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フレイ様人生劇場SSスレpart5〜黎明〜

1迷子のフレイたま:2004/03/02(火) 22:57
愛しのフレイ・アルスター先生のSSが読めるのはこのスレだけ!
|**** センセイ、          ・創作、予想等多種多様なジャンルをカバー。
|台@) シメキリガ・・・       ・本スレでは長すぎるSSもここではOK。
| 編 )    ヘヘ         ・エロ、グロ、801等の「他人を不快にするSS」は発禁処分。
|_)__)   /〃⌒⌒ヽオリャー     ライトH位なら許してあげる。
|       .〈〈.ノノ^ リ))    ・フレイ先生に信(中国では手紙をこう書く)を書こう。
        |ヽ|| `∀´||.      ・ここで950を踏んだ人は次スレ立てお願いね。
     _φ___⊂)__
   /旦/三/ /|     前スレ:フレイ様人生劇場SSスレpart4〜雪花〜
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|. |    http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/anime/154/1070633117/
   |オーブみかん|/    
              既刊作品は書庫にあるわ。
             ○フレイスレSS保存庫 ttp://oita.cool.ne.jp/fllay/ss.html

              こっちも新しい書庫よ。
             ○フレイたんSS置き場 ttp://fllaystory.s41.xrea.com/top.html

231流離う翼たち・448:2004/04/04(日) 21:26
 暫くすると、アズラエルからのものと思われる迎えの車がやってきたので、フレイはそれに乗り込んでアズラエルの店とやらに向かった。黒塗りのリムジンという所がいささか怪しさを感じさせる上、完璧な防弾仕様車だったりするのが少し怖い。運転手曰く、「アサルトライフルでも弾けます」だそうだ。
 それを聞いたフレイは表情を引き攣らせたものだが、車は別に襲撃される事もなく無事に目的地に到着した。そこは、一見するとごく普通の小さな中華料理店であった。看板には『海燕』と書いてある。
 一瞬の躊躇の後、フレイはその扉をくぐった。中には自分達以外にも客がいるようだが、奥のテーブルについているアズラエルとノイマン、フラガが自分を見つけてくれた。

「フレイ、こっちだ」
「あ、ノイマン中尉」

 こういう状況では顔を知っている人がいるのは嬉しいものだ。フレイはトコトコと3人の所に来ると、アズラエルにぺこりと頭を下げてノイマンの隣に腰掛けた。そして、ふと視線を感じてそちらを見てみれば、何故かフラガがニヤニヤとこちらを見ていた。

「な、何ですか?」
「いや、馬子にも衣装だなっと思ってさ。なかなか似合うじゃないか」
「それって、褒めてるんですか?」

 馬子にも衣装ってのは余り褒め言葉にはならない。フレイの視線にフラガは右手を顔の前で振りながら悪い悪いと謝った。

「いや、別に悪気はないぞ。似合ってるのはマジだから。なあノイマン」
「ええ、そうですね。でもまだ制服に着られてますか」

 サラリと毒舌じみた事を言われ、フレイはちょっと気落ちしてしまった。まあ、服なんてものは着ていればそのうち板につくものだから、今はまだ仕方が無いのだが。
 それから少ししてやはり支給されたばかりの士官制服に身を包んだキラとトールがキースに引き摺られるようにして現れた。キラにしてみればブルーコスモスと食卓を囲むなんてのは御免こうむりたいだろうから嫌がって当然だろう。でもまあ、連合の士官である以上、我侭を通す事も出来ないのでキースが引っ張ってきたのだが。トールは単純にアズラエルが嫌いだからだったりする。
 そして最後にやってきたマリューとナタルが加わった事で、やっと面子が揃った事になる。だが、アズラエルは時計を見て少し渋い顔になった。

「悪いね。もう少し待ってくれるかな」
「まだ誰か来るのでしょうか?」
「ああ、僕の部下みたいな奴だけどね。今ここに来ているんで、ついでに声をかけておいたのさ。君達も会った事があるはずだよ」

 アズラエルに関係がある人物で自分達が会った事がある。そんな人が居ただろうかとフラガたちは考えただが、生憎とそんな人物は浮かんでこなかった。

232流離う翼たち・作者:2004/04/04(日) 21:38
>> 過去の傷
ミリィさん、前にディアッカを求めた貴女は何処に?
ティファ久しぶりに登場w

>> ザフト・赤毛の虜囚
クルーゼ、何となくマジで仕事減らす事が出来そうだと分って喜んでるのではw?
フレイ様はお茶汲みじゃなく秘書みたいになってしまいそうですな

233The Last War・Inside1/2:2004/04/04(日) 21:54
アスラン・〜Power〜 

 ―――力は魔物だ。それは強大であればあるほど御すことが難しくなる。そうすることが出来なくなった者はその魔力に魅入られ、心を食われる。その先にあるのは自らの破滅だけだ。俺の父、パトリック・ザラがそうだったように・・・。あの日を境に、俺はそう考える様になっていた。
 その所為か、俺は力を持つことに恐れを抱くようになっていった。何時しか俺も自分の力を押さえられなくなって、自分自身を見失ってしまうのではないかという不安が、常に心の中にあったからだ。
 そう言えば、ラクスからS.ジャスティスを渡された時、俺はその不安を彼女にこう漏らしたことがある。

「俺達は、こんな力をどれほどまで持たねばならないんでしょう?」と。

 すると、彼女はこう答えた。

「力を持つ者に必要なのは、それに決して溺れることの無い強い心です。その心を貴方がお持ちだからこそ、私は貴方にこの機体を託すことを決めたのですわ、アスラン」

 彼女が俺のことを信頼してくれていることは分かった。だが俺には、その信頼に応えるだけの自信が無かった。真実を知ったあの時から、俺の心には暗い影が差すようになっていた。

 「戦争による人類の統制」、それが奴等ファントムの掲げる理想というものらしい。・・・そんな下らないものの為に、ニコルは死んだ。それだけじゃない。母上も、ミゲルも、ラスティも、そしてキラの仲間達も死んだ。多くの人々が、死んだ。奴等に、殺されたも同じことだ。
 俺は奴等を憎んだ。徹底的に奴等を叩き潰し、皆の無念を晴らしてやりたいとまで思った。そして改めて誓った。もう二度と、あんな悲劇を繰り返させはしない、と。それなのに・・・、結局全ては奴等が描いたシナリオ通りに進んでいた。

 ・・・俺は、今まで一体何をしてきたんだ?その先に平和な世界があることを信じ、死に物狂いで戦ってきた。だが、それで何が変わったというんだ?・・・何も変わってはいない。あの時のまま・・・、いや、クリスやユフィーといったあの戦いと関わりが無かった者まで巻き込んでしまっている以上、あの頃より悲惨なものになってしまっていると言える。

「どうしてだよ!?どうしてお前が戦わなきゃならないんだ!?戦うこと以外にも平和の為に出来ることなら、幾らでもある筈だ!!」

 カガリ、お前の言う通りだったのかも知れないな。だけど俺は不器用だから、こんな生き方しか出来ないみたいだ。
 俺の手は、すでに血で塗れている。いつか、その報いを受ける時が来るだろう。その時が来るまで、俺の命を次の時代を生きる者達の為に喜んで捧げよう。それが俺に出来る、只一つの償いだから・・・。
 今の俺では、奴には勝てない。奴の力は、人の持ち得るそれを超えている。それなら、俺も人で無くなれば、奴に勝てるかも知れない。

 ラクス、結局俺は貴女の信頼を裏切ってしまった。
 カガリ、俺はもうお前と会うことは出来ない。こんな俺の姿を、お前にだけは見られたくない。
 キラ、お前は新しい時代を生きろ。お前の代わりに、俺が戦う。
 そして皆、済まない。この男を倒すために、俺は今EYESの理想に反する。

 ―――さあ、来い。俺の心を食わせてやる。その代わり・・・、奴を倒せるだけの力を俺に・・・、俺に、よこせ―――。

234過去の傷・99:2004/04/04(日) 22:07
ブリッジにいたカガリは。
「あ・・・アスラン」
「カガリ・・・」
なんだよ、なにしに来たんだよ、こっちは忙しいのに、まったく・・・。
「な、なにか用か?」
「これをお前に返しに来た」
そういうとペンダントのような物をカガリに差し出した。
ハウメアも護り石・・・!?アスラン・・・お前。
「どういうつもりだ?」
「・・・俺にはもう必要なくなった、俺にはこれがある」
と言うとアスランは指輪を取り出した。
なに!?なんだそれは?
「アスランそれは?」
「この指輪はラクスから授かったものだ」
そうか・・・ラクスさんが・・・そうだよな、こいつとあのお方は許婚というか婚約者同士だった・・・そうか・・・よりを完全に戻したんだな。
「そうか、分かった、これは返してもらう」(それならこれはあいつにやるか)

「マユラ!右!」
「まかせて!」
アストレイ三機とフリ−ダムの戦いは互角だった。

(フレイさん頑張ってください)
「いって、いって・・・いっちゃって!!!」
ルプス・ビ−ムライフルをアストレイ三機に放つ。

「皆よけて!」(サイさん見てくれてるかな・・・?)
「「もっち!」」
この三機連携が取れているのかぎりぎりで回避する。

<お前らこれはあくまで練習なんだからな!あまりむきになるなよ!>
カガリの声が四機に聞こえた。
<それから今日の練習はもうすぐ終わるぞ!>

「・・・んん・・・」
私とキラはキスをしている、それも長いキスを。
私ってこんなに積極的な女だったんだ、私はなおを唇を押し付けていた、両手でキラを離さないようにしっかりとかき抱いている。
「・・・んん・・・ミリィ・・・」
キラが私を離してきた、なおも食い下がりキスしようとした私・・・それもキラは離す。
「キラ・・・どうしたの?」
「いまはもうここまでにしよう」
「どうして?私はいいのよ?」
そうか、そうよね、キラはそういう子だもんね、ほんと鈍い子、そこがまたいいんだけど・・・私はまだキスしたかったのに・・・あ・・・ちょっと頭痛が・・・。
「ええと・・・キラちょっと・・・頭痛がしてきた」
「え!?ミリィ大丈夫?先生呼ぼうか?治療室にでも」
「いいの、ありがとう・・・でも大丈夫よ」
キラがミリアリアの額を優しく触る。
「ミリィ、熱があるよ!」
「え?」
「とにかく寝るんだ!」
「え、ええ、ちょっと具合悪くなってきた」
私はシ−ツを被った。
「キラ、付いててくれる?」
「うん、ずっと付いてるよ君の側に・・・」
「ありがとう・・・ねえ」
「なに?」
「私と付き合ってくれる?」
「・・・分かった、分かったから安静にしてるんだよ、ゆっくり寝るんだ」
「ありがとう・・・少し寝るわ」
そう言うと私は寝た・・・そういえばこの頃あんまり寝てないんだっけ・・・睡眠不足も多少あるのかな。
電話をかけたキラは・・・。
「あ、サイ?うん、ミリィがさ・・・うん、分かった」

235過去の傷・作者:2004/04/04(日) 22:23
>>ザフト・赤毛の捕囚
ミコトちゃん可愛いですね!いろんな意味で。
それよりクル−ゼ隊長からあんな言葉が聞けるとは思いませんでした。
でもミコトちゃん可愛いです!(フレイ様浮気ではありません・・・な、なぜここに!?)
>>翼たち
フレイ様大活躍ですね!なにげにお酒強いな・・・。
そしてフレイ様制服もお変わりになられるのですね、またお美しくなられる・・・。
>>The Last War
こ、これはアスランの・・・。
悲しい悲しすぎます、ついにアスラン・・・貴方は・・・力を手に入れる変わりとして・・・恐ろしや恐ろしや。
でもラクス嬢を始めとしていろんなキャラに対しての思いをを述べるところは非常によく出来ていて感動しました。

236流離う翼たち・449:2004/04/05(月) 22:54
 それが出てきたのは、当人が店の暖簾をくぐった時である。長身痩躯の40代の連合士官。その人物を、フラガたちは確かに見た事があった。

「サ、サザーランド大佐!?」

 マリューが吃驚した声を上げる。それでようやくこちらに気付いたサザーランドが何時ものしかめっ面のままでこちらにやってきた。

「アズラエル様、今日はお招き頂き、ありがとうございます」
「いやいや、君はよく頑張ってくれてるからね。たまには労ってやらないと僕の人間性が疑われそうだ」
「心配しなくても誰もおかしいとは思わないだろ」

 サラリとツッコミを入れるキース。アズラエルのこめかみにビシリと青筋が浮かぶがキースは意に介した風もなくお茶を啜っている。アズラエルが特に言い返さないところを見ると、どうやらキースが彼にツッコミを入れるのは珍しい事ではないようだ。
 サザーランドが来た事で面子が揃い、全員の前に料理が並べられていく。中華料理店なので出てくるのは中華ばかりなのだが、それを見たキラは、何故か頭の中で警鐘が鳴り響くのを感じていた。ここ最近酷い目にばかりあっているせいか、その危険を感じ取る嗅覚は異常に発達してきているのだ。何と報われない、幸薄い人生であろうか。
 そして、その料理を口に運んだフラガが一瞬固まり、そしていきなりグラスの水をがぶ飲みしだしたのである。

「フ、フラガ少佐!?」
「何だこれ、無茶苦茶辛いぞ!?」

 フラガの言うとおり、その料理は全てが激辛であった。ナタルは口を押さえ、トールとキースは汗をだらだらと流し、キラはおろおろとしている。男性陣が口に運んでいるので仕方なく女性たちもそれを口に運び、ナタルはフラガのようにグラスを手に取り、フレイはフルフルと身体を震わせてキラを見た。その目からはポロポロと涙が零れている。

「キラ、これ、凄く辛いの」
「う、うん、分かったからフレイ、何も泣かなくても」

 どうやら辛い物が苦手らしいフレイには、この料理はわりと耐えられなかったようだ。だが、そんな中で1人だけ気にした風も無くそれを口に運ぶとんでもない人がいた。それを見たナタルが唖然として問いかける。

「か、艦長、平気なのですか?」
「え、何が?」
「こんなに辛いのですよ?」
「何言ってるのよナタル、これ位じゃないと美味しいとは言えないのよ」

 全く気にした様子も無く真っ赤に染まった麻婆豆腐を平らげていくマリューの姿に、ナタルは戦慄を禁じえなかった。この人の味覚は一体どうなっているのだ、という疑問だけが頭の中を締めている。そして、マリューと同じ物を平然と平らげたアズラエルが嬉しそうにマリューを見ていた。

「いやあ、この味が分るとは、艦長さんは中々に味が分る人ですねえ」
「あら、アズラエルさんこそ、まだまだ食べられそうですね」
「当り前ですよ。後2皿はいけます」
「私も追加をお願いしていいでしょうか?」
「勿論。味の分る人にこそ食べていただきたい」

 アズラエルは随分機嫌が良いようで、平然と追加オーダーを出してくれる。だが、運ばれてくる毒々しい赤色の豆腐を見て他の者は顔を引き攣らせてしまった。キラは相手がブルコスで軍のお偉いさんだということも忘れてサザーランドに小声で問いかけた。

「あ、あの、この人っていつもこうなんですか?」
「・・・・・・うむ、アズラエル様の味覚は常人とはかなりずれていてな。所謂悪食という奴なのだよ」
「これって悪食って言うんですか?」
「そうとしか言えまい。付き合わされる私は必ず体調が悪くなるのだ」

 この人も苦労してるんだなあと知り、キラは天敵とも言えるブルーコスモスの幹部に何となく同情してしまった。ひょっとしたら、自分よりこの人の方が不幸なのではとこの時ばかりは思ってしまった。

237流離う翼たち・作者:2004/04/05(月) 22:57
>> The Last War・Inside1/2
ああ、アスランが壊れた。キラは落ち込んでるのにアスランは壊れるなんて
やっぱりここは精神的に安定しているイザークとシーナをw!
兄貴は何処いったんでしょう?

>> 過去の傷
アスランとカガリが完全に断交状態に!? 
キラはミリィの部屋にいついてるし、フレイ様、こうなったらカガリと百合に!

238過去の傷・100:2004/04/05(月) 23:06
「熱下がんないね」
「ああ」
ミリアリアを見守るキラとサイ。
「あ、サイはもういいよ、あとは僕が見てる」
「そうか・・・分かった」
そう言うとサイは出て行った。

なんとフレイは苦戦していた。
(なによこいつら!連携取れてる)
そう、フリ−ダムの放つビ−ムはことごとく回避される。
「ていうか・・・全然攻撃してこないじゃない!」

「「「だってあの機体怖いんだもん」」」
<お前等ちゃんと戦えよ!もういい!今日は終わりだ!>
「え?もう終わりなの?」

ハッチはら出てくるフレイ。
「カガリ」
「お疲れ」
「ええ、ありがとう・・・」
カガリは何かを取り出すとフレイの首にかけた。
「これは・・・ペンダント?」
「ハウメアの護り石だ、お前これで守ってもらえ」
「え・・・?カガリ・・・ありがとう」
カガリはフレイを見つめると・・・。
「死なせないから・・・お前」
「ええ・・・ありがとう」
その数時間後。
「あ、ミリィ起きた?」
「え?キラ・・・」
あれ?そうか・・・私眠ってたのね。
「具合どうかな?」
「まだ、苦しいわ・・・全然駄目」
「そう、まだ寝たほうがいいよ、安静にしてなきゃ、いいね?ずっと僕は君の側にいるから・・・」
キラ・・・優しい。
「ええ、眠るわ」
そう言うと私は再び眠りについた、キラに看病してもらえる・・・。
話を聞いたのかフレイ、サイ、カガリ、アサギ、ジュリ、マユラが入ってきた。
「キラ、ミリィはどうだ?」
「うん、まだ眠ってる、熱が引かなくて」
そう言うとミリアリアの額から出る汗をタオルで優しく拭う、そしてまた水で冷やした別のタオルでミリアリアの額に乗せた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
ミリアリアの看病をしているキラを困惑した表情のフレイが見つめている、そのフレイの視線に気づいているはずのキラだがフレイに目を合わせずひたすらミリアリアを見守る。

239ザフト・赤毛の虜囚 45:2004/04/06(火) 03:47
8.歓喜 3/6
[うーん、悔しい…… キラ、もう一度]

クルーゼは、私に官給のノートパソコンとベッドで使える簡単なパソコン台。それと、
パソコン台に付けられる書類立て、手元を照らすランプなどを用意してくれた。
私は、ベッドに座りながら、いくつかの手書きや訂正の入った書類をクルーゼから受け取り、
それを次々にパソコンに打ち込んで行く。できたものは、部屋のプリンタでプリントアウトするか、
ワイヤレス回線からファイルサーバに送り込む。私のパソコンは、かなりアクセス制限がきつく、
ファイルを送り込む以外は、サーバの何も見ることはできないけど、私は、もとより見る気は無かった。
やがて、書類入れの山は、増える量を越えて、少しずつ減り始めた。

「フレイ・アルスター。君は、まったく素晴らしい。どこで、こんなことを覚えたかね」
クルーゼは、また関心したように話しかける。

「まさか、パパに教えられたのかね」
「…… ご想像におまかせします」

私は、キラの思い出をクルーゼに明かしたくなかった。だから、曖昧に、ごまかした。
私の、この指の動きはキラに教えられたもの。打ち込みを続けながら、私の心はキラの
思い出を彷徨っている。

* * *

キラが部屋で、パソコンを使って戦闘レポートを作っている時、私はベッドで、
トリィと戯れながら、いつも、キラの高速で動く指の動きを目で追っていた。
ときどき、キラを見ながら、指でキーボードを打つ真似をしていたこともあった。

それを見たキラは、口述筆記のゲームをしようと持ちかけてきた。片方がボイスレコーダを
持って喋り、もう片方がパソコンで、それを文章にする。後で、照らし合わせながら得点を
付けて競い合う。当然、私がキラに叶うはずはないので、何回かに一回、私はハンデとして、
トリィを相手にできた。

繰り返すうち、私は少しずつ打ち込みが早くなって行った。キラは私の指を触って打ち方を教え、
私はキラの指を触り、その形、動きを感覚として記憶した。自分でははっきり気づいていなかったけど、
私はキラの指の動かし方を指でも体でも理解していった。

ルールは、二人で話し合いながら、少しずつ変わっていった。打ち込めていても、
誤字は減点対象になった。

「嘘、こんなはずじゃないのに」
「フレイ、ほら、こっちが正しいよ」

「うーん、悔しい…… キラ、もう一度」
「負けたら、どうする」

「負けたら、私を好きにしていい」
「それじゃ、賭けにならないよ」

「それじゃ、アレもらってきて、こうするというのは?」
「…… やってみようかフレイ」

「その代わり、私が勝ったら、今日は無しよ。たまには、ぐっすり寝かせてね」

飽きっぽい私がキラとのゲームにあれこれ賭けながら、のめり込んで行った。
そして、一度だけキラに勝てた。

「よし、正解。満点だフレイ」
「キラ、一文字綴り間違えたわよね! それじゃ……」

「フレイの勝ちだよ」
「え……、わ、わーっ、わーっ、勝った!! 私勝った、キラに勝った!」

私は自分でもびっくりするほど大声を立てていた。トリィのハンデがあったとは言え、私は、
ついにキラに勝った。

「おめでとうフレイ」
「ありがとうキラ」
<トリィ! トリィ!>
「ありがとうトリィ」

二人抱き合って、共に喜んでいた。トリィも一緒に喜んでいた。結局、そのまま朝まで抱き合ってた。
キラがアレもらってきて………………

翌朝、私は、やすらかに眠り、キラは一人寝不足で仕事に行き、夕方、やっと目覚めた私に、
またも、いきなり休んだ私のことで、私の仕事の先輩に怒られてたとぼやいていた。

* * *

この指は、キラからもらった指。私の指にはキラが乗り移っている。それは、私に、このザフトの中で、
キラのメモリチップを見るためのノートパソコンをもたらした。
私はキラの魂に感謝した。

240ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/04/06(火) 03:55
>>The Last War・Inside
ラクスとカガリ、言っていることは正反対なんですけど、アスランを信じているのは同じなんでしょうね。
その想いを振り切って修羅になったアスラン。彼は戻って来られるのでしょうか。次回、キラ編も期待しています。

>>流離う翼たち
キラも昇進こそしなかったもののグレーの仕官服なんですね。
アズは、サザーランドも、もて余す存在なんですな。私、麻婆豆腐好きなんで、ついマリューさんに同感して
しまうけど、本場の店だと辛いんでしょうか。甘党?のフレイ様には辛いか。アルコールも甘口の日本酒が好きなのかな。

>>過去の傷
連載100回おめ。三人娘は回避能力は抜群?だから助かったのかな。
カガリはアスランからハウメアの護り石を返してもらって、フレイ様に渡した意図は?
そして、病魔に倒れたミリィ。看病するキラ。フレイ様、相手が病気だと言いたいことも言えないですよね。

241過去の傷・101:2004/04/06(火) 23:19
サイがミリアリアの隣で看病していたキラに声をかけた。
「キラ、俺がミリィにはついてるから少し休んだら?」
キラはサイに微笑むとそっけなく、「大丈夫だよ」と答えた。
遠くで聞いていたフレイも慌てたようにキラに声をかけた。
「で、でもキラ、ミリアリアにつきっきりだったんでしょ?ここはサイにまかせていいじゃない・・・」
キラは少し顔を上げて微笑んだ。
「今日はフリ−ダムの整備も終わったし、もうすることないから」
「で、でもキラ!」
気づかうフレイに対してキラは・・・フレイの言葉を封じ込めるような硬い声でフレイに言った。
「ミリィに・・・ついていたいんだ」
そうフレイに言うとミリアリアに顔を向ける。
「フレイ、行くぞ・・・あんまりうろうろしないほうがいい」
カガリがフレイに声をかけた。
「え、ええ・・・そうね」
フレイはキラを気にしていたがカガリについて出て行った。
フレイ達が部屋を出て行った一時間後。
「あ・・・キラ・・・?」
ミリアリアが目を覚ます。
「あ、起きた?」
起き上がろうとしたミリアリア。
もう夜になっていた。
「あ、ミリィ駄目だよ無理しないで」
「そ、そうね・・・ありがとう」
キラの気づかいが私は凄く嬉しい。
「ミリィ・・・その・・・夕食の時間なんだけど、どうする?食事持ってこようか?」
「・・・どうしよう・・・あんまり食欲ないのよね、ヨ−グルトとか冷たいの欲しい・・・」
「うん、ミリィ、ヨ−グルト好きだもんね」
「キラ、ごめんねつきっきりで・・・疲れたでしょ?」
そうか・・・キラずっとついていてくれたんだ・・・キラはやっぱり優しい。
「いいんだ、君に僕もついていたいから」
「ありがとう、ねえキラ・・・その・・・結婚しようね」
「え!?」
さすがにこの言葉にはキラも少し戸惑ったが・・・想像してしまう、ミリアリアとの結婚、そして新婚生活など・・・それもこんな可愛い子とだ。
「うん、結婚したいね、よしじゃあヨ−グルト持ってくるよ・・・僕もここで食べるから」
「ええ、ごめんなさい、具合よければ私がするんだけど」
「いいんだ、そういえば具合どう?」
「ええ、少し落ち着いたみたい」
その一時間後の食堂。
フレイ、サイ、カガリ、アサギ、ジュリ、マユラが同じ席で食事を取っていた。
「あ、キラ」
サイが入り口から歩いて来たキラに気づいた、キラに気づいたフレイは慌ててキラに目をやる。
どうやら食器を戻しにきたようだ。
「どうだ?ミリィの様子は」
「順調だよ、熱も少し下がって落ち着いたみたい、ヨ−グルトを食べさせて、少し元気になったよ」
「そうか・・・良かった」
そしてフレイが慌てた口調でキラに声をかけた。
「キ、キラも疲れたでしょ?ずっとついてたから、少し休んだほうがいいわよ」
気づかうフレイの言葉を遮るようにキラはフレイに冷ややかに告げた。
「僕は大丈夫、食事もミリィの部屋ですませたし・・・ミリィには早くよくなってもらわないと」
キラはフレイに背を向け出て行こうとした。
「キ、キラでも、そこまでキラがすることないじゃない」
慌ててフレイが席から立ち上がりキラの腕をつかんで止めようとした、キラはさっと振り返りその手を振りほどくとフレイに挑むような目つきで睨んだ。
「なに!?」
「え・・・いや・・・なにって・・・」
キラは顔を少し下に向けると冷たく告げた。
「フレイ・・・君とのことはさ・・・ア−クエンジェルであんな関係になって・・・別れを経験したけど・・・もうその時点で君とは終わっていたんだよ・・・もういいと思わないかな?」
フレイは驚愕の表情になる。
「お互い傷ついた・・・君は僕を傷つけた・・・でも僕も君を傷つけた・・・それにまたよりを戻したってお互い傷つくだけだと思う・・・傷つくと分かっていて付き合う必要もない、お互いあの頃に縛られることはないと思うんだ、僕も君も・・・そう、もう呪縛からお互い開放されようよ・・・あの頃の僕たちの呪縛からさ・・・だからこれからは普通の友達でいようよ・・・」
「!!!・・・キラなに言ってるの・・・?そんなこと私が納得するわけ・・・ないわよ・・・」
キラはもうフレイの言葉には耳をかさずに無視するように食堂を出て行った。

