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ながされて藍蘭島なりきりスレ

1 ◆9G43EYn6.o:2011/06/06(月) 17:25:50 HOST:softbank126110089187.bbtec.net
このスレは、ながされて藍蘭島でなりきるスレです。
ルール
1、荒らしは無視。
2、一人三役まで。
3、オリはあり。
4、本家以上のエロや、グロはなし。
 
このくらいです。付け足すべきところがあれば、
付け足します。(指摘していただけると嬉しいです。)
>>2 PFの書き方

レス禁

2 ◆GKAYLRx/QQ:2011/06/06(月) 17:36:28 HOST:softbank126110089187.bbtec.net
PFの書き方(オリのみ)

名前:(読みも)
性別:
性格:(なるべく詳しく)
容姿:
備考:

です。それではレス解禁です。
>ALL

3 ◆9G43EYn6.o:2011/06/06(月) 17:49:14 HOST:softbank126110089187.bbtec.net
(p:すみません>>2のトリップ間違えました)
立てたばかりですが3人キャラが埋まったらキャラを選びます。
どんどん入ってください。
>ALL

4 ◆9G43EYn6.o:2011/06/06(月) 17:59:02 HOST:softbank126110089187.bbtec.net
(p:落ちます)
>ALL

5 ◆9G43EYn6.o:2011/06/11(土) 16:09:13 HOST:softbank126110089187.bbtec.net
上げておきます。
ただいま募集中!
>ALL

6 ◆9G43EYn6.o:2011/06/22(水) 22:16:34 HOST:softbank126110089187.bbtec.net
上げておきます。
>ALL

7 ◆9G43EYn6.o:2011/08/22(月) 22:34:48 HOST:softbank126110089187.bbtec.net
ひさびさに上げます。
今月中にオリキャラ「神野恭介」のプロフを出します。
>ALL

8名無しさん:2013/12/28(土) 18:21:34 HOST:softbank126061068249.bbtec.net
藍蘭島二期ねえ…漫画自体同じようなネタばっかりでつまらない
っといっても全巻ととんかつのぬいぐるみを持っている俺だが…
そろそろ設定を変えて行人以外の男を出して欲しい
新鮮さが薄れている(今のは昔よりずっと)
だいたい単庫本の表紙とか主人公は行人なのになぜほとんど出ない?
確かにヒロインはすずと認めるけどあまりにも主人公としての立場がねえ…
こうも表紙に出てこないんじゃ…
とりあえず行人の人間の男の競合相手(剣でも推理でも)、すずみたいな体を盗撮する男
ちかげの家にあるガラクタを修理して色々やらかしてくれる男とか…
もう1人男を出すだけでネタはもっと増えるはずだぞ
最新のガンガンではまた紅夜叉の話だし…(これで3度目)
二期やるならある程度原作の設定を変えて男2,3人ぐらいるぐらいでやって欲しい
下野さんからみたらうたプリとかみたいな感じで…
男が2,3人増えたぐらいで行人の争奪戦がなくなる訳ではない
難癖のある男を出せば問題ない
マンネリ化なんてするから藍蘭島よりソウルイーターの外伝みたいなのが先にアニメ化するんだ

9名無しさん:2016/05/01(日) 13:34:18 HOST:softbank126028083242.bbtec.net
今日はメーデー。昔は夏の訪れを祝う日とされていた
只、時期に大きな変化を遂げて今は「労働者の権利を主張するイベントが開催される」日になったらしい
本土で8時間労働制の実施や失業の防止、最低賃金の保障といったスローガンを掲げて集会をやってたらしい
本土は賃金だがすず的なイメージで分かりやすく言うと
普段は8時間働いて報酬に豆大福20個もらうところを忙しくなって仕事時間が長くなって10時間や半日まで働いてやっと20個もらったり、あるいは仕事は8時間でいいが経営が苦しく報酬の豆大福が10個になったり5個になったりする感じ
とうとう経営が苦しくなると14時間、15時間と仕事が続き、報酬の豆大福が1個あるかあるいは1個の半分しかないか、最悪は全くなくなってしまう
そうなるとすずだって不満や文句だって言いたくなるよな
まあそういう事件がこの日の当時本土や他の国であった事だ

