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闘争の系統 〜ネタバレノート〜

1ティアラロイド ◆EeTIARA9jE:2014/06/21(土) 16:38:22
こちらは、闘争の系統に在籍するSS執筆者さんたちが、
温めてあるネタがあるけれど、シナリオ進行上の順番の問題や、
今現在まだテレビで番組が放送中などで、ルール上まだ本編に
投稿できないなど、披露したいけれどできない構想をここで
明かしちゃおうというスレッドです。

ここはタイトル通り、ネタバレ上等なスレッドです。
物語の核心に関わる事実に触れられる場合もありますので、
ネタバレが嫌いな方は、閲覧にはくれぐれもご注意を!

■設定資料集(まとめサイト)
ttp://www.geocities.jp/oa002843/index.html

847凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/08/20(土) 12:35:07
***トリスタン平原***

黒三日月隊がメルヴィオン聖王国に降伏勧告を突き付けてから九日目の夜。
メルヴィオン軍は総勢十万の大軍を編成し、
王都ネクナールを出陣してトリスタン平原の西側に進出した。
返答の刻限となる十日目の日の出まで、あとわずか数刻に迫っている。

ナダル「見ろプジョール。敵が選んだのは最悪手の陣形だ。
 まるで蹴散らしてくれと言わんばかりではないか」

深夜、メルヴィオン軍の本陣で開かれた軍議の席。
机上に広げられた戦場の俯瞰図を指で叩きながら、
ナダルは弟のプジョールに向けて言った。

シャヴィ「横に大きく広がった横隊陣か…。
 確かに、我らメルヴィオン軍にとっては最も得意な相手ではあるな」

シャヴィも斥候の報告を元に描き出された敵軍の布陣図を見てほくそ笑む。
黒三日月隊は全体を横一列に広く並べた陣形を取っていたが、
これは横に関しては広範囲をカバーできる反面、縦の厚みがないため、
一点集中で鋭く突破を仕掛けられると脆いという弱点がある。
騎兵の縦列突撃を得意とするメルヴィオン軍にとっては、
まさに格好の餌食と言うべき陣の組み方であった。

プジョール「されど兄上、横隊陣の強みは、弓隊を前面に並べた場合、
 一度により多くの矢を敵に射かけられるという点にあります。
 敵は飛び道具を揃えて我らを待ち構え、一斉射撃で倒すつもりではないでしょうか?」
シャヴィ「プジョール、案ずるな。
 確かに横隊陣の利点はそなたの申す通りで、
 敵の意図もそこにあるのは間違いない。
 だが、我がメルヴィオンの騎士団は精強無比だ。
 例えどんなに敵の矢が降り注ごうとも、
 それを掻い潜って突破するだけの力が我らにはある」
ナダル「これまで多くの敵が、
 同じ事を考えて弓兵の横隊で我らを喰い止めようとし、
 無惨に攻め破られて失敗してきたのだ。
 矢の一斉射撃など、よく訓練された騎兵の前にはせいぜい足止め程度にしかならぬ」

プジョールが戦術の基礎に鑑みて意見を述べるが、
兄のシャヴィとナダルは実戦経験上、それが杞憂である事を説明して宥める。
勇猛で練度も高水準にあるメルヴィオン騎兵は、
例え矢の雨を浴びせられてもそれを乗り越えて敵陣に到達できるだけの突破力を持っている。
これは慢心ではなく、数々の勝利が実際に証明してきた事実なのだ。

プジョール「しかし…。
 あれだけ傲慢とも取れる姿勢を見せておきながら、
 この敵の迂闊さ、かえって不気味に思えてなりませぬ。
 何か罠があるとは考えられませぬか」
エリス「確かに、敵にも何らかの勝算がなければ、
 あのような大きな態度を取れるものとは思えないわ」
ナダル「姉上、それは杞憂と申すものでしょう。
 地の利を考えても、この条件ならば我らは騎兵の力を最大限に活かせます。
 敗れる道理が一体どこにありましょうや」

プジョールはなおも納得が行かない様子で警戒を促し、
エリスもそれに同調したが、ナダルは二人の言葉を敢えて顧みなかった。
戦場となるトリスタン平原はだだっ広い原野で、
北に先日の会見場所となったホセアの丘が隆起している以外、
騎兵の突撃を阻む障害物と呼べる物はない。
しかも、メルヴィオン軍が布陣した西側から黒三日月隊が陣を構える東側に向けて、
平原はなだらかな下り坂となっているのだ。
地理的な要素を考えても、メルヴィオン軍の有利は明らかだった。

848凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/08/20(土) 12:37:27
シャヴィ「ナダルの申す通り、勝利の条件は全て我が方に揃った。
 坂の上から一気呵成、騎馬隊を雪崩の如く攻めかからせ、
 敵陣を斬り裂いて寸断した後に各個撃破するのが我らとしては定石だろう」
ナダル「父上、先陣は何とぞこのナダルにお申し付けを!
 それがしは副使として黒三日月隊との交渉に当たって参りましたが、
 我らを原始人などと見下す奴らの傲慢ぶりには怒りを覚えておりました。
 我が自慢の騎士団でひと思いに踏み潰し、目にもの見せてやりとうございます!」

ナダルは総大将であるアディラス十六世に先陣を志願した。
床几にどっしりと腰を下ろし、瞑目して王子や王女らの議論にじっと聞き入っていたアディラスは、
強い眼光を湛えた両眼を開いて厳かに口を開く。

アディラス「いや、先陣はシャヴィに任せる。
 開戦の狼煙と共に前進し、敵の正面を突け」
シャヴィ「はっ、ありがたき幸せ!」
ナダル「父上!」
アディラス「そちは昨年の海賊討伐で十分に武名を馳せておる。
 今回は兄に手柄を譲ってやれ」

一年前の海賊討伐では勇猛果敢なナダルがほとんど一人で敵を全滅させる大活躍をしてのけたため、
ここでバランスを図っておきたいという思惑がアディラスにはあった。
シャヴィとナダルの兄弟関係は非常に良好だが、王位継承権の行方をどちらも気にかけている今、
弟が兄を武功で大きく凌ぐようになってしまうと感情的に厄介な問題にもなりかねない。

アディラス「ナダルには第二陣を預ける。
 兄に続いて突撃し、敵陣を存分に蹂躙するがよい」
ナダル「…承知しました」
アディラス「プジョールは第三陣じゃ。
 兄達の後方に控え、機を見て援護せよ」
プジョール「はっ、仰せのままに!」
アディラス「エリスは遊撃部隊として本陣の右手に待機。
 戦況に応じ、頃合いを見計らいつつ手薄な箇所に加勢すべし」
エリス「心得ました!」

こうして各隊の配置が決まり、軍議は閉会した。
メルヴィオン軍の作戦は、トリスタンの平坦な地形を生かし、
敵の陣形の弱点を狙った騎馬隊による波状攻撃である。
歴史上、これまで幾度となく王国に勝利の栄光をもたらしてきた必勝の戦術であった。

アディラス「夜明けと共に開戦じゃ。皆、抜かるでないぞ!」

回答の期限となる明朝の日の出と同時に敵軍は動き出すに違いない。
アディラスはその機先を制し、一気に叩く腹づもりであった。

849凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/08/20(土) 12:40:46
【今回の新規登場】
●ザイード(フルメタル・パニック!)
ヘルマジスタンの元ゲリラで、相良宗介の旧友。
幼い頃の宗介に戦闘のイロハを教えた人物でもある。
後にガウルンの部下となり、宗介と交戦したが敗れて戦死した。
Zy-98シャドウを乗りこなし、冷静沈着で感情に流されず常に着実に任務を遂行する。

●グリーンドラゴン(ドラゴンクエストシリーズ)
緑色の体色をした二足歩行のドラゴン。
毒の息や氷の息を吐いて攻撃する。

○シャヴィ・メル・アディラス(闘争の系統オリジナル)
メルヴィオン聖王国の王子で、国王アディラス十六世の長男。
父王の信頼も厚い智勇兼備の名将。

○ナダル・ヴァル・アディラス(闘争の系統オリジナル)
メルヴィオン聖王国の王子で、国王アディラス十六世の次男。
気性が激しく勇敢な、王家きっての猛将。

○プジョール・ティル・アディラス(闘争の系統オリジナル)
メルヴィオン聖王国の王子で、国王アディラス十六世の三男。
温厚で誠実な人柄で知られ、剣術にも優れる。

○エリス・レイカ・アディラス(闘争の系統オリジナル)
メルヴィオン聖王国の王女で、国王アディラス十六世の長女。
美しく勇敢な姫騎士として人望を集める。

○リンディ・アルス・アディラス(闘争の系統オリジナル)
メルヴィオン聖王国の王女で、国王アディラス十六世の次女。
父王と側室との間に生まれた庶子で、ハーフエルフを母に持つエルフ族とのクォーター。
魔法使いで、水・氷系の攻撃魔法を得意としている。

●イブン・ファイサル(闘争の系統オリジナル)
サラジア共和国の元陸軍大尉で、黒三日月隊のアセーリア侵攻軍司令官。
極めて残忍かつ好戦的で、自らを近世のコンキスタドールになぞらえ、
メルヴィオン聖王国に対し徹底した破壊と殺戮による侵略を行なう。


●ザイード→メルヴィオン聖王国に無条件降伏を勧告する。
●グリーンドラゴン→ラウール王子に倒される。

○ラウール・エル・アディラス→修業の旅でカレブ山を訪れ、グリーンドラゴンを倒す。
○ナレイン・レンドルフ→ラウールの修業の旅に随伴してカレブ山を訪れている。
○アディラス十六世→黒三日月隊と戦うためトリスタン平原へ出陣。
○シャヴィ・メル・アディラス→黒三日月隊と戦うためトリスタン平原へ出陣。
○ナダル・ヴァル・アディラス→黒三日月隊と戦うためトリスタン平原へ出陣。
○プジョール・ティル・アディラス→黒三日月隊と戦うためトリスタン平原へ出陣。
○エリス・レイカ・アディラス→黒三日月隊と戦うためトリスタン平原へ出陣。
○リンディ・アルス・アディラス→留学中のコンクェイテューラからネクナールへ帰省する。
●イブン・ファイサル→メルヴィオン聖王国に無条件降伏を勧告する。

850ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2016/08/21(日) 18:16:37
<<狙われた国際競技大会(仮)-2>>

***アザディスタン・某所***

ミンメイ「申し訳ございません、チー様。鬼太郎がこの国に現れました!」
チー「おのれ、鬼太郎め...こんな場所にまで現れるとは!」

鬼太郎と遭遇し、撤退したミンメイ(画皮)はアザディスタンにおける妖怪帝国の
拠点へと戻り、主である中国妖怪の大物チーに鬼太郎がアザディスタンに現れた事を
報告する。

???「キャハハハ、おめおめと逃げ帰るなんて、中国妖怪は弱虫ばかりなのかしら?」
ミンメイ「貴様はザンビアッ!?」

そこに逃げ帰って来たミンメイを笑う者―西洋妖怪のヤングジェネレーションの
1人である魔女ザンビアがミンメイを嘲り笑う。ザンビアの側には、同じヤング
ジェネレーションであるドラキュラ伯爵の三代目であるドラキュラ三世と狼男の子孫、
狼男ワイルドが並ぶ。

チー「ふん。まだ計画は始まったばかりアル。そっちこそ準備は進んでいるアルか?」
ドラキュラ三世「無論、計画は順調だ」
狼男ワイルド「準備が完了し、作戦が本格的に始まれば、人間達は恐怖でパニックに
 なる事間違いないわ」

計画の進行を尋ねるチーに対して、ドラキュラ三世と狼男ワイルドが答える。
妖怪帝国が進める計画...この時点では、まだ誰も分からない。

***日本・葛飾区亀有公園前派出所***

ラジオの声「柔道男子100キロ級、日本代表は準々決勝を突破。
  明日の準決勝はロシア代表を破ったオーブ代表との対戦となります」
両津「よしッ!日本は準決勝に進出だな」

その頃、アザディスタンで妖怪帝国の作戦が進行している事など露知らず、
日本にいる警察官、両津勘吉は派出所でオリンピックの試合をラジオで聞いていた。

中川「ここしばらく、オリンピックは衰退気味でしたが、今回の大会は大変な
 盛り上がりになっていますね」
両津「だな!...待てよ?何かこの時期忘れているような...」
麗子「そういえば...ええと...」

ラジオでオリンピックの試合を聞いていた両津達だが、何かを忘れている
事に気が付く。だが、なかなか思い出せない。

中川「あっ!先輩、日暮さんですよ。日暮さん!」
両津「そうだった!アイツが起きてくる時期じゃねえか」

両津達が思い出したのは、新葛飾署に勤務する日暮巡査の事である。
日暮巡査―本名、日暮熟睡男は4年に一度しか起きて出勤してこない
という警察官で、本来ならばクビにされてもおかしくないのだが、念写や
予知能力を持つ超能力者で、その能力を駆使して様々な事件を解決したり、
未然に防いだ事からクビにならずに済んでいた。

両津「アイツを起こしにいくのか?面倒なんだけどなぁ...」
大原「そうも行くか。両津、日暮を起こして来い!」
両津「ゲェッ!部長」

日暮巡査を起こしに行くのを面倒くさがる両津だが、大原部長が
派出所に現れ、日暮巡査を起こしに行くよう両津に命じる。

851ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2016/08/21(日) 19:50:14
しかし、両津達が日暮巡査を起こしに行くが警察寮に日暮巡査は
居なかった。

大原「一体、どういう事だ。両津!!」
両津「スイマセン、スイマセン部長!実は...」

日暮巡査の消息が不明になっている事に、大原部長は両津の
胸倉を掴み、鬼気迫る顔を近づける。迫られた両津は4年前の事を話す。

4年前。超能力を駆使して、事件を解決した日暮巡査は、B.A.B.E.Lから
超度を調べて欲しいと打診されて、両津に連れられB.A.B.E.Lへとやって来る。

B.A.B.E.L研究員「はい。測定は終了しました。結果は後日、お伝えします」
両津「応。ありがとうな」
日暮「両さん...ちょっと疲れたから、そこで休ませてもらうよ」
両津「分かった。後で起こしてやるよ」

測定を終えた日暮は置いてあったカプセルの中に入って休むのだが、
実はカプセルは廃棄されるものだった。そしてカプセルの中に日暮が
入っている事は知らずにカプセルは投棄され、両津はすっかり日暮の
事を忘れていた。

麗子「ヒドイ...」
大原「何て事をしてくれたんだ、両津!」
両津「スイマセン、スイマセン、顔を近づけないで!」
麗子「でも、日暮さんは今、何処に?」
中川「...こうなったら、奥の手を使いましょう」
両津、大原「「奥の手?」」

日暮巡査の事をすっかり忘れ、放置していた両津に大原は
怒声を挙げる。行方不明の日暮をどう探すべきか皆が考えると、
中川が奥の手を使うと言い出す。その奥の手は...?

852ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2016/08/22(月) 19:20:28
>>852加筆・修正

中川「もしもし中川です。是非、ある人物を探すのに協力をしてほしいのですが...」
両津「中川の奴...誰に電話を掛けているんだ?」
大原「さあ...」

奥の手を使うと言い出した中川は携帯電話に何処かへと連絡を入れる。
両津達は誰に電話を掛けたのか疑問を浮かべる。

中川「...はい。...はい。分かりました。ありがとうございます!
 先輩、日暮さんの居場所が分かりましたよ!」
両津「何だとぉ〜!?」
大原「一体、どうやって探し当てたんだ?」

中川は携帯電話を切ると、両津達に日暮巡査の居場所が分かった事を伝える。
両津は驚き、大原部長は如何にして探し当てたのか中川に質問する。

中川「スポンサー権限で、ブレイバーズに日暮さんの居場所を探すのに
 協力していただいたんです」
両津「ブレイバーズだとぉ!?」

そう中川はスポンサーの立場を利用して、ブレイバーベースのメインコンピュータ、
エルファの力を使って、世界中の情報網から日暮巡査の居場所を見つけ出したのである。

両津「...確かに、ブレイバーズの力を使えば見つけ出せるか」
麗子「それで、日暮さんは今どこにいるの?」
中川「はい。今、日暮さんが居る場所は...アザディスタンです」

中川がエルファの力を借りて見つけ出した、日暮巡査が現在、居る場所...
それは太陽系オリンピックで盛り上がっている中東の国家―アザディスタンだった!

麗子「アザディスタンって言ったら、オリンピックが行われている場所じゃない!」
両津「何で、そんな場所にいるんだよ(汗」
中川「詳しい経緯は分かりませんが、どうやらカプセルの投棄先が
 中東の方の海域らしく、そこからカプセルが引き上げられ、中にいた
 日暮さんが起きてカプセルが出てきたのではないかと...」

中川は日暮巡査がアザディスタンにいる理由を推察する。そして両津は
大原部長の命令により、中川を伴って日暮巡査を探しにアザディスタンへと
向かうのであった。

◯両津勘吉→日暮巡査を探しにアザディスタンへ向かう。
◯中川圭一→ブレイバーベースのエルファの力を借りて、日暮巡査が
   アザディスタンにいる事を突き止め、日暮巡査を探すべく両津に
   同行する。
◯秋本・カトリーヌ・麗子→両津達と共に太陽系オリンピックの試合をラジオで聞く。
◯大原大次郎部長→両津に日暮巡査を探し出すよう命令する。
●チー→ミンメイの報告を聞く。
●ミンメイ→チーに鬼太郎の事を報告する。
●魔女ザンビア→チーとミンメイの前に現れる。
●ドラキュラ三世→チーとミンメイの前に現れる。
●狼男ワイルド→チーとミンメイの前に現れる。

【今回の新登場】
●チー(ゲゲゲの鬼太郎)
 中国妖怪の

●魔女ザンビア(ゲゲゲの鬼太郎 5期)
 西洋妖怪のヤングジェネレーションの1人である現代風の魔女っ子。
 ベアード配下では一番の若手で、バックベアードに恋愛感情を抱いている。
 ヤングジェネ―レーションでは最も傲慢で、魔法の知識と攻撃力に関して
 それなりにセンスがあるが、経験不足の上に戦術が稚拙で、いつも
 負けている。狼男ワイルドとは犬猿の仲。

●ドラキュラ三世(ゲゲゲの鬼太郎 5期)
 西洋妖怪のヤングジェネレーションの1人であるドラキュラ伯爵の三代目。
 性格は冷酷非情で日本を見下している。美男子である反面、美女を見ると
 見境なく手を出そうとする悪い癖があり、魔女ザンビアやゴーゴンといった
 女性妖怪に馬鹿にされ、どこか実力不足で頼りない三枚目を演じてしまっている。
 祖父である初代ドラキュラ伯爵に敬意と憧れを抱いている。

●狼男ワイルド(ゲゲゲの鬼太郎 5期)
 西洋妖怪のヤングジェネレーションの1人である狼男の子供でオカマ。
 極めて残虐な性格をしており、格闘能力は高いが、妖術は全くの不得手。
 趣味はネイルアート。魔女ザンビアとは犬猿の仲。

853ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2016/08/22(月) 19:31:19
>>852誤爆した。>>850-851に加筆・修正

中川「もしもし中川です。是非、ある人物を探すのに協力をしてほしいのですが...」
両津「中川の奴...誰に電話を掛けているんだ?」
大原「さあ...」

奥の手を使うと言い出した中川は携帯電話に何処かへと連絡を入れる。
両津達は誰に電話を掛けたのか疑問を浮かべる。

中川「...はい。...はい。分かりました。ありがとうございます!
 先輩、日暮さんの居場所が分かりましたよ!」
両津「何だとぉ〜!?」
大原「一体、どうやって探し当てたんだ?」

中川は携帯電話を切ると、両津達に日暮巡査の居場所が分かった事を伝える。
両津は驚き、大原部長は如何にして探し当てたのか中川に質問する。

中川「スポンサー権限で、ブレイバーズに日暮さんの居場所を探すのに
 協力していただいたんです」
両津「ブレイバーズだとぉ!?」

そう中川はスポンサーの立場を利用して、ブレイバーベースのメインコンピュータ、
エルファの力を使って、世界中の情報網から日暮巡査の居場所を見つけ出したのである。

両津「...確かに、ブレイバーズの力を使えば見つけ出せるか」
麗子「それで、日暮さんは今どこにいるの?」
中川「はい。今、日暮さんが居る場所は...アザディスタンです」

中川がエルファの力を借りて見つけ出した、日暮巡査が現在、居る場所...
それは太陽系オリンピックで盛り上がっている中東の国家―アザディスタンだった!

麗子「アザディスタンって言ったら、オリンピックが行われている場所じゃない!」
両津「何で、そんな場所にいるんだよ(汗」
中川「詳しい経緯は分かりませんが、どうやらカプセルの投棄先が
 中東の方の海域らしく、そこからカプセルが引き上げられ、中にいた
 日暮さんが起きてカプセルが出てきたのではないかと...」

中川は日暮巡査がアザディスタンにいる理由を推察する。そして両津は
大原部長の命令により、中川を伴って日暮巡査を探しにアザディスタンへと
向かうのであった。

◯両津勘吉→日暮巡査を探しにアザディスタンへ向かう。
◯中川圭一→ブレイバーベースのエルファの力を借りて、日暮巡査が
   アザディスタンにいる事を突き止め、日暮巡査を探すべく両津に
   同行する。
◯秋本・カトリーヌ・麗子→両津達と共に太陽系オリンピックの試合をラジオで聞く。
◯大原大次郎部長→両津に日暮巡査を探し出すよう命令する。
●チー→ミンメイの報告を聞く。
●ミンメイ→チーに鬼太郎の事を報告する。
●魔女ザンビア→チーとミンメイの前に現れる。
●ドラキュラ三世→チーとミンメイの前に現れる。
●狼男ワイルド→チーとミンメイの前に現れる。

【今回の新登場】
●チー(ゲゲゲの鬼太郎シリーズ)
 中国妖怪軍団の首領。飲んだ妖怪を反物に変える秘薬を持ち、
 その反物で作った服を着た人間を支配する反物魔法を使う。
 普段は老人の姿をしているが、その正体は那須高原に封じられた
 玉藻前の弟で、姉を封印された事で日本に憎悪を抱いている。
 
●魔女ザンビア(ゲゲゲの鬼太郎 5期)
 西洋妖怪のヤングジェネレーションの1人である現代風の魔女っ子。
 ベアード配下では一番の若手で、バックベアードに恋愛感情を抱いている。
 ヤングジェネ―レーションでは最も傲慢で、魔法の知識と攻撃力に関して
 それなりにセンスがあるが、経験不足の上に戦術が稚拙で、いつも
 負けている。狼男ワイルドとは犬猿の仲。

●ドラキュラ三世(ゲゲゲの鬼太郎 5期)
 西洋妖怪のヤングジェネレーションの1人であるドラキュラ伯爵の三代目。
 性格は冷酷非情で日本を見下している。美男子である反面、美女を見ると
 見境なく手を出そうとする悪い癖があり、魔女ザンビアやゴーゴンといった
 女性妖怪に馬鹿にされ、どこか実力不足で頼りない三枚目を演じてしまっている。
 祖父である初代ドラキュラ伯爵に敬意と憧れを抱いている。

●狼男ワイルド(ゲゲゲの鬼太郎 5期)
 西洋妖怪のヤングジェネレーションの1人である狼男の子供でオカマ。
 極めて残虐な性格をしており、格闘能力は高いが、妖術は全くの不得手。
 趣味はネイルアート。魔女ザンビアとは犬猿の仲。

854凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/08/22(月) 23:10:41
≪アセーリア編「ネクナール炎上」-2≫


***トリスタン平原***

――翌朝。
太陽がゆっくりと昇り、トリスタンの原野を照らし始めた。

ファイサル「…タイムリミットだな」

眩しい陽光に目を細めながらファイサルが言った。
軍勢を集結させている時点で分かり切っていた事ではあるが、
メルヴィオン王から降伏を受諾する親書の提出は結局ないまま、
回答の期限となる十日目の日の出を迎えたのである。

ファイサル「身の程知らずの原始人どもめ。
 一丁ブチのめしてやるか。全軍、直ちに戦闘態勢に入れ!」
ザイード「はっ、了解しました!」

ファイサルの指令で、黒三日月隊が横隊陣を保ったままゆっくりと前進を開始する。
それを見越して深夜の内に手筈を整えていたメルヴィオン軍も、
開戦の合図となる狼煙を空に上げ、重武装の騎士の軍団を前方へと繰り出した。

シャヴィ「我らが先陣を切る!
 聖なる王国メルヴィオンを踏みにじらんとする侵略者を、
 一人残らず討ち払え! 突撃!!」
バレロン「殿下に遅れを取るな! 進め!」

角笛が高らかに吹き鳴らされ、
シャヴィ王子が率いる王宮直属の騎士八千騎が勇躍、突撃を開始した。
エゼキエル・バレロン卿を初めとする有力諸侯の兵二万二千がその前後左右を固め、
合わせて三万の大軍勢が一丸となって坂を駆け下り正面から敵に突っ込んで行く。

シャヴィ「行けっ! 敵は目前ぞ!」

砂煙を濛々と巻き上げ、大地を揺らしながら猛然と進撃する人馬の群れは、
その迫力だけで敵を圧倒し、恐怖に陥れるには十分かと思われた。だが…。

ザイード「第十六部隊、射撃開始!」



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      く  \ ノミノ゚,、゚),===========i,=..:::;;;;;;(,;;; ::,;;; ;;)",;;;:,;;; ::..       (";";;;;゙; : ;":,;::.. ;: ::
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  (⌒ヽ ノミノ ・ ),===========i,=..:;,;;;;;;;.);;;;;;;;;;;;;;:':; : _ヽ   :: :       .....::;;;;;;  ⌒ヽ;"':; :;::.
  ヾ Δ≡/ ('-、っ' ̄ソ ̄ ̄.,;;;;;;;;;⌒;;ヾ;;;;;ノ,;;;; ノミノ ・ ),===========i,=..:;;;;;; ':;,;; ;;;;;;;);;:;,;;;:: ,;;;:::;:......
  ノミノ丶),===========i,=..:;:;;;;;;;;);;;;;.;.,;;;;':;.;"':; /≡/ ('-、っ' ̄ソ ̄ ̄ ̄ :;;ヽ;;;;:";"; ;;;;;;;;;;);;;::";;::; ;;::;:...
_/≡/ ('-、っ' ̄ソ ̄ ̄ ̄   :;;;:ヽ;; ノ゙_ヽ ;"  ヾく彡ノ]    ,;;;⌒ヽ;;::;;;;;;;;;;("':;,;;; ;;;;; ;;: : ::.. .
 ヾく彡ノ]`‐‐´ヽヽ ヽ |     ノミノ ・ ),===========i,=..:::;;;;;;,;;;;;;";"(,;;;;;;;;;;;; ;:;;,;;;:)゙:;;,;;;,;;;: ::..
 (  ◆ ) ヾヽ > / `っ   /≡/ ('-、っ' ̄ソ ̄ ̄ ̄     : ;;;;:;;;;;;;;;;;ノ':; ;;;; ::;.: :::;::...
∠≡∧≡ヽヽ ヽ |   ̄     ヾく彡ノ]`‐‐´くソ  ,、ヽ / く.    :;; ヾ;;;;;;;; :";";";":.:;;;;:::...
くソ ノヾヽ > / `っ        (  ◆ ),--、  ̄  ヽ' `ー-'     :;; :: ."; ;;;; ::;.:; ;; :..
 | /   ヽ |   ̄        /≡∧≡ヽ/ >               "::;;::::.."
ノ )   / `っ          くソ  ,、ヽ / く.
 ̄     ̄ ̄            ̄  ヽ' `ー-'

855凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/08/22(月) 23:12:31
シャヴィ「な…何だとっ…!?」

シャヴィは思わず我が目を疑った。
敵目掛けて勇ましく疾走していた彼の騎兵隊が、
突如、耳をつんざく凄まじい轟音と共に一瞬で薙ぎ倒されたのである。

シャヴィ「これは一体どうなっているのだ!?」

アセーリア人は銃というものをまだ知らない。
弓矢と投石器、それにわずかな攻撃魔法しか遠距離攻撃の手段を持たない
地球の中世ヨーロッパとほぼ同水準の文明に、
ヘルマジスタン人の傭兵で構成された黒三日月隊・第十六部隊は、
アサルトライフルやガトリングガンの一斉射撃を容赦なく浴びせかけた。

ファイサル「オラァ撃て撃て! 撃ちまくれっ!」

黒三日月隊が横隊陣を敷いた狙いはこれであった。
飛び道具など何するものぞと強気で突破に挑んだメルヴィオン軍だったが、
オーバーテクノロジーによる敵の火力の猛烈さは全く想定外のレベルであった。
一秒に何十発という速度で連射される銃弾は騎士の楯を貫き、鎧の鉄板を突き破って命を奪う。
シャヴィが指揮するメルヴィオン軍の先鋒部隊は、弾丸の雨を浴びて次々と屍の山を築いて行った。

バレロン「殿下をお守りいたせ! ぐわぁっ!!」

シャヴィの元へ馬で駆け寄ろうとしたバレロンだったが、
機銃掃射を受け、たちまち全身を蜂の巣にされて馬上から崩れ落ちた。
国王の片腕と呼ばれた大貴族の敢えない最期であった。

シャヴィ「ぐはっ…! バ…バカなっ…!」

総勢三万の第一陣が全滅するまでには、ほんの数十秒もかからなかった。
飛来した凶弾に心臓を撃ち抜かれ、血を吐きながらシャヴィは落馬。
何が起こっているのか把握する事すら叶わないまま、
未来の王を夢見た男はトリスタンの原野に若い命を散らしたのであった…。

856凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/08/22(月) 23:14:51
伝令「申し上げます! シャヴィ王子殿下が討ち死になされました!」
ナダル「な、何だとっ!?」

長男シャヴィ王子の戦死の報は、直ちに次男ナダル王子の陣へともたらされた。
開戦からほんの数十分も経たぬ内に舞い込んだ思わぬ凶報に、
ナダルは信じられないという表情で座っていた床几から立ち上がる。

ナダル「兄上が…? そんなバカな…!
 さてはご油断召されて敵の罠にでも嵌まったか…?
 だから先陣はこの俺がと言上したのだ!」
伝令「敵は我らの先鋒部隊を壊滅させ、こちらへ向かって進撃中!」
ナダル「相分かった。馬引けい!」

激昂したナダルは床几を力一杯蹴飛ばすと、引かれて来た馬に飛び乗り出陣した。
生来、気性が激しい彼は、四兄弟の中でも最も勇猛と評された武闘派の王子である。
言うまでもなく、彼が率いる七千の騎士団も徹底的に鍛えられた強兵揃いだ。

ナダル「兄上の仇を討つぞ!
 異世界の軍勢など恐れるに足りず! かかれ〜っ!!」
メンディエタ「メルヴィオン騎士の勇敢さを見せよ。前進!」

ナダルの割れんばかりの大音声に応じて七千の軍勢が攻め出し、
アルトゥロ・メンディエタを筆頭とする貴族衆の兵二万がそれに続く。
狙うは、バリク人やガモン人など東南アジア系の傭兵からなる黒三日月隊の第十七部隊である。

ザイード「第十七部隊、撃てっ!」

再び、戦場に響き渡る轟音。
ナダルの手勢もまた、激しい銃撃を浴びて次々と倒された。
更に、射撃部隊の左右に待機していたT-90戦車ウラジーミルが主砲の51口径125mm滑腔砲を放ち、
炸裂した砲弾が地面を抉って爆発を起こす。

ナダル「うおおっ!? な、何だこれはっ…!」
メンディエタ「いかん、突撃中止!
 魔法使いの兵を前列に集めて撃ち返せ!」

銃弾と砲弾が降り注ぐ中、メンディエタは部隊内の魔法使い達をかき集め、
火炎や稲妻などの攻撃魔法で必死に反撃しようとする。
だがメルヴィオン人が使える魔法の威力は、一度にせいぜい数人を倒せる程度。
かめはめ波やドラグ・スレイブのような殲滅力の高い大技は未発達で、
個々の武勇が物を言う中世の戦では活躍できても、
集団で銃火器を運用してくる近代的軍隊の前には無力も同然だった。
魔法を浴びせて数人の敵兵を倒したかと思うと、次の瞬間にはその何十倍もの銃弾が返って来る。
懸命の抵抗を見せていた魔法兵らも、数分と持たずに撃ち殺されて全滅した。

ナダル「こ…こんな事が…! ぐわぁぁっ!!」

王家きっての猛将と恐れられたナダルもこれではどうしようもなかった。
ウラジーミル戦車の主砲の直撃を受け、
ナダルは無惨にも乗っていた馬ごと木端微塵に爆砕されてしまったのである。

伝令「申し上げます! ナダル王子殿下、ご戦死!」
アディラス「何じゃと…!?」

シャヴィ、ナダル両王子が、開戦の狼煙を上げた直後に揃って瞬殺された。
総大将として後方の本陣で指揮を取っていたアディラス十六世も、
これには驚きを隠せずしばし愕然としていた。

伝令「メンディエタ卿も討ち死に! 第二陣は全滅です!」
アディラス「一体いかなる事態じゃ!
 いかに敵が強かろうとも、これほどまでに呆気なく次々とやられるはずがあるか!」
伝令「それが、敵は謎の強力な飛び道具を使っているらしく、
 轟音と共に兵が一瞬で薙ぎ倒されたと…」
アディラス「敵の武器について、早急に確かめよ!」
伝令「ははっ!」

これは尋常な戦いではない。それが一体何であるかは不明だが、
何かとんでもない事が起こっているという事だけは、
老練なアディラスは直感で察知した。

アディラス「プジョールはどうしておる!?
 あ奴だけではとても敵うまい。すぐに本陣へ呼び戻せ!」
キクマル「恐れながら、それがしがお迎えに参ります!」

キクマル・サダムネは王宮に仕えるアオイ人のサムライ達を引き連れ、
未だ前線に留まっている三男プジョール王子の救援に急行した。

857凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/08/22(月) 23:17:28
ザイード「そろそろ潮時ですな」
ファイサル「だな…。第十八部隊に総攻撃を命じろ!」

攻撃を仕掛けてきたメルヴィオン軍の第一波・三万と第二波・二万七千。
全体の半数を超える合計五万七千の兵力を、
黒三日月隊は近代兵器による銃撃と砲撃で瞬く間に壊滅状態に追い込んだ。
戦機が熟したのを見た総司令官のファイサルは、
後方に待機させていた第十八部隊――Σ(シグマ)部隊に前進を指令した。

ガーデーヴィ「さすがは文明の進んだサラジアの軍勢だ。
 魔法の如き恐るべき兵器で、敵をたちまち瀕死にさせてしまったか」

黒三日月隊は所属する傭兵の言語や出身地などによって全部で十八の部隊に分かれているが、
ラストナンバーの第十八部隊は、地球人ではなく異世界の人間を集めた軍団である。
その第十八部隊の一翼を担うのは、かつてある世界で異母弟ラジェンドラと王位を巡って争い、
神前決闘(アディカラーニャ)で巨人バハードゥルをダリューンと戦わせたが敗れたため処刑された、
ガーデーヴィ王子を大将とするシンドゥラ人の傭兵からなる軍勢であった。

ガーデーヴィ「この戦争に勝った暁には、
 サラジアの奴らからアセーリアに所領を頂戴し、
 この俺を王とする新たな国をロサレダ大陸に建設する。
 ラジェンドラ如き愚者を王に選び、
 今や欺瞞の国になり下がったシンドゥラとは違う、
 正統なる王を戴く真のシンドゥラをな」

戦勝の際には報酬としてメルヴィオンの領土の一部を切り取り、
サラジアを宗主国と仰ぐ第二のシンドゥラ国家を樹立して自分がその王になる事を、
ガーデーヴィはアフマド・アルハザード副大統領から直々に約束されていた。
まさに捨てる神あれば拾う神あり…。
神前決闘で神に見放され死ぬ事になったガーデーヴィとしては、
黄泉がえってこのような機会が巡って来た己の数奇な運命に愉悦を隠せない。

ゴーヴィン「そのためには、まずはこの戦で、
 殿下のご武威を存分にお示しなされませ。
 さしずめ、敵の王族を討ち取れば大きな戦功となりましょう」
ガーデーヴィ「分かっている。
 メルヴィオンの第三王子の首を頂くぞ。全軍を押し出せ!」

配下のゴーヴィン将軍の進言を容れ、
ガーデーヴィはプジョール王子の部隊にシンドゥラ軍を攻めかからせた。

カシム「シンドゥラ軍に遅れを取るな。かかれっ!」

ガーデーヴィの世界とは別の世界で行なわれたアニエスの会戦で銀の流星軍(シルヴミーティオ)と戦い、
ティグルヴルムド・ヴォルン伯爵の弓の絶技で射られて戦死した
ムオジネル王国の将軍カシムも、黄泉がえった今では、
第十八部隊の一角を成すムオジネル人傭兵団を率いる部隊長である。
ファイサルの攻撃命令を受け、カシムはムオジネル軍を大挙進軍させた。

カシム「まだ生きている敵の負傷兵は捕虜にしろ。
 ムオジネルに連れ帰って奴隷労働に使役するのだ!」

奴隷制国家のムオジネルは、時には奴隷の獲得のためだけに戦争を起こす事さえある。
黒三日月隊の銃撃で倒れ、動けなくなっていたメルヴィオン軍の負傷兵を、
ムオジネル兵達は片端から捕らえて荒縄で縛り上げた。
時空を超えてムオジネルへ連行された哀れな戦争捕虜達には、
過酷な強制労働という苦難がこれから待っているのである。

858凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/08/22(月) 23:19:46
プジョール「退けっ! 早く後退するのだ!」

アディラス十六世からの退却命令を受け、
前線から兵を退こうとしていた三男プジョール王子だったが、
時既に遅く、唸りを上げて攻め寄せた第十八部隊のシンドゥラ軍に捕捉され、
後方から激しい追撃を受けて戦闘に突入していた。

プラダーラタ「メルヴィオンの弱兵どもめ!
 まとめてかかって来い!」

シンドゥラ軍随一の剛将プラダーラタが、
大声で呼ばわりながら馬上で厚刃の偃月刀を振り回す。
プジョール配下の騎士達が次々とプラダーラタに挑むが、
全て彼の凶刃の餌食となり、血飛沫を上げて倒れる結果となった。

プラダーラタ「待てプジョール王子!
 貴様の素っ首を刎ねてガーデーヴィ様に献上してくれようぞ!」
プジョール「くっ、こうなれば!」

これは逃げ切れない。観念したプジョールは馬首を返して剣を振り上げ、
追い駆けて来るプラダーラタに敢然と挑みかかった。
温厚で誠実な人柄で知られるプジョールだがその武芸の腕はかなりのもので、
猛将の兄ナダルからも、こと剣の技にかけては自分以上と評された技巧派の戦士である。
しかし…。

プラダーラタ「うおりゃぁっ!」
プジョール「うわぁっ!」

勝負は一瞬で決した。
プジョールがその華麗な剣技を披露する暇さえなく、
勢いよく振り下ろされたプラダーラタの偃月刀が、
プジョールを脳天から腰まで一気に斬り下げたのである。