「君がいけないんだ・・・僕の手を拒絶したりしたから・・・ミリィは僕を許してくれた・・・僕はミリィと結婚するんだ、そう決めたんだ」

242過去の傷・作者:2004/04/07(水) 14:16
>>ザフト・赤毛の捕囚
おお、フレイ様頑張ってますね、そうかキラと・・・それもキラにハンデとはいえ勝ったとは。
いいですね、これからも期待させていただきます。

ついに目標の連載100を超えました、これからも頑張っていきますので、皆様よろしくお願い致します。

243ザフト・赤毛の虜囚 46:2004/04/08(木) 02:19
8.歓喜 4/6
[思い出が溢れ出した]

夜、また、なんだかんだでクルーゼが部屋を出て行った後、私はシャワーを浴びて、
さっぱりした状態でベッドに横になった。そして、そろそろとベッド横にパソコン台を
引き寄せた。ついに、キラのメモリチップを見ることができる。メモリチップを取り出し、
パソコンの端子に差し込む。開いたフォルダのメールアイコンをクリックする。
メールが開いた。これに添付された動画データをクリックする。パソコンのスピーカから、
キラの声が流れ出した。

「フレイ、この前、通信で裸になったろ。今日は、メールにするよ。
 通信には秘匿かかっているけど、どこで見られているかもしれないから、もうこんなことは
 しないでくれ。フレイ、お願いだ。
 今日はね、フレイ、シナプス融合の代謝速度を向上させて、モビルスーツの動作が、
 かなり軽くなったんだ。でも、逆に姿勢制御が難しくなって、自律神経系を、もう少し
 改良しないといけない。もう少し、かかりそうだよ。
 フレイ、迷惑をかけてごめん。なるべく早く終わらせるから、ちゃんと待っててくれ」

キラの映像は、まるで本当に私を見つめるように、熱い瞳をしている。
その映像に私の心は、これまでに無いくらい解放される。体がふわふわして宙を彷徨うよう。

これは、オーブでキラがモルゲンレーテに仕事に行っている時にくれた唯一のビデオメール。
一週間の約束の日に帰って来ないキラに癇癪を起こして、通信の時に、私が裸になってキラを
誘った翌日に来たもの。今残っている、唯一の動くキラ。話すキラ。
私は、それを何度も何度も繰り返して見た。見るたびに新しい発見があった。
いつまで経っても飽きなかった。

次に、オーブでキラが別れた時に来た二通のメールを見た。

┌──────────────────────────────────────
│題名:フレイ、もう一度だけ弁解させて欲しい

キラが両親と会うことへの戸惑いの真意を告げていたメール。私とキラを繋ぐ言葉を、
私に気づかせてくれたメール。

┌──────────────────────────────────────
│題名:フレイ、僕の部屋に居てくれていい

│ でも、僕は君を必ず守る。何があっても守るよ。いつまでも。約束する。

ザフトの戦闘中、一人部屋で震える私を勇気づけたメール。
結局、果たされなかった約束。でも、それは、私が逆に守るべき約束をなのだ。
私は、キラを継ぐ。あなたの理想を果たす。
くじけそうな私に勇気が沸き起こる。オーブを出た、あの時、震えていた自分から
立ち上がったように。

さらに、私はキラが大切に持っていた私の写真を開いた。ヘリオポリスで撮った、
みんなの写真。フレームの右側に立って微笑む私、そのそばで優しい顔をしているサイ。
ポーズを付けて立ち上がっているトール、奥で座って作り笑いをするミリアリア。
そして、一番奥にいるキラ。微笑むような切なそうな目をしている。

これは、ヘリオポリスの合コンの写真。カズイが撮ったもの。私も一枚持っていたけど、
ヘリオポリス崩壊で失った。

それを見て、私の中に思い出が溢れ出した。そう、それはまだサイとの婚約を
隠していた頃、そして、キラに初めて出会った時のこと。

244ザフト・赤毛の虜囚 47:2004/04/08(木) 02:24
8.歓喜 5/6
[私、フレイ・アルスター。よろしくね]

私は、サークルの新歓コンパに出ていた。このコンパにはいくつもサークルやゼミも参加している。
その中でも、私を心躍らせたのはサイのいるゼミが参加していることだった。サイは、パパの決めた
私の婚約者。でも、私もサイが大好きだ。小さい頃から家族ぐるみで付き合ってきて、お兄さんの
ような存在。でも、カレッジに入ってからのサイには、特に心引かれるものがある。サイに男を
感じている。サイに近寄る女性に嫉妬する。こんな自分に不安とともに胸が弾むものを覚える。

私はサイの婚約者だと、みんなの前で叫びたい。でも、サイは許してくれない。まだ、隠しておくようにと
サイは釘を差す。私は不満だけど仕方ない。パパも言ってることだから。パパは、私にサイと付き合うように
言う。他の人と、私が仲良くすると怒る。でも、その一方で、パパはサイに冷たい。門限は厳しかったし、
度々、家に電話を入れろっていう。私とサイのこと、パパは応援してるの、どっちなの?
でも、私もカレッジに入学したからには、そんなことは無い。これからは寄宿舎生活。少し、私の
自由もきく。これから、もっとサイとの関係を進めるのよ。

でも、最初からサイにベタベタすると、まずいだろうから。私は、みんなに挨拶して回っている。
サイには後から、ゆっくり会う。それまで、連邦事務次官の娘として、恥ずかしくないようにしなきゃ。

やっと、サイのいるグループのところに来た。サイは、自分のゼミのグループで固まっている。私に、
気を使っているのはみえみえだ。気にしないでいいのよ。私が来たから。

「サイ、こっちに来ない?」 私はサイに話しかける。

「フレイ!」
サイは、そう言って振り向いた。ちょっと、罰が悪そうな表情。でも、そんなサイが、私は可愛くてたまらない。
一緒にいる人達はサイのゼミの仲間、なんだかCPUとかどうとか、おたくっぽい会話をしている。
その内の一人、ミリアリアは、私のサークルでも先輩。女性なのに、ちょっと話題が合わない人。
でも、サイの友達なんだから、愛想良く振る舞わなきゃ。

「先輩たち、難しい話をしていますね」
私は、明るい声でそれとなく話しかける。相手の気を悪くしないように、それでいて、自分に
話題を振られないように防波堤もはっておく。

「ねえ、向こうにドリンクあるわよ。サイ、行きましょうよ」
「うん、フレイ、だけどね、今日はちょっと……」

「今日はどうだっての、サイ?」
意地悪っぽくサイに迫る。サイは困っているようだけど、そんなサイを見るのも、私には楽しい。

「キラ!」
ふいに、ミリアリアが小さく、しかも、きつい声で話すのが聞こえた。ミリアリアの向こうにいる人。
童顔で、まだ少年の面影を残している、その顔はミリアリアの声で視線を外したけど、
それまで、ずっと視線が私に注がれていたのに気がついた。私は興味を覚えて話しかけた。

「その人、キラっていうんですか?」
「ああ、はじめまして、キラ・ヤマトです」

甘いマスクから、想像される通りの優しい声。

「私、フレイ・アルスター。よろしくね」
私も、釣られて自己紹介をした。にこやかな笑顔を見せた。ゼミのグループのところに来て、ほとんど
サイに向かって話していたのが、初めて他の人に視線を向けた。二人の視線が合う感触がした。
横から、誰か話しかけたようだけど、私は聞き流していた。

「みんな撮るよー!」

私の後ろからの大きな声に、やっと、私は視線をそらした。声の主は、大きなカメラを構えている。
知らない人だけど、サイの友達の一人だろう。私は自然に笑顔を作る。カメラを向けられると、つい、
作ってしまう笑顔。パパの呼ばれるパーティで、いつもそうしてる。でも、この笑顔を私は好きじゃない。
本当の自分じゃないような気がするから。いつもの自然な私の笑顔をしなきゃ、サイが写真を撮る時のように。

パシャッ! パシャッ! シャター音が数回響いた。

サイと一緒に、カメラのモニタを覗きこむ。小さい画面では、分からないけど、偽りじゃない
自分が映っているようだ。

「カズイ、2枚分な。フレイにも、後で写真渡すよ」
「うん、サイ」

サイの話す声に、私は頷いた。

私は、チラと横目で、さっきのキラという人を見た。私に注がれていた視線は既に無く、ミリアリアと
親しそうに話している。私は、関係ないと思いつつも、ちょっと不満だった。さっきまで、私に
見とれていたくせに、もう別の女性に目を向けてる。フン、ミリアリアよりも、私の方が、ずっと
美人なのに…… そして、心の中でそっと呟いた。

(キラ、もっともっと、私を見てよ!)

245ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/04/08(木) 02:28
昨日は、なぜか掲示板に繋がらずに投下できませんでした。
ビデオメールや二通のメールは、前作「オーブ・フレイの心」で出てきたものを補足 or 省略してます。
次の回想シーンは、以前ミリィSSでカズイ退艦に絡めてやったもののフレイ視点版です。このSSでは、
これが、フレイとキラの初めての出会いということにしています。けどね……

>>過去の傷
キラ、フレイ様になんてことを言うんだ!! とは言え、別れ話を、ちゃんと書けない私には勉強になる点も(バキ!)

246流離う翼たち・450:2004/04/08(木) 23:28
 食事も終わり、飲茶などを手にのんびりとした時間が漂うかに見えるのだが、実はわりとヤバゲな空気が漂っている。その発生源はもっぱらアズラエルとキースだ。アズラエルはにこやかに、キースはむっつりとして会話を弾ませている。

「いやあ、あの頃は散々だったねえ」
「お前のせいでな」
「コーディネイターの輸送船に爆弾を仕掛けた事もあったねえ」
「俺はやった覚えは無いぞ」
「一緒にパトリックやシーゲルの命を狙った事もあった」
「・・・・・・あれは貴様の仕業だったのか」
「各国の政界や財界に圧力かけてプラントに強攻策を取らせたり」
「・・・・・・おのれは、人の足引っ張る事しか出来んのか?」
「やだなあ、僕がいつ君の邪魔をしたんだい?」
「とりあえず、今までの自分の台詞を思い出してみろ」

 どう見てもこの2人は友達ではない。いや、と言うか本当に元同僚だったのだろうか。アズラエルはニコニコと笑いながらキースの機嫌を損ねる事ばかり言ってるし、キースは何やら殺気さえ滲ませてツッコミを繰り返している。
 余りの空気の悪さに耐えられなくなったキラはまたサザーランドに問いかけた。

「あ、あの、この人たちって一体、どういう関係なんですか?」
「うむ、まあ、昔に比べればこれでも随分関係改善しているのだよ」
「あの、そんなに酷かったんですか?」

 フレイとトールも話しに加わってきた。サザーランドは3人の子供に視線を向けられて少し戸惑っていたが、それくらいで話に詰まったりはしない。流石は参謀本部の切れ者参謀である。

「元々、キーエンスはアズラエル様に迎えられる形でブルーコスモスに入ってきたのだ」
「あの、キースさんにどういうツテがあったんです?」
「それは彼から聞いてくれ。私が言うべき事ではないだろう」

 どうやらかなり複雑な事情があるらしいと察するフレイとトール。だが、キラだけは前から時折感じているキースの持つ不思議な能力に関係があるのではないかと思っていた。キースはかつて、暴れる自分を取り押さえた事があったし、コーディネイターの歩兵に白兵戦で勝利している。
 ナチュラルが訓練したコーディネイターの兵士に勝てるわけが無いのだ。なのにキースは平然と勝ったと言っていた。敵中に最後まで留まり、帰ってきたら前進返り血まみれだったのだから、それは嘘ではないのだろう。

「あの、1つ教えて欲しいんですが」
「なんだね、キラ・ヤマト少尉」

 サザーランドの灰色の目がキラの顔を射抜く。その視線に晒されたキラは文字通り竦みあがってしまったが、別にとって食われる訳でもないだろうと思い、気を落ち着かせた。しかし、このサザーランド大佐の持つ迫力はどこか桁が違っている。ナチュラルとコーディネイターの分類を超えて、本当に凄い人は凄いということなのだろう。どれだけ力があって知能が高くても、自分などこの人の前では呼吸さえ困難になるほどに気圧されてしまうのだから。

247流離う翼たち・作者:2004/04/08(木) 23:36
>> 過去の傷
キラァ、貴様、とうとう完全に乗り換えたか
これでフレイ様はカガリと百合ルート一直線?
何気に正直な3人娘に少し共感したりw

>> ザフト・赤毛の虜囚
とりあえずフレイ様、音声出すなら防音を考えておきましょうね。潜水艦の艦内の壁は薄いです
でも、もしばれたらクルーゼの興味をかなり引いてしまうような気も

248ザフト・赤毛の虜囚 48:2004/04/09(金) 06:30
8.歓喜 6/6
[私が知らないキラ、私と会う前のキラ]

私の中に溢れ出した合コン写真での回想。

私、サイ。ミリアリアと、サイの友達トール、カズイ。そして、キラ。初めて会ったキラは、サイの
友達の内の一人で、私に賛美の視線を送る人。でも、別に取り立てて、どうということの無い存在だった。
平和な時、それが続けば、永遠にキラは、それだけで終わったかもしれない。

なのに、今はキラの存在が、私の中でいっぱいになっている。でも、それは戦争があったから。
パパを失って、キラに復讐して、キラの心を知って……
そして、キラは死んだ。私は、また独りぼっち。

私はパソコンのモニタに映るコンパの写真に視線を戻す。サイのための私の笑顔。その笑顔は、
それを、いつも手元に置いていたキラも癒していたはずなのだ。私は、キラと一緒にいる時、こんな
笑顔をキラに見せられていただろうか。

「キラ……」
私は、胸に一杯の想いを詰まらせて、キラの名を呼びつづけた。

その他にも、キラのメモリチップの中にはいろいろなものが詰まっていた。

軍に提出するザフトとの戦闘レポートの下書きのようなもの。
よく分からない難しい数式やプログラムのデータ。
何かの覚え書きのような短い文章。
ヘリオポリスのカレッジの宿題やレポートの一部。

そして、サイ、トール、ミリアリア、カズイらと食事をしているところの写真。
どこかの野外レストランで写したのだろう、背景に夜空が写っている。
撮影したのはカズイらしく、カズイ以外はいろいろな組み合わせで写真に写っている。
キラとミリアリアが、隣り合わせにテーブルに座っている写真もある。ミリアリアは嬉しそうに
カメラに向けてVサインをしている。

仲がよい頃のみんなといる時のキラの表情は、私が見たことも無いほど明るい。私も、この時、
一緒にいたかった。こんな、キラが見られたのなら……

いくつものキラ、明るく微笑むキラ、どれも、私が知らないキラ、私と会う前のキラ。
私は飽きることなくキラの残した軌跡を辿って行った。ひとつひとつが、私に勇気をくれた。
泣いていた私を励ましてくれた。

私はメモリチップを大切にしまうと、ベッドに、もう一度横になった。今までに無いくらい
安らかな気持ちで眠りについた。

249ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/04/09(金) 06:33
これで、現在の章は終わりです。次はミリィSSの方に戻ります。今回出てきたレストランの写真は、
例によってミリィSS次章とリンクしてます。

>>流離う翼たち
キースとアズの罵り合い、外野には結構面白い。ええと前のを見直すと、ブルコスでは
アズ(急進派)、キース(穏健派:シーゲルと似た思想)、サザ(中立)でしたっけ。
もっとやって欲しいけど、聞いてるキラには、それどころじゃ無いのですな。しかし、
悟りキラで無いキラは、サザーランドとかハルバートンとか威厳のある人には弱いですね。
潜水艦の船室に関しての情報サンクス。既にプロット的には間に合わないかもしれないけど、なにかの参考にします。

250過去の傷・102:2004/04/09(金) 12:47
食堂でただ一人フレイは呆然としていた。
キラ・・・あの可愛い顔は、あのぬくもりは私だけの物、そう思っていたのに、有頂天になってた私、調子に乗ってた、勝手にキラの恋人気取りしてた、でも違った・・・どうすれば、どうすれば好きになってもらえるのかしら?どうすれば・・・ミリアリア・・・あの子も可愛いけど、私の方が美人よ、それなのになんで・・・?なんでそんなこと言うの・・・?
寂しそうにサイに顔を向けた、サイは私と目が合うと気づくと俺には関係ないとばかりに目を逸らした、そのあとは私の方を見ようともしない、それどころかあの子と微笑みあっている、ジュリとかいうピンクのメガネをかけた女の子。
ただ一人カガリは私を見てる、心配そうに私を見てる。
「サイ・・・あの」
フレイは思い切ってサイの声をかけた。
「その子とどういう関係なの・・・?」
「・・・・・・」
「ねえったら!」
「ああもう!うるさいな君は!」
サイは私を睨んだ。
「関係ないだろ君には!」
「・・・関係ないって・・・そんな」
「いいかげんにしろよ!」
そんな中アサギとマユラは。
((キラさんがフリ−に・・・?これはチャンス!))

その一時間後。
キラの部屋の前に来ていたフレイは。
(あんなこと言われて部屋に馴れ馴れしく入れないわよね・・・)
そしてフレイは小さな声で話し始めた。
「キラ・・・こんな時間にごめんね」
部屋の中からはなにも言ってこない、無視されているのかしら・・・?
「さっきのことなんだけど、その・・・ちゃんと話し合いたいの、だからちょっと起きてきてくれない・・・?キラ」
そのフレイの様子を部屋の隙間からカガリが隠れて見ているのには気づかなかった。

「ミリィ大丈夫?」
「ええ、気分もよくなってきたわ、ちょっと寝たからかな、あとキラがついていてくれていたあかげよ」
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
ミリアリアの額に手を触れる。
「うん、もう熱もないよ」
「ええ、今日は一日寝ていたから」
よかった、私が倒れたりしたらどうするのよ、キラ・・・ありがとう・・・私はあの女とは違う・・・違う。
「キラ」
「?」
「入ってきて」
「ミリィ・・・今日は泊まっていいかな?」
泊まる、キラが泊まる・・・今日もキラと寝よう・・・。
「ええ、いいわよ・・・」
キラが泊まる、これで・・・やっと私の目的の一つは達成された、次は・・・。

251リヴァオタと八アスのためでなく:2004/04/09(金) 17:48
そのころ、ギレンの妹のキシリアの仕事部屋の事務所では新入りの若い部下
が、突然入ってきた。
「大変です!」
「なんナリか?」
「ギレン閣下が・・・」
「コロ助口調でしゃべるナリ」
「ギレン閣下が買ったブルーコスモスの200万株が大暴落したナリ」
「なにそれはほんとナリか!?」
「はいナリ」
キシリアはギレンのいる家に電話をかけた
「兄上ちょっとお尋ねしたいことがあるのだが」
「なんだキシリアお尋ねしたいこととは」
「兄上はブルーコスモスの株を買ったそうだな」
「ああ」
「そのことできてほしい」
キシリアは電話を切った。

252流離う翼たち・451:2004/04/10(土) 00:40
 些かの怯みを見せながらも、キラは自分の抱いた疑問をサザーランドにぶつけた。

「キースさんは、前にコーディネイターを白兵戦で倒したと言っていました。ナチュラルに出来る筈が無い事を、どうしてキースさんは出来たんです?」
「それは・・・・・・」

 答えるのを渋るサザーランド。余程深い理由があるのだろうとキラは察したが、サザーランドが答えるよりも早く第3者がそれに答えてしまった。

「ああ、それは簡単ですよ。キーエンスはコーディネイターを殺す為の力を人工的に付与された強化人間だからです」
「は?」
「強化人間?」
「なんです、それ?」

 キラとトールとフレイがアズラエルの方を見る。逆に語るのを躊躇っていたサザーランドは顔を引き攣らせ、キースの顔色が一気に青褪めた。アズラエルはキースとサザーランドの慌てぶりを楽しむかのように薄く笑うと子供達の疑問に答えだした。

「君達も会っただろうけど、オルガ・サブナックが現在の技術で作られたブーステッドマン。彼は脳内インプラントと薬物強化で身体強度と反応速度をコーディネイター以上に引き上げた戦闘用の人間なの」
「なんで、そんな酷い事を・・・・・・」

 人間を強化したと聞かされ、フレイが悲痛な声を漏らした。他の者も信じられないという目でアズラエルを見ているが、アズラエルは詫びれずにそれに答えた。

「元々彼は死刑囚だったんだよ。それを研究に手を貸すことで生きる道をあげたんだ。感謝されこそすれ、文句を言われる筋合いは無いでしょう?」
「でも、そんな非人道的な事をするなんて。人の身体を弄んでどうしようって言うんですかっ?」
「決まってますよ。コーディネイターどもを地球から叩き出すんです。元々はキーエンスだってコーディネイターに対する抑止力として当時の遺伝子研究者達が生み出したんですからね」
「抑止力?」
「そう、抑止力。遺伝子研究者たちは際限なく人類の究極を求め続け、次々に強力なコーディネイターを生み出していきました。ですが、その際限ない強化に畏怖した研究者達はコーディネイターがいずれ自分達に牙を剥く日を予見し、コーディネイターに対する抑止力としてブーステッドマンの研究を始めたのです」
「それが、その・・・・・・」
「そう、彼。キーエンスはその時に体の一部を人工物に置き換えられた実験体の1人なのです。彼は神経系や筋組織、肺など運動に関わる部分を人工物に置き換えることでコーディネイターでも到達しえない身体能力を持ったわけです。彼がコーディネイターでも不可能とされるGに平然と耐え切ってMAを使いこなし、「エメラルドの死神」と呼ばれるようになったのはその人間の限界を超えた身体のおかげなんですよ」

 アズラエルの言葉にサザーランドを除く全員がキースを見た。キースは怒りに身体を小刻みに震わせていたが、否定しない所を見るとそれが真実だということなのだろう。ナタルがキースに気遣うような視線を向けているが彼が気付く様子は無い。

253流離う翼たち・作者:2004/04/10(土) 00:48
>> ザフト・赤毛の虜囚
昔の写真見て懐かしむフレイ様は可愛いかもw
しかしカズィ、君は中々に芸達者な男なのですな
アズとキースとサザの関係はそうですよ。でも、全員コーディは嫌い、という点では一致してます

>> 過去の傷
サイ君暴走中。何気にフレイ様を追いかけるカガリの真意はw?
実は結構逞しいマユラとアサギw

>> リヴァオタと八アスのためでなく
コロ助口調って、一体何者?
しかし、早くも大暴落ですか。まあ予想できた運命・・・・・・

254ミリアリア・あの子許せない 84:2004/04/10(土) 05:05
第2部 7.ミナシロのこと覚えてる? 1/12
[ミナシロでのこと]

オノゴロからオーブ本土に向かう連絡機。窓から見えるオノゴロが、どんどん小さくなっていく。
これから、私はオーブの首都に向かう。

私は、アークエンジェルを降りた。残酷な冷たい戦士のキラ。それに命令されるままに。
私は幸福だ。キラの命令に従っている。それだけで、私は幸福だ。人の少ないキャビンの中、
私は小さく感嘆の声まで上げて、身を揺すっている。

でも、かすかに抵抗する心の声がする。
(いいの? 本当にいいの?)
(忘れられるのキラを?)
(キラの遺品を持ってきたのは、なぜ?)

