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エレン「この長い髪を切る頃には」2

1進撃の名無し:2014/07/25(金) 18:53:56 ID:Yeod/N2g0
*続編です。ミカサ「この長い髪を切る頃には」→エレン「この長い髪を切る頃には」の続き。もう1回エレン視点で書いていきます。

*現パロです。現在、エレンの髪がちょっとずつのびています。(ミカサよりちょい長め。小さいしっぽ有り)

*舞台は日本ですがキャラの名前は基本、カタカナのまま進めます。漢字の時もあるけど、細かいことは気にしない。

*実在の人物とかは名前やグループ名等をもじっています。時事ネタも有り。懐かしいネタもちらほら。

*原作のキャラ設定は結構、崩壊。パラレル物苦手な方はご注意。

*原作のキャラ性格も結構、崩壊。原作と比べて「誰だてめえ」と思った方はそっと閉じ推奨。

*レスに対するお返事レスは返せない事が多いかも。体力温存の為。無視している訳じゃないんで、OK?

*感想は毎回有難い。でも自分の妄想話を書くのはNG。読んでいる人が混乱するから。本編と混ぜるな危険。

*雑談は雑談スレでお願いします。雑談嫌いな読者の方もいらっしゃるからね。

*現在、ジャン→ミカサ、ジャン(?)→サシャ、オルオ→ペトラ→リヴァイ←ニファ リヴァイ→ハンジ←モブリット ライナー→クリスタ←アルミン←アニ(?)←ベルトルト イアンリコあたりもちらほら。というか、そのつもりで書いています。

*安価時以外のアイデア・オリジナルの設定等の提案は禁止させて頂きます。(エレン「この長い髪を切る頃には」の時にトラブルが発生した為です)

*その代わり、安価出した時は出来る限り(多少無茶振りでも)採用する方針でやっていますので、宜しくお願いします。

*モブキャラも多数出演。オリキャラ苦手な方もご注意。キャラ濃い目。

*そんな訳で、現在設定しているオリキャラをざっとご紹介。


マーガレット(2年生♀)→大道具リーダー。漫画描ける。腐ってる女子。皆のお姉さん的ポジ。

スカーレット(2年生♀)→大道具。立体造形専門。ロボットもいける。たまに腹黒。

ガーネット(2年生♀)→大道具兼衣装。コスプレ好き。ちょっと大人しめのオタク。

アーロン(2年生♂)→役者。元野球部。高校から演劇始める。

エーレン(2年生♂)→役者。元サッカー部。高校から演劇を始める。

カジカジ(1年生♂)→役者。外見はエレンに似ています。明るい男子。愛称は「カジ」。

キーヤン(1年生♂)→役者。ジャンよりイケメン。歌上手い。

マリーナ(1年生♀)→役者。少年の声が出せる。ナレーションうまい。ほんわか系女子。


*原作のモブの名前が判明すれば……途中加入もあるかもです。

*外伝のキュクロとシャルルも出ています。二人は野球部投手とマネージャー。

*先生方の年齢設定が原作より(恐らく)若干高め設定になっています。

*リヴァイ先生(38歳)というおっさん設定に耐えられない方は御免なさい。

*加えてリヴァイ先生の潔癖症が病気レベル扱い(笑)になっているので、御免なさい。

*リヴァイ先生の性癖(?)も大分、斜めってる設定になっています。ご了承下さい。

*エルヴィン先生(43歳)も相当なオタク設定になっています。リヴァイより更に斜め方向に変態です。本当に御免なさい。

*ハンジ先生(36歳)が昔は美人だったよ設定です。ややモテキャラですが、リヴァイに比べれば蟻の触覚程度です。

*リヴァイ先生がモテ過ぎ設定です。気持ち悪いくらいモテキャラです。愛され過ぎて御免なさい。



*ラスト100レスは完成する迄、レス自重お願いします。レス足りないと書き手としてプレッシャー過ぎる。

*そんな訳で、現パロ(エレン視点編)を始めます。OK?

381進撃の名無し:2014/08/11(月) 02:45:51 ID:nKqw7bNM0
アルミン「はは! エレンってそういうところ、あるよねー。昔からそうだよ」

エレン「え? そうか?」

アルミン「うん。普段はカッカする事が多いけど。いざって時はすっごく『冷静』になるんだよね。緊急事態になればなるほど。すっごい度胸のいる判断でも、迷わず突き進むタイプだよ。今回の件も、もしエレンが「オレの女に手出すな」って言ったら、ジャンの事だからかえって煽られて燃え上がっていた可能性の方が高かっただろうから、間違ってはいなかったのかもね」

マルコ「ああ、北風と太陽みたいな?」

アルミン「そうそう。一見正しくない判断に見えて、結果的にはそっちの方が正しかった事ってあるじゃない? エレンはまさにそれ。その結果は、酷いように見えても、実は最小限の被害で留めたり。なんていうか『生きようとする』エネルギーがとてつもなくある感じ? 孔明の罠って言ったのは、まさにそういう感じに思えたからだよ」

エレン「それ、褒めすぎじゃねえか? アニの言う様に「オレの女に手出すな」って言った方が正しい判断だったかもしれねえじゃねえか」

アルミン「いや、分からないよ? この後どうなるかは。僕自身は、これが切欠でジャンの中で『何か』が動き出すような予感もあるんだ」

ミカサ「動き出す? それはつまり、ジャン自身の「本当の気持ち」が見えてくると言う事?」

アニ「ああ、そうだね。確かに。この後でどうジャンが行動を起こすかで、ジャン自身、自分の気持ちに気づくんじゃないかな」

エレン「そうだといいけどな………」

この判断が吉と出るか凶と出るか分からねえ。

今は、何とも言えない。オレ自身、正直迷った挙句の判断だったし。

ただ、なんとなく「こっち」のような気がした。もうそこは「直感」の世界だった。

382進撃の名無し:2014/08/11(月) 03:10:27 ID:nKqw7bNM0
そんな感じでくっちゃべっていたら、興味津々にマーガレット先輩達もこっちに来てニヤニヤしてきた。

マーガレット「なんか面白そうな話題をしているみたいだねー」

スカーレット「ジャン、遂に諦めたの? どうなの?」

ガーネット「ミカサ、遂にはっきり言っちゃったの?」

ミカサ「ええっと、告白された訳でないんですが、今、ジャンがフラフラしているようなので、好感度がダダ下がりになりました」

マーガレット「あははは! 馬鹿だねー! サシャとミカサの間でフラフラしているだっけ? そろそろサシャの方に切り替えればいいのにね。あの子、いい子だよ。私が保証する」

ミカサ「私としても、サシャとくっついてくれた方が安心するんですが」

スカーレット「だよねえ。優柔不断な男って女から見たら『死ね!』って思うよねえ」

スカーレット先輩、顔が黒い。この人も相当アレだな。

マーガレット「まあまあ。押さえて。ジャンも頭の中混乱しているみたいだし? いっそ開き直った方が楽かもね。でたとこ勝負でいいんじゃない?」

エレン「あれ? マーガレット先輩はそういう考えなんですか?」

マーガレット「ええ? だって選べない『時期』なんて誰でもあるんじゃない? 私もカップリングでどれを中心にするか、すっごい迷う事あるし。ツキツキ×タケタケか。バルドル×ロキロキか。それが問題だ。みたいな?」

何でカップリングで説明するんだ。あ、腐っているからか。

マーガレット「あとハデスおじたん×アホロンか、アホロン×ハデスおじたんか。こっちも迷う場合もあるからね。難しいよね。選ぶっていうのは」

エレン「ええっと、それってつまりマーガレット先輩にとっては「フラフラ」する事はあんまり嫌悪感はないと?」

マーガレット「え? 人間ってそんなもんじゃない? 男女のそれも似たようなもんでしょ」

意外だ。女性でもそういう考え方の人もいるのか。

383進撃の名無し:2014/08/11(月) 03:21:06 ID:nKqw7bNM0
マーガレット「あとはハーレム至上主義の人とか? そういう人もいるよね。所謂総受け中心とか。まあ、私の中ではリヴァイ先生とか美味しいかなとか思っていますが」

スカーレット「生物(なまもの)はあかんよ。マーガレット。バレたら殺されるからね」

エレン「生物? (なまもの)」

ガーネット「実際の人物で妄想しちゃうパターン。ここでいうと、ジャン×エレンとか、エレン×アルミンとか?」

エレン「やめて下さいよ!!! 一瞬、鳥肌出てきましたよ!!!」

あぶねー趣味だな! 本当に!!

マーガレット「御免御免。生物はさすがに自重するけど。まあ、男と女も似たようなもんでしょ。正直言ってしまえば、リヴァイ先生とか、アレだけモテるんだから、浮気の1つや2つ、してもバレないと思うし。ハンジ先生が今までなかなか踏ん切りつかなかったのも、その辺が関係していると思うけどなあ」

エレン「え? つまりどういう意味ですか?」

マーガレット「だってアレだけの「モテ男」の隣にいるのって凄いプレッシャーだと思うよ? 自分が傷つく覚悟がないと、隣には居られないし。事実、嫌がらせ事件もあったんでしょ? 生物室の。例えどんなにリヴァイ先生がハンジ先生を守ろうとしても、ハンジ先生自身に「覚悟」がないと一緒には居られないと思うよ」

ミカサ「……………」

ミカサが複雑そうな顔をしているな。

マーガレット「そういう意味じゃ、エレンとミカサの場合は『エレン』の方に覚悟が必要になるかもね。ミカサ、かなりモテるでしょ? いろいろ大変なんじゃない? ジャンの事は、まだ氷山の一角だろうし。これから先の方が心配がいろいろ出てくると思うな」

エレン「まあ、そうだとは思います」

やっぱり先輩なだけあって、物の見方がちょっと違うな。

384進撃の名無し:2014/08/11(月) 03:35:34 ID:nKqw7bNM0
マーガレット「うん。まあ大変だろうけど。そこはエレンの男の腕の見せ所だよね。あんまりジタバタしないで、ドンと構えておけばいいんだよ。「オレの女に手出すなよ」とか言ったら戦争になるからね。「はあ? ミカサがオレに惚れているんだよ」くらいの余裕見せてイライラさせてもいいんじゃない? そしたら男どもは泣くしかないからさ」

エレン「ええええ? マーガレット先輩、案外その辺、大らかなんですね」

アニ「ちょっと意外…「オレの女に手出すな」って言わない方がいいんですか?」

マーガレット「うーん。ほら、人間って「ダメって言われるとしたくなる」っていう心理あるじゃない? 浮気や不倫が蔓延するのもそのせいでしょ? 北風と太陽ってよくいうじゃない。だから私はエレンはそこまで慌てる必要ないし、むしろそこで慌ててエレンとミカサとの関係が悪化したら、それこそ周りの思う壺でしょ? だから周りの事は横に置いて、2人はマイペースにイチャイチャしていればいいんじゃないのかな」

へー。そういう意見もあるのか。びっくりしたぜ。

オレ、自分の考えが「間違っている」かなと思いつつ、選んじまったからな。

マーガレット「うちの両親、離婚しているからさ。修羅場とか見慣れているんだよね。うちの母もかなりぶっ飛んだ人だし? 恋愛観って人それぞれだしさ。どれが「正しい」っていうのはないけど。あんまり悲観する事はないと思うよ」

ミカサ「そうですか」

マーガレット「うん。あ、でも、ミカサ自身がやっぱり「オレの女だから」って言われたいっていうなら、別だけどね?」

と、ウインクしてくれる。

あ、そうか。それは言えるかも。

エレン「ああ、ミカサはオレの女だから。確かにそうですね」

ミカサ「!」

ミカサが急に真っ赤になってこっちを叩いた。え? 今のダメだったか?

ミカサ「不意打ち、卑怯〜! もー!」

あれ? ダメだったのか? 今のは。

385進撃の名無し:2014/08/11(月) 03:47:56 ID:nKqw7bNM0
アニ「ああ、つまり『手出すな』は言わないで『オレのだから』まで言えば効果的だと」

マーガレット「まあ、その通りだね。その方がいいと思うよ。人間って不思議なもんで、『手出すな』と言われると余計に燃えて手だしてくるビッチやたらしの男もいるからね。その辺は難しい問題だよ」

エレン「勉強になりました……」

オレの判断はとりあえずは間違っていなかったみたいだな。

いや、間違っているのかもしれないけど。マーガレット先輩の意見はかなり参考になった気がする。

スカーレット「まあ、確かにいるよね。人のだと、余計に燃えて手出そうとする奴は」

ガーネット「言えてる。しかも、手に入れたらポイ捨てとか? 相手が好きなんじゃなくて、恋愛の「過程」だけ楽しむタイプとか」

マーガレット「今のジャンも、ミカサに「彼氏」がいるから余計に意地になっている可能性もあるんだよね。人のが羨ましく見えるってやつ。もともと、嫉妬深いところもあるでしょ? 彼は。あと、ただの「偶像化」している場合もあるし」

ミカサ「偶像化?」

マーガレット「アイドルを好きになる様な感覚で、ミカサの事を好きなのかもしれないって事。似ているけど、恋愛とそれは別物だと私は思うんだよね」

と、ちょっと大人な表情を見せる先輩達だった。

386進撃の名無し:2014/08/11(月) 03:57:01 ID:nKqw7bNM0
マーガレット「今のジャンは、ミカサの「いい部分」しかまだ見えてなくて、自分の中で勝手に「偶像化」している可能性もあるよ。案外、ミカサの裏の顔を知ってしまったら、あっさり冷める可能性もあるんじゃないかな」

エレン「あー……」

一目惚れだって言ってたしな。確かに。その可能性はなくはないか。

ミカサ「そうなんでしょうか?」

マーガレット「いや、私も分かんないけどね。あくまで『推察』だから。ただ、そういう意味じゃ、今のジャンはミカサより『サシャ』と一緒に居る時間の方が長い気がするのよ。部活ではミカサと一緒にいるけど。アシスタントの方の仕事もそれなりに増えて来たし。あと、たまに一緒に寝泊まりさせているし」

エレン「え? そうなんですか?」

マーガレット「あれ? 知らなかったの? ははーん。まだ誰にも言ってないところを見ると、これはかなり怪しいねえ」

スカーレット「朝から一緒に登校とかしてなかった? 時間ずらしてわざと登校していたのかな」

アルミン「一緒に登校しているところは見た事ないですね」

マルコ「だったら、サシャを先に行かせて自分は後から、とかじゃない? ジャンならやりそうだよ」

387進撃の名無し:2014/08/11(月) 04:04:33 ID:nKqw7bNM0
なんだ。意外とサシャと順調にいっているんじゃねえのか? これって。

心配して損したな。もう、ジャンの奴、オレが思っていた以上に、サシャ寄りに気持ちが傾いているんじゃねえのかな。

スカーレット「あーでも、サシャって子、あんまり恋愛とか興味無さそうだよね」

ガーネット「うーん。なんか『感覚』でいつも動いているよね。エレンより野性的な感じだね」

マーガレット「そうだね。それがネックなのよね。あの子、凄く可愛いけど。初恋とかした事ある? って聞いたら『ないです!』とはっきり答えていたし」

まあ、それっぽいよな。確かに。

サシャは「食べ物」と「金」の事を中心に生きているようなもんだしな。

マーガレット「いっそ、2人の相性占いもやっちゃう? 勝手に」

アルミン「是非やりましょう」

マーガレット「誕生日、誰か分かる?」

アニ「サシャは確か、7月26日だったと思います」

マルコ「ジャンは4月7日ですね」

マーガレット「OK! ええっと、ちょっと待ってね。占いの本で検索するから」

と、鞄の中から分厚い本を取り出したマーガレット先輩だった。

388進撃の名無し:2014/08/11(月) 04:14:54 ID:nKqw7bNM0
エレンの考え方には賛否両論あるかもですが、
このシリーズのエレンは「ありのままで」生きるタイプとして書いています。
原作の「自由」への渇望というか、彼は元々縛られるのが苦手なイメージなので、
他人にもあまりそれを「強要」しないタイプとして書いています。
イラッとする方もいるかもしれませんが、そこはどうかご容赦下さい。

では続きはまたノシ

389進撃の名無し:2014/08/11(月) 08:53:48 ID:RApQP4qM0
マーガレット先輩GJ

ミカサの男装見たいいぃぃぃ!!
ドレス姿は勿論可愛いだろうけどな!

390進撃の名無し:2014/08/11(月) 13:05:03 ID:nKqw7bNM0
>>389
舞台ではリヴァイっぽい正装姿になります。
あと緑のブレザーも着ます。エレンの制服と交換です。

391進撃の名無し:2014/08/11(月) 13:05:59 ID:nKqw7bNM0
マーガレット「相性度数は5。パーセントだと80%以上ってあるね。同じ火属性同士か。激しいカップルになりそうだね!」

エレン「火属性。オレと同じなのか」

マーガレット「だね。ジャンとエレンは同じお羊座で、サシャはしし座ガールだね。なんか納得したかも」

エレン「それって、オレとジャンが本質的には似た者同士って意味ですよね?」

マーガレット「YES! あ、御免御免! 悪い意味じゃないよ? 共通する部分はいくつかあるなって思っていたから。………面食いとか」

エレン「うぐ!?」

ミカサ「エレンは確かに面食いかも」

エレン「違う違う!! オレ、ちゃんと中身を見ているぞ!」

ミカサ「本当に〜?」

アニ「本当に〜?」

エレン「なんでアニもハモるんだよ!! いや、顔で惚れたとかじゃねえからな! ちゃんと中身込みで好きだからな!」

何か脂汗掻いてきた。占いってこえええ。

マーガレット「まあいいか。サシャの方を見てみよう。『強いプライドと情熱と大きな愛に溢れています』『自分を想ってくれる人には包み込むような愛を与えます』『積極的で明るく前向きで、面倒見のいいお人好し』『寂しがり屋な面も』『派手に見えますが、恋に対しては真剣そのもの。意志が強く一度決めた事はやり通します』とあるね」

エレン「なんか大体当たってますね」

マーガレット「確かに。あの子いつも明るいもんね。あ、でもまずい」

エレン「ん? どうしたんですか?」

マーガレット「『優しい男性よりやや無骨で堂々とした男性に魅力を感じます。彼氏は間違っても気弱な点や女々しいところは見せず、爽やかで強い男のイメージを演出しましょう』ってある。これはまずい」

エレン「OH………」

スタート地点でダメ過ぎるじゃねえか。

マーガレット「あーでも、サシャの方は今年、恋愛運がいい感じにきているみたい。『シングルの人にはチャンス到来』とか書いてある」

エレン「そうなんですか」

マーガレット「うん。『いろんな人との交流が増える時期です。自分の感性で楽しいと感じる事にチャレンジした方がいいでしょう』ってあるから、これってアシスタントの件を言っているかもしれないね」

ミカサ「なるほど」

エレン「かもしれねえな」

マーガレット「火属性同士だと両方とも情熱家だから極端になる傾向があるね。でも『明るくて前向きな家庭を築けます』ってあるから、ジャンから見ればサシャは嫁にするのに悪くない相手だと思うな」

エレン「ああ、サシャは家庭に入ってもうまくやっていけそうな感じではありますね」

マーガレット「あの子の料理にかける情熱は半端ないからね。「料理人にならないの?」って以前聞いたら『基本的に自分で作った物は自分で食べたいので、振る舞う事は2の次なので難しいです』とか言ってたから勿体ないような気もするけどね」

そっか。あいつは『自分』の為に料理するタイプだからリヴァイ先生とはちょっと違うんだな。

392進撃の名無し:2014/08/11(月) 13:32:41 ID:nKqw7bNM0
マーガレット「総合的に見ても2人の相性は悪くない感じだね。こっちの2人がくっついた方がいいかもね」

