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エレン「この長い髪を切る頃には」2

1進撃の名無し:2014/07/25(金) 18:53:56 ID:Yeod/N2g0
*続編です。ミカサ「この長い髪を切る頃には」→エレン「この長い髪を切る頃には」の続き。もう1回エレン視点で書いていきます。

*現パロです。現在、エレンの髪がちょっとずつのびています。(ミカサよりちょい長め。小さいしっぽ有り)

*舞台は日本ですがキャラの名前は基本、カタカナのまま進めます。漢字の時もあるけど、細かいことは気にしない。

*実在の人物とかは名前やグループ名等をもじっています。時事ネタも有り。懐かしいネタもちらほら。

*原作のキャラ設定は結構、崩壊。パラレル物苦手な方はご注意。

*原作のキャラ性格も結構、崩壊。原作と比べて「誰だてめえ」と思った方はそっと閉じ推奨。

*レスに対するお返事レスは返せない事が多いかも。体力温存の為。無視している訳じゃないんで、OK?

*感想は毎回有難い。でも自分の妄想話を書くのはNG。読んでいる人が混乱するから。本編と混ぜるな危険。

*雑談は雑談スレでお願いします。雑談嫌いな読者の方もいらっしゃるからね。

*現在、ジャン→ミカサ、ジャン(?)→サシャ、オルオ→ペトラ→リヴァイ←ニファ リヴァイ→ハンジ←モブリット ライナー→クリスタ←アルミン←アニ(?)←ベルトルト イアンリコあたりもちらほら。というか、そのつもりで書いています。

*安価時以外のアイデア・オリジナルの設定等の提案は禁止させて頂きます。(エレン「この長い髪を切る頃には」の時にトラブルが発生した為です)

*その代わり、安価出した時は出来る限り(多少無茶振りでも)採用する方針でやっていますので、宜しくお願いします。

*モブキャラも多数出演。オリキャラ苦手な方もご注意。キャラ濃い目。

*そんな訳で、現在設定しているオリキャラをざっとご紹介。


マーガレット(2年生♀)→大道具リーダー。漫画描ける。腐ってる女子。皆のお姉さん的ポジ。

スカーレット(2年生♀)→大道具。立体造形専門。ロボットもいける。たまに腹黒。

ガーネット(2年生♀)→大道具兼衣装。コスプレ好き。ちょっと大人しめのオタク。

アーロン(2年生♂)→役者。元野球部。高校から演劇始める。

エーレン(2年生♂)→役者。元サッカー部。高校から演劇を始める。

カジカジ(1年生♂)→役者。外見はエレンに似ています。明るい男子。愛称は「カジ」。

キーヤン(1年生♂)→役者。ジャンよりイケメン。歌上手い。

マリーナ(1年生♀)→役者。少年の声が出せる。ナレーションうまい。ほんわか系女子。


*原作のモブの名前が判明すれば……途中加入もあるかもです。

*外伝のキュクロとシャルルも出ています。二人は野球部投手とマネージャー。

*先生方の年齢設定が原作より(恐らく)若干高め設定になっています。

*リヴァイ先生(38歳)というおっさん設定に耐えられない方は御免なさい。

*加えてリヴァイ先生の潔癖症が病気レベル扱い(笑)になっているので、御免なさい。

*リヴァイ先生の性癖(?)も大分、斜めってる設定になっています。ご了承下さい。

*エルヴィン先生(43歳)も相当なオタク設定になっています。リヴァイより更に斜め方向に変態です。本当に御免なさい。

*ハンジ先生(36歳)が昔は美人だったよ設定です。ややモテキャラですが、リヴァイに比べれば蟻の触覚程度です。

*リヴァイ先生がモテ過ぎ設定です。気持ち悪いくらいモテキャラです。愛され過ぎて御免なさい。



*ラスト100レスは完成する迄、レス自重お願いします。レス足りないと書き手としてプレッシャー過ぎる。

*そんな訳で、現パロ(エレン視点編)を始めます。OK?

197進撃の名無し:2014/08/02(土) 15:16:39 ID:jl/nRLqY0
ミカサ「おにぎりとか、卵焼きとか、ハンバーグとか、お煮しめとか」

エレン「基本の弁当きたー! ありがとうな! ミカサ!」

ミカサ「では、手を拭いて……(おしぼり持参)」

エレン「(吹き拭き)いっただきまーす!」

ミカサ「頂きます」

もぐもぐもぐもぐ。うめええええ! 超うめええええ!

なんだこれ?! いつもにも増して飯が超うめええええ!

やっぱり自然の中で食ってるせいかな。空気もうまいし、運動した後だし。

余計にそう感じて、ミカサも頷いている。

ミカサ「ね? 贅沢なデートになった」

エレン「ああ! ミカサの言ってる意味が分かったぜ! こりゃ贅沢だな!」

飯がうまく食えるっていうのは、最高だよな! 本当に!

持参した水とかお茶も適度に飲みながら、オレは腹いっぱい飯をかきこんじまった。

エレン「美味かった! 超美味かった! これは本当に、いいデートだな!」

ミカサ「うん。私もお弁当を作った甲斐があった」

エレン「ありがとうな。いつも、本当にありがてえよ。ミカサ」

ミカサ「うん……どういたしまして」

うるうるしているミカサが超可愛い。

ああもう、周りに人いなければ、ここで押し倒してキスしてハグして一気にやっちまうぞ! 外だけど!!

でも自重する。例の誓約書の件、まだ解決していないからな。

198進撃の名無し:2014/08/02(土) 15:30:34 ID:jl/nRLqY0
エレン「そうだ。ミカサ、例の誓約書の件なんだけどさ」

ミカサ「うん」

エレン「エルヴィン先生曰く「親父の謎かけ」って言っていたけど、どう思う?」

ミカサ「んー……」

エレン「オレ、そういうのあんまり得意じゃねえからさ。ミカサの考えを先に聞きたいんだ」

ミカサ「文章を、そのままあえて、捉えるとすれば、だけど」

と、前置きをして言った。

ミカサ「エレンからの接触はダメで、私からの接触がOKだと仮定すれば、もしかしたら、やっていい事を制限しているのかもしれない」

エレン「やっていい事を制限?」

ミカサ「うーん。例えば、エレンのアレを、私の口でその……するのまではOKとか?」

ぶふううううううう!

危うくお茶零しかけた。ミカサ! オブラートに包み切れてねえぞ!

真っ赤になってオレは答えた。

エレン「いや、まあ、確かにそれは文面上は違反じゃねえけどさ。そんな事されたら、オレ、理性吹っ飛ぶぞ? 無理だぞ? 一気に最後までやっちまうぞ?」

ミカサ「やっぱり無理?」

エレン「多分、無理だと思うぜ。いや、ミカサがどうしてもやりたいって言うなら、我慢してやらなくもねえけど」

ミカサ「じゃあしよう(キリッ)」

エレン「即答かよ! え? 何、ミカサ、抵抗ねえの? そういうの?」

ミカサ「むしろしたくて堪らない(キリッ)」

エレン「そうなのか……いや、意外だったな。なんかそういうのって、あんまり女の方からしたがらねえイメージがあったからさ」

ミカサ「そうなの?」

エレン「んーそういうエロ本ばっか見てきたせいかな。嫌々やらされている奴とかの方が多いもんな」

まあ、その嫌そうな顔がかえってそそるという事情もあるんだろうけどな。

ミカサ「エロ本? (ぴくっ)エレン、エロ本を所持しているの?」

エレン「うぐっ……!」

しまった! 墓穴掘った!! 言うんじゃなかった!

ミカサ「エレン、どんなエロ本を見ているの? どういうのが趣味なの? (ゴゴゴ)」

エレン「お、怒るなよ!! アルミンから貰った奴とかだよ!! 中古本だから! アルミンが置く場所困るからって、引き取っただけだけだから!」

199進撃の名無し:2014/08/02(土) 15:40:03 ID:jl/nRLqY0
ミカサ「本当に? 本当にそうなの? <●><●>」

いかん! また例の目つきになってオレに迫ってくる! 話逸らさないと。

ええっと、リヴァイ先生の特別授業だと『機嫌悪い時は甘いもの』食わせろだったな。

あ、チロルチョコが確かあった筈! よし、ミカサの口に押し込もう!

ぐい!

咄嗟にポケットのチロルチョコを取り出して封をあけてミカサの口の中に押し込んだ。

ミカサ「!」

エレン「イライラしたらダメだろ? チョコでも食って機嫌なおせ」

ミカサ(もぐもぐ)

あ、ちょっと顔色が良くなった。すげえ! さすがリヴァイ先生だ!

特別授業を前もって聞いていて正解だったぜ!

ミカサ(ごっくん)

ミカサ「…………誤魔化されたような気がする」

エレン「あんまり気にするな! とにかく、その……オレとしては、そりゃあやって貰えたら嬉しい限りだけど、そこまでで自重出来るかが、自信はねえかな」

ミカサ「そう……(シュン)」

エレン「なんていうか、こういうのって「ここまで」って決めてやろうとしても、そこまでで済まない気がするんだよ。そういうスイッチが入ってしまうと、オレ、どんどん調子に乗っちまうからさ」

ミカサ「それは私も同じかもしれない」

エレン「だろ? だから、多分、それは違うような気もするんだ。答えが微妙に違うような……」

ミカサ「では、誓約書を交わした「理由」から推理してみよう」

と、ミカサが言い出した。

200進撃の名無し:2014/08/02(土) 15:58:22 ID:jl/nRLqY0
ミカサ「おじさんは恐らく「私とエレンの間にうっかり子供を作らせない為」にこの誓約書を誓わせたと思う」

エレン「そうだな。そこを一番、親父は心配していたからな」

ミカサ「でも、今の避妊具は性能がいいと言われているので、よほどのドジをしない限りは、ちゃんと使いさえすれば妊娠はしないと思う」

エレン「だよなあ。不良品を使わない限りは多分、大丈夫だと思うんだけどなあ」

ミカサ「私もそう思う。それこそ、何万分の1の確率の話だけで、こんな誓約書を作らないと思う」

エレン「つまり、妊娠の問題だけじゃねえって事なのかな」

ミカサ「恐らくそうだと思う。そもそも妊娠させない為なら、枷は私にも及ぶ筈」

エレン「そうだよなあ。意味ないんだよな。オレだけだと」

あー分からん。親父は一体、何が言いたいんだろう?

ミカサ「エレンからの接触はダメで、私からの接触はOKだと考えるとすれば、それはまるで私の方が主導権を握るような話のように思える」

エレン「あ、まあ……そうなるな。ん? 主導権……」

主導権。なんか、その言葉を聞いた瞬間、ちょっと思い出した。

リヴァイ先生の特別授業だ。

リヴァイ『焦るなよ。焦ったら負けだと思え。若いうちはガンガンやりたくなる気持ちは俺も分かるが、女の体は男が思っている以上に傷つきやすい。やり過ぎて、病院に通う羽目になった女子生徒も多数知っている。勿論、中絶も含めてだ。やりたいだけなら、せめて年上の経験の豊富な女を選べ。同年代でやる場合は、特に経験値ねえんだから、女の方に出来るだけ合わせてやれよ』

これって、つまり。まさか。そういう意味だったのか?

ミカサ「エレン……? どうしたの?」

エレン「あ、いや……もしかして、だけどさ」

オレの中で仮説が組立て上がっていく。間違っているかもしれないけど、今はこれしか思い浮かばない。

エレン「親父、もしかして、セックスの主導権をミカサに握らせたかったんじゃねえのかな」

ミカサ「え……?」

エレン「今、ミカサが言った通りの意味かもしれねえ。多分、きっとそうなんじゃねえかな」

201進撃の名無し:2014/08/02(土) 16:11:56 ID:jl/nRLqY0
思い出せ。何故親父があれだけキレたのかを。

あの時の状況を。墓の前での出来事を。

エレン「親父はもしかして、オレの方が強引に、ミカサにキスするところばっかり見ているから、ミカサの方の気持ちを心配しているのかもしれねえ」

ミカサ「え? え? どういう事?」

エレン「つまり、ミカサがオレに「流されて」付き合っているんじゃねえかって、心配しているんだよ。きっと」

ミカサ「ええええええ!? (ガーン)」

ミカサが凄い顔になった。凄くショックを受けているようだ。

ミカサ「そ、そんな事ないのに。私は、エレンが大好きなのに……(涙目)」

エレン「いや、でも、誤解している可能性は十分にあるぞ。親父、オレの方からキスするところばっかり見ているような気がするし、オレの方から告白したって言ったし、ミカサの気持ちがどの程度なのか、測っていたんじゃねえかな」

ミカサ「だとすれば、つまりセックスのサイクルを決める決定権を私に委ねている…と?」

エレン「かもしれない。いや、本当にそうなのかは、まだ分かんねえけど。でも、そう考えれば誓約書の意味が通じる気がするんだ」

オレの方から接触してはいけない。

でも、ミカサからならの接触はOKだと仮定すれば。

その意味は、それ以外にあり得ない気がする。

ミカサ「では、もしかしたら、「危険日」を避けてやれば、セックスをしてもいいっていう意味なのかしら」

エレン「え?」

ミカサ「そう考えれば辻褄が合う気がする。もしもエレンに主導権を渡せば、私はそういう時でも、求められたらきっと、うっかり応えてしまう。でも、エレンの側からは女の生理のサイクルは分からない。そこをコントロール出来るのは、女の私しかいない」

エレン「つまり、妊娠しづらい時期であれば、所謂「安全日」って呼ばれる期間であれば……」

ミカサ「や、やってもいい……?」

お互いに、その答えにたどり着いて、手を握り合った。

エレン「多分、それだ!!! 親父はそれに気づかせる為に、謎かけみたいな事をしたのか!!」

ミカサ「エレン、家に帰ったらおじさんと答え合わせしよう!」

エレン「ああ、そうだな! あーなるほどな! 何か分かった気がするぜ!!」

202進撃の名無し:2014/08/02(土) 16:29:06 ID:jl/nRLqY0
回りくどい方法で縛った理由も分かった気がする。

つまり、オレの方が我慢している状態で、ミカサの方が我慢出来なくなった時に、その意味が伝わる様に。

ようやくオレ達の「枷」が1個外れるように、誓約書をかわさせたんだ。きっと。

エレン「くっそおおおお親父めええええ!」

なんかこう、踊らされたような気持ちもなくもないが。親父らしいやり口だと思った。

親父には一生敵わない気がする。こういうところ、本当すげえよ。

ミカサ「では私は明日から基礎体温計で基礎体温を測らないといけない」

エレン「ん? なんだそれ」

ミカサ「そういう道具がある。女のリズムを測る道具。ちょっと面倒臭いけれど、それがあれば、妊娠しやすい時期としづらい時期を大体把握する事が出来る」

エレン「そうなのか」

ミカサ「ただ、データを採る為には一月から二月程度の情報が必要なので、すぐには結果が出ない。生理のリズムだけで計算する事も出来なくはないけど、正確な情報が知りたいのであれば、やはり基礎体温は調べるべき」

エレン「おう。なんかその辺はミカサに任せるぞ」

ミカサ「うん。任せて欲しい。早ければ、12月以降にはリズムが掴めると思う」

エレン「じゃあ、来年になれば、オレ達、出来るのかもしれないのか」

ミカサ「かもしれない。勿論、おじさんに確認した上での話だけど」

よしゃああああああ! これで一歩前進だ!!!!

暗闇が晴れてきたような気がした。ああもう、早くうちに帰って親父に直接確認してえええ!!

203進撃の名無し:2014/08/02(土) 17:18:55 ID:jl/nRLqY0
ミカサ「でも、今日は確かおじさん、お仕事……」

エレン「あ、そうだった。なんか出張行ってるって言ってたな」

親父は医者だから、医学関係の発表会とか研究会とかの出張で全国あちこち出かける時もある。

今日と明日は家にいないんだ。だからすぐには確認出来ない。

電話で言うのもアレだしな。仕事邪魔する訳にはいかないし。待つか。

エレン「あーもう、うずうずするけどしょうがねえか」

ミカサ「うん。しょうがない」

エレン「まあでも、こういうの、わくわくして待っている時間っていうのも大事だよな」

きっと。階段を登っていくように。一個ずつ。

問題をクリアしていく事が、きっと大事なんだと思うんだ。

ミカサ「うん。焦る必要はない。私はずっと、エレンの隣にいる」

エレン「………」

やべえ。うるっとくるだろうが! そんな事言われたら!

あーもう。これから先、どうしようかな。

エッチの件はまあ、1歩前進したとはいえ、まだ進路の事、決めてねえし。

ミカサはオレと同じ道を行くと言っている。

だったら、オレ自身がミカサにどうなって欲しいのか。考えないと。

消防士は……もし万が一、ミカサが火傷したら嫌だから没だな。

自衛隊員は……似合いそうだな。隊服。でも確か、自衛隊員って全国を回るんだよな。

勤務先次第では遠距離恋愛になっちまう可能性もあるよな。それはちょっときついかもしれない。

レスキュー隊……悪くはねえと思う。そういうの、オレ、向いてるらしいし。

最後に医者。

エレン「……………」

204進撃の名無し:2014/08/02(土) 17:20:30 ID:jl/nRLqY0
イメージした瞬間、びびっときてしまった。

白衣を着て、聴診器持って、診察するミカサを想像して、正直、きた。

萌えてしまった。レスキュー隊も悪くはねえんだけど。

女医っていう響きに、オレの心は躍ってしまって、その……。

馬鹿だと思うけど、正直言って、アホだとは思うけど。

進路の中で一番、ミカサになって欲しい職業は「女医」だった。

エレン「……………」

こういう決め方って、本当は良くねえかもしれない。

だけど、男って、案外単純に出来ている生物で。

エレン「ミカサ、あのさ……」

ミカサ「何?」

エレン「オレ、もしかしたら、無理かもしれないけどさ……」

無謀かもしれない。やめとけって止める理性の声も聞こえるけど。

オレの本能は「女医」を選んだ。ああ貶すがいい。むしろ本望だ。

女医の姿になったミカサを、オレは見てみたい。

だから。

エレン「医者の道、チャレンジしてみてえかも……」

ミカサ「医者? おじさんの跡を継ぐの?」

エレン「出来るんだったらな。ミカサも、一緒に医者の道、進んでみるか?」

ミカサ「エレンがその道を進むのであれば、私は何処でもついていく」

微笑んだ、ミカサの顔がとても綺麗で。

オレも一緒に微笑んだ。

エレン「正直、無理かもしれないけどな。でも、オレ、やるだけ、やってみるよ」

ミカサ「うん。一緒に頑張ろう。エレン」

と、言ってオレ達はじっと見つめ合った。

熱っぽい視線を交わして、唇が近づく。その刹那……

205進撃の名無し:2014/08/02(土) 17:29:21 ID:jl/nRLqY0
ハンナ「すごくきれいな場所だねー来てみて良かったね。フランツ」

フランツ「ああ。綺麗だね……ハンナ」

見知った声が聞こえてびっくりした。そっちの方を振り向くと、

うおおおお何だ?! フランツとハンナも山登りデートしに来たのか。

え? でも、フランツって野球部じゃねえ? いいのかサボって。練習大丈夫なのか?

ハンナ「うん。たまには気分転換した方がいいよ。思いつめると良くないって」

フランツ「ありがとう……ハンナ」

ハンナ「いいよ。で、話したい事って、何?」

フランツ「………」

何だ。顔が赤いぞ。まさか……

フランツ「あの……ハンナ。単刀直入に、言うけど」

ハンナ「うん」

フランツ「つきあって、くれないかな。僕と」

ハンナ「え?」

フランツ「だから、その……おつきあいして下さい!」

ハンナ「いいの? でも、野球部、大変だって…」

フランツ「ハンナの応援があれば頑張れる気がするんだ。だから……」

ハンナ「本当に、私でイイの?」

フランツ「ハンナじゃないと、ダメなんだ!」

ハンナ「フランツ! (がばっ!)」

おおおっと?! 山の山頂で告白かよ! 何で遭遇しちまったオレ?!

