エレン)『彼女の方もノリいいじゃん! 悪くないんじゃない?』

エルヴィン(アーロン)『まあ、彼女はいい子だよ。私と同じくらい変わってはいるが』

リヴァイ(ミカサ)『エルヴィンとどっこいって、それは相当だな』

と頭を抱えるリヴァイ先生だった。

リヴァイ(ミカサ)『まあその件は横に置く。とりあえず今回の件の礼は後日言いに行かないといけないしな』

という訳でその時はそこまで話して本当に後日、そのお嬢様に会いに行く事になったのだ。

660進撃の名無し:2014/08/23(土) 01:04:04 ID:ca51ImzA0
リヴァイ先生の女遍歴が凄すぎてヒッチは常に大爆笑中です。
という訳で次回またノシ

661進撃の名無し:2014/08/23(土) 09:47:34 ID:uLCZKYK.0
ホントこんなんでよくハンジが嫁に来てくれたな…
この後落ち着いていくのか?

662進撃の名無し:2014/08/23(土) 10:14:05 ID:ca51ImzA0
>>661
最初ハンジ先生が「リヴァイとどうこうなるつもりはない」と
言い切っていた理由がこれでお分かりいただけたかと思います(笑)。

663進撃の名無し:2014/08/23(土) 10:15:50 ID:ca51ImzA0
>>661
あとついでに言うなら10代の頃の自分を暴露された時のリヴァイのエレンに対する反応とか。
エレンのく口を窒息させる勢いで塞いだのもなんとなく、お分かり頂けるとありがたいです。

664進撃の名無し:2014/08/23(土) 10:18:02 ID:ca51ImzA0






暗転後。豪華な一室に2人で向かい合って座る。

クリーニングに出したスーツを返却しに行くと、そのお嬢様は言った。

跡部女子(アニ)『クリーニングなんて別に良かったのに。気遣い屋さんだね。リヴァイ先生は』

リヴァイ(ミカサ)『いや、その……汗掻いたしな。一応念の為だ』

跡部女子(アニ)『むしろ残しておいた方が貴重価値って言われない?』

リヴァイ(ミカサ)『…………そういう性癖なのか? お前は』

跡部女子(アニ)『うふふ? さあ、どうでしょう?』

この雰囲気、どことなくエルヴィン先生に似ていたそうだ。顔は狐っぽいけど、中身はタヌキっぽい印象の女性だったそうだ。

癖の強そうな女だなと思いつつリヴァイ先生はお礼を言った。

リヴァイ(ミカサ)『まあいいか。その辺は。この間は助かった。遅刻はしたが、大幅には遅れなかったから良しとする。あと、エルヴィンに聞いてこういうのが好きだと聞いて土産を持ってきた。良かったら貰ってくれ』

と、手土産持参だ。所謂アニメの関連グッズで、キャラの印刷が入ったクッキーだ。

跡部女子(アニ)『ありがとう! アニメイト行ってきたんだ?』

リヴァイ(ミカサ)『良く分からんが、そういう名前の店だったかな。店員に聞いて一応確認したんだが、これで合ってるか?』

跡部女子(アニ)『うん。合ってる合ってる。後で食べるね』

リヴァイ(ミカサ)『あの……ところで』

跡部女子(アニ)『なに?』

リヴァイ(ミカサ)『すまん。あの時の記憶が曖昧で、ヤッてないのは分かったが、その、手は出したんだろうか?』

跡部女子(アニ)『いやいや? キスも何もしてないけど?』

リヴァイ(ミカサ)『そ、そうか……(ほっ)』

跡部女子(アニ)『ぐだまいていただけだよ。でもその巻き方が面白過ぎて……げふんげふん』

と、思い出し笑いをしてしまったようだ。

リヴァイ(ミカサ)『そんなに酷かったのか?』

跡部女子(アニ)『んー? まあ、あんまり知らない方がいいかも? 無意識だろうし』

リヴァイ(ミカサ)『き、気になるな………俺は要らん事をしゃべったのか?』

跡部女子(アニ)『んーそれ、私が話していい事なのか分からないからノーコメントで』

リヴァイ(ミカサ)『意味深に煙にまかないでくれ。余計に気になる』

跡部女子(アニ)『えー? 聞いたら後悔するかもしれないけど?』

リヴァイ(ミカサ)『そんなにいろいろ酷かったのか? (青ざめ)』

跡部女子(アニ)『可愛いって思っちゃった。エルヴィン先生のお気に入りの先生ってリヴァイ先生の事だよね? 名前までは知らなかったけど。特徴は聞いて知っていたよ。後で紹介するって言われていたけどフライングしちゃった。予想以上に面白い先生だなって思って。ついつい』

リヴァイ(ミカサ)『そ、そうだったのか……』

跡部女子(アニ)『リヴァイ先生、今、彼女いないの?』

リヴァイ(ミカサ)『2月に振られて、それ以後はいないな』

跡部女子(アニ)『でも、好きな人はいるみたいだよ。リヴァイ先生』

リヴァイ(ミカサ)『え?』

跡部女子(アニ)『忘れられない女性がいるみたいだった。私が言えるのはここまでだね。うん』

其の時、脳裏に浮かんだのが女子大生時代のハンジ先生だったんだけど。

そんな自分に気づいて慌てて頭を振ったそうだ。

665進撃の名無し:2014/08/23(土) 10:20:19 ID:ca51ImzA0
リヴァイ(ミカサ)『いや、アレは好きとかそういう感情ではなくて、その……礼を言いそびれてしまっただけで』

跡部女子(アニ)『ぷっ……あははは! もう可笑しい! 腹痛いwwww』

リヴァイ(ミカサ)『………………』

跡部女子(アニ)『御免。そう睨まないで。まあそう言うならそういう事にしておくからさ。ね?』

リヴァイ(ミカサ)『そうしてくれ。確かに忘れられないのは事実だが。別にそれ以上の感情は……』

跡部女子(アニ)『ぷぷっ…! (また吹き出す)』

リヴァイ(ミカサ)『もう帰っていいか? 用事は済んだし』

跡部女子(アニ)『あー待って待って。リヴァイ先生、今、彼女いないなら、私と付き合ってみようよ』

リヴァイ(ミカサ)『………………え?』

いきなりの展開にリヴァイ先生は流石にちょっと固まったそうだ。

こんなに風にまるで「今日は天気いいね」くらいの軽いノリの告白は初めての経験だった。

告白する時は流石にもうちょっと色気のあるムードというか、女の方が「ねえ? お願い」みたいな、こう、熱っぽさを持って迫ってくる事が多かったからだ。

跡部女子(アニ)『あーアレだったら一か月だけとかでもいいよ。先生忙しいだろうし、そこは無理させないから』

リヴァイ(ミカサ)『年、いくつだ?』

跡部女子(アニ)『20歳だよ。一応お酒飲める年齢だよ』

リヴァイ(ミカサ)『他に男がいるとかは……』

跡部女子(アニ)『それもない。先月別れたばっかり。奇遇だね。先生と似たような境遇だよ』

リヴァイ(ミカサ)『………お嬢様、なんだよな?』

跡部女子(アニ)『んー? まあ、そうだけど。そこは出来るならあんまり吟味の対象に入れて欲しくはないかな』

リヴァイ(ミカサ)『……………大学生なのか?』

跡部女子(アニ)『一応。エスカレーター式のお嬢様学校にぶち込まれてここまで来たから。最近になってやっと反抗期が来た』

通りでなんかマイペースなのかと、この時のリヴァイ先生は納得したそうだ。

跡部女子(アニ)『あ、処女じゃないけどね。この間、うっかり捨てちゃったから。あともうちょい出会うのが早ければリヴァイ先生にあげられたけど。前の彼氏にあげちゃったから。そこだけがネックかな?』

リヴァイ(ミカサ)『…………じゃあ俺が2人目?』

跡部女子(アニ)『うん。そんな感じ。先生、経験豊富そうだし。いいかも? ってピンときたんだけど』

リヴァイ(ミカサ)『……………』

リヴァイ先生は頭を抱えたそうだ。

また似たようなパターンでの付き合い方になると思いつつも、前回の失敗の件も有り、やっぱり自分にはこういう恋愛の始め方の方が向いているのか? とも思ったそうだ。

跡部女子(アニ)『とりあえずでいいんだけど。ダメかな? まずは一か月。それでだめならそこで止めるし』

リヴァイ(ミカサ)『でもそうなると、余り会えないんじゃ……』

跡部女子(アニ)『この後、忙しいの?』

リヴァイ(ミカサ)『いや、今日は休みだからここに来たんだが』

跡部女子(アニ)『じゃあ、やろうよ。うちで。泊まって行けば?』

リヴァイ(ミカサ)『?!』

男ならここで行くだろ! という心の声と、いやいや早すぎるだろ! という声に分かれるだろう。

以前のリヴァイ先生だったら迷わず前者だったそうだ。一晩だけの関係も珍しくなかったから。

でもこの時点のリヴァイ先生は、ハンジ先生の「拳」の痛みを思い出して少し慎重になっていた。

666進撃の名無し:2014/08/23(土) 10:22:33 ID:ca51ImzA0
リヴァイ(ミカサ)『いや、それは流石にやめておく』

跡部女子(アニ)『あらら……20歳は若すぎた? もうちょい上の方が良かった? それとももっと下が良かった?』

リヴァイ(ミカサ)『20歳なら許容範囲だが、そういう問題じゃないんだ』

跡部女子(アニ)『じゃあ何が問題? あ、胸ないから? 貧乳でごめんね』

リヴァイ(ミカサ)『そこも問題ない。感度の方が大事だろ』

跡部女子(アニ)『ん? ああ、でもそれは自分では判断出来ないかも……悪い方かもしれないし』

リヴァイ(ミカサ)『そうじゃなくて……俺はまだ、お前の名前すら知らないんだぞ』

跡部女子(アニ)『あらら……うっかりしていたね。自己紹介、していなかった。御免御免』

マリア(アニ)『私の名前は「マリア」だよ。マリア・レイス。レイス家の三女。放蕩娘だよ』

リヴァイ(ミカサ)『マリア……いい名前だな』

マリア(アニ)『ありがとう。他に知りたい事はある?』

リヴァイ(ミカサ)『いや、とりあえずは名前だけでいい。呼ぶ時に困るからな』

マリア(アニ)『なら後は追々って思っていいのかな?』

リヴァイ(ミカサ)『………付き合うのは一晩だけ考えさせてくれないか?』

マリア(アニ)『おっと、意外と慎重派だね。エルヴィン先生から聞いていた印象とちょっと違う?』

リヴァイ(ミカサ)『昔の俺だったら迷わずOKしただろうが、今は少し変わったからな』

と言いながら帰り支度を始めるリヴァイ先生だった。

リヴァイ(ミカサ)『明日、電話するよ。どっちにしろ、必ず連絡する。それでいいか?』

マリア(アニ)『うん。返事を待ってる』

という訳で舞台から先にリヴァイ先生ははけて、暗転となった。

667進撃の名無し:2014/08/23(土) 10:23:48 ID:ca51ImzA0






チクタク。チクタク。チクタク。

時計の音が真夜中に響いていく。午前1時。その日の夜、リヴァイ先生は考え込んでいた。

マリアとの件をどう返事するべきか悩んでいたのだ。

ソファで1人座って、夜中のテレビでも適当に見ようかと思いながら、リモコンをつける素振りをする。

ここでは実際にテレビを見れるわけじゃないので、音だけでテレビがついた表現をする。

適当なお笑い番組をぼーっと見つめながら考えていると、

夜中の来訪者だ。こんな時間に来るのはハンジ先生しかいない。

一応、出てやると、ハンジ先生が酒を持って入ってきた。

リヴァイ(ミカサ)『………明日、仕事あるんだが?』

ハンジ(エレン)『でも起きてたって事は、リヴァイも飲んでたとか?』

リヴァイ(ミカサ)『いや、飲んでいた訳じゃない。少し考え事をしていただけだ』

ハンジ(エレン)『そうなんだー今、ちょっといい?』

と言われたので一応、中に入れる。

いつものようにソファに2人横に並んで座って酒を飲み始める。

今回はハンジ先生だけだ。リヴァイ先生は飲まない。

ハンジ(エレン)『負けちゃったー…』

リヴァイ(ミカサ)『え?』

ハンジ(エレン)『いや、ほら、前に言っていた告白された人の件。何か私の「独特な匂い」が好きなんだそうで、風呂入ってない時の匂い、嫌いじゃないって言われたら、なんかいつの間にかOKしている自分がいました。あれー? みたいな』

リヴァイ(ミカサ)『なんだ。彼氏が出来たのか。だったらめでたいじゃないか』

ハンジ(エレン)『あれ? 意外と喜んでないね? リヴァイ』

リヴァイ(ミカサ)『いや、そんな事はないぞ。ただ、今は俺の方も頭の中がごちゃごちゃしているからそう見えるだけだろ』

ハンジ(エレン)『あ、もしかして、例のお嬢様、付き合う事になったの?』

リヴァイ(ミカサ)『保留にして貰っている。明日中に返事をする約束をしている』

ハンジ(エレン)『マジか! 私達、同時期にパートナー出来ちゃった訳だ! すごい偶然だね!』

リヴァイ(ミカサ)『俺の方はまだOK出してない。少し迷っているんだ』

ハンジ(エレン)『え? 何で迷うの?』

668進撃の名無し:2014/08/23(土) 10:25:06 ID:ca51ImzA0
リヴァイ(ミカサ)『相手から誘われてから始める恋愛だからだ。また、同じ事を繰り返すんじゃないかって気持ちがある。ピクシス先生の言う通り、自分から動いた方がいいとは思うんだが、結果的にはこっちの方が合っているのか? とも思う自分もいる。正直、揺れているんだ』

ハンジ(エレン)『相手の子が嫌いな訳じゃないんだよね?』

リヴァイ(ミカサ)『ああ。そういう感じでもない。以前の俺だったら迷わずOKしただろうが……』

ハンジ(エレン)『今度はちゃんと真剣なんだね』

リヴァイ(ミカサ)『ハンジに殴られて反省したからな。自分の中の気持ちが見えないまま余りそういう関係にはならないようにしないといけないと思ったんだよ』

ハンジ(エレン)『以前のナンパした彼女はどの程度好きだったの?』

リヴァイ(ミカサ)『すらっと手足の長い、大人っぽい身体と、俺より少しだけ背が高かった。ハンジよりは低いけど。俺とハンジの間くらいの背丈だったな。髪は長くて、アップにしていた。目が綺麗な猫のような目で、色気のある女だなって思った。ピクシス先生にはそういう「感覚」的な物を養えと言われてな。見た目から入っても問題ないからガンガン行けと言われて、一先ず、そのバーの中で一人で飲んでいた彼女に話しかけてみたんだよ』

ハンジ(エレン)『んー? それって一目惚れ未満って感じじゃない? ビビッときた訳でもないような?』

リヴァイ(ミカサ)『その時はまだ「なんとなく」程度だった。だが実際に話してみると「案外悪くねえな」って思う自分がいた。あの時の感覚は初めて経験したが……能動的に動く事自体が嫌いという訳でもないらしい』

ハンジ(エレン)『じゃあもし、もう少し関係が続いていれば、もうちょっと進展していた可能性はあった訳だ』

リヴァイ(ミカサ)『ああ。それはそうだと思う。そもそもあの女には「何で手出さないの? 何がしたいのあんた? エッチするのかしないのかはっきりしろ!」って怒られたからな。俺は生まれて初めて慎重に事を運ぼうとしたのに、そんな風に言われてブチ切れて、だったら「思いっきり抱いてやろうじゃねえか」って思って、丁寧に返したら……(ズーン)』

嫌な事を思い出して凹むリヴァイ先生だった。技が仇に成ったわけだからな。

ハンジ(エレン)『あーあ。上手過ぎて過去がバレた訳ですね。自業自得だね』

リヴァイ(ミカサ)『いい女だとは思ったよ。「恋」に育つ前にへし折ったような感覚だったが』

ハンジ(エレン)『うーん。まあ、一応それも「小さな恋」としてカウントしていいのかな? 多分。で、それと比べて今度の相手はどうなの? 好みではないの?』

リヴァイ(ミカサ)『なんていうか、多分、「エルヴィン」に似たような性格の女性じゃないかと思っている』

ハンジ(エレン)『あー類友っていうよね。私の友人も、そういうのいるけど』

リヴァイ(ミカサ)『まあそうなんだろうな。恐らく。だから、その……主導権を相手に握られそうなのが少し怖いのと、相手は20歳で、まだ向こうも「恋愛」をちゃんと経験していないような感じだったんだ』

ハンジ(エレン)『おおお……9〜10歳差か。結構歳の差有るね』

リヴァイ(ミカサ)『見た目はそう見えないけどな。25歳と言っても通じそうな大人っぽさはある。ただ、この場合は今までのケースと凄く「似ている」から本当に始めていいのか……』

ハンジ(エレン)『うーん。とりあえず一か月くらい付き合っちゃえば? そこからじゃない?』

リヴァイ(ミカサ)『……相手の女と同じ事を言いやがったな』

ハンジ(エレン)『あ、そうなの? だったら尚更良いじゃない。相手も了承済みなら。味見させてって言えば? 私も何度かそれと同じ事した事あるよ。期間限定で付き合ってそこから判断するの。そうすれば以前のような「ずるずる」とした関係もしないで済むし、いいと思うけどな』

リヴァイ(ミカサ)『そうか………』

669進撃の名無し:2014/08/23(土) 10:27:58 ID:ca51ImzA0
そしてリヴァイ先生は結論を出したのだ。

リヴァイ(ミカサ)『そうだな。そうしてみるか。ただ、その間は流石にハンジの事が出来なくなるかもしれんが、その時はお休みでもいいよな?』

ハンジ(エレン)『そこは全く問題ありません。ひゃっほーい! 休暇だ!』

リヴァイ(ミカサ)『休むのは掃除だけだぞ。風呂と飯は継続する』

ハンジ(エレン)『正直言えばご飯だけでもいいんだけどな。お風呂も休もうよ』

リヴァイ(ミカサ)『むしろ優先順位で言えば風呂が一番何だが?』

ハンジ(エレン)『あ、はい。すんません。私が悪かったです。はい』



マリーナ『という訳で、この時期、2人はなんとほぼ同じ時期にそれぞれパートナーが出来てしまったのです』

マリーナ『その間は流石に2人の距離も以前よりは少し離れ、それぞれのパートナーと向き合う時間が増えていきます』

マリーナ『しかしリヴァイ先生が別の女性と交際して一か月後……』

マリーナ『ハンジ先生の方が先に相手に振られてしまうのでした』



真夜中。また1時を過ぎた頃。

時計の音が響く中、ハンジ先生はリヴァイ先生の家に転がり込んでいた。

ハンジ(エレン)『振られたー生まれて初めて振られたー』

リヴァイ(ミカサ)『あー何が原因だ?』

ハンジ(エレン)『私の身体の匂いは好きだけど、部屋の中の汚さまでは許容出来ないから別れたいって』

リヴァイ(ミカサ)『あーそうか。最近、掃除しに行ってやってなかったからな。また昔の汚部屋に逆戻りしていたのか』

ハンジ(エレン)『そう。やっぱり「両方」OKな人なんていないよね。私の場合、どっちかを改善しろと言われて、出来るのは外見の方だけで、部屋の片づけの方はどんなに頑張ってもずっと維持するのは無理なんだよね』

