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真由香の秘密

1LynN2:2009/02/01(日) 19:18:23
 久々に作品の投稿をします。が、ちょっと分量が多くなってしまいましたのでちょっと実力不相応な気もしますが、スレ立てします。
 あと、今回からハンドルもつけますので、よろしくお願いします。

2LynN2:2009/02/01(日) 19:19:02
< 1>

「このチビっ! どきなっ!」
 怒号が聞こえたかと思う間もなく、真由香は肩の直撃を頭に受けた。クラスメイトの有希である。
「いたいよ!」
「あんたが邪魔するのが悪いのよ!」
 有希は悪びれずに言い返すと、あわててどこかに行ってしまった。


 真由香はクラスの中でも一番小さく、発育不良気味のためクラスメイトにも5年生なのに2年生扱いされている。それでも明るいキャラで、屈託もなさげで、頭の回転もよく、容姿も意外といい?ためか、クラスでもそこそこ人気がある。
 クラスで2番目に背が高い有希は、クラスで一番背が高い里美がどちらかというとひょろっとした体型なのに対して、胸や腰もしっかり発育していて、休みの日におしゃれして街に出ると、よく高校生と間違われるらしい。この間は怪しいスカウトに声をかけられたそうだ。しかし性格がきつめで、クラスでは意外と人気がない。成績も真由香よりちょっと下(小学校なのでに順位なんて示されている訳ではないが、クラスメイト達の感覚)なので、人気があり、成績もよい真由香になにかと突っ掛かっている。
 真由香にしてみれば有希がうらやましくてしょうがない。クラスの半分近くがもうブラをしているのに、自分の胸は全く隆起している気配もない。二番目に背の低い美幸ですら少しではあるが膨み始めているのに。
 もしかしたら子供のまま成長しない病気なのかも、という考えが頭を巡ってしまうくらい深刻な悩みなのだが、こんなことは誰にも相談できない。


 今日の5時間目の体育は夏休み前ということもあり、水泳であった。
 普通の子供ならば体育が水泳というのはとても喜ぶべきなのであろうが、真由香にとっては自分の貧相(と思っている)な身体をさらさなきゃならないという恥辱の時間である。
 プールサイドの端のほうで目立たないようにしていると、
「あら、今はプールは5年生の授業のはずよ。2年生が何でいるのかしら?」
 と、有希が話しかけてくる。
 有希はちゃんと学校指定の紺色の水着を着ているのだが、体にメリハリがあって、妙に大人っぽく、まるで大人が読む雑誌のグラビアのモデルのようだった。男子も誰彼といわずちらちらと見ていて、さすがスカウトに声をかけられるだけのことはあるように思えた。
「......」
「お子ちゃまがだんまりじゃ、なんか薄気味悪いわよ」
「......有希がうらやましいな」
 ついぽろりと本音が出てしまい、有希もつぶやいた本人もびっくりした。
「あぅっ、今の、聞かなかったことにして!!」
「......」
「ごめんね! お願い!!」
 狼狽する真由香。そのあわてぶりを見て、有希も冷静さを取り戻してきた。
「あら、私のプロポーションがそんなにうらやましいの? まあお子ちゃまなら当然かもね」
「んっ、......」
「でも私もあんたもまだ11歳なのよ。まだこれからじゃないの。あんたが5、6年後に街でも指折りの美女になってても私は全然おかしいと思わないわよ。まぁ、その時は私は世界でも指折りの美女になっているかもしれないけどね」
 と、ここまですらすらとしゃべり続けた有希だが、急にはっ、とした表情を見せると、
「私って何話してるんだ、......お子ちゃまは今可愛がられているんだから、それはそれでいいんじゃないの。結構ぜいたくな悩みよね」
 有希はそういい放つと、顔を赤らめたままさっさと行ってしまった。
真由香は有希を見送りながら、
「......ありがと」
 とつぶやいた。

3LynN2:2009/02/02(月) 22:59:34
< 2>

 今日の時間割もすべてこなし、学校から家へと帰る途中で、真由香は黒い固まりを見た。
 黒い固まりといっても、ブラックホールがあったとか、カラスの群れがいたという訳ではない。全身黒づくめの女性がいただけである。強いていえば老婆という程ではないが、かなりお齢を召した感じの女性である。服はフリルのいっぱいついた長袖の上着に、ブラウスもこれまたフリルだらけのをえりのボタンまでしっかりつけている。スカートは地面に引きずりそうな丈で、もちろんフリル満載である。靴はブーツのようだ。頭にはつばなしの帽子を被っている。それら身につけているものがすべて真っ黒なのである。今日のような季節そのままの真夏の陽気ではブラウスも半袖でないとつらいという感じであり、普通ならあんなに着込んでいたら汗だくになってしまうだろう。肩には黒いバッグを下げ、右手にはこれまた黒いキャスター付バッグの柄を持っていた。
 その女性は坂道をショートカットする階段を恨めしそうに見ていた。
 根がまじめな真由香は、つい話しかけてしまう。
「おばあさん、どうしたの」
 女性はジロリと真由香を見回してから話し出した。
「わたしを年寄り扱いするんじゃないよ」
 そういわれて、真由香はちょっとばつが悪い感じがした。確かに目、鼻、口が大きくて、大づくりな顔立ちは、決して若いという感じはしないが、しわの類いは全くなく、ゆで卵のようにつるんとしていた。
「ちょっと荷物が多くて、登れそうにないと思ってたのさ」
 女性はお手上げという感じでつぶやいた。
「階段を使わずに、坂を行けばいいんじゃないかしら」
 真由香は一番いいと思われる回答を提案してみる。
「同じに疲れるなら、その時間が短い方がいいと思わないのかい?」
 女性は半ば虫のいい意見をいってみせた。
 真由香はそういわれると、手伝わなくちゃいけないのかとあきらめの境地になった。
「では、わたしが荷物を持ちましょう」
「そうかい。ありがたいね」

 真由香にはキャスター付きバッグが渡された。最初、柄を持って持ち上げようとしたが、柄は転がして歩くために適度の長さがあったため、真由香の身長では持ち上げるのは無理だった。そこで柄を縮めてから取っ手をつかんだが、地面に張り付いているのではないかと思えるくらいの重さで、動かなかった。何度か歯を食いしばって背筋を酷使したところ、持ち上がって歩くことができた。それでもふらふらと歩くのが精一杯だ。
 階段を一歩、一歩とまるで足元に地雷が仕掛けられているので調べながら歩いているのではと勘ぐられるくらいの速度で登っている。実際はそのくらいの速度で歩くのがやっとなのであるが。
「荷物を落としたら弁償させるよ」
 隣で涼しい顔をした女性が諭すように話しかけてくる。
「このバッグの中には何が入ってるの? 随分重たいけど」
「商売道具さ」
「何の?」
「あたしゃ、占いで生活しているのさ。だから店を開く道具一式がその中に入っている。占いの道具、水晶玉やタロット、折り畳めるテーブルや椅子、とかだね」
 占いと聞いて、真由香は興味がわいてきた。何たって真由香も女の子である。
「じゃ、おば...おねえさん、これを運び終わったらわたしを占ってくれない?」
「あたしの占いはあんたの小づかい程度じゃ受けられないんだがねぇ......うーん、まぁ、いいだろ」
 そう回答を聞くと、真由香は俄然元気が出て、今までとは打って変わった速度で階段を登り始めた。
「まぁ、なんて現金なんだろう」
 女性の嫌みにも全く動ぜずに階段を上り詰め、上の道にたどり着いた。
「さっ、着いたから占ってちょうだい」
 真由香は催促したが、
「まだだよ、あたしはもう一つ上まで行きたいんだ。ここで終わりだなんていってない」
 と、女性のつれない返事を聞き、一気に力が抜けてきた。
「えー、わたし、もう力が出ない」
[なんてだらしないんだい。なら、占う話はなかったことにするよ」
「もぉっ〜!!」
 再び階段を登り始める真由香。しかしその歩みは最初に荷物を持って登り始めた時よりもさらにゆっくりとしたものであった。
「そんなにゆっくり歩くとかえって疲れるんじゃないか?」
「そんなこといったって......これ以上は無理!!」
 ゆっくり、ゆっくりと階段を1段づつ、数段登るたびに小休止と、いつ登り終えるのかが判らないような時間を過ごして行く。そして、まるで止ったように思えるくらいの長い時間を過ごし終えると、頂上に到着した。

4LynN2:2009/02/03(火) 22:54:46
< 3>

 荷物を地面にゆっくりと置くと、真由香はしりもちをついた。
「つかれ、たぁ」
 女性はバッグの柄をまた長く延ばすと、
「ありがとうよ。助かったわ」
 といって、立ち去ろうとした。それを見た真由香は、息も絶え絶えの中、ふりしぼるような声で叫ぶ!
「待ってよ! 占ってくれるって約束だったじゃない!」
「おお、そうだった。忘れるとこだったわ」
「人にこんなに苦労させといて、忘れないでよ!」
「すまん、すまん」
「もうっ!」
 女性は立ち止まると、転がしていたバッグの中に手を突っ込んで何かを探していた。真由香は何が出てくるのかと固唾をのんで見守っていた。そして、女性の右手がバッグから出てくると、その手には銀色の小袋が握られていた。

「あたしには何でもお見通しだよ。あんたの願いはこれで解決できる」
 女性はそう言うと、真由香の手のひらにその小袋をゆっくりと載せた。
 真由香は呆けてじぃ〜っとその小袋を見つめていたが、はっと気がつくと、
「これ、なに? どうしてわたしの悩みが解るの?」
 と、叫んだ。が、その叫び声を聞く人は誰もいなかった。なぜなら、女性は真由香の視界から消えていたのである。
「どこへ行っちゃったの? これ、どうやって使うの?」
 真由香は再び呆けるしかなかった。


「ただいまぁ」
 真由香は家に帰ったことを家にいる者に知らせる掛け声を上げたが、それに反応する者はいなかった。誰もいないからである。
 真由香の父親は海外へ単身赴任で、もう1年以上帰ってきていない。母親も平日は真由香が起きる前に出社し、家に帰ってくるのは真由香が寝た後である。まるで一昔前のモーレツ社員のようであるが、自身でアパレル会社を興し、頼りになる部下が少ない結果らしい。一応土日は休暇を取っているが、土曜日は夕方まで寝ている体たらくである。よって平日の自分の食事、土曜日の自分と母親の食事は真由香が作らなければならない。母親にいわせると「人生の勉強」、「花嫁修業」だそうだが、たかが自分のために手間をかけたくないと思っているため、食材は専ら冷凍食品である。

 女性からもらった小袋を居間の座卓に置いてから自室に行き、ランドセルを置く。そして洗面所に行き、手を洗いうがいをする。それから台所に行き、冷蔵庫を漁ってジュースの1.5Lペットボトルを取り出し、流しの前の棚のよく使う食器を入れる水切ザルからコップを取り出すと、ジュースをなみなみと入れ、流しの前に立ったまま一気に喉に流し込んだ。そしてまたジュースをなみなみと入れ、今度は居間の座卓へ上に置いた。
 座卓の上にはジュースの入ったコップと先程女性からもらった銀色の小袋。真由香は座卓のとなりに腰を下ろすと、コップを持ち上げ、ジュースをちびりと一口飲んだ。そして小袋の観察を始めた。
 どこかで見たことあるような形状の小袋。しげしげと眺めているとチャックがついているのに気がついた。チャックを開けると中には直径1.5cm程の球状のものがいっぱい入っていた。
 ひとつつまみ上げてみる。それは完全な球ではなく、少し偏平だ。白っぽいがうっすらと光を通す。指に力を入れるとそれに対して抵抗しながらもややひしゃげる。真由香がそれらの事実を元に導き出された答えは......グミキャンディ。
 そういわれれば、商品名の印刷がされていないが袋はグミキャンディのチャック付の袋と同じだ。でも普通のグミキャンディと違うような......。粉がふっていないのにベトベトしないし、グミキャンディの内部に「VI」という赤い文字が書かれているけど、どの向きから見ても文字が隠れることなく同じように見える。どういう仕組みなのだろうか?
 まぁ、今の技術は私じゃわからないくらいすごいんだと勝手に納得した。
「でも、これってローマ字なのかしら? 「び」って読むんだっけ。「び」って何のことだろう?」
 ちょっと考えても正解らしきものを導けないのにじれて、真由香はそのグミキャンディを口の中にほうり込んだ。口の中に広がる甘酸っぱい味。これはイチゴの味だ。なにか心が落ち着いてくる。今日あった出来事もすべて忘れてしまうようなほっとするような味。

5名無しなメルモ:2009/02/04(水) 01:19:30
すごく面白そうな展開が期待です!

つづきが気になります!

6名無しなメルモ:2009/02/04(水) 07:44:23
ジュ〇〇シード

7LynN2:2009/02/04(水) 23:00:34
< 4>

 しばらくグミキャンディの味に酔いしれてぼぅっとしていた真由香だが、何か周りの様子がおかしい。テレビや本棚やサイドボードがいつもより大きく見える。立ち上がろうと座卓に手をつこうとしたが、座卓の高さが思っていたのより高かったため、体重をかけることができずに腰砕けになった。それにめげずに立ち上がろうとしたが、今度はなんだかスカートがいつもより長くなっていて、足に絡み付いたためこけた。三度目の正直でやっと立ち上がることができたが......半袖だったブラウスが七分袖になっている。だけでなく、スカートがずり落ちてお尻に辛うじて引っ掛かっている。
 一体どうしちゃったのかと、のたのたと親の部屋へ行き、姿見に身体をさらして見ると、そこにはどう見ても園児ぐらいにしか見えない自分がいた。
「な、なにこれぇ〜」
 叫び声はちょっと舌ったらずだった。

 ただでさえ実年齢より幼く見られていて、不満だらけの生活をおくっている真由香にとって、より子供っぽい外見になってしまったのは屈辱以外の何物でもなかった。が、年齢以上に醒めている真由香はパニック状態から以外と早く脱し、原因を調べ始めた。幸いにも頭の回転は幼児にはなっていないようだ。

 原因といっても、いつもと違うのはグミキャンディを食べたことぐらいである。そういえばあの女性は、わたしの願いが叶うといっていたが、わたしは幼稚園生になりたいなんて願ってないっちゅうのに!
 といろいろ考えているうちに気がついた。もしかしたらこのグミキャンディには子供の姿になれる力があるように、大人の姿になれる力もあるのじゃないか? もしそうなら、あの女性のいった言葉には間違いがないことになる。
 真由香は座卓にきれいな紙を広げ、そこにグミキャンディを袋から全部出して広げてみた。せいぜい5、6個しか入っていないと思いきや、ごろごろごろと20個も出てきた。そしてそのグミキャンディに書かれている文字は全部違っていた。「I」、「II」、「III」、「IV」、「V」、「VI」、「VII」、「VIII」、「IX」、「X」の文字が赤いのと青いのがそれぞれ1個ずつ。
 それをしばしじ〜っとにらみつけるように見続けた真由香は、不意にはっとした顔付きになった。
「これ、数字なんだ。なんだっけ、算数で使う数字と違う......なんとか数字」
 ローマ数字です。念のため。
 「確か「V」が「5」で、「X」が「10」で......、「IV」は、え〜と、なんだっけ、「V」に「II」と「III」が付いているのはひとつずつしかないから、「VII」が「7」で「VIII」が「8」よね、じゃ、「VI」は「6」で、「IV」は「4」か、「VI」は「び」じゃなかったんだ」
 気がつき、顔が赤くなった気がした。
「わたしは今、幼稚園生くらいになっちゃっているから......幼稚園生は4〜6歳なので......ホントは11歳だから......、あっ、6歳子供になったのかな? さっき食べたのは赤い「VI」のグミだから、つじつまは合うかな?」
 真由香は唾を飲み込んだ。
「じゃ、青い「VI」を食べれば元に戻るかな?」

 2回深呼吸をした後、十数秒間、真由香は指につまんだ青い字で「VI」と書かれたグミキャンディをにらみつけ、意を決したかのように「うん」とうなずくとグミキャンディを口の中にほうり込んだ。

 口の中に強烈な刺激があった。一瞬、食べてはいけないものを食べたのではないかと思い、吐き出そうとしたが、吐き出す前に刺激を制するように甘みが出てきたため、口から出すのを思い止どまった。これは......とても酸っぱいがその酸っぱさが甘さを引き立てる......レモンの味だ。いつの間にかにグミキャンディの味に酔いしれて、ゆったりとした気分になってきた。

8妄想癖:2009/02/04(水) 23:01:36
 うん、ツボな話しの展開です! やっぱり数字でしょうか?www

9LynN2:2009/02/05(木) 22:53:27
< 5>

 ぼうっとした気分を打ち消したのは、腰の痛みだった。
 思わず立ち上がる。
 周りを見回すと、いつもの見慣れた風景が広がっていた。手足を見てもいつもの手足のようであった。
 では、腰の痛みは......服は小さくなる前のままだったからきついはずはないだろうと腰回りを見ると、小さくなった時にお尻に引っ掛かる形で止まっていたスカートがまだその位置にあった。ウエストの太さのはずのスカートがヒップの位置にあるのだから、痛いのは当然であった。そこで真由香はスカートのホックを外そうとしたが、ホックを外すためにはさらに腰回りを締めつけなければならず、悪戦苦闘の末にやっと外すことができた。ボタンくらいなら真由香でもつけることができるが、ホックとなると難しいので、壊さずに外せたのは幸いであった。そしてずり下がっていたスカートを引き上げ、きちんとウエストの位置でホックをはめた。

 早速親の部屋に行き、姿見に体をさらす。
「戻った!」
 姿見に写っているのは、いつもの成長不良だが11歳の真由香の姿だった。
 ちょっとした感動が心の奥から沸いてきた。
「......じゃ、わたしは大人になることもできるんだ」


「大人って......、やっぱり20歳だろうか、いま11歳だから、「IX」のグミを食べれば20歳になれるはず」
 真由香はまだ出しっぱなしだったグミキャンディを指で転がしながら、「IX」の文字の書かれているのを探り出した。
「赤いのと、青いのが1つずつ、両方ともあるから、元に戻れるわね」
 真由香は青いグミキャンディを持って姿見の前に立った。そして深呼吸を3回して、さらに唾を飲み込んで、おなかに力をいれた後、「うん」とうなずき、グミキャンディを口の中に入れた。

 また、あの強烈な酸味が口の中を襲った。
 真由香は自分の変化を見たいと、姿見に写る自分の姿を凝視しようとしたが、余りの強烈な味に目をつぶってしまった。そして次にやってきた甘みに心がとろけるような気分になってしまい、目を開けられなくなってしまった。お腹が締めつけられるような感覚があったが、グミキャンディに麻酔的な作用があるのか、苦しいという感じはなく、ちょっとお腹に力を入れたらそれもなくなってしまった。そして肩がきつくなる感じ、胸が圧迫される感じ、腰が締めつけられる感じ、足が締めつけられる感じが次々と来たが、体に力が入らない、ぼんやりした気分が続いたので、なんとなく享受してしまった。

 「びり」と布が裂ける音がして、真由香はびっくりして目を見開いた。
 長い間目をつぶっていたせいか、目の前のものがぼやっとしか見えない。目の前には女性が立っていた。少し時間が経つと目がいくらか見えるようになった、その女性は短いシャツを着ているためお腹を出し、スカートをずり下げて履いているのが判った。と、ここまできて、自分が姿見の前に立っていたのを思い出した。じゃ、この女性はわたし......。

10LynN2:2009/02/06(金) 23:23:00
< 6>

 よく見ようと目をさすると、目の前の女性も目をさすっていた。まちがいない、鏡に映っている自分だ、と認識した。
 足元を見ようとしたら白いものがあって視線を邪魔した。それはTシャツだったのだが、何かが押し上げていた。触ってみると、自分の体だった。胸が膨らんでいたのだが、足元が見えないくらいに自分の胸が膨らんでいるのに真由香は驚いた。次に露出しているお腹をさすってみた。お腹には適度に脂肪がついているのか、強く押すと指が少しめり込んだ。ちょっと恥ずかしかった。
 続いて手を腰のほうへ滑らせていく。かなりずり下がった位置にスカートがあった。先ほどの引っ張り試験には耐えたようだったが、今回はホックを縫いつけた糸が耐えきれなかったようで、雌側のホックがスカートから分離し、ずり落ちてしまったようだ。しかし、スカートは床には落ちずに腰に引っ掛かっていた。スカートのベルト部より腰回りの方が大きくなってしまったようだ。手を腰から尻へと滑らせていったが、尻の頂部にたどり着くためにはかなり手を伸ばさなければならなかった。自分の尻がこんなに大きくなるとは思いもしなかった真由香は顔が赤くなる。
「グミを食べる前に服を脱いどけばよかった」
 不意に出た言葉がいつもの自分の声より低くなっていた。
 上半身を可能な限り前に突き出して、足元を観察してみる。靴下は家に帰ってきた時に脱いでいたので、足を痛めるようなことはなかったが、いつもの棒のような足はそこにはなく、足首からふくらはぎにかけて滑らかなカーブで徐々に太くなっていき、膝に向かってまただんだんと細くなる。膝から太ももへはまた徐々に太くなっていき、その先はスカートで隠されていた。
 そして両手を胸に当ててみた。双丘の一つ一つは片手では包むのが不可能くらい大きかった。軽く押してみると意外と弾力があって、ふざけて触った母親のより「固い」気がした。
 Tシャツは胸でかなり持ち上げられ、おなかが丸出しになっていて、スポーツブラのようになっていた。肩幅がそれなりに広くなったことによって袖と見頃との縫い目が肩のところで破れ、タンクトップを着ているように肩が丸見えになっていた。先ほどの布が破れた音はここから発せられたようである。
 最後に姿見に近づき、じっくりと顔を観察した。今までの自分の面影があるような気がするし、別人のような気もする。自分でいうのも何だが、意外といい線いっているような気がした。テレビに出てるタレントにも負けてない。有希のいうこともけっこうホントっぽい。


 真由香は母親の服を漁り始めた。外に出てみたくなったのと、服が欲しくなったからである。しかし、小学生の服では今の自分にほとんど合う服がないので、母親の服を使用する必要性が出てきたのである。
 とりあえずブラとTシャツ、カーゴパンツを引っ張り出してみた。しかし、母親がカーゴパンツを履いているのなんて全く見たことがないのだが。
 着替えるには着ている服を脱がなければならない。まず最初に尻に引っ掛かっているスカートを脱ごうとした、が、結構な食い込みぶりでびくともしない。自分の尻の大きさに再び顔が赤くなる。お腹を可能な限り引っ込めてみたものの状況は変わらず、結局、ベルト部の縫い付けてある糸の一部をを切断することにより除去した。
 次に袖が破れてぼろ布のようなTシャツの除去にかかった。とりあえず全く役にたっていない袖を引っ張って破りはがした。そして本体を引き上げるために裾に手をかけて腕を上に上げた......が、双丘がつれて動き、シャツが身体から離れるのを阻害した。もう一度同じ動きをしたが、また双丘が邪魔をして、果たすことができなかった。すこし悩んでから、真由香は左手で右胸下の裾を押さえてから右手で左胸下の裾をつかみ引き上げた。しばしの抵抗の後、露になる左胸。それは非日常的な感じがするほどに白く大きなものだった。手の動きを止めて見入ってしまう。
「これが......わたし......なの?」
 真由香も女の端くれである以上、自分以外の胸をみる経験もそれなりにあったが、今までに見たことがないような透き通った白さと何とも形容のしようのない膨張感と浮遊感を持ったものが自分の体についているのが不思議な感じがした。

11名無しなメルモ:2009/02/07(土) 10:38:30
LynN2さん
すごく面白いです。
メルモみたいに一晩でグミが補充されるようにしたら
話がどんどん広がっていくと思います。
真由香が有希にグミを食べさせたり、イタズラで使ったり
する萌えな展開を激しく希望です。
これからも頑張ってくださいね。

12LynN2:2009/02/08(日) 00:02:01
すみません。
いろいろと感想をいただいたりしているのですが、じつはもう全部書き上げておりまして、毎日少しずつアップしています。
ので、感想にレスするとネタバレになってしまったり、展開のリクエストにも応じることができませんです。
展開のリクエストについては、続編を書くことがあれば、参考にさせていただきたいと思います。
すみませんです。

13LynN2:2009/02/08(日) 00:03:07
< 7>

 気が付くと、5分近く眺めていたようだ。窓から入る光りも赤みを帯びてきた。
「いけない! 出かけられなくなっちゃう!!」
 あわてて着替えの続きを始める。
 右胸下のTシャツの裾を持って、一気に引き上げる。今度は片胸だけの抵抗なので、何とか引き上げることができた。そのまま首も引き抜き、続けて腕も引き抜く。姿見には小さいショーツのみを履いている女性が写し出された。
 先ほど片胸を見た時ほどのような衝撃はないが、きれいな形と、色と、ふくよかと呼ぶにふさわしい大きさを持った乳房が自分の身体に付属していることがとても不思議な感じがした。それでいて、腋から腰にかけてのラインはすっきりとしていて、余分なぜい肉の存在を許していないようであった。
 再び見とれてしまうところであったが、さすがに今の自分の使命を忘れてはおらず、床にころがしてあったブラを引き上げた。
 ベージュ色のブラのホックをはめようと手を背中に回したが、手は届くものの、引っ張ってはめ込むという作業がどうしてもうまくいかない。やってるうちに首筋が痛くなってきた。
 真由香は作業を止め、10秒ほど目をつぶりながら考え、前でホックを止め、それから180度回せばいいということに気がついた。
 実際にやってみると、ホックは簡単にはまり、回転させる作業も問題なくできた。そしてブラのカップにある程度肉の塊を押し込んでからストラップを肩にかけようとしたが、なかなか肩を越えることができない。手で胸を押し潰して、やっとかけることができたが、今度は胸が苦しくてしょうがない。姿見を見ると、カップの上が一段盛り上がっている感じだった。
「お母さんよりも、大きい......みたい」

 姿見の前でくるくると回って、自分の姿を確認したが、母親のブラと、自分のショーツの組み合わせでは何か違和感があった。 ショーツは意外と伸縮性があったので破損箇所もなく、そのまま履いていたのだけれど。子供用のブラと並べるならともかく、ベージュ色のレースがたっぷりついたブラとのコンビは何かちぐはぐな感じがする。真由香はしかたがなく、またタンスを漁り、ベージュ色のショーツを取り出した。
「これって、私のショーツより小さいけど、お尻が入るのかしら?」
 ちょっと疑問を感じたが、考えても状況が変わるわけでもなく、履いているショーツを脱ぐ作業に取りかかった。ショーツは限界に近いところまで引き伸ばされているらしく、ゴムのところを持って引っ張ってもすき間がほとんどできなかった。しかしほっとく訳にもいかず、無理やり引きずり落とすと、ぺろんと股間が顔を出した。以外と楽だったと思ったのもつかの間、今度は足が抜けない。力を込めて引っ張ると、なんとか膝くらいまで引きずり下ろすことができた、が、身体のバランスを崩して倒れそうになる。なんとか支えようと足を広げようとするが、ショーツが文字どおり足かせになって阻止する。真由香はしりもちをついてしまった。
「あいたた! 私って、大人になっても運動神経よくないなぁ!」
 尻をさすった後、座ったままショーツを引き抜く。そして立ち上がり、母親のショーツに足を突っ込む。こちらのは伸縮性が真由香のよりあり、スムーズに履くことができた。履いてからショーツを引っ張り、中をのぞき込む。また顔が赤くなった。