ミカサ「おおお……ここはデートスポットでもあると書いてあっただけはある」

エレン「そうなのか?」

ミカサ「うん……でもまさかこんなところで2人に遭遇するとは思わなかった」

エレン「オレもだよ。いつの間にあいつら、そういう事になっていたんだ?」

ミカサ「委員会、ではないだろうか。2人は同じ委員に所属していた気がする」

エレン「そうだったっけ? まあ、接点があるならそうなったのも頷けるか」

2人はくっついたばかりで人目も憚らずイチャイチャし始めた。

おおおおおい。ちゅっちゅすんなー。周り見ろー。

人の事は言えないけど。アレだ。人がおっぱじめると、何かアレだな。

自分の事は棚に上げたくなるのが不思議だよな。

206進撃の名無し:2014/08/02(土) 17:40:38 ID:jl/nRLqY0
まあいいや。あっちの馬鹿夫婦は放置しよう。今は自分の事を優先だ。

エレン「そろそろ、下るか? 天気、夕方から崩れるかもって予報で言ってたし。長居はしない方がいいだろ」

ミカサ「うん。そろそろ下ろう」

という訳で、フランツとハンナには声をあえてかけず、オレ達は先に山を下る事にした。

同じ道を下るだけだから道に迷う事はなかったけど、急に雲の様子が怪しくなってきた。

エレン「やべ……予報より早く雨、きそうだな」

ミカサ「少し急ぐ?」

エレン「だな」

という訳で、ちょっと早歩きで下っていると、


ザーザーザー


あともうちょっとってところで雨が降り出してしまった。

エレン「あーもう、運がない」

ミカサ「エレン。展望台で雨宿りしよう」

エレン「そうだなー」

軽く濡れた服をタオルで拭いて雨宿りする。

人の気配はなかった。恐らく、他の人は山頂か別の場所で雨宿りをしているんだろう。

エレン「…………」

雨で少し体が濡れたせいか少し寒そうだ。

ミカサが一回だけ小さなくしゃみをした。

エレン「大丈夫か?」

ミカサ「大丈夫。ちょっと寒いけど」

エレン「………」

ごくり。生唾を飲み込んだ。

人が来たらまずいけど。でも、ミカサの手が少し冷たかったから。

だから。

オレはミカサを自分の方に引き寄せて、服の上から、ミカサの体にそっと触れた。

207進撃の名無し:2014/08/02(土) 17:56:28 ID:jl/nRLqY0
ミカサ「え、エレン……(びくん)」

エレン「寒くないか? 少し、体冷えてるぞ」

ミカサ「これくらい平気……(ぽやーん)」

ミカサがうっとりしているのが分かる。

雨は、通り雨なのかどうか分からないけど、まだ降り続けている。

小雨になるまではここで休憩するしかない。

その時、オレはまた、リヴァイ先生の特別授業を思い出した。


『女の肌は服を着せたまま1時間は触れ』


それを思い出した瞬間、オレの中で、せき止めていた何かが外れた音がした。

雨が止むまででいい。ミカサの体を温めてあげる為に。

自分に言い訳しながら、これは、そういう意味じゃないって、言い聞かせながら。

自分に嘘をつきながら、オレはゆっくりと、ミカサの体に触れた。

ミカサ「エレン? その……」

エレン「寒くねえように、触るだけだ。大丈夫」

ミカサ「うん……」

嘘だけどな。でも、その嘘にミカサも気づいている。

服の上から、触るだけだ。ゆっくりと、ただ、それだけ。

エレン「擦るだけだ。こうすれば、寒くねえだろ」

ミカサ「う、うん……あっ……」

ビクン……

跳ねる身体が感じている事を表す。ミカサ、やっぱり相当敏感なんだな。

腰の周りと、脇腹の辺りを中心に手を動かして、優しく撫でるだけなのに。

太ももとかも、服の上から触ってみる。少しだけ湿っているのは、通り雨に濡れたからだ。

だけど、その湿り気が余計に興奮を呼んで、オレは、太ももの内側にも指を入れた。

ミカサ「あ……ああ……」

2人の荷物はとっくに床に置いている。

触るだけなのに。ミカサの顔がどんどん、赤くなっていく。染まっていく。

ヤバい。楽しい。すげえ楽しい。

でも我慢だ。服の上から触るだけだ。それ以上の事は、しない。

208進撃の名無し:2014/08/02(土) 18:05:20 ID:jl/nRLqY0
本番は1時間以上もこれ、やるんだよな。すげえ耐久レースな気がするけど。

辛いけど、それをやりたくなる気持ちも分かる。触るだけで十分、ミカサ、感じてくれているんだ。

ミカサ「ああっ……エレン……ん……」

両目を閉じてくたっと力が抜けていくミカサにオレはキスをしてしまった。

あれ? ちょっと待って。ええっと。

いかん。キスはするつもりなかったのに。あれ? 体が勝手に。

ミカサ「ん……は……はああっ……」

まずい。ミカサの感じ方がどんどん、本格的になってきている気がする。

舌を絡ませると、唾液が零れた。人の気配は、まだない。

雨の音を聞きながら、オレ達は展望台の中で、静かな行為に耽っていった。

誰も来ない。雨降ってるせいかな。でも、人が来ても良さそうなのに。

来るかもしれない。見られるかもしれない。その予感があるのに。

ゾクゾクした。その背徳感が余計に、背中から、押してくる気がして。

いかん。ダメだ。これ以上、触ったら。

でも、ミカサの汗の匂いとか。運動したての、匂いが鼻腔をくすぐって、捉えて離さない。

ミカサから発するフェロモンみたいなものにまとわりついて、オレはどんどん、自分の手を動かしていった。

ミカサ「あああっ……ん……」

声、出さない様に必死にかみ殺しているのが、かえってそそる。

手をミカサの背中の方に回して、オレは尻の方にも手をのばした。

服はまだ脱がせてないんだけどな。服の上からでも、感じ過ぎだろ。ミカサ。

209進撃の名無し:2014/08/02(土) 18:40:44 ID:jl/nRLqY0
ミカサの両腕がオレの背中に回ってきた。ぐっと、離さないと言わんばかりに。

固定されてしまった。オレも抜け出せない。唇が、ミカサの鎖骨に当たる。

汗が溜まっていたから吸い上げた。ちゅるっと、舌を使って舐めてみる。

塩味が少しだけした。でも、美味しいって思っちまう。

脇腹とか、擦っていたら、ブラジャーらしき感触が分かった。

外したい。ホックどこだ。服の上からでも外せないかな。

あった。これだな。あ、なんかもう、大分、緩んでいる。これは、いけるか?

ふわっと。した感じがあった。あ、今、拍子でうっかり外れたみたいだ。

ミカサが大きく息を吸い込んだ。胸の感触がより鮮明に分かった。

白いTシャツだから、下着が透けて見える。エロい。もう、ダメだ。

手をシャツの中に入れる。胸に直接触れてみる。ミカサは全然抵抗しない。

以前、「抵抗しちゃったら怪我させるかもしれない」とか言っていたのが嘘のようだ。

あれは杞憂だったんだな。今のミカサは、オレに全てを委ねている。

胸の突起を探した。あった。そこに微かに触れると、ミカサの体が大きく跳ねた。

ミカサ「あああっ……」

両足が、もじもじし始めたのが分かった。でも、足は閉じたままだ。

まだ開けなくていい。オレは完全にミカサに覆い被さって、両目を閉じた。

雨音は、まだ止まない。人の気配も来ない。誰も止めに来ない。

ドキドキする。誰かにバレるかもしれねえってのに。オレは。

中指の腹の部分で、胸の突起に、そっと触れてみたんだ。

ミカサ「はああ……ああっ」

ミカサの声がだんだん大きくなってきた。これ以上、喘がせるとまずい。

だからつい、またキスをして、声を出させないようにして、胸を触った。

何だよこれ。まずいって。こんなの、楽し過ぎるだろ。

痙攣しているのが分かる。ビクビク震えている。もっと、もっと触りたい。

210進撃の名無し:2014/08/02(土) 18:54:03 ID:jl/nRLqY0
胸の突起を抓ってみた。軽く、だけど。

すると、ミカサがもっと力が抜けたのが分かった。

ふにゃふにゃになっていくのが分かる。

ミカサ「え、エレン……あっ……ダメ……なんか、くる……」

エレン「え?」

ミカサ「それ以上、したら、私……ああ……あああああっ!!!」

一度、大きくバウンドしたのが分かった。え? まさか、まさか?!

ミカサがぐったりして気を失った。え? 本当に? 今の刺激で、イったのか?!

早くねえか? え? 予想していたより早い展開で、オレは困惑した。

でも一応確認して見たくて、ミカサの下着をちょいと確認させて貰う。

エレン「!」

すげえ、濡れていた。なんていうか、指にまとわりつくくらいに。糸がひいてやばい。

えっと、これって、もしかして、アレなのか。

ミカサは、リヴァイ先生の言っていた2種類のタイプの女の「クイック」側の女だっていう事で間違いないのかな。

つまり、普通の女より濡れやすい体質って事でいいのかな。

いや、そうだよな。きっとそうだ。多分、そうだ。

これだけの短い時間でイク感覚を味わったんだから、きっとそうだよな。

ミカサが起きない。気を失って、動けないでいる。

オレの息子も準備万端過ぎて困り果てているけど。

雨はまだ止まない。今、ここに避妊具がある訳じゃないし、これ以上は今日は勿論、無理だけど。

しょうがねえ。眠ってるミカサをオカズに全部一気に出してしまおう。

エレン「っていうか、オレ、ダメだろ」

親父に確認してから手出すつもりだったのに、結局、約束、破っちまったな…。

いや、まあ、今日の事は黙っていればバレないとは思うけど。

自己嫌悪に陥る。いかん。早いところ、親父に確認しないと、取り返しのつかない事をやらかしそうな気がする。

自分の息子の方の処理を済ませると、ようやく雨音が止んできた。

人の気配が復活してきた。危なかった。ミカサが速くイッたおかげで助かったけど。

もっと盛り上がっていたら登山客にモロバレしていたところだった。

211進撃の名無し:2014/08/02(土) 19:05:14 ID:jl/nRLqY0
ミカサ「は…!」

短い時間、気を失っていたミカサが目を覚ました。

ミカサ「わ、私は何を……(赤面)」

エレン「ごめん、ミカサ……」

ミカサ「エレン……」

エレン「こんなに一杯触るつもりはなかったんだけど、やってるうちに、加減が効かなくなってきて、つい」

ミカサ「ううん。大丈夫…それは大丈夫だけど……(赤面)」

ミカサはもじもじしながら言った。

ミカサ「下着、濡れてしまったので、着替えていいだろうか。着替えは持って来ているので」

エレン「あ、あああ……もちろんだ」

オレはミカサを見ないようにして、外の奴らに見せない様に大きなタオルを壁にしてやった。

そして下着を取り換えたミカサは言った。

ミカサ「どんどん酷くなっている……」

エレン「え?」

ミカサ「私、濡れるのが早いみたいで、すぐこうなるの。ごめんなさい……」

エレン「あ、いや…別に謝る事じゃねえよ。っていうか、立てるか?」

ミカサ「ふ、ふらふらする……」

エレン「少し休んでいくか。ごめんな。ついつい」

ミカサ「大丈夫。大丈夫……(赤面)」

212進撃の名無し:2014/08/02(土) 19:11:23 ID:jl/nRLqY0
と、言ってミカサは少し俯いて、

ミカサ「今日の事は、おじさんには内緒にしよう」

エレン「そうだな。内緒にしねえといけねえな」

罪悪感はあるけど。でも、やっちまったもんは仕方がねえか。

ミカサ「出来るだけ早いうちに誓約書の件を確認しよう。でないと、私もいろいろ辛い……」

と、ちょっとだけ涙ぐむミカサに、オレはよしよしと頭を撫でてやった。

そんな訳で、オレ達の初デートはその、うっかり、一歩進んでしまったけど。

オレ達にとって、そろそろ限界が近づいているのもひしひしと感じてしまった。

もう、いい加減に一つになりたいと、体が訴えているんだ。

親父が心配するのも分かるけど。でも、だからといってこのままでイイ訳がない。

そんな複雑な思いを抱えながら、オレ達はゆっくりと下山した。

苦い思いを抱えながらだけど、でも。

オレとミカサはお互いに手をしっかり握り合い、その手を離す事は決してなかったのだった。

213進撃の名無し:2014/08/02(土) 19:15:12 ID:jl/nRLqY0
リヴァイ×ハンジとは全く逆の状態に陥っているエレン×ミカサでした。

エレンが遂に約束破り始めちゃったよ。バレたらやばいよ!?
というところで続きます。ではまたノシ

214進撃の名無し:2014/08/02(土) 20:30:35 ID:xZSE/pr20
濡れやすいミカサとか可愛すぎる
いかせまくって焦らしたいわ…

215進撃の名無し:2014/08/02(土) 22:12:25 ID:qFTl47gc0
むふー!とか、んもう!とか、
ミカサの反応可愛いわー

しかしエレミカ進展早ぇな!
最近の高校生はこんな感じなのか

216進撃の名無し:2014/08/03(日) 01:24:23 ID:6ZK.Jc620





ミカサが白衣を着ていた。ちょっと大人っぽい。

ミカサ『はい、エレン君。調子はどうですかー?』

おおお。なんか凄く子供目線で話しかけて来た。ん?

つーか、オレ、子供の姿になっている?! え? 小さくなってるぞ?!

あ、これ、夢か! 身体は子供、頭脳は大人のアレの状態になっているようだ。

エレン『はーい! 元気です!』

ミカサ『うん。じゃあ、お口開けてね』

おおおお。なんかこういうの、久々だな。あーん。

腹とか触診されてこそばゆかった。ミカサ、小児科の女医になっているのか。

いいなあ。いいなあ。似合ってる。すげえ可愛い。

デレデレしていたら、今度は別のオレが出て来た。

エレン2『ミカサ先生ー! 抱っこー!』

ミカサ『えええ?』

エレン3『オレもオレもー!』

ミカサ『んもうーわんぱくねえ』

と、言って、オレと同じ顔した小さなオレが集団にミカサ先生にタックルかまして押し倒した。

皆、好き勝手にミカサの上に乗って、キャッキャ言って遊んでいる。

あーもう。オレ、ちょっと自重しろよ。気持ち分かるけどさ。

ミカサ『あん! もう、そこは、触っちゃダメよ。あん!』

と、時々甘い声をあげてくねくねしている。

ああああ! もう一人の小さいオレ達がおっぱい揉みまくってるぞ! けしからん!

217進撃の名無し:2014/08/03(日) 01:31:18 ID:6ZK.Jc620
エレン2『えへへ〜おっぱいもみもみ〜』

エレン3『おっぱい、大きいね〜ミカサ先生!』

ミカサ『こら! もう、そんなに触っちゃダメだって言ってるでしょ? あん……ああっ』

おいおい。ちょっと待て。何か、え?

こらあああ! 子供の悪戯の度合いを越えて来てるぞ!

もう一人のオレ達がどんどん増えて来て、ミカサの上に乗りかかって好き勝手に触り始めているんだ。

エレン『おい、やめろよ! ミカサ……先生、嫌がってるだろうが!』

エレン2『嫌がってないよ。気持ちいいよね? ミカサ先生』

ミカサ『い、嫌がってるのになあ…もう…(赤面)』

いや、嫌がっているように見えないのは分かるけど。こっちも照れるけど。

待て待て待て。こら、白衣脱がすな! もう一人のオレ達!!

エレン3『おっぱい吸っていい?』

エレン4『おっぱいすいたーい!』

エレン5『オレ、太もも枕にするー!』

好き勝手にやり過ぎだああああ!

あ、でも、ミカサは全然抵抗してねえ。むしろ赤くなって照れる一方だ。

ミカサ『やん……もう……ああっ……こら、んん……あああん』

服脱がされて、乳首吸われても抵抗しねえ。なんだこの夢。本当にけしからん。

218進撃の名無し:2014/08/03(日) 01:41:32 ID:6ZK.Jc620
小さなオレ達に両方のおっぱい吸われても、太もも枕にされても全然嫌がってねえ。

むしろどんどん、喘いで気持ち良くなっているミカサに、オレも、その、見入ってしまって。

エレン6『なんか、変なおもちゃ見つけたー(ブーン)』

エレン『?!』

それは大人のおもちゃだああああああ!!!

ダメだダメだ!! それだけはダメだああ!

エレン6『これ、どうやって使うんかな? えい! (ぐいっ)』

と、言って振動している大人のおもちゃをミカサの股につきつけて、遊び出す小さなオレ。

ミカサ『いやああああん……ダメっ……それは、ダメ……あああっ!』

子供の無邪気な悪戯で済むレベルじゃねえから!!!!

オレはおもちゃを奪ってやろうとしたんだけど、抵抗されちまった。

エレン6『なんだよーこれ、オレのだからな! 勝手にとるなよ!!』

エレン『馬鹿! そんなおもちゃで遊ぶな!』

エレン6『そんなのオレの勝手だろー?! お前、これ使いたいならちゃんとそう言えよー!』

エレン『そういうんじゃねえし!!!』

エレン2『あ、パンツ濡れてる。おもらししているみたいだー』

エレン3『脱がせてやろうぜー』

うわあああああ!! ちょっと、お前ら、暴走すんなあああ!

どっちを止めればいいか分からなくなり、混乱していると、

エレン6『よいしょ(ブーン)』

小さなオレがおもちゃを股に直接当てて振動させ始めたもんだから、ミカサがどんどん、喘いじまって。

ミカサ『やあ…だめ……そこは、らめえええええええ!!!!』





エレン「うあああああああああああああああああ?!」






目が覚めて絶叫した。朝、だった。

エレン「はあはあはあ……」

夢で良かった。つか、何なんだ今の夢は。

いやらしい夢の中でも、特にエロかった。いやもう、本当に。

エレン「いい夢なのか悪い夢なのか判断つかねえ」

小児科女医のミカサは可愛かったけどな。でも、アレはエロ過ぎた。

ミカサは小児科だけはいかないように説得しよう。エロガキにまとわりつかれたら、あいつ、本当に抵抗出来ない気がする。

219進撃の名無し:2014/08/03(日) 01:48:26 ID:6ZK.Jc620
とりあえず顔洗おう。今日は午後から演劇部の部活動の予定が入ってるしな。

時間は……ああ、もう午前11時か。結構寝倒していたんだな。

昼飯食って、準備して学校に行くと、いつものメンバーが大体音楽室に揃っていた。

あれ? でも、珍しくペトラ先輩が音楽室に来ている。

なんかすげえ落ち込んでいるな。体育座りで隅っこにいるけど。

エレン「ペトラ先輩、どうしたんですか?」

ペトラ「!」

ジャン「馬鹿! そっとしとけ!!」

エレン「え?」

ペトラ「うああああああ! (*壁を額にエンドレス殴打)」

エレン「?!」

なんだ?! 急に暴れ出したぞ?!

壊れたおもちゃみたいな動きしているな。

アルミン「あーあ。折角、一回収まったのに。今、ノゲノラのステフ状態なのに」

エレン「は? なんだそれ」

アルミン「ええっとね。詳しい事情は、エルド先輩から聞いて」

と、視線を動かすと、ちゃかりエルド先輩も遊びに来ていた。

220進撃の名無し:2014/08/03(日) 02:01:43 ID:6ZK.Jc620
エルド「や! 久しぶり。すまんね。最近、こっち来れなくて」

エレン「いや、もう受験生なんだから仕方ないですけど。ペトラ先輩どうしちゃったんですか?」

エルド「あー……新しい恋の兆しに混乱している真っ最中……とでも言えばいいかな」

エレン「誰かに告白でもされたんですか?」

エルド「そんな生易しいものじゃないよ。………オルオとうっかりベロチューやっちゃったんだって」

エレン「え?」

ミカサ「え?」

さすがのミカサも一緒に驚いてしまった。

エレン「何がどうなってそうなったんですか? え? キスしちゃったんですか?」

エルド「ああ、まあ……事故チューに近いんだろうけどな。なんか、雰囲気に流されちゃったんだって」

ミカサ「雰囲気に流された程度で、ベロチューは普通しないのでは?」

エルド「まあ、そうなんだけどな。そこはほら、ペトラは「事故チュー」に処理したいみたいだからそう言ってみただけだ」

エレン「えええ……」

一体、何がどうなっているんだ?

ペトラ先輩はある程度、額を壁にぶつけた後、また体育座りをして落ち込んだ。

ペトラ「違うの。オルオとキスしたのは、そういうつもりじゃなくて、その……あいつが急に優しくしてきたもんだから、つい、その、なんか嬉しかっただけで、そういうつもりは全くなくて、っていうか、何であの時、私、抵抗しなかったの? オルオを受け入れちゃったの? オルオの事は嫌いじゃないけど、リヴァイ先生の件が終わった直後にこれって、おかしくない? 私、尻軽過ぎない? っていうか、私の想いってそんなに簡単に変わるようなものだったの? 私、ずっとずっとリヴァイ先生の事が好きだったのに、何でオルオとキスしちゃったの? うわああああああああ?!」

ダメだアレ。なんかもう、完全に壊れているぞ。

221進撃の名無し:2014/08/03(日) 02:18:12 ID:6ZK.Jc620
ブツブツブツブツ言い続けて自分の感情を吐き出しているけど。

ちょっと怖いくらいにおかしな状態になっている。

あれは今、下手に触らない方が良さそうだな。

エレン「ええっと、とりあえず、大体のあらすじを教えて貰えませんかね?」

エルド「あー。ペトラがハンジ先生、ぶった時の事は覚えているよね?」

エレン「まあ、現場見てましたしね」

エルド「んで、その後も、ちょっと1組の女子の間でゴタゴタがあったみたいでね。ペトラ、クラスで完全に孤立しちゃったみたいなんだよ。まあ、元々ペトラはちょっと浮いているところあるんだけどな。ますますそれが酷くなっちゃって。一人ぼっちで意地張っているところに、オルオが「お前がどれだけ周りに嫌われようが、オレはずっとお前の味方だからな」って言ったらしくてね。それにちょっと、絆されちゃったみたいで。オルオが、宥めていたら、ペトラ、ちょっと泣いちゃったみたいで。それで、グラッと。お互いに、その……ってやつ」

エレン「へーいい話じゃないですか。それの何が悪いんですかね?」

エルド「いや、本人的にはそこまでお互いの距離が近づくなんて思っていなかったみたいでね。ただ、体が自然にそう動いちゃった感じだから、お互いに混乱の真っ最中って感じだ。オルオの方はグンタが宥めているよ」

ミカサ「なるほど…」

そうなのか。でも、かえって良かったんじゃねえか?

オルオ先輩、ペトラ先輩の事、好きみたいだったし、こっちもくっついちまえばいいのに。

でも、ペトラ先輩はそれを受け入れられないようで、

ペトラ「っていうか、初めてだったのよ?! 何で初キスをオルオにあげちゃったの私?! もういっそ、途中で舌を噛み切ってやれば良かった! あいつの舌、中に入って来たし! あの時、噛んでやれば良かったのに、何でそれをしなかったの?! っていうか、何で意外と気持ちいいとか思ったの?! あいつ、そういうの手慣れてたの?! 女たらしだったの?! あいつ、彼女とかいたっけ?! そんな話、聞いたことないんですけど?! もしそうだとしたら、私は何人目なわけ?! あああああああ?!」

うわああ。ペトラ先輩、ダメ過ぎる。

ペトラ先輩って元々、カッカすると口悪いから、言っちゃいけないところまでつい漏らしちゃうタイプだけどさ。

心がダダ漏れ過ぎて可哀想だ。どうにかならんのかな。アレ。

222進撃の名無し:2014/08/03(日) 02:30:48 ID:6ZK.Jc620
ミカサ「…………何故か既視感を覚える」

エレン「え?」

ミカサ「まるで、リヴァイ先生とハンジ先生のよう」

エレン「ああ、そうかもな」

ミカサ(こくり)

キスしても、すぐには認められないんだろう。何かと理由をつけて暫くはお互いに認めなさそうだ。

オレ達は短距離ランナーカップルだけど、オルオ先輩達はまさしく、リヴァイ先生達に近いカップルのような気がする。

第二の長距離ランナーカップルが誕生するのかな。くくくっ。

エルド「ペトラ。その辺にしておけよ。皆、困ってるぞ」

ペトラ「は! そうね。ごめんなさい……」

やっと我に返ったのか、ペトラ先輩が顔色を戻した。

ペトラ「ええっと、今日は皆に、お願いがあって来たのよ」

アルミン「お願いですか?」

ペトラ「そう。リヴァイ先生の結婚式についてなんだけど。もともと、その時期って、演劇部では「冬公演」という形で自主公演を行っていたのね。でも、今年はリヴァイ先生の結婚式と日程が重なるから、いっそ結婚式で劇をやって貰えたらなって、思ったのよ」

マーガレット「まーその方がいいですよね。体育館でやるなら、ホール押さえる金も浮きますしね」

ペトラ「うん。私達3年も、手伝えることがあれば出来るだけ手伝うわ。準備期間は短いけど、文化祭のような大掛かりな劇じゃなくていいから、公演を行ってほしいのよ」

と、あくまで「お願い」という姿勢でペトラ先輩が言った。

223進撃の名無し:2014/08/03(日) 02:52:12 ID:6ZK.Jc620
ジャン「結婚式で演劇ですか。珍しいですけど、オレ達らしくていいかもしれないですね」

アルミン「準備期間は、文化祭の時よりかえって余裕あるかもね。今回はクラスの出し物の負担がないわけだし」

ペトラ「あ、それもそうね。確かに冬公演の方が、ゆっくり準備出来るか。でも、あまり尺を取る劇じゃない方がいいと思うけどね。何か、こういうのやってみたいっていうのないかしら?」

エレン「ん〜」

結婚式に相応しい劇、かあ。

なんかこう、皆で楽しめるようなのがいいよな。きっと。

ミカサ「恋愛物をまた、やる、とか?」

エレン「あ、やるんだったら、ラブコメの方がいいんじゃないか? コメディ要素を入れようぜ」

ミカサ「なるほど。その方が新鮮でいいかもしれない」

アルミン「ラブコメかあ……」

アニ「ん? アルミン、何かアイデアがあるの?」

アルミン「いや、そういうジャンルなら、僕、割と好きだから、脚本やってもいいかなって」

アニ「いいの?」

アルミン「前回は準備期間があまりに短かったからね。いきなりやる自信はなかったけど、今回は準備する時間もあるし、頑張れば何とかなるかな。エルヴィン先生に台本の書き方を習いながらやれば、だけど」

アニ「いいと思うよ。というより、台本書ける子も育っていかないと、エルヴィン先生ばっかりに負担かける訳にはいかないよ」

アルミン「それもそうだね。うん。ちょっとずつだけど、僕も頑張ってみるよ」

という訳で、オレ達は次の「冬公演(リヴァイ先生の結婚式)」に向けての新しいスタートを切った。

ペトラ先輩は、まだ「うあああああ?!」と時々唐突に叫んでは凹んでいたけれど。

ま、そのうち時間が解決するだろ。自然となるようになる。

そう思いながら、オレとミカサは一緒に苦笑を浮かべていたのだった。

224進撃の名無し:2014/08/03(日) 02:58:57 ID:6ZK.Jc620
そんな訳でオルオ×ペトラも発進しました。カップル誕生(?)かな。
とりあえずここまで。続きはまたノシ

225進撃の名無し:2014/08/03(日) 08:54:40 ID:T.AiUBCM0
オルペト待ってた!
ツンデレの典型やっぱり可愛いよ

冬公演なんてあるのか、面白い
エルヴィン先生のタレコミで、リヴァハンの裏話を寸劇にしたれw
泥酔リヴァイ先生とか

226進撃の名無し:2014/08/03(日) 12:43:16 ID:6ZK.Jc620









11月4日。火曜日。火曜日の1限目は世界史のエルヴィン先生なので、アルミンが授業後、台本について相談していた。

すると、エルヴィン先生は「いいアイデアだねー」とニコニコしていた。

エルヴィン「だったらいっそ、リヴァイとハンジの物語を劇にしちゃおうか」

アルミン「え? いいんですか?」

エルヴィン「あの2人の馴れ初めそのものが既に「ラブコメ」だからね。本人達は恥ずかしがるだろうけど、自分達を一度、客観的に見て、どれだけアホな事やっていたのか自覚させた方がいいと思うよ?」

エルヴィン先生、超悪い顔している。過去最高の悪い顔だ。

アルミン「では、エルヴィン先生の知っているエピソードを基に話を考えていけばいいですね」

エルヴィン「取材なら私だけでなく、他の先生達の話も聞いていいと思うよ。きっと皆、喜んで協力してくれると思うな」

アルミン「分かりました。ではその方針で固めてみたいと思います」

という訳でアルミンもエルヴィン先生と同じくらい悪い顔になった。

でも、台本の内容がもしリヴァイ先生にバレたらどうするんだろ?