アルミン「うーん。でもエルヴィン先生は『コニー』の存在も仄めかしてきたしなあ」

マーガレット「コニー? 誰?」

アルミン「サシャの男友達です。サシャから見たら恐らく一番近い異性はコニーになると思います」

スカーレット「何?! それは不穏な気配だね。リヴァイ先生とハンジ先生みたいな感じなの?」

エレン「うーん。男友達なのは間違いないですけど。コニー、彼女いるからなあ」

スカーレット「いや、彼女いるからって油断は出来ないよ。そっか。サシャはもう一人の彼氏候補がいるんだ」

ミカサ「まだ、そう決めつけるのは早いとは思いますが」

マーガレット「ええっと、それってもしかして、野球部の子? 何かうちのクラスで騒いでいた子いたよね」

ガーネット「ああ、野球部の期待の新人みたいな感じだったね」

マーガレット「うん。そっか……野球部の子か。じゃあ運動神経いいんだね」

エレン「将来は野球選手になる! って言いきってますけどね」

マーガレット「夢を持っている子は魅力的に見えちゃうよね。今のところ、コニーの方が優勢なのかしら」

アルミン「そこはサシャの『潜在意識』を調べてみない事には分からない、みたいな事をエルヴィン先生が言ってましたよ」

マーガレット「そりゃそうか。少なくとも『今』の時点では自覚あるのってジャンだけだもんね」

エレン「まあ、フラフラしてはいますけどね」

マーガレット「もういっそ、ジャンとサシャを体育館の倉庫にでも1晩閉じ込めちゃう? そしたら案外、くっついちゃうんじゃないかな」

エレン「鬼畜なトラップ仕掛けるのやめて下さいよ。両方とも可哀想じゃないですか……」

ミカサ「………エレン、どっちの味方なの?」

エレン「え? オレ? オレはどっちの味方もしねえけど。ただ、自分の意志に反してあんまり周りからやんや言われるのは苦手だし。ある程度は放置してやった方がかえっていいんじゃねえのか?」

アルミン「ああ、リヴァイ先生の時もエレン、基本的には自分からは野次馬しなかったよね」

エレン「正直、『いいのかなー?』と思いながら首突っ込んでいたけどな。あの時はオレも相当流された気もするが」

その結果がいい方向に転がったから良かったものの、悪い方にいっていたら目も当てられないだろ。

オレ、そこまで他人に対して責任負えねえぞ。

393進撃の名無し:2014/08/11(月) 13:48:21 ID:nKqw7bNM0
マーガレット「まあさすがに倉庫トラップはやらないけどwでも、なんかこう、ハプニングというか、切欠みたいなものは2人にあげたいよね」

スカーレット「それは分かる。ちょっとつついてやりたい感じ?」

マーガレット「うん。ちょんちょんって感じでさ。かるーく、こう、えい! って感じで」

アルミン「その件に関してならエルヴィン先生が作戦を考えてくれるそうなので大丈夫ですよ」

マーガレット「マジかwwwwそれは超楽しみにしてるわwwww」

スカーレット「ゲスい教師だね。大好きだわ」

エルヴィン先生、変なところで好感度上げているな。

そんな感じでわいわいくっちゃべていたら、マリーナ達が来た。

マリーナ「放送部の子達と話してきたよ。今日の放課後、今からなら少し録音室貸してくれるって。音撮り先にやろうか」

エレン「あー今日いいのか」

マリーナ「うん。先に出来ることはやっちゃおう。リヴァイ先生とハンジ先生の入浴シーン、音だけでやるんでしょ」

入浴シーンは『見せられないよ!』の看板を掲げて音だけで再現する予定だ。

ミカサ「ついにきた(わくわく)」

エレン「んじゃ行ってくるわ。いくぞ」

という訳でオレとミカサとアルミンの3人は音撮りの為に録音室に移動した。

例の、30歳の旅行の夜とか、最初の入浴シーンとか。その辺を音だけで表現する。

しかし、実際は本当にミカサがオレの体を「洗う」仕草をしながら演じる。

あ……ちょっと、ミカサ。本気でその、オレの体洗ってくるなよ。勃っちまうだろ。

エレン「あ……ちょっと、ミカサ、それはやりすぎ……ああ」

アルミン「はい、カーット!! ミカサ、このシーンはまだそこまでやらなくていいよ。初めての入浴シーンだから。性的な接触は一切なし!」

ミカサ「ごめんなさい(シュン)」

いや、いいんだけどな。オレからすると万々歳なんだけど。

そんな感じで何とかリテイクを食らいながらも何とか録音を済ませてその日の活動は終わった。

順調に来ているかな。この調子でいけばきっといい舞台に仕上がるだろう。

394進撃の名無し:2014/08/11(月) 13:50:37 ID:nKqw7bNM0
ちょっと休憩します。続きはまたノシ

395進撃の名無し:2014/08/11(月) 19:16:40 ID:nKqw7bNM0
そして部活終了後、帰り際、たまたま玄関でジャンと会った。

ジャンは「あ……」という顔をしていたが、ミカサは目すら合わせない。

完全スルーだ。ジャンは「さよなら」の挨拶すら出来ずにいる。

その哀愁っぷりはまさに濡れ雑巾だ。

ミカサの体から「近寄るな」オーラが漂っていて、ジャンも何も言えずに帰宅していった。

ここで無理やり声かけてくるような度胸はないらしい。

可哀想な気もするが、いずれはこうなっていただろう。だからオレもミカサの行動に対しては何も言わなかった。

アルミン「……………酷い状態だねえ」

ジャンとマルコが先に帰った後、アルミンがぽつりと言った。

アニ「自業自得じゃない? フラフラしているのが悪いし」

アルミン「まあねえ。開き直った辺りが馬鹿としか言えないけど」

ミカサ「むしろ私の事はさっさと諦めてサシャに切り替えた方がまだ、良かった」

エレン「そうなのか」

ミカサ「なんか、馬鹿にされているような心地になる。ジャンは私の何を見て好いてくれているのか未だに良く分からない上に、他の女にも目移りしている。ジャンの事は悪い人ではないとは思うけど。女に対する価値観は許容出来ない」

エレン「なるほど」

ミカサは「浮気者」に対しては厳しい意見のようだ。

ミカサ「自分でもなんでこんなにイライラするんだろう? 今のジャンを見ているのは正直、辛い。彼の目を見たくない」

…………ん?

あれ? 今、ミカサの顔、なんか。

いや、気のせいじゃねえ。やっぱり、あの顔だ。

ミカサ「ジャンの事は暫くスルーしたい。あんまり深くは考えたくないので」

エレン「あ、ああ……そうだな」

オレはミカサと手を繋いだ。ぎゅっと、離さないように。力を込めて。

ミカサ「? エレン…?」

エレン「帰るぞ。一緒に」

リヴァイ先生を嫌悪していた時の顔に似ていた。ちょっとまずいな、と思ったけど。

気づかせないようにしたかった。ミカサは「嫌悪」にも1度囚われるとそこからなかなか抜け出せなくなる性質だ。

自分の中の「熱」を無理やり押さえつけて、オレは平気な振りをした。

家に帰ったら、ちょっとミカサと2人の時間を作ろう。

そう思いながらぎゅっと手を繋いで、オレ達は家までの道のりを帰ったのだった。

396進撃の名無し:2014/08/11(月) 20:41:12 ID:nKqw7bNM0





その日の夜。ミカサが風呂からあがって、オレも風呂に入り終わってから、ミカサの部屋に入った。ミカサと少し話したい事があったからだ。

ミカサは寝間着で布団の上で正座していた。何故か緊張して待っていてくれたようだ。

エレン「ん? どうした。足崩してもいいんだぞ?」

ミカサ「う、うん……(そわそわ)」

そわそわしているな。何だ? 何かあるのかな。

エレン「ミカサ、少し話をしてもいいか?」

ミカサ「どうぞ」

オレは今回の事で思った事をミカサにも伝えてみる事にした。

エレン「……………ミカサ。オレの事、好きか?」

ミカサ「うん。好き(超即答)」

エレン「でもオレ、こんな奴だぞ? イライラしたり、ムカついたりしねえのか?」

ミカサ「?」

あ、なんか意味分かってないっぽいな。どう伝えたらいいんだろ?

エレン「あーだから『オレの女に手出すな』って、咄嗟に言えなかったような男だけど、いいのかって話」

ミカサ「その件に関してはもう解決しているので問題ない(キリッ)」

エレン「そ、そうか?」

ミカサ「マーガレット先輩も言っていた。その言葉は言わば『諸刃の刃』のようなものだと私は解釈した。エルヴィン先生じゃないけれど、何でも白黒つければいいものではないと思う。灰色も、時には必要」

エレン「そうか………」

397進撃の名無し:2014/08/11(月) 20:49:02 ID:nKqw7bNM0
ミカサ「それにエレンがジャンに気を遣っている理由は、何も出し抜いた件だけが原因ではないと私は解釈している」

エレン「え?」

ミカサ「エレンはもう、ジャンの事を『友人』として自然と認めているのだと思う。だからこそ、あまり邪険に出来なかったのでは?」

エレン「あー………」

ミカサから見てもそう思うのか。オレも薄々気づいてはいたんだが。

認めたくねえなあ。でも、そうとしか考えられないんだよな。

あー面倒臭い。ジャンの奴がもっと悪い奴だったら良かったんだがな。

そしたら徹底的に嫌って、ミカサとの事も「お前には関係ねえだろ!!!」って言えたのに。

ミカサ「むしろ私は、出し抜いた件で罪悪感を持っているエレンが好き」

エレン「え?」

ミカサ「もしそこで開き直る様な男だったら、ちょっと好感度は下がっていたと思う」

エレン「ああ、ゲス過ぎるっていう意味でか?」

ミカサ「そう。友情は友情で大事だと思うので」

エレン「ううーん」

そう言われると心境が余計に複雑になるな。

398進撃の名無し:2014/08/11(月) 21:00:37 ID:nKqw7bNM0
ミカサ「こんな例え話がある。エレン、聞いてくれる?」

エレン「ん?」

ミカサ「私の中学時代の頃の話。とあるモテる女子生徒が、ある男子と付き合っていた」

エレン「ふむ」

ミカサ「ある男子の方。仮にA君とする。彼にはB君という友人がいた」

エレン「ふむふむ」

ミカサ「そのB君はCさん。モテる女子生徒を仮にCさんにする。彼女の事を密かに思っていたけれど、友人としてそれは言えなかった」

エレン「三角関係だな」

ミカサ「そう。でもある時、A君とCさんがとある事を切っ掛けに喧嘩になって、別れるか別れないかの話になった。B君は、それを友人としての立場で最初は見守っていた」

エレン「ふむふむ」

ミカサ「Cさんは、B君に相談した。そのうちにだんだん、B君はA君からCさんを奪ってやろうという下心が芽生え始めて、結果的に本当に奪ってしまった」

エレン「あー」

ミカサ「CさんはB君と付き合うようになった。でも、付き合っている最中に、Cさんはとある事が切欠でB君に対する気持ちが一気に下がってしまって、自分からB君との付き合いをやめる事にした」

エレン「え? 折角相談にのってくれたB君、ふっちまったのか?」

ミカサ「そう。その理由は何だと思う?」

エレン「えええ? さっぱり分からねえよ」

ミカサ「…………B君が、勝ち誇ったから」

エレン「え?」

ミカサ「B君がCさんと付き合うようになってから、まるで『奪った』事を男の勲章のように、自慢して勝ち誇ったから。Cさんは、そんなB君の態度に興ざめしてしまったそう。だからすぐに別れる事にしたそう」

エレン「えええええ……女って、そういうところでも「冷める」のか」

ミカサ「そう。A君とB君はもともと友人同士だった筈。奪った事に対して全く罪悪感のない男って、どうなの? と彼女は首を傾げてしまったの」

エレン「つまり、女から見たら、そういう部分も大事にして欲しいって事か」

ミカサ「そういう事になる。だからエレンがジャンに対して多少の罪悪感を持つのは当然。ピクシス先生も「間違ってはいない」と言っていた」

エレン「へーそういうもんなのか」

オレはじゃあ、結果的には「間違っていなかった」のか。意外だけど。

399進撃の名無し:2014/08/11(月) 21:14:01 ID:nKqw7bNM0
ミカサ「………ちなみにこの時、A君とCさんの喧嘩の原因になってしまったのは、私。A君が私に対して色目を使っているという誤解が発生して、喧嘩になったそう。私はその事を後で知って愕然とした。勿論、A君は私とはそういう関係ではなく、ただのクラスメイトで委員会がたまたま一緒だっただけ。でも、女の誤解は1度発生するとこじれてなかなか元には戻らない。今思うと、可哀想な事をしてしまった気がする……」

エレン「いや、それミカサ全く悪くねえぞ!! ただのとばっちりじゃねえか!」

ミカサ「そうだとは思うけれど。つまり、そういう事もあると言う事。だから私は、出来る事ならエレンとジャンの友情を壊したくはない」

エレン「ううーん」

そもそも、ジャンとの友情ってオレの中でどの程度のものなのか測りかねているんだが。

アルミンは、最強の親友だと思っているけどな。唯一無二の、かけがえのない存在だ。

でも、ジャンとのそれは、その……こういうケースは初めての経験だからどう「カテゴリ」していいのか良く分からん。

ミカサ「エレンは元々、あまり自分の感情を誤魔化さないで「自然」に生きる事を信条にしている。ので、ジャンに対して言ってしまった事は、仕方がないと理解している。でも、それを受け入れるか入れないか。それはジャン自身の問題。エレンがいくらそう言ったからと言って、それをそのまま受け入れる必要はない。本当に私が好きなら「私」を選ぶ筈だし、サシャが好きなら「サシャ」を選ぶ筈。だから、エレンの責任というより、元々ジャン自身が「誰かに自分の考えを後押しして欲しかっただけ」だと解釈した」

エレン「あーなるほどな」

そう言われれば、あの時のジャン、嬉しそうだったな。

ミカサ「女にはそういう時がある。男の人もそういう事もあると思う。ジャンは元々、単純に優柔不断なだけだと思う。だからイラッとした」

エレン「まーな。告白できずにウジウジしているような奴だしな」

ミカサ「告白出来ないのは、やはりまだ「本当の好き」ではないのではないかと思う」

エレン「ん?」

ミカサ「本当に好きであれば、体が自然と動く。私も、そういう感覚は分かるので」

エレン「………そっか」

なんかちょっと安心した。ミカサにも「その感覚」は分かるらしい。

400進撃の名無し:2014/08/11(月) 21:29:22 ID:nKqw7bNM0
ミカサ「マーガレット先輩の言う様に、ジャンは私を『偶像化』しているだけなのかもしれない。アイドルを追いかける感覚で好きであるのなら、それはそろそろ卒業して欲しいと思う」

エレン「あーどうなんだろうな。その辺はオレ、アイドル追っかけた経験ねえからピンと来ねえんだけど」

ミカサ「私もそうだけど。でも、リヴァイ先生を追いかけている子達はまさにそれじゃないかと思う。あんな変態クソちび教師のどこがいいのか」

なんか悪口がどんどん増えているな。『変態』が上についたぞ。

エレン「まあ、教師としてのリヴァイ先生はある意味『理想』の教師ではあるからな」

ミカサ「確かに、教師としてのリヴァイ先生は優秀なのかもしれない。だけど、乱暴で強引で、おまけに変態なので、それを知らないファンの子達が憐れに思える」

エレン「あーもし知られたら、ファンが増えるか減るか、興味はあるけどな」

特に『変態』の部分が知られたら、ドン引きする女子も出てくるだろうな。

エレン「でもその辺は、いずれ出していくかもしれないな。リヴァイ先生自身、大分開き直っていたみたいだし」

ミカサ「そう………早く出して嫌われるといいのに(ニヤリ)」

エレン「いや、まあ、その辺はリヴァイ先生、むしろファンの数を減らしたいみたいだけどな」

ミカサ「そう? じゃあ増えたらいい(ニヤリ)」

何があってもリヴァイ先生を苦しめたいらしいな。ミカサよ。

401進撃の名無し:2014/08/11(月) 21:56:34 ID:nKqw7bNM0
まあいいや。リヴァイ先生の事は横に置いておく。今日はその件で話したい訳じゃねえし。

エレン「じゃあミカサはオレに対して今のところ、不満はねえと思ってていいんかな」

ミカサ「うーん?」

エレン「定期的に、こういう事はちゃんと確認し合わないと、すれ違ったら嫌だろ? オレも出来るだけ腹割って話すし。ミカサも抱え込まないで出来るだけ話してくれないか」

ミカサ「いいの?」

エレン「そのつど、やっていかないとダメだろ。先延ばしにして、気が付いたらお互いに気持ちが冷めていたなんて事になったら嫌だしな」

ミカサ「うーん……」

ミカサが考え込んでいる。やっぱり不満はあるよな。きっと。

そういうのは「引き出して」やらないといけないよな。ちゃんと向き合わないと。

ミカサ「不満、なのか自分でも分からないけれど」

エレン「なんだ?」

ミカサ「エレンは少し、謙虚過ぎるような気がする」

エレン「え?」

ミカサ「もっと、子供のようにダダこねて、私を欲しがってくれてもいい。あんまり大人になり過ぎないで欲しい」

エレン「ええええ………?」

どういう意味だ。それは。

402進撃の名無し:2014/08/11(月) 22:11:23 ID:nKqw7bNM0
ミカサ「エレンがその……感情を爆発させている時の、顔、凄く好き、なので」

エレン「!!!!」

あ、いや。それはその。

いかん。リヴァイ先生との事を勝手に誤解して嫉妬した自分を思い出す。

あの時は本当にヤバかった。いろんな意味で。

あの時の感覚は本当に、忘れたい。自分でも怖えんだよ。

その、そういう「感情」になったら、ミカサを乱暴に抱いちまいそうな気がする。

ミカサが嫌がる事も平気でやってしまいそうな自分がいて、怖いんだ。

だからこそ、あんまりジタバタしないように心掛けているし、見苦しい自分は見せたくねえのに。

ミカサはむしろ、そういう「凶暴なオレ」を見たがっているのか?

エレン「いやいやいや、それは出来ない相談だ。そんなしょっちゅう、オレも、その、子供にはならんぞ」

ミカサ「そうなの?」

エレン「大人であるべきだろうが。オレも高校生になったんだし。いつまでもガキのまんまじゃダメだろ?」

ミカサ「……………我儘言ってもいいのに」

エレン「いーや。その辺はセーブしていかねえと。自重の心は忘れたらいかん」

403進撃の名無し:2014/08/11(月) 22:17:38 ID:nKqw7bNM0
ミカサ「ん? 何故自重? なんの話?」

エレン「え?」

ミカサ「私は『感情を爆発させて欲しい』だけで別にエッチな話をしている訳ではないのだけど」

エレン「!!!!」

しまった。嵌められた!!!

ミカサ「エレン、今の会話のどこに『エッチ』な要素があったの? 教えて?」

エレン「あ、待て待て! なんか近いぞ? ミカサ!」

ミカサ「ふふふ……エレンは今、どうして『エッチ』な連想をしたのかしら? (つつつ…)」

服の上からチチクルなあああ!!!

ああ……いかん。ミカサの手を止めないと。まずい。まずい。

ミカサ「あん……」

エレン「ミカサ。どんどん誘惑スキルを上げているところ悪いが、今日はやってもいい日なのか?」

ミカサ「危険日は過ぎている。予定では生理5日前なので限りなく安全日ではある」

エレン「あ、じゃあ多少のイチャコラは大丈夫なのか」

今、時間何時だ? あーでも12時過ぎたか。長話し過ぎたな。

あーどうする? もうちょっとイチャイチャするか?

404進撃の名無し:2014/08/11(月) 22:31:15 ID:nKqw7bNM0
もしかして、最初ミカサがそわそわしていたのは、期待していたせいだったのか?

あーそうと知っていれば先にイチャイチャしたんだがな! しまったな!