夏に関してだけど暑くなるとすずは脱ぎそうだし、行人しか男がいないこの島では目のやり場に困るからすずの家にはやっぱ冷房も設置しとく
どのみち暑さにめっぽう弱い美咲もいるから冷房は必要だと思う

10名無しさん:2016/12/07(水) 11:09:46 HOST: softbank126028054114.bbtec.net
【TOB】髪結い

1.
監獄島は石造りで、夜になると結構冷える。足の裏からしんしんと熱が抜かれる寒さだ。俺にはもうあまり関係がないが、それでも冷たいよりは暖かいほうがいい。せっかくいい加減に回った酔いが覚めてしまいそうだ。
そのまま、まっすぐ寝床に向かう俺の足を止める声があった。
「ロクロウ」
振り向くまでもなく、そこにはライフィセットが立っていたのだが、隣にメディサがいるのは少し意外だった。二人とも簡素な服の上に、毛布を被っている。もう寝るだけといった風情だ。
「応、ライフィセット。どうした?」
「あ、あの、ちょっとロクロウに、お願いがあって……」
「ん? なんだ?」
始めに声を掛けてきたときは張り切っていたのに、今は少ししぼんでしまっている。メディサは薄く微笑んでいるばかりで何も言わない。俺は首を傾げた。この、見た目の割には豪胆な男が、俺に遠慮するような頼みごととは。ややあって、ライフィセットは意を決したように言った。
「ーーあの、ロクロウの髪を、結ってみたいんだけど、いいかな」
「……は?」
髪を? 結う? 俺の? ……何故?
疑問符が並んだところで、メディサがぷっと吹き出した。ライフィセットは言葉を続けようとしているが、ええと、その、しか出てこない。俺は再び首を傾げた。さっぱりわからない。
「なんだ? 新しい遊びか?」
「あ、遊びじゃないよ、その……」
そこでようやくメディサが助け船を出した。
「練習よね、ライフィセット」
ライフィセットは答えず、顔を赤くして寝巻きの裾をぎゅっと握った。
そこで俺はようやく気が付いた。
「あー……ーーっはははは!」
納得はそのまま笑いに変わり、ライフィセットの機嫌を盛大に傾げてしまった。

ライフィセットとメディサがベッドに腰掛け、俺はその前の床に座る。髪をまとめていた紐をほどくと、まだ湿った髪が、ぱさ、と広がった。
「髪くらいちゃんと乾かしなさいよ」
「応、すまんすまん」
メディサの小言を聞き流し、俺は顔を上げて、真剣な面持ちのライフィセットを逆さに見た。
「好きにいじってくれていいぞ。朝にはほどけているだろうけどな」
「うん、ロクロウ、痛かったら言ってね」
「応!」
そして一櫛目がぐしりと突き刺さり、俺はいきなり口を開く羽目になった。
「いて」
「っご、ごめん!」
「ライフィセット、いきなり根本からやっては駄目。毛先から梳かすの」
「う、うん」
それでも何度か頭が引っ張られ、そのたびにライフィセットが謝るので、とうとう俺がメディサに怒られた。
「ロクロウ、あなた、髪の長さが本当にざんばらね! だから絡むの。普段はどうしているのよ」
「絡んだところは切ってるぞ。今日も切ってくれて構わん」
メディサが目を吊り上げたのが見えるようだった。
「駄目。絶対に駄目。あなたは良くても、そんなことライフィセットに覚えさせられないわ。ーーいい? 女の子の髪を勝手に切るなんて、絶対に駄目よ」
「う、うん。わかった」
俺は女の子じゃあないんだが、まあ、練習だからな。にしても、そんな調子で俺の髪を梳いていたら、結う前に夜が明けてしまう。俺はもう、酔っぱらっているし、借りた毛布は暖かいしで、かなり眠いんだ。だが、きっと船を漕いだら、メディサにまた怒られるんだろうなあ。だが、あくびくらいは許してもらおう。
案の定、なんとか髪を結える状況に持っていくまでで、メディサが許す夜更かしの期限を越えてしまったらしい。
「今日はここまでにして、ライフィセットは寝なさい」
これからだ、というのに、ライフィセットは少し残念そうだったが、大人しく答えた。
「……うん、わかった。ありがとう、メディサ」
「ロクロウ、あなたも寝るならベッドで寝なさい」
「んあ」
毛布を剥がれて、自分が半分くらい寝ていたことに気が付いた。頭を降ると、さらさらと髪が落ちてくる。こんな風に髪をくしけずったのは久しぶりだなあ。いつぶりだったか、しかし、それは思い出せなかった。
「ロクロウも、ありがとう。無理に起こしてごめんね」
「んー、いや、もう寝るからな。おやすみ、ライフィセット」
「うん、おやすみ。……それで、あの」
ライフィセットは、少し声を潜めて言った。
「また、練習させてもらっても、いいかな?」
俺の返すべき言葉なんて、一つきりしかない。
ーーただ、せっかく梳かしてもらった頭は、翌朝には元に戻っていたのだが。