登り行く朝日の光を受けて、首都から山を隔てた向こうにある都市の建物が光るのが見えた。
ミナシロ市。キラの実家がある都市。私の故郷の隣町。

カレッジの二週間の長期休暇。ヘリオポリスからオーブへ帰った時。その時にキラ達と
ミナシロに行った記憶。ミナシロでのこと。それが私の中に蘇った。

まだ、あの子がカレッジに入学もしていなかったころ。まだ、トールが彼氏じゃ無かったころ。
私とキラ、トール。みんな。仲良く過ごした日々の記憶を……

255ミリアリア・あの子許せない 85:2004/04/10(土) 05:11
第2部 7.ミナシロのこと覚えてる? 2/12
[やられた……]

ヘリオポリス工業カレッジの二週間の長期休暇。あれこれ忙しい授業や研究から解放され、私達は、
それぞれの故郷に戻った。私、キラ、トール、サイは地球のオーブへ。カズイはヘリオポリスの実家へ。
早朝の便で、オーブ近海の宇宙港へ着いた私達は、連絡機で首都まで行き、電車で、それぞれの故郷へ
戻って行った。山を挟んで隣町どうしの私とキラは、最後まで電車に一緒に乗りあわせていた。

「キラの家、ミナシロの郊外でしょ。私、隣の市なのに、ミナシロには、あまり行ったことないの。
 休みの間に、ミナシロの中心街案内してよ」
「ああ、いいよミリィ」

「じゃ、電話するわ。またねキラ」
「それじゃ、また、ミリィ」

私達は、乗り継ぎの列車で別れた。一人電車に乗りながら、私は想いをめぐらす。

(キラにいつ電話しよう。今晩、いきなりじゃ急かな…… 電話する勇気あるかな……)
(やっぱ、トールに言ってもらった方が…… でも、キラと二人きりでミナシロの港の夜景見たいな……)

登り始めた太陽が照りつけ、蝉の声の響く中、私は実家のマンションに足を進める。
カレッジに入学して、久しぶりに、お父さん、お母さんの顔を見る。どうしているかな。
私はドアのベルを鳴らした。何の反応も無い…… 何度ベルを鳴らしてもダメ。

「やられた……」

私はうっかりしていた。うちの両親ってこうなのだ。共働きで、いつも家を空けがち。
ものごころついた時には、私は一人、家に取り残されることが多かった。
今日だって、ちゃんと着く時間連絡していたはずなのに、これだ。
ドアの電子ロックのコードも変えられている。何で、連絡した時に教えてくれなかったのよ。
携帯電話を出して、両親に電話する。例によって、海外まで出る仕事をしている両親には、
電話も繋がらない。

私は、だんだん腹が立ってきた。私はマンションを出ると、近くの喫茶店に駆け込んだ。
ほとんどの喫茶店や駅、公共施設でパソコンをワイヤレスでネットワークに接続できる。
私は、カバンに入れてきたノートパソコンを喫茶店のテーブルに置き、ネットワークに接続すると、
ドアの電子ロックをネットワークからハッキングして解除しようとした。目を血走らせてパソコンに
取りつく私に、喫茶店の他の客は恐そうに見つめている。

電子ロックの解除は、うまくいかない。私は、パソコンをいじりながら、携帯電話を首にはさみ電話をかけた。
キラの携帯へ。もう、ほとんど無意識だった。

「はい、キラ・ヤマトです。ミリィ、どうしたんだい。さっき別れたとこなのに」
「キラ、パソコン持ってるわよね。そっちからネット入って、これから言う住所の電子ロックを
 解除してくれない?」

「ちょっと、ミリィ、いきなり何言ってんだよ」
「聞いてよ、キラ。うちの親酷いのよ。私を締め出しにして仕事出てるのよ!」

「だからって、電子ロックの解除はまずいよ」
「キラ、よくカレッジで研究室のドアロック解除したりしてたでしょ。お願い」

「いくらなんでも、ここからじゃ、防犯システムにひっかかるよ。人を犯罪者にするつもりかい」
「ダメ?」

私は話しながら、さっき、いつ電話しようか迷っていたキラに今、電話していることに気がついた。
ゼミの研究で分からないことがあると、すぐキラに電話していた癖で、そのままかけてしまっていた。
でも、これってチャンス!

「ねえキラ、今日、暇?」
「とりあえず、家でゆっくりする予定だけど」

「ミナシロの案内、今からじゃダメかな?」
「うん、別にいいけど。両親への連絡は大丈夫かい」

「いいのよ、あんな無責任な親なんか。行こうキラ」
「それなら…… じゃ、ミナシロ・センター街駅の北口、噴水の前で待ち合わせでいいかい」

「分かった。それじゃね、キラ」

さっきの目を血走らせた表情から打って変わって、ニコニコとパソコンを閉まって店を出て行く私に、
他の客は、目を丸くしていた。

256ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/04/10(土) 05:23
ミリィSS新章です。アークエンジェルを降りてトールの遺品を両親に返しに行くところでしたが、
ちょっと、その前に回想シーンに入ります。ここでは、私のSSではあまり無かった明るいミリィが登場します。
ミナシロ市は、私の創作です。オーブ北海岸に面した都市だと思ってください。

>>過去の傷
ミリィ次はって! アァタ……
フレイ様、留守のキラの部屋の前で小声でって、これインターホンですよね。
さすが、外からの小さな声が聞こえるくらいだと、まずいし。

>>リヴァオタ
お久です。コロ助口調で喋るのはキシリア閣下? 次は、〜ザンス、 〜でゴンス、フンガ、フンガーでも……

>>流離う翼たち
ふうむ、アズ君、そんなに簡単に、みんなの前でキースのこと、バラさなくてもいいじゃありませんか。
実はキースは誰がために戦う戦士だったという訳ですね。しかし、そういう人がブルコスの幹部候補とは……
まるで、黒い幽霊団かショッカーみたいじゃありませんか。
それはそうと、皆さん。とある事情でアズ語を研究しようとしているのですが、こんな喋り方で
良かったんでしょうかね。どうです、お若い艦長さん?

257リヴァオタと八アスのためでなく:2004/04/10(土) 08:46
40分後、ギレンがキシリアの事務所にやってきた。
「なんだ、キシリア、私は忙しいのだよ、話なら早く 終わらせて
 ほしいものだな」
「兄上落ち着くナリ、簡単に問いただすナリ、兄上はブルーコスモスの株
 200万株を買って大暴落させたナリね、こうなってしなったらばザビ家は
 破産してしまうナリ」
ギレンはニヤッと笑った
「いうことはそれだけか」
ギレンの席を立った
「私はこれで帰らせてもうよ」
「待つナリ」
キシリアはギレンの頭に拳銃を向けた
「ほうなんのまねだ?」
「まだ帰るなという合図ナリよ」
「そんじゃ俺帰るわ」
ドキューン!
キシリアはギレンの頭に弾を撃ち込んだ
「うわっ」
びっくりするキシリアの部下
「落ち着くナリ!、ギレン閣下は名誉の自殺をしただけナリよ!」
キシリアの声は響き渡った。

258過去の傷・103:2004/04/10(土) 16:19
「ねえ、キラってフレイのことずっと気になっていたでしょ?」
「え?突然なにを・・・」
「だってそうだったじゃない、見てれば誰だって分かるわよ、フレイは学園のアイドルだったもんね」
「・・・・・・」
「なら今はどう?」
「今?」
「ええ、今」
まずはキラをフレイから奪うことには成功したわね、あとは結婚するだけ。
キラは下を向くと言った。
「分からない」
「分からない?」
キラはうなずいた。
「はっきり言うとフレイは僕にとっては遠い存在だった、話もしたことなかったから、遠くから見ているだけだったから・・・でもいまは違う・・・」
そう、いまは違う、フレイはもう遠い存在ではないのだ、付き合っている。
「そうよね、いまは一番キラの近くにいるもんね、で?どうなの?」
「・・・・・・」
「・・・飽きたとか?」
「飽きた?」
「ええ、この頃はずっと一緒にいるでしょ?ずっと・・・もういやになるくらい一緒に・・・それで飽きたとか?そうなんでしょ?」
「分からないよ・・・」
「・・・まあいいわ・・・この話はもうやめ、それより・・・ねえ・・・結婚しない?来週にでも、両親も貴方とのこと話したらいいって言ってくれたわ、キラ君ならいいってね・・・」
「・・・え!?」
「形だけでもいいじゃない、もうこのことはずっと決まっていたのかもしれないわね」
そう、どんな手を使ってでも私と結婚してもらうわ、私と・・・絶対に・・・じゃないと私なにするか・・・。

「キラ・・・」
無視されたの?それとももう寝たのかしら。
キラを呼び続けていたフレイだが応答はなかった。
なら今日はどこで寝ればいいんだろう。
フレイは歩いた、そして通路でサイと会う。
しかしサイは彼女を一目見たが無視して通り過ぎようとしている。
「・・・・・・」
「あ、あのサイ!」
仕方なさそうにサイが立ち止まる。
「俺に・・・何?」
「いや・・・あの・・・キラの部屋には入れなくてどうしようかなって・・・」
「・・・俺には関係ない・・・君達の問題だろ、自分の問題くらい自分で片付けなよ、俺は知らない」
「そんな・・・だって私達だって・・・」
「俺達の仲を勝手に解消してきたのは君だろ!それをなんだよいまさら!俺には新しい彼女も出来たんだ、もういいだろ」
そう言うとサイは部屋に入って行った。
・・・私ってサイに完全に嫌われたのね・・・でも裏切ったのは私・・・。
サイ・・・今日私はどうすれば・・・前の私の部屋に戻る?それとも・・・カガリ・・・カガリ!
「あの・・・カガリ」
カガリの部屋を訪ねたフレイは・・・。
「フレイ」
「泊まっていいかな?一日だけ」
カガリは優しく微笑むとうなずいた。

259 ヘリオポリス・1.24〜:2004/04/10(土) 23:36
2.16
[砂漠・三日目]
キラを殴った子、あの子カガリって言うらしい。
なんか凄く偉そうで、気に入らない。

アークエンジェルはレジスタンスと一時協力をすると聞いた。
土臭い、田舎くさいレジスタンスなんか、役に立つんだろうか?
カガリって子も、そう。荒っぽくて、女じゃないみたい。

まだモニターでしか見たことがないけど、
あの子は、嫌いだ。

同日:
サイは、優しい。とてもいい人。
パパがそう言うように、私もそう思っていた。
お兄ちゃんみたいな感じ。でも、今はすこし鬱陶しい。
なんで放って置いてくれないのだろう。私を好きだから?
私もサイを好きだった。それは当たり前のことで。

キラは、サイとはぜんぜん違う。
ひどい、自己中心的で、心が弱くて、卑屈で。
サイに暴力をした。私のすぐ傍で。すごく怖かった。
でも、それがちょうどいいと思う。
キラがひどいコーディネイターのほうが、私は助かる。

キラは、私のために戦うの。
キラはいつも、怯えた顔をしている。いい気味だ。
もっと、苦しめばいい。私がこんなに、苦しいんだから。


2.17
[苦しい、もうイヤ]
するのは嫌い。すごく痛い。
もうイヤ。

キラの部屋に荷物を全部持ってきた。
これからキラと、毎日するのだろうか。
そんなのイヤだ。嫌、嫌、嫌!!
気持ち悪い!!

してる最中、私はキスする時のように、演技できないけど、
キラはもっとめちゃくちゃで、私のことすら見ていないんじゃないか。
なのに、私の名前を呼ぶのをやめてほしい。
うるさいし、イライラする。


2.18
[キラがいない]
起きたら、キラがいない。
探しに行かないと。

どうしたんだろう?
わたし、さっき何かまずいこと、言った?


2.19
[困った]
キラはMSのコックピットに篭ったまま、寝泊りしているみたい。
どうしてそんな所で寝るの、私が嫌なの?と聞いた。
そうしたらキラは、沢山調整しないといけないことがあって、それは
自分しかできないから、かかり切りになってしまうと言った。
そのうちに眠くなるから、仮眠をとって作業を続けてるだけだと。

部屋に私がいるのは、構わないと言う。
私が部屋にいると、嫌なのかとキラに拗ねて見せると、キラはすごく
慌てていた。それから嬉しいよ、とか言っていた。
顔を真っ赤にして。ほんとうに馬鹿な子。

キラを操るのは簡単なようなのに、どこか、うまくいかない。
どうすればいいんだろう?もっと考えなきゃ。うまくやらなきゃ。


2.20
[つまらない]
キラが買い物に行ったきり、帰ってこない。
あのカガリって子と一緒に行くって言った。(しかも私に謝らない!)
どういう神経してるんだろう。なぜわざわざカガリって子と行く必要があるの?
現地のことがわかる、ということだけど、それなら他の大人のほうがいい。
(だって、カガリって子は人種が違うように思う。肌もそんな焼けていないし)

もしかして…艦長さんが私とキラのこと快く思ってないって感じるけど。
そういうこと、なのかな?だったら余計なお世話なのに!!
キラは、私の言うとおりに私を守れば、あの人たちにとってもありがたいはず。
キラを普通の少年のようにさせようなんて、馬鹿みたいだ。


今日はもう仕事は終わり。(掃除だけだけど)
暇だ。キラに頼んだエリザリオの化粧品、あればいいけど。
どうせ、無いに決まってる。どうせあてつけだから、構わないけど。
あの子がどう謝るのか、みものだわ。

260ヘリオポリス・1.24〜:2004/04/10(土) 23:39
>>ミリアリア
ミリィ、ふつうの可愛い女の子だなぁ。
キラはトールの気持ちに気付いてないのか、深読みするタイプじゃないのか…?

>>流離う
アズ、暴露っちゃいましたか。しかし、この話の笹島大佐はわりと好きですね。

261流離う翼たち・452:2004/04/10(土) 23:53
 そして、アズラエルは決定的な事を口にし始めた。

「まあ、普通のコーディネイターに対するならそこまでの力は必要なかったんですがね。彼のような無茶をしたブーステッドマンは、当時は調整体と呼ばれていましたが、メンデルという研究所で研究されていた、最高のコーディネイターに対する抑止力だったんです。まあ結果としてはこれだけ無茶をしても一対一ではその最高のコーディネイターの想定ポテンシャルを超えられなかったんですがね」
「なんで、そんな下らない物を求めたんでしょうか。その科学者達は?」
「その理由は、全ての始まり、諸悪の元とも言える理論、随分昔に出てきたSEEDと呼ばれる理論です。人の進化の可能性、更なる高みへの階梯、言葉を介さず、状況を超えて理解しあえる人間。それがSEEDを持つ者たちと呼ばれています。元々コーディネイターとはこのSEEDを持つ者をナチュラルに受け入れさせる為の橋渡し的な役目を負わされていたのですが、何処をどう間違ったのかコーディネイターたちは自分を進化した人類だと言い出しました」

 そこでアズラエルは一度言葉を切り、ジロリとキラを睨み付けた。その視線に含まれた悪意にキラは息苦しさを感じてしまう。

「君もそうでしょう。ナチュラルは自分より劣った存在だと、これまで考えたことが無いとは言わせませんよ。そのナチュラルを見下した視線が許せないから僕たちはコーディネイターを認められないんですから」
「でも、だからって何も殺さなくても。核まで使って・・・・・・」
「核を使ってまで自分達を殺したいのか、ですか。どうしてそこまで憎悪されることになったのか、その理由を考えたことはありますか?」

 アズラエルの問いにキラは言葉に詰まり、そして力なく首を横に振った。これまで両親に伴われて月からヘリオポリスと移り住んでいたが、何処でもなるべくコーディネイターである事を隠し続けて生きてきた。もしばれれば周りの自分を見る目が変ることは明白だったし、何よりブルーコスモスに見つかるのが怖かったのだ。
 どうして自分達を狙うのか、何で自分達がこんな目に会わなくてはいけないのか、これまでずっと考えては苦しみ、そしてナチュラルへの憎しみを常に心のどこかに抱え続けてきた。だが、自分たちが何故憎まれているのかを考えたことは無かった。いや、そんな事を考える人間はまずいない。いるとすれば、それは何かが壊れている人間だろう。
 そしてアズラエルは、今度はフレイを見た。

「言ったでしょう、フレイ・アルスター。コーディネイターなどに近付いては、お父様が悲しみますよ。あの方もブルーコスモスだったのですから」
「・・・・・・そんな、嘘よ」
「嘘じゃありません。ジョージ・アルスターはブルーコスモスとして大西洋連邦内における我々の勢力拡大に随分役立ってくれました」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「そのジョージ・アルスターのお嬢さんがコーディネイターの少年と仲良くなるのは、色々と問題があるんじゃないですか。お互いの為にも距離をとっておいた方が良いですよ。まして、彼の同胞は貴女のお父さんの敵なのですよ」

262流離う翼たち・453:2004/04/10(土) 23:55
 アズラエルの言葉に、フレイは足元が崩れていくような衝撃を受けた。忘れたかった過去、目を背けていた現実、知りたく無かった父の素性、その全てが自分に再びこれまで犯してきた罪を蘇らせてしまう。

『コーディネイターの癖に、馴れ馴れしくしないで!』

「嫌・・・・・・・・・」

『あんた、コーディネイターだからって、本気で戦ってなかったんでしょう!?』

「やめて・・・・・・・・・・・」

『キラは、戦って戦って死ぬの、そうじゃなきゃ許さない』

「私・・・・・・私は・・・・・・・・・・・・」

『私はあなたを、道具にする為に近付いたのよ』

 両腕を抱えてカタカタを震えだしたフレイを心配そうに見るキラ。何をそんなに怯えているのかと思い、その肩に手を置こうとしたが、手を近づけた途端、フレイはビクリと震えて避けた。

「フレイ?」

 避けられたことに少しショックを受けながらも問いかけたが、フレイは混乱したように右手で髪を掻きあげ、何か聞き取れない声で呟いている。そして、いきなり表情が恐怖に歪んだかと思うと、泣き出しそうな声を紡ぎ出した。

「ご・・・ごめ・・・・・・ごめんなさい。わ、わたし・・・・・・」

 堪らなくなった様にフレイは立ち上がるとそのまま駆け出して店を飛び出してしまった。

「フレイ!?」

 残されたキラは呆然とその場に立ち尽くし、フラガやノイマン、サザーランドは事態に付いていけず戸惑っている。フレイとキラの余りに複雑すぎる関係を知っているキースやトール、マリュー、ナタルはフレイの変化の理由を察しており、アズラエルに憎悪の篭もった視線を向けていた。
 だが、誰もアズラエルを咎める言葉を口に出来ないでいる。何故なら、アズラエルの言った事は決して間違っているとは言えないからだ。

 誰もがフレイの後を追えないでいる。いつしか外には雨が降り出し、彼女の姿を闇の中に完全に隠してしまう。フレイは、マドラスを包む闇の中に消えてしまった。

263流離う翼たち・作者:2004/04/11(日) 00:07
>> ミリアリア・あの子許せない
ミリィさんの過去ですか。しかし、ミリィは家に1人型でしたか
キラにハッキングを頼む辺り、キラの普段の生活って一体・・・・・・
実はキースは若干ショッカーw
実際はサイバーテクノロジーとバイオテクノロジーが生み出したキメラみたいな物で、赤子の段階で改造されてます
で、身体的に拒否反応を起こさずに安定した固体がキースです。拒否反応が起きた奴は全員死亡
キース以外にも幾人か生き残りが居て、ずっと前にカガリがキースの実家で見たファイルに少し内容が載ってました

アズ語ですか、私はそれで良いと思いますが

>>  リヴァオタと八アスのためでなく
ギレンは何がしたかったんでしょう? キシリアは実権が欲しかったのかな?

>> 過去の傷
いかん、フレイ様とカガリが傷を舐めあう関係になってしまうw
しかし、サイはなんだか冷たい。いつからこんな酷い奴に

>> ヘリオポリス・1.24〜
丁度砂漠の頃ですな。キラがストライクで寝泊りしだした頃ですか
懐かしいですが、今思い出すと整備班には凄く迷惑でしょうね

264ミリアリア・あの子許せない 86:2004/04/11(日) 05:10
第2部 7.ミナシロのこと覚えてる? 3/12
[キラ、待った?]

私の住む市から、トンネルで山を隔てた隣の市、ミナシロ。シティレジャーとショッピングの街。
中心街は、奇麗に整備されていて、緑とビルが美しく融和されている。大きなショッピング街や、
いくつもの遊戯施設もあり、港は、赤道連合などの近隣国への交易船でにぎわっている。沖には、
漁場や海洋都市などの研究を目的とした海洋プラントがあり、海岸には、そことのやりとりをする
研究施設とドックが立ち並ぶ。またそれだけでなく、海洋遊園や、美しいホテルも一杯あり、
レジャーについても抜かりが無い。夜を美しく彩る夜景は情報誌によると、アベックには
絶品なのだそうだ。

キラと二人っきりで、港の夜景を眺める…… 私は期待に胸を膨らませた。そして、反面、
緊張で胸がドキドキした。だんだん、落ち着かなくなってくる。

ミナシロ・センター街駅。帰省荷物をコインロッカーに入れると、待ち合わせの北口の噴水前に行った。
キラは、すでに来ていた。肩にはトリィを乗せている。もう、子供っぽいから置いてきて欲しかったのに。

「キラ、待った?」
「いや、今来たとこだよ」

キラの笑顔に、私のドキドキは最高潮に達し、声まで上ずって来る。キラとの二人きりで
夜の港のデート、期待しすぎで胸はパンクしそう。

「あはは…… それじゃ、どこから行こうか? 夜まで時間つぶして…… 二人っきりで……
 あ、そうじゃ無くて……、今は……」

みえみえの下心が口に出そうになって私は慌てて口を閉ざす。
ダメだこりゃ。まともに会話できない。それだけならまだいいけど、口が滑って、
私の知られちゃいけないアレやコレや、みんなバラしてしまいそう。
ああ、どうしよう。どうしよう……

「その前に、もうちょっと待ってくれる。待ち合わせに、まだ来てないから」

キラの言葉に、私はポカンとあっけにとられる。

「キラ、誰のこと? まさか……」
「あ、来た来た。トール、こっちだよ」

アレ?……

「やあ、ミリィ、大丈夫か。締め出しくらったって」
「私、トールは呼んでないわよ」

「ちょっと、そりゃずいぶんだなミリィ」
「ミリィの電話の後、トールからも電話があったんだよ。ミナシロのこと話したらトールも来るって」

キラ、余計なことを…… せっかく、キラと二人きりのはずだったのに…… 港の夜景が……

でも、そう思う一方で、トールが来てくれたおかげで、私は内心ホッとしているのは確か。
ドキドキがおさまって、声も落ち着いてきた。私はトールに笑顔を向けた。

「そうね、トールも一緒に行こう。案内して、キラ」

その声にトールとキラは顔を見合わせ、そして、トールが腕を振り上げて言った。
「よし、それじゃ行こう」

「どこへ行くのよ」 私は、その二人のやりとりに不安を感じる。

「決まってんだろ」とトール。

私は、さらに不安を感じた。トールが、こういう言い方をする時は、多分、おそらく、大方、きっと……

そんな、私の不安をよそに、トールとキラは笑いながら足を進めていた。

265ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/04/11(日) 05:13
>>過去の傷
キラは相変わらず、はっきりしない。なんとかせいや。ところで、ミリィはエターナルから
いつの間にオーブの両親に連絡を…… それとも、計略のでまかせ?