エレン「………………ちょっとだけ、触っていいか?」

ミカサ「うん」

エレン「こっち来い」

ミカサを引き寄せてミカサを後ろから抱っこするような形で2人で座る。

エレン「……………」

ミカサ「……………」

エレン「本音を言えば、さ」

ミカサ「ん?」

エレン「オレも本当は、初めは言いたかったんだよ。ジャンには『オレの女に手出すな』ってさ」

それ以外にも、いろいろ。ジャンに対して牽制したい気持ちは最初からあった。

エレン「でもな。なんだろ……良く分からん『第六感』みたいなものがそれを止めたんだよな。良く分からねえけど。こう、闇の中に、2つの光の道筋があるように感じてさ」

ミカサ「うん」

エレン「たまに、あるんだ。そういう『分岐点』のような物を感じる事が。オレの中で、それを選ぶ時はもう、完全に『勘』の世界でさ」

ミカサ「うん……うん」

エレン「アルミン曰く、『一見間違っているように見えて正しい道を選んでいる』らしいんだけど。オレは常に『やっぱり違ったかな』と思いながら、それでも進んでいるんだ」

405進撃の名無し:2014/08/11(月) 23:45:16 ID:nKqw7bNM0
その結果『やっぱり間違えたか!?』と思う事も多々ある。

でも、オレはそこに立ち止まるよりとりあえず『進む』事を選んでしまう事が多い気がする。

エレン「そのせいで、もしかしたらこれから先もミカサにも苦労かけること、あるかもしれねえけど。ごめんな」

ミカサ「うん。分かっている。大丈夫。私はエレンを信じてついていくだけ」

エレン「ありがとう。ミカサ………」

今日は多少無茶してもいい日らしいが、時間が時間だ。

あんまり遅くまで起きている訳にもいかない。だから、キスをして、ミカサの項に『キスマーク』だけ残しておいた。

ミカサ「?」

エレン「オレの女に手、出すなって言わない代わりにさ」

ミカサ「うん」

エレン「ミカサの『項』に定期的に『キスマーク』をつけてもいいか? というか、今つけちまったんだけど」

ミカサ「そうなの? どのへん?」

エレン「この辺。自分じゃ見えない位置だけど」

ミカサの項に触れながらオレは言った。

エレン「これが『オレの』っていう印だから。言外にそれで周りに伝えていいよな?」

ミカサ「そうね。確かに、その方が分かり易くていい」

エレン「恥ずかしくねえか?」

ミカサ「全然。むしろ自慢する(どや顔)」

ミカサと笑いあった。なんかこう、すげえ嬉しい。

そんな感じでオレ達はその日の夜、短いけど充実した時間を過ごした。

今日はただイチャイチャするだけに終えたけど。焦る必要はないよな。

自然と。いつかその日が来る事を待つ。今はまだ、もうちょっと早い気がする。

舞台が終わった頃に、ゆっくり出来る時間があれば、その時に。しよう。

そう思いながらその日の夜はオレは自分の部屋に戻り、眠りについたのだった。

406進撃の名無し:2014/08/12(火) 00:01:30 ID:yl4Ker6Q0







12月6日。土曜日。ミカサが無事に生理が始まったらしい。

ミカサは定期的に自分の生理のリズムをオレに報告してくれるようになった。

オレを安心させたいからだそうだ。オレも把握できる方がいろいろ便利なので忘れないようにメモをする。

女って男と違って、月のリズムによって体調や気分の変化の落差が激しいから大変らしい。

ちなみに生理が始まってから排卵日に向かっては気分が高揚して、それが過ぎるとだんだん、下がっていくそうだ。

ミカサも以前はそのリズムに悩まされて大変だったそうだが、オレと付き合う様になってからはその「嫌悪感」が大分薄れてきたらしい。

いい恋愛をすると、体の調子も良くなるそうだ。つまりオレはミカサの身体ごと管理していかないといけない訳で。

責任重大だなと思う反面、オレのおかげでミカサが機嫌がいいと嬉しくもなる。

でもジャンと目が合うとスルーする。ジャンは未だにまともに声をかけられずに落ち込むばかりだった。

407進撃の名無し:2014/08/12(火) 00:13:25 ID:yl4Ker6Q0
部活中は一応、劇の練習があるから会話をする事もあるけど、ミカサは完全に棒読みの対応だった。

ミカサは一旦、壁を作ると鉄壁の防護壁を作るようだ。その辺が物凄くはっきりした性格なので、オレも怒らせないようにしないといけないと肝に銘じる事にした。

<●><●>の目になった時とか、ガチで怖いからな。いや、本当に。冗談抜きで。

ジャンはそろそろ根をあげそうな気配だった。部活の休憩時間、マルコの前でぶつぶつ言っていた。

ジャン「まさかミカサがこんなに怒るとは思わなかった……」

マルコ「いや、それを想像出来ないジャンが馬鹿だよね? 普通は2人も好きな子いる男を許容出来ないと思うよ」

ジャン「そうかもしれないが、いくらなんでも長すぎないか? オレ、ずっとこのままミカサに相手にされないのか?」

マルコ「うーん。エレンの意見を受け入れたジャンの自業自得だと思うよ。エレンに後押しされたからと言って、それに乗っちゃったジャンの方が悪いよ」

ジャン「それは分かっている。分かっているんだが……(ズーン)」

メンタルベコベコだな。血の気がねえし。

ジャン「オレ、ミカサに今まで大分、優しくされていたんだな。何か今までの有難みを今頃になって噛みしめちまうよ」

マルコ「元もとミカサは優しい子だよ。だからこそ、怒らせると怖いけど」

ジャン「そうだけど……そうだけどさあ……(半泣き)」

あー。ジャンがブルブル震えているな。

今、あいつ、初めてミカサの「悪いところ」を目の当たりにしてビビっているんだな。きっと。

ミカサは怖えよ。怒らせるとな。美人だから余計に恐ろしく感じる。

408進撃の名無し:2014/08/12(火) 00:36:10 ID:yl4Ker6Q0
ジャン「あああもう、あの時のエレンの口車に乗ったオレの馬鹿……」

おいおい。人のせいにするのかよ。

まあ、気持ちは分からんでもないが。オレもジャンの立場ならオレを責めるけどな。

でもオレもちょっと長すぎるような気もしている。ミカサにとって、ジャンはそれだけ存在が大きかったんだろうか?

どうでもいい奴なら、ある程度、怒っても、その後は自然と時間と共にその怒りが収まるような気もするんだが。

だから気にかかった。そして一抹の嫌な予感もあった。

このままずっと、ジャンに対する「嫌悪感」を持たせ続けていいのか。迷う。

オレはだから、ジャンに自分から話しかけた。

エレン「ジャン、もう諦めてサシャの方に行ったらどうだ? ミカサもそっちの方がまだマシだって言ってたぞ」

ジャン「お前、言ってる事、滅茶苦茶だぞ!? オレを惑わしてくるんじゃねえよ!!!」

エレン「だってさ………ミカサ、頑固だぞ? アレはもう、完全にピー(自主規制)を見る様な目だぞ」

ジャン「空飛ぶ黒い天敵の名前を出すなよ!!! オレはそこまで汚い人間なのか?!」

エレン「うーん。女って、浮気者に対してはすげえ厳しい目を持つって事だな。オレ、男だから知らなかったんだよ。わり!(両手合わせる)」

ジャン「今頃謝られてもどうにもならねえだろうが!!!」

マルコ「んー? それもどうかと思うよ? エレン。ミカサがもし『浮気者』だったら、エレン自身は許せるのかい?」

エレン「……………………」

うううううううーん。

急に脂汗が出てきた。そうか。そう考えてみると、ミカサの反応は当然なのか。

エレン「確かにミカサが浮気したら嫌だな。でも、された時はオレに甲斐性ってやつがねえって証拠でもあるから。まずは自分の反省が先だな」

マルコ「キレない自信があるの? そんな風に冷静になれるかなあ? 実際は」

エレン「いや、キレるとは思うぜ。でも、物事って相手ばかり悪者にしても解決しねえだろ。ミカサのような真っ直ぐな女が浮気するなら、そこにはよほどの「理由」があるだろ。そこを見ないでただキレても、なあ」

マルコ「うーん。なんかエレンって、無理に自分を『大人』に見せようとしていない?」

エレン「え?」

意外な指摘だった。ちょっときょとんとしてしまう。

409進撃の名無し:2014/08/12(火) 00:49:27 ID:yl4Ker6Q0
マルコ「僕がもしも女の立場なら、そこは『キレて』欲しいかな。なんていうか、根っこの部分をもっと見せて欲しいと言うか……がっつり本音で繋がりたいというか。『浮気したら殺す』くらいの熱は欲しいと思うけどな」

結構マルコ、危ない事を言うんだな。温和な印象なのに。恋愛事は情熱的なのかな。

マルコ「アニが『オレの女に手出すな』って言うのが1番好きって言っていたのはそういう事じゃないのかな。いや、実際そうなのかは本人に確認しないと分からないけど」

アニ「呼んだ?」

マルコ「ああ、アニ。丁度良かった。あのね。今、浮気について話していたけど」

アニ「ああ、浮気したら『殺す』けど何か?」

マルコ「ほらね。これくらいの『熱』を持っていてもおかしくないんだよ。エレンにはそういうの、ないの?」

エレン「…………………」

ある。というか、リヴァイ先生との事を勝手に勘違いした時に、すげえ思った。

でも、その時の自分が怖くて。一瞬、本当に、我を忘れそうになって。

思い出すのが怖い。

本能の更に奥に『獣』のような唸り声が遠くに聞こえた気がする。

あいつを解放する前にすぐに扉を閉めたような感じで、あの時は抑え込んだけど。

ミカサを目茶目茶にしちまいそうな気がして。寸前で堪えたけど。

410進撃の名無し:2014/08/12(火) 01:00:16 ID:yl4Ker6Q0
そうか。オレ、自分の中の「あいつ」を無意識に避けていたのか。

だから、ジャンの事も正面から見ていなかっただけなのかもしれない。

オレは、ただ、臆病だっただけなのか。はは……。

エレン「………ははっ」

マルコ「?」

エレン「マルコの言う通りだな。確かに、本音は『殺したい』だよ。浮気相手を八つ裂きにしてぐちょぐちょにして、火だるまにしてやりたいくらいにキレるかもしれねえな」

マルコ「………………」

エレン「悪い。なんか、オレ、そういう『自分』を無理やり、無意識に抑え込んでいたのかもしれねえ。ミカサを傷つけたくねえからさ」

暴走しそうになる自分の気配を感じて怖くなった。

自分が『怖い』んだ。オレは。きっと。恐らく。

マルコ「そうなんだ」

エレン「ああ。オレ、ミカサの事、すげえ好きだからさ。ジャン……手出すつもりあるなら、本気で殺すからな。覚悟があるなら、かかってこいよ」

それだけを言い放ってオレはジャンの傍から離れた。

今、あいつがどんな顔をしているか、分からねえけど。

というか、きっと、マルコもアニもジャンもきっと、こんなオレに対して『ドン引き』しているに違いないけど。

ジャン「………………休憩終了だな」

ジャンは立ち上がった。合図を出して練習再開。気持ちを切り替える。

その後はジャンもウダウダ言わず、綺麗な顔つきになっていた。

411進撃の名無し:2014/08/12(火) 01:15:40 ID:yl4Ker6Q0
ジャンがもうミカサに怯えなくなった。そんな毅然としたジャンの様子にミカサも少し戸惑っている。

ミカサは休憩中、アルミンと話していたのでオレとジャンの会話は聞いていない。

だから「どうしたのかしら?」と首を傾げていた。

雰囲気がガラリと変わったジャンに対してミカサもきょとんとしている。

オレはさっきのジャンとの会話を話すべきか迷ったが………

とりあえず、今の時点では言わない事にした。

だって「オレの女に手出すな」って言わなかった癖に、気が変わって「手出したら殺す」宣言しちまったからな。

自分でもわけわけめだ。何でこうなったんだろ?

正直、落ち込む。気分の上下が激しい自分に凹む。

ミカサ「エレン? 何かあったの?」

落ち込んでいるオレにミカサが気遣ってくれる。

エレン「あー後でな」

今は部活中だ。集中しよう。集中。

この日は人工呼吸のシーンも含めて、ミカサといろいろ際どいシーンも演じた。

でも途中でアルミンにダメだし食らってしまった。

アルミン「こらーエレン! 君は今『女役』だよ?! 男の顔しちゃダメだよ!!」

エレン「うっ………」

アルミン「ミカサも女らしくならないで! 男女逆転劇なんだから、そこんとこ、注意!」

ミカサ「う、うん………」

まずいな。なんかさっきの件があったせいで、オレの中の頭が『男』寄りになってる。

エレン「悪い。アルミン、さっき休憩いれたばっかりだけど、便所行って来ていいか?」

アルミン「ああ……OK。気持ち切り替えて来てね」

という訳でオレだけ便所に行かせて貰える事になった。

412進撃の名無し:2014/08/12(火) 01:26:38 ID:yl4Ker6Q0
便所の個室に籠って取り敢えず落ち着こう。心臓の音を鎮めたかった。

ドクドク………ドクドク…………ドクドク………

少し時間がかかったけど、普通の音に戻した。

マルコの指摘がこんなに奥深くまで『響いて』くるとは思わなかった。

リヴァイ先生もそうだったのかな。オレの何気ない『ツッコミ』が、リヴァイ先生の未来を変えた。

今、オレの中にもそれに似た何かが動き出したような、そんな気配があった。


オレ、本当は、ミカサに手出すような奴ら、全員、殺したかったのか。


そう思った瞬間、頭を殴りたい気持ちになって、寸前で堪えた。

涙が出てきた。これじゃあ、幼い時のオレと何も変わってねえじゃねえか。

衝動的にしか動けない。ガキなオレ。

それが嫌で、必死に大人になりたがる、オレ。

そんな自分を、マルコはいとも簡単に見抜いた。いや、見抜いたというより「違和感」を覚えただけだろうけど。

413進撃の名無し:2014/08/12(火) 01:37:07 ID:yl4Ker6Q0
何も変わってねえ気がした。あの頃の、自分と。

いや、むしろ酷くなっているのかな。逃げていただけだったんだし。

便所の中で、暫く声を殺して泣いた。

今のオレはさすがにアルミンにも見せられない。勿論、ミカサにも。

自己嫌悪の波が酷い。久々に来たな。こういうの。

最近はこういうの全然、やってなかったけど。こういう時は1人になるしかねえ。

いつ以来かな。もう覚えてねえけど。昔はよくこうやって、1人で泣いていた。

誰にも見られない場所で。マイナスの感情はここでしか吐き出せねえ。

便所に捨てるしかねえ。でねえと、オレは自分で何をしでかすか分からねえからだ。

すると、男子便所に人の気配が来た。

誰だろ。アルミンかな。

そう思っていたら……………



ミカサ「エレン? お腹痛いの?」



優しい声が響いた。今、一番会いたくない人が来ちまった。

414進撃の名無し:2014/08/12(火) 01:53:43 ID:yl4Ker6Q0
エレン「ああ。悪い。急に下痢がきた。なんか調子悪いかも」

ミカサ「それはいけない。薬を貰いに行かないと……」

エレン「大丈夫だ。出してしまえばすっきりするからさ。もうちょっと便所籠るから。アルミンにそう言っておいてくれよ」

ミカサ「そう………」

演技、うまく出来ているかな。声が震える。

頼むから、騙されてくれ。ミカサ。オレ、大根役者だけど。

ミカサ「……………正露丸、要らないの?」

エレン「薬は出来るだけ頼らない方がいい。本当にヤバい時の為にとっておかないと。薬に慣れ過ぎると免疫力が落ちるって親父が言ってた。こういう時は出すだけ出したら、後は水分とって暫く安静にするのが1番なんだよ」

自分でも饒舌になっていた。誤魔化しているの、バレたくねえから。

でも、それがかえって怪しいと思ったのかな。ミカサが去る気配がねえ。

ミカサ「…………何か、あったの?」

やっぱり、ピンときちまったか。ミカサは聡明な女だからな。

馬鹿な女なら、きっと気づかないんだろうけど。

エレン「何でもねえよ」

ミカサ「嘘。エレンもジャンも、何かおかしい」

エレン「……………」

どうすっかな。ここでどう切り抜けたらいいんだろ。

心臓の音がまた、激しくなり始めた。

頭の中がだんだん真白になっていく…………

ミカサ「ジャンの雰囲気が、急に変わった。以前のジャンに戻った。というか、熱っぽい視線がなくなった。エレン、ジャンに何か言ったの?」

エレン「…………それはミカサには言えない」

ミカサ「何故? もしかして、ジャンと何かあったの?」

エレン「それも言えない。悪い。ミカサ、とりあえず今は音楽室に戻ってくれないか」

ミカサ「え? え? どうして? 私………」

エレン「いいから戻れって言ってるだろ!!!!!」



しまった。オレ、何言ってるんだ。



ミカサ「…………分かった」

ミカサの顔が見れないのが余計にぞっとした。オレ、今、何やった。

ミカサが便所から離れていく気配がある。足音が、遠ざかって行った。

心臓がバクバクしていた。

体中から、血の気が引く感じだ。

オレ、本当に馬鹿だ。心配してくれる彼女に怒鳴りつけて。最低の野郎だ。

なのに、まだ、顔を作れない。皆の前で普通で居られる「顔」に戻せない。

415進撃の名無し:2014/08/12(火) 02:07:11 ID:yl4Ker6Q0
こんなぐちゃぐちゃな自分、久々だ。どうしたらいいんだ。一体、どうしたら………。



コツコツコツ………



また、別の誰かが来た。ミカサの足音のリズムじゃない。

コンコン♪ ノックの音だ。

リヴァイ「おい。早くしろ。こっちもクソがしたいんだが」

エレン「!!!!」

まさかのリヴァイ先生だった。嘘だろ。何でこんな時に限って。

リヴァイ「………? おかしいな。誰もいないのか?」

もう1度ノック音が響いた。どうしよう。どうしよう。どうしよう?!

リヴァイ「? 鍵がかかっているのに、誰もいねえのか? 壊れているのか?」

勘違いしてくれ。そうだよ。ここの便所は壊れているんだと思い込んでくれ。

ガチャガチャガチャ。

ガチャガチャガチャ。

ガチャガチャガチャ。

うわああああ。こええええよおおおおお!!!!

リヴァイ「………失礼」

ひょい。リヴァイ先生が体を乗り出して、上から便所の個室の中を覗いてきた。

見られてしまった。ぐちゃぐちゃな自分を。見られたくなかった人物に。

リヴァイ「…………………」

リヴァイ先生と目が合った。何も言えない時間が過ぎる。

リヴァイ「…………とりあえず、オレのクソを先にさせてくれないか?」

リヴァイ先生が冷静にそう言い出したのでオレは個室を譲ることにした。

こんな時でもちゃんと便所に入って生理現象をこなすリヴァイ先生が心底羨ましいと思った。

手をちゃんと洗って、リヴァイ先生がこっちを見た。

ハンカチで手を拭いながら、オレを真っ直ぐに見つめてくる。

416進撃の名無し:2014/08/12(火) 02:16:50 ID:yl4Ker6Q0
オレは俯くしかなかった。自分からは説明出来なかった。

リヴァイ「………………エレンが望むなら」

エレン(びくっ)

リヴァイ「話を聞いてやるくらいの事は出来るぞ。それがオレの仕事でもある」

エレン「………………」

リヴァイ「勿論、余計なお世話なら断っていいが。何か、事情がありそうだな?」

オレは頷いた。1度だけ。

リヴァイ「どうする? 今、部活中なんだろ? この後、俺はそっちに顔を出そうと思っていたが。今日は中止にしてもいい」

エレン「………………いいんですか?」

こんな重い話を人に話してもいいんだろうか。

すげえ怖い。でも、今、オレ自身も、どうしたらいいのか分からなかった。

リヴァイ「1人で便所に籠って結論を出すか。俺にぶちまけて結論を出すか。エレンの好きにしろ。俺はどちらでも構わない」

選択肢をくれた。リヴァイ先生の優しさがこの時ばかりは身に染みた。

オレは迷わず、選んだ。もう1度、強く頷いて。

涙は自然に引いていた。急に冷静になっていく自分がいた。

エレン「お願いします。時間は出来るだけ取らせませんので」

リヴァイ「分かった」

そしてオレはその日、初めて他人に「あの日の事」を話す決意をしたのだった。

417進撃の名無し:2014/08/12(火) 02:18:04 ID:yl4Ker6Q0
急展開の重苦しい状況ですが今回はここまで。
暫くは超シリアス展開になりそうです。胃が重い展開ですみません…。
ではまた次回ノシ

418進撃の名無し:2014/08/12(火) 04:07:21 ID:0zTcz4fM0
エレンは凶暴な所があってこそエレンだよな。
そこを必死に抑えようとするけど、ところどころででてきちゃうみたいな、

419進撃の名無し:2014/08/12(火) 07:07:01 ID:yl4Ker6Q0
>>418
そんな感じですね。まさにその通りです。

420進撃の名無し:2014/08/12(火) 07:07:51 ID:qNDCMCVw0







リヴァイ先生はオレを進路指導室に連れて行こうとしていたが、オレはそれを拒否した。

もし万が一、RECをされたら嫌だからだ。だからリヴァイ先生は事の重さを実感したのか、屋上の鍵を持ってオレをそこに連れて行った。

屋上は一般開放されていない。鍵を借りないと出入りは出来ないようになっている。

幸い外は晴れていた。風が気持ちいい。少々寒いけど。

夕方の黄昏時だった。グラウンドには部活をしている生徒が多数いて、吹奏楽部の音も遠くに聞こえた。

野球部の練習風景もここから見えた。皆、頑張っているようだ。

時刻は5:00くらいだった。土曜日だから、部活をやっている人間は午後も当然学校にいる。

リヴァイ「ここなら絶対、誰にも聞かれる事はないだろう。ここでいいか?」

エレン「はい……ありがとうございます」

リヴァイ「コーヒーでも買ってくれば良かったか」

エレン「いえ、そこまではいいです」

リヴァイ「そうか。…………泣いていた理由を聞いてもいいか?」

エレン「…………はい」

オレは自分の過去をどこから話せばいいか迷った。

こんな話、聞かされる方はたまったもんじゃねえだろうけど。

それでもこの時のオレはリヴァイ先生に頼りたかったんだと思う。

エレン「……………オレ、実は小さい頃に母親を亡くしているんですが」

リヴァイ「……………」

エレン「オレが9歳の時でした。ひき逃げ事件に巻き込まれて。オレを庇って。母親を亡くしました」

リヴァイ「……………」

エレン「当時のオレは、其の時の車のナンバーと車の色だけは目に焼き付けていました。そしてその数日後……何の因果か分からないんですが、目の前に、其の時と同じ車と、恐らく車の持ち主と思われるひき逃げ犯と偶然、遭遇したんです」