リヴァイ(ミカサ)『ん? 外見の方は頑張れば改善出来るのか?』

ハンジ(エレン)『あくまで「部屋の片づけ」に比べたらの話だよ。そこは最悪、美容院に行けば誤魔化せるし』

リヴァイ(ミカサ)『…………部屋の方も清掃業者に頼めば良かったんじゃねえか?』

ハンジ(エレン)『!』

そこで初めてそれに気づいた顔をしたハンジ先生だった。

670進撃の名無し:2014/08/23(土) 10:29:27 ID:ca51ImzA0
ハンジ(エレン)『その手があったあああ! 私の馬鹿あああああ!』

リヴァイ(ミカサ)『いや、でもよく考えたら清掃業者に毎回掃除して貰っていたら、金、いくらあっても足りねえんじゃねえか? 教職の給料だけでどうにかなるのか?』

ハンジ(エレン)『ううう……そこは部屋デートの時だけ誤魔化せば』

リヴァイ(ミカサ)『いや、将来の事を考えたらいずれは誤魔化し効かなくなるだろ。ハンジ、悪い事はいわない。これから少しは自分で自分の事を出来るようになった方がいいぞ。特に家事はいずれ必要になる「スキル」だろ』

ハンジ(エレン)『やだよお。家事なんてしたくない(プイッ)』

リヴァイ(ミカサ)『本気で嫁に行けなくなるぞ? いいのかそれで』

ハンジ(エレン)『もー一生独身でもいいよ。何かもう、面倒臭くなったー(ゴロン)』

リヴァイ(ミカサ)『おい、勝手に人の太ももを枕にするな』

ハンジ(エレン)『リヴァイも既に2回、私の太もも枕にしているでしょうが』

リヴァイ(ミカサ)『…………1回じゃなかったか?』

ハンジ(エレン)『2回ですー。1回目は寝ぼけていたけどね。いいでしょ。たまには逆でも』

リヴァイ(ミカサ)『……………』

この時のリヴァイ先生、ちょっと困ったそうだ。

何故って? 男だからだよ。察してくれ。そこは。

リヴァイ(ミカサ)『まあ、いいけどな』

もし下手に動かれたらそこに刺激が加わってしまう可能性があったから、そこはそのまま手で押さえつけてやったそうだ。

ハンジ(エレン)『ちょっと。何で押さえつけるのよ』

リヴァイ(ミカサ)『ごそごそ動かれると迷惑だからな。太もも使うなら動くんじゃねえ』

ハンジ(エレン)『えええそれ酷くない? 何で私の時だけ制限あるのよ』

リヴァイ(ミカサ)『うるさい。黙って寝とけ。寝たいんだろ?』

ハンジ(エレン)『こんな高圧的な枕だと落ち着いて寝れないよ。もー』

リヴァイ(ミカサ)『だったら普通にベッドで寝ろ。その方がいいだろ』

ハンジ(エレン)『ちぇーなんか不公平な感じだなあ』

671進撃の名無し:2014/08/23(土) 10:30:54 ID:ca51ImzA0
と言いつつ、起き上ってリヴァイ先生の部屋のベッドに向かおうとするハンジ先生に、

リヴァイ(ミカサ)『おい、そこは俺のベッドだぞ。自分の部屋に戻れよ』

ハンジ(エレン)『今日くらい泊めてよ。ちょっとだけ傷心なんだから』

リヴァイ(ミカサ)『…………そんなにしんどいのか?』

ハンジ(エレン)『意外としんどかった。振られるのって結構きついんだね。知らなかったよ。今までの自分、酷かったんだなあって思った』

リヴァイ(ミカサ)『…………そうか』

ハンジ(エレン)『うん。泣き喚くほどの悲しさではないんだけど、アンニュイな気持ちだね。ため息は出ちゃうよ』

リヴァイ(ミカサ)『まあ、職場で顔も合わせるしな』

ハンジ(エレン)『うん。それもある。あーあ。家事万能で全部丸投げ出来る男を嫁にしちゃダメかなあ』

と、言い出したハンジ先生に対して観客が吹いた。

今、目の前にそういう「男」がいるのにって意味で。

リヴァイ(ミカサ)『…………専業主夫になってくれる男と結婚したいのか?』

ハンジ(エレン)『選択するとすればそれが1番良くないかな? まあ、さすがにそれは現実的には難しいだろうけど。せめて共働き? 家事は男性側が殆どやってくれて、私は買い物とかの車の運転とゴミ出しくらいで丁度いいかな』

リヴァイ(ミカサ)『完全にそれは「男」の役割だな』

ハンジ(エレン)『もう私、男に生まれたかったよーそうしたらこんなに面倒臭い思いしなくて済んだのにー』

リヴァイ(ミカサ)『………』

そして勝手にベッドの上でぐだまくハンジ先生にリヴァイ先生はまた困ったそうだ。

リヴァイ(ミカサ)『ハンジは女だろ。そこは否定するなよ』

ハンジ(エレン)『やだよー。女捨てたいー。いっそ、オナベにでもなろうかな』

リヴァイ(ミカサ)『女に欲情した事あるのか? そういう「感情」がないんだったらやめておけ』

ハンジ(エレン)『うう……残念ながらそういう経験はありません。いや、同性に告白された事は多々ありますけどね』

リヴァイ(ミカサ)『あるのか』

ハンジ(エレン)『私ってほら、背高いし? 仕草は元々男っぽいし? ショートヘアにしたら、すぐ男に間違われるの。髪をのばしているのはそのせい』

リヴァイ(ミカサ)『ああ……なるほどな』

ハンジ(エレン)『せめてもの「女」の部分だよ。髪の毛は。でも、もう切っちゃおうかなあ』

と、髪の毛を弄るハンジ先生にリヴァイ先生は「やめろ」って咄嗟に言ってしまったそうだ。

672進撃の名無し:2014/08/23(土) 10:33:10 ID:ca51ImzA0
ハンジ(エレン)『なんで? 切っちゃダメなの? ショートヘア嫌いなの?』

リヴァイ(ミカサ)『いや、そうじゃねえけど』

ハンジ(エレン)『じゃあいいじゃん。リヴァイ、髪の毛切ってくれない? その方がいいよ。髪だって洗いやすいでしょ?』

リヴァイ(ミカサ)『…………』

其の時、思い出したのはエルヴィン先生の「好み」だ。そこには「ショートヘア」が含まれていたから。

リヴァイ(ミカサ)『ショートにしたらエルヴィンに押し倒されるかもしれないぞ』

と、脅してみると、

ハンジ(エレン)『え? 何で?』

リヴァイ(ミカサ)『あいつ、ショートヘアの女がタイプなんだってさ。気が強いと尚いいらしいぞ』

ハンジ(エレン)『そうだったっけ? ん〜でも、エルヴィンとはそういう関係でいるところは想像出来ないなあ』

リヴァイ(ミカサ)『そうなのか?』

ハンジ(エレン)『私にとっては「限りなく家族に近い存在」なんだよね。エルヴィンは。だから、エルヴィンもそこは同じだと思うけど』

リヴァイ(ミカサ)『………』

ハンジ(エレン)『だからエルヴィンもそこは同じだと思うから大丈夫だよ』

リヴァイ(ミカサ)『だといいけどな』

ハンジ(エレン)『そんな事より! 髪切りたい! リヴァイ切ってよ』

リヴァイ(ミカサ)『…………何か嫌だ』

ハンジ(エレン)『えー何その曖昧な断り方! もーだったらいい。今度のお休みに自分で美容院行って切ってくるよ』

リヴァイ(ミカサ)『ダメだ。切るな』

ハンジ(エレン)『へ? 何で』

リヴァイ(ミカサ)『……………』

咄嗟に出た言葉にリヴァイ先生自身、驚いたそうだ。

自分でも「何故」そう言ったのか分からなくて。少し混乱したそうだ。

ハンジ(エレン)『え? 切った方が髪も洗いやすくない? 乾かすのも早いし。何が不都合なの?』

リヴァイ(ミカサ)『に……』

ハンジ(エレン)『に?』

リヴァイ(ミカサ)『似合っているんだから切るのは勿体ないだろ。そこまで伸ばした髪をわざわざ切る必要はない』

ハンジ(エレン)『いやいや、超ロングヘアならその言い分は分かるけどセミロングですよ? 私の髪型は。ハーフアップ出来る程度のものですから、切るのは別に勿体ないとか言わないレベルだよ? むしろ「どっちかにしろ」というか、中途半端な長さだし……』

リヴァイ(ミカサ)『いいから、切るな。切ったら飯、もう作ってやらん』

ハンジ(エレン)『はいすんませんでしたあああ! 諦めます!!!!』

と、あっさり手の平返しをするハンジ先生に観客はクスクス笑った。

ハンジ(エレン)『なんか良く分かんないけど、そこまで言うなら切らないでおくよ。今日はここに泊まってもいい?』

リヴァイ(ミカサ)『ああ。別に構わん』

ハンジ(エレン)『じゃあベッド借りるね。リヴァイはソファでいい?』

リヴァイ(ミカサ)『ああ』

ハンジ(エレン)『んじゃお休み。また明日〜』

と言って先にハンジ先生が寝る。

そしてリヴァイ先生は何故、咄嗟に髪を「切るな」と叫んだのか自分でも良く分からず、混乱しながら、眠りにつくのだった。

673進撃の名無し:2014/08/23(土) 11:32:01 ID:ca51ImzA0










場転。ぷりきゅあシリーズの音楽が流れる。

ぷりきゅあシリーズの映画館デートに連れていかれてしまったリヴァイ先生はその帰り道、相手の女が物凄く機嫌がいいのに気づいて少々驚いていた。

マリア(アニ)『本当に一緒に観てくれるとは思わなかったwww内容分かってないのに良かったの?』

リヴァイ(ミカサ)『付き合えって言ったのはそっちだろ。正直、何が何やらだったが、マリアの機嫌がいいから良しとする』

マリア(アニ)『ありがと〜嬉しい〜わざと連れて来たのに、本当に付き合ってくれるとは思わなかったよ』

リヴァイ(ミカサ)『やっぱりわざとだったのか』

マリア(アニ)『うん。愛されているなら付き合ってくれるかな? って思ってね。試して御免ね』

リヴァイ(ミカサ)『まあ確かに、ある意味愛の試練ではあるな」

マリア(アニ)『うん。リヴァイ先生なら、私の事、もう少し話でも大丈夫かなー』

と、喫茶店に入って席に着いて、2人は向かい合って飯を食う事にした。

マリア(アニ)『あのね。リヴァイ先生』

リヴァイ(ミカサ)『なんだ』

マリア(アニ)『私、大学卒業したら、許嫁と結婚させられる予定なんだ』

リヴァイ(ミカサ)『……………』

付き合っているのにいきなり重い話題を持ち出されてリヴァイ先生は閉口したそうだ。

ただ、まずは相手の話を聞いてやろうと思い、先を促す。

マリア(アニ)『自由で居られるのは「今」だけなんだよね。それに気づいてから、親に内緒で遊ぶようになっちゃった。私、テレビすら大学入るまではまともに見ない生活していたし。アニメも大学に入ってから初めて観たんだよ。夢みたいだと思った。こんなに楽しい世界があるなんて、私、今まで知らなくて。それからは親に内緒でアニメや漫画を買い漁ったよ。金だけはうち、腐るほどあるし。それからはコミケとかいう存在も知って、友達も出来て……エルヴィン先生とも出会って。私、そういう「青春」を今、初めて味わっているんだ』

リヴァイ(ミカサ)『………そうか』

マリア(アニ)『うん。いけない事だって頭では分かっているんだけど。私、今が楽しくてしょうがないよ。だから今のうちに出来れば「恋」もしてみたいって思ったの。勿論、両想いじゃなくていいし、失恋したって構わない。淡い感じの物でもいい。今しかやれない事、今のうちにやっておこうと思ったの』

リヴァイ(ミカサ)『だから俺を選んだのか?』

マリア(アニ)『そう。グダグダしている泥酔したリヴァイ先生を見て「この人何かイイ!」って不思議と思ってしまって。直感で選んだ。だってあれだけ「会いたい」を繰り返す人、初めて見たんだもの』

リヴァイ(ミカサ)『その時の記憶は全くないんだが、俺はそんなに「その女」に「会いたい」とほざいていたのか?』

マリア(アニ)『子供みたいにダダこねていたよ。先生、大人なのにwwww』

リヴァイ(ミカサ)『全く記憶がねえ……(ブルブル)』

674進撃の名無し:2014/08/23(土) 11:33:56 ID:ca51ImzA0
所謂、潜在意識の話だからどうしようもねえよな。これ。

マリア(アニ)『情報がもう少しあればうちの実家の力を借りて探してあげてもいいんだけどね。かなり断片的過ぎて、ちょっと無理かなとも思った』

リヴァイ(ミカサ)『マリアの実家は何をされているんだ』

マリア(アニ)『ん〜まあ、昔で言う「華族」の末裔みたいな物かな。天皇家とも遠い親戚になるらしいけど。その辺はよく分からない。家は財閥の家系の血筋とかも混ざっていて、所謂サラブレットの家系みたいだね』

リヴァイ(ミカサ)『ちょっと待て。そんなお嬢様がこんなところでのほほんと飯食ってていいのか?』

マリア(アニ)『放蕩娘って言ったでしょ? 周りにはあんまりその辺は話してなくて「ただの金持ちの娘」で通しているけど。大学もレベル落として入ったのはせめてもの反抗かな。本当なら海外の大学に行かされる筈だったのを「舌噛んで死んでやる」って脅して日本の大学に入れて貰った』

リヴァイ(ミカサ)『だったらせめて関東の大学とかじゃないのか。何で九州を選んだ』

マリア(アニ)『親と少し離れてみたかったんだよね。家なら全国各地に一杯あるし。リヴァイ先生を泊めた家も、ただの別荘地の1つだよ。一応、使用人を連れて生活する事を条件に何とか許して貰ったんだけど』

リヴァイ(ミカサ)『俺とは住む世界が違い過ぎるな』

マリア(アニ)『だと思うよ。だから、「結婚」はもう同じレベルの人とじゃないと無理だっていうのは分かってる』

リヴァイ(ミカサ)『……………自由になりたいとは思わないのか?』

マリア(アニ)『なりたいけど、そこまですると親泣かせるし。私、別に親を泣かせたい訳じゃないし。ただほんのちょっと、遊びたいだけ。「今」だけ限定でいいんだ』

リヴァイ(ミカサ)『そうか』

マリア(アニ)『御免ね。結婚する気もない癖に誘っちゃって。もし嫌なら、ここで切ってくれていいよ。丁度、一か月以上過ぎたし、そろそろお試し期間は終了してもいいだろうし』

リヴァイ(ミカサ)『……………』

この時、リヴァイ先生は別れると言う選択肢は全く見えなかったそうだ。

リヴァイ(ミカサ)『いや、継続で構わない。俺で良ければ、とことん付き合ってやろうじゃないか。遊ぶぞ。お前がやりたいだけ、遊ばせてやる』

マリア(アニ)『いいの?』

リヴァイ(ミカサ)『俺もお嬢様と付き合うのは初めての経験だが、それはそっちも同じだろ? 教師と付き合うのもいい人生経験になる。……元ヤンだしな』

マリア(アニ)『ぶふ! 何それ。GTAみたいじゃない。実はグレートティーチャーとか?』

リヴァイ(ミカサ)『? 意味が分からんが、俺はダメ教師だと思う。まだまだ怒られてばかりいるからな』

マリア(アニ)『やだもーそれ、超理想的じゃない! リヴァイ先生を選んで良かった!』

675進撃の名無し:2014/08/23(土) 12:00:39 ID:ca51ImzA0
リヴァイ(ミカサ)『? 意味が分からんが、俺はダメ教師だと思う。まだまだ怒られてばかりいるからな』

マリア(アニ)『やだもーそれ、超理想的じゃない! リヴァイ先生を選んで良かった!』

リヴァイ(ミカサ)『そうか。だったらこの後、どうする? ゲーセンでも行くか?』

マリア(アニ)『いいの? そういうの、付き合ってくれるの?』

リヴァイ(ミカサ)『体感系のゲームなら得意だ。シューティングとか』

マリア(アニ)『なら勝負しよ! ダンスダンスエボリューションで勝負しよ!』

リヴァイ(ミカサ)『なんだそれ? そんなものがあるのか?』

マリア(アニ)『踊ってバトルするゲームだよ! 楽しいよ?』

リヴァイ(ミカサ)『分かった。それに付き合ってやろう。会計済ませていくぞ』

そして喫茶店を出てリヴァイ先生は当時の彼女と遊びまくったそうだ。

当時のお付き合いは「恋」と呼ぶよりもむしろ、「生徒」と一緒に遊ぶような感覚に近いものだったらしい。

だからその「マリア」という女性とは結局、キスもセックスもしないまま、最後は別れてしまったそうだ。

でもこの時に初めてリヴァイ先生は「付き合う」という事の本当の意味を知ったような気がすると言っていた。

期間にして半年未満の短い物だったそうが、それでも今でも「いい思い出」なんだそうだ。

秋になって、9月頃、マリアの方が海外の短期留学に行く事を切欠にそこで関係をお仕舞にしたそうだ。

場転。空港にて。リヴァイ先生は見送りに行ったそうだ。

マリア(アニ)『やっぱり海外に行けって言われてごり押しされたから、親の顔立てる為に留学してくるね』

リヴァイ(ミカサ)『ああ。気をつけて行って来い。風邪とかひくなよ』

マリア(アニ)『うん。ありがとう。リヴァイ先生。楽しかった。この半年くらい。リヴァイ先生との時間、本当に楽しかった』

リヴァイ(ミカサ)『日本に戻ってきたら、もう会わなくていいのか? 本当に』

マリア(アニ)『あーそろそろリヴァイ先生の件、親にバレそうだから、やめておくよ。もしバレたら修羅場になるし。先生に迷惑かけられないしね』

リヴァイ(ミカサ)『そうか。それは残念だな』

マリア(アニ)『うん。先生こそ、良かったの? 結局1度も手出してないけど?』

リヴァイ(ミカサ)『んー……まあ、どっちでも良かったんだがな。何となく、そういう空気にならなかった』

マリア(アニ)『それって酷くない? まあ、実は私もそう思っていたんだけど。でも、初めての彼氏より、リヴァイ先生の方が断然良かったよ』

リヴァイ(ミカサ)『そう言って貰えると嬉しいもんだな』

マリア(アニ)『あ、そろそろ時間だ。じゃあ、行ってくるね先生! 結婚したら、手紙くらいは書くから! 向こうで許嫁に会ってくる!』

リヴァイ(ミカサ)『仲良くやるんだぞ』

マリア(アニ)『うん! じゃあね!』

そして爽やかに別れて、リヴァイ先生は微笑んだそうだ。

心の中にある充実感のような物を感じて、不思議と涙は出なかったそうで。

むしろ笑っている自分に変な心地を感じて、自分でも別れが辛いのかそうでないか、分からなかったそうだ。

笑っていたのなら、きっと「辛かった」んだとオレは思うけど、当時の先生はそこまで余裕はなくて。

でも、相手の未来を想って、自分が出来る限りの事をしてあげられた事は、後悔していないと言っていた。

676進撃の名無し:2014/08/23(土) 12:24:54 ID:ca51ImzA0
で、この頃、ハンジ先生はというと、

場転。またリヴァイ先生の部屋でぐだまいていたそうだ。

ハンジ(エレン)『いきなり部屋に来ないで!! って言ったのに、なんで来るかなあ〜? また汚部屋見られてドン引きされて別れ切り出されたー』

リヴァイ(ミカサ)『自業自得だろ。部屋片付けないお前が悪い』

ハンジ(エレン)『そうだけどさー! 最近、本当にリヴァイも忙しそうだったし、業者に頼んで掃除して貰っても、3日で元に戻っちゃうし! 部屋デートする時は前日に片付けて貰わないと、無理だし! 連絡入れないで部屋に来られても困るよ〜!』

