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最近読んだ本を晒すスレ

14シバッキー:2017/06/20(火) 22:05:32 ID:Anu59tyA
『走れ病院』福田和代著2011年実業之日本社刊(文庫本2014年刊)
原題「ヒポクラテスのため息」

当然総合病院の経営を任された青年が駆けずり回るお話!といえば
それまでなんだけど、
タイトル通り疾走感があって、読むのには楽しいお話。

門外漢の青年が医療分野に踏み込むわけで、
当然門外漢である読者にも結構わかりやすく、病院の「経営の仕方」が書かれていて
勉強になる!かどうかは分からないけど、
知ったつもりになって、それも面白い。

ラストは、アレしかしょうが無いのかなぁ〜。
もっとハッピーエンドであっても良かったと思うんだけど。。。。
そこまでのお話が結構現実に即していたので、ラストだけファンタジーにするわけにはいかないのだろうけど
でも、なぁ〜

あたしの好きなAKBの名曲「走れペンギン」のようなタイトルとともに、
全体的には楽しいお話でした

15シバッキー:2017/06/20(火) 22:19:52 ID:Anu59tyA
『人類は衰退しました』田中ロミオ著2007年小学館GAGAGA文庫

アニメ化され、特徴的なOPが印象的だったのだけど、
つまり、あれです。
話としては、あれがああするわけです。まさにそれなのです。

というわけで、大変面白かったんだけど、
次巻を読むかと言われると、まあ、
読まないですね

16シバッキー:2019/02/21(木) 23:13:25 ID:SdGkpnxI
『ユナイテッド93』(元題「墜落まで34分」)
(原題:Among the Heroes「訳:ヒーローについて」 
副題:United Flight93 & the Passengers & Crew Who Fought Back)
ジェレ・ロングマン著 原口まつ子訳 2003年光文社(文庫2006年)

映画『ユナイテッド93』(United 93)の公開に合わせて改題。

映画を見てから本を読んだ。
映画はハイジャックされた機内の様子が、有名な言葉である「Let's Roll」の言葉とともに勇敢に戦う姿勢が描かれているが、
当然ながらその時の機内の様子は実際は誰も分からない。映画はあくまでも想像の産物である。
でも、映画は映画で、あの貿易センタービルに突っ込む実映像を使用したり、
機内から携帯や機内の電話で家族にやりとりした様子も描かれていたりで、
それなりにわかりやすかった。

この本は、その「実際の機内では何が起きたか」は、
分からないので当然書かれていない。こうしたであろうという推測は書かれているが。
それよりも、その「Hero」と呼ばれていた機内に乗り合わせていた人一人一人の半生をたどりながら
その人ならどうするのだろう、どういう人なのだろうか、ということに焦点を合わせた書き方をしている。
そのため「その時」が来るまで、ダラダラと書き連ねている印象を与える。
しかし「その時」が来ると、その「ダラダラと書き連ねていた」意味が分かってくると言う、
Among the Heroesの原題通り、ヒーロー列伝となっていく。

その「ヒーロー列伝」を読んでの感想なんだけど、
ハイジャック犯が失敗した理由は、平日の朝の飛行機を選んだこと何じゃ無いかと思った。
平日の朝の飛行機に乗る人なんて、ビジネスマンか時間の余裕のある人で、しかも富裕層になるから。
つまり、「社会的地位があって、自分の意思をはっきり持ち、行動力がある人」が多数乗っていた飛行機だったため
コックピットを奪うことが出来ても目標建築物(ホワイトハウスとも国会とも言われているが、確実には分かっていない)に
たどり着けなかったのではないかと。
これがグライハウンドのようなバスだったら、所得が低い層なので、もっと違う結果だったかも。

っていうと、じゃあ貿易センタービルに突っ込んだ2機とペンタゴンに突っ込んだ1機はどうだったのか?と言われそうだけど、
このユナイテッド93便は朝の離陸ラッシュのため離陸が遅れ、乗った乗客がその突っ込んだ3機の情報を電話で得ることが出来、
ふつうのハイジャックのように、どこか遠い国で解放されることなど絶対あり得ない、どこかに突っ込んで一緒に死ぬしか無いと
分かっていたから行動せずには居られない状態に置かれたからというのが本書の理解するところである。
だから乗客たちは意図して「ヒーロー的行動」を取ったわけでは無く、そうせざるを得ない状態に置かれたからそうした、
ということかと。

しかし、アメリカは、その乗客たちを「アメリカを救った英雄」に仕立て上げる流れに。

夫がユナイテッド93便に乗っていた女性の言葉
「私にとっては、夫が誰かの英雄になるより、ここに一緒にいてくれるほうがずっといいんですから。
身勝手かもしれませんが、それが本音です。私の夫じゃなくて、トーマス・ジェファーソンを自分の英雄にすればいいんじゃないですか」