 後は何事もなくTシャツとカーゴパンツを履いた。姿見の前で一回りして見る。
「ちょっと、おばさんくさいかしら?I
 続いて母親の化粧品をあさってみたが、今の真由香には色が濃いような気がした。あっ、と思い出し、自分の部屋に戻り、机の中を漁る。取り出したのは、去年の冬に友達数人と一緒に買った色付きのリップクリーム。母親に見つかると怒られると思い、友達と出かけた時に外で塗るだけで、普段は机の奥に隠してあった。それをぎこちない手ではみ出さないようにていねいに塗っていく。塗り終わってから鏡を見ると、そこにはテレビに出ているタレントのような明るい笑顔を持った女性がいた。真由香はうれしくなり、さらに顔を崩した。
 再び机の中を漁り、銀行に貯金せずに隠し持っていたお年玉の一部を財布に入れると、母親のミュールを履き、外へと出た。

14LynN2:2009/02/08(日) 22:58:10
< 8>

 真由香はまず安売りで有名な衣料店に行った。
 まず、下着売り場でブラを買おうと思ったのだが、今の体になってから1時間ほどの真由香に身体のサイズなど解るはずもなかった。そして今着けているブラのサイズを見るのも忘れていた。商品の陳列棚の前で物色しつつもうろうろしていたが、意を決して近くにいた年かさの店員に声をかけた。
「あのぉ〜」
 年かさの店員はジロリと真由香の方を見る。一瞬たじろいだが、負けないようにやや大きめな声で続ける。
「なんか下着のサイズが合わなくなってきたみたいなので、測ってもらえませんか?」
 年かさの店員は真由香の身体をなめ回すように観察した後に、
「はい、じゃ、試着室に入って」
と、不機嫌そうにいった。
 真由香がミュールを脱ぐのにもたもたしていると、店員が真由香を押し込むようにして入ってきて、カーテンを閉めた。
「はい、脱いで」
 間髪入れずにいわれた真由香はあわててTシャツを脱ぎ始めたが、首がうまく抜けずにもだえるように動いた。Tシャツで隠れて見えないが、店員のいらつきが伝わってくるように感じた。
 やっとのこと首を引き抜き回りを見回すと、視界に入ったのは目を丸くした店員だった。
「あなた、合わないって、無理に着けてるだけじゃないの!」
 と、いうやいなや真由香のブラをあっという間に外してしまう。
「はい、腕を上げて」
 真由香が腋を開くと目にも留まらぬ早さでメジャーが胸に巻き付けられる。
「はい、腕を降ろして」
 いうがままに腕を降ろす。
「アンダーは68ってとこね。はい、また腕を上げて」
 腋を開く。すると一瞬メジャーが緩んだと思ったら、今度は双丘の上に巻き付けられた。
「はい、腕降ろして」
 腕を降ろす。
「トップは......91! すごいわね!」
 びっくりした顔をする店員。
「はい、終わりです。差が23cmなんで、Fカップね。70のFって書いてある商品を選んでね」
「は、はい」
「でもあなた、胸が大きいわねぇ。大きいだけじゃなくて、すごくきれい、おばさん、こんなきれいな胸、見たことないわ。顔もかわいいし、あなたタレントさん?」
「いえ......、違います」
「あらぁっ、そうなの?」

 真由香は、ブラを取っては鏡の前に行き、Tシャツの上から当てて見ては売り場に戻すという行為を何度も行い、ピンク色のを買おうと決めた。
 レジに行こうとすると、先ほどの店員が現れ、
「あらっ、かわいいのを選んだわねぇ。で、ショーツはどうするの? あなたには上下お揃いのが似合うと思うんだけど。」
 というと、ブラとショーツのセットのハンガーのところに行き、真由香が選んだブラとよく似たセットを探り上げてきた。
「これなんかどうかしら?」
「はぁ......」
「そぉ。じゃ、ショーツはともかくブラは試着してみなくちゃだめよ」

 再び試着室に押し込まれた真由香はいわれた通りにブラの試着を始めた。これはさすがにサイズを測って選んだだけに装着に苦労はなかった。
 今見ても自分だという感慨が沸いてこない鏡に映った女性。しかしピンクのブラを装着したその姿は妙に美しかった。ベージュのブラを着けていた時よりも肌が白く、滑らかになったような気がした。
「ちょっといいかしら」
 店員の声がしたと思ったら、次の瞬間には彼女はもう試着室の中に乗り込んでいた。
「あらぁ、思った通りだわ。あなたブラの着けかたをわかっていないわねぇ」
 と、いうと、ブラと腋下の間に手を突っ込んできた。
「ブラはね、こうやって腋に流れたお肉を入れてあげるのよ」
 店員はまるでマッサージのように腋から胸へと手を動かす動作を左腋で行うと、右腋についても同様に行った。
「ほら、バストがよりきれいに見えるでしょ。谷間もくっきりするし」
 鏡を見て真由香は驚いた。自分で着けた時でも結構大きいと思っていた胸が、二まわりは大きくなっていて、今までに見たことがないようなくらいになっていたからだ。ここまでくると大きすぎるかもしれない。不思議なものを見ているような気分になった。
「とってもきれいね、あなた。胸の大きさだけでなく、センスもいいようね」
 店員にいわれると、何か妙にうれしくなり、さっきの単品のブラとの価格差も気にならなくなってしまい、
「こっ、これ買います」
 というと、店員もさらににっこりとした顔になり、
「それじゃ、着けてきたブラは全然サイズも合わなかったから、それをそのまま着けてったらどうかしら。ショーツも履き替えたら?」
 と、いってきた。
「はい。あっ、もう少し服を見ていきたいのですけど......。」
 と、いうと、店員は下着を入れる紙袋を用意してくれた。

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18LynN2:2009/02/09(月) 23:02:52
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 ベージュのショーツをピンクのに履き替えると、一段と肌が白くなった気がした。鏡の前でくるりと回って見たら、バランスを崩して、危うくカーテンの外に出そうになってしまった。身体が大きくなっても、粗忽なところは11歳のままである。
 Tシャツを着てみると、先程よりも胸が大きくなったので、前見ごろが足りずにおなかが出そうになる。カーゴパンツを履いたが、何かやぼったい気がしてしょうがない。
 試着室を出て、まずはワンピースの売り場を回ってみたが、手を伸ばしてみる気になる服がなかった。だいたい、S、M、Lのサイズ表示でない、号数表示というのは真由香にとって初めてであり、自分が何号なのかも判らない。自分でいうのもなんだが、胸が大きすぎる今の状況では、ワンピースは丈やウエストヒップで選ぶと胸が苦しそうだし、胸で選ぶと他の部分が大きすぎるような気がする。ちらちらと見ながらも流れていった。
 そして結局流れ着いたのはTシャツの売り場であった。しかし、売り場を見回すと、丈の短いのばっかりで、今着ているのと大差ない。今の流行りがあえてお腹を隠さないのだと気がついた。ならばと柄が大きいのを物色し始める。柄が大きければ胸が大きいのが目立たなくなると思ったからだ。そしてなんだかよくわからない幾何学的な柄が大きくプリントされたやつを選んだ。
 最後にカーゴパンツに代わるものを買おうとまた売り場をふらふらと動き回る。適当なものを取っては鏡の前で身体の前においてみてはまた戻すという行動を何度もした結果、膝よりちょっと長いピンクのパンツに決め、着て帰ろうと思い試着室に向かった。が、試着室に入ろうとした時に近くの棚にあったこれまたピンクのミニスカートに目が留まって、立ち止まる。手に取り、左手のパンツと何度も見比べ、パンツをその棚に置いてから試着室へと入った。
 Tシャツとスカートを着替え試着室から出て来た真由香は、鏡の前でくるりと一回りした。Tシャツの裾からはおへそがちらりと一瞬顔を出す。フレア気味のスカートは回転に合わせて裾が上昇していき、回転が止まると、裾が少しオーバーランした後にふわりと下降していった。
「少し短かったかしら?」
 真由香も数年前まではちょっとした動きでショーツが見えてしまうくらいの短さのスカートを履いていたのだが、最近は羞恥心が芽生えて、短すぎるスカートはちょっと......という感じであり、高校生が制服のスカートをわざとミニにしているのとか、大学生かOLといった感じの人が本当に短いスカートを履いているのに違和感を感じていたのだが、いざ自分がそのくらいの齢(見た目が)になってみると、足を長く見せたいという願望が羞恥心に勝ってしまったような感じだ。まぁ、ショーツがなるべく見えないような歩き方、仕草が必要ではあるが。

 店に来るまで着ていた服を店員からもらった紙袋に入れ、支払いを済ませると店を出た。
 特に行きたい場所はなかったので、駅前へ向かって商店街を進む。
 歩いていると、何か妙に視線が気になる。向こうから歩いてくる人がすれ違う時に見られているような気がする。道端で話している人のそばを通るとじろりと視線を受けたような気になる。見ているのは顔? 胸? 脚?
 もう辺りも暗くなり、ちらほらと駅の方から向かってくるスーツ姿のサラリーマンとすれ違うようになった。駅へと向かう人はあまりいない。
 外灯の下に20歳前後の男が2人、じっと真由香の方を見ていた。顔はにやけていて、下品な感じだ。真由香が近くを通り抜けようとすると、1人がぬっと身を乗り出してきて、真由香の行く手を妨げた。
「ね〜、きみ。けっこうかわいいね」
 唐突にそんなことをいわれたので、真由香は面食らった。
「ね〜、今ひま? お茶しない?」
 返事を返す間も与えず、矢継ぎ早に言葉の攻撃を加えてくる。さらにもう1人も前に出てきた。
「ね〜、ひまでしょ? 行こ〜よ」
「・・・・・・っ!」
 今までに受けたことのないような恐怖を感じ、思わず真由香は走り出していた。後ろで軽薄そうな騒ぎ声がしたような気がしたが、かまわず走り続けた。

19LynN2:2009/02/10(火) 23:04:49
<10>

 数分走り続けただろうか、辺りが一際明るいところに出た。駅の改札周辺は店が連なり、この街でも特に明るい場所だ。
 真由香は立ち止まり、辺りを見回す。男たちは追いかけてはこなかったようだ。今までに全力を出して走ったことがないような距離を走ったような気がする。立ち止まって数分経つが、いつまでたっても息が荒い。このまま酸欠で死んでしまう気がした。
 さらに数分経ち、普通に息ができるようになった。大人の体になって、ちょっと出歩いて見たくて街まで出てきたわけだが、もうすっかり日も暮れて暗くなってしまったし、さっきのようなこわい人達と遭遇してしまったので、もう家に帰ろうと思う。
 しかし、今来た道を戻るとさっきのこわい人達とまた会ってしまう。どう帰ったらいいか、バス停のベンチに腰掛けながら考えていた。
「すみません」
 顔を上げると、背広を着た男の人が立っていた。黒縁のメガネにきっちりと油で固めた髪をしたいかにも「おじさん」という感じの人だった。
「あの〜、私、東日企画の岩倉というものです」
「はぁ」
「私の勤めている東日企画というのはですね、モデル事務所でして、主に広告用のモデルの派遣をしています」
「はぁ」
「あっ、全部が広告の仕事というわけではなくて、よくテレビ局からアシスタント役の子の派遣の依頼もあるんですよ。東京や大阪ならそんなことないんでしょうけど、この辺ではよくあるんですよ」
「はぁ」
「今よくテレビに出ている山木小枝も以前はウチの事務所に所属していたんですよ。東京での仕事が多くなってしまったので、ウチではマネージメントしづらいということで、大手のタレント事務所に移籍してもらったのですが」
「はぁ」
「それでですね、失礼ですがあなた、モデルになりませんか」
「はぁ......えっ?」
「なかなかの美人だし、スタイルもいい。バストは衣料品のモデルとしてはちょっと大きすぎはしますがねぇ」
「はぁ」
「別に広告は衣料品のばかりではないし、先程いったように広告以外の仕事もあります」
「はぁ」
「悪いようにはいたしません、まずウチの専属としてカタログにプロフィールを登録しましてですね」
「カタログに登録って、商品みたい」
「はいっ、モデルはウチの事務所の売る商品ですから」
「そうなの......」
「お客さんにカタログを見て選んでもらって、派遣するんで、まぁ、通信販売みたいなもんですな」
「はぁ」
「ここでいますぐ契約してくれとはいいません。もしその気になったらこちらに連絡をください」
 と、名刺を差し出す。
「はぁ......なんで私を?」
「私もこの仕事が結構長いので、人気が出る子を見抜く目があるつもりですよ」
 と、にっこりと笑い、
「あなたのような宝石の原石を見つけたのは久しぶりです。10年、いや、20年に1度出会えるかどうかくらいの逸材であると思いました」
「......」
「ですので、ぜひウチと契約していただきたい。とはいっても、せかすとあなたが不審に感じると思いますので、じっくり考えて、親御さんとも相談されてから連絡してください」
「はぁ」

 岩倉氏はていねいにお辞儀をすると立ち去っていった。
 真由香は名刺をじっと見つめ続けながら考えた。
 私がスカウトされるなんて! そんなこと考えたこともなかったよ! 大人の私って、そんなに魅力的なのかしら。あぁ、恥ずかしい!
 有希が声をかけられたスカウトってあのおじさんかしら? でも怪しいっていってたから、あの人じゃないのかな? でも口の悪い有希のいうことだから、あのおじさんのことかも。
 せっかくスカウトされたけど、どうなのかな? 今の姿でずっといればモデルのお仕事もできそうな気がするけど、この姿をお母さんに見せて、私が真由香だって判るかしら? ちょっと無理だよね。まぁ、このことはちょっと様子を見てからかな。
 おなかも空いたし、そろそろ帰ろう。

20LynN2:2009/02/11(水) 23:19:27
<11>

 家への帰り道は、行きの道の裏通り。住宅街なのだけど、ちょっと街灯が少なく、子供や女性が一人で歩くには不向きな感じではあるが、さっきの二人組と顔を合わせたくないのでしかたがない。
 顔が半ば涙目の状態で、速足で真由香は進んだ。

 家までもうすぐ、というところで道の反対方向から見知った人影がやって来た。同じクラスの美幸である。塾の帰りであろうか? 手さげ袋のみのやや軽装備である。
「あっ、美幸ちゃん!」
 名前を呼ばれた美幸は怪訝そうに真由香を見る。
「あのぉ、あなた誰ですか?」
「えっ、私だけど。真由香」
「私、おばさんくらいの年の知り合いに真由香っていう人はいないんですけど」
「おば......」
 おばさんといわれて、やっといつもの自分ではないことを思い出した真由香。パニックになりかけた真由香を見向きもせずに走っていってしまった美幸。
「おばさんかぁ......」
 やはり今の姿では誰も真由香であるということを判ってもらえないということを実感し、せめておねえさんといって欲しかった真由香であった。

 その後は何事もなく、家にたどり着くと、まずデジカメで鏡に映った自分の姿を撮り(顔を隠さないようにモニターを見ないで撮ったので、気に入るのが撮れるまでそれなりに大変だった!)、プリンターで印刷した後、画像を消した。今日の自分の姿をとっておきたかったからである。
 そして座卓の上に転がしたままになっていた、赤い字で「XI」と書かれたグミキャンディを拾い上げ、大きく深呼吸した後に口の中に放り込んだ。今日二回目の甘酸っぱいイチゴの味を舌に感じると、次第に身体がだるく感じるようになり、頭もぼぉっとしてきた。その状態がしばらく続き、口の中の甘酸っぱい味が消失すると、頭もはっきりしてきた。スカートがずり落ちて、お尻のところで引っ掛かっているのに気がついた。Tシャツはもともと丈が短かったので、今は普通のTシャツのようになった。ブラは片方のストラップで肩に辛うじて引っ掛かっているだけだった。
「戻れた」
 元の姿に戻れると確信していたが、実際にきちんと戻れたことに安堵感があった。
 安堵感が生じたせいか? おなかがきゅうっと鳴った。
「あはっ、おなか空いたな」
 早速冷やご飯と、冷凍シュウマイをチンして夕ごはんにした。

21LynN2:2009/02/12(木) 23:49:58
<12>

 あの日から数週間たち、もうすっかり夏休みである。
 あれからグミキャンディを試してはいなかった。大人の姿になれるのは魅力であったが、それが自分ではなく、他人として認識されるのが不満であった。
 そのため、どう使ったら一番いい結果になるのかをずっと考えていたのである。
 ちなみにあの日に食べた、青の「VI」、青の「XI」、赤の「XI」の文字の書かれていたグミキャンディは空っぽだったはずの袋の中から出てきた。まさに魔法である。まぁ、赤の「VI」の文字の書かれたグミキャンディも、食べちゃったはずなのに、しっかり袋の中に入っていたから、その時点でこの結果は予想できていたのだが。

 そして今日は土曜日である。来週には登校日がある。
 母親はいつものごとく一週間の疲れを除去しようと爆睡中である。 念のため、母親の部屋をこっそり覗いたが、ちょっとやそっとでは起きそうにはなかった。
 計画の実行である。

 まず真由香は鉛筆を持って自分の部屋の壁際に立ち、鉛筆で壁に頭の位置を印した。次にスカートのホックを外した。すこしスカートがずり落ちたが、気にしない。そして机の上に置いてあるチャック付の銀色の袋の中から青い文字で「I」と書かれているグミを取り出し、じっとにらみつけ、大きく深呼吸した後に口の中に放り込んだ。
 思わず顔をしかめてしまうくらいに口の中に刺激が走る。それからゆっくりと酸っぱい刺激が和らいでいき、代りに甘みが支配していった。
 真由香は自分の身体の変化を観察しようと試みたが、前回と同様に頭がぼぅっとしてきて辺りを見回す気力さえも沸いてこない。その状態がしばらく続いた。

 いくらかの時間が過ぎ、頭のぼんやりした状態がとれて、逆にさえてきた。体を見回してみる。
 前回のように急激に身体が大きくなった訳ではなく、一番の懸念と思われたウエスト回りもスカートのホックを外しておいたので、締め付けられて苦しいということはなかった。身体の変化を確かめようと、服の上から身体を触ってみたが、胸に触れた時に少し痛みを感じたくらいで、いまいち変化が判らなかった。そこで姿見で身体を映してみたかったのだが、あいにくと姿見は母親が寝ている部屋にあるため、そういう訳にもいかず、代用として洗面所の鏡で見ることにした。
 洗面所の鏡で見る自分は、体型的には違いをあまり感じない、ちょっとTシャツが短くなった気がする程度であったが、顔から幼さが少し抜けたような気がした。あくまで真由香の主観であるが。
 先ほど触った時に痛みを感じた胸を見てみようとTシャツをたくし上げたところ、びりと痛みが走ったのでびっくりした。なのでTシャツを前に引っ張りつつたくし上げたところ、今度は痛い思いをせずに済んだ。
 真由香の胸の先の部分の色がすこし濃くなっていて、さらにぷっくりと隆起していた。まだおっぱいという感じではないが、成長への兆しが感じられる。そういえば学校で女子だけ集められて、大人の体になることについての勉強?をした時に、胸の先が敏感になるっていわれたのを思い出した。
 真由香は自分の部屋に戻り、鉛筆を持って、再び壁際に立ち、頭の高さの位置を印した。グミキャンディを食べる前より約5cm背が伸びていた。まぁ、クラスで一番のちびが、一年で10cmや20cm伸びたら変な気もするので、その辺は納得である。Tシャツが短くなったと感じたのも間違いではなかったようだ。

 夕方になって、母親がのそりと部屋から出てきたので、さっそく、ブラのおねだりをする。
 母親は、真由香のTシャツをめくって、少々の時間、観察をしてから、まだ揺れて困ることはないと思うけど、女の子の大切なところだから、といってくれ、翌日、この間も買い物をした安売りで有名な衣料店に行き、ランニングシャツの上半分みたいなファーストブラなる物を買ってもらった。
 帰り道、母親に、すこし大人びた顔付きになった、といわれた。ちょっとずるしているせいもあるが、妙にはずかしい。
 家に戻ってから、さっそくファーストブラを装着する生活を開始したが、大人になった時に着けたブラと比べて締め付ける感じは弱いものの、今までより一枚多く着ているので暑い。すぐに汗まみれになってしまうのだが、世の女性達はそれをなんとも感じていないのだろうか?

22LynN2:2009/02/13(金) 23:52:41
<13>

 週も明けて、登校日である。
 クラスの面々は、早々と真っ黒になっている男の子もいたりするが、全般的にはそれほど変化がない模様である。
 さっそく何げないふりをして美幸に近づく。
「美幸ちゃん、おはよ〜」
「真由香ちゃん、おはよ」
 美幸より目の高さが高いのを確認できた。思わず顔がにやけてしまう。
「あれ〜、真由香ちゃん、なんかいいことあったの? なんかにやついてるね」
「えっ、別に何もないよ〜」
「そぉ? あっ、真由香ちゃん、ブラしたの?」
「えっ、判るの?」
「うん、胸の部分だけTシャツの色が白っぽいから」
「えへへ、買ってもらったんだ」
「ふうん、よかったね、でも」
「でも、どうしたの?」
「2年生なのにブラしてるなんて、ちょっと発育良すぎじゃなぁい?」
「またそのネタぁ」
「うそうそ、ほんとに良かったね」
 美幸はその場を取り繕う笑いを顔に浮かべて、廊下へ出て行ってしまった。
 しかしあの夜、真由香を判らなかった美幸が、今日はきちんと認識してくれていたのがうれしかった。

 特段やることもなく登校日の時間は過ぎてゆき、下校の時間となった。
 会うクラスメートも真由香の変化に気づいてないようで、これはこれで良かった。別人扱いされては今まで生きてきた約11年を全否定されているみたいだから。
 帰ろうと、教室の出入口の扉へ向かったところで有希とすれ違った。
「さよなら、有希」
「ちょっと、真由香!」
「んっ、どうしたの、有希!」
「あんた、なんかいつもと違うね」
「えっ?」
「なんか急に背が伸びてない?」
「そ、そうかなぁ?」
「それにお子ちゃま用ブラも着けてるし」
「ああっ、これはちょっとこすれると痛いので」
 有希は少しの時間、真由香をなめ回すように観察すると、
「まぁ、あんたもいつまでもお子ちゃまでいるわけないんだから、まぁ、良かったじゃない」
 そういうと、有希は窓際の自分の机の方へ行ってしまった。
 なんか妙に照れくさくなった。

23LynN2:2009/02/14(土) 23:34:47
<14>

 ほんの少しだけ大人気分を得た夏休みももうすぐ終わり、来週から学校がまた始まる。
 しかし、真由香はもう一段進めてみるつもりでいた。

 例によって母親は週末の初日を睡眠で全うするようで、昼を過ぎても起きてくる気配はない。
 この間のように、自分の背の高さを壁に記した後、スカートのホックを外して締め付けられる可能性の高いものを排除した。
 そしてチャックの付いている銀色の小袋の中から青い文字で「I」と書かれているグミを取り出し、大きく深呼吸をした後に口の中に放り込んだ。
 あの思わずしかめっ面をしてしまうくらいの酸っぱい刺激が口の中を通り過ぎた後にやってくる甘みと共にまた意識がもうろうとしてくる。身体の変化をじっくりと見られてしまうと何か問題があるのだろうか?などといろいろ考えているのだが、それらも忘れ去ってしまう。

 意識がはっきりしてくると、体中に圧迫感を感じるようになった。締め付けられるというほどではないが、じわりと身体全体に重力を感じているようだ。何でそのようになったかを確認するために体を見回してみようとすると、Tシャツが身体にまとわりついて身動きがとりにくい。どうやら体に対してTシャツが小さくなってしまったようだ。1年の成長でそんなに変ってしまうのかとも思ったが、今の真由香の身体の年齢は13歳なので、成長期ではある。ちょっと他の子よりは遅い気もするけど。
 スカートはフレアな感じなので、足を拘束することはなかったが、身体の成長を見越してホックを外しておいたにもかかわらず、ウエストよりも少し下げた位置で(ホックを外したため、少しずり落ちていた)ベルト部が肉に少し食い込んでいた。まぁ、痛いっていう感じではなかったが。
 少しぎこちない動きで洗面所に行き、鏡で自分を見てみると、まだ自分が真由香として認識されるとは思うが、顔がより大人びてきたかなぁと感じた。Tシャツはぴっちりと体に張り付いており、胸の膨らみがはっきりとわかり、またすそからはへそが顔を出していた。
 自分の部屋に戻り、もう少し大きめのTシャツに着替えようとTシャツを脱ごうとしたが、肩を外すのに苦労して右往左往した。
 やっとのことでTシャツを脱ぎ、別のTシャツを出そうと洋服ダンスの引き出しを開けようとした時に、机の上の鏡に映った自分に違和感を感じた。鏡に近づき、よく見てみると、違和感はファーストブラが内側から大きく持ち上げられていたことだった。先ほどTシャツを着ていた時にも胸が大きくなったとは感じていたが、Tシャツを脱いでみると、それが予想以上に大きかったのである。そのことに気づいたとたんに胸が圧迫され、息苦しく感じるようになった。
 ファーストブラを持ち上げている膨らみに触れてみると、感触が伝わってきたので、自分の身体の一部であることが実感できた。ブラをずり上げてみるとおわん形をした肉の塊が顔を出した。これはまぎれもなく「おっぱい」である。
 20歳になった時のと比べるとまだまだ小さい感じではあるが、クラスの子のものを思い浮かべて比較してみると、結構大きい気がする。
「ちょっ...と、やり過ぎかも」

 机から鉛筆を取り、壁に背の高さを印する。グミキャンディを食べる前より約10cm背が伸びていた。夏休み前と比べると15cmの伸びだ。さすがにこれだけ背の高さが変ると怪しまれるのではないか? まずは母親の反応を確かめてみるべく、午睡を楽しんでいる母親が起きてくるのを待った。

 夕日も陰りをみせる頃、母親が部屋から出てきたので、前回と同じく、ブラのおねだりをしてみる。
 母親は数週間前と同じおねだりに、ちょっと呆れたそぶりを見せたが、ちらっと見た娘の胸に息を飲んだ。そしてTシャツとファーストブラを一気にたくし上げ、まじまじと観察した。
 1時間後、母と子は数週間前にも二人で行った安売りで有名な衣料店にいた。
 例の店員にサイズを測ってもらい、白いのを2つ、薄いピンクのを1つ買った。カップはBだった。
 帰り道、母親に、成長が遅くて、内心心配していたが、ここにきてぐっと大きくなったのでよかった、といわれた。
 今のは魔法のグミキャンディによるドーピングだけど、この先ちゃんと普通の女の子のようになるよ、と口に出してはいえなかったので、心の中でつぶやいた。
 生理はまだないの?と聞かれ、ちょっとだけ憂鬱になった。

