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真由香の秘密

89 LynN2:2020/09/27(日) 22:08:23
幼なじみの子 <1/13>


 真っ赤な夕日が今、山に隠れ、急に辺りが暗くなってくる頃、祐太の前にその女性は現れた。
 少しくすんだ白のすそが長く飾り気のない、野暮ったい感じのするワンピースを着ていたが、それより特筆すべきは、女性の背の高さである。村にいる大人の誰よりも大きいだろう。裕太が見上げても遠くて顔がよくわからない。
 女性は、

「ゆうたちゃん……」

 とつぶやいた。
 えっ、という感じがして、裕太は顔をじっくり見ようとしたが、よく見えない。しかし、にっこりと笑った気がした。

「裕太っ!」

 急に大声で名前を呼ばれ、びっくりした裕太が周りを見回すと、近所に住む健二兄ちゃんだった。

「誰だ、そいつ?」
「えっ?」
「誰と話してたんだ?」
「誰と、って……?」
「今そこに大きな女がいただろ?」

 そういえばそうだった、と、周りを見回したが、さっきの女性はいなくなっていた。

「???」

 途方にくれていると、健二兄ちゃんが、

「ウチの地区にはあんなデカい女いないだろ?」

 と言ってきた。ぼくもあの女の人は見たことないけど……。

「あれって、ネットで昔、話題になった八尺様じゃないのか?」
「……」
「あぁ、裕太にはわからないかぁ。そんな言い伝えみたいのがネットで話題になったんだよ」
「……」
「あぁ、いいんだ。今日はもう家に帰りな」
「……うん」
「よし。あと、あの女とか、変なヤツを見かけたら、近寄らずに逃げるんだ。で、オレに言うんだぞ。変なヤツを見たって」
「うん」


 そんなに大きくないこの地区では、健二兄ちゃんが話したのか、あの大きな女の人のことで持ちきりになった。子供は暗くなる前に家に帰ることを厳命され、毎晩大人達によるパトロールが行われるようになった。


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