9歳の時の記憶を徐々に引っ張り出す。今、思い出しても手が震える。

421進撃の名無し:2014/08/12(火) 07:08:56 ID:yl4Ker6Q0
エレン「奴らは、何やら騒ぎを起こしていました。どうやらとある家族を拉致しようとしていたようで……その時に、抵抗した両親を殺そうとして、幼い女の子だけでも拉致しようとしていました。その女の子は、両親の決死の抵抗の末、逃げ出すチャンスを掴みました。オレはその現場を目撃していて、その子を助けました。一緒に逃げたんです。でも、其の時に、オレの中の『怒り』が消えなくて。その子の両親を殺した怒りと、自分の母親を理不尽に殺された怒りが混ざり合って、そいつらに復讐しようと、打って出たんです」

リヴァイ「つまり、そいつらを殺したのか。どうやって……」

エレン「車を、盗みました。奴らが乗ってきていた車を逆に奪ってやって。あの子を助手席に乗せて。見様見真似で車を動かして、奴らを全員、ひき殺しました」

リヴァイ「よく、操作出来たな」

エレン「親父の運転する様子はよく見ていたんで。幸い、オートマ車だったし。マニュアル車だったら無理だった思いますが。雪の降っている真冬でした。目撃者は誰もいなかったとは思いますが。オレは、其の時に、人を殺しました」

リヴァイ「警察にはなんと説明したんだ」

エレン「分からないふりを貫きました。勿論、詳しく調べられたらオレが殺した事は露見したとは思いますが。その殺した相手グループも、不法入国者で、かつ犯罪歴のある男達だったみたいで。警察も行方を追っていたグループだったそうです。その辺の詳しい事情はオレもそれ以上は分からなかったんですが。幸い、其の時にオレが罪に問われる事はありませんでした」

リヴァイ「………そうか」

もしその相手が日本国民だったら、結果は違ったかもしれない。

オレは今頃、少年院か何処か。少なくともまともな生活はおくれなかったかもしれない。

エレン「年が幼すぎたせいもあったと思います。まさか警察も9歳の子供が車を運転して人をひき殺したなんて信じられなかったのかもしれない。しかもその時、オレはオレだけじゃなく、その当時助けた女の子にも、その犯罪に加担させました」

リヴァイ「つまり、2人でやったのか」

エレン「はい。犯人グループを全滅させたと思い込んだ直後、オレがもう1人の男に捕まって。助手席に残っていた女の子に、運転席に移動してオレごと、ひき殺す様に指示しました。あの子は怯えていたけど。やらないと、今度は自分が殺されるという危機を感じてやってくれました。オレはその時、本当に死んでもいいと思った。でも、幸い、オレは助かって。オレとその子は生還したんです」

あの子は今も元気で生きているんだろうか。それだけが気がかりだった。

エレン「あの子の名前すら聞いていないので、あの女の子が今、どうしているかは分からないんですが。オレはオレ自身の復習の為に、あの子を巻き込んだ挙句、人を殺した基地外です。母親の仇をとりたかったのもあるけど。何よりあの子の両親を殺そうとした事が許せなかった。幸い、母親の方は応急手当てが間に合って、緊急手術のおかげで一命はとりとめたそうですが。それでも、あの子の父親は亡くなってしまったそうです」

リヴァイ「……………」

リヴァイ先生は絶句していたけれど、オレは構わず続けた。

エレン「今思うと、すげえ事、やっちまっているんですよ。オレ。人、殺したんですよ。9歳の時に。車を使って。自分だけじゃなくて。知らない他人も巻き込んで。どう考えても、冷静に考えても自分が『異常』にしか思えない。殺したいと思ったら、オレ、本当に人、殺せる人間なんですよ」

その「感情」に囚われる事が怖かった。だから、逃げていたんだ。ずっと。

エレン「今、ミカサとお付き合いさせて貰っているんですけど。彼女、凄く綺麗だから。オレとミカサの事を知っても尚、諦めきれずに嫉妬する男もいます。そいつが、本当にうぜえって時々思うし。嫉妬する自分がいる。オレ、ミカサがリヴァイ先生の事を嫌悪しているのすら、嫉妬したんです。それくらい、ミカサに対して独占欲があるんですよ」

リヴァイ「……………」

リヴァイ先生は静かに聞いてくれていた。それが今は本当に有難かった。

エレン「もし、そいつがオレの目を盗んでミカサに手出して来たら、本気で殺したいと思うくらい、オレ、本当は嫉妬していたんです。でも、それを認めるのが怖くて……無意識に目を背けていた。その事にひょんな事から気づいてしまって。自分で自分に愕然としました。オレにとっては『殺意』は冗談なんかじゃないんです。これって、どう考えても、頭おかしいですよね」

そこまで一気に吐き出して、オレは息を吸った。

おかしいと。そう言われる覚悟を決めて待っていたら………。

422進撃の名無し:2014/08/12(火) 07:10:11 ID:yl4Ker6Q0
リヴァイ「……すまん。どの辺がおかしいんだ?」

エレン「え?」

リヴァイ「いや、自分の女に手出してくるような、薄汚い男を『殺したい』と思う事のどこが『おかしい』のか分からない」

エレン「……………え?」

リヴァイ「勿論、それを本当にやったら警察に捕まるが。『そう思う』事は、オレは共感するぞ」

エレン「え? でも……」

リヴァイ「そもそも、その「嫉妬してくる男」は実際に、ミカサに手出してきたのか?」

エレン「いえ、そうじゃないんですけど。いちいち突っかかってきます」

リヴァイ「実際に、ミカサに手は「まだ」出してないが、隙あらば狙っているんだな?」

エレン「………完全には諦めていないように見えます」

リヴァイ「だったら、『手、出したら殺すぞ』くらい脅してもいいんじゃないか? オレだったらそうするけどな」

エレン「へ……?」

何故か肯定されてしまった。嘘だろ。

エレン「え……でも」

リヴァイ「それくらいミカサの事が好きなんだろ? エルヴィンだったらきっとこう言うな。『殺すのよりもっと怖い事、してあげようか?』とか。ハンジだったら多分『監禁して拷問してあげようかw』くらいやるかもな」

エレン「え、ええええええ?!」

なんか全員、頭おかしい発言してきた気がするけど、いいのかそれって?!

リヴァイ「いや、分からんけどな。俺の勝手な想像だが。ただ、自分の物に手を出してこようとする奴らなんかに遠慮する必要はねえな。例えそれがどんな相手であってもだ」

エレン「自分の友人、であってもですか?」

リヴァイ「友人なら尚更だな。『手、出したら友人やめる』くらい普通だろ? 一夫多妻やその逆の国なら違うかもしれんが、ここは日本だ。一夫一婦制だ。そんな気を遣い合う必要は微塵もねえ」

エレン「え、でも………」

リヴァイ「その場合、相手の方に選択権がある訳だろ。友人を取るか、自分の欲望を取るか。どっちつかずのまま、ずっと付き合いきれるのか? オレなら無理だな。どっちかにして貰わないと。友人関係を続けたいなら恋人の事は諦めて貰って、恋人を諦めきれないなら、友人関係は破綻だな。どっちも欲しいなんて、それは虫の良すぎる話だろ」

エレン「………………」

そう、かもしれない。

423進撃の名無し:2014/08/12(火) 07:11:59 ID:yl4Ker6Q0
リヴァイ「エルヴィンの場合がその典型だろ。あいつは、俺の事を……同性ではあるが、好いてくれていたが、ハンジとの繋がりも切りたくなかった。自分が身を引く事で、俺とハンジの縁を取り持ってくれた。その件に関しては本当に感謝しているし、出来る限りの恩返しをあいつにはしてやりたいと思っている。あいつは選んだんだよ。きっとそこに行きつくまでに迷いはあったと思うが……それでも、中途半端な事は一切やらなかった。俺はあいつを凄いと思っているぞ。もし万が一、あいつが本気で俺を『獲りに』来ていたら、俺自身、正直、今頃どうなっていたか………」

エレン「えええええ……それって、絆されていた可能性あるって事ですか?!」

意外だった。その、リヴァイ先生、そっちの趣味の人じゃないのに!

リヴァイ「あくまで可能性のひとつだ。俺は男に抱かれる趣味はねえが。それでも、エルヴィンが『本気』を出していたならどうなっていたかは分からん。俺も自分自身、押しに弱い部分があるところは自覚しているしな」

エレン「…………」

今度はオレが絶句する番だった。

リヴァイ「そういう意味では、俺とハンジとエルヴィンも通常とは違う三角関係だったんだと、今なら思える。エルヴィンの方がもし『ハンジ』を選んでいたら、俺はきっとエルヴィンと戦う事になったと思うが。その場合は、俺はエルヴィンとの友人関係は続けられなかっただろう。そういう意味では、俺はエルヴィンの真似は決して出来ないと思ったよ」

エレン「そう、ですね……」

リヴァイ「この場合はもう、エレンがどうこうではなく、その「嫉妬してくる男」がどちらを選ぶかじゃないのか? エレンとの友人関係か、ミカサへの恋慕か。どちらかだ。選べないっていう選択肢は無しだ。いつまでも目を逸らしていい問題じゃない」

エレン「選ばせていいんですか」

リヴァイ「その方がすっきりするだろ。勿論、相手にも時間を与えてやる必要はあるが。何か月も考える様な事じゃない。エレンはミカサと本格的に付き合い始めたのは、9月以降だろ?」

エレン「正確に言えば8月13日からです」

リヴァイ「今は……12月6日か。そろそろ答えを出してもいい時期なんじゃないか? その友人に問いただしてもいいと思うぞ。これから先、どうするのかを」

エレン「…………そうですね」

そうだよな。目、逸らしていい問題じゃねえな。これは。

リヴァイ「エレンが過去に罪を犯していた事には正直言えば驚いたが……その背景を聞けばそれも当然のように思えるな。現代の日本では『仇討ち』は許されていないが、明治より前の時代。つまり江戸時代にはそれは許されていた事なんだぞ」

エレン「!」

リヴァイ「こう言っちゃ教育者としては失格なのかもしれんが、『罪』という物は、時代と共に変わる。戦争をしていた頃の日本は『殺人』をする事こそ、武人の誉とされた。敵国の人間を殺せないような軟な軍人こそが『罪』だった時代もある。そういう観点から見れば、俺はエレンのした事は『許されない事ではない』と感じるが」

エレン「でも、オレは……本当に、人を殺して………」

リヴァイ「殺さなければ、今頃、お前もその女の子も、死んでいた可能性が高いだろ。『生きたい』と思うのは、人としての当然の渇望だ。それは決して『罪』じゃない。やらなければ自分が死ぬ状況だったのなら、俺も迷わず相手を殺すぞ」

エレン「先生も、人を殺せるんですか」

リヴァイ「やると思う。というより、すまない。こんなことを一生徒に話していいか分からんが………俺も人を殺してしまった事はある」

エレン「え……?!」

リヴァイ「若い頃の、馬鹿な勝負のせいで起こした事故だった。俺は殺すつもりはなかったが……バイクでの勝負を挑まれて、相手の方が、その……運転をミスって、カーブで転倒した。即死だったよ。一応、表面上はただの『事故死』として処理されたが。あの時、俺があの勝負を引き受けなければ相手は死ななかっただろう。今も悔やんでも、悔やみ切れない」

エレン「でもそれは、リヴァイ先生のせいじゃないんじゃ……」

リヴァイ「それだけじゃないんだ。他にも、喧嘩をふっかけられて、打ち所が悪くて本当に死なせてしまった奴もいる。るろ剣の剣心ではないが、逆刃刀のように相手を死なせない技術を持っていれば良かったんだが。その頃の俺はうまく『手加減』が出来なかったから、場合によっては本当に死なせてしまった事もある。一応、襲われたのは俺の方だから、『正当防衛』は認められたが。それでも相手を殺したのは変わりない」

エレン「そう、だったんですか………」

なんかすげえ、びっくりした。リヴァイ先生、どこまで『最強』なんだよ。

424進撃の名無し:2014/08/12(火) 07:13:40 ID:yl4Ker6Q0
リヴァイ「勿論、この事は他の生徒には伏せておいてくれ。人を殺したことのある人間が教職やっているなんて世間にバレたら一発でクビだ。教職員の中でもごく一部の人間しか知らん。エルヴィンと、ピクシス先生と、ハンジだけだな。知っているのは」

エレン「その三方はリヴァイ先生にとって凄く近しい人達なんですね」

リヴァイ「まあな。ピクシス先生もナンダカンダで世話になる事は多いが。1番はエルヴィンだな。あいつの場合はハンジの事も世話しているから。あいつがいなかったら、俺は今頃こうしてエレンと話す機会すらなかっただろうな」

と、何処か遠い場所を見つめながらリヴァイ先生は言った。

リヴァイ「エレンのした事は世間から見たら後ろ指さされる事だとは思うが、それは世間にバレたらの話だ。秘密を抱えて生きていけばいい。ミカサにも話したくないなら話さなくてもいいだろう。ただ、俺はその時助けた「女の子」はきっと、今頃、エレンに対して『感謝』していると思うぞ」

エレン「そうでしょうか」

リヴァイ「命を賭けて自分を助けてくれた少年に感謝しない女が何処にいる。それこそ、ずっと覚えていてくれているかもしれない。もし運よく再会する機会があれば、自分を『嫁』にしてくれと言い出しかねないかもしれないぞ」

エレン「そ、それは大げさ過ぎませんか」

リヴァイ「いいや? 決して大げさじゃない。俺自身、そういう経験があるからだ。昔、ある女に言われた事がある。『俺を命を賭けて助けて貰った恩は一生忘れねえ。出来ればすぐにでも嫁にしてくれ』とな。そいつはまだ幼かったからこっちも『初潮が来てから出直せ』と言ってやったが」

ひでえ返しだな。リヴァイ先生。

………っていうか、あれ? 今、『俺』って言わなかったか?

エレン「今の言葉に違和感があるのは気のせいですかね?」

リヴァイ「ん?」

エレン「だって今、一人称が『俺』って言いましたよね?」

リヴァイ「ああ。そいつは女の癖に自分を『俺』と呼ぶ変わった女でな。名前は『イザベル・マグノリア』と言った。…………俺の初めての女だよ」

?! 今、衝撃の事実を知った。

ええええ?! ちょっと、えええええ?!

リヴァイ「もし生きていれば今頃、35歳。ハンジより歳は1つ程下だったが。俺とは4つ程離れた女だった。俺が14歳の時、あいつはまだ10歳で。お互いにまだガキだったけど。翌年のあいつの誕生日に『誕生日プレゼントにリヴァイが欲しい』とだだこねられて。どうしようもなく、我儘を言われてな。一応『初潮はきたのか?』と確認した上で『きた!』って返事だったから。俺もしょうがなく付き合ってやった」

15歳で初体験。ええええ。しかも相手が11歳。いや、まあ、いいのか? お互いに合意の上だし。

リヴァイ「ただそいつは………頭がアホだった。算数もろくに出来ないような女だった。ハンジとは正反対だけど。そいつの夢は『美容師』になることだった。腕さえ良ければ金が稼げる仕事だからと言ってな。でも、その年の12月。あいつは俺より先に亡くなってしまった」

エレン「え……11歳の若さで亡くなったんですか」

リヴァイ「そうだ。……………変質者の男に誘拐されて殺された」

エレン「!」

リヴァイ「俺は腸が煮えくり返ったよ。そしてあの時、もっとあいつの傍に居てやれば良かったと、今でも後悔している。あの時、あの日、もっとあいつに気にかけてやっていれば。事件に巻き込まれる事はなかったかもしれない。誘拐されたのは、俺と別れたすぐ後の事だったらしいからな」

なんていう重い事件だ。リヴァイ先生がやたら「送迎」してくれる理由ってまさか。

エレン「リヴァイ先生が良く『送迎』してくれるのって、もしかして」

リヴァイ「その通りだ。俺はもう、あの時のような後悔をしたくない。生徒をつい、甘やかしてしまうのもそのせいだ。危険の多い世の中だ。朝が早過ぎたり、帰りが遅くなる場合は危険に巻き込まれる可能性が一気に高くなる。車で送ってやる事でそれを未然に防げるなら安い」

エレン「……………」

425進撃の名無し:2014/08/12(火) 07:15:48 ID:yl4Ker6Q0
リヴァイ「イザベルは、俺の髪の毛でよく遊んでいてな。髪の毛の色を変える、所謂「髪染め」の練習台に俺の髪を使っていた。金色が好きだった。だから10代の頃は金が続く限りは出来るだけ金髪にしてやった。あいつが、いなくなってからも」

うわあああ。金髪にそんな意味があったなんて。やべえ。泣けてきた。

リヴァイ「オルオ達の代の1個上にもイザベルっていう演劇部のOGがいるが、そいつはイザベルの遠縁の血筋だそうだ。顔が何処となく似ていたから、最初はびっくりしたけどな。ただ一人称が『私』だったから、別人だとすぐ分かったが」

エレン「へええええ……」

あ、そっか。そう言えばOGにも「イザベル」って名前の女の先輩いたっけな。

リヴァイ「話が大分脱線したな。つまり、今頃、その女の子もお前の行動に感謝している筈だ。だからもしもその子と再会する機会があれば、其の時は胸を張れ。お前は、その子にも命を救われたんだろ?」

エレン「…………でも」

リヴァイ「殺意を抱えるのは、人間ならあり得る事だ。俺だって、ある。それを実行に移してはいけないのは確かに『社会のルール』だが、ルールがそこに存在する事と、頭がおかしいかどうかの基準は別物だ。お前は世間から見たら基地外かもしれんが、それがどうしたっていうんだ。お前が基地外なら、俺は『異常者』だろうな。教師の癖に、こんな事言っている時点で頭がおかしいとしか思われない」

エレン「……………」

リヴァイ「それを重々承知の上であえて言おう。お前の選択は『間違っていなかった』とな。何故なら今、ここにエレンが『生きている』からだ。お前の親父さんは、お前の選択に仰天はしても、それでも無事に生きていた事に感謝しかしなかったと思うぞ。俺がもし、親の立場ならそう思うだろうな」

エレン「でも、親父にはこっぴどく叱られました。命を投げ捨てるなと」

リヴァイ「そりゃそうだろうな。でも、お前は生きて生還した。一人の女の子を救って。いや、母親も救ったなら2人か。その時、お前は自分の命を懸けたからこそ、その2人は救われた。その事実はどうあっても消えない」

エレン「受け入れても、いいんですかね。オレは……オレ自身の過去を」

リヴァイ「ああ。構わん。もう過去の事だからな。今現在の事じゃない。その時にした事はもう、どうあっても覆せない。問題はこれから先、どうするかだろ」

エレン「でも、油断すると、本気で殺しに行くかもしれない。オレ、あいつを殺すかもしれない……」

リヴァイ「其の時に、命がけで止めてくれるような友人はいないのか?」

エレン「!」

リヴァイ「もし、本当にエレンが『間違えそうになった時』に、お前を止めてくれる人はいないのかと聞いている」

其の時、思い浮かんだのは、アルミンだった。

リヴァイ「………その様子だと、思い浮かんだ『別の友人』がいるな?」

エレン「はい」

リヴァイ「だったら、そいつに『託して』おくのもいい手だろう。何も一人で抱え込む必要はない。そう言っていたのは、お前の彼女だろうが」

エレン「………はい」

ミカサ。本当にそうだな。オレ、格好つけすぎていたのかもしれない。

全部、話そう。いつか、機会を見て。話せる時が来たら。その時に。

426進撃の名無し:2014/08/12(火) 07:17:57 ID:yl4Ker6Q0
リヴァイ「…………もう大丈夫そうだな」

エレン「はい。今日は本当に、ありがとうございました」

オレは深々と礼をした。頭を上げたら、リヴァイ先生は小さく笑っていた。

リヴァイ「これで少しは、借りを返せただろうか」

エレン「え?」

リヴァイ「俺もハンジの件ではエレンに世話になりっぱなしだったからな。これで少しは、其の時の事を返せたかと思ってな」

エレン「十分です。むしろお釣りがくるくらいですよ」

リヴァイ「そうか。だったら今度はまた、こちらから甘えるとしよう」

と、調子のいい笑みを浮かべている。

エレン「いつでもいいですよ。オレ、大分恋愛に耐性がついてきましたからね」

リヴァイ「その様子だと、もうヤッたのか?」

エレン「それはまだですけど……」

リヴァイ「ほほう? 意外と慎重派だな。今度、体位のテクニックの参考本を貸してやろう」

エレン「ええええ?! いいんですか?!」

棚からぼた餅キタああああああ!!!