>>ヘリオポリス・1.24〜
フレイ様から見ると、黒キラは自己中で、卑屈で、嫌なやつで、手がかかる。確かにそうですね。

>>流離う翼たち
フレイ様、辛いですね。せっかく自分の気持ちを切り替えてきたのに、それが、周りから
認められないと思ってしまうと気持ちも落ち込みます。ところで、アズの話、途中から、
個人的感情に走って説得力失ってるような気がするのは気のせい?まあ、それを突っ込んでも、
どちらから先に戦争始めたかの水掛け論で誤魔化されるだけでしょうけど。

アズ語評価どうも。これをベースにもう少し語彙増やして、さらに年齢シフトします。

266過去の傷・104:2004/04/11(日) 10:39
「ラクスさんってバジル−ル中尉に似てきた」
と、ミリィは呟いた.
「ナタルさんに?想像出来ないな・・・」
「なんかね、話し方はあたりまえだけど違うわよ」
「そりゃあね・・・」
ラクスさんがナタルさんの話し方するのは想像出来ない、というより怖い。

「なにが君は俺が守るだよ、アスラン・ザラの嘘つきめ!」
「ほんとに勝手な男ねそいつ」
「だろ!そう思うだろ!?さすが我が同志であり親友だ」
フレイとカガリは慰め合っていた。
「あの・・・カガリ酔ってない?」
「ああ、さっき飲んだ、やけ酒だ」
そしてカガリはフレイの首のきけてあるペンダントを取り出した。
「カ、カガリちょっと・・・」
「私はこれを大切な人に上げるを決めてあるんだ」
「え・・・?」
カガリは頬を少し赤く染めると言った。
「そう、フレイ・・・以前はいろいろあったが私にとってお前は大切な存在だ・・・だから渡した・・・死んでほしくない・・・」
「カガリ・・・」

「ト−ルのことが頭をよぎるんだ」
「キラ・・・」
「ごめん、でも!」
「まだ気にしてるの・・・?あの時のことを」
キラはうなずいた。
「でも・・・アスランは僕の親友だ、彼に対してはそんな感情はない、だからミリィもさ・・・」
「分かってるわ、その人だってキラを殺そうとしたんでしょ?なら仕方ないわよ、それが戦争なんだから」
戦争・・・その言葉にキラはいろんなことが頭をよぎる。
(お前がなんで地球軍にいる?)
(あんた自分のコ−ディネイタ−だからって・・・本気で戦ってないんでしょ!?)
(逃げ出した腰抜け兵士が!!!)
(君とてその一つだろうが!)
突然キラが苦しみだす。
「キラ!?」
「うう・・・うああああ!」
そして泣いた、ミリィの目の前で泣いた、また女の子にすがりつき泣いた。
これはキラの感情値を上げるチャンス。
それにキラは私の前で泣いている、これは・・・。
キラを慰めれる、そう・・・この子は私の物になったのよ、こんなとき私は・・・。
「キラ・・・もういいの、もういいから、もういいのよ・・・」
私こういうふうに泣きつかれるのは苦手、ほんとは逆の立場ばっかりだったから、フレイやラクスさんはこういうの得意だろうけど・・・でもここで・・・頑張らないと。
「うう・・・」
私はキラを抱きしめるとキスした。
目を開け泣きついているキラもミリアリアからのキスに酔ったのか、目を閉じた。
その数分後。
キラを優しく離したミリアリアは・・・軍服を脱ぎ始めた。
「キラ・・・入ってきて」
ベッドにキラを誘った。

次の日。
また寝た、キラと寝た・・・でもいいの・・・来週結婚するんだから・・・。

267リヴァオタと八アスのためでなく:2004/04/11(日) 14:27
ロラン・セアックはドズルが校長を務める高校の食堂で雑誌を読んだ
雑誌の記事はこうだ、「10代が選ぶ藤子漫画ベスト10」
第10位 チンプイ
第9位 21えもん
第8位 忍者ハットリくん
第7位 キテレツ大百科
第6位 パーマン
第5位 オバケのQ太郎
第4位 笑ゥせぇるすまん
第3位 エスパー魔美
第2位 ドラえもん
ロランはラーメンを食べながらつぶやいた
「一位はやっぱりこれだよな・・・」
第1位は「魔太郎が来る」だった。ロランの感は早かった。
「やっぱり、魔太郎は最高だよ」
めんを食べ終わったロランはラーメンの汁をすすう。
隣に同級生のニコルが座った。
「やぁロラン」
「あっニコルいまからお昼ごはん?」
「ええ」
「ニコル、藤子漫画で第一位はなにかしってる?」
「ドラえもん?」
「違う違う」
「パーマン」
「違うって、魔太郎だよ」
「ええ!あの復讐漫画が第一位なんて」
「あれが今はやりなんですよ」
「しんじられないなぁ・・・」
「信じなくってもいいけどね」
ドズルが割り込んできた
「声優さんが一人二役でやっている朴路美のキャラはお前等か」
「そうだけど」
「僕は違うよ」
ニコルは言った。ドズルは
「いや、お前の声優さんは朴路美に変わった」
「えっ!」
ニコルは唖然とした。

268リヴァオタと八アスのためでなく:2004/04/11(日) 15:31
キラとフレイが家まで歩いているとまた変なのがいた。
今度はシャア・アズナブルのコスプレをしたケツアゴ大佐だった。
ケツアゴ大佐について知りたいのならば、プレステの実写版ガンダムを
見よう。
「フッフッお嬢さん俺のオチンチンをなめてくれないか?」
ケツアゴ大佐はズボンを下ろした。しかもパンツまで脱いだ
「キラ行こう」
ケツアゴ大佐は道を通さないようにガードした
「フッフッここはとうさん!」
「フレイここは任せて」
キラは道の下にペーパーナイフを見つけた。ナイフを手に取り
すばやく切った。
「うっ!」
ケツアゴ大佐は自分の下半身を見た。なんとアレが切られていた。
ケツアゴ大佐は一目散に逃げた。
「助かったわキラ」
「ああ」
とにかく一安心だ。

269The Last War・Inside2/2:2004/04/11(日) 16:09
キラ・〜Sympathy〜

 「アスラン、もう止めてくれ!!」

 ―――怖い。その光景を前に、僕はそう思っていた。アスランがあんな戦い方をするなんて、尋常じゃない。それにさっきからずっと呼び掛けているのに、僕の声に反応する様子すら無い。通信回線が切られている訳でもないのに。まるで、僕の声が届いてないみたいだ。
 ・・・それだけじゃない。あれは、本当にアスランなのか?僕の知っているアスランは、何処か遠くへ行ってしまったんじゃないのか?もう戦うしかない。彼はそう言っていた。・・・本当にそうなのか?僕らはもう、引き返すことが出来ない所にまで来てしまっているんだろうか?

「・・・許せないのだよ。人ならざるものでありながら、人間面をしようとする貴様等がなぁ!!」

 フレイ、そして『彼』と出会ったあの日から、僕はその言葉の意味をずっと考えていた。あの時彼は自分のことを、『最高のコーディネイター』のプロトタイプと名乗った。それがもし本当なら、彼もまた僕の実父、ユーレン・ヒビキによって生み出された『子供達』の内の一人。そういう意味では、僕達は『兄弟』ということになるんだろうか?でもあの時彼が僕とフレイに向けた視線は、僕らだけでなく、この世界そのものを憎んでいるみたいだった。
 彼がこれまでどんな生涯を、どんな気持ちで歩んできたかは、僕には想像も出来ないだろう。僕自身、自分が何者かなんて知る訳も無かったし、それに何より、父さんや母さん、アスランやサイ達は、僕に何の隔たりも無く接してくれたから。でも・・・、彼はそうすることが出来なかった。何も知らないまま自分が望みもしなかった力を人から与えられ、それと共に背負わされた過酷な運命を、只受け入れるしかなかったんだ。
 そう考えた時、僕はあることに気が付いた。

 ―――彼は、誰にも出会うことが出来なかった、もう一人の『僕』であることを―――。

 だから、僕は彼に手を差し伸べてあげたかった。自分が決して一人じゃないことを、世界はそこまで残酷じゃないことを教えてあげたかった。あの時、フレイが僕に心を開いてくれたように、彼を救ってあげたかったんだ。
 だけど、今僕の目の前にいる彼は『僕』ではなく、『あの人』そのものになってしまっていた。・・・どうして?

 ・・・ラウ・ル・クルーゼ、貴方は何故そうまでして世界を憎むんだ?どうしてそこまで、人を信じることが出来ないんだ?貴方にとって他者は、只利用するだけの存在でしかないのか?一体何が、貴方をそうまで追い詰めたんだ?
 貴方は僕が殺した。だからもう、貴方はこの世界にはいない。貴方の真意を知ることはもう出来ない。それでも、貴方がまだ滅亡を望むというのなら、僕はもう一度・・・、いや、何度でも貴方を止めて見せる。貴方が彼の心を縛り付けているというなら、僕がその呪縛から彼を解き放って見せる。そうすることで、僕は初めて貴方に『勝つ』ことが出来る筈だから・・・。

 ―――!!右腕が、動く・・・?なら止めなきゃ、あの二人の戦いを。今それが出来るのは、僕しかいない。もう二度と、あの時と同じ結末を迎えるのは嫌だ。もう、迷わない。僕は今度こそ・・・、僕らの戦いを終わらせる―――。

「憎しみで戦っちゃ駄目だ、アスラン!!」

270The Last War・作者:2004/04/11(日) 16:31
 2回に渡って番外編をお送りしましたが、少し表現が強引なところもあって反省しています。

》過去の傷
 遅くなってしまいましたが、100回達成おめでとうございます。最近の展開に目が離せなくなっています。このままキラはミリィの企み通り結婚してしまうのか?そしてフレイ様はカガリと?何はともあれこれからも応援させて頂きます。

》流離う翼たち
 アズラエル、余計なこと言わなくても・・・。かつての傷に触れられたフレイ様、そしてキースさんはこれからどうするんでしょう?特にキースさんはもしかしてキラとは天敵同士ということでは・・・?
 それからオルガの時みたいにアズラエルとAA組との対面は凄く斬新でした。

》ミリアリア
 思い出の中のミリィは凄く女の子らしくて可愛いですね。戦争に巻きこまれる前はこんな風に3人一緒に遊んでたと思うと微笑ましいです。

》ヘリオポリス
 あの頃のフレイ様、よっぽどキラが嫌いだったみたいですね。自分もあの頃の彼には抵抗があります。でも時間が経つに連れ次第にその気持ちが変化してきているところが良く出来ていますね。

》リヴァオタ
 お久しぶりです。ロランまで登場し、相変わらず独特な世界ですね。主人公キャラは大方揃ったのでは?ところでニコルの声優さんって、変わったんですか?

271ミリアリア・あの子許せない 87:2004/04/12(月) 04:31
第2部 7.ミナシロのこと覚えてる? 4/12
[ここで見て買わずに帰れるか]

私とキラ、トールは、人ごみの中にいた。まわりにいるのは、男連れか、化粧ッ毛のない
アベックや若夫婦、そんなのばっかり。

「キラ、やはりオーブだな。こんなの、もう出てるよ。しかも、安い」
「トール、ちょっと買い過ぎだよ。お金足りるの?」

「ここで見て買わずに帰れるか。キラ、貸してくれ」
「僕も、そんなに余裕無いのに。ミリィはある?」

「私はパス……」私は、そっけなく答える。

ここは、ミナシロの電気街。パソコンとアニメとマンガの街。そりゃ、首都ほどじゃ無いけど、
ここも、結構、物は揃っている。でも、せっかく、ミナシロまで来て、こんなとこに……

トールは、なおも、お金を借りようとねだるけど、帰省のシャトル代で、私の財布は、すっからかん。
ここで散財するとヘリオポリスに戻れなくなる。

「ほら、ミリィの欲しいって言ってた新型のPDAだよ」キラの言葉。
「あ、これ欲しかったんだ。手持ち無くて買えないけど」私の声のトーンが変わる。

「ちょっと、いじってみたら」
「うん、いいな。いいな」

キラと肩を並べて、狭い画面を覗きながら操作する。まあ、私も、ここ楽しんでるけどね……

やがて、大量に買い込んで満足したトールは昼の食事にと場所を移動しようとした。

「何食べる?」
「牛丼」とトール。
「カレーライス」とキラ。

「せっかく、ミナシロなんだから、もっと、いいもの食べようよ。ショッピングモールとか行ってさ」
私は提案する。

「それじゃ、僕の知ってる店に行こうか。モールの中にあるやつ」キラが言った。
「行こう、行こう」 私はキラの提案に乗って足を進める。

「高かったら、キラの、おごりな」
「大丈夫だよ、トール」

後ろで、まだ話をしているトールとキラに先立って歩いていた私の目に、近くの店の
ショーウインドウに飾れられているものが目に入った。私は通り過ぎながらも足を緩め、
そして、財布の中身を思い出して逡巡する。

電気街から少し遠ざかったころ、私は決断を下した。既に追い付いていたキラとトールに声をかける。

「私、ちょっと見たいとこ思い出しちゃった。二人、先に行っといて」
「すぐなら、一緒に行くよ。ミリィ」

「いや、いいの。先に行っといて」
「じゃ、ショッピングモールで。分からなくなったら携帯で連絡して」

私は、一人電気街へ戻った。そして、さっきの店に駆け込んだ。
ここで見つけたのは、ヘリオポリスでは、即売会はおろか、ネットオークションでも、
どうしても手に入らなかった伝説の801同人誌。それはそれは、エロエロな逸品。
過去販売された分も含めて、5冊のセット。プレミア付いてて、正直手持ちギリギリだけど、
ここで見て買わずに帰れる訳無い!!

私が、ネットで、いやらしいサイトに出入りしたり、エロな同人誌を大量に買い込んで、
寮の部屋中積み上げていることは、みんなには内緒。特に、キラには秘密中の秘密。

数分後、私は、すっかり軽くなった財布の代わりに同人誌の入った紙袋を下げて、
嬉々とした気分で、ショッピングモールへ足を進めていた。

272ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/04/12(月) 04:34
>>過去の傷
カガリがアスランから取り返したハウメアの護り石はフレイ様のもとに。それよりカガリ未成年だろ。
酒飲んでいいのか? ミリィは来週結婚って、そんな馬鹿な……

>>リヴァオタ
一番は魔太郎ですか。私はA作品だと黒ベエかな。怪物くんは別格。F作品だと「みきおとミキオ」も。

>>The Last War・Inside
このキラの言う『フレイ』は、本物のフレイなのでしょうか、それともネメシスのことなのでしょうか。
まあ、キラにとっては同じなのかもしれませんけど。アレクセイとの戦いを最初避けようとした気持ち、
よく分かりました。キラの右手が、元に戻って良かったです。さあ、アスランと共に戦いを終わらせるんだ。

273過去の傷・105:2004/04/12(月) 17:59
「形だけの結婚よ、オ−ブで正式には式を挙げるの」
キラはよもや冗談だと思っていたのだが、ミリアリアは本気で来週結婚したいのだそうだ、しかし二人ともまだ年齢は18歳にすらなっていないのだ、さすがに無理すぎると思うのだが・・・。
「そんなにミリィは僕と結婚したいわけ?」
「ええ、今すぐにでも」
そうよ、絶対に私と結婚して一緒になってもらうわよ、プラントに逃げようが追いかけていくからね私・・・。
「・・・そうだね」
「キラ・・・いい家庭作ろうね」
「うん・・・」
そうか、このゆくもりだ、ミリィは優しい、この子と結婚するんだ僕は、この子はこんな僕を必要としてくれてるんだ、僕はそれに答えよう。

その夜のことである。
「キラ探してたんだから」
キラは通路でばったりフレイと会ってしまったのだ。
その数分後。
キラはどこに行ってのかしら?私はもう・・・。
ラクスさんに見つからないようにしなきゃ。
「あら、ミリアリアさん」
「え・・・?ラクスさん・・・?」
「はい」
ラクスは微笑んだ。
そんな時だった。
「キラそんなんじゃ分かんないわよ、ちゃんと話を!」
「話なら十分しただろ!」
喧嘩した若い男女の声が聞こえた。

274リヴァオタと八アスのためでなく:2004/04/12(月) 19:41
ある雑誌にはこう書かれている
『今、子供たちの間にドラえもん人気がある。その人気につられて過去の
 藤子作品がリリースしている。ドラえもん以外の藤子作品に興味を
 もった、小学生たちがそれを読んでいる、子供たちは「ドラえもん」を
 はじめ 「パーマン」「プロゴルファー猿」「怪物くん」「オバQ」
 「バケルくん」「ハットリくん」「みきおとミキオ」「キテレツ」
 「チンプイ」「21えもん」「エスパー魔美」「ポコニャン」「ビリ犬」
 などがある、小学生たちはそれらの単行本を買い、コロコロでは藤子漫画の
 再録などがある。藤子フェアは子供たちの間に大ブーム、そのなかに今、
 小学生を熱狂させている漫画が登場したそれは「魔太郎が来る」である。
 最初にコロコロに掲載されたとき、子供から大反響を呼び、単行本が販売される
 やいな、各書店の本屋から品切れが続発した、こうして小学生の間で「魔太郎」が
 はやり始めた、アンケートで10人のうち9人が「魔太郎」の単行本を持っていると
 いうのだ』
「なっニコル、本当面白いんだよ」
「そうかなぁ、僕はドラえもん好きだけど」
「一度読んだら面白いよ」
ロランは二コッとニコルに笑った。

275流離う翼たち・454:2004/04/12(月) 23:56
 雨の中に飛び出したフレイを探す為に飛び出していったキラたち。店に残ったキースは仲間が居なくなった事を確認すると、いきなりアズラエルの胸倉を掴み挙げた。

「貴様、どういうつもりだ。ここで俺に殺されたいのか?」
「殺すねえ。本当に殺せるの?」

 挑発するようなアズラエルの言葉に、キースは仕方なくその手を放した。ここでこの男を殺すのは簡単だが、もしそうなればアークエンジェルクルー全員に罪が及ぶ可能性さえある。悔しいが、目の前の男は連合にとってそれ程に重要な位置に居る。
 だが、怒りに顔を赤くするキースに変わって、サザーランドがアズラエルをたしなめた。

「アズラエル様、キースの事は周囲に言いふらして良い類ではありませんぞ。些か軽率すぎます」
「サザーランドは真面目だねえ。でも、キースも悪いよ。何でコーディネイターなんかを放って置くのさ?」
「俺は別にお前と違ってコーディネイターに生理的嫌悪感を感じてるわけじゃないんでな。戦友をどうこうする気は無い」
「相変わらず、優等生だね」

 やれやれとアズラエルは肩を竦める。そう、アズラエルはコーディネイターに生理的嫌悪感を感じるタイプなのだ。確かに仕事が絡めばそんな物押さえ込むし、必要とあれば幾らでも心にも無い台詞を吐く事が出来る。だが、今回は違った。アズラエルはコーディネイターのキラがその場に居る事に耐えられなかったのだ。だから理性的な言葉に感情を交えてぶつけてしまった。
 だが、フレイにあそこまで言う気はなかったのだ。それに関してはアズラエルも少し反省していた。

「悪かった。確かにあのお嬢さんを追い込んだのやり過ぎだった」
「今更言っても遅い。これからどうする気だ?」
「そうだねえ。まあ、こちらにも些かの非はあったし、何かアークエンジェルに有利になるような手を打たせてもらおう。それでどうだい?」
「フレイへのフォローはこっちに押し付けか?」
「そういうのは専門外でね」

 完全に他人事の口調で言うアズラエルに、「こいついつか殺る」と幾度目かの決意をするキースであった。
 
 一方、外に飛び出したフレイを探し回ったキラたちは、地理不案内もあってフレイの足取りを全く追うことが出来なかった。アジア特有の猛烈な雨もフレイの姿を隠してしまっている。結局その日はもう無理だと判断し、フラガの号令の元に彼らはそれぞれの宿舎へと引き上げたのである。




 軍務を終えて基地から官舎へと戻ろうとしていたアルフレットは、途中の路地で人影を見つけ、首を捻ってしまった。こんな雨の中、傘も差さずにあいつは何をしているんだ? しかもその人影は赤い女性兵用見習服を着ている。
 さすがに不信に思ったが放っておくこともできず、アルフレットはその兵士に声をかけた。

「おい、こんな雨の中で何してるんだ。風邪ひくぞ」

 自分の声が聞こえたのだろう。その少女兵はゆっくりと振り返った。その顔に見覚えのあったアルフレットはまた驚いてしまった。

「お前、アークエンジェルのフレイ・アルスター少尉じゃねえか。こんな所で何してるんだ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 答えないフレイ。その瞳には光が無く、その顔色は冷え切って血の気が無い。仕方なくアルフレットはフレイを傘に入れた。

「たくっ、しょうがない奴だな。とりあえずキースにでも迎えにきてもらって、アークエンジェルに帰れ」
「っ!」

 帰れと言った途端、フレイの肩が震えた。初めて目の焦点があい、アルフレットを見上げてくる。

「・・・・・・嫌・・・・・・」
「あん?」
「戻れない・・・・・・私、キラに会えない・・・・・・」
「はぁ、何言ってるんだ、お前は?」

 アルフレットは訳が分からず聞き返したが、フレイは帰りたくないの一点張りで要領を得ない。ただ、その目が余りにも弱々しい事、どうにも情緒不安定なことが気にかかった。たんなる喧嘩というわけでもないらしいと悟り、仕方なく妥協案を出した。

「分かった分かった。とにかく、こんな所に居たら風邪をひくぞ。帰りたくないなら、今日は俺の家に泊まれ」

 アルフレットの提案に、フレイは少し悩んだ後、こくりと頷いた。それを見てアルフレットは傘にフレイを入れたまま歩き出したが、内心ではなんでこんな事になったのやらと思っていた。

276流離う翼たち・作者:2004/04/13(火) 00:09
ミスりました。フレイ様は赤い見習い服じゃなく、白い士官制服を着てます。

>> ミリアリア・あの子許せない
ミリィ・・・・・・君って奴は、まさかそういう方面の人だったとは
でもキラとトールも結構マニアな人みたいですし、お似合いか?
何気にトールに対するミリィの反応が酷いです

>> 過去の傷
どんどん妖しい関係が進んでいく。マリューさんがここに居たら今度こそ胃潰瘍で倒れるかも
フレイ様がサイと化してますが、さてどうなるやら

>> リヴァオタと八アスのためでなく
すいません、ネタが分らなかったです。あの方の作品には詳しくないので

>> The Last War・Inside2/2
キラは過去の清算ですな。アレクセイを倒せるのか、それとももう一度話すのか
何気にアスランは壊れキラに似てますな。でもアレクセイも種割れるし
キースはキラの天敵です。実はキースは初期の頃からキラを知ってる素振りを見せてましたが、こういう理由があったんです。ちなみにキースがブルコスに入ったのも、この頃に最高のコーディを殺す為の教育を受けたからで、コーディ嫌いになったんです
キースを生み出した技術者を知ったら、キラは今度こそ再起不能かもしれません

277過去の傷・106:2004/04/13(火) 17:31
言い争う若い男女の声がして、ミリアリアはそちらに目を向ける、ラクスは物陰に隠れて見ている。
姿を見せたのはキラと彼女に追いすがるフレイだった、キラはミリアリアの姿をみとめ、助けを求めるように駆け寄った。
「ミリィ!」
キラはミリアリアの腕に両手でしがみつき、その背後に隠れた、女の子に追われて別の女の子に助けを求める・・・軍人でパイロットであるキラとしてはあまり人に見られたくないほど情けない光景でもある・・・。
「キラ!」
フレイはいらだたしげにキラを叱りつけるように呼ぶ。それに答えたのはミリアリアだった。
「どうしたの?」
冷たい目で私はフレイを見つめる・・・その私を見てフレイは戸惑ったような表情になるのが分かった。
「キラに話があるの、ミリアリアには関係ないわ」
「関係なくなんかないよ!」
ミリアリアの背後からキラが叫ぶ。
「だって僕、昨夜からはミリアリアの部屋にずっといたんだから!」
物陰に隠れていたラクスは顔が赤くなりそのまま退散した、そして事実上その場には三人だけが残った。
フレイはしばらく事態がのみ込めないない様子で、ぽかんと立ち尽くしていた・・・信じられないといった様子だ。
「ど・・・・・・どういうことなの・・・・・・キラ、貴方・・・」
震える声でフレイが言いかけると、キラはその言葉を断ち切るように叫んだ。
「どうだっていいだろ、フレイには関係ないよ!」
ミリアリアの手に回していた両手に、ぎゅっと力がこもる。
そうよ、キラはもうフレイの物ではないの・・・私の物になったのよ、これで私も一人寂しい思いをしなくてすむわ。
「関係ないですって?関係ないってどういうことなのよキラ!」
声を荒げてきたフレイに私は強気に言った。
「もうその辺でいいじゃない、フレイ」
「・・・ミリアリア?」
まさか私が口をはさむとはフレイも思わなかったのか、驚いくようにフレイは私を見た。
「どう見てもあんたが、嫌がるキラを追っかけてるようにしか見えないんだけど」
「・・・なんですって・・・?なによそれ・・・」
フレイの目が言っている、あんたも私を裏切るの?・・・と。
私は思わず目を伏せた。
「もう・・・みっともない真似やめなさいよね、場違いよ」
私はこれ以上フレイと話をするのは耐えられなくなった、フレイに背を向けると私は部屋に向かって歩きはじめた、キラが私に寄り添ってくるのが分かった。
「・・・ちょっと待ちなさいよ・・・」
小さくフレイが呟く、しかしその言葉にはあきらかに怒りがこもっていた。
「ミリアリア・・・この!」
フレイが背後からつかみかかってきた。
「きゃああ!」
そして地面に突き放された。
「・・・うう・・・」
「ミリィ!」
キラがミリアリアを気遣う、しかし彼女はそれを拒否するとフレイにつっこんでいった。
フレイにタックルをかませる。
「きゃああ!」
おもむろに倒れるフレイ。
「・・・はあ・・・はあ」
「やったわね・・・」
たまらずキラはミリアリアを守るように前で出て叫ぶ。
「やめなよ二人共!」
フレイとミリアリアは立ち上がった。
「もういいかげんにしてくれフレイ・・・」
「キラ!?」
フレイが目を大きく開く。
「ミリィは優しかったんで、もういいんだって、もういいのって・・・ト−ルを守れなかった僕を許してくれた、心から・・・」
フレイは驚いたままだ、なにも言い返すことが出来ないのか・・・。
「フレイ・・・君は僕の手を拒絶した・・・嫌がった、僕もやっと素直に君を好きになろうとしていたのに・・・それなのに・・・君は僕になにもしてくれなかったじゃないか!!!僕が君にどれだけ傷つけられたか・・・うう・・・」
もう声が出ないのか・・・そして泣いた。
そのキラにミリィが優しくフレイに見せ付けるように肩を抱く。
「大丈夫よ・・・私ずっと貴方の側にいるから」
そして私はフレイを睨みつけた、そう・・・もうキラはあんたの物じゃないのよ・・・やっと開放された、ト−ルがいない寂しさから・・・やっと新しいぬくもりが出来つつあるの、それなのにこの女はそんなかすかなぬくもりを奪おうというの・・・?
キラは見る、やっぱりキラは可愛い、そしてこのぬくもりも・・・もうこの子なしでは生きていけないわ。
「なによ・・・あんただってキラを利用しようとしてるんじゃないの!そうじゃないの!?ト−ルをこの子が守れなかったから、違うの!?」
フレイは私を睨みつけると叫ぶように言ってきた。
「違う・・・あんたなんかと一緒にしないで!私はあんたとは違うわ!私、キラが好きなの、利用するためにキラと寝たんじゃないわ!」
しまった・・・。
フレイの表情が消えた。
「・・・え・・・?ミリアリア・・・あんた・・・いまなんて言ったの・・・?」

278過去の傷・作者:2004/04/13(火) 17:51
彼女に追いすがるではなく彼に追いすがるの間違いでした、すいません・・・。

>>ミリアリア・あの子許せない
ミリィ、君そんな趣味が・・・怖いです・・・。
っていうかト−ルは彼氏でしょ、もっとなれなれしく接すしたほうがいいかと・・・。
それにしてもKのミリィある意味可愛いですねw
>>The Last War
これはキラの・・・やはりフレイ様は出てきましたがネメシスかどちらなのか気になるところですが、さあアスランを救いだしてあげてください。
>>翼たち
フレイ様迷い込んだか、しかしアルフレットさんのところにいるとは。
しかし誤解されないように・・・大変ですねいろんな意味で。
フレイ様がキラに会えないというのは手を振り払ったことに対してなのでしょうか・・・?