11名無しさん:2016/12/07(水) 11:11:48 HOST: softbank126028054114.bbtec.net
2.
最後に風呂から上がったアイゼンが、ぎょっとした顔で俺たちを見た。その視線にライフィセットは手を止めたが、俺はただ杯を乾かすことだけに専念した。そうでないと笑ってしまいそうだった。
「……何をしているんだ?」
「ぶっ」
だが、そう尋ねられた時には耐えきれなかった。心底意味不明という顔で、若干こちらを心配さえしているアイゼンがおかしくておかしくて、しかし吹き出した途端にライフィセットが唸る気配がしたので、なんとかそこで踏みとどまった。
「……練習だよっ、練習」
ライフィセットがむきになったように言って、また手を動かし始めた。アイゼンは俺に顔を向けてきたので、笑って返した。
「そうだ、特訓だな。なにせ、髪は女の命だそうだから」
そして、左手をひらひらと降ってみせると、察しのいい副長殿はそれで理解したらしい。吐息だけで笑った。
「……それでてめえが実験台か」
「応。なかなか楽しいぞ」
「そりゃ結構だな」
そして俺が注いだ杯を、横からアイゼンがかっさらう。ぐいと干すのが見えた。こいつ、人が動けないのをいいことに。
「こら、返せ」
「たまにはいいだろうが。風呂上がりは純米が旨い」
「それはそうだが、飲む気なら杯を取ってこいよ」
徳利まで取られて、二杯目を飲まれている。そりゃあ、少し燗をつけた純米心水は旨いし、分けてやるのもやぶさかではないが、俺の分がないのはいただけない。仕方なしに、俺はつまみをかじった。
「お前、イモケンピ食いながら飲んでんのか」
「応、ライフィセットからの差し入れだ。お前にもおすそ分けしてやるぞ?」
一本つまんで差し出せば、ようやく杯と徳利が返ってきた。よしよし。注ぐ間に、アイゼンもライフィセットの隣に座ったようだった。
「鳥の巣みてえな頭だな。そこ、切っちまったほうが早いんじゃないか」
「駄目だよ、女の人の髪は、絶対に切ったりしたら駄目だって、メディサが言ってた」
「……そうか」
それからぽりぽりと、イモケンピをかじる間があって、再びアイゼンが口を開いた。
「……ライフィセット、少し櫛を寝かしてみろ」
「え? ……こう?」
「もう少しだ、そして根元を押さえて……」
髪を引っ張る手つきが変わった。ライフィセットの歓声が上がる。
「わあ、アイゼン、すごい!」
しばらくライフィセットが格闘していた、アイゼン曰くの鳥の巣が攻略されたらしい。アイゼンはまた息だけで笑った。
「ーーアイゼンの妹は、髪が長いの?」
一旦櫛を置いて、ライフィセットは髪を編む段階に入った。同然、三つ編みだ。いや、メディサは別の名前で呼んでいたが、何だか忘れてしまった。
「……いや」
おそらくアイゼンは、たまに見せる柔らかい顔をしているのだろうな、と感じた。
「短い、お前とそう変わらないくらいだ。それでも、たまに髪を梳いてくれと言われることがあって……痛いとか雑だとか、文句ばかりだったが……」
「仲がいいんだね」
ライフィセットは過去形を使わない。アイゼンが笑った気配がした。俺は黙って杯を傾けた。燗は冷めつつあったが、腹に溜まったものがぽかぽかと暖かい。
「ーーできた!」