エレン「練習風景、見せないようにしねえとリヴァイ先生にバレるかもな」

アルミン「あーそうだね。出来るだけこそこそ練習やろうか」

エレン「あと、問題はリヴァイ先生役を誰がやるか、だな……」

アルミン「ハンジ先生は、エレンがやったら? 身長近いし、髪も今なら長いから丁度いいし、エレンなら出来そうじゃない?」

エレン「ああ、まあ、やってもいいけどさ。女役って言っても、ハンジ先生は中性的だからやり易いだろうしな」

たまに男みたいな仕草しているしな。ハンジ先生自身が。

アルミン「んー身長で言うと僕かアニになっちゃうけど、アニは元々、舞台に出るのが苦手だし……でも僕はちょっとリヴァイ先生とはイメージ違うし」

エレン「んーま、後で決めるか。その辺は。台本出来てから煮詰めようぜ」

アルミン「そうだね。そうしようか」

という訳で、大体の方針が固まったのでとりあえず安心だな。

227進撃の名無し:2014/08/03(日) 13:04:48 ID:6ZK.Jc620
そして次の授業は日本史だった。ナイル先生の授業だった。

アルミンは早速、授業後に取材を開始していた。ナイル先生は「ふん」と笑っていた。

ナイル「ああ……あの2人は最初からいろいろとアレだったな」

アルミン「アレとは?」

ナイル「ある意味伝説の教師達だよ。入学式に滑り込みセーフでヘリコプターを使って登校してくるわ、窓から教室に入ってくるわ……常識という物がないのかってくらい、破天荒なことばかりやらかしていたよ」

エレン「あ、窓から教室に入っていたってのは本当だったんですね」

OBの人達が笑っていたアレだ。

ナイル「ああ。いくら身体能力があるからって、スタントマンじゃないんだから。流石にやめろと私が怒鳴ってやったよ。遅刻しそうになったのは、ハンジ先生の髪を朝から無理やり洗っていたからだ、と言い訳していたが……あの頃からリヴァイ先生自身、ちょっとアレだったな」

と、遠い目をするナイル先生だった。

ナイル「確かにハンジ先生は最初からその、ちょっと臭い先生ではあったし、社会人として、清潔にしていないのを我慢出来ない気持ちも分からんでもないが……リヴァイ先生がそれを改善させる理由なんてどこにもないんだがな。普通は放っておく問題だ」

放っておけなかったからこそ、愛情があった証拠なんだろうな。

ナイル「ま、話せるのはそれくらいだな。他のエピソードは他の先生達から聞きなさい」

アルミン「はい。ありがとうございました」

という訳で1個目のエピソードをGETしたのだった。

228進撃の名無し:2014/08/03(日) 13:37:27 ID:6ZK.Jc620
次は数学のディータ・ネス先生だ。実はディータ先生はもう一人いらっしゃるので、数学の先生の方は皆、「ネス」先生呼びだったりする。

ネス「ああ。リヴァイ先生とハンジ先生の馴れ初めね。再現劇やっちゃうのか」

アルミン「まあそうですね。その方が面白いかと思って」

ネス「ふふふ……だったら、あのエピソードは外せないな」

アルミン「とっておきの話があるんですか?」

ネス「あるぞ。臨海学校のエピソードだけど。学校主催の、生徒達は2年次に毎年行っている物なんだけど。その時の引率だったリヴァイ先生とハンジ先生がね、もうそりゃあ凄かった」

と、懐かしむようにネス先生は言った。

ネス「生徒の一人が、海で溺れていたんだ。それを真っ先にハンジ先生が助けに行った。でも、助けに行ったハンジ先生の方も、流されて溺れてしまったんだ。リヴァイ先生がミサイル並みの速さで追いかけて、生徒とハンジ先生を両方、助けたんだよ」

アルミン「へー。スーパーマンみたいですね」

ネス「2人いっぺんに助けるくらいだからな。でも、その後も凄かったぞ。ハンジ先生、呼吸していなかったし、リヴァイ先生、迷わず人工呼吸をやって蘇生させたんだよ」

アルミン「ヒューヒュー♪」

エレン「生徒の方は助かったんですか?」

ネス「勿論。生徒の方は別の先生が蘇生して、すぐに助けられたけど。その時、リヴァイ先生、迷わずハンジ先生の方を先に人工呼吸し始めたからな。本当は、生徒を先にするべきところなのに。あの時ばかりはハンジ先生を優先したんだよ」

アルミン「まあ、それは当然ですよね。その時は他の引率の先生、いたんでしょう?」

ネス「まあな。でも、あの時のリヴァイ先生、すっごい必死だった。もうあの頃からきっと、ハンジ先生の事、好きだったんだろうな」

アルミン「なるほど……いいエピソードが聞けました。ありがとうございます」

ネス「もういいのかな? ま、一人1個ずつ聞いていけば、結構集まると思うぞ」

という訳で、次は昼休みを挟んで古典のキッツ先生だ。

229進撃の名無し:2014/08/03(日) 14:24:16 ID:6ZK.Jc620
キッツ「ふん……あの馬鹿夫婦の事なんぞ、話す事はない。見たままを演じればいいだろう」

アルミン「そこを何とかお願いします。出来るだけ古いエピソードが欲しいので」

キッツ「古いエピソード………では、あいつらがまだ着任して間もない頃の話が聞きたいのか?」

アルミン「出来れば是非」

キッツ「ふん……教師になりたての頃のあやつらは、本当にいろいろとふざけておったぞ。学校で生徒達と夏休みにこっそり花火をしおってな。ぼや騒ぎを起こして大目玉食らっていた事もある。ハンジ先生は『化学実験の補習です!』と嘘ばっかり言っておったが、さすがに事が露見した時は2人とも、始末書を書かされていたよ」

えええええ。花火事件の主犯格ってリヴァイ先生とハンジ先生だったのかよ!!

キッツ「クビにならなかっただけでも有難い話だというのに。それでもあの2人は反省の色がなかったな。『自分達が学生の頃はOKだったのに…』とかなんとかブツクサ言っていたが。常識を知らなすぎる2人だったな」

と、嫌そうな表情でキッツ先生もまたエピソードを残してくれた。

エレン「リヴァイ先生が元ヤンだったっていうのは、本当みたいだな」

アルミン「あーなんか、その辺の悪い事はセーフみたいな感じだね」

リヴァイ先生のその辺の線引きが面白いな。18禁はダメだけど、花火はOKなのか。

そして音楽の授業のダリス先生にも話を聞いてみた。キッツ先生と似たような苦い反応だった。

ダリス「そうだな。あの2人は着任した年からずっと、じゃれあっているような関係だった」

アルミン「具体的には?」

ダリス「リヴァイ先生は、今は体操部の顧問をやっておられるが、最初の頃は柔道部の顧問をやっていたんだ。その時、技を見せる時に、ハンジ先生を連れて来て、生徒に寝技の講習なども行っていたよ」

アルミン「という事は、リヴァイ先生は柔道の師範の免許も持っておられるんですか」

ダリス「柔道だけではない。剣道も空手も有段者だ。大学時代にその手の格闘系の資格を全部取りつくしたと言っていたので、着任した当時はそっちの指導に明け暮れていたよ。ハンジ自身も、空手の有段者の筈だから、身体能力はあるが、毎回モデルにしていたのは、今思うとわざととしか思えないな」

アルミン「ですよねー(棒読み)」

ダリス「リヴァイ先生も不器用な先生だからな。理由がないと、ハンジ先生に触れなかったんだろう。ま、同じ男としてその気持ちは分からなくもないが」

アルミン「なるほど。貴重なお話、ありがとうございました」

と、いう訳で今日のところはこんなもんかな。

だんだん面白いエピソードが集まってきてニヤニヤしてきた。

でも、これだけ濃密なエピソードだと、リヴァイ先生役をやる奴と、オレの絡み、相当多くなるよな。

アルミン「んーいっそさ、リヴァイ先生役はミカサにやってもらった方がよくないかな」

エレン「え?」

アルミン「だって、結構アクロバティックなシーンと、濃厚なラブシーン、やる事になりそうだよ? ミカサ以外、無理じゃないかな」

エレン「あー」

まあ、人工呼吸とか、そういうシーンもやるならそうなるか。

エレン「打診、してみるか。今のミカサなら、舞台も大分慣れたみたいだし。やってくれるかもな」

という訳で、その件をミカサにも話してみると、

ミカサ「え、エレンとキスシーン、やるの…? (ドキドキ)」

エレン「人工呼吸のシーンとか入れるみたいだぞ。やるとすれば、オレ達でやるしかないような気もするんだが」

ミカサ「了解した。あのクソちびを演じて見せよう(キリッ)」

あ、意外とやる気満々だった。ちょっと意外だな。

エレン「いいのか? ミカサはリヴァイ先生、嫌いなのに」

ミカサ「嫌いだからこそ、演じてやる。リヴァイ先生をとことん恥ずかしがらせられると思うと……ククク……」

嫌がらせするつもりなのか。ああ、なるほどな。

エレン「分かった。じゃあ、その方向で皆とも話していこうか。今回は、メインのキャスティングオーディションは無しでも良さそうだな」

アルミン「うん。皆、賛同してくれると思うよ。むしろ君達以外では出来ないと思うし」

という訳で徐々に方針が固まって来た。

そして演劇部のメンバーもアルミンの提案に同意して貰えたのでこれで心配はいらない。

後はエピソードをどんどん集めていけばいいな。

230進撃の名無し:2014/08/03(日) 14:53:08 ID:6ZK.Jc620
11月5日。水曜日。1限目は数学でネス先生だったけど、もう聞いたので、次は2限目の公民のゲルガー先生に話を聞いた。

ゲルガー「あー2人のエピソードか。うーん。いろいろあり過ぎて何から話せばいいんだろうな?」

アルミン「とりあえず、1個思いつくものがあれば是非」

ゲルガー「だったら、酒飲み比べ大会の時の話がいいかもしれない」

アルミン「酒飲み比べ大会?」

ゲルガー「まあ、職員同士で飲み会をやる時もあるんだが、その時、誰が一番飲めるか競い合った事もあるんだ。ちなみにその時の優勝者はエルヴィン先生。準優勝はピクシス先生だったけど。3位はハンジ先生だったんだ」

アルミン「その辺のメンバーはお酒強そうなイメージですもんね」

ゲルガー「エルヴィン先生、すごいザルだからな。俺も飲める方ではあるんだが、エルヴィン先生には勝てないよ。で、其の時、俺、初めて泥酔したリヴァイ先生を見たんだけど……」

そう言えば、泥酔させると面白いみたいな事言ってたな。エルヴィン先生。

ゲルガー「なんかもう、リヴァイ先生、20杯が限界値だったみたいでな。それを越えた途端、豹変して、ハンジ先生に濃厚に絡むようになってしまってな。こう、くっついて離れなくなっちまって。子供かってくらいに。これはまずいって事になって、慌ててハンジ先生が蹴り入れて気絶させていたけど。エルヴィン先生曰く、『泥酔すると本性が出るよwww』って事らしいから、多分、そういう事だったんだろうな」

なるほど。エルヴィン先生がニタニタしていた理由ってそういう事だったのか。

もしかしたら、賭けをしていた時に言っていた「根拠」っていうのはコレの事だったのかもしれない。

つまりエルヴィン先生は昔から知っていたんだ。

リヴァイ先生の潜在意識の中に「ハンジ先生」が深く眠って居た事を。

だから、100万賭けても平気な顔していたんだな。納得したぜ。

ゲルガー「ま、其の時の大会は4位がリヴァイ先生で5位が俺だったんだが。上位3人の容量は桁違いだったな。酒強すぎて羨ましいくらいだよ」

アルミン「なるほど。いいお話が聞けました。ありがとうございます」

ゲルガー「いやいや。この程度の事なら大したことねえよ」

と、ゲルガー先生も苦笑をしていたのだった。

231進撃の名無し:2014/08/03(日) 15:38:37 ID:6ZK.Jc620
3限目は地学だ。モブリット先生の担当だけど。

さすがにモブリット先生に問いただすのは酷なので、スルーしようとも思ったんだけど。

なんていうか、キノコが生えているのかってくらい、ずっとじめじめしていたから、つい、声をかけちまった。

エレン「あの……モブリット先生、大丈夫ですか?」

モブリット「あははは……大丈夫だよ。うん。全然、大丈夫だから(げっそり)」

エレン「ご飯、食べてますか? とりあえず、寝てますか?」

モブリット「うん。3日に1回はちゃんとご飯食べているから大丈夫……」

うわあ。それは大丈夫な状態ではないな。

エレン「…………」

そっとしておくしかないのかな。まあ、目の前で好きな人が結婚宣言したら、憔悴してもしょうがねえか。

エレン「あの、モブリット先生」

モブリット「なんだい? (げっそり)」

エレン「その、モブリット先生から見て、ハンジ先生って、どこが魅力的だったんですかね」

モブリット「んー」

ふと疑問に思ったから聞いてみたんだけど、モブリット先生は意外とあっさり答えてくれた。

モブリット「優しいところ、に尽きるかな。ハンジ先生にどれだけ助けられたか分からないよ」

と、言っていた。

モブリット「教師として着任して間もない頃、仕事を捌けなくてアプアプしていた時とかに、ハンジ先生は必ず『大丈夫ー? 手伝おうかー?』とか、『飲み物いるー?』とか『元気出してね! ファイト!』って言ってムードを作ってくれたと言うか。職員の中では皆のムードメイカー的存在だったんだ」

あ、リヴァイ先生と同じ事言ってる。

やっぱり、そういう部分って、惹かれるものなのか。

モブリット「実際、どうしようもない時に何度か仕事を手伝ってくれた事もあったしね。女性なのに男性より仕事を捌くの早いんだ。その上、明るくて、可愛くて、笑っていて。年上だって事を忘れそうになるくらい、チャーミングな女性だと思ったよ。たまにドジやるところも可愛かった。ああああああ…(ズーン)」

しまった。いろいろ思い出して落ち込ませてしまったようだ。

エレン「すんません。思い出させて」

モブリット「いや、いいよ。時間が解決してくれるのを待つしかないね。こればっかりは……」

という訳で、モブリット先生は背中を丸めながら教室を出て行った。

4限目は生物だ。ハンジ先生、今日は何か凄く綺麗だな。

格好はいつもの白衣だけど。髪型がちょっと違う?

こう、くるんとねじって頭を盛っている。着物を着る時の髪型に近い。

アニ「今日も髪型違いますね。ハンジ先生」

ハンジ「ん? ああ……なんか、最近、リヴァイがヘアメイクにはまっちゃってねー。私の髪で遊ぶようになっちゃったんだー。毎日、いろいろやってくれるよ。これもその試作品だね」

と、照れ臭そうだった。

232進撃の名無し:2014/08/03(日) 16:04:35 ID:6ZK.Jc620
そして自分の顔を指さして、ハンジ先生はちょっと自慢げに言った。

ハンジ「実はこのメイクもあいつに全て任せちゃってるんだ。もう完全に『全自動リヴァイ』って感じ? いやーあいつと付き合う事がこんなに楽チンだとは思わなかったね。今までもいろいろ頼っていたけれど、今はもう、あいつ無しじゃ生きていけないくらい、楽な生活を送らせて貰っているよ。もう、本当にどうしようwww」

むしろそれが狙いなのでは? とも思ったけど、まあいいや。

ハンジ先生も実は惚気たいんだろう。顔にそう描いてある。

そんな感じで幸せ新婚気分のハンジ先生の授業が終わると、午後の5時限目は英語の授業になった。

修業が終わってからアルミンがキース先生にも取材していた。

キース先生もまた、苦笑を浮かべている。

キース「あー再現劇をやるのか。ふん……今更な気もするがな」

アルミン「昔からずっとあんな調子だったから、ですか?」

キース「それもあるが、職員の中ではあの2人の掛け合い夫婦漫才は有名だったからな。もう見慣れたというか、今更再現劇を見ても「懐かしいな」としか思わないと思うぞ」

アルミン「いや、そこを再現して、2人を冷やかすのが目的なので」

キース「ふん……まあ、それならいいが。そうだな。ハンジとリヴァイの職員の席は隣同士だから、朝や放課後の職員会議で居眠りするハンジにいつも、リヴァイが足を踏んだり、脇腹つついたりして起こしていたりしていたな」

ぷぷぷ。ありそうな話だな。

キース「それでも起きない時は、髪の毛引っ張ったり、耳引っ張ったり。だんだん過激になって、一回間違えて胸をつついてしまって、ハンジが「んにゃああ?!」と奇声をあげた事もあったな。あの時のリヴァイの顔は傑作だった。胸をつつくつもりはなかったらしいが、脇腹狙ったらしいが、逸れて間違えて触ってしまったそうだ。職員室は一瞬でざわめいたよ」

リヴァイ先生、それ、わざとやってないよな?