キクマル「殿下〜っ! しまった、遅かったか!」

アオイ人のサムライ達を引き連れてキクマルが救援に到着した時には、
既にプジョールは絶命し、首級をプラダーラタに取られてしまっていた。

キクマル「おのれっ! 殿下の仇、許さん!」
プラダーラタ「ほう、来るか小僧!」
キクマル「うおおおっ!!」

アオイ国の名刀・虎一文字を抜き、怒り狂ったキクマルは、
鬼の形相でプラダーラタの前に自分の馬を突っ込ませた。

キクマル「やぁっ!」
プラダーラタ「つぁっ!」

キクマルの虎一文字とプラダーラタの偃月刀が激突し、火花を散らす。
プラダーラタの猛攻を必死に凌ぎ、反撃に出たキクマルは、
遂に鋭い逆袈裟の一撃でプラダーラタを斬り裂いた。

プラダーラタ「ぐわぁぁっ!」
キクマル「討ち取ったり〜!」

真っ赤な鮮血を噴き上げながらプラダーラタはどさりと落馬した。
敵将を倒して一矢報いたメルヴィオン軍から歓声が上がる。
だが、絶望的な敗勢は到底これだけで覆せるものではなかった。
シンドゥラ軍の後詰がすぐに押し寄せ、更にムオジネル軍も別方向から攻めて来る。

キクマル「これは大変な戦だ…」

次から次へと湧いて来る雲霞の如き敵軍に、
キクマルは毒づきながらなおも果敢に立ち向かって行った。

859凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/08/22(月) 23:22:09
伝令「プジョール王子殿下、お討ち死に…!」
アディラス「何たる事じゃ。
 余は悪夢でも見ておるのか!?」

三人の王子をたちまちの内に殺され、
さしものアディラス十六世もあまりの衝撃にわなわなと身を震わせた。
開戦からまだ数刻と経っていないにも関わらず、
既にメルヴィオン軍は総兵力の七割を超える死傷者を出して散々に崩され、
各所で敗走を始めている。
油断がなかったかと問われれば確かに否定はできない。
だが、まさかここまでの事態になるなどとは一体誰が予測できたであろうか。

エリス「父上、かくなる上はこの私に出陣をお命じ下さいませ。
 兄上やナダル、プジョールの仇、必ず討ってご覧に入れます!」
アディラス「たわけを申すな!
 いかなる武器を使っているかはいざ知らず、
 敵の強さは尋常なものではないのだぞ。
 万一そちまでも失ったら我が王家は一体どうなるのじゃ」

出陣を志願するエリス王女を、アディラスは厳しく叱りつけた。
姫騎士と呼ばれ、美しく気品あふれる女性ながら武勇にも優れた自慢の娘だが、
もし三人の息子に続いて彼女まで死なせてしまったらアディラスとしては耐えられない。

エリス「確かに、敵のこの強さは異常です。
 まともに正面からぶつかっても勝ち目はまずないでしょう。
 ですが、例えどんな強力な武器を持っていようとも、敵もやはり人間。
 勝ちに驕って油断すれば隙も生まれます。
 それに、異世界からやって来たばかりの敵はこの辺り一帯の地理に明るいとは思えません」
アディラス「…何を考えておるのだ?」

訝しむ父王に、エリスは机上の地図を指し示しながら作戦を説明する。

エリス「戦場の北にあるホセアの丘を迂回し、
 密かに敵の側面に出てそこから攻めかかります。
 今やお味方は総崩れ。敵はそれを追撃して前後に長く間延びし、
 横からの攻撃には弱くなっているでしょう。
 私の騎士団三千でそこを突き、敵将の首を一つでも取ればきっと風向きは変わるはず!」
アディラス「なるほど。悪い手ではないが…」

広げられた戦場の地図を眺めながら、アディラスは低く唸った。
エリスの策は兵法の常道であり、確かに理に適っている。
ただ、この非常識なまでの強さを誇る敵に、常軌に則った戦法が果たして通用するかどうかは分からない。
アディラスはしばし逡巡したが、やがて意を決して首を縦に振った。

アディラス「…よう分かった。やってみよ。
 だが、決して命を粗末にするでないぞ」
エリス「承知いたしました、父上!」

勇んで本陣を出て行くエリスの後ろ姿を、
アディラスは不安げな眼差しで見送ったのであった。

860凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/08/22(月) 23:27:45
●ザイード→黒三日月隊を進軍させ、トリスタン平原で戦闘開始。
●ガーデーヴィ→黒三日月隊のシンドゥラ人部隊を率いてアセーリアへ侵攻。トリスタン平原の戦いに参加する。
●ゴーヴィン→黒三日月隊のシンドゥラ人部隊の将軍としてアセーリアへ侵攻。トリスタン平原の戦いに参加する。
●プラダーラタ→黒三日月隊のシンドゥラ人部隊の将軍としてアセーリアへ侵攻。
 トリスタン平原の戦いに参加しプジョール王子を討ち取るが、キクマル・サダムネに倒される。
●カシム→黒三日月隊のムオジネル人部隊を率いてアセーリアへ侵攻。トリスタン平原の戦いに参加する。

○キクマル・サダムネ→トリスタン平原の戦いでプラダーラタを討ち取る。
○アディラス十六世→トリスタン平原の戦いで王子達を次々に討たれ驚愕する。
○シャヴィ・メル・アディラス→トリスタン平原の戦いで戦死する。
○ナダル・ヴァル・アディラス→トリスタン平原の戦いで戦死する。
○プジョール・ティル・アディラス→トリスタン平原の戦いで戦死する。
○エリス・レイカ・アディラス→トリスタン平原の戦いで側面攻撃をアディラス十六世に志願する。
○エゼキエル・バレロン→トリスタン平原の戦いで戦死する。
○アルトゥロ・メンディエタ→トリスタン平原の戦いで戦死する。
●イブン・ファイサル→黒三日月隊を進軍させ、トリスタン平原で戦闘開始。

【今回の新規登場】
●ガーデーヴィ(アルスラーン戦記)
シンドゥラの王子で、ラジェンドラの異母兄。
世間知らずで目下への心配りができないため、諸侯の支持は集めるものの民衆には人気がない。
ラジェンドラと王位を巡って争い、神前決闘(アディカラーニャ)で
バハードゥルをダリューンと戦わせるが、敗れたため処刑された。

●ゴーヴィン(アルスラーン戦記)
シンドゥラのガーデーヴィ派の将軍で、グジャラート城の城司。
ナルサスの詭計にかかり、ダリューンに討ち取られた。

●プラダーラタ(アルスラーン戦記)
シンドゥラのガーデーヴィ派の将軍で、偃月刀を武器とする屈強な戦士。
カーヴァリー河の戦いでダリューンに討ち取られた。

●カシム(魔弾の王と戦姫)
ムオジネル王国の将軍。奴隷出身だが才覚を認められて将軍となった。
アニエスの戦いで銀の流星軍と交戦し、ティグルヴルムド・ヴォルンの黒弓で討ち取られた。

861凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/08/25(木) 21:32:41
≪アセーリア編「ネクナール炎上」-3≫


***トリスタン平原***

開戦から数刻、太陽が中天に近付く頃には、
メルヴィオン軍はもはや目も当てられぬ大混乱に陥っていた。
見た事もない超兵器で圧倒され、三人の王子を続けざまに討ち取られて、
恐怖に駆られた兵士達は戦意を失い我先にと逃げ惑う。

王蛇「戦場か…。ハハッ、最高の祭りの場所だな!」

サラジアへ渡って黒三日月隊の一員となっていた浅倉威は、
仮面ライダー王蛇に変身して合戦の中へ飛び込み、
ベノサーベルを振り回してメルヴィオン軍の兵士を片端から薙ぎ払っていた。
アセーリアに降り立った史上最凶の仮面ライダーの前には、
メルヴィオンの名だたる騎士達も赤子の手を捻るが如く次々と倒されて行く。

王蛇「雑魚どもめ、もっと俺を楽しませろ!」

凶悪殺人犯で、暴力を快楽とする王蛇にとっては、
どんなに人を殺しても罪に問われないどころかむしろ賞賛される戦場というのは、
まさに理想の場所である。
鎧すら斬断する威力の凶剣ベノサーベルを振るい、
王蛇は快感に酔いながら思うままに殺戮を楽しむ。

ベノスネーカー「キシャァァァァ!!」
メタルゲラス「グォォォォォ!!」
王蛇「人間はいくらでもいる。好きなだけ喰え!」

王蛇の契約モンスターであるコブラ型ミラーモンスター・ベノスネーカーが、
逃げ惑うメルヴィオン兵を襲って捕食する。
元は仮面ライダーガイの契約モンスターで、
ガイが王蛇に倒されたため王蛇と契約したサイ型ミラーモンスター・メタルゲラスも、
持ち前の凄まじい突進でメルヴィオン兵を突き倒しては喰らい付き、
食糧にして空腹を満たして行った。

ザイアン「ヒャハハハハ! オラオラァ!
 早く逃げねえとこいつでぶっ刺しちまうぞ!」

黒三日月隊・第十八部隊のブリューヌ人部隊を率いるザイアン・テナルディエもまた、
自ら馬に跨り、逃げるメルヴィオン兵を追い回しては次々と槍で突き殺して楽しんでいた。
メルヴィオン軍が無惨に瓦解して組織的抵抗力を失いつつある今、
行なわれているのはもはや戦闘ではなく、一方的な殺戮に等しかった。
散り散りになって敗走するメルヴィオン軍を、
ザイアン率いるブリューヌ軍はどんどん追って次第に隊列が間延びしていく。

エリス「思った通りね。敵は陣形を乱しているわ」

その頃、密かにホセアの丘の裏側を迂回して移動していたエリスと配下の騎士三千騎は、
逃げるメルヴィオン軍を夢中で追走するブリューヌ軍の側面に出る事に成功していた。

エリス「天にまします我らの神!
 世界の創造主セイロスよ、メルヴィオンを護りたまえかし!
 全騎、突撃開始!!」

神に祈りを捧げたエリスは攻撃開始を下知した。
エリス自ら先頭を切り、丘の陰から飛び出した三千の騎兵が、
前がかりになって紐状に長く伸びる形となっていたブリューヌ軍に、
鬨の声を上げて猛然と横から攻めかかったのである。

862凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/08/25(木) 21:34:22
スティード「ザイアン様! 右手に敵です!」
ザイアン「て、敵だと!?」

テナルディエ家に仕える騎士スティードが、
側面から急接近するエリス隊に気付いて声を発した。
慌てふためくザイアンが軍勢をまとめる暇もなく、
突っ込んで来たエリス隊は仲間を追い回していたブリューヌ兵らに斬りかかり、
不意を突かれて戸惑う敵を次々と倒して行く。

エリス「勇気を出しなさい! まだ戦える者は私に続いて!
 この戦、必ずここから引っ繰り返して見せます!」
メルヴィオン兵「「「オオッ!!」」」

馬上から声を限りに叫んで味方を鼓舞するエリス。
戦意を失ってひたすら逃げるばかりだったメルヴィオン兵達も、
姫騎士エリスの勇姿に励まされて闘志を取り戻し、再び敵に立ち向かう。
戦場の流れはまさに一瞬で変わった。
総崩れになっていたメルヴィオン軍が、死力を振り絞っての猛反撃に転じたのである。

ザイアン「メルヴィオンの奴らめ、小癪な真似しやがって…!」

突如として逆流を始めた戦いの流れはたちまちブリューヌ軍を呑み込んだ。
エリス隊の猛攻は凄まじく、ザイアンが馬上で歯噛みしている間にも、
ブリューヌ軍は将兵が次々と討たれ切り崩されて行く。

エリス「敵将、覚悟っ!」

敵兵を蹴散らし、ザイアンとの距離をある程度まで詰めたエリスは、
振るっていた槍を頭上でくるりと一回転させて構えると、
ザイアン目掛けて思い切り投げつけた。

ザイアン「うひゃぁっ!?」
スティード「ザイアン様!」

勢いよく投擲された槍は狙いをわずかに外れ、
ザイアンではなく彼の跨っていた馬に命中した。
脇腹を刺された馬が悲鳴を上げて横転し、ザイアンは馬上から転がり落ちる。

エリス「ああ、神様…!」

惜しかった。天を仰いだエリスは腰の鞘から剣を抜き、
再び周囲の敵兵を斬り倒していく。

スティード「ザイアン様をお守りしろ!」

スティードが周囲の兵を指揮して人馬の壁を作らせザイアンを守らせる。
剣を振るって馬を駆けさせそこへ突進しようとしたエリスだったが、
刹那、銃声が響き、彼女の配下の騎士達が一度に数騎倒された。

孫市「鳴け、誇り高き八咫烏よ! 鉄砲隊、放てっ!!」

同じ黒三日月隊・第十八部隊に所属する、
雑賀孫市を頭領とする雑賀衆の鉄砲隊が火縄銃を撃って来たのだ。
更に、ブリューヌ軍の危機を見て駆けつけたシンドゥラ軍も加勢し、
エリス隊は完全に包囲されてしまった。

孫市「あの敵将を狙って撃て!」
エリス「うっ…!」

雑賀衆の鉄砲で右腕を撃たれ、エリスは落馬した。
倒れた彼女にブリューヌとシンドゥラの兵が飛びかかり押さえつける。
なおも必死に抵抗するエリスの頭に強烈な一撃が叩き込まれ、
彼女の意識は落ちて視界が暗転した…。

863凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/08/25(木) 21:36:32
日の出と共に始まったトリスタン平原の戦いは、
メルヴィオン聖王国軍の歴史的大敗という形で正午過ぎには終結した。
十万の軍勢をわずか半日の間に壊滅させられ、
エリス王女の部隊による側面奇襲も失敗に終わって、
敗北を認めたアディラス十六世は命からがら王都ネクナールへ逃げ帰ったのである。
戦闘が終わったトリスタンの原野には何万というメルヴィオン兵の屍が積み上がり、
血臭を乗せた冷たい風に吹き晒されていた。


***王都ネクナール・王宮***

リンディ「い…一体何があったの!?」

夕刻、ネクナールの王宮へ帰還したメルヴィオン軍の無惨な姿を目にして、
父王らの帰りを待ち詫びていたリンディ王女は城門の前で愕然とした。
十万の大軍で意気揚々と出陣した王国軍だったが、
生きて王都に帰って来れたのはその一割にも満たない人数のみ。
生還者もほとんどが目を背けたくなるような痛々しい傷を負っている。
結果を聞くまでもなく、大惨敗だった事はリンディにもすぐに分かった。

リンディ「父上! ご無事でしたか!?」
アディラス「おおリンディ。済まぬ。父は負けたぞ」

片足に血の滲んだ包帯を巻いた姿で帰還した父王に、
リンディは駆け寄って抱きついた。
本陣が攻撃を受けた際に敵の銃弾で右膝を撃たれ、
アディラスも負傷していたのである。
普段、国王を囲んでいる重臣や旗本の騎士達もことごとく討たれて、
傍に侍るのはもはやアオイ人のキクマルただ一人であった。

リンディ「…? 姉上は? 
 兄上達はどうされたのですか、父上!?」
アディラス「リンディ…。まことに済まぬ!」

シャヴィ、ナダル、プジョール、そしてエリスの戦死という悲報を、
アディラスはリンディに告げた。
しばらく言葉もなく呆然自失していたリンディは、
やがて起きた事態を呑み込むと、あふれ出す涙を抑えられずに大声を上げて泣き出した。

リンディ「あぁっ…! 姉上っ…兄上っ…!」
キクマル「姫様、おいたわしや…。
 我らの力が足りぬばかりに、面目ない限りでござる…」

王宮の中に戻ってもずっと泣き続けているリンディの姿に、
キクマルも慙愧に耐えぬ様子でひっそりと男泣きの涙を流した。
その時、外から異様な音が聞こえたので、
キクマルはリンディの傍を離れて窓を見る。

キクマル「へ…陛下、あれをご覧下さい…!」
アディラス「何じゃ、いかがした」

王宮の窓から外を見て、キクマルが絶句する。
黒三日月隊の攻撃が始まり、ネクナールの街が炎上していた。

864凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/08/25(木) 21:38:05
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        ', .〉‐-= .」ヽ、 ヽ、:ヾニ=-イハィ=ー-、_
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       ノ 、 ∠_|         T  , V´ヘ. ヘ
      ヽ r:ァ'`ヽ T =r==ー-  __l   /   V ヘ_{
       _V  /`>、_ |_|       ̄ =‐-' 二ヾ
       `ー--‐<   `7-、__,__、       l´ro__
              lΤ ー'、  /_,ヲ}ニ=r rrvヘ.┴===゚'
               | l    |l_ー-'´ ヘ  Vヽ-- '´
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            l」_r ュ」 LL.| ゝ-' r'
                ,}::ruイ  ̄ヽ |::::r┴,
            /ヽト ニl、   `^ム._/
             l  |」/,|1
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            「、l、_,イ
          `r>'⌒\
           ヽ\_,ハ
            ー--- '


アディラス「な…何じゃあれは…!」
キクマル「巨大な蛙の化け物…!?」

街を破壊していたのは、蛙を想起させる形状の頭部を持った黒三日月隊のアーム・スレイブ、
リーヴェニ――通称サベージであった。
主武器のロギノフBK-540 37mmライフルを乱射し、
数機のサベージがネクナールの市街地を火の海にする。
巨大ロボット兵器など見た事もないアセーリアの人々からすれば、
全高8.1mのこのASは恐るべきモンスターの類にしか思えなかった。

キクマル「直ちに兵を送って迎撃を!」
アディラス「いや…もはやこれまでじゃ。
 恐るべき奴らよ。あのような巨大な怪物まで手懐けておるとあっては、
 万が一にも我らに勝ち目はあるまい」

ここに来て王都攻略戦に投入されたサベージの存在は、
大王と称えられたアディラスの戦意さえも完全に打ち砕いてしまった。
王宮の床に敷かれた赤い絨毯の上に力なく座り込んだアディラスは、
大きく息を吐いてキクマルに言った。

アディラス「余は自害する。王宮に火を放て」
キクマル「なりませぬ…!
 ここは一旦落ち延び、再起をお図りなされませ!」

必死に王に逃亡を勧めるキクマルだが、
アディラスは既に精魂尽き果てた様子で、首を横に振った。

アディラス「この傷ついた足では、とても逃げおおせまい…。
 後事は全てラウールに託す。三人の兄が揃って亡き者となった今、
 次の王となるべき者は四男ラウール・エル・アディラスである!
 余の遺言としてラウールにそう伝えよ」
キクマル「ははっ…!」
アディラス「よって、王の証である王剣メルヴィカリバーをラウールに授ける。
 キクマル。そちはリンディを連れ、この剣を持って王都を脱し、
 カレブ山にいるラウールに剣を渡せ」
キクマル「陛下っ…!」

震える手で、キクマルはアディラスが佩いていた王剣を受け取った。
やがて大きな音がして、爆発と共に王宮の壁の一角が崩れ落ちる。
黒三日月隊の戦車部隊による砲撃が始まったのだ。

アディラス「いよいよか…。
 さらばじゃリンディ。この不甲斐なき父を許せ」
リンディ「父上、嫌です! 父上!」

リンディは泣きじゃくりながら父に抱きついた。
娘をしっかりと抱き締め、アディラスもしばし感涙にむせぶ。
だが、そうしている間に再び戦車の砲弾が王宮の壁に直撃し、
爆発が起きて二つ目の大穴が開かれた。

アディラス「時間がない。早うせいキクマル!」
キクマル「承知いたしました。さあ姫様、こちらへ!」
リンディ「嫌っ! 父上! 父上〜っ!!」

大泣きに泣くリンディをキクマルが父王から引き剥がし、
無理に手を引っ張って連れて行った。
王家に伝わる王剣メルヴィカリバーを携え、リンディを連れて、
キクマルは王宮の地下にある秘密の抜け穴からネクナールの市外へと脱出したのである。

865凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/08/25(木) 21:42:10
●浅倉威=仮面ライダー王蛇→トリスタン平原の戦いでメルヴィオン軍を殺戮する。
●ベノスネーカー→トリスタン平原の戦いでメルヴィオン軍を殺戮・捕食する。
●メタルゲラス→トリスタン平原の戦いでメルヴィオン軍を殺戮・捕食する。
●ザイアン・テナルディエ→トリスタン平原の戦いでエリス王女の部隊に奇襲を受ける。
●スティード→トリスタン平原の戦いでザイアン・テナルディエを守って奮戦。
△雑賀孫市→トリスタン平原の戦いでエリス王女の部隊と交戦。

○アディラス十六世→ネクナールへ撤退し、ラウールに後事を託して自害。
○エリス・レイカ・アディラス→黒三日月隊に側面攻撃を仕掛けるが失敗し、戦死…?
○リンディ・アルス・アディラス→キクマル・サダムネに連れられてネクナールを脱出。
○キクマル・サダムネ→リンディ王女を連れ、王剣メルヴィカリバーを携えてネクナールを脱出。


【今回の新規登場】

●ザイアン・テナルディエ(魔弾の王と戦姫)
ブリューヌ王国の有力貴族テナルディエ家の御曹司。
武芸に優れるが性格は傲慢で、指揮官としての手腕には乏しい。
モルザイム平原の戦いでティグルヴルムド・ヴォルンに敗れて戦死した。

●スティード(魔弾の王と戦姫)
ブリューヌ王国の有力貴族テナルディエ家に仕える騎士。
忠誠心が高く謙虚で、フェリックス・アーロン・テナルディエが有能と認めた数少ない人物。

△雑賀孫市(戦国BASARA)
鉄砲を武器とする戦国の傭兵集団・雑賀衆を率いる三代目頭領。
雑賀衆こそが最強であると自負し、自分達を八咫烏と称する。
非常にクールで誇り高く、金銭や感情には左右されずただ自分達を高く評価する者とのみ傭兵の契約を交わす。

866凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/09/04(日) 17:17:04
≪X星人の侵略!怪獣軍団総攻撃≫続き

X星人統制官「地球連邦政府に告ぐ。
 一切の抵抗を諦めて我々X星人に無条件降伏しろ。
 お前達は家畜だ。地球は今後、X星の植民地としてのみ存続を許される。
 降伏を受け入れなければ、我々はお前達が絶滅するまで攻撃を続行する!」

怪獣軍団を操って世界各地を破壊するX星人は、
地球連邦政府に対して無条件降伏を突き付けた。
各国の軍隊やブレイバーズは懸命の抗戦をしているが、
怪獣はX星人の瞬間転送技術によるテレポートで神出鬼没の出現と撤退を繰り返すため、
迎撃作戦もほとんど効果がなく被害ばかりが増えてゆく。


***マリネラ王国・首都マリネラ***

アンギラス「キャォォォ〜ン!!」
パタリロ「うわぁぁぁ〜っ! 何だこの怪獣は!」

X星人に操られた暴竜アンギラスは、
カリブ海に浮かぶ島国であるマリネラ王国に瞬間転送され、
甲高い咆哮を上げながら国王パタリロ・ド・マリネール8世の住む王宮へと迫る。
出動したマリネラ軍がミサイル攻撃で進撃を喰い止めようとするが、
アンギラスは降り注ぐ猛火をものともせず前進し、とうとう王宮を踏み潰してしまった。

パタリロ「僕の王宮をメチャクチャにしやがって〜!
 許さんぞ! あの怪獣め!」
タマネギ「まあ、殿下ご自身が原因でメチャクチャになった事も、
 一度や二度じゃないですけどね…」


***東京・波川邸***

アナウンサー「ニューカレドニアに噴煙怪獣ボルケラーが現れました!
 ボルケラーは口から発火性の毒ガスを吐いて観光客が集まるビーチを焼き尽くしています!
 まさに地獄です! 天国に一番近い島と呼ばれたニューカレドニアは今、
 X星人が操る凶暴な大怪獣によって、地獄に一番近い島と化しています!」

雄大「………」
奏美「ひどいわ…」

縄で縛られ、波川邸の庭にある大きな蔵に閉じ込められてしまった岡島雄大と波川奏美。
見張り番として蔵の中に配置されたX星人は、小型テレビで地球のニュース映像を見ている。

X星人「見よ。怪獣達を使った我々の攻撃で、
 今や世界中が火の海だ。地球連邦政府とブレイバーズが降伏勧告に応じるのも、
 もはや時間の問題だろうな」
雄大「ふざけるな! 地球人はお前達なんかに絶対負けないぞ!
 お前達こそ、こうやって勝ち誇っていられるのも今の内だけだ!」
X星人「ほう。貴様らのような下等生物どもがこれ以上、
 我々にどんな抵抗ができると言うのだ?」
雄大「お前達は、天凰輝シグフェルの強さを知らないだろ!
 シグフェルがいれば、お前達なんかイチコロだぞ!」
X星人「シグフェルに対しては特別の刺客を用意してある。
 奴を抹殺するのも我々の計画の内だ!」
奏美「………」

雄大がスマートフォンの着信メロディに設定している音楽が、
X星人の苦手な周波数の音であるのを奏美は知っていた。
スマートフォンでその音楽を流す事さえできれば、
X星人はひとたまりもなく苦しみ出すはずである。
だが、後ろ手に縄で束縛された二人は両手をほとんど動かせない状態で、
雄大のズボンのポケットに入ったスマートフォンを取り出して操作するのは不可能であった。

奏美「(岡島くんの電話が鳴りさえすれば…。
 今はそのチャンスを待つしかないわ)」

逆転の秘策は手元にあるのだ。
そう確信した奏美はじっと機会を待つ事にした。

867凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/09/04(日) 17:19:14
***ブレイバーベース***

怪獣達を操っているX星人のメインコンピューターはハモンド島にあるに違いない。
そう考えたブレイバーズは、総力を挙げたハモンド島攻略作戦を実行する事になった。
まず艦娘の雷撃で敵を島の北側へ誘き寄せ、その隙に南側に巨大ロボット部隊が上陸、
地上の対空設備を破壊した後に等身大ヒーロー達が空から降下して管制塔へ突入するという手筈である。


剣持「お前達二人は、ブレイバーベースに待機だ」
光平「えっ!?」
楓「待機やて!?」

ハモンド島降下部隊に当然自分も加わる事になると思っていた牧村光平は、
相棒として活躍している改造人間の黒崎楓と共に、
レッドマフラー隊の剣持保隊長からブレイバーベースへの待機を命じられて驚く。

光平「どうしてですか? 俺達もX星人との戦いに参加して…」
剣持「敵も我々と同じ事を考えないとは限らん。
 つまり、こちらの本拠地であるブレイバーベースを陥落させればいいという戦術を、
 X星人が取る可能性は十分にあるという事だ。
 ハモンド島の攻略に一人でも多くの人員を割きたいのは確かだが、
 万一の敵の来襲に備えて、守りを固めておく事も必要だ」
楓「…仕方あらへんな。
 ホンマなら島に乗り込んで派手に暴れてやりたかったところやけど、
 剣持隊長の言う事もごもっともや」
光平「そうだな…。分かりました剣持さん。
 ブレイバーベースの護衛、しっかりやります!」
剣持「よし。楓は下がれ。
 光平にはもう一つ聞かせたい話がある。残れ」

話を終えた剣持は楓だけを先に部屋から退出させ、
周囲に誰もいないのを念入りに確かめてから、
一人残った光平に小声で呟いた。

剣持「さっきはあのように言ったが…。
 お前と黒崎を作戦から外した理由は別にある。
 …いいか光平、黒崎を見張れ」
光平「剣持さん、まだ楓の奴を疑うんですか!?
 あいつはもう何度も俺とGショッカー相手に一緒に戦って来て、
 今ではもう背中を預けるくらいの関係になってるんです!」

以前から、「黒崎楓はどこか怪しい。よく見張れ」と言い含めて光平とタッグを組ませていた剣持だが、
楓ともうそれなりの期間に渡って共闘し信頼を置くようになっていた光平は、
不確実な手がかりだけを元に楓をスパイではないかと疑う剣持に抗議の声を上げる。

剣持「確かに、俺もあいつを疑うはっきりした根拠が今ここで示せるわけじゃない。
 だが、今回の作戦は文字通り人類全体の命運を賭けた重要な戦いだ。
 例え杞憂に終わったとしても、少しでも気になった事を放置しておいて、
 最悪の結果を招くようなリスクはでき得る限り排除せねばならんのだ」
光平「…分かりました」

まだ納得の行かない様子ながら、光平は承諾し、
ブレイバーベースに残って密かに楓を監視する事になった。
そしていよいよ実行に移されるハモンド島攻略作戦。
人類の命運を賭した一大決戦の行方は果たしてどうなるのであろうか…?

868ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2016/09/06(火) 16:49:47
<<狙われた国際競技大会(仮)-3>>

***アザディスタン***

アザディスタンで妖怪帝国によるテロが行われている事が分かり、ブレイバーズは
連日、市内のパトロールを行っていた。妖怪帝国の気配を察知する為、パトロールする
人員は鬼太郎の様な妖怪や霊能力者が同行していた。

猫娘「・・・・ここには妖怪の気配は感じられません」
003「私の目や耳でも異常は見られないわ」
009「どうやら、この辺りは大丈夫の様だね」

鬼太郎に同行してアザディスタンに来た猫娘はゼロゼロナンバーサイボーグの
009と003と共に市内のパトロールを行っていた。猫娘は妖怪帝国の気配が
無いか探り出し、003は、その感知能力で周囲の索敵を行った。

猫娘「・・・・因みに私はお邪魔じゃないかしら?」
003「(///)・・・気を遣わなくってもいいわよ」
009「―?あっちの方が騒がしいな」

猫娘は009と003の仲を察して、「お邪魔じゃないか?」と尋ねるが、
003は顔を少し赤くして、「気を遣わなくていい」と答える。
そんな時、009は、何やら騒ぎ声がしているのを聞きつける。

火星騎士「貴様、我がヴァースを愚弄する気かッ!」
アメリカ人サポーター「フンッ!貴様らの所為で、サンフランシスコは
 滅茶苦茶になったんだ。火星人は火星に帰れぇ!」

009達は騒ぎが起きている場所まで行くと、そこではオリンピックに
出場している代表選手を応援しに来たヴァース帝国の火星騎士と
アメリカ人のサポーターが道の往来で口論を繰り広げていた。
前大戦でヴァース帝国と地球の間で戦争が行われ、和平が結ばれたとはいえ、
その遺恨は未だに根強く残っていた。次第に両者の口論は他の
サポーター達も参加しだし、今でも乱闘が始まりそうになっていた。

003「イケないッ!止めないと」
009「皆、落ち着く・・・・」
トーリ「ハ〜〜ロ〜〜!!!」

ズコォーー!!

乱闘を止めようと、009が駆けだしたが、そこに突然、航空都市艦「武蔵」の
武蔵アリアダスト学院の総長兼生徒会長である葵・トーリが現れ、その突然さに
口論をしていた火星騎士とアメリカ人のサポーターや、周囲の人間は一斉に
ズッコケてしまう。

トーリ「オイオイオイオイ、今は祭りなんだろ?せっかくの祭りなんだから、
 皆笑おうぜ!」
猫娘「・・・え〜とぉ、彼は?」
009「彼は、確か葵・トーリ...日本の極東基地に時空クレバスから出現した
 航空都市艦の人間だ。彼等も来ていたのか」
ホライゾン「Jud.(ジャッジ)ブレイバーベースからの要請で、援軍として
 この地に来ました」

まだトーリと面識が無かった猫娘に、009はトーリが何者か説明する。
そこにホライゾンも009達の前に現れ、「武蔵」はブレイバーベースからの
要請で、アザディスタンに来た事を話す。別の世界から来た「武蔵」は
元の世界に帰るまで、ブレイバーズの協力者として動いているのであった。

火星騎士「...興が削がれた」
アメリカ人サポーター「俺も、コイツの顔を見ていたら、やる気を無くしちまったぜ。
 だが、アメリカはテメエら火星人には負けねえぜ!」
火星騎士「それは、此方とて同じ。我が誇り高きヴァースの勝利する試合を
 目に焼き付ける事になるであろう。フッフッフ...」

先程まで口論を繰り広げていた火星騎士とアメリカ人サポーターだったが、
トーリのヘラヘラとした笑顔に、毒気を抜かれて平静さを取戻し、それぞれ、
その場から去っていた。

トーリ「あれぇ?皆、もう行っちゃうの...まぁ、いいや!おーい、ホライゾン。
 デートの続きをしようぜ」
ホライゾン「トーリ様。これはパトロールですが...」
トーリ「固い事を言うなよぉ〜。それじゃ、俺達は行くぜッ!」

周囲の人間が去っていた後、トーリはホライゾンを連れて、009達の
元から去っていた。

003「とりあえず、乱闘騒ぎにならなくてよかったわね」
009「ああ。スポーツの祭典であるオリンピックだが、まだまだ前大戦の
 傷痕は深いようだ...」
猫娘「(でも、デートかぁ...私も鬼太郎とデートしたいなぁ...)」

トーリによって、結果的に乱闘騒ぎに発展せず安堵した009達は
パトロールの続きを行う。そして猫娘はデートを楽しむトーリとホライゾンに
少し羨むのであった。

869凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/09/10(土) 18:17:23
***東京・沢渡家***

優香「取り越し苦労だったらいいんですけど…。
 私達、どうしても気になるんです」
紗希「あまり根拠もなく人を疑ったりするのは良くないとは思うんですけど、
 もし万一、黒崎くんといつもコンビを組んでいる光平くんに何かあったら…」
晴香「う〜ん、なるほどね」

黒崎楓の不審な点について、どうしても心配が拭えない沢渡優香と北上紗希は、
大学生でブルーリサーチの見習い調査員である吉村晴香に相談した。
ブレイバーズとしても、楓については当然きちんと身辺調査をした上で隊員に加えたものの、
後になって浮かび上がってきたいくつかの疑惑に対しては答えを出せておらず、
改めて調べ直す必要性が吟味され始めていたところであった。

晴香「よし、こういう事は、ここでいくら頭を悩ませていても解決しないわ。
 謎に対しては調査あるのみ。皆で大阪へ行って調べてみましょう」
紗希「えっ!? 大阪へ…」

あくまでブルーリサーチの任務ではなくプライベートでの友人との大阪観光という体裁を取りつつ、
晴香は優香と紗希を連れて大阪へ赴き、楓の身元について独自調査を敢行する事にした。


***大阪・天王寺***

楓の出身地は大阪市天王寺区。
市外への転居歴はなく、生まれも育ちも大阪という生粋の大阪っ子である。
3年前、14歳の時に悪の組織クラウンに家族を殺され、
自分だけ拉致されて改造手術を受けたが、
半年前に脱走しブレイバーズに保護された…という事になっている。
これはブレイバーズとしてもしっかりと確認済みの情報であり、
疑う余地はないはずなのだが…。

近隣住民A「ええっ!? 楓ちゃんが生きてはるんですか?
 クラウンゆう悪の組織に殺されてしもうたとばかり…」
優香「殺されたのではなく誘拐されていて、
 今はクラウンを脱出して東京で暮らしているんです」

天王寺にある旧黒崎家の周辺で聞き込み調査をする晴香と優香、紗希。
クラウンから脱走後、楓は一度も故郷の大阪へ戻っていないらしく、
近所の人々は楓が生きていたという事さえ知らなかった。

近隣住民B「無事やったんなら顔くらい出さんかいな…。
 楓ちゃんの家で飼っとった犬も、ご近所の田中さんが保護しとるんやで」
紗希「犬…?」

聞くと、黒崎家では犬を一匹飼っていて、
飼い主一家がクラウンに皆殺しにされてしまった後、
親切な近所の住人が引き取って代わりに今日まで育ててきたのだという。

870凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/09/10(土) 18:19:13
結局、楓について何か決定的な調査結果を得るには至らなかった晴香らは、
当初の名目通り大阪観光を満喫してから帰路についたのであった。

光平「えっ? 楓の実家に…?」
優香「うん、大阪城の近くだって聞いてたから…」
光平「おいおい、お前達なぁ…。
 そんな事までして、まだ楓の奴を疑ってるのか?
 あいつは何も怪しいところなんてない、いい奴だよ。
 3年間もクラウンに捕まってずっと幽閉されてたんだから、
 多少、不自然な言動があっても仕方ないじゃないか」
紗希「ごめんなさい。黒崎くんを疑った事は反省してる…。
 それでお詫びになるかどうか分からないけど、
 黒崎くんがきっと喜んでくれる情報が手に入ったの」
優香「今、画像を送るわ。
 黒崎くんが飼ってた犬が、ご近所の方に引き取られてまだ無事に生きてたのよ。
 ほら、ココアちゃんっていうんですって」

優香は大阪で黒崎家の犬と一緒に自撮りした写真を光平のスマートフォンに送信した。
リボンをつけた可愛いヨークシャー・テリアが優香に抱かれてそこに映っている。

光平「へぇ〜。それはいい情報だな。
 さっそく楓に教えてやるよ。
 でもあいつ、犬もいるのに一回も実家に帰ってないのか…」

その時はすぐに楓にこれを伝えようと考えていた光平だったが、
この後、X星人の襲来による怪獣パニックが巻き起こり、
なかなか機会がないままになっていたのであった。

871凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/09/10(土) 18:20:34
***ブレイバーベース***

ブレイバーズの総力を挙げたハモンド島攻略作戦はいよいよ実行された。
作戦総本部であるブレイバーベースからブレイバーズの戦士達が次々と出撃する中、
光平と楓は敵襲に備えるという名目でブレイバーベース内に待機である。

光平「そうだ、楓。いいもの見せてやるよ」

仲間が激戦中の待機というのはもどかしく、時間が長く感じられるものである。
先日の事を思い出した光平はポケットからスマートフォンを取り出し、
一枚の画像を表示して楓に見せた。
そこには、一匹の小さくて可愛らしいテリア犬の姿が映っている。

楓「ん…? 何やこれ」
光平「えっ? 分からないのか?
 ほら、お前の家で飼ってた犬だよ」
楓「なっ…!?」

優香の話では、この犬は大阪の黒崎家で飼われていた愛犬である…はずなのだが、
楓はすぐには何なのか分からない素振りで首を捻り、
光平に言われて慌てて言い繕う。

楓「あ…ああ、そうやそうや。ウチで飼っとった犬な。
 スマン。いきなりだったんでつい見違えたわ」
光平「ご近所の田中さんって人が、
 引き取ってずっと育ててくれてたらしいぜ。
 このX星人との戦いが終わったら、
 その人へのお礼も兼ねて会いに行けよ。きっと喜ぶぞ」
楓「せやな。そないな事なら、お礼せなあかんな…(汗」

光平に手渡されたスマートフォンで犬の画像を見ている楓だが、
その反応は光平が期待していたほど嬉しそうではなく、
むしろどこか焦っているような感じであった。

光平「名前、何て言ったっけ…? え〜と、ショコラ?」
楓「あ…ああ、ショコラな。そうそう。可愛い犬やったで〜」

この時、光平は別に楓にわざとトラップを仕掛けたつもりはなかった。
光平はただ、とびきりのサプライズのつもりがそうでもない反応しか引き出せず、
少し当てが外れてがっかりしただけである。
楓からスマートフォンを返された光平は、釈然としない気持ちでそれをポケットに仕舞った。

楓「すまん光平、ちょっとトイレや」
光平「ああ、行って来いよ」

楓はそう言って光平の元を離れた。
一人残された光平は少し残念そうに溜息をつく。

光平「ココアちゃん…?
 そうだよ、ショコラじゃなくてココアじゃないか!」

犬の名前を素で間違えて覚えていた事に気付いた光平。
しかしそうなると、先程ココアと言われた時の楓の反応は…?

光平「ココアの事を楓は知らない…?
 いや、そんなはずは…」

急いで楓の後を追う光平。
楓はトイレとは違う方向へ通路を進み、誰もいないのを確認すると、
ポケットから通信機を取り出して外部と通信し始めた。

楓「こちら工作員97号。間もなく作戦を実行する」
擬態奏美「了解。全ては計算通り…」

光平「あの声は…波川さん?」

通路の曲がり角に隠れて通信を盗み聞きしていた光平は、
シグフェルの優れた聴覚で楓の通信相手の声を聞き当てた。

光平「待て、楓!」
楓「牧村光平…見たな!」

遂に始まる楓と光平のバトル。
果たして勝負の行方は…?

872凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/09/11(日) 22:31:00
≪新登場団体案≫

■黒騎士団
マイスターと呼ばれる首領を崇める、中世から存在する秘密結社。
世界を支配して理想社会を建設する事を目的としている。
メンバーは各国に潜伏しており、科学者、政治家、軍人など多岐に渡る。
明治時代、日本にあると伝わる聖なる霊薬を手に入れて特効薬を開発し、
一斉蜂起の軍資金にしようと企んだが失敗に終わった。
その後も組織自体は健在であり、現代でも各国のエリート層に多数のメンバーを抱えながら、
密かに世界征服の機を窺い続けている。


●マイスター(るろうに剣心/闘争の系統オリジナル)
黒騎士団を束ねる首領。
年齢、性別、国籍など一切の素性が不明という謎の人物。
世界各国に潜伏する黒騎士団のメンバーに指令を送る。

●ヘルマン・メルダース中尉(闘争の系統オリジナル)
ユーロ軍に所属するドイツの軍人。
中世から続く騎士の家柄で、誇り高く紳士的だが根には有色人種に対する強い差別感情を持っている。
モビルスーツやアーム・スレイブを乗りこなす巨大ロボット兵器のエースパイロットで、
騎士の嗜みとしての剣術や槍術、馬術も一流。双刃の馬上槍を特に愛用する。
実は黒騎士団の一員で、かつて明治時代に日本で死亡したドイツ帝国軍のメルダース中尉の曾孫。
黒騎士団の世界征服のため、ユーロの軍人という立場を利用して武装蜂起の準備を進める。

△マンダリン草(ウルトラマンタロウ)
地質時代の古代植物。
触手には毒があり、刺された者を下半身不随のマンダリン病にしてしまうが、
赤い実に含まれている蜜にはあらゆる怪我や病気をたちまち治す強力な治癒効果がある。
もし現存していれば画期的な特効薬となる薬草だが、
マンモスに食い尽くされてはるか昔に絶滅してしまったため、今は存在していないとされる。
(ただ一度だけ、メフィラス星人が地球侵略のため現代に蘇らせた事がある)
聖なる霊薬の代わりに黒騎士団が手に入れ、特効薬を売る事で莫大な軍資金を調達して、
世界征服の一斉蜂起のために利用しようと企んでいる…?

873ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2016/09/15(木) 15:03:04
>>868の続き。

トーリ達と別れ、パトロールを再開した009達。そんな時、猫娘は
ポニーテールをした女性とすれ違うと、ふと何かの気配を感じ取り、
後ろを振り返る。

猫娘「今の気配は...」
003「どうかしたの?」
猫娘「ううん。何でもないわ」

後ろを振り向いている猫娘に、003が質問するが、ポニーテールの女性は
既に人混みの中へ消えていたので、猫娘は気のせいであろうと思い、
そのままパトロールを続けた。だが、その女性は只の女性では無かった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

そのポニーテールの女性は、修道士の服装をした赤髪の男性と
街の通りを歩いていた。

赤髪の男性「...しかし何だって僕らが、こんな場所に」
ポニーテールの女性「仕方がありません、ステイル。総大主教からの命令ですので...。
 それに、この祭典に騒乱を起こそうとする勢力、妖怪帝国には“魔女”がいます。
 大規模な魔法を使われれば、此方側にも影響がでるでしょう。そうなれば見過ごす訳には
 いきません」
ステイル「分かっているよ。神裂」

愚痴をこぼす「ステイル」と呼ばれた赤髪の男性に、「神裂」と呼ばれた
ポニーテールの女性が諌める。この2人組の正体は、英国のイギリス清教内にある
対魔術機関「必要悪の教会(ネセサリウス)」に所属する魔術師、
ステイル・マグヌスと神裂火織だった。彼等が何故、アザディスタンにいるかというと、
太陽系オリンピックを狙って、テロが起きるという情報は地球連邦の各国でも
情報を掴んでいた。魔術に関わりがある英国政府は、西洋妖怪「魔女」がいる
妖怪帝国という存在に対し、「必要悪の教会」に対処を打診。イギリス清教としても
放置しておく訳にはいかないと判断し、ステイルと神裂の2人を派遣したのであった。
2人が人混みの中を歩いていると、フラフラとパジャマ姿の日本人が歩いて来て、
神裂とぶつかってしまい、倒れてしまう。

神裂「申し訳ありません。大丈夫ですか?」
ステイル「ほっとけよ。今僕らは目立つ訳にはいかないんだ」
パジャマ姿の日本人「う〜ん...」

ぶつかって倒れてしまったパジャマ姿の日本人に神裂は声を掛けるが、
任務上、目立つ様なマネを避けたいステイルは、先を急ごうとする。
だが倒れていたパジャマ姿の日本人は神裂を目にすると、虚ろだった目を
開かせ、ビシッと立ち上がる。

パジャマ姿の日本人「ぶつかってスイマセン!起きたばかりだったので、
 寝惚けていました!お怪我はありませんか?」
神裂「い、いえ。私は大丈夫です...」

そのパジャマ姿の日本人こそ、アザディスタンで行方が分からなくなった日暮巡査だった。
何時の間にかアザディスタンで目が覚めた日暮は、起きたばかりで寝惚けており、
アザディスタンの街をフラフラと歩きまわっていたのであった。そして神裂にぶつかり、
倒れた日暮は元来、美人の女性に弱い事もあってか、神裂の美貌で完全に目が覚めたのであった。

ステイル「そっちは大丈夫そうだね。じゃ、僕らは急いでいるから失礼するよ」
日暮「あっ!...数日の内に、この街から離れた方がいいよ。何だか良くない事が起きるかもしれないから...」

早々に話しを切り上げたステイルは神裂を連れて、その場を去ってしまう。
日暮は去っていく2人に、今感じた予知を話すが、人混みが多いので、聞こえていたかは分からない。

????「あなた、面白い力を持っている様ね」
日暮「えっ?」

日暮は急に背後から声を掛けられ、振り返ると、そこにいたのは
中国妖怪の1人、ミンメイが立っていた。

ミンメイ「さぁ...私に従いなさい...」
日暮「...ハイ。ミンメイ様...」

日暮の能力に目を付けたミンメイは、日暮を自身の虜にする。
日暮の運命や如何に...。

874ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2016/09/15(木) 16:19:47
◯009/島村ジョー→003、猫娘と共に市内をパトロールし、サポーター同士の言い争いに居合わせる。
◯003/フランソワーズ・アルヌール→009、猫娘と共に市内をパトロールし、サポーター同士の言い争いに居合わせる。
◯猫娘→009、003と共に市内をパトロールし、サポーター同士の言い争いに居合わせる。
●ミンメイ/画皮→日暮巡査の能力に目を付け、自身の虜にする。
◯葵・トーリ→サポーター同士の言い争いを止める。
◯ホライゾン・アリアダスト→トーリと市内をパトロールする。
◯ステイル・マグヌス→妖怪帝国のテロを阻止する為、神裂と共に派遣され、日暮に出会う。
◯神裂火織→妖怪帝国のテロを阻止する為、ステイルと共に派遣され、日暮に出会う。
◯日暮熟睡男巡査→ミンメイに操られる。

【今回の新登場】
◯ステイル・マグヌス(とある魔術の禁書目録)
 『必要悪の教会』に所属する魔術師。2mを超える長身の14歳で、
 十字教神父の立場を持つが、赤く染め上げられた金髪や右まぶた下の
 バーコードの様なタトゥー等、派手な容姿をしている。14歳であるが、
 重度のヘビースモーカーで、24文字全てのルーンをマスターすると、
 新たに6つのルーンを開発した天才魔術師で、その中でも炎属性のルーンを得意としている。

◯神裂火織(とある魔術の禁書目録)
 元天草式十字凄教の女教皇にして『必要悪の教会』に所属する魔術師。
 世界に十数人しかいないとされる聖人の1人。長い髪をポニーテールで括り、裾結びをした
 Tシャツ、片方の袖を根元までぶった切ったジーンズ、腰のウェスタンベルトには七天七刀という
 格好をしている。真面目かつ冷静沈着で、恩義を重んじる性格であり、常に敬語を話す
 大和撫子膳とした佳人だが、怒りが頂点に達するとチンピラのような言動になってしまう。
 魔術はあまり使わず戦闘は主に武器を用いた近接戦闘に偏る。機械に疎いのが弱点。

◯日暮熟睡男(こちら葛飾区亀有公園前派出所)
 新葛飾署に勤務する警察官。とんでもなく物臭な人物で、新人の頃から月に
 数える程しか出勤せず、段々エスカレートして4年に一度しか出勤しなくなった。
 予知能力や念写といった能力を持つ超能力者で、様々な事件を解決したり、
 未然に防いだりしている為、クビにはならない。4年間眠っている為、その間の
 社会情勢や流行には疎い。

875凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/09/16(金) 22:43:10
>>872追加

△エミリエンヌ・ラ・フォンテーヌ少尉(闘争の系統オリジナル)
ユーロ軍に所属するフランス人の若き女性軍人。15歳。愛称はエミリー。
アーム・スレイブ「アルカンシェル」のパイロットで、
ブルボン王朝時代からの名門貴族の血を引き、誇り高く常に高貴で気品ある立ち居振る舞いを心がけている。
自らを超一流の天才パイロットと自負していたが、
ネルフ・ドイツ支部との合同演習で惣流・アスカ・ラングレーのエヴァ弐号機に完膚なきまでに敗北し、
プライドを深く傷付けられて以来アスカを恨んでいる。
アスカを粗野だと言って見下すが、アスカから見てもお嬢様気質のエミリーは態度が鼻につくようで犬猿の間柄。

実は黒騎士団の一員で、同じユーロ軍のヘルマン・メルダース中尉の部下として、
ユーロの軍人という立場を利用しつつ黒騎士団の野望実現のために動いているエージェント。
「優秀なエリートである自分達が世界を支配して愚民を導かなければこの不公正な世の中は良くならない」と信じており、
非常に高慢ではあるが、一方でその動機は「愚民」を導き助ける事も含めて自分達の手で世の中を良くする事であって、
思想が歪んでしまってはいるが実は不公正を憎む正義感や誰かのためにという利他心は強く、根が邪悪というわけではない。
黒騎士団が掲げるユートピアの建設が、実は黒騎士団にとって都合が良いだけの世界を目指しているに過ぎないと気付き、
やがて組織の方針に疑問を抱くようになってゆく。

876ホウタイ怪人 ◆sEGOS2kBD6:2016/09/25(日) 10:28:59
≪父との再会≫

アークシセイザーによって連れ去られた沢渡優香を救い出すため、
敵の本拠地である堕神界へと単身乗り込んだ、牧村光平こと天凰輝シグフェル。
しかし彼はそこで、堕神界へと主力を率いて総攻撃を仕掛けてきた
ダークディケイド率いるGショッカーとの戦いに巻き込まれてしまう。

結局、優香を救い出せないまま、彼自身の命も燃え尽きてしまったかと思われたが…。

それからしばらく月日が経ち、ちょうど宇宙ではブレイバーズが、
実は正義の心を失っていなかったディケイド=門矢士の捨て身の協力によって
最後の敵「究極なる闇」との決戦に勝利した頃…。

光平「…うっ……ここは?」

見知らぬ空間で目覚めた光平。彼はまだ生きていた。

アーククルセイダー「気が付いたか?」
光平「――お前は!?」

光平は、目の前に立つ甲冑の大男の姿に驚く。
堕神の神殿へと乗り込み、あと一歩のところまで
優香のいる場所まで迫りながら、その前に立ちふさがって
自分の妨害をした堕神の最高幹部の一人だ。
光平は慌てて戦おうとするが、起き上がろうとした瞬間に
全身に激痛が走る。

光平「ぐっ…!?」
士「無理をするな。その体ではまだ満足に動けないはずだ」
光平「士さん!? どうしてあなたがここに!?」

光平がさらに驚いたのが、この場に門矢士もいたことだった。
彼もまた実は生きていたのだ。

アーククルセイダー「薬草を塗っておいたので、じきに傷は治るだろう。
 今はこの空間にいる限り、アークシセイザーに位置を気取られる
 心配もない」
光平「もしかしてお前が助けてくれたのか? いったいどういうつもりだ!?」
アーククルセイダー「………」

訳も解らずアーククルセイダーを睨み付ける光平だったが、
クルセイダーが仮面を外して素顔を見せた途端、光平は驚愕した。

光平「…まさかっ……父さん…!?」
陽一郎「………」

なんと堕神の大管令アーククルセイダーの正体は、
まだ光平が小学生の時に死んだはずの父、牧村陽一郎だったのだ。

陽一郎「アルハザードの仕掛けた爆弾テロによって、確かにあの時私は死んだはずだった…。
 しかしあの瞬間、私は人の心を失わぬまま堕神へと覚醒・転生を遂げたのだ」

覚醒後も人間としての自我を保った変異種の堕神…。
クルセイダーも息子シグフェルと同様の存在だったのである。
その後、堕神界へと召喚されたクルセイダーは、
そこでアークシセイザーの企む遠大な陰謀の存在を知り、
その目論みを阻止するため本心を隠しつつ、
ユーフェミアや門矢士と密かに連絡を取っていたのであった。

突然、陽一郎の体が砂となって崩れ始めた。

光平「これはいったい!?」
陽一郎「どうやら限界の時が近づいてきたようだ…。
 人としての心を保ったままの堕神は、長く自らの肉体を維持できない」
光平「そんな…!」

突き付けられる残酷な事実。それはすなわち、
本来はフェニックスロードイーバと呼ばれるべき存在である
シグフェル=光平にも、寿命が尽きる瞬間が刻々と迫っていることを
意味していた。

陽一郎「行くのだ光平。私の命が尽きれば、身を隠すために一時的に形成した
 この空間も、いずれ崩れ落ちて消滅する。お前は仲間たちと共に
 アークシセイザーの恐ろしい野望を阻止してくれ」
光平「イヤだ! 父さんを置いてなんか行けない!
 父さんも一緒に行こう! 必ず俺が助けるから!」
陽一郎「甘ったれるな! お前にはまだもう一人、
 救わねばならない大切な人がいるはずだ!」
光平「――!!」

光平の脳裏に、未だ行方不明の沢渡優香の笑顔が一瞬過る。

士「もう時間がない。行くぞ!」
光平「はい…」

ディケイドとシグフェルにそれぞれ変身した
門矢士と牧村光平は、その空間を後にした。
静かに崩れ落ち始める空間の中で、一人だけ残った陽一郎の元に
一筋の光が差し込み、愛する妻エメリアの魂が迎えに現れる。

陽一郎「随分と待たせてしまったね。長い間寂しい思いをさせてすまなかった。
 では私たちも行こうか。光平のことなら心配ない。あの子ならきっと
 どんな困難だって乗り越えてくれるだろう。私たち二人の自慢の息子だ」
エメリア「………」

夫・陽一郎の問いに、妻・エメリアは無言のまま笑顔でほほ笑む。
そして次の瞬間、アーククルセイダーこと牧村陽一郎は
崩れ落ちる空間と共に消滅したのであった。

シグフェル「父さん、安心してください。
 アークシセイザーは必ず俺が倒します!」

877ホウタイ怪人 ◆sEGOS2kBD6:2016/09/25(日) 12:41:01
≪ユーフェミア、そしてマゼンダの死≫

星間評議会の首府エンペリアス星では、
まだ駐屯しているブレイバーズの戦士たちを始めとして
人々が「究極なる闇」との戦いの勝利で、
お祝いムードに浸っていた。

扇「すでに"あの事件"の真相は明らかとなり、貴女の名誉は回復されました」
ナナリー「ユフィ姉様、どうか戻ってきてください!」

ユーフェミア「………」

懐かしい人々からの帰郷の懇願を受け、仮面の女ランペルージ書記官こと
ユーフェミア・リ・ブリタニアの心は激しく揺れ動く。
だがその直後、グランドクレバス暴走の知らせに事態は急転する。
銀河バイブルに記された闇の陣営勝利の予言を強引に覆してしまったため、
全次元の調律が狂って、世界はまさかの消滅の危機に立たされる。

星間評議会最高議長ジュリアス・カミュエルから直々の要請を受け、
「今度こそ最後の戦いだ!」と息巻いて出撃していくブレイバーズの勇士たち。
しかしその出発を見送ったカミュエルの目が実は笑っていたことなど、
他の誰も全く気がついてはいなかった…。

カミュエル「これまでありがとうブレイバーズ。そして、さようなら…!」

カミュエルの行動を不審に思ったユーフェミアは、
腹心であるロボマゼンダと共に密かに調査を開始。
カミュエルからブレイバーズに渡された「グランドクレバスの軌道データ」が、
実は改竄されたいいかげんな内容の物だったことが判明する。
このままでは、騙されてのこのこ出撃して行ったブレイバーズが
グランドクレバスに飲み込まれて全滅するのは時間の問題である。

ユーフェミア「スザク、ルルーシュ、ナナリー、コーネリアお姉さま…。
 ごめんなさい。やはりわたしは貴方たちの世界に帰れそうにはありません」

覚悟を決めたユーフェミアは、相手と刺し違える覚悟でカミュエルと対決する。

ユーフェミア「カミュエル卿、あの時わたしに"最小限の犠牲で
 争いのない世界を築き上げる"と誓った言葉……あの言葉に
 偽りはないでしょうね?」
カミュエル「ハッハッハッハッ!!!!!! まだ信じていたのですか?あのような戯言を!
 いよいよ来たる新世界の秩序は、夢物語で作り上げることは出来ません。
 歴史とは常に血を求めるもの。まもなく全ての次元世界は、火の海と共に燃え盛った挙句、
 まとめてグランドクレバスに飲み込まれることになることでしょう!」
ユーフェミア「やはりそれが貴方の真の狙いだったのですね!」

問い詰めるユーフェミアを前にして、ついにカミュエルは本性を現し、開き直りに出た。

ユーフェミア「そのようなことは、このわたしが決して許しません」
カミュエル「ユーフェミア姫、光と闇の最終戦争(ハルマゲドン)の決着がついた以上、
 もはや貴女の調停役としての役目も終わった。速やかに表舞台からはご退場していただこう」
ユーフェミア「カミュエル卿、お願いです。自首してください。
 私も共に全ての責めを負います。罪を償い、たとえ身は貧しくとも
 穏やかに残りの人生を過ごしてください」
カミュエル「フハハハハハ、この世は全て金と力だ!
 虫けらのごとく生きよとは笑止千万!
 私の望みはもう誰にも止められん!」
ユーフェミア「…悪魔め! おやめなさらぬと言われるかッ!!」

ユーフェミアは懐剣に手をかける。

ユーフェミア「ジュリアス・カミュエル卿、己の醜い私欲のために
 これまで多くの人々を殺めたその罪、わたしと共に死んで償うのです!」

カミュエルを刺し殺して自らも自決しようとしていたユーフェミアであったが、
いかんせん女の細腕では敵うはずもなく、逆にカミュエルの抜いた長剣によって
腹部を刺し貫かれてしまった。駆け付けたロロたちによって辛くも救い出され、
病院へと運び込まれるユーフェミア。

彼女の病室へと集まるスザクやルルーシュたち。
だがしかし出血多量のユーフェミアは、いよいよその命も尽きようとしていた。
彼女は最後の力を振り絞って真相を語り出し、後事をスザクたちに託す。

ユーフェミア「ジュリアス・カミュエルの正体は、堕神の大審官アークシセイザー。
 あの男こそが今まで全ての戦乱を裏で操っていた黒幕です…。
 お願い、スザク…ブレイバーズを助けて、あの男を倒して世界を救って…!」
スザク「ユフィ!!」
ナナリー「ユフィ姉様!!」
ルルーシュ「………」

ユーフェミア・リ・ブリタニアは、スザクたちに看取られながら、再び静かに息を引き取った…。

878ホウタイ怪人 ◆sEGOS2kBD6:2016/09/25(日) 12:41:56
扇「しかし信じられん。あの平和指導者として知られるカミュエル卿が、
 実は全ての元凶だったとは…!」
嵐「別に珍しいことじゃねえだろ。いかにも"私は貴方たちのよき理解者です"なんて
 ヒーローたちの後ろ盾を気取っていた野郎が、実は事件の黒幕でした!…なんてパターンは、
 ブレイバーズの連中は今まで何度も経験してるって話だ」
ヌマ・O「残念ながらその通りだ!」
豪「貴方は宇宙警察のヌマ・O長官!」

ユフィの病室へと足を運んで現れたヌマ・O長官から語られる真実。
宇宙警察の極秘調査の結果、本物のジュリアス・カミュエルは実は3年前に死亡しており、
今のジュリアス・カミュエル最高議長と呼ばれる人物は、何者かが入れ替わった
別人であることが判明したのだ。

ここまで状況が分かった以上は、一刻も早くグランドクレバス鎮圧に向かった
ブレイバーズ主力部隊に真相と危機を知らせに行かなければならない。
しかしエンペリアス星の航路管制センターは、すでにカミュエルに抑えられており、
星から宇宙への脱出は不可能だ。無論、通信も遮断されているのは言うまでもない。

ロボマゼンダ「私が管制センターまで案内します。
 豪、嵐、ついて来て」
豪「マゼンダ、いいのかい?」
ロボマゼンダ「これは私がユーフェミア様から与えられた最後の任務。
 そして突然の黄泉がえりで訳もわからず現世を彷徨っていた私に、
 新たに生きる意味を見つけてくれたあの方への、最後のご奉公…」

ロボマゼンダに案内され、航路管制センターへと忍び込む
ドクターオブラーとドクターアシュラ。そしてコンピュータールームへと
やっとの思いで辿りつくが…。

アシュラ「ダメだ! 肝心な回路が焼き切れてやがる!」
オブラー「きっとカミュエルの仕業に違いない」
ロボマゼンダ「私を回路の代わりにコンピューターと繋いで!」
オブラー「そんなことをしたら、君の体はオーバーヒートして
 もたなくなるぞ!」
ロボマゼンダ「迷っている時間はないわ! 早く!」

ロボマゼンダの決死の行動によって、航路の管制制御を取り戻したオブラーとアシュラ。
スザクやルルーシュたちナイトメア隊は、この隙にエンペリアス星から
大気圏外への脱出に成功する。

ブレアード「ここは俺たちが引き受けた! てめえらは早く行け!」
コーネリア「すまぬ。この借りは必ず返す!」
スザク「ユフィ、君の仇は必ず取る!
 それまで少しの間だけ待っていてくれ!」

デスカル三将軍のドリルアングラーが必死に追っ手を防ぐ中、
スザクたちは遥か彼方のブレイバーズに危機を知らせるために去っていく。

一方その頃、エンペリアス星の地上では、ロボマゼンダが最期の時を迎えようとしていた。

ロボマゼンダ「ギャアアッッッ…!!」

機械の体のあちこちから火花が散り、悲痛な悲鳴を上げるロボマゼンダ。

オブラー「マゼンダ!?」
ロボマゼンダ「こっちに…来ては、ダメ…。
 豪、嵐、また貴方たちに会えて……嬉し…かっ…た」
オブラー「マゼンダァァァッ!!!!」

ロボマゼンダは炎の中に包まれ消えていった。
しかしその瞬間、ほんの一瞬だけだが、尾村豪と毒島嵐の二人の目には、
機械であるロボマゼンダが、人間・仙田ルイの姿へと戻り、
最期に満足に微笑んでいたように見えた。
果たしてそれは幻だったのだろうか…?

アシュラ「行くぜ…」
オブラー「ああ…」

変身を解除して、外へと走り出す尾村豪と毒島嵐。

豪「神様、ようやくマゼンダをお許しくださったのですね……」

879ホウタイ怪人 ◆sEGOS2kBD6:2016/09/25(日) 12:42:35
≪超次元星間帝国の成立!≫

星間評議会最高議長ジュリアス・カミュエルの正体が露見した。
実はカミュエルこそが、全ての争乱を操る黒幕、
堕神の大審官アークシセイザーだったのだ!

堕神の勢力はGショッカーの総攻撃によって壊滅したと思われていたが、
アークシセイザーはその後もぬくぬくと自分一人だけ生き延びて、
邪な陰謀を何食わぬ顔で続行していたのである。

ヌマ・O長官自ら率いる宇宙警察の精鋭部隊が、
ついにカミュエル議長検挙のため評議会政庁へと踏み込む。

ヌマ・O「ジュリアス・カミュエル最高議長、貴方を逮捕します」
カミュエル「これは星間評議会に対する反逆だぞ」

アークシセイザーの正体を現したカミュエルは、
瞬く間にヌマ・Oたちを殲滅して返り討ちにしてしまう。
その後アークシセイザーは、直ちに直属のクーロン兵団を動かし
星間評議会を制圧する白色クーデターを実行に移す。

アークシセイザー「全次元の知的生命体に告げる!
 余はここに星間評議会の永久解散と、超次元星間帝国の建国を宣言する。
 これより全次元はもとより、天界や霊界も含めて全てが
 超次元星間帝国の支配下に置かれる。無駄な抵抗はするな。
 逆らう者には死の裁きがある…」

超次元星間帝国の宣戦布告によって、全宇宙はたちまち大混乱に陥る。

バラン「姫様、これはいったい…!?」
アルマナ「宇宙の自由と平和は、たった今死にました…」

急変した情勢を憂いの表情で見つめる、
星間評議会議員のアルマナ・ティクヴァー。
ヌマ・O長官ら宇宙警察首脳が行方不明となった今、
彼女はすぐに自分が中心となってレジスタンスを組織し、
いち早く超次元星間帝国への抵抗活動を開始した。
その中には、まだエンペリアス星に残留していた
デスカル三将軍や毒島嵐、尾村豪の姿もあった。

豪「アークシセイザー、あの男だけは絶対に許せない!」
嵐「必ず落とし前はつけてやるぜ!」

880ホウタイ怪人 ◆sEGOS2kBD6:2016/09/25(日) 12:43:25
≪超次元星間帝国、地球侵攻開始!≫

地球連邦政府は、他の惑星国家よりも先駆けていち早く
超次元星間帝国への服従を拒絶する意思を表明した。
アークシセイザーは見せしめの第一攻撃目標として地球を選び、
予想を超える大軍による地球総攻撃が開始された。

しかし本来なら地球を守るべきブレイバーズは
今は地球を留守にしており、戦えるヒーローは一人もいない。
まさに地球最大のピンチである!

だが地球の守護者たちは他にも存在していた!

超神ネイガーや琉神マブヤーをはじめとするローカルヒーロー。
仮面ノリダーや非公認戦隊アキバレンジャーをはじめとするバラエティヒーロー。
そしてハラキリサンシャイン、ギャラガー5、無敵楽団アンサンブルーなど、
かつてサムライフラメンコと共闘したり、ヒーロー協会所属のB級・C級以下だったりする
知名度の低い(失礼!)モブヒーローたち。
他にも世界各国のガンダムファイター軍団。
さらには、よい子のみんなは見てはいけないインディーズの特撮ヒロイン系
アダルトAVに登場する特撮ヒーローたちまでもが、
地球の危機に対して一斉に立ち上がったのだ!

その様を見て嘲笑する、残る堕神の幹部最後の一人、ハーピークィーンイーバ。

ハーピークィーンイーバ「フン、馬鹿な奴ら。お前たち2軍のヒーロー如きが
 寄せ集まったところで何ができるというの?」

ステルスマン「たとえ知名度で劣っていたとしても、
 平和を愛する心は決して引けはとらん!」
オメンパイカー「我らはこれより、ブレイバーズが帰還するまでの間、
 全力で地球防衛に専念する!」
無免ライダー「この地球は決してお前たちには渡さないぞ!」
キラル「我らここに臨時のヒーロー連合を作り、地球の危機に立ち向かい、団結し、勝利するものなり!
 我らが母なる星の危機、1軍も2軍もあるものか!」

今ここに、もう一つの熱い最終決戦が開始された…!

881ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2016/10/02(日) 11:55:49
<<アルハザードの特別部隊(仮)>>

アルハザードが副大統領を務めるサラジアには、テクノグラードと呼ばれる
研究所や工場等を集めた科学都市が存在する。そこでは極秘裏に兵器開発や
違法な実験が行われいる重要な施設なのだが、ここ最近、テクノグラードの
職員や科学者が行方不明になる事件が多発していた。調査の結果、行方不明
事件の黒幕はサラジアに潜入した宇宙連合(あるいはETF)である事が判明した。

アルハザード「・・・・例の部隊を動かす時が来たようだな!」

アルハザードはかねてから計画していた特別部隊を動かす事を決め、
メンバーとなる人物達を集める。そして部隊はテクノグラードの職員達の
救出と黒幕である異星人達を殲滅する為に派遣されるのであった。

♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢

異星人が極秘裏にサラジア領内に建設した基地内では、警備を担当している
戦闘員達が巡回をしていた。

戦闘員A「巡回なんて、つまらない任務だな」
戦闘員B「地球人ごときに、我々の基地を見つける事など出来ないというのにな」

無駄口を叩きながら巡回をしている戦闘員達だが、突如として物陰に連れて来られて
しまう。戦闘員達を連れ込んだのは、全身が黒づくめで髑髏の仮面をした人物――
聖杯戦争においてアサシンと呼ばれるクラスのサーヴァントだった。

戦闘員A「貴様は!?」
アサシン「・・・・・・」

戦闘員達はアサシンの手によって始末されると、鍵となるIDカードを抜き取る。
そして1人だったアサシンだが、次々と同じように髑髏の仮面をしたアサシンが
複数出現した。

アサシン「我らは個にして群の英霊・・・・マスターの命により、作戦を実行する!」
アサシン一同「応!」

このアサシンの正体は暗殺教団の首領ハサン・ザーバッハ。ハサンは襲名性で
このハサンは「百の貌のハサン」の異名で知られる19代目である。彼はアルハザード
によって召喚されたサーヴァントで、多重人格の彼は人格ごとに個別で分裂する事が
出来る能力を持っていた。複数に分裂したアサシンは警備システムを掌握、拉致された
科学者達を脱出させる手引きを整える。

異星人「警備システムが乗っ取られただと!?何とか取り戻せ!!」
???「・・・・最早、システムは関係ありません。何故ならあなた達は
 これで終わりなので」
異星人「誰だ、貴様!?『ボンッ!!』ぐはぁ・・・・」
キンブリー「紅蓮の錬金術師・・・・などと言われてもあなた達は分からないでしょうね」

白い帽子とスーツを着た男性、元国家錬金術師ゾルフ・J・キンブリーは
爆発で黒焦げになった異星人に向かって呟きながら基地を進む。

ダーン

異星人「ぐわぁ!」
雑賀孫市「我らは誇り高き雑賀衆、契約に基づきこの拠点を制圧する!!」

2丁の銃を持つ女性――戦国最強の傭兵集団【雑賀衆】を率いる雑賀孫市は
部下を率いて愛用の銃で異星人を倒していく。

ホル・ホース「ははっ、孫市もやるなぁ!!メンヌヴィルの旦那、俺達も負けて
 らんねえぜ!」
メンヌヴィル「ふん。宇宙人とやら、焼けばどの様なにおいを放つのだろうな!」

炎のメイジであるメンヌヴィルは異星人達を炎の魔法で焼き、ホル・ホースは
銃のスタンド【皇帝<エンペラー>】から放たれる弾丸の軌道を駆使して
戦闘員を撃ち抜いていく。

882ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2016/10/02(日) 13:05:16
>>881誤爆してしまった(汗。
>>464加筆・修正

<<異星人を追え!>>

***サラジア・テクノグラード***
アルハザードが副大統領を務めるサラジアには、テクノグラードと呼ばれる
研究所や工場等を集めた科学都市が存在する。そこでは極秘裏に兵器開発や
違法な実験が行われいる重要な施設なのだが、その夜、2人の職員がその日の
仕事を終えて、テクノグラード内にある自宅に帰宅しようとしていた。

職員A「あ〜、すっかり遅くなってしまった。早く家に帰らないと...」
職員B「そうだな...ん?あれは何だ」

だが帰宅しようとしている職員達の前に、突然鳥の様な顔をした怪人が現れる。
かつて地球へ来て、人々を奴隷として攫っていった誘拐宇宙人のレイビーク星人だった。

職員A「何だ、貴様はッ!」
レイビーク星人「・・・・」

バシュッ

職員「「わぁぁ!!」」

レイビーク星人は無言のまま、職員達を縮小光線銃で小さくして
捕獲し、その場を去っていた。

***サラジア政府・副大統領室***

ここ最近、テクノグラードの職員や科学者が行方不明になる事件が多発していた。
サラジア・シークレット・サービスによる調査の結果、行方不明事件の黒幕は
サラジアに潜入したETFの一員となったレイビーク星人の仕業である事が判明し、
アルハザードの下へ報告された。

アルハザード「・・・・異星人め。私の国で好き勝手なマネをした事を後悔するがいい。
 <黒三日月隊>を動かす。連絡を繋げよ」
秘書N「はっ!」

アルハザードはテクノグラードの職員達の救出と黒幕である異星人達を殲滅する為に
私兵部隊である黒三日月隊を派遣する事を決め、任務を伝える為、秘書Nに司令部へ
向かう事の連絡を入れさせる。

アルハザード「...アサシンはいるか」
アサシン「はい。マスター、此方に」

秘書Nが部屋を出た後、アルハザードはアサシンと呼ばれる人物を呼び出す。
そして何もない所から、全身が黒づくめで髑髏の仮面をした人物――
聖杯戦争においてアサシンと呼ばれるクラスのサーヴァントだった。

アルハザード「話は聞いていたな?サラジア・シークレット・サービスにも
 奴らの拠点を探させているが、貴様...いや貴様達も拠点を探れ。
 掴み次第、私に報告するのだ!」
アサシン「御意」

アルハザードからレイビーク星人の拠点を探すよう命じられたアサシンは
命令を受けると共に、部屋から消えた。

***黒三日月隊・司令部***

黒三日月隊の司令部では数人の男女がいて、中には明らかに人間ではない
姿をした者達が部屋でくつろいでいたり、武器の手入れやトレーニングをしていたりと
各々過ごしていた。そして、その中には日本からスカウトを受けた仮面ライダー王蛇こと
浅倉威がステーキを頬張っていた。

浅倉「ガツガツ・・・」
ホル・ホース「美味そうなステーキだな。どれ、俺も一口...」
浅倉「俺の食い物だ...横取りするんじゃねえ!」ギロッ
ホル・ホース「じょ、冗談だよ...おお、コワッ...」

アルハザードに雇われ、黒三日月隊の一員となったホル・ホースは
浅倉に近づき、ステーキを食べようとすると浅倉から睨まれ、その場を
離れた。

カン・ユー「貴様ら、アルハザード閣下がお見えになった!全員整列せよ!」

アストラギウス銀河から地球へとやって来たAT(アーマード・トルーパー)乗りの
傭兵、カン・ユーは黒三日月隊に所属する小隊長の1人になっていた。
アルハザードが来た為、全員を整列させる。しかし、浅倉だけは我関せずと云わんばかりに
もくもくと食事を続けていた。

カン・ユー「貴様、上官の命令を無視する気か!」
浅倉「俺は軍人じゃねえ...用件があるならさっさと話しな。聞いているからよ」
カン・ユー「貴様ぁ〜!」
アルハザード「良い。彼がどういう人物なのかは把握している。さっそくだが、
 諸君らに任務を与える」

浅倉の反抗的な態度にカン・ユーは怒りを募らせるが、アルハザードは
浅倉がどういう人物なのか知っている為、浅倉の態度を気にせず、集まっている
黒三日月隊に任務を伝えた。

883ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2016/10/02(日) 13:29:11
***サラジア・レイビーク星人基地***
夜。レイビーク星人が極秘裏にサラジア領内に建設した基地内では、
レイビーク星人が巡回をしていた。

レイビーク星人A「巡回なんて、つまらない任務だな」
レイビーク星人B「地球人ごときに、我々の基地を見つける事など出来ないというのにな」

無駄口を叩きながら巡回をしているレイビーク星人達だが、突如として物陰に連れて来られて
しまう。戦闘員達を連れ込んだのは、アサシンだった。

レイビーク星人A「貴様は!?」
アサシン「・・・・・・」

戦闘員達はアサシンの手によって始末されると、鍵となるIDカードを抜き取る。
そして1人だったアサシンだが、次々と同じように髑髏の仮面をしたアサシンが
複数出現した。

アサシン「我らは個にして群の英霊・・・・マスターの命により、作戦を実行する!」
アサシン一同「応!」

このアサシンの正体は暗殺教団の首領ハサン・ザーバッハ。ハサンは襲名性で
このハサンは「百の貌のハサン」の異名で知られる19代目である。彼はアルハザード
によって召喚されたサーヴァントで、多重人格の彼は宝具【妄想幻像(ザバーニーヤ)】の
能力で人格ごとに個別で分裂する事が出来るようになっていた。複数に分裂したアサシンは
警備システムを掌握、レイビーク星人によって小さくされた科学者達が捕えられている箱を
確保する。

レイビーク星人「警備システムが乗っ取られただと!?何とか取り戻せ!!」
???「・・・・最早、システムは関係ありません。何故ならあなた達は
 これで終わりなので」
レイビーク星人「誰だ、貴様!?『ボンッ!!』ぐはぁ・・・・」
キンブリー「紅蓮の錬金術師・・・・などと言われてもあなた達は分からないでしょうね」

警備システムが掌握された事で、侵入者がいる事に気が付いたレイビーク星人の
指揮官の1人はシステムの回復を命じるが、そこへ白い帽子とスーツを着た男性、
ある錬金術が発達した世界の元国家錬金術師ゾルフ・J・キンブリーが現れ、
錬金術によりレイビーク星人の指揮官の顔面を爆発させる。そして黒焦げになった
レイビーク星人に向かって呟きながら基地を進んでいった。

ダーン

レイビーク星人「ぐわぁ!」
雑賀孫市「我らは誇り高き雑賀衆、契約に基づきこの拠点を制圧する!!」

2丁の銃を持つ女性――戦国最強の傭兵集団【雑賀衆】を率いる雑賀孫市は
部下である雑賀衆を率いて愛用の銃で基地にいるレイビーク星人を倒していく。

ホル・ホース「ははっ、孫市もやるなぁ!!メンヌヴィルの旦那、俺達も負けて
 らんねえぜ!」
メンヌヴィル「ふん。宇宙人とやら、焼けばどの様なにおいを放つのだろうな!」

炎のメイジであるメンヌヴィルはレイビーク星人達を炎の魔法で焼き、ホル・ホースは
銃のスタンド【皇帝<エンペラー>】から放たれる弾丸の軌道を駆使してレイビーク星人達を
撃ち抜いていった。

884ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2016/10/02(日) 13:57:14
レイビーク星人「ぐぬぬ...地球人の科学者を拉致し、我らの奴隷にする
 計画が...!」
レオル「何処を行くんだよ?逃がしはしねえぜ」

レイビーク星人を捕まえたのは人間の様に喋るライオンの様な生物――レオルという
ハンターと呼ばれる者達が住まう世界に生息するキメラアントと呼ばれる生物の1体で、
ハンターに討伐されて死を迎えるが、再生者となり地球に転移し、アルハザードに
捕らえられた後、テクノグラードで実験と服従を条件に保護されていた。レオルはいとも
容易くレイビーク星人を捻りつぶす。

