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アニメキャラ・バトルロワイアル4th part4

1 名無しさん :2017/03/05(日) 07:40:57 ID:ngLuRqqY0
ここはアニメキャラクターでバトルロワイアルを行うリレーSS企画です。
企画の性質上、キャラの死亡や流血等、残酷な内容を含みます。閲覧の際には十分ご注意ください。

したらば
ttp://jbbs.shitaraba.net/otaku/17204/

避難所
ttp://jbbs.shitaraba.net/otaku/17220/

地図
ttp://imgur.com/wm3q2BI

チャット
ttp://anirowa4.chatx2.whocares.jp/

【参加者名簿】

0/7【Fate/Zero】
×衛宮切嗣/×セイバー/×言峰綺礼/×ランサー/×雨生龍之介/×キャスター/ ×間桐雁夜
2/7【銀魂】
×坂田銀時/×志村新八/×神楽/×土方十四郎/○桂小太郎/×長谷川泰三/ ○神威
3/6【ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
○空条承太郎/×花京院典明/×ジャン=ピエール・ポルナレフ/×ホル・ホース/ ○ヴァニラ・アイス/○DIO
2/6 【神撃のバハムート GENESIS】
×ファバロ・レオーネ/×カイザル・リドファルド/×リタ/×ジャンヌ・ダルク/○アザゼル/○ラヴァレイ
1/5 【ご注文はうさぎですか?】
×保登心愛/×香風智乃/○天々座理世/×宇治松千夜/×桐間紗路
2/5【デュラララ!!】
○セルティ・ストゥルルソン/×園原杏里/×折原臨也/○平和島静雄/×ヴァローナ
1/5【ラブライブ!】
×高坂穂乃果/×南ことり/×矢澤にこ/ ○絢瀬絵里/×東條希
1/5 【結城友奈は勇者である】
×結城友奈/×東郷美森/×犬吠埼風/×犬吠埼樹/ ○三好夏凜
2/5【キルラキル】
○纏流子/○鬼龍院皐月/×満艦飾マコ/×蟇郡苛/×針目縫
0/4【グラップラー刃牙】
×範馬刃牙/×ジャック・ハンマー/×範馬勇次郎/×本部以蔵
2/4【selector infected WIXOSS】
○小湊るう子/×紅林遊月/×蒼井晶/○浦添伊緒奈
0/3【咲-Saki- 全国編】
×宮永咲/×神代小蒔/×池田華菜
1/3 【魔法少女リリカルなのはViVid】
×高町ヴィヴィオ/×アインハルト・ストラトス/○コロナ・ティミル
2/3 【のんのんびより】
○宮内れんげ/○一条蛍/ ×越谷小鞠
1/2 【グリザイアの果実シリーズ】
○風見雄二/×入巣蒔菜
20/70

2 名無しさん :2017/03/05(日) 07:41:51 ID:ngLuRqqY0
前スレ
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/14759/1455272657/

A:基本ルール
 全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一名が優勝者となる。
 優勝者はどんな願いも叶える事ができる。
 参加者間でのやりとりに反則はない。
 ゲーム開始時、参加者は会場内にランダムで配置される。
 プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。
 ゲーム開始から72時間経過した場合も勝者なしゲームオーバー(参加者全員死亡)となる。


B:スタート時の持ち物について
 全ての参加者には騎士の手甲に似た幅広の腕輪が嵌められている。
 腕輪には特殊な力を持つ白のカード1枚がはめ込まれている。
 それとは別の特殊な力を持つ黒のカードが1〜3枚、赤のカードが1枚、青のカードが1枚支給される。
 他のパロロワでいうところの首輪とデイパックに相当する。

 プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は大小に関わらず全て没収
 武器にならない衣服、帽子などは持ち込みを許される。
 もし、それらが武器の類なら代わりに同デザインの普通の衣服等を着せられる。支給品扱いではない。

C:【4種類のカード】
白:マスターカード
  腕輪に嵌まっているカード。
  地図ナビ、時計、名簿、脱落者の確認、点灯などいろいろ行えるカード型端末。
  死んだり主催に刃向かったりしたら、このカードの中に魂が封印されて喋ったり動いたりできなくなる。
  基本腕輪から取り外せないが、死んで魂がカードに封じられた後に剥がれ落ちる。
  物理破壊不可。

※基本的に主催は意思持ち支給品の生殺与奪権も参加者同様に握っている。


黒:ランダムカード
  つまりランダム支給品。出したものをカードに収納できる。
  それぞれ武器や道具とかのアイテムが収納されている。
  一回出してからカードに再収納すると効果欄が浮かび上がって詳細が確認可能。

※支給品枠についての注意
【キルラキル】【結城友奈は勇者である】【なのはvivid】【Fate/Zero】の
制服、スマホ、デバイス、宝具の本人支給は可。
ただし、本人に支給する場合はそれだけで支給品枠を全て使うものとする
(デバイス等を本人以外のキャラに支給する場合は、支給品ひと枠分として扱っても可。
 その代わり初登場話で他の参加者から、本人装備を奪う、譲り受けるような展開での入手は禁止)

赤:フードカード 
青:ウォーターカード
 赤は食料、青は飲料。任意のものが出せる。1回につき1人前までで、10回まで。
 一度出したものは元には戻せない。

3 名無しさん :2017/03/05(日) 07:42:50 ID:ngLuRqqY0
D:【侵入禁止エリアについて】
放送で主催者が指定したエリアが侵入禁止エリアとなる。
放送度に禁止エリアは計3マス指定される。
参加者が禁止エリアに入って一定以上の時間が経てば、魂が引き剥がされ死亡する。
意思持ち支給品も状況次第で同じように処理される可能性あり。
禁止エリアは最後の1名以下になるまで解除されない


E:放送と時間表記について
0:00、6:00、12:00、18:00
以上の時間に運営者が侵入禁止エリア、死亡者、残り人数の発表を行う。
禁止エリアは放送度に計3マス指定される。

※本編は0:00スタート。


F:状態表
  SSの最後につける状態表は下記の形式で

【(エリア)/(場所や施設の名前)/(日数と時間帯)】
 【(キャラ名)@(作品名)】
 [状態]:
 [服装]:(身に着けている防具や服類、書く必要がない場合はなくてもOK)
 [装備]:(手に持っている武器など)
 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:(収納した支給品)
     (黒カードに収納していない初期配布の白、黒、赤、青カード以外の所持品)
 [思考・行動]
基本方針:
   1:
   2:
 [備考]
  ※(状態や思考以外の事項)

・時間帯の表記について
 状態表に書く時間帯は、下記の表から当てはめる。

 深夜:0〜2時 / 黎明:2〜4時 / 早朝:4〜6時 / 朝:6〜8時 / 午前:8〜10時 / 昼:10〜12時
 日中:12〜14時 / 午後:14〜16時 / 夕方:16〜18時 / 夜:18〜20時 / 夜中:20〜22時 / 真夜中:22〜24時


・死亡したキャラが出た場合は以下の通りに表記する
【参加者名@作品名】死亡
残り○○名

4 名無しさん :2017/03/05(日) 07:44:26 ID:ngLuRqqY0
G:一律制限案
バランスブレイカーとなる身体能力及び戦闘能力は制限される。
基本はアニロワシリーズ基準で(他のロワも参考にした方がいいかも)。
ギャグ描写の誇大解釈は無しの方向で。細かい所は書き手任せ。
対象:キルキラルのキャラ、結城友奈は勇者であるのキャラ(変身後)
   JOJOのスタンド、Fate/Zeroの英霊達など。


H:〈キャラ個人の特殊能力について〉
バランスブレイカーなるくらい便利すぎるもの、厄介なもの、制限が難しいものは禁止。
蘇生、洗脳、再生、時間操作能力を持った参加者や支給品には何らかの制限を加える。
Fate/Zeroの魔術などは大半は使用できなくなる。物理攻撃不可能な参加者にも攻撃は可能になる。
ただし、能力を削除する事によってキャラの魅力が激減するなら議論。
腕輪や白のカードへの安易な干渉ができる能力などは原則禁止。
細かい所は書き手任せ。


I:{洗脳系能力の扱いについて}
本来の能力と比べて効果を減衰させるか、あるいは2時間単位で解除される仕様にする。
洗脳系アイテムは所持者が同意するか、廃人にならない限りは乗っ取り不可に。
乗っ取っても2時間単位で洗脳は解除されるので、その都度能力を行使する必要あり。
洗脳能力はそれをメインにしているキャラや支給品のみが行使できる(要議論?)。


J:『支給品の制限について』
支給品も参加者と同等にその効力が制限される。
言語能力、一般人と同等以上の戦闘力を持つ意思持ち支給品は、所持者(主)から遠く離れる事ができない。
有用であればあるほど、離れられる距離は短くなる。場合によっては更に制限がつく可能性も。
行動範囲外に入ればどうなるかは議論か書き手任せ。

宝具や勇者用スマホなど、一般人が通常なら扱えないアイテムも当ロワでは特に大きなリスク無く大体使用可能。
ただし、その効果は力量にもよるが本来の所有者のと比べ大きく落ちる。細かいところは書き手任せ。
本来の所有者やそれに近い実力者が使えば制限下であるものの充分力を発揮できる。

5 名無しさん :2017/03/05(日) 07:45:13 ID:ngLuRqqY0
K:作品別の参加者・支給品の制限

【Fate/Zero】
・マスターの令呪は没収
・サーヴァントの霊体化禁止

【ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
・スタンドは可視化、物理干渉を受ける
・ヴァニラ・アイスの暗黒空間に腕輪を飲み込むことは出来ない

【結城友奈は勇者である】
・精霊の防御能力にはなんらかの制限を加える。
・スマホに精霊を2体以上付けるのは禁止。
 ただし、本人支給をした場合は、そのキャラの参戦時期の時の精霊の数になる。
・NARUKO(勇者専用アプリ)の勇者の位置表示機能は使用不可。

【selector infected WIXOSS】
・ウリスとイオナ(ユキ)は『浦添伊緒奈』の、ユヅキと花代は『紅林遊月』の中身が誰であるか判明するまで支給不可。
・カードバトルを作中で行う場合、バトルの直前および途中でのリレーは可能な限り避ける。
 (ウィクロスはTCGアニメですが作中でのゲーム描写が曖昧な部分があり、カードゲームパートによる企画停滞を避ける為)

※議論及び、話の進行によって、今後各作品の支給品、能力等の問題は当ルールテンプレとは別に『制限まとめ』として今後編集していく予定です。
 詳しくは ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17220/1435887783/325- で。

6 名無しさん :2017/03/05(日) 07:46:22 ID:ngLuRqqY0
L:【予約について】
キャラ被りを避ける、執筆期間を取りたいという場合にはまず予約にて書きたいキャラの予約を行う。
予約はトリップを付け、その作品に登場するキャラの名前を書く。
キャラの名前はフルネームでも苗字だけでも構わない。そのキャラだと分かるように書く。

予約及び本投下条件は、リレーする作品の投下から36時間以上が経過し、尚且つ通しになっていること。
要修正の作品は修正作業が完了し、最初の本投下から36時間以上経過すれば予約できるが、
問題が残っている場合は最悪破棄され予約も無効となるので、リレーする作品は改めてよく確認すること。

自己リレーは絶対という訳ではないが、リレー企画の体裁上は予約する場合は自己リレーと予め言っておく事。
序盤はできるだけ避ける事。

また再予約する際は周囲の、他書き手の同意を得た上で再予約と宣言して予約すること。


M:【予約期間について】
予約をした場合、予約期間は3作以上書いた人は7日間、延長宣言があればさらに7日延長可能。
2作以下の人は延長なしの7日間。ただし予約は任意で強制ではない。
予約が期限切れした場合、無連絡のままオーバーしたら1日待ち
それで投下が無ければその次の日に予約可能。

M-2:【作品修正のルール追記】
期日をオーバーする修正はなるべく避けること。

N:【作品投下のルール】
予約なしで作品を投下する場合、騙り等により起こる混乱等を防ぐためにトリップ推奨。
作品に自信がない場合は仮投下スレで仮投下することも推奨。

N-2:【仮投下のルール】
期限は本投下の予約期間と同じ。
修正も期限などは本投下と同様に2日間。

O:【作品修正のルール】
投下した作品に問題があり、投下から36時間以内に問題点を指摘された場合は修正要求される可能性あり。
期限は修正要求から最大2日間。それまでに間に合わなければ破棄。
投下から36時間以内に指摘がなければ通しになるが、問題点が企画の進行に阻害が出るくらい大きければ、
時間が経っても修正要求される。もし作者が修正に応じなければ審議で今後の対応を決定。

7 名無しさん :2017/03/05(日) 07:47:15 ID:ngLuRqqY0
※トリップの付け方
書き込みページの名前欄に#を入れて、#の後に任意の文字を入れて投稿すれば
◆mAuG2RWWgのようにスレッドに表示されます。
#の後に個人情報などリアルに関わる文字を入れるのは止めた方がいいです。
認証後、トリップ被りや成りすましを避けるためにも、事前にテストスレなどを利用して
出たトリップをグーグルなどで検索して確認する事をお勧めします 。
P:書き手の注意点
・荒らし目的の行為、又は通す事によって企画の停滞・崩壊を招きかねない内容の作品の投下は禁止。
 (これまでの話や原典の設定とは大きく矛盾するSS投下や、無理がありすぎる展開の話、
  複数の書き手がリレーを放棄する内容のSS投下など)

・一度死亡が確定したキャラの復活は禁止。
・大勢の参加者の動きを制限し過ぎる話の投下や、新規キャラの途中参加は程度によっては審議の対象。

・時間軸を遡った話の投下の禁止。
 話と話の間にキャラの位置等の状態が突然変わっている等こうした矛盾を解決する為に、
 他人に辻褄合わせとして空白時間の描写を依頼するのは禁止。
 こうした時間軸等の矛盾が発生しないよう初めから注意すること。

・中途半端な書きかけ状態の作品投下は基本禁止。
 但し、長編を期間を置いてに分割して投下する場合はこの限りではない。
・無理して体を壊さない。

・リレー小説である事を念頭に置き、皆で一つの物語を創っていると常に自覚すること。
・ご都合主義過ぎる、または特定のキャラを贔屓しすぎる展開に走らないように注意すること。

・残酷表現及び性的描写に関しては原則的にそれぞれの作者の裁量に委ねる。
 但し後者については行為中の詳細な描写は禁止。

・各作品の末尾には状態表を必ず記載する。
 作品内での死亡キャラの確認表示も忘れずに。


Q:読み手の注意点
・煽り、必要以上の叩きなど荒らしに繋がる行為は厳禁。
・各作品、キャラのファンはスレの雰囲気を読み、言動には常に注意すること。
 不本意な展開になったから暴れるのは駄目。 
・仮投下された作品への指摘は本投下前に行うこと。
・書き手にも生活があるので急かすのは程々に。書き手が書きやすい雰囲気を作るのも大事。

8 名無しさん :2017/03/05(日) 07:49:01 ID:ngLuRqqY0
以上です。

9 ◆NiwQmtZOLQ :2017/03/10(金) 00:02:13 ID:tAoZ4bek0
遅くなりましたが、スレ立て乙です。

一応こちらでも。
議論スレにてチャット開催の提案をさせていただきました。反応をいただければ幸いです

10 ◆WqZH3L6gH6 :2017/03/23(木) 00:19:12 ID:FjK6RFpc0
今から本投下を始めます。

11 有為転変 ◆WqZH3L6gH6 :2017/03/23(木) 00:20:46 ID:FjK6RFpc0

「持っていかないんですか?」
「あ?」

平和島静雄は支給品であり同行者であるエルドラから問いかけられる。
蛍を立たせた静雄は先程落命した紅林遊月に手早く土砂を被せその場を立ち去ろうと考えていた。
彼が問いの意味を理解整理するのに時間がかかった。
もう一人の同行者一条蛍が先に理解し発言する。
エルドラのカードをかざし現場を見せているのは彼女。

「……お姉さんのカードを」
「……ああ」

静雄が後悔に曇らされた頭で問いの意味を咀嚼するのに少々時間がかかるのは仕方のない事。
彼は遊月が所持していた支給品を手早く回収していく。死体漁りに嫌悪を感じながら。
アドバイスをしたエルドラに少々ながら嫌気を持ち、思わず顔をちらりと見る。

「……」

彼女は渋面で遺体を中心に周囲を観察している。僅かに顔を伏せながら。
静雄はその様子をみて、恥を感じながら作業を続行する。
エルドラは半ば放心している蛍に聞こえるように呟いた。