24LynN2:2009/02/15(日) 22:59:34
<15>

 そして長いようで短い夏休みも終わり、今日は始業式である。
 母親は真由香の急な成長に不審に思うどころか喜んでくれたが、クラスメイトの反応はどうだろうか? ちょっとどきどきな気分を押さえきれず、ふだんより早く家を出た。
 まだ誰も来ていないはずと思いながら昇降口に入ると、予想外なことに美幸が靴を履き替えているところに出くわした。
「お、おはよ」
 どもりながらもあいさつする。それに対して美幸は、真由香をじっと見つめている。首をかしげたり、目を細めたりして、調査しているのであろうか。そして一寸の時を経て口が開いた。
「真由香ちゃん、だよね......?」
「うっ、うん、そうだけど」
「一瞬、転校生か何かかと思っちゃった。なんか見違えちゃったね」
「そ、そうかなぁ」
「背が伸びたんじゃない? なんか大人っぽくなったもん」
「そ、そう?」
「きっと今まで成長してなかったから、その分まとめて育っちゃったんだよ。多分」
「そうかなぁ?」
「それに......」
「...それに、何?」
「おっぱいがずいぶん大きくなってる」
「えっ! ......うーん、そうかなぁ?」
「そうだよぉ。たぶんクラスでも一番大きいよ、きっと」

 クラスに行き、自分の席に座っていると、次々とクラスの子が登校してくる。そしてカバンを机に置き、一息つくと、みんな真由香を見に来る。最初は美幸がいいふらしたんじゃないかと思われるのだが、いつの間にやら真由香の回りに人の固まりができてしまったために、事情の知らない子達も何があるのか?とやってくる。
「ホントだ。真由香ちゃん、なんか妙に大人っぽい顔になった」
「いったい何したらこんなになれるの?」
「ねぇ、立ってみてよ」
「ちょっと......胸にさわってもいい?」
 うらやましく感じるのか?または好奇心?からか、次々と感想やら質問やら依頼の声をかけられる。真由香は、うれしいやら、うざったいやらで、ちょっと複雑な気分になった。
 取り囲んでいるクラスメートの隙間から回りを見回してみると、少し離れたところにいた有希と目が合った。が、有希は間髪入れずに目をそらし、教室から出て行ってしまった。
 この騒ぎは担任の解散宣言が出るまで続き、その一言でやっと真由香は、落ち着くことができた。
「やっぱりやり過ぎたかしら......」

 全校集会で校長先生の長くつまらない話を聞き、教室でやや短く担任の先生の話を聞いた後、終業となった。
 真由香も帰り支度をし、教室を出たところでばったりと有希と出くわした。
「あっ、有希」
「......」
 有希は言葉を発せずに、じろじろと真由香を観察していた。
「......どうしたの? 有希」
 真由香の声には答えず、観察し続ける有希。しばらくすると、その目が真由香の胸に釘付けになった。それから何度か自分の胸部をさすり、視線を真由香の目に戻す。そして口が開いた。
「今日は私の負けみたい。でもきっと追い抜いてやるわ!」
「......えっ!?」
 真由香をにらみ続ける有希。
「いや、これはたまたまで、わたしが有希より大きくしようと努力した訳でもないし......もともと有希の方がずっと大きかったんだから。有希の方がまた大きくなるに決まってるじゃない」
 慌てふためき、自分でもよく解らないいいわけを口走る真由香を見て、有希の顔が変化した。
「冗談よ」
 と、いうなり真由香に両手を回しぎゅっと抱き締めた。
「もうお子ちゃまは卒業だね」
 その言葉を聞き、顔が真っ赤になっていくのを感じた。
 ほんの短い時間の抱擁を終えると、有希はばっと真由香から離れ、また明日、といいながら手を振り、走って行ってしまった。
 真由香はしばらくの間、廊下に立ち尽くしていた。

25LynN2:2009/02/16(月) 22:55:54
<16>

 真由香はとぼとぼと家に向かって歩いていた。
 今日は始業式で、学校にいた時間なんてあんまりなかったはずなのに、いろいろなことがいっぱいあって、なんか妙に疲れた気がする。でも、身体の変化のことをみんなが肯定的に受け止めてくれたのがうれしかったなぁ、などと思いながら気が付くと斜面を昇って行く階段のところにいた。
 あの日、ここであの女の人と出会ったから、この姿の私がいるんだな、などと感慨にふけってしまった。
 そこに突然冷たい突風が吹きつけてきた。思わずスカートを押さえていると、後ろからささやくような声が伝わってきた。
「随分見た目が変っちまったじゃないかい」
 聞き覚えのある声。あの人だ。
 振り返ってみるが、誰もいない。
「あんたならあれをうまく使えるんじゃないかと思っていたが、間違いなかったようだねぇ」
 また後ろから声がしたので、振り返ったが、またしても誰もいない。
「おば、おねえさんにお礼をしなくちゃ、ねぇ、どこにいるの?」
「もう会う必要もないだろ、じゃあな」
 また冷たい突風が吹いたと思ったら、もう女性の声は聞こえなくなっていた。
「おねえさん,,,,,,ありがとう」
 真由香はぽつりとつぶやくことくらいしかできなかった。

<おわり>

26どんさん:2009/02/18(水) 18:26:43
すごく面白かったです!
急に大人になった女の子の描写をここまで緻密に描いたものは読んだことがありません。
しかも、文章は端麗で体の事細かに表現にも少しのいやらしさを感じさせないのは素晴らしいと思いました。
そしてなにより、大きな変身よりささやかない変身の方が幸せと言う発想はこれを読むまで全く思いもしませんでした。

27名無しなメルモ:2009/02/18(水) 20:52:03
お疲れ様でした。
能力をフルに使って自由に暮らす少女もいいですが、こういった現実の制約を
受けながらも上手く能力を使う少女もイイですね。新鮮なお話でした。

28妄想癖:2009/02/21(土) 21:41:17
 ううむ、面白かった。
 しかも残りのグミは使われていないので、設定の使いまわしで別なお話も組み立てられる可能性を大いに残して終えている。

 とてもよく考えられた構成だと思います。

29LynN2:2009/02/25(水) 22:08:13
 読んでいただき、また、感想をどうもありがとうございました。
 遅レスでどうもすみません。

 その昔、吉行淳之介という作家が言った、「近所のタバコ屋までタバコを買いに歩いていくというだけでも、四十数枚程度の短編小説は書ける」、という話を聞いて、小説はディテールが大事なんだなと思い、一生懸命に描写を入れてみたのですけど、終わりのほうはダレてしまって、結構手抜きだな、と思います(笑)。
 食べたグミが復活するようにしたのは、単に管理が難しそうだったからで......あまり続編をつくろうとは考えてなかったりします。
 そして2歳だけ肉体年齢を上げただけにしたのは、みんながみんな別人になりたいのか??? と思ったのですね。もう生きているのもいやだとか、今のしがらみを抹消したいと思う人なら全くの別人になってみたいと思うのでしょうけど、単に美人になりたいとか、スタイルが良くなりたいとかというなら、自分のパーソナリティを抹殺してまでとは考えないでしょうね。特に女性は。
 といいつつ、実のところは私があまのじゃくで、あえてウケを外したものを書きたいと思っただけです。ホントは急成長大好きです(笑)。

30砂漠のきつね:2009/02/26(木) 01:56:14
今更ですが、おつかれさまでした。自分もこのHNで某サイトで書き物をさせていただいております。
小説はディティールという部分、共感します。
自分は書き込みすぎて分量が多くなってしまうのが玉にキズなのですが…

作者さんの意見もすごくわかります。
自分も含め、「どうしても小学生が大人の女性に!」っていう方向へ走りがちですが、
実際、本当にこんな能力を手に入れたら、案外こういう結果に落ち着くのかもしれませんね。

急成長の分野の書き物も仕上げたいのですが、今の方が終わってから投下できればと思ってます。

31LynN2:2009/03/02(月) 23:44:43
 感想ありがとうございました。

 ディテールに凝ると文章の分量が増えてしまうというのはしかたないんじゃないんですかね?
 小説を書くことをメインとして考えて描写をがんばるか、Webなんで、AR、APの描写をメインにして、後のことはそれなりにするかは書く人の自由なんだと思うのですが。まぁ、後者の方がウケやすいとは思いますが。私はとにかく小説にしたかったので、描写を多く入れることを心掛けましたです。
 砂漠のきつねさんの某所の小説、読みました。ジャンルとしてはTSですけど、APテイストをたっぷり感じました(^^)。

32砂漠のきつね:2009/03/03(火) 22:52:26
感想ありがとうございます。
ご覧になったということは私の嗜好がバレバレなのですが…

描写メインのSSも書いてみたいとは思ってます。
先日、サークルの後輩達とそのOG(といってもみんな僕より年下なんですが…)
を見ていたら、10代後半と20代後半の年齢入れ替えを妄想してしまいました。

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34LynN2:2009/05/30(土) 22:33:30
 久々にUPします。
 今回のは「真由香」よりかなり短いので、単発作品スレにしようかとも思ったのですけど、なんかせっかく作った「真由香」スレを有効利用しようかなぁという気分になり(苦笑)、このスレを私こと、LynN2の専用スレにすることにしました。
 なので、今回のは「真由香」とはまったく関係はございません。

35LynN2:2009/05/30(土) 22:34:19
誰そ彼女 (1)


 街に夕暮れの時間がやってきた。
 陽のひかりが夕方になると赤くなるのは光の散乱が原因であるが、今日はとみに赤いようである。上空では埃やら花粉やら黄砂が多量に舞っているのであろうか。

 とある街角にそこそこの敷地を持つ場所がある。そこは真ん中を空けるように敷地の周囲に二階建ての園舎、遊具などが配置されている。昼間なら幼い歓声で沸き上がっているであろうが、この時間はひっそりとしている。
 その幼稚園の一階の、ある教室に女の子が一人いた。
 女の子は床にべったり座り、絵本を床に広げていた。しかしその目は床の絵本には向かわず、手のひらの上のものに向けられている。
 首筋から手に向けて細いチェーンが伝っており、その先にはペンダントが繋がっていた。ペンダントの中心にはルビーと思われる鮮血のような鮮やかな赤い色の宝石があり、それを囲むようにダイヤとおぼしき小粒の宝石が配置されており、手を動かすときらきらと輝いている。さらにその周りには金属を加工した飾りがついている。
 女の子はペンダントを眺めてはにやにやとほほ笑み続けている。時々手首を動かして、光り方の変化を楽しんでいるようだ。
 女の子は下園の時間から夕日が差し込むこの時間まで、何をするわけでもなく床に座りペンダントを見つめ続けている。あの年頃の子供にありがちな落ち着きのなさがみじんも感じられず、不思議、というか不気味さすら感じられた。

 いつまでも続くと思われた静寂の時間だが、それを壊す者が現れた。
 その者は廊下側の窓から教室の中をのぞき込み、女の子の存在を確認すると、窓ガラスを叩いて自分の存在をアピールした。そして扉を開け、教室の中へと侵入してきた。
「あれ〜、あきほちゃん、まだかえってないの〜?」
「まさはるちゃん、おうちへかえったらもうようちえんにきちゃいけないんだよ」
「ん? でもぼくのいえ、ようちえんのちかくだから〜」
 正陽は晶穂のいうことを軽く受け流し、じろじろと晶穂を見ている。
「なあに、なにみてるの?」
「さっきあきほちゃん、なんかきらきらするものもってたよね? みせてよ!」
「し、しらないわよぉ」
「うそつき。うそつきはどろぼうのはじまりだって、おにいちゃんがいってたよ」
「しらないものはしらないわよぉ」
 正陽はじれたのか? 晶穂を押し倒し、のしかかるようにして、晶穂の服を調べ始めた。このくらいの年頃だと男女の身体の大きさも腕力もさして違いがないと思われるが、正陽の強引さが勝ったのか、晶穂は正陽のされるがままになってしまった。
「やっ、やめてよぉ!」
 晶穂の哀願にもかかわらず正陽は晶穂の服をまさぐっていく。
「いや、いや、いやぁ〜!!」
 晶穂の目から涙があふれ出すが、そんなことには気づかずにまさぐり続ける正陽。そして襟に手を掛けた時に首筋にとても細いチェーンのあることを発見した。
「これかな?」
 チェーンに手をかける。
「だめっ! それにさわっちゃだめっ!」
「やっぱりかくしてた!」
 チェーンを持ち、ゆっくりと引っ張っていくと、ブラウスの内側からペンダントが顔を出した。
「これ、おかあさんの? おうちからもってきちゃったの?」
「ちがう! ちがうよ!」
「じゃ、あきほちゃんの?」
「......」
「ねぇ!」
 正陽がさらにチェーンを引っ張り、ペンダントを直に持とうとする。
「だめぇー!」
 晶穂は体をひねって阻止しようとしたが、時既に遅く、ペンダントは正陽の手の中に収まっていた。しかも晶穂の行動に反応してぐっと握り締めたので、細いチェーンは急速に緊張した後にちぎれてしまった。

36LynN2:2009/05/31(日) 22:57:30
誰そ彼女 (2)


「あ、ああっ!」
 晶穂があえぎ声を上げると同時に一瞬身体がにぶく光った。そして晶穂の身体がふくらみ始めた。
 ふくらむという表現は間違っているかもしれない。しかし、晶穂の上に乗っていた正陽にはそう思えたのだ。
 実際には、まず身体が長く伸びて行った。特に足が長くなって、それまでとは全く異なった生き物になってしまったようだ。それに併せて肩や腰の幅も広がっていき、ブラウスの袖が身頃からびりっという音と共に引きはがされ、第一ボタンがどこかへ飛んでいった。スカートのサスペンダーはスカートとの接続部のボタンが飛び、気持ちのいいくらいの放物線を描き、上へと飛んでいった。
 スカートを留めていたボタンが飛び、ブラウスを押さえつけている障害がなくなると、身長の伸びとともにブラウスが引き上げられ、形のいいおへそが露になり、おへその周りには腹筋の発達による縦筋がうっすらと現れた。
 続いて胸が隆起していき、ブラウスを押し上げていった。先端がつんと突き出し、ブラウスの密着している部分がほんのりとピンク色になっている。
 ブラウスは胸の隆起を阻止しようとするが、健闘かなわず第二ボタンを飛ばす結果となった。ブラウスの呪縛を脱した胸はさらに上へと伸びて行き、ある程度の高さになった後、こんどはその高さを維持しながら横へと広がり、ボリュームを増していった。
 腰回りから足にかけてはうっすらと脂肪がついて魅惑的なカーブを描いていき、尻には惜し気もなく肉がついて腰を押し上げていく。そして際限なく横に引っ張られたショーツが断末魔の音を上げながら粉砕していったあたりで身体の変化が停まった。その姿は園児の面影は全くなく、成熟しきった大人であった。
 正陽が晶穂にのしかかった時には、正陽の片ひざはしっかりと床についていたのだが、今は両ひざが宙に浮き、晶穂のお腹に手をつかないと姿勢を維持するのが難しくなっていた。
「お、おばけっ!」
「いつまで上に乗ってるんだい?」
 と、いうと、晶穂は上半身を起こし、正陽を滑り落とした。
「よくぞ妾の正体を見破ったな! 汝は退魔の者か?」
「???」
「いっておくが、妾はそう簡単にやられはせんよ!」
「......たいまってなぁに???」
 正陽はおびえた口調で質問した。
「......汝は妾が人の活力を糧にする魔と判って、来たのではないのかえ?」
「ぼくはようちえんにあそびにきただけだもん。そしたらあきほちゃんがいたの」
「妾が単に汝のお友達だと思って寄って来ただけなのかえ......」
「......ねぇ、あきほちゃんって、おばけなの?」
「妾を化け物のようにゆうな! まぁ、人でないことは確かだがの」
「???」
「妾は生きるために人の活力を喰らう生き物での。人は妾のような者を淫魔と呼んでいるが、不本意だの。そりゃ、人の活力を得るのに一番手っ取り早い方法は性交なのは事実であるがね」
「......」
「汝らのような年頃の者が遊ぶ時に発散している活力の気も、性交による気に比べれば薄いがなかなかのものでな、ペンダントの力を使い、姿を変えて汝らの中に紛れ込んでいたというわけだが」
「......よくわからない」
「わっ、妾としたことが、聞かれてもないことをぺらぺらとしゃべってしまったわ。これではまるで2時間ドラマの犯人のようではないか!」
「ん?」
「......まぁ、偶然とはいえ、妾の正体を見破ったことだけは褒めてやろう。褒美じゃ」
 というと晶穂は正陽のズボンを脱がし始めた。

37LynN2:2009/06/01(月) 22:55:13
誰そ彼女 (3)


「なにするの?」
「気持ちのいいことじゃ」
 ズボンを降ろすと、白いブリーフが顔を出す。晶穂は躊躇せずにブリーフも引きずり下ろすと大人の小指ほどの大きさのペニスが顔を出す。
「おぉ、かわいいの」
 晶穂はペニスを指でつまみ、いじり始めた。いじっているうちに少し大きくなってきた。
「いっちょまえに反応するのだな。気持ちいいのかえ?」
「ん、んつ!」
 晶穂が皮を剥くと、先端がちらりと顔を出す。おもむろに先端と皮の境目の付近を舌で愛撫する。
「あっ、あぁっ!」
「感じるのか? ふふっ」
 ペニスが脈打つ度に大きくなっていく。いつの間にやら大人の親指よりも太く長くなり、亀頭が完全に露出するのも時間の問題だった。先端からは粘度のある液体が流れ出している。
 握れるほどの大きさにまで成長した頃、びっという音が部屋になり響いた。音のした場所には正陽がいた。が、その姿は園児ではなく、中学生くらいの体格だった。大きくなった身体によって極限まで引っ張られたフリースの前ファスナーが左右に引き裂かれたのだ。フリースの下にはTシャツを着ていたのだが、襟首の部分の伸びが悪く、首を締め付ける状態になっていた。正陽は苦しいのか、襟首に指をかけていたが、遠吠えのようなうめき声を上げながら腕を動かし、襟首を引きちぎった。上半身も事実上裸同然になったのを待っていたかのようにさらに身体が大きくなっていく。靴下も既に指先が見えていた状態だったが、左右に分解というか粉砕されていった。
「ふっ、妾の気を吸って育ってしまったのかえ」
 身体はもう大人と遜色無いくらいになっている。贅肉のかけらもない細身だが、しなやかな筋肉の存在を感じられる。ペニスはカーブを描きながら屹立し、長さはへそをオーバーして、根元や睾丸には縮れた毛が生い茂っている。
 晶穂はそのペニスを見て、
「なかなかに育ったの。妾も楽しめそうじゃ」
 とつぶやきながら、亀頭への舌の攻撃を続ける。正陽はお腹に今までに感じたことのないような感覚を感じていたが、その感覚がペニスへと移動したところ、尿意と似ていたため、
「ぼ、ぼく、おしっこでちゃう!」
 と野太い声でつぶやいた。
「ふっ、それはおしっこではないぞ!」
 と晶穂はいうと、亀頭にしゃぶりつく。
「あっ、ああっ!」
 うめき声を出しながら、正陽は白濁した液を放出した。大半は晶穂の口の中に入ったが、発射の衝撃で亀頭が口から外れたため、いくらかは顔にかかった。晶穂はごくりと口の中のものを飲み込むと、舌で口の周りをなめ回す。
「濃いの。極上じゃ」
 晶穂はだらりとした正陽のものをつかみ、まとわり付いた液を舌で丁寧にこそいでいくと、また大きくなってきた。
「ふふっ。元気がいいの。ならばこれはどうじゃ!」
 晶穂は正陽のものを今度は乳房で挟み、ゆっくり、大きく動かししごいていく。乳房からはみ出た先端部は舌で愛撫する。
「ふうっ! ふっ! ふっ! ふぅっ!」
 正陽は下腹部に押し寄せる快感と放出感を同時に感じて、快楽の享受と放出の阻止のためにあえぎ、声を上げていたが、善戦かなわず、また晶穂の顔へと発射した。
 晶穂は口の周りをなめ回しながら正陽から離れ、股間の裂け目に沿って指を滑らせ、
「今度は汝のそれをここに入れたくはないか?」
 と挑発した。
 行動を制限させる知識とかモラルを持たずに成体となった正陽は全く躊躇することなく晶穂を押し倒す。

38急成長だいすき:2009/06/02(火) 03:00:08
少年APものは珍しいですが、大好きです。
彼は無事、まともな少年に戻れるのでしょうか・・・。

ちなみにガルフォースというアニメを
機会あれば見てください。
女ばかりの世界で、はじめて男が生まれ、
その赤ん坊が素っ裸のまま一気に高校生くらいに
成長する場面がありますよ。
彼が最後に、地球のアダムになります。

39LynN2:2009/06/02(火) 22:56:52
誰そ彼女 (4)


 もうすっかり日も暮れ、教室も窓から入る隣家の明かり以外に光源がない状態であったが、暗闇の中にはまだうごめくものがあった。
 晶穂を背後から突き続けていた正陽は、絶頂に達し、液を晶穂の中に放出すると、ばったりと床に倒れこみ、そのまま動かなくなった。
「さすがにもう精も根も尽きたという感じかの? まぁ、20回くらいは出していたからの」
 晶穂は少々疲れを顔に見せながらも、笑顔でつぶやいた。
「まぁ、朝まで寝とき、目が覚めるころには姿も元に戻っているやろ」
 晶穂は真っ暗な床からいとも簡単にペンダントを拾うと、首へと装着した。一瞬晶穂の体が鈍く光り、胸のふくらみが小さくなっていく。尻や腰、足、腕もだんだんほっそりとしていく。ある程度細くなると今度は体が小さくなっていき、背の高さが半分くらいになったところで変化が止まった。もう園児にしか見えなくなった。ただ普通の子供と違うところは白濁した液体を股間から足へと滴らしているところであろうか。
 そして何も着ないまま廊下に出ると、この建物で唯一明かりの点いている部屋のほうに向かって声を放つ。
「えんちょー、いるのやろ!」
 一寸間を置いて、明かりの点いているほうから老女がやって来た。にっこりとほほ笑んだその姿は虫さえも殺せなさそうな善人といった感じだった。
「あらぁ、晶穂ちゃん、いくらなんでも裸じゃ風邪を引きますよ」
「あまりにもしずかだったから、もうかえってしまったかとおもったわ」
「あら、晶穂ちゃんが帰っていいというまでは私は残ってますわよ」
「まぁ、いいわ、ふくがの、びりびりにやぶれてしまって、きるものがなくなってしまったのじゃ、」
「あらぁ、まぁ」
「それとな、きょうはえんちょーのいえでねさせてくれ」
「はいはい」
 園長は大きなバスタオルを持ってきて、晶穂を包んだ。
「制服とかスモックとかは事務の遠藤さんに聞かないと置いてる場所がわからないので、お家まではこれで我慢してね、今、車を用意するから」
 というと、園長は建物の裏手へ行き、数分後、軽自動車が晶穂の前に横付けされた。
「さぁ、乗ってちょうだい」
 というと、園長は戸締まりを始めたので、晶穂は、
「かぎはかけずに、とをしめるだけにしてくれるかの、おきたらいえにかえるかもしれんからの」
「あらぁ、誰かいるの? 晶穂ちゃん、おいたが過ぎるわよ」
「わらわにさしずするでない、まぁ、ようちえんにがいをなすことはないとおもうのでな、かんべんしてくれ」
「そう?」
「それよりはやくえんちょーのいえへつれてってくれ、たまにはふろにつかりたいのでの」
 というと、晶穂は軽自動車の助手席に乗り込んだ。

40LynN2:2009/06/03(水) 23:07:47
誰そ彼女 (5)


 4月20日、夜7時のニュースです。まず最初のニュースです。立国市で5歳の男の子、斉藤正陽ちゃんが行方不明になっています。正陽ちゃんは19日の夕方に家の近所の幼稚園近くで目撃されたあと、行方がわからなくなっているもので、犯行声明等もなく、警察は営利誘拐の可能性は薄いと見て公開捜査に踏み切ったものです。もし正陽ちゃんと思われる男の子を見かけた方はお近くの警察までご連絡下さい。
 次のニュースです。今朝、立国市の幼稚園で身元不明の男性の遺体が発見されました。男性の年齢は推定で70から100歳と思われ、司法解剖の結果、死因は老衰でした。警察はなぜこの男性が幼稚園に侵入したのかを・・・・・・

<おわり>



急成長だいすきさん、読んでくださってありがとうございます。
戻れませんでした。
作中で晶穂がいっていたように、戻れるはずなのですけど、戻るためにもそれなりの体力が必要なのです、と脳内設定(笑)。
ガルフォース、とは懐かしい響きですね。でもちゃんと見たことないような気がします。今度機会があったら見てみます。

41急成長だいすき:2009/06/14(日) 02:53:03
なんだかシニカルな終わり方ですね。
ちょい切なくなってしまいました・・・。

世にも奇妙な物語でも、少年と老人が入れ替わって
その間に老人が少年の体で殺人をする
怖い話がありましたね。

42急成長だいすき:2009/10/06(火) 18:37:55
LynN2さん、その後お元気でしょうか?
また少年APのような小説を楽しみにしてますね。

43LynN2:2010/06/06(日) 22:57:35
ふぁすとブラ < 1>


「ねぇ、さやちゃん!」
 3時間目の算数が終わって、休み時間になったが、立ち上がる気力もなく、席で机にべたぁーっと張り付いていると、親友のあきちゃんが横に来ていろいろとまくし立てる。
「あきちゃん、元気だねぇ。わたしゃ、算数の話を聞いてるだけでげっそりだよ」
「あ〜、私は算数大好きだもの」
「あ、そ、そうだったね!」
「あっ、あのね、ちょっと相談があるんだけど、ここじゃなんだから、給食食べ終わってから、校舎の裏に行かない?」
「ここじゃ話せないなんて、ずいぶん難しい話なの?」
「そ、それほどでもないんだけど、あまり他の人に聞かれたくないから......」
「わかったよ、じゃ、給食食べたらね」

 4時間目の理科の授業は、空腹と戦い過ごし、お世辞にもおいしいと思えない給食をお腹の中に突っ込むと、あきちゃんと一緒にあまり人通りのない校舎の裏の倉庫まで行き、倉庫の入口の叩きに扉を背もたれにして座った。
「それで、話ってなに?」
「さやちゃん、今日、由佳ちゃんがブラしてたの」
「え〜っ、由佳ちゃんってそんなに胸大きかったっけ?」
「そこよ。由佳ちゃんってほとんど胸ないんだよね。もしかしたら脱いだらすごいのかもしれないけど。で、ファーストブラっていうんだっけ?タンクトップの上だけみたいなやつだったけど」
「それで?」
「さやちゃんくやしくないの? 私、なんかくやしいよ。由佳ちゃんなんて私らと同じくらいの大きさなのに」
「まぁ、ねぇ」
「だから......」
「だから?」
「......今日、学校終わったらブラ買いに行かない?」
「......」
「ダメかね?」
「......ダメじゃないよ。ただ急に言われたからびっくりしただけ」
「ホント!?」
「ホントだよ。でも、おこづかい、そんなにないなぁ」
「おこづかいって! これは毎日着る服なんだよっ! さやちゃん、いつも着てる服、自分のおこづかいで買ってるの?」
「いやぁ、おかあさんに買ってもらってるけど」
「でしょ! だからブラも買ってもらわなくちゃ」
「う〜ん......、わかった。お金もらえるかわからないけど、もらえなくてもあきちゃんの買い物にはつき合うよ」
「うん! やっぱりさやちゃんは一番の友達だよ!」
「じゃ、4時にいつもの公園ね」
「うん」