リヴァイ「最初はいろいろ苦労するかもしれんからな。まあ、参考程度に目を通した方がいいだろう」

エレン「あの、特別授業はやらないんですか?」

リヴァイ「やってもいいが、もしバレたらハンジに殺されそうな気がするので、第3回目は出来ればやりたくはないんだが……」

エレン「そこを何とか! お願いします!!」

リヴァイ「やれやれ。次で最後にするか。バレないように箝口令、しいておけよ」

エレン「あざーっす!!!」

という訳でオレとリヴァイ先生は相談を終えてから音楽室に戻った。

涙の跡も隠さないままで。すると、皆が一斉にオレを心配してくれた。

427進撃の名無し:2014/08/12(火) 07:18:59 ID:yl4Ker6Q0
アルミン「エレン!!! お腹、大丈夫だった?」

エレン「え? ああ……出しちまえば問題ねえよ」

アルミン「ミカサから聞いたよ。急性の下痢だって。なんか変なものを食べたの? 売店とかで」

エレン「あー牛乳でもあたったのかな? 最近、飲み過ぎたのかもな」

アルミン「あー飲み過ぎるとダメていうよね。僕も気をつけよー」

と、和やかなムードで皆に「下痢大丈夫かー?」と心配されたのだった。

そして、ミカサが最後にこっちに近寄って様子を伺う。

ミカサ「…………と、いう事にしておいたので」

エレン「サンキュ。さすが気の利くオレの彼女だ」

ミカサ「本当の事、まだ言えない?」

エレン「後でな。今は部活だから。時間みつけて話すから。必ず」

ミカサ「…………うん」

ミカサも少し安心した様だ。これでこっちも安心だ。

そして皆で練習を再開。リヴァイ先生もチェックしている。

リヴァイ「あー俺ってそんなにいつも眉間に皺寄っているのか?」

ミカサ「大体こんな感じですが(キリッ)」

リヴァイ「そうか……」

アルミン「結構、ミカサの物真似は似ていますよ。かなり正確にトレース出来ていると思いますが」

リヴァイ「いや、まあそうなんだろうな。何か自分を客観的に見るのって変な感触だなと改めて思っただけだ」

ミカサ「背丈は違いますけど。そこは脳内で修正してください」

リヴァイ「うぐっ……(青ざめ)」

ミカサのリヴァイ先生いびりも健在だ。可哀想だけどもう、前ほど気にはならない。

そして休憩時間、ジャンがこっちにやってきた。

428進撃の名無し:2014/08/12(火) 07:20:08 ID:yl4Ker6Q0
ジャン「………大丈夫か?」

エレン「ああ。便所の後、ちょっとリヴァイ先生と話した。大分すっきりしたよ」

ジャン「そうか……」

エレン「悪かったな。さっきは。空気悪くして」

ジャン「いや……オレもさっきのエレンを見て、目が覚めたよ。オレ、結構最低な事をしていたんだなって」

エレン「……………」

ジャン「オレには出来ねえな。いくら何でも、浮気相手を本気で「殺す」なんて。お前、あの時、結構マジで言っただろ」

エレン「ああ。マジだけど。何か?」

ジャン「オレはそこまでミカサを愛せる自信はねえ。自分が殺人者になってまで、ミカサの傍にいようとは思わねえよ」

と言ってジャンが天井を仰いだ。

ジャン「…………完敗だ。冗談でも口には出せねえ時点で、オレのミカサへの愛情はエレンより『薄い』んだって思った。もうやめるよ。必要以上にお前らに嫉妬するのは」

エレン「それはミカサから手を引くと受け取っていいのか」

ジャン「ああ。そう捉えて貰って構わん。オレももう一人の相手の事を真剣に考えてみるよ」

とジャンの方も方針が固まったようだ。それなら良かった。

エレン「それはミカサへの恋慕より、オレとの友情を取るって事だよな」

ジャン「はあ? (青ざめ)」

エレン「だってそうだろ? そう受け取っていいんだよな? (ニヤニヤ)」

ジャン「か……勘違いするんじゃねえよ!!! 誰が、お前との友情を取るか!!! オレはあくまで、ミカサを彼女にするのを諦めるだけで、ミカサの味方でいる事は変わりねえんだからな! 何か困った事あったらすぐ駆けつけるし!?」

エレン「その必要はねえよ。オレがミカサの傍に居ればその必要はねえ」

ジャン「か、かもしれんが……そんなの分からんだろうが! ほら、手伸ばして荷物取って欲しいとか?!」

エレン「その時はオレがミカサの上に乗って取ればいい」

ジャン「逆だろ普通それは?!」

エレン「オレの方が体重軽いからな。なあミカサ」

ミカサ「呼んだ?」

ジャン「うぐ……じゃあオレ、本当に出番無しか……」

429進撃の名無し:2014/08/12(火) 07:21:29 ID:yl4Ker6Q0
ミカサ「何の話?」

エレン「ジャンはもう、ミカサの事を諦めて、もう一人の相手との事を真剣に考えてみるって話」

ジャン「?! エレン、いきなりバラすなよ!!!!」

ミカサ「それ本当?! ジャン!! (ぱあああ)」

ジャン「え、まあ……うん。すまん。気持ちが固まった」

ミカサ「それは良い事! だったら私もそれを応援する!」

ジャン「ええええ(青ざめ)」

ミカサ「陰ながらだけど。ジャンとサシャがくっついたら、手料理を振る舞ってお祝いしてもいい!」

ジャン(ミカサの手料理食えるのか)

エレン「ジャン、今、邪な事考えたな? (ジロリ)」

ジャン「いやいやいや!? 考えてねえよ? ぜんぜーん考えてねえよ?!」

エレン「ほー。本当か? 今、『ミカサの手料理食えるのか』って思った癖に」

ジャン「何故バレたし」

エレン「お前もオレと同じで『顔』に出やすいんだよ。心の中がな!」

ジャン「うぐ……!」

ミカサ「え? では、嘘なの? ジャン、嘘をついたの?」

ジャン「嘘じゃねえよ! その、ミカサの事を諦めるのは本当だ。その……サシャの事をこれから考えてみるのも、本当だし」

ミカサ「本当? 嘘ついたら、私、許さないけど<●><●>じーっ」

キタああああああ! ミカサのビックアイズ!

<●><●>に見つめられるとこっちは何も出来ねええええ!

ジャン「絶対嘘じゃない!! 本当!! もうサシャ一本に絞るから!!! 今まで、本当にごめん。不快な思いをさせて……」

ミカサ「なら良かった。(ニコッ)」

ジャン(うううう……)

エレン「ジャン、嘘ついたらコニーのケツバットの相手100本な」

ジャン「多すぎるだろうが!!」

ミカサ「1000本でもいいと思う(キリッ)」

ジャン「あれ?! 意外とミカサってドSなのか?!」

ミカサ「何を今更……ククク……(黒笑顔)」

アニ「本当、今頃気づいたの? (黒笑顔)」

もう一人のドS女王様キター! とか言ったら怒られるから言わない。

2人が女王様やってくれるなら、ちょっとくらいなら鞭で打たれてもいいけどな。

……あれ? オレ、ちょっとМっ気あるんかな? ん?

430進撃の名無し:2014/08/12(火) 07:22:41 ID:yl4Ker6Q0
ジャン「OH……何か意外な側面を知ったぜ」

エレン「普段は優しいからな。怒らせると怖いぞ。アルミンもそうだしな」

アルミン「ん? 呼んだ?」

エレン「いや、優しい人間ほど、怒らせると怖えなって話」

アルミン「そうかもね。反動がくるんじゃない? ジャン、知らなかったの?」

ジャン「ああ。そうかもしれないな。いや、そこはそこで可愛いけど………」

ミカサ「コニーに電話してみようか」

アニ「そうしよう(スマホ構える)」

ジャン「すんませんでしたああああ!!!(速攻土下座)」

と、ジャンが折れて音楽室は爆笑した。

リヴァイ先生も大体察して苦笑いだ。これで一応の決着はついたかな。

これから先、ジャンがサシャとどうなるかは分からんが。まあ、それはそれで。

其の時になってから考えればいい。そう思いながら、オレは腕を組んで笑っていたのだった。

431進撃の名無し:2014/08/12(火) 07:25:42 ID:yl4Ker6Q0
結果的にジャンはミカサへの恋慕よりエレンとの友情(?)を取りました。
という訳で、ジャン→サシャルート確定です。お待たせしてすまんね!

リヴァイ先生とエレンの会話のところ、重いけどすんません。
でもアレがないと、どうしても書けない部分が出て来たのであえて出しました。

それではまた続きは次回ノシ

432進撃の名無し:2014/08/12(火) 13:57:25 ID:V6UVw9Gs0
エレンとミカサの過去の答え合わせもドキドキだな

433進撃の名無し:2014/08/12(火) 21:40:34 ID:yl4Ker6Q0
>>432
答え合わせのシーンはもうちょい先になります。
ドキドキしてお待ち下さい。

434進撃の名無し:2014/08/12(火) 21:43:48 ID:yl4Ker6Q0





部活が終わってからその日の夜のうちにオレは自分の部屋にミカサを招き入れて、今日の事をかいつまんで話した。

勿論、オレの幼い時の過去の件はまだちょっと横に置いて、まずはマルコに突っ込まれた事と、そのおかげで本当の自分の気持ちに気づいた事を先に話した。

そしてジャンには「手出したら殺すぞ」と脅した事。その結果、ジャンの方も引き下がる覚悟が出来た事。今後はサシャの件について真剣に考えてみるという結論が出た事。

それを一通り話してしまうと、ミカサが急にボロボロ泣き出してしまい、オレがオロオロする羽目になった。

エレン「何で泣く?!」

ミカサ「だって……嬉しい………」

エレン「え?」

ミカサ「エレンが、そこまで私を想っていたなんて、思わなかった。嬉しい……」

そ、そういうもんなのか。ドン引きしてねえな。むしろ歓迎されてしまった。

ミカサ「エレンの本当の気持ちが聞けて良かった。私、ずっと分からなかったの」

エレン「え?」

ミカサ「エレンが何となく感情を『抑えて』いるのは伝わっていたけど。それがどこまでの物かは分からなかった。エレンはジタバタする自分を嫌だと思うかもしれないけど。私は、エレンの泥臭い部分も含めて好きなの」

や、やばい。なんか今、胸の中に矢がトスッと刺さったような感覚が来た。

ミカサに恋の矢を射ぬかれたような感覚だ。身体が熱くなってくる。

ミカサ「エレンがリヴァイ先生の件を嫉妬した時もそうだった。あの時、私の体に電流が奔る様な感覚があって……体が一瞬で濡れてしまった。許されるならあのまま、あの場所で、エレンと繋がりたいとさえ思った」

え……………そ、そうだったのか。

オレもそう思っていたけど。何だよ。ミカサの方も結構、その気になっていたのか。

いや、でもダメだろ。体育館でやったらいかんいかん。

あの時は抑えて『正解』だった。じゃねえとリヴァイ先生にエッチをガン見されるところだったぞ。

ミカサ「だから本当は………たまにはヤキモチ妬いてくれるのも悪くないと思ったけれど。でも、アレ以来、あの時のような激しさを表に出来るだけ出さないようにしているエレンに対して少し寂しさを覚えていたの。だから、その……」

やばい。もう息子がビンビンに反応してきた。

オレ、その場で我慢出来なくてミカサをそのまま布団の上に押し倒してしまった。

エレン「………………ごめんな」

耳元で謝った。出来るだけ優しく声で。

ミカサ「ううん。いいの。私は初デートの時も、嬉しかった。電話でのエッチも嬉しかった。エレンがたまに見せる、エッチな顔と声をもっと見せて欲しい」

エレン「オレ、そんなにエッチな顔していたか?」

自覚ないんだが。

ミカサ「うん。急に雰囲気がガラリと変わる瞬間が、ある。その時のエレン、物凄くセクシーになる」

セクシー言われた!? マジか!?

435進撃の名無し:2014/08/12(火) 21:49:15 ID:yl4Ker6Q0
ミカサ「普段の優しい大人っぽいエレンも好きだけど。子供っぽくなる瞬間も、好き。だからお願い。もっと、エレンを私に良く見せて……」

オレはもう、我慢出来なかった。ミカサにキスをして、キスをして、キスをした。

髪の毛とか乱暴に掴んで、胸や尻も服の上から乱暴に触った。

本当は優しくしてやりたかったけど。リヴァイ先生の言うようなスローを試すべきなんだろうけど。

今のオレにそれは無理だった。ミカサの匂いとか、汗が誘惑して、頭を焼いていく。

ミカサ「ん………ああっ」

あ、でも今日は確か生理初日だった筈だ。だからあそこには触れない。

やれるとすれば体を散々触るだけだ。一つには繋がれないんだった。

それでもいいか。オレはミカサの乳首を服の上から散々弄って、みた。

ミカサ「あっ……! んぐ!」

まずい。家の中だからあまり大きい声はまずい。

オレはとりあえずタオルを噛ませた。これで声を殺して貰うしかない。

ミカサ「ん…………」

声が大分小さくなった。でもミカサが凄く辛そうだ。

前ボタンを外して下着をめくった。夜だからブラジャーはしていない。

胸がすぐに出迎えた。豊満な2つの乳房がオレの目の前にある。

躊躇いなく、口に含んだ。まずはミカサの左胸の乳首を。

ミカサ「………! ……!」

声が出ない状態で喘いでいるのがエロ過ぎた。

声聞きたいけど。これはこれでいいかもしれない。

ああ。触りたい。ミカサのあそこに触ってみたい。

でも、今触ったら手に『血』がついりまうし、衛生的に良くねえよな。多分。

………と、其の時、オレの中の悪魔が囁いた。

悪魔エレン『ビニール手袋、使って触れば?』

というとんでもないアイデアをぶっこんできて、オレの中で混乱が起きた。

天使エレン『いや、生理の時は無理だろ。触っていいものじゃねえだろ?』

悪魔エレン『ビニール使えばバイキンは入らないんじゃねえの? 台所になかったか? 調理用に使い捨てのビニール手袋』

天使エレン『いや、あるけどさ。わざわざ一回、下に降りるのか?』

悪魔エレン『それは仕方ないだろ。いいじゃねえか。ミカサをイカせてやれば』

天使エレン『えええ……』

悪魔エレン『胸だけでもイケるかもしれんが。本当はあそこを触りたいだろ?』

天使エレン『生理じゃないならな』

悪魔エレン『いや、血も見てみたいんじゃないか? 指で触ってみたくねえの?』

天使エレン『引くだろ。それ………』

悪魔エレン『ミカサに聞いてみろよ。我儘聞いてくれるかもしれんぞ?』

仕方がない。一応、聞いてみるか。

436進撃の名無し:2014/08/12(火) 21:50:39 ID:yl4Ker6Q0
エレン「ミカサ」

ミカサ「?」

エレン「今日は生理初日だったよな」

ミカサ(こくり)

エレン「だったら、下は触らない方がいいか? 触っちゃダメだよな」

多分、頷くよな。そう思っていたのに。

ミカサ(フルフル)

エレン「え?」

ミカサ(こくり)

エレン「い、いいのか?」

ミカサ(こくこく)

エレン「でも、血、つくし、衛生的には良くないんじゃ」

ミカサ(↓を指さしている。手の甲をトントン叩く)

エレン「調理用のビニール手袋、使っていいのか?」

ミカサ(こくり)

ミカサの許可が出ちまった。嘘だろ。そんな事まで許容してくれるのかよ。

エレン「だ、大丈夫なのか? 本当に」

ミカサ(こくこく)

エレン「………分かった。じゃあちょっと取ってくる」

こっそり台所の道具を持って来て、ビニールを装着した。

437進撃の名無し:2014/08/12(火) 22:45:38 ID:yl4Ker6Q0
変態プレイですんません。というか、今日は眠いのでここまで。
次回またノシ

438進撃の名無し:2014/08/12(火) 22:48:17 ID:0zTcz4fM0
生理プレイとか…滾る
直でさわりt

439進撃の名無し:2014/08/13(水) 01:08:07 ID:pjhU49Rk0
うぉっ…
ミカサ積極的すぎる…
エレンも止まらんよな
大丈夫なのかコレ(汗)

440進撃の名無し:2014/08/13(水) 11:31:25 ID:DF9DFjgw0
ビニール手袋越しだけどパンツの中に手を突っ込んでミカサのそこにそっと触れてみる。

でも思ったほど血液がついてこなかった。奥の方まで指を入れてみたら、やっと少しだけ赤い色がついた。

うお……こんな感じなのか。匂い嗅いでいいかな。

エレン「嗅いでみていいか?」

ミカサ「…………」

エレン「あ、ダメならやめておくから」

ミカサは一瞬、目を逸らし、迷ったようだが、小さく頷いた。

うおおおおお今の恥じらいなんだ?! くそ……エロい。くそエロい。

ビニール手袋で掬ったその微かな『赤色』にオレは鼻を近づけた。

うーん。匂いは思った程しないな。微かにツンとした匂いがあるだけだ。

舐めるのは………さすがに止めておこう。そこまでいくとリヴァイ先生より変態な気がする。

既にどっこいという説は棚に上げて、オレはミカサへの愛撫を再開した。

ぐちゅぐちゅ………ぐちゅぐちゅ…

ミカサの反応がいい。さっきからビクンビクンと体が跳ねて、感じている。

そんなに「ここ」が気持ちいいのかな。ぬるぬるして滑りがいいけど。

ミカサ「ん………!」

もうやべえ! パンツ降ろしていいよな?

ズボンとパンツを降ろしてみた。おおお。ミカサのあそこをガン見する。

ひくついていた。脈動がエロ過ぎてますます興奮する。

タオルを1枚、部屋の中から持って来てミカサの尻の下に敷いた。

続けてあそこを弄っていたら、血液と混ざったような感じで透明な液体も流れ出た。

生理のそれは、怪我をした時に流れる様なサラサラとした血液ではないようだ。

結構粘っこい感じで、色も濃い。ブルーベリーの色に近いかもしれない。

量は大した事ないけど。今日は初日だからかな。2日目だったらもっと一杯見れたかもしれない。

ミカサが時々『2日目が1番ブルー』と言っているので多分、そういう事なんだと思うが。

441進撃の名無し:2014/08/13(水) 11:42:06 ID:DF9DFjgw0
でも生理の時は繋がれないんだよな。確か生理中はもう厳密に言えば『危険日』の期間に突入するらしいから。

勿論、%からみれば大した確率じゃないんだろうけど。

だからその時のオレは、悪魔が更に暴走して………

悪魔エレン『尻の穴も触ったらどうだ?』

天使エレン『?! お前、何言っちゃってるんだ?! アホか?!』

悪魔エレン『アホなのはお前だろ。今日はそっちが使えないんだから、代わりに尻の穴使えばいいじゃねえか』

天使エレン『このド変態が!! まだちゃんとした奴もやってないのにいきなりそっちいく馬鹿がいるか!!!』

悪魔エレン『出来なくはないだろ? ほら、ミカサの反応を見ながらやってみればいいじゃねえか』


ミカサを喘がせたいんだろ……?


オレの中の理性がどんどん怪しくなっていくのが分かった。

オレはぬめりを利用して、後ろの方にも手を伸ばした。

ミカサ「んん……?!」

ミカサが困惑したのが分かった。まさかそっちに触れられるとは思わなかったんだろうな。

ミカサ「んんー……ん……ん……ん……」

そろそろと、入り口のあたりだけ触ってみたら、アレ? 意外と嫌がらない。

エレン「ミカサ………こっちの穴にも指入れていいか?」

ミカサ「……………」

あ、迷っている。でも目が凄く熱っぽい。

一度静かに目を閉じて、強い頷きが返ってきた。マジか!!!