レオル「(ここで、功績をあげて恩を売り、前の世界じゃあ果たせなかった
 “王”になる夢を果たす!)」

その内に野心を秘めて、レオルは任務を遂行していく。

レイビーク星人「こうなれば、機動ロボットを動かせ!」

やぶれかぶれとなった異星人側はロボット兵器を動かす。すると基地の
壁を壊して一体のロボットが現れた。

カン・ユー「アストラギウス銀河から流れに流れて辿り着いたのは、この地球!
 貴様ら、俺の攻撃を受けろ!!」

出現したロボットはカン・ユーが操縦するブラッドサッカーと呼ばれる
AT(アーマード・トルーパー)の一種で機動ロボットを破壊していく。

レイビーク星人ボス「おのれ、機動ロボットも破壊されてしまったか!
 早く宇宙船を動かすのだ!」
王蛇「...よう、てめえがここのボスか?」

レイビーク星人のボスは撤退しようと宇宙船を動かすよう部下に命じるが、
その前に浅倉が変身した王蛇が現れる。

レイビーク星人ボス「奴らの仲間か!邪魔はさせんぞ」バシューン
王蛇「ふん!」ヒョイ

レイビーク星人のボスは眼からビームを出すが、横に避けて
そのまま手に持っていたベノサーベルでレイビーク星人のボスの
胸を刺した。
 
レイビーク星人ボス「ち・・・地球人ごとき・・・・が」ザシュ
アサシン「・・・・・」

王蛇に胸を刺されたレイビーク星人のボスだが、さらに背後からアサシンが
現れ、所持している短剣(ダーク)でトドメを刺されてしまう。そして黒三日月隊の
活躍によってテクノグラードの科学者達は救出され、レイビーク星人の基地は壊滅
するのであった・・・・。

885ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2016/10/02(日) 15:06:56
●レイビーク星人→テクノグラードの科学者達を誘拐するが、黒三日月隊により殲滅する。
●浅倉威/仮面ライダー王蛇→レイビーク星人の基地を殲滅する。
●ホル・ホース→レイビーク星人の基地を殲滅する。
●カン・ユー→レイビーク星人の基地を殲滅する。
●ゾルフ・J・キンブリー→レイビーク星人の基地を殲滅する。
●レオル→レイビーク星人の基地を殲滅する。
●メンヌヴィル→レイビーク星人の基地を殲滅する。
△雑賀孫市→レイビーク星人の基地を殲滅する。
△アサシン/ハサン・ザーバッハ→レイビーク星人の基地の調査、科学者の救出等を行う。
●アフマド・アルハザード→黒三日月隊にレイビーク星人の基地の殲滅と科学者の
 救出を命じる。

【今回の新登場】
●誘拐宇宙人レイビーク星人(ウルトラマンティガ)
 鳥か恐竜の様な尖った顔で、目が複眼上になっている異星人。
 地球人によく似た種族を奴隷としてこき使っていたが、長らく酷使し
 続けた為、絶滅寸前となり、労働力不足を補うべく地球人を縮小光線銃で
 小さくして捕獲していた。ボスは目からビームを放つ事も可能。

●カン・ユー(装甲騎兵ボトムズ)
 クメン王国の傭兵部隊アッセンブルEX-10の戦闘指揮官。パイロットとしての
 能力はそこそこだが、指揮能力には欠けており人望も皆無、短気で猜疑心が強い上、
 欲深で、上司には媚び諂い、部下には威張り散らす典型的な小悪党。悪運だけは
 人並み以上で、幾度も市の危険に晒されながら生き延びている。キリコを執拗に追っている。

●ゾルフ・J・キンブリー(鋼の錬金術師 FULLMETALALCHEMIST)
 「紅蓮」の二つ名を持つ国家錬金術師で、元軍属。左右の手に、それぞれ
 月と太陽の錬成陣を刻んでおり、二つを合わせて物質に触れる事で、その
 物質を爆弾性の物質に変換させる事が出来る。爆発が好きな爆弾狂で基本的に
 誰に対しても敬語で紳士然とした態度を取るが、自分が異常者である事を肯定している。
 独自の哲学と思想を持つ。

●レオル(HUNTER×HUNTER)
 ライオン型の蟻。キメラアント師団長。元はハギャを名乗っていたが改名。
 非常に打算的で野心家、組織の中でうまく立ち回る事で利益を得ようとするタイプ。
 女王の死後、自ら王になるべく旅だったが、ハンターの襲撃に遭い、東ゴルトーの
 王の下に就き、シャウアプフから能力を伝授された。特質系の念能力者で
 恩を売った相手の特殊能力を一時的に借りる事が出来る【謝債発行機(レンタルポット)】
 の能力を持っている。

△アサシン/ハサン・ザーバッハ(Fate/Zero)
 第四次聖杯戦争で言峰綺礼が召喚した暗殺者のサーヴァント。その正体は
 暗殺教団の教主「山の翁」を務めた1人で、「百の貌のハサン」の異名をとる
 暗殺者。多重人格者で、人格を使い分けて多彩な能力を発揮し、あらゆる
 変装をこなす。人格を一つ一つ別個体として分離させる事が出来る宝具
 【妄想幻像(ザバーニーヤ)】を有している。

886凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/10/17(月) 00:52:14
≪ラウールとレミーナの絆≫

メルヴィオン王家の外戚でもある有力貴族ラプエンテ家の息女レミーナは、
八歳になると国王アディラス十六世の下命によりアキシアの親元を離れ、
人質として王都ネクナールに送られる事になった。

レミーナ「では父上、母上。行って参ります!」

目に一杯の涙を溜めながら馬車に乗り、生まれ育ったアキシアの城から出立するレミーナ。
だが丁度この時、ネクナールでは王家を揺るがす大事件が起こっていた。
レミーナが都に着いた時、王宮はただならぬ騒ぎの中にあり、
人質の引き取り手続きどころではないほど混乱していた。

アディラス「おおラウール! 何たる事じゃ。しっかりいたせ!」
エリス「幸い、火傷はほとんど負っておりません。
 ただ煙を大量に吸ってしまったらしく、意識が…」

七歳のラウール王子が、初等教育のため預けられていたネクナール城下の修道院で、
火災に巻き込まれたのである。(>>819参照)
間一髪、炎の中から救出されたラウールは意識不明のまま王宮へ運び込まれ、
その後も数日間に渡って昏睡が続いた。

アディラス「ラウール、気がついたか」
ラウール「…誰?」
エフェリーナ「そんな…。ラウール、母の顔を忘れたのですか!?」

数日後、無事に意識を回復したラウールだったが、
火災の煙による一酸化炭素中毒が脳に深刻なダメージを与えてしまったのか、
記憶を全て失って家族の顔すら分からなくなっていた。
更に脳が受けた打撃は手の麻痺という形で運動機能にも影響を及ぼし、
ラウールは両手がほとんど動かなくなってしまったのである。
幼い我が子を襲った突然の不幸に国王夫妻は深く悲しみ、
修道院に預けての教育を中止して今後は親元で保護しながら療養させていく事にした。

アディラス「ナレイン・レンドルフ。
 本日よりそちをラウール付きの小姓に任ずる」
ナレイン「ははっ、身に余る光栄に存じます!」
アディラス「難儀な役務ではあろうが、よく励んでくれ」

レミーナと同じく人質として王都に預けられていた南部の大貴族レンドルフ家の次男ナレインは、
才気抜群の神童と呼ばれて人質の子供達の中でも注目を集めていたが、
その利発さを買ったアディラスによってラウールの小姓に抜擢され、
手の不自由なラウールに近侍して身辺の世話をする事となった。

エリス「私があなたの姉のエリスよ。よろしくねラウール」
ラウール「姉上…様?」

記憶を失ってそれまでの知識や経験の全てを忘れてしまったラウールは、
火災事故がもたらした重い後遺症と戦いながら、
家族や家臣らとの人間関係もここでゼロから構築し直していく事になったのである。

887凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/10/17(月) 00:53:39
人質というのは家臣の謀叛を防ぐために王家が貴族や騎士の家の子女の身柄を預かっておくもので、
もし実家が王家に反逆した時には即処刑されてしまう立場にある。
とは言え、政情が安定しているメルヴィオンの人質制度は常時そこまでの緊張感があるものではなく、
将来王家の臣として働く事になる諸侯の子に対して直々に英才教育を施し、
幼い内から王家の面々と親交を持たせて信頼関係や主従の絆を育んでおくという人材育成としての一面もあるため、
実家の反乱などの非常事態でない限り人質が不遇をかこって虐待されたりする事はまずなく、
国の未来を支えていくエリートの卵として大切に養育されるのが常であった。

エフェリーナ「レミーナ、よく来てくれました。
 そんなに畏まる必要はないのですよ。
 これからはこの王宮を我が家と思って寛ぎなさい」
レミーナ「ありがとうございます。叔母上様!」
リンディ「レミーナ姉様、リンディです。よろしくね!」
レミーナ「可愛い…。ええ、こちらこそよろしく!」

王妃エフェリーナの姪でもあるレミーナは特に厚遇され、
いとこである王子や王女の世話係という名目で王宮に普段から出入りが許されて、
ナレインのような小姓らと共に彼らの傍に侍りながらまるで家族のように親しく接した。
元々、レミーナは明るく活発で社交的な子で、新しい環境にすぐに馴染み、
親切な国王一家と打ち解けるのに時間はかからなかった。
末っ子でまだ五歳のリンディ王女はエフェリーナの子ではなく側室の子であるため、
レミーナと血の繋がりはないが、二人は実の姉妹のように仲良くなった。

ラウール「うぅっ…。うわぁぁ〜ん!」
侍医「殿下、泣かないで下さいませ。
 おつらいでしょうが、ここが頑張りどころです」
ラウール「もう嫌だよ…」

脳障害による手の麻痺の治療方法としては、
積み木をしたり箸で物を摘まんだりというような、
細かい手作業を練習する作業療法が有効であるという事は、
地球と同じくメルヴィオンの医学でも広く認められている理論であった。
ラウールは侍医の指導の下、麻痺を克服するため積み木を重ねる訓練を始めるが、
どうしても手が震えて置き方を誤り、すぐに崩してしまう。
元来、気弱で泣き虫のラウールは失敗を繰り返す自分がつらくて泣き出してしまい、
なかなか訓練を続けられずに侍医を困らせていた。

レミーナ「ラウール、私と一緒にやりましょう。
 きっと上手にできるようになるから。ね?」
ラウール「レミーナ…」

見かねたレミーナはある日、自らラウールのリハビリ介助を買って出た。
姉のように慕っていたレミーナに優しく励まされると、
ラウールは泣き止んで積み木をまた再開できた。

レミーナ「そう、ゆっくりと…」
ラウール「あっ…! ううっ、やっぱりダメだよ…」
レミーナ「泣かないで。別に失敗してもいいんだから、
 ほら、もう一回だけ頑張ってみましょう」

こうしたリハビリは日々の長期的な積み重ねが肝要で、
始めてすぐに劇的に症状が改善するというものではないため、
当事者のラウールにも介助するレミーナにも相当の根気と辛抱強さが求められたが、
それでも頑張り続けた努力は無駄ではなく、
数年の内にラウールはほぼ問題なく両手を使えるほどに快復したのであった。

アディラス「ラウールの麻痺は既に日常生活には支障なきまでに治った。
 将来、武人として戦場で武器を振るうのは難しいかとも思うていたが、
 この分ならば遠からず剣や弓の稽古も始められるようになろう。
 ラウールを不具から立ち直らせたレミーナには、比類なき大功ありと讃えねばなるまい」
エリス「本来なら姉や兄である私達がしなければならなかったラウールの世話を、
 あの子は率先してやってくれています。
 ラウールも、もうすっかりレミーナを大好きになっているようですね」

888凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/10/17(月) 00:55:59
ラウールの麻痺がほぼ快復し、遂に木剣による剣術稽古も始められるようになった九歳の頃の事。
十歳になったレミーナは王宮の庭園の花畑で色とりどりの美しい花を摘み取り、花の冠を作って遊んでいた。
そこへ武芸の訓練を終えたラウールがやって来て声をかける。

ラウール「レミーナ、何やってるの?」
レミーナ「えへっ、お花で冠を作ってるのよ。綺麗でしょ」
ラウール「ふ〜ん、どうやって作るの?」
レミーナ「ええとね、ほら、これをこうやって…」

冠の作り方を実際にやって見せながら教えるレミーナ。
興味深そうにそれを眺めていたラウールは、やがてレミーナに訊いた。

ラウール「それ…僕にも作れるかな?」
レミーナ「えっ? どうかしら。
 でも女の子の遊びよ? あまりこういうのを覚えても…」
ラウール「ちょっとやってみるよ」

そう言って庭園の花を摘み、花冠作りに挑戦するラウール。
麻痺がほとんど癒えたとは言え、まだ常人と比べると手先の不器用さが否めないラウールだが、
途中でレミーナに何度もやり方を教えてもらいながら、
悪戦苦闘しつつも少しずつ一生懸命に作っていく。
普通の男の子はあまり好まないであろうこんな遊びをなぜそこまで熱心にやろうとしているのか、
レミーナは不思議に思って横で首を傾げていた。

ラウール「できた! どうかな?」
レミーナ「上手じゃない! 花の組み合わせもとても綺麗だし」

それに何より、不慣れながらも優しい気持ちを込めてとても丁寧に作ってある。
積み木を重ねるのさえなかなか出来なかったラウールがこんな細かい工作をこなせるようになったのは、
治療のためずっと一緒に努力してきたレミーナとしては感慨深いものがあった。

ラウール「じゃあこれ…レミーナにあげるね」
レミーナ「ええっ? わ、私に?」
ラウール「えっと…あの…」
レミーナ「…?」
ラウール「ずっとお礼がしたかったんだ。ありがとう。レミーナ」
レミーナ「………」

すっかり動かせるようになった両手を握ったり開いたりして見せながらはにかむラウール。
つい先日、とうとう木剣の稽古ができるようになって大喜びしていたラウールは、
これはレミーナのお陰だと考え、今までの感謝を伝えたくてプレゼントを作っていたのである。
手先がほとんど動かせなかったラウールが、自分の励ましに応えてここまで立ち直り、
そうして動くようになった手でこんなに素敵な贈り物を自分に作ってくれた事がレミーナはとても嬉しかった。
レミーナの頭にそっと花冠を被せるラウールの手が髪に触れると、
かつてのぎこちなさとは全く違った、柔らかくて優しい手付きが感じられる。
レミーナは感動で胸が一杯になった。

レミーナ「ありがとう…。嬉しいわ!」

ラウールとレミーナの単なる主従や親戚関係を超えた強い絆は、
こうした幼少時の思い出によって培われたものである。
記憶喪失直後の出会いから十年後、黒三日月隊のアセーリア侵攻が始まると、
後遺症を乗り越えて逞しい青年に成長していたラウールはメルヴィオン再興を掲げて立ち上がり、
レミーナはラプエンテ家の精兵を引き連れてラウールの下へ馳せ参じ共に戦ってゆく。
過酷を極める凄絶なその戦いも、この二人ならきっと乗り越えられるはず…。

889ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2016/10/21(金) 14:59:42
>>824-825加筆

<<狙われた国際競技大会(仮)-4>>

***アザディスタン・サッカースタジアム***

水面下で密かに妖怪達が蠢いている事など多くの人々は知る由もなく、
太陽系オリンピックは大いに盛り上がっていた。
男子サッカーは、開幕戦で中東の新興国エイラシア代表が、
優勝候補の一角である南米系コロニー国家のフェルコーナ代表を破るという波乱の幕開け。
近年、アラブ諸国が豊富なオイルマネーを投資して進めているスポーツの強化が、
決して侮れないものである事を世界に見せつけた。
そしていよいよ、地元ファンが待ちに待った開催国アザディスタン代表が、
こちらも今大会最強との呼び声高いフランス代表との初戦を迎える。

フィリナ「フランス頑張って〜!」

太陽系オリンピックの主要スポンサーの一つは、
フィリナ・クラウディア・アルシャードが社長を務めるクラウディア・エレクトロニクス社である。
スポンサーとして大会のオープニングセレモニーに出席したフィリナは、
そのままアザディスタンに滞在して試合観戦を楽しみ、
この日はフランス代表の青いレプリカユニフォームを着てサッカースタジアムに姿を見せていた。

フィリナ「ああっ、惜しい〜!」

アルジェリア出身でフランス国籍のフィリナは、
やはり自分にゆかりのあるこの2国を中心に応援している。
ところがこの試合、フランス代表は格下と見られていたアザディスタン代表を相手に大苦戦。
圧倒的に攻め続けて次々とシュートを打ちまくるが、
地元サポーターの大声援を受けて奮起したアザディスタン代表は、
懸命のディフェンスで猛攻をことごとく跳ね返し、1点を守り切って何と1-0で勝利してしまった。

キバラ「残念だったね。まさかこんな結果になるとは」
フィリナ「叔父様!」

試合終了後、叔父でアダブ王国の特使を務めるキバラに声をかけられて、
フィリナはフランス国旗を模したトリコロールカラーのマフラータオルで額の汗を拭きながら微笑む。

フィリナ「確かにフランスが負けたのは残念ですけど、
 でも大会が盛り上がるには、何より開催国が活躍するのが一番ですもの。
 アザディスタン国民の皆さんがこんなに喜んでいるのを見ると、
 決して不愉快な気分になんてなれませんわ」
キバラ「大人だねえ。
 確かに、この番狂わせは大会を盛り上げずにはおかないだろうね」

世紀の大金星に沸くスタンドの熱気を味わいながら笑顔を作る二人。
フィリナはアザディスタン代表の大健闘を心から讃えて拍手を送った。

フィリナ「さあ、明日はバスケットボールのアルジェリア代表を応援しなきゃ。
 叔父様もご一緒にどうです?」
キバラ「いいね。また面白い試合になりそうだ」

スタジアムを後にしたフィリナとキバラは、
二人で夕食を摂るため、予約している五つ星ホテルにタクシーで向かったのであった。

890ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2016/10/21(金) 15:13:36
***東京・朝倉家***

光平「おおっ、ナイスレシーブ!」
慎哉「いいぞいいぞ! だんだん日本のペースになって来た!」

アザディスタンと日本の時差は約6時間。
現地時間で夜7時に行われる試合は、日本時間では深夜1時の開始となる。
夜もすっかり更けた頃、東京・豊洲にある朝倉家の居間では、
牧村光平と朝倉慎哉が眠気覚ましのホットコーヒーをすすりながら、
太陽系オリンピックの女子バレーボール、
日本代表VSムアンバ代表の試合を衛星生中継でテレビ観戦していた。

慎哉「うわ〜! 相手の4番、凄いジャンプ力だな」
光平「ピュンマさんの祖国、強いよなあ…」

ムアンバはサイボーグ008=ピュンマの故郷の国で、
アフリカ人らしい高い身体能力を駆使したパワフルなバレーで日本代表を苦しめるが、
日本代表もよく組織されたチームプレーで徐々に押し返し、
両者1セットずつを取っていよいよ勝負の第3セットに突入である。

光平「でもまあ、無事に盛り上がってるようで良かったな…」
慎哉「…ん? 何だって?」
光平「いや、何でもないよ」

大会を狙うテロの気配を察知してブレイバーズが動き出しているという情報は、
光平の耳にも入っていた。
大会はまだ始まったばかりだが、ここまでは順調に各競技の日程を消化し、
大きな事故やトラブルなどは起きていない。
平和の祭典がこのまま最後まで無事に開催される事を、光平は願った。

光平「さあ、3セット目が始まるぞ!」
慎哉「頑張れ〜!」


***アザディスタン・ラグビースタジアム***

一方、男子ラグビーのサラジア代表は、木星から出場した
木星圏ガニメデ・カリスト・エウロパ及び他衛星小惑星国家間反地球共同連合体(木連)代表と対戦。
前半は圧倒的に攻めて点差を20点まで広げ楽勝ムードだったが、
後半、木連代表が意地の猛反撃に出ると流れは一変し、怒涛の勢いで追い上げられる展開に。
そしてとうとう、試合終了間際に劇的な決勝トライを決められてまさかの大逆転負けとなってしまった。

アルハザード「う〜む、何たる事だ!」
秘書N「前半の内容は素晴らしかったのですが…」

はるばる木星から地球まで応援に駆け付けた木連サポーターが興奮し、
人気アニメ『熱血ロボ ゲキ・ガンガー3』の主題歌の替え歌を勝利の凱歌として高らかに大合唱する中、
観戦に訪れていたサラジアのアフマド・アルハザード副大統領は憮然としてスタジアムのVIP席を立つ。

アルハザード「後半の総崩れに対して何の手も打てんとは、
 監督の采配がなっておらん! 
 サラジア・ラグビー協会に命じて直ちに監督を解任させろ!」
秘書R「かしこまりました…」

アルハザードは国威発揚の道具としてスポーツを重視しており、
副大統領に就任して以来、ずっと国策として各競技の強化に力を入れている。
独裁者アルハザードはその権力を使って度々サラジアのスポーツ界に現場介入しており、
彼の意向一つでチームスタッフや協会幹部の首が飛ぶという事も珍しくない。

秘書N「閣下、ラグビーは残念でしたが、
 今回、野球の我が国の代表チームは育成の甲斐あって優秀な選手が揃い、
 上々のコンディションでこの大会に臨む事ができております。
 明日の初戦は、恐らく期待してよいと思われます」
秘書R「メディア等の下馬評は決して高くありませんが、
 あのチームのポテンシャルには驚異的なものがあると報告されており、
 世界を驚かせる力は十分にあると見てよいはずです」
アルハザード「中東で野球などなかなか流行らんだろうが、
 野球はアメリカの国技と言っても過言ではない球技。
 もし万一、アメリカに野球で勝てればアメリカ国民のプライドはひどく傷付くだろうと思って、
 試しに強化プロジェクトを進めてみたが…。
 よし、ならば明日は野球の試合を観戦しようではないか」

暗殺を恐れてどんな時でも警戒を欠かさないアルハザードは、
黒服を着た大勢の護衛に囲まれながら、二人の秘書と共にスタジアムを後にした。

891ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2016/10/21(金) 17:16:15
***アザディスタン・五つ星ホテル***

アルハザードがスタジアムを後にしたその日の夜。アザディスタンにある
五つ星ホテルでは、オーブやプラント、マリネラなど各国の首脳や王族による
ささやかな会食会が行われていた。集まった彼らは、お互いこれまでの試合を
讃えあった。

ラクス「皆さま、大会も明日で終わりです。これまでの試合、お互いよく戦いました」
パタリロ「う〜む。あの柔道の試合、もうちょっとでウチの国が勝ったんだがなぁ〜」
カガリ「おかげでオーブが勝てたよ。感謝する、パタリロ殿下」
パタリロ「くぅ〜、今度ウチが開催国になったら、絶対金メダルを取ってやる!」

柔道の団体戦、マリネラとオーブが対戦し、お互い健闘したものの
結果はオーブが勝利。その事でパタリロは悔しがり、カガリは少し
皮肉を込めて言う。

マリアルイゼ「テロの方も、ここまで何もありませんでしたが...」
アセイラム「最終日で事が起きる...筈ですね」

ネオフランス王女マリアルイゼは妖怪帝国のテロについて呟く。
ヴァース帝国の皇女アセイラムも続けて、最終日に起きるであろう
テロについて心配する。

カガリ「明日何が起きようと、ブレイバーズが必ず皆を救ってみせるさ」
ラクス「はい」
アセイラム「私も信じています」
ウイリス「...そういえば街中でサポーター同士の暴動騒ぎがあったそうですが...」

エスタルドの若き国家主席ウイリス・アラミスは火星騎士とアメリカの
サポーターの間で衝突があった事を思い出し口にする。

アセイラム「悲しい事ですが、未だに戦争による傷は地球でも火星でも
 深いようです。しかし、この祭典を通して二つの星の溝を埋めていければと
 思っています」
ラクス「そうですね...平和を願っての祭典。誰にも奪わせてはなりません」

平和の願いを込めて、皆が参加する太陽系オリンピックを誰だろうと邪魔は
させないと集まった彼らは誓うのであった。

892ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2016/10/21(金) 17:39:38
◯フィリナ・クラウディア・アルシャード→サッカーの試合でフランスを応援する。
◯牧村光平→テレビで女子バレーの試合を観戦する。
◯朝倉慎哉→テレビで女子バレーの試合を観戦する。
●アフマド・アルハザード→ラグビーの試合を観戦後、スタジアムを後にする。
●秘書R→アルハザードと共にスタジアムを後にする。
●秘書N→アルハザードと共にスタジアムを後にする。
◯キバラ特使→フィリナに声を掛ける。
◯ラクス・クライン→会食会に参加する。
◯カガリ・ユラ・アスハ→会食会に参加する。
◯パタリロ→会食会に参加する。
◯マリアルイゼ→会食会に参加する
◯アセイラム・ヴァース・アリューシア→会食会に参加する。
◯ウイリス・アラミス→会食会に参加する。

【今回の新登場】
◯アセイラム・ヴァース・アリューシア(アルドノア・ゼロ)
 火星に建国された国家「ヴァース帝国」の第一皇女。地球人を旧人類として
 見下す国民が多い中、地球人に偏見を持たず友好を結ぼうとする平和主義者
 であり、彼女の理念は一見して理想主義者として捉えられるものの、時として
 自ら銃を取り、使える物は自分の立場も利用する面も見られる。親善大使として
 地球に訪れた際、ミサイルによるテロに巻き込まれた後、避難民の少女「セラム」
 として界塚伊奈帆らと行動を共にした。

893ホウタイ怪人 ◆sEGOS2kBD6:2016/10/29(土) 14:23:44
≪天童右近の離反≫

ワイルダー「我々は現時刻をもって兵隊から海賊に鞍替えする。
 行くぜ野郎ども! イカリをあげろ!」

復活したディケイド&シグフェル、そしてギアス勢と合流し、
辛くもグランドクレバスに飲み込まれる危機を脱したブレイバーズ。
これまでジュリアス・カミュエルに騙されていたことを知ったブレイバーズは、
マクロス・クォーター艦長ジェフリー・ワイルダーが音頭を取り、
超次元星間帝国の独裁体制に反抗する海賊へと鞍替えした。

そのままブレイバーズはエンペリアス星へと乗り込み、
真の黒幕アークシセイザーへと短期決戦を挑んだ。
アレクサンデル・ジークフリード・フォン・ローエングラム率いる銀河帝国艦隊と
アベルト・デスラー率いるガルマン・ガミラス艦隊も味方として救援に駆け付け、
果敢な反撃を開始したブレイバーズの活躍によって、
超次元星間帝国は短期間であっけなく崩壊したのであった。

シセイザー「見事だ。だがこれで私の計画が終わったわけではない…」
シグフェル「アークシセイザー、お前は…!?」

不気味な言葉と共に姿を消したアークシセイザー。
シグフェルには、これでアークシセイザーが死んだとは
まだどうしても思えないのであった。


***地球・日本***

桃太郎「………」

警護のSPを一人も連れずに、一人で
慰霊碑の前で無言のまま、静かに手を合わせて黙禱する
日本国内閣総理大臣・剣桃太郎。

今回の超次元星間帝国の争乱で、
地球に残留していた2軍ヒーローたちの決死の防衛によって
地球の危機は回避されたが、またしても無用な多くの血が流れてしまった。
ここはその戦死者たちを追悼顕彰するために急きょ設置された
暫定の慰霊碑である。

地球防衛のために殉じた名もなき戦士たちに、
国の代表者として感謝を示し、改めて平和を誓う桃太郎であったが、
その帰り、天童一門の刺客たちに襲撃された。
護衛も連れずに人目を忍んで参拝した桃太郎を
暗殺する絶好の好機と見たのだ。

組頭「死ね剣桃太郎!」
桃太郎「愚かなっ…!!」

この期に及んでも尚、権力闘争に蠢く政治の闇を見た桃太郎は、
呆れとも怒りとも虚しさとも取れる複雑な感情を覚えつつも応戦する。
だがそんな桃太郎に降ろされた凶刃を防いで見せたのは、
なんといきなり現れた天童右近であった。

以前の戦いで、長年連れ添ったパートナーの三雲惺梛を失い、
自らも右目を失い隻眼となった右近は暫く姿を消し、長らく生死も不明の状況にあったが、
やはり生きていたのである。

桃太郎「右近!?」
右近「この勝負、俺が受けた!」
組頭「――若!? 剣桃太郎を討つは菊之丞様の悲願!
 邪魔立ては何故です!?」
右近「たとえ父だとて、悪事を成せば、それを正すのが真の孝行。
 そのためにもおぬしたちには死んでもらわねばならん」

天童右近の正体は、天童菊之丞の私生児であった。

組頭「え〜い、分からん!
 右近様ご乱心と見た。お手迎えご容赦。
 者どもかかれ〜!!」

次々と天童の刺客を一刀両断の下に切り捨てる右近。

右近「桃太郎殿、手出し無用」
桃太郎「………」

894ホウタイ怪人 ◆sEGOS2kBD6:2016/10/29(土) 14:24:29
刺客の一団は、右近の剣によってたちまち全滅した。

右近「剣桃太郎殿、正直心の内を明かせば、つまらぬ俗世間の策略など忘れて、
 貴方との勝負に命を燃やしたい」
桃太郎「隠れて俺について来たのはそのためか?」
右近「だが今はできぬ。いや…只今の俺では貴殿には勝てん!
 仮に技で優っていたとしても心で負けている…!
 惺梛を失ったことで、俺は気づき、決意したのだ。
 父・菊之丞の残した悪行を全て消し去ったその時こそ、
 心に何の曇りもなく、剣桃太郎と立ち合えるだろうと」
桃太郎「各地に遣わされた天童の隠密を、全て斬ると言うのか?」
右近「お笑いくだされ。右近が父・菊之丞に報いる道はこれしかありません。
 桃太郎殿、いつか必ず勝負を決する時が来る…その時を楽しみに。では、御免」

別れる剣桃太郎と天童右近。
その後、裏天童刺客人の総帥・天童右近の姿を
再び見た者はいなかったという…。

895ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2016/11/08(火) 14:46:34
<<狙われた国際競技大会(仮)-5>> ※直前パート

***アザディスタン・野球スタジアム***
大会最終日。ついに長く続いた太陽系オリンピックも最後の日を迎えた。
野球の試合が行われるスタジアムでは、サラジア対アメリカの試合が始まろうと
しており、試合を観戦しようとアルハザードは国賓用の観客席へと向かっていた。
すると、アルハザードは同じく試合を観戦しに来た対戦相手であるアメリカの大統領、
マイケル・ウィルソン大統領と顔を合わせる。

アルハザード「これはこれは、マイケル・ウィルソン大統領。今日の試合、お互い
 良い試合をしましょう」
マイケル・ウィルソン「HAHAHA!こちらこそベストを尽くさせてもらうよ」

アルハザードとマイケル・ウィルソンはお互い試合について健闘し合うが、
両者の目は「負けてなるものか」と火花が散っていた。そして両者はそれぞれの
観客席へと移動する。

キャプテン・アメリカ「...彼が噂に聞くサラジアの副大統領、アルハザードか」
マイケル・ウィルソン「副大統領という肩書を持っているが、奴こそサラジアの真の
 支配者だ。この大会で奴が何かしてくるという事は無いだろうが、キャプテンも
 警戒していてくれ」
キャプテン・アメリカ「はい。大統領や大会の安全は必ず守ります」

マイケル・ウィルソン大統領の護衛として同行してきたキャプテン・アメリカこと
スティーブ・ロジャースにマイケル・ウィルソン大統領はアルハザードに対して
警戒すべきである事を伝える。

マイケル・ウィルソン「ふふ。我がアメリカの英雄、キャプテン・アメリカが
 ボディーガードについてくれて心強いよ」
ジョディ「...(大統領なら御1人で敵を返り討ちにしてしまうと思いますが)」

元軍人であるマイケル・ウィルソン大統領は、かつて第2次世界大戦で活躍した
英雄であるキャプテン・アメリカに憧れを抱いていた事があり、その憧れのヒーローが
自分の護衛として同行している事に心強く感じるが、話を聞いていた大統領秘書の
ジョディは「大統領なら1人で事態を解決してしまいそうだ」と心の中で思った。

そして大会最後の試合が始まった。

896ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2016/11/13(日) 14:31:52
>>895続き。

サラジア対アメリカによる野球の試合が始まり、両者は接戦。最初は
野球大国であるアメリカが優位に立っていたが、中盤でサラジアに
点が入った事を切欠にその後の試合でアメリカと同点となり、そのまま
両チームは譲らず、試合は最終回を迎えた。そして9回表でサラジアが
アメリカから1点打ち取った所で、9回裏となった。

サラジア「始めはどうなるかと思ったが、アメリカを相手にここまで来るとは...。
 このまま守り切れば我が国の勝利だ!」

アルハザードは現在の試合状況に、サラジアの勝利を確信していた。
そしてサラジアの投手は最後の一投を投げたのだが...。

***アザディスタン・首都郊外***

ちょうどその頃。試合が行われている首都から離れた場所では
西洋妖怪を始めとする諸外国の妖怪達が集まっていた。

魔女「そろそろ頃合いか。さあ、この地に眠りし、戦火に散った者達よ!
 今こそ貴様達の怨みを晴らすのだ!」

サラジアの投手がボールを投げたと同時に、西洋妖怪の一員である
魔女が呪文を唱えると、突如、あちこちで街の建物が爆発していく。
それは過去、アザディスタンで起きた戦争で死んでいった者達の怨念を
エネルギーに爆発を引き起こしていたのであった。

ドラキュラ二世「さあ、お前達。準備は整った!お前達も街を行き、
 祭りに浮かれる人間達に恐怖を与えるのだ!」
西洋妖怪「おおおおお〜〜!!」

西洋妖怪の一員で、ドラキュラ三世の先代であるドラキュラ二世の
号令により、西洋妖怪達も街へと向かう。

〜ミネルバ・ブリッジ〜

アビー「アザディスタン首都各地で、原因不明の爆発が多数。さらに
 首都郊外から未確認の軍勢が向かっています!」
タリア「どうやら、敵が動き出したようね」
アーサー「ア...アレ全部が西洋妖怪っていうモンスターなんですよね?
 モンスターに我々は勝てるのでしょうか!」ガクガク
タリア「しっかりしなさい!アーサー。例え敵が怪物だろうと、私達は任務を
 果たすのよ」
アビー「ハッ...艦長、さらに市内に多数のMSが出現しました!」
タリア「何ですって!?」

ブレイバーズの任務で、アザディスタンに来ていたミネルバのブリッジでは
アビーが西洋妖怪が現れた事を報告。西洋妖怪の存在にビビる副長の
アーサーをタリアが激励する。そこにアビーから多数のMSが出現したと
報告を受ける。出現したMSはフラッグやティエレンなど過去の戦争で
朽ち果てていたMSが実体化したのもので、西洋妖怪達と共に市内を攻撃していく。

アーサー「も、MSの幽霊〜〜!」
タリア「シン達を早く出撃させて!」

MSの幽霊という存在に驚愕するアーサーを余所に、タリアは
シン達の出撃を許可する。そしてシンの乗るデスティニーガンダムを
始めとするブレイバーズに属するスーパーロボットやMSなどが
出撃した。

シン@デスティニーガンダム「うぉぉぉぉぉ!」
ティエレン・ゴースト「・・・・・」
ルナマリア@インパルスガンダム「ダメ。全然攻撃が通らない!」
レイ@レジェンドガンダム「攻撃が通り抜けてしまう敵...厄介だな」

デスティニーガンダムで出撃したシンは幽霊MSに攻撃をするが、
相手が霊体である為か、攻撃はすり抜けてしまいダメージを与える
事が出来ず、苦戦する。すると急に機体の制御が狂い出す。

シン「機体が...!?」
ルナマリア「一体、どうして...」
レイ「機体に何かがとりついている!」
グレムリン「ギャギャギャ!」

デスティニーガンダム達の制御が突如狂いだした原因は、西洋妖怪で
憑りついた機械を狂わせる能力を持つグレムリンの仕業だった。
グレムリンの群れが憑りつき、このままでは機体が落ちてしまう...その時。

五飛@アルトロンガンダム「うぉぉぉぉぉ!!」

ザッ!ザッ!