リヴァイ(ミカサ)『部屋を綺麗にするというより、お前の場合は動線の整理が出来てないからぐちゃぐちゃになるんだろ』

ハンジ(エレン)『動線? 何それ?』

リヴァイ(ミカサ)『部屋の模様替えでもしてみたらどうだ? 自分の机回りと本棚だけは整理出来るんだから、片付けその物が出来ない訳じゃない筈なんだが……』

ハンジ(エレン)『ぬー……模様替えかあ。いろいろ変な物が出てきそうで怖いなあ』

リヴァイ(ミカサ)『俺は定期的に家具の配置とかも変えてみたりするぞ。模様替えすると、自然と大掃除になるし一石二鳥だ。必要なら手伝うが?』

ハンジ(エレン)『ううう……じゃあ試しにやってみようかな。うん……』

と、後日模様替えをする事になったそうだが……

模様替えしてもやっぱり元の木阿弥で、結果的には汚部屋の癖は改善出来なかったそうだ。

リヴァイ(ミカサ)『………何でやっぱりこうなるんだ? 訳分からん』

リヴァイ先生が忙しくてちょっと放置するとすぐ元に戻るのでどうにもならなかったそうだ。

677進撃の名無し:2014/08/23(土) 12:33:52 ID:ca51ImzA0
リヴァイ(ミカサ)『仕方がない。諦めるか。また定期的に掃除しに来てやるよ』

ハンジ(エレン)『え? でもあんた、彼女は? デートする時間なくなっちゃうよ?』

リヴァイ(ミカサ)『あーお嬢様とはもう別れたよ。今はフリーだ』

ハンジ(エレン)『ええええ何でえええええ?! 折角逆玉の輿のチャンスだったのに!』

リヴァイ(ミカサ)『まあ、そういう約束だったんだよ。期間限定だったしな』

ハンジ(エレン)『でも、リヴァイ、何か楽しそうだったよ? 何か今までより、ずっと良い空気だった気がするんだけど』

リヴァイ(ミカサ)『まあ、そうだろうな。俺も楽しかった』

ハンジ(エレン)『じゃあ何で別れるのよー! 馬鹿じゃないの? 勿体ない!』

リヴァイ(ミカサ)『仕方ねえだろ。そういう運命だったんだよ』

ハンジ(エレン)『ええええ………何それ! かっさらえば良かったじゃん! 本当に好きなら身分の差なんて関係ないでしょ!』

リヴァイ(ミカサ)『かもしれないが、それは相手が望んでいなかった。俺も望まなかった。それだけだ』

ハンジ(エレン)『またそれー? また流されてない? 大丈夫なの? 自分の気持ち、殺してない?』

リヴァイ(ミカサ)『いいや? 何のことか分からんな』

ハンジ(エレン)『ううう………リヴァイにご祝儀渡すチャンスがまた潰れたかー…』

リヴァイ(ミカサ)『それを言ったら俺もそうだな』

リヴァイ(ミカサ)『さてハンジ。俺もちょっと時間が出来たから、今日からハンジに「花嫁修業」をさせてやろう』

ハンジ(エレン)『はい?! いきなり何の話ですか?!』

678進撃の名無し:2014/08/23(土) 12:45:17 ID:ca51ImzA0
リヴァイ(ミカサ)『掃除の方はもう諦めるしかないかもしれんが、問題は「料理」の方だ。男は「料理」の出来る女には8割堕ちる。まずはそこから始めてみるぞ。俺が教えてやるからやってみろ』

ハンジ(エレン)『えええええやだああああ! 何でそんな効率の悪い事しなくちゃいけないの? リヴァイが作ればいいじゃない!』

リヴァイ(ミカサ)『俺もそういつまでもハンジの世話が出来るとは限らない。どうするんだ? もし急病で倒れたり長期入院してしまった場合は。俺がいない時、お前、餓死しかねんぞ』

ハンジ(エレン)『うぐ! それを言われると耳が痛いけど。リヴァイ、怪我だけはしないでね? 柔道の指導とか体育の授業で怪我しないでね? 車の事故もダメだよ?』

リヴァイ(ミカサ)『心配してくれるのは有難いが、俺もそう万能じゃない。それに料理を教えるのは俺にとっても楽しいからな。エプロン、俺のだと短いかもしれんが貸してやる。つけてみろ』

ハンジ(エレン)『ううう……』

ちょっとだけ短いエプロンを身に着ける。ここは本当にリヴァイ先生のサイズのエプロンをする。

リヴァイ(ミカサ)『まあ何とかなるだろ。まずは包丁を持ってみろ』

ハンジ(エレン)『こう? (逆手持ち)』

リヴァイ(ミカサ)『人を殺す持ち方するんじゃない。こうだ(ぎゅっ)』

「おおおお?!」という観客の声が沸いた。ここいいよな。俺もすげえ好きなシーンだ。

包丁を持ち返させて手を触れ合う。普通、ドキッとする筈場面なのに。

当時の2人は全くその気がない。本当、見ているとイライラするよな。いい意味で。

679進撃の名無し:2014/08/23(土) 13:00:14 ID:ca51ImzA0
ハンジ(エレン)『おおおお……久しぶりに包丁持った』

リヴァイ(ミカサ)『逆手持ちは固い野菜とか切る時には使うが、基本はこっちだ。まずはそうだな……りんごの皮でも剥いてみろ。りんごくらいなら俺の部屋にあった筈だ。持ってくる』

そして一度舞台をはけてりんごを持ってくる。

リヴァイ(ミカサ)『まずは効き手と逆の手、ハンジの場合は左でいいよな? で、持ってくれ』

ハンジ(エレン)『うん』

リヴァイ(ミカサ)『そしたら包丁をこう、持ち替えて……(後ろから指導している)』

「おおおお?!」という観客の声が再び沸いた。身体を相当密着させるシーンなんだ。ここは。

リヴァイ(ミカサ)『親指で皮をスライドさせる感じだな。左手でしっかり持てよ。落とさないように』

ハンジ(エレン)『うん』

リヴァイ(ミカサ)『包丁は動かすなよ。固定しろ。動かすのはりんごの方だけだ。包丁は添えるだけ。それを意識しろ』

ハンジ(エレン)『うう? あー?! (ザクッ!)』

リヴァイ(ミカサ)『馬鹿! 包丁の方は動かすなって言っただろ!』

ハンジ(エレン)『ううう……こんな繊細な動き、イライラするよお……親指切った…』

リヴァイ(ミカサ)『すまん。教え方が悪かったのか? うーん……』

ハンジ(エレン)『絆創膏、どこにやったかな? 救急箱、どこだっけ?』

リヴァイ(ミカサ)『水で洗え。先に』

ハンジ(エレン)『あ、そっか。あーでも、いいや、この程度なら。舐めておけば(ペロ)』

リヴァイ(ミカサ)『……………』

なんかエロい。と、思ったのは多分、オレだけではない筈だ。

ハンジ(エレン)『ん? 何?』

リヴァイ(ミカサ)『いや、何でもない。絆創膏、俺の部屋から持ってくる。待ってろ』

と、言って再び舞台からはけて舞い戻る。今度はソファに座って手の手当てだ。

680進撃の名無し:2014/08/23(土) 13:19:27 ID:ca51ImzA0
リヴァイ(ミカサ)『りんごの皮むきはまだ早いか。どの段階から教えて行けばいいんだろうな?』

ハンジ(エレン)『もー皮なんて剥けなくても別にいいよ。りんご食べたい時は、りんごジュースで済ませちゃえばいいじゃん』

リヴァイ(ミカサ)『ミキサーにかけるっていうのか? 皮ごと?』

ハンジ(エレン)『それくらいなら私にも出来るよ? 種はエルヴィンに取って貰ってたけど』

リヴァイ(ミカサ)『いや、結局それは人に頼んでいるじゃねえか。ダメだろ』

ハンジ(エレン)『ええー……もうリヴァイが全部やってよー。私、こういう地味な作業、苦手なんだよね』

リヴァイ(ミカサ)『嘘つけ。実験とかの方が余程繊細な作業だろ。シャーレとか、顕微鏡とか触るのは繊細と言わないのか?』

ハンジ(エレン)『あれは興味のある事だから出来るんであって、料理はその、自分のお腹にたまればそれでいいからさ』

リヴァイ(ミカサ)『まずはその「意識」の方を改革させる方が先かもしれんな』

ハンジ(エレン)『意識?』

リヴァイ(ミカサ)『料理を「実験」と同じようには考えられないのか?』

ハンジ(エレン)『というと?』

リヴァイ(ミカサ)『なんていうか……こう、いろいろ試してみるとか』

ハンジ(エレン)『それってルールに縛られなくてもいいってこと? 適当に混ぜてもいいの?』

リヴァイ(ミカサ)『興味のあるやり方の方がいいだろ。とっかかりがある方が入りやすい筈だ』

ハンジ(エレン)『分かった! だったらやってみる! チョコレートを溶かしてジャムと混ぜてみるとか!』

リヴァイ(ミカサ)『甘いのと甘いのを掛け算するのか。胸やけしそうだな』

ハンジ(エレン)『あとは御酢と醤油を混ぜたらどんな味するかな? じゃがいもって、砂糖かけても美味しいのかな?』

リヴァイ(ミカサ)『まあ、分量にもよるが……』

ハンジ(エレン)『分かった! そういうノリなら得意分野だよ! 新しい料理を開発してみる! リヴァイ、味見してね!』




マリーナ『えー……既に皆さんはお気づきかと思いますが』

マリーナ『ハンジ先生はここから「実験」のノリでいろんな組み合わせを試しては、没料理を繰り返し、その度にリヴァイ先生は味見して、悶絶する羽目になります』

マリーナ『そして遂に、その「究極の禍々しい物体」が出来上がってしまい、それを食した直後、リヴァイ先生は救急車で運ばれると言う珍事件を起こしました』

会場が爆笑だった。笑うしかないよな。これ。

マリーナ『ハンジ先生は「やっぱりもうやめた方がいいんじゃない? ギャンブルクッキングになるだけだよ」と思ったそうですが、リヴァイ先生は諦めず、それでも懲りずにハンジ先生に料理をさせようとして、そしてようやく10回に1回くらいの割合で何とか食べられる物を作れるようになったそうです』

再び爆笑だった。ハンジ先生が「てへペロ☆」して笑っている。

マリーナ『そしてナンダカンダありながら、いよいよこの年の12月、2人は遂は競技ダンスの本番を迎えます』

マリーナ『2人は友人となってからの初めての、2人きりの旅行に出かけます』

マリーナ『その珍道中とも言える旅の中で、リヴァイ先生の心の中に僅かな「変化」が訪れるのですが……』

マリーナ『ハンジ先生の「ある一言」のせいで、それが全て台無しになってしまうのでした』

681進撃の名無し:2014/08/23(土) 13:28:48 ID:ca51ImzA0
区切りがいいのでここで一旦、区切ります。ではまたノシ

682進撃の名無し:2014/08/24(日) 02:03:41 ID:JdhRMEzM0










リヴァイ先生の部屋でリヴァイ先生自身が旅行の荷物を整理していた。

リヴァイ(ミカサ)『個人的な旅行をするのは久々だな。修学旅行や大会の引率等では出かけるが、こうやって仕事を離れた旅行はいつぶりか思い出せない』

ハンジ(エレン)『あんた無趣味だもんねー。たまには旅行とか行かないの? 彼女と遠方に出かけたりしなかったの?』

リヴァイ(ミカサ)『ドライブでちょっと遠出する程度はあっても、やっぱり学校の事を考えるとな。もし何か生徒に緊急事態が起きたらと思うと、なかなか踏ん切りがつかなかった。生徒が万引きや喧嘩をしたりしたら担任は呼び出されるだろ。その度に俺も走り回っていたし』

ハンジ(エレン)『そういう意味じゃここ最近、講談高校も以前に比べたら生徒達が大人しくなったよね。うちらの高校生の頃って、窓ガラスとか普通に割れていたしね』

リヴァイ(ミカサ)『俺もだ。バイク乗り回した奴らがグランドで暴れたりしていた事もあったな』

ハンジ(エレン)『なんていうか、大分「のんびり」とした空気になって来たよね。殺伐とした空気が薄れてきたというか…』

リヴァイ(ミカサ)『だからこそ、こうやって旅行に行けるんだろ? まあ、何かあった場合はエルヴィンに任せる事にはなってはいるが』

といろいろ言いながら旅行鞄に衣服を詰め込んでいく。

ハンジ(エレン)『あーちょい待ち。物、入れ過ぎ。重さ考えよう。荷物は出来るだけ減らした方がいいよ』

リヴァイ(ミカサ)『何? 何が余計だと言うんだ?』

ハンジ(エレン)『全体的に膨れ過ぎ。着替えの下着は10枚も要らないから。3泊4日の日程なんだし』

リヴァイ(ミカサ)『だが大会の時に汗を大量に掻くだろう? 向こうについてから直前に練習はしないのか?』

ハンジ(エレン)『いや、するけどさ。3泊4日なら5枚でいいよ。ホテルの中でも洗濯は出来るし、最悪、現地で下着は追加して買えばいいから』

683進撃の名無し:2014/08/24(日) 02:28:45 ID:JdhRMEzM0
リヴァイ(ミカサ)『そうなのか。いやしかし、俺は着替える頻度が多いからな』

ハンジ(エレン)『そこは多少我慢しよう。あと出来れば荷物はリュックより、ゴロゴロタイプの荷物を引っ張れる鞄の方が移動は楽なんだけどな』

リヴァイ(ミカサ)『体力の事なら心配しなくてもいい。俺は力があるからな』

ハンジ(エレン)『いや、あんた関東の旅行を舐めすぎ。関東、行った事なかったっけ?』

リヴァイ(ミカサ)『………そう言えばなかった気がする』

ハンジ(エレン)『だったら、これを機会に鞄を買おう。ゴロゴロタイプ。もしくはエルヴィンのを借りるかだね』

リヴァイ(ミカサ)『いや、エルヴィンに頼るのは忍びない。貸してはくれるだろうが、いい機会だから今回は自分用の鞄を新調しよう』

という訳で場転。翌日、鞄屋に足を運んで2人で鞄を買う事にしたそうだ。

沢山の「ゴロゴロ」タイプの鞄を見て考え込むハンジ先生だった。

ハンジ(エレン)『海外に行く訳じゃないからごつい奴でなくてもいいよね』

リヴァイ(ミカサ)『そうだな。いつか行く機会はあるかもしれないが、今回はそこまで想定しなくていい』

ハンジ(エレン)『だったら……この360度回転がきく鞄がいいと思う。見て。こうすると回せるよ』

と、その場でくるくる回して見せる。

実際、そういうタイプの「ゴロゴロ」タイプの鞄は売られている。

コミケなどに参加するお姉様方が使う必須アイテムなんだそうだ。

リヴァイ(ミカサ)『ほう。回せるのか……(くるくる)』

ハンジ(エレン)『うん。これあると便利なんだよね。あと、手で持つところがこう、すぐ伸ばせる奴だと尚いい』

リヴァイ(ミカサ)『だったらもうこれで良くないか? 値段も適当だろ?』

ハンジ(エレン)『色は何色でもいいの〜黒と青と緑があるよ?』

リヴァイ(ミカサ)『どれでもいい』

ハンジ(エレン)『じゃあ緑にしておこうか。私のと御揃いで』

リヴァイ(ミカサ)『ん? いいのか?』

ハンジ(エレン)『うん。大きさはリヴァイの方が一回り大きいから区別出来るよ』

リヴァイ(ミカサ)『じゃあそれで』

という訳で、似たような鞄を購入して改めて旅行の準備に入るリヴァイ先生だった。

リヴァイ(ミカサ)『……こっちの鞄の方が荷物入るな。やっぱり10枚下着、入れたらダメだろうか?』

ハンジ(エレン)『ううーん。あんまりお勧めはしないけどね。どうしてもっていうなら、しょうがないけど』

684進撃の名無し:2014/08/24(日) 02:47:28 ID:JdhRMEzM0
リヴァイ(ミカサ)『着替えが足りないと不安になる。そこは一応入れておこう』