279リヴァオタと八アスのためでなく:2004/04/13(火) 22:14
>ガロード、他人を巻き込むのはどうかと・・・
ジェリドやっつけたんだからいいだろ
>爆破ですか!また過激な・・・(笑)
日本に住んでいていいけど、イラクはこういうことは日常茶飯事なの
>のん気に美術館に行ったりして、相変わらずヘンな人達ですな。
あんな小説はノストラダムスの予言と同じもん、当たりっこないって
>ジェリドが爆死・・・。ちょっとスカッとしたというのは酷いでしょうか?
大藪の小説は悪党がもっとひどい死にかたしている、こういうやっつけかた
好きなのよ。
>三人ドラえもんコスプレ笑えました。何者?
魔太郎ファンのドラえもんのコスプレをした不良
>一番は魔太郎ですか。
質は僕自身も魔太郎好きなんですよ。知らない人はキテレツのような漫画
だと思ってください。トンガリとブタゴリラのようなキャラがいないので
注意。みよちゃんのようなキャラはいますよ。
>ニコルの声優さんって、変わったんですか?
ニコルが死んだあと、摩味さんがアメリカ行って、総集編では朴路美に変わり
ました。
>ギレンは何がしたかったんでしょう?
ギレンはブルコスの株を買い占めてブルコスを乗っ取るつもりでした。
>お久です。コロ助口調で喋るのはキシリア閣下?
小山さんはキテレツでコロ助やったナリ
>ダシ取りに生肉は不味いと思います
都市伝説で手首の入ったラーメンがあって、汁の味がうまかったという。
>MS族って、騎士ガンダム?
「機動戦士SDガンダム」みろ、MSが日本語しゃべっているぞ
>でもガロードが教師って・・・。やっぱり声優ネタですか?
そーですー!
>これは小説のタイトルだったんですねえ。でも、まるで預言書何故にこれが
>売れたのかが謎ですが
売れた売れた売れまくったベストセラーだ
>あのかっこいいシュタイナーが墓荒らしですか。
あのねぇ、シュタイナーはソーセージを作る肉のコストを削るために墓荒らし
して死体の肉使ってんの。
>エリシャはVに出てきた女の子
エリカ・シモンズと同じ声です
>エリス・クロードって、Gジェネのオリキャラの人ですか?
そうです。声はカテジナのナベクミ
>ガロードが教師・・・・・・世も末だな。
鬼塚はどうなんだよ

280私の想いが名無しを守るわ:2004/04/13(火) 22:38
過去の傷>>
一時期はやっといい方向に話が展開してたのですが、ここ最近また
泥沼展開ですねえ。やっとフレイ様が良い感じになったのに今度は
ミリィが・・・。いつまでこの状態が続くのでしょうか?フレイ様は
勿論、ミリィもキラも好きキャラなので少し辛いです。

流離う翼>>
キースはキラを倒すために教育されたのはショックでした。
彼はキラ個人を知ってもキラを嫌いなのでしょうか?

281流離う翼たち・455:2004/04/13(火) 22:54
 官舎に戻ったアルフレットは、フレイに着替えとバスタオルを放ると、バスルームを指差した。

「とりあえずシャワーでも浴びて服を着替えろ。まったく、いい年して何考えてるんだか」
「すいません」
「謝るならさっさと暖まってこい。風邪でもひかれたらかなわんからな」

 叱られたフレイは小さく頷くと、着替えとバスタオルをもってシャワーを浴びに行った。それを見送ったアルフレットは小さくため息を吐くと、上着を脱いでエプロンを手に取った。

「とりあえず、メシでも作るか。しかしまあ、何があったんだかねえ」

 夫婦喧嘩は犬も食わないが、子供の痴話喧嘩は虫も手を付けないに違いない。だが、雨の中で1人歩いていたフレイを思い出すと、単なる痴話喧嘩とも思えない何かを感じてしまう。我ながら自分の御節介ぶりに呆れてしまうが、そういう星の元に生まれたのだと諦めるしかないのだろう。

 シャワー室から出てきたフレイはアルフレットの物らしい大きなワイシャツを着て現れた。体格が違いすぎるのでワイシャツ一枚で体がすっぽり覆われてしまっている。
 でてきたフレイは顔を赤くしながらアルフレットの居るキッチンに来て、思わず目を丸くしてしまった。筋骨隆々の大男がエプロン付けて料理しているのだから、似合わないことこの上ない。ほとんどギャグの世界だ。
 フレイに気付いたアルフレットは首だけ向けた。

「おお、お嬢ちゃんか。もうすぐ出来るから、座っててくれ」
「は、はい・・・・・・・」
「少しシャツが大き過ぎたようだな。下着はさすがに無いから我慢してくれ。俺が女物の下着を持ってたらただの変態だからな」

 椅子に腰掛けたフレイは、大男が料理を腕を振るっているという奇妙な光景にしばし圧倒されていた。そして出来た料理を皿に盛り付け、並べていく。出来上がったのは見事なグラタンであった。

「まあ、遠慮せずに食べてくれ」
「は、はい」

 フォークを手に取り、パイ生地を破ってみる。中からはクリームと一緒に鰯の香りが漂ってくる。どうやら鰯グラタンらしい。意を決して食べてみると意外においしく、空腹感もあってフレイは嬉しそに口に運びつづけた。

「どうだ、悪くないだろ?」
「ええ、とってもおいしいです」
「単身赴任が長いからな。料理の腕も上がっちまった」
「単身赴任って、奥さんが居るんですか?」
「ああ、オーブにな」

 アルフレットはフレイより早く食べ終わるとフォークを置き、少し真面目な顔になった。

「それで、何であんな所で傘も差さずに突っ立ってたんだ?」
「・・・・・・・・・・・・」
「心配するな。事情が何であれ、今日は泊めてやるよ。その様子じゃ追い出すのも気が引けるしな」
「・・・・・・ありがとう、ございます」

282流離う翼たち・作者:2004/04/13(火) 23:00
>> 過去の傷
ああ、ミリィ口を滑らしましたね。
これでフレイ様は完全に二人から離れるかな。
フレイ様が会えないと言ってるのは、過去の自分と親父さんがブルコスだったからです

>>280
キースはキラを気に入ってます。幾度かキースはキラを気に入ってると言ってますから
ただ、キースはキラを殺す為に作られ、教育されたせいでブルコスに入ったんです
ちなみに、キースを引き取って育てたバゥアー父母はメンデルの研究員で、研究対象だったキースをメンデル襲撃時に連れて逃げ出した人です
コーディ憎しだったキースが丸くなったのはこの両親のおかげです。

283ミリアリア・あの子許せない 88:2004/04/14(水) 04:45
7.ミナシロのこと覚えてる? 5/12
[こら、ちょっとくらい謝りなさいよ]

ショッピングモールに着いた私は、その人ごみの多さにびっくりするとともに、キラと
トールの居場所を見つけるのは無理と判断し、キラの携帯に電話して、目の前の喫茶店の
名を言って、待ち合わせすると告げた。キラの方も店が混んでいて、席が空くのを待っていた。

「こっちも店に席とれたら迎えに行くよ」
「うん、了解」

私は喫茶店に入り、水を持ってきたウエイトレスに言った。
「待ち合わせで、すぐ出るので、水だけでいいですか」
「そう言う訳には参りません。何か注文してください」

「一番安いのなんですか」
「ブレンドです」

「じゃ、それください」

注文を取ってウエイトレスが下がった時、私の後ろの席で囁く声がした。

「なんか、見てて、いやらしいわね。ああいう言い方」
「ビンボなんだから、悪いわよ。そういうの」
「そもそも、こんなとこに来るのが悪いんじゃない」

「まあ、そこまで言うことは無いけど。ちょっと、あまり好ましくないわね」

三人組の女性が、明らかに私をネタに話している。私は無視した。そういう言い方されることも、
一度じゃない。もう慣れっこだ。どんな人なのか気にも留めようとしなかった。

私は、キラの迎えを待ちながら、手元の紙袋の同人誌の内容に思いを馳せる。早く見たい
気持ちを落ち着かせようとする。いつの間にか、ブレンドコーヒーが運ばれてテーブルの端に
置いてあるのさえ、気づかずにいた。

「それじゃ、デートがんばってね」
「後で、ホテルの得点聞かせてね」
「ちょっと、そんなんじゃ無いって言ったでしょ。パパの仕事のパーティなんだから」

「分かった、分かった。じゃね」

やがて、後ろの三人組の二人が出て行った。残った一人も、しばらくして席を立つ。両手に
一杯の紙袋をかかえて私のテーブルの横を通り抜ける。その時、紙袋がコーヒーカップに触れた。
カップが跳ねる。隣の水の入ったコップが倒れる。

「や、何よ!」その女性が、大声で叫んだ。
「冷たい!」私は、それどころじゃ無い。コップの水がスカートにかかって水びたし。
慌てて大切な同人誌の入った紙袋をどかして、ハンカチでスカートとストッキングを拭く。

「ちょっと、上着にコーヒーの雫付いちゃったじゃない。どうしてくれんのよ」
その女性は叫んでいる。頭には唾の広い帽子を目深にかぶり、大きなサングラスをかけている。
そして、夏用の白い上着を羽織っている。その子も、紙袋を床に降ろしてハンカチでコーヒーの
雫を拭いている。

「冗談じゃ無いわよ。こっちこそ、水かけられて、いい迷惑だわ」
「これ高いのよ。染みになったら、どうすんのよ。ああ時間だ。まったく、何て災難かしら」
その女性は慌てて紙袋を拾うと清算して店を出て行った。

「こら、ちょっとくらい謝りなさいよ。ちょっと!!」

まったく、何考えてんのよ、あの子。
私は、腹を立てながら、同人誌の入った紙袋に目をやったけど、あるはずの場所には、
何も無い。まさか、あの子が間違えて持って行った? あの、貴重なものを……

「ちょっと、待ちなさい。アンタ」
私は店を走り出ようとした。ウエイトレスに止められる。

「お願い、大事なもの間違えて持ってかれちゃったのよ。行かせて」
「清算が済むまでダメです」

そんな、いざこざの中、キラが喫茶店に現れた。
「ミリィ、お待たせ。店の座席、トールが取ってるから。行こう」
「キラ、いいところに。ここの支払い、お願い。私、急ぐから!」

「どうしたのミリィ?」
同人誌と言おうとして、私は慌てて言葉を飲み込んだ。
「大切な買い物の紙袋を、さっき、間違えて持ってかれちゃったの。私追いかけるから」
「ちょっと、ミリィ?」

私は、キラを置いて、喫茶店から飛び出した。人ごみの中、既に、あの子の姿は無い。
私は、キョロキョロと見回しながら、アチコチを走り回る。やがて、支払いを済ませたらしい
キラが追い付いてきた。
「ミリィ、どう見つかった?」
「ダメ、見つからない」

「安いものなら、僕がもうひとつ買うよ」
「ダメ、安くもないし、もう、アレだけなの。絶対に見つけなきゃ」

「そこまで大事なものって何なの?」
「何でもいいから。キラ、トールも呼んで、一緒に探して」

「食事は?」
「そんなもの、後でもいいから」

「分かったよ。トールを呼んで来る」

走っていくキラの背中に私は声をかける。
「あ、キラ。ついでにハンバーガーも買ってきて。ポテトとジュースも」

とりあえず、さっきの喫茶店代と、お昼は、私の財布は傷まずに済んだようだ。

284ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/04/14(水) 04:50
一応、現在の章の1話で書いときましたが、この時点ではトールとミリィは彼氏・彼女になっていない設定です。
フレイとも、まだ知り合っていません。別に見返す必要も無いけど、うちのSSでのミリィの趣味については、
ミリィSS第一部でも「オーブ・フレイの心」にも書いてました。

>>過去の傷
ついに修羅場やってしまいましたな。ラクスは退散?聞いていたらミリィただじゃ済まなかったろうけど。

>>リヴァオタ
他は大抵読んでるけど、魔太郎だけは読んでない。そうだったんですか。ロランって情報通ですな(笑)

>>流離う翼たち
アルフレットさん、やっとここでフレイ様に関ってきましたな。なんか理想的で頼りになる大人の軍人像が
溢れ出てます。もう、TV本編のとは大違い。キースの両親の話、もったいない。ちゃんと小説で読みたかったよ。
本編のキャラとの絡んだ話で…… もう出てましたっけ。

285過去の傷・107:2004/04/14(水) 12:45
つい夢中で言ってしまった、キラと寝たことを白状してしまった。
「寝た・・・?キラとミリアリアが・・・?どういうことなの?キラ?ミリアリア?」
少し戸惑っていたミリアリアだが、強気に。
「そういうことよ、フレイには関係ないでしょ、つまり私達はそこまでの関係になってるってことよ」
「そうだよ、フレイには関係ない、僕がミリィと寝ようが勝手だろ!」
フレイはまだ現実がのみ込めない様子だ。
「キラなに馬鹿なこと言ってるの?」
「もういいでしょ」
いままでキラとの仲を見せつけていた女を見下すように見つめるとキラの手に優しく触れた。
「キラ・・・私は優しくしてあげるから・・・包んであげるからね」
「ミリィ・・・うん」
ミリアリアは部屋に向かって歩き出す。
「ミリィ!」
キラもミリアリアの後を追う。
「あ、キラ!」
フレイがキラを行かせまいと肩を手でつかむ、しかし瞬時にキラは振り返りフレイを睨みつけ、手を振り払うと急ぐようにミリアリアの後に続いた。

ミリアリア・・・あの子よくも・・・キラの前であの子は私に恥をかかせた、私のプライドは完全に引き裂かれた、一昨日なんで・・・無意識とはいえなんでキラの手を拒絶したりしたのかな、私は後悔した、キラが私に逆らった・・・私に・・・。
フレイはその場に崩れる。
「まったく手間がかかるな、お前は」
「え・・・?カガリ・・・」
側に来たカガリが手を差し出す。
「ありがとう」
フレイは微笑んだ。

カガリを部屋に戻したあとフレイは一人休憩室で休んでいた。
「・・・・・・」
信じていたプライドがずたずたにミリアリアに引き裂かれた、なんで・・・?なんで・・・?
「あらあら?フレイさん?」
「ラクス・・・」
ラクスが休憩室に入ってきた。
私はいまイライラしていた。

勝った、私はフレイに勝った。
「キラ、これでフレイはもうあきらめるはずよ」
「だといいけど・・・」
「じゃあ来週楽しみね、私達の結婚」
「・・・・・・」
キラ・・・貴方はト−ルの代わりでしかないのよ、でも・・・まあ愛してあげる、キラ離さないからね、それに貴方のことも好きよ、好きだから結婚してあげるの、貴方の意思に関係なく・・・。

286流離う翼たち・456:2004/04/14(水) 23:16
 落ち込みながらも礼を言い、フレイはぽつぽつと語りだした。自分がどうしてあんなところに居たのかを。

「私、前はヘリオポリスに住んでたんです」
「ヘリオポリス、あのザフトの攻撃で破壊されたっていうオーブの工業コロニーか」
「はい。そこからアークエンジェルに拾われて地球を目指したんですが、アークエンジェルを出迎えてくれた艦隊に、パパが乗ってたんです」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「でも、私の目の前で、パパの乗った戦艦は沈められました。その時、ストライクに乗ってたのが、キラというコーディネイターだったんです」
「あの坊主か」
「私はパパを守れなかったキラを憎みました。パパを殺したコーディネイターを憎みました。だから、キラも戦って一人でも多くのコーディネイターを殺して、そして死ねばいいと考えたんです。その為にキラが軍に残るように仕向けて、戦わせて、喜んでたんです」
「・・・・・・・復讐か」

 その気持ちは分からないでもなかった。戦争が始まって以来、そういう奴は多い。だが、フレイのそれは少し事情が違うようだった。

「でも、キラは優しくて、弱くて、だんだん憎めなくなって、気が付いたらキラの事好きになってて・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「一度は別れたんですけど、もう一度やり直そうって事になって。最初はぎこちなかったんですけど、何時の間にか普通に話せるようになって、あの頃のことを忘れてて・・・・・・・・・」

 このまま全てを忘れてやり直せると思っていたのだ。回りがどうであれ、自分たちには関係がないと。だが、父親がブルーコスモスだと知ったとき、全ては壊れてしまったのだ。ブルーコスモスの娘がコーディネイターと恋仲になるなど、余りにも異常だとしか言いようが無い。結局自分たちは最後まで間違っていたのだ。
 だがフレイの話を聞いていたアルフレットはマグカップに淹れたコーヒーを音を立てて啜ると、不味そうに顔をしかめてそれをテーブルに置いた。

「ちっ、官給品は相変わらず不味いなあ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「それで、お嬢ちゃんはそのコーディネイター、確かキラ・ヤマトだったか、ときっぱり縁を切りたいと、つまりそういうことか?」
「・・・・・・・・・はい」
「親父さんがブルコスだったから、キラには相応しくないと?」
「はい」

 アルフレットの問いに頷くフレイ。アルフレットはそれを聞いて小さく鼻を鳴らし、また不味いというコーヒーを口にした。

「へっ、くだらねえ悩みだな」
「・・・・・・どういう事です?」
「親がブルコスだからコーディとは付き合えねえ、か。その程度の覚悟しかねえなら、さっさと別れて正解だって事だ」

 アルフレットの答えにフレイは怒りを覚えたが、すぐにその怒りが萎えてしまった。この人の言う通りだと分かってしまったから。目に見えて落ち込むフレイの様子など気にもとめず、アルフレットは話を続ける。

「さっさと気付いて良かったじゃねえか。まだ若いんだし、これから幾らでも出会いなんてあるぞ。そんなコーディネイターとはさっさと別れてもっと良い男を捜しな」
「・・・・・・でも、キラは何も悪くないのに」
「何言ってやがる。お嬢ちゃんの言い分なら、そいつがコーディネイターだって事がすでに悪い事なんだろうが」
「それは、その・・・・・・」
「まあ別に珍しい話じゃねえよ。交際相手がコーディネイターと気付いた途端、相手を嫌って別れるなんてのは良くある話さ」

 突き放すようなアルフレットの言葉。だが、それは何よりもフレイの心に深く突き刺さった。そう、それが、今の世界の常識なのだ。

287流離う翼たち・作者:2004/04/14(水) 23:26
>> ミリアリア・あの子許せない
何と言うか、恐ろしい出会いですな。最初の接点が喧嘩で次が同人誌・・・・・・
何となくミリィがフレイ様嫌う理由が分かったような気がw
キースの両親は出てきてません。キースの背景キャラですから、フレイ様には全く絡まないので出してないのです。設定等は出来てるので書くことは出来ますがね。
ちなみに、キースを強化した研究者はオフィシャルキャラでキラの関係者ですよ。

>> 過去の傷
ミリィさん、そんな怖い事考えちゃいけませんってば
平和なのはカガリだけになってしまったようですな。
そういえば、虎とダコスタ君は何処に行ったんでしょう?

288ミリアリア・あの子許せない 89:2004/04/15(木) 03:11
第2部 7.ミナシロのこと覚えてる? 6/12
[昨日別れたばっかなのに]

「鍔の広い帽子にサングラス。白い上着で、その下は?」とトール。
「なんかパーティドレスみたいなの」私は答える。

「顔は覚えていないんだよね」キラは言う。
「うん」

「これだけで、捜せっていわれてもな」

ショッピングモールとデパートやビジネス街は、いくつもの橋や通路で繋がれている。
私達は、そこで、眼下の車や人の流れる様を眺めながら、キラの買ってきたハンバーガを
頬張りつつ話をしている。

「あの人は?」
「違う」

「あの子なんかどうだ」
「違うわ」

キラとトールは、通路をアチコチを見回って、通りを歩く、それらしい人影を捜すけど、
中々、本人を見つけることはできない。

「なんか、手がかりあればな」私は欄干に肘を付き、手を頬に当て、頬を膨らまして呟く。

「ふうん、俺の写真の中には、そういう子いたかもな」
「へえ、どれ、あ、この子よ」
私はデジカメのモニタを見て叫んだ。
「ふうん、こんなのか」とトール。
「なんか、ファンッションモデルみたいだね」とキラ

「ありがとうカズイ、恩に着るわ」
そう言ってから私は気づいた。カメラバッグとデジカメを抱えたカズイが、いつの間にか、ここにいる。

「カズイ、なんでここにいるの?」
「いや、せっかくの休みだからオーブに撮影旅行にと」

「両親とは、いいのかい」とキラ。
「俺、自宅通学だよ」

「なんで、俺達と一緒に、来なかったんだよ」とトール。
「ファーストクラスにいたから」

そう言えば、カズイはパソコンでもデジカメでも、結構、こづかいで揃えているのだった。
裕福な家庭が羨ましい。

「しかし、昨日別れたばっかなのに、もうゼミのメンバーが四人まで揃うとはな」
「これで、サイがいれば、勢揃いだね」
「サイは、首都の高級住宅街だし、いくらなんでも、それは無いでしょ」

話し合う三人を尻目に、カズイは言った。
「でも、あそこに見えるオープンカフェに座ってるのは誰だろう?」

私達三人は口を揃えて言った。
「サイ!」

なんと、橋からすぐ近くのビルのテラスにあるオープンカフェにサイが座っている。しかも、
ジャッケットにネクタイ姿と、やけに着飾っている。

「デートだ。これは、相手を聞き出さないと」トールは駆け出して行った。

「トール、やめときなよ」キラは追いかける。
「ちょっと、待ちなさい。トール、キラ」私も後を追う。

「じゃ、俺はこれで」
「ダメよ。一緒に来なさいカズイ」
逃げようとするカズイを、引っ張りながらオープンカフェのあるテラスに辿りついた時には、
トールのサイへの質問攻めが始まっていた。

「ちょっとぉ! トールとキラだけでなく、ミリアリアにカズイまで! 君たちぃ、何やってんだ」
サイは、あまりの気まずさに、声を裏返らせたようにトーンが変わっている。

「何やってんだは、こっちだぜサイ。デートだろ。相手はどんな人」
「トールやめなって」
「いいかげんにしなさいトール」

「何言ってんだよ。キラやミリィも興味あるだろ」
「どんな娘か知りたいけど。って、トール、だからサイに悪いって」
「興味無いことも無いけど。って、トール、それどころじゃ無いでしょ。さっさと来なさい」

キラと私の返答に、サイは、もはや可哀想なくらい顔を引きつらせている。

「ミリアリア、それどころじゃ無いって?」
でも、表情をこわばらせたままの苦し紛れの質問がサイの福音となった。

「ミリィが、さっき買ったもの、間違って持ってった人捜してるんだ」とキラ。
「何を?」
「何でもいいから、つまんないものよサイ」私はキラを押しのけるようにして誤魔化す。
「そうそう、ミリィは、親に締め……」話しかけたトールの口を塞いで引き戻す。

801同人誌のことは誰にも知られてはいけないし、両親からの締め出しも、この二人以外に、
口外するのは恥ずかしい。

「サイ、ごめんね。この二人、私がなんとかするから」
「はあ」

サイは救われた。私は、トールの耳をつまみ、キラの腕を掴んで、オープンカフェを後にする。
「痛い、痛いよミリィ」
「ちょっと、ミリィ、何で僕まで」

「どうしたんだ? ミリアリアは」
「なんか、ファッションモデル風の女を捜しているらしいよ」

やっと、落ち着いたようにサイはカズイと話をしている。

「カズイ、あなたも早く来るのよ。さあ!」
私の声に、カズイは怖々と付いてきた。

サイは、いきなり来て、嵐のように去って行った私達をポカンとした顔で見つめたままだった。

289ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/04/15(木) 03:21
>>過去の傷
もう、一種爽快なくらい、各女性キャラが泥沼に。アスランは、しばらく出ませんが、出なくて正解かな。

>>流離う翼たち
ちょっと前ですが、454 のアズの話。生理的嫌悪感ということですが、病気でも無いのに遺伝子を
いじったことに対する、潔癖さゆえの嫌悪という初期のフレイ様と同じことが理由なのかな?
そうすると、キースにも半端じゃない嫌悪感を感じているのでしょうね。だから仲が悪い?

