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闘争の系統 〜ネタバレノート〜
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***ロリシカ国・ニューカークシティ***
ロリシカ国は、アフリカの旧英領植民地を元として建国された、
太平洋のインファント島などを領土に持つアフリカ大陸随一の大国である。
サラジアのアフマド・アルハザード副大統領は、
アフリカ歴訪の締めくくりとして最後にそのロリシカを訪れ、
政財界の要人らと会談した後、首都ニューカークシティのスタジアムでサッカーの試合を観戦していた。
アルハザード「前半、ややリズムが掴めずに苦戦していたが、
後半になって復調してきたな。
ロリシカも強いが、我が国もよく訓練された組織プレーで互角以上の勝負をしている」
秘書N「サッカーは中東一の人気スポーツという事で、
優先的に強化のための投資をしてきましたが、
その成果が如何なく発揮されているようですね。
この分なら本番でも期待できそうです」
スポーツの国際大会である太陽系オリンピックが、
一週間後に中東のアザディスタンで開催される。
その太陽系オリンピックに出場する男子サッカーのサラジア代表は、
本番直前の最終調整のための合宿をロリシカで行ない、
地元のロリシカ代表とアウェーで手合わせの試合をしていた。
アルハザードは政治的な用向きでロリシカを訪れたついでに、
多忙な中での息抜きも兼ね、この自国代表チームの仕上がり具合を視察する事にしたのである。
秘書R「閣下、申し訳ございません。
ただ今セネガルより戻って参りました」
秘書N「あらお姉様、遅かったわね」
アルハザード「ラムラ、待っていたぞ。
それで〝試運転″の結果はどうであったか」
秘書R「上々です。素晴らしい性能に自分でも驚きました。
今回このようなご配慮をいただき、本当にありがとうございます」
アルハザード「サヘルの獅子は反地球連邦を掲げる凶暴なテロ集団。
もうしばらく奴らの暴れるままにさせておいても良いのだが、
太陽系オリンピックは我がサラジアが世界にその実力を示す晴れ舞台でもある。
狂った革命家どものテロでそれをぶち壊しにされては面白くない」
セネガルからロリシカへ戻って来てスタジアムで合流した秘書Rと、
意味ありげな会話を交わすアルハザード。
やがて試合は1-1の引き分けに終わり、
サラジア代表チームの戦いぶりにまずまず満足したアルハザードは会場を後にした。
アルハザード「今の内にお前にも〝試運転″をさせておこう。
この政治家、ロリシカの超国家主義派にとっては邪魔な男だ。
私の改造技術の性能を試す実験台にしよう」
秘書N「承知いたしました…」
スタジアムを出たアルハザードは周囲に誰もいないのを注意深く確かめると、
車の中で一枚の男の顔写真を秘書Nに手渡した。
***ニューカークシティ郊外***
ケンドリック「よし、出かけるか」
スティーブン・ケンドリック。
ロリシカ国の与党に属する新進気鋭の若手議員で、
その清廉で正義感の強い政治姿勢が多くの国民から支持を集めている政界のホープである。
今日も議会に出席するため、スーツに着替えたケンドリック議員は秘書が運転する車に乗り込み、
ニューカークシティ郊外にある自宅から首都中心部の議事堂へ向かおうとしていた。
ケンドリック「車を出してくれ」
秘書「かしこまりました」
昨今ロリシカでは「真の強いロリシカの創造」を謳う、
超国家主義派と呼ばれるナショナリストが国外勢力とも結びついて力を強めている。
テロリズムさえ肯定するこうした過激派を取り締まるため、
ケンドリックは自ら発議した議員立法を議会で通すべく日々奮闘しているところであった。
だが秘書が車のアクセルを踏み込もうとしたその時、事件は起こった。
車が大きく揺れ、車体が1メートルほど地面から浮き上がったのである。
ケンドリック「な、何だ…!? うわぁぁぁっ!!」
驚き慄くケンドリックと秘書。
次の瞬間、車は強い力で投げ飛ばされたように回転しながら宙を舞い、
ケンドリックの自宅の壁に叩き付けられて大破した。
ケンドリック「ぐっ…ぐわぁぁっ!」
潰れた車から何とか外に這い出たケンドリックの背中を、
青い怪物の足が上から思い切り踏みつけ、鋭い爪が彼の皮膚に喰い込んだ。
怪物はそのままケンドリックの首を掴んで彼の体を持ち上げると、
そのまま首をへし折って彼の命を奪ったのである。
隣の住人「ひ…ひぇぇぇ〜っ! 化け物だ〜!」
青いドラゴンのようなモンスターがケンドリックと秘書を惨殺したと、
目撃した隣の家の住人は半狂乱状態に陥りながら警察に通報したが、
警官が急ぎ駆け付けた時には既に怪物の姿はなく、
恐るべきパワーで破壊された車のスクラップが現場に残っているのみであった…。
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