17シバッキー:2019/04/17(水) 23:23:44 ID:SdGkpnxI
『巌窟王』作:デュマ 訳:矢野徹 1989年講談社青い鳥文庫

青い鳥文庫、つまり「青少年向け」に書かれた「概略本」なのに
350頁あって、
しかも文体が古くさい!
これは今時の子どもたちは読めないだろうなぁ〜と
思いながらも、
実はわたくしめ、この物語は初見。
なので、子ども向け書籍であるこの本で知識を得たのは本当に良かった

近年ディーン藤岡主演で「まさかのドラマ化」され話題になったけど、
この本を読むと、あのドラマはほぼ忠実だと言うことが分かる。

18シバッキー:2019/11/02(土) 23:55:35 ID:xtUq4TY.
『ソロモンの偽証(第一部、事件)』(上下)作:宮部みゆき 2012年9月新潮文庫

文庫で各500頁ってことはハートカバーで1000頁って事よね。しかも、これでまだ「序章」

全く悠長なもので、
物語が動き出すのは上巻の担任森内の隣家の垣内が「やりはじめた」からという、
380頁過ぎた辺りから、という「超スロースタート」!!!
でも、文章力の素晴らしさから読むのに飽きることは無く、朴訥と登場人物の紹介と事件の進行が続く。

肝心の「作者のやりたかったこと」は、この下巻の最後の方にチラッと出てくるが、
それでも続く『決意』『法廷』篇に突入しないとちゃんと分からないという。

とにかく、面白いけど、ボリューム大杉だわ!!っていう小説

19シバッキー:2020/01/05(日) 18:06:52 ID:SdGkpnxI
『マルドゥックスクランブルThe First Compression-圧縮』作:冲方丁(うぶかたとう)2003年早川文庫

最近は「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズに関わっていることで有名な冲方氏の代表作。
近頃はSFよりもファンタジー物語の方が幅を効かす中、
かなり結構「ちゃんSFしている」作品。
エアーカーなどの「いかにもSF」なアイテムも登場するし、主人公?も超常的な力を発揮するし、そういう意味でそれこそ
「ちゃんとSFしている」作品なんだけど、
基本はハードボイルド探偵ものなのよね。

まあ、「ハードボイルド探偵もの」ってのも、今となっては絶滅危惧種だけど。

2作目へのつなぎを意識しているのか、EDは「To Be Continued⇒」っていう終わり方になっているのがなんとも

20シバッキー:2020/01/07(火) 13:53:50 ID:Aa5a2xmg
>>19 の『マルドゥックスクランブル』の漫画版を読んだ。
「聾の形」で有名な、大今良時による作品。

基本的に小説通りなんだけど、
バロットが覚醒したり、物語の神髄に触れたりする場面は
物語がかなり大今流にアレンジされている。

でも、その大今流の方が、話が頭に入って来安かった!

21シバッキー:2020/08/09(日) 16:32:51 ID:SdGkpnxI
『鷲は舞い降りた』(完全版) ジャック・ヒギンズ:作 菊池光:訳
1997年4月15日発行 早川文庫

第2次大戦中のヒットラーによる、英国チャーチル首相誘拐作戦を描いた作品。
まあ、創作なんですけど、
途中の「謎な恋愛要素」さえ無ければ、あと十数年すれば「本当にあった事件なの?」と言われるかもしれない
事件に至るまでの関係者各人のエピソードの肉付けは素晴らしい!と思った。
その事件に至るまでの色々は、読んでいて楽しかったんだけど、

上で述べた、ハリウッド映画バリの「謎な恋愛要素」が蛇足だよなあ、としか。
まあ、書かれたのが75年とからしいので、007バリの「ラブ&サスペンス」が流行っていた時代だからしょうが無いのかもしれないんだけど。

最終的な場面もアレだったし、
この話に真実みを持たせる為の大オチも「はあ?」って感じだったし、
映画化するには良いだろうけど、まあ、そういうお話よね!って感じだった。

ちなみに映画はまだ見たことがない。

(完全版)にしか付いていないという後日談も、
え〜?そんなんある??と思ってしまった。

22シバッキー:2020/10/10(土) 18:42:47 ID:SdGkpnxI
『革命前夜』須賀しのぶ:作
2015年3月文藝春秋刊 2018年3月文春文庫刊

昭和が平成に代わったとき、日本を離れて東ドイツ(本書の中ではDDRという言い方をしている)に単身で音楽留学に行った日本人青年を通して
まだ「東」だったドイツの内情を描いた作品。
基本創作なのによく出来ているとは思うんだけど、
「汎ヨーロッパ・ピクニック」あたりから、「ああ、やっぱりそういう展開かぁ」と先に読めてしまうので
(その前に、「DDRの人はハンガリーにピクニックに行くのが好き」あたりから、汎ヨーロッパ・ピクニックにつなげるつもりなんだろうなあ、とは思ってしまったが)
そこが残念だった。
アソコは汎ヨーロッパ・ピクニックには参加せず、傍観するという演出方法は無かったのかしら?と思って残念だった。