なんか、本気でフレイ様、アークエンジェルを降りてしまいそう。
アルフレットの弁だと、親がブルコスなのも悪い原因になってしまいますな。
こういうことにこだわると、次の男選びに一生付いて回って、結局、手近なブルコス関係者を
安易に選んでしまいがち。フレイ様、こちらについても早く心の整理をつけた方が……

キースの両親の件、残念ですが無理は言えませんね。これだけの群像劇だし、コーディネータという
異分子への心の見方の変化が、SSを創る上では、フレイ様のテーマのひとつでもありますから、
対比的な意味で絡ませられないことは無いと思いますけど、作者さんのストーリー展開の構想もありますから。

290私の想いが名無しを守るわ:2004/04/15(木) 04:27
>>ミリアリア
オーブ本国の描写は、なんか良いですね。帰省先でドタバタが
発生するというネタは何故か郷愁を誘います。チャームポイン
トの赤毛が捜索の手がかりにならないのも面白いです。
>>流離う翼たち
フレイ様はパパはパパ、自分は自分と分けて考えられなさそう
なので厄介ですね。前回の和解が、なんとなく棚上げ状態だった
ような気がするので、ここに来てこの展開は楽しみです。
>>過去の傷
結婚願望や独占欲は強いのに熱しやすく冷めやすいこのSSの
キャラに最近興味が沸いております。ウイルスのように
フレイ様→ラクス→㍉と伝染してますね。
>>リヴァオタ
ショタでも婦女子でもありませんが、ニコルとロランの組合わせ
は好きですね。ニコルがコンサバな趣味でちょっとホッとしてます。
ドズルに言われれば衝撃も二倍という感じですね。
>>The Last Wa
ラウも、ここまで書いてもらえれば、浮かばれます。キラが
ラウに対して、屈折した共感というか同情をしているのが面
白いです。もはや三大怪獣決戦という感じで、大変なことになりそうですね。
>>ヘリオポリス
フレイ様がイライラしているのが、よく伝わってきますね。
キラのことを下に見ようと頑張っているのが、かわいらしい
というか痛々しいというか。エリザリオの話もそれっぽいですね。

291過去の傷・108:2004/04/15(木) 12:56
フレイは少し考えると話した。
「ねえラクス」
「なんでしょう?」
「私、あんたと仲良くなれるかな?」
ラクスは少し驚いた表情をすると、苦笑いを浮かべた。
「私はコ−ディネイタ−ですよ?よろしいのですか?」
フレイは下を向いたが・・・。
「差別はいけないと思うわ、人は平等よ」
「はい・・・?」
「コ−ディネイタ−もナチュラルも平等よ、差別はいけないわ」
「はい、私もそう思います、でもまさかフレイさんがそんなこと言うなんて思いませんでした、去年のこともありますし・・・」
去年のこと・・・あれだ・・・。
(冗談じゃないわ・・・なんで私があんたなんかと握手しなきゃなんないのよ・・・コ−ディネイタ−のくせになれなれしくしないで!)
という発言をア−クエンジェルの艦内で丁度一年前ラクスに言ったことがあるのだ・・・。
「・・・私も・・・キラと親しくなっていくうちに・・・少しは考え始めたの、でも・・・いまでもキラ以外のコ−ディネイタ−はまだ好きにはなれないわね・・・あんたも」
「・・・・・・」
「でもあんたとは仲良くしたいわけよラクスちゃん」
「え・・・?」(ラクス・・・ちゃん?)
フレイは身を乗り出すと・・・。
「というわけで今日は泊めて!お願いラクスちゃん♪」
「・・・その呼び方をやめていただけるのなら、よろしいですよ」
「ほんと!?ラクス大好き!」
「あ・・・あの・・・フレイさん」
フレイはラクスに抱きついたのだった。
その光景をカガリが遠くで寂しそうに見つめていた。
(ラクスさん・・・よくも私のフレイを・・・貴女様にはアスランがいるはずだろ・・・)

「ねえ、キラもう明日結婚しましょ♪」
ミリアリアは甘えるような声で言いキラに抱きつく。
「いやさすがにそれはちょっと・・・」
「いいじゃない」
「せめてこの艦を降りてからとか」
「いや!絶対明日結婚するわよ!フレイに見せつけてやればいいのよ、私達の関係・・・」
いまのミリィはト−ルに接する感じで僕に接してきている・・・これは僕を認めた証拠か?
「だいたい年齢的にもまだ無理だよ」
「そんなのどうにでもなるわよ」
「いやならんし・・・」
私はこの子なしでは生きていけないわ。
「もうフレイのことはカガリに任せてあるんだ、実戦もさ、でももうフリ−ダムには乗せないよ」
「フレイの話は・・・他の女の話はしないで・・・」
「あ、ごめん・・・」
やっぱり無理かしら・・・でも私は決めたの・・・でもあの女にはならない・・・フレイのようにはならない。
「ミリィ・・・そのさ」
「・・・・・・」
黙って私はキラの肩に両手をかけキスをした。
長いキスだった、私はキラとキスするとき実感した、キラは私のものだと、やっぱりこの子なしでは生きていけないわ。

292過去の傷・作者:2004/04/15(木) 13:05
>>翼たち
よかったですね、フレイ様暖かい物が食べられて。
でも心の傷は深いかも・・・。
ダコスタ君はいますよ、少し前出したはずですが・・・虎はプラントです。
>>ミリアリア・あの子許せない
サイが可哀相に、ミリィはリ−ダ−みたいですね、女は強しだな、サイはミリィに感謝しないと。

293リヴァオタと八アスのためでなく:2004/04/15(木) 21:37
キラとフレイは交差点に行くと、前からドラえもんのコスプレした男が現れた
今日は、なんてコスプレをした人が多い日だ。
「ねぇキラまた変な人が」
「横向いとけ」
「なんで」
「ああいうのは目を合わせないのがいいよ」
「そう・・・」
そのドラえもんの男は写真で言えばこうである
http://www.geocities.co.jp/MusicStar-Guitar/1658/d-119.jpg

キラとフレイはその男からとおりすぎようとしたとき
「おぅおぅ姉ちゃん、おめぇ俺の子分をイオナズンで吹っ飛ばしただって?」
「なんのことかしら・・・」
「とぼけんじゃねぇよ、俺たちは「魔太郎ファンクラブ」の会員さまなんだぜ!」
「それがなんなのよ」
「おめぇ魔太郎、軽蔑しているな、そうかお前はキテレツが好きだな!ショタが!」
「魔太郎とキテレツ関係ないじゃない!」
フレイはタンカを切った。

294私の想いが名無しを守るわ:2004/04/15(木) 23:25
リヴァオタ作者さんへ>>
作中とはいえ、直リンは良くないと思います。
あとメール欄は何か意味あるのでしょうか?

295流離う翼たち・457:2004/04/15(木) 23:49
 アルフレットに突き放されたフレイは心ここにあらず、という感じでぼんやりとしており、それ以上話しても無駄だと感じたアルフレットは仕方なく食器を片付け、フレイに今日はもう寝ろと言った。

「奥の部屋にベッドがあるから、お前が使え」
「でも、私のが部外者なのに」
「いいから使え。どう見てもお前は床やソファーで寝るタイプじゃないだろうが」

 アルフレットに言い切られたフレイはそれに反論することが出来ず、ペコリと頭を下げて寝室へと向かった。アルフレットは暫くキッチンで安物のスコッチを傾けていたのだが、フレイが寝静まった頃を見計らってアークエンジェルに電話を入れた。暫くして出た軍の係員にフラガ少佐に繋ぐように伝え、そのまま待つ事1分。ようやくフラガが出た。

「はい、フラガですが」
「おうフラガ、休暇は楽しいか?」
「隊長ですか。いきなり何です?」
「実はな、俺の所にお前の所のアルスター少尉が転がり込んでてな」



 何だか寝られなかったフレイはそっとベッドから起きだし、トイレに行こうと廊下を歩いていた。やはりベッドが変わるとなかなか寝付けない。だが、キッチンの前を通りかかった所でアルフレットの声が聞こえてきた。


「・・・・・・・・・・・・アルスター少尉が転がり込んできてな」
『私の事、アークエンジェルに引き取りに来て貰うつもり?」

 咄嗟にアルフレットがアークエンジェルに連絡を入れているのだと察し、フレイは身体を強張らせた。扉に近付き、そっとその会話を盗み聞きする。
 アルフレットはヴィジフォンで相手と話しているようだ。声からして相手はフラガ少佐らしい。

「おう、夜中に雨の中でとぼとぼ歩いててな。ほっといたら死んでたぞ」
「そいつは、助かります。すぐに迎えに行きますから」

 その言葉にフレイはビクッと反応したが、それに対するアルフレットの返事は意外なものであった。

「いや、そいつは少し待ってくれ」
「へ、何でですか?」
「まあ、お嬢ちゃんも色々と悩みがあるみたいだからよ。少し考える時間が必要だってことだ。どうせ艦が直るまでは休暇なんだし、構わねえだろ」
「そりゃまあ、構わないと言えばそうですがね。こっちにも体面って奴が・・・・・・」
「艦長には、俺が基地の方で野暮用を頼んだと言っておいてくれや。心配しなくても出航までには艦に戻すからよ」
「ですが・・・・・・」
「責任は全部俺が取る。お前は俺に命令されて逆らえなかったとでも言ってくれりゃ良いんだ」

 アルフレットの頼みに暫し黙るフラガ。そして、本当に渋々という感じでフラガがそれを了承した。

「分りました。こっちは俺が上手く言っておきます」
「すまねえな、色々と迷惑かけてよ」
「いや、迷惑をかけてるのはこっちのようですし。隊長の所に居るなら、下手に俺達が面倒見るより今のフレイには良いかもしれません」

 フラガの返事に、アルフレットはもう一度礼を言って通信を切った。これでフレイは出航の日まではアークエンジェルに戻らずに済むことが決定したらしい。フレイは扉の前でぺたりと座り込み、その頬には安堵の涙が一筋の流れを作っている。
 この時、フレイはアークエンジェルに乗って以来、初めてとも言える安心感を得ている。きーすが頼れるお兄さんなら、ナタルはカッコいいお姉さんだ。だが、アルフレットのそれはまさに父親だった。キースが尊敬する偉大な男が持つ力強さをフレイも感じていたのだ。

296私の想いが名無しを守るわ:2004/04/15(木) 23:50
>>293
漏れは思わず吹き出してしまったw

297流離う翼たち・作者:2004/04/16(金) 00:00
>> ミリアリア・あの子許せない
カズィ、君は一体何者なんだ? サイはフレイ様と逢引ですか
ミリィは必死ですねえ。まあ見つかったら色々と不味いでしょうからw
アズラエルはコーディは生理的に嫌ってますが、キースはたんにブルコス時代の方針で対立していただけです
むしろキースのほうがアズラエルを嫌ってますね。
キースの両親、出るとしたらカガリが昔に手に入れた資料の事をキースに聞く時でしょうかね。その時ならキースの昔話が出来ますから、2人も少し出れます

>>290
2人の和解以降の関係を棚上げにしてたのは、わざとです。特にキラはまだ怖がってますし
フレイ様がここで壁にぶつかるのも初期からの構想だったんです。

>> 過去の傷
カ、カガリさん、まさか、マジで百合!?

298ミリアリア・あの子許せない 90:2004/04/16(金) 07:58
第2部 7.ミナシロのこと覚えてる? 7/12
[こういう時こそ、トリィの出番だよ]

「ミリィ、何怒ってるの?」
「せっかく、面白いとこなのに、無理矢理引っ張って、横暴だぞ」
キラとトールは、私が連れ出したことに文句を言っている。

「アンタ達、遊び半分でやらないで。ちゃんと捜してよ!」私は二人に一喝する。

「カズイ、とにかくさっきの写真プリントして来て。それで、皆で聞いて回りましょう」
「あの、俺、撮影旅行の予定が……」

「困ってるんだから、協力して。ねえ、お願いカズイ」
「はあ……」

断りきれず、フォトラボ・スタンドに向かうカズイの背中に、私は声をかけた。
「ついでに、クレープもあったら買ってきて。特大の甘いやつ。後、ジュースもね」

甘いものに目がないキラとトールは、一応、それで機嫌を直したようだ。
今回も、私のサイフは傷まなかった。

* * *

東アジア風の料理店が軒を連ね、店頭で売っている点心や麺の器を持ったアベックで、ごったがえすストリート。
ブティックをはじめ、さまざまな店が並び、高い天井からの飾り物や垂れ幕が華やかさを彩るアーケード街。
しばらく、四人で手分けしてアチコチの人に聞き回ったけど、私の大事な同人誌を持って行った、
あの子の手がかりは掴めなかった。

「こんなことなら、サイを隠れて見張っておけば良かったな」
大きな時計塔のある広場のベンチに座り込んだトールは、飽きてきて、またサイのことを話し始めている。

「トール、人のこと、あまり構うのはやめなよ」キラは言う。

「あの子は?」トールが、広場の上にかかったアーチ陸橋の上を指差す
「あの子? でも、帽子もサングラスも無いよ。上着も着てないし」 キラは言う。

「いや、キラの好みだと思って、オーイ! あ、こちらに気づいた。手を振ったぞ」
「赤毛の、かわいい子……」

キラが見つめる。距離があって、ここからは顔までは分からないけど、キラは目がいいから……

「キラ〜! あんな関係ない人ほっといて。トールも! ナンパなんかしてないで、真面目に捜してよ!」
私は、面白くない。

キラは、不機嫌な私を見て目の色を変え、まるで誤魔化すかのように話しだした。

「こういう時こそ、トリィの出番だよ。空を飛べるし、対人認識能力も抜群だから」

<トリィ? トリィ?>
キラは肩で首を振っているトリィを指に移らせた。

「だったら、なんで最初から使わなかったんだよ」トールが突っ込む。
「いや、多分だよ、多分……」

「多分……?」
キラの歯切れの悪さに、私は不機嫌な顔のまま呟き、疑いの目を向ける。

「とにかく、カズイ、ちょっとデジカメ貸して。パターンを登録してと」
「ほんとに大丈夫?」

キラの言葉にカズイも半信半疑だけど、とにかく、デジカメを貸して、キラはそのデジカメの
撮影データを、PDAで加工してトリィにパターン登録した。

キラはトリィを、晴れ渡った大空に放つ。空中を一回りしたトリィは、すぐに目標を見つけたように、
一目散に、ある人目がけて降りてきた。陸橋の上の、さっきの赤毛の女の子に……
トリィは、さかんに、その女の子にじゃれついている。そこから、他へ飛ぼうとしない。
私は、キラをジロリと見つめる。

「キ〜ラ! トリィのプログラムしたのって誰だっけ?」
「いや、あれ作ったのは僕じゃなくて…… でも、プログラムは僕かも……」

「ということは、キラが、ああいうスケベなプログラムしたのよね」
「違うって、ミリィ……」

「キラ、あなたの好み見せてもらったわ」
「ミリィ、あの、僕…… トリィ、回収してきます」

キラは走っていった。

「さっさと行ってらっしゃい、キラ! それと、ついでにフランクフルトのチリソースも買ってきて!」
私はキラの後ろからまくしたてる。

「キラも、俺と同じ目に」
「いや、実はキラは二度目なんだ。俺、ミリィのそばを離れない方がいいかもな」

小声で話すカズイとトールを、私は横目で睨みつけた。それに気づいて二人とも恐そうに黙り込んだ。

299ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/04/16(金) 08:00
ここで、トリィに入れた対人データが、その後、トリィがフレイになつく要因になってたりするのは、
SS内で語られない裏設定 (=後づけの思つき) だったりします。

>>過去の傷
フレイ様がラクスに? また、少し壊れ気味な感じも…… ミリィは、どんどんキラにはまってますが、
このままでは済まないのでしょうな。

>>流離う翼たち
アルフレットさん父親の位置づけでしたか。フレイ様にとって、父親とは我が侭を聞いて可愛がって
くれるジョージ・パパですから、それとは、また違った見方を感じとることになるのでしょうね。
でも、とりあえず出港まではアークエンジェルにある現実から逃避するとして、それでは解決しない
でしょうから、もう一波乱あるのかな。それにしても、VisiPhone は通話相手の話まで盗み聞きできて便利?
キースの両親の話、無理にとは申しませんが、少しだけ期待しておきます。
アズの件了解です。そう言えばコーディネータは嫌いでも、ブーステッドマンは使ってますね。あいつらは道具扱いですけども。

300過去の傷・109:2004/04/16(金) 08:30
「じゃあ上がるわね」
「どうぞ、お上がりください」
フレイはラクスの部屋に入った。
そして唖然とする、このハロの多さに。
「あのさ、この丸いの達なんとかならない・・・?」
「分かりました」
「ラクス、失礼します」
そう言うとフレイの見知らぬ少年が入ってきた。
「あら、アスラン!」
「・・・・・・」(誰・・・?)
「・・・・・・」(フレイ・アルスタ−・・・か)

数分後のキラの部屋では。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
私、彼氏いたこともあってこういうの得意だわ。
ミリアリアは暖かくキラの手を握る、キラといえばミリアリアの膝に寝ている、キラにとっては幸せの絶頂だろう・・・。
「通信はいいの?」
「ええ、私がいないときはダコスタさんが代わりにやってくれてるの、それに・・・私はこうしてキラの側にいたいし・・・」
「ありがとう」
どうかしら?演技完璧?さあこれからもト−ルの代わりとして私の寂しさ忘れさせてねキラ・ヤマト、でも半分は演技じゃないのよ、ありがたく思いなさいよね、そのためにフレイから奪ったんだから、それに結婚したら少しは変わるかも?なんてね・・・。

「フレイ・アルスタ−か?」
「あ、はい・・・」
フレイはかしこまってしまう、どうもこの少年、キラとは雰囲気が違うのだ、軍人としての風格が感じられるのだ、こういう子にフレイは弱い、年齢的にもキラと同じくらいだと思うのだが。
「そうか、アスラン・ザラだ」
なんだか怖いこの人・・・。

301The Last War・作者・予告:2004/04/16(金) 16:20
 『The Last War』はまだ続いていますが、ハードな展開の息抜きとして近々フレイ様メインのギャグものを投下させて頂きます。内容は前作と今作の間の時間軸に位置するフレイ様とカガリが織り成すドタバタものです。

》流離う翼たち
 アルフレットさんは単身赴任されてたんですね。奥さんとの仲はどうなんでしょう?0083のバニング大尉の例もあるので少し心配です。
 それにオルガやフレイ様といった若者への接し方が手馴れてるみたいですが、ひょっとしてお子さんもおられるんでしょうか?

》ミリアリア
 サイやカズィも加わり、まるで『踊る大○査線』みたいな雰囲気に・・・。ミリィが仕切ってるのが面白いです。それとトリィがフレイ様になついてた理由が妙に納得出来ました。

》過去の傷
 フレイ様、いよいよアスランと対面しましたね。原作ではあり得なかった組み合わせだけにどんな会話をするのか楽しみです。
 それにしてもキラは本当にミリィと結婚しそうな流れになってますね。

302流離う翼たち・458:2004/04/17(土) 00:01
 フレイをアルフレットが暫く預かることになったという話は、フラガからマリューとナタル、キースへと伝えられた。アルフレットをよく知らないマリューとナタルは困惑していたのだが、キースはそれを聞いてうれしそうに頷いていた。

「そうですか。なら、とりあえずフレイの方は安心ですね」
「まあな。ただ、1つだけ不安なことがある」
「何です?」
「いや、あの隊長に関わると、どいつもこいつも何でか妙に強くなったり、図太くなるだろ。特にフレイは今が成長期だし・・・・・・」
「つまり、帰ってきたフレイはまた一段と逞しくなってるかもしれないと?」
「ああ、あれでフレイの奴、既に戦闘感覚を覚醒させてるし、何だかんだ言って実戦経験も多いからな。キラのせいで目立ってないが、多分同じ条件でやったら俺でも5回やって2回は負けるかもしれん」
「だけど、フレイは精神的には些か脆い」
「ああ、その弱さを隊長に鍛えられて克服されたりしたら、ひょっとして俺たちの立場は無くなるんじゃないかと思うんだよ」
「・・・・・・まあ、既に俺はフレイに勝てる自信は無いですけどね。前にシミュレーターで模擬戦やったら負けましたし」

 いきなり自分達の存在意義を語りだすエース2人。これが連合諸国全体を見回しても屈指の実力を持つ超エースなのかと思うと些か悲しくなるが、志願して5ヶ月程度のパイロットに追い抜かれたとあっては流石に心中穏やかではいられないようだ。いや、これはキラやフレイが異常と見るべきか。
 だが、目の前でアホな事を真剣に語り合っているエース2人に、マリューはこめかみに青筋浮かべて声をかけた。

「お2人とも、何時まで馬鹿げた事を言ってるつもりですか?」
「いや、これはパイロットとして重要な問題だぞ」
「そうですよ。これは俺たちのプライドの問題です」
「そんな物、燃えないゴミにでも出してください」

 パイロットのプライドを燃えないゴミ扱いされて、フラガとキースは目に見えて落ち込んでしまった。そんなフラガの襟首掴んでマリューが子供達に口裏合わせて説明する為に引き摺っていく。このことは子供達には直接伝えない方が良いと思ったのだ。
 そして残されたキースに、ナタルは少し躊躇いながらも声をかけた。

「あの、大丈夫ですか、キース大尉?」
「・・・・・・ふっ、別に気にしちゃいないさ。どうせ俺はアークエンジェルの墜落王だからな。一番沢山撃ち落されてるし」
「まあ、それはそうですけど」
「少しは否定して欲しかったな・・・・・・」

 物凄く悲しそうにナタルに訴えるキースだったが、ナタルはそんな戯言に付き合う気などは無かった。いや、彼女には聞きたい事があったのだ。それを聞くまでは引く気は無いという覚悟を持っていた。

「大尉、お聞きしたいことがあります」
「・・・・・・改まって、何かな?」
「調整体とは、何なんですか。貴方は一体何者なんです。貴方がメンデルという研究所に関わっていることは調べられましたが、そこから先はすべて闇の中だった」

 ナタルの視線は誤魔化すことを許さない強さがある。その視線を受け止めたキースは仕方なさそうに頭を掻いた。

303流離う翼たち・作者:2004/04/17(土) 00:14
>> ミリアリア・あの子許せない
むう、ミリィさん逞しいです。キラもカズィもパシリですか
トリィよ、お前さんに入ってるプログラムは一体・・・・・・・

>> 過去の傷
アスラン、なんだか1人だけ真面目君やってたんですね
すっかり周囲の流れの中で自己を確立してるなあ。ある意味勝者かな

>> The Last War
ほう、それは楽しみです
アルフレットさんの家族関係はもう少し後で出ます。でも、アルフレットさんはキースやナタル以上にフレイ様にとって重要キャラかもしれません

304過去の傷・110:2004/04/17(土) 08:20
「ア、アスラン・ザラって!」
「聞いたことがあるのか?キラか?」
「あ・・・はい・・・」
フレイは初めて見た、この少年を・・・だがそれよりも気になったのは。
「その軍服って・・・」
それは見たことあった、ザフトであの怖い頬に傷のある少年と同じ服を着ていたからだ。
「俺は元ザフトだ、だがいまはもう違う、分かるな?」
フレイは下を向いて黙ってうなずく。
「俺とキラは幼なじみであり親友だ」
その言葉にフレイは顔を上げる。
「君とキラの間になにがあったかは聞いた」
黙ってフレイは聞く。
「だがもう終わったことだ、それとも君はいまでもキラを利用するつもりか?」
フレイは黙って首を横に振る。
「違う・・・違う・・・いまはキラが好き」
「そうか・・・だが君よりは俺の方がキラのことはよく理解しているつもりだ」
「私だってキラのことよく知ってる・・・」
アスランはそれには答えず出て行く。
「フレイ・アルスタ−、話せてよかった、ではラクス失礼します」
「はい、また」
「フレイ!」
カガリが飛び込むように部屋に入ってきた。
「カガリ・・・?」
アスランの方のは目もくれず真っ直ぐにフレイを見つめる。
「どういうつもりだ?今日も私の部屋で過ごすんじゃないのか?」
「カガリさん・・・」
「ラ、ラクス様・・・フレイは私だけの・・・もう私はアスランのことなど・・・」
「カガリ、全て演技だ」
「演技・・・?」
アスランは目を閉じると告げた。
「俺はお前を好きになったことはない、一度もな」
その言葉にラクスは微笑む。
フレイだけ一人わけが分からない様子だ。
「そんな・・・じゃあ・・・」
ラクスを見る。
「カガリさん、私はアスラン一筋ですわ、婚約も解消はずっとしておりません」
「なら私も白状する、フレイ・・・」
カガリに突然声をかけられて驚いたフレイ。
「え・・・?」
「フレイ、私は初めて見たときからお前のことが・・・」
「カガリ・・・?初めて見たときから・・・?」(それって・・・ア−クエンジェルに所属していてキラを利用していたときだわ・・・どういうこと・・・?)
カガリはうなずく。
「ああ、お前可愛くて」
「・・・カガリだって可愛いわよ」
「そうか!?」
「ええ」

カガリが出て行くと。
「じゃラクス、今日は一緒に寝るわよ」
「はい」
(キラ・・・カガリ・・・私は)

305私の想いが名無しを守るわ:2004/04/18(日) 09:56
書き込みテスト

306私の想いが名無しを守るわ:2004/04/18(日) 09:56
もいっちょテスト

307ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/04/18(日) 18:52
現在、今まで可能だったはずの長い文章が書き込めません。とりあえず、感想のみ上げさせていただきます。

>>過去の傷
そう言えば、ミリィ、いつ仕事しているのかと思ったら、代わりにダコスタ君が…… いいのか? CICの席なくなるぞ。
フレイ様、アスランと対面、とりあえずは挨拶まで。しかし、カガリは、本当に百合?