事故に見せかけたイチャイチャのように思えなくもない。

キース「勿論、すぐさま『すまない』と謝っていたけどな。あの時のリヴァイの困惑顔は今思い出しても笑えるな」

とまあ、キース先生は「ククク」と笑っていた。

そして6限目は美術。ピクシス先生にも話を聞いてみる事にした。

ピクシス「エルヴィン先生から話は既に聞いている。再現劇をやるんじゃろう?」

アルミン「はい。今、取材をしている最中です」

ピクシス「話したい事は山ほどあるがのう。どのエピソードを暴露しようかのう…(ニタニタ)」

と、手をわきわきしてうずうずするピクシス先生だった。

233進撃の名無し:2014/08/03(日) 16:36:19 ID:6ZK.Jc620
アルミン「あの、ゲルガー先生から聞いたんですけど、リヴァイ先生って泥酔すると本性が出るって、聞いたんですけど」

ピクシス「そうじゃの。20杯を越えると、豹変するぞ。あやつは」

アルミン「その辺のエピソードをもう少しお聞きしたいんですが」

ピクシス「よいぞ。リヴァイは泥酔すると、必ず「ある女」について話してばかりおった」

アルミン「ある女……ハンジ先生ではないんですか?」

ピクシス「まあ、最後まで聞け。その女とは、教育実習生時代に会っていた同期の教習生でな。自分がトラブルを起こした時に、間に入って助けて貰ったそうなんじゃが、其の時に名前や連絡先を聞きそびれて、実習期間を終えてしまったそうなんじゃ」

ああ、そういえばモブリット先生とハンジ先生とリヴァイ先生の3人が揃って学生食堂に居た時にその話はしていたな。

ピクシス「いつか礼を言わねば……そう思い続けているうちに、その女に密かな恋心を持つ自分に気づいたそうでな。ずっと「もう1度会いたい」とぼやいておったんじゃ。………つまり、その「助けて貰った教習生」というのが、ハンジであったんじゃが、あやつ、それにずーっと気づいておらんでのう」

エレン「ああ、最近になってやっと気づいたみたいですよ。ハンジ先生と確認し合ってましたし」

ピクシス「ほほう? いつの間に。それは良かった。そういう訳じゃから、リヴァイの潜在意識の中にはずっと、その若い頃のハンジの姿が眠っておったのじゃ。あやつが何故、ハンジを捕まえて髪や体を洗おうとしていたのか、これで分かるじゃろ?」

エレン「つまり、綺麗にした姿のハンジ先生を、無意識に求めていたと?」

ピクシス「その通りじゃ。そもそも、再会した時に気づいても良さそうなもんじゃけど、あやつは馬鹿だからの。ずっとそれに気づかず、若い時のハンジに惹かれた自分からずっと逃げておったんじゃよ」

アルミン「なるほどー。もう、その時点で本当は恋に堕ちていた訳ですね」

ピクシス「酒を飲ませたら、そう白状したからの。本人は泥酔した時の記憶は毎回無いそうだが……」

と言ってニタニタしている。

ピクシス「リヴァイとハンジの教習時代の頃に会っていたわしから言わせれば、リヴァイはアホとしか言えん。そもそも、その助けて貰った時点で連絡先くらい交換しておかんのが悪いんじゃ。あやつ、自分から行くのが本当に、下手過ぎる」

エレン「え? それって、もしかして……」

ピクシス「ああ。教習時代、あやつらはこの講談高校に教育実習生として来たんじゃよ。わしはハンジの方の担当教官じゃったが……リヴァイは当時の自分の担当教官をぶん殴ったからの。あの時はわしもいろいろ大変じゃった」

と、過去を懐かしむようにそう語る。

ピクシス「殴られた方の教官は、さすがに自主退職していったがの。しかしあの時、ハンジは言っておった。「何で男のあいつが、セクハラにあそこまでキレるんだろう?」と疑問に思ったらしくてな。それからじゃ。ハンジの方からリヴァイによく話しかけておったんじゃが、リヴァイは不器用な男でな。最初は会話もうまくいかず、困惑するばかりじゃったよ。それでも実習期間が終わる頃にはやっと少し仲良くなったようでな。わしはそれを見てほっとしておったんじゃが……あやつら、本当に馬鹿じゃのう」

と、クククと笑っている。

234進撃の名無し:2014/08/03(日) 16:55:46 ID:6ZK.Jc620
ピクシス「リヴァイが23歳、ハンジが20歳の時じゃったな。教習時代に出会った2人が、4年後、まさか同じ職場で一緒に働き出すとは、これはもう、運命としか言えんじゃろ」

エレン「そうですね。もう、神様の采配にしか見えないです」

アルミン「あれ? ちょっと待って下さい。2人は同期なんですよね。という事は、リヴァイ先生って大学卒業してからすぐ、教員になった訳じゃないんですよね」

ピクシス「そうじゃの。年表にすると、こんな感じになる」

と、言ってピクシス先生はわざわざ2人の歴史を紙に書いてくれた。


    リヴァイ      ハンジ

17歳 高校中退    14歳 中学2年生

18歳         15歳 中学卒業&講談高校入学(担当エルヴィン)

19歳 大検受ける   16歳

20歳 大学入学    17歳

21歳 柔剣道資格取得 18歳 高校卒業&大学入学

22歳         19歳

23歳 教育実習受ける 20歳 教育実習受ける

24歳 大学卒業&就職 21歳

25歳 (土方仕事等) 22歳 大学卒業&大学院入学

26歳         23歳

27歳 教職スタート  24歳 大学院卒業&教職スタート

235進撃の名無し:2014/08/03(日) 17:25:10 ID:6ZK.Jc620
ピクシス「これを見ると良く分かると思うんじゃが、リヴァイとハンジはかなりの神ががり的な縁で出会ったのじゃよ。普通は3年という歳の差のズレがあれば、同じ時期に教育実習を受けること自体が難しい。それを、リヴァイは高校中退や大検等で奇跡的にズレを起こし、ハンジと同時期に教育実習を受ける事になってしまった」

エレン「確かに。これを見ると、まるでリヴァイ先生がハンジ先生に合わせたかのようですね」

アルミン「本当だ。ハンジ先生に寄せていってるみたいに見えるよ」

ピクシス「じゃろう? まあ、ここにもうひとつの神がかった縁も加えて初めて2人の運命が動き出す訳じゃが」

エレン「あ、エルヴィン先生の事ですね?」

ピクシス「そうじゃな。このリヴァイの19歳の時、エルヴィンはリヴァイと出会い、奴を召し抱える覚悟で説得したんじゃ。大学に行かせる事を」

エレン「あーやっぱり、エルヴィン先生、割とガチでそう思っていたんですかね」

ピクシス「まあ、そうじゃな。あやつは冗談では動かない奴だし。本気でリヴァイに惚れ込んでしまってな。「あいつが女だったらな…」が口癖じゃったな。しかしまあ、たとえ同性だろうがそれだけ惚れ込める相手に出会えた事は、幸せな事じゃ。リヴァイはエルヴィンの人生を大きく変えたんじゃよ。あやつ自身も、教職を続けるべきか否か悩んでおったからな。若い頃は」

アルミン「そうだったんですか……」

ピクシス「ああ。リヴァイとの出会いがなければとっくに教職をやめて、博打打ちにでもなっていただろうとエルヴィンは昔、良く言っておった。リヴァイを教職に引きずり込んだのは、エルヴィンじゃが……エルヴィン自身、リヴァイに大きく救われたのだと思うぞ」

エレン「へー」

なんか凄いなあ。人に歴史ありって感じだぜ。

ピクシス「なのに、そこから先がグダグダでのう……折角運命が動き出すと思ってこっちはワクワクして待っておったのに、あやつら、ちーっとも先に進まんのじゃ! 1度だけ、リヴァイが30歳の年の12月に2人で旅行に行ってきた時は「遂にキター!」とぬか喜びしたもんじゃ。2人で旅行に行って、全く手出さんとか、本当にピー(自主規制)ついてんのか? と当時は思ったもんじゃよ」

アルミン「あはははは……」

エレン「まあまあ、結果オーライですよ」

ピクシス「まあ、其の時の2人の旅行のエピソードがひっそりと「種」を植え付けていたとは、わしも知らなかったからの。遅咲きの恋にはなったが、無事に花が咲いてほっとしておるよ」

と、満足げに話し終えてピクシス先生は言った。

ピクシス「少し長話をしてしまったようじゃの。あまりいっぱいエピソードを話しても、劇の中で再現するのは難しかろう。使える部分だけ拾って、あやつらを悶絶させる劇を公演してやってくれ。わしは楽しみにしておるぞ」

アルミン「はい。沢山話して頂けてありがとうございました」

という訳でピクシス先生のエピソードが一番内容が濃くて面白かった。

今日のところはここまでかな。だんだんいろいろエピソードが集まって来たな。

アルミン「うーん。尺が短い方がいいって話だったけど、これだけボリュームあると削る方が難しいよね」

エレン「だな。でも、その辺はエルヴィン先生と話し合いながら決めたらいいんじゃねえか?」

アルミン「そうだね。うん。あともうちょい頑張ってみるよ」

という訳で、その日の取材はそこまでで終わったのだった。

236進撃の名無し:2014/08/03(日) 17:29:38 ID:6ZK.Jc620
という訳で、
リヴァイ×ハンジをミカサ×エレンで演じるという冬公演になります。
エロシーンも少しやっちゃうかも? ぷぷぷ(笑)

ちょっと疲れたのでこの辺で。続きはまたノシ

237進撃の名無し:2014/08/03(日) 19:10:30 ID:pKM6e7GQ0
ハンジがミカサじゃないんかい!!w

238進撃の名無し:2014/08/03(日) 20:42:30 ID:T.AiUBCM0
エレミカ公開イチャラブわくてか
ミカサのエレン愛とリヴァイのハンジに対する執着が相まってすごい劇になりそうだw

239進撃の名無し:2014/08/04(月) 01:33:40 ID:YSQTQJRw0
11月6日。木曜日。1限目の世界史のエルヴィン先生が授業後に「調子はどう?」とアルミンに聞いてきた。

アルミン「はい。順調にエピソードが集まっています。ピクシス先生の話が一番濃いお話でしたけど」

エルヴィン「だろうね。ピクシス先生は私と同じくらい2人の事を気に病んでいたからね。早く2人の子供が見たくて今からうずうずしている筈だよ」

アルミン「子供……で思い出しましたが、あの、個人的に聞いてもいいですか?」

エルヴィン「ん? 何を?」

アルミン「エルヴィン先生自身が、リヴァイ先生が19歳の時に出会った時のエピソードです。リヴァイ先生に惚れ込んだ理由が気になってしまって」

エルヴィン「え? 話していいの? 引かない? 大丈夫? 私、本当にバイの人間なんだけど」

アルミン「あ、はい。それは既に知っているので大丈夫です。これはあくまで取材ですので」

エルヴィン「分かった。そういう事なら、進路指導室で話そうか。ちょっと長い話になるからね。放課後、いいかな」

アルミン「分かりました。では放課後で」

という訳でエルヴィン先生の話は一旦保留にして、次は、3限目の現国のイアン先生に話を聞いてみた。

イアン「ふむ。リヴァイ先生とハンジ先生のエピソードか。私は他の先生方に比べたら、ここに赴任してからまだ年月が浅い方だから、そう詳しく2人の事を知っている訳ではないが、前に一度、居酒屋で偶然、2人と遭遇した事があるぞ」

アルミン「へーそうなんですか。2人で飲んでいたんですか?」

イアン「みたいだな。ハンジ先生の方がかなりテンション高く酔っぱらっていてな。リヴァイ先生の方が車を出していた様子だったから、リヴァイ先生は飲んでいなかったようだが、最後はおぶって連れ帰っていたようだよ。其の時のリヴァイ先生、凄く困った顔をしていたけれど、何だか照れ臭そうだったね」

アルミン「へー何かいい事あったんですかね」

イアン「んーどうだろ? 確かあの日は9月頃だったかな。ハンジ先生、9月生まれだから、もしかしたらささやかな誕生日会でも2人でやっていたのかもしれないね」

アルミン「あ、なるほど。ハンジ先生の誕生日お祝いを2人でしていたのかもですね」

イアン「正確な日付までは覚えていなくてね。すまないね。メモしておけば良かったけど」

アルミン「いえ、十分です。恐らくそれで合っていると思いますので」

イアン「ふふ…再現劇、楽しみにしているよ」

そしてその日の6限目は再び保健体育の授業が行われた。

時間がまた、10分くらい余ってリヴァイ先生が「やれやれ」という顔になる。

リヴァイ「その期待する目つき、やめろ。第二回目の特別授業、やって欲しいのか?」

アルミン「是非お願いします! (頭擦りつけ)」

リヴァイ「全く……お前らも本当に下世話な話が好きだな」

アルミン「思春期なので(キリッ)」

リヴァイ「まあ、気持ちは分からんでもないがな。さて、今回は何の話が聞きたいんだ?」

アルミン「次は、服の上から肌を触った後の事を是非」

リヴァイ「服を脱がす時の作法か。分かった。では、そのやり方もいくつか教えてやろう」

とまた、黒板を使って説明し始めた。

240進撃の名無し:2014/08/04(月) 01:36:01 ID:YSQTQJRw0
リヴァイ「これはあくまで俺の自論になるが………『服は中途半端に脱がした方が面白い』だな」

アルミン「中途半端……半脱ぎの方が好みって事ですか?」

リヴァイ「基本はそうだが、それだけじゃない。脱いだ服を使えば、相手の動きを少しだけ制限する事が出来る」

ジャン「動きを制限……(ごくり)」

リヴァイ「完全に固定する訳じゃないが、女が「動きづらい」と思わせるような脱がした方をした上で、直接肌に触れていくと、相手は大抵、困った顔をする。抵抗したいけど、服を破るような激しい抵抗は出来ないし、かといって、完全に固定されている訳ではないから、自由もある。この真綿で包む様な感じが、割と好評だったのでな。俺の場合は「バンザイ」をさせた状態で、服はそれ以上脱がさないで、責める」

脱いだ服を利用するなんて、思ってもみなかった。へええええ。

リヴァイ「ズボンとかだと、尚更それがやり易いな。足首辺りを半固定した状態で触ってやると、相手は「早く全部脱がせて欲しい」という感情と「このままでいたい」感情の板挟みになるようでな。大抵、困った顔になる。暫くはその状態で焦らして遊んで、飽きた頃にやっと全裸にしてやる感じだな」

おおおお……皆、何故か小さく拍手をした。

リヴァイ「ただ、何度も言うが「せっかちな女」にこれをやると、逆にキレられるから注意しろよ。全員がこの方法を好む訳じゃない。俺が話しているのはあくまで「スロータイプ」の女に対する対処方だからな」

エレン「では、せっかちタイプの場合は、どんな感じになるんですか?」

ミカサの場合はどう考えても「せっかち」な気がするので一応聞いてみる。

リヴァイ「あー……せっかちな女、俺は勝手に「クイック」タイプと呼んでいるが、そういう女の場合は、むしろ裸からスタートした方がいいかもな」

エレン「裸から……」

リヴァイ「風呂でも先に一緒に入って、それこそ風呂場でやってもいいし、服を着ないままベッドインしてもいい。とにかく濡れるのが早い女もいるから、そういう女の場合は遠慮しなくていい。男のペースでガンガンいった方がかえって喜ばれるぞ」

エレン「へー……」

リヴァイ「ただ、クイックタイプは女でありながら、身体が男性的であるとも言える。だから結構、本番で頑張らないと満足出来ずに消化不良起こす場合もあるから、頑張れよ」

エレン「は、はあ……」

何故か応援されてしまった。ん? ジャンがこっち見てる。

ジャン「てめええ……まさかとは思うが……」

エレン「え? あ、いや、今のはあくまで参考までに聞いただけだぞ?!」

しまった。今の聞き方だとミカサが「クイック」だとばらしたようなもんか。まずい。

ジャンの目がまた真っ赤に染まり始めている。しまったな。

リヴァイ「ただ最初の頃は男側が「十分に濡れた」と勘違いする場合が殆どだから、クイックタイプのセックスは最初は絶対、お勧めしないぞ。そのやり方に付き合わされて、女性器に擦過傷を負う女も多い。所謂、擦り過ぎだな。ヒリヒリするようなやり方は後々、女側に負担をかけるから、「十分に濡れた」と判断する方法を、もう少し詳しく説明する」

と、リヴァイ先生はもう一つ、言葉を書いた。

241進撃の名無し:2014/08/04(月) 02:20:39 ID:YSQTQJRw0


『指が3本が簡単に入る状態になるまでは挿入は絶対するな』


リヴァイ「中指、薬指、人差し指を合わせたくらいの大きさを軽く試して入れてみて、痛がるうちは絶対、奥まで入れるな。それはまだ、準備が整っていない証拠だからな。濡れているからもう大丈夫だろうと勘違いして、一気にいく馬鹿がいるが、それは女の方が我慢しているだけだからな。以前、女に直接、愚痴られて俺も初めて知ったんだが、7割の女は、挿入時の「痛み」を我慢した状態でセックスに大抵、臨んでいるそうだ」

アルミン「それって、スロータイプの数字と合致しますね」

リヴァイ「よく気づいたな。つまり、やり方が合ってない状態であっても、女側がそれを言い出せず、痛いと思いながらも「演技」で気持ちいいふりをしてくれている場合もあるんだよ。男を傷つけない為の優しさだな。でもそれを鵜呑みにして、合ってないやり方を続ける男も多い。俺がこの事を知ったのは、俺自身がもともと、男だけど、スロー寄りのセックスが好みだった為だ。クイックタイプのセックスばかりやっていた女とやった時に「こんなの初めて!」と驚かれてな。詳しく話を聞いてみたら、そういう事だったと聞いて俺も初めは驚いたもんだ」

エレン「へー。リヴァイ先生、スローの方が好きなんですか」

リヴァイ「まあな。10代の頃はクイックが殆どだったが、20代に入ってからはスローの方の面白さに目覚めたんでな。時間はかかるが、達成感の大きさで言ったら、スローの方が断然いい」

何か思い出したのかな。今、一瞬、すげえエロい顔になったぞ。

リヴァイ「インスタントのカップ麺と、手打ち麺くらいの味の差があると言っていい。腹減っている時なら、早く食える方を優先するかもしれんが、そこはぐっと我慢して、一度、手打ち麺を食ってみろ。もうカップ麺は食えなくなるぞ。手打ち麺の深い味わいに病みつきになる」

エレン「へー」

リヴァイ「スローの方は、イク感覚を重視するセックスではないから、最終的に繋がる事を目的とはしていない。やれない時はやらなくてもいい。それくらいの楽な気持ちで臨むんだ。でも、そうやってまったりと進めた先に、女の方が徐々に、心身ともに全てを預けてくれる瞬間が必ず、くる」

心身ともに、全てを預ける瞬間、か。

リヴァイ「その瞬間の女の美しさは、言葉じゃ表現うまく出来ないな。いきなりスローでやれと言っても、10代の頃は難しいだろうから、無理には言わないが、少なくとも、セックスをする際は女側がいろいろ我慢している場合もあるという事は、男としては知っておいた方がいいぞ」

と、言いながら今度はちゃんと黒板の文字を消している。そろそろ時間だ。チャイムが鳴った。

リヴァイ「という訳で、今回の特別授業もテストには全く出ないから覚える必要性はないぞ。適当に聞き流しておけ。以上だ」

という訳で第二回目の特別授業が終わって、リヴァイ先生が教室を出ていくと、アルミンは「凄いねえ」と驚いた。

アルミン「なんか、びっくりする事ばかり聞かされたね。女の人が「演技」しているとか何とか」

エレン「ああ。演技されたら嫌だよな。嘘はついて欲しくねえけど」

その辺は男の手腕にかかっているんだろうな。俺も頑張らねえと。

そんな風に思いながら、放課後を迎え、次はエルヴィン先生の話を聞く事になった。

オレとアルミンが先に鍵を貰って進路相談室で待っていると、後からエルヴィン先生がやってきた。

242進撃の名無し:2014/08/04(月) 04:04:30 ID:YSQTQJRw0
お馴染みの紅茶を出してくれた。紅茶を頂きながら、エルヴィン先生の昔話を聞いてみる。

アルミン「まず、お聞きしたいのは、「何処で」リヴァイ先生と初めて遭遇したのか、です」

エルヴィン「ああ。あれは忘れもしない。リヴァイが19歳になった日の12月25日。リヴァイがゴミ捨て場に捨てられていた「子猫」を腕の中に抱いて、自分自身もゴミ捨て場に蹲っていた時の事だ……」

と、遠い記憶を呼び覚ましながらエルヴィン先生は言った。

エルヴィン「その時のリヴァイは、何だかやつれていてね。目に光がなかった。ただ、子猫を抱いて、まるで母親のように子猫を撫でていたけれど。それは子猫の為にやっているというより、自分を慰める為に撫でているように見えたよ。私はこんなクリスマスの当日に、何故こんなところで蹲っている少年がいるのか、気になってね。夜だったけど。こっちから話しかけてしまったんだよ。『一体、何をしているんだい? こんなところで。補導されるよ?』って聞いてみたら、あいつ『俺はもう19歳だ。来年になったら20歳になる。もう子供じゃねえんだよ』と言い返してきてびっくりしたよ。とてもそんな年齢に見えなかったからね。中学生くらいにしか見えなかったんだ。当時のリヴァイは」

ああ、今も十分若いもんな。30歳でも通りそうな外見しているもんな。

その頃からそんな感じだったんだろうな。きっと。

エルヴィン「何か事情があるんだろうか、とも思ったが、一応、『保護者の方はいないのか?』と聞いてみたんだ。そしたらリヴァイは『初めからいねえよ。俺はいつも一人だった』と、言ってね。恐らく孤児だったのかな。リヴァイには血の繋がりのある人間がいないようだった。だからか、少し他人に対して壁があるようにも見えたけど。私は一応、当時、教職に身を置いていたし、このまま見過ごすのも悪いかなとも思って、どうしようかなって暫く考えていたんだが……」

そしてその直後、エルヴィン先生は笑った。

エルヴィン「あいつ、その後に『この子猫、あんたが飼ってやってくれないか? 俺はこいつを助けてやれない』と言ってきてね。私は犬猫を飼う趣味はなかったから、困ってね。『それは無理だよ』ってすぐ答えたら、『そうか……』と言って残念そうに俯いてね。そして『俺にまともに就職する能力があれば、こいつを養ってやれるんだがな……』と、自分に対する憤りを漏らしてね。その瞬間、私は今まで経験したことのない『何か』が降りて来たのを感じたんだ」

エルヴィン先生が少し興奮しているのが分かった。頬が少しだけ赤く染まっている。

エルヴィン「私はリヴァイに聞いたんだ。『就職していないのか?』って。そしたら『高校中退したような奴は、どこもまともに雇ってくれない。運よく採用されても、トラブル起こしてすぐクビになる。所持金も、残りわずかだ。あと一か月、これだけで生き延びられたら奇跡だな』と言って出した金は1000円札1枚だけだった」

アルミン「そんな極貧状態に追い込まれていたんですか…」

エルヴィン「世の中は厳しいよ。確かに高校を中退したような奴に対しては、風当りが厳しい。そんなもんだよ。世の中は」

エレン「…………」

エルヴィン「その当時のリヴァイは言ったよ。『こうなったらもう、生きる為にヤクザにでもなるか』ってね。私は慌てて止めたよ。『ヤクザなんて、やめておけ』って。そしたらあいつ、『だったら、他にどうすればいいんだ? あんた、他に生きる方法を知っているのか?』ってね。私は即答出来ない自分に気づいたよ。確かにヤクザなんてなるもんじゃないけど、だけど、それ以外の進路を提示して、彼が人間らしく生きられる方法を思いつかなかった。教職についているというのに、答えが何も思い浮かばない自分に気づいてね。自分に愕然としてしまったんだよ」

アルミン「いや、それはエルヴィン先生だけじゃないですよ。きっと、他の人だってそんな事を急に訊かれても、即答なんて出来ないですよ」

エルヴィン「アルミン。ありがとう。確かにその通りだと思うよ。でも当時の私は、その事がショックでね。所謂、綺麗事の中で生きていた自分に気づいて、凄くそんな自分が嫌に思えたんだ」

と言って、エルヴィン先生は続けた。

243進撃の名無し:2014/08/04(月) 04:07:27 ID:YSQTQJRw0
エルヴィン「でもその後すぐにリヴァイは『すまん。あんたに聞くような事じゃなかったな』と言って立ち去ろうとしてね。私はその瞬間、リヴァイが本当に死地に赴く軍人のように思えて、思わず奴の手を握ってその足取りを止めてしまったんだ」

エレン「………」

エルヴィン「リヴァイは怪訝な顔をしていたよ。『子猫、引き取ってくれるのか?』って言ったけど、私は『いや、引き取るのは君自身だ』と何故か、即答してしまってね。リヴァイは『は?』って顔をしていたけど。もう、私も勢いで言ってしまったんだ。『子猫ごと、君を引き取ろう。うちに来い』って言って、殆ど無理やり、奴を家に連れ帰った。リヴァイはパニック状態に陥っていたよ。訳も分からず、拉致られたようなものだからね。でも私もその時、何故か『天啓』のような物が降りて来たのを感じてね。いや、正直、大人としてやってはいけない事なんだろうけど、とりあえず、子猫はうちのマンションで飼う事にしたし、リヴァイには無理やり飯を食わせた。あいつも腹は減っていたから、渋々食ってくれたけど。そこからだな。私は何とかリヴァイを口説き落として、教員用の自分のマンションでの同居生活をさせる事にしたんだ」

うおおおい。本当にこの先生、リヴァイ先生、拉致っていたんか!