12名無しさん:2016/12/07(水) 11:12:28 HOST: softbank126028054114.bbtec.net
ライフィセットが弾んだ声を上げ、手が離れた。髪が少し引っ張られているような感覚があったが、毛先まで一本の紐のようにまとまっているので、形にはなっているようだ。
「ぶっ」
珍しくアイゼンが吹き出した。喉の奥でくつくつと笑う。
「あっ、アイゼン……!」
「なんだ、どうした?」
「ロクロウ、鏡見てこい」
「応!」
「だめっ、ロクロウ、だめ!」
俺が立ち上がるぎりぎりで、留めていた紐がほどかれ、髪をわしゃわしゃとかき混ぜられた。
「あっ、ライフィセット、やったな」
「ロクロウの素直な意見を聞いておいたほうが、よかったんじゃないか」
「もう、アイゼンの感想でよくわかったよ、もっと練習する。だけど、今日はもうおしまい、ロクロウ、ありがとう」
「応!」
ライフィセットが櫛の手入れに洗面所に行った。俺も今日はもう寝るか。徳利に残った最後の一杯を飲み干して、食いかけのイモケンピは袋に仕舞う。
「……お前も、よく付き合ってやるもんだな」
ぽつりと溢したアイゼンは、呆れで覆った瞳の中に、隠しきれない情を滲ませている。だからこの男は穢れを溜めて、自らを袋小路に追い込むんだろうなあと思った。だがそれが、アイゼンの呼ぶ《舵》なんだろう。ならば俺がとやかく言う理由もなかった。
「応! これでも多少は分かっているぞ。斬ることだけじゃないんだ、俺のやりたいことは」
まあ、大体は斬ることだけどな。そこまで言わずとも、アイゼンは、やれやれだ、と肩をすくめた。
「アイゼン、ロクロウ! 寝る前にはちゃんと歯を磨かないとだめだよ!」
ライフィセットが洗面所から顔を出す。おっと。そう言われちゃあ行かないわけにはいかない。女衆に告げ口されるのは恐ろしい。
「……どちらが年上か分からんな」
「その言葉、そっくりそのままお前に返すぞ、アイゼン」
アイゼンものっそりと立ち上がって、洗面所へ向かう。寝巻きなので、その背中には同然、裂け目がない。
俺だって少しは思うところもある。
この暖かさが、もうしばらく続けばいいというくらいには。