 5時間目の国語の授業中、先生のしゃべる声をぼんやりと聞きながら、1時間ほど先のことについて考えていた。
「う〜ん、実のとこ、まだブラするほど育ってないんだよね。育ちはじめは先っちょがこすれると痛いっていうけど、まださわっても何ともないし。おかあさん、お金くれるかな?」
 急に隣の青野が立ち上がる。指されたようだ。青野は教科書を読みはじめる。あんまりぼ〜っとしていると、指された時に対処できなくなる。やばいやばい。
 次に指されたのが、青野の後ろの石川だったので、ちょっと安心して、また妄想モードへ。
「あきちゃんがむかついてたのって、由佳ちゃんより大きいって思ってたのかな?私が見る分には、全然違いを感じないんだけどな」

「次、川越!」
 急に名前を呼ばれ、びっくりして立ち上がる。
「あっ、あっ......」
「川越、授業に集中せずにぼんやりしてるからわからなくなるんだぞ。52ページの4行目、「次の日の朝、」から読みなさい」
「次の日の朝、智史は早起きをして、朝食もとらずに......」
 ちょっと恥ずかしかった。

44LynN2:2010/06/07(月) 22:57:51
ふぁすとブラ < 2>


 水曜日は5時間目で終わり。あきちゃんと一緒に帰り、別の方向になる角のところであいさつして別れた。そこから歩いて5分ほどで家に着く。
「ただいまぁ」
「おかえり。今日は寄り道せずに帰ってきたね」
 居間から声がしたので、居間へ向かうと、おかあさんがパッチワークに熱中しているところだった。
「のどが乾いてたら、冷蔵庫にジュースが入ってるから。3時にはまだ早いから、おやつはまだよ」
 おかあさんはパッチワークに目を向けたまま、こちらの様子がまるでわかってるみたいに話しかけてくる。
 一旦自分の部屋に行き、肩掛けの通学バッグを下ろすと、洗面所に行き、薬用石鹸でよく手を洗う。今年はまだ流行してないけど、インフルエンザは怖いからね。そしてうがいも念入りに。それから台所に行き、冷蔵庫から缶ジュースを1本取り出し、ぷしゅっとプルタブを開け、一口飲む。おいしい。
 ジュースを持ちながら居間へ行くと、おかあさんは先ほどと同じ態勢でパッチワークに立ち向かっていた。意を決して話しかける。
「ねぇ、おかあさん」
「あら、どうしたの? 改まったりして」
 おかあさんはパッチワークから目を離し、わたしを見る。
「あの......、あ......、ぶっ、ブラジャー、買ってほしいの」
「えっ?」
 おかあさんはびっくりした顔でわたしを見る。
「あっ! だっ、だめならいいんだけど」
 あせってその場から脱出しようとしたが、とっさに腕を捕まれて動けない。
「あっ!」
「逃げなくたっていいじゃない。ちょっとびっくりしただけなんだから。で、ブラが欲しいの?」
「うっ、うん」
 おかあさんはわたしの胸をちらと見て、
「まだ早いんじゃない?」
「ううん、最近、体育の時とか、ちょっと痛くなるの。だから......」
「ふうん......、ちょっとシャツ、持ち上げてごらん」
 聴診器を当てるときみたいにシャツをもちあげてみる。
 おかあさんは数秒観察して、
「うん、いいよ。お金あげるから買ってらっしゃい」
「えっ、いいの!」
「まだちょっと早い気がするけど、あきほちゃんと買いに行くんでしょ?」
「えっ! うん、そうだよ。よくわかるね」
「ふふっ、娘の行動ぐらいお見通しよ」
「えっ! そうなの?」
「さやかの机の引き出しに入っている算数の50点のテストのことも知ってるわよ」
「えっ? あっ! それは......」
「あら? かまをかけてみただけだったのに、本当にあるのね」
「あっ、後で見せようと思ってたの!」
「そうなの? じゃ夜にでも見せてもらおうかしら
「うっ、うん」
「ふふっ。じゃあ、これで買いなさい」
 おかあさんはテーブルの傍らに置いてあった財布から五千円札を1枚抜き出し、わたしに渡してくれた。
「ありがとう」
「洗い替えの分も必要だから、2枚買ってきなさいね」
「はーい」

 そのあともおかあさんと学校の話しとかをしていたらいつの間にかに時計が3時45分を指していた。
「いけない、もう行かなくちゃ!」
「気をつけて行きなさいね」
「はーい、行ってきます」

45LynN2:2010/06/08(火) 22:43:53
ふぁすとブラ < 3>


 いつもの公園というのは、あきちゃんの家と商店街の中間くらいにある、おじいさんおばあさんがやるゲートボール場が1面と子供が鬼ごっこできるくらいの広場とベンチがいくつか、植木がちょぼちょぼ植えてある、普通の公園。わたしがあきちゃんと商店街に行くときに待ち合わせ場所にしているの。今日は散歩の途中で一休みしている感じの杖を持ったおじいさんと居眠りしている背広着た会社員と思われる人がベンチにぽつんと座っているだけで、静かだ。
 家から一生懸命走ってきたので、公園には4時5分前になんとか着いた。息をはぁはぁさせていたら、あきちゃんもやってきた。
「さやちゃん、そんなに急いで来なくてもいいのに」
「だって、遅れたらあきちゃんに悪いもの」
「私は別にいいよ。時間が決まっているものがあるわけじゃないし。急いだせいでさやちゃんになにかがあったらいやだし」
「......ありがとう」
 あきちゃんがにっこりほほ笑む。
 改めてあきちゃんを見ると、学校にいた時とポロシャツもスカートも違っていた。ちゃんと着替えて来たんだ。学校に行ってた時のままで来た私とは大違い。あきちゃんみたいな人を「おしゃれな人」っていうんだろうな。
「さやちゃん、行こ!」
「うん」
 商店街へ向かって歩き出す。
「そういえばさやちゃん、お金もらえた?」
「あっ、もらえたよ。おかあさんに細かいことはいってなかったのに、あきちゃんと買いに行くってバレバレだったよ」
「ふうん、おばさんって賢いっていうか、勘が鋭いよね。でも私たち、いつも一緒にいるから、そう思うのが当たり前かも」
「そ、そうだよねぇ」

 わたしたちは商店街の一角にあるスーパーに行った。エスカレーターに乗り、3階へ。
 エスカレーターを降りると、お目当ての下着売場は目の前だった。胴体だけのマネキンがずらりと並び、それぞれに赤やオレンジ、黒といった派手な色のブラジャーとショーツが装着されていた。
 おとなになったらわたしもこんなけばけばした色の下着を着けるようになるのかな?と思った。でもこんな派手な色の下着を着けている自分を想像することができず、いつのまにやら口元が不器用ににやけている自分に気がついた。
「なんかすごいね」
 あきちゃんもわたしと同じような気持ちらしい。
「うん......」
 おそるおそる下着売場に侵入し、きょろきょろと見回しながら売場を一周したが、お目当てのブツを発見することが出来なかった。
「見つからないね」
「うん」
「店員さんに聞いてみようか」
「そうだね」
 あきちゃんが近くにいた店員さんに話しかける。店員さんはあきちゃんをじろりと見て、わたしのこともじろじろと観察するように見て、お嬢さんたちが着けるくらいのは子供服売場にありますよ、と言った。
 わたしとあきちゃんはエスカレーターでもう1つ上の階の子供服売場に行った。
 エスカレーターを降りた目の前には妙にかわいこぶった、っていう感じの服を着たマネキンがずらりと並んでいる。よそ行きの服っていう感じの服であり、あまり自分にはぴんとこなかった。
「高そうな服ばかりだね」
「そうだね。まぁ、スーパーとしてもこういう高い服をいっぱい買ってもらえればいいと思って並べてるんだよ」
「そういえば上島さんって、いつもこんな感じの服、着てなかったっけ?」
「奴の家は歯医者なんだよ。いかにもお金持ちですって主張したいんだろ!」
「あきちゃんって、上島さんのことになると口調が荒くなるね」
「......まぁ、ちょっと気にいらないのだよ。嫌だった? ごめんね」
「わたしにはいくらでもいっていいよ。でも他の人にはいわないほうがいいと思う」
「......うん。ありがと」

46LynN2:2010/06/09(水) 23:26:22
ふぁすとブラ < 4>


 子供服売場の中で、下着の売場は奥の壁にへばり付いた所であった。早速品定めを始めたが、何分初めて見る物ばかりでついじっくり見てしまう。見ているうちにサイズの表記に2種類あることに気がついた。
「ねぇ、あきちゃん、サイズが2種類あるよ」
「SとM?」
「そうじゃなくて、S、Mっていうやつと、65Aって......70Aっていうのもあった」
「あっ、ホントだ」
「サイズの種類が2種類あるのって、わかりにくいね」
「うん、そうね」
「そういえばあきちゃん、自分のサイズって知ってる?」
「知らない。さやちゃんは?」
「わたしも知らないよ。どうする?」
「うーん......店員さんに測ってもらおうか」
「そうだね」
 あきちゃんは周りを見回して、ちょっと小太りの30代とおぼしき女性の店員さんを見つけ、連れてきた。
「すみません、ブラを買おうと思っているのですが、サイズを測っていただけないでしょうか」
 店員はあきちゃんの胸を中心にじろじろと観察したあとに、上着のポケットからメジャーを取り出し、ちょっと失礼、といいながら胸囲を測った。そしてメジャーを掴んでいた手を上部に滑らせ、胸をまさぐった。
「!?」
 あきちゃんはびっくりした顔をして、手から逃れようと体をひねった。
「まだ着けなくてもいいくらいだわ。まぁ、どうしても、っていうのならSサイズのやつから選んでね」
 と、商売っ気のないセリフを吐いた。
「次はあなたね」
 と、今度はわたしにメジャーを巻きつけようとする。
「あ、あぁ、わたしは......」
 と、拒絶しようとしたが、有無を言わさずにメジャーにより捕獲された。そしてまた、あやしい手の動き。
「あぁ、あなたもいっしょ。なくてもいいわよ。どうしても、っていうならやっぱりSサイズね。
 と捨てゼリフを残して別の売場へ行ってしまった。
「なんかひどい目にあったね」
「ホントだよ!」
「まぁ、サイズがわかったからいいか」
「う〜ん......、うん」
 気を取り直し、商品棚を捜索しはじめる。
「Sサイズのやつっていうのは、大人の人が着けるようなブラはないんだね」
「そうだね。タンクトップとかの上半分みたいなやつだね」
 と、言いながら、商品のひとつを取ってあきちゃんに見せる。
「こんなのどうかな?」
 それは、陸上の選手が着るようなランニングシャツの上部だけのような商品だった。
「さやちゃん、せっかくだから大人のブラみたいなストラップのやつにしようよ」
 と、言って、あきちゃんはキャミソールのように細いストラップが縫いつけてあるやつを見せた。
「あっ、それいいね」
「でしょ」
「わたしもそれにしよう」
 ふたりは棚を漁りだす。
「私はこれにする」
 あきほが見せたのは薄いピンクのブラ。
「そう。私はこれとこれ」
 わたしは白と薄いグリーンの2枚を見せる。
「さやちゃん、2枚買うんだ!」
「あ、おかあさんが洗い替えの分がいるって」
「ああ、おばさん、さすがだね。わたしももう1つ買おう」
 再びあきちゃんは棚をごそごそと漁り、白いのを取り出した。
「さやちゃんとおそろい」
「白だから当たり前っていう感じだけど」
「あーっ、さやちゃん、いけずだなぁ」
「ふふっ、ごめんね」
「冗談だよ。じゃ、買っちゃおうか」
「うん」

47LynN2:2010/06/10(木) 23:33:36
ふぁすとブラ < 5>


 支払いを済ませるとスーパーを出て、家路へと向かう。
「じゃ、明日、着けてこようね。約束だよ」
「うん、わかったよ。じゃ、また明日ね」
「じゃあね」」
 家への道が分かれる角であきちゃんに手を振り、そして家に帰ろうと身体の向きを変えたところで黒い塊に衝突した。
 それは全身黒づくめの女性だった。歳は幾つくらいだろう? 決して若くなさそうだけど、顔はしわの類を見つけることができないくらいつるつるだった。そしてぱっちりとした目のまぶたにはブルー系のアイシャドーがごってりと乗せてあって、唇はまるでトマトジュース飲んだ後みたいな濃い赤だった。
 服はゆったりとしたワンピースで、いたるところにフリルが縫い付けてあるけど、全て真っ黒なのでディテールがよくわからない。そでから伸びる腕には黒い長手袋を装着していて、長めのスカートから出ている脚もタイツなのかレギンスなのかは不明であるが、黒い服地で覆われていて、短めのブーツへと続いていた。
 髪は肩甲骨くらいまであって、漆黒という言葉が最も的確と感じるくらいに黒く、艶やかだった。そしてその髪の上にレースの付いた小さい帽子がちょこんと乗っかってた。首筋にも黒のスカーフが巻き付けてあって、肌が露出しているのは顔周りだけだった。
 黒い右手は黒いキャリーバッグの黒い取っ手を握りしめている。
「あっ!」
 ぶつかった弾みでレジ袋を落としてしまい、白いほうが袋から飛び出てしまった。
 女性はその白いものをを拾い、しげしげと眺める。そしてわたしの胸部をちらと見て、
「お嬢さんなら、まだ必要ないんじゃないかね」
 いわれたことがまさに図星だったのでなにもいえなくなってしまった。顔もきっと真っ赤だったと思う。
「まぁ、必要でなくても欲しくなることはままあるわな」
 女性は手にしたものをじっと見た。その時、左目の瞳がぼんやりと光ったのだけど、わたしは全然気付かなかった。
 続いてレジ袋を拾い、白いものを入れてから渡してくれた。
「......あっ、ありがとうございます。わたしったら、ぶつかって、まだ謝ってなかったのに。ごめんなさい」
「私もよそ見していたからな。おたがいさまだの」
 女性はキャリーバッグを転がしながら行ってしまった。
「不思議な感じのおばさんだ......なぁ」

 家に戻ると、台所にいるおかあさんにただいまのあいさつをした後、洗面所に駆け込み、それなりによく手洗いとうがいをした。そして急ぎ足で自室へ。
 レジ袋をどさっと床に置き、ジーンズからワイシャツの裾をひっぱり出し、上のボタンから外しにかかるが、あわてているせいかうまく外れない。結局、普段より時間をかけてボタンを外し、袖から腕を抜き、ワイシャツを脱ぎ終えた。続けてTシャツの裾に両手をかけ、一気に持ち上げて、除去に成功し、上半身裸になった。
 床にあるレジ袋から手探りで一枚取り出すと、それは先ほど道路に撒き散らした白いほうだった。特に何も感慨もなく、袋のベロをべりっと剥がし、白い布きれを取り出した。裏に付いている厚紙と固定するためのクリップを取り、両手で広げ、高く掲げてみる。それを見上げてみると、何か妙に誇らしげになる。次に自分の胸部に押し当て、鏡で自分を見て、数十秒後の自分を想像してみる。
 意を決してかぶってみた。丈が短く、ストラップタイプのやつだったのであっという間に頭をすり抜け、胸部に収まった。裾やストラップを引っ張り、微調整すると違和感もそれなりになくなった。
 鏡を見てみると、大人用ではないがブラをしている自分が映る。大人への一歩を踏み出したという感慨が沸いてきて、ほおが熱くなるのが感じられた。
 心なしかブラを着けているあたりもほのかに熱くなってきて若干汗をかいたようだ。これからは暑くなるから大変そうだ。あまりブラが目立つとやだから、上にシャツかキャミソールを着ようかと思っていたのだけれども。

48LynN2:2010/06/11(金) 23:10:35
ふぁすとブラ < 6>


 この感激をおかあさんにも見せたくなり、台所に行く。おかあさんは大根を短冊切りにしていた。それでもわたしがやって来たのを察知し、
「ああ、さやか、お釣りは返しなさいね」
 と、一言。わたしはそれを遮るように、
「おかあさん、ねぇ、似合う?」
 おかあさんは手を止め、わたしを見る。口許に笑みが浮かぶ。
「あら、パッド入りのを買ったのね」
「えっ? パッドなんて入ってなかったけど」
「でも、買い物に行く前に見たときよりも大きく見えるわよ」
「えっ?」
 不思議に思い、自分の胸を見てみる。確かに大きく見える。ブラを着ける前は乳首の部分が少し盛り上がっている程度だったのに。触ってみると確かに乳首の周囲の部分も膨らんでいて、「おっぱい」と呼べるくらいのものになっていると感じた。
 おかあさんは手を洗い、シンクの収納の取っ手にぶら下げているタオルで手を拭くと、わたしに近づいてきた。でも、なにか違和感を感じる。おかあさんもおかしく感じているようだ。
「さやか、大きくなってない?」
「......うん」
 普段だとわたしの目の高さはおかあさんのあごの辺りなのに、今は目のところにある。つまりは......ほとんど同じ背の高さなんじゃ?
「何か変なことした?」
「してないよぉ」
 おかあさん、ひどいな。わたし、なにもしてないよ。それなのに、そんなこというなんて。ちょっと抗議しようと思ったんだけど、なんか急におなかが苦しくなってきたどうしてだろう。あっ、苦しいのを通り越して痛くなってきた!
「あっ、ああっ! 痛い!」
 おかあさんは、わたしが苦し紛れに発した声にびっくりしたみたい。でもわたし自身も自分が出した声がいつもと違って妙に大人びていたのでびっくりした。
 なんでおなかが苦しかったというと、ジーンズがおなかに食い込んでいたから。それだけでなく、お尻から太ももまでジーンズがびっしりと張り付いたようになっていた。
 おかあさんは気を取り直して、わたしがジーンズのベルト部のボタンを外そうとしていたのを見て、助太刀すべく、ベルト部の左右をつかみ、中心へと引っ張ったがびくともしない。
「さやか、おなかに力を入れちゃだめ」
「そんなの、無理!」
「おなか引っ込めないと取れないわ!」
 何度か試すうちに、おかあさんの引っ張るのとわたしのおなかを引っ込める動作のタイミングが合って、ボタンを外すことができた。引き続きファスナーを無理やり下に下ろす。ジーンズの裂け目から白くのっぺりとした下腹部が出てきた。ショーツは引っ張られ、ずっと下のほうに行ってしまったみたい。でもこのおなかは......いわゆる幼児体型とは全く異なる、脂肪が全体に薄く乗った、大人のきれいなおなかだった。おかあさんがぼーっと見つめている。
「おかあさん、どうしたの?」
 わたしが声をかけるとおかあさんは、はっとしたような顔つきになった。
「どう? まだ苦しい?」
「苦しくはないけど、何か身体中がなんか変な感じ」
 おかあさんがわたしの身体を見回す。わたしも自分の身体のまちがい探しをする。さっきより胸が大きくふくらんでいて、ブラの下側から胸のふくらみが露出していた。ふくらみはわたしが息をするたびに大きくなっていってるような気がして、ブラは居場所を求めて上へと押し上げられていった。
「胸は苦しくない?」
「苦しいっていうほどじゃないけど、なんか押し着けらているって感じ」
 そういうと、おかあさんははちょっとだけ安堵したような顔をした。でも、まだブラはさらに押し上げられ、辛うじて乳首に引っ掛かっているくらいになった。ブラの下側から露出しているふくらみはさらに膨張を続け、きれいなカーブを形成している。そして、膨張に耐えられなくなったブラは乳首から外れ、外れた時の反動でふくらみは上下に激しく揺れ、外れたブラはふくらみの上部に乗っているだけの存在になった。
 さすがに先ほどまでぺったんこだったわたしの胸が大きく揺れるくらいになったので、びっくりした。
「わ、わたし、どうなっちゃったの?」
「少なくともさっきまでの小学5年生ではないみたいね」
 と、言うと、おかあさんは自分の部屋の姿見の前まで連れてこうとした。でもジーンズがぴったり脚に張り付いて、うまく動けない。おかあさんに手を引っ張ってもらってやっとたどり着いた。

49LynN2:2010/06/12(土) 23:19:02
ふぁすとブラ < 7>


 鏡に映るふたりの女性のうちひとりはおかあさん。なのでおかあさんでないもうひとりがわたしということになる。しかし、その姿は見たことのない人だった。でも上半身裸で、おっぱいを丸出しにしてその上に白い布きれを乗っけていて、下はぴちぴちのジーンズをはいている。どう考えてもわたしだ。じっくり顔を見ていると、先ほどまで小学生だったわたしの面影があるような気がしてきた。ちょっとたれ目っぽいとことか、まゆげがちょっと太いとことか。
「うーん、これは一体......?」
 おかあさんは首をかしげている。
「おかあさん、わたし、どうなっちゃったのかな?」
「見た感じで言えば、突然大人になっちゃった、ってことかしらね。でもこんなことってあるのかしら?」
「病気かな?」
「その可能性もあるけど......、明日、病院行って見てもらおうか」
「う、うん」
 どちらかといえば、わたしは病院が嫌いなのだけど、こんな状況ではいやといえない。
「それにしても......」
「どうしたの?」
「私の娘がこんなに美人になるとは。スタイルも私よりいいし......」
「そりゃおかあさんはさんじゅう......」
「それいうな!」

 自分の服はもうほとんど着れなくなってしまったので、とりあえずおかあさんの下着とスウェットの上下を着ることにしたのだけれども、初めての大人ブラと意気込んで着けてみたおかあさんのブラがきつくて無理だった。ちょっとおかあさんの顔が怒ってたみたい。わたしのせいじゃないよ。
 仕方なしに素肌の上にスウェットを着たけど、動くたびに乳首がこすれて、痛いほどじゃないけど気になる。そのことをいったら、乳首の上にシールを貼ってくれた。ニプレスっていうんだって。
 おかあさんが夕飯の支度をしてる最中、わたしは部屋の片隅でぼうっとしてた。なんか、何を考えればいいのかすらわからなくて、ぼうっとしているのが精一杯だった。
 そしたらおとうさんが帰ってきたみたい。
 10分くらいしたら、おとうさんがおかあさんと一緒に部屋に入ってきた。
「さやか。お母さんから聞いたよ。身体が急に大きくなったんだってな」
 おとうさんは私の顔を見てから、続いて身体を眺める。
「ちょっと立ってみなさい」
 いわれた通りに立ち上がる。今朝まではおとうさんの顔はもっと遠くにあった気がしたけど、今はちょっと上を見るだけだ。
「随分大きくなったな。もうすっかり大人だ」
 おとうさんのしゃべる声をぼうっと聞きながら、目はおとうさんの胸を見ていた。大きな、広い胸だなぁ。気がついたら顔を埋めていた。
 おとうさんはわたしが倒れないように腰に手を廻したと思うのだけど、おかあさんはそう思わなかったみたい。
「あなた! 自分の娘に手を出すんじゃないわよ」
「お母さん、そんなんじゃないだろ!」
「私はあなたの母親じゃないわ!」
「洋子!」
 ふたりのくだらない掛け合い漫才を聞きながら、わたしは何か心地よい気持ちになっていた。あぁ、あったかい。

 その後はふっきれたのか?普通にご飯も食べることができた。それどころかいつもはしないおかわりもしちゃった。
 お風呂に入るため、脱衣所で裸になったら、興味が湧いてきて、自分の身体をまじまじと観察してしまった。そしてポーズをとってみる。私ってけっこうイケてるかも。
 ちょっと裸でいる時間が長くなってしまい、鳥肌が立ってきたので、あわててお風呂に入った。すると、胸にかかっていた重みが軽減された気がした。胸って浮くのかな?
 急に身体が大きくなったせいか、いつもより早く眠気が襲ってきたのでベッドに入ったが、今度は逆に目が冴えてきた。しばらくぼうっとしていたら、また不安な気持ちが湧いてきた。
 明日、病院に行って、どんな検査をするんだろう? 痛くないといいな。
 わたし、おかあさんの目の前で身体が変化したから、おかあさんにはわたしがさやかだって判っているけど、もし誰もいない所で変わってたらどうなっちゃったんだろう? 家から追い出されちゃったかも。
 学校もどうしよう。クラスのみんな、わたしのことさやかだって判るかな? あきちゃんも......。

50LynN2:2010/06/13(日) 23:39:45
ふぁすとブラ < 8>


 いろいろと悩んではいたんだけど、いつの間にかに寝ちゃって、朝、おかあさんに起こされた。病院は学校より開始時間は遅いけど、予約をしている訳でないので、早めに行こうということになった。
 うちの朝食はパンで、いつもは食パンの耳がもぞもぞとした食感で嫌いなので残したいのだけど、今日は特にそんなことも感じずに完食できた。紅茶だけでは物足りず、おかあさんが飲もうとしてたコーヒーも飲んでしまった。昨日までは苦くて、コーヒーが苦手だったのだけど。
 おとうさんはわたしが起きる前に会社に行ってしまっているので、おかあさんが一緒に病院についてってくれることになった。
 病院に着くと、おかあさんは受付でどの診療科を受けるかを聞かれ、わたしの身体が変化したことを説明したのだが、信用してもらえず、長々と説明したあげく、とりあえず内科で見てもらうことになった。
 内科の先生はおかあさんの説明を聞くと、そんな症例は聞いたこともない、低成長の子が急に成長しだすということは稀にあるが、それでも数か月かかって20㎝背が伸びるとかという感じだ、と、つまらない冗談でもいわれたかのような反応をした。
 そういわれようと事実は事実だとおかあさんは反論しつづけ、その迫力に負けた先生は、とりあえず診察しましょう、とわたしに上着をたくし上げるようにいった。
 わたしはいわれるままフリースの裾を持って上に引き上げた。引き上げてから、自分の胸を男性にさらしていることに気がつき、手が自然と下がっていったが、脇にいた看護士さんが裾が下がるのを防止するために押さえたため、さらされている状態が維持された。
 先生は顔色を変えずに胸のつけねの上あたりに聴診器を何度か当てた後、ちょっと乳房を持ち上げてくれませんか、といった。ので、ちょっとためらいつつ、いわれたとおりに両手で胸を包み上へと引き上げた。
 先生は今度は胸のつけねの下部から谷間にかけて聴診器を当て、少し動きを止めた後、今度は背中を見せてください、といった。
 脇にいた看護士さんが腕にさわって促したので、胸を押さえていた手を下ろし、床を蹴って丸い椅子をくるっと回した。
 先生は背中に聴診器を何度か当て、少し首をかしげた表情を見せた後、特におかしな所はありません、といい、看護士さんにMRIの予約状況を調べるようにいった。看護士さんが、午後は空いてます、というと、ではMRIで見てみましょう、午後1時半からですので、午前中に肺のレントゲン、血液検査、あと婦人科の診察もしましょう、といった。
 胸のレントゲンはもう何度もやっているので、問題なく終わったけど、血液検査は初めてで、予防接種の注射より太い針を腕に刺されたのが痛かったし、自分の血が試験管へぴゅっと吹き出ているのを見たら気分が悪くなってきた。
 婦人科の検査ももちろん初めてだったけど、あんなへんな台に乗って、股間を診られるなんて、はずかしかった。おかあさんは、女に生まれた以上避けられない試練、っていってたけど、こんな試練はもういらないっていいたい。と、いいたいけど、赤ちゃんはいつかは欲しいんだけどなぁ。先生が女の人でよかった。
 午後のMRIとかいう機械での検査は何をやっているのかよくわからないうちに終わっちゃった。その後、最初の内科の先生の所に行って、説明を聞いたんだけど、極めて健康な成人女性です、だって。診察した限りは異状と思われる箇所もなく、当院の診断としては、あなたが10歳の少女だったと思われる痕跡も見つけられないので、あなたが突如大人の身体になったといわれても承服できない、って。さらに、身体が急速に成長する奇病はいくつか知られているが、成長というよりかは老化であり、ましてや一瞬に変化することはない、当院ではこれ以上のことを調査することはほぼ不可能であるので、どこかの大学病院に行かれるのがいいでしょう、紹介状は書きますので、だって。なんか一日無駄にしたみたい。