>>The Last War
ネメシス・フレイ様とカガリのドタバタですか、これは楽しみです。『The Last War』も期待してます。

>>流離う翼たち
アルフレットさんって、なにか言いにくいのでアルフさんでもいいですか。
アルフさんの、スポーツの有名監督みたいな人を育てる実績で、外野は盛り上がっているようですが、
ここまで、約束されていると、ちょっと天の邪鬼に感じてしまいます。フレイ様、成長するにしても、
型にはまらずアルフさんを振り回すくらいして欲しいな。
ナタルさんとキース、こちらはどうなるのでしょう。キースのこと、かなりショックだったでしょうし。

308流離う翼たち・459:2004/04/18(日) 22:39
「どうしても、聞きたい?」
「はい」

 淀みなく返してくるナタルに、キースはどうしたものかと視線を落とした。

「・・・・・・もう少し待ってくれないかな」
「何故です。私には聞かせられないことなのですか?」
「いや、いつかは話そうと思ってた。ただ、俺の素性を話してしまうと、色々と困る奴も居るんだ。こうなった以上、他にも話しておかないといけない奴が居る」
「それは誰なんです?」
「・・・・・・・・・カガリと、キラだよ」

 それだけ言うと、キースはナタルの脇を抜けて部屋を出て行こうとした。その背中にナタルが声をかける。

「何時まで待てば宜しいので?」
「そうだな、多分キラもアズラエルの話で俺に疑問を感じてるだろうし、早い方が良いだろう。明日にでも俺の家で話そう」
「そうですか、分りました」

 キースはナタルに背を向け、部屋から出て行った。それを見送ったナタルは小さく嘆息すると、なんだか不安そうに両手で体を抱きしめ、壁に寄りかかる。こんなに不安な気持ちになったのは初めてだ。

「キース、貴方は、本当に何者なんです。私は貴方を信じて良いんですか?」

 これまでずっと信じてきたし、実際キースは自分達を裏切ったりしなかった。だが、今のキースは得体が知れない。これまでずっとちょっと変わった、凄腕のパイロットとしか思っていなかった。ブルーコスモスだといっても、それは過去の事だと割切っていた。実はマリューに一度相談したこともあるのだが、その時は笑って考えすぎだと言われてしまった。

「馬鹿ね、知り合う前の事なんか気にしてたら、何でもかんでも疑う事になるわよ」
「ですが、その、不安なんです」
「何が?」

 マリューの問いに、ナタルは答え難そうに顔を俯かせている。だが、その顔色が真っ赤だったり、もじもじと膝をすり合わせていては口にしなくてもマリューにはハッキリと伝わっていたりする。
 マリューはまさか戦艦の中で、それもナタルから恋愛相談を受けることになるとは夢にも思っていなかったのだが、それがこんなハイスクールかそれ以下のレベルの相談事とは更に思っていなかった。
 だからマリューは、表面平然と、内心では大爆笑していたりするのだ。

「ナタル〜、1つ聞きたいんだけどさあ」
「な、何ですか、艦長?」
「もしキース大尉に、別れた女性が10人いたとか言ったら、どうするの?」
「な、ば、馬鹿な、フラガ少佐ではあるまいし、そんな事はありません!」
「あらあら、どうかしらね〜。キース大尉だって男なんだし、女性関係の10やそこらはあるかもよ。なにしろフラガ少佐と長い事一緒にいたんだし」
「まさか、そんな事は・・・・・・・・・・」
「ナタル〜、お姫様チックな夢も良いけど、そろそろ現実を見ましょうね」

 まあ、こんな感じでからかわれたのだが、それでもマリューは色々と教えてくれはした。だが、どれだけ教えてもらおうがいざとなると不安が拭えない。それも、女性関係どころか、相手が人間かどうかという問題なのである。まさか、自分がフレイのような問題に直面する日が来るとは思ってもいなかった。

309流離う翼たち・作者:2004/04/18(日) 22:44
>> 過去の傷
アスラン、流石に演技というのはどうかと。
まあ去年まで付き合ってたカップルが久しぶりに会ったら別れてたってのは良くあるけど
でも、やっぱり同性愛は不毛ですよ、カガリさん

>>307
別に略称は構いませんよ。奥さんはアルと呼んでますし
アルフレットさんはキースとは接し方がまるで違いますよ。フレイ様がそこで何を見つけるかは、もう少し後で。

310ミリアリア・あの子許せない 91:2004/04/19(月) 03:44
第2部 7.ミナシロのこと覚えてる? 8/12
[真っ先に、ここへ連れて来ようと思っていたんだよ]

結局、夕方になっても、捜している、あの子は見つからなかった。私達四人は力なくミナシロの
市街地を歩いていた。

「ごめんね、キラ、トール、カズイ。いろいろ引っ張り回しちゃって。私、もうあきらめる」
私はみんなに謝った。あきらめるには惜しい買い物だったけど、仕方ない。縁が無かったことに
するしかない。

「ミリィ、いいのかい?」
「いいの、もう帰ろう、家へ」

残念そうなキラの言葉に、私はしょんぼりと頷いた。
「本当は、港の夜景も見たかったけど、もういい」

せっかく、ミナシロにキラと来たのに、私は、何してたんだろう。後悔の念がもたげて来る。
元は港の夜景をキラと二人で見たかった。でも、どんどん話が変な方向に行ってしまった。

「そうだな、おなかも減ったし。金も無いし」
「俺も、撮影旅行の予定組み直さなくちゃな」
「そうね、ごめんトール、カズイ」

あきらめて、三人、駅の方に歩きだそうとした時キラは言った。

「ミリィ、みんな。もう一つだけ寄って行こうよ」
「え、どこ?」

「ここだよ」キラは、すぐ隣の建物を指差した。
「ミナシロPARKS、できたばかりのアミューズメント施設。いろんな公園が階層上に
 積み重なっている。港だって、ここから見えるよ」

そこは見上げると、都会のビルの上に、緑の木々が幾重にも、生い茂っているような不思議な建物だった。
今にも沈みそうな夕日を受けて、それらは赤く色づいてる。

キラは建物の入り口の幅の広い階段に向かって行った。そして、階段の端にあるエスカレーターで
登って行く。私達も後に続く。上がってみると、そこは建物の上なのに、緑に囲まれた公園が広がっていた。
ベンチに座ったアベックや親子連れが、次第に落ちて行く夕日を眺めている。私達も、それに見とれた。

上の階へ上がるたびに、趣の異なった公園があり、やがて日が落ちて夕闇に色を変えて行く空と、
次々にライトアップされていく公園の噴水などの施設が幻想的に溶け合って、まるで異世界に
入り込んだような感じを私達に与えていた。トールは関心したように辺りを見回している。
カズイは三脚を出してデジカメで夕日とライトアップが、刻々と、その色合いを変えて行く様を
写真に記録している。

「いいね、ここ知らなかった」私はキラに呟く。
「本当はね、今朝、ミリィにミナシロのこと案内してと言われた時、真っ先に、ここへ
 連れて来ようと思っていたんだよ」

私は、そんなキラの瞳に吸い込まれそうになった。いつもは、子供っぽくて、好ましく思わない
キラの肩にとまったトリィさえ、夕日に染まるキラの顔に映えて、私は心臓の鼓動が高まった。

「ミリィ、あそこにサイがいるぞ」
トールの呼ぶ声に、私はハッとしたように振り向いた。サイが公園の片隅にあるベンチに
一人で座っている。顔は、なにか虚ろだ。私達はサイのところまで駆け寄った。

「サイ、どうしたの?」 私が話しかける。
「デートは、どうなったの?」 とキラ。
「彼女はどうした」 とトール。
「サイ、大丈夫?」 カズイは、サイを気づかうように言葉を掛ける。

サイは、呟くように答えた。サイの左頬は叩かれたような後が少し残っていた。

「やあ、君たちぃ。俺って、悪かったのかな。俺は、俺はさ。相手を理解しようと勤めているんだ。
 例え、どんなことでも、それはそれで彼女の一部なんだから。だから、俺は悪く無いだろ。
 別に隠さなくても構わないよって言ったんだ。それなのに。それなのに、違うって言い張って、
 意地でも否定して…… 俺は悪くない。悪くないぞ」

言っていることが、さっぱり分からない。

「だからって…… だからって、勝手に怒って…… なんでだよ。
 いいんだよ…… 別にいいんだよ。別に特殊でも、趣味は趣味なんだから。
 そんなこと言ったら、俺の趣味なんか、どうなるんだよ」

サイの趣味って一体何? 恥ずかしくて隠すような趣味あったっけ? それは、それで興味あるけど
ともかく、サイはどうしたんだろう? なんか壊れてる……

311ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/04/19(月) 03:54
ようやく投稿できました。書き込みフォームが、なにかシステム変更になって、制限がかかっていたのを、
サポートが設定変更して緩和してくれたそうです。一応、これで今まで通りの分量が送信できます。
したらば様、ありがとうございました。

>>流離う翼たち
キース君、わざわざキラとカガリを指定するということは、螺旋の回廊をやる気ですかな。
しかし、マリューさん、ナタルにアドバイスする(これ事体が信じられないが)のはいいけど、
主題が違ってますよ。フラガ少佐との味勝負で頭の中が恋愛モードに染まっているのか。

アルフさん、オフィシャルの愛称は「アル」ですか。うちでは、大物の「アル」がいるので、
済みませんけどアルフさんにさせてください。

312過去の傷・111:2004/04/19(月) 08:31
「ラクスってなんだか暖かい」
「そうでしょうか?」
「ええ、ほんとに」
ここはシ−ツの中である・・・フレイとラクスは同じシ−ツで寝ていた。
(サイ・・・サイはもう私のことを嫌いはじめている・・・でも悪いのは全て私、私の行いがサイをあんなふうにさせた)
サイをあそこまで追い詰めたのは私・・・。
「サイ、ごめんなさい・・・ごめんなさい!!!」
「・・・・・・泣きたいですか?」
そのフレイの様子をラクスが覗き込む。
「泣きなさい、泣きたいときは泣けばいいのですよ」
ラクスはフレイに微笑む。
「ラクス・・・うう・・・サイ、ごめんなさい!ごめんなさい!」
フレイはラクスに抱きついて泣いた、思う存分泣いた。
その二人をカガリがドアの外から聞き入ると、嫉妬の眼差しで見つめていた。

その数時間後。
「じゃあ、エタ−ナルでラクスさんにも手伝ってもらって式挙げようね、キラ?」
「・・・・・・」
「私達こんなに愛し合ってるんだもの、大丈夫よ」
そう私だって少しはキラのこと好きよ、決めた、キラのことト−ルって思うことにするわ。
さあてあとでシャワ−でも浴びようかしら。

シャワ−室に入ったミリアリアは・・・。
(ふう、気持ちいいわ・・・)
そしていい偶然でもあった、赤い髪の少女も入ってきたのである・・・。
「・・・・・・」(フレイ・・・)
「・・・・・・」(キラを取ろうとしている悪女ミリアリア・・・)

313過去の傷・112:2004/04/19(月) 12:07
「・・・・・・」
「・・・・・・」
無言でシャワ−を浴びている二人。
フレイはパックまでしている。
ミリアリアは思った・・・なんなのこの感じは?罪悪感?この子に対して?この子からキラを奪い取ッたことに対しての?
ミリアリアは首を振った。
違う!私は悪くない、私に取られたフレイが悪いのよ、だいたい私に取られるってことはそれだけフレイのキラに対する気持ちはその程度のものだったのよ。
そんな女がキラと付き合う資格はないわ。
私は着替えると黙ってシャワ−室を出た、フレイとは一言も話さなかった、いえ話したくもなかった、フレイだって同じ気持ちだろう。

一時間後、ラクスの部屋に戻ったフレイは。
「軍人はお続けになられるおつもりなのですか?」
「え?」
「貴女が軍に志願した理由はをキラ様を利用してキラ様自身と私を含めたコ−ディネイタ−全てに復讐するためなのでしょう?」
「それは・・・」
そういえばそうなのだ、キラに復讐するため、キラが死ねばいいと思った、キラの死を望んでいた、その為にキラを戦わせた、キラを道具として・・・紛らわすために女として接近した、キラと寝た、キラとキスもした。
ならいまの私は?いま軍人である私は一体なんなのだろうか?なぜいまだにこういうア−クエンジェルの軍服を着ているのだろうか?それは・・・キラが好きだから?キラの側にいたいから?軍人ならキラの近くにいられるから?キラのことは好き、それば事実、だけど・・・。
フレイはもう自分自身が分からなくなってきた。
そしていまさらだが後悔した、なんで私あんなことしたの?キラを酷く傷つけて、サイを傷つけて・・・なんで・・・。
私はなんて身勝手な女なんだろう、いつも自分のことばっかり考えて。
キラごめんね、酷く傷つけて、なにも見ようとしないで・・・ごめんね。
「フレイさん・・・」
ラクスが覗き込んでいた。
「ラクス・・・」
この女、悔しいけど可愛いわね・・・。
(俺には関係ない)
(関係を勝手に解消してきたのは君だろ!)
(君には関係ないだろ!)
サイの言葉を思い出す。
あんなに私に優しくしてくれたサイが・・・。
でも私は言い返すことが出来なかった。
そして私が気づかないうちにラクスを押し倒し覆いかぶさっていた。

314『明日』と『終わり』の間に・1日目:2004/04/19(月) 23:26
「よっ、フレイ!」
「あら、カガリ。今日はいつもより少し早いわね?」
「ああ、今日は大した仕事じゃなかったからな。どうだ?リハビリとか順調か?」

 ―――キラがオーブを経って大体1ヶ月。私はアイツに頼まれて、仕事の合間を縫っては入院中のフレイの見舞いに来ている。アークエンジェルにいた頃は、別に仲が良かった訳でもなかったから最初は渋々だったけど、こいつと話してるうちにだんだん仲良くなってきて、今じゃ自分から通うようになっている。ただキラの奴、下手に刺激するような真似はするなってやたら釘刺してたけど、あいつ何か私に隠してないか?まぁ、それは別に良いんだが。でも最近、こいつとの関係でちょっとした悩みを抱えてる。それは・・・。

「ねぇカガリ。またお願いがあるんだけど・・・」
「えっ!?」
「・・・何、その反応・・・?」

 そう、悩みとは他でもない。こいつの「お願い」のことだ。例を挙げていけば切りが無いけど、中でも一番酷かったのは茶色のかつらを被って一人称を「僕」に変えて欲しいってやつだった。私も最初は断ったんだが、結局その日は1日中その格好で過ごした。これから毎日その格好で来て欲しいと言われた時は流石に勘弁してもらったけど。
 それに、つい最近じゃトリィを伝書バト代わりにしてキラの元に手紙を届けようともしてたな。それを聞いてすぐにいなくなったトリィを探して大騒ぎになった(騒ぎ立てたのは私だけど)。ちなみにトリィはこの病院から500メートルぐらい離れた所にある木の上で迷子になってるところを無事保護された。
 つまり、こいつの「お願い」を聞いて私がろくな目に会わなかった試しが無い。・・・でも、だからといって断るのも可哀想な気もするし、しかもこんな病室に篭りっきりじゃ気分も滅入るだろうし、仕方ないか・・・。

「い、いや、何でも無い。で、頼みって何だ?」
「あのね・・・」


「は!?料理がしたい?・・・何だ、そんなことかぁ〜」
「・・・だからどーしてそんなに安心してるの?」
「悪い悪い。・・・でも、急にどうして料理なんだ?」
「ほら、私も自分一人で着替えとか色々出来るようになったじゃない?だからもっと色んなことをしてみたいって思うようになったの」
「ふ〜ん。・・・とか何とか言って、ホントはキラにでも食べさせてやるつもりなんだろ?」
「・・・カガリって、エスパー?」
「・・・お前、そう言う前に普段の自分の言動を振り返ってみろよ」

 冗談半分で言ったのに、図星だったのか。・・・まぁ、それだけ私もこいつのことが分かってきたっていう証拠か。

「・・・キラが私に会いに来てくれた時、私、お仕事が終わったらすぐに会いに来てって一方的に約束しちゃったの。それじゃキラに悪いから、せめてその時に私の手料理をご馳走したいなぁ・・・なんて」
「・・・そっか」

 ・・・今思えば、こいつの言う我侭は皆キラに会いたいっていう気持ちから来てるんだろうな。そういう意味じゃ、私も同じだな。はぁ〜・・・、アスラン、元気にしてるかなぁ?

「よし分かった、私に任せとけ!お前、私の家に来いよ。そこで私が料理教えてやるから」
「えっ、良いの?」
「ああ、病院の方には私から言っておくから。何、1日ぐらいなら何とかなるだろ」
「有難うカガリ♪私、頑張るわ!」

 ふふふ、あんなにはしゃいで・・・。キラ、私達やこいつの為にも必ず生きて帰って来いよ?

「ところでキラの好きな物、何だか分かる?」
「そうだな・・・。確かカレーが好きって言ってたな。まぁカレーならそんなに難しくも無いし、お前には丁度良いかな?」
「カレーね?分かったわ!・・・ところでカレーって、どんな料理?」

 ・・・まずそこから始めなきゃいけないのか?

315流離う翼たち・460:2004/04/19(月) 23:46
 翌朝、目を覚ましたフレイはベッドから起き、着替えをどうしようかと悩んだ。幾らなんでもここには女物の服は無いだろうし、もっていたらそれはそれで怖い。かといって昨日着てた制服はびしょ濡れで今日は着れないだろうし、本当にどうにもならない。仕方なく昨日借りたシャツを着て部屋の外に出る。すると、何だかベーコンの焼ける匂いが漂ってきた。

「あれ、食事?」

 どうやらまたアルフレットが料理をしているらしい。あれはちとダメージが大きいのだが、泊めて貰っている以上文句も言えない。とぼとぼと食堂に入り、椅子に腰掛ける。

「よう、起きたのか」
「はい、昨日はありがとうございました」
「ハムハムハム」
「なあに、気にすんな。ガキの1人くらい何でもねえよ」
「でも、迷惑かけました」
「モグモグモグ」
「まあ、さっさと食ってくれ。食ったら出かけるぞ」
「え、何処にですか?」
「むむむ、目玉焼きが見事な出来栄え」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 ようやくフレイは隣を見た。いや、さっきからいるのは分かっていたのだが、あえて無視していたのだ。そこには、連合兵士の制服を着た20過ぎくらいの女性兵が座って何故か朝食を食べていた。何というか、顔立ちの整った美人だ。

「あの、この人は?」
「おお、俺の部下で、セランだ。整備班の奴だよ」
「はあ、そのセランさんがどうしてここに?」
「ああ、お前の着替えを持って来てもらった。昨日の夜にちょっと走り回って貰ったんでな、こうして労を労ってる訳だ」

 アルフレットもテーブルに付いて自分のトーストを齧る。隣に座るセランという兵士は自分の方を見ると、右手で略式の敬礼をしてきた。

「セラン・オルセン軍曹です。少尉の着替えを手に入れてくるように少佐に命令されました。少尉の制服と下着は洗濯と乾燥をしてそこに置いてあります」
「あ、ありがとう」
「いえ、構いません。あ、自分のことはセラン軍曹と呼んでください」

 どうやらアルフレットが自分の生活を考えて手を回していてくれたようだ。だが、アルフレットは自分を何処に連れて行くつもりなのだろう。

 朝食を終えた3人はセランの運転する車で何故かマドラス基地へと向かった。フレイにしてみればアークエンジェルから離れられるならそれで良いのだが、基地に行くというのもなんだか気が引ける。アークエンジェルの中では顔見知りばかりだったから余り表に出ていなかったが、実はフレイは結構人見知りが激しい。味方と分かってはいても、知らない人と一緒に居るのはどうにも落ち着かないのだ。

316流離う翼たち・作者:2004/04/19(月) 23:58
>> ミリアリア・あの子許せない
サイが完全に壊れている。一体何があったんでしょうw
でも、これって諸悪の根源はミリィのような気が・・・・・・キラとトールも危ないか

>> 過去の傷
フレイ様の趣味って一体。何故に今度はラクスに・・・・・・

>> 『明日』と『終わり』の間に
が、頑張れカガリ、未来はきっと明るい、と思う
でも、何となく同情してしまう。でもトリィを伝書鳩代わりって、無茶だよフレイ様

317ミリアリア・あの子許せない 92:2004/04/20(火) 06:09
第2部 7.ミナシロのこと覚えてる? 9/12
[あった。私の捜し物]

虚ろな目で、ブツブツと呟き続けるサイに、トールとキラは頷き合う。
「とにかく振られたらしいな」
「そうみたいだね」

「君たちぃ!、俺は振られてなんていないぞ」
サイは、キラとトールに絡みだしている。カズイも、ヘリオポリスでは、あまり見たことが無い
サイの取り乱しようにビックリしている。

一歩引いて見ていた私の目に、サイから少し離れたところにあるゴミ箱に、見覚えのある紙袋が
入っているのが見えた。私は駆け寄ってみる。確かにそれは、間違って持って行かれた私の紙袋だった。
キラ達に隠れて紙袋を調べると、包みが破かれて中身を見た後があるものの、同人誌は、ちゃんと、
そこに有った。なぜ、ここにあるのかは分からないけど。

ひょっとしたら、あの持って行った子が、これに気づいて中身を見て、あまりの過激な内容に
ビックリしてゴミ箱に放り込んだのかもしれない。これ、その筋の人でないと正視できないような
シーン一杯あるもの。普通の人に、これ持ってるの知られたら品性疑われること必須。
もし、デートの最中だったら、破局の可能性大。私も気をつけないと。

とにかく、やっと私は捜しているものを見つけることができた。私の顔に笑みが戻った。

「どうしたのミリィ?」キラが呼んだ。

私は、同人誌を紙袋に戻して、みんなのところに戻るとキラに答えた。
「あった。私の捜し物」

「ミリィ、良かったね」キラが優しい目で言った。
「うん、キラが、ここに来ようって言ったおかげよ」

「え!見つかったって。良かったなミリィ。一体何だっ……」
トールの声は、絡んできたサイに打ち消された。

「悪くないぞ、俺はぁ、悪くないぞ! お月様のバッキャロー」
既に日は落ちて、輝きだした月に向かってサイは吠えだしていた。
私とキラは、そんな見慣れないサイの姿を見て、二人でキョトンとした顔を見合わせた。

やがて、キラが真面目な表情に戻って言った。

「ミリィ、屋上行こう。夕食おごるよ」
「そんな、悪いわよキラ」

「いいよ、捜し物見つかったお祝いだ」

「キラ、俺達もおごりか?」トールが目を輝かせながら聞く。
「ああ」キラは答える。
「やりぃ!」
「やった!」
トールもカズイも歓声を上げた。

「サイも行こうぜ」トールはサイに声をかける。
「サイ、奮発するから、美味しいもの食べて元気出して」キラが笑いかける。
「サイっ」カズイも優しい目で問いかける。
「サイ、行きましょう」
みんなの声に、やっとサイも立ち上がった。

屋上の公園。ガーデン・レストラン。本来は予約しないと席が無いところ。キラは一応、
予約は入れていたのだけど、三人の予定が五人に増えていた。だけど、幸運にも、大口の
キャンセルがあったらしく、私達は一番高いところにある特別席に座ることができた。
その眺めは格別だった。すっかり、日が落ちて闇が広がったミナシロの街のライトアップ、
私の市を挟む山の住宅やアンテナなどの灯、街を取り巻くように光が流れ、やがて四方八方に
散って行く環状ハイウェイ。そして、なにより、私が望んでいた港の波止場やホテルが
明滅する、期待を裏切らない幻想的な美しい光が一望に見渡せた。

確かに、港へ行けば、それを間近で見て、もっと美しかったと思う。でも、そこでは、港しか
見えない。ここは、港はおろか、ミナシロの美しい夜景すべてが見える。ミナシロの全てを
キラ達みんなと一緒に占有している。私達は、それを眺めながら、美味しい料理に舌鼓を打っていた。
アルコールも、ちょっと入っていた。

トールは相変わらずブツブツ言っているサイの話に付き合わされている。カズイは、三脚を付けた
デジカメで夜景を撮るのに夢中になっている。トリィも、キラの肩から離れて公園の木々を飛び回っている。
まわりに、みんないるんだけど、今、この瞬間だけ、キラと二人きり。

「すっごく奇麗! こんなの初めて」
「そうだね、ミリィ」

私は、慣れないビールに、少し顔を染めて、キラの方に、ちょっとだけ頭を傾け、港や
ミナシロ全体の夜景の幻想的な景色に酔いしれた。

「ミリィ、さっきの捜し物。結局、何だったの?」
「キラ、大したものじゃ無いのよ。これ」
私は紙袋を後ろ手に隠す。顔が、さらに赤くなっていたかもしれない。

「ミリィが、そう言うなら」
キラは、それ以上は詮索せず、優しい目のまま微笑んだ。私も、笑顔を見せた。

「みんな撮るよー」
カズイが、やっと私達の撮影を始めたようだった。落ち込んでいるサイを引っ張り込むようにして、
みんなVサインをしながら、カズイの写真に収まっていった。

318ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/04/20(火) 06:18
>>過去の傷
フレイ様とミリィは冷戦真っ只中ですね。しかし、なぜにラクスと……

>>『明日』と『終わり』の間に
「The Last War」の番外編ですね。
ネメシス・フレイ様、魅力に天然ボケ・パワーがプラスされて可愛いです。トリィに、大気圏
脱出させる気だったんですかな。そして、カレー、お約束の予感。

>>流離う翼たち
ハムハム、モグモグは、セラン軍曹の台詞ですか。ハム太郎かと思ってしまいました。
まあ、以前からですが、喋り方もキャラによってはTV本編と違うときがあるので、
複数人の会話が並ぶと、時々、誰の台詞なのか分からないことがあります。今回は意図的なんでしょうけど。
ところで、TV本編にならうとオルセン軍曹と呼ぶところですが、なにかあるのかな。
とにかく、フレイ様のTV本編でも感じられた人見知り。まずは、これから?