13名無しさん:2016/12/07(水) 11:13:55 HOST: softbank126028054114.bbtec.net
3.
「はい」
ぶっきらぼうに手渡されたのは小瓶だった。うす黄色い液体が、八分目ほど入っている。揺れ方からして油のようだ。
「なんだこれ?」
「椿油。あんた、使ってないんでしょう」
「椿油?」
なんに使うんだ? と思ったのが、顔に出ていたらしい。ベルベットは心底呆れたように腕を組んだ。
「あんたねえ……椿油っていったら、髪油でしょ。それくらいは知ってるわよね?」
「ん? ーーああ、そうか」
自分の生活には縁遠いものだったので、すぐには思い付かなかった。髪油なんてものを最後に使ったのは何年前か……思い出せなかった。それこそ七五三の時以来かもしれない。
「なんでこんなものを俺に? お前こそ使うんじゃないか」
「馬鹿にしないでよ、気が付いてないとでも思った? あんた最近、髪の手入れしてるでしょ」
「なに、分かるのか」
驚いた。夜に少し梳いて弄るだけで、朝にはすっかり元通りになっているというのに。しかも毎晩じゃない。分かるはずがないと思っていた。だが、ベルベットは得意気に鼻で笑った。
「男ってほんと無頓着ね。エレノアだって気付いてるわよ。最近あんたの髪が妙に落ち着いてるって」
俺は自分の髪に指を通してみた。相変わらずぱさぱさと跳ねている。
「すまん、全く違いが分からん」
「……あんた、自分のことでしょ? そのくらい気を使いなさいよ。っていうか、身だしなみの範疇よ、そのくらい」
「お、応……」
《災禍の顕主》としてより、小娘然として言われるほうが、よほど言い返せない。女には逆らわないのが一番だ。荷物で塞がっていなければ、両手を上げてやってもいいくらいだった。ベルベットは溜飲を下げたようで、俺を少し睨むと、くるりときびすを返した。まだ鍛冶屋に行っていない。炎石と燃料を少し買い足さなければならなかった。
「……黒髪には椿油がいいんだって」
ベルベットが、俺に聞かせるというわけでもなく、ぽつりと呟いた。視線はこちらに向けずに、また小さく口を開く。
「姉さんが言ってた。金髪みたいに派手じゃないけど、きちんと手入れすれば綺麗よって……寒くなると、椿の実を拾いに行ったわ」
「そうか」
ベルベットは近頃、よく家族の話をするようになった。普段よりは幾らか穏やかな顔をする。悪いことではないだろう。俺も気持ちが分からんでもない。
「だからお前も髪の手入れはきちんとしているというわけか?」
「そうね。あと……。ーーラフィが綺麗だって言ってくれたから」
その言葉には、寂しさと、どこかほっとしたような、達観したような声の響きがあった。俺は、なるほど、と思った。
なるほど、ライフィセットがこだわるわけだ。惚れた女のこんな顔を見たくはないだろう。
「……いいなあ」
「なにが」
「いや、何でもない。ただ、そういうのはいいなあと思ってな。俺にはもうよく分からなくなっちまった。業魔だからな!」
余計なものは斬って、斬り捨てて、ここまで来た。そうして捨て置いたものにも、いくらか価値はあったかもしれないと、今になって思うことがある。ただ、もうそれは分からないし、二度と手に入れられることもないだろう。それならば、俺は今持っているものを研いで、生きていくしかない。俺は《夜叉》だし、そうありたいと願っているから。
だから、今俺の手の中にあるものは、なるべく取り零さないでいたい。
俺が笑うと、ベルベットは目に見えて歩く速度を落とした。背中を追っていた形が、途端に逆転する。俺は首を傾げながら、後ろを振り返った。
果たして、そこには、偽悪然として腕を組む、十九の小娘がいた。
「……それで」
「あ?」
「……誰があんたの髪を誉めたのよ」

