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化学・薬品産業総合スレッド

1荷主研究者:2003/12/07(日) 23:23
これまで「石油・LNGなど=エネルギー総合スレ=」で扱ってきた化学系のネタを独立させます。

社団法人日本化学工業協会
http://www.nikkakyo.org/

石油化学工業協会
http://www.jpca.or.jp/

化学工業日報
http://www.chemicaldaily.co.jp/

石油化学データベース
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/new.htm

2034とはずがたり:2018/11/02(金) 11:29:37
最先端EV用電池素材で日本に勝利したロシア
超低価格のカーボンナノチューブ量産化、電池容量が飛躍的に向上
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54549
2018.11.2(金) 渡邊 光太郎

 ハイテク素材の開発でロシアが日本に勝利――。

 ロシア版大本営発表に聞こえかねないもので、筆者の曲筆が疑われそうなフレーズである。

 素材産業は日本が現在でも競争力を有する貴重な分野である。ハイテン材、炭素繊維、特殊鋼など、日本製品が世界のトップを走る製品は多い。

 一方、ロシアの素材産業はチタンのようにごく稀に優秀なものがあるが、一般的には評価の低いものがほとんどである。

 例えば、自動車で用いるロシアの亜鉛メッキ鋼板は、日本で呼ばれる亜鉛メッキ鋼板とはほど遠く、実態は鋼板に「亜鉛が乗ってる」ようなもので、少し曲げるとはがれてしまうそうだ。

 亜鉛メッキだけに問題があるわけではない。鋼板の板厚は不均質で、異物の巻き込みも多い。

 そのような鉄板を使って高品質なものを製造することは不可能である。ロシアでは日本レベルのものづくりは絶対に無理である。その理由の一つが、素材産業の能力不足である。

 しかし、EVで用いられるリチウムイオン電池に性能向上をもたらすとされるカーボンナノチューブの開発では、本当にロシア製品が日本製品に勝ったようだ。

 カーボンナノチューブは電流容量や強度で優れた物性を持ち、期待の新素材であった。

しかし、1グラムで数万円、ざっくり金の10倍という高価格だった。そんな高いものを使っては、まともなコストで製品作りができないので、誰も実用的な用途を見つけられなかった。

 そんな中、ロシアでOCSiAl社によって、1グラムで300円という低価格でカーボンナノチューブを製造する方法が開発されたのだ。そして、実際に供給体制を整え、本当にその価格での販売が始まっている。
カーボンナノチューブとは

 カーボンナノチューブとは、炭素原子が筒状に結びついて、分子サイズのパイプになったものである。

 炭素の結晶であるダイヤモンドが示すとおり、炭素原子は原子間の結びつきが強く、それが硬さなどの高い物性をもたらす。

 カーボンナノチューブの物性は、耐えられる電流量は銅の1000倍、熱伝導度は銅の約7倍、強度は炭素繊維の8〜80倍とされている。

 カーボンナノチューブは名前のとおりナノサイズなので、単体では使いようがない。しかし、物性がこんなに優秀なので、少量を他の材料に混ぜることで、性能を大幅に向上できる。
写真2 カーボンナノチューブの電子顕微鏡写真(出所:JSTウエブサイト)

 例えば、プラスチックにカーボンナノチューブを少量混ぜれば、電気を流す性質を与えることができる。

 混ぜる量は少量なので、透明のプラスチックは透明のままであり、見た目はプラスチックなのに電気を流すことができる。

 現在、最も期待されている用途は、自動車のEV化の進展で期待の高まっている2次電池の性能向上である。

 カーボンナノチューブには電気が流れやすいうえ、幅に対する長さが長い。これは相互に繋がりを作り、電気の流れる経路を作りやすくする。

 粉末の中に混ぜると、粒子間を電気が流れやすいものでつなぐようになる。リチウムイオン電池の電極材にカーボンナノチューブを混ぜることで、粒子間を電気が流れやすくなり、電池の性能が上がる。