51LynN2:2010/06/14(月) 23:59:19
ふぁすとブラ < 9>


 病院を出てから、道沿いのファミレスで遅いお昼ご飯を食べた。
「姿は変わったけど、健康に異状がなくてよかった」
「......」
「いつまでも私のスウェットを着ている訳にはいかないので、家に帰る前に服を買いに行こうね」
「......おかあさん」
「どうしたの? お腹痛いの?」
「わたし、どうしよう」
「......どうしようもないでしょ?」
「......だって」
「なんでそんな身体になったかは私にもわからないわ。でも姿がちょっとだけ変わっても、さやかはさやかじゃない。

「明日は学校に行かなくちゃね」
「えっ! わたし、学校に行くの!」
「見た目が大人になっても、さやかは11歳じゃない。義務教育なんだから、さやかが学校に行かないと私が怒られちゃう」
「まぁ、ね」
「ま、何も言わずに行ったらひと騒動ありそうだから、明日は私も行って、先生に説明するわ」
「うん」
 ファミレスを出た後、昨日も行ったスーパーに行き、下着から普段着から買い込んだ。ちなみにブラを選ぶときにサイズを測ってもらおうと店員を探すと、昨日のいい加減なおばさん店員がまた登場した(昨日と売場が違ったはずなのに!)が、今日の扱いはちゃんとお客扱いだった。たまたまなのか、昨日は子供だと思ってなめられたのかは定かではないけど。そしてサイズを測ってもらったところ、Eだった。おかあさんの目が険しくなった。
 家に帰ってから、特段やることもなかったので、おかあさんが夕飯を作るのを手伝ったりした。台所の高さが妙に使いやすくなった気がした。
 おとうさんが帰ってきてから夕飯を一緒に食べて、その時におとうさんに病院での話をした。
「でね、身体自体は全くの健康で、結局大きくなった理由が判らなかったのよ」
「そうなんだ」
「で、さやかが本物のさやかかどうかDNA鑑定したらどうかなんて言われたわ」
「おかあさん、そんなこといわれてないでしょ?」
「もう、せっかく話をおもしろくしようとしてるんだから、そんなツッコミはなしよ。まぁ、あそこではもうお手上げだから、どうしても原因を知りたかったら他の病院に行ってくれって」
「そう......」
「どうしようか?」
「とりあえず、姿は変わったとはいえ、さやかが健康なのがわかってよかったじゃないか。他の病院へ行くのは体調に異状を感じてからでいいんじゃないかな?」
「そう?」
「うん。さやかも少しでも体調が変に感じたら隠さずに言うんだよ」
「うん...」
「それにしても......」
「どうしたの?」
「昨日は洋子のスウェットを着てたからか、あまり感じなかったんだけど、カジュアルな服を着ると、さやかは美人だな」
「そ、そうかな......!?」
「あなた! 娘に色目を向けるんじゃないわよ!」
「いや、本当にそう思っただけだよ」
「ほんとかしら...?」
「まぁ、わたしが本当に美人に見えるとしたら、それはおとうさんとおかあさんの子供だからだよ」
「健気だなぁ。本当。さやかが僕と洋子の子供で良かったよ」
「そういう気持ちを大切にして、くれぐれも娘に色目を向けないでね」
「そんな訳ないさ。だってさ......」
「だって?」
「こんなにきれいになって......男を作って、すぐに嫁に行ってしまうんじゃないかと考えると」
「見た目はともかく、さやかはまだ11歳なんだから、結婚はできないわよ。少なくとも法律で結婚できるようになるあと4年ちょっとは」
「たった4年か!」
「あくまでも法律での話よ」
「......」
「さやかも気をつけなさいよ!」
「えっ? 何を?」
「心はまだ小学5年生だけど、見た目はもうおとななんだから、いろいろな人が声をかけてきたりするでしょね。親である私から見ても魅力的に見えるんだから」
「そ、そうかなぁ!?」
 照れて顔が赤くなる。
「うまい話とかを持ち掛けてきたり、強引に連れていこうとする人もいると思うわ」
「強引にって、誘拐!?」
「誘拐とはちょっと違うけど、身体目当てね」
「身体目当てって?」
「さやかがきれいだから、さやかにえっちなことをしたくなっちゃうってことよ」
「そうなの。じゃぁ、おとうさんもおかあさんがきれいだったからされちゃったの?」
「えっ!? そ、そういうわけではないけど......」
「おとうさんはおかあさんに無理矢理した訳じゃないけど、もちろんおかあさんがきれいだったから、一生懸命に口説いて結婚したんだよ」
「もう! そんなこと、さやかに話さなくてもいいじゃないの! いい、さやか、気をつけなさいよ」
 おかあさんはいい放つとそそくさと台所に行ってしまった。

52LynN2:2010/06/15(火) 22:56:37
ふぁすとブラ <10>


 翌朝、おかあさんは学校に電話をし、わたしと一緒に2限の授業中くらいに小学校へ行った。事務のひとに声をかけ、お客用のスリッパに履き替える。普段は児童用の昇降口からしか出入りしていないから、新鮮な気分だ。
 事務のひとに校長室に入るようにいわれたので、ノックをした後に扉を開ける。見馴れた校長先生の顔があった。
「おはようございます。川越です」
「おはようございます。では、教頭と担任を呼びますので、ソファーにかけてお待ちください」
 校長先生は職員室にいた教頭先生に声をかけると、教頭先生は職員室から出てどこかへ行ってしまった。数分後、教頭先生が担任の山内先生を連れて戻ってきて、校長室のソファーに腰掛けた。
 おかあさんがこれまでのいきさつを話すと、先生達はきつねにつつまれたような、きょとんとした顔をした。
 しばらくの沈黙の後、校長が口を開いた。
「私と教頭はあまりさやかさんと接していないので、本人かどうかを判断しかねます。山内先生はどうですか。去年も担任だったはずだが」
 山内先生が私に話しかける。
「川越、去年の遠足の時、おまえの親友の青木が財布をなくした話を覚えているか?」
「は、はい。あきちゃ、青木さんがお土産屋さんでお土産を買おうとしたときに財布がなくなったって、ちょっと騒ぎになったです。クラスのみんなでお土産屋さんの廻りを探してたら、青木さんの上着の普段使っていないポケットから出てきました。ぶうぶういってる子もいたけど、わたしは楽しかったです。」
「そうか。では、今年の運動会で、川越、おまえは途中で保健室に行ったよな」
「はいっ! むかで競争で列のいちばん前にいたんですけど、ちょっとみんなの息があわなくて、将棋倒しのようになっちゃって、足首を痛めました。湿布を3日くらいしてたら良くなったけど」
「そうだったな」
 山内先生はわたしの目を見ながらうなずき、数秒考えているようなそぶりをみせた後、口を開いた。
「当事者、そばにいた者でしかわからないこともよく知っています。見た目も面影があるといえばあるでしょう。私はこの女性が川越さやかで間違いないと思います」
 校長先生はその言葉にうなずく。教頭先生は悩んでいるような顔だ。校長先生が話しはじめた。
「申し訳ございません。疑っている訳ではありませんが、他の保護者から質問をされる恐れがあったので、形だけの調査をいたしました。お母さんが見ていたのですから、彼女がさやかさんで間違いはないと思います」
 おかあさんは、はぁ、とうなずく。
「お医者さんには見せられたのですか?」
 おかあさんが昨日の経緯を説明する。
「そうですか。どういう理由かはわからないということですか。とりあえず体調には異状がないということですね」
 おかあさんがうなずいたので、わたしもつられてうなずく。
「では、何も問題がないということで、これからも学校へ通ってもらいましょう。義務教育ですから」
 おかあさんはうんうんうなずいていたけど、わたしはちょっと心配な気分になった。
「突然、教室に行くと、皆びっくりするでしょうから......今日は金曜日なので、月曜日からにしましょう。とりあえず直接教室には行かないで、職員室に来て下さい。今日みたいに職員用の玄関から入って。そして、朝のホームルームの時間に山内先生に説明してもらいましょう。いいですね、先生」
「はい、わかりました」
「川越さんもいいですね」
「は、はい」
 突然同意を求められ、あわてて返事をする。
「それにしても......」
 校長がつぶやく。
「どうしてこんなことが......、他の子もなったりしなければいいのだけど」

53LynN2:2010/06/16(水) 23:52:51
ふぁすとブラ <11>


 とりあえず今日も合法的に学校を休むことができたのでうれしかったが、家に帰ると、おかあさんに、その身体に慣れるように、と、家事の手伝いをさせられた。でも背が伸びたので、ふとんや洗濯物を乾すのは思った以上に楽だった。
 午後は、休んだ分、勉強しなさい、と、自分の部屋に押し込まれた。大人になったから頭も良くなったかな?と算数の教科書を開いてみたものの、別にすらすら解けるわけでもなかった。そんなに甘くないか。
 3時過ぎにおかあさんとお菓子を食べながらお茶を飲んでいたら、チャイムが鳴った。おかあさんが出て応対をしていると、聞き覚えのある声がした。あきちゃんだ。
 顔を出してみると、
「あっ!出てきちゃだめじゃない! 帰ってもらおうと思ってたんだから」
 と、おかあさんに言われたけど、顔出しちゃったものはしょうがないじゃない。
「せっかく来たんだから、上がってもらおうよ」
「そ、そう? まぁ、月曜にはわかることだから隠してもしょうがないけど......」
 わたしとおかあさんのやりとりを見てたあきちゃんはなんかきょとんとしてた。

 あきちゃんをわたしの部屋に連れていき、床に腰を下ろした。けど、あきちゃんはおどおどした表情で立ち続けていた。
 おかあさんが紅茶とお菓子を入ってきた。
「ほら、さやか。あきほさんを立たせっぱなしじゃ、だめでしょ。あきほさんもくつろいでいってね」
 あきちゃんは愛想笑いをして床に腰を下ろした。そしてわたしの方をちらちらと見ている。わたしもどうしていいかわからず、あきちゃんの行動を見守っていた。そしてあきちゃんの口が開いた。
「さやちゃん......なの?」
「あっ、あ、そうだよ。さやかだよ」
「おとといのさやちゃんと全然別人なんだけど。
「あ、そうだね! わたしにもよくわからないんだけど、突然身体が大きくなっちゃったの」
「......!?」
「おととい、あきちゃんと買い物に行って、家に帰ってからすぐだよ。買ってきたブラを着けてみて、おかあさんに見せてたら、突然......」
「ふぅん」
「でね、昨日は病院へ行って、調査してもらったんだけど、健康ですって言われちゃって、どうしてかがさっぱりわからないんだよ」
「そうなの」
「今日は午前中は学校に行ってたんだよ」
「えーっ! いつ?」
「あ、教室には行ってないから。ちょうど2時間目の授業中くらいかな? 校長室で校長先生と教頭先生と山内先生と話をしてたの」
「そういえば2時間目に先生がどっか行って、自習になってた。それで何の話をしてたの?」
「見た目が変わっちゃったんだけど、どうしましょうか?っていう話。結局、来週からは普通に学校に通えって」
「まぁ、そうだよね。大きくなったからって小学校に来るな、なんて言えないもんね」
「6年生にも身長が170センチ位の人がいたよね」
「あの人は背は高いけど、それだけだもの。今のさやちゃんみたいに大学生くらいにみえるなんてことないし」
「じゃ、わたし、大学生にみえる? 化粧も何もしてないんだけど」
「みえるよ! それもすごく美人な。スタイルも良さそうだし」
「それはそれでちょっとうれしいかな」
「せっかくさやちゃんとおそろいのブラを買ったから、見せっこしようと思っていたのに。もう大人用のブラしてるんでしょ?」
「うん」
「ねぇ、ブラ見せてよ」
「う、うん」
 さやかはフリースのファスナーを下ろし、表わになったTシャツのすそを持ち、上に引き上げた。薄いピンクのブラが姿を見せる。
「わ、すごい」
「す、すごいかなぁ?」
「これはちょっと法律違反のにおいがするよぉ。反則!」
「えっ!? そうなの?」
「ちょっと小学5年生の胸じゃないでしょう」
「まぁ、そうなんだけど」
「つまりは、いいなぁ、ていうこと。うらやましい」
「そ、そう......? ありがとう」
「このブラはいつ買ったの?」
「あ、昨日の病院の帰りだよ」
「じゃ、病院へはノーブラで行ったの!」
「......うん。おかあさんのブラをしようかと思ったんだけど、ちょっとわたしには小さくてね。それ以来ブラの話になるとおかあさん不機嫌になるの」
「まぁ、お母さんたちの世代より若い人のほうが胸が大きい人が多い気がするから、しかたないかなぁ」
「まぁ、ね」

54LynN2:2010/06/17(木) 23:07:30
ふぁすとブラ <12>


「で、」
「ん、どうしたの?」
「さやちゃんがおとなになったのは、ブラのせいじゃないかなぁ?」
「ん? そんなことあるのかなぁ?」
「だって、さやちゃんがおとなになったのって、ブラしてからでしょ?」
「そうだけど......。でもそんなことってあるのかな? だいたい、同じブラ、あきちゃんも買ったじゃない」
「白いやつ?」
「そうだよ」
「白いのなら、今着けてるけど、私は別に変わったところはないなぁ......。ハズレなのかな?」
「ハズレって......。今のわたしがアタリって感じでもないけどねぇ」
「え〜、さやちゃん、それぜいたくだよ。私には十分アタリにみえるな」
「そうかなぁ? でもさ、普通にスーパーで売ってるブラにそんな力というか、能力というかがあるのかな?」
「そうは言っても、目の前に証拠があるし」
「ま、否定はできませんね」

「ねぇ、さやちゃんが着けたブラ、貸してくれない?」
「えっ!?」
「今度は私が実験台になってあげる」
「......」
「まぁ、実験台っていうのは冗談だけど、本当にそのブラにそんな力があるのかが興味あるし、さやちゃんがうらやましいっていうのもあるし......」
「本当に......?」
「本当だよ」
「う......ん、わかった。でも、あれ、洗濯せずにほっぽってあるんだ。だから洗濯してから渡すよ」
「私はさやちゃんの香りがたっぷりついてるのでも全然問題ないんだけどな」
「そ、それはだめーっ!!」

 土曜日はおとうさんがめずらしく?ドライブに連れてってくれた。いつもよりおとうさんといっぱい話した気がした。きっとおとうさんは本気でわたしがすぐお嫁に行って、家を出てしまうと思っているのだろう。でも相手もいないしなぁ。
 日曜日は家でだらだらと過ごしていた。昨日行ったドライブではしゃぎすぎていたからだろうか? ちょっと疲れていたみたいだ。
 夕ごはんの手伝いをしてたら、おとうさんがそれを見て、話しかけてきた。
「さやか、なんか台所仕事が板についてきたみたいだね」
「そ、そうかな!」
「それに仕種が綺麗だ。まるで洋子の若い時を見ているようだよ」
 その言葉におかあさんが反応する。
「ちょっと!」
「何だい?」
「娘を口説いてどうすんの!? それに私はまだ若いです!」
「も、もちろん洋子はまだ若いし、魅力的だよ」
「まだ!?」
「い、今もだよ」
「どーかしら?」
「それにさやかを口説いているわけじゃないぞ。純粋に綺麗だと思っただけじゃないか!」
「あー、はいはい。娘に対して間違いだけはおこさないでね」
「おとうさん......」
「ん?」
「ありがとう。わたし、うれしいよ」
 わたしがそういうと、おとうさんの目元が緩んだ気がした。
「それと......」
「それと?」
「当分の間、わたしはおとうさんと一緒に暮らすつもりだから。おとうさんはわたしがすぐ家を出てしまうみたいに思っているみたいだけど、そんなことはないから」
 おとうさんの顔がくしゃくしゃになった。

55LynN2:2010/06/18(金) 22:37:58
ふぁすとブラ <13>


 月曜日は先生に言われたとおり、登校時間よりすこし遅く学校に行き、職員用昇降口から入り、職員室に行った。
 職員室に入ると担任の山内先生に、一緒に行くからちょっと待っててね、といわれたので、入口付近でぼーっと立っていると、他の先生たちが興味があるのか?ちらちらとこちらを見るので、なんか落ち着かない。
 先生に連れられて教室へと行く。すぐそばなのに妙に遠く感じられる。クラスのみんなの前に立ったときには、不思議なものを見るような視線にさらされるのだろうか。
 先生が教室の扉を開けて中に入ったのだが、足がすくんで動かなかった。それを見ていた先生が入るようにさとす。数秒の後、意を決してまるでロボットのようなぎこちない動きで教室に入った。
「おはようございます」
「先生、おはようございます」
 いつものように朝のホームルームが始まる。
「今日はみんなにお話があります」
 先生と一緒に知らない女の人(わたし)が入ってきたので、クラス内はがやがやと騒がしくなった。
 机に座っているみんなを見回すと、あきちゃんが小さく手を振ってくれた。なんかうれしかった。
「静かに。静かにしなさい」
 先生はしゃべり声が聞こえなくなるまでまわりを見回し、静かになるのを確認してから、おもむろに話しはじめた。
「先週の木曜日から川越さんが休んでいましたが、その訳は水曜日の夕方に突然、川越さんの姿が別人のように変わってしまったそうです。それで、その原因を調べるために病院へ通っていたからです。しかし病院ではどうしてそうなったかはわかりませんでした。姿が変わった以外に身体には異状がないということですので、今日からまたみんなと一緒に勉強することになりました」
 と話した後、先生はちらっとわたしのほうを見たので、あわててみんなにお辞儀をした。
「えーっ、あれ、川越なの!?」
「さやかちゃんなの?」
「うそっ!」
 先生の隣に立ってた女性がわたしだと判ると、教室中が騒がしくなった。
「静かに。じゃ、川越、席について」
 わたしはうなずき、自席についた。
 先生は引き続き、話をしていたが、その間中クラスのみんながわたしをちらちらと見ていたので、なんかいやな気分になった。
 1時間目の国語の時に、わたしの後ろの席の関口さんが突然手を挙げて、しゃべり始めた。
「先生、川越さんの後ろだと黒板が見えません」
 先生は黒板へ書き込む手を止めて、
「......そうですか。じゃ、関口と席を代わって......、それだと今度は田中が見づらいか。うーん、じゃ、川越、一番後ろの席に移ろうか」
 先生の判断により、わたしは一番後ろの席に移った。小学校に入ってから初めての一番後ろの席だ。みんな後ろの席がいいっていうけど、意外と先生から丸見えで居心地が悪い。どうせなら窓際のほうがよかったなぁ。
 2時間目は算数だった。身体は大きくなっても、頭はよくなっていないことを痛いほど実感した。算数、苦手だから、ちょっとでもよくなってたらよかったのになぁ。

56名無しなメルモ:2010/06/18(金) 23:33:47
すごくツボな設定です!それにめちゃめちゃ文章が上手い!
セクシーな大人になったさやちゃんにと対象的にあきちゃんには縮んでほしい願望がw
とにかくブラを着けた女の子は体にいろんな変化が起きてしまうのを期待してます!
それでは作者さん続き楽しみに待ってますので、これからも頑張って下さいね

57LynN2:2010/06/22(火) 00:52:01
ふぁすとブラ <14>


 やっと算数の時間が終わり、机でぼーっとしてると、微妙にわたしの周りから人がいなくなった気がする。ちょっと離れたところにいる人たちがわたしのほうをちらちら見ている気がした。いや、気がしただけじゃなくて、実際に観察されているのだろう。わたしだって好きでこの姿になった訳じゃないのに、なんかいやな気分。あそこでひそひそと話している子たちはわたしのことをうわさしているのだろうか。
「さやちゃん!」
 にこやかな顔をして、あきちゃんが来た。
「わたし、変かな?」
「変じゃないよ」
「なんかみんながわたしのことをうわさしてるんじゃないかって気がして......」
「そりゃ、まださやちゃんの姿に違和感を感じているからだよ。見慣れてくれば、あぁっ、さやちゃんは大人っぽくていいなぁ、って言われるようになるよ」
「そうかなぁ? それってあきちゃんだけじゃない?」
「そんなことない......って思うよ。たぶん。えーっ、私だけかなぁ? いや、そんなことないよ! さやちゃん、だいじょうぶ」
「ふふっ、ありがと」
 わたしがつぶやくと、あきちゃんもにっこり笑った。
「あっ!」
「どうしたの?」
「忘れないうちに渡さないと」
 かばんの中から紙袋を取り出す。
「なぁに?」
「ブラだよ」
 周りに聞こえないようにぼそっと答える。
「あっ、持ってきてくれたんだ」
「うん。金曜日、あきちゃんが帰ってからこっそり洗濯したから」
「ありがとう。これで私もさやちゃんみたいになれるかな」
「これが原因だとわかったわけじゃないし......」
「ううん、これが原因だよ。だって他に原因らしきものはないし。病気が原因とも思えないし。もし病気だったら、大人になったとしてもいびつなところが出てくると思うの。でもさやちゃんにはいびつなところがなくて、言われなきゃ小学生だなんて誰も思わないと思う。きっとこれは魔法のブラなんだよ」
「でも......、その魔法のブラがスーパーで売ってるなんてこと、あると思う?」
「う〜っ、普通はないけど。魔法だからね、さやちゃんに買ってもらうためにあそこに置かれていたんだよ」
「誰が何のために? ブラが自分の意志であそこにいた訳じゃないでしょ?」
「まぁ〜、そうだねぇ」
 あきちゃんがにっこり笑うと、チャイムが鳴った。
「じゃ、また後で」
 先生が入ってきたので、あきちゃんはあわてて自分の机に戻る。
 その後は普通に学校生活をし、放課後を迎えた。

 あきちゃんと一緒に帰ったけど、歩いてる間、あきちゃんは魔法?のブラのことばかり話していた。
「あきちゃん、期待するのはいいけど、変わらなかったらどうするの?」
「変わらなかったらって? うーん、それが世間一般的には普通だと思うから、なんとも思わないかな。あっ、その時はさやちゃんをうらやましがって、さやちゃんのおっぱいをもむ!」
「!?」
「ははっ、まっ、それは冗談だけど」
「もし、もしだけど、別の変身をしたらどうする?」
「あー、その可能性もあるねー。歳を取りすぎておばあさんになって、すぐ死んじゃったらやだねぇ」
「逆に赤ちゃんになるかもよ」
「うーん、魔法の道具がブラってことを考えると、それはないかなぁ。シチュエーション的には」
「そうかも。じゃ、全く別のもの。人間じゃなくなったら?」
「もしそうなっても、さやちゃんがその動物、化け物かも?があきほだって判ってくれたら、いいよ」
「そんなぁ」
「私の予感ではそんなことにはならないと思うよ。じゃ、また明日ね」
 あきちゃんは自分の家の方向に駆け出して行ってしまった。


 そして次の日。
 あきちゃんは学校に来なかった。

58名無しなメルモ:2010/06/22(火) 22:44:03
いつも更新どうもありがとうございます!
あきちゃんにも何かしらの変化があったみたいのでワクワクしています
落ち着いて思慮深いあきちゃんですがいざ体に意に反した変化が起きたらどんな反応するのかが楽しみです

続きがかなり気になりますのでどうかよろしくお願いしますね!

59LynN2:2010/06/22(火) 23:12:08
ふぁすとブラ <15>


 わたしは学校が終わると、あきちゃんの家へ行った。

 あきちゃんの家はこの付近としては大きな庭を持った、お金持ちという感じのする家である。それでいて、あきちゃんも、あきちゃんのおとうさん、おかあさんもあまりお金持ちっていう感じじゃないんだよね。見た目とか、いろんな人に対する態度とか。昔からのお金持ちってそういうものなのかしら。だからあきちゃんは上島さんのこと、気に入らないのかな?って思ったりする。
 門の呼び鈴を押すと、あきちゃんのおかあさんが出た。
「川越です。」
「あっ、さやかちゃん。......、ちょっと待っててね」
 あきちゃんのおかあさんはそういうと、どこかへ行ってしまったようだ。
 数分たってから、玄関の扉が開いて、見知らぬ女の人が顔を出した。
「さやちゃん、いらっしゃい」
「!?」
「わからない? あきほだよ」
「えっ!?」

 あきちゃんに連れられて、2階のあきちゃんの部屋へ行った。床に腰掛け、一息ついた後、話しかけた。
「まさかとは思ったけど、本当に大きくなったんだ」
「ふふっ、さやちゃんが大きくなったんだから、私も大きくなるわよ」
 というと、あきちゃんは立ち上がり、わたしの手を引っ張り、立ち上がるよううながした。わたしが立つと、あきちゃんはわたしの二の腕を軽くつかみ、密着するくらいにわたしを引き寄せた。目の前にあるのは......あきちゃんの口。
「!?」
「どうかしら?」
「......あきちゃん、大きい!」
 わたしともあきちゃんは大きくなる前は、ほとんど同じ背の高さだったのに......。
「......もしかして、とは思っていたけど、やっぱりさやちゃんより背が高くなってた」
「......知ってたの?」
「まぁ、身長を測った時に、176cmあったから......、そこまで背の高い女の子ってあまりいないでしょ? だから......」
「なんかずるい」
「ずるいって......私が願ってこうなった訳じゃないよぉ。本当に」
「......冗談だよ。あきちゃん、すごくきれい」
「......ありがとう」
 あきちゃんは手をわたしの後ろに回し、ぎゅっと抱きしめた。その時、胸に今まで感じたことのない圧迫感を感じた。あきちゃんの力がゆるくなった時に手を振りほどき、さりげなくあきちゃんの胸に手をあててみる。そのふくらみは片手では覆うことのできないくらい大きかった。きっとわたしのよりも......。
「......おっきいね」
「あっ! さ、さやちゃんはどのくらいあった? ブラのカップ」
「Eだったけど」
「私、測ってもらったらFだったの」
「やっぱりずるい!」

「あれはやっぱり魔法のブラだったのかねぇ?」
「あっ! さやちゃん、ごめん!」
「背と胸の大きさのことはもういいよ。個人差だってことで......」
「そうじゃなくて......、あの、ぶ、ブラなんだけどね、破けちゃった」
「えっ!?」
「ホントごめん。この身体になって、脱ごうとしたんだけど、腕が抜けなくて、肩がつりそうになって......、ホントごめん!」
 そういうとあきちゃんは紙袋の中からびりびりに裂けた布きれを取り出した。じっくり見ると、それが昨日あきちゃんに渡したブラであることが理解できた。
「こんなになっちゃって......、ごめん」
「もうブラじゃなくなっちゃったね」
「......うん」
「でも、わたしとあきちゃん以外でおとなにしたい人っている? わたしはいないけどなぁ。あきちゃんは?」
「わっ、私もいないよっ!」
「じゃ、いいじゃない」
「......ありがとう」

60急成長だいすき:2010/06/23(水) 07:54:27
そのびりびりに破れた布切れで、今度は
男の子を急成長は無理でしょうか?
以前に書いていた短編の少年の変化は
とても良かったです。

61名無しなメルモ:2010/06/23(水) 11:47:29
早速の更新ありがとうございます!
残念ながら(笑)あきほちゃんの変化もAPでしたが、たしかブラは洗い替えでもう一組あるはず
そちらはARではないかと期待してますのであきほちゃんが上島さんや由佳ちゃんに着けさせるのを期待してます(笑)
とにかくこの小説大好きですので続きを楽しみに待ってます!