ハンジ(エレン)『あと財布は出来れば2つに分けようか。万が一、スリにあった場合、それに全部入れていたら、泣くしかないし』

リヴァイ(ミカサ)『なんだって? そんなに危険な場所なのか? 関東は』

ハンジ(エレン)『電車の中の密集率は九州のそれの比じゃないからね……リヴァイの背丈だと周りに潰されて埋もれる可能性もあるね』

リヴァイ(ミカサ)『分かった。心しておく』

ハンジ(エレン)『まあ、普段からリヴァイは警戒心が強い方だから余程の事がない限りは大丈夫だと思うけど』

リヴァイ(ミカサ)『人が多いんだよな。それだけがネックだな』

ハンジ(エレン)『まあねー。でもそこはほら、旅行のテンションで乗り切ろう!』

リヴァイ(ミカサ)『分かった。ホテルの方はもう手配済みなのか?』

ハンジ(エレン)『うん。言われていた通りにツインで取っておいたよ。……イビキ煩いかもしれないけど、其の時はごめんね☆』

リヴァイ(ミカサ)『耳栓も一応持っていくか……』

ハンジ(エレン)『そうしてくれると助かります』

リヴァイ(ミカサ)『普段うちに泊まる時も、たまにイビキはかいているけどな』

ハンジ(エレン)『あ、そうだったの? なんだーその時は起こしてくれて良かったのに』

リヴァイ(ミカサ)『いや、なんか可哀想で、つい』

ハンジ(エレン)『じゃあその辺は心配いらなかったのね。ありがと』

リヴァイ(ミカサ)『防寒具はどの程度必要だ? マフラーとかも要るだろうか?』

ハンジ(エレン)『そうだね。向こうはこっちより寒いかも。ホッカイロも持っていく方がいいかもね』

リヴァイ(ミカサ)『了解した(いそいそ)』

そして大体の準備を一通りそろえて鞄を閉める。

685進撃の名無し:2014/08/24(日) 03:19:33 ID:JdhRMEzM0
リヴァイ(ミカサ)『12月22日の夜に出発して、大会は24日と25日の2日間にかけてだったな。帰り着くのが25日の夜になるのか』

ハンジ(エレン)『うん。本当はもうちょっとゆっくりしたかったけど、まあその辺は仕方ないよね。冬休みの学校の当直の件もあるし』

リヴァイ(ミカサ)『十分だろ。むしろ3泊4日も自由に出かけられる事の方が奇跡だ』

その辺の事は、実はエルヴィン先生とピクシス先生が裏で手を回して2人に休暇を取れるように調整してくれたそうだ。

この頃から全力で応援していたんだけど、当の本人達は「有難いなあ」という程度の認識だったそうだ。

リヴァイ(ミカサ)『衣装の方はレンタルしたが、当日のメイクはどうする? ハンジは普段化粧をしないが、化粧道具はちゃんと持っているのか?』

ハンジ(エレン)『あ、うん。大丈夫ー持ってるよ。ほら』

と、一通り化粧道具を実際に出してくれたのでリヴァイ先生は安心したそうだ。

リヴァイ(ミカサ)『なんだ。ちゃんと一通り道具は持っていたのか』

ハンジ(エレン)『うん。葬式とか結婚式に呼ばれた時くらいはちゃんとしていくからね』

リヴァイ(ミカサ)『……………1回、化粧をしたハンジを見てみたいんだが』

ハンジ(エレン)『?! 突然何言い出すの?! ダメだよ!?』

リヴァイ(ミカサ)『何故だ?』

ハンジ(エレン)『何故って………その、あの………恥ずかしいから』

リヴァイ(ミカサ)『珍しい反応だな。普通は「ノーメイク」を見られる方が恥ずかしいもんじゃないのか?』

ハンジ(エレン)『ううう〜………』

目が泳いでいるハンジ先生だったけど、リヴァイ先生は構わず、

リヴァイ(ミカサ)『せめて口紅だけでも』

と、言って口紅を1本勝手に握ってにゅっと絞り出したそうだ。

ハンジ(エレン)『やーめーてー! こら! 人の化粧道具を勝手に触らないで!』

リヴァイ(ミカサ)『ククク………そう言われると逆にやってみたくなるな』

ハンジ(エレン)『もーこの意地悪! メイクは本番まで見せたくないよお!』

リヴァイ(ミカサ)『そういうもんか?』

ハンジ(エレン)『そういうもんです! ほら、口紅返して!』

リヴァイ(ミカサ)『……………(自分の唇に近づける)』

ハンジ(エレン)『ちょっとあんた! 何しようとしてんの?! 女装する気?!』

と、油断した瞬間をついて、

リヴァイ(ミカサ)(ひょい)

ハンジ(エレン)『!』

リヴァイ先生はこの時、本当にちょっとした「悪戯心」でハンジ先生を捕まえて口紅を勝手に塗ってやったそうだけど。

ハンジ(エレン)『ん…………』

口紅を突きつけられたら口を閉じるしかない。

勿論、綺麗に塗れた訳じゃない。大きくはみ出して、下手くそなメイクをした訳だけど。

其の時のハンジ先生の反応は、予想以上に「女らしかった」ものだから、うっかり、ドキッとさせられたそうだ。

686進撃の名無し:2014/08/24(日) 03:41:59 ID:JdhRMEzM0
だからやらかした後に酷い罪悪感のような物が沸いて来て、すぐに謝ったそうだ。

リヴァイ(ミカサ)『すまん。はみ出した』

そこじゃねえだろ。っていうツッコミ入れたい謝り方だったけど。

ハンジ(エレン)『もー……リヴァイはすぐそうやって悪戯仕掛けるよねー』

と言いつつ、唇を尖らせるハンジ先生に、口紅を返してティッシュの箱を渡す。

口紅を拭いてすぐ落としている様子を見ていたら、急に居た堪れない気持ちになって目を伏せてしまったそうだ。

ハンジ(エレン)『ん? どうしたの?』

リヴァイ(ミカサ)『いや、何でもない。この口紅の色、いい色だな』

ハンジ(エレン)『ん〜もう大分前に買った口紅だけどね。大学入学した時に買った物だから、9年くらい前のかな?』

リヴァイ(ミカサ)『物持ちいいな。いや、辛抱して使っているのは分かるが、それにしても、減りが少ないな』

ハンジ(エレン)『たまにしか使わないからね。意外とそんなもんですよ?』

リヴァイ(ミカサ)『そうか………』

ハンジ(エレン)『うん。まああんたの過去の彼女達とは全然違うかもしれないけど? 綺麗な子、ばっかりだったみたいだし?』

リヴァイ(ミカサ)『そうだな。化粧の減りが早くて困るとか言っていたような気がする』

ハンジ(エレン)『女を維持するのは大変だからね〜お金もかかるし。時間もかかるし。そういう時間、殆ど捨てて正解だった。おかげで仕事がサクサク進む』

リヴァイ(ミカサ)『でも今度の大会では「美」を競い合うんだろ? そういう部分を武器にしないと勝てないんじゃないのか?』

ハンジ(エレン)『あーそう言われればそうか。勝つ気でいくなら、気持ち切り替えないといけないよね』

と、ちょっと思い直したハンジ先生はこの時、言ったそうだ。

ハンジ(エレン)『ん〜そういう事なら、しょうがないか。分かった。リヴァイの前で化粧姿を見せるの、初めてだけどフライングで見せてあげる。ちょっと時間かかるけど。待っていて貰える?』

と、急に気が変わったハンジ先生にリヴァイ先生は驚いたそうだ。

リヴァイ(ミカサ)『え? いいのか? 半分冗談だったんだが』

ハンジ(エレン)『うん。いいよ。私、今度の大会本気で優勝を狙っているからね。きっとリヴァイとなら、イケると思ってる』

リヴァイ(ミカサ)『…………』

ハンジ(エレン)『お風呂、入ろうか。どうせやるなら髪も完璧にして見せてあげる。私の化粧に何か変なところがあったら言ってね。リヴァイから見て、修正したい部分があったら遠慮なく言って。その辺の目はあんたの方が肥えている筈だから』

リヴァイ(ミカサ)『あ、ああ……分かった』

そして暗転。化粧後の眼鏡のハンジ先生に、会場は少しだけざわめいた。

687進撃の名無し:2014/08/24(日) 03:58:38 ID:JdhRMEzM0
何故かって? ええっと。とりあえず、ド派手だったからだ。

所謂、「舞台用」のメイクで濃いメイクを乗せたから、リヴァイ先生もズコーッと倒れたそうだ。

リヴァイ(ミカサ)『ハンジ……それ、まさか、普段もそれなのか?』

ハンジ(エレン)『いやいや! これはダンス用だから。普段はこんなんじゃないよ? ビデオとかで研究してやってみたよ。踊る時はこれくらい派手にしてもいいみたいだよ?』

リヴァイ(ミカサ)『そうなのか? いや、にしても何か「変」だぞ。やり過ぎなんじゃないのか?』

ハンジ(エレン)『そう? でもほら、参考資料、見て? こんな感じだよ?』

と、雑誌を手渡す。

リヴァイ(ミカサ)『ふむ。確かに派手ではあるな』

ハンジ(エレン)『でしょでしょ? だから問題ない筈だよ?』

リヴァイ(ミカサ)『だが、こちらのメイクは「派手」ではあっても「変」ではない。ハンジのは、派手な上に変だな。修正した方がいいと思う』

ハンジ(エレン)『そう? じゃあリヴァイならどう変える?』

リヴァイ(ミカサ)『俺だったら……』

ここからはミカサがオレのメイクを実際に弄ってくれる。

これ、もし立場が逆だったらとてもじゃないが、演じるのが無理だったと思う。

オレ、化粧なんて人にしてやれねえもん。男で触れるのってリヴァイ先生くらいじゃねえか?

リヴァイ(ミカサ)『チークの位置がズレ過ぎだな。もう少し、こう……』

と言いながら微妙に修正を入れていく。

そして本当に、微妙に変化を与えてやると、さっきとは別人のように変わった。

派手でありながら「美しい」メイクへ変貌したのだ。

やはりこの辺は「女」じゃないとうまく出来ねえよな。さすがミカサだぜ。

観客も劇的ビフォーアフターに「おおおお」と驚いていた。

リヴァイ(ミカサ)『………こんなもんか? これなら派手であっても「変」ではないと思うが』

ハンジ(エレン)『おおお! 何か違う! やっぱりリヴァイに任せて正解だった!』

リヴァイ(ミカサ)『本番もこのメイクで行くか? だったら写真撮っておくぞ』

ハンジ(エレン)『うんお願い! 写真撮らないと忘れそうだしね!』

リヴァイ(ミカサ)『分かった』

そして携帯で写真を撮るSE。その写真を見つめながら、リヴァイ先生は何か妙な心地になったそうだ。

当たり前だよな。ここでのハンジ先生、限りなく女子大生時代のハンジ先生に戻っているんだから。

でも、この時は「ちょっと似ている」程度しか思わなくてまさか「同一人物」だとは思わなかったそうだ。

688進撃の名無し:2014/08/24(日) 04:13:07 ID:JdhRMEzM0
加えて当時は「年月」も経っていたのが痛かった。女子大生の時と比べて7年も月日が経ってしまえば、流石に印象が変わる事もあるだろう。勿論、全く変わらない人もいるだろうが、ハンジ先生の場合はその時間のせいで外見の印象が大分「男」寄りになってしまっていたそうだ。

そして何より、この時のハンジ先生は「黒縁眼鏡」をかけていた。

メイクする時は眼鏡を外すが、目は閉じる。目を開けた時は眼鏡をかけた上でメイクの状態を見る訳だから、印象が違って当然だった。

リヴァイ(ミカサ)『………折角化粧したんだ。ちょっと外に出てみないか?』

ハンジ(エレン)『え?! 何で?! 嫌だよ!』

リヴァイ(ミカサ)『いや、エルヴィンとかに見せなくていいのか?』

ハンジ(エレン)『それだったらこっちに来て貰った方がいいよ。外はちょっと……』

リヴァイ(ミカサ)『そうか? じゃあ呼んでみるか』

と、エルヴィン先生も登場するのだった。

エルヴィン(アーロン)『やあ、化粧のせてみたんだって? どれどれ……おお! いい感じじゃないか。そのメイクで踊るのかな?』

ハンジ(エレン)『その予定だよ。似合う?』

エルヴィン(アーロン)『ああ。似合っているよ。どうせならレンタルの衣装とも合わせてみたら?』

リヴァイ(ミカサ)『ああ、それもそうか。衣装との色合いも考えないといけなかったのを忘れていた。すまん』

という訳で、ハンジ先生は一度舞台を引っ込んで、あの緑色のダンス衣装を着て再登場だ。

この衣装は実際にハンジ先生にあの衣装を借りた。オレと体型が似ているから出来た技だな。

女が男物を着るのと、男が女物を着るのでいえば、後者の方が楽だ。

尻がでかいから余裕がある。胸の詰め物は殆ど要らないから、余計に楽だった。

689進撃の名無し:2014/08/24(日) 04:15:33 ID:JdhRMEzM0
今回はここまで。キャッツアイばりに「気づかねえのかよ!」
というツッコミ入れたい気持ちですが、そこは置いて下さい。すみません。

では次回またノシ

690進撃の名無し:2014/08/24(日) 10:20:37 ID:JdhRMEzM0
その姿を見て自然と口元が緩む自分に気づいてリヴァイ先生は慌てて口元を引き締めたそうだ。

男って生き物は単純だよな。女が綺麗にしていると、それだけで機嫌が良くなる生き物だ。

思っていた以上の上出来にエルヴィン先生も当時、拍手したそうだ。

エルヴィン(アーロン)『うん。似合っていると思う。深緑色がとても良く似合っているよ』

ハンジ(エレン)『良かった! じゃあこれで打ち合わせは終了だね。化粧落としてくる』

リヴァイ(ミカサ)『待て。まだ化粧は落とさなくても…』

ハンジ(エレン)『何で? もうやる事やったじゃない』

リヴァイ(ミカサ)『まあ、そうなんだが………』

ハンジ(エレン)『ん? 何? あんたこういうの好きな訳?』

と、言われた瞬間、リヴァイ先生、うっかり固まってしまったそうで、エルヴィン先生は爆笑したそうだ。

エルヴィン(アーロン)『ククク…………リヴァイ、今頃ハンジの美しさに気づいたの?』

リヴァイ(ミカサ)『いや、そういう訳じゃない。その、なんだ。化粧したんだから、たまにはそういう格好で外に出てもいいんじゃないかって思っただけだ』

ハンジ(エレン)『出かける理由もないのに? 嫌だよ。化粧落としてきまーす』

と言ってハンジ先生は当時、リヴァイ先生の提案をぶっちぎったそうだ。

691進撃の名無し:2014/08/24(日) 10:33:00 ID:JdhRMEzM0
リヴァイ先生はちょっとだけ残念に思いながら、頭を掻いた。

その様子につい、エルヴィン先生は笑いがこみあげてきたそうだ。

リヴァイ(ミカサ)『何で笑う。エルヴィン』

エルヴィン(アーロン)『ん? ついつい。リヴァイの顔がおかしくて』

リヴァイ(ミカサ)『そんなにおかしい顔をしているか?』

エルヴィン(アーロン)『うん。リヴァイ、自分で気づいてないの?』

リヴァイ(ミカサ)『何の事だ?』

エルヴィン(アーロン)『いや、まあ、何でもない。げふんげふん』

リヴァイ(ミカサ)『わざとらしい咳払いはやめろ。ハンジがあんな風に自分の中の「女」の部分を拒否するのは何か理由があるんだろうか?』

エルヴィン(アーロン)『んー………』

当時、ハンジ先生の裏事情を知っていたエルヴィン先生は曖昧に濁したそうだ。

エルヴィン(アーロン)『ま、ハンジは「仕事」に生きる事を選んだだけだよ。其の為に「女」をある程度捨てた。必要最低限の「女」でいる事を選んだだけだよ』

リヴァイ(ミカサ)『でもあいつ、決してモテない訳じゃないんだぞ? すっぴんでもコナかけられるって事はそういう事なんだろうし……』

エルヴィン(アーロン)『ハンジは中身も魅力的だからね。男のツボを良く心得ているから』

リヴァイ(ミカサ)『………それは悪女って意味でか?』

エルヴィン(アーロン)『いや、そこは多分、小悪魔くらいかな。そこまでどぎつい物じゃないんだけど』

リヴァイ(ミカサ)『ふむ………多少、こずるい女は嫌いじゃないんだがな』

エルヴィン(アーロン)『リヴァイ、今、自分がどんな顔しているのか本当に気づいていないのかい?』

リヴァイ(ミカサ)『え?』

エルヴィン(アーロン)『いや、まあいいや。そこは横に置いておく。旅先でトラブルに巻き込まれないように気をつけてね。特にリヴァイは初めての遠方旅行だろ。何かあったらすぐ私に知らせてくれ。もし、飛行機が飛ばないとか、不測の事態に陥ってもこっちは対応出来るようにしておくから』

692進撃の名無し:2014/08/24(日) 10:48:47 ID:JdhRMEzM0
リヴァイ(ミカサ)『ああそうか。天候次第ではそういう場合もあるか。その時は、別の便を使うしかないよな』

エルヴィン(アーロン)『夜行バスで帰る手段もあるにはあるが、体力的にはお勧めしない。ここからだと片道14時間くらいかかるからね』

リヴァイ(ミカサ)『いや、それでもちゃんとどうにかして帰ってくる。あくまでプライベートの用事なんだしな』

エルヴィン(アーロン)『…………延長したっていいんだよ? 授業がある訳じゃないんだから』

リヴァイ(ミカサ)『そうかもしれんが、他の先生達に面目が立たないだろうが。大丈夫だ。大会が終わり次第、寄り道しないでさっさと帰ってくるよ』

エルヴィン(アーロン)『むしろ寄り道して欲しいんだけどな……』

リヴァイ(ミカサ)『何か言ったか? エルヴィン』

エルヴィン(アーロン)『いや別に。あ、ハンジが元に戻ったね』

という訳で、元のメイクに戻して貰って舞台に復帰するハンジ先生だった。

ハンジ(エレン)『ふーすっきり! 顔が軽いね! やっぱりすっぴんサイコー!』

エルヴィン(アーロン)『うん。すっぴんの方が美人だね』

ハンジ(エレン)『あらそう? お上手だね! エルヴィン!』

リヴァイ(ミカサ)『…………』

ハンジ(エレン)『他に何か準備しておく事ってあったかな? ……あ、生理用品、忘れてた! やばい! 買っておかないと!』

リヴァイ(ミカサ)(ぶふー!)