「監禁」はしてねえけど。「拉致」はやっていたのか。いろいろ危ない先生だな。

エルヴィン「当時のリヴァイは大分、混乱していたよ。何でいきなり連れて来られたのか分からずにいたからね。だから最初は『俺は言っておくけど、男に抱かれる趣味はねえからな? 手出したら、殺すぞ』と言ってきてね。思わず、ドキッとした自分もいたけど、その当時はまだそこまで自分の気持ちに気づいていなくてね。一応『そういうのじゃないよ』とは言ったけど。最初は信じて貰えなかったね」

そりゃそうだな。オレでも同じ事思うな。

エルヴィン「私はとにかく、彼に合うと思われる適性を探したかった。だからまずは何かを彼にやらせてみる必要性があった。そして彼の事を調べていくうちに、彼は私が講談高校に着任する前年に講談高校を中退している事が分かった。すれ違っていたんだよ。その事を凄く憤る自分もいたけれど、でも、ゴミ捨て場でリヴァイを拾えた自分の幸運にも感謝した。私はとにかく掴んだチャンスを活かしたくて、まずは私の趣味のひとつであった、演劇に携わらせてみたんだ」

エレン「それがリヴァイ先生の初めての「裏方」だったんですね」

エルヴィン「そうだよ。当時の私は裏方のリヴァイを注意深く観察したよ。彼は体力もあったし、呑み込みも早かった。頭も悪くない。協調性は少し欠けるけど、でも、不器用だけど真面目で誠実だった。地味な作業も苦にならないようだし、根気強さも持っている。これだけの有能な人材なのに、何故トラブルばかり起こしてクビになるのか。最初は分からなかったけど、後でそれが分かったよ。リヴァイは「魅力的過ぎる」からだって」

エレン「え?」

エルヴィン「所謂、痴情の縺れによる人間関係の方のトラブルが起きるんだよ。好かれ過ぎて、劇団員の女性メンバーがどんどんリヴァイに堕ちていった。リヴァイの方から手を出している訳じゃないのに。なんだろうね? そういうフェロモンでも出ているのかな。とにかく、リヴァイはいろいろ面倒事に巻き込まれる気質があるようで、その度に、男と喧嘩したり、チーフとも口論したり。その時のリヴァイは一か月程度で『もう辞める!』と根をあげちゃったけど。でも、それで大体の原因は分かったから、後はそれを改善すれば何とかなると思ったんだが……」

エルヴィン先生が紅茶を飲んで一息ついた。

エルヴィン「よく考えたらそんなの、改善の仕様がないって気が付いたよ。だって『人に好かれ過ぎる』なんて、どうやって改善するんだ? って思ってね。リヴァイの場合は特別、イケメンって顔じゃないのに、そんな状態になるって事は、やっぱりそれはもう、あいつの「気質」がそうさせているとしか思えなかった。だから、私も当時は頭を悩ませたよ。いっそアイドルでもやらせた方がいいのかなって思ったけど。そんなのをやらせたら、ストーカー被害に遭うのは目に見えていたし、危ないからやらせられないよね」

エレン「まーその通りですよねー」

教師になってもその吸引力は健在だ。芸能人だったらもっと酷い事になっていただろうな。

244進撃の名無し:2014/08/04(月) 04:44:10 ID:YSQTQJRw0
エルヴィン「うん。だから当時の私は本当に頭を悩ませた。リヴァイ自身もいつまでこの生活が続くんだろう? って顔をしていてね。怪訝な表情のまま私と一緒に生活していたから、早いところ、彼の適性を探してやりたかった。そんな時だ。彼が演劇ホールの中にいた、迷子の子供を肩車して、親を一緒に探してやってる風景に出くわしてね。見ず知らずの子供の為に肩車までしてやって、一緒に探してやっていた。その時は、幸いすぐ親御さんが見つかったけど。その時、私は聞いたんだ。『何故、そんな面倒な事をした? 迷子センターにさっさと連れて行けばいいだろう?』って。そしたら、あいつ、なんて言ったと思う?」

エレン「想像がつかないです」

エルヴィン「私もそうだった。そしたら『肩車すれば、見つけられるかなって思った。親も探している筈だし。迷子になった地点からあまり動かない方が、見つかる確率はかえって高いんだよ。こういう時はちょっとじっとして、様子を見る方がいい。それでも見つからない時は、さすがに迷子センターに預けるけどな。まあ、俺もよく迷子にはなるし、子供の気持ちも分かるから一緒にいてやった方がいいかなって思ったんだよ。余計なお世話かもしれんが』って、照れくさそうに言っていたんだよ」

アルミン「へー」

なるほどな。子供が好きって言うのは、そこで分かったのか。

エルヴィン「その時のリヴァイを見て私は二度目の『天啓』を受けたような心地になってね。リヴァイはきっと、そういう仕事が向いていると、当時の私は思い込んでしまってね。もう、これはやらせるしかない。ってなってしまって。リヴァイを酒に酔わせて、契約書書かせて、大検受けさせて、無理やり大学に行かせる事にしたんだよ」

この辺の強引なところは本当、怖いよなあ。エルヴィン先生。

思い込んだら一途なのかな。リヴァイ先生、パニック状態だったろうなあ。

エルヴィン「リヴァイは『ふざけるな!!! よりにもよって何故、教職になんかつかないといけないんだ!!!』って最初は抵抗していたけどね。でも私も引かなかった。リヴァイにはきっと、教師という職業が向いていると思った。私なんかより、他人の気持ちを慮る気質があるし、何より人に好かれる気質を持っている。体力もあるし、真面目な性格だ。体育教師であればきっとやれると思った。だから無理やりとある体育大学に行かせる事にしてね。その資金は全て私が出す事にしたんだよ」

アルミン「もうリヴァイ先生自身もベルトコンベヤーに乗せられちゃったんですね」

エルヴィン「まあね。リヴァイの事だから、一度契約書を書かせてしまえば、それを反故にはしないだろうと思った。渋々だけど、大検を受けて一発合格して、大学の寮に住まわせて、その後は離れて暮らしたけど。1〜2年程度かな。大学に入る前まではリヴァイとは一緒に生活していたんだよ」

エレン「でも、大学卒業してから、すぐには教師にならなかったんですね」

エルヴィン「ああ。大学を卒業したら、以前よりは働ける窓口も増えたようだから、初めは土方仕事や宅配、あとトラックの運転手とかかな? たまに劇団のアルバイトもしていたようだよ。裏方のね。いろんな職業を掛け持ちして、大学資金に利子までつけて、金を返そうとしてきたけど、私は受け取らなかった。それよりも『さっさと諦めて教師になってよ』と口説いてね。私はリヴァイと一緒に仕事をしたくて堪らなかった。その頃かな。ようやくこの気持ちが、ちょっと人より異常だって気づいて、自分でも困ったんだけど」

気づくの遅いなー。エルヴィン先生もあんまり人の事言えねえぞ。

245進撃の名無し:2014/08/04(月) 05:20:25 ID:YSQTQJRw0
エルヴィン「でも、リヴァイはそっちの気は全くないし、むしろ気持ち悪がっているのを知っていたから、さすがにそれを自分から言い出す勇気はなくてね。ちょっと切ない気持ちにもなったけれど、リヴァイもようやく重い腰を上げて『分かった。そこまで言うなら教師を試しにやってみるが、無理だと思ったらいつでも辞めてやるからな』と言って、ようやく私と同じ講談高校に着任したんだ。それが偶然、ハンジの着任した年と重なってね。まあ、その後の事は、もう既に知っているだろうけど。2人があんな感じになっちゃった訳で。私は「早いところくっつかないかな」と思っていて。息子でも娘でもいいから、貰えないかなって、虎視眈々と企んでいた訳だよ」

すげえ人生設計だよな。エルヴィン先生、いろいろすげえ。

アルミン「じゃあもし万が一、リヴァイ先生がエルヴィン先生の気持ちに気づいて、それに応えちゃっていたら、こっちの二人がくっついていた可能性もあった訳ですね」

エルヴィン「リヴァイが男もいける口だったら、の話だよ。もしもの可能性を追っても仕方がない」

エレン「でも、エルヴィン先生、一度も告白していないんですよね? もし告白していたら、リヴァイ先生の気持ちが動いていた可能性あったかもしれないですよね」

エルヴィン「うーん。殴られるのがオチじゃない? 縁切りされる方が怖いよ。そんな事をされたら、私は生きていく意味を無くしてしまう」

と、さらりと言うあたり、エルヴィン先生も問題ある先生だなあと思った。

エルヴィン先生、冷たいようで情熱家な部分もあるんだ。

一途なんだよな。それでいて、目的の為には自分の気持ちも簡単に犠牲に出来るんだ。

エレン「そうですか……でも、リヴァイ先生は『専業主夫』になるのが夢のひとつだって言っていたから、パートナーになる人間って、仕事を持っている方の方が良かった訳ですよね」

エルヴィン「ははは……あれは冗談じゃない? リヴァイなりの」

エレン「んーまあ、そうかもしれませんが。でも、その、エルヴィン先生が進路指導室に来る前に、その、リヴァイ先生自身が『目を逸らしていた事を突き付けるな。俺も薄々、そんな気配は感じる事があったんだが、見ないようにしていたんだぞ』って、言っていたんで、なんとなく、気づいてはいたようでしたよ?」

と、オレが言ってやった瞬間、エルヴィン先生の顔が固まってしまった。

アルミン「え? リヴァイ先生、そんな事を言ってたの?」

エレン「ああ。ミカサと進路指導室に行った時、リヴァイ先生とハンジ先生が今後について話し合っていた時だな。放課後、2人がいろいろ話しているところ、オレ達、聞いちまって。その時に…」

エルヴィン「え……じゃあ、リヴァイ、薄々、私が例の告白をする前から、気づいていたって事?」

エレン「だと思いますよ? きっと。あの感じだと、ずっと前から薄々気づいていて、あえて目を逸らしていただけだったんじゃ……」

エルヴィン「………………そうか」

エルヴィン先生が両目を瞑ってしまった。堪えるように。

エルヴィン「ずっと隠していたつもりだったが、薄々気づいていたのか。リヴァイの奴は……」

エレン「いや、無理でしょう。どう考えても。エルヴィン先生の行動自体が、それを気づかせるに十分な事をやってますからね」

エルヴィン「うううーん。ねえ、もしかして、だけど。押したら、押し倒せた可能性、あったのかな? 私は」

エレン「うううーん。どうなんでしょうかね。それこそ、本人に聞かないと分からないですけど。ただ、何もしなかったのは、ちょっと勿体なかったような気もします」

アルミン「エレン、応援しちゃうの?!」

エレン「いや、そうじゃねえけど! でも、エルヴィン先生もなんか可哀想だなってつい、思っちまってな」

ここにも隠れた恋があった訳だろ? いや、同性同士だけど。

オレはそっちの趣味は分からんが、だからと言って、恋心そのものは否定したくねえ。

246進撃の名無し:2014/08/04(月) 05:38:24 ID:YSQTQJRw0
なんていうか、エルヴィン先生もエルヴィン先生で問題だらけだろ?!

いや、オレももし、リヴァイ先生と同じ立場だったら、「ごめんなさい」しかしねえけど!

エルヴィン先生、頭を抱えちゃって、

エルヴィン「うーん……やっぱり、1回くらい拝み倒してやらせて貰った方が良かったのかな」

と、ちょっとだけ赤面して誤魔化す様に舌を出した。

エルヴィン「いや、でも私も決めたんだ。私はあの2人を見守るってね。2人の幸せを壊してまで自分のエゴを通せないよ。そもそも、そういう道を選ぶわけにはいかないし。仕方がない事だ。リヴァイが幸せになれる方を、私は選んだんだよ」

と、言った後、驚く声が、聞こえた。

リヴァイ「お前、馬鹿じゃねえのか」

エルヴィン「!!!!」

ハンジ「ごめーん、ちょっと出るに出れなくなってね。てへ♪」

エルヴィン「!!!!?????」

奥のソファから人影が出て来た。ソファに隠れていたようだ。

2回目かよ!!! え? でも、オレ達が入った時は鍵、かかってたんだけどな。

リヴァイ「合鍵。進路指導室、鍵は2つあるだろ? ちょっとハンジとここでこっそりイチャイチャさせて貰っていたんだが、まさかお前らが後から入ってくるとは思わなくてな」

ハンジ「エルヴィン〜この間のお返しだよ〜私を騙したお返しだよ〜うふふふ〜♪」

エルヴィン「…………やられた」

エルヴィン先生が顔を覆っている。珍しい。エルヴィン先生が出し抜かれるなんて。

247進撃の名無し:2014/08/04(月) 06:06:47 ID:E7j3qB6M0
リヴァイ「やれやれ。何を考えているのか良く分からん奴だと思っていたが……まさかそこまで考えていたとは」

エルヴィン「………………」

エルヴィン先生が珍しく動揺しているのが分かる。顔が少し赤い。

やべえ。なんでこう、オレ、こういう場面に遭遇してばっかりいるんだろ?

まあ面白いからいいけどな。うん。

リヴァイ「エルヴィンがそこまで俺の事を考えて行動していたとは思っていなかった。予想以上に驚いたぞ」

エルヴィン「…………リヴァイには言うつもりなかったんだがな」

リヴァイ「仕方がないだろ。もう聞いちまったんだ。ただまあ、エルヴィンのしてくれた事は、今でも感謝しているし、それに対する『借り』もまだ俺は返していないからな」

エルヴィン「………うん」

エルヴィン先生、リヴァイ先生の方を見れないでいるようだ。

これ、やっぱり本気だったんだな。おどけて誤魔化していただけだったんだ。

リヴァイ「さすがに一発やらせてくれっていう頼みはきけないが、そこまで言うなら、仕方がねえな。エルヴィンの望みをひとつくらいは叶えてやらんといかんよな」

エルヴィン「え?」

リヴァイ「娘が生まれる保証はないが、善処はしてやろう。ただし、娘が嫌がった場合は許さんぞ。実力でちゃんと、落として見せろよ。ロリコンの名にかけて」

エルヴィン「え? 本当に、いいのか?」

リヴァイ「あくまで『産まれたら』の話だがな。先の事は分からん」

エルヴィン「じゃあ、本当に…?」

リヴァイ「くどい。俺が約束を破った事、あったか?」

その瞬間、エルヴィン先生が本当に嬉しそうに、顔をあげた。

エルヴィン「ははは……待ち望んだ甲斐があった。本当に。ありがとう。リヴァイ」

リヴァイ「ふん……(照れる)」

ハンジ「あーもう、リヴァイ可愛いー! 顔赤いよ?」

リヴァイ「うるさい。いちいち指摘するんじゃない。俺もどうしたらいいか分からん」

ハンジ「照れちゃって♪ でも危なかったねー。私、もしかしたらエルヴィンにリヴァイを先に取られていた可能性、あったって事だよね?」

エルヴィン「いや、それはない……」

ハンジ「いやいやいや、分かんないよ? 人生なんて、転がった先にどうなるかなんて! だってリヴァイのこの反応、みてよ! 満更でもない顔してるじゃないの!」

リヴァイ「ハンジ! お前は俺の嫁になるんだろうが! ふざけた事を言うんじゃねえ!」

ハンジ「いや、それは分かってるけどさ! でも、なんか私もいろいろ切ないんだよ? エルヴィンにはすっごくお世話になったしさ。エルヴィンにもちゃんと幸せになって欲しいもの!」

リヴァイ「それは俺も同じだが……だからと言って、俺がその……応える訳にはいかんだろうが」

ハンジ「あーうん。でもなんか、エルヴィンならしょうがないかなーって思う自分もいるんだよねー」

リヴァイ「おい、冗談でもそんな事を言うな。エルヴィンが本気にしたらどうする気だ」

248進撃の名無し:2014/08/04(月) 06:28:46 ID:YSQTQJRw0
ハンジ「いっそ、新居に3人で暮らしちゃう? そしたら良くない? ダメかな?」

リヴァイ「アホか!!! エルヴィンが居た堪れないだろうが!!」

エルヴィン「いや、私は、その……2人さえ良ければ、同居も構わないとは思っているが」

リヴァイ「!!!」

ハンジ「じゃあいいじゃん! 一緒に住んじゃおうよ。んで、子育ても手伝って貰えばいいじゃない」

リヴァイ(頭痛くなってきた……)

あ、今、言葉に出してないけど「頭痛」している顔だな。

ハンジ「どうしてもだめかな? 私、エルヴィンとも一緒に住んでもいいと思ってるよ。だって、エルヴィンはもう、リヴァイの「父親代わり」みたいなもんじゃない。私にとっても、その感覚に近いんだよ?」

リヴァイ「いや、確かにやってもらった事は「父親」みたいな事だが、エルヴィン自身がその……俺にそういう気持ちがあるなら、それは父親とは呼ばないだろうが」

ハンジ「そうだけどさー。うーん。リヴァイは本当に、そういう同性愛ってダメな人なの?」

リヴァイ「……………………今までのアプローチしてきた同性愛の奴らは、体目当ての奴らばかりだったからな。エルヴィンのような真剣な想いを聞くのは、俺だって初めてなんだよ」

と、リヴァイ先生自身、少し混乱しているようだった。

リヴァイ「と、いうより、エルヴィンに始まった事じゃないが、どうしてこう、俺は皆に愛されているんだか良く分からん。ペトラも、ニファも、オルオもそうだ。俺はそんなに大した事はやってないんだが、真剣な想いを受ける度に、どうしていいのか分からなくなるんだぞ」

あ、その3名の気持ちも薄々気づいていたんだ。リヴァイ先生。

リヴァイ「そういう意味じゃ、俺を嫌ってくれるミカサの方が余程、プレッシャーがない。あいつは遠慮なくこっちをぶった切ってくれるから、一緒に居て本当に楽だった。たまに癒される事すらあったぞ。もっとお前ら、俺を嫌ってもいいんだぞ!?」

意味不明な事を言い出した。リヴァイ先生、大丈夫か?!

249進撃の名無し:2014/08/04(月) 06:54:13 ID:YSQTQJRw0
ハンジ「そんな事言われてもー。リヴァイがモテキャラなのがいけないんじゃないの」

リヴァイ「俺は顔だって普通だ。むしろ不細工な方かもしれんと思っている。イケメンキャラならともかく、なんでこんな事態になるのか毎回訳が分からん!」

ハンジ「中身がイケメンキャラやってるからでしょうが。あんたのたらしスキルって、相当なものだよー?」

リヴァイ「人をホストみたいな呼び方するな。俺は水商売の男じゃねえよ」

ハンジ「いや、そっちでやっていく才能もきっとあるよ? リヴァイは」

リヴァイ「俺は教師にならなかったら、美容師になりたかったんだが………なんかいつの間にか教師にうっかりなっちまったけど」

ハンジ「あ、だから髪洗うの上手いんだねー。ヘアメイクもその名残り?」

リヴァイ「髪を切るのも好きだが。悪いか」

ハンジ「いやいや、別にいいよ? リヴァイらしくて」

リヴァイ「とにかく、そういう事だから。俺は、その……そんな風に好かれる価値なんて、自分にはないと思っている。だから、どうしたらいいのか……」

エレン「あの、リヴァイ先生。ちょっとこれ、見て貰えませんか?」

さすがにちょっとイラッとしてきたので、オレは以前撮って見せた写メを本人に見せた。

あの面白い顔だ。反応がすげえ楽しい奴。

すると、リヴァイ先生自身もうっかり「ぶは!」と吹いてしまって、

リヴァイ「酷い顔してやがるな……こんな顔していたのか。あの時は」

エレン「ええ。酷い顔でした」

リヴァイ「そうか……こんな顔されたら、確かに写真撮りたくなる気持ちも分からんでもないが」

エレン「ですよね? 分かって貰えました?」

リヴァイ「ああ。そうだな。これも、俺の一部なんだな。むしろこっちの間抜けな俺の方が真実に近いような気がするぞ」

エレン「だったら、これを公表してみませんか?」

エルヴィン「! エレン、その件は……」

エレン「エルヴィン先生、気持ちは分かりますが、最終的な判断を下すのはリヴァイ先生自身です」

エルヴィン「……」

250進撃の名無し:2014/08/04(月) 07:04:14 ID:YSQTQJRw0
エレン「リヴァイ先生は、常々言ってますよね。『俺はそんなに綺麗じゃない』とか、今も『好かれる価値はない』とか、たまにイラッとするくらい自虐的になるんで、いっそ、もう、全部出しちゃいましょうよ」

リヴァイ「全部、出す…?」

エレン「ええ。その上で、皆が慕ってくれるならもうそれは、真実の「愛」だとは思いませんか?」

リヴァイ「…………」

リヴァイ先生が考え込んでいる。意味が通じたかな。

リヴァイ「それは、ファンクラブの件も含めてって事だよな?」

エレン「そうです。もちろん、そのせいで逆にリヴァイ先生のファンが増える可能性もありますが、少なくとも、限りなく真実に近い「リヴァイ先生」を出した上で寄ってくる場合は、先生の危惧する「美化され過ぎた自分」が愛されている訳ではないと思うんですけど。ダメですかね?」

リヴァイ「…………いや」

リヴァイ先生はすぐに納得した様だ。

リヴァイ「その手があったな。何も隠す必要性なんて何もない。むしろジャンジャン出していい」

エルヴィン「リヴァイ、でも、それは……危険だよ」

リヴァイ「何故だ。今のこの「気持ち悪い認識」の方が余程変な状態だぞ。皆、俺を何だと思ってやがるんだ」

エルヴィン「でも、リヴァイ……」

リヴァイ「俺はただの元ヤンの体育教師だ。もうすぐ39歳にもなるおっさん捕まえて、皆、メルヘンチックな幻想を抱くな。愛される側のプレッシャーも少しは考えろ」

エルヴィン「う、ううう……(ぐうの音も出ない)」

251進撃の名無し:2014/08/04(月) 07:17:14 ID:E7j3qB6M0
リヴァイ「エレン、良くやった。あの時は『何勝手に撮ってやがる』と思ったが、ちゃんと理由があったんだな」

エレン「まー衝動的に撮りたくなったのは事実ですけどね。利用出来るかどうかは、リヴァイ先生次第でしたけど」

リヴァイ「分かった。ファンクラブの件も含めて、少し案を煮詰めよう。エルヴィン。その件も含めて、今後の事を少し話したい。この後の時間をくれ」

エルヴィン「はー……(頭抱えている)」

やっちまったって顔しているけど。オレは知らない。決めたのはリヴァイ先生自身だしな。

エルヴィン「どーなっても知らないよ? 私は一応、1度止めたからね?」

リヴァイ「ファンが増えようが減ろうが構わん。とにかくアレだ。皆、俺に対してキャッキャし過ぎるんじゃねえって話だ。そういう意味じゃ、ハンジくらいだぞ。そういう欲目がないのは」

ハンジ「まあねー。こいつ、本当時々、殺したろかってくらいムカつくしねー」

リヴァイ「お互い様だろうが! お前もちょっと知恵を貸せ!」

ハンジ「はいはーい」

という訳でオレとアルミンは進路指導室を追い出された。

後は野となれ山となれって感じだな。

アルミン「えーっと、大体、揃ってきたかなー」

と、ずっとメモに集中していたアルミンがノートを閉じた。

エレン「書けそうか?」

アルミン「うん。大丈夫だと思うよ。後は……出来れば高校時代のリヴァイ先生の情報がもう少し欲しいかな」

エレン「あーそんな古い情報、他に誰か……」

1人、いた。ハンネスさんだ。

エレン「ハンネスさんにも取材するか。確か、元ヤン時代のリヴァイ先生を一番知ってる筈だぜ」

アルミン「そうなんだ。よし、次はそっちに行ってみよー」

と言いながら、移動するオレ達だった。

252進撃の名無し:2014/08/04(月) 07:25:47 ID:YSQTQJRw0
という訳で、かなーりエルリ入っちゃってすみません。
最初に表記するべきか迷ったんですが、ネタバレっぽくなるのも嫌だし、
と思い、あえてカプ表記の中には予め入れませんでした。