62名無しなメルモ:2010/06/23(水) 22:48:34
あきほちゃんが気に入らない女の子にもう一つのブラを着けさせるのは見てみたいです
もちろん破れたブラも縫い直していろいろイタズラに使ってほしいですね
とにかく続きが気になります

63LynN2:2010/06/23(水) 22:57:46
ふぁすとブラ <16>


「で、やっぱり魔法のブラなのかしら」
「普通に考えたらそうじゃない? 私も今日、病院で検査してもらったけど、おかしな所は見つからなかったよ」
「もし、魔法のブラだったとして、それがなんでスーパーの下着売場に売ってたのかということと、なんでわたしたちだけがおとなになったのか、というのがよくわからないわ」
「誰かがさやちゃんを大人にしようとしたのかねぇ? ま、私はそれに便乗しただけだけど。魔法ってだけで非現実的なんだから、さやちゃんに買わせるために一個だけ置いてあってもおかしくないじゃない?」
「わ、わたし、早くおとなになりたいなんて思ったことないのに!」
「そーお?」
「......胸がもう少し大きかったらいいな、って思ったことは......あるけど......。」
「それだ! さやちゃんの願いを聞いた人が、胸が大きくなりたいイコール大人になりたい、って勘違いしたんじゃないの?」
「そんなばかな......」

「私たちって、他の人たちより早くおとなになっちゃって、他の人たちよりも早くおばさんになっちゃうのかな?」
「もうクラスのみんなはさやちゃんのこと、おばさんって思ってるかもよ」
「えーっ! そんなぁ!」
「もしかして、って言っただけ。それより早くおばさんにならないように注意していかなくちゃね」
「そうだね」
「それと......」
「それと?」
 突然あきちゃんがわたしを引き寄せ、ほっぺたをわたしのほっぺたにくっつけた。あきちゃんの「体温」がわたしへと伝わってくる。
「せっかく早く大人になれたんだから、オトナにしかできないことをやってみようよ!」
「......うんっ!」

<おわり>

64LynN2:2011/09/13(火) 22:13:55
おしねがさん

 わたしのおとうさんは半年前に交通事故で亡くなりました。
 今はおかあさんがパートで働いていて、なんとか生活できていますが、義務教育が終わる中学を卒業したら働いてね、って言われています。
 今は高校を卒業して就職しようとしても、なかなか就職先が見つからない、っていうらしいのに、中学しか出ていない子が就職できるのかしら、って今からゆううつです。

 学校から帰って、おかあさんはパートなので一人で家にいたら、玄関のチャイムがぴんぽーんと鳴ったので出てみると、とても背が高くて、昔のマンガでしか見たことないような縦じまのズボンのモーニングを着た男の人が立ってました。あまりにも背が高いので、どういう顔かよくわかりません。
「こんにちは。おしねが会のものです」
「......!?」
「ああ、おしねが会っていうのは、進学に困っている人に手を差し延べる非営利団体です」
「......はぁ」
「ちょっと入れてもらってもいいですか」
「は、はい」
 わたしが下がると、その男の人はドアをくぐるようにして玄関の中に入ってきました。頭が天井に着きそう。

「貴女は高校に進学したいのですね」
 そんなこと、友達の和美ちゃんぐらいにしか話していなかったのに、この人はどこからその話を知ったのだろうか?などと思いながらも、
「はい」
 と答えました。だって、本当のことだもの。
「では」
 とつぶやくと、ポケットから鎖のついた手のひらに載る大きさの時計を取り出し、握った手をわたしの目の前に突き出しました。そしておそらく日本語ではない言葉をつぶやき始めました。

 1分くらい経ったのでしょうか? 握った手のすきまから一瞬、光が漏れました。
 すると、こぶしが下に移動していきます。始めはおじさんが腕を動かしているのかと思ったのですが、わたしの背が伸びているみたいです。着ていたTシャツがきつくなってきて、おなかが見えるようになりました。おっぱいもふくらんできたみたいで、Tシャツがよりきつくなりました。下はフリースのパンツをはいていたので、きつくはなりませんでしたが、丈がかなり短くなったような......。あっ、パンツがきついです。両脇から腰を押さえつけられているような感じ。足と手と頭以外がぎゅっと締めつけられて......息をするのも大変な感じです。
 わたし、どうなっちゃったんだろうか。

 おじさんはわたしの変わった姿を見てにっこりと笑ったようでした。そして、
「明日からは高校へ通いなさい」
 と言うと、またドアをくぐるようにして玄関の外にでました。するとおじさんの姿が薄くなり、ふにゃっとゆがんだと思ったら、消えてしまいました。

 結局あの人は何者だったんだろう?と思いながら自分の部屋に戻りました。一歩踏み出すたびに腰は左右にふられるし、おっぱいも揺れて歩きにくかったです。
 自分の部屋に入ると、机が大きな物に替わってて、机の上には聞いたことのない教科の教科書が置いてありました。そして壁には近所の高校のブレザーの制服が吊してありました。
 わたし、まだ小学4年生だったんだけどなぁ。

<おわり>

65<削除>:<削除>
<削除>

66LynN2:2014/08/11(月) 21:25:10
タッチ! <1/4>


 エロマンガ雑誌のうしろのほう、へんな広告がいっぱい載ってるだろ!? 包茎手術のやつとか、まぁ、切実に思っているやつもいるとは思うけど、今回の話とは全然関係ない。オレ、あまりにもヒマだったんで、丹念にチェック入れてたんだ。へぇこんなへんなやつあるんだぁ、とか、これっ、いかにもサギだよなぁ、とか。
 そしたらこんなの見つけたんだ。

「キミはロリコン? 熟女好き?」

 っていう見出しが。
 そのとなりには見出しより二まわりほど小さい文字で、

「これさえあればキミの彼女も子供に! 熟女に!」

 と書いてあった。本文を読んでみると、どうやら魔法の杖というやつらしい。小さい写真が載っていたが、木のような色で断面が円形で、いっしょに写ってる手の大きさからすると、指揮棒のような感じだった。

 ふっ、と鼻で笑って終わりにしてしまうのが普通だけど......ちょっと気になる。そうだよ、俺は自慢じゃないが、小さい子が好きだ。街を歩いてて目が行ってしまうのは、ナイスバディな娘じゃなくて、小さい子。最近はジーンズやパンツを履いてる子が多いのだけれど、ミニのフレアースカートとか履いてる子を見るとつい見とれてしまう。そういう子に限っては足もすらっとしててきれいなんだよね。あどけない顔をした子が友達と話しながら背中のランドセルをふりふりさせていたりするともうたまりません。そうか、これさえあれば、(見た目が)小さい子と友達になったり、あれこれすることも可能なんだ。

 インチキだと思いつつ忘れられず、19800円という俺の1か月の食費に匹敵する値段もちと躊躇するのだけども、三日三晩考えて買うことに決めた。まぁ、パチンコやキャラくじに金を注ぎ込むのと大して代わりないな、という気がしたので。


 購入希望のメールを送って1週間ほどで振込用紙が送られてきた。これがコンビニで振り込めないときた。銀行で振り込んだが、異様に待たされた上に648円もの法外な手数料を取られた。なんかヤになってきた。これでハズレを引いた日にゃ......。

 2週間ほどして送られてきたゆうパックは細長い箱だった。開けると中からプチプチの塊が出てきた。持ち上げると妙に軽い。プチプチを丹念に見回すと、セロテープで端を固定してあったので、丁寧に剥がすと、中から菜箸のような薄茶色の棒が出てきた。先が細く、テーパー状になっているので、2本あったら本当に箸として使うやつがいるに違いない。これが本当に魔法の杖なのか? 20448円も使ったのに。

 杖を取った後の箱の中には一枚の紙が入っているだけで、それは一応取扱説明書のようだった。
 それには、杖を強く握り、年齢を変えたい相手の変化後の姿を思い浮かべながら、

「ヤーチャイ、マーバットン、プリンタイオフ」

と呪文を唱える。
すると杖の先に光の珠が発生するので、杖を振って、それを相手にぶつけると、魔法が発動し、変化する、のだそうだ。なんか難しいな。

 いきなり実践するのは、失敗したらアレだし、そもそも本当に魔法の杖なのか確かめなければ......ということで実験台を探す。が、何で試せばいいのかが思いつかない。変化後の姿を思い浮かべるというのがかなりネックだった。う〜ん、どうすればいいんだろ。
 うんうん考えていたら腹が減ってきた。時計を見たらもう昼を過ぎているじゃないか。買い置きの袋麺を部屋の片隅に転がっているレジ袋から取り出して、鍋をコンロにかけた。
 駅前のスーパーのタイムサービスで安く売っていた卵を割って、ラーメンの完成。この時期には結構暑くて、食べるだけでも大変だけど、コストパフォーマンスを考えたらこれが一番いいし、夏バテにもならない気がする。
 ラーメンをすすってたら、砕けた白身が麺と一緒に口の中に入ってきて......ひらめいた。卵でやってみよう。善は急げ、慌ててラーメンをお腹の中に導いた。

67LynN2:2014/08/12(火) 20:14:28
タッチ! <2/4>


 冷蔵庫から卵を1個取り出し、テーブルの上に置いた。杖を握り、ニワトリの姿を思い浮かべる。うん、めんどりがいいなぁ。毎日卵を産んでくれたら食費が助かる。
「ヤーチャイ、マーバットン、プリンタイオフ!」
 呪文を唱えたら杖がぼぅっと光り出し、光は杖の先に移動していって、先っぽで珠になった。目標物がすぐ手元にあるので、手首で杖を振ると、光の珠は杖からすぽっと抜け、よたよたと動きながら卵へと吸い込まれていった。
 しばらく観察したが、卵はなんの変化もしなかった。なんでだろうとしばし考えていたらはたと気がついた。これは無精卵なんだ。
 えっ、そう考えると、スーパーで売ってる卵に有精卵なんてあるのか? なんか自分のやってることが無意味に思えてきて、杖をぽいっと投げて、ごろんと寝ころんだ。
 頭がもやもやしてきたのでごろごろしてたらいつの間にかに寝てしまい、気がついたらもう夕方になっていた。コンビニのバイトに行かなきゃ、

 コンビニのバイトをだらだらと過ごして、朝、アパートに戻ってきたら、昨日、ほうり投げた杖が目に入った。
 こんなの買ってバカみたいだなぁって思いたかったけど、それなりの生活費を削って買ったので、割り切れなかった。そこで冷蔵庫にあった卵を全部持ってきて、やけくそになって杖を振り続けた。
 すると、最後のひとつが光を吸い込んで数秒後にことっと振れるように動いた。もしや、と、じっと観察すると、卵は小刻みに動くようになった。が、それ以上にはならなかった。もしかして、また失敗なのかと落胆するところで、がっがっがっと大きく動き始めた。もしや、身動きできなくて暴れているのでは? もう少し観察し続けると、卵の一部分にひびが入って、黄色いくちばしが見えた。あぁ、これは、身体が急に大きくなってしまったため、殻をうまく割って出ることができなかったんだな、と気がついた。そうと判れば、激しく動く卵を手に取り、割れたところからていねいに殻を剥がしていった。
 半分くらい破壊できたところで、中身の黄色い物体はころりと床に落ちて、ぐんぐん大きくなっていった。黄色い産毛の中から白い芯のある立派な羽が出てきたなと思う間もなく産毛は抜け落ちていって、白いものへと変わっていった。さらにそれは大きくなり、頭の上には赤いものが出現し、尾っぽには立派な飾り羽も付き、最終的には背の丈30センチ以上あるおんどりになった。あれ?めんどりを思い浮かべたのになぁ......。
 おんどりはオレを見ると、すり寄ってきて、こっこっことまるで甘えているような声を出した。あれ? こいつ、オレのこと、親だと思っているのか? カモとかは初めて見たものを親だと思うっていう話を聞いたことあるけど、ニワトリもそうなのか?
 はっきりいって卵を産まないおんどりなんて、穀潰し以外の何者でもないのだけれども、今まで頼られることがなかったので......妙にうれしい。いざという時にお腹を満たすために手に入れていたパンの耳の乾いているところを指先で砕いて、皿の上にのせると、一心不乱に突っついていた。か、可愛いじゃないか。もうペットとして飼うしかないじゃないか。

 ちょっとうれしくて、一瞬どうしようかと思ったけど、夜勤明けで非常に眠い。思考もかなり鈍くなってきたので、寝ることにした。というか、ちょっとごろんと畳の上に寝っ転がったら、寝てしまった。
 気がついたとき、もう日の光は少し黄色がかっていた。あっ、ちょっと寝過ぎた、と思ったが、今日は幸いに?バイトは入ってない。むくっと起きあがったとき、手に羽根が触れた。羽根はぐいっと動いて手をかわし、こちらに向かって、コケコッコ、と鳴いた。オレに寄り添って寝ていたようだ。ホントにかわいい奴。

 バイトがないとはいえ、ゆっくりしてると日が暮れてしまう。今日はこの魔法の杖を買った目的を果たすと決めているのだから。
 美女はきっと子どもの頃からかわいかったに違いない。子どもになってしまったら、もしかしたらお友達になれるかもしれない。

68名無しなメルモ:2014/08/13(水) 06:44:42
>>67
すごくおもしろいです!
最初は美女の年齢をうまくコントロール出来ずに赤ちゃんにしてしまったりいろいろ試行錯誤しながら、というのを期待しています。

69LynN2:2014/08/13(水) 21:36:14
感想ありがとうございます。
たぶん、ご期待にはそえないと思います。すみません。

70LynN2:2014/08/13(水) 21:37:08
タッチ! <3/4>


 家から歩いて10分ほどの所にある公園は、かなりデカく、駅へ向かう人たちがショートカットに使うので、静かではあるが、無人になることはほとんどない。オレは公園の中心にある噴水広場に行き、噴水の縁に腰をかけて周りを見回した。
 鬼ごっこでもしているのか?数人の子ども達が駆け回っている。ベンチには営業で疲れたのかくたびれたおやじが腰かけて居眠りをしている。うーん、ターゲットになりそうな女はいないなぁ......。
 10分くらいぼーっとしてると、カツカツとヒールで音をたてて、なかなかのスピードで歩いてくる女性が来た。わき目もふらず前をにらみつけるように歩く姿はなかなかりりしくて美しい。振り回す足は太過ぎず細過ぎずなまめかしいカーブを描いている。スタイルもなかなか良さそうだ。胸もかなりの主張をしている。ま、オレはその姿にはあまりグッとこないけどな。きっとこの娘なら子どもの頃も可愛かったに違いない。
 オレはバッグより杖を取り出して右手で杖の下のほうを握り、あの娘の園児だった頃の姿を予想した。髪は長く、黒くつやつやしている。目は今のようににらみつけてないなら、以外と大きくぱっちりしている。ほっぺは今よりぷっくりしてて、鼻は今でもそれほど主張いていないが、それよりも目立たない感じ。身体はほっそりとしているが、お腹はぽっこりとしてる。手足は細くて、動くととても長く見える。

「ヤーチャイ、マーバットン、プリンタイオフ!」

 杖の先端が光り出し、珠の形へと変化していった。やった、オレの妄想がうまくいっている! オレが右手を振ると、杖の先の光の珠は杖からすぽっと抜け、ブレることなく女性の方へ飛んでいった。女性は何かが自分へ向かってくるのを察知して、立ち止まった。肩に背負っていたトートバッグを前に突き出し、盾にしようとしたが、珠はバッグを余裕で貫通し、女性の身体に吸い込まれていった。一瞬、女性の身体が光ったように見えた。
 それから数秒、女性は全く動かなかったので、失敗か?と思い始めた矢先、トートバッグが地面に落ちた。力が入らなくなったのか、腕をだらりと下げて、ぶらぶらと揺らしていた。顔を見ると、目はどこを見ているのかが判らないし、口は半開きになっていた。美人が台無しだな。
 女性の表情ばかりを観察していたので気づくのが遅れたが、なんか二周りくらい小さくなっていないか?比較するものが側にないので、気分的なものかもしれないが......。いや、いつの間にか袖から出ている手がかなり短くなっている。間違いない! 小さくなってる!!
 女性は直立のまま、どんどん背が低くなっていった。ある程度の背丈になった時、すとんとスカートが地面に落ちた。しかしもうその時はかなり小さかったので、ブラウスがワンピースのようになっていたし、大人用のパンツが収縮性抜群らしく、下半身が露出することはなかった。
 身体に対して大きくなってしまったハイヒールの上でバランスをとるのが不可能になったのか、ころりと転んだ。むくりと起き上がったが、今度はしりもちをついた。



 オレは保護すべく彼女に近づいていくと、彼女は悲しそうな、怒ったような、なんとも表現しづらい顔をしてオレを見つめてきた。自分をこんな姿にした犯人がオレだって解っているみたいだ。そんな顔をしないでくれよ。悪いようにはしないからよ。一緒に遊ぼうよ。ウチにはかわいいおんどりもいるんだぜ。きっと気にいるよ。
 彼女はオレが側に来ると、オレの脚に掴まって立ち上がろうとした。ん?もう歩けるくらいなのか? いや、そんなに小さくしたつもりはないんだが。
 彼女は、オレの脚に掴まりながら、ゆっくりとした動きで、ついにたっちした。そしてオレを見上げながら、ぴょんぴょんとジャンプを始めた。転ばないようにか、左手はオレの脚に掴まったまま、右手を高く掲げて、手のひらをこちらに向けてくる。まるでハイタッチを求めているようだ。ん?なんだろう? だが優しいオレはその求めに応ずることにした。

ぺちっ!

71名無しなメルモ:2014/08/14(木) 09:30:52
気の強そうなOLがよちよち歩きの幼児に戻るシーンに感動しました!!
しかも自分を若返らせた犯人だと分かって睨み付けてる姿に激しく興奮しましたね。
続き楽しみに待ってます!!

72LynN2:2014/08/14(木) 22:17:42
感想ありがとうございます。
ARは書きなれてないので難しいです。

73LynN2:2014/08/14(木) 22:18:21
タッチ! <4/4>


 オレが右手を彼女へ差し出すと、彼女は的確にオレの手のひらを叩いた。んっ、かわいいなぁ、と、思った間もなく、オレの頭の中を「キーン」という音が通り過ぎ、それと同時に身体から力が抜けていくように感じた。何だ、貧血か? まぁ、最近はろくなもん喰ってないからかなぁ? 目も霞んで見えるぞ。目をごしごしとこすっていると、少し見えるようになったが、目の前の女の子、彼女がさっきより大きくなっているような気が......。さっきまではオレのすねを掴んでいたはずなのに今はオレの腰を掴んでる。んっ? それどころじゃないぞ、見てわかるくらいぐんぐんと背が伸びてきている。オレが呆けている間に身長がオレと同じくらいになったぞ。......でも変だ。魔法の杖を使う前の彼女は意外と背が高くて、日本人の男の平均身長よりやや低いオレとどっこいどっこいだったはずだ。でも目の前にいる彼女は、確かにオレと同じくらいの身長だが、見た目が......小学生高学年くらいにしか見えない。

 身体に力が入らず、彼女の変化を観察するくらいしかできないオレに、状況を把握するきっかけが訪れた。なんと、ズボンがずり落ちたのだ。えっ、そんなにベルトを緩くしていた訳じゃないのになぁ、と引き上げようと下を見ると、トランクスの丈が膝下まであり、裾からはまるで子供のような細い足が出ていた。あぁ、オレが若返っているのか。

 納得できないようなことを無理に納得している頃、彼女はさらに背が伸び、胸もびっくりするほど大きく膨れ上がっていった。目の前には脂肪が付き、なまめかしいカーブを描いた足があり、子供好きのオレでも素直にきれいだど思った。足をしげしげと眺めていると、バランスを崩し、地面にぺたりと尻餅をついた。はっとなって、自分の身体を見回すと、どう見ても保育園にすら預けられないくらいの年齢にしか見えなかった。

 彼女はオレに一瞥をくれると、腰に手をあて、パンツを引っ張り始めた。小さくなった時に位置ズレしたのだろう。何度か腰を振った。次にブラジャーに手をかけた。ブラは完全に位置がずれており、はっきりいって、オレの位置からだと乳首が丸見えなのだが、ブラウスは脱げなかったので、他の人からは見えないだろう、というか、胸は隠せてても、パンツは他の人からもろ見えだと思う。まぁ、そんなに人がいるわけではないのだが。ブラはずらしても復旧が難しいのか、ホックに手を掛け、一瞬外して、身体を揺すった後、またはめ直した。ストラップを片方ずつ引っ張って位置合わせをし、これまた片方ずつカップの中に手を突っ込み、脇の肉を集めてくると、巨大なバストがさらに巨大になった。続いてブラウスを整えた後、落っこちたスカートを引き上げて履き直した。ストッキングのしわを丁寧にとった後、ハイヒールを履いて、大体元の姿に戻った。

 彼女はしゃがむとオレに顔を近づける。
「全く、油断も隙もないわね!」

......?

「あぁ、あなたが子供になったのは、魔法の効果をあなたに移したからよ」

......??

「さっきタッチしたでしょ?」
 と、呟くと、立ち上がり、周りを見回し、魔法の杖を拾い上げた。
「これは没収ね」
 そういわれたどころで、オレには抵抗のしようもない。
 ......ただ、心の底からしゃべりたい一言が沸き上がってきた。両手をあげて、勇気を出して声を発した。

「だっこ」


<おわり>

74名無しなメルモ:2014/08/15(金) 22:06:41
>>73
最高に興奮しました。
幼児に戻された主人公の続きを読みたいです。

75<削除しました>:<削除しました>
<削除しました>

76LynN2:2016/02/21(日) 21:22:03
或る日 <1/3>


 もう少しで夏休み、という夕方、僕は一人、教室の自分の机に座ってラノベを読んでいたんだ。
 僕の通う学校は幸いなことに教室にエアコンが付いていたし、入学してから友達もできなかったんで、どこかへ行くくらいなら教室でラノベを読んでいたほうが涼しいし、楽しい。

 ガラガラ、と戸が開いて、ゴリラ顔の男が顔を出す。教務主任の多田だ。
「おーい、あと1時間くらいでエアコン切るからな、帰れよ!」
「はーい、わかりました」
 とりあえず、相手が納得しそうな返事をすると、ゴリラ顔は顔色を全く変えずに出ていった。
 まぁ、面倒が過ぎればいいや、と思いつつ、ゴリラの話は本当だろうから、どこかへ退散しないと。コーヒーショップが一番いいんだけど、高校生のこづかいじゃ毎日入り浸るわけにいかないし……。
 と、思いつつも再びラノベを広げて読み始める。

「ねぇ、本読んでて楽しい?」
 横から声がする。あれ? この教室には僕しかいなかったのに。
「ねぇ、無視しないでよ!」
 おそるおそる横を見ると、すぐそばに女の子が立っていた。服装はこの高校の制服だったから、この学校の生徒だと思うんだけど。
「君は?」
 女の子はそれを聞いて口を尖らせた。
「君、って、そんな言い方ないんじゃない? 同じクラスなのに」
「えっ、そうだったっけ?」
「川島、川島やよいだよ。木村君。」
「あ、あぁ」
「やっぱり。木村君、クラスの子の名前くらい覚えておくもんだよ、たとえ嫌いとか、興味がない子でも」
「そうなの?」
「そうだよ。クラスメイトである以上、年に何度か係わることがあるんだから」
「でも……」
「言いたいことはわかるよ。木村君が友達いないし、作る気も無さそうだし」
「……」
「ご不満?」
「そんなの判るのかよ!」
「わかるよ。ボクも友達いないもん!」
「えっ? そうなの?」
「そうだよ。そうでなきゃ、ほとんど人がいない学校をうろうろなんてしてないでしょ?」
「……うん」
「で、ひとりぽつんと教室で読書にいそしむ男の子がいたから、声をかけてみたって訳よ。で、本読んでて楽しい?」
「楽しいって程じゃないけど……、何もしないよりはいいかな」
「そう。で、どんな本なの? えっちな本?」
「えっちなって、ラノベだよ。女の子が読むにはちょっとえっちかもしれないけど」
「ふうん?」
 川島さんはラノベを持ってる僕の右腕に手を当ててきた。彼女の手はひんやりとしていた。しゃべり慣れない女の子との会話で火照った僕のからだに心地いい。
「うーーーん、うん? 木村君、ロリコンなの?」
 突然、思いもしない言葉を言われて、ちょっとたじろいだ。そして弁明する。
「ぼ、僕はロリコンじゃないけど、ただ、たまたま今読んでいるラノベが異世界物で、異世界に行った高校生の女の子が勇者となる過程で、伝説の宝剣の所有資格を満たすために身体が若返ってしまったのが、意外と気に入ってはいるんだけど……。その程度だけど……??? ……ホントだよ!」
「そーかぁ、じゃあ試してみようか?」
「試す? どうやって?」
「こーやってだけど」

 先ほどから川島さんの手は僕の右腕に手を当ててたままだったのだけど、さっきまでは川島さんの手はひんやりとしていたのに、今度はカイロのように人の体温よりずっと高い熱を発し始めた。どうなったんだろうと川島さんの顔を見ると、目が合って、にっこりと笑顔を返してきた。
 のだが、その後すぐに笑顔は消えて、苦しそうな顔に変わった。
「どうしたの?」
「……」
 か細い声で返事を返す。ほんとに大丈夫なのか?
 左の手を僕の右腕に当てている川島さんの乗せると、熱いというよりか、暖かかった。
 再び川島さんの顔を見ると、心なしか少し幼く見えた。背も少し縮んでいるのは気のせいか?