14名無しさん:2016/12/07(水) 11:14:28 HOST: softbank126028054114.bbtec.net
そこで俺はようやく気が付いた。
「あー……ーーっはははは!」
納得はそのまま笑いに変わり、ベルベットの機嫌を盛大に傾げてしまった。
「ーー何よ、別に誰だっていいけど……あんたが自分の身なりに気を使うなんて……誰に言われたらそうなるんだろうって思っただけ、そんなに笑わないでよ!」
「ぶっ、はは、だから今日ーーははははっ!」
だから今日、見送るエレノアが妙に真剣な顔をしていたのか!
きっと、ベルベットは大して興味があったわけではないだろう。だが、マギルゥとエレノアにせっつかれて、買い出しの時に聞き出せとでも言われたに違いない。だから髪油なんてものも用意してーー笑いが止まりそうになかった。《災禍の顕主》ともあろうものが、小娘の欲求ひとつ、はね除けられないなんて!
そんなのは知れている。こいつもそう変わらない小娘なんだ。
それでも憮然とした顔で、それでも訊いてくるんだから、笑わずにはいられない。しかし、そろそろ蹴られる強さが照れ隠しを越えてきている。お前の足で向こう脛を蹴られるのは洒落にならん。
「っはあ、く、苦しい……。分かったからベルベット、もうやめろ、本気で痛いぞ、お前」
「あんたが笑うからでしょうが!」
「悪かった、俺が悪かった! お前があまりに……、ぶっ……」
睨まれた。俺は笑いの発作を必死に飲み込んだ。
「……お前があまりに仲間思いだから、俺はか、感動したよ……」
「……馬鹿にして」
ベルベットはいつもより早足で、俺をすたすた抜き去った。俺はその背中に声をかける。
「まあ聞け、お前だって手ぶらじゃ帰りにくいだろう。俺の髪が少しはマシになったって言うんなら、それは……」
ベルベットの歩みが少し弛む。だが振り返りはしない。だから俺がにやけているのは伝わらない。
「ーーそれは、お前のおかげだな、ベルベット!」
「……はあ?!」
何よそれ、どういう意味?! と胸ぐらを捕まれながら、俺はまたしばらく止まりそうにない、笑いの発作に取り付かれてしまった。

おわり

15名無しさん:2016/12/29(木) 11:25:34 HOST: softbank126083086022.bbtec.net
太陽が燦々と輝くとある昼下がり。
 街と街を繋ぐ車の通りの少ない道路に一台のワゴン車が走っていた。そのワゴン車から、楽しそうな声が空に向かって響いている。
「見て見てマギルゥ! 雲があんなに長く伸びてるよ!」
「おおそうじゃの坊。ほれ、あそこを見てみぃ。鳥の大群じゃ」
「フィー! マギルゥ! 頭を車の外に出すんじゃないの!」
 ベルベットは、はしゃぎながら外の風景を見ようと車の窓から頭を出していたライフィセットとマギルゥを助手席から叱りつけた。
 今、ベルベット達はアイゼンの運転するワゴン車に乗っていた。
 アイゼンの隣の助手席に座るベルベット、そしてそのすぐ後ろの席に座っているライフィセットとマギルゥの他にもワゴン車には同乗者がいた。
「そうですよライフィセット! 今車が少ないからと言っても、車から頭を出すのは危険な行為です! マギルゥにつられてそんなことをしてはいけません!」
「まぁまぁいいじゃないか。男だったら一度は車の早さで受ける風をその体で浴びてみないとな、なあアイゼン!」
 ライフィセットを咎めた声の主はエレノア、逆にライフィセットを擁護しアイゼンに同意を求めたのはロクロウだった。
 二人はワゴン車の三列目、ライフィセットとマギルゥのさらに後ろに座っていた。
「そうだな、男なら多少の冒険や無茶はしておくものだ」
「そうだな、じゃないわよ! まったくもうこれだからうちの男連中は……」
 ベルベットは呆れながらも窓の外を見る。
 窓から見る風景は確かに美しい。長い長い雲が空の青に数本の線を描いている様は、まるで一つの絵画のようだ。
 だがベルベットの視線は空よりもその下、道路の先にある街へと向けられた。
「もうすぐね……」
 ベルベットは目線を隣町、さらにその中にあるであろう目的地へと向ける。
「スーパーかめにん、あと数分てところかしら」
 ベルベットはそう目的地の名前を呟きながら、ふと後ろの座席を見た。そこには、楽しげに話すライフィセット達四人の姿があった。
「まったく、どうしてこんな大所帯になったのかしら」
 そう言いながら、ベルベットはどうしてこうなったのかを思い出し始めるのであった。