もうミカサ、どんだけ許容してくれるんだよ。こっちが怖いくらいだ。

でも、頷かれた瞬間、オレのやる気も弾けた。指を第一関節の辺りまで押し込んでみる。

ミカサ「んんんー………ん………ん…………」

442進撃の名無し:2014/08/13(水) 11:52:37 ID:DF9DFjgw0
うお……ミカサの体の反応が一気に変わった。顔の赤みも増えて色気倍増だ。

もうちょっとだけ奥まで突っ込んでみるか。あんまり性急にはしちゃいけないけど。

後ろの穴も責めながらオレはミカサの乳首も同時に口で責めてみた。

するとミカサがもっと暴れるようになってしまって、それを押さえつけるのが大変だった。

ミカサ「んんんー!………ん!………ん!…………」

あ、1回強いバウンドがきた。オレの下で足掻いていたけど、くたっと力が抜けて目を閉じてしまった。

スースースー………

動かない。これは寝落ちたかな。

エレン「ミカサー?」

ダメだ。反応がねえ。完全に堕ちたな。

エレン「………………」

っていうか。

終わってから我に返った。

エレン「オレって、相当のド変態じゃねえか?」

我に返ってから脂汗が出てきた。

生理中の女の血液見たり嗅いだり挙句、尻の方にも指突っ込んだり。

まだ、最後までヤッてないんだぞ。なのにもうこんなところまで来てしまった。

ああああもう、やっぱり自分が恐ろしい! 調子に乗る自分が1番こえええええ!!!

と思いつつも自分の息子は正直なので、今のうちに処理する事にした。

今日はもうここまででいいや。明日は日曜日で休みだけど。午後から部活あるしな。

ミカサはこのままここで寝かせよう。一緒に寝よう。

オレは自分の処理を済ませた後、ミカサの衣服の乱れを元に戻した。

で、ミカサを抱き枕にして寝る。あー香りがいい。汗の匂い最高。

あんまり嗅ぐとまたムラムラするから自重するけど。

ミカサの体温に包まれながら、オレは心地よい眠りに誘われた。

そして両目を静かに閉じて、そのまま一気に眠りについたのだった…。

443進撃の名無し:2014/08/13(水) 12:11:43 ID:DF9DFjgw0









12月7日。日曜日。午後の部活の時に3年の先輩達が来ていた。

アルミンがペトラ先輩にエキストラの件を話していて、なんと3年の男子も『女装』して女役をやってやると言い出してくれて爆笑した。

アルミン「いいんですか?! 本当に」

オルオ「ああ? 人数がいた方がより臨場感が出るだろ。野太い声が多少混ざっても別にいいだろ」

ペトラ「まあそこはコメディっぽくなるけど、いいんじゃない?」

エルド「出来るだけ黄色い声を出せるように頑張るさ」

という訳でエキストラの件は順調に集まっているようだった。

ニファ先輩も今日はこっちに来ていた。そしてオレの方に話しかけて来て、

ニファ「エレン君。夏の時のお礼、まだしてなかったよね。これ、良かったら貰って」

と、ニファ先輩に手渡されたのはのとあるホテルのバイキングのチケットだった。

ニファ「男の子だし、何が好きか分からなかったけど」

エレン「うおおおおいいんですか?!」

ニファ「彼女と一緒にデートしてきたら?」

エレン「うわーありがとうございますー」

と、そのチケットを受け取ろうとしたら、音楽室に居たサシャが目ざとくこっちを見た。

サシャ「あ、そこのホテルのバイキング、超美味いですよね!! 私も行った事ありますよ!」

エレン「そうなのか」

サシャ「味は保証します! というか、私も行きたいくらいです。ぐへへへ……(涎)」

エレン「これ、最大で4人までいけるんですね」

ニファ「家族で行く事を想定した招待券だから。ペアのと迷ったけど。どうせなら人数多い方がいいかと思って」

エレン「そうですね。確かにー……」

其の時、ピンときたので、オレは思い切って誘ってみる事にした。

444進撃の名無し:2014/08/13(水) 12:22:17 ID:DF9DFjgw0
エレン「ミカサ。バイキングにサシャも誘っていいか?」

ミカサ「ん?」

エレン「最大で4人までいけるそうだ。サシャと、あとジャンも」

ミカサ「うん。いいと思う(キリッ)」

エレン「じゃあ、誘ってみるか」

という訳でオレがバイキングの件をジャンに誘ってみると、

ジャン「え? 4人でバイキングに行くのか?」

エレン「何だよ。ダメなのか?」

ジャン「いや、ダメじゃないが、いいのか?」

エレン「何、遠慮しているんだよ。サシャも行くんだぞ」

ジャン「いやーまあ、気遣いは有難いが、お前らの邪魔にならないのか?」

エレン「ミカサはいいって言ってたから大丈夫じゃねえか?」

ジャン「そうか……」

ん? なんか思っていたより食いつかないな。どうしたんだろ。

エレン「何か都合が悪いのか?」

ジャン「いや、そうじゃねえけど」

エレン「じゃあ何だよ」

ジャン「……………まさか、お前らがそこまで協力してくれるとは思ってもみなかった」

エレン「たまたまだよ。ニファ先輩からチケット貰ったんだ。だから有効活用しねえとなと思ってな。お前らが行かないならアルミンとアニ誘うけど」

ジャン「いや、行く。行かせて貰う。いつ行くんだ?」

エレン「今日の部活終わってからでいいんじゃねえか? バイキングだし」

ジャン「ディナーだな。分かった。楽しみにしておく」

と、ちょっとだけ機嫌が良くなってジャンが了承した。

その様子をアルミンとアニとマルコがニヤニヤして見ている。

アルミン「いいねー。丁度良かったね。ヘタレなジャンにはいきなり2人きりとか無理そうだし」

エレン「悪いな。いつもだったらアルミンを誘うんだけど」

アルミン「いいって! 僕達の事は気にしないで! …………尾行はしたいけど」

アニ「うん。こっそりついていっていい?」

マルコ「僕らは自腹で食べに行けばいいしね」

ミカサ「一緒に来るの? では皆で行けば……」

アニ「いや! 私達は遠くで見守るだけにするよ。その方が面白いし」

アルミン「だよね。いいよね? マルコ」

マルコ「そういうのは大好きだから」

おおお。なんかそんな感じで話がまとまってしまった。

ホテルの場所をアルミン達にも教えておいて、今日の部活の後、夜出かける事になった。

一応、一度家に帰ってから着替えてからまた集合する段取りになり、オレとミカサは私服に着替えて駅の前でジャンとサシャを待った。

445進撃の名無し:2014/08/13(水) 12:36:58 ID:DF9DFjgw0
ジャンは気合の入った格好、という訳ではなく、普通の格好だった。

ミカサとの勉強会をした時のスーツではない。カジュアルな感じのジャケットとズボン姿だった。

サシャはバイキングの時は勝負ワンピースだと言っていたので、ミスコンの時の衣装を本当に着ていた。上着には茶色の長いコートを着ている。

オレはウニクロで買ったダウンジャケットにズボンだ。もう12月だし。夜は外だとそれなりに寒くなる。

ミカサもオレと似たような格好だった。今日はグループデートみたいな感じだからそこまで衣装に気合を入れていない。

ジャン「………サシャ、寒くねえのか?」

サシャ「大丈夫ですよ。上からコート着ていますし」

ジャン「いや、でも結構、ぴらぴらした格好してんなと思ってな」

サシャ「バイキングですからね。こっちも気合入れてかからないと(じゅるり)」

という訳で気合十分のサシャを引き連れて駅から移動してホテルのバイキングへ突入だ。

時刻は夜の7:00。夜9時までがディナーバイキングの制限時間だった。

サシャ「2時間以内にいかに効率よく良い獲物を狩るかがポイントですよ(ブツブツ)」

サシャの目がやべえええ。授業の3倍真剣な目になってやがる。

ミカサは生理2日目だから今日はテンションがちょい低めだ。でも『大丈夫』と言っていたから、無理させない程度につき合わせよう。

そんな訳でホテルの中に入ると、結構家族連れのお客さんが多かった。

勿論、カップルもいる。女性の方がやや多い感じだが、男性もそれなりに居た。

おおお。どれも美味そうだな。どれから行こうかな。

ジャンは野菜から行っていた。こいつ、その辺のMYルールは崩さない性質らしい。

ミカサも控えめに野菜を取って肉とかも取っていた。

オレも勿論、野菜を取って、後はカレーとか、麺類とか。そんな感じにした。

たらこスパゲティが美味そうだったからだ。あとたこ焼きとかもあったんでそれも貰う。

446進撃の名無し:2014/08/13(水) 12:50:55 ID:DF9DFjgw0
サシャの取り方はオレ達と全然違った。全ての料理を少しずつ皿にのせている。

日本料理の小鉢みたいなのも利用しながらとにかく少量を全種類確保していた。

ジャン「えらい一杯取って来たな。しかも少しずつかよ」

サシャ「まずは味見です。全種類行きます。その中で美味しかった料理をリピートするんですよ」

エレン「へー。そんな食べ方もあるのか」

サシャ「料理には必ず当たりと外れがありますからね。あと絶対やってはいけないのは『最初に腹にたまるものを大量に取る』ことです。炭水化物は絶対厳禁なので、エレンのようにカレーと麺類は先に食べません」

エレン「マジか! そこまで計算に入れるのかよ!」

サシャ「はい。おにぎりとかもダメですね。勿論、一口程度なら構いませんが。あくまでそれは腹の要求を一旦、落ち着かせる為にやる行為です。一気に行ってはいけません」

サシャのバイキング理論がガチですげえ。歴戦の戦士みたいだな。

サシャ「あと、食べ放題だからと言って汚く皿に盛るのは厳禁です。皿は替えてもいいので、美しく盛り付けてから食べた方が断然、美味しさに差が出ます。見た目も大事なんですよ」

と、言っている。確かにサシャの盛り付け方はオレ達のより綺麗だった。

ジャンも綺麗な方ではあるんだが。サシャのこだわりはもう、料理人のそれだった。

サシャ「理想は野菜→肉→炭水化物ではあるんですが、気分によっては肉→野菜→炭水化物でも構いません。その辺は臨機応変に対処します。肉を先に確保しないと、他のお客さんに先に取られてしまう事も多々ありますからね。あと、この手のホテルはバイキング開始から30分くらいしたら、追加メニューが絶対くるので、そこも見逃したらいけません。新メニューはいつの間にか出している事があるので、そこもポイントですよ」

と、サシャのバイキングにかける情熱はまだまだ続く。

447進撃の名無し:2014/08/13(水) 13:01:12 ID:DF9DFjgw0
ジャンがもう呆れ返っている。嫌な感じではないんだが。コメントしづらいようだ。

サシャ「では、そろそろ頂きます!」

と、手を合わせて皆で頂きます。うん。うめえ!

ミカサ「美味しい……スープが美味しい」

エレン「そうか? 一口くれ」

ミカサ「ん」

と、ミカサの取ったコンソメスープを頂いてみる。

エレン「本当だ。うめえな! なんかファミレスとかの味が全然違う」

ミカサ「これは再現してみたい味。レシピが欲しいくらい」

サシャ「ですよね! ここのホテルの料理、毎回レベル高いんですよ!」

と、ニコニコしながら食べている。……え?

エレン「おい、サシャ! もう小皿全部制覇したんか?!」

開始10分も経たないうちに全部の味見を完了させたようだ。

サシャ「タイムイズマネーですから! 2ラウンド目行ってきます! (しゅぱー!)」

はえええええ! 行動的にも程があるだろ!!

そんなサシャの様子をジャンは複雑そうな顔をして見ている。

ジャン「オレ、あいつの何処が好きなんだろ……」

いかん。ジャンの気持ちが揺らいでやがる。女の本性を見て引いてやがる。

エレン「まあ、その、サシャはいつも元気だからな! そこがいいところだろ!」

ジャン「それはそうだが。まあ、いいけどな。予想はしていたし」

エレン「だろ?! サシャがバイキング好きなのは、個性みたいなもんだろ」

ジャン「だけど、エンゲル係数高そうだよな。あいつの旦那になる奴は、そっちの経費で泣くんじゃねえか?」

ジャンの先心配が始まった。そこを気にしちゃダメだろ!

448進撃の名無し:2014/08/13(水) 13:10:14 ID:DF9DFjgw0
ミカサ「サシャはサシャできっと稼ぐ。問題ない」

ジャン「まあそうなんだろうけど。しかしあれだけ食っても太らないってある意味すげえよな。あいつの体の構造、どうなっているんだか」

ミカサ「新陳代謝が激しい人はそうなるらしいという説を聞いた事がある。背中にそういう『細胞』があって、そこでエネルギーを消費しているそう」

エレン「へー。背中にあるのか」

ミカサ「昔、テレビでそんな事を言っているのを見た事がある。あくまで『仮説』だけど」

エレン「いや、あるのかもしれねえぞ。サシャにもその『細胞』が。じゃねえとあれだけの量を食ってもあの体型は維持出来ねえよ」

ジャン「まあ、そうだろうな。恐らく」

と、ジャンは落ち着いてコーヒーを飲んでいたが………

ジャン「ミカサ、お前体調大丈夫なのか?」

ミカサ「ん? 大丈夫」

ジャン「いや、なんかあんまり食が進んでないような気がするんだが」

ミカサ「そうだろうか?」

今日は生理2日目だしな。ミカサは本調子ではない。

エレン「悪い。ジャン、オレ達は先に抜けるかもしれんけど、いいか?」

ジャン「え……何で」

エレン「まあ、その、察してくれ。女にはそういう時もあるんだよ」

ジャン「え……じゃあまさか、無理して来てくれたのか?」

ミカサ「無理ではない。ただいつもよりはテンションが低いだけ」

ジャン「だったら何も、今日でなくでも良かったのに……」

と、ジャンが心配そうにミカサを見ている。

ジャン「気持ちは嬉しいけどさ。ミカサを無理させんなよ。エレン……」

ミカサ「無理ではない。それに私もバイキングは嫌いではないので」

エレン「招待券の期限の関係もあるんだよ。あと舞台直前は忙しいだろ。行くんだったら今日がいいかなと思ったんだよ」

449進撃の名無し:2014/08/13(水) 13:31:40 ID:DF9DFjgw0
期末テストも後に控えているしな。思い立ったら吉日ってよく言うだろ?

ミカサ「ジャン。これは別に病気ではないので。必要以上に気遣う必要はない」

と、ミカサも言っている。

ミカサ「それに本当に無理だったら、私の代わりにアルミンが来てくれたと思う」

ジャン「そのアルミンだが……向こうの奥の席にいるよな?」

ギクッ……

全員、変装してくるって言ってたのに。もうバレたか。

ジャン「あの女装した女、絶対アルミンだよな。マルコもアニもいるし。こっちチラチラ見ているし。あいつらも〜」

と、ちょっと困惑しているジャンだった。

エレン「み、皆、気になっているんだよ。ジャンの恋の行方をな!」

ジャン「自分が野次馬するのはいいが、される側は微妙だな」

ミカサ「それは分かるけど」

ジャン「はー……皆が見ているなら今日は何も出来ねえな。気持ちは有難いが。今日は普通にサシャと飯食って送って帰るわ」

エレン「あ、やっぱり?」

ジャン「当たり前だろ。何で見せなきゃなんねえんだよ。まあ、進展があったら報告はしてやってもいいが。とりあえず今は現状維持するしかねえだろ」

と、相変わらずの慎重派の意見だった。

これがこいつのいいところでもあり、悪いところでもあるんだけどな。

そんな訳でサシャが1番ノリノリで飯を食って、オレ達はのんびりバイキングを楽しんだ。

ミカサの体調を気遣いながらその日のバイキングは結局、9時まで残る事になった。

時間ギリギリまで楽しんで、サシャは「ミッション完了!」と叫んでいた。

サシャ「最高でした……今日は本当に誘って下さってありがとうございます!」

エレン「いや、こっちも誘った甲斐があったからいいぜ」

サシャ「もしまた、機会があれば、4人で是非。今度はバイキングでなくても、ただの遊びでも構いませんので」

エレン「おう。もちろんいいぞ」

その瞬間、ジャンの顔がちょっとだけ赤くなった。

『4人で』とサシャの方から言い出したのが意外だったみたいだ。

サシャはジャンが送っていくらしい。手を振って別れた。

オレとミカサはジャンとサシャと別れてから、歩きながら少し話す。

エレン「大丈夫だったか?」

ミカサ「うん。平気」

エレン「無理させちまったか?」

ミカサ「多少フラフラするのは毎月のことなので慣れている。そんなものなので」

エレン「そうなのか。女って大変なんだな」

ミカサ「それにこれでも以前よりは楽になった方。エレンのおかげ」

エレン「そ、そっか……」

そう言われるとこそばゆいな。

ミカサ「ジャンとの関係が破綻しなくて良かった。こうやってたまに一緒に4人で居られれば、それが1番理想的だと思う」

エレン「そうか」

ミカサ「うん。本当にほっとした。ジャンの気持ちは有難いけど。応えられない想いをずっと向けられるのは正直、しんどいと思う事もあった。ジャンの事は、嫌いではないので」

ミカサは根っこの部分がやはり優しいんだな。

だからこそ、嫌うと極端に壁を作っちまうんだろう。その反動が大きいんだ。

オレはミカサと手を握って一緒に帰った。今日はさすがにミカサの体調の事があるから手出さない。

そういう日もある。そういう日々を重ねながら、オレ達は1歩ずつ進んでいけたらいい。

そう思いながらオレはミカサと一緒に微笑んでいたのだった。

450進撃の名無し:2014/08/13(水) 13:40:45 ID:DF9DFjgw0
今回はここまで。続きはまたノシ

451進撃の名無し:2014/08/13(水) 13:50:02 ID:RBwGqFb20
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.     !.    |  |_/ ̄ ̄ノ 〃.     /   <  すぐにはさみでちんちんきってしんでね!
      ヽ    \/:::::::::::::::/       /     \ みみりんとおやくそくよ!!!
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    ヽ   ヽ/        ノ    : : :ヽ/   <  すぐにくびをつってしんでね!
     \  \,,_    _,,,/     : /\       \しまじろうとお約束だよ!!!
       `''‐、、__  ̄ ̄   __,,,、-‐"            ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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.   / /:::::/  ` ̄ ̄ ̄/:::::/.  \

452進撃の名無し:2014/08/13(水) 15:12:57 ID:d39tl1g.0
全然くそすれじゃないです!