ふざけているように見えて、
ちゃんとエルヴィン先生、リヴァイ先生の事、好きだったんですよ。って事で。

253進撃の名無し:2014/08/04(月) 08:51:29 ID:gxXBFpCg0
毎朝このスレを覗くクセがついた…
BLはともかく10年(16?)来の恋を実らせたんだから同居は勘弁w

(てか、けっこん)

254進撃の名無し:2014/08/04(月) 08:55:07 ID:gxXBFpCg0
途中送信スマン

てか、結婚間近で過去の女性遍歴を嬉々として教授するあたり
やはり変態教師…<●><●>

255進撃の名無し:2014/08/04(月) 17:23:00 ID:E7j3qB6M0
ハンネスさんを探して、職員室近くの廊下を2人で歩いていたら、偶然、ハンネスさんに出会った。

良かった。丁度良かったぜ。ちょっと声かけてみよう。

エレン「ハンネスさーん!」

ハンネス「おう、エレンとアルミンか。部活はどうした?」

エレン「今、台本の制作中で取材して回っているところなんだよ」

アルミン「クリスマスの冬公演に向けて、再現劇をやろうと思っているんで、ハンネスさんの知ってる事も聞きたいと思って」

ハンネス「俺の知ってる事? 何を話せばいいんだ?」

エレン「リヴァイ先生の元ヤン時代の話。補導していたんだろ? その時の事を出来るだけ詳細に」

ハンネス「あーなるほど。そこから追っていくわけか」

と、ハンネスさんは腕を組んで懐かしそうに答えてくれた。

ハンネス「リヴァイ先生は、よく1対多数の喧嘩に巻き込まれる事が多かったな。俺達警官が現場にたどり着く頃にはもう、殆ど勝負はついていてな。俺と目を合わせるなり、しょっちゅう逃げていた。こっちもおかげで足腰は随分と鍛えられたもんだよ」

エレン「へー。一匹狼って感じだったんですかね」

ハンネス「んーどうなんだろうな? ただ何度かリヴァイ先生が『リヴァイ総長』って呼ばれている場面に出くわした事もあったから、恐らくグループの頭を張っていたんじゃねえかなとは思うぜ。本人は『その呼び方、止めろ』って良く言っていたが、下の子達と思われる奴らに慕われている様子を見かけた事は何度かあった」

エレン「リヴァイ総長って……」

なんかそれっぽい気がする。ヤンキーの頭やっていたのかな。

256進撃の名無し:2014/08/04(月) 17:45:14 ID:YSQTQJRw0
ハンネス「まあ詳しいところは正確には分からんが、とにかくリヴァイ先生は強かったぞ。一度、大人相手に喧嘩している場面もあったな。相手はヤクザだったんだが、全く怯むことなく1人で戦っていた。ただ、ヤクザ相手に歯向かったせいで、発砲事件に発展してしまってな。一時は騒然となったが、頬を削っただけの擦り傷だけで済んだ。あの強運は、正直ぞっとしたが、本人は平気な顔をしていたよ。普通は拳銃を向けられたら、俺だってビビるって言うのに」

ひえええええ。ヤクザ相手に何やってるんだリヴァイ先生!

ハンネス「その後は何故か、ヤクザの方が穏やかになってリヴァイ先生をスカウトし始めたよ。本人は混乱していたが、何か抜き打ちテストのような物をやらされていたらしい。それが終わった直後、すぐ俺達警官隊が突入したから、事なきを得たが、リヴァイ先生、ヤクザから名刺を貰って困惑していたな」

あぶねー。リヴァイ先生、ヤクザからスカウトかかっていたんだ。

エルヴィン先生が拾わなかったら、本当にヤクザの道に進んでいたかもしれねえぞ。

ハンネス「でもリヴァイはその名刺を俺に渡してきてな。『やる。警察が持ってる方がいいだろ』って、変に生真面目な奴だった。そういう訳で、リヴァイ先生はよく騒ぎを起こしてはいたが、根は真面目な奴なんだろうなって印象だった。酒やタバコはやっていたようだが、薬とかには手を出さないタイプの、ちょっとアウトローな少年って印象だったよ」

エレン「へー」

アルミン「当時の恰好とか分かりませんか? 髪型とか」

ハンネス「ああ、確か当時は金髪だったな。髪型は同じ刈り上げだったけど。ピアスもしていたし、割とオシャレに気を遣う感じの少年だった。衣服はいつも綺麗にしていたし、皺のある服を着ていた事がない。ズボンをずりおろすようなヤンキー特有の恰好のアレじゃなかった。服装だけはヤンキーの恰好じゃないっていう、ちょっと変なヤンキーだったよ」

エレン「写真、残ってないですかね」

ハンネス「んーもう、24、25年くらい前の話だからな。さすがに写真は………あ、いやまてよ」

と、ハンネスさんは思い出したようで、

ハンネス「あるかもしれん。ちょっと待ってろ。職員室の卒業アルバム、見てみるよ」

と言って職員室に置いてある、歴代の生徒の卒業アルバムを探して貰った。

ハンネス「やっぱり。講談高校に途中までは通っていたから、卒業名簿にはないだろうけど、それ以外の、集合写真にこっそり載っている」

エレン「どれだどれだ」

ハンネス「これだ。この、ちょっと目つき悪くて、ヤンキー座りしている小さな少年がリヴァイ先生だよ」

アルミン「あんまり顔、変わってないwwwwwえええええ本当、リヴァイ先生、顔、変わってないねwwww」

と、アルミンが大爆笑していた。オレも必死に笑いを堪える。

257進撃の名無し:2014/08/04(月) 17:54:40 ID:YSQTQJRw0
アルミン「そっかー高校時代は金髪だったんですね。なるほどなるほど(メモメモ)」

ハンネス「参考になったか?」

アルミン「はい! とても。いい感じに情報がまとまってきた」

ハンネス「それは良かった。再現劇、楽しみにしているぞ」

という訳でリヴァイ先生の高校時代の情報も入った。後は何が必要かな。

アルミン「んー後はハンジ先生の方の高校時代、あとは大学時代もざっと知りたいかな。教職に転向した理由って、詳しくは聞けなかったしね」

エレン「え、でも、ST……いや、ダメだ。そこに触れていいのかな?」

アルミン「んーでも、そこ端折っていいのかどうかは、知ってからじゃないと判断出来ないよ。ハンジ先生本人に聞いてみる?」

エレン「でもそれやると、バレるんじゃねえか? ハンジ先生経由でリヴァイ先生に再現劇を知られたら、止められるだろ」

アルミン「んーだとすれば、後は誰が詳しそうかな」

エレン「この学校に居て、在籍が長いのは、ピクシス先生、ダリス先生、あとキース先生、もかな。その辺にもう1回、話を聞いてみるか?」

アルミン「そうだね。キース先生からいってみようか」

という訳で、キース先生を探してみる。

258進撃の名無し:2014/08/04(月) 18:08:28 ID:YSQTQJRw0
キース先生は柔道部の顧問の先生なので柔道場のある第三体育館の隣の柔道場に居た。

キース「ん? どうした。何か用事か?」

エレン「少し、お時間頂けますか?」

キース「構わんぞ。………15分休憩を入れる! 水分補給しろ!」

柔道部員「「「はい!」」」

キース「ふむ。再現劇でまだ、聞きたいエピソードがあったか?」

アルミン「はい。今度はハンジ先生の高校時代のエピソードなどを」

キース「ふむ。ハンジの高校生時代か。だったら、ミスコンの話がいいだろう」

とキース先生は微笑みながら言った。

キース「エルヴィン先生が企画して始めた第一回目のミスコンの女王は、実はハンジ先生なんだぞ」

エレン「え……」

アルミン「えええええ? それ、本当ですか?!」

キース「疑うなら証拠を見せてやろう。職員室に一緒に来い」

と、言ってまたまた職員室に戻る事になる。卒業アルバム2回目だ。

今度は少し年代の違う卒業アルバムを見せて貰った。

そこには、今より若いハンジ先生の姿が………って、ええええええ?!

これ?! これが、ハンジ先生なのか?! 本当に?!

ミカサとはちょっとタイプが違うけど、滅茶苦茶美人だった。

なんていうか、ハリウッド系の女優さんみたいな、華やかさがある。

259進撃の名無し:2014/08/04(月) 18:22:54 ID:YSQTQJRw0
うわああ。これは、なんていうか、エルヴィン先生、若い頃のハンジ先生に手出した理由、分かった気がするぞ。

これだけ美人だったら、確かに「可愛い」って思ってうっかり手出してもおかしくない。

高校生ハンジ先生は、当時としては多分、大人っぽい雰囲気で、でも笑顔で写っていた。

キース「恐らく、エルヴィンの奴もハンジがいたから、ミスコン開催しようと言い出したのかもしれんが。当時のハンジは、結構、モテていたようだったぞ」

エレン「そうだったんですか……」

キース「ああ。ただ、告白されても『なんか違う』とか『この人も違う』とか言って、ザクザク振っている様子でもあったから、女子の嫉妬の羨望を受けていたようでな。たまに『女子が怖い』とも言っていた。それからかな。少しずつ、格好が男性的になってきてね。ボーイッシュな雰囲気も取り入れるようになっていった。大学に進学してからは、また女子力を取り戻そうとしていたようだったが、大学院の途中あたりで、だんだんおかしくなっていってな。昔の面影が無くなっていってしまったんだよ」

アルミン「その当時の事を覚えていらっしゃいますか?」

キース「ああ。まあ、ハンジは高校を卒業してからもしょっちゅう、エルヴィンに会いに来ていたからね。何か困った事があるとすぐ『エルヴィン助けてー!』が口癖だった。私もエルヴィン経由で話を聞く事もあったが、ハンジはどうも、大学の研究チームに入るか否かの段階で、担当教授にセクハラとパワハラを受けたらしくてね。そこで反発して問題を起こしてしまって、大学院に残る事は出来たけど、研究の方に携わる道は閉ざされてしまったと嘆いていたよ」

アルミン「つまり、その事件が、ハンジ先生を「変えて」しまった訳ですね」

キース「そういう事になるのかな。エルヴィンは『そんな碌でもないところ、残る必要ないよ。教員免許、嗜み程度に持ってるんでしょ? 使うなら、枠開けておくからうちの高校においで』ってハンジを誘ってね。ハンジも『もう、それでいいや!』ってとりあえず、うちに来ることになったんだよ」

エレン「なるほど………」

何かだんだん、全体図が綺麗に見えて来た。

ジグゾーパズルのピースがひとつずつ、はまっていくような感触がある。

ハンジ先生も昔はいろいろあったんだな。大変だったんだ。

260進撃の名無し:2014/08/04(月) 19:18:02 ID:YSQTQJRw0
キース「そういう訳で、ハンジは教職の道に進んでみた訳だが、その当時から既に「臭いハンジ」が出来上がっていてな。入学式では、先生達の間では「何だあの先生」とざわめいていたよ。リヴァイは逆にびしっと、男性にしては綺麗過ぎるくらい、高いスーツを着て来て、女性職員がざわめいていたが。そんな2人は一か月後に、あっさり大ゲンカした。リヴァイが耐え切れなかったんだよ。ハンジの「汚さ」に。一月持たなくてな。自分の部屋の風呂に連れ込んで、無理やり髪を洗わせて、ハンジの体を洗ったそうだ。そこからだな。あいつらが、ラブコメ街道を駆けだしたのは」

ラブコメ街道って。まあ、その表現で合っているけどな。

キース「最初はもう、ハンジも凄い抵抗だったな。学校で顔を合せる度にリヴァイから逃げていたし。リヴァイはハンジを追いかけるし。トムとジュリーかと思ったぞ。しょっちゅう追いかけっこしていたからな。ただ、それも半年も過ぎると、やっと落ち着いて、ハンジが『月一サイクルならいいか』と妥協したらしいが。リヴァイは『本当は毎日、やってやりたいが?』とけしかけていたな。その頃になると職員の間でも2人の関係性をなんとなく察するようになったな。だんだん慣れて来て『ああ、またあの馬鹿夫婦か』と思う様になってしまったよ」

と言って遠い目をするキース先生だった。

キース「ただ、当時は本当にまだお互いに付き合っていなかったようだし、リヴァイも着任当時は彼女もいたようだった。しかしだんだん仕事が忙しくなるに連れ、彼女の方の予定に合わせにくくなってしまったようで、自然消滅する事が増えたと、私に一度だけぼやいていた事もあった。教職がこんなに忙しい物だとは思っていなかったようでな。『掛け持ちで肉体労働していた時の方がよほど楽だった』とも言っていた。それでも、リヴァイは真面目だったから、苦手な書類仕事もコツコツこなして、徐々に仕事をこなしていったよ。たまにハンジがそれを手伝っていたりもしたが。ハンジは書類仕事に関しては、さすが研究者を目指していただけあって、とてつもなく早くてね。男性教員が感嘆するほどのスピードで難なくテスト問題も作り上げるし、授業の方は、多少話が長いという欠点はあるが、生徒のウケも悪くなかったから、ハンジもだんだん教職に愛着が沸いてきたようで、少しずつ、2人の距離が近くなっているな、と思っていたんだ」

と、言ってキース先生は一度お茶を注いで飲みながら言った。

オレ達は職員室のソファに向かい合って続きを聞いている。

キース「そしてリヴァイ先生が30歳になる年の12月。2人が旅行に行ってくるという話を聞いてな。ピクシス先生とエルヴィン先生は「よし!」と応援していたが、2人が帰って来てから、「あれ?」とわしは思った。近づいていたものが、少しまた距離が出来たような感じだった。特にリヴァイの方の様子が、少し妙に思えた。『ハンジ先生と実は付き合っているんでしょ?』と生徒にからかわれても以前は『さあな』とか適当に答えていたのに、その旅行を境に『こいつとはそんなんじゃない』ってはっきり否定するようになったからな。わしは旅行先で「何かあったな」とは思っていたが、今思うと、誘って拒否られでもしたんだろうな。そういう雰囲気だった気がする」

キース先生も結構、いろいろ洞察力すげえええ。

さすが教師だな。観察力、ぱねえ。少ない情報でよく分かってるぜ。

261進撃の名無し:2014/08/04(月) 19:29:24 ID:YSQTQJRw0
キース「わしが話せるのはこれくらいかな。少々が長くなってしまってすまない。エピソードは足りるかな?」

アルミン「十分です。足りない部分が完成しました。ありがとうございます」

キース「ふん……ま、せいぜいあの2人をからかって遊んでやろう。わしもいろいろ、げんなりする事が多かったからな」

と、キース先生まで悪い顔をするようになってしまった。

そんな感じで大体、大筋の情報をまとめると、オレ達は演劇部の方に顔を出した。

そしてオレは先に音楽室に来ていたミカサに言ってやった。

リヴァイ先生が言っていたことを。

エレン「ミカサ、やっぱりリヴァイ先生の事、今でも嫌いか?」

ミカサ「うん。嫌い(即答)」

エレン「でも、嫌えば嫌うほど、リヴァイ先生、ミカサに『癒される』らしいから、程ほどにしてくんね?」

ミカサ「ふわっつ?! (青ざめ)」

エレン「なんか、リヴァイ先生、変に天邪鬼なところもあるみたいでさ。ミカサといると『気が楽』なんだそうだ。だから、嫌えば嫌うだけ、リヴァイ先生が和んじまうから、気をつけてくれよ」

ミカサ(ガクブルガクブル)

あ、ミカサが混乱して震えている。はてなマーク飛びまくっているな。

262進撃の名無し:2014/08/04(月) 19:39:17 ID:YSQTQJRw0
ミカサ「い、意味が分からない。嫌えば嫌うほど、癒される? 馬鹿なの? 頭がおかしいの? きっとそうね」

エレン「あ、いや、まあ、その辺は確かに頭おかしいのかもしれんけど。その、リヴァイ先生、人に好かれ過ぎて、それがプレッシャーに感じる時があるみたいでさ。だから、嫌な部分もちゃんを見てくれる人間と一緒にいる方が、気が楽なんじゃねえかって話だよ」

ミカサ「嫌な部分……」

エレン「その気持ちは、分からなくもねえけどな。オレもたまに、ミカサの愛がプレッシャーになる時もあるし」

ミカサ「ガーン……(青ざめ)」

エレン「いや、それが悪いって話じゃねえぞ? 勘違いするなよ? プレッシャーは「あった方がいい」とオレは思ってるし」

ミカサ「そうなの? (涙目)」

エレン「プレッシャーがあるからこそ、格好悪いところ、見せられないって思うだろ。全くないのも男としては問題なんだよ。だから、いいんだ」

ミカサ「そう……(シュン)」

エレン「しょげるなよー。ミカサは逆に、そう思うことねえのか?」

ミカサ「エレンに愛されるプレッシャー? って事?」

エレン「そうそう。そういう感じ。ねえの?」

ミカサ「うーん………あると言えばあるけれど」

と、微妙な顔をするミカサだった。

ミカサ「私の場合はそれが「嬉しい」ので、頑張れる。私はエレンがいれば何でも出来ると思っているので」

エレン「そ、そうなのか」

ミカサ「うん。だから問題ない(どや顔)」

キリッとどや顔を決めるミカサが可愛かった。そうか。そういうものなのか。

やっぱりこういうのって、人それぞれ、感じ方が違うのかな。きっと。

263進撃の名無し:2014/08/04(月) 19:48:24 ID:YSQTQJRw0
ジャン「リヴァイ先生、こっちこねえよな。来ないうちに、準備をこそこそ進めるぞ」

アニ「そうだね。予定が分かればそれがいいけど、来たり来なかったりだから、怖いよね」

アルミン「暫くは大丈夫じゃないかな。なんか忙しそうだったし」

マルコ「それならいいけど。アルミン、大体、話は固まって来た?」

アルミン「うん。大体まとまってきたよ。とりあえず、必要な物から先にピックアップしていくね」

と言ってアルミンは皆に指示を出した。

アルミン「必要なのは、リヴァイ先生側の衣装。講談高校の男子生徒の制服と、金髪のカツラ。あと黒ジャージ。リヴァイ先生の着ている服に似たスーツとスカーフ。水泳用の衣装。これは上から服をはおってもいいと思う。その辺かな」

と言って、メモを頼りに黒板を使って説明した。

アルミン「ハンジ先生側は白衣と眼鏡。あとは……女子大生っぽい衣装と、講談高校の女子の制服だね。制服は新しく作る必要はないから楽だね。女子大生っぽい衣装の選択は、アニに任せてもいい?」

アニ「了解」

264進撃の名無し:2014/08/04(月) 20:04:05 ID:YSQTQJRw0
アルミン「後は……背景セットどうしようかな。何か、ヘリコプターで登場するシーンも必要になりそうだけど」

マーガレット「ヘリコプター……宙づりのワイヤーアクション入れるしかないかもね」

アルミン「あと、3階の窓の外から入ってくるとか。結構、アクション満載になりそうだけど。ミカサ、大丈夫かな」

ミカサ「問題ない(キリッ)」

スカーレット「その辺は、それっぽい演出とカメラワークを使えばいいから。ほら、ドリフのコントみたいにすればいいよ」

アーロン「実際には3階じゃないけど、って奴だな。分かる分かる」

エーレン「あーそういうコント、昔、再放送で観た気がするよ」

アルミン「あと、リヴァイ先生の元ヤン時代を表現するから、殺陣も必要になるね。またエキストラ役で、やられ役の練習する人、必要になるけど」

ジャン「それはもう、前回の侍恋歌で慣れたから問題ねえだろ」

アニ「そうだね。ミカサも格闘シーンは慣れているしね」

ミカサ「うん。大丈夫」

アルミン「ミカサの方は概ね問題ないかな。あるとすれば、エレンがやるハンジ先生の方だね」

エレン「ん?」

アルミン「セクハラシーン、大丈夫?」

エレン「うぐっ……」

そうだった。それがあるんだった。

ミカサ「え? セクハラシーン? 何それ(ゴゴゴ)」

アルミン「後で詳しく話すよ。エレン、今回の劇は、かなーりエレン側がエロいことされるけど、いい? 覚悟決めてくれる?」

エレン「んー」

まあ、もう、頑張るしかねえよな。

エレン「正直、男としては複雑だが、まあ、やってやるさ。しょうがねえよ」

ミカサ「ううう。エレンがセクハラされるの? 私以外の人に? (涙目)」

エレン「しょうがねえだろ。でもその分、ミカサとの人工呼吸のシーンあるから、我慢しろ」

ジャン「じ、人工呼吸だとおおおおおお?!」

アニ「ジャン、うるさい」

ジャン「いや、だってなんだそのエピソード!? そんなの聞いてねえぞ?!」

アルミン「しょうがないじゃん。リヴァイ先生、昔、ハンジ先生を人工呼吸で助けた事あるって他の先生から聞いてきたんだし」

ジャン「マジかよ……OH……(頭抱える)」

アルミン「他にもいろいろ、ツッコミどころ満載のラブコメになりそうだけど。まあ、出来るだけ面白おかしく、台本書き上げるから。頑張ろうか、みんな」

一同「「「「おー!」」」」

という訳で、オレ達はまた、新しい舞台に向けてのスタートを切った。

ジャンはまだ落ち込んでいたけど、恨むならリヴァイ先生を恨んでくれ。

オレとミカサは再現するだけだ。2人の愛の物語をな。

265進撃の名無し:2014/08/04(月) 20:07:37 ID:YSQTQJRw0
ミカサ「ううう……」

エレン「ミカサ、アルミンの台本が出来るまで、涙は無しだ」

ミカサ「そうね。泣いてはいけない。頑張る(キリッ)」

エレン「よしよし」

と、宥めながらオレ達は準備を開始した。

文化祭の時よりは焦らなくていいのがいいな。じっくり取り組める。

エロシーンは少しだけ不安もあったけど、まあ、なんとかするしかねえな。

そんな風に思いながら、オレはクリスマスまでの日を楽しみにしていたのだった。

266進撃の名無し:2014/08/04(月) 20:09:00 ID:YSQTQJRw0
今日はここまでです。長くなりそうです。すみません。ではまたノシ

267進撃の名無し:2014/08/05(火) 13:17:18 ID:o50/jKL60








11月7日。金曜日。最近、忙しかった親父がやっと、その日の夜、少し時間を作ってくれたので早速、オレとミカサはリビングで家族会議を行う事にした。

この会議の主導権はミカサに任せた。ミカサから切り出さないと恐らく親父を説得できないと思ったからだ。

グリシャ「うん。誓約書について、確認したい事があるって?」

ミカサ「はい…」

グリシャ「具体的には? どの部分が気になるのかな?」

ミカサ「誓約書の内容そのものが、変だと思って……」

グリシャ「ふむ」

ミカサ「接触する側、つまり『エレン』からの接触は禁止しているのに『私』の方からの接触を禁止しているのは、何故ですか?」

グリシャ「ああ、記載ミスしていたようだね。御免御免。じゃあ、付け加えて禁止事項を増やそうか」

ミカサ「嫌です。私は、その誓約には同意出来ない……ので」

グリシャ「ふむ?」

ミカサ「この誓約書は『未成年のうちに子供を作らないように予防する為』にかわしたものだと思っています。でも、その場合『あるルール』を守りさえすれば、その事態は防ぐことが出来ると思います」