   ◇◆◇◆◇

16名無しさん:2016/12/29(木) 11:28:25 HOST: softbank126083086022.bbtec.net
「ねぇアイゼン」
 日曜の朝のことである。
 ベルベットはソファーの上で横になっているアイゼンを見下ろしながら呼びかけた。
「ん? なんだベルベット」
「あんた今日暇よね?」
「ああ暇と言えば暇だが……どうした?」
「ちょっと頼み事があってね」
 そう言うと、ベルベットは体を起こしソファーに座りなおしているアイゼンに一枚のチラシを突き出した。
「ん? なんだこれは? スーパーかめにん開店二十周年記念セール……?」
「ええ、隣町のスーパーかめにんは知ってるでしょ? あのスーパーといいながらなんでも売ってる店。あそこが開店記念セールでいろいろと安く売るらしいの。それで、車を出してもらおうと思って」
 ベルベットの言葉を聞いて、アイゼンは納得したように「ああ……」と声を上げた。
「……ま、いいだろう。家事担当はベルベットの仕事だからな。そのベルベットからの要請なら、聞かないと後が怖い」
「ちょっと、それどういう意味」
 少し不機嫌そうな顔で聞くベルベットに対し、アイゼンは不敵に「ふっ」と一言笑い口元をニヤつかせるのみだった。
 その態度が納得いかないベルベットであったが、そこで悶着をしてもしょうがないと思い、そのまま話を進めることにする。
「……まあいいわ。そうと決まれば早く準備して。急いでいかないと人で混むはずだから」
「はいはい……」
 アイゼンがそう言いながら気だるそうにソファーから立ち上がる。
 そのときだった。
「ちょっとまてぇい!」
 二人を呼び止める大きな声が階段と居間を結ぶ扉の方から聞こえてきたのだ。二人が何事かとその声の方向を向くと、そこには片手を大きく突き出したマギルゥの姿があった。
「マギルゥ? どうしたのよ一体」
「ふふーん二人でなにやら密談をしている気配がしたから来てみれば、なんとこっそりあいびきとはのぅ? そのようなこと、例えお天道様が許してもこのマギルゥ様は許さんぞよー?」
 マギルゥの芝居がかった言い方と動きに、ベルベットとアイゼンは呆れた視線を送る。そして、
「……で、一応聞くけどつまり何が言いたいわけ」
 と冷たく返した。
「うむ。儂も連れてけー!」
 するとマギルゥは、今度はあっけらかんと言い放った。
「はぁ、そんなことだろうと思ったわよ……言っとくけど、別に買い物だけでどっかに遊びに行ったりしないわよ」
「別にそれでよいわー。最近ずっと家にいて退屈しておったのじゃ、とにかく刺激が欲しいのじゃよー」
 マギルゥがこういったことを言っているのに無視をしたら後々面倒なことになるのをベルベットもアイゼンも知っていた。
 そのため、ベルベットとアイゼンはお互いに顔を見合わせ、「はぁ……」と一つため息をついた後に、
「……いいわよ。でも、邪魔だけはしないでよね」
 とマギルゥがついてくることを了承した。
「なんじゃい! ひとをわんぱく小僧みたいに言いおって!」
「似たようなもんでしょ」
「だな」
「おお!? 儂の認識がなんだかおかしなことにー!?」
「はいはいそうですね」
「あの……」
 騒いでいるマギルゥを軽くいなしていると、今度はマギルゥの後ろから恐る恐るといった様子の声が聞こえてきた。
 マギルゥが居間の中に入りながら振り向くと、そこにいたのはライフィセットだった。
「あらフィー。どうしたの?」
「あの、僕も一緒に行っていい、かな?」
 ライフィセットはその後すぐに「あ! 邪魔ならいいんだけど!」と付け足した。
「あら、別にいいわよ」
 ベルベットは笑顔で即答した。
「ちょ、儂のときとあまりに対応が違うくないかえベルベットやー!?」
 マギルゥが驚きながらも抗議する。
「だってフィーが邪魔になるようなことするわけないでしょ。あんたと違って」
 ベルベットは半目でマギルゥを見て笑いながらそう言った。
 マギルゥはそんなベルベットに対しこれまた大げさなリアクションを取る。
「おお!? なんという態度の差……反対ー! 魔女差別反対ー!」
「はいはい」
「ベルベット、ありがとう!」
 ベルベットがマギルゥをいなしているとライフィセットがベルベットに対し笑顔で言う。
 それに対し、ベルベットもライフィセットに対して笑顔で返した。
「いいえ、でも荷物運びは手伝ってもらうわよ?」
「うん! もちろんだよ!」
「ふっ、そう即答できてこその男だぞライフィセット。よく言えたな」
 アイゼンがしたり顔でライフィセットに言う。どうもライフィセットの発言がアイゼンの男らしさの基準に適ったらしい。
 ライフィセットもアイゼンに褒められて嬉しそうに笑った。
「じゃあ来るなら二人共早く準備してきなさい。と言っても、買い物に行くだけだから必要な準備なんて殆どないでしょうけど」
「あ、ちょっといいですか?」

