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ライトノベル総合(2)
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なると
:2022/08/13(土) 23:56:08 ID:LhRnwsYM
◆捜査線上のアリア
銀行の仕事が嫌になり、小説家を目指した津村は運良く処女作が文芸雑誌の懸賞小説に入選した。が、それに慢心した津村は、二作目からスランプに落ちて、業界に相手にされなくなり鬱々と執筆中にとあるビジネスホテルで殺人事件にあって、犯人と思われて一躍時の人となる。
有名になった津村は小説も引く手あまたとなったが、気が晴れない日々を送るうちに、自分の潔白を晴らすため、当日殺人現場の部屋から出てきた謎の男の跡を追うことにした。一方、殺された女性の正体や人間関係がきな臭く、別の窃盗事件や別件捜査と何らかの関係があることが分かってくる、果たして殺された動機や真犯人は誰なのか・・という本格派ミステリー。
いやあ、最後の最後のエピローグで、頭が混乱したなあ、どこまでが事実で創作なんだろうって。写真のトリックは技術的な物で、そういうものなんだろうで納得できたが(昭和56年の頃の技術なんですが)、エピローグの内容は、どこまでが現実でどこからが虚実なのかって、誰もがもう一度読み返すことになるだろうって思う。頭が混乱しました。
でも途中もラストのどんでん返しも、しっかりしていて、特に捜査が、特定の探偵が一人で全部解いてしまうというヒーロー性はなくて、大勢の刑事が協力して事件を解いていくというスタイルがなんとなくリアルで、こういう推理小説もあるのかって凄く新鮮だったなあ。
森村誠一の小説にとっては、「那須・河西・助川刑事」や「F県羽代市」や悪の実力者「大場一成」はレギュラーらしいね(他の小説は読んだことないから詳しくは知らないが)。
このどんでん返しは何処かで読んだ小説に似てるなあ、って思ったら(いや、似てないかも知れないが)、「迷路館の殺人」辺りを読んだときの後味に似てるかなあ(こちらの方が後だけどね)。
いや、津村が主役だと思ったのに、途中から刑事ばっかり目立って、全然活躍(登場)しなくなるので、変だと思ったんだよなあ。自分がこの小説を書くなら、実はこいつがっては思いまししたw
それにしても、津村の文学や文学界に対する考えを淡々と綴った162ページから166ページの文章は、森村誠一の文学に対する態度の一端がうかがい知れて、推理トリックと並んで、ここがこの小説の肝(一番伝えたい部分)なんじゃないかって思ったほど、濃かったなあ。
いまのヒーロー性を押し出したの推理小説と違って、こういうヒーロー性はないがしっかりした感じの推理小説もあるんだと知った事が一番の収穫かなあ。
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