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Key Of The Twilight
855
:
キール
◆ruQu1a.CGo
:2018/07/05(木) 23:54:40
【虚空城】
虚空に浮かんでいた筈の城が揺れる。
相違空間の狭間から顕現し、外殻の中心となった虚空城は本来ならば難攻不落。
しかし四霊の半分が居ない今、黄龍の居城はかつて無い程の戦場と化していた。
城の至る所に散らばるのは死体、遺体、死骸。
強化人間である元・処刑人の剣のヴァイトのデータを基にし、“新世界の住人”のプロトタイプとして量産された戦闘兵がその造り出された命を散らしていた。
それを成すのはイオリが雇った傭兵団員達。
七つの大罪を名乗る彼らもまた、その命を散らしながらも戦いに殉じた。
彼等が欲しかったモノ、それが何かを知るモノは居ない。
イオリからの報酬は何だったのだろうか、それを知る術はどこにも無かった。
「……プロトタイプと言えどもあの戦闘兵をほぼ全滅させ、更には四霊たる私に喰らい着くとは……」
激戦地となった伽藍のエントランスで、四霊の一柱、キールは肩で息をしながら呟いた。
黒のオーダースーツは煤に汚れ、至る所に裂傷が走り、血が滲んでいる。
氷蒼の瞳が映すのは激戦の跡。
禿頭の男、傭兵の頭が姿を変えた火竜が大きな血だまりに沈んでいた。
その側には狼男の遺体と、氷漬けにされた双子と無数の刃物。
唯一今も生き残っている長髪の男、イオリに似た東方の男は力無く立ち尽くしたまま。
闇に染まる百足を生み出し戦っていたその男は“もう”動けないだろう。
血にまみれ、その身に宿る闇を吐き出し切り、乾いた笑みを浮かべ続けるだけだ。
「ははは、終わりだ。
俺達の戦いは、終わりだ。
百足に羽はない、地を、血を這いずりまわるしかなかった、それだけだ。」
立ち尽くす男……ジョッシュは血と共に声を絞り出す。
闇の子供達計画の被験者であり、失敗作ながらもリミッターを着けずに闇を操れる唯一の存在は、闇を出し切った事により、長らく病んでいた精神を正常に戻していた。
血糊でベタつく長い髪が揺れる。
キールの視線の先、ジョッシュの後方。
死屍累々の虚空城へ新たに足を踏み入れた一団の姿を見つけ、キールは溜め息を着く。
「シデンはイオリと一騎打ち、晶騎士と羅刹の王は未だ動かない。
私一人で四神4人と闇の王子二人にその他を相手どるのは中々骨が折れるのだけど。」
黒から蒼へと色を変えた瞳で新たに現れた一団……サンディ達を見据え、キールは続ける。
「まぁ良いわ、此処で纏めて滅ぼしてあげましょう。」
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