さすがにあけすけに言い過ぎるハンジ先生にうっかりリヴァイ先生、吹いたそうだ。

リヴァイ(ミカサ)『お、お前なあ……』

このシーン、正直ちょっと恥ずかしい。男のオレが「生理用品」なんて言葉を言うんだからな。

ハンジ(エレン)『予定通りにいけば大会日程と被るかもしれないんだよね。いや、ズレてくれれば幸いなんだけど。万が一の為にも用意しておかないと』

693進撃の名無し:2014/08/24(日) 11:06:41 ID:JdhRMEzM0
リヴァイ(ミカサ)『は? それ、本当か? コンディション大丈夫なのか?』

ハンジ(エレン)『最悪の時は鎮痛剤ぶち込みます! 問題ないよ☆』

リヴァイ(ミカサ)『いやいや、待て待て。無茶するな。体調が悪い場合は棄権するぞ。何も今年、どうしても優勝する必要はないだろ。別の大会だってあるんだろ? そっちで資格を取れば……』

ハンジ(エレン)『それじゃダメなのよおおおお!』

リヴァイ(ミカサ)『は? 何で』

ハンジ(エレン)『えええっと………んーと、その…』

エルヴィン(アーロン)『ハンジは一発合格が好きなんだよね。浪人経験ないし、試験や資格取得で今まで1度も挫折した経験がないんだよ』

リヴァイ(ミカサ)『それは何気に凄いな』

ハンジ(エレン)『そ、そうなのよ! ほら、一発合格しないと気持ち悪いでしょ? だから頑張るよ!』

リヴァイ(ミカサ)『やれやれ……気の強い女だな。ハンジは。まあ、そこまで言うなら俺もつきやってやるが。本当にまずい状態になったらちゃんと言え。お前に必要以上に無理させてまで、こっちは資格を取りたい訳じゃないんだからな』

ハンジ(エレン)『う、うん……そこは大丈夫だよ☆(誤魔化し笑み)』

エルヴィン(アーロン)『生理中でも大会に出ないといけない場合もあるよ。女の人はそういう時が大変だよね』

ハンジ(エレン)『そうだよねー。女ってコレがあるから面倒臭いんだよねー。薬局行ってくるー』

リヴァイ(ミカサ)『待て。だったらついでに俺も買いたい物が有るから一緒に行く』

ハンジ(エレン)『え? 何買うの?』

リヴァイ(ミカサ)『愛用のポリビタンCだ。体力気力回復には必需品だろ。在庫切らしているからついでに買ってくる』

ハンジ(エレン)『だったら私が一緒に買ってくるよ。大丈夫。1人で行ってくるから』

リヴァイ(ミカサ)『そうか?』

ハンジ(エレン)『うん。いつものアレでいいんだよね? 1ダースでイイ?』

リヴァイ(ミカサ)『ああ。それで頼む』

ハンジ(エレン)『じゃあ行ってくるねー』

エルヴィン(アーロン)『いってらっしゃい』

そして舞台をはける。ハンジ先生を見送るリヴァイ先生に、エルヴィン先生が失笑する。

694進撃の名無し:2014/08/24(日) 11:20:17 ID:JdhRMEzM0
エルヴィン(アーロン)『リヴァイ、空気読もうよ』

リヴァイ(ミカサ)『え?』

エルヴィン(アーロン)『生理用品を買いに行くって言う女性に「ついていく」って、普通、言わないよ?』

リヴァイ(ミカサ)『え? あ………それもそうか。すまん』

エルヴィン(アーロン)『うん。ハンジだからアレで済んだけど。普通の女性ならキレられると思うよ? 自重しようね?』

リヴァイ(ミカサ)『いや、ちょっと待て。冷静に考えたら男が2人もいる前で「生理用品買ってくる」とほざくハンジの方がアレなんじゃないか?』

エルヴィン(アーロン)『それはそうだけど。いや、でも……ぶふっ!』

リヴァイ(ミカサ)『笑い過ぎだ。エルヴィン』

エルヴィン(アーロン)『御免御免。ついね。いや、相変わらず仲がいいなあと思ってね』

リヴァイ(ミカサ)『ナンダカンダで付き合いが長くなってきたからな。もう3年目か……』

エルヴィン(アーロン)『そうだね。まあ、君の場合は12年くらい付き合いのあった彼女とかもいた訳だけど』

リヴァイ(ミカサ)『今、何故そいつの話題を出す?』

エルヴィン(アーロン)『いや、今どうしているのかなって、思ってね。その相手の彼女が』

リヴァイ(ミカサ)『あー先に結婚した。普通に「結婚したからたんまりご祝儀よこせ」って連絡きたからな』

エルヴィン(アーロン)『それはそれで凄いね! 結婚式出てきたの?』

リヴァイ(ミカサ)『それは日程が合わなくて辞退したけど、ご祝儀はちゃんと送ってやったよ。「たんまり」がどの程度か分からないが、20万くらいで良かったんだろうか』

エルヴィン(アーロン)『それ、親戚の方の額だからね。嫌味だと思われるよ? 流石に』

リヴァイ(ミカサ)『そうか? 結構喜ばれたぞ。「あともう10万くらい欲しかったけど、まあ妥協してやる」とも言われた。俺があいつにしてしまった事に対する慰謝料みたいなもんだと思えば安い額だろ』

エルヴィン(アーロン)『凄い関係だね。いやまあ、君達がそれでいいならいいけど』

695進撃の名無し:2014/08/24(日) 11:41:20 ID:JdhRMEzM0
リヴァイ(ミカサ)『慰謝料については別れる時にもこっちから出そうとも思ったんだがな。あいつは一銭も受け取らなかった。「一方的に傷ついた訳じゃない。私も幸せだった時期はある。悪いのはお互い様だから」と言ってくれた。今思うと、あいつ、本当にいい女だった』

エルヴィン(アーロン)『離れてから分かる事ってあるよね。うん。分かるよその気持ちは』

リヴァイ(ミカサ)『そうだな。俺は本当に馬鹿野郎としか自分でも思えない』

エルヴィン(アーロン)『もういいじゃない。過去は反省するだけでいいよ。それより先の事を考えないと』

リヴァイ(ミカサ)『そうだな。そういう意味では周りはどんどん結婚しているようだ。俺の大学時代の男の知人も続々結婚の報告が届いている。高校時代の女のダチも、もう殆ど結婚してしまった。やはり20代の後半辺りが1番、そういう「ラッシュ」時期なんだろうな』

エルヴィン(アーロン)『何だか寂しそうだね。リヴァイ』

リヴァイ(ミカサ)『そりゃあな。あのお嬢様とも別れたし、今、一番近くにいる異性はハンジくらいなもんか』

その発言の直後、観客がまた失笑した。

もうな、ツッコミどころ満載過ぎて腹痛いよな。コレ。

エルヴィン(アーロン)『ハンジとつきあってみたらいいじゃないか』

リヴァイ(ミカサ)『いや、無理だろ。あいつにその気はない。俺の方もそうだが』

エルヴィン(アーロン)『いやいや、本当にそうなの? ハンジはともかく、リヴァイの方が』

リヴァイ(ミカサ)『そもそもハンジには俺の悪癖が全部バレているんだぞ。見苦しいところも多々見せた。あいつから見たら、俺は絶対、そういう意味では「対象外」にしかならんだろ』

エルヴィン(アーロン)『質問の答えになってないよ。リヴァイ、今はハンジから見た意見なんて聞いてない。君自身の「気持ち」はどうなの? って話なんだけど』

リヴァイ(ミカサ)『今、もしハンジに手出したら、また「最低馬鹿野郎」呼ばわりされるだけだろうな』

エルヴィン(アーロン)『そうやってまたすぐ誤魔化す……やれやれ。君も相当頑固な男だね』

696進撃の名無し:2014/08/24(日) 11:56:43 ID:JdhRMEzM0
リヴァイ(ミカサ)『俺の事より、エルヴィン自身はどうなんだ。お前、ハンジの事、かなり気に入っているんじゃないのか?』

エルヴィン(アーロン)『そりゃ合鍵分け与えるくらいだからね。好きだよ。彼女の事は』

観客が「おお?」とざわめいた。まさかの三角関係?! みたいな。

真相を知っているオレとしては、ここは複雑にしか見えないけど。

リヴァイ(ミカサ)『だったらエルヴィンの方がハンジと付き合えばいいだろう。何でそうしないんだ?』

エルヴィン(アーロン)『んーまあ、私にもいろいろ事情があるんだよ』

リヴァイ(ミカサ)『まさか種無しとか言うんじゃないだろうな?』

エルヴィン(アーロン)『いや、それはないけど』

リヴァイ(ミカサ)『だったら何だ? 俺にはエルヴィンが手を出さない事の方が不思議でしょうがないんだが』

エルヴィン(アーロン)『………………』

ここでエルヴィン先生、相当心の中で葛藤があったらしいんだ。

そりゃそうだよな。目の前に好きな人がいて、違う相手を勧めてくるんだぜ?

エルヴィン(アーロン)『…………………他に好きな人がいるんだよ』

リヴァイ(ミカサ)『え?』

エルヴィン(アーロン)『片思いだ。叶わない恋だと分かっているが、自分でもどうしようもない』

リヴァイ(ミカサ)『え……ちょっと待て。エルヴィン、お前程の手練れが叶わない相手って誰だ?』

お前だよ!!!

と、言いたいところだけどここでは言えない。

観客もざわざわしている。察しのいい人は気づくだろうか? それは分からないけど。

エルヴィン(アーロン)『言ったら私は次の日に自殺するしかなくなるから言わない』

リヴァイ(ミカサ)『何だって? 分かった……そんなに手ごわい相手なら俺もこれ以上は聞かない。すまなかったな。言わせてしまって』

エルヴィン(アーロン)『いや、いい。私もずっと抱えているのは辛かったしね。でも、これ以上は「今」は聞かないでくれ。時を見て、話せる時がくれば必ず話すから』

リヴァイ(ミカサ)『そ、そうか……分かった』

その「時」が「あの時」だった訳だな。つまり、もうこの時点でエルヴィン先生は決めていたんだ。

リヴァイ先生とハンジ先生がくっつく未来を信じて、自分の気持ちは犠牲にしようと。

エルヴィン先生もある意味「男」だよな。自分のポリシーは絶対曲げないっていう意味では。

697進撃の名無し:2014/08/24(日) 12:23:43 ID:JdhRMEzM0
エルヴィン(アーロン)『うん、ごめんね。詳しくは話せない。こればっかりはどうしようもない』

リヴァイ(ミカサ)『いや、構わない。俺も根掘り葉掘り聞いて悪かったな』

エルヴィン(アーロン)『うん……じゃあね。私は部屋に戻るよ』

そしてどこか哀愁を漂わせながらエルヴィン先生は退場した。

この当時のリヴァイ先生は、本当にエルヴィン先生の告白に驚いたそうだ。

以後、エルヴィン先生の動向を注意深く「観察」するようになって、そしてだんだん、気づいてしまったんだ。

エルヴィン先生の想い人の相手は「自分」ではないかと。勿論、確証はない。でもたまに「熱っぽい視線」のようなものを感じる時が増えて、リヴァイ先生は咄嗟に逃げてしまったそうだ。

事実を知るのが怖くて。ここでもリヴァイ先生は「逃げて」しまったんだ。

リヴァイ先生って、格闘やらそういう「肉体的」に戦う事は強くても、精神、特に「恋愛事」に関してはどうも不器用過ぎる気質があるようだ。

これってリヴァイ先生の「欠点」だよな。別名「ヘタレ」ともいうけど。

でも、この時にエルヴィン先生に深く突っ込まなくて良かったともオレは思うんだ。

もしも「うっかり」リヴァイ先生が問い詰めたり、そういう気配を出していたら、流石のエルヴィン先生も理性ぶち切れて無理やりでもリヴァイ先生を抱いてしまっていた可能性もあったと思う。

以前、エルヴィン先生自身が「灰色も大事」と言ったのはきっとこの事が原因じゃないかと思うんだ。

はっきりさせない方がいい。そういう「時」もあるんだと。そう感じたんだろう。

この場面を見ながらリヴァイ先生は「長い溜息」をついていた。

エルヴィン先生の方を見て、半眼になっている。エルヴィン先生は笑って「私は名役者だったでしょ?」とほざいているけど。

リヴァイ先生は『そうだな』とだけ答えて観劇を続けたのだった。

698進撃の名無し:2014/08/24(日) 12:58:38 ID:JdhRMEzM0





空港の場面だ。搭乗手続きをしている場面だ。

受付嬢には何故かアルミン(女装)とアニとサシャの3人が演じている。

それっぽい感じで手続きを済ませてゴロゴロを引いてリヴァイ先生とハンジ先生はロビーで並んで座った。

リヴァイ(ミカサ)『いよいよだな』

ハンジ(エレン)『そうだねー。お腹すいたなー』

リヴァイ(ミカサ)『待て。今、買い物するな。向こうについてからゆっくり食えばいいだろ』

ハンジ(エレン)『そうだけどさー。しまったなあ。携帯食何か持ってくれば良かった』

リヴァイ(ミカサ)『チョコレートでも食うか? カロリーメイトのやつだが』

ハンジ(エレン)『お! 気がきくね! ありがとう!』

リヴァイ(ミカサ)『お前、旅慣れているんじゃなかったのか?』

ハンジ(エレン)『ん? 旅は割と慣れている方だけど、こういう事もあるよ。(もぐもぐ)』

リヴァイ(ミカサ)『やれやれ。向こうについたら何食べるかな』

ハンジ(エレン)『とりあえず、焼鳥食べようよ。ビールで乾杯!』

リヴァイ(ミカサ)『おいおい、いいのか? 大会前にアルコールを入れて』

ハンジ(エレン)『ええ? ダメかな? あ、そうだよね。ダメかー』

リヴァイ(ミカサ)『匂いが残ってしまったらもしかしたら減点の対象になるかもしれんだろ。そこはやめておけ』

ハンジ(エレン)『そうだね。じゃあお酒はやめておくとして……ちょっと贅沢する?』

リヴァイ(ミカサ)『どんな?』

ハンジ(エレン)『ん〜………お寿司とか?』

リヴァイ(ミカサ)『いや、何か危ない気がする。そういう店に行ったらアルコールを自然と頼みそうな気がするぞ』

ハンジ(エレン)『う……それもそうか』

リヴァイ(ミカサ)『コンビニで弁当でも買ってホテルで食ってもいいけどな』

ハンジ(エレン)『そうだね。そうしようか』

リヴァイ(ミカサ)『………体の方は大丈夫か?』

ハンジ(エレン)『うん。問題ないよ。まだきてない』

リヴァイ(ミカサ)『いや、それは逆に危ないんじゃ……』

ハンジ(エレン)『ん〜被る可能性は五分五分かなあ。ま、しょうがないって』

リヴァイ(ミカサ)『…………本当に大丈夫なのか?』

ハンジ(エレン)『相変わらず過保護だねえ。大丈夫だって言ったら大丈夫だよ』

699進撃の名無し:2014/08/24(日) 13:00:20 ID:JdhRMEzM0
リヴァイ(ミカサ)『ならいいんだがな………』

と、腕を組みため息をつくリヴァイ先生だった。

リヴァイ(ミカサ)『こういう寒い時は余り出歩かず、家でゴロゴロしている方が安全ではあるんだが。今頃エルヴィンはゴロゴロモードだろうな』

ハンジ(エレン)『かもねー。今年のクリスマスはエルヴィン、ピクシス先生と飲む予定以外は入ってないって言ってたよ』

リヴァイ(ミカサ)『そうか……』

ハンジ(エレン)『雪、降るかなあ?』

リヴァイ(ミカサ)『降らない方がいいんじゃないか?』

ハンジ(エレン)『そうだね。ま、関東もそう、多く雪が降る地域でもないんだけど、クリスマスくらいは降って欲しいかなあ』

リヴァイ(ミカサ)『元気だな。ハンジは』

ハンジ(エレン)『リヴァイ、寒いの苦手だったっけ?』

リヴァイ(ミカサ)『普通じゃないか? 寒いのも、暑いのも度が過ぎると嫌だと思う。夏は特に。ベタベタする感じが苦手だ』

ハンジ(エレン)『私は冬は好きだよ。お風呂入らなくても大丈夫だし』

リヴァイ(ミカサ)『……………夏に比べれば、の話だろ?』

ハンジ(エレン)『てへ☆ そうとも言うね』

リヴァイ(ミカサ)『冬はさすがにシャワーだけだと体が冷えるから湯船にゆっくりつかりたいな』

ハンジ(エレン)『銭湯、行ってみる? 神田川みたいに』

リヴァイ(ミカサ)『神田川? なんだそれ』

ハンジ(エレン)『知らないの? そういう歌があるんだよ』

リヴァイ(ミカサ)『ほう。歌えるのか?』

ハンジ(エレン)『いいよ〜ええっとね、確かこんな感じだったかな』

そして「神田川」の曲が流れ始めて、それに合わせてオレが歌う。

ハンジ(エレン)『貴方は〜もう忘れたかしら〜♪ 赤い〜手ぬぐいマフラーにして〜♪』

ハンジ(エレン)『二人でいった〜横町の風呂屋〜♪ 一緒に出ようねって言ったのに〜♪』

ハンジ(エレン)『いつも〜私が待たされた〜♪ 洗い髪が芯まで冷えて〜♪』

ハンジ(エレン)『小さな〜石鹸〜カタカタ鳴った〜♪ 貴方は私の〜体を抱いて〜♪』

ハンジ(エレン)『冷たいねって〜言ったのよ〜♪』

ハンジ(エレン)『若かったあの頃〜♪ 何も〜怖くなかった〜♪』

ハンジ(エレン)『ただ〜貴方のやさしさ〜が〜♪ こ〜わ〜か〜あった〜♪』

ハンジ(エレン)『っていう曲だよ』

リヴァイ(ミカサ)『最後の「優しさが怖い」っていうのはどういう意味だ?』

ハンジ(エレン)『ん〜私もいまいち意味が分かんない。リヴァイの「優しい」から「最低」より意味分かんないんだよね』

リヴァイ(ミカサ)『優しいって言葉はいろんな言葉と繋がっているんだろうか?』

ハンジ(エレン)『人によってはそうなんじゃない? 私はそう思うな』

リヴァイ(ミカサ)『日本語ってやつはつくづく難しい言葉だな』

ハンジ(エレン)『そうだね! 日本独特の文化に繋がっているからね!』

リヴァイ(ミカサ)『いっそ、頭の中を全て相手にうまく伝える「翻訳機」でもあればいいのに』

ハンジ(エレン)『ん? どうしてそう思うの?』

リヴァイ(ミカサ)『俺は自分でも自分の「言葉」がうまくないと自覚している。自分の言いたい事がうまく、相手に伝えられない事が多いんだ。そういう意味じゃ、コミュニケーション能力の高いハンジの事を羨ましいとすら思う事もある』