319過去の傷・113:2004/04/20(火) 12:24
「あの・・・?フレイさん?」
「ラクス・・・」
突然ベッドに押し倒されときょとんとしているラクス。
「あの・・・」
ラクスが起き上がってくると、再度押し倒す。
「!」
「私を慰めてラクス」
「寂しいのですか?フレイさん」
フレイはうなずく。
「キラ様に会わなくてもよろしいのですか?」
「キラには会いたいけど・・・いまは同姓の女に慰めてほしいの」
ラクスは疑った顔になる。
「もしかしてフレイさんそういう趣味がおありなのですか?」
「ええ、最近ね」
私はラクスの唇を見つめた、ピンクの口紅が可愛い、これほしいわ。
そしてフレイは一瞬我を忘れた、自分が女ということも・・・。
フレイはラクスの唇に唇を重ねた・・・。
ラクスが目を大きく見開く。
まさか・・・まさか・・・ファ−ストキスの相手が大好きなアスラン・ザラでもなくキラ・ヤマトでもなくイザ−ク・ジュ−ルでもなく大好きなエドワ−ド・エルリックでもなく・・・女性のフレイ・アルスタ−だったとは。

「さっきシャワ−室にフレイがいたよ」
キラは反応する。
「フレイが!?」
「でも、なにも話さなかったわ、話す気にもならなかったし・・・」
「・・・・・・」
フレイ・・・もうあの子との仲は冷え切ってしまったみたい、でもあの子が悪いのよ、全てなにもかもあの子が悪いの・・・フレイの自業自得だわ。

320流離う翼たち・461:2004/04/20(火) 23:19
 アルフレットが連れて行ったのはMSの置かれている格納庫だった。整備兵たちがそれぞれ担当の機体に取り付き、汗水流して機体の整備をしている。そこにはフレイにとって見慣れたストライクやデュエルもあるが、敵として戦ったバスターやブリッツ、パワーと一緒に助けに来てくれたストライクダガーとかいうMSもあった。特にダガーの数はかなり多い。
 セランはジープを格納庫の脇に停めると、フレイにこの場所を説明してくれた。

「ここはMS格納庫です。大西洋連邦の南アジア方面軍では数少ないMS部隊なんですよ。特にストライクダガーはまだこの基地にしか配備されていません」
「ストライクダガーって、ストライクの量産機なんですか?」
「あはははは。名前はそうですけど、中身はデュエルです。デュエルが敵に奪われて縁起が悪いからストライクダガーになったそうです。試作機はデュエルダガーだったそうですよ」

 セランは楽しそうに説明してくれる。どうやら彼女はここの整備兵であるらしく、MSに限らず自分の整備している機体に誇りを持っているらしい。

「セラン軍曹は、どの機体を担当してるんです?」
「私は、手前から4番目のデュエルです」

 見れば確かにそこにはデュエルがあった。自分にも慣れた機体だし、攻してみると何だか乗りたくなってくる。いつの間にか、自分はすっかりパイロットになっていたらしい。
 そこに、部下と話していたアルフレットが声をかけてきた。

「おい、お嬢ちゃん、ちょっとこっちに来い」
「え・・・・・・あ、はい!」

 言われて急いでアルフレットの所に走る。アルフレットは近くに来たフレイを目の前にいる部下に紹介した。

「フレイ・アルスター少尉だ。短い間だが、預かることになったから、上手くやってやってくれ」
「はあ、それは構いませんが、何でここに?」
「予備のダガーがあるだろ。あれに乗せてやってくれ」

 とんでもない事を言い出すアルフレット。フレイは勿論、目の前の部下までがビックリしている。

「な、何考えてるんですか。貴重なMSをこんな女の子に使わせるつもりですか!?」
「女の子って言っても、こいつくらいのパイロットも結構いるだろ」
「そりゃいますが、彼らはちゃんと訓練を受けてます」

 あくまで譲ろうとはしない部下に、アルフレットはニヤリと人の悪そうな笑みを浮かべ、フレイを見てきた。

「つまり、MSを使えるなら文句はねえんだな?」
「はあ、まあそうですが、MSを使うにはそれなりの訓練が必要ですよ」
「というわけだ。確かお嬢ちゃん、MSには乗れたよな?」
「え、あ、まあ、乗れますけど」
「そういうわけだ、文句は無えな?」

 アルフレットは勝ち誇ってそう言い放ったが、言われた方は唖然としていた。そりゃまあ、こんな女の子がいきなりやってきてMS乗れます、などと言うのだから普通はこうなるだろう。
 部下が黙ったのを見て、アルフレットはフレイとセランを連れて格納庫へと入っていく。格納庫内には整備兵やパイロットが沢山いて、アルフレットと一緒に入ってきた見慣れない女の子に何だか注目している。アルフレットはそんな部下達を無視して奥に立て掛けてあるダガーにフレイを案内した。

「さて、こいつが予備のダガーだ。ここにいる間、お嬢ちゃんの好きにして良いぜ」
「でも、何で私が?」
「気にすんな。まあ、強いて言うなら教官役だな。何しろここには実戦経験豊富なのは俺しかいねえんだ。俺が面倒見てやれりゃ良いんだが、生憎俺もそう暇ってわけでもねえしな」
「それで、私はどうすれば?」
「こいつに乗ってここにいる連中と模擬戦をしてくれりゃ良い。別に難しいことでもねえだろ。ああ、機体の整備と調整はセランに任せな。こいつは良い腕だぜ」

321流離う翼たち・作者:2004/04/20(火) 23:23
>> ミリアリア・あの子許せない
サ、サイ、哀れすぎる。だが、一体どういう内容だったのだろう?
とりあえずミリィを信じたキラたちは幸運と言うべきなのでしょうか
軍曹の呼び名には意味がありますよ。

>> 過去の傷
フレイ様、いよいよ見境が無くなりつつありますな
ラクスもそりゃショックでしょう

322ミリアリア・あの子許せない 93:2004/04/21(水) 06:03
第2部 7.ミナシロのこと覚えてる? 10/12
[ごめんね、お母さん]

夕食の後、すっかり夜遅くなり、キラ、トールは、私を家まで送ってくれた。
サイは、両親とミナシロにホテルを取ってあったらしく、同じくミナシロに撮影旅行で
ホテルを予約していたカズイが送って行った。

マンションの前に近づくと、私のお母さんがマンションの出口から走り出るのが見えた。

「お母さん!」
「ミリィ!」

「お母さん! どうして朝、居なかったのよ。私、せっかく帰ってきたのに」
「何言ってるんですかミリィ、連絡してきた時間は今日の夕方でしょ。いつまで待っても
 帰って来ないし、電話にも出ないから、お父さんと一緒に心配してたのよ」

「え! なんで?」

私は携帯電話を取り出した。いつの間にかバッテリ切れになっている。キラの予備電池を
借りて、携帯の電源を入れて、両親に連絡した時のメールを確認する。私は、連絡の時、
午前と午後を間違えていた。

「ごめんね、お母さん」
「もう、こんな心配かけないでね。それでこちらは?」

「カレッジの友達で、同じゼミのキラとトール。二人とも挨拶して」

「初めましてキラ・ヤマトです」
「トール・ケーニヒです」
「ミリアリアの母です。娘が、迷惑をかけて済みません」

お母さんは挨拶しながらも、その目はじっとキラに注がれていた。
「ミリィ、お前、このキラって人、まさか……」

私は、今になって気がついた。
「あ、お母さん。何でもないのよ。単なる偶然だから」

キラは不審そうに、私とお母さんを眺めている。

「どうです。ちょっと家でお茶でも」お母さんが言う。

「いえ、もう遅いですし」
「そうだな」
キラとトールは顔を見合わせる。

「そうだよね。もう遅いもんね。疲れてるお父さんもいるんだし」
私も調子を合わせる。急に家で紹介だなんて、こっちも心の準備が……

「僕達、帰ります」
「それじゃ、ミリィ、また今度」
キラとトールは帰って行った。

私は、お母さんと並んでマンションの部屋に向かって行った。お母さんは歩きながら私に言った。

「ミリィ、安心したわ。二人も男友達できて。あれから、酷く落ち込んでいたから心配してたけど」
「うん、ごめんね、お母さん」

私は、様々な想いを胸に、お母さんに心から謝った。あれから、もうかなり経つんだ……

「で、あなた、あの二人のどちらが好きなの」
私は黙っている。

「やっぱり、あのキラ君?」
私は、お母さんを見つめた。そして、小さく頷いた。お母さんに分からないはずが無い。

「そう、良かったわね。今度、二人を家に連れてきてね。キラ君に、いろいろお話し聞きたいわ。
 トール君にもね」
「うん、今度、いつか」
私は、小さく言った。

「ミリィ、今まで、どこに行ってたの?」
「ミナシロ」 お母さんの問いに、私は答える。

「じゃ、あの震災慰霊所に行ってきたの?」
「あ、忘れてた」

お母さんの言葉で、私の中に、ある思い出が蘇った。
ミナシロ市は、私が小さいころ、大きな震災に見舞われたことがある。
そして、それが復興された時にできた震災慰霊所。私は、かつて、そこに一度だけ、
連れられて行ったことがある。お父さんでもお母さんでも無く、ある人に。

「お母さん、ちょっといい」
私は一人、マンションの通路の端まで行くと、キラの予備バッテリを付けたままの携帯で、
キラに電話をかけた。

「ミリィ、今度は何だい」
「ねえ、キラ、ミナシロ、震災慰霊所に行ったことある?」

「行ったことあるよ。僕が両親とオーブに越してきて二年ほどだけど、ここは行っておかないと
 いけないって言われて」
「キラ、今度、そこに連れてって」

「どうしたんだい?」
「行きたかったの」

「明日以降は、ちょっと予定あるけど、行けるようなら連絡するよ」
「うん、キラよろしく……」

キラと二人でと言おうとして、私は、また躊躇した。そして、しばらくして、私は言った。

「また、トールと三人で…… 良かったら、サイやカズイも誘って、みんなで……」

323ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/04/21(水) 06:05
>>過去の傷
全然見てないんで最初分からなかったけど、ラクスってハガレン・ファンなんですか。
ミリィ、あの子、あの子って、うちのミリィみたい。

>>流離う翼たち
ストライクダガーでの模擬戦、フレイ様、まずは楽勝では?
ストライクダガーの元がデュエルとは言われていますが、デュエルダガーとは。
MSVで出た105ダガーだと、ほんの少しの差なんですが、ストライク度は
増すんですけどね。

324過去の傷・114:2004/04/21(水) 08:37
「!・・・や・・・やめてください・・・」
覆いかぶさっていたフレイを突き放すとラクスは唇に手をやりハンカチで何度も拭く。
「ラクス・・・ごめんなさい」
「出て行ってください・・・」
「でもラクス・・・私どうかしてて・・・」
「・・・あれが貴女の本心でないのなら構いませんが・・・あんなことは初めてです」
「ラクスごめんなさい・・・私、男好き・・・だから・・・もうあんなことしないから・・・泊めてくれない・・・?」
ラクスは少し考えたが・・・。
「よろしいですよ」
「ラクス・・・ありがとう・・・」
サイ・・・そうだ、ちゃんとサイに謝ろう・・・サイは私に以前は優しかったから、謝ればきっと許してくれる・・・もしかしたら私が謝るの待ってるのかもしれない・・・。
そして・・・私・・・ラクスと・・・同姓とキスした・・・気持ちよかった・・・ラクスは嫌がってたから・・・。

「サイ・・・あの・・・」
フレイは通路を歩いていたサイに声をかけた。
「あの・・・一緒にジュ−スでも・・・」
「ごめん・・・お断りするよ」
「あ・・・そう・・・」
横を通り過ぎようとしていたサイに慌てて声をかけた。
「サイでも!」
「なんだよ!」
苛立ったように私を見るサイ。
「え・・・なにって・・・」
「なんなんだよいまさら!ええ!なんでいまさらなれなれしくしてくるんだよ!」
そう言うと話は終わりというように立ち去ろうとした。
「サイごめんなさい!」
サイが立ち止まる。
「そうよね、私、貴方になんて酷いことしたんだろ、ほんとよね・・・裏切ったのは私よね、ごめんなさい、ほんと私ってなんて身勝手な女なんだろう・・・キラにも貴方にもなんて酷いことしたんだろう・・・ごめんね、サイごめんね・・・サイ・・・ごめんなさい!」
サイは少し黙っていたが。
「そうか・・・分かった」
「え?」
「聞こえなかったのか?いいかげんなところはあいかわらずだな、分かったって言ったんだよ」
そう言うとサイは立ち去った。
「・・・・・・」
サイの分かったってどんな意味なんだろう・・・あ、ミリアリア。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
キラを取ろうとするなんて最低な女。
「ミリアリア、私あんた嫌い、大嫌い」
「奇遇ね、私もあんた嫌いよ」
「馬鹿女」

325過去の傷・作者:2004/04/21(水) 10:46
>>翼たち
ストライク・ダガ−の模擬戦フレイ様頑張ってください、期待します、見せ付けてください、力の差を・・・。
>>ミリアリア・あの子許せない
サイご愁傷様、というよりどんな内容だったんでしょう?
ミリィはやっぱりキラに気があったんですね、ト−ルに少し同情してしまいます。

326ミリアリア・あの子許せない 94:2004/04/22(木) 05:42
第2部 7.ミナシロのこと覚えてる? 11/12
[ミナシロのこと覚えてる?]

これが、長期休暇の時にミナシロであったことの顛末。

私の同人誌を持って行った、あの腹の立つ女性は、結局見つけられずじまい。一言謝らせた
かったけど、もう済んだことだし、別に、どうでもいい。

その後の状況……

その休みの間、キラやトールに用事があったり、うちの両親が忙しくて、出張準備や家事に、
こき使われたりで、結局、みんなでミナシロの震災慰霊所に行くことも、キラとトールを
家に呼ぶこともできなかった。私は次の休みには震災慰霊所に連れてってくれるよう、
キラと約束した。

補足すると、その家事手伝いも、私が料理を、まったくできないせいで、インスタントものと、
買ったままの食品トレイが、そのまま並ぶ食卓に、主にお母さんが小言を並べていたことを
付け加えておく。

トールと私は、帰りのシャトル代を使い込んでしまい、代わりに払ってくれるよう、親に
泣きついたけど聞き入れてくれず、親に借金した形でヘリオポリスへのシャトルに乗った。
その後、仕送りから、少しずつ、さっ引かれて、金欠に苦しんだ。キラも、カッコつけて
私達に食事をおごったことで、親からの前借りを使い込んだらしく、同様に金欠状態に陥っていた。

さらに、私が親へのぼやきで、休み中、毎晩のようにキラやトールに携帯で長電話をかけて
時間をつぶし、さらに、時々二人からも、かけ直しで繋いでいたものだから、後から来た
電話代の請求書に、三人のサイフはもう……。

結局、私達三人はカレッジに戻った後、授業そっちのけでバイトに追われ、出席日数ギリギリで
進級した。その間、私達三人の間では、互いの稼ぎを日々の食費で奪い合う醜い争いが繰り広げられた。
私達の場合、光熱費と通信費。それと教養費、っていうか趣味の本とかの費用は絶対に削れないから。

さすがに、私の金欠時の常套手段「ついでに……」も予防線を張られてしまい、代わりに、
カトウ教授の怒る回数で夕食代の賭けをしたり、各自のバイト先へ陣中見舞いと称してタカリに行ったり、
トールと二人して、唯一、二人以上の棲息スペースのあるキラの寮に転がり込んで、授業のノートを
チェックし合いながら、元手はタダのバイトの残り物を、三人の間で金銭オークションにかけたり……

でも、キラやトールとの、そんな、おバカな日々が私の幸せだった。進級して、徐々に三人の関係が
変わって行くまでは……

サイは、ヘリオポリスに戻ってからも、しばらく落ち込んでいた。苦しい財政の元、元気づけようと
みんなで何回か食事に誘ったけど、中々、元気が出ない中、ある日、研究室でメールを見て
喜んでいるのを見てから、いつもの状態に戻った。彼女と仲直りしたらしい。
今、思えば、サイのデートの相手って、あの子…… フレイのことだったんだろうけど……
なんで喧嘩したのかは不明。サイが、なにやら、ぼやいてたの、さっぱり要領を得なかったから。

サイの趣味については、その後判明した。サイってアイドルおたくだったらしい。しかも、アレコレと
節操が無いタイプ。おっかけまでは行かないけど、ヘリオポリスでコンサートあるときは誰彼なく、
行きまくっていたらしい。でも、隠すほどのことじゃないと思うけどな。

カズイは、あの後、撮影旅行で、海洋遊園や海洋プラントの見学に行った。
海洋プラントの海底居住ブロックまで、潜水艇で行って入ったと、しばらく自慢していた。
もっとも、その時見たクジラに驚いたらしく、海には大きい生き物がいると恐がっていて、
アークエンジェルが紅海に出た時、このことで私はカズイをからかったことがある。

海洋遊園、海洋プラントの写真も見せてもらった。その写真を見ると、横倒しのボンベのような
概観の居住ブロックは、中は意外と広く、中央を吹き抜ける広い通路がカズイの写真に写っていた。
そこも、一度行ってみたかった。今は戦争のせいで、計画が中断し、廃棄同然になってしまったと聞いている。

カズイは、ミナシロで撮った写真をホームページに登録した。ミナシロの街の風景、
夕闇に染まるPARKSの光景。きらめく夜景。結構、好評だったらしく、アクセスカウンタの
桁も跳ね上がっていた。

カズイのホームページを見るたびに、あのミナシロでのことを思い出す。楽しい思い出。
あの時のミナシロのこと覚えてる? キラ。

P.S.
あの801同人誌、エロかったです。とっても実用的。さすが伝説の本。

327ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/04/22(木) 05:44
>>過去の傷
ラクスは、フレイ様をどう考えているのか謎ですね。嫌っている訳でも無いみたいだし。
ここのサイは冷たい。もうちょっと話聞いてあげても……
ミリアリアとの罵り合い、平手打ち合戦に発展しなければいいけど。

328過去の傷・115:2004/04/22(木) 12:40
「馬鹿女ですって!?」
ミリアリアが声を張り上げる。
「ええ、馬鹿女に馬鹿女っていってなにが悪いのよ!人の彼氏横取りしようとするなんてあんたって最低な女!」
「その言葉そのままお返しするわ、あんただって二人の男、手玉に取ったじゃない、悪女はあんたよこの腹黒女!」
「なによ、ト−ルがいない寂しさをキラで紛らわしたいだけなんでしょ!?キラは道具じゃないのよ!?」
あんたが言うなって。
「道具って・・・道具として利用してたのはそもそも誰かしら?」
「あれは・・・でももういまは違うわ!なによあんたこそ人の彼氏取ろうとしてるじゃない」
「ええ悪い?でもあんたみたいにお嬢様ぶったりしてないわ!」
「なんですって!?」
フレイはミリアリアの頬を平手でぶった。
ぶたれたミリアリアは・・・頬を押さえるとフレイを殺意をこめるような表情で睨んだ。
「なによ・・・なにすんのよ!」
そしてフレイにつかみかかっていった、女二人が倒れる。

「ラクス・・・失礼します」
「あら、アスラン♪」
「それで話とは?」
ラクスは微笑む。
「いいえ、貴方にお会いしたかっただけですの」
アスランはため息をつくと入ってきた。
「ラクス・・・貴女は私が守ります・・・」

カガリは部屋の中でただ一人。
「明日のフレイの実戦練習どうしようかな・・・でもあいつだけは危険にさらしたくない・・・私もフレイを援護するか・・・フレイ、お前は私が守る・・・」

329流離う翼たち・462:2004/04/23(金) 00:09
 セランを指して気分良さそうなアルフレット。フレイは逆らう気も起きなくなり、仕方なくセランのほうを見る。

「あの、御免ねセラン軍曹、こんな事になって」
「いえ、構いません。それより早く機体の調整をしましょう。一応使える状態にはしてありますから、少尉が乗って調子を確かめてください」
「うん、分かった」

 フレイは制服のままでコクピットに入っていく。下からセランが大事な事を聞き忘れたと声をかけてきた。

「そういえば少尉、少尉は前は何に乗ってたんです!?」
「私はデュエルよ!」
「ああ、なら問題ないです。操縦系はデュエルと同じですから。ただ、パワーはデュエルほど高くないので気をつけてください!」

 フレイは礼を言ってコクピットに収まった。確かにコクピットの作りはデュエルと全く同じだ。これなら動かすにも戸惑うことは無いだろう。フレイは慣れた手つきで機体を起動させ、ダガーを起き上がらせた。外部スピーカーを起動し、格納庫に声を流す。

「よし、これなら動かせるわね。とりあえず外に出るから、道を開けてください!」

 フレイの声に吃驚した整備兵やパイロットが慌てふためいて格納庫の中央から退いていく。フレイは兵員が退いたのを確認すると、ダガーを外に出そうとして、早くも違和感を感じた。

「あれ、なんか反応が鈍いかな?」

 最初は気のせいかと思ったが、やはり動きが鈍い。自分の操作に機体が付いて来ない。それでも普通に動かす分には問題は無いので機体を格納庫から出し、広い所まで持ってくる。そして戦闘時のような機動を軽くこなしてみて、違和感を確信に変えた。この機体は間違いなく鈍い。
 そんな不満を感じていると、後ろから付いてきたセランがジープの無線で質問をぶつけてきた。

「どうです少尉、ダガーは?」
「デュエルと同じなのは嬉しいけど、何だか動きが鈍いです。こっちの操作と動きにかなりズレがあって気持ち悪いというか」
「そうですか、とりあえずソフトの方を弄りますから、機体を屈ませてください」

 言われて機体を屈ませ、コクピットを開けるフレイ。セランはコクピットのハッチに一っ飛びで飛び乗ると、機体のOS用キーボードを引き出し、物凄い速さで打ち出した。その余りの速さにフレイも驚いてしまう。

「少尉、機体を動かしてみてください。それで当たりを出します」
「え、でも、危ないわよ?」
「体は器具で固定してあります、大丈夫。ですが、余り無茶はしないで下さい」
「う、うん、分かった」

 言われてフレイは機体を適当に動かしてみる。そのフレイの動きと機体の動作の誤差をセランが修正していくが、だんだん表情が悩むように顰められていく。

「・・・・・・・・・はあ?」

 セランがあんぐりと口を開けてフレイを見る。フレイは何かおかしかっただろうかと不安になったが、その不安はすぐに別の驚きに変わることになる。セランは、信じられないという表情でフレイにこう言ったのだ。

「あの、少尉、これって、本当に問題ないですか?」
「え、なんで?」
「だって、これが本当なら、少尉はコーディネイター並の反応速度を持ってることになりますよ」
「へ?」

 フレイは気付いていなかったのだ。自分が、一体どれほどの化け物になっているのかを。MSパイロットとしての比較対象はキラしかいなかったからこれまでフレイ自身が気付いていなかったのだが、彼女の反応速度は既にフラガと同様にナチュラルの常識を超えていたのである。

330流離う翼たち・作者:2004/04/23(金) 00:19
>> ミリアリア・あの子許せない
何とも大変ですな。本当に全員が金欠になるとは。
学業そっちのけでバイトに走るのはある意味正しい学生の姿かもw

>> 過去の傷
なんか、だんだんヘリオ組全員が怖くなっている
サイとミリィ、フレイ様が壊れ、次はキラが壊れるのかな?


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