77名無しなメルモ:2016/02/22(月) 01:00:37
期待

78名無しなメルモ:2016/02/22(月) 14:13:38
いいですね!

79LynN2:2016/02/22(月) 21:27:28
或る日 <2/3>


「気のせいじゃないよ」
 まるで僕の心を読んだかのように川島さんが答える。
「そう、木村君の心を読んだんだよ。さっきもロリコンだって言っただろ」
 だからロリコンじゃないって!
「ふふっ、別に責めているわけじゃないよ」
えっ、口に出してないのに。
「だから言ったろ、木村君の心を読んたって。ボクはね、心を読める人の気持ちに体が同調して、変化するんだ。いや、する時もある、って感じだけれども。木村君とはかなりいい感じみたいだ」
「そう、なんだ。でも、そんなこと……」
「気持ち悪いかい? まぁ、でもそれが普通の人の反応だね」
「……」
「だから友達は作らないでいたんだ。後で嫌われるのが嫌だったから」
「……」
 僕がなんて答えていいかわからなくて、黙っていたのに、川島さんはそれまでの苦痛に耐えてる顔から、次第にニッコリとした顔に変わっていった。
「うーん、木村君の気持ちは、特にボクに合うようだ。何か気持ちが安らいできたよ」
 川島さんが話している最中に、川島さんの背が急にすとんと落ちたように、低くなった。もう立ったままで、机の上にあごを乗せられるくらいだ。もしかしてしゃがんでいるんじゃないかと思って、足元を見たら、普通に立っていて、制服のスカートが床に拡がっていた。ブラウスがワンピースのように下半身を隠していて、ブラウスから出てる足は痛ましいくらいほっそりしていた。
「ははっ、縮んじゃった」
 川島さんは照れながらつぶやく。
「すごい、ね……。」
「もうっ、すっかりロリータだよ! やっぱり木村君、ロリコンじゃん」
 川島さんは身体を大きく手を振ってがっかり感を示そうとしたみたいだが、何が動きが変だ。そしたら盛んに身体を左右に振り始め、そして止まった。ちょっと不機嫌な顔。
「もう、ぶ、ブラが変な感じに引っかかってるんだよ! 気持ち悪い! 袖も中途半端な長さになっちゃったし!」
 そう言うと、ちっちゃな手でブラウスのボタンを外し始めた。指が短くなってうまくいかないのか、ひとつのボタンにも結構時間がかかってる。だからといって、手伝うわけにもいかないし……。
 川島さんは、なんとかすべてのボタンを外し、ブラウスを脱いだ。辛うじて片っぽのストラップが肩に引っかかって状態を維持しているだけのブラジャーが顔を出す。それも気に入らないのか、ストラップを肩から外すと、ブラジャーは足元に落ちた。パンツは……伸縮性がいいみたいなので、ちゃんと位置を維持していた。
 川島さんは腕をぶんぶんと振り、身体を揺すると、
「なんか身体が軽いわ!」
 と言いながら、教室をスキップしたり、ぴょんぴょん跳ねたりした。ほんとに子供になっちゃったみたいだ。かわいいけど……。
 川島さんは、僕がじっと見ているのを察したのか、僕のところに戻ってくると、
「やーね、ロリコンだから仕方ないけど……、ボク以外の子供をじっくり見てると警察に連れてかれちゃうよ?」
「川島さんは見てていいんだ」
「まぁ、乗りかかった船っていうやつですか? どうせなら普段のボクを見ててくれればいいのに」
 そんなこと言われちゃうと、さっきまでの制服姿の川島さんが脳裏に浮かんできた。背はそれほど低くはないけど、僕よりは低くて、ほっそりとしてて、胸もほっそりついででささやかな感じだったけど、大人になったらもう少しは大きくなるのかな???
「エッチ!」
「えっ!」
「君のエロい妄想がどんどん入ってくるよ? ロリコンだと思ってたけど、女なら何でもいいのかね?」
「いや、そういうわけじゃ……」
「……そう、私に興味があるってわけね。さっきまでクラスメートであることすら知らなかったくせに!」
「……ごめん」
「……まぁ、いいよ。ボクも、なんとなく、君、木村君が気になって近づいてみたんだ。そしたらかなり相性よかったみたいだったし……」
「う、うん、へんな言い方かもしれないけど、今は川島さんに興味津々なんだ」
「ありがとう。……で、また身体が変化しそうなんだ」
「そうなの?」
 川島さんは、小さな手で僕の手を握ってきた。川島さんの手はさっきみたいにカイロのように熱を発していた。顔はさっきと違って安らかな笑顔だった。

80名無しなメルモ:2016/02/23(火) 12:40:42
>>79
シチュエーションいいですね!
(勝手な妄想ですが、立ったまま机にあごが乗せられると言うことは3-4歳
(机の高さが1号だとして)90-100cm程度の身長ということですかね)

81LynN2:2016/02/23(火) 22:15:10
或る日 <3/3>


 川島さんの背は少しずつ伸びていって、ある程度の高さになると、ほっそりとした身体が膨らんできた。胸がちょっと尖ってきたと思ったら、ぷくっと膨らんで、それもある程度の大きさになると、ちょっと重力の影響を受けて身体からぶら下がって、実っているという表現がぴったりくる感じになった。下のほうを見ると、先ほど脱げなかったバンツが悲鳴を上げているかのごとく左右に引っ張られ、腰に食い込んでいた。顔を見ようとしたら、顔が僕の顔よりも少し上にあった。あれ、川島さんって、僕より背が高かったっけ?
「んっ! なんか、木村君より大きくなっちゃったみたい。木村君、ロリコンかと思ったら、大きい女も好きなの? ホント、女なら何でもいいんだね!」
「いや、……そんな訳では……、何でだろう?」
「胸も大きくなっちゃった。あんまり大きくなかったのを哀れんでくれたのかな?」
「いや……」
「まぁ、いいや」
川島さんは僕の頭に腕を回すと、そのまま腕を締めてきた。つまりは……僕の顔は川島さんの胸に押し付けられたわけで……。
「どう? 大きい?」
「んっ、んっ、んんんっ〜」
「もう、なに言ってるの!?」
 あきれた顔をして、川島さんは腕を緩めたので、僕はやっと息をすることができた。大きく息をすると、何か甘酸っぱいような、芳しい香りが鼻をくすぐる。
「木村君、おっぱい好き?」
「……う、うん」
「やっぱり? なんかとーっても甘えたい感じだったよ?」
 そう言うと、川島さんの背はまた伸び始めた。あっという間に天井に着くくらいの身長になった。足がかなり長くなって、僕を跨げるくらいになった。今までなんとか状態を維持してたパンツが断末魔を迎えた。胸も片側が僕の頭くらいあるんじゃないかなぁ。
 ぼーっと観察してたら、手が両側から接近してきて、上半身を掴まれた。そのまま僕は持ち上げられる。そして抱き人形のように抱かれた。というか、胸に押し付けられた。まぁ、なんと言えばいいのか……、気持ちいい、と言えばいいのか。
「木村君、赤ちゃんみたい」
 そんなこと言われたら、返す言葉はこれしかない。
「ママ……」
 つぶやくと、川島さんは破顔一笑して、さらに強い力で僕を抱きしめる。
 そして、次第にその力は弱くなり、顔の位置まで持ち上げられた。目を閉じて、唇を合わせる。
 そして、ちょっと顔を離して、見つめあった。
 そしたら、川島さんがあら? という感じの顔をして、
「木村君の……膨らんでるよ!」
 普通、こんな状況ならそうなるよ。
「木村君、ボクと……したい?」


ドンドン


 突然ドアが外から強く叩かれた。川島さんはびっくりしたのだろう。突然、僕は落下して、足に衝撃が走り、耐えられずに尻餅をついた。
「帰れよ!」
 外から教務主任の多田が叫ぶ。
 もしかしたら中に入ってくるんじゃ? もし大きな川島さんを見られたら? なんて答えたらいいんだろう?

 暫くの沈黙があった後、多田はもう一度、
「帰れよ!」
 と言って、バタバタと大きな足音をたてて去っていった。

 よかった!
 僕は大きくため息をつく。
「川島さん! よかったね!」
 周りを見回したが、川島さんはいない。
「川島さん?」
 叫ぶと、机の影にしゃがんで隠れていたと思われる川島さんが、ひょっこりと顔を出す。 立ち上がった姿は、変化する前の、僕よりちょっと背が低く、胸も……控えめな普通の高校生に戻っていた。服は全く着ていないけど。

「川島さん、大丈夫?」
 川島さんは、僕のつぶやきを無視して、いきなり抱きついてきた。
「ボクと木村君、スゴく相性がいいよ!」
 女の子のすべすべした肌触りに、ちょっと気持ちよくなって、返答しないでいたら、
「ねぇ!」
 川島さんは、ちょっと語気を荒げた。
「あっ、ごめん!」
 川島さんはにっこりと笑い、
「ねぇ、私の家、夜遅くならないと親が帰って来ないんだけど……、今の続きやらない?」


<おわり>

82LynN2:2016/02/23(火) 22:16:10
読んでくださってありがとうございます。

身長については、あんまり考えてないんですよね。
小さいか、大きいか位しか。
まぁ、天井に着くくらいの身長では、身長150〜160cmの人は跨げないよなぁ、とは思いましたですけど(笑)。

83LynN2:2016/06/08(水) 22:04:18
カードキャプテンささら <1/3>


 わたし、高月ささら。
 ただの小学四年生、のつもりだったんだけど、魔法が使えるようになっちゃった。
 ある日、全くぬいぐるみにしか見えない、ケラちゃんっていう名前の生き物?がやってきて、わたしには魔法を使う能力があるっていうの。正確には、この世の中にはホーガンカードっていう魔法のカードがあって、そのカードをあやつる力がわたしにはあるっていうこと。わたしみたいにホーガンカードをうまく統率できる人のことを、「カードキャプテン」って、ケラちゃんは呼んでたね。
 ぬいぐるみが流暢に日本語をしゃべるのすらびっくりしているのに、わたしが魔法を使えるなんてありえないわ、って思ってたのに、意外とご近所にはその魔法のカードが潜んでいて(ケラちゃんがいうには、わたしが魔法を使う能力が高いので、惹かれて集まってきているらしい)、カードっていっても、人に使われるときだけカードの姿をしているだけで、単独でいるときは妖精というか、精霊というか、人とか動物の姿をしているのだけど、風や水をあやつるカードは、向こうからやってきて、仲間になってくれた。
 仲間になったカードを使って、ご近所に潜んでいるカードを捕まえ、また、わたしの力として使っていく訳だ。
 んで、どんどん強くなっていくわたしの力は、何に使うのかといえば、特段使い道はない、訳で、なんでカードを集めなくちゃいけないのか?と思うのだけど、ケラちゃんは、カード集めるの、楽しいでしょ?というだけで……、ちょっと怪しいかも。まぁ、今楽しければいいのかなぁ。

 今日は特に何もすることもなく、学校が終わってからまっすぐ家に帰って、家でおやつを食べながら、ボーっとしていたら、呼び鈴がピンポンと鳴った。
 あれっ? 誰かしら? と思いながら玄関の戸を開けると、年は30前後くらいの美女が立っていた。顔はもちろんながら、胸や腰もかなり豊かで、男好きな感じの風貌だ。

 その美女は、わたしを見ると、
「ささらちゃん! 助けてほしいの!」
 とつぶやいた。
 はぁ〜? なんでわたしの名前を知っているの?
「私、たまよよ! 板部岡たまよ」
 えっ、たまよちゃんっていったら、わたしと同い年の、すごいかわいい子。わたしは親友だと思っているんだけど、彼女はわたしのことを恋人だと思っているみたいなんだけどね。ちょっと引くわ〜。
 30歳くらいのおばさ……おねえさんがたまよちゃんだなんて?
 私の疑わしく見ている顔色を見て、
「本当にたまよなの! 信じて!」
 と、食い下がる。
 そのやり取りを陰から見ていたケラちゃんが出てきて、話に割り込んできた。
「ホントにたまよかどうかはわからんけど、ホーガンカードのにおいがするよ」
「そうなの?」
「そうよ! きっとホーガンカードのせいよ! だって、学校の帰りに変な女の人に話しかけられたら、こんな姿になっちゃったんだもの」
 そうだった。たまよちゃんにだけはホーガンカードの話をしてたし、捕まえにいくときも同行してもらっていた(勝手について来てただけだけど)んだった。じゃ、本当にこのおば……おねえさんはたまよちゃんなのか。
「背が伸びて、スタイルがよくなるのかと思ったら、胸やおしりが無駄に大きくて、こんなにぶよぶよになっちゃった」
 と、いって、わたしの手を引っ張り、無理やり胸に押し付けようとした。間違いない、たまよちゃんだ。
「わかったよ、カードのせいみたいだから、捕まえにいこう」
「さすが、ささらちゃんですの」

84LynN2:2016/06/09(木) 22:30:39
カードキャプテンささら <2/3>


 魔法を他の人に見られるわけにはいかないので(変人と思われたらいやなので)、暗くなってから出かけた。
 たまよちゃんは家の近くの路上でホーガンカードと出会ったらしい。
 まだいるのかな?と思いつつ、たまよちゃんに道案内してもらって現地に行くと、なんとたまよちゃんの家から100メートルも離れていない。道の両側には高い壁が立ち並ぶ、いかにも高級住宅街である。
 こんなところで?と、一瞬思ったが、ケラちゃんが、
「ホーガンカードの気配がする」
 と声をかけてきた。いわれなくてもわたしも感じてる。
 70〜80メートル先の道端がぼうっと怪しく光りだすと、その光は女性の姿へと変わっていった。その姿は、ギリシャの彫刻のような白い布を巻きつけた感じの服を着ているが、大きく胸元が開いていて、胸の巨大さを見せつけていた。身長は170センチくらいで、足は長く、メリハリはあるが、全般的に脂肪が乗っているような身体で、まさにグラマラスというものはこういうものだ、という見本のようだった。

 ささらはカードの束を左手に持ち、その上に右手を載せた。カードが鈍く光りだす。
「あのカードの動きを止めて! ウインドっ!」
 叫びながら右手をカードを飛ばすように前方へ振り出すと、その動きに合わせてカードから光るものが飛び出した。その光は進むにつれて、上半身が女性のような形を取り、下半身は飛行機雲のように細長い物体となって尾を引き、人の体を成しているカードの方へ向かっていった。
 ウインドのカードはスピードを緩めずに謎のカードへ巻きついていったが、ある程度巻きついたところで、謎のカードはにっこり笑うと、姿が薄くなり、霧のように消えてしまった。ウインドは困惑の顔を見せた。
「あれ? どこに行ったんだろう?」
「意外と賢そうだね」
「そうみたい。ウインドっ、戻って!」
 ウインドのカードは腑に落ちないといった顔をしながら、飛び出した時と比べてゆっくりとささらの持つカードへと戻っていった。
 それを見計らったかのように、今度はささら達のいる場所から50メートルくらいの道端が怪しく光りだし、先ほどの謎のカードが実体化した。
「今度こそ! ウォーターっ! いけーっ!」
 ささらの持つカードから、また光る物体が飛び出していった。今度も上半身が女性のような形になっているが、続く下半身の部分は強力な水流のような形態で、辺りにしぶきを撒き散らしていった。
 ウォーターのカードはまっすぐ謎のカードに向かっていき、体当たりをしようとしたが、直前に謎のカードが先ほどと同様に姿を消してしまったので、数10メートル、オーバーランをして、向きを変えた。
「まただ! どうしたらいいんだろう?」
「ささらっ! 横に!」
 ケラちゃんが叫ぶ。
 はっとして横を見ると、すでに右横1メートルくらいのところに謎のカードが実体化していた。
 謎のカードを凝視すると、にっこりと微笑んできた。身構えようとしたが、体が動かない。
 彼女はゆっくりと近づいてきて、かがむと、ささらのおでこにキスをした。そしてまたにっこりと笑う。
 すると、キスをされたおでこが発熱してきた。そしてその熱が顔に、首に、胸に、腕に、おなかに、足へと移っていき、全身がほてった感じになった。何か変な感じで、考えることもままならない。
 しばらくすると、ささらの背が伸び始めた。特に足の伸び方が顕著で、制服のスカートはひざが隠れるくらいだったのに、今は太ももが露わになっている。スカートの中に突っ込んであったブラウスの裾がゆっくりと引っ張り出される。ブラウスの肩がぴっちりと張った状態になり、肩幅が広がる力に勝てずに、袖の縫い目から破れていった。
 急に足に痛みを感じて、右足を持ち上げようとしたら、しりもちをついた。足を見ると、靴の大きさに比べて靴から出ている甲の部分がかなり大きく見えた。あわてて靴を脱ごうとしたが、紐がうまく解けない。悪戦苦闘して、何とか両方の靴を脱ぎ、立ち上がったら、心配したのか、たまよちゃんがそばに来ていた。しかし、たまよちゃんは大人の身体になったはずなのに私より背が低かった。そっか、わたしも謎のカードの力で大人になっているのか。

85LynN2:2016/06/11(土) 09:09:56
カードキャプテンささら <3/3>


 身体を見回すと、たまよちゃんはおば……お姉さんになったのに、わたしは背が伸びただけなのか? などと思っていると、胸に不思議な刺激を感じ始めた。
 じわじわと、さっきほてった時と違う、刺激が胸の先からおなかへ、そして股へと拡がっていった。
 股の刺激が、今までに感じたことのないような刺激で、手で触れて見たくなった。でもここはお外で、みんながいて、見られたら恥ずかしい。そんな葛藤を巡らせているうちに、胸のあたりが窮屈に感じた。
 何かと思って、視線を下に向けると、ブラウズが大きく張り出していて、スカートや足が見えなかった。えっ、と思って、無意識に胸に手を当てると、片手では包めないくらいの大きさになっていた。そしてそれは、まだ膨張を止めるつもりはないようで、触れている手をさらに持ち上げていった。
「服が破けちゃう。でも、このままだと……苦しい」
 ささらの意思を無視するかのように、ふくらみはブラウスの下に着ているTシャツを押し上げていき、余裕がないほどにぴっちりと張り付いていった。ふくらみがTシャツを引っ張るので、首に圧迫感がくる。首だけはなんとかしないと、と考え、首周りのブラウスのボタンを外すと、Tシャツの襟に指を突っ込み、引っ張られるのを抑えようとした。が、うまくいかない。現状を維持するのがやっとである。うまく抑えるのができない苛立ちから、気が立ってきて、力任せに襟を引っ張った。すると、思ったよりあっさりと襟が引き裂かれた。体が大きくなって、力も強くなったのかと、ささらは恥ずかしくなった。亀裂はTシャツの胸の辺りまで到達し、一時の圧迫を脱したふくらみは、容赦なくブラウスを押し上げ、ついには胸辺りで攻勢を抑えていたボタンを弾き飛ばした。
 ぽろんと外に出てきてしまったふくらみをあせって手で隠そうとしたが、先端部を隠すのが精一杯なほどの大きさだった。
 身体の変化が一段落したようなので、改めて身体を見回そうとしたが、手が動かせないので、ぎこちなく身体全体を動かして観察する。先程までは手も足もただ長い、という感じだったのだが、今は適度に脂肪がついて、むっちりとした感じになった。しかし、手足の長さのせいで、ぽっちゃりという感じには見えない。胸の対応に気を取られて気がつかなかったのだが、スカートのホックが壊れたらしく、ずり落ちて大きくなった腰に引っかかっていた。スカートが健在なため、よく見えないが、圧迫感があるので、パンツも健在のようだ。
「あぁ、もう、たまよちゃんをあざ笑えない」
 聞こえないようにつぶやいたつもりなのに、いつのまにかにたまよちゃんがすぐそばに寄って来ていて、
「あぁっ! いいっ! ささらちゃんにはいくらでも罵られてもいいの!」
 などとほざいてる。なんて恐ろしい女。
「さすがはささらちゃん。いつもは素晴らしくかわいいのに、大人の身体になったらとても美しいですの」
 などといいながら、体中をいじりまわすのはどうなのか。こら! 胸をもむな!

「お取り込み中、申し訳ないのですが……」
 はっとして声のする方を見ると、謎のカードがにやにやと笑いながらこちらを見ている。
 謎のカードはささらの耳に口を近づけると、
「とてもキレイよ! 私をいっぱい使ってね」
 と囁いた。そして身体が光りだしたと思ったら、ソフトボールくらいの大きさの球状に変化して、ささらの胸元へ飛んできた。
 暖かい光を発するそれを見たささらは、にっこり笑って、両手を差し出した。
 光は手の上にゆっくりと着陸すると、一度大きく光り、カードへと変化していった。
 カードには先ほどの女性の姿の絵と「mature」という文字が。
「マチュア?」
「そう、マチュア。人や物を成熟させる力があるんだ」
「ケラちゃん、知ってたの?」
「そりゃ、ホーガンカードのことを知らないわけがない」
「ひどいっ! カードの能力を教えてくれてたら、対処のしようもあるじゃない!」
「そりゃ、ささらのあられもない姿が見たかったからで……」
「もっとひどいっ!」

 ケラちゃんと言い争いをしているうちに、わたしの身体は変化していった。
むっちりと、脂肪のついた身体はほっそりと。途方もなく大きな胸も空気の抜けた風船のように縮んでいった。細い、針金のような身体になると、背が縮んでいって、元の姿に戻った。
 元の姿に戻ると同時に、スカートがすとんと落ちた。パンツが丸見えだ。
「いやーーーっ!」
 あわてて手で隠す。
「あらっ、ささらちゃん、胸も丸見えですの」
 これまた元の姿に戻ったたまよちゃんが指摘する。
「もーーーーっ! いやーーーーーー!」


<つづ……かない>

86LynN2:2016/07/18(月) 11:00:22
秘薬 <1/2>


 おかあさんが仕事で遅いので、いつも夜まで保育園にいる。
 今日は、かなでちゃんと二人っきりになった。
 かなでちゃんがおしっこに行って、お部屋に一人っきりになったと思ったら、園長先生が突然入ってきて、ぼくにジュースをくれた。
「かなでちゃんに見つからないように、早く飲みなさい」
 園長先生はにっこりと笑いながら言ったが、なんかこわい感じがしたので、あわてて飲み干した。園長先生はぼくが飲み干したのを確認すると、ジュースのからをひったくるように取って、どこかへ行ってしまった。
 そのうちにかなでちゃんは戻ってきて、絵本を読んでいた。
 ぼくは積み木でお城なんだかよくわからないものを作っていたら、なんかパンツがきつくなった。なんか気持ち悪いので、ズボンを脱いだら、パンツの前がもっこりしていた。パンツをぺろんとめくったら、ぽろんと出てきたのはぼくのだった。
 ぼくのは、いつもよりずっと大きくなっていて、いつもは皮をかむっているのに、いまは皮が縮んで先っぽがでている。お風呂で見てるパパのより大きいと思った。
 つかんでみると、太いけど、いがいとやわらかかった。しばらくすると、太さが増して、かたくなってきた。長さも伸びて、色も赤黒くなってきた。
 何気なく手を動かしたら、何とも不思議な感覚がきて、ついしごき始める。先っぽから透明なおつゆが出てきた、と思ったら、びくん、びくん、と大きく動いた後、先っぽから白いおつゆが飛び出て、数メートル先まで到達した。少し変なにおいだけど……、気もち……いいっ!