700進撃の名無し:2014/08/24(日) 13:20:23 ID:JdhRMEzM0
ハンジ(エレン)『ふーん。そうだったんだ。意外だね』

リヴァイ(ミカサ)『ああ。他にも仕事早いところも羨ましいし、何より俺より背がある事が1番羨ましい』

ぷふっと笑いが起きた。リヴァイ先生、身長コンプレックス酷いな。仕方がないけど。

ハンジ(エレン)『そうなんだ。いや、でも背丈あると面倒臭いよ? 成長痛とか。思春期にぐんぐん伸びて、夜中とか痛くて大変だったよ』

リヴァイ(ミカサ)『俺はそんな経験、したことがない……くっ』

ハンジ(エレン)『そうなんだー。うーん。私は逆に小さい方が羨ましいんだけどなあ』

リヴァイ(ミカサ)『そうなのか?』

ハンジ(エレン)『うん。小回りきくじゃん? あと、洋服選ぶ時、サイズあるじゃん? 私の服、女性用で探すと見つからない事が多いんだよね。だから男物をわざと着る事にした。そっちの方が種類あるんだもの。ズボンを除いてだけど』

リヴァイ(ミカサ)『そうか……だからボタンの留め方が俺と同じだったんだな』

ハンジ(エレン)『そうそう。女性でいたい気持ちがない訳じゃないけど。2Lサイズって、数少ないんだよね。「これ安い!」と思って買おうとしてMサイズかよ! みたいな事が多々あってげんなりするよ』

リヴァイ(ミカサ)『安い服でいいのか』

ハンジ(エレン)『消耗品だもん。安い服で十分だよ。デザインも極端に露出がなければそれでいい。色も地味系が多いかな』

リヴァイ(ミカサ)『……安い時は教えてやろうか? 俺もマメに洋服の情報は見ているし』

ハンジ(エレン)『そうして貰えると助かるな。あ、ついでだから私の分も一緒に買ってきてよ。デザイン任せるからさ。男物で十分だし』

リヴァイ(ミカサ)『男物だとサイズ変わらないか?』

ハンジ(エレン)『男物だと「L」サイズにダウンするよ』

リヴァイ(ミカサ)『そうか……(ズーン)』

クスクス笑いが伝播していく。今のリヴァイ先生も赤くなっているようだ。

ハンジ(エレン)『ん? どうした?』

リヴァイ(ミカサ)『いや、俺は「M」サイズだからな。やっぱりな、と思っただけだ』

ハンジ(エレン)『んーリヴァイの場合は逆に「女物」で探した方が数が多いかもしれないね。特にTシャツとか』

リヴァイ(ミカサ)『いや、肩幅が違う。そこは筋肉の量の関係で入らないんだよ』

ハンジ(エレン)『OH……面倒臭いのね。こりゃ大変だ』

リヴァイ(ミカサ)『俺の場合、筋力は平均以上だから、体のサイズを測るのが難しい。ただ、Lでもいけない訳じゃないから、ハンジの服を俺が着ても違和感はないとは思うが』

ハンジ(エレン)『なるほど。じゃあ、今、着てみる?』

「おおおおお?」と観客が沸いた。上着の交換の場面なんだ。

こう、くすぐったい場面だよな。もう、こいつらどうにかしろ! 的な意味で。

701進撃の名無し:2014/08/24(日) 13:51:55 ID:JdhRMEzM0
ハンジ(エレン)『リヴァイのダウンジャケット、袖がちょっと足りないかな』

リヴァイ(ミカサ)『腕はハンジの方が長いようだな』

ハンジ(エレン)『手足長いからね。多分。そっちはどう?』

リヴァイ(ミカサ)『割と着心地がいいな。この上着。どこで買ったんだ?』

ハンジ(エレン)『ええっと、大学院の頃に買った物かな。アメリカ行った時に寒くてつい、買っちゃった』

リヴァイ(ミカサ)『アメリカ? お前海外行った事あったのか』

ハンジ(エレン)『アメリカだけじゃないよ。アフリカも経験あるし、中国、後は……インドかな。所謂、生物の研究の関係で、実際に現地に行ってレポートを書いたりする事もあってね。一応、英語、中国語、韓国語、ドイツ語、フランス語、辺りまでなら読み書きとおしゃべりもちょっとだけ出来るよ』

リヴァイ(ミカサ)『ぶふー!』

あまりの「才女」っぷりに流石のリヴァイ先生もぶったまげたそうだ。

リヴァイ(ミカサ)『え……お前、語学堪能だったのか? 英語教師になれば良かったじゃないか』

ハンジ(エレン)『いやいや? 私の場合は「論文」を読むのが1番の目的だから、おしゃべりはそこまで得意じゃないよ。ちょっとだけ。出来るのは。だって原文で読まないと意味が微妙に食い違う事もあるじゃない? 意訳され過ぎだろ! って何度もツッコミ入れたくなる事が多々あってね。こりゃ本腰入れて勉強しないと思って、独学で頑張った訳ですよ』

リヴァイ(ミカサ)『なんかこういうのもアレだが、お前もお前で俺とは違う世界の住人のような気がしてきた』

ハンジ(エレン)『ちょ……そんなにドン引きしないでよ! 傷つくよ!』

リヴァイ(ミカサ)『いや、引いているとかいう話じゃない。なんていうか……素直に「凄い奴だったのか」と思っただけだ』

ハンジ(エレン)『まあ、大学も一応、難関と呼ばれる大学を出ていますからね』

リヴァイ(ミカサ)『そうか。お前、それだけ「勉強」してきているんだな。俺とは全然違ったのか』

ハンジ(エレン)『リヴァイも成績は悪くなかったんでしょ? エルヴィンから聞いているよ』

リヴァイ(ミカサ)『いや、俺の場合はただの「優等生」クラスだろ。ハンジの場合は「才女」と言ってもいいレベルだ。教師なんかより、もっと稼げる仕事に就けたんじゃないか?』

ハンジ(エレン)『ん〜でも私、お金の為に仕事している訳じゃないし』

リヴァイ(ミカサ)『そうなのか?』

ハンジ(エレン)『言わなかったっけ? 「趣味と実益を兼ねている」って。この仕事、好きなんだ。単純に。それだけだよ』

リヴァイ(ミカサ)『まあ、それを言ったら俺もそうなるのかもしれないが……』

そして搭乗案内アナウンスだ。

リヴァイ(ミカサ)『そろそろ移動するか』

ハンジ(エレン)『だね。上着、面倒だからこのまま行こうか』

リヴァイ(ミカサ)『そうだな』

と言いながら舞台をはける。何故かここでヒューヒューの嵐だ。

上着交換して搭乗とか、意味分からんよな。本当に。

ああああああもう、ムズムズしてくる。この辺、本当に。

お互いに自覚ねえから余計にな。今のリヴァイ先生は、笑っているだけだけど。

そして場転。さすがに飛行機の中を舞台上で表現するのは難しかったので、今回は省略だ。

椅子とかを用意出来なかったんだ。だからここはカットで。

702進撃の名無し:2014/08/24(日) 13:58:05 ID:JdhRMEzM0
目的地についてから、ホテルにチェックインしてコンビニ弁当を食べる。

上着をそれぞれハンガーにかけて、いつものようにお風呂タイムだ。

アルミンがまた「見せられないよ!」の恰好になって登場するんだけど……

ここでリヴァイ先生を驚かせる演出だ。

リヴァイ先生は「絶対カットしろ」と言われた箇所があるんだが。

ミカサが「絶対嫌だから本番でごり押しする」と言い出した箇所がある。

ミカサは「このシーンをやる為にリヴァイ先生を演じると決めた」と言ったので、相当揉めたんだけど。

エルヴィン先生がこっそり許可出した。だからこの件についてはリヴァイ先生だけ「知らない」んだ。

あー心臓ドキドキしてきた。アルミン、やってくれ。

看板をひっくり返す。そして「と、思ったでしょ?」という文字。

ざわざわ……皆、驚いている。

2個目の看板。「でも、今回だけは特別に……」という言葉から……

アルミン『途中から、見せちゃうよ!』

「ええええ?!」という観客の声。リヴァイ先生が『え?』って顔をした。

リヴァイ『おい、ちょっと待て。ここも音声のみで行くんじゃないのか?』

エルヴィン「ごめん。どうしても、ある場面だけやりたいってミカサが言い出した」

リヴァイ『待ってくれ。それってまさか……』

エルヴィン「まあ、黙ってみようか。リヴァイ」

リヴァイ先生が暴れ出したのでエルヴィン先生とピクシス先生が抑えにかかった。

音声が流れる。水音だ。その間に裏方スタッフが舞台を走り回ってセットを構築する。

準備が出来るまでは音声で誤魔化すんだ。

703進撃の名無し:2014/08/24(日) 14:01:06 ID:JdhRMEzM0
さて。問題のシーンがついにやってきました。
今日はここまでにします。次回、リヴァイ先生、憤死決定です(笑)

それではまたノシ

704進撃の名無し:2014/08/24(日) 20:53:05 ID:JdhRMEzM0
そして準備完了後、光を一度完全に落とす。ここは本当にドキドキする。

運命の瞬間だからだ。オレは闇の中で移動して風呂釜の中に入って、肩だけヌードになり、頭はタオルで包む。

リヴァイ先生はTシャツと短パン姿だ。服を脱ぐ前にその会話をする事になるんだが。

真っ暗な状態で音だけ先に流す。ここは先に録音していた部分だ。

リヴァイ(ミカサ)『やっすいシャンプーだな。あんまり泡立たねえぞ』

ハンジ(エレン)『別にいいよ。ちょっと量を多めに出せば?』

リヴァイ(ミカサ)『じゃあ遠慮なく』

ハンジ(エレン)『ぎゃああ本気で遠慮してない!!! うわ! 加減間違えてない?! モコモコ酷いよ?!』

リヴァイ(ミカサ)『本当だな。目、しっかり瞑れ』

ハンジ(エレン)『はあい』

リヴァイ(ミカサ)『お湯流すぞ』

ザバー……

リヴァイ(ミカサ)『いつものように体もいくぞ。はい、バンザイ』

ハンジ(エレン)『はあい』

ザバー……

リヴァイ(ミカサ)『はい、終わり。あとは先に湯船の中に入っておけ』

ハンジ(エレン)『はあい』

そして照明が戻る。ここからだ。リヴァイ先生、顔面蒼白になってるけど。

本当、すんません。本気ですんません。でもやる(笑)。

705進撃の名無し:2014/08/24(日) 20:54:04 ID:JdhRMEzM0
ハンジ(エレン)『ねーリヴァイ』

リヴァイ(ミカサ)『ん?』

服を脱ごうとする前に止める。ここで例の問題の会話のシーンになるんだ。

ここは散々カットしろと頼まれた場面なんだけど。

こんな面白い名シーン、ないからな。もう、見せちゃえwwwって事になったんだ。

ハンジ(エレン)『ちょっとあんたがシャワー浴びる前に聞いていい?』

リヴァイ(ミカサ)『何だ?』

ハンジ(エレン)『いつも思うけど、あんたって、私の体を洗ってくれる時、その……おっぱいとか、あそこは触らないよね』

リヴァイ(ミカサ)『なんだ? やって欲しいのか?』

ハンジ(エレン)『いや、そういう訳じゃないんだけど! 理由、あるのかなって』

リヴァイ(ミカサ)『あー……まあな』

ハンジ(エレン)『全部、やらない理由有るんだ?』

リヴァイ(ミカサ)『そうだな。その通りだ』

ハンジ(エレン)『何で? 他の女の子の時も同じなの? それとも……』

リヴァイ(ミカサ)『いや、他の女は全部洗ってやるが』

ハンジ(エレン)『え? 私だけ? 何で?』

リヴァイ(ミカサ)『…………』

この瞬間、リヴァイ先生はエルヴィン先生、ピクシス先生、イアン先生、キース先生、あとミケ先生に押し付けられて身動きが取れなくなっていた。

5人がかりで押さえてようやく動きを止められるって言うのも凄いけど。

ミカサは絶好調で演じている。もうこの瞬間の為に練習してきたと言っても過言じゃねえ。

706進撃の名無し:2014/08/24(日) 20:55:14 ID:JdhRMEzM0
リヴァイ(ミカサ)『そこは人間の体で一番デリケートな部分だから力加減がとても難しい。洗ってやれない事もないが、同意がない状態では洗ってやれない』

ハンジ(エレン)『そ、そうなんだ…』

ミカサが目を細めた。いやらしく笑いながら、遂に言い放ったんだ。

あの名セリフを。

リヴァイ(ミカサ)『そこだけは、自分でやれ。まあ、洗って欲しいならやってやれなくもないが……(手首クイクイ)』


ぶふうううううううう!!!!


過去最大の大爆笑だった。いや、失笑だった。

会場は凄まじく轟いた。これは酷いwwwwwwって意味でな。

その瞬間、リヴァイ先生が『あああああああああ!』と叫んで劇を邪魔した。

リヴァイ『そのシーンはカットしろと散々言っただろうが!!!!! ハンジ、お前この事、知ってたのか?!』

ハンジ『御免なさい(ぺこり)』

リヴァイ『裏切者!!!! おまえ、これ、何で……!!!!』

ハンジ『だあって、話の都合上、ここカットする訳にはいかないってエルヴィンに言われたらしょうがないじゃん』

リヴァイ『いや、カットしても大丈夫だろ!!!! 流石にここはカットするべきだろ!』

エルヴィン「いや、他にももっとカットするべき場面は多々あると思うけどね」

ピクシス『本当じゃ。自分の一番都合の悪い部分だけ伏せようとしたってそうはいかん』

リヴァイ先生が白目向いて堕ちた。あ、現実逃避しちゃったようだ。

そしてミカサが言った。

ミカサ『再開してもいいですか?』

ピクシス『構わんよ。続けなさい』

という訳で劇は再開である。もう本当、会場は爆笑の最高潮だった。

707進撃の名無し:2014/08/24(日) 20:56:31 ID:JdhRMEzM0
ハンジ(エレン)『へ?!』

リヴァイ(ミカサ)『どうする? 俺はどっちでも構わんぞ(ニヤニヤ)』

ハンジ(エレン)『丁重にお断りします!!!!!』

リヴァイ(ミカサ)『ん? いいのか? やって欲しかったんじゃないのか? (もう1回手首動かす)』

ハンジ(エレン)『いやいやいやいや!!!! 無理無理無理!!! 絶対無理!!!』

リヴァイ(ミカサ)『ちっ……(舌打ち)』

ハンジ(エレン)『そんなところまで甘えられないよ! 子供じゃないんだから!!! いや、子供でもそこまでやってもらわないよ!? 普通は!』

リヴァイ(ミカサ)『まあ、そうだろうけどな』

ハンジ(エレン)『あーびっくりした。まさかそういう理由だったとは』

リヴァイ(ミカサ)『何だと思っていたんだ?』

ハンジ(エレン)『いや、汚い場所だし普通に触りたくないのかなって』

リヴァイ(ミカサ)『…………………』

ハンジ(エレン)『エッチな事をする時は別だよ? だからうん。まあ、その……私の為に気遣ってくれていたのだとしたら、その、ありがとうね』

リヴァイ(ミカサ)『…………………当然だろ。その程度の気遣いは』

ハンジ(エレン)『うん。だからありがとうって事。リヴァイとのお風呂、何でこんなに楽しいんだろって、ずっと疑問に思っていたけど、その理由が分かった気がする』

リヴァイ(ミカサ)『ん?』

ハンジ(エレン)『リヴァイ、本当に細かいところで優しいんだよね。だから安心していられるんだと思う。気合抜けていてもいいんだって思ったら、こう、ね? 布団の中に入っている感じ? ポカポカするんだよね。なんとなく』

リヴァイ(ミカサ)『実際は風呂の中に入っている訳だが?』

ハンジ(エレン)『比喩表現だよ! その……なんていうのかな……まあ、うん。えへへへ〜』

リヴァイ(ミカサ)『結局誤魔化すのか』

ハンジ(エレン)『だってうまく言えないんだもん。お酒飲んだ時のような心地いい感じかなあ。ちょっとほろ酔いみたいな?』

リヴァイ(ミカサ)『………それは「楽しい」っていう感情じゃないのか?』

ハンジ(エレン)『そうかもね。うん。私、リヴァイと一緒にいると「楽しい」んだと思う』

リヴァイ(ミカサ)『そうか。奇遇だな。俺もだ』

ハンジ(エレン)『あれ? そうだったの?』

リヴァイ(ミカサ)『一緒にいるのが飽きないな。それだけは断言できる』

ハンジ(エレン)『あははは! よく言われます! 私、面白いねって人によく言われるし?』

リヴァイ(ミカサ)『ハンジのいいところの一つだろ。イイ事じゃねえか』

ハンジ(エレン)『そう? へへへ〜ありがとうね!』

リヴァイ(ミカサ)『どういたしまして』

そして暗転。しばしざわめいていたが、やっとここでリヴァイ先生が意識を回復した。

708進撃の名無し:2014/08/24(日) 20:58:04 ID:JdhRMEzM0
リヴァイ『ちょっと待ってくれ……』

ピクシス『なんじゃ?』

リヴァイ『その……なんだ。…………皆、ニヤニヤこっちを見るんじゃねえええええ!!!!』

無理だろ。どう考えても。

公開羞恥プレイに居た堪れなくなって、リヴァイ先生は押さえつけていた先生達に『もう暴れないから手離してくれ』と言った。

そして雛壇の席に戻ってから、リヴァイ先生はハンジ先生の前で土下座した。

リヴァイ『あの時は、本当にすまなかった……』

ハンジ『いやいやいや? 別に私、怒ってないよ?』

リヴァイ『いや、調子に乗ってすまん。今思うと、あの頃の俺はアホだった。あの時の風呂で、ほんの少しその、なんだ。いや、少しじゃねえな。大分、いや、その……』

もう何言ってるのか訳わかめだな。周りは過去最高の「ヒューヒュー」だった。

ハンジ『顔あげていいよー! いや、本当に怒ってないし。むしろ私の方こそ、ごめんね? 皆の前でコレ、暴露させちゃって。止めようとも思ったんだけど、その、ねえ?』

ピクシス『過去の過ちはちゃんと振り返るべきじゃぞ? リヴァイ』

リヴァイ『おっしゃる通りです』

と、爆笑2回目だった。そしてようやく席に戻ってリヴァイ先生は皆の前で言葉を紡いだ。

リヴァイ『あーすまん。その、見ての通りだが、俺は劇中にある様に皆が思っている程「綺麗な人間」じゃねえ』

と、ちょっとだけ真面目な表情に戻って言った。

リヴァイ『この劇は出来るだけ、当時の事を振り返って再現はしているが、ある程度省略している部分もある。カットしてコレだから、元はもっと酷いと思ってくれ。そういう訳だから、俺はこの劇の中で……リヴァイ・アッカーマンの幻想をぶち壊す』

まるで某アニメの主人公のような事を言いだしたリヴァイ先生だった。

リヴァイ『そのせいで幻滅してしまった奴もいるだろう。気持ち悪いと、さすがにひくわーと思う奴もいると思う。そいつに対しては「すまない」としか言えないが、これも先生の「一部」だ。だから今後は出来るだけ、俺自身に対してあまり「綺麗な印象」を抱かないで欲しい。俺はどちらかというと、ダメ人間だと自分でも思っているし、ハンジがいなかったら、もっと人として酷い男に成り下がっていたと思っている。特にその、女関係の方面では』

