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フレイ様人生劇場SSスレpart5〜黎明〜

248ザフト・赤毛の虜囚 48:2004/04/09(金) 06:30
8.歓喜 6/6
[私が知らないキラ、私と会う前のキラ]

私の中に溢れ出した合コン写真での回想。

私、サイ。ミリアリアと、サイの友達トール、カズイ。そして、キラ。初めて会ったキラは、サイの
友達の内の一人で、私に賛美の視線を送る人。でも、別に取り立てて、どうということの無い存在だった。
平和な時、それが続けば、永遠にキラは、それだけで終わったかもしれない。

なのに、今はキラの存在が、私の中でいっぱいになっている。でも、それは戦争があったから。
パパを失って、キラに復讐して、キラの心を知って……
そして、キラは死んだ。私は、また独りぼっち。

私はパソコンのモニタに映るコンパの写真に視線を戻す。サイのための私の笑顔。その笑顔は、
それを、いつも手元に置いていたキラも癒していたはずなのだ。私は、キラと一緒にいる時、こんな
笑顔をキラに見せられていただろうか。

「キラ……」
私は、胸に一杯の想いを詰まらせて、キラの名を呼びつづけた。

その他にも、キラのメモリチップの中にはいろいろなものが詰まっていた。

軍に提出するザフトとの戦闘レポートの下書きのようなもの。
よく分からない難しい数式やプログラムのデータ。
何かの覚え書きのような短い文章。
ヘリオポリスのカレッジの宿題やレポートの一部。

そして、サイ、トール、ミリアリア、カズイらと食事をしているところの写真。
どこかの野外レストランで写したのだろう、背景に夜空が写っている。
撮影したのはカズイらしく、カズイ以外はいろいろな組み合わせで写真に写っている。
キラとミリアリアが、隣り合わせにテーブルに座っている写真もある。ミリアリアは嬉しそうに
カメラに向けてVサインをしている。

仲がよい頃のみんなといる時のキラの表情は、私が見たことも無いほど明るい。私も、この時、
一緒にいたかった。こんな、キラが見られたのなら……

いくつものキラ、明るく微笑むキラ、どれも、私が知らないキラ、私と会う前のキラ。
私は飽きることなくキラの残した軌跡を辿って行った。ひとつひとつが、私に勇気をくれた。
泣いていた私を励ましてくれた。

私はメモリチップを大切にしまうと、ベッドに、もう一度横になった。今までに無いくらい
安らかな気持ちで眠りについた。


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