 また、2017年物質・材料研究機構と科学技術振興機構により、正極にカーボンナノチューブを用いたリチウム空気電池という別のタイプの電池が開発されている。

 この電池はリチウムイオン電池の15倍の蓄電容量があるという。ソフトバンクと共同で実用化研究が行われている。

 電池の内部では化学反応が進むと、電気の流れを阻害する物質が溜まる。

 カーボンナノチューブは、変形しながらこうした物質を溜め込みつつも、電気を流す経路を作りやすい性質により、電池内の電気の流れを維持する。

 このカーボンナノチューブの性質により、大きな蓄電容量を実現した。

 これまで、カーボンナノチューブを用いて様々な製品の性能向上ができることが分かっていたが、前述のように金の10倍の価格では手が出なかった。

2035とはずがたり:2018/11/02(金) 11:29:57
>>2034
 いかに少量で物性を向上できるとはいえ、物性に影響を及ぼすだけカーボンナノチューブを混ぜると、元の素材の値段をはるかに超えてしまうほどの価格になってしまうからだ。

 カーボンナノチューブは、パイプ状の壁一つの単層カーボンナノチューブと壁が複数重なった多層カーボンナノチューブがある。

 単層カーボンナノチューブが性能的には優秀であるが、価格があまりにも高かった。

 そこで、単層カーボンナノチューブの安価な製法の研究開発がなされてきた。

 日本でも日本ゼオンなどの企業が参加するNEDO主体の国家プロジェクトで、単層カーボンナノチューブの廉価製法の開発がされてきた。

 このプロジェクトは決して失敗したわけではない。

 従来製法に対し、3000倍の成長効率で、長さも500倍の単層カーボンナノチューブを製造できるようになった。

 かつて、1グラムで数万円した単層カーボンナノチューブは、1グラムあたり1000〜2000円程度まで安く作れるようになった。

 さらに、この単層カーボンナノチューブの純度はロシアのカーボンナノチューブを凌ぐ。

 しかし、ロシアのOCSiAl社は、金属の粉の上に単層カーボンナノチューブを成長させる技術を開発し、1グラムあたり300円で単層ナノチューブを製造できるようになった。

 純度は日本の単層ナノチューブより低いが、価格は3分の1以下である。

日本の単層カーボンナノチューブにとって残念なことに、現時点で単層カーボンナノチューブが期待されている用途では、純度はそこまで求められていない。

(もっとも、純度は日本製の方が優れているので、純度が要求される電子部品のような用途が開発されれば、日本製カーボンナノチューブの価値は急上昇する)

 単層カーボンナノチューブを混ぜ物として用い、強度、電気の流れやすさ、熱伝導度を上げるには単層カーボンナノチューブが存在し、機能してくれていればよい。

 不純物が多少混じっていても、こうした性質に必ずしも悪影響がない。

 リチウムイオン電池の性能向上でも、OCSiAl社の単層カーボンナノチューブ程度の不純物ではそれほど問題がないようだ。

 OCSiAl社の単層カーボンナノチューブは、1グラム300円での供給体制が整いつつある。

 一方、日本製ではそこまでの低価格での供給ができそうにない。現時点では、ロシアの単層カーボンナノチューブが日本のカーボンナノチューブに勝利したと言える。

 ロシアは日本の素材産業の3分の1以下の価格で、同じ価値のある素材を提供することに成功した。日本の研究開発も高度だったが、ロシアの研究開発は更に高度だったのだ。

 ロシアの製造業や技術の平均点は必ずしも高くないのだが、よくよく探すと日本の水準をはるかに超える技術が存在することもある。これがロシアの面白さである。

ロシアから優れた製品が次々に出るか

 では、ロシアから日本の製品を凌ぐ製品が次々に出てくるかというと、そうはならないであろう。

 仮に優れた技術があっても、実用化されなければ意味がない。

 ロシアは工業の規模が小さく、多様性も乏しい。せっかくの新技術があっても、ロシア国内では活躍の場を見つけることが困難である。

 新技術が使う側といい出会いを実現するということは、ロシアでは起こりにくい。

 また、自動車のように多種の技術が組み合わさってできる製品では、一定以上の水準の技術と品質の部品がそろって初めて商品になる。

 ロシアは、そうした意味でのバランスは非常に悪い。単層カーボンナノチューブにしても単体では商品にならないため、商品化には他の技術との組み合わせが必要である。

 しかし、ロシアはOCSiAl社のカーボンナノチューブのように世界最高水準の技術が、ポツポツと見つかる国であるのも事実である。

 日本は産業化、商業化が得意であるので、こうしたロシアの技術を発掘し、実用化するようなことをすれば、優れた日露協力になるのではと思う。


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