と、言うとまた失笑が起きた。

すると生徒達の中から質問が飛び出した。

「3桁女抱いたって本当ですか?」という際どい質問にリヴァイ先生はこう言い放った。

リヴァイ『そこも記憶が曖昧で、実際にはよく覚えていない。ただ、10代から27歳くらいまでは本当に、ダメ男街道を驀進していたからな。ハンジが俺を殴ってくれなかったら、もっとおかしな事になっていたと自分でも思う』

「隠し子いないですよね?」という質問まで飛び出した。おいおい、OB強いな! 卒業生すげえ。

リヴァイ『いないな。もしいたら絶対女から連絡が来る筈だ。その辺については自信がある』

ハンジ『あーあんまりそれ、自慢にならないからね? リヴァイ』

あははは! と周りは笑って、ハンジ先生が呆れている。

リヴァイ『それもそうか。すまん』

ハンジ『まあ、もしも今後、浮気したらリヴァイのあそこを手術しちゃうっていう手もあるからね? 私は一向に構わないよ? うん。本当の私の「嫁」になる?』

リヴァイ『分かっている。浮気はしないと、約束しよう。今ここで、皆の前で』

おおおおおおお……パチパチパチと拍手が起きた。こりゃ生徒と先生、全員が証人だな。

意外と真面目に返されてちょっと照れるハンジ先生だった。

ハンジ『だったらいいけどね。うん……』

リヴァイ『そういう訳だ。劇の方はもうちょっと先まで物語が続く。長丁場で申し訳ないが、子供連れの方はそろそろ時間的にしんどいだろうから、先に帰って頂いても構わない。時間に余裕のある方は残って頂けると有難い。土産はこちらに用意しているので、俺とハンジでお見送りします。では、ここで一旦休憩という事で』

と、打ち合わせにはなかったけど、リヴァイ先生はそう急遽、判断して、子供連れのOBOGを先に帰らせたんだ。

もうこういう細かい気遣いは本当、リヴァイ先生にしか出来ないよな。

そんな訳で途中で劇が止まってしまったけど、続けていきたいと思う。

709進撃の名無し:2014/08/24(日) 21:01:07 ID:JdhRMEzM0
やっぱりちょっとだけ延長しました。
キリがいいのでここまで。

次回またノシ

710進撃の名無し:2014/08/25(月) 01:28:18 ID:Z.KOejjc0
乙!
リヴァイ先生も乙w

711進撃の名無し:2014/08/25(月) 02:02:07 ID:Dc1o.0vM0
リヴァイ役がミカサで良かった…
エレンだろうとジャンだろうと、男子がやっていたらなんか色々と酷いw

712進撃の名無し:2014/08/25(月) 06:34:20 ID:/9N.UqYk0
>>711
確かにwwwミカサじゃないと許されない感じですね。

713進撃の名無し:2014/08/25(月) 06:41:02 ID:/9N.UqYk0






ホテルの夜。1泊目を終えて2日目。

ホテルの練習場の部屋を借りて直前の練習に励む2人だったけど、途中でハンジ先生の体に変化が起きた。

運が悪い事に生理が始まってしまったのだ。それに気づいてハンジ先生がorzの状態になる。

ハンジ(エレン)『くそー博打に負けたあ…』

リヴァイ(ミカサ)『いや、予定通りだったなら仕方ねえだろ』

ハンジ(エレン)『ズレろー! って念じていたんだけどね。ダメだったか。最近、何でか調子いいんだよね。以前は不安定だったのに。ダンスするようになってから、何故か生理の周期まで整うようになっちゃった』

リヴァイ(ミカサ)『それだけ体にいいんだろ? たまには全身の体を動かせって事だな。ハンジも仕事するようになってからは以前よりは運動不足だったんだろ?』

ハンジ(エレン)『そりゃ現役の頃に比べればね』

リヴァイ(ミカサ)『薬は持って来ているんだよな?』

ハンジ(エレン)『うん。でもまだ「飲むほどの痛み」じゃないからいいよ。我慢出来ないところまできたら飲むから。今は練習に集中しよう』

リヴァイ(ミカサ)『休まなくていいのか?』

ハンジ(エレン)『大丈夫。直前の詰め込みの方が大事だよ』

リヴァイ(ミカサ)『…………そうやって今までの試験や資格も合格してきたんだな』

ハンジ(エレン)『YES! 最後の粘りが大事だよ!』

リヴァイ(ミカサ)『分かった。なら俺も本気を出す。時間の許す限り仕上げるぞ』

そして2人でダンスの練習に励んだ。ここはアドリブでいい。

ミカサと一緒にいろんなダンスの復習をしていく。其の時の気分でダンスの種類を選んでいた。

オレはミカサに全体重を預けたり、アイコンタクトだけで動きを読んだりする。

社交ダンスはペアの「一体感」を何よりも大事にする競技だから、そこが重要になってくる。

リヴァイ先生とハンジ先生が優勝した時もその「一体感」が他のペアを抜いて凄かった為に優勝出来たと言っていた。

総評で褒められたそうなんだ。身長の差という「ハンデ」を抱えながら、1度も他のペアともぶつからず、神業のようなボディバランスでハンジ先生をリードしたそうだ。

そうやって何度もハンジ先生と触れ合ううちに、リヴァイ先生の中で不思議な「感覚」が芽生えて来たそうだ。

セックスをしていないのに、まるでそれに「近い」ような感覚とでも言えばいいのか。

決して「エロい」意味でハンジ先生と触れ合っている訳じゃないのに、何故かそこに「爽快感」があって。

特に「チャチャチャ」を踊る時にそれを感じる事が多くて自分でも少しだけ戸惑ってしまう事もあったそうだ。

実際、チャチャチャの踊りを見て貰えると分かると思うけど、オレから言わせれば「エロい」と思う。

官能的な踊りと言えばいいかな。特に女性の方の動きがすげえんだよな。これ。

オレ、正直、これ、慣れるまでかなり恥ずかしかった。女の方の動きがかなり激しいから。

ハンジ先生の方も自分でもおかしいくらいテンション上がってしまって「気持ちいい」と感じていたそうだ。

今思うと、これって「疑似セックス」に近い感覚を2人で味わっていたんじゃねえかなって思うんだけど。

そこまで言うと大げさか? いやでも、踊っているうちに「気持ちいい」ってお互いに思っていたなら結構ヤバい状態だよな。

ちなみにハンジ先生は「ジャイブ」が1番好きだったそうだ。この踊りは結構楽しく踊れる。

リヴァイ先生は当然「チャチャチャ」だな。エロいの大好きな奴はこの踊りをマスターするといいと思うぜ。

まあそんな訳でオレもここでは「役得」な意味でミカサとの踊りを楽しんだ。

714進撃の名無し:2014/08/25(月) 06:43:14 ID:/9N.UqYk0
男女は逆だけど、オレ達の場合は身長の差が少ないから踊りやすい。

社交ダンスはほぼ同じ身長か男がちょい上くらいが理想的なんだそうだ。

オレの方が競技用のハイヒールを履いているから実際は女役がちょい上になっちまうけど。

ハイヒールの高さは7センチくらいある。だから実際のリヴァイ先生は17センチ近いハンデを持って踊った訳だ。

良く考えなくてもこれってすげえ事だよな。リヴァイ先生じゃねえと出来ねえよ。

そんな訳で一通り復習したら、また汗を掻いたので一旦舞台をはけようとする。

シャワーを浴びるかという話になって、さすがにハンジ先生が「待った」をかけた。

ハンジ(エレン)『待った! 流石に生理始まっている時には一緒に入るの無理だよ! 恥ずかしいよ!』

リヴァイ(ミカサ)『え……あ、そうだな。すまん』

と、この時のリヴァイ先生は流石に赤面して自重した。

ぷークスクスの笑い声が聞こえた。当然だよな。

この辺になるとだんだん自分が「変」になってきているって事、自覚しても良さそうなのにな。

リヴァイ先生はバツが悪そうにハンジ先生を先にシャワーに入れたそうだ。

この、待っている時の間が、何故か凄くエロく感じる。今までと逆のパターンなのに意味深なシーンに見える。

リヴァイ先生も当時は意味も分からず何故か焦って、テレビをつけたり、とりあえず先に自分の汗を拭いたりしたそうだ。

自分の心の変化が徐々に見え始めているのに。リヴァイ先生はそれを「見ないように」必死に堪えていたそうだ。

ハンジ(エレン)『はい、あがったよ。どうぞ』

リヴァイ(ミカサ)『あ、ああ……』

そそくさと自分も後からシャワーを浴びる。そしてさくっと終わらせてベッドに戻る。

リヴァイ(ミカサ)『とりあえず、昼飯食いに行くか? ホテルのレストランでいいか?』

ハンジ(エレン)『うん。いいよー』

という訳で2人でレストランに移動して昼食だ。休憩も兼ねて。

この時の昼飯はとりあえずハンバーグにしたそうだ。

運動した後は「肉」食べたいもんな。気持ち分かる。

715進撃の名無し:2014/08/25(月) 06:44:27 ID:/9N.UqYk0
リヴァイ(ミカサ)『体の調子はどうだ?』

ハンジ(エレン)『思っていたより体が軽いよ。いつもだったらもっと怠いし。今月は軽い方かもしれない』

リヴァイ(ミカサ)『なら良かった。明日はいよいよ本番だ。モダンの方が先だったよな?』

ハンジ(エレン)『うん。2日目がラテンだね。リヴァイはどっちの踊りが好き?』

リヴァイ(ミカサ)『あえて言えばラテンの方だな』

ハンジ(エレン)『そうなんだ。私もそうかも。じゃあ、種目は……』

リヴァイ(ミカサ)『チャチャチャだな』

ハンジ(エレン)『あーそこは違ったか。私はジャイブだね!』

リヴァイ(ミカサ)『ジャイブも嫌いじゃないぞ。2番目に選ぶならジャイブだな』

ハンジ(エレン)『あ、そうなんだ。へー』

リヴァイ(ミカサ)『ハンジはチャチャチャは嫌いなのか?』

ハンジ(エレン)『んー嫌いじゃないけど、ちょっと照れくさいかな。たまに恥ずかしくなる』

リヴァイ(ミカサ)『ほう? 何で』

ハンジ(エレン)『いや、だってかなり激しいでしょうが! あと何かエロくない?』

リヴァイ(ミカサ)『そこがいいんだろ』

ハンジ(エレン)『むーこのエロ大魔王め。こら、ニヤニヤするなー!』

リヴァイ(ミカサ)『本番は恥ずかしがるなよ。照れが入ったら動きが鈍くなるからな。俺に全て預けろ』

ハンジ(エレン)『まあ、その通りだね。うん。そこは信頼するよ。お願いね』

リヴァイ(ミカサ)『………ハンジ』

ハンジ(エレン)『なあに?』

リヴァイ(ミカサ)『お前、何でこんなに俺に良くしてくれるんだ?』

ハンジ(エレン)『え? いきなり何の話?』

リヴァイ(ミカサ)『いや、今回の旅行の件も含めて何もかも、全部そっちが計画を立てて手続きとかも全部ハンジがやってくれただろ』

ハンジ(エレン)『ん? そういうの得意だよ?』

リヴァイ(ミカサ)『それは知っているが、その……なんだ。俺もうまく言えないんだが』

ヒューヒュー♪

あああもう、ここもくすぐてえええ!

リヴァイ先生、困っていたんだそうだ。この時点で何かもう、「もやもや」していたそうだ。

ただ当時はその「感情」をどう呼んだらいいか分からず、戸惑っていたのも事実で。

だから拙い自分の言葉でその気持ちを伝える事しか出来なかったそうだ。

716進撃の名無し:2014/08/25(月) 06:45:47 ID:/9N.UqYk0
リヴァイ(ミカサ)『この旅行を楽しいと思っている自分がいる。その………ありがとう』

ハンジ(エレン)『やったー! 計画立てた甲斐があったよ! やったね!』

リヴァイ(ミカサ)『ああ。明日は精一杯、踊るぞ。優勝を獲りにいく。俺も本気を出す』

ハンジ(エレン)『リヴァイが本気出せば絶対優勝出来るよ! 私も本気出しちゃうからね!』

リヴァイ(ミカサ)『ああ。優勝するぞ』

そしてフェードアウト。ヒューヒューの観客の声に包まれながらいよいよ本番の日を迎える。

24日。クリスマスイブ。この時のハンジ先生は赤色のふわっとしたドレスを着ていた。

こっちは「スタンダードモダン」に合わせたから、衣装の形態が違うんだ。

深緑色の方は「ラテン」用のドレスだな。セクシーな感じだ。

しかしこの時、リヴァイ先生は初めて大会に出て、アクシデントに見舞われる。

そう。本番慣れしていなかったせいもあり、踊る途中で他のペアと何度かぶつかってしまったのだ。

それに加えて、ドレスの裾の長さにも慣れていなかったせいもあり、ハンジ先生自身、踊りにくいと感じてしまって本番では思うような力を発揮出来なかったそうだ。

そのせいで、予選敗退。意気消沈の中、25日を迎える。

ハンジ(エレン)『ううう背水の陣だね! 絶対予選突破するよ!』

リヴァイ(ミカサ)『ああ…そうだな。いくぞハンジ!』

そしてここでエキストラも含めてラテンのダンスだ! 一斉に踊るぞ!

この時のリヴァイ先生は、無我夢中で踊ったそうだ。もう、ハンジ先生の体を全部触る勢いで遠慮なく。

ヒューヒュー♪ 歓声の中、音楽に合わせて踊る。

そして何とか予選突破を果たして決勝まで勝ち進み、何と初出場にして初優勝を果たしたそうだ。

スタンダードモダンの方ではうまくいかなかったけど、ラテンの方ではうまくいったそうで、本当に優勝する事が出来たそうだ。

ここでの大会は所謂「実力認定」みたいなもので、ええっと、それを持っていると「実力」が認められるそうだ。

正式なインストラクターになる為にはこれ以外にも「講習」や「認定試験」なども別に受けないといけないそうだが、この「実力認定」を持つことでも人に教える事は出来るそうだ。

ただしこの場合は「ダンス教室」を個人的に開く事は出来なくて、所謂「体育館」等でボランティア的に教える資格、みたいなものらしい。

ちょっとその辺の詳しい話はオレ自身、半分も理解出来ていないんで、説明が下手かもしれん。すまん。

まあ何はともあれ、一応「目標達成」という事だ。めでたい事だな。

大会が終わってからすぐ空港に向かう。飛行機の時間があるからだ。

空港にて。ハンジ先生はくるくる回っていた。喜び過ぎて。

717進撃の名無し:2014/08/25(月) 06:47:27 ID:/9N.UqYk0
ハンジ(エレン)『良かったああああ! ラテン部門では優勝出来たあああ!』

リヴァイ(ミカサ)『良かったな。ハンジ』

ハンジ(エレン)『本当、良かったあああ! ありがとうリヴァイ!!!』

ブンブン手を取って喜び合う。可愛いハンジ先生だった。

リヴァイ(ミカサ)『そんなに欲しかったのか。その資格が』

ハンジ(エレン)『そりゃそうだよ!』

リヴァイ(ミカサ)『にしても、何で「社交ダンス」だったんだ?』

ハンジ(エレン)『え?』

リヴァイ(ミカサ)『いや、他にも山ほど資格試験はあるのに、何でわざわざ「社交ダンス」を選んだのかと思ってな』

ハンジ(エレン)『えへへへ〜…』

ここでとびっきりの笑顔だ。もう、本当に可愛かったそうだ。当時のハンジ先生は。

ハンジ(エレン)『リヴァイ、今日は何月何日ですか?』

リヴァイ(ミカサ)『12月25日だな。俺の誕生日だ』

ハンジ(エレン)『つまり、三十路になった訳ですね! おめでとう!』

リヴァイ(ミカサ)『まあ、ありがとう。……で? それがどうした?』

ハンジ(エレン)『だから……プレゼントだよ』

リヴァイ(ミカサ)『ん?』

ハンジ(エレン)『資格! 実力が認められた資格が、プレゼントだよ?』

リヴァイ(ミカサ)『何だって?』

この時のリヴァイ先生、眉間に皺が寄ってしまったそうだ。

リヴァイ(ミカサ)『待ってくれ。頭の中で整理が追い付かない。つまりどういう事だ?』

ハンジ(エレン)『ん〜だからつまり、誕生日プレゼントだよ。リヴァイへの。三十路記念だね!』

リヴァイ(ミカサ)『……………へ?』

間抜けな声が出てしまったそうだ。無理もないな。

ハンジ(エレン)『私は家事とか女らしい事は殆ど出来ないし、プレゼント買ってあげるのも下手だし、でもこれだったら、一生、体育教師のリヴァイの役に立つプレゼントになるかと思ってね。一発合格を狙ってみたわけですよ』