グリシャ「うん。何か案があるのかな?」

ミカサ「はい。一つは私の生理の周期をきちんと把握する事。もう一つは、その上で妊娠しやすい時期にはセックスを行わない事。勿論、行う際は避妊具も使う事。これを守りさえすれば、私はエレンと、そういう関係になっても構わないと思っています」

グリシャ「…………ミカサの方にも覚悟があるというんだね」

ミカサ「はい。決して私は、エレンに流されて付き合っている訳ではない……ので」

グリシャ「………そうか」

親父は少しだけ笑っていた。安心してくれたようだ。

グリシャ「ミカサがそう思っているのなら、安心だ。でも、決して軽はずみな行動はしちゃダメだよ?」

ミカサ「はい」

グリシャ「では、誓約書に新しい項目を付け加えてもいいかな?」

と、いう訳でオレ達は新しい文面を付け加える事になった。



ミカサ側が許可した場合は、性交渉をしても良いがその際は必ず、避妊具を使用し、妊娠を避ける事。

加えて、危険日と思われる日は必ず避ける事。ミカサは生理周期を必ず把握する事。



グリシャ「これでいいかな? 約束を守れるか?」

ミカサ「はい。約束します」

グリシャ「なら良かった。ほっとしたよ。謎かけを、解いてくれて」

ミカサの母「うふふふ……本当はもっと早く教えてあげたかったんだけどね。自分達で気づくまではダメだって、口止めされていたのよ。ごめんね。ミカサ」

ミカサ「ううん。いいの。大丈夫」

エレン「親父、ありがとう」

グリシャ「うん。君達2人の様子を見ていれば、今のところ順調にきているのは分かっていたからね。そろそろかな、とは思っていたけれど」

エレン「そっか……」

268進撃の名無し:2014/08/05(火) 13:21:49 ID:o50/jKL60
>>267
訂正
ミカサ「接触する側、つまり『エレン』からの接触は禁止しているのに『私』の方からの接触を禁止していないのは、何故ですか?」

文章間違えた。禁止していない、です。

269進撃の名無し:2014/08/05(火) 13:39:57 ID:o50/jKL60
グリシャ「何故、こういう形で誓約書を書かせたか、その理由をもう少し詳しく説明してあげよう」

と、言って親父が話を続けた。

グリシャ「10代の頃は男側の性欲が強すぎて、女側がそれに合わせて応えて、望まない妊娠をさせられたり、擦過傷を負ったり、精神的に傷ついて病んでしまうケースもある。こういう行為は、やはり「女」側のリスクの方が大きい。ミカサは優しい子だから、エレンの我儘にうっかり付き合ってしまっている可能性も捨てきれなかった。だから、ミカサの方から望まない場合は、そういう行為をさせちゃいけないと思ったんだよ」

ミカサ「大丈夫です。むしろ、私の方が、その……あの……(赤面)」

ミカサの母「あらあら。やる気満々ねえ、ミカサ(ニヤニヤ)」

エレン(赤面)

確かにミカサはこっちがびっくりするくらい積極的な時、あるよな。

グリシャ「うん。ミカサもちゃんと、エレンを好きでいてくれているようだ。安心したよ。でも、あんまり事を急いじゃダメだよ? ミカサが誘惑し過ぎたら、エレンの理性なんてあっという間に吹っ飛んじゃうからね」

ミカサ「エレンが誘惑してくる時は、どうすれば?」

グリシャ「え?」

エレン「ゆ、誘惑なんてしてねえよ! 馬鹿!」

ミカサ「熱っぽい視線で見つめられると、つい……」

グリシャ「エレン、視姦も禁止事項に入れようか?」

エレン「無茶苦茶言うなよ!! 親父!」

グリシャ「まあ、それは冗談だが。うん。2人の関係が良好であるなら安心だ。このまま順調に交際を続けていきなさい」

エレン「お、おう……」

なんか恥ずかしい。応援してくれるようになったから、こっちも有難いけど。

270進撃の名無し:2014/08/05(火) 13:57:25 ID:o50/jKL60
グリシャ「避妊具なら、父さんが持ってるから必要な分は先に後で渡しておくよ。もし万が一、アレルギー反応が出たらいいなさい。たまに肌に合わなくて肌荒れや痒みを起こす子もいるからね」

エレン「え? そういう事もあんの?」

グリシャ「安物のコンドームだと、たまにあるよ。肌に合わなくて湿疹が出たり。そういうのは、別にコンドームに限った事じゃないけどね」

へえええええ。マジか。そういう物なのか。

………っていうか、自分で買わなくていいのかな? こういうのって。

エレン「あの、親父…」

グリシャ「ん?」

エレン「そういうのって、自分で買わなくていいのかな」

グリシャ「ああ……まあ、自分で買ってきてもいいよ。別に。買いにいける勇気があるならね(ニヤリ)」

エレン「うぐっ…!」

そっか。レジで恥ずかしい思いをする事になるのか。だったら親父に甘えた方がいいのかな。

グリシャ「ああ、もしかして、サイズの問題も気にしているのか? その辺はよほどのサイズ差がない限りは大丈夫だと思うけど?」

エレン「親父!!! それ以上、言わないでくれ!! ミカサ、真っ赤になってるだろうが!!」

親父も親父でエロ親父だな本当にもう!!

グリシャ「御免御免。これ以上は、男だけの時に話そうか。エレン。じゃ、今日の会議はこの辺でお終いにしよう」

という訳で、2人の関係は一歩、前進した訳だから、とりあえず、ほっとした。

けどまあ、むしろここからが本当のスタートだよな。

まだ、ミカサの生理周期を把握した訳じゃないし、いつ、どこで最初にそれをするべきかも、後で考えないと。

ミカサ「…………(まだ顔赤い)」

エレン「ミカサ、その、なんだ」

ミカサ「ん?」

エレン「その、準備が出来たら、その、あの……」

ミカサ「うん。もう少し待って欲しい」

エレン「ああ、待つけどさ。その………最初は、どこでやりたい?」

ミカサ「何処で? エレンの部屋じゃないの?」

エレン「オレの部屋でいいのか?」

ミカサ「もしくは、私の部屋。別にラブホテルでやる必要性はない」

エレン「うううーーーーーん……そっかあ」

でも、リヴァイ先生達はスイートルームにわざわざ泊まってやったんだよなあ。

さすがにスイートは無理だけど。最初くらいはこう、何か、記念になるような場所じゃなくていいのかな。

学生だから、無理は出来ないけど。でも、その。

思い浮かんでいるのは、あの夏に泊まった旅館の事。

出来るんだったら、もう1度あの旅館に泊まって、あの日の続きをしてみたい。

そう、思う自分もいるんだが……。

271進撃の名無し:2014/08/05(火) 14:11:32 ID:o50/jKL60
ミカサ「?」

まあいいや。ミカサがそれでいいって言ってるから、ミカサに合わせよう。

こういうのって、女の希望を優先した方がいいよな。きっと。

デート先だってそう、リヴァイ先生が言っていた訳だし。

セックスで女に負担をかける以上、それくらいの事は譲歩してやんねえとな。

ミカサ「何か問題があるの?」

エレン「いや、問題はねえよ。うん。ミカサの希望を優先するか」

ミカサ「え? エレンは別の場所がいいの? ラブホテルの方がいいの?」

エレン「いや、そういうんじゃねえよ。うん。大丈夫」

ミカサ「エレンが他に希望する場所があるなら、そっちを優先して欲しい」

エレン「えええええ……」

ミカサ「そ、外とかでも、別に全然、平気なので……(ポポポ)」

うおおおおおい! そんな事言うなよ!! その、元気になっちまうだろうが!!

エレン「馬鹿!! そんなんじゃねえから! もう、寝るぞ! オレは先に寝る!」

ああもう恥ずかしい。階段を先に上がって自分の部屋に逃げた。

ミカサ「エレンーおやすみのキスは……(シュン)」

ふすまの外から抗議の声が聞こえたので、慌ててふすまを開ける。

エレン「そうだった。悪い。じゃあ、おやすみ………」


チュッ……


ミカサ「………今日は舌を入れないの?」

エレン「ミカサ、積極的なのは有難いが、もうちょっと自重しろ。親父も言っただろ? 軽はずみな事はするなって」

ミカサ「ぷー」

エレン「膨れるなよ。最近、もう、発情し過ぎだぞ! オレ達!」

ミカサ「思春期なので仕方がない(キリッ)」

エレン「まあそうだけどさー。とにかく、今日はここまでだ。おやすみ」

ミカサ「おやすみなさい……(シュン)」

ふーやれやれ。ミカサが可愛いのはいいんだけど。

ミカサの誘惑テクニックがどんどん、スキルアップしているからこっちも困る。

272進撃の名無し:2014/08/05(火) 14:30:40 ID:o50/jKL60
寝る前には抜いて、処理を済ませてから寝る。

今は夢の中でしかミカサとエッチな事が出来ないけど。

いつか来る、近いうちにやってくるその、えへへな日を夢見て、オレは無理やり両目を閉じて寝るのだった。






11月8日。土曜日。

その日の放課後、リヴァイ先生が演劇部の部活動の方に顔を出してきたので、皆慌てて、練習風景を隠した。

そして「ダミー」の演劇をする。偽の台本を利用して騙す作戦だ。ちなみにエルヴィン先生の指示である。

しかしその日のリヴァイ先生は、練習を止めて皆を集めてから言った。

リヴァイ「すまん。今度の第四日曜日、暇な奴、いるか?」

エレン「第四日曜日って言ったら、体操部のお休みの日ですよね」

リヴァイ「そうだ。11月23日だな。その日にその……引っ越し先の掃除をしに行くから、手空いている奴がいれば手伝って欲しい。勿論、後でバイト代は出すから」

ジャン「いや、バイト代なんて要らないですよ。リヴァイ先生には世話になってるし、普通に手伝いに行きますよ」

エレン「だよな。そのくらい、別にいいですよ」

リヴァイ「そ、そうか? じゃあ、昼飯くらいはこっちで用意するか」

エレン「新居は決まったんですか?」

リヴァイ「ああ。ハンジがどうしても『ここがいい!!! ここにしよう!!!』と興奮して決めた物件があってな。もうそこにする事にした」

エレン「へー場所はどの辺ですか?」

273進撃の名無し:2014/08/05(火) 14:46:17 ID:o50/jKL60
リヴァイ「職員用のマンションから歩いて5分もない場所に、古い貸家があってな。昭和チックな平屋の家ではあったんだが、間取りがその……栄螺(サザエ)さんの家と似ているから、そこにする事にした」

エレン「ええええ?! 似たような家が実際にあったんですか?」

リヴァイ「ああ。俺も驚いたけどな。確認したら、かなり酷似していた。違うのは、栄螺さんと鱒男(ますお)さんの部屋がないだけで、そこは駐車場のスペースになっているくらいか。それ以外は本当に同じだった。ただ、建築したのが相当前のようでな。一応、リフォームはしてあったようだが、それでも掃除を一通りしてからでないと引っ越しは出来ない感じだったから、休みの日に一気にやってしまおうと思ってな」

エレン「へええええ」

そうなのか。そういう偶然ってあるんだなあ。

リヴァイ「6帖の畳の部屋が1つ、8帖の畳の部屋が3つ。台所も6帖くらいだったかな。広縁は長くて、走れるくらいある。便所が和式なのが難点くらいか。日当たりもいいし、庭も少しあったから、物件としては上等だと思う。平屋だからペットも飼えるし、猫でも飼おうかと思っている」

ジャン「猫、好きなんですか?」

リヴァイ「犬も好きだな。まあ、ハンジは爬虫類系の方が好きなんだが。あいつ、蛇でも平気で触るし、多少猛獣でも平気で触ろうとするからな」

ジャン「す、凄いですね。猛獣って、虎とかですか?」

リヴァイ「ああ。そうだな。動物園に行くとテンション上がり過ぎてやばくなる。ただ、さすがに虎を飼うのは難しいからな。猫で妥協させよう」

と、リヴァイ先生が「ふん」と笑っていた。

274進撃の名無し:2014/08/05(火) 14:53:20 ID:o50/jKL60
リヴァイ「その日は休みだから、来れる奴だけ来てもらえると助かる。無理はいわない。ただ、来てくれるのであれば、寿司でも頼んで振る舞ってやろう」

アニ「……寿司奢ってくれるんですか? (ガタッ)」

リヴァイ「ああ。出前取ればいい。来れるか?」

アニ「行きましょう(キリッ)」

あ、アニが寿司で食いついた。いいんだそれで。

アルミン「うん。寿司食べられるなら行こうかな。僕も」

ジャン「報酬としては上等ですよ」

マルコ「うん。お寿司は食べたいね」

マーガレット「本当にいいんですか? かえって掃除業者に頼んだ方が安上がりなんじゃ」

リヴァイ「業者に頼んでもいいが、やはり自分の住む家くらいは自分で掃除したいんだよ。お前らには庭掃除の方を頼みたい。草むしりとかな。部屋の中は自分でやるから大丈夫だ」

ミカサ「………お寿司か」

あ、ミカサが迷っているな。これは。

275進撃の名無し:2014/08/05(火) 15:01:59 ID:o50/jKL60
エレン「ミカサ、行かないのか?」

ミカサ「エレンは行くの?」

エレン「ああ、行くぜ。草むしりして寿司食えるなら、お釣りがくるぜ?」

ミカサ「うううう……」

迷っているな。リヴァイ先生の手助けなんかしたくないけど、寿司は食べたいんだろうな。

エレン「無理には言わないけどな。でも、アニも来るんだよな?」

アニ「絶対行く(キリッ)」

エレン「アニも来るんだから、ミカサも来いよ」

ミカサ「……分かった。アニも行くなら行く」

アニ「腹いっぱい、ご馳走になろうよ。ミカサ。金を吐き出させよう」

ミカサ「そうね。そうしよう(キラーン☆)」

アニ「……サシャも誘ってみる?」

ミカサ「! それはいいかもしれない(ニヤニヤ)」

おーい! 部外者連れて来ていいんか?

アニ「リヴァイ先生、友達も連れて来ていいですか?」

リヴァイ「ん? 暇な奴がいるのか?」

アニ「寿司が食べられるなら、絶対来てくれる子が一人います」

リヴァイ「そうか。別に構わんぞ。連れてきても」

あっちゃー! OK出したな。しらねーぞー。

ジャン「サシャ、連れてきたらやばくないか?」

アニ「しっ! ジャン、黙って」

ミカサ「黙って」

ジャン「………(オレもしらねー)」

あージャンもオレと同じ事思ったようだな。

276進撃の名無し:2014/08/05(火) 15:21:58 ID:o50/jKL60
そんな訳で、サシャにその事をメールですぐ伝えたら、1分もしないうちに返事がきたらしい。

『何時からですか? 軍手は持参ですか? 丸1日予定空けますので、絶対行きます!!!』

という気合の入った返事が来たそうで、サシャも参加が決定した。

エレン「実際に引っ越しするのはいつ頃にされるんですか?」

リヴァイ「んー……12月に入ったら次は期末テストの準備に追われるから、11月中には何とか終わらせたいとは思っている。ただ引っ越しって言っても、場所がすぐ近くだからそんなに苦労はしないだろう。ハンジの荷物をまとめるのが少し大変なくらいか。俺自身の私物はそう多くはないし、家電は自分のをそのまま使うが、本とか服とかは、これを機会にある程度、処分するつもりでいる」

エレン「え? 服を捨てちゃうんですか」

リヴァイ「ハンジの私服はもう、大分摩耗しているからな。古着としても売れないし、雑巾に回せるような物はとっておくが、それ以外は処分するつもりでいる。ハンジは服が破れてもそのまま着続ける程、節約家だったからな。さすがにそろそろ新しい服を用意してやらんといかん」

エレン「へー。自分の好みで服を一新しちゃうんですね(ニヤニヤ)」

リヴァイ「あ、ああ……まあそうなるな。何だ? 何か変か?」

エレン「いえいえ。別にいいんじゃないんですか? ハンジ先生、嫌がってないですし」

アニ「ただ、普通ではないですよね。私はそういうのは、苦手かな」

アルミン「まあね。自分の服くらいは自分で決めたいよね」

マーガレット「そうですね。普通ではない、ですね」

スカーレット「普通だったら『キモイ』って思われますよね」

リヴァイ「え……? (顔面蒼白)」

おや? 自覚なかったんか。すげえ顔しているぞ。リヴァイ先生。

277進撃の名無し:2014/08/05(火) 15:30:19 ID:o50/jKL60
リヴァイ「き、キモイのか……?」

アニ「あー髪型もメイクも私服のコーディーネートも全部、やってるんですよね? それって、ハンジ先生だから受け入れているんであって、他の女だったらきっと、途中でキレると思いますよ」

スカーレット「言えてる。私は絶対、無理だ。そこまで独占欲強いのは引く」

アニ「服装までなら、まだ妥協出来ても、他のも全部って言うのは、ね。さすがに息苦しいと感じますよ」

マーガレット「確かに……ハンジ先生が究極の面倒臭がり屋だったから良かったものの、普通、それが分かったら、女は逃げるかもしれないですね」

リヴァイ「え……そ、そういうもんか(ガーン)」

うわあ。女性陣がフルボッコしているぞ。可哀想に。

ミカサ「…………私は、まあ、エレンなら別にいいけど。クソちびに決められたら、殴り返すかも」

エレン「おいおい」

ミカサは大丈夫なのか。へー。

まあ、オレもそこまで強いこだわりはねえから、オレが決めるって事はしなくてもいいけどな。

ミカサが迷っている時くらいかな。そういう時は、自分の趣味を出すけど。

278進撃の名無し:2014/08/05(火) 15:41:55 ID:o50/jKL60
リヴァイ「…………(*凹んでいる)」

エレン「でもまあ、良かったじゃないですか。ハンジ先生は喜んでいましたよ。授業中、惚気るくらいだし」

リヴァイ「え?」

エレン「すっごく、嬉しそうでした。『全自動リヴァイ』とか何とか言ってたし。気に入っているようでしたから、問題はないですよ」

リヴァイ「ハンジが、喜んでいたのか?」

エレン「ええ、そうですよ? え? 知らなかったんですか?」

リヴァイ「ああ。あいつ、別に喜んでいる風じゃなかった。『んもーしょうがないなー』って感じで、いつも渋々だったからな。まあ、俺はそれでもハンジに好き勝手やっていた訳だが」

その直後、リヴァイ先生、顔を真っ赤に染めたんだ。

リヴァイ「そうか。あいつ、実は喜んでいたのか。そうか……そうか」

あーもう! 新婚さんはこれだから!!!

ジャンが物凄い冷めた目で見ている。気持ちは分からんでもない。

リヴァイ「だったら、遠慮しなくてもいいか。次はあいつの………」

いかん。だからと言ってエスカレートしていいってもんでもない。

エレン「あーリヴァイ先生、その辺でストップかけましょう。何でもやり過ぎるとダメですよ」

リヴァイ「うっ……それもそうだな。すまん。俺もつい、調子に乗った」

と、言って自重するリヴァイ先生だった。

そんな訳で、その日はリヴァイ先生の惚気も聞きながら、部活が終わった。

部活動をしながら、勉強も頑張る。以前より真剣に聞いて、予習復習も欠かさずやるようにしたら、だんだん勉強が楽しくなって気がする。

今度の期末テストで順位を上げたいから。部活だけじゃなく、勉強にも力を入れる事にした。

そのせいで、ゲームする時間があんまり取れないのが残念だけど仕方がない。

この間買った、SAGA3もちょっとしか進めてない。ま、RPGだから1年くらいかけてのんびりやってもいいけどな。

279進撃の名無し:2014/08/05(火) 16:03:45 ID:o50/jKL60
ミカサ「エレン、今日も勉強している……」

エレン「あ? 何だ? 何か用事か?」

夜、勉強していたら、ミカサが部屋に入って来た。

ミカサ「いえ、最近、あまりゲームをしていないようだったので、つい気になって」

エレン「進路、真剣に考えるなら、あんまり遊びほうける訳にもいかねえよ。全くやってない訳じゃないけど。自分の成績、せめてマルコと同じくらいまで引き上げないと、入れる医学部がないと思うんだ」

ミカサ「そう……」

エレン「オレの場合、やっぱり数学がネックなんだよな。医学系は理系だけど。理系の苦手意識を克服しねえとどうにもならん。こいつをどうにかしない事には、先に進む事も出来ねえよ」

ミカサ「そう……」

エレン「ん? 何だ? 何か、元気ねえな。ミカサ」

ミカサ「いえ、その……あの」

エレン「ん?」

ミカサ「頑張るのはいいけれど、あまり根を詰めないで欲しい。エレンの体が一番大事なので」

エレン「ああ、その点は大丈夫だ。ちゃんと無理しない程度にやってる」

ミカサ「そう……」

エレン「ん? どうしたんだよ。さっきから。何か変だぞ」

ミカサ「いえ、その……」

そしてミカサは、言ったんだ。

ミカサ「さ、寂しいって、つい……」

エレン「え?」

ミカサ「目標に向けて頑張る姿を見て、『頑張れ』と思う反面、『寂しい』って気持ちも出てしまって……」

あ、やっべえええええ!!!

そう言えば占いにも「彼女にかまってやらないと」みたいな事、言ってたな。

放置し過ぎたらダメって事だな。よし。だったら。

エレン「なら、数学教えてくれ。ミカサも一緒に勉強するぞ」

ミカサ「いいの?」

エレン「やっぱり一人で勉強するのは限界あるからな。頼むよ」

ミカサ「うん!」

あ、元気になった。よしよし。

オレも気をつけねえとな。ミカサの為に頑張るけど、そのせいでミカサを悲しませちゃいけねえし。

そんな訳で11月は部活と勉強をうまく両立した月になり、いい感じに勉強も進んだ。

期末テストでどれくらい順位上がるか分かんねえけど。少なくとも下がる事は無さそうな気がする。

そして迎えた11月23日。あっという間に当日が訪れた。

280進撃の名無し:2014/08/05(火) 16:06:11 ID:o50/jKL60
お掃除リヴァイは次回に回します。今日はここまでです。ではまたノシ

281進撃の名無し:2014/08/05(火) 16:40:41 ID:wuoVDYSk0
発情期の犬みたいでミカサ可愛い本当かわいい…結婚…結婚してくれ….