グレムリン「ギャ〜〜!」

落ちると思われたその時、アルトロンガンダムに乗った五飛が
ツインビームトライデントでグレムリンをデスティニーガンダム達から
引き離した。

ルナマリア「ありがとうございます。五飛さん!」
五飛「お前達。敵はあのMSだけではない。妖怪の相手もするぞ!」
シン「言われなくても!」

助けられた事で、ルナマリアは五飛に感謝を述べる。だが、幽霊MS
だけでなく西洋妖怪達も攻撃している為、彼等はそれらの対処も行うのであった。

897ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2016/11/13(日) 16:43:10
その頃、地上では西洋妖怪を始めとした妖怪帝国に属する妖怪達が
人々を襲っていた。

市民「キャァァァァ!」
009「加速装置!」
鬼太郎「髪の毛針!」
西洋妖怪「ギャァァア!」

襲われている市民を009が加速装置で、高速に動いて市民を助け、
鬼太郎が髪の毛針で西洋妖怪を攻撃した。

003「さぁ早く、こちらに避難して下さい」
市民「は...はい!」
猫娘「好き勝手にさせないわよ!」

009達が助けた市民の1人を003と猫娘が避難させる。
そして市内各地では、大会に来ていたブレイバーズに属する
ヒーロー達が人々をの避難を手伝いながら、西洋妖怪らと
戦っていた。

***アザディスタン・野球スタジアム***

場面は変わり、試合が行われていた野球スタジアムでは、突如起きた
爆発により観客席は大混乱となり、試合所ではなかった。

秘書N「アルハザード様。危険です」
秘書R「こちらへ」
アルハザード「ええい、せっかく我が国の勝利が目前だったというのに...
 妖怪帝国め。このままでは済まさんぞ!」

サラジアの優勝をしようとしていた試合で、勝利が目前だったにも関わらず
試合を邪魔されたアルハザードは怒り心頭となり、妖怪帝国への報復を
決意するのであった。

***アザディスタン・とある家***

そして妖怪帝国の起こしたテロの様子は中継され、アザディスタンにある
とある家でも、その様子をテレビで見る男女がいた。1人は長い黒髪に
高齢であるが美しい老婆、もう1人は全身が銀色という奇妙な姿をした男性だった。

銀色の男「...行ってくる」
老婆「そう...気を付けて、刹那」
刹那「ああ、マリナ」

その老婆こそ、アザディスタンの皇女だった女性、マリナ・イスマイール。
既に視力が低下して見えなくなっているマリナに刹那と呼ばれた銀色の男は
家を出ると、1体のMS―ダブルオークアンタを駆って、騒動が起きている首都へと
向かうのであった。

898ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2016/11/13(日) 16:43:48
◯マイケル・ウィルソンJr→試合前、アルハザードと顔を合わせる。
◯ジョディ・クロフォード→マイケル・ウィルソン大統領に同行する。
◯キャプテン・アメリカ→マイケル・ウィルソン大統領に護衛として同行する。
◯シン・アスカ→デスティニーガンダムで出撃する。
◯ルナマリア・ホーク→インパルスガンダムで出撃する。
◯レイ・ザ・バレル→レジェンドガンダムで出撃する。
◯タリア・グラディス→妖怪帝国が現れた為、出撃する。
◯アーサー・トライン→妖怪帝国の存在にビビる。
◯アビー・ウィンザー→妖怪帝国が出現した事を報告する。
◯張五飛→グレムリンに襲われているシン達をアルトロンガンダムで助ける。
◯009→西洋妖怪から市民を助ける。
◯003→西洋妖怪に襲われる市民を避難させる。
◯鬼太郎→西洋妖怪から市民を助ける。
◯猫娘→西洋妖怪に襲われる市民を避難させる。
●先代魔女→アザディスタンの地に眠る怨念を利用して街の爆破や幽霊MSを呼び出す。
●ドラキュラ二世→西洋妖怪達に号令をかける。
●グレムリン→デスティニーガンダム等に憑りつき、機体を狂わせる。
◯刹那・F・セイエイ→テレビの中継を見て、ダブルオークアンタを駆る。
◯マリナ・イスマイール→刹那を見送る。
●アフマド・アルハザード→試合を邪魔され、妖怪帝国に憤慨する。

【今回の新登場】
◯キャプテン・アメリカ=スティーブ・ロジャース(ディスクウォーズ・アベンジャーズ)
 第2次世界大戦時、ナチスへの義憤から軍の「超人兵士計画」に参加し、
 超人的な身体能力を手に入れて活躍したヒーロー。大戦時、氷の中で
 仮死状態となっていたが、現代で復活した。ビヴラニウムで作られたシールドを
 武器に戦う。

●ザンビアの祖母/先代魔女(ゲゲゲの鬼太郎 第5作)
 12年前、鬼太郎達と対戦した魔女ザンビアの祖母である先代魔女。
 アマミ一族カイを襲った際に鬼太郎に敗れて負傷し、一時前線を退いていた。
 地獄への総攻撃作戦の際にドラキュラ二世や先代狼男らと共に復帰している。

●ドラキュラ二世(ゲゲゲの鬼太郎 第5作)
 ドラキュラ三世の先代で、12年前に鬼太郎達と対戦し、地獄への
 総攻撃作戦の際に復帰し、鬼太郎達の前に立ちはだかった。

●グレムリン(ゲゲゲの鬼太郎シリーズ)
 悪魔の様な外見の西洋妖怪。機械を狂わせる能力を持つが、
 個々の戦闘能力は低い。

◯刹那・F・セイエイ(劇場版 機動戦士ガンダムOO)
 ソレスタルビーイングに所属するガンダムマイスターの1人。クルジス共和国
 出身の少年兵で、本名はソラン・イブラヒム。乗機はガンダムクアンタ。
 当初は他のマイスターやサポートメンバーと距離を置き、自分の理想に埋没するなど
 掴み所の無い性格だったが、様々な経験を経て成長し、ソレスタルビーイングの
 中心人物となった。「純粋種」のイノベイターとして覚醒し、リボンズとの戦いが終わった後、
 ELSとの対話で彼らの母星の危機を知り、ダブルオークアンタで量子テレポートを行った。
 そして50年後、マリナ・イスマイールと再会を果たすが、ELSと融合し金属質の様な
 外見となっている。

◯マリナ・イスマイール(劇場版 機動戦士ガンダム00)
 中東の新興国家アザディスタン王国の第一皇女。普通の家庭で育ち、
 音楽の道を志していたが、王政の復活に伴い、王族の血を引いていた為、
 皇女に選ばれる。困窮する祖国を復興するべく各地を飛び回った。
 戦いでは何も解決することは出来ないという強い信念を持つ。ELSの
 襲来から50年後、隠遁生活を送っていた所、帰還した刹那と再会する。

899ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2016/12/06(火) 18:04:03
<<シグフェルVSラッキークローバー>>

スマートブレイン本社の地下で、未だに眠り続けるオルフェノクの王アークオルフェノク。
様々な蘇生方法を試みるが、効果は無く、このままではバトルファイトに参戦する事も
出来ないと村上は危惧していた。

ロブスターオルフェノク「村上君。王を目覚めさせる方法は、まだ見つからないの!」
村上「落ち着いて下さい、冴子さん...もしかしたら、彼...シグフェルの持つ
 パワーならば、王を目覚めさせる事が出来るかもしれない...」

村上はシグフェルの持つ強大なパワーを解析すれば、王の復活に繋がるのでは
ないかと考え、シグフェルを捕えるべくラッキークローバーを招集する。しかし、
ラッキークローバーの1人である北崎は、王の命を狙っているので彼だけは呼ばなかった。

村上「王の復活は、貴方達に掛かっています。頼みますよ」
ジェイ「...」
琢磨「任せて下さい。ご期待に応えてみせますよ!」
スマートレディ「...(フフッ。洗脳の方は上手くいっているようね)」

ラッキークローバーにシグフェルを捕えるよう指示を出す村上に対し、
琢磨逸郎は張り切って答える。無理やり連れ戻された彼だが、洗脳を
受けてしまい、以前のラッキークローバーの一員だった彼に戻ってしまったのであった。
そしてシグフェルにはロブスターオルフェノクこと影山冴子、琢磨逸郎、ジェイ、
仮面ライダーサイガことレオが向かう事になる。しかし、その様子を陰から
窺う者がいた。

北崎「...僕に内緒で面白そうな事をするみたいだけど、僕も混ぜてもらうよ。
 フフフフ...」

村上達の企みを知った北崎も、シグフェルを狙って、その後を追った。

♢ ♢ ♢ ♢ ♢

ロブスターオルフェノク「シグフェル...我らが王の為に来てもらうわよ!」
センチピードオルフェノク「フフフフ...」
クロコダイルオルフェノク「...」
光平「オルフェノクが3体...!」

光平の前にオルフェノクの姿となったラッキークローバーが姿を現し、
襲い掛かる。光平はシグフェルに変身するが、通常のオルフェノクよりも
上級クラスの強さを持つラッキークローバーの攻撃に苦戦を強いられる。

ファイズ「光平!」
サイガ「オマエノ相手ハ、オレダ!」

ファイズはシグフェルを助けに行こうとするが、サイガに変身したレオに
阻まれてしまう。

ドラゴンオルフェノク「仲間外れはいけないなぁ〜。僕も混ぜてよ!」
センチピードオルフェノク「き、北崎さん!何故、アナタが此処に!?」ガクガク

そこへドラゴンオルフェノクに変身した北崎も乱入し、センチピードオルフェノクは
北崎の姿を見ただけで、震え上がる。そしてドラゴンオルフェノクの圧倒的な
強さに、シグフェルは窮地に立たされる。だが、意外な人物がシグフェルを助けるのであった。

シグフェル「お前は...彩堂寺...!」
ザジロード「こいつを倒すのは俺だ。邪魔はさせない」
ドラゴンオルフェノク「邪魔をしているのは、君だろッ!」

ザジロードに変身した彩堂寺が戦いに加わり、ドラゴンオルフェノクと対峙する。
戦いの行方は如何に...。

900ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2016/12/10(土) 19:40:47
<<海底世界の争い>>
光も届かない暗い海の底―深海。その深海には人類も知らない異なる
種族が数多く存在し、隠れながら暮らしていた。だが、その海底の世界でも
争いが起こっていた。

ヘドラー将軍「人魚姫よ。おとなしく、この海底を我らベーダ―・・・いやGショッカーに
 明け渡し、人魚族はその傘下に加わるのだ!」
人魚姫「お断りします!私達、人魚族は平和を愛する一族。平和を脅かそうとする者の
 手先に従う気はありません!」

海の底に住む人魚族の長である人魚姫(デンジマン47話のゲストキャラクター)に
Gショッカーが支配下に置こうとヘドリアン女王の命を受けたヘドラ―将軍が傘下に
加わる様迫る。

ノンマルト「Gショッカーの様な地上の者達に従う必要は無い」
ヘルサンドラ同じ海に住む者同士手を取り合い、地上を我らの物にしようぞ」

その一方で、地上への復讐と進出を狙ってノンマルトやモグール帝国など
海を拠点にしている組織が「海底同盟」を結成し、人魚族も取り込もうとしていた。

人魚姫「(このままではイケない...地上に助けを求めないと...)」

地上に助けを求める事を決意した人魚姫は、再び地上へ向かう。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

一方地上でも、海の世界で異変が起きている事は気が付いており、
ムトロポリスにてモグールと戦ったアストロ基地の面々やムー帝国の
研究をしていた高井戸研究所のスタッフ達などが集まり、対策会議を
行っていた。

ムトロポリス職員「東山所長。研究所の外で女性が倒れていたので保護しました」
東山「女性を保護した?何者なのだ」

保護されたのは地上へ助けを求めにきた人魚姫なのだが、その途中
Gショッカーや「海底同盟」に襲われて倒れていたのであった。そこに
人魚姫を追ってGショッカーや「海底同盟」の怪人や戦闘員がムトロポリスに
出現。この事態にライディーンやコープランダー隊、ブロッカー軍団が
出動するのであった。

901ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2016/12/21(水) 19:23:37
<<狙われた国際大会編(仮)‐6>>
ついに行動を開始した西洋妖怪を中心とした妖怪帝国に対し、人々を守ろうと
ブレイバーズはアザディスタン各地で、それぞれの戦いを始める。

002「004!」
004「頼む!」

ゼロゼロナンバーサイボーグの中で、飛行能力を持つ002は、
004の身体を持ち上げて空へと上昇。そして高度な位置から
004は自身に搭載されているミサイルを西洋妖怪に向けて放つ。

008「―?あれは...!」
006「アザディスタン軍の戦車部隊アルね!」

そこにアザディスタンが保有する戦車部隊が現れるが、その部隊の
戦車は皆グレムリンに操られていた。グレムリンの操る戦車は
市内のビルを攻撃していく。

007「俺に任せろッ!」

変身能力を持つ007は、その能力を応用して巨人に姿を変えて
砲身を掴み、戦車を玩具に様にひっくり返していく。

003「―!あっちに誰かが埋もれているわ!」
005「...俺が行こう。案内してくれ」

003は透視能力で、瓦礫に埋もれていて身動きが出来ない者を見つけ、
005と共に、その場所へと向かった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

火星騎士「う...み、身動きが取れん。一体、どうなったのだ...」

一方、003達が向かった場所で瓦礫に埋まっていたのは、先日
アメリカ人サポーターと街中で口論していたヴァースの火星騎士だった。
火星騎士は必死に瓦礫から這い上がろうとするが、身動きが取れず
足を負傷していた。だが、その火星騎士を助けようと瓦礫を退かそうと
している者がいた。

アメリカ人サポーター「う...う〜...」
火星騎士「―ッ!貴様は、いつかの...何故、貴様が私を助ける!?」
アメリカ人サポーター「...確かに、テメエは憎たらしい火星人だ。
 だが、傷ついている奴を見過ごす程、こっちは非道じゃないんでな!」
火星騎士「―ッ!」

火星騎士を助けようとしていたのは、先日、火星騎士と口論していた
アメリカ人サポーターだった。例え相手が憎い相手でも、助け出そうと
しているアメリカ人サポーターに、火星騎士はある思いに駆られる。

アメリカ人サポーター「くっ...お、重てぇ。これじゃ...ぁ...」
005「...よく頑張った。後は任せろ」
003「(あの人たちは、この間の...)助けに参りました。安心して下さい!」

だが、瓦礫が重くアメリカ人サポーターが四苦八苦していると005達が
駆けつけ、005は怪力の能力で瓦礫を持ち上げて、あっという間に
火星騎士を助け出した。

火星騎士「...助けてくれた事に感謝する。...それと、この間は
 すまなかった...」
アメリカ人サポーター「...こっちも、言い過ぎた。あの時の戦争は
 終わったんだよな...」

助けだされた火星騎士は、この間の件についてアメリカ人サポーターに
謝罪する。それを受けてアメリカ人サポーターも、謝罪した。

003「よかった...005!」
005「ム...!」
西洋妖怪「キシャァァァ!」

この間の喧嘩騒ぎを目撃していた003は、それまで敵視していた
両者が和解した事を喜ぶ。しかし天井から西洋妖怪が現れ、
005へと襲い掛かり、003が叫ぶ。

ナイトファイアー「コーキングパンチャー!」
西洋妖怪「グワァ!」
ナイトファイアー「大丈夫か!ゼロゼロナンバーズ!」
003「あなたは、香川竜馬さん!」
005「助かった...」

襲い掛かる西洋妖怪から005を助けたのは、戦いに巻き込まれた人々を
レスキューしに駆けつけたナイトファイアーこと香川竜馬だった。
ナイトファイアーはパイルトルネードからゲル状の粘着弾である
コーキングパンチャーを放し、西洋妖怪を壁とくっつけてしまう。

ウォルター「こちらの2名は、我々が保護します」
バイクル「御二人さんは、他の所を頼むちょーよ!」
003「お願いします」

003と005はナイトファイアー達に後を任せて、009達の所へと
戻った。

902ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2016/12/23(金) 19:34:03
>>901の続き。

また別の場所では、西洋妖怪の中でも主戦力となっている先代狼男率いる
人狼妖怪達が街を襲っていた。だが、狼男達にめがけて攻撃が放たれる。

人狼「ぐわぁぁぁ!」
先代狼男「誰だッ!攻撃してきたのは」
ネイト「これ以上、街を攻撃させませんわ!」

人狼たちを攻撃してきたのは、トーリの仲間で総長連合、第5特務の
ネイト・ミトツダイラだった。彼女は自身の武器である「銀鎖」を自在に
操って、街を襲う人狼たちを攻撃していく。

先代狼男「この気配...貴様も人狼か?」
ネイト「人狼女王が娘、ネイト・ミトツダイラ...騎士として、この街の
 人々を守って見せますわ!」
狼男ワイルド「まぁ、生意気!美しさだったら、負けないわよ!」

先代狼男はネイトが人狼の血を引いている事を見抜き、ネイトは騎士として
高らかに立ち向かう。狼男の息子、狼男ワイルドはネイトに対して
美しさで張り合う。

点蔵「お相手をするのは、ネイト殿だけではござらぬぞ!」
先代狼男「何ッ!?何時の間に」

ネイト同様、トーリの仲間である忍者、点蔵・クロスユナイトが気配を消して
狼男の背後をとる。その他にも、後方から浅間・智が弓を放ち、本多・二代や
立花・宗茂らが槍などで斬りかかるなど、人狼妖怪と戦いを繰り広げていく。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

ルナマリア「もう、ちょこまかと!」
ザンビア「キャハハハッ!捕まえてごらんなさい!」
シン「只でさえ、MSの幽霊が厄介だっていうのに、魔女なんかも
 出やがって!」

上空では、亡霊MSに翻弄されていたシン達、ブレイバーズの機動部隊だが
さらに魔女ザンビア率いる魔女軍団が現れ、MSよりも小さく素早い行動を
擦る為、ますます翻弄される事になった。だが、そのザンビア達に攻撃をする
者が現れる。

ザンビア「キャッ!誰よ、攻撃したのは!?」
マルガ「相手の魔女を当てたわ。マルゴット」
マルゴット「OK、ガッちゃん!私達のコンビネーション、見せつけちゃおう!」

ザンビアを攻撃したのは、トーリの仲間である魔女の2人、
マルガ・ナイゼとマルゴット・ナイトである。2人はそのコンビネーションで
ザンビアを追う。

シン「すげぇ...」
レイ「ボーとしている場合じゃないぞ、シン。魔女は彼女達に任せて
 俺達は亡霊MSの対処だ」
シン「お、応!すまない、レイ!」

ザンビア達魔女の相手は、マルガとマルゴット達に任せて、シン達は
亡霊MSの対処に戻る。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

一方、別の場所では多くの市民や大会を観戦しに来た観光客達が
避難しようとしていたが、突如石に変わってしまう。ギリシャの女妖怪、
ゴーゴンの仕業である。

子泣き「見つけたぞ、ゴーゴン!」
ゴーゴン「貴様は、子泣きじじい!何故、ここにいるのだ!」
子泣き「西洋妖怪が動いていると聞いておったからのう。お前さんも
 出てくるとふんでおったのじゃ!行くぞ、おんぎゃー!」

生物を石に変える事の出来るゴーゴンにとって、元々、自由に石に
変わる事の出来る子泣きじじいは天敵ともいえる存在であり、
西洋妖怪がテロを仕掛けてくる事を知っていた鬼太郎は、ゴーゴンも
現れるだろうと予想して、子泣きじじいを連れて来たのだった。
子泣きじじいは石に代わり、ゴーゴンに向かって体当たりしてくる。

フランケン「ゴーゴン、加勢するぞ!」
ぬりかべ「俺が...相手だッ!」

ゴーゴンに加勢しようと、西洋妖怪の幹部妖怪の1人であるフランケンが
現れるが、ぬりかべが割って入り、がっちり組んでお互い一歩も引かない
状態となるのであった。各地の戦いは、なお続いてく...。

903凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2016/12/29(木) 18:37:45
≪地球の先住民族≫

人類(ホモ・サピエンス)は、実は地球で誕生した種族ではなく、
遠い昔に別の星からやって来て、武力で地球を攻め取った侵略者である――。

地球の先住民族であるノンマルトは、およそ1万年前、
宇宙から攻めて来た人類の侵略によって地上に築いていた文明を破壊され海底へと逃れた。
その後はずっと海底を安住の地としていたノンマルトだったが、
現代になって人類が海底開発を始め、彼らの新たな住処まで荒らすようになると、
ノンマルトは蛸怪獣ガイロスを操ったテロで人類に抗議。
だがガイロスはウルトラセブンに倒され、ノンマルトの海底都市もウルトラ警備隊の攻撃で壊滅させられて、
ノンマルトの人類に対する最初の軍事行動は多くの犠牲を招く悲惨な結末となってしまった。

それから数十年後、ノンマルトは再び守護神獣ザパンギを地上へ侵攻させ、
人類が侵略者でノンマルトこそが地球の先住民族であるという証拠が記されている、
地球の歴史を記録したオメガファイルを全宇宙に向けて公開するよう人類に要求。
人類はこれに応じて最終的にオメガファイルを公開したが、
実はノンマルトの狙いはオメガファイルの公開によって宇宙からの裁きを得て公正に問題を解決する事ではなく、
人類がオメガファイルの公開を拒否し侵略の過去を隠そうとしたのを口実として武力で人類を滅ぼすのを正当化する事だったため、
オメガファイルが公開されてもノンマルトは攻撃をやめず、
逆にオメガファイルが公開された事実をもみ消そうとした。
この状況の中、ウルトラセブンは苦悩の末に人類に味方してザパンギを倒し、
ノンマルトの計画はまたしても失敗に終わったのであった。

かくしてオメガファイルの公開により、地球の侵略者だった事実が全宇宙に明らかとされてしまった人類だが、
現在では地球が彼らのかけがえのない母星となっているのもまた事実であり、
元々どこの星から来たかも今となっては不明であるため、
今更ノンマルトに地球を返還して全員別の星へ退去するというのは、
「北海道をアイヌに返して和人は全て立ち去れ!」というようなものでとても現実的ではない。
そのため星間評議会では、人類の地球侵略という過去の暗部を特例措置であえて黙認し、
(武力侵略禁止という宇宙の掟に背くものであるため、
 この事にはできるだけ触れないようタブー視しつつ)
人類を現在の地球の正統な支配種族と認めた上で、
人類がノンマルトと和解し彼らの権利も尊重して平和的関係を構築するのが望ましいとしている。
侵略者である人類に味方しザパンギと戦った罪で馬の首暗黒星雲に幽閉されていたウルトラセブンも、
この決定が下ると共に罪を取り消され釈放された。

以上のような流れを経て、現在のノンマルトの世論は大きく二派に分かれている。
一つは、二度に渡った人類との戦いの敗北を過ちとして反省し、
平和を愛する非戦闘的種族としての元来のノンマルトのあり方に立ち戻って、
地上の領有権回復には固執せず星間評議会の政治判断を受け入れて人類との共存の道を模索していこうという穏健派。
もう一つは、歴史的に見れば不法な侵略者である人類をあくまで敵視し、
いつか人類を滅ぼして地上の支配権を奪回しようと考えている過激派である。
現在は多数意見である穏健派がノンマルト政府の実権を握り過激派の暴走を抑えている状態だが、
人類の海底開発がノンマルトの平穏な暮らしを今もなお脅かし続けているのも事実で、
日に日に勢力を増していく過激派を徐々にコントロールし切れなくなっているのが現状である。

904ホウタイ怪人 ◆sEGOS2kBD6:2017/01/02(月) 13:30:02
≪留学生レミーナの休日≫

***駅前***

優香「レミーナさん、遅いな…」

その日の日曜日、沢渡優香は待ち合わせをしていた。
待っている相手は、遥々時空の門(ゲート)を通って
異世界アセーリアから日本にやって来た留学生の一人で、
メルヴィオン聖王国の王家外戚に当たるレミーナ・ラプエンテである。

サラジアのアルハザード独裁政権の崩壊後、
平和が戻ったアセーリアからは地球との友好の証として、
多くの留学生が科学文明を学ぶために渡航してきている。
レミーナもその一人だ。

レミーナ「優香ぁ〜!」
優香「あ、レミーナさん! こっちこっち!」
レミーナ「ごめんなさい。待った?」
優香「ううん、私も今来たばかりだから。
 ――あれ? なんで会長も…?」
要人「やあ」

レミーナは、海防大学付属高校生徒会長の久遠要人も
なぜか一緒に連れて来ていた。

レミーナ「わたしが是非にとお誘いしたの」
要人「彼女のエスコートは沢渡君に任せておけば
 大丈夫だと思ってはいたんだが、わが校にとって
 大事なお客様でもある彼女のお誘いを、
 無碍にお断りするわけにもいかなくてね」
優香「はぁ…」
レミーナ「さあ、行きましょう♪
 技術や学問を学ぶのも大事だけど、
 大衆文化に触れるのことも、異世界同士の
 友好を深めるためには大切よ」
優香「そうですね。でもキクマルくんに
 内緒にしてきてよかったのかなぁ…?」
レミーナ「いいのいいの。気にする必要なんかないんだから」

キクマル・サダムネは、地球に留学生として渡航することになった
レミーナとリンディの2人に、ラウールが心配してつけた護衛である。
しかし留学先となった学校内でも常に日本刀を持ち歩き、
少しでも彼女らに寄り付こうとする悪い虫=男子生徒に対しては
すぐさま殺気満々に抜刀して追い払うなど、その様相は
まさに「サムライ版相良宗介」そのものであった。
そのためレミーナからは、正直鬱陶しがられていたのだ。

ちなみにもう一人の留学生リンディ・アルス・アディラスは、
この日は図書館で調べ物があるそうで、同行はしていない。

905ホウタイ怪人 ◆sEGOS2kBD6:2017/01/02(月) 13:30:37
数軒のブティックに寄りながら、楽しそうにお洋服の試着を繰り返す
優香とレミーナ。その様子を微笑ましく見守っている要人。

要人「二人とも、よく似合ってるよ」
優香「えへへ…そうですか?
 会長にそう言ってもらえるなんて、
 なんか照れちゃいます(///)」
レミーナ「………」

だが実は、レミーナにはもう一つ別の目的があった。
時々食い入るようにチラッと要人の顔を見つめるレミーナ。

レミーナ「………(アセーリアにしか伝わっていないはずの諺の意味や
 聖典の内容を知っていたり、妙にわたしたちの国の地理や風土に詳しかったりと、
 この男、只者ではないわ。久遠要人……今日こそその正体を掴んでみせる!)」
要人「…ん? レミーナさん、僕の顔に何か?」
レミーナ「いいえ、別に…」

楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、お昼の時間になった。

優香「そろそろお腹が空いてきましたね…」
レミーナ「優香、それじゃあ"回るお寿司"に連れて行って!」
優香「ああ、回転寿司ね。そういえば以前から約束していましたものね。
 わかりました」
レミーナ「楽しみだわぁ…(///)」

目の色を変えて「回るお寿司」に連れて行ってほしいと
優香にせがむレミーナ。
日本に来てから回転寿司の噂を聞き知っていたレミーナは、
前々から行くのをずっと楽しみにしていたようだ。


***某回転寿司店***

店員「いらっしゃいませ。カウンター席とテーブル席、
 どちらになさいますか?」
要人「カウンター席で頼むよ」
店員「かしこまりました」

カウンター席へと案内される優香、要人、レミーナの3人。

レミーナ「まあ、これが回るお寿司なのね! 感激だわ♪」

寿司皿が乗るレーンが移動していく様子を見て、
レミーナはまるで子供のようにはしゃいでいる。

レミーナ「お皿を自由に取って食してもいいのね?」
優香「ええそうよ。でもレミーナさんは初めてお寿司を食べるのだから、
 サビ抜きを注文した方がいいかも」
レミーナ「サビ抜き…?」
要人「ワサビ(山葵)のことですよ。日本に伝わる独特の香辛料です。
 つんと来る刺激的な辛さがありましてね。外国からいらした方のお口には
 合わないかもしれませんね。日本でも子供などはサビ抜きで食べることが多いですよ」
レミーナ「子供ですって!? 失敬な! わたしはもう立派な大人のレディよ!
 見てなさい!…パクッ!!……もぐもぐ」

要人の簡単な挑発に乗ってしまい、レミーナはワサビ入りの寿司を食べてしまう。

優香「えっ!? ちょっとレミーナさん!
 会長も何言ってるんですか!?」
要人「………」

優香が咎めても、要人はまるで他人事のようにそ知らぬふりをしている。

レミーナ「…………………か、からあああああああああいいッッッッッッ!!!!!!!!」

突然大声を上げたレミーナが苦しいように咳き込む。

優香「レミーナさん、大丈夫? ほら、お茶を飲んで!」
レミーナ「ゲホッゲホッ!!…あ、ありがとう、優香…」

906ホウタイ怪人 ◆sEGOS2kBD6:2017/01/02(月) 13:31:47
***メインストリート***

レミーナ「ふぅー、ひどい目に遭ったわ。我ながら情けない…」

落ち込むレミーナ。

優香「元気出してレミーナさん。…もうっ、会長のせいですよッ!(怒」
要人「いやぁ…僕も反省しているよ」

お会計を済ませて店外へと出る3人だったが、
その時、子供の悲鳴と騒がしいやじ馬たちの話し声が
彼女たちの耳に届いた。

やじ馬A「おい! あっちで強盗が子供を人質に取ってるってよ!」
やじ馬B「行ってみようぜ!」

大勢のやじ馬たちが、商店街沿いの銀行近くの方向へと走っていく。

優香「いったい何かしら?」
レミーナ「行ってみましょう!」


***東西銀行・メガロシティ支店 正面玄関前***

女の子「キャアー、助けて!」
強盗「近づくんじゃねえ! このガキがどうなってもいいのか!」

優香たちがやじ馬たちを追いかけて行き着いた先では、
なんと拳銃を持った男が幼い女の子を人質に取り、
包囲している警官たちをけん制していた。
聞けば、逃走に失敗した銀行強盗が、たまたま居合わせた通行人である
小学生低学年くらいの女の子を人質に取ったらしい。

レミーナ「あんな何の罪もない幼い子供を怖い目に遭わせるなんて、
 なんて卑劣な! 許せませんわ!」
優香「えっ? ちょっとレミーナさん!」

レミーナは優香が止めるのも聞かずに、堂々と強盗犯人の前に立ちはだかった。

強盗「な、なんだてめえは…?」
レミーナ「その子をお放しなさい!
 人質でしたら、このわたしが身代わりになります!」

周囲一同「「「えええーーーーっっ!??」」」

レミーナの突然の申し出に、その場にいた人間の全員が呆気にとられる…。

警官「おいおいキミ、どこの誰だか知らんが、
 勝手なことをされちゃ困るよ!」
レミーナ「お黙りなさいッ!! 民が苦しい危急にある時、
 たとえわが身を呈してでも民を守るのが、高貴な者の務めです!」
警官「は、はい…!(汗」

正義感に燃え、気高いオーラ漲るレミーナに一喝されて、
警官隊はあっさりと引き下がってしまう。

優香「大変!? レミーナさんを止めないと」
要人「まあ待ちたまえ沢渡君。面白そうじゃないか。
 ここはひとつ彼女に任せてみよう」
優香「こんな時に何ふざけたことを言ってるんですか!」

907ホウタイ怪人 ◆sEGOS2kBD6:2017/01/02(月) 13:32:37
人質交換に応じた強盗は、女の子を解放すると、
代わりにレミーナを人質にとって、銀行の隣にある
廃ビルの最上階へと立て籠もった。

強盗「へっへっへ…世の中には物好きがいるもんだなあ。
 あとでたっぷりと可愛がってやるから、しばらく大人しくしてろよ」
レミーナ「………」

強盗は持っていたロープを用いて、
レミーナの両手首を背の後ろに回して手際よく縛り上げ、
口にも手拭いを使って猿轡で塞いだ上で、
部屋の隅の方へと座らせた。

刑事「犯人に告ぐ!犯人に告ぐ! 君は完全に包囲されている!
 大人しく武器を捨てて、人質を解放して出て来なさ〜い!」
強盗「うるせえ! 身代金三千万を用意しろ!
 それと逃走用のヘリはどうしたぁ!」

現場で緊張するやりとりが続く中、
優香から連絡を受けた光平、キクマル、リンディも
駆けつけて来た。

要人「やあ、よく来てくれたね牧村君」
光平「優香、大丈夫か!? それに久遠先輩も」
優香「どうしよう光平くん!」

レミーナの身を案じる優香は、今にも泣きだしそうに光平に縋り付く。

リンディ「レミーナ姉様、大丈夫かしら…」
キクマル「拙者がふがいないばかりに!
 あの下膳の輩め! もしレミーナ様に指一本でも
 不埒な真似をしてみろ! 決してただでは置かぬぞ!」
光平「よしっ、俺とキクマルはあの銀行の屋上から
 隣の廃ビルに飛び移る。久遠先輩、優香とリンディさんを頼みます」
要人「わかった」
キクマル「承知っ!!」

警官隊やマスコミ、そしてやじ馬の目を盗んで
銀行屋上から廃ビルへと侵入した光平とキクマルは、
犯人とレミーナがいるであろう部屋の前まで辿り着いた。

光平「気を付けろ。相手は拳銃を持っている」
キクマル「所詮飛び道具など足軽の獲物。
 真の武士にとっては恐れるに足らん」
光平「…いくぞっ。1、2の、3ッ!!」

合図と同時にドアをけ破って中へと突入した
光平とキクマルが見たものは…!?

908ホウタイ怪人 ◆sEGOS2kBD6:2017/01/02(月) 13:33:30
光平「レミーナさん、無事か!?」
キクマル「レミーナ様、キクマル・サダムネ、
 只今お助けに参上ッ……て、あれれ??」

強盗「…だ、だじけて……(涙」(((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブルガタガタブルガタガクガクガクガクガク

部屋の中へと飛び込んだ光平とキクマルが見たものは、
可哀そうなくらい体中痣だらけとなりボコボコにされて倒れていた強盗と、
そのすぐ傍で元気そう且つ威厳たっぷりに立っていたレミーナだった。

レミーナ「あら二人とも、遅かったのね」
光平「あのぉ…レミーナさん、確か縛られていたはずじゃ?」
レミーナ「ああ、これね」

光平の問いに、レミーナは何気なく床に散らばっているロープを指さす。

レミーナ「実は以前に佳代から"縄抜けの術"を教わっていたの。
 こんなところで役に立つとは思わなかったわ」
光平「……(佳代ちゃん、いつの間に)」

こうして犯人は警察に引き渡され、事件は無事に解決した。

女の子「おねえちゃん、ありがとう!」
女の子の母親「本当に何とお礼を申し上げてよいか…」
レミーナ「どうかお気になさらずに。
 民を守るのは、民の上に立つ高貴な者の当然の務めです!」
女の子の母親「ハァ…??」
優香「いえいえ、こっちの話です!(汗」

優香が慌ててレミーナの発言にフォローを入れる。
そして母娘はレミーナたちに深々と頭を下げて去っていった。

優香「もうっ! 今回は本当にどうなることかと!」
レミーナ「ごめんなさい、心配かけてしまったみたいね」
キクマル「そうですぞレミーナ様!
 もし万一御身に大事が起これば、国許で無事な帰りを
 お待ちのラウール陛下に申し訳が立ちませぬ。
 このキクマルを腹を切ってお詫びせねば――」
リンディ「また始まった…(汗」

リンディは、またいつものキクマルの切腹のポーズに呆れる。

光平「まあまあ、レミーナさんも無事だったことだし、
 もうその辺で許してやれよ」
優香「光平くんって、いつも女の子には甘いわよね」(¬д¬。) ジーーーッ
光平「…そ、そうか? あはは…(汗」
要人「さあ、時間の遅いし、そろそろ帰ろうか」
優香「そうですね」
レミーナ「………」

レミーナは、じっと要人の顔を見つめている。

レミーナ「………(久遠要人、今日は尻尾を掴むことはできなかったけど、
 次こそは必ず正体を暴いて見せるわ!)」

果たして、レミーナがその正体を怪しんでいる
生徒会長・久遠要人は、いったい本当は何者なのであろうか?

909ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2017/01/05(木) 13:56:23
>>902の続き。

街では妖怪帝国とブレイバーズの戦いが行われている一方、スタジアムの方にも
妖怪帝国の西洋妖怪が出現し、パニックとなっていた。

キサカ「カガリ様。そして皆様方、此方へ!」
ダコスタ「スタジアムの外では、ブレイバーズが戦っています。彼等と合流しましょう!」
カガリ「分かった!」
ラクス「案内お願いします」
アセイラム「私達も、御供させていただきます」
パタリロ「こんな所、いつまでも居てたまるか!」

試合を観戦しに来ていたカガリやラクス達は、護衛役である
レドニル・キサカ一佐やマーチン・ダコスタに連れられ、アセイラムや
パタリロ等、他のVIPと共に、外で戦っているブレイバーズに合流しようとする。

バルモンド「おっと...これ以上、先へは行かせんぞ」
パタリロ「げぇぇぇ!ミイラ男!?」
バルモンド「我が名はバルモンド!偉大なる妖怪王家の末裔ぞ。
 貴様達は人間社会において王族の地位にある者達だ。人質として
 我々の役に立ってもらうぞ!」
カガリ「何だとッ!」

カガリ達の前に現れたのは、妖怪王家の末裔で最強のミイラ男である
バルモンドだった。バルモンドは配下のミイラ男を率いて、カガリ達を
人質にしようと迫る。

???「そうは問屋が卸さねえぜ!」
バルモンド「何者だッ!?」

カガリ達に迫るバルモンドとミイラ男軍団の前に現れたのは、
ICPOに属するエキスパートの不死身の村雨健二、
公孫勝・一清道人、青面獣の楊志の3名だった。

ラクス「あなた達は、国際警察のエキスパートの方々ですね」
村雨「その通りです。ラクス・クライン。あなた方を安全な場所まで
 お連れします」
バルモンド「させるか!行けぇ!」
公孫勝「ムンッ!通しはせんぞ!」

バルモンドはミイラ男軍団に攻撃を命じる。それに対して、公孫勝は
符を用いてバリヤーを張る。

村雨「楊志、ここは俺達が引き受ける。お前は皆さんの護衛を頼む」
楊志「任せな!さ、此方へ」

村雨は楊志にカガリ達を護衛するよう指示を出し、楊志はカガリ達を
引き連れて外へを向かった。

バルモンド「貴様ぁ〜、死ねェェ!」
村雨「ぐほぉ...!」

怒りに駆られたバルモンドは自身に巻きついている包帯をドリル状にして、
村雨の身体を刺し貫き、村雨は地面に倒れてしまう。

公孫勝「村雨!」
バルモンド「馬鹿な人間め...おい、すぐに逃げた人間達を追え!」

バルモンドは村雨の身体からドリル状となった包帯を抜くと、部下の
ミイラ男達にカガリ達を追うよう指示を出し、自身もそちらへ向かおうとしていた。

村雨「...おいおい、まだ戦いは終わってないぜ」
バルモンド「何ッ!?確かに貫いた筈だぞ」
村雨「自己紹介がまだだったなぁ...俺の名は人呼んで“不死身の”
 村雨健二。生憎俺は、『死なない』じゃなくて『死ねない』んだ。
 だから...まだまだ俺の相手をしてもらうぜ。ミイラの大将!」
バルモンド「不死身だと...!この人間風情がッ!」

文字どおり、『不死身』の能力を持つ村雨に驚愕するバルモンドだが、
今度こそ息の根を止めようと村雨と対峙するのであった。

910ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2017/01/05(木) 15:13:26
一方、米国大統領マイケル・ウィルソンJr.は大統領専用機である
エアフォース・ワンへと向かっていた。道中、妖怪帝国の妖怪達が
立ち塞がるが、護衛役であるキャプテン・アメリカがシールドを武器に
蹴散らしていった。そしてスタジアムの外に出るが、そこにドラキュラ
率いる吸血鬼軍団が行く手を遮る。

キャプテン・アメリカ「吸血鬼(ヴァンパイア)か...!」
ドラキュラ二世「貴様が噂に聞くキャプテン・アメリカか。その血に興味が
 あるが、今はそれよりも米国大統領であるマイケル・ウィルソンの方が
 重要だ。世界に影響のある米国大統領が我らの手に堕ちれば、人間
 社会は、さぞ混乱の極みとなるだろう」
マイケル・ウィルソン「私はアメリカ大統領だ。如何なるテロにも屈しない!」
ドラキュラ三世「ほざけ!おとなしく我らの下に来てもらうぞ!」
キャプテン・アメリカ「下がってください。大統領!」

ドラキュラ達、吸血鬼軍団はマイケル・ウィルソンを狙って襲い掛かり、
キャプテン・アメリカは攻撃を防ごうと、マイケル・ウィルソンの前に立ち、
シールドを構える。

????「エナジーダガー!」
ドラキュラ三世「うぉっ!何だ、この攻撃は!?」

襲い掛かるドラキュラ達に、マイケル・ウィルソン達の背後から
光る刃が飛び出し、ドラキュラ達の攻撃を怯ませた。

ブラックパンサー「大丈夫か!キャプテン」
キャプテン・アメリカ「ブラックパンサー!貴方も来ていたのか」

ドラキュラ達に攻撃をしたのは、アフリカの小国ワカンダの国王でもある
黒豹を模したスーツを纏ったヒーロー、ブラックパンサーだった。
ワカンダも大会に出場しており、ブラックパンサーも応援するべく
アザディスタンに来ていたのであった。

マイケル・ウィルソン「助かった。ブラックパンサー...いや、ティ・チャラ。
 恩に着る」
ブラックパンサー「礼には及ばない、マイケル。私も援護する。早く逃げてくれ」
マイケル・ウィルソン「ああ、分かった!」

マイケル・ウィルソンはブラックパンサーに助けられ、親しみを込めて
ブラックパンサーの本名であるティ・チャラの名前で礼を言った。
なおマイケル・ウィルソンとブラックパンサーは個人的に親しい間柄となっている。
そしてマイケル・ウィルソンはエアフォース・ワンへと戻るのであった。

911ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2017/01/17(火) 10:47:29
>>910の続き。

チー「皆の者、西洋妖怪の連中ばかりに目立たせるな!
 中国妖怪の力を見せるのだ!」
中国妖怪一同「ウォォォォ!!」

一方、別の場所ではチー率いる中国妖怪達が大暴れをしていた。
その中でも黒怪物と呼ばれる牛の様な顔をした中国妖怪は巨大化し、
棍棒を振り回してビルを破壊していく。そこへドモンを始めとする
ガンダムファイター達が駆けつける。

サイ・サイシー「中国の妖怪が相手だってなら、オイラが相手をしてやるぜ!」
ドモン「油断はするなよ。サイ・サイシー」

ドラゴンガンダムに乗るサイ・サイシーは拳法を駆使して、黒怪物の相手をする
のであった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

両津「くっそー!トンでもない時に来ちまったな!」
中川「危ないですよ、先輩!」

中国妖怪達が暴れている場所に、やって来たのは日本から日暮巡査を
探しにアザディスタンへと来た両津と中川だった。戦いに巻き込まれた
2人は何とか避難をしようと走っていた。だが2人の前に鉄パイプやら
ハンマー等を持った集団が現れ、目の前で暴れはじめる。

両津「な、何だ!コイツら。暴徒か?」
中川「様子が変ですよ。先輩」
暴徒A「うう...ミンメイ様の為に...ブツブツ」
暴徒B「ミンメイ様の為に...死ねえ!」
両津「うわぁ!」

目の前で暴れる暴徒の集団に両津や中川は様子がおかしい事を感じる。
2人は知らない事だが、この暴徒の集団は中国妖怪ミンメイが催眠術で
操って暴れさせていたのであった。そして暴徒の1人が両津に向かって
鉄パイプを振り上げた。

幽助「オラァッ!」
暴徒B「グエッ!」

だが間一髪の所を霊界探偵としてアザディスタンからブレイバーズに
同行してきた浦飯幽助が、見事な飛び膝蹴りで暴徒から両津を救う。

幽助「危ない所だったな。オッサン」
両津「助けられるとは...ありがとよ。アレ...?お前はもしかして
 浦飯幽助か!?」
幽助「―?...あぁ、そのつながり眉毛!どっかで見た顔だと思ったら、
 両さんじゃねえか。何でこんな所にいるんだよ!」

助けられた事に礼を述べる両津は、助けたのが幽助だった事に驚く。
実は両津と幽助は面識があり、幽助が中学時代、不良だった頃、
両津が何度も補導した事があり、それ以来の知人である。

ドゴォォォン!!