 気もちよくて、ぼーっとしてたら、
「なにしてるの?」
 かなでちゃんが横にいた。
「なにかあまいにおいがする?」
 きょろきょろとにおいの元を探し……、ぼくのおまたで大きくなっているぼくのを見つけると両手で握って、顔を近づけた。
「ばっちいよ!」
 かなでちゃんはくわえようとしたが、大きすぎたので、ぺろぺろと、アイスをなめるようにぼくのをなめた。また不思議な感覚がきて、一回り大きくなり、びくん、びくん、と大きく動いた後、先っぽから白いおつゆが出た。白いおつゆは3分の1くらいはかなでちゃんの口の中に入り、残りは顔にかかった。
「だいじょうぶ?」
 かなでちゃんは、むせそうだったが、こらえたみたいだ。口の中のものを口をゆすぐみたいにぐちゅぐちゅと口の中でころがした後、ごくんと飲みほした。
「にがいけど、おいしい!」
 かなでちゃんは口のまわりを舌でなめた後、舌でとどかない部分のおつゆを手でぬぐってはぺろぺろとなめた。

87LynN2:2016/07/19(火) 21:56:15
秘薬 <2/2>


「もっとだして!」
 かなでちゃんはぼくのを強くしごき、さぎっぽをくわえてきた。
 さっきはくわえられなかったのに、今はくわえられるんだ……。と、思って、かなでちゃんを見ると、着ていたTシャツがぴちぴちになっていた。さっきまでは、ぼくより背が低かったのに、いまは小学生のおねえさんくらいの背になっていた。
 かなでちゃんの口で、ぼくのはまたびくんびくんと動き、今度はすべてかなでちゃんの口の中に入った。

「ああーんっ!」
 口の中のものを飲み込んだかなでちゃんは、声をあげながら立ち上がった、
 からだはどんどん大きくなり、びりびりと音を立ててTシャツが破けていった。スカートのつりひもがぷちんと切れると、スカートが床へと落ちていった。パンツは横に引っぱられ、わきの部分が切れると、これまた床へ落ちていった。
 はだかんぼになったかなでちゃんは、すっかり大人になっていた。でもママよりは若い感じがした。おっぱいはママより大きいけど、おしりは小さそう。
 かなでちゃんは右手でおまたをいじり始め、左手でおっぱいをいじっている。しばらくすると、足におつゆがたれてきて、おっぱいの先がとがってきた。
 かなでちゃんは、ほくをまたぐように立つと、腰を下ろしてきた。かなでちゃんのおしりはママよりは小さいとはいえ、とても大きい。
 パパのよりもずっと大きいのに、ぼくのがかなでちゃんのおまたの中へめり込んでいく。ほぼ全部入った後、かなでちゃんは上へ下へ動いて、ぼくのをしごいていく。ぼくは、今日、何度目かのふしぎな感覚の後、かなでちゃんに出した。
「んんっーんっ!」
 かなでちゃんは気持ちよさそうな顔をして、ぼくにのしかかってきた。重いけど、いやな感じはしなかった。

 突然、ぼくたちの横に人が現れ、かなでちゃんの腕を掴むと、引っぱりあげた。
 園長先生だ。
 園長先生はかなでちゃんの頬をたたくと、びっくりしたかなでちゃんをぼくから引きはがした。
 かなでちゃんは、最初、びっくりしたような顔をしていたが、痛みを感じ始めたのか、頬に手を当て、ぽろぽろと涙を流し始めた。
「このドロボウ猫!」
 園長先生はかなでちゃんをののしると、しゃがんでぼくのをしごき始める。
「これは私のものよ!」
 園長先生はぼくのをくわえると、かなでちゃんと比べものにならないくらいに気持ちいい感じがやってきて、今までにないくらいにびくんびくんと動き、園長先生の口の中にいっぱい出した。
 園長先生はごくんと飲み干すと、とても気持ちいいっていう感じの顔をして、伸びをした。
「ああっ! いつ飲んでもこれは最高ね!」
 園長先生の顔のしわが少しずつ減っていって、つるつるになった。
「あっ!?」
 園長先生がちょっとびっくりした顔をする。
「ブラのホックが飛んじゃったみたいね」
 見ると、ブラウスの胸の部分がぱんぱんにはれ上がっていて、窮屈そうだ。
 園長先生は立ち上がると、スカートを脱ぎ始めた。ほっそりと長い足が出てきた。ぼくのがひと回り大きくなる。
「あらっ? 足が好きなの? おませね!」
 園長先生はぼくをちらりと見ると、続けてパンツを下ろし、邪魔そうに投げ捨てた。
 園長先生もかなでちゃんのようにぼくをまたぎ、腰を下ろしてくる。ずぶずふとぼくのが園長先生のおまたの中へと入っていく。そして上へ下へ動いて、ぼくをしごいていき、気持ちよくなり、出した。
「いいわっ! もっと出してね!」
 園長先生は上を見上げながら、動き続ける。

 すると、ぼくたちの横に2人の大人がやってきた。ゆかり先生と京子先生だ。
「園長、もう10代にしか見えませんよ」
「そう。またしばらくはおばさんメイクでごまかさなくちゃね」
 園長先生はにやっと笑う。
「私達にも飲ませてくださいよ!」
「ああ、いいけど、もう少し楽しんでからね」


<おわり>

88名無しなメルモ:2016/10/03(月) 01:01:11
面白いですね

89 LynN2:2020/09/27(日) 22:08:23
幼なじみの子 <1/13>


 真っ赤な夕日が今、山に隠れ、急に辺りが暗くなってくる頃、祐太の前にその女性は現れた。
 少しくすんだ白のすそが長く飾り気のない、野暮ったい感じのするワンピースを着ていたが、それより特筆すべきは、女性の背の高さである。村にいる大人の誰よりも大きいだろう。裕太が見上げても遠くて顔がよくわからない。
 女性は、

「ゆうたちゃん……」

 とつぶやいた。
 えっ、という感じがして、裕太は顔をじっくり見ようとしたが、よく見えない。しかし、にっこりと笑った気がした。

「裕太っ!」

 急に大声で名前を呼ばれ、びっくりした裕太が周りを見回すと、近所に住む健二兄ちゃんだった。

「誰だ、そいつ?」
「えっ?」
「誰と話してたんだ?」
「誰と、って……?」
「今そこに大きな女がいただろ?」

 そういえばそうだった、と、周りを見回したが、さっきの女性はいなくなっていた。

「???」

 途方にくれていると、健二兄ちゃんが、

「ウチの地区にはあんなデカい女いないだろ?」

 と言ってきた。ぼくもあの女の人は見たことないけど……。

「あれって、ネットで昔、話題になった八尺様じゃないのか?」
「……」
「あぁ、裕太にはわからないかぁ。そんな言い伝えみたいのがネットで話題になったんだよ」
「……」
「あぁ、いいんだ。今日はもう家に帰りな」
「……うん」
「よし。あと、あの女とか、変なヤツを見かけたら、近寄らずに逃げるんだ。で、オレに言うんだぞ。変なヤツを見たって」
「うん」


 そんなに大きくないこの地区では、健二兄ちゃんが話したのか、あの大きな女の人のことで持ちきりになった。子供は暗くなる前に家に帰ることを厳命され、毎晩大人達によるパトロールが行われるようになった。

90 LynN2:2020/09/28(月) 22:32:47
幼なじみの子 <2/13>


 今日は、地区の懇親会がある、ということで、夜のパトロールはなし。ぼくは独りで家にいると危ないんじゃないか?ということになり、近所の莎智ちゃんの家で過ごすことになった。莎智ちゃんの家だって、おとうさん、おかあさん、おばあちゃんが懇親会に行っちゃうので、莎智ちゃんと二人っきりでおるすばんなんだけどね。
 莎智ちゃんはぼくと同い年で、近所に住んでいるから、いつもいっしょに遊んでる。幼稚園も一緒だ。
 莎智ちゃんの家では、積み木で遊んだり、莎智ちゃんのおばあちゃんが作っておいてくれたおにぎりを食べたりしたが。そのうち飽きて、壁に寄っかかってぼーっとしてた。
 そしたら莎智ちゃんも横に座り、肩をくっつけてきた。そして、ぼそっと話し始める。

「わたしの家って、大きな古い物置あるでしょ? 蔵っていうんだけど、この間、探検してみたんだよ」
「……ふうん?」
「中は暗くって、ホコリだらけなんだけど、なんか見たことないようなものばっかなんだよね」
「……」

 あまり興味が湧かないので、無視していると、

「ねぇ」

 莎智ちゃんがぼくの足の上に手を置いてくる。

「ねぇ、裕太ちゃん」
「?」
「裕太ちゃんって、私のこと、すき?」
「……?」

 急にそんなことを言われたので、びっくりした。

「ねぇ!」
「……きっ、きらいじゃないけど……」
「……そう? わたしは裕太ちゃんが大すきなんだけどなぁ」
「……」
「蔵のことだけど、いろいろ見てたらね、薄っぺらい木の箱の中にね、白い大きな服が入ってたのを見つけたの」
「……」
「それでね、ちょっといじってたらね、その服が、着て、って言ってるような気がしたの」
「……」
「気がした、っていうか、きっと言ってたんだよね」
「……」
「着ちゃった!」
「……! 着たの?」

91 LynN2:2020/09/29(火) 23:17:12
幼なじみの子 <3/13>


「着たらね、やっぱり大きかった」
「……」
「と、いうかね、ふつうのおとなの服よりもずっと大きかったの」
「……」
「でね、その服の中にはね、妖精さんが入ってたの」
「……」
「服をね、着たときにね、その妖精さんが私の中に入ってきたの」
「……? えっ?」
「うふふ」
「莎智ちゃん、大丈夫なの? からだ変じゃない?」
「変じゃないよ。今までよりずっといい気分だよ」
「……ならいいけど……」
「妖精さんはね、いろいろ知らなかったことを教えてくれるの」
「ふうん?」

 莎智ちゃんはぼくの太ももに乗せていた手を、太ももの内側へ滑らせる。

「わたし、えっちなおんなの子になっちゃったみたい」
「……んっ!」

 莎智ちゃんの手がぼくのち×この上まで滑ってくると、急にち×こが熱くなってきた。
 あわてて莎智ちゃんの顔を見ると、にっこりと笑顔を返してきた。

「ねぇ、わたしのために大きくして!」

 ち×こは莎智ちゃんのお願いを聞いたのか、ぼくの意思に関係なくパンツの中でムクムクと大きくなっていった。

「すごいね! どんどん大きくなっていくよ」

 莎智ちゃんがうれしそうにつぶやく。
 ぼくは、ち×こに今までに感じたことのないような刺激を感じ、ち×こはビクンビクンと暴れて、そして、びゅっ、びゅっ、と音を出しているような感じで、おつゆが出てきた。

「……おしっこ……もれちゃった……」

 莎智ちゃんはにっこりと笑いながら、

「それはおしっこじゃないよ」

 と言った。

「ズボン、脱いだら?」

 言うなり、ベルトに手をかけてくる。

「じっ、自分でやるよぉ!」

 ぼくは莎智ちゃんに背中を向けると、あわててズボンを下ろす。
 ち×こが腫れてて、うまくズボンが脱げない、が、何とかズボンを引き下ろすと、パンツが見たことないくらいに膨れ上がっている。引き下ろそうとすると、ち×こが引っかかって、邪魔をする。前に押し出すようにしてから下げたらうまくいった。すると、あまり嗅ぎなれない臭いが立ちこめた。まるで、道路の脇に植えてあるまさきの木の花の臭いや、畑の角に植えてある栗の木の花の臭い……。

92 LynN2:2020/09/30(水) 22:37:14
幼なじみの子 <4/13>


「すごい匂いだねぇ、いい匂い」

 そう言いながら、莎智ちゃんはぼくの身体の上へ身を乗り出してくる。視線の先には……ぼくのち×こが……!
 ち×こはいつもより太く、固くなって、上を向いていた。根元は黒ずんで、先は皮がむけて赤黒くなっていて、白っぽいおつゆがねっとりとついていた。
 莎智ちゃんは、にやっと笑うと、ち×こをアイスでもなめるようにペロペロとなめ始めた。

「ばっちいよ!」

 ぼくが言っても、莎智ちゃんはなめるのをやめない。そのうちにまたビリビリとした刺激があって、ビクンビクンと震えたあと、ち×この先から白っぽいねっとりとしたおつゆが、びゅっ、びゅっ、と音を立てているかのような勢いで出てきて、莎智ちゃんの顔にかかった。

「あっ、ごめん!」

 莎智ちゃんは手でおつゆを拭うと手をぺろぺろとなめた。

「うふふっ、おいしいよ」

 にこにこと微笑みながら、

「妖精さんはね、私の中にいるとおなかが減っちゃうんだって」
「……」
「でね、食べ物は、おとなの男の人が出す、こだね、なんだって」
「……こだねって?」

 莎智ちゃんはニヤッと笑うと、

「裕太ちゃんがいまおち×ちんから出したやつだよ」
「……?」
「でね、おとなには頼めないので……、裕太ちゃんのおち×ちんを妖精さんの力でおとなにしてみたの」
「……ぼくの、太くなったの……、おとなになったから?」
「そうだよ、カッコいいね」
「……そう、なの?」
「うん、カッコいい……」

 言い切る前に莎智ちゃんの様子が少しおかしくなった。ぼくのおち×ちんをじっと見てたのが、どこを見ているのかわからない感じになって、ニヤッと笑った顔になった。

「だいじょうぶ?」

 莎智ちゃんは熱っぽい顔を歪ませて笑ってみせる。

「大丈夫だよ、妖精さんがねぇ……、裕太ちゃんのこだねが気に入ったみたいで、もっとほしいって」
「えっ!」
「用意するからちょっと待っててね」

93 LynN2:2020/10/01(木) 22:22:25
幼なじみの子 <5/13>


 莎智ちゃんは着ていたワンピースを持ち上げて、頭を抜き、脱いだ。下に着ていたTシャツも一緒に脱げて、パンツと靴下だけの姿になった。莎智ちゃんはワンピースの中のTシャツを引っ張り出し、畳の上でワンピースとTシャツを丁寧に広げ、きれいに畳んで、重ねて置いた。次に足を持ち上げ、左足、次に右足から靴下を引っ張って取り、畳の上で延ばし、二つに畳んでTシャツの上に置いた。

「いくよ!」

 莎智ちゃんはちょっと離れると、ぼそっとつぶやき、両手をみぞおちのあたりに置き、目をつぶった。一瞬、家の中の音が消えたような気がして、周りを見回したが、何も変わっていない。
 改めて莎智ちゃんを見ると、頭1つ分背が伸びている、気がした。いや、気のせいじゃない。莎智ちゃんはゆっくりとだけど見ててわかるくらい背が伸びていっている。莎智ちゃんは目をつぶったまま、瞑想をしているかのような、おだやかな表情だった。
 背はおとなくらいになっても伸び続け、梁の高さくらいまでになってやっと止まった。手足がひょろっと細長く、小学校高学年の子がそのまま巨大になった感じだ。
 背の伸びが止まると同時くらいに、腰が大きくなっていって、それに合わせるかのように足がたくましくなっていく。どんどん太くなり、自分の身体より大きくなったんじゃないかと裕太は思った。それでも丸太のように寸胴ではなく、ひざ、足首はきゅっとひき締まり、なめらかなカーブを描いている。
 足に見とれていると、突然、莎智ちゃんはしゃがみ、両手で裕太の腰の部分をつかむと、また立ち上がった。黒い茂みを通り、なめらかに窪んたへそを通り過ぎると、一つが裕太の頭くらいある塊が二つ横に並んでいた。思わず手を出して触ってしまう。

「裕太ちゃん、エッチだね」

 急に恥ずかしくなって、それに答えずにいると、

「わたしもエッチだよ!

 と、莎智はつぶやき、裕太を頭より少し高い位置までもちあげ、裕太の股間を口に含む。まるで飴でも舐めているかのように裕太のものを舌で転がしていく。その心地よさに、裕太のものは大きさを増していき、ぶるっと揺れて放出する。
 莎智はていねいになめ取る。

「おいしいね」

 にっこりと笑う。

94 LynN2:2020/10/02(金) 22:16:10
幼なじみの子 <6/13>


「ねぇ、私のおっぱい、好き?」

 裕太を胸の高さまで運ぶ。触れて見ると、ものすごく張りがあり、ちょっと力を加えたくらいでは指はくい込まなかった。両手で寄せてみると、ぐらりと大岩が動き出すようにゆっくりと動き出し、ぶつかったところで少し早いスピードで元に戻った。
 裕太の目が一点に集中しているのを感じた莎智は、

「ねぇ、しゃぶって?」

 その言葉を聞くと、いてもいられず、という感じでくわえる、が、予想以上に大きくて、上手くくわえられない。まるでペットボトルの口をまるまるくわえる感じとなってしまった。
 仕方がなく、舌でぺろりとなめると、

「ひゃうん!」

 と甘えたような声が出る。
 舌の先で根元をほじくるようになめると、

「あっ!あっ!あっ!」

 と声を出し、もだえながら身体をくねらせ、危うく裕太を落としそうになる。

「もうっ! 裕太ちゃん! エッチすぎだよう!」

 一瞬ぷっとほほを膨らますが、すぐににっこりとなる。
 莎智はゆっくりと裕太を畳の上に下ろす。股を開いて、

「ねぇ!わたし、もう待ちきれないの! おち×ちんちょうだい!」

 よく見ると、股の内側がびしゃびしゃだ。
 裕太の背中に手を置き、抱きかかえるように自分の身体へ押しつけていく。ある程度近づくと、腰を軽く浮かせ、裕太のものを親指と人差し指でつまみ、

「ここに入れるんだよ」

 と誘導する。
 とても子供のものとは思えないくらい大きく硬い裕太のものはズブズブと莎智の中に入っていく。

「うっ、うう……」
「あっああっ……」

 二人共、今までに感じたことのない感触を受けて、うめき声をあげる。
 莎智は息も荒くなっていった。息の荒い莎智を身体に感じて、裕太の息も荒くなっていく。

95 LynN2:2020/10/03(土) 23:33:27
幼なじみの子 <7/13>


苦しそうな裕太の顔を見て、

「ゆうたちゃん、大丈夫?」
「ぼくは大丈夫だけど、莎智ちゃんも苦しそう……」
「わたしはゆうたちゃんよりずっと身体が大きいから……大丈夫。それより妖精さんがね、動くともっと気持ちいいって。抜けないように気をつけて、引いたり押したりしてみて……」
「う、うん」

 裕太が少し引き出そうとすると、すごく抵抗感があり、動かない。うんと力を入れると、一瞬、抵抗がなくなってずるっと少し抜けたが、また動かなくなった。それを何度か繰り返すと、スムーズに動くようになった、が、動かす度に言いようのない刺激が発生し、顔が歪む。莎智の顔を見ると、苦しんでいるような感じがした。

「莎智ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫だよ。ちょっと、感じたことのない、気持ちいい感じがするだけだから」

 莎智はにこりと笑うと、

「ねぇ、続けて」

 と、ぽつりと言葉を放つ。
 それをを聞いた聞いた裕太は、まるで操られているように、一生懸命に腰を動かした。
 しばらくすると、裕太の動きが止まり、身体が震えた後にため息を出した。
 裕太はそのまま莎智の上に倒れ、ずるっとものが抜けた。

「裕太ちゃん、ありがと」

 莎智がつぶやくと、身体が少しづつ小さくなっていった。身体の厚み、幅が減っていって、細長くなると、足が短くなっていき、裕太とほぼ同じ大きさになると、変化が止まった。
 莎智が身体を動かそうとするが、裕太は陶酔しきっているのか、動かない。

「ん! 裕太ちゃん! 重い!」

96 LynN2:2020/10/04(日) 22:38:28
幼なじみの子 <8/13>


 初めて莎智と身体を合せて、もう10年以上過ぎた。二人共高校生である。
 あの日以来、人の目を盗んでは抱き合っている。
 莎智の両親、祖父母にも気に入られ、許婚の扱いになっている。
 莎智の家に繁く出入りするようになって、いろいろなことが解ってきた。まずはあの巨大な白いワンピースだが、あれは莎智の祖父、じいさんのお父さんの妹が着ていたものらしい。その人は本当に背が高く、人目をはばかってほとんど家の外に出ることがなかったとのことだ。従兄弟が許婚で、親に決められたとは思えないくらいに深く愛し合っていたそうだが、その従兄弟が第一次世界大戦後のシベリア出兵で戦死してしまい、失意のまま亡くなってしまったそうだ。びっくりしたのが、その戦死した許婚の従兄弟は俺のじいさんの一番上の兄らしい。
 そして莎智が妖精さんって呼んでいるものだが、おそらく…付喪神なのだろう。ワンピースに籠った女性の寂しかった心が生み出してしまったものなのでは?と考えたのだが、どうだろうか?
 しかし、俺の精子が食い物って、一体どういうことだろう? まぁ、好意的に考えて、あのワンピースの持ち主は愛する人の子供が欲しかったんだろうな。それであんな不思議なものが生まれた、というか発生したというべきか…。まぁ、莎智に危害を及ぼしてないし、莎智も今の状況が気に入っているからいいか。
 今、俺と莎智は同じ高校に通っている。部活も同じ陸上部だ。まぁ、俺は長距離で莎智は短距離だけど。

「ねぇ、なにぶつぶつ言ってるの?」

 莎智が抱きついてくる。

「そんなことよりも、しよ」

 いつの間にか敷いてある布団へと誘導する。
 まぁ、俺もその気だったので、ついて行き、到着するなり抱きしめる。おでこにキスをする。
 莎智は今、身長が160cmくらいなので、175cmの俺が何もせずにキスすると、おでこに唇が当たるのだ。

「もぅ、口にしてよ!」

 やれやれ、という仕草をするが、俺も願ったりなので、少しかがんでキスをする。
 莎智の満面の笑顔が見える。

97 LynN2:2020/10/06(火) 22:56:02
幼なじみの子 <9/13>


 制服のブラウスのボタンを一つずつ外していくと、ピンク色のブラが顔を出す。今度は手を後ろに回して、ブラのホックを外す。短距離の選手は全身筋肉で、余計な脂肪を取り払っているので、胸も薄いのだが、薄いピンクの乳首が私を見てとばかりに主張している。
尻をひと撫でしてから腰に手を回し、スカートのホックを外すとスカートがすとんと落ちる。
 腰を持って軽く押すと、ふとんの上にゆっくりと倒れていった。
 俺もシャツを脱いで上半身裸になると、莎智がベルトに手を掛け器用に外していき、あっという間にスラックスが引きずり降ろされた。そして俺の股間に手を当て、

「裕太、ずいぶん大きくなってるじゃない!」
「莎智がいじるからじゃないのか?」
「触る前からだと思うけどねぇ…」

 そうつぶやきながら、トランクスを下ろし始める。引っかかりがあったが、無理に下げると、ぽんっ、と音が出たんじゃないか、という感じがするくらいの勢いで俺のものが飛び出てくる。
 莎智はにっこりと微笑むと、俺のものを掴み、口へと持っていき、舌で段差の部分をぺろぺろと舐め始める。相変わらず、上手い。

「もうビクついてるわよ」
「莎智が上手いからだよ…」
「まぁ、もう」
「ホントだよ」
「……まぁ、初めての時から欠かさずやってるからね」

 莎智との他愛のない会話の間に顔に放った。

「もうっ!」

 莎智は舌で口の周囲をさっとなでる。
 それに合わせるかのように、顔の表面に付いていた液体がすぅっと吸い込まれるように消えていった。
 俺は莎智を倒して、胸元にキスをする。そのまま下へ滑らせていく。きちんと部活に精を出している短距離走者はお腹に脂肪がほとんど無く、腹筋が割れている。その凹凸に舌を滑らせていくのは楽しいし、優越感がある。

「ねぇ、そろそろして」

 要望を受けて、太ももに手を掛け、腰を持ち上げる。先ほど出したが、俺も準備はできている。
 当ててから、ぐいっと押し込むと、適度の抵抗を受けながらずぶずぶと入っていく。
 莎智を見ると、うん、とうなづいたので、引き出したり、押し込んたりを繰り返し、二人共、恍惚の顔をしたところで放った。

98 LynN2:2020/10/07(水) 22:21:19
幼なじみの子 <10/13>


 少しの間、息を整えると、

「じゃ、大きくなるね」

 莎智はそう言うと、目をつぶり、神妙な顔になる。
 ぼわっと身体が一瞬で一回り大きくなると、続いてゆっくりと背が伸びていく。もうある程度大人の身体になっているので、身体自体の変化は乏しいが、背は1.5倍位になり、それに合わせて厚みが増していく。頭の大きさはほとんど変化がないので、非常に等身が高くなる。座っているのでよく見えないが、脚も伸びているはずだ。

「もういいよ、こっち来て」

 近づくと、立った状態で莎智の頭が少し下にあるので、普通にキスをすることができた。
 さらに近づこうとしたら、莎智の足に引っかかり、よろけて、もたれ掛かってしまった。しかし、何事もなかったように、受け止めている。俺の頭は胸の谷間にめり込んではいるけどね。
 元は陸上短距離少女らしくささやかな胸だったのに、大きくなったとたん、俺の頭と変わりない大きさのものをぶら下げている。それでいておなかはきれいに割れているのは、ちょっとズルじゃないか?

「ね〜ぇ、今日は頭をこするの?」

 莎智が顔をにやにやさせながら聞いてくる。

「いや! いつもどおり俺のものでお願い!」

「うん、裕太のがびくびくって脈を打つのを感じると、私もじ〜んとくるんだよね、なんちて」
「なんだよ、それ!」
「え〜ん、おこった!」

 莎智は一瞬にこっと笑うと、腰を屈めて裕太のものを挟んだ。熱いものがまるで知性があるかのごとく動き回り、双丘に刺激を与える。

「裕太! いつもすごいね!」
「莎智の胸も生きてるみたいだ!」
「私のは手でこねくり回してるんだよ!」

 抱き合う度に胸でいたしているのだが、二人共全然飽きる気配もなく楽しんでいた。が、程なくして果てた。裕太の出したものは、すぅっと胸に吸収された。

99 LynN2:2020/10/08(木) 22:33:20
幼なじみの子 <11/13>


「じゃ、下のお口にしてね」

 莎智は全体的に大きくなっているので、腰を持ち上げなくても入れられるが、気を利かせて?左脚を持ち上げてくれた。右脚にまたがるような形になって腰を密着させ挿入する。ずぶずぶとそれなりな抵抗を受けるたびに二人共刺激を感じている。
 裕太の精通があったときから、ものを大きくする魔法?は使っていないのだが、常に莎智のサイズはぴったりで、こちらは何か細工をしているのではないかと感じているのだが…。

「普段のときは何もしてないよ?」

 声にしていないはずなのに、莎智が答える。

「裕太としかしたことないんだから、ぴったりなのは当たり前なんじゃない?」

 そうだった。寝ているとき以外はほぼ一緒にいるか、目の届く範囲にいるんだから、他の男とまぐわってるわけないか。

「当たり前でしょ、旦那さま!」

 莎智の左脚が肩にずしりと載っかってくる。
 びっくりして、つい出してしまった。

「はい、そんな雑じゃなくて、ていねいに、気持ちよくやってね!」
「はい、すいません」

100 LynN2:2020/10/09(金) 22:48:55
幼なじみの子 <12/13>


 莎智は高校卒業後に農協で働くようになり、俺は駅弁大学で4年間を過ごした後、莎智の一族の経営する建設会社に就職した。就職すると、莎智の家で莎智の家族と一緒に生活するようになり、もう結婚しているのと変わらなくなった。



 半年ほど過ぎ、式を挙げてほしいと莎智の家族からも言われるようになり、いろいろあった末、明日が結婚式というところまで漕ぎつげた。
 明日は特別な日、ということも関係なく毎日の儀式のように布団の上で抱き合う。
 先ずはそのままで。次いで莎智が身体を大きくしてするのもいつものとおり。身体が大きくなる以上に胸が巨大化するのもいつものとおりだが、あまりもの巨大さにいつも見とれてしまう。
 胸に見とれていると、莎智の目が大きく見開いた、と思ったら、ぼろぼろと涙を流し、顔がくしゃくしゃになった。

「どうしたんだよ!」
「あのね、あのね、妖精さんがね」
「妖精がどうしたんだ?」
「妖精さんがね、お別れだって!」
「えっ!」
「妖精さんが私の中にいると、赤ちゃんができないからって……」

……ん……、確かに、妖精は俺の精子を食べているんだから、そのとおりではあるんだが……。

「妖精さんもね、わたしと裕太の赤ちゃん、見たいからって……」
「……そっか」
「……」
「……んで、妖精は、莎智の身体から出るだけで、死んじゃったりするわけじゃないんだろ?」
「えっ! そんなわけ……ちょっと聞いてみる」
「聞いてみな」
「…………………………………、わかった!」
「どうなの?」
「また服の中に戻って、しばらく眠るって」
「そっか、じゃ、また会えるな」
「……うん」

 じゃ、最後のごちそうだな、と思いつつ腰を近づけると莎智も腰を浮かせてきたので、すんなりと挿入ることができた。あいもかわらず体格差がかなりあるのに、きつすぎず、緩すぎない、絶妙なサイズだ。
しばらく出し入れをしていると、急に締まってきて、何事かと顔を見ると、またぼろぼろと涙を流している。

「妖精さん……」

 莎智の焦燥ぶりを見てると、俺も悲しくなってきて、涙が出てしまった。

 そして、最後の食事を放ったとき、莎智は既に元の姿に戻っていた。

101 LynN2:2020/10/10(土) 21:52:15
幼なじみの子 <13/13>


 次の日、何事もなく式を挙げ、10か月後に女の子が生まれた。


 ある秋の日、空気は肌を刺すくらいに冷たいが、雲一つなく、吸い込まれそうな蒼い空だったので、縁側で日向ぼっこをしていると、廊下の奥の蔵のあたりから、ずしんと物を落としたような音と振動が聞こえた。
 音は一定間隔で何度も聞こえ、だんだん近づいてくる。
 そして夫婦の目の前に姿を現したのは、引戸よりも頭ひとつ分くらいの背が高い女性だった。身体にぴったりの白いワンピースを着て、胸はびっくりするほどの膨らみ、裾からのぞく足は身体なりの太さがあるが、足首がきゅっと引き締まっていて、スタイルの良さを感じさせる。
 誰にでも好かれるようなすっきりとした笑顔を持った女性が口を開く。

「パパ……、ママ……」

 夫婦は顔を見合わせ、お互いのびっくりした顔に気が付き、にっこりと笑いながら、つぶやいた。

「お帰り」
「お帰り」



<おわり>


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