「紅林遊月……」
「……っ」

蛍は思い出した。18時間近く前に会った"お姉さん"の名前を。
遊月にコーヒーを運んでた時に互いに軽く自己紹介した事を。
遊月がすぐ喫茶店から去った事もあり、これまで蛍は彼女の動向をあまり意識できていなかった。
まさかこんな形で再会するなんて……。蛍は絶句せざるを得ない。
自身を庇い命を落とした人はこれで2人目。

「……あ、静雄さん。そのつけ爪も支給品かと。」

静雄は遺体の指に着けられている、指輪のようなものに手を触れる。

「カードに戻して」

静雄は車をカードに収納したのと同じように念じた。
指輪はどこかに落ちていた黒カードに収納され静雄の手に渡る。
静雄は全ての支給品を回収したのを確認し、地面を音を立てないように掘り上げようする。

「エルドラさん?」

その行為を止めたのは蛍の疑問の声だった。

「……」
「……白カードか」

エルドラは頷く。静雄は遊月の腕輪から剥がれ落ちたカードを拾う。
血液が付着していたが他のカード同様に染みていない。
軽く振るうと血液は飛び散り、血糊は剥がれ落ちた。
カードを見ると生前の遊月の顔がある。その絵をエルドラにも見せた。
エルドラは顔を落胆したかのようにうつむかせ、目を瞑った。

12 有為転変 ◆WqZH3L6gH6 :2017/03/23(木) 00:21:07 ID:FjK6RFpc0

静雄は無言で遺体の近くの地面を蹴り上げ、地面の土を遺体へと被せていく。
極力音を出さないように。本当は手厚く埋葬したかったが時間がない。
付近に殺人者いる可能性があり、先程の発砲音を聞きつけてここに来るかも知れなかったから。
僅かな時間で遺体は土に隠れた。
3人はその場を去ろうとする、静雄の顔は西を向いている。
蛍は――リゼさんは?と口に出そうとする。
智乃の大事な仲間の1人で静雄に対し殺意を向け、やがて蛍にも敵意を向けた天々座理世。
過失とはいえ遊月を殺し東方面へ立ち去った少女。
静雄にしてみれば初対面から敵意を向けられた事もあり好印象を持ちようがないが、
蛍にしてみれば、良好な関係を築けていた智乃と親しかったリゼは未だに気がかりである。

「……」

考えを察したのだろうエルドラは非難めいた眼差しこそしなかったが、肯定しているとは言えない表情を蛍に向けた。
蛍はリゼの静雄への誤解を解きたかった。だが全身全霊をかけたと言ってもいい説得は通じず、より敵意を膨らませたに過ぎなかった。
説得を切り上げその場を立ち去れば少なくとも遊月さんは死ななかったのだろうか?
蛍は湧き起こる後悔と無力感を抱えながら静雄に声をかけた。

「……。平和島さんどこに?」
「城に行こうと思ったけどよ……エルドラ、向こう魔力とやらが弾けて危険なんだよな」
「今は収まっていると思いますけど、ところであの城には行ったことあるんですか?」
「いや、ねえ」
「休憩場所として選ぶにゃどうかとは思いますね。それに山に入ったら迷いそうな気がしますし」

「……温泉方面に行こうと思う。途中に家の幾つかはあるだろ」
「どうしてですか?」
「服の替えが必要だろ」

静雄は蛍の今の姿を見て断言した。
蛍はそれに納得し、静雄の顔を見て思わず息を飲んだ。
静雄の眉間には皺が刻まれていたから。さっきの発言はリゼへの追跡はもうしないと言ってるのも同義。
蛍は未練を持ちつつもその考えを否定できないでいた。
今のリゼは不可思議な力を持つ銃を所持している、あれで撃たれたら誰も無事でいられる保証はないと蛍が判断してしまう代物。
蛍は彼には聞こえないようにそっと溜息をついた。

「わかりました」

諦めざるを得なかった。
静雄と蛍は立ち去るべく、その前に遊月の遺体がある場所に謝罪の言葉を掛けようとする。
それを遮るようにエルドラは遊月の白カードに向かって一言呟いた。

「ごめん」

真摯さが込められたその言葉を耳にし、2人は黙って遺体から背を向ける。紅林遊月はここにいないから。
2人は真に報いるべき行動を優先する為に足早に西に向かい林に入った。

「……」
「……」
「道路照明灯はあるんですかね?」

殺人者との接触を避け為に林中を歩く2人に掛けられたのは、陰鬱な空気を振り払うようなエルドラの気楽そうな声だった。
静雄は蟇郡苛と出会う前後の記憶を思い起こす。
エリアFからEにかけての照明はいくつか怒りにまかせて破壊してしまったが、HからGにかけての照明には手を付けていない。

13 有為転変 ◆WqZH3L6gH6 :2017/03/23(木) 00:21:26 ID:FjK6RFpc0

さっきコシュタ・バワーを運転していた時は急いでいた事も道路でなく草原を走っていたが、
もし照明灯がある道路なら、ライトがない車でもさっきよりは速度を出せるだろう。
静雄は蛍に顔を向ける、彼女は虚ろな目をしていた。

「……」
「蛍ちゃん、大丈夫か?」
「……えっ、ハイ」
「……」

さっきの遊月の件が辛くない訳がない。
現に静雄とエルドラさえショックを受けているのに、まだ小学生の蛍の負担が小さい筈がないのだ。
静雄は足の向きを南へ変え、方針を2人に伝える。少女達はそれに同意し彼に続いた。

林を抜け草原を抜けた先には少々ながらも照明に照らされた道路が見える。
他参加者の姿は見えない。東には相変わらず煙が立ち上っているが延焼が拡大しているようには見えない。
今がチャンスとばかり静雄は急いで漆黒の車 コシュタ・バワーを現出させる。
蛍は静雄に続く前に尻に手を当てるが返り血が掛かっていない事を確認するやそのまま乗車する。
温泉街に向う3人の行動を止めるものはなかった。

----------------------------------------------------------------------------------------------------

半日前、H-5の海岸にて。

衛宮切嗣に関する情報をどうしようかと考えていた折原臨也。

「折原さん」

そんな彼に一条蛍はジュースを手に立ち上がり声をかけた。

「ジュースありがとうございました」
「ああ良いんだよ」

臨也は笑みを浮かべつつ、ぺこりと頭を下げる蛍を愉しげ見るや、切嗣についての情報の提供を保留とする事にした。
わざわざ情報屋としての禁忌を侵さなくても、同様の効果が期待できる面白い反応が見られる方法を思いついたから。

「蛍ちゃん、ちょっと悪いことを訊くけど、君はもし殺し合いに乗った危険なヤツにあったらどうする?」
「え、それは?」
「無理に答えなくてもいいよ、これから俺がするのはそういった危険を乗り越える為の作戦さ」

蛍の表情が引き締められたものに変わった。
彼女は臨也の今後の計画――主に危険人物と遭遇した場合の対策について、相槌や短い返事を交えながら懸命に記憶していく。
臨也は暗に静雄への悪評が混じった作戦を聞く蛍の様子に胸中でほくそ笑む。
いくつかの対応手段を伝え終わった臨也は最後に緊急時の連絡方法について蛍に伝えた。

「×××-××××-××××ですか?」
「そう。紙に書き写すのは危険だからちょっとキツいけど我慢して覚えて」


教えられた番号は臨也のスマートフォンの電話番号。
もし何らかのトラブルで2人が離れ離れになった場合における連携手段。

「わかりました」

蛍は臨也の細やかな気遣いに感謝した。

14 有為転変 ◆WqZH3L6gH6 :2017/03/23(木) 00:21:46 ID:FjK6RFpc0

「いいんだよ。さ、行こうか」

臨也にとっては片手間的な手段の一つに過ぎない事を知らないまま。
彼の残酷さをその時は知らないまま。

----------------------------------------------------------------------------------------------------

「ハンドルを大きく右に切って〜」

車は危なげなくカーブし先に温泉がある道へ移行する。
ラビットハウスを目指していた頃より上手く運転できるようにはなっていると静雄は思った。
とりあえず危機を脱した事もあり少々なりともリラックスできたのも大きいようだ。

「……詳しいな」
「適当です、テヘ」
「おい」

静雄は冗談と受け取る事にした。

「……」

蛍は乗車して数分後に眠っており、運転のサポートはエルドラが行っている。
ルリグカードは前窓の内側に立てかけていた。

「手紙、れんげちゃんの手に渡ってるといいですね」
「ああ」

静雄とエルドラは分校から出発する前、蛍からある相談を持ちかけられていた。
電話番号の情報を残して良いのでしょうか?と。
悪意ある参加者から情報を利用されるのを恐れたのだろう。
静雄は悪用されるのを想定して考えればいいと受託し、エルドラも少し考えた後に「いいんじゃないですかね」と答えた。

「建物が見えて来たっすよ」
「……」

車は林に挟まれた車道に入る。身近な建物の近くに駐車すべく減速してゆく。
温泉へは目と鼻の先だが、まず蛍の衣服の替えを入手しなければならない。
車は停車する。急ではないが多少揺れて。

「う……ん」

その衝撃で蛍は目覚めた。静雄はバツが悪そうに目を細めた。

車を降りてから3人は今後どうするかぽつぽつと相談を始める。
蛍はまずルリグカードを極力出した状態にできるようカードホルダーを作りたいと提案した。
エルドラと会話しやすいように。正直、静雄と2人だけでは相談相手が少ないと思ったからだ。
それに対してエルドラは「頼みますよ」と答える。
家の玄関が見えた。静雄はこいつの分はどうするんだとばかりに胸ポケットに入れたルリグカードを出して見せた。
カードには仰向けに寝た少女が映し出されている。パーマがかった水色髪をした少女――青のルリグ ピルルク。

放心してルリグに気づけなかった蛍は目を丸くしてカードを見、エルドラは観察するようにピルルクを凝視した。
そして納得したように手を打って、訴えかけるような顔を静雄へ向ける。

「知り合いなのか?」

15 有為転変 ◆WqZH3L6gH6 :2017/03/23(木) 00:22:14 ID:FjK6RFpc0

「だいぶ前にこの子とバトルをした事がありましてね」
「……セレクターバトルの方だよな?」

殺し合いの方を想像し険のある声で問いてしまう。
エルドラは気にせず続けた。

「ええ。そん時は私が勝ちましたが。まさかここで出遭うとは」
「どういう人だったんですか?」
「ルリグにしては愛想のない子でしたねえ」

人物像については解らないという事か。
静雄はそう解釈しピルルクをポケットに戻した。

「その人の、セレクターさんはここにはいないんですか?」
「……さあ?」

実はエルドラは確信が持てる程ではないが、ピルルクの元セレクターについて予想を付けていた。
蒼井晶。現ルリグ ミルルン以前に使役していた青ルリグがいただろう事を。
赤のルリグ ユヅキ達の交流を通じて。はぐらかしたのはわざわざ蛍に負担をかけたくないとの判断だった。

「ルリグなんて何十人もいますからね、そんなにレアじゃないっスよ」
「一体、何を考えてんだあのアマ」

静雄は明言こそされなかったものの、ルリグが元人間なのを薄々は感づいている。
エルドラの説明と会話からそれは推測できた。そもそもエルドラに隠す気がほとんどないのも原因だったが。
静雄は繭の更なる非道から来る怒りに不快げに歯ぎしりし、何とか衝動を堪らえながら戸に手をかける。
戸は開き3人は中に入り、程なくしてタンスがある和室へと入った。

照明は豆電球のみに留め、蛍は白カードの照明を頼りに遠慮がちにタンスの中を物色している。
静雄はスマートフォンを机に置いた。スイッチが入っている。
エルドラとのちょっとした質疑応答を交えながら、静雄はチャットの画面を見続ける。

I:『一番目のMと、五番目のD。今夜、地下闘技場で話がある』


「D……」

静雄の脳裏に連想される頭文字Dの人物はただ1人。
臨也との最期の会話で存在が示唆された、肉の芽という洗脳能力を使う危険人物 DIO。
チャット機能による頭文字の方則を知らない静雄でもその一文には意識をせざるを得なかった。
発言者Mについては正体に想像が付かなかったが、少なくともDIOは北西の方に行くだろうという想像はできた。
突如、透き通ったような声が聞こえた。

「DIOですか……」

それは探索が終わった蛍の声。彼女の手には手帳や衣服や下着が抱えられている。

「知っているのか?」
「承太郎さんから聞きましたから」

蛍ははっきりそう答えると、今度は居心地が悪そうに視線を落とした。

「?」
「その……着替えをしたいので」

16 有為転変 ◆WqZH3L6gH6 :2017/03/23(木) 00:22:33 ID:FjK6RFpc0


彼女の服に付着した血は既に固まっているが、とてもじゃないが他者に見せられる姿ではない。
静雄は失念していた自分を恥じつつエルドラを手に立ち上がり、彼女を隣室へと促した。

「……」


数分後、蛍が着替えをしている部屋の前に静雄が立っている。
待機する静雄に対しエルドラは小さな声で言う。

「静雄さん、繭に対してこれからする事伝えるんですか?」
「!」

ピルルクとの会話を聞いていたのかと静雄はバツが悪そうに顔を歪ませる。
エルドラは神妙な顔で続ける。

「繭を倒すって言うなら、今のうちに蛍ちゃんに伝えた方がいい」
「……」

静雄がここに来て蛍に自らの主張を告げなかったのにはいくつか理由がある。
自分たちを安全な場所に避難させる必要があって言い出せなかったのが一番大きい。
だがそれとそう変わらないくらい大きな原因もあった。

それは蛍の信念を挫けば、これからの行動に支障をきたすくらい衰弱する可能性が見えたから。
通用こそしなかったが、リゼを説得する際に蛍からは強い信念が感じられた。
ただの小学生を超える説得を発言できるほどに。その強さを否定するような事は静雄には気が進まなかった。
両者はしばし黙り、沈黙が訪れる。また口火を切ったのはエルドラであった。

「こんな状況だし……いつ敵が襲撃して話し合いができなくなるかも知れない」

そう冷然と現実を告げる。

「……!」

静雄は蟇郡の事を思い出し葛藤する。もう果たせない約束を意識して。
白服の怪物に圧倒された事実からくる無力感も意識して。
また訪れるは沈黙の時間。静雄は思考の海に落ち発言できない。
ルリグは訴えかけるようにゆっくりと呟いた。

「……私はやるべき時に必要な事を伝えられなかった」
「!」


静雄はトーンを落としたルリグの声を聞き、目を見開く。
これ以上発言させるわけには行かないと静雄は思った。
それは自己保身や現実逃避の防止からくる不快の念からではない。
エルドラが深い後悔を抱えているからこそ、それ以上に年長者として彼女に負担を強いる訳には行かなかった。
ここに来て伝わった。未熟な大人でも静雄は今すべきことが解る。
力なんて関係ない、越谷小鞠の死を最も悲しみ怒った外部の"人間"として彼は決断する。

「――」
「そうする」

エルドラが次の句を告げる前に、静雄は力強く頷いた。

17 有為転変 ◆WqZH3L6gH6 :2017/03/23(木) 00:22:53 ID:FjK6RFpc0

「……」

気づいたエルドラは独白を止め、両手を頭の後ろに回し気恥ずかしそうに音のしない口笛を吹いた。
静雄は呆れたような表情を浮かべると聞かなかったように腕を組んで蛍を待った。
少しして部屋の戸が開き、蛍が姿を見せた。
その姿は細部は異なるがさっきまで着用してた服とそう変わらなかった。

「あー静雄さん、腕輪を見たいのでお願い」

3人はさっきの部屋に戻り。相談を再開している。
静雄は腕輪を操作しながらエルドラに情報を見せている。

「蛍ちゃんは最初どこにいたんだ?」
「え?私は映画館で……承太郎さん達と一緒に」
「俺はゲームセンタ-にいたんだ」
「え」

静雄は湧き出す感情を抑えながら、柔らかい笑みを浮かべ照れくさそうに言う。

「俺さ、あの時繭がやった事に腹が立って暴れてたんだ」
「……」
「その時、小鞠ちゃんに遭ったんだ。怖がらせて気絶してしまった」
「!?」
蛍は思わず顔を近づかせる。

「最初、訳が解らなかったけどよ……」
「?」
「話して見て解ったんだ」
「……。小鞠ちゃん、乱暴者の俺を受け入れてくれたんだ」
「!」
「間違いなくいい子だったよ。上級生として君達の事を守ろうと頑張ろうとして」