17名無しさん:2016/12/29(木) 11:29:36 HOST: softbank126083086022.bbtec.net
 ベルベットがマギルゥとライフィセットを準備に行かせようとしたとき、またも新たな声が割って入ってきた。
 その声の主はライフィセットの後ろにすっと現れた。
 それはエレノアだった。側にはロクロウもいる。
「私も一緒に連れて行ってもらえますか? 実は少し欲しいものがあって」
「おいおい、みんなで行くんなら俺だけ置いてけぼりってことはないよなぁ?」
 真面目そうな笑みで言うエレノアと、対して面白そうだからという考えが透けて見えるロクロウの笑み。
 その二者の笑みを見て、ベルベットは軽くため息をついて、言った。
「……わかったわよ! もうみんなでいくから早く準備なさい!」


   ◇◆◇◆◇
「……なし崩しって感じねぇ」
「ん? 何か言ったか?」
 思い出し独り言を呟くベルベットに対し、アイゼンが聞く。それに対し、ベルベットは静かに頭を振った。
「いいえ何も。あ、そろそろ着くわね」
 ベルベットが言ったように、一行の車はすでにスーパーかめにんの駐車場についていた。駐車場には多くの車が止まっており止める場所を探すのに少しだけ苦労したが、車の台数にしてはわりとすぐに停車できる場所を見つけられたため、それほど時間はかからなかった。
 一行は車を止めると、一斉に車を降りる。
「おー! ついたのー!」
「マギルゥ、うるさいです」
 大きく背筋を伸ばしながら言うマギルゥをエレノアが諌める。その光景を見て、ライフィセットとロクロウは思わず笑い声を上げた。
「はいはい傾注傾注」
 そこで、ベルベットがパンパンと手を叩いて全員の注目を集める。
「それじゃあこれから買い物に行くわけだけど……それぞれきっと欲しいものがあるでしょうから、最初はみんな自由に行動していいわよ。その代わり、帰りには荷物運びを手伝ってもらうから。それとちゃんとお小遣いの範疇で買い物すること。オーバーは絶対にさせない。いいわね?」
「うん!」
「うむ!」
「おう!」
「分かりました」
 アイゼン以外のそれぞれが一言返事を返す。残ったアイゼンはと言うと、ベルベットの隣で少しばかり考え事をするように視線をずらしたかと思うと、ベルベットに耳打ちするかのように聞いてきた。
「……本当に全員バラバラでいいのか?」
 それに対し、ベルベットも小声で返す。
「ええ。何か一つの目標があるならいざしらず、このメンバーを一つにまとめ上げろって言われたらどう思う?」
「……無理だな」
 ベルベットの言葉にアイゼンは深く頷いた。
「でしょ? だから最初は好きに行動させて後でまとめて締め上げたほうが楽なの」
 ベルベットが悪い顔でそう言う姿に、アイゼンは苦笑いをした。
「それじゃあ行くわよ」
 ベルベットが全員に背を向け歩きながら告げる。
 こうして、ベルベット達一行の買い物大作戦が始まるのであった。


   ◇◆◇◆◇


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