両津、中川、幽助「「「―!」」」

そこに巨大な爆発音が起きて、両津達が空を見上げると、中国妖怪と
戦う為、駆けつけたガンダムファイター達のMFがダメージを受けていた。

中川「先輩!あれを見て下さい!」
両津「ゲエェー!あれは日暮じぇねえか!」

中川を指を指す方向を見ると、そこには空に浮かぶ人物―日暮巡査がいた。
日暮もミンメイの魅力に憑りつかれ、超能力でMFや周囲のビルを攻撃した
のであった。

ミンメイ「オーホッホッホッ!チー様の為に、どんどん街や目障りなロボットを
 壊しなさい。そしたら、 ミンメイがイイ事をしてあ・げ・る♥」
日暮「うぉぉぉ、ミンメイ様の為にぃぃぃ!」
両津「...どうやら、あの女が原因みたいだな」
幽助「あの女も、中国妖怪みたいだな。両さん...やるって言うなら、
 俺も手を貸すぜ!」
両津「応、頼むぜ。行くぞ!中川、幽助!」
中川「あ、待って下さい。先輩」

ミンメイに命じられ、俄然やる気を出した日暮は、どんどん超能力で
攻撃していった。両津は日暮がおかしくなったのは、ミンメイが原因で
ある事に気付き、日暮を正気に戻す為、幽助の力を借りる事を決め、
立ち向かっていた。

912ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2017/01/17(火) 12:40:51
○002→西洋妖怪と戦闘。
○004→西洋妖怪と戦闘。
○006→西洋妖怪と戦闘。
○007→西洋妖怪と戦闘。巨大化して戦車をひっくり返す。
○003→透視能力で瓦礫に埋もれている人を見つける。
○005→瓦礫に埋もれていた火星騎士を助ける。
○ナイトファイアー→バイクル、ウォルターと共に005達を助ける。
○バイクル→005達を助ける。
○ウォルター→005達を助ける。
○ネイト・ミトツダイラ→狼男率いる人狼妖怪と戦う。
○点蔵・クロスユナイト→狼男率いる人狼妖怪と戦う。
○浅間・智→人狼妖怪と戦う。
○本多・二代→人狼妖怪と戦う。
○立花・宗茂→人狼妖怪と戦う。
○マルガ・ナイゼ゙→マルゴットと共に魔女軍団と戦う。
○マルゴット・ナイト→マルガと共に魔女軍団と戦う。
○ルナマリア・ホーク→魔女軍団に翻弄される。
○シン・アスカ→魔女軍団に翻弄される。
○カガリ・ユラ・アスハ→他のVIPと避難する。
○ラクス・クライン→他のVIPと避難する。
○レドニル・キサカ→カガリ達、VIPを避難させる。
○マーチン・ダコスタ→カガリ達、VIPを避難させる。
○子泣きじじい→ゴーゴンと戦う。
○ぬりかべ→フランケンと戦う。
○パタリロ→他のVIP達と避難する。
○不死身の村雨健二→会場に来ていたVIPを避難させ、バルモンドと戦う。
○孫公勝・一清道人→会場に来ていたVIPを避難させ、ミイラ軍団と戦う。
○青面獣の楊志→会場に来ていたVIPの護衛に付く。
○マイケル・ウィルソンJr→吸血鬼軍団に襲われるが、ブラックパンサーに助けられる。
○キャプテン・アメリカ→マイケル・ウィルソンJrを守る。
○ブラックパンサー→マイケル・ウィルソンJrを助ける。
○サイ・サイシー→巨大化した黒怪物にドラゴンガンダムで戦う。
○両津勘吉→妖怪帝国のテロに巻き込まれる。
○中川圭一→妖怪帝国のテロに巻き込まれる。
○日暮熟睡男→ミンメイに操られ、周囲を超能力で攻撃する。
○浦飯幽助→暴徒に襲われる両津を助ける。
●先代狼男→人狼妖怪を率いて街を襲い、ネイトと対峙する。
●狼男ワイルド→人狼妖怪を率いて街を襲い、ネイトに対抗する。
●魔女ザンビア→魔女軍団と共にブレイバーズを翻弄する。
●ゴーゴン→子泣きじじいと戦う。
●フランケン→ぬりかべと戦う。
●バルモンド→ミイラ軍団を率いて、会場に来ていたVIPを襲う。
●ドラキュラ二世→吸血鬼軍団を率いて、マイケル・ウィルソンJrを襲う。
●ドラキュラ三世→ブラックパンサーの攻撃を受ける。
●チー→配下の中国妖怪に戦うよう命じる。
●黒怪物→巨大化してサイ・サイシーのドラゴンガンダムと戦う。
●ミンメイ→日暮や暴徒を操って暴れさせる。

913ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2017/01/17(火) 12:56:02
>>912修正
○002→西洋妖怪と戦闘。
○004→西洋妖怪と戦闘。
○006→西洋妖怪と戦闘。
○007→西洋妖怪と戦闘。巨大化して戦車をひっくり返す。
○003→透視能力で瓦礫に埋もれている人を見つける。
○005→瓦礫に埋もれていた火星騎士を助ける。
○ナイトファイアー→バイクル、ウォルターと共に005達を助ける。
○バイクル→005達を助ける。
○ウォルター→005達を助ける。
○ネイト・ミトツダイラ→狼男率いる人狼妖怪と戦う。
○点蔵・クロスユナイト→狼男率いる人狼妖怪と戦う。
○浅間・智→人狼妖怪と戦う。
○本多・二代→人狼妖怪と戦う。
○立花・宗茂→人狼妖怪と戦う。
○マルガ・ナイゼ゙→マルゴットと共に魔女軍団と戦う。
○マルゴット・ナイト→マルガと共に魔女軍団と戦う。
○ルナマリア・ホーク→魔女軍団に翻弄される。
○シン・アスカ→魔女軍団に翻弄される。
○カガリ・ユラ・アスハ→他のVIPと避難する。
○ラクス・クライン→他のVIPと避難する。
○レドニル・キサカ→カガリ達、VIPを避難させる。
○マーチン・ダコスタ→カガリ達、VIPを避難させる。
○子泣きじじい→ゴーゴンと戦う。
○ぬりかべ→フランケンと戦う。
○パタリロ→他のVIP達と避難する。
○不死身の村雨健二→会場に来ていたVIPを避難させ、バルモンドと戦う。
○公孫勝・一清道人→会場に来ていたVIPを避難させ、ミイラ軍団と戦う。
○青面獣の楊志→会場に来ていたVIPの護衛に付く。
○マイケル・ウィルソンJr→吸血鬼軍団に襲われるが、ブラックパンサーに助けられる。
○キャプテン・アメリカ→マイケル・ウィルソンJrを守る。
○ブラックパンサー→マイケル・ウィルソンJrを助ける。
○サイ・サイシー→巨大化した黒怪物にドラゴンガンダムで戦う。
○両津勘吉→妖怪帝国のテロに巻き込まれる。
○中川圭一→妖怪帝国のテロに巻き込まれる。
○日暮熟睡男→ミンメイに操られ、周囲を超能力で攻撃する。
○浦飯幽助→暴徒に襲われる両津を助ける。
●先代狼男→人狼妖怪を率いて街を襲い、ネイトと対峙する。
●狼男ワイルド→人狼妖怪を率いて街を襲い、ネイトに対抗する。
●魔女ザンビア→魔女軍団と共にブレイバーズを翻弄する。
●ゴーゴン→子泣きじじいと戦う。
●フランケン→ぬりかべと戦う。
●バルモンド→ミイラ軍団を率いて、会場に来ていたVIPを襲う。
●ドラキュラ二世→吸血鬼軍団を率いて、マイケル・ウィルソンJrを襲う。
●ドラキュラ三世→ブラックパンサーの攻撃を受ける。
●チー→配下の中国妖怪に戦うよう命じる。
●黒怪物→巨大化してサイ・サイシーのドラゴンガンダムと戦う。
●ミンメイ→日暮や暴徒を操って暴れさせる。

914ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2017/01/17(火) 13:53:22
【今回の新登場】
○不死身の村雨健二(ジャイアントロボ OVA)
 国際警察機構パリ支部に所属するエキスパート。ピンクのトレンチコートと
 帽子がトレードマーク。「不死身」のコードネーム通り、銃で頭を打たれようが、
 身体を真っ二つにされようが必ず復活してくる。ぶっきらぼうで皮肉屋だが、
 その心は熱い。同じエキスパートの銀鈴とは恋人同士。

○公孫勝・一清道人(ジャイアントロボ OVA)
 国際警察機構北京支部の客員エキスパート。特殊な戦術を使い、変幻自在の
 攻撃を行う道士。十傑集の混世魔王・樊瑞は兄弟子にあたり、彼を連れ戻すべく
 師匠の二仙人・羅真人に命じられ、国際警察機構に協力している。

○青面獣の楊志(ジャイアントロボ OVA)
 国際警察機構北京支部に所属するエキスパートで、戴宗の妻。青い肌を持ち、
 姉御肌の豪快な人物。棒術の使い手で、六尺棒を自在に操る特殊能力を持ち、
 エキスパートの指南役を務める。作戦時はよく楊志と組む。

○ティ・チャラ=ブラックパンサー(ディスクウォーズ・アベンジャーズ)
 アフリカの小国ワカンダの国王。格闘技の達人で、屈強な肉体を持ち、
 時刻特産のビブラニウム合金製のスーツと爪を装備している他、
 科学者としても一流であり、ことビブラニウムの利用技術に関しては
 世界最高の見解を持っている。

●先代狼男(ゲゲゲの鬼太郎 第5期)
 狼男ワイルドの父親で、12年前に鬼太郎達と戦った。ワイルドの
 情けない有様に頭を抱えており、ドラキュラ二世と共に訓練を
 始めたドラキュラ三世を見て「見習ってほしい」と愚痴をこぼした事もある。

●綱島瑞希=ゴーゴン(ゲゲゲの鬼太郎 第5期)
 髪の毛一本一本が蛇となっているギリシャの女妖怪。その目を見た者は
 石に変えられてしまう。三姉妹の末娘で、人間界で「綱島瑞希」と名乗り、
 グルメビルのオーナーとなっていた。天狗ポリスを全滅させ、石にした
 人間の邪心を吸い取って街に落として滅ぼそうと企んだ。

●フランケンシュタイン(ゲゲゲの鬼太郎シリーズ)
 ドイツ出身の人造人間で西洋妖怪の一員。怪力だが、頭が悪い。 
 虫が苦手で、牛乳が好きという面を持つ。体が妖怪筋肉の集合体で
 強敵に会えば逢うほど強化される。

●バルモンド(ゲゲゲの鬼太郎 第5期)
 妖怪王家の末裔で、最強のミイラ男。バックベアードを「歴史の浅い奴」と
 罵ったり、ドラキュラ達から妖力を奪ったり、地獄の鍵を得て世界制圧を
 企んだりと荒い行動が目立つ。包帯攻撃や部下ミイラの召喚、更に巨大化、
 不死身の能力を持つ。

●黒怪物(ゲゲゲの鬼太郎 第3作)
 黒い毛皮に覆われ牛の様な顔をした巨体の獣人。自由に
 巨大化する事が可能。棍棒を振り回して暴れる。

915凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/01/23(月) 21:03:27
≪怪僧マザロンなる男≫

七歳の時、修道院の火災に巻き込まれたメルヴィオン聖王国のラウール・エル・アディラス王子は、
脳が受けたダメージのためにそれまでの記憶を全て失い、手の麻痺という後遺症まで負ってしまった。
だが、ラウールは懸命のリハビリと周囲の温かい支えで徐々に運動障害を克服し、
顔さえ忘れてしまった家族や家臣らとの関係ももう一度ゼロから構築し直して、
人よりやや遅れながらもゆっくりと、そしてしっかりと成長を続けていた。

エリス「ラウール、どうしたの?」
ラウール「怖い…怖いんだ。ウッ…ウワァァァァァ!!!」
ナダル「お、落ち着けラウール!」

普段はとても温和で心優しく、内気で大人しいラウール少年だったが、
時々、謎の恐怖と不安に苛まれ、ひどい興奮状態に陥って急に暴れ出す事があるため、
周囲を戸惑わせていた。

マザロン「殿下、それがしの目をご覧下され。
 何も怖くはありませんぞ。ほら…」
ラウール「………」

マザロン大僧正。
異次元にいると言われるヤンドという神を信奉するメルヴィオンの僧侶で、
国王アディラス十六世の信任を得て宮廷呪術師としてネクナールの王宮に出仕している男である。
人相の悪い怪しげな風貌の老人で、
王宮内でも彼を「怪僧」と呼んで忌み嫌う者は少なくなかったが、
なぜかラウールはこのマザロンには心を開いており、
急に暴れ出して手がつけられなくなった時でも、
マザロンの目を見ると途端に落ち着いて静かになるのであった。

レミーナ「何か嫌な感じ…。
 ラウール、あまりあのお爺さんに近付かない方がいいわよ」
ナレイン「とは申せ、他ならぬ国王陛下が厚く信頼しておられる人物ゆえ…。
 セイロス教徒ではないあのような怪僧、
 何ゆえ陛下はお傍に置いて重んじられるのだろうか」

名君と讃えられたアディラス十六世はとりわけ迷信深い王ではなかったが、
いつしかマザロンを重用し、政策や人事において吉凶を占わせたりヤンドの神意を訊ねさせたりして、
判断を下す際のアドバイスを彼に求める事が多くなっていった。
しかし王宮で多大な影響力を振るっていたマザロンはある時、
急に病と称して僧位を返上し宮廷呪術師を引退。
アディラスの慰留も固辞し療養のため生まれ故郷の村へ帰ると言って王宮から退くと、
そのまま行方を晦ましていずこかへ逐電してしまった。

アディラス「マザロンを探せ! 
 探し出して縄にかけ、余の前に引きずり出して参れ!」

マザロンが去った数年後、皆が彼を忘れた頃になってアディラスは何事かに気付いて烈火の如く激怒し、
マザロンを捕縛せよと命じたが、その時には既に故郷の村にマザロンの姿はなく、
とうとう彼の行方は分からないまま終わったのであった。

916凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/01/23(月) 21:04:54
ラウールが十七歳になった時、地球からサラジア共和国の黒三日月隊が現れてメルヴィオンに襲来。
王都を攻め落とされてアディラスは自害し、三人の王子も戦死して、
ラウールは王位継承権がある王族男子の唯一の生き残りとして黒三日月隊との戦いに決起した。
行方不明だったマザロンは、祖国復興のため立ち上がったラウールの元にひょっこり現れる。

マザロン「これはこれはラウール殿下、ご立派になられましたな。
 国王陛下が戦で身罷られたとの事、お悔やみ申し上げまする」
ラウール「マザロン! どこでどうしていたんだ?
 父上もずっとご心配されていたんだぞ。
 病はもう大丈夫なのか?」
マザロン「一度は死を覚悟した大病でしたが、
 幸運にもヤンド神のご加護で癒え、今はもうすっかり元気でございます。
 かくなる傾国の事態となりましたからには、このマザロン、
 老骨に鞭打って殿下のため再び呪術師として力を尽くす所存」

ラウールの手を取ってしきりに懐かしがり、
マザロンは呪術の力でラウール軍に貢献していく事を誓うが、
理論や学術を重視する理性派でオカルトには否定的なナレイン・レンドルフや、
昔からラウールに纏わりつくこの怪老人に不気味さを感じて嫌っていたレミーナ・ラプエンテらの諸将は、
自軍にマザロンが加わったのを必ずしも歓迎しなかった。

ナレイン「神頼みだけで戦に勝てるなら苦労はしない…。
 ましてヤンド教などという歴史の浅い異教の坊主が申す事、
 どれほど信頼に値するやら。
 あの怪僧が殿下の理性的なご判断を惑わしてくれなければ良いが…」
レミーナ「それにあの男、何か裏がありそうな予感がするわ。
 ラウールのために尽くすなんて言ってるけど、本音は何を企んでるのかしらね。
 もし少しでもおかしな真似をしたら、私がこのミスリルソードで斬り捨ててやるわ」

しかし、マザロンダンスと呼ばれる奇怪な踊りをしながらマザロンが異次元から授かるヤンドの神託は、
何度となくラウールに有益な助言をもたらし、味方を勝利に導いてゆく。
ナレインもレミーナも、内心は不愉快ながらもマザロンの不思議な力を認めざるを得なくなっていったのである。

マザロン「この石はヤンド神のご加護を賜る幸運のお守り。
 また、殿下の秘められた素質を引き出す成長のパワーストーンでもあります。
 亡きお父上様も常々仰せだった通り、殿下はご自分でもまだご存じない、
 人並み外れた素晴らしい才能をお持ちです。
 例え前途に多難ありと申せども、ご懸念には及びませぬ。
 この石が殿下のご成長の助けとなり、殿下がこの国を救って立派な王となられるよう、
 このマザロン心より祈念いたしておりますぞ」
ラウール「ありがとう、マザロン」

経験が浅い末弟のラウールは当初かなりの未熟で、己の力不足に悩む事が多かった。
そんなラウールに、マザロンは人の才能を引き出して成長を促すという、
ヤンド教のお守りである緑色の小さな結晶石がついたネックレスを贈る。
ラウールはこれを首にかけて戦い、ヤンド神の加護ゆえか、
次第に逞しい武将となって勝利を収めるようになっていった。

917凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/01/23(月) 21:05:56
黒三日月隊とラウール軍の激しい攻防がロサレダ大陸の南部半島で続く中、
ラウールは時空クレバスに呑み込まれてアセーリアへ漂流してきた一人の地球人女性を保護した。
海防大学付属高校に通う高校生だった彼女は、
同級生の牧村光平にそっくりなラウールを見て驚き、交流を重ねて次第に打ち解けてゆく。

マザロン「あの娘はメルヴィオンに災いを呼び込む死神にございます!
 強い邪霊が漂っているのをあの娘からは感じます。
 直ちに殿下のお傍から遠ざけねば、恐ろしい事が起こりますぞ!」
ラウール「何を言っているんだ…。
 彼女が死神だなんてあり得ないじゃないか」
マザロン「追放せぬと仰せならば、
 拙僧にあの娘を斬る事をお許し下さりませ。
 殿下の御為にはそうするしかございませぬ!」
ラウール「いい加減にしろマザロン!
 彼女は既に僕らの大切な仲間。
 斬るなんてとんでもない話だ。断じて罷りならないぞ」

マザロンはその女性を死神の化身と呼んでひどく恐れ、
すぐに保護するのをやめて陣営から追い出さなければ災いがあるとラウールに必死に忠告するが、
既に彼女と仲良くなっていたラウールはマザロンの言葉に耳を貸さない。

ラウール「異世界から漂流してきた身寄りのない遭難者を、
 野垂れ死ぬしかないと分かっていながら追い出す事などできない。
 それに彼女は色々と興味深い話を聞かせてくれるんだ。
 彼女のいた世界には、僕とそっくりな人がいたなんていう…」
ナレイン「また、彼女が元いた国がもし本当にサラジアと同じ世界にあるのであれば、
 彼女を無事に帰還させる事でその国に貸しを一つ作り、友好関係の第一歩とできる可能性があります。
 そうなればその世界でサラジアに圧力をかけるよう働きかけさせ、
 黒三日月隊を外交の力で戦わずして撤退に追い込む事もできるかも知れません」
ラウール「ナレインは、彼女の保護に賛成してくれるんだな」
ナレイン「御意。あの怪僧が申す事、
 くれぐれも全て簡単にお信じになってはなりませぬぞ、殿下」

親友で最も信頼する軍師ナレインが彼女を守る側に立ってくれた事に安堵するラウール。
それまでマザロンを信じていたラウールも、
この一件をきっかけに彼への不信感を徐々に抱き始めるようになる。
それにしてもマザロンは、なぜそこまでして一介の女子高校生を排除しようとするのであろうか?

ヤプール「天凰輝シグフェルと同じ学校の生徒がラウールと接触しただと…!?
 そうなればシグフェルが彼女の救出に動き出すか…?
 ブレイバーズのアセーリアへの介入を招いては一大事だ!
 これまで長年に渡って積み上げてきた計画が全て水泡に帰してしまう。
 マグマ超人マザロン人よ、今の内に何としてもその娘を抹殺しろ!」
マザロン人「ハハーッ! 我らの神よ!」

怪僧マザロンの正体は異次元人ヤプールの部下マザロン人であり、
彼が崇める異次元の神ヤンドとは他ならぬヤプールの事であった。
エージェントとして僧侶に扮したマザロン人をアセーリアへ送り込んだヤプールは、
一足先に地球からアセーリアへ進出していたワームのネイティブ一派と手を組み、
ラウールを利用してメルヴィオンを侵略しようとしていたのである。

ラウール「僕の眠った才能を引き出すパワーストーンか…。
 この戦争に勝ち抜いて王になるには、僕はまだまだ力不足だ。
 もっともっと強くならなければ…」

宇宙規模の巨大な陰謀が背後にある事など全く知らないラウールは、
己の未熟さを日々痛感し成長を渇望する中で、そのためのご利益があるというお守りを手放す気にはなれず、
マザロンとの間にいざこざがあった後も結晶石のネックレスを相変わらず首にかけ続けていた。
マザロンの事を生理的に嫌っているレミーナなどは、
そんな物は早く捨ててしまいなさいと口うるさく言うのだが…。

ラウール「何だ…この感覚は…?」
リンディ「ラウール兄様!?」

グリーンの石の妖しげな輝きをじっと見詰めていたラウールの翡翠色の瞳が赤い光を帯び、
黒い頭髪が肩の下まで伸びて明るい茶色に変わっていく。
果たしてこのお守りはラウールの身に一体何をもたらすのであろうか…!?

マザロン「ヒヒヒヒ…。さあ目覚めるがいい。王となるべきアポリュオンワームよ…!」

918凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/01/23(月) 21:25:47
≪アセーリアのオルフェノク≫

ウルヤーヴ・ゼル・アディラス。
メルヴィオン聖王国のラウール・エル・アディラス王子と瓜二つなこの隻眼の青年こそは、
ワームのネイティブに殺され姿を擬態されて王子の座を奪われた本物のラウールであり、
死後オルフェノクに覚醒して復活した、正統な王家の血筋を引く人物である。
しかしラウールはウルヤーヴを殺してすり替わった直後に火災の影響で記憶喪失に陥ったため、
自分がワームである事を忘れているし、周囲の誰もまだラウールの正体に気付いていない。

モルゲグ「もうしばしご辛抱して時機をお待ちなされませ。
 今すぐ真のラウール王子として名乗りをお上げになっても、
 こちらの主張を証明するものは何もなく、
 不敬極まる狂言として首を刎ねられるだけでしょう。
 あの偽王子はいつか必ず己の正体を現すはずです。
 それまではおつらいでしょうが、何とぞご忍耐のほどを…」
ウルヤーヴ「分かっている…。
 今はどうする事もできないが、奴がワームの正体を現せば、
 父上も家臣らも天下の万民も、この俺が奴に擬態された本物の王子だと認める他あるまい」
モルゲグ「近頃、国王陛下に取り入っているマザロンなる怪僧は、
 殿下のすり替え事件に関して背後で糸を引いており、
 いつか偽王子をネイティブに覚醒させて王位を簒奪させる腹づもりでおります。
 殿下がお立ちになるのは奴が動き出した時にございますぞ」
ウルヤーヴ「その時には必ずこの剣であの醜い蟲の怪物を叩き斬り、
 父上や兄上達を助けて我が積年の恨みを晴らしてくれよう。
 決してあのような化け物どもの好きにはさせんぞ…!」

ウルヤーヴより先に死んでオルフェノクとして蘇っていた元貴族のモルゲグ・ヒルガノスは、
ネイティブによる王子すり替え事件を目撃してウルヤーヴを匿い、
二人で人目を避けつつ時節を待ちながら人里離れた山奥での潜伏生活を続けてきた。
…ただし、以上の「事実」とされる経緯は全てウルヤーヴがモルゲグ一人から聞かされてきたものに過ぎず、
当時まだ子供で、ある日突然ワームに襲われて気絶してしまった事しか記憶にないウルヤーヴには、
それが本当の真実であるかどうかを確かめる術はない。

ウルヤーヴ「ところでモルゲグ。
 お前はかつて父上のご不興を被り死罪となったそうだが、
 一体いかなる罪を犯したのだ?
 あの温厚で寛大な父上が寵臣だった者に死をお申し付けになるなど、
 並大抵の事とは思えんが」
モルゲグ「それは語るのもお恥ずかしい限りの話でして…。
 我が心の古傷なれば、どうかご容赦を」
ウルヤーヴ「フン…。まあ良かろう。
 普段お喋りなお前がそこまで口を閉ざすとは余程の失態だったと見えるな」

モルゲグは将来はラウール王子(=ウルヤーヴ)に自分の娘を娶らせ、
王家の外戚となる事が国王アディラス十六世から約束されていたほどの重臣だったが、
ある時、ある罪を犯したがゆえにアディラスの怒りを買い、
死刑となった時にオルフェノクに覚醒したのであった。

奇妙なのは、彼の罪状が王命によってなぜか厳重に秘匿され、
公明正大な統治を重んずるアディラスらしからぬ、
一切の内容を非公開とする秘密裁判でモルゲグが処刑された事である。
モルゲグによればその罪とは口にするのも憚られる粗相であり、
それでも本物の王子であるウルヤーヴをこうして守り育ててきた功があれば、
ウルヤーヴが王家に復帰する際にはきっと許されるだろうと言うのだが…。

919凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/01/23(月) 21:26:57
身を隠して臥薪嘗胆の日々を送ってきたウルヤーヴが十七歳になった時、
地球からサラジア共和国の黒三日月隊が現れてメルヴィオンの侵略を開始した。
アディラスは敗れて自害、三人の王子も戦死して王位継承権を持つ男子としてはラウールだけが生き残り、
ラウールが王位を継ぐべき者としてメルヴィオンの残存勢力を率い黒三日月隊と戦うという状況になる。

黒三日月隊はサラジアのアフマド・アルハザード副大統領が地球の世界各国、
そして異世界から傭兵を集めて結成させた、彼の意のままに動く私兵軍団である。
ネロス帝国の帝王ゴッドネロスと互いの秘密を知り合う仲であるアルハザードはGショッカーとは同盟関係にあり、
黒三日月隊のアセーリア侵攻に際してはGショッカーから客将や観戦武官として、
多数の怪人が遠征に参加していた。

グィン将軍「村人どもを片っ端から捕らえろ!
 優秀な肉体を持つ奴は改造人間の素体にして怪人に生まれ変わらせ、
 そうでない奴は人体実験用のモルモットにして殺してしまえ!」

バダンのグィン将軍ことクモロイドが指揮を執るGショッカー怪人部隊は、
黒三日月隊が占領した地域で次々と領民を襲っては拉致し、
地球へ強制連行してGショッカーの悪事のために利用していた。
更に異世界からGショッカー地下帝国軍がアセーリアへ乱入し、
グィン将軍の軍勢と共に侵略を進める。
そんな中、彼らはロサレダ大陸の北の山岳地帯にウルヤーヴが率いるオルフェノクの秘密組織がある事を知るのである。

村上「地下帝国軍からの報告によると、
 アセーリアには地球の我々とは別の独自に繁殖したオルフェノクがいて、
 しかも彼らはワームのネイティブに殺されて王宮から追い落とされた、
 本物のラウール王子と名乗る青年をリーダーに奉じているとか…。
 これは面白い事になってきましたね」
スマートレディ「アセーリア人の生物学的構造は地球人と全く一緒ですから、
 死んだらオルフェノク化する可能性も同じくあるみたいですね」
村上「スマートブレインから密使を送り、
 そのオルフェノクである王子に接触して、
 彼の即位をぜひ応援させていただきたいと打診してみましょう。
 もし彼の素性の話が本当なら…いえ、例え嘘でも構わないのですが…
 これは我々Gショッカーに楯突くレジスタンスどもの大義を根底から崩す一撃になります」

ウルヤーヴの存在を知ったスマートブレインの村上峡児社長はアセーリアに配下を送って彼に接触し、
オルフェノクの同胞としてウルヤーヴの復権を支援すると表明。
ラウール軍と黒三日月隊が激戦を繰り広げている中、
Gショッカーと手を結んだウルヤーヴ軍は密かに水面下で戦力を増強してゆく。

SSS3「わ…私…は…」
優香「…!? 記憶が戻ろうとしているのね!」

その頃、地球では天凰輝シグフェルこと牧村光平の抹殺に失敗した、
サラジア・シークレット・サービスの紅一点、エージェントSSS3が改心して沢渡家に匿われ静養していた。
アルハザードに洗脳され過去の記憶を消されていたSSS3だったが、
ふとした事から記憶を取り戻し、
自分が黒三日月隊の捕虜になったメルヴィオンのエリス・レイカ・アディラス王女だった事を思い出す。

エリス「サラジアの黒三日月隊が私達の国を侵略しています!
 私は彼らとトリスタン平原で戦って捕虜になったメルヴィオンの王女です」
光平「大変だ…! アルハザードめ!」

かくしてアルハザードが異世界への侵略を密かに進めていた事が明らかとなり、
光平は仲間達と共に新世代型高機動大型装甲車「G.R.A.T.A.N」に乗り込んで、
エリスを連れてアセーリアへ向かうのであった。

920凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/01/23(月) 21:28:30
開戦当初は破竹の勢いでロサレダ大陸全域の制圧を進めていた黒三日月隊だったが、
ラウール軍は南から反攻に出てこれを徐々に押し返し、王都ネクナールの奪還を目指して進撃する。
エリスが光平に連れられてアセーリアへ戻った時には、
ラウール軍は既にネクナールの目と鼻の先まで迫っており、
これを迎撃しようとする黒三日月隊とネクナール近郊の平原で最後の大決戦に及ぶところであった。
メルヴィオンの国運を賭したこの戦いに何とか自分も参陣せねばと、
G.R.A.T.A.Nで急ぎラウールの元へ向かうエリスだったが…。

村人A「お〜い聞いたか?
 昨日、天下分け目の戦いでラウール殿下が勝ったそうだぜ!」
紗希「ええっ! 本当ですか?」
村人B「ああ、世紀の大勝利だ!
 王子様は見事な戦いぶりで、黒三日月隊をほぼ全滅させるまで叩きのめしたんだってよ。
 奴らの悪事もこれでおしまいだ!」
エリス「あのラウールが…。ううっ、とても立派になったのね…」
慎哉「何か、俺達が焦るまでもなかったって感じだな」

エリスの到着を待たずして、ラウール軍は黒三日月隊との一大決戦に勝ったという報が入る。
黒三日月隊は野戦で殲滅され、イブン・ファイサル司令官は生死不明、ザイード副司令官も首級を取られた。
ラウールは長く苦しかった祖国解放戦争の勝利をここに確定させ、
後は大将を失って指揮系統が完全に崩壊した黒三日月隊の残党が立て籠もるネクナールの攻略を残すのみ。
姉姫の助けを頼る事なく自力で強敵に勝利を収めてみせたラウールの成長ぶりに、
エリスは感動して思わず涙を流す。
こうして光平達が介入するまでもなく事件は解決に向かったかに見えたが…。

村上「それではそろそろ始めていただきましょうか。
 メルヴィオンの王となるべきオルフェノクの凱旋を!」

事ここに及んで、それまで黒三日月隊を支援していたGショッカーは既に敗北が見えた彼らを見捨て、
かねて密かにパイプを築いていたウルヤーヴ軍に鞍替え。
村上に後押しされたウルヤーヴはGショッカーの怪人軍団を率いて挙兵し、
最後の仕上げとしてネクナール奪還作戦にかかろうとしていたラウールの正体を暴露して立ちはだかる。

ラウール「僕が…ワーム…!?」
マザロン「ヒヒヒ…。お気付きになられましたか。
 いかにも殿下は人間のような下等生物ではございませぬ。
 この結晶石は殿下のネイティブとしての本性を呼び覚ますもの。
 さあ、今こそ解き放たれませ、ご自分の真の力を!」
ナレイン「マザロン、貴様っ!」
マザロン「この私も真の姿を見せる時が来たようだ。
 我こそは異次元人ヤプール様に仕える使徒、マグマ超人マザロン人なり〜!!」

遂にアポリュオンワームという恐るべき正体を現すラウール。
凶悪なネイティブに覚醒したラウールを王に据え、
メルヴィオンを支配させて宇宙連合とETFの属国にしようと企むマザロン人と、
そのラウールを討伐してオルフェノクであるウルヤーヴを即位させ、
スマートブレインが実権を握るGショッカーの傀儡政権を打ち立てようとする村上。
どちらが勝ってもメルヴィオンに未来はない、破滅的な最終戦争がここに始まった。

エリス「大変な事になったわ。
 早くラウールの元へ行かなければ…!」
雄大「よ〜し、G.R.A.T.A.N号、エンジン全開っ!」
佳代「一気に飛ばすよ!」

全ての鍵を握るエリスはラウールの元へ急ぐ。
広いロサレダ大陸の大地を、唸りを上げて全速力で突っ走るG.R.A.T.A.N。

モルゲグ「何っ、エリス王女が生きていただと…!?
 いかん、あの姫に真相を喋られたら全てが水の泡だ!」

アセーリアへ帰還したエリスを、モルゲグは密かに抹殺しようと刺客を送り込む。
自分の実の姉であり、自分が王となった際には心強い後ろ盾となってくれるはずのエリスを、
自分には秘密で消し去ろうと動いているモルゲグに勘付いて不信感を抱くウルヤーヴ。

ウルヤーヴ「モルゲグ…。一体何を企んでいるのだ…?」

ラウール、ウルヤーヴ、そして牧村光平。
三人のドッペルゲンガーを巡る謎が、いよいよ明かされようとしていた…。

921ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2017/01/26(木) 11:56:25
<<アセーリア編 ガルマ、接触>>

Gショッカー地下帝国軍新生7大将軍の1人として、ジオン軍残党を率いて
異世界へと遠征していたガルマ・ザビは観戦武官として、サラジアとメルヴィオンの
戦争に参加していた。

***アセーリア北部 山岳地帯***

ガルマ「良いか。コンクェイテューラはメルヴィオンの中でも学問都市と呼ばれる
 場所である。その都市の魔法技術は必ずや我らジオン再興の一助となりえるだろう。
 その為の準備を怠るなッ!」

ガルマは学問都市コンクェイテューラを制圧するべく、その為の陣地を張り、部下のジオン兵に
指示を出す。その時、岩場から黒い影が飛び出し、ガルマめがけて斬りかかって来た。

ガトー「ガルマ様!お下がりを!」

ガルマの傍に控えていたガトーは、ガルマを守るべく腰に下げていたサーベルを
引き抜き、黒い影の攻撃を受け止める。やがて、その姿がはっきりと現れる。
その姿は馬に似ているが、額に2本の鋭い角が生えていた。差し詰め、
地球の伝説に登場するバイコーンに似ている事からバイコーンオルフェノクと
いった所か。

ガルマ「その姿...貴様はオルフェノクか?」
ガトー「まさか、この世界にもオルフェノクがいるとは...貴様は一体何者だッ!
 何故、ガルマ様に刃を向ける」

襲撃者がオルフェノクだった事に驚くガルマ。ガトーは何者か問い正す。

バイコーンオルフェノク「...ここは我が隠されし拠点。何人も此処の存在を
 知られる訳にはいかん!」

バイコーンオルフェノクが理由を話すと、それを合図に次々とオルフェノクが
ジオン軍を取り囲むように現れる。

ガルマ「こ、これは...!」

取り囲むオルフェノクの数に戦慄を覚えるガルマ。優秀な精鋭が
揃っているジオン軍といえど、大勢のオルフェノクが一斉に襲い掛かって
くれば、あっという間に全滅する事は容易に予想できた。

バイコーンオルフェノク「では...」
????「お待ちください。ウルヤーヴ様」

いざ号令を掛けようとした矢先、バイコーンオルフェノクの攻撃を
止めようとする者が現れる。

バイコーンオルフェノク「どうしたと言うのだ。モルゲグ」
モルゲグ「ハッ!彼らを始末するのをお待ちいただきたい。実はこの者達は...」

モルゲグなる人物はウルヤーヴと呼ばれたバイコーンオルフェノクに
攻撃を止めた理由を話す。突然の事態にガルマやガトーは戸惑いながらも
事態の成り行きを静観した。そして話が終わり、モルゲグがガルマに近づく。

モルゲグ「失礼いたした。私は此方におわせられる主君、ウルヤーヴ・ゼル・アディラス様に
 お仕えするヒルガノス家当主、モルゲグ・ヒルガノスと申す。其方は噂に聞くサラジアなる
 国の手の者とお見受けするが、相違ありませんか?」
ガルマ「アディラスといえば、確かメルヴィオン王家の名前だった筈...。
 どういう事なのか、事情を聞かせてもらおう」

モルゲグはガルマに自分達の素性を明かし、ウルヤーヴもオルフェノクの
姿から元の姿に戻る。ガルマはメルヴィオン王家の名前が出てきた事に
興味を持ち、話を聞く。これがウルヤーヴとGショッカーの最初の出会いであり、
この後、ウルヤーヴ一党はスマートブレインの後ろ盾を得る事になるのであった。

922凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/02/07(火) 23:45:08
≪アセーリア編 オリジナル国家&キャラクター案≫


■エスパシア王国

異世界アセーリアにある国。
ロサレダ大陸とヒノイズル大陸のほぼ中間に位置し、
国土全体が熱帯に属する温暖湿潤な南洋の島国である。
(地球のフィリピンやマレーシア等のイメージ)

元々は無数の原始的な小部族に分かれて争っていた未開の地だったが、
およそ二百年前、異世界(アルスラーン戦記の世界)から漂流してきたマルヤム人が、
マルヤムの進んだ文化と一神教のイアルダボート教を伝えた事で急速に文明化。
現在ではイアルダボート教を国教とする統一国家が形成されている。
暁帝国に朝貢して冊封を受けている他、アオイ国やメルヴィオン聖王国との貿易も行ない、
周辺諸国からも一目置かれるほどの力をつけてきている新興国だが、
近年、教会が過激な原理主義に傾き、聖戦と称して海外侵略に繰り出すようになってしまう。


〇ナサナエル・セレージョ

エスパシア王国のファデリオ騎士修道会の若き総長。
20歳。愛称はナサ。
敬虔なイアルダボート教徒で、性格は清廉かつ利他的で正義感が強い。
武芸の腕もそれなりで、将としても優秀だが、
本人は平和主義者で「神の教えに反するから」と言って戦いを好まない。

騎士修道会とは、イアルダボート教の修道士らが武器を取って結成した戦士団で、
布教や巡礼のために危険な土地を旅する信徒らの護衛を主な任務とする。
(外国を旅する信徒がもし異教徒に襲われればこれと戦うが、
 あくまで正当防衛の範囲での戦闘であって、
 本来は宗教戦争の尖兵となるような事を想定した存在ではない)

病のため早世した父の跡を継いで20歳の若さで総長となったが、
それと前後してエスパシアの国教であるイアルダボート教は過激な原理主義に傾くようになり、
異教徒征伐の聖戦と称して他国の侵略を行なうようになる。
教会の命令通り配下の修道士らを率いて聖戦に参加し武勲を上げるが、
異教徒を女子供であろうと容赦なく虐殺するエスパシア軍の残忍な戦い方に疑問を抱き、
自分が信じる神の教えと、教会が説く聖戦の正義との間で苦悩するようになる。

923凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/02/07(火) 23:48:20
≪聖戦の使徒≫

アセーリアの南洋に浮かぶエスパシア王国は、
かつては野蛮な原始部族が割拠する未開の地だったが、
およそ二百年前、異世界から渡って来たマルヤム人の宣教師フラビオという人物によって
マルヤムの優れた文化と宗教がもたらされ、
今ではイアルダボート教を国教とする王国が全土を統一し繁栄していた。

東方教会に属するマルヤムは、西方教会に属するルシタニアと比べると、
同じイアルダボート教の中でも穏健で、エスパシアに伝来したマルヤム流のイアルダボート教は、
エスパシア人に宗教戦争のような過激な流血を促すのではなく、
神の教えに基づく倫理道徳や慈愛の精神などを植え付け、
それまで未開の野蛮人と呼ばれていたエスパシア人を秩序正しい文明人に変革する役割を果たした。
(アオイ国とメルヴィオン聖王国を結ぶ海上貿易路の確立は、
 中間に位置するエスパシアの安全が確保され船が立ち寄れるようになった事が大きい)

ところが、黄泉がえったジャン・ボダン大司教が多数のルシタニア人を引き連れ、
時空を越えてエスパシアへやって来たからさあ大変。
異界から舞い降りたイアルダボート神の使いとして手厚く迎えられたボダンは、
エスパシアに定着していた穏健な平和主義型のイアルダボート教を、
「生ぬるい! 異教徒との妥協はすなわち堕落である!」と一喝。
神のご意思と称してより過激で先鋭的な方向へと宗教改革してしまう。

ボダン「偉大なるイアルダボート神の教えを剣によって世界中に広める事は、
 我ら信徒に課せられた崇高な義務である!
 神はその報いとして、邪悪な異教徒どもが住んでいた豊かな土地を、
 我らにお与え下さるであろう」
ナサナエル「そんな…! お待ち下さい大司教様。
 確かにイアルダボート神を信じる事こそが人の歩むべき正しき道とは言え、
 それを力ずくで無理に押し付けたり、
 改宗を拒む人を殺したりするのは間違っています!」
ボダン「黙れ!
 我こそはイアルダボート神がこの世界に遣わされた使徒なるぞ!
 神のご意思に逆らえば、お前も背教者として火炙りに処す!」
ナサナエル「………」

魔女狩りや異端審問で国内の抑圧を強化したボダンは、
異教徒討伐を掲げて対外侵略を企図。
それまで朝貢し臣従していた暁帝国に反逆して挑戦状を突き付け、
「神がイアルダボート信徒に与え給うた地」とボダンが呼ぶ、
ヒノイズル大陸一の穀倉地帯として知られる暁南部の祥州にエスパシア軍は侵攻する。

ボードワン「かかれ〜っ!
 無能な皇帝に治められた暁など今や死に体も同然!
 恐れるに足らずだ!」
クレマンス「邪悪な異教徒どもを一人残らず地獄へ送れ!」
ナサナエル「神様…。愚かな私にどうかお教え下さい。
 本当にこれがあなたのご意思なのですか?」

元ルシタニア軍の武将達を指揮官とするエスパシア軍は、
神の名の下に祥州で破壊と殺戮の限りを尽くす。
暁の皇帝はまだ若く、優柔不断で愚鈍という評判の劉煌。
この危機に対処する能力はなく、大挙上陸してきたエスパシア軍に対し、
暁はただ一方的に敵の蹂躙を許すばかり……かと思われたのだが!?