蛍の左目から涙が流れた。
静雄は表情を変えずに続けようとする。それがぎこちないものと自覚していても。

「……もっと話を、小鞠ちゃんの話を聞きたいか?」
「お願いしますっ」

掠れた声で蛍は言う。鼻水を吸った音がした。静雄は話を続ける。
会話にはやがて蛍による小鞠の思い出話が入り始めた。それでも2人の会話が中断する事はない。
襲撃者も来客もない心からの対話。エルドラは黙って2人のやり取りを聞いている。
その対話は静雄が蛍に対しての隠している感情に気づいても尚続いた。

----------------------------------------------------------------------------------------------------

I:『犬吠埼樹さんのスマホから書き込んでいます。鮮血とアスクレピオスは目的地に到着しました。
途中針目縫と交戦し倒しました』


それはスマホのチャット画面に新たに加わった文章。
3人はそれを意識しながら支給品の再点検を行っていた。
これからの方針についての相談は粗方終えている。
写真立てにはエルドラが立たされていた。
蛍は上目つかいで静雄を見て「主催者は……」と言った。

18 有為転変 ◆WqZH3L6gH6 :2017/03/23(木) 00:23:14 ID:FjK6RFpc0


静雄は黙ったまま真剣な眼差しを蛍を見つめている。
それは繭に対する非道による怒りから来るもの。繭殺害は今の蛍の主義には反する。
だがその根源から来る怒りを蛍は否定できない。だから彼女なりの熟考からきた主張を口出すタイミングを待った。

「俺はあの女のやった事はどうしても許せねえ」

拳を握る音が聞こえた。

「だからアイツに……報いを与えたい」

さっきと同じように殺すとは言わない、それは嘘を付きたいから言葉を変えたのとは違う。
さっきの対話の途中で殺す殺す……発言を蛍に咎められたのが原因だから。
ただ"繭に怒りをぶつける"それだけは誰が相手でも譲れなかった。

「分かりました」
「……」

蛍がショックを受けた様子はない。
無理を通した罪悪をちょっと感じながら静雄は安堵する。

「ただ……」
「!」
「もし……主催者に限りませんけど、機会があったら私、話してみたいんです」
「……」
「……」
「解った、できるだけ協力する。だから無理だけはしないでくれ」
「……」
「俺はそこらの銃で撃たれても、……ちょっとの怪我くらいで済むくらい頑丈だから。
 頼っていいんだぞ」
「はい」

蛍はようやく元気を含んだ返事をした。そしてエルドラの方へ顔を向けた。

「……へ?私はおふたりがする事に反対はしませんよ。何せ支給品ですからねー」

静雄は呆れたようにエルドラに質問をぶつける。冗談めかした感じで。

「何でそのただの支給品がそこまですんだよ?何か魂胆でもあるのか?」
「……いやぁ、私だって生き残りたいですからねー。御二人には仲良くしてもらわんと」
「ふっ」
「なんですかねぇ、その冷笑は」

その時、スマホから発信音がした。
3人は即座にチャット画面に注目する。


I:『犬吠埼樹さんのスマホから書き込んでいます。鮮血とアスクレピオスは目的地に到着しました。
途中針目縫と交戦し倒しました』


「これは……」

名称の選択は3番めと6番目の文章と似たような感じだったが、
そこから人物を特定できるようなものは静雄にはないと思えた。

19 有為転変 ◆WqZH3L6gH6 :2017/03/23(木) 00:23:33 ID:FjK6RFpc0

困惑する彼を他所にエルドラはどこともなく呟く。

「義輝と覇王へ。フルール・ド・ラパンとタマはティッピーの小屋へ。
 タマは小湊るう子……」
「!」
「それって小湊さんのルリグの名前ですか?」
「ええ聞いた所によると以前の。今はイオナって名前のルリグと組んでますが」
「イオナ……浦添伊緒奈とは違うんだよな?」
「……どうですかね?時系列の違いもありますし」
「ティッピーの小屋はラビットハウスの事です」
「4番目の発言のタイミングからすると、あの子があの女達に攫われる前の文章か。クソ!」

ここに来て携帯電話を握りつぶしたのを静雄は後悔する。チャット機能があったかも知れないのにと。
どこぞの吸血鬼以上に。

「針目縫……」

蛍は蟇郡から智乃を通じて伝えられ知った最上級の危険人物の事を思い出し、呟く。
針目が倒された事は僥倖だが、倒した人達の手がかりが少ない。
智乃は蟇郡から神衣鮮血の事までは教えられていなかったから。

「……これだけじゃ判断の材料に乏しい気もしますね」
「……」

蛍は意見を求めるべく静雄の方を向く。
静雄はスマホに登録された電話番号を見て考える。
登録されているのはラビットハウス、ゲームセンター、映画館、万事屋銀ちゃんの4箇所。
万事屋を除いて、生前の臨也が登録した番号。
より多くの協力者が必要だとここに至って静雄は思った。
生前の臨也による情報工作の悪影響の懸念はある。
だがエルドラが気づかせたようにいつどうなるか解らない状況が故に恐れを隠して電話を掛けようとする。

「待って下さい」

蛍が静雄を止め、自らの提案を口にする。

「チャットかメールでリゼさんのこと伝えられないでしょうか?」
「……そうだな」

書き込む文章をエルドラも交えた3人で考える。
相談の傍ら、蛍の手帳と糸と布を使った作業は進行している。
10分以上をかけてもいい文章が浮かばなかった。
それだけリゼの扱いは難儀なのだ。

蛍は出来上がったカードホルダーにエルドラの同意を得た上で彼女を収納する。
次に彼女はまだ眠り続けるピルルク用のカードホルダーの制作に着手する。
その時、スマートフォンが振動した。

3人は相談を中断し、誰が受け持つかを考える。静雄は慎重にスマホを手に取ると蛍へと手渡す。

「……」

映し出された番号は先のどの施設のものでもない。
もしかしたら、と期待半分不安半分に蛍は意を決してボタンを押した。

20 有為転変 ◆WqZH3L6gH6 :2017/03/23(木) 00:23:54 ID:FjK6RFpc0

「もしもし……」
『……』

電話の向こうから微かな喧騒が聞こえたような気がする。
蛍は気を落ち着かせ、誰が話し掛けても対応できるよう気を引き締める。

『ほたるん……』
「れんちゃん」

最後に会ってから感覚的に2日も経っていないのに、長い時が流れたような気がした。
的外れとも取れるその思考の後、蛍は表情を緩めた。

「無事なの、元気なの?」

それは嗚咽混じりとも取れる問いかけ。
だがその感情は悲しみとは相反するもの。

『ウチ、無事なん!さっつん達のおかげで元気なん!』
「っ」

蛍が深呼吸をした。
そして何かが決壊したように安堵から来る言葉が、要領の得ないものも含めて次々と飛び出す。
電話の向こうの少女 れんげも同じように喋りまくった。

「……」

静雄はそんな2人のやり取りを見守っていた。

----------------------------------------------------------------------------------------------------

同じ村に住む2人のやりとりが一段落した後。
静雄は現在のれんげの保護者である鬼龍院皐月と通話していた。

『そうか、蟇郡と纏流子は……』
「す……」

詳細までは聞いていないが静雄は蟇郡の主君である皐月について
静雄は詫びの言葉を口にしようとした。

『謝らなくてもいい。あいつ自身それを望むような者ではない』

凛としたその声に静雄は口を噤んだ。

『しかし、極制服を着用していたとは……』

微かな困惑が入り交じった皐月の声に、エルドラは助け舟を出すべく静雄に声をかける。

「それってまた時系列の……ってやつじゃないですかね」

同意を求められた蛍は黙って頷く。
蛍自身、その行き違いから生命を落としかけたのだ。忘れるはずがない。

『どういう事だ?』
「……話したいんだけど、代わっていいですかね?」

21 有為転変 ◆WqZH3L6gH6 :2017/03/23(木) 00:25:09 ID:FjK6RFpc0


静雄は黙ってスマホを蛍に渡す。

「はい。こちらルリグのエルドラー」
『ルリグ?何の事だ』

知らないようですねって感じで静雄達に目配せしたエルドラは、蛍にサポートを頼みつつ慎重に皐月との通話を続けた。

----------------------------------------------------------------------------------------------------

「……」

蛍は鉛筆は手に皐月から教えられた電話番号を記録していく。
そしてその番号をスマホに登録していく。
生前、臨也は記録は残さず、自分で記憶した方がいいと言っていたのを蛍は思い出し、
恥を感じながらもやるべきことを続けた。

『では、こちらは手紙を処分するがいいのか?』

皐月とれんげは既に記憶したという。
その言葉に力強さを感じた静雄は「ああ」と同意する。

『それで静雄さんが探している相手は……』
「小湊るう子。紅顔の中肉中背の中学生くらいの女の子だ。後、俺の事は呼び捨てで良い。蟇郡もそう呼んでいたから」
『小湊……るう子か』
「はい」

それは蛍の声。

『解った。我々は今分校にいるが、あなた達はどうする?』
「俺達は……今からそっちに向かおうと思う」
『そうか。では我々もそちらに行こう』

そうした方が早く合流できるかと3人は合意する。

「そうだな。頼むぜ」
『そちらこそ』

静雄は蛍にスマホを渡すと、彼女は電話の向こうに声をかける。

「じゃ、またねれんちゃん!」
『うん、またなん!』

通話が終了した。
静雄と蛍はさっきと比べ晴れやかな表情で立ち上がる。

「ちょっと、待って」

とエルドラは2人にストップをかけた。
机の上には1枚の黒カードがある。
静雄はそのカードを捲ると裏面には支給品 蝙蝠の使い魔の詳細が書かれていた。

「私をその蝙蝠に触れさせて来れませんかね?」
「何でだ?」
「ちょいと思い当たる節がありまして」

22 有為転変 ◆WqZH3L6gH6 :2017/03/23(木) 00:25:55 ID:FjK6RFpc0
静雄は黒カードから蝙蝠を出し、蛍はホルダーからルリグカードを出す。
欠伸をした蝙蝠にエルドラは触れた。
すると蝙蝠は青白く発光し目をぱちくりさせた。

「これは……?」
「うーむ。静雄さん、ちょっと戸を開けてもらえませんかね?」

静雄は戸を開けると、蝙蝠は飛び立ち暗闇へと身を躍らせる。

「おい」
「……おー、見える見える」
「あのエルドラさん、もしかして」

ある事を記憶している蛍はエルドラに問いかける。

「どうやらこの子、シグニと同じように扱えるみたいっすね」
「シグニ?」
「ルリグの使い魔……って言って良いのかな?みたいなものです」

ルリグは稀にだが触れた物体を自らの眷属 シグニへと進化させる事ができる力を持つ。
ゲームとしてだけではなく創作小説としてのウィクロスにも詳しいエルドラだからこそ思い至った発想だった。

「あまりスピードは出せないけど、これで車の運転も楽にできるっしょ」
「じゃあ私にも」
「色々試してみるのも良いかもですね」

和気あいあいとした2人の感情に釣られたように嬉しそうな鳴き声を上げて蝙蝠が戻ってくる。
蛍はスマホを手に思案し、首に掛けられたエルドラも画面を見つめる。
静雄はそんな彼女等を見て、強くなりたい気持ちを一層強めた。

----------------------------------------------------------------------------------------------------

一方、その頃の旭丘分校では

通話を終えた皐月とれんげは校舎から出ると、蛍らと合流すべく足早に南下しようとする。
さっきまでの通話の情報交換は必要最低限のものに過ぎない。
彼女等と合流してからが本番。桂さんや絢瀬と平穏に会話するための暗号等も伝えた。
連絡は……今はあの3人に頼るしかない。
れんげの精霊が哨戒するかのように宙を舞う。
走った2人は校門を出た。

2人は道路の脇の林に入って進む。辺りは静寂に包まれいる。

今後の進路は、これからのあの3人の成果次第だが、おおよそに決めている。
島の中央の道路を西進し放送局に向うか、あるいは苦境に立たされた反ゲーム派の参加者の救援の為に、
分校の転送装置を使って、駅までの道をショートカットして電車を利用するか。

「……」

城周辺にいるかも知れない妹 纏流子と再会して凶行を止めたい気持ちはある。
だが皐月は今はあえてれんげの希望を叶えたかった。
2人も行く、約束を果たす為に。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

23 有為転変 ◆WqZH3L6gH6 :2017/03/23(木) 00:26:19 ID:FjK6RFpc0

【G-3/温泉付近の民家/夜中】

【平和島静雄@デュラララ!!】
[状態]:こんな状況を招いた自分への怒り(中)、全身にダメージ(中)
[服装]:バーテン服、グラサン
[装備]:ブルーアプリ(ピルルクのカードデッキ)@selector infected WIXOSS
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(18/18)、青カード(13/18)
    黒カード:縛斬・餓虎@キルラキル、 コルト・ガバメント@現実、軍用手榴弾×2@現実、
         コシュタ・バワー@デュラララ!!、不明支給品0〜1(本人確認済み)
    白カード :紅林遊月、衛宮切嗣、ランサー
    自分と蛍の換えの服(上下1〜2着分)@現地調達

[思考・行動]
基本方針:あの女(繭)に報いを与えたい。殺す発言は極力しないように心がける。
  0:道路照明と使い魔を駆使し車で分校方面へ向う。
  1:蛍を守りたい。強くなりたい。
  2:蛍とれんげを再会させ守る為にスマホを通じて情報収集する。
  3:小湊るう子を保護する。
  5:2と3を解決できたら蟇郡を弔う。
  6:リゼが気がかり。
  7:余裕があれば衛宮切嗣とランサーの遺体、東條希の事を協力者に伝える。

[備考]
※一条蛍、越谷小鞠と情報交換しました。
※エルドラから小湊るう子、紅林遊月、蒼井晶、浦添伊緒奈、繭、セレクターバトルについての情報を得ました。
  先程、簡単にですが皐月、れんげとも情報交換を行いました。
※東條希の事を一条蛍にはまだ話していません。
※D-4沿岸で蒼井晶の遺体を簡単にですが埋葬しました。
※D-4の研究室内で折原臨也の死体と桐間紗路の近くに臨也の不明支給品0〜1枚が放置されています。
※校庭に土方十四郎の遺体を埋葬しました。
※H-4での火災に気付いています。 遊月を埋葬した時点では拡大も鎮火もしていないようです。
※G-4とH-5の境界付近で紅林遊月を簡単にですが埋葬しました。
※ピルルクの「ピーピング・アナライズ」は(何らかの魔力供給を受けない限り)チャージするのにあと1〜2時間かかります。


【一条蛍@のんのんびより】
[状態]:全身にダメージ(小)、精神的疲労(中)
[服装]:普段通りに近い服@現地調達
[装備]:ブルーリクエスト(エルドラのデッキ)@selector infected WIXOSS、蝙蝠の使い魔@Fate/Zero(シグニ化?)
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(17/20)、青カード(18/20)
    黒カード:フルール・ド・ラパンの制服@ご注文はうさぎですか?、カッターナイフ@グリザイアの果実シリーズ、
    ジャスタウェイ@銀魂、越谷小鞠の白カード 折原臨也のスマートフォン(考察メモ付き)
    ボゼの仮面咲-Saki- 全国編、赤マルジャンプ@銀魂、ジャスタウェイ×1@銀魂、     
    超硬化生命繊維の付け爪@キルラキル 、およびM84スタングレネード@現実
    越谷小鞠の不明支給品(刀剣や銃の類ではない)、筆記具と紙数枚+裁縫道具@現地調達品

[思考・行動]
基本方針:誰かを死なせて悲しむ人を増やしたくない。自分の命についてはまだ分からない。
   1:れんちゃんと再会すべく分校方面へ向う。
   2:平和島さんに付いて行く。
   3:どうにかスマホを活用してリゼさんを含めた仲間達を助けたい。   
   4:主催者と遭えたら話をしてみたい。
   5:折原さんがどんなに悪い人だったとしても、折原さんがしてくれたことは忘れない
   6:何があっても、誰も殺したくない。

24 有為転変 ◆WqZH3L6gH6 :2017/03/23(木) 00:26:47 ID:FjK6RFpc0

[備考]
※セレクターバトルに関する情報を得ました。ゲームのルールを覚えている最中です。
※空条承太郎、香風智乃、折原臨也、風見雄二、天々座理世、衛宮切嗣、平和島静雄、エルドラと情報交換しました。
 先程、簡単にですが皐月、れんげとも情報交換を行いました。
※『越谷小毬殺人事件の真犯人はDIOである』という臨也の推理(大嘘)を聞きました。現状他の参加者に伝える気はありません。
※衛宮切嗣が犯人である可能性に思い至りました。
※参加者の時間軸がずれている可能性を認識しました。
※エルドラのルリグカードは自作の透明のカードホルダーに収納されています。
 現在2つ目を制作している最中です。
※折原臨也のスマートフォンにメモがいくつか残されていることに気付きました。 現状、『天国で、また会おう』というメモしか確認していません。
 他のメモについては『「犯人」に罪状が追加されました』『キルラララララ!!』をご参照ください。また、臨也の手に入れた情報の範囲で、他にも考察が書かれている可能性があります。