453進撃の名無し:2014/08/13(水) 16:09:19 ID:UWz1mNrk0
さっそくバイキングチケット使ったのか
クリスマスダブルデートするのかと思った

454進撃の名無し:2014/08/13(水) 17:06:56 ID:DF9DFjgw0
>>453
クリスマスは冬公演の準備でバタバタするのでお出かけは無理でした。
ジャンもまだ、今はサシャとの距離を慎重に考えている段階ですので。

455進撃の名無し:2014/08/13(水) 17:38:23 ID:avKhUUf.0
最初から生理プレイ&尻とかレベルたけえ!
さすがエレンさん、俺たちにできないことを…くそ…うらやましい…

456進撃の名無し:2014/08/13(水) 18:18:39 ID:DF9DFjgw0
>>455
エレンというより、恐らくミカサがレベル高いんだと思われます。

457進撃の名無し:2014/08/13(水) 18:23:42 ID:DF9DFjgw0






12月15、16、17日は期末テストだ。22日が終業式になり、その後は冬休みに入る。

今回は早い段階からコツコツ勉強を進めていたので中間よりも感触が良かった。

20日には結果が出て、その日にオレは自分の成績表に目を広げる事になる。

エレン「え……クラス順位が7位?! めっちゃ上がってる!」

クラスは35人なので、その中で7位というのはいい方だ。

中間テストの時は15位だったので、一気に8ランクアップだ。

エレン「おおお……数学はあんまり変わってないけど他ので点数良かったのか」

嬉しいな。成果が出るのは。勉強した甲斐があったぜ。

総合成績は350人中70位。100番前後から一気に2桁まで上がった。

アルミン「おお。エレン、成績上がったんだ。良かったね!」

エレン「おお……自分でもびっくりだ。こんなに一気に上がるとは思わなかった」

ミカサ「うーん。私は少し下がってしまった」

エレン「どれくらい?」

ミカサ「クラス順位は2位。総合も同じ。アルミンに負けた」

アルミン「いえーい♪ 初の単独首席だよ。ちょっと嬉しいね」

そういえば今まで「同点」だったんだよな。ミカサとアルミン。

今回初めて差がついたのか。ミカサ、悔しそうだな。

ミカサ「計算は合っていたのに。書き間違えている。自分のドジっぷりに凹む」

エレン「あ……そうなのか?」

ミカサ「たまにやらかす。計算や考え方は合っていて、それを解答欄に写し書く時に間違える」

エレン「勿体ねー」

ミカサってたまにドジっ子なんだよな。まあ、そこが可愛いんだけど。

458進撃の名無し:2014/08/13(水) 18:39:12 ID:DF9DFjgw0
アルミン「ふふふ……集中力が切れると最後そうなるよね。マルコは何位だったー?」

マルコ「クラス順位は3位。総合で5位だね。まあまあかな」

エレン「おおお。さすが特待生組はレベルが違うな」

マルコ「エレン、成績上がったんだって? 勉強の本腰入れたのかな?」

エレン「まあ、以前よりはな。ゲームする時間を減らしたし、ミカサにも教えて貰ってる」

ジャン「く……」

ジャンがこっち見て嫉妬している。ん? どうしたんだ?」

ジャン「エレンに負けるとは……くそおおお」

エレン「何位だよ」

ジャン「8位だった。総合では80位だ。今回は結構、頑張ったんだがな」

エレン「100位以内に入れたなら上等じゃねえか? 悪くはねえだろ」

ジャン「てめえに負けるのが嫌なんだよ!」

ライバル心を持たれてしまったようだ。まあ、オレもジャンには負けたくねえけど。

アニ「ふーん。成績上がったんだ。エレン」

エレン「まあな。アニはどうだった?」

アニ「私はクラス順位6位。エレンに勝ったよ。総合は60位だね」

エレン「じゃあ次はアニを目標にしねえとな。絶対勝ってやる」

アニ「ふーん。負けたら、タキシード仮面の格好してバラ投げてくれるなら勝負を受けてもいいよ」

エレン「何だその変な罰ゲームは?! 変態じゃねえか?!」

アニ「今、セーラームーンのリメイク版を観ていてね。ついつい」

エレン「くー……なんか急に勝てる気がしなくなってきた」

勝負はしねえ方がいいかな。この場合は。変態仮面はちょっと遠慮したい。

ミカサ「タキシード仮面様………(ドキドキ)」

エレン「え? 何だ? ミカサ、そういうの好きなのか?」

ミカサ「嫌いではない……(ドキドキ)」

女の子のベタがきた。いや、いいんだけどさ。それはそれでも。

アニ「じゃあ決まりだね。3学期の期末テストまでにエレンが勝てなかったらタキシード仮面様決定で」

エレン「くっ……! わ、分かったよ。3学期入ってからすぐの1発目の実力テストと、中間はないから、期末の2回で勝負だな?」

アニ「そうそう。2回のテストまでに私の順位を越えなかったらタキシード仮面様決定だね。衣装はバッチリ用意しておくから」

という変な約束をかわしてしまった。勉強サボれねえええ!

459進撃の名無し:2014/08/13(水) 18:52:56 ID:DF9DFjgw0
ミカサ「ふ……複雑……(ドキドキ)」

ミカサが顔を赤らめている。そんなにタキシード仮面様が好きなのか?

アニ「ライナーはどうだった?」

ライナー「うむ。クラスでは4位だった。総合は20位だな。まあまあだ」

アニ「じゃあ今回は1位アルミン、2位ミカサ、3位マルコ、4位ライナー、5位は誰だろ?」

ライナー「ベルトルトだぞ。あいつも何気に頭いいからな」

アニ「そうだったっけ。じゃあ、5位ベルトルト、6位に私、7位にエレン。8位にジャンがきて、9位は誰だろ?」

ユミル「私だ。9位だったよ。皆結構、頑張っているみたいだな」

アニ「ああ、ユミルか。10位は誰かな」

マルロ「俺だけど。くそ……今回は少し下がってしまったな」

と、珍しくマルロも会話に参加してきた。

ヒッチ「私も順位下がっちゃった。11位だし。マルロのすぐ下だったね」

意外だ。ヒッチ、頭悪くねえのか。

ヒッチ「エレンに抜かれちゃうとは思わなかったね。本気出してみたんだ」

エレン「ああ、まあな。ちょっとだけな」

ヒッチ「ん〜私も次はもうちょっと頑張ろうかな〜」

アニ「あんたの場合、水商売にいくんだったら別に学業要らないんじゃないの?」

ヒッチ「それひど〜い。言っておくけど、水商売程「頭」使う職業はないよ? あらゆる雑学に通じて男の話題に合わせないといけないんだし〜勿論、「分からないふり」も適宜するけどさ。本当の「アホ」には水商売は務まらないよ?」

と、ニヤニヤ笑っている。

460進撃の名無し:2014/08/13(水) 19:01:30 ID:DF9DFjgw0
ヒッチ「頭いいだけの女はモテないけど。むしろ男に勉強教えて貰った方が捗るしね」

マルロ「ヒッチの場合、才能の無駄使いってやつに聞こえるがな」

ヒッチ「そう〜? ふふふ」

と、本人はまったく気にしていないようだ。

サシャ「危なかったです! 赤点スレスレでした! 夏の二の舞になるところでした!」

サシャが青ざめている。一応、赤点は免れたようだ。

ジャン「ああ? 直前の詰め込み指導で乗り切ったか?」

サシャ「ジャンの山張りのおかげで助かりました! ギリギリでしたけど。ジャンのおかげです!」

ジャン「2回も言わんでいい。まあ、免れたなら良かったな」

サシャ「はい! 3学期も是非山張りをお願いします!」

コニー「ジャン、オレにも次からお願いしてえんだけど」

ジャン「ああ?! コニーは赤点くらったのか?」

コニー「数学と英語と現国食らった……オレ、本当、現国が1番苦手なんだよなあ」

ジャン「現国は文章問題はもうどうにもならんから、せめて漢字とか読みで点数稼ぐしかねえだろ」

コニー「そこが1番苦手なんだよなー(ズーン)」

と、すっかり落ち込んでいる。

誰にでも苦手はあるよな。そこは仕方ねえけど。

461進撃の名無し:2014/08/13(水) 19:13:32 ID:DF9DFjgw0
今回の期末テストと、3学期の実力テストの成績を合わせて、今度は2回目の進路指導が行われる。

そして3学期の期末テストを終えた後は、2年次に上がる時にクラス替えが行われる。

其の時に、大学進学希望組とそれ以外に振り分けてクラスを編成するらしいので、クラスによっては勉強の進め方が変わってくるそうだ。

つまり、1組に近い程大学のレベルが上がっていって、後半になるほど、就職や推薦希望の方に重きを置くクラスになるそうだ。

ペトラ先輩とオルオ先輩は国公立大希望だから1組だった訳だ。

マーガレット先輩もああ見えて、1組所属だから大学進学組の筈だ。

真ん中の4組のアーロン、エーレン先輩達はどちらでもいけるように考えているみたいで、落ちたら就職も考えているそうだ。

もしかしたらサシャとコニーとは、2年次にはクラスが別れてしまう可能性がある。というか、多分、別れる事になるだろうな。

それを考えたら、ジャンもあんまり悠長にしてはいられない気がする。

同じクラスの間にサシャにアプローチしておかないと、2年次になったらきっと離れる事になるだろう。

講談高校は体育に力を入れている学校ではあるが、進学したい生徒の為にも対応出来るように出来ている。

つまり勉強が出来る一部の生徒と、体力馬鹿の生徒が一緒に学べる学校でもあるんだ。

2年になったらそれぞれの進路に合わせてクラス替えをする。

恐らくサシャとコニーは10組の方に移動する事になるだろうな。ヒッチもそうなるかもしれんけど。

オレの場合は成績次第だけど。せめて1組の中に入れるようにしたい。下の方でもいいから。

アルミンとミカサとマルコは1組確定のようなもんだから。

462進撃の名無し:2014/08/13(水) 19:24:02 ID:DF9DFjgw0
エルド先輩の場合は自身の成績は首席クラスだけど、大学の希望が「海外」だから、レベル的には国公立大より少し下げるらしい。

というか、下げて入らないと、海外の大学の場合は「入ってからの方が地獄」の場合が多いそうなので、上げ過ぎるのも問題らしい。

つまり、この時期になってくると皆だんだん、未来を考え始まる訳だ。

嫌でも時は過ぎていく。オレの場合はまだまだ成績上げないといけないけど。

とりあえず順位は上がったから親父にもそう報告しよう。

そして土曜日の放課後は午後からまた部活動だ。今日はミカサがオレのサーフパンツをはいて上着を着ている。

なんか自分の水着を彼女に着せるのも変な感触だ。興奮する。

そしてオレの方はミカサの水着を着る。変態だって言わないでくれ。役柄の為だ。

夏に買ったアレだ。下は短パンスタイルだから男でも一応はける。

ただ、胸のところに綿つめようとしたら、アルミンが「ハンジ先生は貧乳だから詰め物入れない方がいい」と判断したので、直接胸の上に着ている。本人が知ったら怒るかもしれんけど。

そんな訳で、衣装を合わせた上での練習をする。

制服もチェンジだ。オレがミカサの制服を着て、ミカサがオレの緑のブレザーを着る。

お互いに衣装を交換するというのは変な心地だな。

というか、男ブレザー姿のミカサ、超可愛い。

男装似合うよな。男装の女キャラはギャルゲーの鉄板とか何とか言ってる奴がどこかにいた気もするが、気持ちは分からんでもない。

463進撃の名無し:2014/08/13(水) 19:31:09 ID:DF9DFjgw0
この日はクリスタとミーナもエキストラ役で演劇部に顔を出してくれた。

ユミルもついでにエキストラをやってくれるらしい。ミカサとの絡みだけだから了承してくれたそうだ。

3人とも、ミカサにお姫様抱っこをされてびっくりしている。

ユミル「まさか女子にお姫様抱っこされる時が来るとはな」

ミカサ「ユミルは軽いので大丈夫」

ユミル「いや、63㎏あるからな? 私は」

ミカサ「エレンと変わらないので羨ましい」

とか何とかいいながら、交互にお姫様抱っこの練習だ。

ミカサもひょいひょい抱えて楽しそうだ。

今のところ、順調に来ている。今回の劇は時間に制限もないので尺のプレッシャーもない。

だから予定では1時間半くらいで考えているそうだ。

ペトラ先輩は短い方がいいと言っていたが、実際に脚本を書いてみたら、結構長い劇になってしまったんだ。

その辺はリヴァイ先生も了承しているので大丈夫だ。披露宴の出し物だしな。

464進撃の名無し:2014/08/13(水) 20:28:22 ID:DF9DFjgw0
本番まで中4日。今日を含めたらあと3回くらいしか練習出来ない。

リハーサルはもう「練習」には数えない。リハーサルはリハーサルだからだ。

台詞も大体頭に入っているし、ミカサとの息も合っている。

今日はエルヴィン先生がこっちに来ていた。凄く機嫌がいい様子だ。

エルヴィン「イイ感じに仕上がってきたようだね。問題は無さそうかな?」

アルミン「そうですね。舞台のセットもほぼ完成しましたし、小道具も衣装も揃っているし、調子もいい感じに仕上がっています」

エルヴィン「うん。それは良かった。ところで…………例の件だけど」

と、エルヴィン先生が声を落とす。

エルヴィン「今日はあの子は来ていないのかな?」

アルミン「あ、そうですね。今日は来ていないです。バイトかな?」

ミカサ「今はカフェとアシスタントのバイトだけしているそうなので、今日は午後からカフェのアルバイトに行っているそうです」

エルヴィン「そうか。彼女は忙しいみたいだね。うーん。どうしようかな。調査を進めたいと思っていたが、なかなか仕掛ける「機会」に恵まれないようだ」

アルミン「そうですね。ちなみにエルヴィン先生は『ジャン』と『コニー』のどちらが優勢だと思っているんですか?」

エルヴィン「それは相性の話? それとも個人的見解?」

アルミン「個人的見解の方ですね」

エルヴィン「ふむ。自分の見解で言うなら……コニーの方かもしれないね」

アルミン「ああ……そうなんですか」

アルミンがちょっと残念そうだ。

エルヴィン「2人は友人の期間が長いそうだよね。リヴァイとハンジのように何かの切欠で男女の関係に急展開する可能性は十分あると思っているよ」

アルミン「そうですか」

エルヴィン「ただ、だからと言ってジャンの方にチャンスがない訳ではない。今のところ先に自分の気持ちを『自覚』しているというアドバンテージがある。ただミカサの時のようにのんびり構えていたら、恐らく2回目の失敗を繰り返すだろうね」

アルミン「ですよね……」

エルヴィン「タイムリミットは3学期迄だろうね。2年次に進級したら、ジャンとサシャは恐らくクラス替えで離れてしまう可能性が高いだろう。進路の点から考えれば、ジャンは1〜3組、サシャは7〜10組の間くらいに配置されるだろうからね。サシャとコニーは2年次も同じクラスになる可能性が高い。もしそこまで時が経っても、ジャンが何も行動を起こせないようだったら、きっと今回も何も出来ずに終わるだろうね」

と、エルヴィン先生が予測する。

そっか。じゃあもう猶予期間は約3か月ってところなのか。

465進撃の名無し:2014/08/13(水) 20:58:58 ID:DF9DFjgw0
あんまりうかうかしていられねえな。すぐにでもアプローチした方がいいんじゃねえか?

いや、でも急ぎ過ぎて振られたら今度こそ、あいつは立ち直れ無さそうだしなあ。

難しい問題だよな。こればっかりは本人のタイミングで行くしかねえし。

エルヴィン「恋人が出来易い3大イベントのうち、2つはもう過ぎてしまったからね。残り1つに賭けるしかないかもしれない」

アルミン「3大イベント?」

エルヴィン「体育祭、文化祭、修学旅行だよ。修学旅行は1年の3学期の1月に京都〜長野スキー旅行の予定だよ。今年は5泊6日かな。そこで何も起こせないなら、ジャンとサシャのルートは難しいんじゃないかな」

アルミン「ああ、確かにそうかもしれないですね」

エルヴィン「うん。2年の夏に臨海学校も一応あるけど。昔、海の事故が起きたから、以前より期間が短くなっちゃったんだよね。リヴァイが幸い生徒を助けたから良かったけど。1泊2日になったから。以前は3泊4日でのんびり海で泳げたから、カップルがわいわい発生していたんだけどねえ」

と、凄く残念そうに言うエルヴィン先生だった。

そっか。2年になったら臨海学校あるのか。でも1泊でも十分楽しみだけどな。

エルヴィン「1年生の時が1番、カップルが出来易い時期なんだけどね。出会いはあるし、新しいイベントも沢山あるし。受験のプレッシャーもないし。この時期を有意義に過ごした人間が勝ち組だとも言えると思うよ」

アルミン「OH……そこまで言い切りますか」

エルヴィン「大人になってから分かるよ。高校時代の3年間の有難味をね。私ももっと、青春しておけば良かったと今頃になって悔やむ時もあるよ」

と、ぐっと軽く拳を作って見せるエルヴィン先生だった。

その頃に嫌な思い出でもあったんだろうか?

466進撃の名無し:2014/08/13(水) 21:37:33 ID:DF9DFjgw0
そんな訳でその日は順調にエルヴィン先生の監督の元、練習を終えた。

そして終業式。22日にリヴァイ先生から正式な発表が壇上で行われたのだった。

リヴァイ『えー以前話した通りだが、12月25日に俺とハンジの結婚披露宴をこの第一体育館で行いたいと思う。時間は昼の12時スタート開始予定だ。来客の人数は正確には把握出来ない式になるから、立食形式に近い形で食事を振る舞おうと思う。生徒にはソフトドリンクだ。酒は振る舞わないから勝手に飲むんじゃないぞ』

と、一応飲酒の注意を入れるところがリヴァイ先生らしかった。

リヴァイ『卒業生も多数、来てくれる予定だ。現役の生徒は制服で来るように。くれぐれも洒落た格好で来るなよ。こっちが間違えて酒を渡したら悪くなるのは先生の方だからな』

あ、そっか。その為に生徒は『制服』指定なんだな。

卒業生は酒飲む筈だからな。先生達もそうだけど。

リヴァイ『それと……以前、結婚を機に俺の方が教職を「辞める」と発表したが……』

ざわ……その件についても話すらしい。空気がざわついた。

リヴァイ『その件については謝罪したいと思う。勢いで『辞める』と発表してしまって、一部の生徒達を不安にさせてしまったようだ。その後、先生達の間でも話し合って、結果的には辞職の件は取り下げる事にした』

その瞬間、女子の声が特に揺れた。泣いている女子すらいる。

リヴァイ『ただし、あくまでそれは「今回」はそうしただけの話だ。もし、今後、何か問題が発生するようであれば、今度こそ、俺は教師を辞める。くれぐれも、軽率な行動を取るんじゃないぞ。特にハンジ先生に対して何かしやがった時は………誰であっても容赦しねえからな』

おおおおおお宣戦布告だ! リヴァイ先生、一瞬目がマジで鋭くなった。

ゾクッとした。これはいい抑止力になるかもしれない。

女子生徒がピタッと鎮まった。今のはきっと「効いた」に違いない。

リヴァイ『……………それと、何かいつの間にか俺の『ファンクラブ』が出来ていたそうだが』

ざわ……

その事も言っちゃうのか! マジか! 何かざわめきがすげえ。

いいのかな。皆の前で言って。隠しておいた事なのに。

でもリヴァイ先生は言った。全校生徒の前で堂々と。

リヴァイ『本日をもって、非公式から公式に格上げしてやる。先生自身が定期的にファンクラブに関わっていくからそのつもりでいるように。以上だ』

というリヴァイ先生からの『お知らせ』が終わって皆、すげえざわめいていた。

特に3年の方のざわめきがすげえ。泣いている女子がぐちゃぐちゃになっていた。

教室に戻ってからも女子が騒いでいた。うちのクラスにも数名ファンクラブに加入している女子はいるようだ。

キース先生が戻ってきた。キース先生もまた壇上に上がって今回の件について話してくれた。

キース「あーリヴァイ先生からのお知らせについて補足説明をしておく」

467進撃の名無し:2014/08/13(水) 21:59:38 ID:DF9DFjgw0
という前置きをしてから続けた。

キース「一部の生徒の間では既に知っているようだが、リヴァイ先生の『非公式ファンクラブ』の存在が発覚した。その熱が過熱し過ぎて、一部の問題も起きたようだから、本日をもって「公式」の物として扱わせて貰う事になった。これはリヴァイ先生自身の判断である為、私達他の教職員もそれを閲覧する権利を持つ事になった。ネット上のコミュニケーションになるが、くれぐれも、節度のある活動を行う様にという事だ。何か質問はあるか?」

エレン「あの……(挙手)」

キース「エレン・イエーガー。何だ?」

エレン「その、リヴァイ先生自身が関わると言う事は、先生自身がファンクラブを管理するんですか?」

キース「ファンクラブが運営していた「会員制サイト」の方を定期的に閲覧する事と、自身もブログか何かで自身の情報を発信すると言われていた。不定期にはなるだろうが、出来るだけ関わっていく方針にするそうだ。サイトの管理に関しては、今まで通りでいいと言っていたぞ」

エレン「サイトをリヴァイ先生が「管理」する訳ではなく「閲覧・監督」する訳ですね」

キース「そういう事になる。わしもまさかここまで「規模」が大きい状態に発展しているとは思わなかったがな。いやはや。リヴァイ先生の人気ぶりは凄まじいものがある」

と、苦笑いを浮かべるしかないキース先生だった。

キース「あの男は先生なんかより、アイドルでもやった方が良かったかもしれんな」

ですよねー。でもそうなるとリヴァイ先生、もっとヤバい事になるからな。

キース「冬休み明けには実力テストも控えている。3学期にも進路相談を行う予定だから、まだ進路に迷いがある者は休みの間に自分自身とよく相談して方針を固めておくように。2年次に上がったら、進路に合わせてクラス替えを行うからな。進学組と就職・推薦組に大まかに分けたクラスになる。保護者とも良く相談しておいてくれ。では、今日はここまで。以上、解散!」