モンフェラート「げえっ! 嘉挧!?」
ゼリコ「いかん! 敵の罠だ! 退却〜っ!!」

道士・嘉挧を将軍に迎えた劉煌は果たして本当に愚帝なのか?
争いを好まぬ心優しき皇帝の隠された本領を発揮する時が今、
やって来ようとしていた…。

924凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/02/10(金) 22:48:23
≪ベビーゴジラとの絆≫

卵から生まれた直後に牧村光平と沢渡優香に保護され、
生まれて初めて見た優香を母親だと認識して慕いながら育ったベビーゴジラは、
光平が住む朝倉家でしばらく飼われた後、
鏑矢諸島の怪獣保護センターに移されてそこで飼育される事になった。
リドリアスやスピットルなどの他の善良な怪獣達とも仲良くなり、
すくすくと成長してリトルゴジラと呼ばれるようになる。

リトルゴジラ「キャゥゥゥ〜!」

鏑矢諸島の小さな島の一つを専用の縄張りとして与えられ、
時々、面会のため島を訪れた光平や優香らとも触れ合いながら、
人間の保護下でのんびりと暮らしていたリトルゴジラだったが、
ある日、海に潜ったところ、海底からとんでもない物を口に咥えて上がって来た。

リトルゴジラ「クァ〜?」

砂浜に無造作に投げ落とし、蹴ったり口先で突ついたりしながら、
リトルゴジラが興味深げにしげしげと見詰めている円筒形のそれは…

エルファ「冷戦時代に不法投棄されたと見られる水素爆弾です。
 先日の嵐で鏑矢諸島の近海に流されて来たものと思われますが、
 威力はどんなに低く見積もっても広島原爆リトルボーイの数十倍はあります」
佐原「大変だ…!」

そんな超危険物だとは知る由もなく、
水爆を珍しいオモチャだと思って無邪気に転がして遊ぶリトルゴジラ。
ブレイバーズが大慌てで回収に向かうが、
彼らが島に到着するより一足早く、
地球侵略を企むETFがそこに怪獣を送り込んで来た。

チブル星人エクセラー「さあ行きなさい、恐竜戦車!
 あの水爆を爆発させて怪獣保護センターを壊滅させてしまうのです!」
恐竜戦車「ギャゥゥゥゥ〜!!」

島に出現したのは、巨大な戦車のキャタピラの上に四つ足の恐竜が乗っているという、
ETFが誇る半生体陸戦兵器・恐竜戦車である。
水爆を爆破して核爆発を引き起こそうと、
恐竜戦車は胸元の三連戦車砲を撃ちながら砂煙を上げて猛進する。

リトルゴジラ「キャゥゥ〜!」

浜辺を絨毯爆撃する戦車砲の威力を見て、両目を赤く光らせながら怯えるリトルゴジラ。
恐竜戦車はリトルゴジラをキャタピラで轢き殺そうと追い回す。
何とか身を守ろうという本能で口から放射熱線を放ち反撃するリトルゴジラだが、
幼体の頃にネロス帝国の人工ゴジラ化実験で浴びた程度の放射能では、
ゴジラへの変異は不完全で、弱いガス状の熱線しか吐けない。

恐竜戦車「ギャゥゥゥゥ〜!!」――ズドン!

ドガァァァァァァァァン
:::. ...::::::::::::
  γ⌒ ⌒`ヘ
` イ"" ⌒ ヾヾ
 /( ⌒  ヽ )ヽ
(   、 )  ヾ)
..ヾ(    ノ ノ ノ..
:::ヽヽ_| |_ノソ::::
n_[_r-ー"i i〜-ヽ_iLn
iγ 〜ーli|ーヾ ヾFH
H( (  |l|  ) )=T
ロヾ、⌒〜"""⌒〜"ノ"ロ
T: """ー+ーr-〜"" :n
n:    ||∥    :F
ロ=:  ノ从ゝ  :田
FH田:.     .:E日
ДΠロ=HロΠ:::ロロHFF

遂に恐竜戦車が放った砲弾が水爆に命中!
核爆発が起きて真っ赤な爆炎が辺り一帯を呑み込み、
島は跡形もなく消滅してしまった…。

925凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/02/10(金) 22:49:43
鏑矢諸島で核爆発が発生したという事件は、
直ちに緊急臨時ニュースとして各局のTVが大々的に報道した。
爆心地となった島にいたリトルゴジラの安否を心配して、
沢渡優香は激しく動揺する。

優香「光平くん、リトルがっ…」
慎哉「これは…正直厳しいな…」
光平「ああ、島が粉々に消し飛ぶくらいの大爆発じゃ、
 多分リトルはもう…」
優香「そんなぁっ…!」

声を上げてその場に泣き崩れる優香。
自宅でベビーゴジラを一緒に育てて来た朝倉慎哉も、
巨大なキノコ雲が立ち昇る現場からの生中継をTVで観ながら、
どうしようもない絶望感に言葉を失っていた。
これだけの大爆発に間近で巻き込まれては、
リトルゴジラはたちまち焼け死んでしまっており、
無事ではいないと考えるのが残念だが妥当な見方であろう。

アナウンサー「ご覧の通り、島は吹き飛んでもはや見る影もありません。
 核爆発のため発生した大量の放射能が辺り一帯を覆っています。
 ブレイバーズは現在、除染作業の準備を急ピッチで進めているとの事で、
 間もなく巨大ロボット部隊による除染チームが出動する見通しです」

水爆の爆発によって高濃度の放射能が大量にばら撒かれ、
周辺の海域に甚大な環境汚染をもたらした…かに思われたが、
その時、不思議な事が起こった。
ブレイバーズが到着して除染作業を開始する前に、
なぜか辺り一帯の放射能濃度が急速に低下してゆき、
やがてとうとうほぼゼロにまで下がってしまったのである。

佐原「一体何が起こったんだ!?」
エルファ「分かりません。
 海底の何かが、猛烈な勢いで放射能を吸収したようなのですが…」
剣持「………」

結局、この謎の放射能消滅の原因は分からないまま、
ともかく核による環境への被害だけは最小限に喰い止められ、
人々はほっと胸を撫で下ろしたのであった。

926凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/02/10(金) 22:52:01
それから数日後…。
悲しみに暮れる光平は核爆発で海の藻屑となったリトルゴジラにせめて献花だけでもしようと、
優香と二人で街の花屋へ出かけて一緒に花を選んでいた。
リトルゴジラの死亡場所である島のあった海に船で行って花を捧げる事ができるよう、
怪獣保護センターには既に話を通してある。

光平「献花って、仏教なら菊や百合、
 キリスト教ならカーネーションとかが一般的みたいだけど…」
優香「形式とかよりも、とにかく一番綺麗なお花をあげたいわ。
 あの子、お花が大好きだったものね…」
光平「ああ、ただし餌としてだけどな(笑)」
優香「フフッ、そうだったわね(苦笑)」

花が大好物だった可愛いベビーゴジラとの思い出に浸りながら、
ぎこちなくも努めて明るく笑顔を見せ合う二人。
いわゆるペットロスのつらさが、
リトルゴジラの両親的存在だった二人をずっと覆っていたのである。

チブル星人エクセラー「これも全て計算通りです。
 さあ暴れなさい! 囮怪獣プルーマよ!」
プルーマ「グァォォォ〜!!」

しかし冷酷なETFはそこにも凶暴な宇宙怪獣を放ち、
光平達の目の前でプルーマに街を破壊させる。

光平「ETFめ…!
 優香、ここを動くなよ。――翔着!!」
優香「光平くん、頑張って!」

優香を安全な所に隠れさせた光平はシグフェルに変身、
街で大暴れするプルーマに立ち向かう。
激闘の末、フレアセイバーの斬撃でプルーマは倒されるが…。

光平「優香〜! どこへ行ったんだ!?」

戦いを終え、優香の所へ戻って来た光平だったが、
ここを動くなと言っておいたはずの優香の姿はどこにもない。
焦る光平の前に、優香をリング状の光線で縛って拘束した、
ETFの地球侵攻軍幹部・バルタン星人jrが現れた。

バルタン星人jr「フォフォフォフォフォ〜!
 天凰輝シグフェル! 沢渡優香はこの私が預かった!」
優香「光平くん!」
光平「優香っ!」
バルタン星人jr「よく聞けシグフェル。
 君の大切なガールフレンドの命が惜しければ、
 ブレイバーズの基地であるブレイバーベースを直ちに破壊するのだ!」
光平「ブレイバーベースを破壊…?」
バルタン星人jr「本来なら条件はブレイバーズと全人類の即時降伏!
 …と言いたいところだが、さすがにそこまでは出来まい?
 だからブレイバーズの戦力削減を意味する基地の廃棄で妥協し手を打とうというのだ。
 寛大なる皇帝陛下の御心に感謝するがいい」
光平「ふざけるな! 
 人質なんて取っておいて、何が寛大だ」
バルタン星人jr「ブレイバーズ参謀本部の命令の下で自爆させてもいいし、
 何なら君が独断で破壊してしまっても構わない。
 ブレイバーベースの爆沈を確認次第、
 すぐにこの娘を解放すると約束しよう。
 だがもし要求に応じなければ、彼女には死んでもらう事になる。
 恋人の命か、ブレイバーズの設備か、
 どちらが大事かよく考えるのだな」
優香「光平くん、そんな脅しに従っちゃダメよ!
 私はどうなってもいいから…うっ!」
光平「優香! こいつッ…!」

ハサミから発射したショック光線で優香を気絶させたバルタン星人jrは、
激怒して今にも殴りかかろうとする光平を牽制して言った。

バルタン星人jr「72時間の猶予を与える。
 3日後のこの時刻までにブレイバーベースの爆破が行われなければ、
 この娘は無惨な死体となって君の元へ返される事だろう。
 ではさらばだ。フォフォフォフォフォ〜!!」
光平「待てバルタン星人! 優香〜っ!!」

高笑いしながら優香と共に姿を消してしまうバルタン星人jr。
地球防衛の要であるブレイバーベースを破壊する事は、
ブレイバーズの大幅な戦力ダウンと組織のシステム麻痺を意味し、
それはそのままETFの地球侵略の好機――すなわち地球存亡の危機に繋がるのである。

927凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/02/10(金) 22:53:25
剣持「そうか…。バルタン星人も汚い手を考えたな」
光平「すみません。俺の油断の隙を突かれました」

ブレイバーベースへ戻った光平は、
優香が人質に取られた事をレッドマフラー隊の剣持保隊長に報告した。

剣持「非情なのを承知で言うが、
 奴らの要求に従うわけには行かん。
 今ブレイバーベースを破壊してしまえば、
 ETFやGショッカーの侵略から我々が地球を守る事はできなくなる」
光平「分かってます、剣持隊長。
 きっと優香も、自分のために地球を悪に滅ぼされるなんて事は望まないはずです。
 ただ、バルタン星人jrが提示したタイムリミットまでにはまだ2日以上あります。
 俺はそれまでに優香の救出に全力を尽くします!」
本郷「無論、俺達も協力するぞ。光平君!」
流星「最後まで希望を捨てず頑張ろう!」
光平「ありがとうございます!」
エルファ「私もビッグエンゼルのリサーチ機能をフル稼働させて、
 沢渡さんの行方を追います!」

処刑のタイムリミットまでに優香の監禁場所を突き止め、
バルタン星人jrを倒して優香の身柄を奪還する。
優香と地球の両方を救う手立てはこれしかないのだ。
ブレイバーズの戦士達は優香の捜索のため各地へ飛んだ。

土橋「ゴジラ…!?
 いや、ゴジラは八丈島沖の海底から動いていないはずだ」

その頃、日本政府の内閣安全保障室にいる土橋竜三には、
ゴジラらしき巨大生物の影が太平洋を北上し日本に迫っているとの報告が入っていた。
しかし自衛隊とブレイバーズが以前から厳重に監視を続けて来たゴジラは、
八丈島近くの海底で眠ったままずっと動いていないのである。
情報が錯綜して混乱する内閣安全保障室。
やがて、陸に接近したその謎の怪獣は海面から上半身を現した…。

ゴジラジュニア「ギャァォォォ〜ン!!」

ゴジラそっくりの、しかし本物より一回り小さく、
そしてどこか柔らかく可愛げな印象がわずかながらに漂っている「第二のゴジラ」。
映像を見た山根健吉は、その正体をすぐに見抜いた。

健吉「リトルだ!
 水爆の爆発に巻き込まれたリトルゴジラが、
 大量の放射能を浴びて完全なゴジラ化を遂げたに違いないですよ!」
土橋「すると、鏑矢諸島の放射能がひとりでに除染されたのは、
 リトルゴジラが全て吸収してしまったからだったのか…!?」

恐竜ゴジラザウルスがG細胞を採取するためのネロス帝国の実験で放射能を浴びせられ、
不完全なゴジラ化をしたリトルゴジラは、
今度は強烈な核爆発に間近で被曝した事により、
遂に完全なるゴジラ二世、すなわちゴジラジュニアとなったのである。

928凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/02/10(金) 22:55:14
紗希「良かった…。生きてたのね」
慎哉「やったぜ! まさか無事だったなんて凄い奇跡だ」
佳代「でも、ジュニアは一体どこへ行こうとしてるのかな?」

幼い頃のベビーゴジラと接して仲良くなっていた錦織佳代や北上紗希も、
死んだと思われていたゴジラジュニアが元気な姿を見せた事に歓喜する。
東京湾よりやや東に進路を取り、房総半島方面へ向かうゴジラジュニア。
怪獣の接近を受けて千葉県全域に避難警報が発令されたが、
ゴジラジュニアはすぐには上陸せず、
房総半島の東の沿岸を泳いで北進する。

バルタン星人jr「ブレイバーベースの爆破はまだか!?
 早くしなければ、この娘は余計な苦しみを味わう事になるぞ」
優香「うぅっ…!」

一方、期限の3日目になってもブレイバーベースの破壊が行われないのに焦れたバルタン星人jrは、
ハサミから放つ反重力光線で優香を翻弄し宙に逆さ吊りにして苦しめる様子を、
動画にしてブレイバーズに送りつけた。

エルファ「この映像が撮影されたのは日本の関東地方、
 恐らく千葉県内のどこかだと思われます」
剣持「よし、捜査範囲を房総半島一帯に絞って徹底的に探すんだ!」

スーパーコンピューター・ビッグエンゼルが動画を詳細に解析した結果、
優香が監禁されている場所は房総半島のどこかだというところまでは割り出す事に成功した。
だが、それだけではまだ情報が足りない。
ブレイバーズのヒーロー達の必死の捜索にも関わらず、
優香の正確な居場所は依然分からないままだった。
そうこうしている間にタイムリミットはどんどん迫り、
処刑実行の時刻まであと1時間を切ってしまう。

ゴジラジュニア「キャォォ〜ン!!」

その頃、向きを変えたゴジラジュニアは千葉県北部の九十九里浜に上陸。
人間に育てられた元来温和なゴジラジュニアにどの程度の敵意や凶暴性があるかが不明なため、
出動した自衛隊はひとまず積極的な攻撃を控え、
都市部への侵入を防ぐための防衛線を構築しつつ遠巻きに動きを監視する。

ゴジラジュニア「グゥゥゥ〜」

ゴジラジュニアは海岸から内陸に進んで街を破壊しようとはせず、
浜辺で立ち止まっては歩き出し、再び立ち止まっては周囲を見渡してまた歩き出し…
という動作を何度も繰り返していた。
まるで何かを探しているかのように…。

健吉「そうか! ジュニアは探しているんだ!
 自分の母親である沢渡さんを…」
土橋「なるほど! それで房総半島に…。
 きっと動物特有の感覚で沢渡君の居場所を探っているんだな」
剣持「聞こえるかシグフェル。
 沢渡君はゴジラジュニアの進行方向にいる可能性が高い。
 急いでジュニアの元へ飛ぶんだ!」
シグフェル「分かりました!」

ゴジラジュニアは母親である優香の危機を察し、
野生の本能を頼りにずっと行方を探していたのである。
優香の監禁場所は九十九里浜近辺。
一気に位置を絞ったシグフェルは全速力でゴジラジュニアの元へ急行した。

929凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/02/10(金) 22:57:02
バルタン星人jr「未だブレイバーベースを動かす気配すら見せんとは…。
 どうやら要求に応じるつもりはないようだな。
 恋人を見殺しにするとは、シグフェルも案外薄情な奴だ」
優香「そんな事はないわ!
 光平くんはきっと助けに来てくれる!
 絶対にあなた達を倒しにここへ来てくれると信じてるわ!」
バルタン星人jr「この場所を探知する事など地球人の科学力では不可能だ!
 そろそろ希望にすがるのはやめて死の覚悟をしておいた方が現実的だぞ、お嬢さん」

バルタン星人jrは捕らえた優香を海岸のとある廃マンションの一室に監禁していた。
いかにビッグエンゼルによるブレイバーズの情報網が優秀でも、
巧妙に隠されたこの場所を残りわずかな時間で突き止める事はできないはずである。

優香「うっ…! これは何?」

強い偏頭痛のような不思議な感覚が、先程から優香を断続的に襲っていた。
何か声にならない声のようなものが、自分の意識の深層に懸命に呼びかけている。
この感覚は以前、恐竜博物館でベビーゴジラの卵が発するテレパシーをキャッチした時と同じものだ。

優香「(まさかリトルが…? リトル、私はここよ!)」

そっと目を閉じて念じ、ゴジラジュニアにテレパシーを送り返す優香。
だがそうしている間にも時は刻々と過ぎ、
とうとうブレイバーベースの爆破もブレイバーズによる救出作戦の開始もないまま、
タイムリミットの瞬間を迎えてしまった。

バルタン星人jr「…時間切れだ。
 残念ながらブレイバーズは我々の要求を黙殺した。
 かくなる上は、事前の通告通り人質の処刑を執行する!」
優香「…!」
バルタン星人jr「フォフォフォ〜!
 お前を見捨てたボーイフレンドを恨みながら死ぬがいい!」

優香を焼き殺すため、両手のハサミを開いて、
高熱火炎・バルタンファイヤーを発射しようと構えるバルタン星人jr。
だがその時、大きな地響きが廃マンションをぐらりと揺らした。

バルタン星人jr「な、何事だ…!?」
チブル星人エクセラー「エマージェンシー!
 ゴジラによく似た巨大な怪獣がこのマンションに接近していますよ!」

優香からのテレパシーを受け、
遂に場所を嗅ぎつけたゴジラジュニアが廃マンションの前に襲来したのだ。
ステルス迷彩を張って上空に待機していたETFの円盤群がゴジラジュニアを攻撃するが、
ゴジラジュニアは降り注ぐレーザービームを物ともせず、
体内にあふれる放射能を灼熱の息に乗せて口から吐き出す青白い放射熱線で、
異星人の戦闘円盤を次々と撃ち落としてゆく。

ゴジラジュニア「ギャァォォ〜ン!!」
優香「リトル! あんな姿に…」
バルタン星人jr「直ちにこのマンションをバトルフォーメーションに変形させろ!
 奥の手の決戦兵器・ビルガモを起動させるのだ!」

バルタン星人jrが指令を発すると、
何と廃マンションは中に優香を閉じ込めたまま変形を開始し、
ロボット怪獣ビルガモとなって動き出した。

ビルガモ「グィィィィン…!」
ゴジラジュニア「ギャァォォォ〜ン!!」

ビルガモの腹部に幽閉されたままの優香を救出するため、
唸り声を上げてビルガモに猛然と立ち向かうゴジラジュニア。
頭部のコクピットに座ったバルタン星人jrが操縦するビルガモは頭上に生えたアンテナから、
必殺の破壊光線・バルタニックウェーブを発射してゴジラジュニアを攻撃した。

ゴジラジュニア「ギャァォォォ〜ン!!」
優香「きゃぁっ!」

ゴジラジュニアも負けじと口から放射熱線を撃ち返すが、
熱線の直撃を受けたビルガモの機体は火花を噴きながら大きく揺れ、
中にいた優香は衝撃で弾き飛ばされて壁に激突してしまう。

930凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/02/10(金) 22:59:01
ゴジラジュニア「グゥゥ〜!」

ゴジラジュニアが熱線をフルパワーで撃ち込めば、
ビルガモのボディを木端微塵に爆砕するのは決して不可能ではない。
だが、それではビルガモの中にいる優香も死んでしまうのだ。
優香を助けるため、ゴジラジュニアは敢えて熱線を使わず、
ビルガモに突進して接近戦を挑んだ。

バルタン星人jr「フォフォフォフォ〜!
 以前より武装を大幅に強化されたこのビルガモに、
 正面から肉弾戦など挑んで勝てるものか!」

ビルガモは右腕をマシンガンアームに、左腕をドリルアームに換装するという、
以前にはなかった新機能を見せ迎撃態勢を取る。
接近しビルガモの腹をぶち破って優香を中から引きずり出そうと考えるゴジラジュニアだったが、
正面から勢いよく突っ込んだところをマシンガンの連射で蜂の巣にされ、
痛ましい悲鳴を上げて流血しながら倒れ込んだ。

優香「もうやめてリトル! 私の事はもういいから!」
バルタン星人jr「フォフォフォ〜!
 母親を助けたい一心でそんな無謀な戦法を採るとは、
 怪獣の癖に下らん親子の絆など持ったのが仇になったな」

倒れても倒れても諦めず、傷だらけになりながらビルガモに突撃を繰り返すゴジラジュニア。
マシンガンの雨に耐えて何とか至近距離まで近付くが、
そこにもう片方の腕で鋭い回転ドリルを突き刺され、
抉られた肩の傷口から鮮血がどっと噴き出す。

ゴジラジュニア「グァゥゥ…!」
バルタン星人jr「止めだ。バルタニックウェーブ発射!」
優香「や…やめて…っ!」

悶絶して倒れ込んだゴジラジュニアに低い排気音を上げながら近付き、
バルタニックウェーブで止めを刺そうとするビルガモ。
だがその時、上空から飛んで来た一筋の火炎が、
ビームをチャージして眩しく発光していたアンテナ型の光線発射装置を爆発させた。

優香「光平くん!」
シグフェル「悪い。遅くなったぜ!」

遂に天凰輝シグフェルが到着したのである。
シグフェルの声に反応したのか、既に死んだように倒れていたゴジラジュニアは、
力なく閉じかけていた両目を開いてむくりと起き上がり、
まるでシグフェルの戦い方を見習って真似するかのように、
まずは先に敵の武器を潰すという作戦を選択。
勢いよく吐いた口からの熱線で、
マシンガンを装備したビルガモの右腕を根元から吹き飛ばした。

バルタン星人jr「おのれ…!」
ゴジラジュニア「グォォォォッ!!」

バルタン星人jrは必死にビルガモを操作し、
残った左腕のドリルアームでゴジラジュニアを刺し貫こうとするが、
ゴジラジュニアは素早く敵の懐へ入り込んでドリルアームの肘の部分に噛みつくと、
凄まじい咬合力でビルガモの宇宙金属製の腕を喰い千切り、
肘から下をもぎ取ってしまった。

シグフェル「今だ! 行くぞジュニア!」
ゴジラジュニア「ガゥッ!」
シグフェル「合体攻撃だっ!!」

連携を取ろうと合図を送るシグフェルに、ゴジラジュニアも短く唸って応える。
同時に発射されたシグフェルのヴァジェト・レイとゴジラジュニアの放射熱線が、
ビルガモの腹部にいる優香を巻き込まないよう頭のみにしっかりと狙いを限定しつつ、
強力な合体技となって絡み合い、渦を巻きながら飛んで行く。

バルタン星人jr「ぐっ、脱出!」

もはやこれまでと見たバルタン星人jrがテレポーテーションで脱出した直後、
コクピットやメインコンピューターが収納されているビルガモの頭部は、
赤い火炎と青い熱線が混ぜ合わさった超高温熱波の直撃を受け、
一瞬で跡形もなく吹き飛んだのであった。

931凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/02/10(金) 23:00:50
バルタン星人jr「おのれシグフェル!
 だが勝負はまだ9回の裏が残っている。
 我々ETFの恐ろしさ…そして偉大なる皇帝陛下の強さを、
 お前達が存分に思い知る時が来るだろう。覚えていろ!
 フォフォフォフォフォフォ〜!!」
シグフェル「バルタン星人め…。いつでもかかって来い!」

戦いが終わった空にバルタン星人jrの声だけが響く。
後に残ったのは、両腕を落とされ頭を大破させられて、
無惨な姿となり機能停止したビルガモの残骸だけである。

ゴジラジュニア「グゥゥ〜!」
優香「………」

ゴジラジュニアは動かなくなったビルガモの腹部に噛みついて装甲を喰い破り、
開いた穴に片手を突っ込むと、ビルガモの体内にいた優香を掌に乗せて外へと運び出し、
ゆっくりと地面に降ろした。

光平「優香! 大丈夫か!?」
優香「ええ。ありがとう光平くん。
 そしてリトル…。助けに来てくれて本当にありがとう!」
ジュニア「キャォォ〜ン!!」

人間に愛情をたっぷり注がれて育てられたベビーゴジラは、
例え巨大なゴジラジュニアとなっても優香や光平の事を少しも忘れてはいなかった。
甘えるような甲高い猫なで声で鳴き、嬉しそうに優香の言葉に応えるゴジラジュニア。
こうして事件は無事解決したかに思われたが…。

ゴジラジュニア「グゥゥッ…!」
光平「な…何だ、あれは…!?」

突如、宇宙の彼方から現れた、
空を埋め尽くす無数の巨大円盤群が太陽の光を遮りゴジラジュニアの上に影を落とす。
バルタン星人jrの言う9回の裏の最終決戦――ETFの総力を挙げた地球総攻撃が、
遂に始まったのである!

バルタン星人「地球制圧は難航しているようだな、息子よ」
バルタン星人jr「父上、面目ない。
 だが、もうしばらくの時間さえ頂ければ必ず…」
バルタン星人「皇帝陛下はお前達の苦戦にひどくお怒りで、
 これ以上はもう待てぬと仰せだ。
 地球侵攻軍幹部の指揮権は現時刻をもって剥奪!
 今後の作戦は全て陛下が直々にお取りになるとの勅令が下っている」
チブル星人エクセラー「陛下が…!」
バルタン星人「全宇宙を支配する至高者であられる皇帝陛下の指揮の下、
 怪獣軍団による地球人絶滅計画、
 そしてブレイバーズ抹殺作戦を開始するのだ!」

いよいよ地球侵略に総力をつぎ込んで来たETF。
暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人が自ら指揮するかつてない規模の攻撃に、
果たしてブレイバーズは打ち勝つ事ができるのであろうか!?

932ホウタイ怪人 ◆sEGOS2kBD6:2017/02/12(日) 12:35:46
≪双子の姉弟 芽愛と優馬≫

菅野芽愛は、海防大学付属高校の総合普通科に通う1年生。
実は彼女は以前から、1年先輩である牧村光平に仄かな思いを寄せていた。
思い悩んだ末、ついに決断して告白に踏み切ろうとしたその日…。

光平「ハハハッ!」
優香「ウフフッ♪」

芽愛「――!!」

二人並んで仲良く下校する光平と優香の姿を目撃してしまった芽愛。
もう光平には付き合っている彼女がいたのだ。
まだ想い人と一度も会話を交わす機会すらないまま、
芽愛の人生最初の恋はあっけなく終わりを告げたのであった。

優馬「なんだよ姉貴、まだ振られた相手のことで悩んでるのか?」
芽愛「うるさいなぁ、もう…」

自宅2階のベランダで、ため息をつきつつ
夜空を見ながら物思いにふける彼女は、
双子の弟の優馬に失恋のことをからかわれる。

それから月日が経過したGWのある日、運命の時は訪れた。
家族での海外旅行からの帰りの途中、芽愛たちが乗っていた旅客機が
突如上空で乱気流に巻き込まれたのだ。
破嵐航空ロサンゼルス発東京羽田行き126便は、
ハワイ沖上空にて消息を絶つ。
同機に乗っていた乗客乗員全員の生存は絶望的かと思われた。

万丈「これはいったい…」

破嵐財閥傘下の航空会社の飛行機事故ということで、
ダイファイターに乗って事故現場と思われる海域上空を
自ら捜索する破嵐万丈。
しかし現場の海域には、乗客乗員の遺体どころか、
墜落したと思われる旅客機の破片一つ見つからなかったのである。

万丈「おかしい。まだ事故の発生からそれほど時間は経っていない。
 たとえ全て海流に流されてしまったのだとしても早すぎる」
ギャリソン@通信「万丈様、人工衛星から周辺を観測しました結果、
 旅客機失踪現場の上空付近で、ごく微量ですがタキオン粒子の反応が…」
万丈「なんだって!?」

タキオン粒子とは、超光速で動く粒子のことであり、
惑星間の超光速通信やタイムトラベルの理論などでよく用いられる。

万丈「まさか126便は、機体ごと巨大な時空クレバスに
 吞み込まれたのでは…!?」

933ホウタイ怪人 ◆sEGOS2kBD6:2017/02/12(日) 12:36:27
***異世界アセーリア・ロサレダ大陸南部のリジナス州にある某草原地帯***

優馬「――おいっ、芽愛! しっかりしろ!」
芽愛「う…ううっ……ここは?」
優馬「よかった…。気が付いたか」

芽愛と優馬が気が付いたとき、広い草原には二人の他に
不時着した旅客機の機体が横たわっていただけだった。
しかしなぜか、同乗していた両親や他の乗員乗客の姿は
どこにも見当たらなかったのである。
まるで神隠しにでもあったかのように…。

芽愛「いったいここは…?
 お父さん…お母さん…みんなはいったいどこ?」
優馬「いつまでもここでじっとしていてもしょうがない。
 とにかく歩いて行けるところまで行ってみよう。
 どこかに人がいないか探すんだ!」

幸いどこにも怪我のなかった芽愛と優馬は、
機体の中から当面の水と食料を見つけ出して確保すると、
リュックの中にありったけ詰め込んでから移動を開始した。
やがて二人は小高い丘の上から、いよいよリジナス州にも迫りつつある
サラジア黒三日月隊のの斥候部隊と、この地を納めるレンドルフ家の
州境警備隊の戦闘を目撃する。

芽愛「…せ、戦争?」
優馬「あの兵器は地球連邦軍や自衛隊の物とは違う。
 いったいどこの国の軍隊だ…? それにもう一方の側は
 持っている武器が槍や弓矢だけだなんて、
 いったいどこのファンタジー世界だよ」
芽愛「もしかして…ここは地球じゃないのかしら」
優馬「なんだかヤバそうだぜ。早くここから離れよう」

この日の衝突では、黒三日月隊の目的は州境の威力偵察だけだったので、
大した戦闘はなく小競り合い程度に終わったのだが、
身の危険を感じた二人はすぐさまその場から離れるのであった。
互いに励まし合いながら、見つけた川沿いを歩きつつ
野宿を繰り返すこと3日後、ようやく二人は人里を発見した。

芽愛「もし人がいたとしても、ここが異世界だとしたら
 日本語が通じるかしら…」

恐る恐る村の中へと足を踏み入れた二人だったが、
なぜか意思の疎通に問題はなかった。
テレパシーのように頭の中に話の内容が響く感じで、
村人の発する言葉の意味が解るのだ。

事情を説明して助けを求めた村長の家で、
食事と飲み物を提供された二人だったが……。

優馬「…おい、おかしいぞ芽愛。
 家の中に俺たち以外に誰もいない」
芽愛「えっ…!」

いつの間にか自分たち二人以外の人の気配が
消えていることに気が付いた優馬。
不穏な空気の中、突然部屋の中に鎧で武装した
兵士たちがなだれ込んできた。

村長「…こ、こいつらですよ!
 異世界からの侵略者どものスパイは!」
衛兵「怪しい奴らめ! 神妙にしろ!」
優馬「な、なんだお前ら!?」
芽愛「い、いやっ!! 放して!」

村人たちは、二人の見たこともない奇妙な身なりから、
黒三日月隊の仲間だと疑い、こっそり州境の警備隊に密告したのだ。
縄打たれた二人は州境の砦に連行され、牢獄へと繋がれてしまった。

優馬「おい! 俺たちをここから出せぇ〜!!」
芽愛「もうイヤ。どうしてわたしたちがこんな目に……」
優馬「泣くなよ。芽愛のことは弟の俺が
 何があっても絶対に守るから!」
芽愛「優馬……」

そんな時であった。メルヴィオン王家唯一の生き残りであるラウール王子が、
ナレイン・レンドルフに導かれてリジナス州境の砦へとようやく到着したのは…。

衛兵「ナレイン様、ご無事で何よりです」
ナレイン「ご苦労だった。ところで牢にいる
 あの者たちは何者だ?」
衛兵「この地を探りに来た黒三日月隊の手の者だと思われます。
 明日にでも拷問にかけて吐かせてやります」
ラウール「見たところ、まだ僕たちとも同じくらいの年頃だ。
 敵の密偵だなんて、何かの間違いではないのか?」
衛兵「は、はぁ…しかし……」

鉄格子を挟んだ向こうに立つ貴公子風の少年の顔を見て、
芽愛はびっくりする。

芽愛「ま、牧村先輩!?」
ラウール「キミは…?」

ラウール・エル・アディラスと菅野芽愛、運命の出会いであった。

934凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/02/18(土) 20:07:55
≪アセーリア編・『仮面ライダーカブト』関連設定案≫


■三種の神器

メルヴィオン聖王国の王家に伝わる三つの神聖な宝物。
王剣メルヴィカリバー、王璽ザビーゼクター、王輪ザビーブレスの三つを称してそう呼ばれる。
この内、王剣だけは建国の祖である初代王アディラス一世が神であるセイロスから授かったもので、
残る二つは三代目の王アディラス三世の時代にメルヴィオンの宮廷魔術師が造ったものである。


■王剣メルヴィカリバー

メルヴィオン聖王国の三種の神器の一つで、王家に伝わる神聖な剣。
歴代国王が佩いてきた煌びやかなロングソードで、抜群の切れ味と強度を誇る。
初代王アディラス一世が天下統一に立ち上がった際、
創造神セイロスから授かったと言われる鎮護国家の象徴。

通常の剣と同様、刃を敵に当てて斬るのが基本的な使い方だが、
剣身に帯びた魔力を操って炎や水や稲妻などの攻撃魔法を放つ事もできる。
国王アディラス十六世が黒三日月隊に敗れて自害した際、
家臣のキクマル・サダムネに託してラウール王子に授け、
以後、ラウールの強力な武器、また王家の正統な後継者としての地位を証するアイテムとなる。


■王璽ザビーゼクター

メルヴィオン聖王国の三種の神器の一つで、王家に伝わる神聖な璽(じ)。
璽とは王や皇帝が使う印章の事で、
メルヴィオンの歴代国王が勅令を発する文書などに押印するのに使用される。
蜂のような形状で黄金色の二枚の羽根があり、
自らの意思を持って空を飛び自在に動き回る事ができる。

人々を率いる優れた統率力のある人物を持ち主として好み、
自分を使うに相応しい王を己の意思によって選ぶと言われている。
もし王に王たる資格無しと判断した場合はその王の元から逃げてしまい、
ザビーゼクターに見捨てられた王はもはや国を治めるには不適格と見なされ退位せねばならない。
(「神聖な王璽に王として認められていないから」という権威の裏付けを失う問題と、
 「勅令を発効するのに必要な印章が使えなくなるから」という物理的に政務不能になる問題のため)

国王アディラス十六世が黒三日月隊に敗れて自害した際、
ネクナールの王宮を飛び去って空の彼方へ消えるが、
やがて王家の跡取りとして黒三日月隊と戦うラウール王子の元に現れ、
彼をメルヴィオンの次なる王に認めるかのようにその手に収まる事になる。


■王輪ザビーブレス

メルヴィオン聖王国の三種の神器の一つで、王家に伝わる神聖な腕輪。
歴代国王が腕につける事のできる権威の象徴だが、
常時身につけているものではなく、国家存亡の危機が訪れた時にのみ王が腕に装着し、
更に王璽ザビーゼクターをこれに嵌め込む事で、国を救う奇跡の力が発動すると伝えられている。
そのため普段は王宮を遠く離れたコンクェイテューラの神殿に保管されており、
危急の非常時にのみ大司教の許しを得て特別に神殿から持ち出される。

黒三日月隊の侵攻によって王都ネクナールが陥落すると、
今こそ王輪を使うべき危機の時と判断した大司教代理のシンディラ・アシヌスは、
王輪をレミーナ・ラプエンテに託してラウール王子の元へと届けさせ、
神器が持つ不思議な力が窮地に落ちたラウールを救う事になる。

935凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/02/18(土) 20:10:04
■王鎧ザビークロス

メルヴィオン聖王国の三種の神器である王輪ザビーブレスに、
王璽ザビーゼクターを合体させると出現すると言われている神聖な鎧(聖衣=クロス)。
装着者の全身を完全に覆い尽くす装甲で、その姿は蜂を模した戦士のように見える。
これを纏った王は圧倒的な力を得て時の流れさえも超越し、
いかなる敵をも撃ち破る事ができるようになると伝えられている。

地球でZECTが開発したマスクドライダーシステム・ザビーと
ほとんど同じ外見・機能を持つ「アセーリア版の仮面ライダーザビー」だが、
200年以上前のメルヴィオンの宮廷魔術師がこのようなものを造った理由、
またそれを可能にした高度なオーバーテクノロジーの由来は現在のところ不明である。

黒三日月隊の友軍としてアセーリアへ侵攻してきた
Gショッカー怪人軍団の前にラウール王子は窮地に陥るが、
レミーナ・ラプエンテが携えてきたザビーブレスを渡され、
飛来したザビーゼクターがそこに合体して、
ザビークロスを纏ったラウールは怪人をも倒す強力なパワーを得て戦う。


■皇璽ハイパーザビーゼクター

メルヴィオン聖王国の王家に伝わる最高度に神聖な璽。
王璽ザビーゼクターを更に美しく絢爛にしたような外見をしており、
同じく自らの意思を持って自在に空を飛び回る事ができる。
王鎧ザビークロスを更に強化させた皇鎧ハイパーザビークロスを出現させる事ができ、
これを纏った王は何物をも撃ち砕く究極の力を得るばかりか、
過去や未来へと時を旅する事すら可能になるという。

国全体に及ぼす影響が非常に大きい政策や、
メルヴィオンの国体を著しく変更するような根本的改革を王が行うに際しては、
印章として王璽ではなくこの皇璽を勅令文書に押す事が必要とされる。
普段はクロエラの地下神殿に厳重に保管されており、
そのような重大な政治決定を王が下す時や、
皇鎧の力が必要なほどの重大な緊急事態にのみ神殿から持ち出されるが、
強い意思を持っていて王璽以上に厳しく使用者の資質を問うため、
王が不適切な政策や改革をしようとしたり、皇鎧の超強力なパワーを間違った目的で悪用しようとしても、
皇璽の意思によって使用を拒否されてしまい実行できないようになっている。

訳ありの過去を持つラウール王子に父王アディラス十六世は、
己の出生の秘密を知りたければこの皇璽を手にするようにと遺言。
ラウールを自分を使うに相応しい英雄と認めたハイバーザビーゼクターは、
時空を越えるその力によって、隠された全ての謎を解き明かし彼に教える事になる…。


■プリミティブ

遠い昔、宇宙の彼方から隕石に乗ってやって来た、
ネイティブよりも更に古くからアセーリアにいるワームの一種族。
今から35年前に地球に漂着したネイティブがそこから時空を越えてアセーリアに進出したのは20年前だが、
プリミティブのアセーリアへの到来はおよそ300年前にまで遡る。
普段は人間の姿に擬態して人間社会に溶け込んでいるが、
実は人間ではなく虫型のエイリアンである。

ネイティブやGショッカー所属のワームは邪悪な本性を持つ侵略者だが、
プリミティブは彼らとは性質の異なる友好的な種族で、
母星の戦乱を逃れて時空を越えアセーリアまで亡命してきたらしく、
メルヴィオン聖王国に平和的に移民し、数々の優れた技術や文化を伝えて、
一部の者は宮廷でも地位を得て歴代のメルヴィオン王に重く用いられた。
特に第三代国王アディラス三世は彼らを好んで数多く登用し、
プリミティブが持つ先進知識を取り入れてメルヴィオンの礎を築いたと言われるが…?

936凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/02/18(土) 20:18:19
≪メルヴィオン東部戦線≫

サラジア共和国の黒三日月隊の侵攻によってメルヴィオン聖王国の都ネクナールは陥落。
国王アディラス十六世以下、多数の王族が死亡し王国政府は崩壊した。
電撃戦で敵国の首都を落とした黒三日月隊はそこから各地方へ兵を送り、
ロサレダ大陸全土の征服を目指す。

レミーナ「州境を厳重に封鎖して!
 領内の全騎士団は直ちに戦闘準備を!
 例え国王陛下が敗れたほどの強敵だろうと降伏なんてもっての外。
 名門ラプエンテ家の誇りにかけて全力で迎え撃つわよ!」

ロサレダ大陸東部のイマレス州で王都陥落の報せを聞いたレミーナ・ラプエンテは、
まさかの事態に強いショックを受けながらも、
ともかく領内の守りを固め、黒三日月隊と戦う準備を進める。
黒三日月隊が一体どのような軍勢で、十万の王国軍がなぜ惨敗したのかについては情報不足だったが、
ともかく相手は不敗の名将アディラス十六世すら敗れたほどの強敵。
警戒したレミーナは軽率に野戦でぶつかるのを避け、
州境付近の砦に兵を籠もらせて籠城戦の方針を取った。

カシム「この州の騎士どもは臆病者揃いか?
 早く出て来なければ、領民がこのような目に遭うぞ!」

黒三日月隊の先遣隊としてムオジネル人傭兵部隊を率いて攻め込んで来たカシムは、
堅牢な砦に立て籠もった敵を野戦に誘い出すため、
各地の村を襲って奴隷狩りを行なうのみならず、
捕らえた者の何人かを残酷な仕方で公開処刑してレミーナを挑発した。

ロラン「このような卑劣な挑発はムオジネル軍の常套手段。
 必ず罠があるに決まっています。しばしご辛抱を」
レミーナ「でも民を守る事こそが私達の務め。
 このまま放置していたら、奴らは更に領民を殺し続けるわ!」

怒りに燃えたレミーナは家臣として召し抱えたリザレクターで、
ムオジネル王国と同じ世界の出身である黒騎士ロランを連れて出陣。
メルヴィオン屈指の強兵として知られる赤い軍装の騎士団「ラプエンテの赤備え」は、
鬨の声を上げてムオジネル勢に攻めかかり、
ロランの卓越した武勇もあって優勢に戦いを進める。

レミーナ「王家の方々の仇よ。
 徹底的に追撃して全滅させてやるわ。続けぇっ!!」
ロラン「深追いは禁物! 油断なされるな!」

人質として幼少期を王宮で過ごしたレミーナにとって、
戦死した王族一家は皆、ずっと心から敬愛してきた第二の家族のような存在である。
ムオジネル勢を怒りの猛攻で突き崩し追撃戦に入るレミーナだったが、
ロランが警告した通り、これは罠であった。
敵を追って乗り込んだ先の草むらにはマシンガンを構えたサラジア人の傭兵が大勢待ち構えており、
ラプエンテ隊は機銃掃射を浴びて多数の死傷者を出してしまう。

レミーナ「な…何なの? あの武器は!?」
ロラン「トリスタン平原で王国軍を壊滅させたのはあの飛び道具か!」

黒三日月隊の恐ろしさを緒戦で思い知らされたレミーナ。
命からがらアキシアの城まで退却したものの、
力の差は圧倒的で、いかに精強を誇るラプエンテ家の騎士団でも勝算は全くないと言っていい。
遠からず全滅という未来が見え、城内には絶望的な空気が流れる…。

937凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/02/18(土) 20:22:02
暗澹とした空気に沈むアキシア城。
だがそこへ、南からの吉報を携えて一人の急使が飛び込んで来た。

伝令「お喜び下さいませ。ラウール王子殿下はご健在です!
 殿下はリンディ姫様と共にレンドルフ家の領地であるリジナス州へお逃れになり、
 ノアトーンを拠点に黒三日月隊討伐の兵を挙げられたとの事!」
レミーナ「良かった…!
 ラウールもリンディも無事なのね!」

修業の旅に出たまま混乱の中で消息不明となっていたラウール王子がノアトーンへ辿り着き、
亡き父王から王剣を受け継いだ王家の正嫡として祖国再興のため決起したのである。
先程までの重苦しい絶望感から一転、喜びに湧き立つ城内。

レミーナ「聖なる神器の力を使うべき危急の時は今…。
 ラウールが王輪を持てば、何かが起きるかも知れないわ」

ここでレミーナは、この国に伝わる聖なる神器の伝説を思い出す。
メルヴィオンには、王剣メルヴィカリバー、王璽ザビーゼクター、
そして王輪ザビーブレスという、「三種の神器」と呼ばれる三つの神聖な宝物が存在するのだ。
王剣を除く二つは第三代国王アディラス三世の治世に造られた物で、
メルヴィオンが大いなる危機に見舞われた時、
王輪を腕につけた王が王璽をそれに嵌め込むと、
聖なる王鎧(聖衣)が出現し、人々を救う超越的な力がそれを纏った王に授けられるという…。

レミーナ「急いでコンクェイテューラの神殿へ登るわ。
 アシヌス大司教に掛け合って、王輪の持ち出しをお許し下さるようお願いしてみる。
 そしてそれをラウールへ届けに、援軍を率いて大船団でノアトーンへ向かうのよ!」

王輪ザビーブレスは国家危急の非常時のみ持ち出される事になっており、
普段はラプエンテ家の所領があるイマレス州の北、
険しい山岳の奥に築かれた学都コンクェイテューラの神殿に厳重に保管されている。
今これをラウールに届けられるのはレミーナしかいないのだ。
レミーナは急遽コンクェイテューラへ向かい、
神殿を管理する大司教を説得する事にした。

シンディラ「今こそ聖なる王輪の力が必要な時です!
 港のあるアキシアまで下り、ラプエンテ家の方々に王輪を託せば、
 海路でラウール殿下のおられるノアトーンまで運んでいただく事ができるはず!」

レミーナに頼まれるまでもなく、
コンクェイテューラでもシンディラ・アシヌス大司教代理らの考えている事は同じであった。
黒三日月隊の軍勢が大挙攻め寄せ、アキシアとコンクェイテューラが分断される中、
レミーナは南から、リナ・インバースらと出会ったシンディラは北から、
ザビーブレスを受け渡すためにそれぞれ打通作戦を開始する。
メルヴィオン聖王国VS黒三日月隊の戦争の、
後に東部戦線と呼ばれる事になる東の半島での戦いの始まりである…。

938凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/02/18(土) 20:29:07
≪南海の救出作戦≫

シンディラから王輪ザビーブレスを受け取ったレミーナは、
ロランを始めとする配下の兵七千騎と共に軍船に乗り込み、
ラウールがいるロサレダ大陸南端のノアトーンを目指して出港した。
陸伝いに航行すると途中で黒三日月隊の攻撃を受ける危険があるため、
他大陸への外征も想定して建造された遠洋航海にも耐えられる大型船で、
海流に乗ってアキシアから一気に真南へ向かい、
ノアトーンと同じ緯度まで南下してから西へ転進するという逆L字の航路を取る。

レミーナ「何て嵐なの…!」
ロラン「このままでは沈没するぞ!」

ところが、南下を終えていよいよ西へ舵を切ろうという所で船は暴風雨に遭遇。
海が大荒れのため、西へは進めなくなってしまう。

レミーナ「仕方がないわ。
 一旦東へ進路を取ってマウロ島に寄港しましょう」

進路を阻む巨大ハリケーンの突破を断念したレミーナは、
思い切って船を反対方向へ向け、東にあるマウロ島という島を目指す。
マウロ島はエスパジア王国の最西端に位置する無人の離島で、
エスパジアとメルヴィオンを行き来する船の寄港地として、
メルヴィオン船籍の船にも停泊が許されていた。

ロラン「島の様子がおかしい…。無人島ではないようだ」
レミーナ「いつの間にあんな建造物ができていたのかしら?」

マウロ島へ辿り着いたレミーナは、
無人島だったはずの島に巨大な建物がいくつも建っているのを見て驚く。
アセーリアの文明とは全く異質な、
鉄筋コンクリート製の近代的な工場や研究所、軍事基地などの施設群である。

竜尉隊長「休まず働け! 怠けている者は銃殺するぞ!」

ここは地球の某国の秘密軍事組織・赤イ竹がアセーリアに築いた秘密基地であった。
時空を越えてアセーリアに現れた赤イ竹はエスパジアからマウロ島を租借し、
地球の諸国家の目が届かないこの異世界で密かに兵器などを大量生産していたのである。

ペデラウス「父なる神イアルダボートの教えに背いた罪人ども、
 全部で120名を連行して参った。
 存分に鞭打って働かせ、涜神の罪を償わせていただきたい」
竜尉隊長「労働力の提供に感謝する。
 こちらは地球で我々が使っているアサルトライフルという銃だ。
 では等価交換という事で、奴隷の人数と同じ数だけ貴国にお渡ししよう」

聖戦と称して大規模な対外戦争を起こそうとしていたエスパジアは赤イ竹と手を結び、
異端審問で逮捕した異教徒らを奴隷として赤イ竹に売り飛ばす代わりに、
銃火器などの地球製の兵器を彼らから手に入れ、
戦争のための軍備の増強を進めていたのであった。

ロラン「我らの目的はラウール殿下の軍を救援し、
 聖なる王輪を殿下にお届けする事。
 奴隷の窮状は大いに哀れむべきではありますが、
 このような所で戦闘して無駄に兵を損ずるのは考えものかと…」
レミーナ「フフッ、そうは言いながらも、
 胸に燻っている熱い正義感を隠し切れていないわよ、ロラン。
 本当は皆のために戦いたいんでしょ?」
ロラン「確かに正直な心境を明かせば、
 このような非道を目にしながら苦しんでいる者達を見捨てて島を去るのは、
 騎士道にもとる不義であろうと強く思います」
レミーナ「余計な道草かも知れないけど、
 もし勝てれば私達としても得るものは大きいわよ。
 黒三日月隊も使っていたあの強力な飛び道具をまとめて鹵獲できれば、
 ラウールが戦うのにも助けになるわ。
 よし、やりましょう!」

工場から脱走してきた奴隷を匿い、事情を聞いたレミーナは、
奴隷達を救出するため赤イ竹と一戦交える事を決意。
島にはエスパジア軍へ売却されるため地球から運び込まれた大量の武器弾薬があり、
人助けのついでにこれを戦利品として頂戴しようという算段である。
だが、赤イ竹は地球でも各国から恐れられている強力な軍事組織。
果たしてレミーナに勝利の秘策はあるのだろうか…?

939ホウタイ怪人 ◆sEGOS2kBD6:2017/02/19(日) 09:26:59
≪鳴州の龍≫

ヒノイズル大陸を統治するアオイ国の最南端、赤道直下で常夏の国「鳴州(めいしゅう)」。
ここに大量の異国人――いや、異世界人が漂着した。
地球で失踪した破嵐航空ロサンゼルス発東京羽田行き126便の乗客たちの内、
科学者や工業・農業技術者、知識人層を主とする大人たちである。
鳴州太守・源 真斗射(みなもとの まとい)は、
人道的な見地に基づき漂流民たちを丁重に保護するように命じる。

元々先進的・開明的な視野を併せ持ち、珍しい物好き・新しい物好きである
真斗射は、乗客たちが持っていた科学文明の利器の数々に対して
並々ならぬ興味を示す。

真斗射「ほぉーこれがスマホっちゅうんか? 奇妙なもんじゃのう!
 こんな小さな板の中に人がおるんか!」
スマホの持ち主「いえ、それは動画に人が映っているだけでして…(汗」

特に真斗射が興味を示したのが、126便に搭乗していたICPO捜査官が
携帯していた「拳銃」であった。
乗客たちの間では、未知の異世界の人間に「平和な民生用の技術」ならばともかく
「武器の技術」を渡してしまうことに慎重であるべきだと主張する声もあったが、
鳴州政府の世話になる以上、地球産兵器の技術供与もやむを得ないとする声が
やがて多数を占めた。
さっそく126便にたまたま搭乗していた、四菱重工業に務める軍事関係の
技術者が協力を申し出、真斗射は城下の鍛冶職人たちに鉄砲の量産を命じるのであった。
アオイ国に「鉄砲伝来」が起こった瞬間であった。
その代わり真斗射は乗客たちに、他の行方不明の乗客たちの捜索や、
無事に元いた世界(地球)へ帰るための方法を探すための
協力を全面的に約束するのであった。

それから2年後、126便の農業関係者の品種改良及び大規模農場化の指導により、
鳴州の農産物は劇的に品質価値が向上して評判となり、地方や海外に向けて
大量に輸出されて、アオイ国に大きな富をもたらしていた。
農民たちの生活も飛躍的に向上し、大いに喜ばれた。
そして得られた資金を活用し、126便の造船技師の協力の下に
鳴州は近代的な鋼鉄製の軍艦(地球の時代でいうと明治レベル)
も数隻保有・運営するほどまでになっていた。

その頃、海の向こうのロサレダ大陸では、
サラジア黒三日月隊と名乗る謎の軍事勢力が
メルヴィオン聖王国を蹂躙。
そしてロサレダ大陸とヒノイズル大陸の中間に位置する
海上交易の要衝エスパジアでも、急進的な宗教警察が
国の実権を握ったとの不穏な情報が
アオイ国側にもたらされる。

……そう、アオイ国・鳴州に流れ着いた126便の乗客たちは、
ロサレダ大陸に菅野芽愛・夢馬姉弟が辿り着いた時点より
2年も前の時間帯に遡ってタイムトラベルして漂着していたのだった!

メルヴィオンやエスパジアの混乱には
時空を超えてやってきた異世界人が関わっているという噂から、
鳴州にいる126便の乗客たちにも自然と疑いの目が向けられるが…。

乗客代表「信じてください! 私たちは貴方がたに敵意など抱いてはいません!」
真斗射「そんなことはこのわしがよくわかっちょる!
 この鳴州で誰もおんしらを疑っとる者などありゃーせん。安心せい。
 じゃがメルヴィオンやエスパジアの情勢不穏、
 大君殿下から鳴州を預かる太守として、このまま静観しておる
 わけにもいかんぜよ。はてさて、どうしたものか…」

特に海上交易で栄える鳴州にとって、ロサレダ大陸との交易の中継点である
エスパジアとの関係が絶たれるのは大きな痛手となる。

萌衣「兄様、わたしが海を渡り、向こうの様子を探ってまいりましょう」
真斗射「萌衣か。また苦労を掛けるが、ちと頼むぞ」
萌衣「お任せください。兄様の為ならば、なんのこれしきのこと」

真斗射の妹で、鳴州の隠密軍団を束ねる
くノ一でもある萌衣(めい)姫は、精鋭の部下数人を引き連れて
エスパジア、そしてロサレダ大陸へと潜入する。
果たしてアオイ国から海を隔てた向こうで、
萌衣たちを待ち構えているものとは!?



〇源 萌衣
アオイ国鳴州太守・源 真斗射の妹姫。
鳴州の情報機関(隠密組織)のトップでもあり、
自身もまた凄腕のくノ一である。
兄・真斗射に絶対の忠誠を誓っている。

940ホウタイ怪人 ◆sEGOS2kBD6:2017/03/03(金) 21:29:26
<アセーリア編 新キャラ案>
〇フランシス・マラーク大佐
地球連邦軍の退役軍人。歴戦を勝ち抜いてきた作戦参謀にして
軍事教練のプロフェッショナル。隻眼の黒人。
退役してこれから余生を楽しもうとしていた矢先に
破嵐航空126便の異世界転移事故に巻き込まれた。
その経験を買われてアオイ国鳴州政庁の軍事顧問となり、
後に交易船団に同行してメルヴィオンにも渡り、
ラウール軍に協力することになる。

941ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2017/03/04(土) 17:57:27
<<狙われた国際大会編(仮)>> ※バルモンド戦パート

米国大統領が使用する空軍機、通称「エアフォース・ワン」エアフォース・ワンに戻った
マイケル・ウィルソンは自身の専用パワードスーツ「メタルウルフ」で出撃する。

ジョディ「大統領。ご武運を」
マイケル「OK.Let’s Parry...!!」

出撃したメタルウルフはドラキュラ率いる吸血鬼軍団の前に現れる。

マイケル「さぁ、吸血鬼共。パーティーの相手をしてもらうぞ」
ドラキュラ2世「これが噂に聞くメタルウルフか...!」

マイケル・ウィルソンの乗るメタルウルフは装備しているマシンガンや
ミサイルを吸血鬼に向けて放つ。

ブラックパンサー「我々も負けてはいられないぞ。キャプテン」
キャプテン・アメリカ「勿論ッ!フンッ!!」
ドラキュラ三世「何をッ!ぐはぁ」

メタルウルフの活躍に負けじとブラックパンサーは爪で、吸血鬼を切りつけ、
キャプテンはドラキュラ三世に強烈なパンチを繰り出した。

ダコスタ「出口です、皆さん」
楊志「―ッ!ここにも妖怪帝国が」
カガリ「あれは、マイケル・ウィルソン大統領のメタルウルフ!」

そこへスタジアムから避難してきたカガリ達VIPが、メタルウルフと
ドラキュラ達の戦いに遭遇する。

942ユガミ博士 ◆AOwcv36qk.:2017/03/04(土) 18:58:30

バリーンッ!

村雨「うわぁ!」
楊志「村雨!一清!」

スタジアムの窓が割れると先程バルモンドから皆を守る為に残った村雨と
一清道人が落ちてくる。続いてバルモンドとミイラ軍団がマイケル・ウィルソン達が
戦っている場所へ降り立つ。

マイケル「吸血鬼に続き、今度はミイラか!」
バルモンド「苦戦をしているようだな。ドラキュラ。俺が手を貸してやろうか?」
ドラキュラ2世「フンッ!好きにしろ」

ミイラ軍団が加わり、メタルウルフやキャプテン・アメリカ、村雨達はVIPを
守りつつ戦っていく。護衛役であるダコスタやキサカも銃で応戦するが、
ミイラや吸血鬼が相手では効果が無く苦戦を強いられる。

キラ@Sフリーダム「ラクスゥゥゥ!」
アスラン@∞ジャスティス「無事か、カガリ!」
カガリ「フリーダムにジャスティス...キラとアスランが来てくれたのか」
ラクス「(キラ・・・)」

そこにキラとアスランが操縦するS(ストライク)フリーダムと∞(インフィニット)ジャスティスが
エターナルと共に、カガリやラクス達の窮地に駆け付ける。

バルモンド「MSという奴か...面白い。相手をしてやろう」

バルモンドはSフリーダムと∞ジャスティスを相手に巨大化して2機の
ガンダムを相手に立ちはだかった。

キラ「巨大化した...!?」
アスラン「そこをどけぇー!」

キラとアスランはSフリーダムのカリドゥス複相ビーム砲やシャイニングエッジ
ビームブーメランで攻撃をするが、不死身のバルモンドには効かなかった。
かつてバルモンドは鬼太郎が地獄の鍵を用いて召喚した地獄の炎による技
「獄炎乱舞」によって倒されたが、現在鬼太郎は他の場所で戦っている為、
バルモンドの所へ行けなかった。

バルモンド「人間の造ったMSというのは、この程度か?笑わしてくれるッ!」

ボォンッ!

バルモンド「―ッ!今の攻撃は...?」

Sフリーダムと∞ジャスティスを相手に余裕を見せるバルモンドは
突如、攻撃を受ける。そして攻撃が放たれた方向に目を向けると、
そこにいたのは1人の魔人だった。

マイケル「魔人バルゴグ...」

943凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/03/05(日) 12:30:38
≪太陽系オリンピック・プロローグ≫

***12年前 ダカール・マクロスシティ***

アルハザード「ふむ、こんなところだろう」

もう一昔以上前の、ある暑い日…。
サラジア共和国のアフマド・アルハザード大臣は、
大統領に随伴して地球連邦政府の議会があるセネガル共和国の首都ダカールを訪れ、
マクロスシティの中にある宿泊先の高級ホテルに籠もって、
明日の連邦議会で予定されている大統領演説の原稿をチェックしていた。

アルハザード「地球連邦の一員として、
 より一層大きな役割を我がサラジアが果たしてゆく…か。
 偽善もいいところだが、欧米の列強どもを黙らせるには、
 これも今は必要なパフォーマンスというものだろう」

アメリカを筆頭とする世界の主要国とは決して関係が良好でないサラジアだが、
この時点では、表向きは地球連邦の一加盟国としてあくまで穏便に振る舞い、
一部からは警戒されつつも国際社会における一定のポジションを確保している。
今回もアフリカで多発しているテロを根絶するため、
サラジアは新たに3億ドルを地球連邦政府に供出し、
世界平和のため貢献するというポーズを取る事になった。

アルハザード「う〜む、デスクワークは肩が凝るものだ。
 少し外を散歩して来よう」

仕事をひと区切り付けたアルハザードは席を立ち、
息抜きにホテルを出て付近を散策しようと外へ向かった。

  ◇  ◇  ◇

テロリストA「さあ、やるんだ!」
テロリストB「それとも、今ここで銃殺されたいか?」
少女「………」

その頃、ホテルの裏にある茂みでは、
二人の若いテロリストがまだ年端も行かない黒人の少女に銃を突き付けて脅していた。
ここセネガルを拠点とする北西アフリカの武装組織・サヘルの獅子。
アフリカの貧困の原因は地球連邦政府の不公正な統治にあると主張し、
反連邦を高らかに掲げる革命家達のグループだが、
実態は正義のためと称して一般市民を標的にしたテロを平然と行う、
血も涙もない狂気の殺戮集団である。
彼らは襲撃した村から拉致した10歳の少女を脅迫し、
自爆テロによってサラジア代表団の宿所を爆破させようとしていた。

テロリストA「サラジアは愚かにも我々を裏切り、
 我々を撲滅しようと企む地球連邦政府に多額の資金を提供した。
 このような卑劣な背信には血の報いを臨ませなければならない。分かるね?」
テロリストB「お前はただ奴らの所へ向かって歩くだけでいい。
 我々が遠隔操作で爆弾を起動させ、奴らを葬り去る。
 これは正義の行いだ。正義のために、進んで命を差し出すんだ」

少女のTシャツの下には爆弾が巻き付けてある。
ホテルの中に少女が迷い込んだふりをして侵入したところで、
テロリスト達が起爆ボタンを押し、
館内にいる大統領らサラジア代表団を少女ごと木端微塵に吹き飛ばすという、
子供を利用した非情極まる自爆テロである。

944凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/03/05(日) 12:32:53
テロリストA「どうした? できないのか」
テロリストB「嫌なら、今ここで死を選ぶか?」
少女「いいえ…」

拉致されたばかりの少女は、無論サヘルの獅子の思想に酔いしれている狂信者などではない。
当然ながら、彼女は死ぬのをひどく恐れていた。
だが、もし自爆を拒否すれば射殺すると少女はテロリスト達に脅されているのだ。
やろうとやるまいと、もはや少女の命はないのである。

少女「分かりました。やります…」
テロリストA「よく言った。成功を祈る。自由サヘル万歳!」
少女「自由サヘル万歳…」

上擦った声で敬礼し、少女はホテルの入口に向かってゆっくりと歩き出した。
一歩一歩、踏み出す足もガタガタと震えて躓きそうになる。
そうしてホテルの敷地に少女が入った時、中から一人の男が出て来てぶつかった。

アルハザード「む? 何だね、君は」
少女「あ、あの…、ごめんなさい」
アルハザード「子供がこんな所で何をしている?
 何をそんなに怯えているのだ? 君は…」

見るからに挙動不審な少女が自分の脇腹に妙に目をやっているのを見て、
アルハザードは異常に気付いた。
ほんのわずかだが、服がそこだけ不自然に盛り上がっている。

アルハザード「これは…!」

魔法による透視で、アルハザードは少女の服の下に隠された小型爆弾を発見した。
サヘルの獅子という、自爆テロを常套手段とする非道なテロ組織の噂はアルハザードも聞き及んでいる。
状況をすぐに察したアルハザードは少女の脇腹に素早く手をかざした。
カチッ、と小さな音がして、下着のシャツの上に付けられていた爆弾の起爆装置が魔法の力で故障する。

アルハザード「怖がる必要はない。もう爆弾は爆発しない。
 可哀想に…。自爆するよう悪い大人どもに強要されたのだな」

アルハザードは念動力で爆弾を触らずに少女の体から取り外した。
少女が不思議そうに見詰める中、爆弾はふわふわと宙に浮いて
アルハザードの手に吸い寄せられる。

少女「ご…ごめんなさい…私…その…」
アルハザード「安心しなさい。君は何も悪くない。
 君に対して怒ったりはせんので大丈夫だ。
 …ただし、こんな手で私を殺そうとした連中の事は許せんがね」

困惑して泣き出しそうになりながら、
少女はセネガル訛りのフランス語で必死に謝ろうとする。
アルハザードは爆弾を掌の上で転がしながら少女に言った。

アルハザード「ここを動くんじゃないぞ。
 この爆弾を、元の持ち主に返して来なければならん」

945凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/03/05(日) 12:37:52
テロリストA「なぜだ…! なぜ爆弾が爆発しない!?」
テロリストB「故障か? そんなはずは…」

起爆ボタンを何度押しても爆発が起きないのを見て、
うろたえる二人のテロリスト達。
そこへ一陣の冷たい風が吹き、黒いローブに身を包んだ怪人が彼らの前に現れた。

テロリストA「な…何だ貴様は!?」
バルゴグ「泣く子も黙る砂漠の魔人だ。
 もっとも、この界隈ではあまり馴染みはないだろうがな」

片手に魔法杖を持ち、もう片方の手で爆弾を弄びながら、
黒装束の魔道師バルゴグは死神のように囁く。

バルゴグ「子供を利用した自爆テロか…。
 この私を葬る手段としては下の下だな。
 頭のいかれた愚か者どもには制裁を加えてやろう」
テロリストA「貴様、さてはサラジアの手の者だな?」
テロリストB「地球連邦の犬め! くたばれ!」
バルゴグ「プロテス!」

バルゴグに向けて機関銃を乱射する二人のテロリストだが、
銃弾は防御魔法で張られた結界に弾かれ、全くダメージを与えられない。

バルゴグ「連邦の犬とは笑止…。
 アジアの国の格言に、〝ちっぽけな小鳥には巨鳥の大志は分からない″
 という意味のものがあるが、まさに君達の事だな」
テロリストA「連邦に多額の金を積んでひれ伏しておきながら、
 よくもぬけぬけと!」
テロリストB「サラジアの腰抜けぶりには失望したぞ。
 我々は貴様らを、この歪んだ世界を引っ繰り返す革命の同志だと思っていたがな」
バルゴグ「それには手順というものがあろうが…。
 破壊と殺戮しか能のない単細胞の君達に、
 これから世界の引っ繰り返し方のお手本を見せてやる。
 ゆっくりと見学しているがいい。地獄でな」
テロリストA・B「うわぁぁっ!」

左手のハンドジャックナイフを横薙ぎに鋭く一閃したバルゴグは、
二人のテロリストの足を切りつけ、歩けなくして地面に倒れさせた。

バルゴグ「これは君達の物だ。受け取りたまえ」

バルゴグは持っていた爆弾を倒れている二人のテロリストの足元に投げ転がした。
踵を返し、悠然と立ち去って行くバルゴグ。
やがて振り返ったバルゴグは、遠くから魔法杖を向けて呪文を唱えた。

バルゴグ「メラ!」
テロリストA・B「ぐわぁぁぁっ!!」

杖の先端から放たれた火球が爆弾に命中し、
誘爆を引き起こして辺り一帯を吹き飛ばした。
その後現場に急行し、焼け焦げた二人の遺体を確認した地元警察は、
爆弾テロ犯が誤って自分の爆弾で事故死してしまったものと断定し、
容疑者死亡のまま二人を書類送検したのであった。

アルハザード「悪人どもはあの世へ送っておいた。もう何も心配はない」
少女「………」

ホテルの前へ戻って来たアルハザードは、
そう言って少女の頭を優しく撫でた。

アルハザード「まだ震えているな。
 サラジア人は悪魔だとでもテロリストに教育されたのかも知れんが、
 私は悪魔などではない。もっと凄いものだ」

アルハザードは地面に転がっていた小石を念動力で浮かせ、
手品を見せるようにして少女を慰めた。
初めは呆然としていた少女だが、その目が次第に感嘆の色に変わってゆく。

アルハザード「外は暑い。まずは上がりなさい。
 サラジア代表団にはフランス語の通訳もいる。
 冷たいジュースでも飲みながらゆっくり話そうじゃないか」

少女の手を引いて、アルハザードはホテルの中に彼女を招き入れた。
通訳を介した会話で、少女は泣きながら自分の悲劇的な事情をアルハザードに話した。
村を襲ったサヘルの獅子に両親を殺され、自分だけ拉致されて、
もう帰る場所もないと聞かされたアルハザードは彼女を引き取り、サラジアへ連れて帰る事にした。
サヘル砂漠の外れの小さな村で生まれたという少女に、
アルハザードはアラビア語で砂を意味するラムラという名を与え、
養女として育てる事にしたのだった。

秘書R「あれからもう12年…。
 私のこの命は、アルハザード閣下のあの時のご恩あってこそのもの…!」

それから12年後の現在…。
サラジアの副大統領となったアルハザードに仕える若い黒人の女性秘書がいた。
「R」のコードネームを持つこの褐色の美女こそ、
ラムラと呼ばれるようになったあの幼い少女の成長した姿なのである。

946凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2017/03/05(日) 12:43:29
***セネガル共和国・山岳地帯***

セネガルの奥地の荒涼とした岩山に人目を忍んで密かに築かれたテロリストのキャンプ。
ここは北西アフリカ一帯で猛威を振るう反地球連邦派武装組織、
サヘルの獅子の根拠地である。

テロリストA「ば、化け物だ〜!」
テロリストB「助けてくれ〜っ!」
警官「一体どうしたんだ! 
 何があった? おい、しっかりしろ!」

表向きには世界の不公正の打破という正義を掲げながら、
現実には民間人を標的とした卑劣なテロを公然と行う…。
サヘルの獅子の実態は、今も創立当初の12年前と全く変わっていない。
彼らの新たなテロ計画を察知したセネガル警察は、
軍と共同して先手を打った掃討作戦を企図し、根城の場所を突き止めて奇襲をかけた。
ところが、警察と軍の兵士達が乗り込んだ時には、
サヘルの獅子の根拠地は既に何者かによって完全に壊滅させられていたのである。
キャンプのあちこちには殺されたテロリスト達の無惨な屍が積み重なり、
築かれていた施設群もほとんどが滅茶苦茶に叩き壊され炎に包まれていた。

秘書R「………」

思わぬ事に戸惑いながら生存者の確保と現場検証を始める警官らの様子を、
赤いアバヤを着た一人の黒人女性が遠くの木陰からそっと窺っていた。
サラジア共和国のアフマド・アルハザード副大統領の秘書を務める、
「R」のコードネームで呼ばれるラムラである。

秘書N@通信「復讐を果たして、少しは気が晴れたかしら? ラムラお姉様」
秘書R「どうかしらね。
 確かにずっと願ってきた事ではあったけれど、
 実際にやってしまうと、かえって虚しい気持ちが湧いて来なくもないわ…」
秘書N@通信「わざわざこんな単独行動をお許し下さった閣下には感謝すべきよ。
 セネガルの反連邦テロ組織を今ここで崩壊させる事は、
 サラジアの国益には特に関係ないんですからね」
秘書R「それはよく分かってるわ。
 ところでそちらはどう? 問題なく進んでる?」
秘書N@通信「ナイジェリアとリビアの政財界VIPとの会談は滞りなく終わったわ。
 閣下は帰国前にロリシカへ立ち寄って超国家主義派の様子をご覧になると仰せよ。
 お姉様も早くこっちへいらっしゃい」
秘書R「了解。明日ロリシカでそちらと合流するわ」

もう一人の秘書で「N」のコードネームを持つナウラとの通信を切ったRは、
こちらへ向かって来るセネガル軍の兵士に気取られぬよう、
そっとその場から姿を消したのであった。


***アメリカ合衆国・ホワイトハウス***

マイケル「サヘルの獅子が全滅しただって!?」
ジョディ「はい、大統領。
 セネガルの軍と警察による掃討作戦の実行を待たずに、
 彼らのキャンプは何者かの襲撃を受け壊滅。
 最高指導者や有力幹部を含むメンバーのほとんどが殺害された模様です」

アメリカ合衆国の大統領であるマイケル・ウィルソンjrは、
CIAも以前からマークしていたサヘルの獅子が謎の壊滅を遂げたという報告を、
秘書のジョディ・クロフォードから聞いて驚く。

マイケル「地球連邦政府の転覆を目指すサヘルの獅子が、
 今度アザディスタンで開催される太陽系オリンピックでテロを企てているという情報は、
 CIAが掴んでセネガル政府にリークしていた。
 彼らは男子バスケットボールの開幕戦となる、
 アメリカ対ネオスペインの試合会場を爆破しようとしていたようだね」
ジョディ「それが事前に阻止されたのは朗報ではあるのですが…。
 サヘルの獅子のキャンプに備えられていた監視カメラを押収したところ、
 不気味な怪物の姿が映っていたようなのです。こちらをご覧下さい」

ジョディはセネガル警察から送られて来た映像を再生した。
頭から長い尾にかけて無数の鋭いトゲが生えた、
赤いリザードマンのような姿の怪物が唸りを上げて暴れ、
マシンガンの銃弾をものともせずにテロリスト達を惨殺している様子が、
ほんの数秒ながら現場のカメラに捉えられていたのである。

マイケル「Gショッカーの怪人か…?」
ジョディ「ブレイバーズにもデータがないモンスターです。
 それに人類征服を企むGショッカーが、
 人類の既存の国際体制を破壊しようとするサヘルの獅子と、
 現時点ですぐに対立する理由も特に見当たりません」
マイケル「う〜む、一体何者なのだろう…」

太陽系オリンピックを脅かす懸案の一つが思わぬ形で取り除かれた事には喜びつつも、
正体不明の凶暴な怪人の出現に危機感を強めたマイケルは、
この件に関してCIAに更なる調査を命じるのであった。




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