※エルドラの参加時期は二期でちよりと別れる少し前です。平和島静雄、一条蛍と情報交換しました。
 ルリグの気配以外にも、魔力や微弱ながらも魂入りの白カードを察知できるようです。
 黒カード状態のルリグを察知できるかどうかは不明です。
※現在、蝙蝠の使い魔はエルドラと感覚を共有しています。



※【蝙蝠の使い魔 補足】
 セレクター役がいるルリグと接触させると、ルリグが魔術師と同様に感覚を共有でき使役できるようになります。
 命までは共有しません。なおどちらかを黒カードに収納するか意識を失うとそれらの効果は失われます。
 制限や、ルリグを扱うセレクターが同様に扱えるかどうかは後の書き手にお任せします。
 支給品による強化で魔術の力を得た場合も扱えるかもしれません。

【追記】
臨也のスマホにラビットハウス、ゲームセンター、映画館、万事屋銀ちゃんの電話番号が登録されています。
今回の話で新たに各勇者スマホの番号が登録されました。



【F-4/旭丘分校付近/夜中】
【鬼龍院皐月@キルラキル】
[状態]:疲労(小)、全身にダメージ(中)、袈裟懸けに斬撃(回復中)
[服装]:神衣鮮血@キルラキル(ダメージ小)
[装備]:体内に罪歌、バタフライナイフ@デュラララ!!
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(5/10)、青カード(8/10)
    黒カード:片太刀バサミ@キルラキル
    白カード:針目縫
    針目縫の腕輪(糸が括り付けられている)、鉛筆2本
[思考・行動]
基本方針:纏流子を取り戻し殺し合いを破壊し、鬼龍院羅暁の元へ戻り殺す。
0:まず平和島静雄と合流する。それから放送局に向うか分校の転送装置を利用して電車を利用するか判断する。
1:絢瀬絵里が心配。 何とか連絡を取りたい。
2:鮮血たちと共に殺し合いを破壊する仲間を集める。
3:纏流子を取り戻し、純潔から解放させる。その為に、強くなる。
4:ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲を調べてみたい。
5:襲ってくる相手や殺し合いを加速させる人物は倒す。
6:神威、DIOには最大限に警戒。また、金髪の女(セイバー)へ警戒

25 有為転変 ◆WqZH3L6gH6 :2017/03/23(木) 00:27:12 ID:FjK6RFpc0

[備考]
※纏流子裸の太陽丸襲撃直後から参加。
※【銀魂】【ラブライブ!】【魔法少女リリカルなのはVivid】【のんのんびより】【結城友奈は勇者である】の世界観について知りました。
※ジャンヌの知り合いの名前とアザゼルが危険なことを覚えました。
※金髪の女(セイバー)とDIOが同盟を結んだ可能性について考察しました。
※罪歌を支配しました。支配した場合の変形は身体から実際の刀身以上までの範囲内でなら自由です。
※一条蛍(I)の書き込みまでチャットを確認しました。
※IDカードから転送装置の存在と詳細を知りました。
※静雄との会話で蟇郡が流子に殺された事を知りました。

【宮内れんげ@のんのんびより】
[状態]:魔力消費(中)、勇者に変身中
[服装]:普段通り、絵里のリボン
[装備]:アスクレピオス@魔法少女リリカルなのはVivid 、犬吠埼樹のスマートフォン@結城友奈は勇者である
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(8/10)、青カード(9/10)
    黒カード:満艦飾家のコロッケ(残り三個)@キルラキル
    飴の入った袋(残り8割)
[思考・行動]
基本方針:ほたるんと再開するために南下する。
1:うちも、みんなを助けるのん。強くなるのん。
2:銀さん、えりりん心配のん。
3:あんりん……ゆうなん……。
4:きんぱつさん、危ないのん?
[備考]
※杏里と情報交換しましたが、セルティという人物がいるとしか知らされていません。
 また、セルティが首なしだとは知らされていません。
※魔導師としての適性は高いようです。 魔術師的な感覚も備わり始めました。
※【キルラキル】【ラブライブ!】【魔法少女リリカルなのはVivid】【銀魂】【結城友奈は勇者である】の世界観について知りました
※ジャンヌの知り合いの名前とアザゼルが危険なことを覚えました。
※金髪の女(セイバー)とDIOが同盟を結んだ可能性について考察しました。
※一条蛍(I)の書き込みまでチャットを確認しました。
※放送を聞いていません。
※IDカードから転送装置の存在と詳細を知りました。

【追記】
※静雄達との通話による情報交換は必要最低限に留まっています。
 少なくとも第二放送前の流子と蟇郡の事、小湊るう子の事、天々座理世を始めとする混乱については伝えられています。
※樹の勇者スマホに臨也のスマホとラビットハウス、ゲームセンター、映画館、万事屋銀ちゃんの電話番号が登録されました。
※蛍の手紙は処分されました。
※衛宮切嗣の遺体とランサーの生首は埋葬されました。  影響はありませんが両者の遺体からは差異はあれど魔力が残留しています。
※旭丘分校からの転移先は本能字学園の校庭です。装置に関する説明文の有無や細かい場所は後の書き手さんにお任せします。
※IDカードは針目縫との空中戦の折紛失しました。現在D-4かD-5の海上に落ちている可能性が高いです。

26 ◆WqZH3L6gH6 :2017/03/23(木) 00:29:26 ID:FjK6RFpc0
投下終了です。

27 ◆NiwQmtZOLQ :2017/04/16(日) 16:50:48 ID:GEnvyBk.0
遅ればせながら、投下させていただきます

28 ◆NiwQmtZOLQ :2017/04/16(日) 16:51:32 ID:GEnvyBk.0

チャットルームの書き込みは、以前のそれよりかなり増えていた。
更に、その中にある二つの書き込みと絢瀬絵里が居合わせたよいう状況が同時に存在していたことが、彼女たちに大きなアドバンテージを与えていた。

『つまり、樹ちゃんのスマホを皐月さんって人とれんげちゃんって子が。友奈ちゃんのスマホをコロナちゃんって子と桂さんって人が、それぞれ持っている可能性がとても高い……そういうことだね?』

セルティのまとめに、絵里がうなずく。
書き込まれたイニシャルと、何らかの隠喩であることを如実に表した文中の謎めいた言葉。
これらが、極力他の知り合いにもわかりやすいように

「れんげちゃんだけ、もとの世界の子からは分かりづらいんですけど……でも、共通した渾名みたいなのは本名が連想しやすい『れんちょん』だけだったから」
「仕方なく、支給品の名前をつけた…ってことね」

納得した、という風に夏凜が〆る。
ともあれ、そういうことなら連絡手段は存在する。既に電話機能までが解放されている以上、使わないでいる理由など何もない。
となると、どちらから連絡を取るべきか。
特にどちらでも問題があるというわけではないのだが、しかし改めてこうした二択となるとどちらがいいとすぐには決まらないものだ。
どうしようかな、と考えようとしたセルティに、しかし絵里がおずおずと意見を述べる。

「……桂さんとコロナちゃんにしたいと思うんですけど、駄目ですか?」
『別に。むしろ迷ってたから決めてくれてありがたいんだけど……何か理由が?』

その言葉に、絵里は少し俯いて答える。

「……単純に、書き込みがちょっと前みたいだから……」

伏し目がちに紡がれたその言葉で、セルティも理解した。
要するに、安否が最後に確認できたのがより古い方から連絡したい、とそういうわけだ。
夏凜も特に異議を唱えることはなく、友奈の番号を電話帳から呼び出していた。
声を聞けば確認できるから、ということで、電話を実際にするのは絵里にすぐ決定した。
渡された端末の通話ボタンをプッシュし、そっと耳にあてがう。
プルルルル、プルルルル、と。
電話のコール音が、静寂の中に響き渡っていた。
セルティと夏凜が見守る中で、絵里が握っている端末は機械音を吐き出し続ける。
そして、待つことおよそ十数秒─────コール音は止まり、代わりに聞こえてきたのは、電話越しの少女の声。

『……もしもし。こちらはブランゼル』

聞き覚えがある声に、絵里の目頭が僅かに熱くなる。
そのまま漏れ出してきそうな嗚咽を噛み殺し、その代わりに叫ぶように電話の向こうの名前を呼ぶ。

「その声………やっぱり、コロナちゃん!」
『………え、絵里さん!?』

やはり、確かに聞き覚えがある声。
思わず叫びが漏れ、そのまま喜びに任せてしまいそうな想いをしかしぐっと堪える。
尚も会話を交わそうとして、しかし電話の向こうから聞こえてきたのは少し話し合うような声と、端末そのものが揺れるような音。
そして、その後に聞こえてきた声は、先程とはうって変わった、しかしやはり聞き覚えのある声。

『………電話を代わらせていただいた。絵里殿か』
「桂さん……!」

何よりも、安心感のある「大人の声」を聞いたことで、更に彼女の心は揺らぐ。
しかし、その前に桂の方から機先を制して語りかけてきた言葉が、まだ彼女を繋ぎ止める。

『まだだ。一応確認をさせてもらわねば、な。
別れの時、銀時が俺に渡した支給品。そのうち、武器のほうはなんだった?』

本人確認。
成りすましでの行動を防ぐ為に、当人たちしか分からない事を聞く。針目縫などの変身能力持ちに騙されない為の処置。先程決めたばかりなのに、もう記憶の彼方にあるように感じてしまう。
問題は、銀時が彼へと渡していた武器。そう、確か、使い方がよく分からないとか何とか言われていた─────

29 ◆NiwQmtZOLQ :2017/04/16(日) 16:55:24 ID:GEnvyBk.0

「鎖分銅、だったわよね」
『………よく無事でいてくれた、絵里殿』

正否の代わりに、返ってきたのは安堵を噛み締めたような、そして電話越しでも此方を安心させてくれるような温かみを感じる声。
泣き出しそうになるのを堪えようとして─────しかし、久し振りに信用出来る人間と連絡が取れたことに、限界まで張り詰めていた絵里の心は容易くぐらついた。
安堵の嗚咽が漏れ、涙が否応無く頬を伝う。
言葉をまともに発する事も出来ず崩折れた彼女に、電話の向こう側の桂も一度押し黙る。
しかし、何時までもそうしてはいられない。
時間は有限だ。泣いて落ち着く暇も、今は惜しい。

『……絵里ちゃん。とりあえず、それを夏凜ちゃんに渡してもらって良いかな?』

セルティが、彼女の肩を叩いてその文面を見せる。
大丈夫だ、と反射的に言おうとして、しかしこみ上げる感情に収まりが中々つかないだろうと彼女自身が自覚していた為に、す、と夏凜へと差し出した。

「……電話を代わらせてもらったわ。私は三好夏凜よ」

受け取った夏凜も、絵里から聞いた分だけだが桂の事は知っている。
まずは名乗った上で、情報交換

『……夏凜殿。貴女が、か』
「どうかした?」
『……いや、後で語ろう。ともあれ、まずは互いに情報を共有するべきだろう』


『……なるほど。大まかな事情は把握した』

絵里の身に起こった、地下闘技場での決戦とその後の一件。
夏凜とセルティの身に起こった、放送局付近での様々な事件。
桂とコロナが、絵里たちと別れてから遭遇した出来事。
なるべく手早く、両者はそれらの情報を共有した。

『話を聞く限り、最優先事項は恐らくそのるう子という少女だろうな』

全てを聞いた桂の結論に、夏凜も同意する。
桂たちが発見した、ゲームに関連性がある可能性が大きいアプリゲーム─────その内容が、そっくりそのままWIXOSSと同じであるということが、小湊るう子という存在の重要性を更に高めていた。
だが、それとは別に、合流も視野にいれるべきだろうという意見もあった。
既に人数が減り、まだ生存している人間に対してある程度は危険人物かどうかの目星がつくようになっている。
そんな状況であるならば、将来的に生き残った対主催メンバーで残ったマーダーを迎え撃つという理想的な構図になるべく近付けたい以上、仲間集めと同程度に「信用できる知り合いとの確実な再開」は重要だ。

『こちらは今、映画館にいる。恐らくは分校か、或いは温泉あたりでも合流は可能だが……』
「……さっきも言った通り、こっちはこのまま北に向かいたいわね。るう子の状況が分からないから、変なことに巻き込まれる前にできるだけ早く見つけてあげたい」

合流を早めたいのなら南東へ。るう子の救助を優先するなら北へ。
どちらも捨てがたい選択肢だが、向かう先が完全に異なるというのはやはりどうしようもない問題として浮上する。
どうしたものか、と思う夏凜だが─────そこで、桂がとあることに思い当たる。

『……いや、もしかしたらなんとかなるかもしれない。幸運なことに、アテはある』
「アテ?」
『ああ。ワープ装置……三ヶ所の学校に、それぞれを繋いでいる転移機能が備わっているようでな』

手短に説明されたその内容は、確かに効率良く集合する事に適していた。
三つの学校を繋ぐそれは、ちょうど夏凜たちが北に向かった先である音乃木坂学園と、桂たちの進行方向上にある旭丘分校を繋いでいることとなる。
このまま北に行き、アザゼルか自分たちがうまくるう子を発見し、その上で合流まで果たせたとすれば、目標は果たせたこととなる。
今後の話になってから隣で話を聞いていたセルティに視線で同意を仰げば、彼女も文句はないとばかりにヘルメットを縦に振っていた。

30 ◆NiwQmtZOLQ :2017/04/16(日) 16:59:59 ID:GEnvyBk.0

「……じゃあ、それでいいわね?」
『ああ。細かい場所集合は……やはり、音乃木坂学園かその周辺の施設、となるだろうな』
「分かったわ。そう伝えておく」
『頼んだ。皐月殿たちには私たちから連絡をしてみる』

これで、方針も決まった。
わずかな時間ではあるが、得たものは大きい。
今後の方針だけではない。様々な情報、そして何より信頼できる人間の生存。
恐らくは、今後の戦いにおいてもとても重要なものになるはずだ。

「……あ、それと」

最後に、と。
夏凜がもうひとつ、言葉を付け加える。

「温泉街に、絵里さんと同じ制服の死体があるかもしれない、て言ってたから……もし、余裕があれば」

映画館の北側が禁止エリアで封じられた今、分校に向かうには山の中を突っ切るか南側の道路を伝っていくのが最良。
そのうちの後者のルートならば、確かに足を伸ばせない場所ではない。

『……わかった。ルートにもよるが、考慮しておこう。
それでは、そちらの幸運を祈る。……それと、こちらからも一つ』

深呼吸のような音が一つ聞こえたかと思うと、電話越しにも感じ取れる、深い─────言いようのない複雑な感情が込められた言葉が耳に届いた。

『絵里殿に、伝えておいてくれ。最後まで銀時の隣にいてくれたこと、感謝する、と』
「……ええ、わかったわ」

その会話を最後に、通話は途切れた。



映画館の中、端末を握ったまま立ち尽くす人影が一つ。
絢瀬絵里からの通話を終えた桂小太郎は、何かを思案するように顎に手を当てていた。
深く考え込んでいた彼だったが、同行者が此方に戻ってくる音で顔を上げる。

「落ち着いたか、コロナ殿」
「はい、なんとか………すいません、安心しちゃって」

コロナから桂に電話が代わった後、コロナもまた再会の感動で泣き腫らしていた。
途中までは桂が落ち着くようにと手を握っていたが、途中からは自分で手水場に向かい、顔を洗うなどして幾らか落ち着きを取り戻していた。

「絵里殿もコロナ殿も、平和な世に生きる身だ。こんな場所で、安心できるような事があるのなら泣く事は何も恥ずべきではない」

その言葉に、先程のラビットハウスでの一件を思い出したのか、コロナの顔が少し赤くなる。
慌ててそれを隠すように、彼女は話題を探すかのように目を泳がせ─────そして、はたと話題が思いついたように口を開いた。

「でも、夏凜さんと合流できてたみたいなのは朗報ですね」

そう言いながら、コロナが取り出したのは一枚の黒カード。
ラビットハウスに残っていた、勇者部五箇条のポスター。くしゃくしゃになってはいるものの、極力修復がされ、眺めるには問題ない程度の状態で残っていた。