リヴァイ(ミカサ)『…………』

ハンジ(エレン)『隠していてごめんね〜こういうのって、ちゃんと取ってから言いたかったからさ! いや〜無事に片方だけでも取れて良かったわ〜』

リヴァイ(ミカサ)『ハンジ』

ハンジ(エレン)『ん?』

リヴァイ(ミカサ)『もしかして、お前、勘違いしてないか?』

ハンジ(エレン)『何が?』

リヴァイ(ミカサ)『高校の体育で教えるダンスは「創作ダンス」であって「社交ダンス」じゃないぞ』

ハンジ(エレン)『え? 違うの?』

リヴァイ(ミカサ)『ああ。全然違う。全くの別物だ。加えてその……何だ。社交ダンスは流石に授業ではやらない。いや、少なくとも「今」は社交ダンスは必要ない』

ハンジ(エレン)『えええええそうだったの?! 私、間違えちゃったの?!』

リヴァイ(ミカサ)『いや、分からんけどな。将来的には必要になる場面もあるかもしれんが。まあ、資格はないよりは「あった」方がいいのも事実だが……』

ハンジ(エレン)『あっちゃー……詰めを誤ったかあ……ごめん!!! 何か勘違いしていたみたいだね! 私!』

リヴァイ(ミカサ)『いや、いい。その……俺も楽しかったしな。お前と踊れて』

ハンジ(エレン)『そうだね。私も楽しかったよ。まあ、もしかしたら飲み会の出し物とかに使えるかもしれないし、ま、いっか(てへペロ☆)』

この誤魔化し「てへぺろ☆」にリヴァイ先生はうっかりドキドキしてしまったそうだ。

718進撃の名無し:2014/08/25(月) 06:49:07 ID:/9N.UqYk0
そして空港で帰りを待っていると、緊急アナウンスが流れたそうだ。

何でも「大雪」のせいで飛行機が飛べない事態になり、予約していたチケットの便が全部パアになったそうで。

リヴァイ先生は「困ったな」と思ったそうだ。

リヴァイ(ミカサ)『珍しいな。こっちはそこまで雪の降る地域じゃなかった筈だろ?』

ハンジ(エレン)『たまーにあるけどね。くる時は逆にそのギャップが酷いよ。どうする? 夜行バス捕まえる?』

リヴァイ(ミカサ)『その方がいいか……』

そしてゴロゴロ…荷物を引いて帰ろうとしたが。

其の時、リヴァイ先生は思い出したそうだ。エルヴィン先生の言葉を。

『延長したっていいんだよ?』っていう。あの言葉を。

リヴァイ(ミカサ)『…………』

立ち止まり、考え込む。

ハンジ(エレン)『ん? どうしたの? リヴァイ』

リヴァイ(ミカサ)『あ、いや……高速バスだと14時間くらいかかるから、帰るのが明日の朝になる。そのまま学校に行って仕事をするのは流石に体力的にきつくないか?』

ハンジ(エレン)『まあ、そうだね。でも、私はそれでも構わないけど』

リヴァイ(ミカサ)『……すまん。俺の方が疲れている。もう一泊、何処かに泊まらないか?』

ハンジ(エレン)『ありゃりゃ、そうなの? じゃあエルヴィンに連絡しないとね。ちょっと待ってね』

と、言って連絡はハンジ先生がしたそうだ。

ハンジ(エレン)『ごめーん! エルヴィン! こっち天候が崩れちゃってさー飛行機キャンセルになっちゃった。んで、夜行バスか新幹線で帰ろうと思ったけど、思ってたよりリヴァイが疲れちゃったみたいでね。もう1泊したいんだって。うん。いい? ごめんねー今度、お酒奢るし。延長お願い出来るかな? じゃあねー』

という会話をして電話を切る。

ハンジ(エレン)『うん。大丈夫だって。ホテル戻ろうか。同じホテルでイイ?』

リヴァイ(ミカサ)『ああ。泊まろう』

そして2人はホテルの方に移動した。

もう、観客は固唾を飲んで見守っている。

この時のリヴァイ先生は「半分だけ嘘」をついたそうだ。

疲れているのは本当だけど、決して帰れない程疲れていた訳ではなかったそうだ。

つまり、ハンジ先生ともう1泊泊まりたかった。その気持ちが動いたんだ。

その行動が意味するところをリヴァイ先生自身、戸惑っていたそうだ。

ホテルについてからも、ハンジ先生と目を合わせにくくて、キョロキョロしてしまって。

自分の気持ちがうまく表現出来なくて。嬉しい気持ちを押さえきれなくて。

だから取り敢えず、酒でも飲むかと思い、ビールを2人で飲むことにしたそうだ。

719進撃の名無し:2014/08/25(月) 06:50:46 ID:/9N.UqYk0
ハンジ(エレン)『はい、かんぱーい! 打ち上げおめー!』

リヴァイ(ミカサ)『お疲れ』

グビグビ……グビグビ……

つい、その動きを注視してしまう自分に気づいて目を伏せたそうだ。

ハンジ先生の喉の動きが、ついつい。気になってしまって。

酔っぱらったハンジ先生が可愛いと思ったそうだ。もうこれ、本当に生殺しだよな。

オレ、リヴァイ先生の事、いろいろツッコミたくてしょうがないと常々思ったけど。

この時の気持ち、オレ、理解出来る。オレも夏の「アレ」で似たような目に遭ったからな。

リヴァイ(ミカサ)『…………』

あ、ミカサが頭抱えだした。意外とその辺の演技、うまいな。

オレも出来るだけ可愛くする。てへペロ☆

ハンジ(エレン)『どんどん飲もうよ〜リヴァイ、おかわりしないの?』

リヴァイ(ミカサ)『あ、ああ……頂く』

ハンジ(エレン)『はい、どうぞ☆』

女の酌でビールを飲めるって言うのはどんな気分なんだろうか。

きっと、最高だったに違いない。リヴァイ先生、当時は相当、しんどかったと思うぜ。

リヴァイ(ミカサ)『……………』

リヴァイ先生、だんだん口数が減っていったそうだ。

自分から誘うなんて、今までした事、なかった筈だからな。

ここからどうやって仕掛けるべきか。何も手札がない状態だったそうだ。

そうだよな。誘われる事ばっかり多かったせいで「誘う」時はどうすればいいか分かんねえもんな。

リヴァイ(ミカサ)『ハンジ』

ハンジ(エレン)『んー?』

リヴァイ(ミカサ)『疲れてないのか?』

ハンジ(エレン)『ん〜疲れているけど平気だよ〜なんか今、ほろ酔い気分でいい感じ〜』

リヴァイ(ミカサ)『寝なくていいのか?』

ハンジ(エレン)『うん。まだ大丈夫〜えへへへ』

ああああもう可愛いかっただろうな。これ。自分で言うのもアレだけど。

ミカサで脳内変換するといいオカズになる。オレの場合はマジで。

720進撃の名無し:2014/08/25(月) 06:51:39 ID:/9N.UqYk0
リヴァイ(ミカサ)『…………』

ミカサ、演技上手いな。すげえ、戸惑いが伝わってくる。

手、出したいのに出せない。そういう気持ち、ミカサも分かるのかな。

ハンジ(エレン)『リヴァイはもう疲れちゃった? 先に寝る?』

リヴァイ(ミカサ)『いや、まだ大丈夫だが……』

ハンジ(エレン)『そう? 無理しちゃダメだよ? まだちょっと早いけど早めに寝てもいいと思うよ』

リヴァイ(ミカサ)『……………』

ここで「一緒に寝ないか?」って言えないのがリヴァイ先生だよなあ。

いや、オレも言えないかもしれないけど。

リヴァイ(ミカサ)『シャワー、1人で浴びてくる。ハンジは飲んでろ』

ハンジ(エレン)『ん? 今日は一緒じゃなくていいの?』

リヴァイ(ミカサ)『生理終わってないだろ』

ハンジ(エレン)『ん? あ、そっか! ごめんごめん! あははは!』

この辺はビールのせいでちょっと頭がおかしくなっていたそうだ。

そしてシャワーを浴びて着替えて部屋に戻ると、ハンジ先生、酔い潰れて床に転がっていたそうだ。

見かねてベッドに運んでやる。その様子は、むにゃむにゃしていて。

キス、してみたいと、思ったそうだ。当時のリヴァイ先生は。

でもそこで、ハンジ先生はとんでもない発言をかます。

ハンジ(エレン)『リヴァイ……』

リヴァイ(ミカサ)『ん?』

いいムードだよな。もういっちゃえよ!!! っていう観客の期待が高まる。

でも悲しい事に、ここでいかないんだよな。結果的に。

ハンジ(エレン)『ありがとうね。楽しかったよ。旅行。またいつか、機会があれば一緒にどこかに行きたいね』

リヴァイ(ミカサ)『ああ……そうだな』

ハンジ(エレン)『これからもずっと、友達でいようね。あんたは私の最高の親友だから』

リヴァイ(ミカサ)『………………』

友達。親友。

そう、はっきり言われて、リヴァイ先生は自分の気持ちの高ぶりを無理やり鎮めたそうだ。

相手に望まれる事。それを叶えてしまう性分がここでも働いてしまったんだ。

つまり、今までのリヴァイ先生は自分から「友人」でいたいと思った異性には「恋人」を求められて。

「恋人」でいたい相手には「友人」を求められると言う何とも難儀な事態に陥っていた訳だ。

そしてハンジ先生は寝落ちた。ZZZZ……という豪快なイビキをかいて。

リヴァイ先生はここでゆっくりハンジ先生から離れて隣のベッドに移動した。

そして出来るだけ反対を向いて寝たそうだ。ハンジ先生を見ないように。

721進撃の名無し:2014/08/25(月) 06:53:31 ID:/9N.UqYk0
一晩経って、起きてみると、もう昨日のような気持ちの「高ぶり」が消えている自分に気づいたそうだ。

「アレ」は一体なんだったんだろう? と当時思ったそうだ。まるで一晩の「夢」のようにも感じて現実感がなくて、以後、この時の記憶を出来るだけ「思い出さないように」心が働いたらしい。

多分、無意識だったんだろうな。それくらい、リヴァイ先生は自分に関しては「理性的」に動いてしまう人だから。

そして学校に戻るとピクシス先生に「おめでとう」と言われて「は?」と返す羽目になる。

学校にて。ピクシス先生がニヤニヤして近寄ってくる。

ピクシス(アルミン)『おめでとう。ようやく自分の気持ちに素直になったようじゃな』

リヴァイ(ミカサ)『何の話ですか?』

ピクシス(アルミン)『惚けんでも良いぞ。延長してきたんじゃろ? ホテルの宿泊。ハンジとの一夜はどうだった? ん?』

リヴァイ(ミカサ)『いや、ビール飲んでそのまま寝ただけですが、何か?』

ピクシス(アルミン)『………手、出しておらんのか?』

リヴァイ(ミカサ)『は? 出す訳ない。あのハンジですよ?』

ピクシス(アルミン)『…………(絶句中)』

リヴァイ(ミカサ)『まあ旅行自体は楽しかったですけどね。飯も美味かったし。でも遠方旅行は冬は行くもんじゃないですね。飛行機飛ばない時が面倒だ』

ピクシス(アルミン)『お主は本当に、ピー(自主規制)ついとんのか?』

リヴァイ(ミカサ)『ついてますが、何か?』

ピクシス(アルミン)『だったら何故、ハンジと一発やって来なかった! お主、本当のアホなのか?!』

リヴァイ(ミカサ)『ハンジは俺の友人ですよ。恋人同士じゃないんで』

ピクシス(アルミン)『あんだけ親密度あげておきながらまだ言うか!! この男はああああ!』

エルヴィン(アーロン)『まあまあ、落ち着いて。ピクシス先生……その、ね? 楽しかったんだよね? 旅行は』

リヴァイ(ミカサ)『まあな。ダンスの大会もモダンは予選落ちしたがラテンの方では優勝してきた。とりあえず実力は認められたから、生徒に教える程度の事は出来るようになったとは思う』

エルヴィン(アーロン)『そのうち正式なインストラクターの方の資格も取ったらいいよ。時間があれば』

リヴァイ(ミカサ)『そっちの方はもう少し時間がかかるだろうな。まあ、いずれ追々取るよ』

ピクシス(アルミン)『信じられん。女とダンスして踊ってきて泊まってきたのにヤッてないとか……アホなのかこの男は』

リヴァイ(ミカサ)『相手がハンジなので。当然だろ』

ピクシス(アルミン)『ハンジだからこそじゃ! ええい、もうこうなったら、2人を何処か無人島にでも島流しにして…』

エルヴィン(アーロン)『ダメですよ! ピクシス先生、法律に触れます!』

ピクシス(アルミン)『しかしそうでもせんと、こやつら一生このままじゃぞ! いつまでくっつかないつもりなんじゃ! 下手するとずっとこのままじゃぞ!』

エルヴィン(アーロン)『大丈夫ですって。ね? リヴァイ?』

リヴァイ(ミカサ)『期待されても困るんだが? 俺はハンジに手を出すつもりはない』

722進撃の名無し:2014/08/25(月) 06:54:40 ID:/9N.UqYk0
ピクシス(アルミン)『ええい、腹が立つ。煮えくり返る。この胃の滾りをどうしたら……』

リヴァイ(ミカサ)『授業の準備があるんで、先に出ます。お先に』

と言って逃げるリヴァイ先生に対してピクシス先生は拳を握ってプルプルしたそうだ。

ピクシス(アルミン)『わしは早く、あやつらの子供が見たいんじゃあああ』

エルヴィン(アーロン)『まあまあ、落ち着いて。今夜も飲みましょう。先生』

ピクシス(アルミン)『ううう…わしだってもうそれなりの年なのに。わしが生きているうちにくっついて貰わないと困るのに』

エルヴィン(アーロン)『大丈夫ですよ。先生。今は平行線でも、いつか必ず、あの2人はくっつきますって』

ピクシス(アルミン)『だといいんじゃがのう……(トボトボ)』






マリーナ『こうしてリヴァイ先生とハンジ先生のダンス資格取得旅行は無事に終わりました』

マリーナ『しかしこの旅行を境に、リヴァイ先生の態度が微妙に変わります』

マリーナ『以前は生徒に冷やかされても「さあな」と適当に返していたのに、以後は「ハンジとはそんなんじゃない」ときっぱり否定するようになったのです』

マリーナ『その微妙な変化に気づいたのは、当時はキース先生だけでした』

マリーナ『キース先生は当時、思いました。「あれは恐らく誘って断られて拗ねたな?」と』

マリーナ『事実とは若干違いますが、ここはまあ、「大体合ってる」という事で、宜しいかと』

マリーナ『そして、30歳を越えてリヴァイ先生はますます教職が忙しくなり、翌年度、いよいよ「体操部」の新設と共に、演劇部との「顧問の掛け持ち」生活が始まります』

マリーナ『柔道部は以後、キース先生へ引き継がれ、体操部の新設と共に女子の方の顧問はハンジ先生が受け持ちます』

マリーナ『30歳を越えてリヴァイ先生はその翌年の新年の新年会で、ある「暴挙」に出てしまうのですが……』

マリーナ『では引き続き、三十路編をご覧頂きましょう』

723進撃の名無し:2014/08/25(月) 06:57:20 ID:/9N.UqYk0
という訳で、ちょっぴり切ないダンス資格旅行編はお仕舞です。
ダンスの資格についてはちょっと説明が長くなりすぎるので、
ある程度省略しました。詳しい事を知りたい方は自分で調べてみてね。

という訳で、次回またノシ

724進撃の名無し:2014/08/25(月) 13:51:37 ID:Dc1o.0vM0
理性的すぎるのも考えものだな…
その点エレミカはいい具合に本能的でちゃんと進展するんだな

725進撃の名無し:2014/08/25(月) 15:04:13 ID:/9N.UqYk0




新年会。先生達の飲み会の席で「酒飲み比べ大会」が行われたそうだ。

優勝者にはホテル宿泊券(1泊2日)が懸賞として出された身内の大会に結構皆、マジになって参加したそうだ。

勿論、飲めない先生は飲まなくていい。あくまで希望者だけで行った大会だったそうだ。

そこでリヴァイ先生も駆り出されて飲む羽目になり、残ったのはエルヴィン先生、ピクシス先生、ハンジ先生、リヴァイ先生、ゲルガー先生の5人になった。

ゲルガー(キーヤン)『もうアウトです……ギブ』

キース(ジャン)『おおっと、ここでアウトか。残念!』

キース(ジャン)『残るは4人だ。最後まで残るのは誰になるかー?!』

そして20杯を越えた直後、リヴァイ先生の目つきがだんだん怪しくなった。

半眼になって、隣の席に座っていたハンジ先生の方を見る。

リヴァイ(ミカサ)『…………』

ハンジ(エレン)『あれ? もうギブ? 飲まないの?』

リヴァイ(ミカサ)『…………』

無言でじーっと見ている。目が虚ろだったそうだ。

ハンジ先生は首を傾げて飲み続ける。この時のハンジ先生の成績は3位だったそうだ。

リヴァイ(ミカサ)『…………』

ハンジ(エレン)『ギブアップするなら、ギブって言わないと』

リヴァイ(ミカサ)『…………』

リヴァイ先生はこの時の記憶が全くないそうだ。だからここからは周りの証言で構成している。

グラスを置いて、席を立って、ハンジ先生の腰に抱き付いてそのまま両目を閉じてハグしたそうだ。


ざわっ……


教職員の前でいきなりの「暴挙」に出て、周りは騒然となった。

726進撃の名無し:2014/08/25(月) 15:05:22 ID:/9N.UqYk0
ハンジ(エレン)『ちょっと! リヴァイ?! あんた何勝手に抱き付いてるのよ! こら!』

リヴァイ(ミカサ)『ん…………』

ハンジ(エレン)『やだ……ちょっと、何、やめて………顔、スリスリして、こらあああああ!』



どがしゃあああああ!!!!



そしてリヴァイ先生を無理やり掌底&蹴りを入れて引き離したそうだ。

しかし、傷を負っても尚、ゾンビのようにゆらりと立ち上がってハンジ先生にまた抱き付こうとするので「これはいかん」と流石に他の先生も思ってリヴァイ先生を後ろから羽交い絞めしたそうだ。

そしてハンジ先生が本気の一発を腹に打ち込んで気絶させて、退場させられたそうだ。

ハンジ(エレン)『ハアハアハア……酔っぱらっているからって、勝手に抱き付くな! んもー! (赤面)』

と、ちょっとだけ当時のハンジ先生も焦ったそうだが。リヴァイ先生は本当にこの時の事を覚えてないそうだ。

リヴァイ『ちっ……意識がないならもっと弄ってやれば良かったのに』

ハンジ『こらこら』

と、今の2人が言い合っている。相変わらずのエロ親父発言だ。

そんなこんなで、この「飲み会」の事件が切欠でほんの少し、ハンジ先生との距離が出来てしまったそうで、当時のリヴァイ先生は落ち込んだそうだ。

それをニヤニヤして見守るピクシス先生だった。

ピクシス(アルミン)『ククク……ほれほれ。やっぱりハンジの事を好いておったじゃろ? 酒が入ると本性が出るの。お主は』

リヴァイ(ミカサ)『違います……というより、覚えてないんですが』

ピクシス(アルミン)『教職員全員が証人じゃ! どうするんじゃ? このまま嫌われるつもりか? ん?』

リヴァイ(ミカサ)『麒麟ビール持参して謝りに行ったのに、あいつ微妙な顔しやがった。こんな事、初めてだ。一体、俺は何をやらかして……』

ピクシス(アルミン)『抱き付いてハンジの胸の中で顔をスリスリしたと言ったじゃろ』

リヴァイ(ミカサ)『いや、それ、絶対嘘ですよね? 嵌めようったってそうはいかない』

ピクシス(アルミン)『やれやれ……嘘じゃないんじゃがのう』

リヴァイ(ミカサ)『なんか機嫌を取らないと。どうしようかな……』

と、其の時思い出したのは社交ダンスの「ドレス」の件だった。

そうだ。あの時に借りたドレスを買い取って、プレゼントするのはどうだろう?

そう思いついたらしく、当時のリヴァイ先生は早速行動に移して本当にプレゼントしたそうだ。

でもハンジ先生はますます微妙な顔になって相手をしたそうだ。

場転。今度はハンジ先生の部屋で言い争う2人だ。


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