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フレイ様人生劇場SSスレpart5〜黎明〜

264ミリアリア・あの子許せない 86:2004/04/11(日) 05:10
第2部 7.ミナシロのこと覚えてる? 3/12
[キラ、待った?]

私の住む市から、トンネルで山を隔てた隣の市、ミナシロ。シティレジャーとショッピングの街。
中心街は、奇麗に整備されていて、緑とビルが美しく融和されている。大きなショッピング街や、
いくつもの遊戯施設もあり、港は、赤道連合などの近隣国への交易船でにぎわっている。沖には、
漁場や海洋都市などの研究を目的とした海洋プラントがあり、海岸には、そことのやりとりをする
研究施設とドックが立ち並ぶ。またそれだけでなく、海洋遊園や、美しいホテルも一杯あり、
レジャーについても抜かりが無い。夜を美しく彩る夜景は情報誌によると、アベックには
絶品なのだそうだ。

キラと二人っきりで、港の夜景を眺める…… 私は期待に胸を膨らませた。そして、反面、
緊張で胸がドキドキした。だんだん、落ち着かなくなってくる。

ミナシロ・センター街駅。帰省荷物をコインロッカーに入れると、待ち合わせの北口の噴水前に行った。
キラは、すでに来ていた。肩にはトリィを乗せている。もう、子供っぽいから置いてきて欲しかったのに。

「キラ、待った?」
「いや、今来たとこだよ」

キラの笑顔に、私のドキドキは最高潮に達し、声まで上ずって来る。キラとの二人きりで
夜の港のデート、期待しすぎで胸はパンクしそう。

「あはは…… それじゃ、どこから行こうか? 夜まで時間つぶして…… 二人っきりで……
 あ、そうじゃ無くて……、今は……」

みえみえの下心が口に出そうになって私は慌てて口を閉ざす。
ダメだこりゃ。まともに会話できない。それだけならまだいいけど、口が滑って、
私の知られちゃいけないアレやコレや、みんなバラしてしまいそう。
ああ、どうしよう。どうしよう……

「その前に、もうちょっと待ってくれる。待ち合わせに、まだ来てないから」

キラの言葉に、私はポカンとあっけにとられる。

「キラ、誰のこと? まさか……」
「あ、来た来た。トール、こっちだよ」

アレ?……

「やあ、ミリィ、大丈夫か。締め出しくらったって」
「私、トールは呼んでないわよ」

「ちょっと、そりゃずいぶんだなミリィ」
「ミリィの電話の後、トールからも電話があったんだよ。ミナシロのこと話したらトールも来るって」

キラ、余計なことを…… せっかく、キラと二人きりのはずだったのに…… 港の夜景が……

でも、そう思う一方で、トールが来てくれたおかげで、私は内心ホッとしているのは確か。
ドキドキがおさまって、声も落ち着いてきた。私はトールに笑顔を向けた。

「そうね、トールも一緒に行こう。案内して、キラ」

その声にトールとキラは顔を見合わせ、そして、トールが腕を振り上げて言った。
「よし、それじゃ行こう」

「どこへ行くのよ」 私は、その二人のやりとりに不安を感じる。

「決まってんだろ」とトール。

私は、さらに不安を感じた。トールが、こういう言い方をする時は、多分、おそらく、大方、きっと……

そんな、私の不安をよそに、トールとキラは笑いながら足を進めていた。


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