「勝手にとってきちゃいましたけど……夏凜さんにあげれば、喜んでくれるでしょうか」

これを渡すべきは、今となっては恐らくは唯一生き残った勇者部のメンバーである夏凜のみだろう。
複製の可能性も大きいが、それでも思い出の品ではある筈だ。本人の手元にあった方が良い、というより彼女が持つべきものだろう、とコロナは思う。
だが、それに対して桂は渋い顔を向ける。

「……いや。それは、止めておいた方が良いかもしれん」
「え?」

想像もしていなかった言葉に、コロナは疑問符を浮かべる。
そう思うコロナの言葉も尤もなのだが─────しかし、桂の脳裏にはどうしても、先程の一つの声がちらついて仕方がなかった。

(取り越し苦労である事を、祈りたいのだがな─────)

友奈と風の事を切り出した時の、夏凜の声。
友が死んだにしては、あまりにも平坦過ぎる声。
どこか壊れてしまったかのようなその声を思いだし─────しかし、今彼に何ができるというわけでもないのもまた事実。
首を振って余計な思考ごと振り払い、再び端末を取り出す。

31 ◆NiwQmtZOLQ :2017/04/16(日) 17:01:21 ID:GEnvyBk.0

「……ともあれ、コロナ殿。まずは皐月殿とれんげ殿に連絡を取らなければな」

そう言いながら再び端末の黒カードを取り出して、皐月への連絡をしようとする。
まずはそちらと合流、そして─────恐らく、そこが一つの決戦になる可能性が大きい。
電話帳を開く前に、桂はちらりとチャットルームを覗く。
『5番目のD』─────DIOを呼び出した存在もまた、地下闘技場にいる可能性が高い。
もしもあの男が乗ったなら、決して闘技場から遠い場所ではない音乃木坂学園にいる自分たちと遭遇する可能性は軽視できないものとなる。
先程、彼女たちにも極力避けて通るよう忠告はした。本来なら皐月やれんげと合流した上で迎えに行きたい程だが、そうなれば今度はるう子という少女がDIOと遭遇する可能性も同時に上昇する。
結局、最良の判断としてはなるべく早く合流するというそれしかない。

(……これも、取り越し苦労であってくれれば良いのだがな)

未だに、無力感は拭えぬまま─────それでも、人間である以上は一歩ずつ進むしかない。
先の見えない暗闇に、それでも光を切り開かんとばかりに、桂はその目を細めていた。


【G-7/ラビットハウス周辺/夜】

【桂小太郎@銀魂】
[状態]:胴体にダメージ(小) 、勇者に変身中
[服装]:いつも通りの袴姿
[装備]:風or樹のスマートフォン@結城友奈は勇者である
    晴嵐@魔法少女リリカルなのはVivid
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(17/20)、青カード(17/20)
    黒カード:鎖分銅@ラブライブ!、鎮痛剤(錠剤。残り10分の9)、抗生物質(軟膏。残り10分の9)
    長谷川泰三の白カード
[思考・行動]
基本方針:繭を倒し、殺し合いを終結させる
1:皐月や他の参加者と合流しつつ分校に向かい、ワープ装置で北西の島に飛び絵里たちとも合流。
2:コロナと行動。
3:神威、並びに殺し合いに乗った参加者や危険人物へはその都度適切な対処をしていく。
  殺し合いの進行がなされないと判断できれば交渉も視野に入れる。用心はする。
4:スマホアプリWIXOSSのゲームをクリアできる人材、及びWIXOSSについての(主にクロ)情報を入手したい。
5:金髪の女(セイバー)に警戒
[備考]
※【キルラキル】【ラブライブ!】【魔法少女リリカルなのはVivid】【のんのんびより】【結城友奈は勇者である】の世界観について知りました
※ジャンヌの知り合いの名前とアザゼルが危険なことを覚えました。
※金髪の女(セイバー)とDIOが同盟を結んだ可能性について考察しました。
※勇者に変身した場合は風か樹の勇者服を模した羽織を着用します。他に外見に変化はありません。
 変身の際の花弁は不定形です。強化の度合いはコロナと比べ低めです。


【コロナ・ティミル@魔法少女リリカルなのはVivid】
[状態]:胴体にダメージ(小) 、勇者に変身中、悲しみ
[服装]:制服
[装備]:友奈のスマートフォン@結城友奈は勇者である
    ブランゼル@魔法少女リリカルなのはVivid 、
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(16/20)、青カード(17/20)
     黒カード:トランシーバー(B)@現実、勇者部五箇条ポスター@結城友奈は勇者である
[思考・行動]
基本方針:殺し合いを終わらせたい。
1:桂さんと行動。
2:桂さんのフォローをする
3:金髪の女の人(セイバー)へ警戒
[備考]
※参戦時期は少なくともアインハルト戦終了以後です。
※【キルラキル】【ラブライブ!】【魔法少女リリカルなのはVivid】【のんのんびより】【結城友奈は勇者である】の世界観について知りました
※ジャンヌの知り合いの名前とアザゼルが危険なことを覚えました。
※金髪の女(セイバー)とDIOが同盟を結んだ可能性について考察しました。
※勇者に変身した場合は友奈の勇者服が紺色に変化したものを着用します。
 髪の色と変身の際の桜の花弁が薄緑に変化します。魔力と魔法技術は強化されません

32 ◆NiwQmtZOLQ :2017/04/16(日) 17:03:30 ID:GEnvyBk.0



絵里が戻ってくると、既に通話は終わっていた。
できれば、もう少し言葉を聞きたかった─────そう思いかけるも、己の頬を手で張って甘えたくなる気持ちを抑える。
ただでさえ、泣くことでわざわざ夏凜に話を代わってもらうことになったのだ。これ以上頼るわけにはいかない。

「……とりあえず、聞いたことを纏めるわ」

電話が終わった、ということで、まず夏凜が話したのは今後の方針について。
るう子を探しつつ北上、その後ワープ装置によって合流。その方針に、絵里も異論を抱くことはない。

「集合するのは、その近く……駅か、地下闘技場になると思う、けど」
『地下闘技場は、危険である可能性が少なくないな。DIOがいる可能性がある』

セルティの言葉に、二人も頷く。
チャットルームに増えていた書き込みのひとつ─────『一番目のM』、そして『五番目のD』へと向けられたその言葉。
もしDIOがこれに応じたとすれば、地下闘技場はかなりリスキーな場所となる。

(アザゼルのヤツがちゃんと交渉を成立させていたら、少しは安心できるんだがな……)

夏凜がいる手前敢えてPDAには書かず、こっそりと心の中で呟く。
真っ向からぶつかっても勝ち目がないというのは、罪歌の能力を使用した杏里やそれ以上の実力者が束になって尚圧倒されたという絵里の言葉から分かっている。
杏里のことを許す気はないが、かといって無謀に復讐を企んでも意味はない。少なくとも、まともに勝負をすることになるという状況だけは避けたいところだ。
そんなことをセルティが考えている合間に、夏凜から絵里への方針説明は粗方終わっていた。

「方針については、大体こんな感じね。次は……向こうであったことも聞いたわ」

その言葉で、セルティも思案を一旦止めて夏凜の方を向く。
それは絵里だけでなく、セルティも聞いていなかった話だ。有益な情報があれば、共有しておくに限る。
二者の視線を受けながら、思い返すように顎に手を当てつつ夏凜が語り出す。

「あなたたちと別れた後、金髪の女と遭遇したって。風とは別人のね。その時は特に交戦は無かったけど、危険人物の可能性は高い……なんでも、DIOと組んでる可能性があるらしいって」

その一言で、絵里の心中が一瞬で張り詰める。
あのDIOの協力者、となれば、此方を害する事に何の躊躇いも無いだろうというのは容易に想像できてしまう。
少女の実力や能力などは分からないが、確かに細心の注意を払う必要があるはずだ─────と、絵里は心に留める。

『……そうなると、このDが二回目にチャットで発言したこれは』

セルティが指し示したのは、やはりチャットルームの書き込み。
誰かに対して約束をしていたことが窺えるそれと今の話を照らし合わせれば、金髪の少女という協力者の存在はほぼ確かだと言っていいだろう。
当の本人であるセイバーは既に激戦の末命を落としていたのだが、それを知る由は現段階の彼女たちにはない。

「それで、その後は……っと、そう。その後はショッピングモールに向かって、そこで─────風と会ったって」

そして、続いたその言葉に、セルティと絵里がしまったという表情をする。
そこから先、何があったのか─────それを彼女に語らせるのは、あまりにも残酷だ。
「友奈の端末をコロナたちが持っている」という事実から、友奈や風の死を彼らが見届けたというのは明らかだったというのに─────それに気づくのが、遅かった。
セルティが、夏凜の言葉を遮ろうと、止めようと手を伸ばそうとする。

33 ◆NiwQmtZOLQ :2017/04/16(日) 17:05:16 ID:GEnvyBk.0



─────しかし。



「風と戦ってる間に友奈が来て、その後すぐに二人は外に出て……で、何かいざこざがあった後、少し遅れて追いかけてたけど、その時はもう二人とも死んでたらしいわ」


─────その言葉の内容に、問題があったわけではない。
絵里もセルティも放送を聞いていたのだから、その二人の死は知っている。
だから、それを聞いたことで、彼女たちは夏凜を

問題は。
セルティと絵里が、夏凜の言葉を止めようとした二人が、そのまま固まってしまったほどの、違和感は。
その、友達が死んだという、ショッキングな内容を語っているはずの夏凜が。
この言葉で、最もダメージを受けているはずの夏凜が。
「何一つ口調を変えることなく」、「その前後の内容と同じように」、まるで─────まるで、「他人事のように」。
無感情ですらない、平坦な口調で、あっさりとそれを告げたこと。

「……その後、もっと見て回れる範囲を広くしようっていうことで、二人ずつ二組に分かれて行動することになったらしいわ。今桂さんたちは映画館で、鬼龍院さんたちは分校か城のあたりにいるんじゃないか、って」

そこまで言い終えて、夏凜はようやく他の二人が、自分を変なものでも見るかのような視線に気づく。

「……私、何か変なこと言った?」

自然な言葉。
先程のものとはうって代わって、本来込められるべき感情をきちんと込められている言葉。
不自然な態度を取る自分たちに、当然のように疑問を抱き、此方へとかけた言葉。
そこに違和感は無く、裏表も無く、単純明快な疑問のみがそこにある。

「何か、って………」

だからこそ、わからないと絵里は思う。
三好夏凜が先程告げた、他人事のように死を告げた言葉が、どうしても異質で奇妙なものであるように思えて。
友奈と風の事を告げた時の、あの言葉が─────おかしいとしか、思えない。

「……どうしたのよ、絢瀬さん」

そして、同時に。
絵里の中で、激しい感情が徐々に起こりつつあるのを、彼女自身が感じていた。
彼女自身でも理解しきれていない感情が、表層に浮き出てくるのを感じる。
夏凜が絵里へと声をかけたのも、きっとそれが態度に現れているから。

「………どうして」

そして。
その感情が、導くままに。
それを問わなければ、彼女の中の何かが壊れてしまいそうな焦燥感が導くままに。
ぽつり、と。
綾瀬絵里は、それを口にする。

「どうして、あなたはそんなに……友達が死んだのに、平気な顔でいられるの?」



「─────そんなこと」



帰ってきたのは。
やはり、他人事のように。
興味のない世間話を交わすように、彼女は気迫な感情のみを込めた言葉を紡ぎ続ける。
そこに情動はなく、さりとて感情の触れ幅を意識して消しているでもなく。
本当に、ただ、淡々と。
どうでもいいことを、述べるように。

「─────そんなこと、今はどうだって良いじゃない」

言い放たれた、そんな言葉。
そして、それは更に、絵里の激情に火を灯す。

「─────どうだって良くなんて、ないじゃない」

語気が強くなるのを、自分自身でも感じる。
目も自然と睨み付けるように鋭くなり、拳を握る力が強くなる。

「でも今は、そんなことを言っている場合じゃないでしょ?」

けれど。
それでもやはり、夏凜の声は変わらない。

「私たちは、悲しむより、進まなきゃ」

そして、その表情を僅かに引き締めて。
己を縛り付けるかのように、顔をひきつらせて。

34 ◆NiwQmtZOLQ :2017/04/16(日) 17:07:20 ID:GEnvyBk.0



「だって私は、勇者だから」

─────勇者。
その言葉を聞いた時、絵里の脳裏に過ったのは、本能字学園での記憶。
自分たちを守るように立ち塞がる少女が、安心させるように言った言葉。
人を守る為に、大切なものを無くさないようにと、戦う存在を表す言葉。

─────そんな言葉を、彼女は大切なものから■■る為に使っている。

「─────ふざけないで!」

口から飛び出した言葉は、自分でも想像しなかった程に大きく響き渡った。

それに対して、夏凜が初めてその感情を揺らがせる。
Mあるで、己が進む道を遮られたかのように。

「そんな事より、今はこの後の事を考えなきゃいけないでしょ?るう子だって助けないといけないじゃない!」

尚も切り捨てながら、しかしその言葉に込められた響きは、強められた語気の向かう先は、確かな小湊るう子への心配で。
それが、絵里の心を殊更に掻き乱す。
現実逃避ではない。
かといって、現実に正面から向き合っているわけでは無い。
「勇者部」という存在に対してだけ、夏凜は思考を放棄している。


「─────それでも、友達が死んだことを、そんなことなんて言う理由にはならないじゃない!」


─────絢瀬絵里には、それが許せない。
何が許せないのか明確に言語化出来ぬまま、しかし間違っているという確かな想いの下に叫ぶ。

彼女がそれに気づけないのは、偏にそれが彼女を縛る呪いであると、彼女自身が気付いていないから。
逃げたい、とか、辛い、とか、そういう泣き言なら幾らでも言えるけれど。
彼女は、無意識にその全てを背負った上で歩んでいくと決めた。決めてしまった。
それこそが「呪い」。絢瀬絵里を縛る、彼女の心が引き千切れようと彼女を牽引していく奴隷の首輪。
そして、それを背負ったからこそ。
自分が背負うと決めた、一時の友人に対して。
「自分よりも、もっと彼女のことを背負うべき」である、仲間である少女が。
自分の目の前で、背負うことを放棄していた、とするまらば─────それが、絢瀬絵里が叫ばずにはいられなかった理由。
彼女は、未だそれに区付くことはなく。
しかし、それに駆られるままに─────彼女は、叫び続けていた。


(……何を、そんなに怒ってるんだろう)

そして。
対する夏凜は、そもそも絵里がここまで突っ掛かってくる理由を「理解していない」。
絵里が激昂した理由も、そもそも何に激昂したのかさえも。
ただ、彼女が言うには、自分は仲間の死に対して白状だ、とかそういう事を訴えてきている。
彼女からすれば、ただ、今はそれをするべきではない、と思っているだけなのに。

(……勇者部の皆。友奈、風、樹、東郷……)

試しに、一人一人の顔を、彼女の脳裏に順繰りに浮かぶ。
勿論のことすぐに浮かんだその顔に、しかし彼女は違和感を抱く。
何故だか皆、此方を見ていない。
こちらとは反対側を向いているところしか、彼女の脳裏には浮かばない。
改めて、その表情自体を思い出そうとして─────そこで、彼女の中で一つの警鐘が鳴った。
何故だか、これ以上思い浮かべることは、絶対にダメであると思えてしまう。
具体的な理由はわからぬまま、しかしただそれだけを叫び続ける脳内を、夏凜は無理矢理シャットダウンさせる。

(……止めた。やっぱり、今そんなことを考えてる場合じゃないもの。)

─────そして、結局はそこに終止する。
勇者部という彼女の居場所に背を向けて────否、向けずにはいられなくて。
最後の、もうひとつの彼女の寄る辺─────勇者という肩書きに恥じぬものとして。
そう、だから私は──────勇者として、振る舞い続けなければならない。
それでいい、と、彼女は信じて動く。
最早、今の彼女自身にとって、彼女の存在を許してくれるものはもうそれしか残っていないのだから。