という訳で終業式があっさり終わるとオレ達は部活へ向かった。

リヴァイ先生が音楽室の前に来ていた。多数の女子生徒に囲まれている。

3年女子「良かったああああ! 先生、辞めないでくれて本当に良かったああああ!」

という声に囲まれて頭をポンポン撫でている。

リヴァイ「すまなかったな。軽率な発表をしてしまって」

と、一人一人に謝っているようだ。

468進撃の名無し:2014/08/13(水) 22:13:58 ID:DF9DFjgw0
あ、ペトラ先輩と言い争った先輩もリヴァイ先生と話している。

そしてよしよしと慰めて、おおおお。何かハグまでサービスしている。

そんな事するから、面倒臭い事になるんだけどなあ。

ミカサがこめかみピクピクさせている。サービス過剰だと言わんばかりに。

ミカサ「………………」

無言が怖い。無言程怖い物はねえな。

ミカサ「音楽室に入れない。さっさと解散して欲しい」

本音が漏れた。確かにその通りだな。

リヴァイ先生が適当なところで女子を解散させた。

そしてこっちと目が合うと、

ミカサ「変態生徒たらしクソちび教師はどいて下さい」

何か悪口がもっと増えた。どんだけ重ねれば気が済むんだ。ミカサよ。

リヴァイ「ああ、すまん」

と、リヴァイ先生も別に気にしないで通路から外れる。

そして音楽室に入ったオレ達一同は先程の「お知らせ」についてリヴァイ先生と話した。

エレン「しかし思い切りましたね。リヴァイ先生」

リヴァイ「ああ。もういっそ、受け入れてしまおうと思ってな。特に3年の女子とは残り少ない時間でしか会えない。残りの3か月、出来る限りの事はしてやろうと思う」

ジャン「いやでも、さすがにハグはやり過ぎなんじゃ」

リヴァイ「ああ。かもしれないが。ハンジ曰く『適当に発散させた方がかえっていい』と言われてな。ハグまでなら許可が出た。キスはダメだが」

ミカサ「当然です。私だったらハグは完全に「アウト」ですが」

リヴァイ「俺もそう言ったんだがな。ハンジは『芸能人もファンとハグする事はあるから』だそうだ。してやっていいと、ハンジが言った」

アニ「いや、そこは女がそう言っても実際にはしてはダメですよ。ハンジ先生、無理しているだけなんじゃ」

リヴァイ「そうだろうな。俺もそう思っている。ただ、そこはもう、ハンジも覚悟を決めたと言っていた。俺の傍にいる以上、多少の面倒事は大目に見ると。浮気したら殺すとは言われたが、ファンとの関わりについてはもう、俺にある程度任せるそうだ」

エレン「そうなんですね」

ハンジ先生もそこに行きつくまでには葛藤があっただろうな。

オレとアルミンはハンジ先生の「涙」を知っているから余計にそう思った。

469進撃の名無し:2014/08/13(水) 22:27:32 ID:DF9DFjgw0
もう眠いのでここまで。次回またノシ

470進撃の名無し:2014/08/13(水) 22:36:44 ID:TY.MeAJA0
女子の味方、ミカアニいいわー

471進撃の名無し:2014/08/14(木) 02:44:00 ID:Jfwk7KNA0
ジャン→サシャがスリリングになってきたな
コニーの彼女が名無しなのは何故かと思ってたんだ
アニの毒舌もっと聞きたいw

ところでハンジ先生はマリッジブルーとかなかったんかね

472進撃の名無し:2014/08/14(木) 04:17:59 ID:.yLDAtQ.0
>>471
お仕事やめる形で結婚するのであればマリッジブルーあったと思いますが、
仕事は続けられるのでその辺は大丈夫のようです。
環境の変化は殆どありません。リヴァイのおかげで生活が逆に楽になりましたし。

473進撃の名無し:2014/08/14(木) 04:54:22 ID:.yLDAtQ.0
リヴァイ「まあ、今だけだと思うけどな。一過性の物であるなら、多少の目は瞑る。あいつらも卒業して大学に進学するなり、就職するなりすれば、新しい男とも出会うし、俺の事はただの「いい思い出」になるだけだろう。その間の短い「夢」であるなら、協力してやってもいいと思う様になったんだ」

と、何処か遠い場所を見つめるようにしてリヴァイ先生は言った。

リヴァイ「ただあんまり少女漫画のヒーローのような扱いは俺自身、こそばゆいという面もあるから、エレンの言った通り、俺自身の『ダメな部分』も出来るだけ出していく事にする。その結果、ファンが減ってファンクラブが運営出来なくなっても構わんし、逆に増えてしまった時はそれも仕方がないと思うようにした。近々、ブログのような物を立ち上げて様子を見ようと思う」

エレン「あの変顔とか、カラオケの裸祭りとか、画像もUPするんですか?」

リヴァイ「そういう事になるだろうな。ただメインは俺自身の『料理レシピ』でも載せようと思っている」

アニ「料理ブログを書くんですか?」

リヴァイ「俺自身の事を知りたいと言うなら『俺の料理』を見て貰うのが一番早いと思うんだ。話のネタ的にも、それくらいしか続けられる物がない。変顔とかは、あくまでネタに困った時に出す感じにする」

それくらいなら健全かもしれない。むしろ女子的には助かるかもしれないな。

アルミン「それは新規のファンが増えちゃうかもしれませんね。料理の方のファンとか」

リヴァイ「そっちのファンがついてくれることは大歓迎だがな。料理人としての俺が認められるなら素直に嬉しい」

と、リヴァイ先生は言っている。

アルミン「僕としては、リヴァイ先生自身の下世話な話を書いた方がファンを減らせると思いますけどね」

リヴァイ「ぶふっ……!」

アニ「下世話な話?」

リヴァイ「アルミン、それ以上言ったら3回目はやってやらんぞ」

アルミン「あ、じゃあ黙ります(キリッ)」

アニ「ねえねえ? 何の話? ん? (黒笑顔)」

アルミン「何でもないよ。男同士の話だから言えない(きっぱり☆)」

アニ「ああ、もしかして『女の肌は服を着せたまま1時間は触れ』の件?」

リヴァイ「?!」

アルミン「アニ、もうその件は忘れようか(黒笑顔☆)」

アニ「え? 無理無理。絶対忘れない(黒笑顔☆)」

アルミン「そんな事言わないでよー。もしその件が噂になったら、リヴァイ先生、今度こそ本当に教職辞めちゃうかもよ? (黒笑顔☆☆)」

アニ「私は別にそれでも構わないよ。………変態教師なんでしょ? (黒笑顔☆☆)」

リヴァイ「待て。何故その件をアニが知っているんだ」

エレン「最初の授業の時、黒板消し忘れて出て行ったせいです」

リヴァイ「そうだったか……(滝汗)いや、すまん。俺も油断していたな」

ミカサ「なんの話?」

アニ「リヴァイ先生、男子にこっそり『特別授業』をやったって話」

ミカサ「……………教科書には載っていない部分をやったって事?」

アニ「恐らく。リヴァイ先生自身の体験談も交えながら男子に『エロ講座』でも開いたんでしょ」

アニの洞察力に男子一同はちょっと居た堪れなくなった。

すんませんでしたああああと土下座する準備は一応、整えておく。

474進撃の名無し:2014/08/14(木) 05:10:48 ID:.yLDAtQ.0
ミカサ「やっぱり変態教師<●><●>じーっ」

アニ「変態教師だからね<●><●>じーっ」

ダブルビッグアイズキタあああああ!!! ガクブルガクブル。

えっと、全員で正座しようかな。あ、リヴァイ先生が先に正座した。

男子は全員、その場で正座した。とりあえず「すんませんでした」の準備は整える。

リヴァイ「すまん。その件は内密にしてくれないか」

アニ「どうしようか?」

ミカサ「どうしようか?」

アニとミカサが絶好調で弄ってくる。楽しそうだなオイ。

リヴァイ「頼む。他の教職員にバレるのは百歩譲っても、ハンジにバレた時が恐ろしい。婚約破棄されたら俺は立ち直れない」

ミカサ「婚約破棄? そんな可能性のある事まで指導したの? 変態……」

リヴァイ「どうしたらいい? 俺がどうすれば黙っていてくれる?」

ミカサ「んー」

エレン「オレからも頼む。ミカサ、リヴァイ先生を責めないでやってくれ」

ジャン「ああ。俺達男子が調子に乗ったせいだからな。連帯責任だ」

アルミン「ごめん。主犯は僕だし」

マルコ「いや、アルミンを称えた僕達も同罪だ」

と、言ってオレ達はアニとミカサに頭を下げて拝み倒した。

ミカサ「アニ、どうする? 何か条件をつけた方がいいかもしれない」

アニ「そうだね。だったらやっぱり『ハグ』の件を取り下げてくれません?」

ミカサ「それがいいと思う。『ハグ』は今日限定で。明日以降はやらない」

アニ「今日は発表されたばかりだから、皆舞い上がっているし、仕方がないけど。ハグを毎回『してもらえる』って思われるようになったら嫌だもんね」

リヴァイ「分かった。明日以降、ハグはしない。それでいいか?」

ミカサ「もし見つけたら、ハンジ先生に速攻チクリます<●><●>じーっ」

アニ「婚約破棄されるかもしれない程の授業、どんなものか興味はありますけどね<●><●>じーっ」

怖いよおおおお!!! ガクブルガクブル。

475進撃の名無し:2014/08/14(木) 05:39:14 ID:.yLDAtQ.0
リヴァイ「分かった。約束しよう。というより今日もこれ以上、やらないようにファンの子から出来るだけ逃げるようにする」

ミカサ「いい心がけ。それがいい(ニヤリ)」

リヴァイ「今日はこの後は演劇部の方に1日いよう。その方がいいな」

アニ「まあそうですね。そろそろ仕上げの段階ですし」

リヴァイ「昼飯を取ってくる。昼飯もこっちで食っていいか?」

エレン「構いませんよ。一緒に飯食べましょう」

という訳で、お昼は皆で弁当を食った。少し遅れて他のメンバーも合流して午後から部活動を始める。

その休憩時間、リヴァイ先生がそっとオレに「とある物」を渡してきた。

リヴァイ「やれやれ。まさか事が露見するとは思わなかったが約束の『物』だ。第3回目の授業はほとぼりが冷めた頃に行うからこれ見て予習でもしておけ」

エレン「あざす!!!! (シャッ)」

ミカサにバレないように鞄に入れた。ふふふ。帰ってから予習しよ。

そんな訳でその日は1日、ミカサとアニの<●><●>の目を食らいながらドキドキしながら練習をしたのだった。







12月24日。クリスマスイブ。その日は街中はざわめいているだろうが、オレ達は体育館の中で忙しかった。

明日の準備に追われていたからだ。仕込みが1日使えるって言うのは、凄く助かる事なんだと言う事を初めて知った。

リヴァイ先生が『時間が短すぎる』と常々言っていた理由が分かった気がする。時間に余裕があると、本当にいろんな角度から『危険』を排除出来るんだと言う事を初めて知った。

その日は体育館の舞台の仕込みに加えて、明日の『料理』の方も準備に入っていた。

文化祭の時のように調理場を臨時で設定して、そこで実際に料理をしながら振る舞う予定らしい。

基本的には『立食形式』のスタイルではあるが、子供連れの方の事も考えて席も少しは設ける。

そっちの方の設置もオレ達は全員で手伝いながら、明日の仕込みを全て何とか完了させた。

エレン「いよいよ明日っすねー」

リヴァイ「ああ。そうだな……」

とりあえず、終わったので先生と話してみた。

時刻は夕方の6:00頃だった。野球部やバスケ部はまだ活動しているみたいだけど。

他の運動部の気配はない。だから体育館の中も静かであった。

リヴァイ「すまなかったな」

エレン「え?」

リヴァイ「クリスマスイブなんて、恋人同士の為にあるもんだろうが。1日時間を使って貰って、すまない」

エレン「いやいやいや! 全然大丈夫っすよ!」

リヴァイ「いや、ミカサの方は不満かもしれないぞ。なあ、ミカサ」

ミカサ「何故呼ぶ? (イラッ)」

エレン「いや、クリスマスイブの時間を取らせてすまないって、先生が」

ミカサ「ああ……そういう事ですか。別に構いませんが」

リヴァイ「そうか?」

ミカサ「私はエレンと同居しているので。夜はゆっくり過ごせますし(ニヤリ)」

リヴァイ「ああ、そうか。親同士が再婚しているんだったな」

エレン「あ、はい。ご存じでしたか」

476進撃の名無し:2014/08/14(木) 05:48:39 ID:.yLDAtQ.0
リヴァイ「キース先生経由で聞いた。あまり大っぴらには出来ない件だとは聞いていたが」

エレン「ですよね。俺の親父も最初は『寮』に入れるべきか悩んだそうですが」

リヴァイ「普通の感覚の親御さんならそうするだろうな。生殺しじゃないか?」

エレン「そうですね。でも、オレは大丈夫ですよ」

今のところは問題なくやっていけている。

エレン「ミカサとは離れたくないですし。今のままの生活を続けていきます」

リヴァイ「…………まだ、ヤッてはいないんだったよな」

エレン「え、まあ……(照れる)」

ミカサ「いずれは、するかもしれませんが」

エレン「馬鹿! それはまだ先の話だろ!」

ミカサ「タイミングがあえば、いつか(キリッ)」

リヴァイ「そうか…………」

ん? リヴァイ先生の様子が何か変だな。

エレン「どうしました?」

リヴァイ「いや、何でもない。今、言うべき事じゃないだろうからな」

エレン「それ、何でもないとは言いませんよ?」

リヴァイ「んー………」

と、頭を掻いている。

リヴァイ「今のまま、で居られるならいいんだがな」

エレン「え?」

リヴァイ「まあ、その話は今する事じゃないな。後日話す」

エレン「ええ?! 気になる言い方しないで下さいよ!」

リヴァイ「今、話しても意味が通じないと思うんだが」

ミカサ「それでも、気になる言い方は止めて下さい」

477進撃の名無し:2014/08/14(木) 06:00:37 ID:.yLDAtQ.0
リヴァイ「そうか。では、一応話しておくか。今、意味が分からんでも怒るなよ」

と、前置きしてくれる。

リヴァイ「経験した後と前では、世界が変わって見えるぞ」

エレン「え?」

リヴァイ「特にエレンの方が心配だな。もしヤッた後に悩む事が出てきたら相談を受け付ける。俺でもいいし、エルヴィンもきっと相談に乗ってくれるだろう。ため込まないで、吐き出せよ」

エレン「は、はあ……」

何だろ。何かあるんかな。ヤッた後、世界が変わるって。

どういう意味かさっぱり分からなかったけど。一応、気にとめておく事にした。

リヴァイ「ミカサの方も、だな。もし悩むことが出てきたら遠慮なく……ミカサの場合はハンジの方が聞いてくれるだろうな。相談しろ。絶対に、1人で考え込むんじゃないぞ」

ミカサ「わ、分かりました」

ミカサもきょとんとしている。今は実感が沸かないようだ。オレと同じように。

そんな感じでちょっと意味深な忠告を受けてお互いに「?」となりながら、オレ達は準備を終えて家に帰る事になった。

あ、ヒッチが珍しく学校に残っている。なんかもめている?

玄関の前で知らない男と話し合っているようだ。あ、しかも……


パン!


げええ?! 修羅場だ。ヒッチが殴られた! ひでえ男だな!

ミカサがその現場を見てキレた。ヒッチを庇いにいっている。

ミカサ「何をするんですか!!!」

ヒッチ「ミカサ?」

3年男子「誰、あんた」

ミカサ「彼女のクラスメイトです。女を叩くなんて、卑怯。許せない」

3年男子「関係ない奴がでしゃばってくんじゃねーよ! 殴られてえのか!!!」

オレも思わず間に割って入った。そしてそいつの拳を腕で防御する。

3年男子「!」

エレン「騒ぎ、起こすならこっちも考えがありますよ。学校の先生達、まだ残っている人もいるんですから」

リヴァイ先生ならまだ職員室にいる筈だ。今頃帰り支度をしているだろうけど。

そしたら男は舌打ちをして離れて行った。大事にならなくて良かった。

478進撃の名無し:2014/08/14(木) 06:10:47 ID:.yLDAtQ.0
アニ「なんの騒ぎ?」

アルミン「何かあったの?」

ちょっと遅れて玄関に来たアニとアルミンが心配そうにこっちに来た。

マルコ「何か、破裂音みたいなのがしたけど……」

ジャン「何かあったのか?」

マルコもジャンも今の現場を見ていない。ちょっと来るのが遅かったからだ。

ヒッチ「ああ、御免御免。ちょっと修羅場っちゃってね〜」

とヒッチは笑っている。

アニ「また、男を振ったの?」

と、アニが言う。「また」というところがアレだけど。

ヒッチ「うん。まあ、クリスマスイブに振っちゃったせいかな〜『ふざけんな!!!』ってぶたれちゃった」

ミカサ「そんなの関係ない。女をぶつ男なんて最低。振って当然」

とミカサの方が怒っている。ヒッチは冷静だけど。

ヒッチ「う〜ん? 別に最低じゃないけどね。あいつはいいところもあったよ?」

アニ「じゃあ何で振ったの」

ヒッチ「ええっと、体の相性かな。何かそっちがどうしても『合わない』って思っちゃってね。悪い奴じゃなかったけど。なんていうか『しんどい』かなって思って」

アニ「ああ……そういう事か」

と、アニも妙に納得したようだった。

アニ「あんた、その辺シビアだもんね。下手くそ嫌いでしょ」

ヒッチ「うーん。ハードル上げ過ぎなのかな〜? そっちで「つまんない」って思うと途端に冷めちゃう性質なんだよね〜自分でも悪い癖だと思うんだけどさ〜」

とあっけらかんとしているのがこっちとしても驚きだ。

479進撃の名無し:2014/08/14(木) 06:20:33 ID:.yLDAtQ.0
ヒッチ「やり方が単調だったんだよね。こっちは同じメニューばっかり食べさせられているよう感覚っていうの? だんだん「ノルマ」をこなしていくだけの関係に感じて来たから『マンネリ化してきたから別れたい』って言ったらキレられたんだ」

ジャン「なんていうビッチ……(滝汗)」

マルコ「凄いね。そういう理由で別れたいって思うんだ」

ヒッチ「ええ? ダメかな? こういうの」

アニ「別にダメじゃないけど。それをストレートに言うあんたもどうかと思うよ」

ミカサ「私はそんな事、1度も思った事がない…」

!? ミカサ、それをここで言うな馬鹿!

ヒッチ「ええ? マジで? それ超羨ましいんだけど! エレン、あんた意外とやるね!」

エレン「変な目で見るなよ! おい、お前ら、半眼になるな!!!!」

超恥ずかしい!!! つい顔を隠してしまった。

ミカサ「ご、ごめんなさい……(赤面)」

ヒッチ「いいなあ〜上手な男の方が断然いいって! そっちでマンネリ化してきたら、他の男の方がいいのかな〜ってつい思っちゃうしね」

アニ「それはあんたくらいのもんだから」

ヒッチ「そう? でもそっちの相性って結構、大事だよ? 両想いでもそっちで合わなくて別れるケースも一杯知ってるし」

マジか。それはオレも気をつけねえとな。

480進撃の名無し:2014/08/14(木) 06:38:12 ID:.yLDAtQ.0
ヒッチ「ねえねえ。エレンってどんなテクニック使っているの? ミカサ、今度こっそり教えてくれない?」

ミカサ「うううう……(赤面)」

エレン「ミカサ!!! 絶対言っちゃダメだからな!!!!」

バレた日にはオレも変態の烙印を押されてしまう!!!

野外プレイとか生理プレイとか尻とかいろいろ!!!!

ヒッチ「ふふふ〜その様子だと、相当の変態みたいだね〜エレン〜♪ 私、嫌いじゃないよ? そういうの」

ミカサ「ヒッチ、エレンに手出したら殺す<●><●>」

おっと、ミカサが急にヤンデレ化した。

ヒッチ「おっと、ヤンデレさんだったか。ごめんごめん。本気にしないで。冗談だから。でも正直、羨ましいよ。私、エレンとミカサみたいに、そういう「充実感」を味わった事、あんまりないからさ」

アニ「そうなんだ」

ヒッチ「男とっかえひっかえしている私が悪いのも分かっているんだけどね。でも多分、どっかにいるとは思うんだよね。1人くらいは。私と「身体が合う」男がさ」

と、ヒッチもヒッチでまだ流浪の旅をしているようだ。

ジャン「そこまで身体の相性が大事なのかよ」

と、ジャンが目を細めて言っている。

ヒッチ「うん。私の場合は絶対条件になるね。『身体の相性』が合わない男とは絶対、続かない。最長で1年だったかな。飽きっぽいのもあるけど、何ていうのかなー? 『価値観』みたいな物なのかな? これって。私の場合、多少の変態プレイもOKなんだけど。むしろ無理なのは「同じスタイル」をずっと続ける方だね」

エレン「そんなにいろんなやり方があるのか?」

ヒッチ「人によって全然違うよ。私は割と何でもイケる方ではあると思うけど。だからついつい、年上とばっかり付き合うけど。年下でも上手な人がいればそっちに行きたいんだよね」

と、いろいろ問題発言している。

ヒッチ「そういう意味ではリヴァイ先生、経験豊富そうでいいよね〜1回だけでもいいからやらせてくれないかな〜」

男みたいな発言しているな。アニがさすがに「それはやめな」と止めている。


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