282進撃の名無し:2014/08/05(火) 17:39:05 ID:cdEUdb3oO

ミカサが小悪魔ならリヴァイが魔王だな

283進撃の名無し:2014/08/05(火) 19:34:12 ID:0SNHlKZQ0
リア充に対するジャンの反応がいちいち楽しい

284進撃の名無し:2014/08/06(水) 00:21:01 ID:nX1JzykI0
朝の7時にリヴァイ先生のいる職員マンションの前に全員集合して、ゾロゾロ歩いて新居に移動する事になった。

メンバーは、オレとアルミン、ジャン、マルコ、ミカサ、アニ、マーガレット、スカーレット、アーロン、エーレン先輩達、加えて3年の四人全員だった。

ガーネット先輩は衣装の方でまだ仕事が残っているので今回はお休みだ。カジ達もちょっと用事があるらしくて来られないという事だった。

ニファ先輩も来ていた。体操部のメンバーも数人、来られる人だけ来ているようだ。

ハンジ「皆、ありがとうね! 人手があると助かるよ!!」

エルヴィン先生もピクシス先生も来ていた。凄い人数だな。団体様って感じだ。

皆でわいわい移動して、新居を訪ねる。

玄関がすげえ広かった! 横に開くタイプの玄関を開けると、何だか懐かしい匂いがした。

畳の匂いかな。田舎の匂いって感じだ。

サシャ「ん? ちょっとカビ臭いですね(くんくん)」

リヴァイ「ああ。古い建物だからな。多少はカビもあるだろう」

サシャ「私達は、草むしりをすればいいんでしたよね?」

リヴァイ「ああ。庭の方に案内するよ。こっちだ」

玄関を一旦出て、庭の方に移動すると、そこには……

おおおおおお。これは確かに人数がいるな。草ボーボーだ。

荒れた庭を目の前にしてサシャは「ううーん。手ごわそうですね」と呟いた。

リヴァイ「だろ? 放置していた物件だったからな。草がかなり生えている。人海戦術でどんどん草を毟ってくれ。根から掘らないとまたすぐ生えてくるから、スコップはこっちで用意している。皆、これを使ってある程度、土を掘っていいから草を撤去してくれ」

という指示だったので、大中小のスコップをそれぞれ借りて早速、皆で草むしりをする事になった。

285進撃の名無し:2014/08/06(水) 00:33:40 ID:nX1JzykI0
なんかやる事は学校の清掃活動みたいなもんだな。

小学校、中学校時代、校内の草毟りはよくやらされたもんだぜ。

リヴァイ先生は口と頭を布巾でおさえて、早速中の掃除に入るようだ。

ハンジ先生は庭でダンゴムシを見つけてちょっと興奮している。いいのか? 手伝わなくて。

リヴァイ「ハンジ! 遊んでいるんじゃない! お前も中の掃除を手伝え!」

ハンジ「あ、はいはい! めんご!」

と、我に返って中に入るハンジ先生を複雑そうな顔で見つめるペトラ先輩だった。

やっぱり目の前で見ると辛いんだろうな。でも、それでもお手伝いに来るんだから、すげえよな。

ペトラ先輩はニファ先輩と一緒に草毟りを始めた。オルオ先輩とは少し距離を置いているようだ。

目が合う度に、気まずそうに逸らしている。お互いに。まだ仲直りしてねえのかな。

サシャ「うおおおおお?! 土を掘っていたら、じゃがいも出てきましたよ?! 堀り忘れでしょうか?!」

ジャン「馬鹿! いつのじゃがいもか分からんのに! 捨てろ!」

サシャ「食えるかもしれないじゃないですか!」

ジャン「腹に当たったらどーすんだ?! 馬鹿! 芋女!!」

と、向こうは向こうで仲良さそうだ。ナンダカンダでジャン、サシャの世話する事多いよな。

アニ「ふん! ふん! (むしりむしり)」

アルミン「アニ、超ペース早いね。飛ばすと後で疲れるよ?」

アニ「大丈夫。こういうのは結構、得意だから」

寿司パワーでやる気に満ちているアニが可愛らしい。あいつ、現金なところあるんだな。

286進撃の名無し:2014/08/06(水) 00:41:20 ID:nX1JzykI0
マルコ「あ、蚊に食われたかも……腕が痒い……」

ミカサ「虫よけスプレー、あるけど使う?」

マルコ「いいの? じゃあお願いしようかな」

あ、そう言えばオレもスプレーかけるの忘れていたな。

エレン「ミカサ、オレも頼む」

ミカサ「了解(プシュー)」

こういうところ、ミカサらしいよな。やっぱり園芸が趣味なだけある。

腰の高さくらいまである雑草などを撤去していったから、結構大変だったけど、皆でやれば割とサクサク進んだので、思っていたよりは時間をかけずに大体の作業を終えられた。

草が無くなると、庭の広さが一層良く分かった。いい物件だな。

午前中で庭の作業を終えて、12時になると出前がやってきた。本当に寿司の出前、頼んでくれたんだな。

ハンジ「休憩しようかー皆、1回作業やめて、うちにおいでー」

というハンジ先生の合図で皆、「やったー」と言ってうちの中にお邪魔した。

まだ飯台とかはないけど。畳の上に直接、寿司を広げて皆で頂く事にした。

うめええええ。肉体労働した後の飯は、本当にうめええええ!

サシャが掃除機みたいな勢いで寿司食ってる。まずい。あいつに取られる前に食わないと!

287進撃の名無し:2014/08/06(水) 00:55:28 ID:nX1JzykI0
リヴァイ「思っていたより足りないようだな。追加でピザも頼むか」

サシャ「ピザあああああ?! (涎)」

リヴァイ「5枚くらいでイイか?」

サシャ「何枚でもOKです!」

という訳で寿司だけじゃなくて、ピザまで追加注文してくれた。本当、サービスいいよな。

エレン「金、大丈夫ですか? サシャ、大食いですよ?」

リヴァイ「ああ。心配するな。足りない時はエルヴィンに借りる」

エルヴィン「おっと、あてにされたようだ」

クスクス笑っているけど嬉しそうなエルヴィン先生だった。

リヴァイ「さて。部屋の中の掃除も大体済んだし、後は何をするか」

ハンジ「午後から荷物、ぼちぼち入れちゃう?」

リヴァイ「あーそうだな。やれる事は、今日のうちにやってしまうか。ハンジの本とか私服は先にこっちに移動させてもいいよな」

ハンジ「うん。いいよー。あ、でも、本棚の位置まだ決めてないや。そっち先に決めていい?」

リヴァイ「ああ、分かった。家具類の配置、先に決めるか」

と、言いながら図面を元に計画を立てる2人だった。

ハンジ「リヴァイは自分の部屋を何処にする?」

リヴァイ「別に何処でもいい。ハンジはどこを使うんだ?」

ハンジ「私の場合、書斎と夫婦部屋は分けて使いたいんだよね。鰹(かつお)君の部屋に本と机をまとめてしまってもいい?」

リヴァイ「日当たりは1番悪い部屋だが、いいのか?」

ハンジ「うん。本が焼けない方がいいかな。それに北側の光が入るから大丈夫だよ」

288進撃の名無し:2014/08/06(水) 01:12:33 ID:nX1JzykI0
リヴァイ「分かった。ではそこをハンジの書斎部屋にするか。オレの部屋は…その隣の部屋でいいか」

ハンジ「居間を使うの? でもそこは押入れがないよ」

リヴァイ「あ、それもそうか。ではその南側でいいか」

ハンジ「じゃあその隣がリヴァイの書斎だね」

リヴァイ「いや、俺の場合は書斎部屋は必要ない。夫婦部屋で事足りるだろ」

ハンジ「あ、そうなの? んじゃ書斎は私の分だけでいいんだ」

リヴァイ「むしろ俺の場合は台所の方が自分の部屋みたいになるだろうな」

ハンジ「だったら、床の間のある方を夫婦部屋にした方がいいんじゃない? 台所からの動線考えるとそっちが近いよ?」

リヴァイ「しかしそうなると、ハンジが仕事中の時、遠く離れ過ぎているような…」

ハンジ「同じ家の中だから、歩けばすぐ会えるでしょ!」

リヴァイ「そうか。すまん……」

リヴァイ先生、寂しがり屋なのかよ!

リヴァイ「………やっぱり、居間にベッドを置かないか? その方がハンジの書斎に近いし、台所からも近いだろ」

ハンジ「えええ。折角の畳なのにベッド置くのー? 絨毯敷いて、その上に置くの?」

リヴァイ「別に出来なくはないだろ」

ハンジ「…………やけにベッドを推すね? 何か企んでない?」

リヴァイ「んんー……別に何も企んじゃいないが」

ハンジ「何か怪しいなあ。こっち見て言ってよー」

怪しい。確かに怪しい。

289進撃の名無し:2014/08/06(水) 01:25:01 ID:nX1JzykI0
エルヴィン「ベッドの方がいろいろ都合がいいだけだよ。男の都合って奴だよ」

と、その時、エルヴィン先生が余計な事を言ったから、リヴァイ先生が睨んだ。

リヴァイ「エルヴィン! しっ!」

ハンジ「えええ? そうなの? んもうーしょうがないなあ。でもご飯食べる時、居間を使わないの? 台所で食べるの?」

リヴァイ「これだけのスペースがあれば、わざわざ居間で食べる必要はない。台所にテーブル置いてそこで食べても大丈夫だろ」

ハンジ「そうかなー? 狭くない? ギリギリな気がするけど」

リヴァイ「気になるなら、床の間のある方を居間の代わりにすればいい。動線的には問題ない」

ハンジ「んーじゃ、ちょっと変則的になるけどそうしよっか。客間は誰かが泊まりに来た時の為に空けておこうか」

エルヴィン「一番日当たりのいい場所なのに。そっちを空けちゃうんだ」

リヴァイ「エルヴィンが泊まりに来た時にそこで寝ればいいだろ」

エルヴィン「リヴァイ……(じーん)」

リヴァイ「喜ぶんじゃない。同居の件は承諾出来ないが、まあ、たまに泊まりに来るくらいなら、別に構わん」

エルヴィン「うん。ありがとう。嬉しいよ」

ピクシス「大体、方針は固まったようじゃの」

ハンジ「はい。後はぼちぼち私物を先に入れていく感じですねー」

と、ハンジ先生がスケジュール帖に何やらメモをしていた。

290進撃の名無し:2014/08/06(水) 01:42:01 ID:nX1JzykI0
ハンジ「……よく考えたらベッド、リヴァイのと私のシングルを隣同士くっつけたら問題ないんじゃない? 新しく買う必要なくない?」

リヴァイ「いや、真ん中が凹むだろ。それは気持ち悪いから嫌だ」

ハンジ「そう? じゃあくっつけて改造しちゃえば? 私、大工仕事するよ?」

リヴァイ「お前はどうしてそう、ケチケチするんだ。買いなおす必要があるなら金を出すとあれ程……」

ハンジ「だって、その……リヴァイにばっかり、お金出させるのも、ねえ?」

リヴァイ「むしろ出させて欲しいんだが?」

ハンジ「やだよー。私も一応、働いているから金はあるけど。貯金は2000万くらいしかないんだよね」

リヴァイ「充分だろ。それだけあれば。2人合わせたら1億いくじゃないか」

ハンジ「そうだけどさ。私、出来ればそういう事に金を使いたくないんだよね。節約できるところは節約したい派なのよ」

リヴァイ「はー……(ため息)」

ピクシス「良い嫁じゃないか。浪費家の嫁よりいいと思うがの」

リヴァイ「いや、しかし……」

ピクシス「まあ、遠慮する女だからこそ、してやりたい気持ちは男としては分かるがの。引くべきところは引くのが夫婦生活のコツじゃよ?」

と、したり顔をするピクシス先生だった。

リヴァイ「………ベッドの高さが合わない場合はどう改造するんだ?」

ハンジ「んーDIYのお店の人に相談すれば何とかなるんじゃない? 心配しなくても大丈夫だよきっと」

291進撃の名無し:2014/08/06(水) 01:52:27 ID:nX1JzykI0
リヴァイ「仕方がないな。分かった。ただ、店の人が『改造は無理だ』と判断した場合は、ベッドを買いなおすからな。それでいいな?」

ハンジ「了解しました! (ビシッ)」

リヴァイ「後は、和室の上に敷く絨毯を新調する必要性が出てきたな。買いに行くか」

ハンジ「待って。誰か要らない絨毯、持ってないかな? 貰えるなら貰っちゃおうよ」

リヴァイ「おいおい、そこまで人に甘えるのは……」

ニファ「ああ、ありますよ。使っていない絨毯なら」

と、其の時、ニファ先輩が口を出した。

ニファ「もし良ければ差し上げます。使っていいですよ」

リヴァイ「いいのか?」

ニファ「はい。絨毯って、捨てるのは重いし、使わなくなると、ついつい収納の肥やしになるんですよね」

その気持ち分かる。オレも捨てるの面倒臭くて押入れに仕舞っていたからな。

買い替えた時とか、前使っていた絨毯、捨てるのは面倒だしな。

ニファ「私の場合、模様替えで色変えたくて買いなおしただけなので、物は悪くない筈ですよ」

リヴァイ「そうか。すまないな」

ニファ「いえいえ。利用出来る場所がある方がいいですよ」

という訳で、またもや新調する機会を失うリヴァイ先生だった。

嬉しいけど複雑そうな顔だな。

292進撃の名無し:2014/08/06(水) 02:12:32 ID:nX1JzykI0
リヴァイ「後はぼちぼちハンジの私服から入れていくか。あ、でも収納場所がクローゼットはないから、タンスが必要になるな」

ハンジ「あ、そっかー。教員用の方はクローゼット備え付けだったから楽だったけど。和風の家ってタンスが必要なんだよね」

リヴァイ「クローゼットの方がいいならそれごと買ってもいいけどな。どっちでもいい。新調するか」

ハンジ「待って! タンスも誰か持ってない? 貰える物は貰おうよ!」

リヴァイ「いや、さすがにタンスくらいは新調していいだろ。それを持っている奴なんて……」

アルミン「…………祖父が使っていたタンスなら一応、ありますけど」

リヴァイ「?!」

アルミン「祖父が夏に亡くなったので。祖父の荷物はある程度、整理したので今はタンスを使っていません。遺品が無理なら差し上げられませんが、再利用して頂けるなら差し上げても構いませんよ」

ハンジ「いいの? 御爺ちゃんの遺品なのに、貰っていいの?」

アルミン「んー……実は僕自身も、近いうちに引っ越すかもしれないんですよね。今は独り身になってしまったので、近いうちにもう少し安い物件に引っ越そうと考えていていたんで、荷物を減らそうかなって思っていたから丁度いいですよ」

ハンジ「ありがとう! 大事に使わせて貰うね!!」

と、タンスも話がついてしまって、ちょっぴり残念な顔をするリヴァイ先生だった。

293進撃の名無し:2014/08/06(水) 02:19:34 ID:nX1JzykI0
リヴァイ「………飯台くらいは新しく買ってもいいよな?」

ハンジ「ええ? そんなの、DIYコーナーで木を買ってくれば安く作れるじゃないの。作るよ? 私が」

リヴァイ「いや、仕事忙しい癖に無理するんじゃない。ベッドも改造する癖に、これ以上自分の首を絞めてどうする」

ハンジ「んじゃ、飯台も誰かに貰おうよ。誰か持ってない?」

リヴァイ「おいおい、さすがに飯台は……」

マルコ「ああ、そのくらいならこっちで作りますよ」

リヴァイ「?!」

マーガレット「大道具組に任せて下さい。その程度の物だったら1日あれば作れます」

スカーレット「うん。材料さえあれば、いけるよね」

ハンジ「というか、演劇部に材料探せばあるんじゃないの?」

マーガレット「ありそうだよね。ちょっと探してみようか」

という訳で、飯台も新調出来ずに落ち込むリヴァイ先生だった。

皆、察してやれよ。リヴァイ先生、新調したくて堪らないのに。

むしろ分かっててわざと意地悪しているのかな。皆、ひでえな。

294進撃の名無し:2014/08/06(水) 03:20:01 ID:nX1JzykI0
リヴァイ「あー……本棚、増やしても構わんぞ? もうひとつくらいなら置けるだろ」

ハンジ「ええ? それは有難いけど、それだったら、私が今使っている食器棚っぽいアレを本棚に変更するよ。リヴァイの食器棚にお皿を統合させちゃえば、本棚2つ目作れるから要らないよー」

リヴァイ「………エアコン、新しいのを買ってもいいよな?」

ハンジ「エアコンもそれぞれ1個ずつ持っているでしょうが。夫婦部屋と書斎だけで良くない? とりあえずは」

リヴァイ「居間にも必要だろうが。客間にだって、エアコンつけた方が……」

ハンジ「エアコン4台も設置するの?! 電気代とんでもない事になるよ?!」

エルヴィン「客間はさすがにエアコン要らないんじゃない? 今からの時期なら電気ストーブでもあれば十分だよ」

ハンジ「電気ストーブなら、うちにも1台あるよ。居間だって、それで十分だよ」

リヴァイ「…………カーテンは」

ハンジ「それも既に持ってる。長さだって足りているよ。サイズ同じだから大丈夫だったし」

リヴァイ「………ブルーレイとかは要らないのか?」

ハンジ「まだレコーダーの方が生きているから移行しなくてもいいよ。パソコンだってあるし、今はネットでも観れる時代だよ?」

リヴァイ「………新しいテレビとか」

ハンジ「テレビならあるよ。別に買い替えなくていいよ」

リヴァイ「………照明器具は? 和風の照明器具、必要じゃないか?」

ハンジ「あー照明かあ」

やっと、必要な物を見つけて嬉しそうにするリヴァイ先生だったけど、

ハンジ「ん〜じゃあ、それは買いに行こうか。さすがに照明器具を予備に持ってる子はいないだろうし」

やっとリヴァイ先生がガッツポーズした。

余程、買い物に行きたかったらしいな。ちょっと可愛い。

………と、思ったのもつかの間、

ピクシス「照明器具ならわしがお祝いに買ってやっても良いぞ?」

リヴァイ「?!」

ピクシス「新婚祝いじゃ。それくらいならわしが出してやろうじゃないか」

ハンジ「いいのー? やったー!」

リヴァイ「ええええ……(げんなり)」

ピクシス「その代わり、早く子供の顔を見せるんじゃぞ? (ニヤニヤ)」

ハンジ「うっ……頑張ってるけど、あんまり期待はしないでね」

おや? 「まだ早い」とかじゃないんだ。へー。子作りもう始めているのかな。

295進撃の名無し:2014/08/06(水) 03:37:41 ID:nX1JzykI0
リヴァイ「くっ………出番がない」

ハンジ「いいじゃないの。甘えようよ。有難い事じゃないの」

リヴァイ「それはそうだが……」

ハンジ「リヴァイは自分の事にお金使いなよ。あんた、趣味が少なすぎて本当、自分に関しては掃除と料理に関する事くらいしか使わないじゃないの。これを機会に、調理器具とか増やしたら?」

リヴァイ「………俺自身の為に買っていいのか?」

ハンジ「いいんじゃない? 包丁とか、新調したら?」

リヴァイ「ふむ……」

と、やっと金の使い道を考え始めたリヴァイ先生は納得した様だ。

リヴァイ「そうだな。ハンジの事に気を取られ過ぎて自分の事を忘れていた。調理器具を増やしていいのであれば、いくつか買いたいと思っていた物もある」

ハンジ「じゃあそれを買おう。それでいいじゃない。リヴァイの新作料理楽しみだなー」

リヴァイ「分かった。ではそれを今度、買いに行くぞ」

エルヴィン「ふむ……では私からの贈り物も、そういった調理器具関連がいいだろうか?」

リヴァイ「え?」

エルヴィン「ピクシス先生ばかりずるいよ。私にも何か贈り物をさせてくれ」

リヴァイ「いや、しかし……」

ハンジ「あはは! 本当、お金出す機会がないね! でもいいじゃない。甘えようよ」

リヴァイ「………欲しいと思っていたのは、寸胴鍋だ。専門店にいかないとなかなか見つからない特大サイズだが。いいのか?」

エルヴィン「構わないよ。それを買ってあげよう」

リヴァイ「はー……」

何だかもう、皆、わくわくし過ぎだろ。リヴァイ先生、嬉しそうだけど困惑しているぞ。

296進撃の名無し:2014/08/06(水) 03:56:22 ID:nX1JzykI0
リヴァイ「こういう時の為に金をためていた筈なのに。意外と何とかなるもんだな」

ハンジ「でも子供増えたら一気に使いそうじゃない? 子供にはお金かかるでしょ?」

リヴァイ「いや、それも何だかいろいろ貰って何とかなりそうな気がしてきたぞ。ピクシス先生、くれそうだし」

ピクシス「わしの孫の使っていた物なら譲る事が出来るぞ? (ニヤニヤ)」

リヴァイ「ああ、やっぱりそうですか……」

ピクシス「まあ、そうやって人は人に伝えていくもんじゃ。気にするな。譲る方も助かるんじゃよ」

リヴァイ「なら、いいんですが」

ピクシス「それよりも、1番大事な物はもう見に行ったのか?」

リヴァイ「ん? 大事な物……」

ピクシス「結婚式に使う『指輪』じゃよ」

リヴァイ「!」

ハンジ「あ! すっかり忘れていたね! どうしよっか」

リヴァイ「そうか。そこに1番金をかけるべきだという事を俺もすっかり忘れていた。ハンジ、この後、買いに行くぞ」

ハンジ「ええええ……荷物、運び入れるんじゃなかったの?」

リヴァイ「指輪が優先だろうが! 9月の誕生石は何だったか」

ハンジ「さあ? 私、そう言うの詳しくないから分かんない」

リヴァイ「スマホで調べろ。知ってる奴は教えてくれ」

と、其の時、すぐさまミカサが発言した。

ミカサ「……確か、サファイアだったと思いますが」

リヴァイ「助かる。サファイアの指輪をオーダーメイドしに行くぞ!」

ハンジ「えええええ?! ちょちょちょ、オーダーメイドって! 普通のでいいよー。ほら、銀色の無地の。地味な奴。結婚指輪ってそういうのじゃないの?」

ピクシス「その辺は特に決まりはないが、2人で決める事じゃな。わしは小さなダイヤモンドを装飾した指輪を贈ったぞ。ただ、普段つける指輪はあまり華美でない物が普通ではあるが」

リヴァイ「つまり、2種類用意しても構わないって事か」

ピクシス「その通りじゃな。普通は『婚約指輪』を贈ってその後に『結婚指輪』を贈るのが通例じゃけど、今は結婚指輪だけの者も多いぞ」

リヴァイ「じゃあ、婚約指輪が先だな。そっちを派手にして、結婚指輪は地味目の物を選べばいいよな」

ハンジ「ええええちょっと待ってよ。リヴァイ。浮かれ過ぎ! 2個も買う必要ないよ! 結婚指輪だけでいいって!」

リヴァイ「しかし、今のこの時期は『婚約期間』に入るんじゃないのか?」

ハンジ「そうだけどさー。ええええ……本当に買っちゃうのー?」


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