35 ◆NiwQmtZOLQ :2017/04/16(日) 17:09:24 ID:GEnvyBk.0

─────彼女の根底にあるのは、結局のところ勇者部への罪悪感だ。
そもそも、この世界に呼ばれる直前の時点で、夏凜は満開の後遺症とそれに関する嘆きを叫ぶ風と相対したばかりだった。
大赦への、そして己への憎悪にただ猛り狂う風に対して、夏凜は何も言う事が出来なかった。
それは、己だけ満開せず、治らない障害を負ってはいないことと同時に、「自分は大赦に属する勇者である」という自負が存在したから。
何せ、風の暴走に最初に対処出来たのも、彼女が大赦に風を見張るよう命令されたからでもあった為に、その縛りは強固なものとなっていた。
その縛りは、本来ならその直後に、自身が大赦の道具に過ぎないのだと東郷に断じられる事で吹っ切れる筈のものだったけれど─────少なくともこの彼女は、それを言われる前にこの殺し合いへと呼ばれていた。
そして、この殺し合いの最中においても尚。
東郷美森が先走り、マーダーとなった理由はきっと、勇者部のみんなの為なのだろうと。
そして、そんな彼女を止められなかった夏凜は、更に責任を負い。
極め付けに、犬吠埼樹の死を笑われたが故に激情に駆られ、取り返しのつかない罪を犯しかけたことを最後に─────彼女自身が、自分が「勇者部の一員」として戦う事に耐えられなくなった。
何も出来ない、仲間を救うどころか、自分は重荷にしかならない。
だから、彼女は勇者部である、少女としての三好夏凜を捨てた。
自身には、その資格なんてありはしない、と、そう己自身で断じて。

─────ここで、重要な事実がひとつ存在する。
三好夏凜という少女の生涯にわたって─────普通の少女としての振る舞いを許したのは、勇者部とそれに付随するものだけである、という事実が。
勇者部に入るまでの彼女の人生は、常に優秀な兄と比較され続けるものだった。

そんな彼女を、初めて無条件で迎えてくれた存在。
それが、彼女にとっての勇者部であり。
逆に言えば─────彼女以外の勇者部がいなくなり、彼女自身もそこから目を背けた今、「彼女を無条件で受け入れてくれるもの」なんて、彼女には既に存在していない。
彼女は既に、戻りつつあった。
勇者でなければ、己の存在価値はないと思い込んでいる─────勇者部に入る前の思考に。

或いは。
或いは、絢瀬絵里と東條希の二人の間に起こった出来事を彼女が知っていれば、結論は少しは違ったかもしれない。
少なくとも、白状であるという言葉に関して、もう少しは思うところもあっただろうが─────セルティと絵里が、絵里に無理に思い起こさせない為に肝心なところをぼかした上で伝えていたのが、この場に限っては裏目に出ていた。

ともあれ。

「でも─────」

それに忠実に、三好夏凜は繰り返すだけだ。
彼女の、壊れかけた論理に基づく逃避を。

「私は勇者だから──────そんなことで、立ち止まってちゃ、ダメだから」



──────その言葉で。
まるで、友を悼むことが、それを背負うことが、停滞だと言わんばかりのその言葉で。
その言葉は、絵里にとっての、琴線だった。

「いい加減に─────」

ほぼ、無意識に。
彼女は、右腕を高く振り上げ、それを彼女の頬目掛けて降り下ろし─────

36 ◆NiwQmtZOLQ :2017/04/16(日) 17:11:02 ID:GEnvyBk.0



(どうする)

ただ一人。
セルティ・ストゥルルソンだけが、冷静に状況を見ていた。

彼女とて、夏凜の言葉に思うところが無かった訳ではない。
いや、寧ろ、己の中の違和感に対しては絵里よりも確証を持っていた。
何故なら、彼女は「こう」なる前の三好夏凜を知っていたから。
友を想い、確かに勇者としての振る舞いを見せる彼女の姿を知っていたが故に、夏凜の今さっきの言葉には明確に違和感を感じとっていた。

(いや─────)

違う。
そもそも、言われてみればそれより前にも確かに違和感はあった。
自分が放送局を出る前と帰ってきた後で、明確におかしいと感じられる点が。
それはアザゼルに対して、東郷のものという端末を渡した時だ。
仮にも、三好夏凜にとって、アザゼルは東郷美森の仇である。
彼女がマーダーとして動き、何人かの人間を既にその手に掛けていたとして、その思いを胸に封じたとしても─────それでも、仇に対してそれを託した事に、違和感を感じずにはいられない。
連絡をするだけなら、電話であろうとメールであろうとタブレットでも事足りるのも確かであるこの状況で、わざわざ渡すだろうか。
或いは、また別の、思うところが彼女にあったという可能性もある。
だが、そんな都合があったと考えるより、今のこの状況とそれを照らし合わせた方が整合性が取れる。
即ち。

(夏凜ちゃんが、勇者部を捨てた─────?)

捨てた、という表現がどこまで的を射ているかは分からないが、ともあれそれに類するものではないか、とセルティは推察した。
勇者部、と限定したのは、彼女が人を想えないような人間ではなくなった、と断ずることは出来そうになかったから。
先の、るう子をおざなりにして、結果危険に巻き込んだというただそれだけに対してあそこまで激昂した夏凜の姿は、他人に対して極度に冷淡になったような人間のそれとは思えない。
友奈と風、そして東郷。この三者のみに他人事のような態度を取るというのが現状で確定している以上、その三人、或いは犬吠埼樹も含めた四人に対してそのような態度をとったと思えば納得できる。
……だが、そこまで絞り混んだところで、明確な解決策が用意できるわけではない。
仮に勇者部の誰かが生きていたとするならその誰かに説得してもらえばいいのだろうが、それがもういないからこその態度とも考えられる以上どうしようもない。
どうするべきか─────それを思案していたセルティだったが、そんな彼女の必死の思考を嘲笑うように二人の口論は激化していき。
そして、絵里が遂に手を上げかけた。

(─────マズい!)

咄嗟に、セルティは駆け出す。
口論している内は何とかなる。だが、今ここで手が出てしまうと、恐らくはその対立が明確になってしまう。
一度スッキリすればどうなる、だとか、そういうストレスからくる喧嘩などとは文字通り訳が違うのだ。
思わず駆け寄り、両者の間に立ちふさがってそれを止めようとする。
夏凜が勇者に変身している訳でも、どちらかが凶器を持っている訳でもない以上、影をあえて使う必要はない。セルティ自身の力で止められる─────そう思っての、物理的な仲裁。

けれど。
絵里の、全力とはいかないまでも八割程度の力が篭った咄嗟の平手が、ヘルメットに当たる可能性を、駆け出す直前まで別のことに思考を費やしていたセルティは失念していた。
そして同時に、絵里が緑子のデッキを所持していたことで、アーツ「」が自動的に発動していたこと。
そのアーツが乗った状態での攻撃が、人間に致命的なダメージをを与えるには到底足りないものの─────軽いものを吹き飛ばすには、十分に足りる程度であったことが、彼女の計算には入っておらず。

だから。
絢瀬絵里の手が思いきりヘルメットに衝突し、それが吹き飛んでしまい─────その下を露出させることとなる、という結果を、彼女は想定もしていなかった。。

カラン、と。
乾いた音が、響いた。

37 ◆NiwQmtZOLQ :2017/04/16(日) 17:12:33 ID:GEnvyBk.0

カラン、と。
乾いた音が、響いた。

「…………あ………」

地面に落ちたヘルメットを見て、絵里が声にならない声を出す。
そして、そのまま首がないままに立ち尽くすそれを見て─────彼女は腰が抜け、へたりと座り込む。
夏凜もまた、何も言うことが出来ない。
頭部が吹き飛ばされた、という事実を咀嚼し、激しい同様に襲われかけ─────しかし、すぐに違う疑問が湧き上がる。
変身すらしていない、何の特殊能力を持っている訳でもない。それなのに、その程度の少女の攻撃が当たったからで人間の首が飛ぶだろうか?
絵里もまた、同様の疑問を浮かべ─────それと同時に、少し遅れて実感する実際に手に残った感触、手応えのない感覚。それらが彼女を混乱させ、

そして。
首の無くなったセルティが動いた瞬間、夏凜は変身して詰め寄る。

「アンタ、何……!?」

油断なくセルティへと剣を突きつけ、文字通り訳のわからないモノを見る目でセルティを睨みつける。
一方の絵里はといえば、腰が抜けたまま立ち上がることも出来ずへたりこんでいる。
そんな両者に対し、セルティは改めてPDAを取り出して文字を打ち込むと、その画面を向ける。

『………驚かせてすまない。見ての通り、私は首が無くてね……だから、こうして文字を打ってコミュニケーションを取らせてもらっていたんだ』
「…………」

夏凜は無言。
絵里もまた、無言。こちらはどちらかと言えば、何か言おうにもまともな言葉が紡げないというのもあるが。
張り詰めた空気が流れる中で、尚もセルティは文字を打ち込む。

『別にとって食おうって訳じゃないし、あのヘルメットも出来るだけ恐がらせないようにと思って着けていたんだ。私は、あくまで君たちを不意に驚かせたくは無かった、それだけだ』

実のところ。
両者共に、彼女の存在そのものは受け入れてはいた。
しかし、絵里にとっては元々そういったものに対する恐怖心が大きい為に、夏凜にとってはそれを受け入れる最大の要因たる悪魔の態度故に、警戒は未だ解かれた訳ではなく。
そして、それに対して、セルティが出来るのはただ心境を語ることのみ。
幸い、と言うべきでも無いだろうが、後ろ暗いとまで言える事は無い。正直に誠心誠意話すことで、通じない相手ではないというのもなんとなくは分かっている。であるならば、ひとまずはそれを信じるのみだ。
それに。

『信用してくれ、とは言わない。だけど、それよりも先に、君たち二人は一度言い合いを止めてくれないか』

その言葉に、両者が止まったのを、セルティは見逃さない。
上手く行けば、この場を丸く収めきれる。先送りにすぎないが、ここでずっと諍いを繰り返していてはどうにもならない。

『お互いに、きっと思うところは一杯あるんだろう。それは私にも分かっている。だけど、今はそれよりもるう子ちゃんの捜索とか、する事はたくさんあるんだ』

卑怯な言い草だという事は、セルティ自身も自覚している。
そもそも論点をずらした上で、納得させる為に言葉を並べているのだ。信用出来ないと言われる可能性はある。
しかし、それでも─────何もしなければ、ここで宙ぶらりんになってしまう可能性が大きい。それは、出来る事なら避けたい事態だ。

『仲間割れをしてる場合じゃないってのは分かってると思うし、それでも言っておかないと気が済まないのかもしれない。……でも、やっぱりそれを私が見過ごす訳にはいかないってのも分かってほしい』

そこで、一度PDAに文字を打ち込む手を止める。
夏凜と絵里の方に視線を向けると、未だに表情には懐疑が浮かんでいる─────が、先に比べれば幾らかはましになった、と思う。
祈るような思いで、セルティは返答を待つ。

「……私は、信じるわ」

先にそう呟いたのは、夏凜だった。
接した時間の長さ、そして東郷の死の時に自分の代わりにアザゼルに突っかかった姿。
それは、外見とは関係なく、確かな信用に値する姿だ、と彼女は判断した。
そして。

「私も」

絵里にとっても、彼女は親身になって接してくれた存在だった。
人ならざるモノであっても人間の味方ではある存在として、鮮血という前例があった事も含め。
元々から恐怖心があった霊的なものという事情のために、幾らか夏凜より時間を擁したが─────それでも、信用しない理由にはならない。

「……夏凜ちゃんにも。私、熱くなりすぎてたみたい。……ごめん」
「……うん」

和解─────だろうか。
少なくとも、絵里の様子は先程に比べれば大分マシになっていた。
夏凜も、抱え込んだものが解消された訳では無いが、そちらは恐らく勇者部の話題さえ出さなければ爆発する事は無いだろう。

「……でも」

38 ◆NiwQmtZOLQ :2017/04/16(日) 17:16:01 ID:GEnvyBk.0

─────ダメか。
セルティが身構える。
また口論が始まるようなら、セルティにはどうしようもない。最悪の場合、影を使う事も視野に入れるべきか。
そんな思案をしていたセルティと、首を傾げた夏凜に対し、絵里は気まずそうな顔でそれを告げた。

「……それはそれとして、腰が抜けちゃって立てない………」

─────絵里が苦手な、所謂幽霊が目の前に現れたとあっては。
それが頼りになる存在だったと改めて確認出来たとしても、腰砕けになった分の衝撃を取り戻すには足りず。
夏凜が差し伸べた手を取って、ようやく絵里は立ち上がったのだった。




ひとまず、衝突による仲間割れは防げた事に、セルティは心の底から安堵する。
作戦であった訳ではないが、自身の正体を明かす事が結果的にプラスになったのではないか、と思うと、うまいこと幸運が味方してくれた。
これで、少なくとも今すぐにチームが分裂してしまうという事は避けられた筈だ。
しかし。

(結局のところ、問題を先延ばしにしただけだな……)

結局のところ、夏凜、そしてもしかしたら絵里も。両者が抱えている、何らかの問題が解決した訳ではない。
放置しておけば、必ずまたどこかで同様の言い争いが起こる可能性がある。

(夏凜ちゃんの地雷が勇者部だって分かってるだけでも救いかな……)

夏凜の場合、明確に「勇者部」のメンバーだけが地雷である可能性が大きい。
そして、夏凜があの状態にならなければ、絵里もわざわざ突っかかる事は無い筈だ。

(……本当は、解決できれば良いのだが)

セルティには、こうした少女たちの機微をケアするだけの技量はない。
いや、むしろこの会場全体を見回しても、他人を完璧にケアできるような余裕を持った人間などいないだろう。
脳裏にとある黒コートの人間が思い浮かんだが、彼はもう死んでいるし、仮に生きていたとしてもこの状況で頼りたいと思うような人間ではないから除外するにしても。
しかし、ならばこのまま放置できるかといえば、やはりそれにも一抹の不安を感じる。
埋まっている地雷など、場所がわかっていたとしても何らかの事故で踏んでしまう可能性は十分にあるのだから。

(もし─────私じゃなかったら、分かるのか─────?)

ふと、そんなことを思う。
デュラハンとして、気付いた時にはこの世を彷徨っていたような存在。
それまで深く物を考える事もなく、首を無くし、それを探し始めて、あの街に辿り着いて─────岸谷森羅と一緒に暮らして。
そうして、色んな「人間」に触れる事で人間性を獲得した自分だから。
あの少女たちの抱える本当の問題が何か、それすらも分からないのか。

(─────森羅。私はどうすればいいんだと思う……?)

自分に口があれば、きっと溜息混じりに呟いていただろう質問。
空気を震わせる事が無く、ただ虚空に消えただけのそんな質問にも、心を覗いているかの如く察して答えをくれる人間は、此処には居なかった。



【D-1/放送局跡付近/一日目・夜中】

【セルティ・ストゥルルソン@デュラララ!!】
[状態]:健康、精神的疲労(小)、罪悪感(中)
[服装]:普段通り
[装備]:V‐MAX@Fate/Zero、ヘルメット@現地調達 、PDA@デュラララ!!
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
    黒カード:カードキー(使用可)、イングラムM10(32/32)@現実
         ジャック・ハンマー御用達薬品セット(精神安定剤抜き)、精神安定剤2回分     
[思考・行動]
基本方針:殺し合いからの脱出を狙う
0: 南ことりの腕輪を回収後、アザゼルと連絡を取りつつ北方でるう子達を捜索する。
1: 絵里、夏凜をサポートする。
2:静雄との合流。
4:縫い目(針目縫)はいずれどうにかする。
5:杏里ちゃんを殺したのはDIO……
6:静雄、一体何をやっているんだ……?