全体としてはそれだけ楽しめた小説だったと言うこと。
昭和が平成に代わった時というのは、世界が大きく動いた、東西冷戦が終結した時でもあったので、
その瞬間にDDRにいた(ことにした)青年の大きく動く心模様が
ドイツの生んだ偉大なる作曲家バッハや、音楽院を取り巻く仲間などを軸に進んでいく。

サクサク読みやすい作品だった。

Twitterで話題になったので、中古で購入

23シバッキー:2020/11/20(金) 22:37:38 ID:SdGkpnxI
『折りたたみ北京 -現代中国SFアンソロジー』ケン・リュウ編 中原尚哉 訳
2018年2月早川書房
単行本でも文庫本サイズでもない、どちらかというと新書に近い、「ポケットブック」サイズ。

いろいろな現代中国の作家の作品の、分野に偏らないSFアンソロ。
ある人は初期筒井康隆のような風刺の効いた作品で、ある人は星新一のようなほのぼの系作品、
ある人は内田百閒のような幽玄的な、中国四千年の歴史を感じさせる、SFでありながら幽霊的な作品もあり、
また表題作「折りたたみ北京」のように、現代の中国社会の格差問題を鋭く作品もあり、

ファンタジー小説が幅を効かせ、SFがほぼ衰退してしまった日本としては、
荒削りではある物の、まだまだこれから発展するであろう「中国SF」をうらやましく思う作品。

で、むかし日本でSFが流行し、中国でこれだけSFが発展しそうな勢いというのは、
・社会が混沌としていること
・社会が発展しそうになっていること
・発展したとしても社会が発展するのであって、個人が発展するのでは無いこと

その社会全体として未来志向でありながら、個人は何ら変わらないという点が
SFの題材として向いて居た(そういう時代であった)ということだったのかと。
で、ある意味成熟して、「未来志向」が無くなった日本ではSFはブームになり得ず
これからさらに発展して行くであろう中国がSFの題材として向いて居るのかも
というのが気になった。

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25シバッキー:2023/10/18(水) 17:46:06 ID:viUZAtXc
『塩狩峠』三浦綾子:著 1968年9月新潮社刊
初出は「信徒の友」1966年4月号から2年半の連載
文庫本は1973年5月刊

映画も何万回も見たし、ストーリーはわかりきっているつもりだったけど、原作小説は始めて。なので映画が屋台のシーンから始まる不自然さが、やっと理解出来た。
よく人が死ぬ小説だなぁ、というのが第一印象。母、祖母、父、劇中劇の牧師。
「自己犠牲」がメインテーマなんだろうなぁ、と思わせるのが文庫本344頁の「あんた、その娘さんのつまりは犠牲になるっていうことかい」の台詞。
ラストはみなさんご存じのアレ。あとがきには、永野(長野)青年の自殺説が当時結構語られていたとあり、はじめて知った。

26シバッキー:2023/12/08(金) 00:05:46 ID:NGpS6Hfc
『おバカさん』遠藤周作 2015年5月小学館
注意書きとして「1962年に角川書店より発刊された文庫を底本」と書かれているが、wiki見ると(1959年、中央公論社)となっている。それぞれ違うのだろうか。

「海と毒薬」よりは後、「沈黙」よりは先の作品。
巴絵の仕草が阿川弘之の「カレーライスの唄」に似ているけど、作品としてはこちらの方が先の様子。

かつての皇帝ナポレオンの子孫という割りにはパッとしない風貌の男、ガストン(主人公)は、客船の4等(そんなものは無い。最下層3等より下の意味)に乗って来日し、戦後のガヤガヤしていた東京でフラフラとして暮す。そのうち殺し屋遠藤と出会う。そんな話。

以下ネタバレ






・皇帝ナポレオンの子孫 ⇒ダビデ王の子孫
・客船の4等(そんなものは無い)で来日 ⇒馬小屋で生まれたことのメタファー
・殺し屋遠藤 ⇒作者遠藤周作
・売春宿に泊る ⇒人の子は枕する所も無い
・ガストンが遠藤の殺人を邪魔する ⇒殺意とは言わないまでも、他者を平気で傷つけることの出来る自分に、それを抑制するキリストの存在
・ガストンは死んだ?? ⇒遠藤の代わりに犠牲になった?
・飛ぶしらさぎ ⇒キリストの昇天
・「おばかさん」 ⇒人からはそう見える

そこまでは、分かる。しかし、狂言回しを演じている隆盛と巴絵兄弟の存在はなんなんだ?
「いぬさん」はなんだ?占い師は?
売春宿や「パンパン」などの必要性は?キリストは確かに姦淫の現場で捉えられた女性に優しかったが、ガストンはそこまで優しくはしていない。

それよりなにより、罪はどうした?罪を赦さないキリストなんているのか??

必要に迫られて読んだけど、本来は読まない本だわ。


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