[備考]
※制限により、スーツの耐久力が微量ではありますが低下しています。
 少なくとも、弾丸程度では大きなダメージにはなりません。
※三好夏凜、アインハルト・ストラトス、アザゼル、絢瀬絵里と情報交換しました。

39 ◆NiwQmtZOLQ :2017/04/16(日) 17:18:36 ID:GEnvyBk.0

【絢瀬絵里@ラブライブ!】
[状態]:精神的疲労(大、精神安定剤服用)、髪下し状態、精神的ショックからの寒気(小)
[服装]:音ノ木坂学院の制服
[装備]:無毀なる湖光@Fate/Zero、 グリーンワナ(緑子のカードデッキ)@selector infected WIXOSS
    セイクリッド・ハート@魔法少女リリカルなのはVivid 、宮内ひかげの携帯電話@のんのんびより    
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(70/85)、青カード(66/85)、最高級うどん玉
    黒カード:エリザベス変身セット@銀魂、ベレッタM92&ベレッタ92予備弾倉@現実、 タブレットPC@現実、トランシーバーA@現実
         盗聴器@現実、ヴィマーナ@Fate/Zero(使用可能)、セルティのヘルメット@デュラララ、メルセデス・ベンツ@現実                   
         具@のんのんびより、こまぐるみ(お正月バージョン)@のんのんびより、ブレスレット@Fate/Zero、
         黄長瀬紬の装備セット@キルラキル、狸の着ぐるみ@のんのんびより、小型テレビ@現実
         カイザルの剣@神撃のバハムート GENESIS、ライターー@現実、ビームサーベル@銀魂
         不明支給品:0〜1(千夜)、0〜1(晶)
    白カード:坂田銀時、本部以蔵、ファバロ・リオーネ、東條希、宇治松千夜、神代小蒔
[思考・行動]
基本方針:皆で脱出。
0:夏凜ちゃん…?
1:北に向かいるう子を探す。
2:自分の手持ちのカードの分配を考える。
 [備考]
※参戦時期は2期1話の第二回ラブライブ開催を知る前。
※アザゼル、、セルティ、三好夏凜、緑子と情報交換しました。
※多元世界についてなんとなくですが、理解しました。
※左肩の怪我は骨は既に治癒しており、今は若干痛い程度になっています。行動に支障はありません。
※セルティがデュラハンであることを知りました。

【三好夏凜@結城友奈は勇者である】
[状態]: 精神的疲労(大、精神安定剤服用)疲労(中)、顔にダメージ(小)、左顔面が腫れている、胴体にダメージ(小)、罪悪感(大)
    満開ゲージ:0、左目の視力を『散華』、「勇者」であろうとする意志(半ば現実逃避)、肉体的ダメージはアヴァロンで回復中、顔に泣きはらした跡、「勇者部」からの逃避
[服装]:普段通り
[装備]:にぼし(ひと袋)、夏凜のスマートフォン@結城友奈は勇者である、全て遠き理想郷(アヴァロン)@Fate/Zero     
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(26/30)、青カード(25/30)
    黒カード:不明支給品0〜1(紗路、確認済み)、不明支給品1(アインハルト)、不明支給品0〜2(池田)、スクーター@現実、

    白カード:東郷美森、アインハルト・ストラトス
[思考・行動]
基本方針:繭を倒して、元の世界に帰る。
0:るう子を救助する。
1:『勇者として』行動する。
2:セルティらのサポートをする。
3:ダメージから回復したら全て遠き理想郷(アヴァロン)を返却する。
4:勇者部については……今は考えない。それでいい、はず。
[備考]
※参戦時期は9話終了時からです。
※夢限少女になれる条件を満たしたセレクターには、何らかの適性があるのではないかとの考えてを強めています。
※夏凛の勇者スマホは他の勇者スマホとの通信機能が全て使えなくなっています。
 ただし他の電話やパソコンなどの通信機器に関しては制限されていません。
※東郷美森が犬吠埼樹を殺したという情報(大嘘)を知りました。
※セルティ、ホル・ホース、アザゼル、絢瀬絵里、緑子と情報交換しました。

40 ◆NiwQmtZOLQ :2017/04/16(日) 17:29:14 ID:GEnvyBk.0
投下を終了します。タイトルは「Lostheart(hurt) distorted ROYAL 」です。
また、桂とコロナの時間帯表記を変え忘れていた為ここで修正させていただきます。
【G-7/ラビットハウス周辺/夜】→【G-6/映画館/夜中】

41 名無しさん :2017/04/16(日) 22:21:23 ID:5c.7SqlUO
投下乙です

一番いいのは二人を引き離すことなんだけど、そんな余裕ない

42 名無しさん :2017/04/23(日) 21:30:47 ID:aQX0IqgQ0
投下乙です
夏凜の思考が前回からフォローされててより分かりやすい。
「勇者部」と「μs」、どちらも仲間同士のグループに所属しているからこそ起きた衝突。
仲裁したセルティはGJ。でもスタンスが変化したわけではないのが、妙に怖いところ。

43 ◆WqZH3L6gH6 :2017/05/06(土) 17:05:44 ID:bWFb0ZGY0
遅れましたが投下を始めます。

44 目覚めたその部分 ◆WqZH3L6gH6 :2017/05/06(土) 17:07:12 ID:bWFb0ZGY0
❖?と??達

何日か前。天気は曇り。
真っ白な洋室で何人もの年配の男と2人の少女がテーブルを囲んで雑談をしている。
テーブルの中央には小道具があった。今は休憩時間。あるゲームの。
男達は時折少女の機嫌を伺いながらそれぞれの仕事についても話し合い、
特徴的な髪型をした朧気な少女はそれに耳を傾けながら数枚のカードを見つめていた。
残されたもう1人の少女は居心地が悪そうにしつつ、一冊の本を読んで気を紛らわせている。

休憩時間が残り3分になった時、窓のような扉から1人の男が入室してきた。
一同は男に視線を向け報告を待つ。
男はその部屋の中にいる者――本を持つ少女を除いて明らかに立場が下の者。
男は挨拶を一通り終えるや、抱えた紙束の中から正確に報告書を選別するやその内容を告げた。

朧気な少女は眉をひそめつつも眼は好気に彩られ。
男のその中でも一番年上に見える男はその内容に顔をひきつらせ。
残りの男達は苦笑と取れるような曖昧な表情で顔を見合わせた。

一番立場が上の男は朧気な少女に顔を向け、意見を求める。
朧気な少女は手を顎に当てしばし考え、答えが閃くや入室した男に声を掛ける。
もう1人の少女は尚もこの状況に慣れる事無く困惑が解消されないでいた。


・雄二1

山を器用かつ俊敏に駆けながら、風見雄二は一瞬後ろを振り返る。
当面の敵、蟇郡によれば纏流子が誤って炎上させた車の煙が空に昇っているのが見えた。
先程までの突き刺すような殺気が迫る気配は無い。

爆発に巻き込まれて追撃できなくなったか?
……などと物事を楽観視できるほど雄二の頭は目出たくない。
更なる体力の消費を覚悟しつつ神経を聴覚に集中させる。

「……」

今は迫る気配はないようだ。
彼は黒カードから腕輪探知機を出すや、起動させる。
現在地はG-4の山の低所、腕輪の数は一つ。
纏流子はまだ立ち止まっているようだ。
彼は速度をやや落とし、今後の事を深く考え始める。
優先すべきは空条承太郎を始めとする仲間との合流と、もう一人の敵、騎士王――セイバーとの戦いへの加勢。
彼は赤カードからゼリーを現出させ口に入れ、どうすれば戦いを有利に運べるか思案する。

「……!」

油断なく目を配らせていた腕輪探知機の腕輪の数が2に増えたのに気づく。
緊張を他からのものと錯覚せぬよう、気持ちを落ち着かせ神経を集中させる。
雄二はまたもや速度を上げると、何メートルか横に移動し敵からの逃走を再開する。
微かだが死の匂いがしたから。

「……」

武器のベレッタM92の弾丸が尽きた今、雄二が単独で流子に勝てる見込みは殆ど無い。
装甲服のようなものは露出部分を狙わぬ限り、銃弾でさえ通さない防御力を保持し、
どういう理屈か力なのかは知らないが銃撃をも傘などで弾く技術のようなものさえ彼女は持つ。

45 目覚めたその部分 ◆WqZH3L6gH6 :2017/05/06(土) 17:08:25 ID:bWFb0ZGY0
それにムラはあれど彼女の攻撃もまともに喰らえば一撃必殺と言っても過言で無いもの。
自動小銃のキャリコM950では弾数が少ない上に、取り回しにやや不便で狙撃も困難だ。
余程の策を持ち要らない限り戦う事さえままならないだろう。
せめて短剣があればと彼は思い山を駆ける。

「……?」

探知機の数は変わらない。
だが追手との距離が開いているような気がしてならない。
先の戦闘で彼は彼女の左太ももに銃弾を撃ち込んでいる。
この事が原因で彼女の走行速度が落ちたと解釈はできるが、彼の見解は違う。
戦闘の直前、流子が人間離れした勢いで飛空しながら突っ込んで来たのを覚えているから。
その上、彼女は損壊した眼球をも1分も経たずに再生させた針目縫の妹と名乗っていた。
同族なら針目と同等の異常再生力を持っていてもおかしくないし、それを見越せば被弾した弾丸の摘出も
容易に実行できるだろう。
もし仮に再生能力がそれ程でなくても、先の襲撃手段を用いれば――たとえ脚を損傷していても
一気にこちらへの距離を詰める事ができるはず。何故しない?
そう疑問を抱きながら、彼は敵への対応策を練りつつ北上を続ける。

「……」

しばらくして、下腕輪探知機の腕輪の数が1に減じた。
背後に危険な気配はない。

「!」

横目に茶色い建物が目に入る。
雄二は方向転換をし、注意を怠らぬよう身構えつつ山小屋の方へ走った。


・流子1

纏流子は抑えきれぬ苛立ちを募らせながら走る。標的の風見雄二を殺す為に。
だがその速度は先の気絶から覚醒した時からと比べ明らかに遅く、進路も徐々にずれてゆき、
このまま行けば完全に見失ってしまうのは時間の問題だった。

「……」

ギリッ……と歯ぎしりをしながら流子は速度を落とし思案を始める。
まず流子は飛行形態で追跡しようと考えたが、ある事に思いあたりやめる。
彼女も雄二や承太郎を侮れない敵と見なしている。
もし仮に強力な飛び道具を持っていたらと警戒しての判断だった。
遮蔽物が無いなら回避してやるが、こういう場所だと承太郎の全力に匹敵する攻撃を空中で回避するのは無理だろうと。

彼女は表情だけでも落ち着かせると自らの神衣の袖を目を細めて見た。
小さな焦げがあった。それは炎上した車から脱出する際ついた焼け跡。
彼女は地団駄を踏み、怒りで身体を震わせる。
車を誤爆させた時の火の粉が付着したのだろう、生命繊維からの快楽に酔いしれている流子にとってその事実は恥ずべき事。
森林に八つ当たりしたい衝動を抑え、どうすれば雄二を発見できるか知恵を働かせる。
彼女は左肩・左太ももを見た。埋め込まれた弾丸はいまだ体外に排出されずにいる。

「どうなってんだ……これは!?」

そう、生命繊維の化物と化した流子にしてみれば、今の状態は今後の活動に差し支えがあるほどおかしい事。
先のセイバーとの戦いの際、彼女は昏倒するまでの重傷を負った。それも傷口から魔力を放出されるという髄まで及ぶ程の。

46 目覚めたその部分 ◆WqZH3L6gH6 :2017/05/06(土) 17:09:37 ID:bWFb0ZGY0
そんなダメージを流子は3時間未満の睡眠で全快してのけた。
なのに針目縫との戦闘後それ以上の休憩を取ったに関らず、蟇郡との戦闘からのダメージさえも回復しきっていない。
ゲーム序盤の皐月戦でのダメージからの回復具合からしても、明らかに回復速度が落ちているのだ。

流子は顔を上げ睨みつけるように空を見上げる。
縫が言っていた能力制限を嫌でも思い出す。最後に殺す相手と決めている繭の存在がここに来て更に強く印象つけられる。
吐き気だけでなく怒りで目眩もしてきた。彼女は忌々しそうに2つの銃創を意識する。
流子は走行を歩行へと移行しつつ黒カードから短刀 縛斬・蛟竜を取り出すとその切っ先を左肩の銃創へ突き立てた。



・雄二2

雄二は今、アナティ城付近の山小屋の中にいる。
先程、キャリコM950から一発の銃弾が発射された。
銃身には数枚のタオルが簡易に巻かれており、いずれのタオルには銃痕がある。
元から発射音は大きい方ではなかったが、雄二は小屋の破損部分から目当てのものをいくつか回収するや
窓の外を見た。

「……」

流子らしき気配や物影はなく、腕輪探知機の方にも変化はない。
治療に役立ちそうなタオルなどは回収し終えた。
小屋には他に刃物を突き立てたような刺し傷が床に数か所ある他、微量だが血痕も発見。
擦ると跡形もなく消えた不思議な現象があったが、雄二にとってもう用はない場所。
早く離れねばと彼は考える。
雄二が知る由はないがその小屋は早朝に針目縫が立ち寄った小屋だった。

雄二は鉛筆サイズの金属片数枚と木片数枚を仕舞うと、足早にその小屋を離れ北へ向かった。


・流子2

左肩と左太ももの痛みを意識しながら流子は北へと走る。
縛斬で弾丸を摘出した後、彼女は出血が治まるまでは歩行に専念し、治まってからは走行を再開した。
傷口には生命繊維がきつく巻かれている。結論から言うと銃創からの切開によるダメージはまだ残っている。
現時点でも時間をかければ自然治癒でも全快は可能だが、そこまで時間は経っていない。
故に速度はさっきよりは少し上がった程度だ。

「!」

流子は針目のいた小屋を発見し、口元を歪ませる。
だが、すぐに表情を引き締めると走行を止め小屋の壁に聞き耳を立てた。
仮に家に入った所で長居する程奴は暢気でないと思えたから。

「……」

気配は感じない。
もっとも他参加者がいた所で神威とセイバー以外はブチ殺すだけだが。
そう思いながら流子は小屋の中に入る。

内部はテレビなどはなく、最低限の生活が出来る程度の物品しか見当たらない。
流子の目からして床にある幾つかの刺し傷と、ある一箇所以外は何の変哲のない家に過ぎなかった。
彼女は落胆したように息を吐くと、外出しようとしてある可能性に思い至り止める。
神威純潔の胸元を見る。従来なら固く閉じられているはずの前面が、胸元だけ不自然にはだけている。

47 目覚めたその部分 ◆WqZH3L6gH6 :2017/05/06(土) 17:10:21 ID:bWFb0ZGY0

今、自身にも所持品にも生命繊維がある。それを使って修繕できないだろうかと彼女は考え、裁縫道具を見つけるべく物色を始めた。

「……………………………………チッ!!」

見つからなかった。
もっとも仮にあったとして神衣を修繕できる道具はおいそれとして存在しないが。

「……クソッ」

他に方法はないかと考える内に縫の顔が浮かび、思わず流子は吐き捨てる。
針目縫なら純潔の修繕も可能かも知れないが、先にこちらが敵対行動を取ったので後の祭だ。
流子は手が出るよりも気が滅入り、思わず仰向けに転がった。

「……」

天井を見る。何の変哲もない、きれいな天井。
すぐに起き上がり追跡を再会する気も何故か起こらず、疲労ともどかしさが胸中を廻る。
首を横に向けると小綺麗な壁と家具が見える。
流子の耳に砂が混じるような音が聞こえた。何度も何度も。
夜の帳が降りるように流子の意識は落ちていく。
それを拙いと思い流子はしばし考えた。彼女はひと声かけた。

「純潔、見張ってくれ」

ここに来て初めて己の神衣に話しかけた流子は瞼を落とし眠りに着いた。
アイツん家と違ってきれいな家だなと思いながら。

----------------------------------------------------------------------------------------------------

いつか見た光景がそこにはあった。もう何年も前の事のように思える。
明らかなボロ家の中で4人と1匹の家族が少女に対し土下座をしている。
それはもうすがすがしいまでのあやまりっぷりだ。

少女は彼女等を切り捨てようかと思った。もう自分は人ではないから。
でも口に出た言葉はあの時と同じものだった。

「今度あんなことしたら容赦しないよ」

少女は苦笑いで応えている、一家は「ははー」と応えると顔を上げ夕食に取り掛かる。
ひとりを除いて一家はあの時と変わらなかった。

「……」

少女は胸のむかつきを覚えつつ何の拒絶の言葉も出せないでいる。
――堂々巡り。そんな単語が脳裏に浮かんだ。
思えばあの時も自分が強く出られなかったからあの一家は暴走した。
今はさっさと切り捨てればいいと思っているのに、自分はそれができないでいる。
おかしい。何でだ? これではこれまでと同じじゃねえか……。

少女は顔をしかめつつ思わずアイツの姿を探す。

「?!」

少女は一瞬アイツの姿を見た。だが次の瞬間掻き消えるようにいなくなった。

48 目覚めたその部分 ◆WqZH3L6gH6 :2017/05/06(土) 17:11:24 ID:bWFb0ZGY0

少女は絶句する、数秒遅れてアイツの父親に声をかける。
だが彼は始めっから娘がいないかのように振る舞っている。他の家族も同様だった。
少女は声を張り上げようとした、だが薄気味悪さに震え声を出せない。

少しして窓の向こうに巨大な人影が見えた。
少女は顔を歪ませ窓へ向う。一家はそれをきょとんと見つめている。
すると巨大な人影も姿を確認した直前に掻き消えた。
困惑と動揺が少女の胸中を駆け巡る。なんだ何が起こった?
少女は思わず走り出す、本能字学園がある方へ全力で。

「!!?」

突然、何かに掴まれたように足の動きが止まった。
たまらず転倒する。信じられないような表情で少女は地面を見る。
そこには1枚の何も描かれていないカードがあった。
少女は怒りを込めてカードへ向かい拳を振るう。
だが、拳がカードに触れた瞬間、地面から白と黒の触手のようなものが現出し少女を捕らえた。
脱出しようともがくが、まるで通じない。自分を遥かに超える力かも知れない……!
自分にはもう無くなった筈の感情をむき出しにしながら少女は巨大なカードに吸い込まれていった。

----------------------------------------------------------------------------------------------------

・流子3

「?!」

驚愕の表情で流子は目を覚ました。純潔が何事かと身じろぎをする。
流子はなんとか気を落ち着かせると現状を把握すべく頭を働かせた。
……睡眠時間は10分かそこらだっただろうか?

「……」

嫌な夢を見た。それは恐れる物は無くなった筈の彼女が恐怖を感じさせる内容。
闇か光のような不定形のものが自身を予想もつかない遠くに連れ去っていくもの。
他にも何かがあったかも知れないが流子が覚えているのはそれだけだった。
流子は額の汗を手で拭う。

「……」

数秒の間を開けた後、彼女は純潔に話しかけた。

『……』

純潔の双眸が怪訝そうに歪む。
だが流子はそれに構わず自らの神衣を見つめる。
純潔は観念したかのように目を瞑ると、服の形状が変化を始めた。


・雄二3

雄二は入手した布で応急処置を終えるや、北東の方角を見る。
小屋から離れてだいぶ時間が経つ。纏流子からの逃走を始めて3時間は過ぎたか。
遠くから白い物体が北上しているのが見えた。結構な速度だ。

49 目覚めたその部分 ◆WqZH3L6gH6 :2017/05/06(土) 17:13:11 ID:bWFb0ZGY0

「……」

現在、雄二はF-4の南西にいる。白い物体――纏流子からは結構距離が離れている。
相手はこちらに気づく様子はない。
だが雄二は彼女の様子がさっきまでとだいぶ違う事に気づき、注意深く観察する。
流子が現在着用しているのは白を貴重としたセーラー服のようなもので、手にはボールのようなものを持っている。
武器以外の支給品を使用してきたかと雄二は推測する。
人かどうか怪しいが言葉を解するなら道具に頼るという選択は当然だ。
ただその試みは向こうにとって成功かどうかは読み取れない。

「……立ち止まった?」

やがて彼女は足を止め、出したボールを仕舞ったのを彼は確認する。
流子は途方に暮れたように周囲を見回しているが依然こちらに気づいていなかった。
今の内に西か南に行けば完全に引き離せるかも知れない。雄二はそう考えた。
流子は更に1枚のカードを出し首をひねりながら何かを考え始めている。
……向こうの支給品の内容を確認したい気はある、だが集中している今なら逃走は確実と思える。
どうする?



【F-5/南西/夜中】

【風見雄二@グリザイアの果実シリーズ】
[状態]:ダメージ(中、処置済み)疲労(小)右肩に切り傷(処置済み)、全身に切り傷 (処置済み)
[服装]:美浜学園の制服
[装備]:キャリコM950(残弾半分以下)@Fate/Zero、ベレッタM92@現実(残弾0)
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(7/10)、青カード(7/10)
   黒カード:マグロマンのぬいぐるみ@グリザイアの果実シリーズ、腕輪発見機@現実
   歩狩汗@銀魂×2、旧式の携帯電話(ゲームセンターで入手、通話機能のみ)
   小さな木杭3本、小さな鉄杭3本、タオル2枚、包帯代わりの布2枚、包丁一本(低品質)
[思考・行動]
基本方針:ゲームからの脱出
   0:承太郎達と合流する為にすぐに南か西に向かうか。
     あるいは纏流子の出方を見てから行動するか
[備考]
※アニメ版グリザイアの果実終了後からの参戦。
※折原臨也、衛宮切嗣、蟇郡苛、空条承太郎、紅林遊月、言峰綺礼と情報交換しました。
※キャスターの声がヒース・オスロに、繭の声が天々座理世に似ていると感じました。
※参加者の時間軸がずれている可能性を認識しました。
※『越谷小毬殺人事件の真犯人はDIOである』という臨也の推理(大嘘)を聞きました。必要に応じて他の参加者にも伝える可能性があります。
※言峰から魔術についてのおおまかな概要を聞きました
※纏流子の純潔の胸元に隙間があるなどの異変に気づいています。
[雄二の考察まとめ]
※繭には、殺し合いを隠蔽する技術を提供した、協力者がいる。
※殺し合いを隠蔽する装置が、この島のどこかにある。それを破壊すれば外部と連絡が取れる。
※第三放送を聞いていません。



・流子4

流子は遠見の水晶球を苛立たしげに見つめると黒カードに収納する。
風見雄二捜索に役立つと思い初めて使用したが、どうも有効範囲が広くない上に視点のコントロールも練習が必要なくらい不便な物だった。

50 目覚めたその部分 ◆WqZH3L6gH6 :2017/05/06(土) 17:14:00 ID:bWFb0ZGY0
逃走中の相手を探すのには向いていないと流子は判断した。
睡眠を取る前の彼女ならそのまま水晶球を破壊していたかも知れない。
だが、純潔の人衣一体を解除した今、生命繊維特有の激しき情動は僅かに和らいでいると思え、
無益な破壊を思いと留まらせるまでに抑制できている。
残る支給品で捜索に役立つものはないかと流子は焦りとともに考えを巡らせる。

「……!」

流子は1枚のカードを取り出し裏面を確認する。
そしてカードを振る。草木をかき分けなぎ倒す音と共に一台のトラックが出現した。
流子は表情を変えないまま、手元にあるPDAの画面を見る。PDAはトラックとセットになっている支給品の一部。
画面には会場図が表示されており、ランドマークも表示されている。
だが通常の地図と違う点があった。

「放送局がぶっ潰れたのか」

ランドマークは通常は青色の丸印で位置が解るようにされている。
その中で破壊された施設は灰色で表示される。
流子は放送局に少々興味を持つが、頭を振りすぐに当座の目標に意識を戻すと今後の作戦を練る。

……悔しいが風見雄二は見失ったと思わざるを得ない。
睡眠を取った事で大きなロスが生じてしまった。それは受け入れよう。
だが諦めた訳ではない。当面においても。
流子は若干たどたどしい手つきでPDAの操作を始めた。その目は座っている。

操作を終えるとトラックからくぐもったような音声が聞こえた。

『目標地はどこに設定いたしますか?』

流子はPDAの地図を見る。
主催の都合次第で破壊できない施設があるという説明文があったが、現在は禁止エリアを除いて
全てのランドマークか指定エリアの中央を破壊対象に設定できるようだ。
流子はしばし考える。
辛気臭い分校か、南東の駅か、あるいは森の中央か……。
彼女は熟考の末、目標を決定しスイッチを押した。
間桐雁夜の支給品で説明文いわく、支給品の中でも最大級の破壊力を持つ武器。
自動車爆弾の標的を決めた。

『……を目標へ設定いたしました』

音声とともにトラックは独りでにエンジンをふかし、草木の抵抗を物ともせ比較的低速で移動を始める。

「……」

流子は黙ってカードから番傘を出すと、車体の横に突きを繰り出した。

「……へえ」

流子は軽い感嘆の声を上げた。
戦闘力が低下しているとは言え、そこらの車なら簡単に穴を開ける威力を持つ突きを受けても傷一つ入らなかったのだ。
説明文にはどんな強い参加者でも容易に破壊できないとの記述があった。
真偽を確かめてみたが、偽りは無さそうだ。

『警告です。当自動車が機能停止しますと■分後に爆発いたします』

51 目覚めたその部分 ◆WqZH3L6gH6 :2017/05/06(土) 17:16:54 ID:bWFb0ZGY0

流子はその警告を鼻で笑うと、草木をなぎ倒して進むトラックにしがみつき、上まで登る。
警告は一度きりだった。運転席には乗り込まない。これは手動で運転できる機能はないから。

流子の現在の目的は自動車爆弾で参加者を直接葬る事ではない。
自動車爆弾での会場全体に響き渡るとされている爆発によって参加者をおびき寄せるのが狙いだ。
今なら雄二もそれほど遠くに行ってはいないだろう。ただの爆発なら近寄ろうとするのはいないか僅かだろうが、
想定以上の大規模破壊なら少々タイミングを遅らせて調査に出向くはず。
万が一誰も来ずとも、爆発を見ればこちらの気が多少は紛れるかも知れない。
状況次第では停車させれば済む話。何の問題もない。

流子はトラックの屋根に座り、獲物がいないかと注視する。
見当たらないが、見つけられなかったなら爆発の範囲内に移動するまでに下車すればいいだけの事。
流子は口元に笑みを浮かべ下方を見つつ索敵を続ける。

機嫌が少々良くなったからか、流子は先程の夢の内容をちょっとだけ思い出していた。
ただそれは満艦飾一家のではなく、マコが消えたという内容だけを。

「……」

潰れた顔をしたマコの生首を思い出し、流子は顔をしかめ耐える。
所詮、生前のアイツと関係の無い生ゴミに等しい残骸と言い聞かせて。

「……」

少しだが吐き気がした。だが流子にその原因は分からなかった。
だから戦闘による疲労によるものと解釈し、マコの事は胸に押し込め忘れようと決めた。
あの時、できる事は何も思い浮かばなかった。それが私の答えだと自分に言い聞かせて。
流子は声を上げずに笑った。辛いことを吹き飛ばすように、母親の栄光を無理に頭に思い描きながら、こっそりと。
その姿は大きな流れに乗って楽しんでいる子供のように見えた。


【F-5/中央/夜中】

【纏流子@キルラキル】
[状態]:非人衣一体状態、全身にダメージ(中、回復中)、左肩・左太ももに銃創(処置済み、回復中)、疲労(中)、精神的疲労(極大)、
    数本骨折、説明しきれない感情(恐怖心?)
[服装]:神衣純潔@キルラキル(僅かな綻びあり)
[装備]:縛斬・蛟竜@キルラキル、自動車爆弾@現実?
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(19/20)、青カード(19/20) 、黒カード1枚(飲用薬品)
    黒カード:生命繊維の糸束(一割消費)@キルラキル、遠見の水晶球@Fate/Zero、花京院典明の不明支給品0〜1枚
[思考・行動]
基本方針:全員殺して優勝する。最後には繭も殺す
   0:自動車爆弾を爆破させ、引き寄せられた参加者を狙う。
   1:次に出会った時、雄二と皐月と鮮血は必ず殺す。
   2:神威を一時的な協力者として利用する……が、今は会いたくない。
   3:消える奴(ヴァニラ)は手の出しようがないので一旦放置。だが、次に会ったら絶対殺す。
   4:針目縫は殺す。
   5:純潔の綻びを修繕したい。
   6:マコの事を忘れたい。

52 目覚めたその部分 ◆WqZH3L6gH6 :2017/05/06(土) 17:17:32 ID:bWFb0ZGY0

[備考]
※少なくとも、鮮血を着用した皐月と決闘する前からの参戦です。
※DIOおよび各スタンド使いに関する最低限の情報を入手しました。
※満艦飾マコと自分に関する記憶が完全に戻りました。
※針目縫に対する嫌悪感と敵対心が戻りました。羅暁への忠誠心はまだ残っています。
※第三放送を聞いていません。
※現在人衣一体を解除しています。それにより再生能力と体力の回復速度が上昇しました。
 気性の粗さも少々緩和されています。ただし人衣一体時より能力は低下しています。
※雄二が比較的近くにいるのに気づいていません。
※現在自動車爆弾は屋根に乗った流子と共に健在のランドマークか各エリアの中央のいずれかにへ向けて移動しています。
 妨害がなければ一定時間後に標的の施設を爆破します。


・支給品説明

【自動車爆弾@現実?】
間桐雁夜に支給。
操作用のPDAとセットになっている。爆弾の形状はトラックで細かい所は書き手さん任せ。
自動操縦のみで手動での運転は不可。運転席にはコンピューターがあり上手く操作できれば停止も可能(ただし困難)。
PDAはタッチパネルと地図が表示されており、ランドマークやエリアを指定する事により爆弾の行き先を決定できる。
ただし禁止エリア及び主催が破壊に不都合と判断した施設等があった場合標的に指定はできない。
破壊された施設は灰色で表示される。禁止エリア等の細かい所は書き手さん任せ。
エリア中央に行くかランドマークと接触すればその場で爆発する。なお爆発範囲はカードの説明に記載されている。

爆弾の威力は至近距離で爆発に巻き込めばどの参加者も死に至らしめるほど。
少なくとも放送局やホテル、病院は確実に破壊できる。範囲はそれほど広くない。爆発音は会場全体に響くほど大きい。
同時に車体の強度も異常でセイバーや針目縫、神威といった最強クラスの武器持ち参加者でも容易に破壊できないほどのものである(原理は不明)。
仮に移動不可になるまで破壊してしまった場合、数分後に爆発するようになっている。
欠点は起動者以外の参加者が一定距離まで接近するとトラックから退避の警告がされる事。
爆発の範囲外に逃れると警告はストップする。速度は人の徒歩より多少早い程度。ひき逃げには向いていない。
爆弾の停止方法はPDAを破壊するか、起動者が停止のスイッチを押す。コンピューターを操作し停止させる、主催が遠隔操作で停止させるのがある。
一度停止した場合、再設定には1時間の間隔が必要。

モデルは原作Fate/Zeroで触れられた衛宮切嗣発案の対言峰綺礼用の自動車爆弾。
ロワの主催はそれを元案にして対最強クラスの参加者用にこの爆弾を制作したものと思われる。

53 ◆WqZH3L6gH6 :2017/05/06(土) 17:18:29 ID:bWFb0ZGY0
投下終了です。

54 名無しさん :2017/05/06(土) 17:42:55 ID:tJ3UKQ1s0
純潔の人衣一体解除は無理なのでは?
原作では人に着られているのではなく、人を支配するような形でした。
今回の話で流子に感化されるような描写がありましたが、理由としては弱すぎると思いました。
本来ならば自分の意思で脱ぐことは不可能であり、こうも簡単に人衣一体を解除可能となると今までの戦いやこれまでの話はなんだったのでしょうか。
じゃあ最初から解除するなり、純潔と意思疎通が可能なら話し合えと。
急に人衣一体を解除する純潔に違和感を感じます。原作無視に近いです。

皐月や四天王、その他大勢の仲間と精神の中に飛び込んだマコと鮮血のおかげで解除された純潔が今回の話だけで
人衣一体解除にまで心を開くとは思えません。
前回でダメージを負った流子を回復させたいならもっと他に方法があるかと思います。
貴重なマーダーのため大切にしたい気持ちは伝わりますがやり方に無理があります。

55 ◆WqZH3L6gH6 :2017/05/06(土) 22:08:50 ID:bWFb0ZGY0
>>54
ご指摘ありがとうございます。
後ほどその辺を訂正した作品を修正スレに投下させていただきます。

56 ◆WqZH3L6gH6 :2017/05/07(日) 12:49:14 ID:LcVD67Xc0
修正スレで『目覚めたその部分』の 修正版を投下いたしました。
ご確認をお願いします。

ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17204/1438784746/316-323

57 名無しさん :2017/05/08(月) 12:28:44 ID:wWAWvZ3k0
投下と修正乙です
流子の矛盾に踏みこんできましたか
雄二との戦いの行方も含めどうなるか

58 名無しさん :2017/05/21(日) 15:44:24 ID:XmK7kgEw0
>>54の指摘、態度といい全てが読み手様の権化って感じだな

59 名無しさん :2017/05/21(日) 16:05:11 ID:kn97Xr8A0
指摘そのものは全うでしょ

60 名無しさん :2017/05/26(金) 10:00:00 ID:EVc2IP5k0
原作でこうだからこうです、って理屈で修正が通っていくのは、本当は企画にとってはいいことではないけどね。

61 名無しさん :2017/05/29(月) 20:04:22 ID:72vfn2sA0
>>60
二次創作は原作あってこそなんだよなあ

62 名無しさん :2017/06/04(日) 11:38:09 ID:uTxj/MF.0
まあDIOが改心して承太郎と仲良しこよしとかされると困るから多少はね?
アニロワの特性上キャラ崩壊とかは珍しくないとはいえ原作リスペクトは大事よ

63 名無しさん :2017/06/13(火) 03:35:09 ID:LjlZa6.k0
某アニメでフリーザ様が仲間になるしDIO様が仲間になってもヘーキヘーキ
手が滑って腹パンしあえばいいよ

64 名無しさん :2017/06/13(火) 16:52:06 ID:IMW2oiOU0
DIO側には歩み寄る気があったが手が滑って花京院を腹パンしたら勢い余って殺害してしまった……?

65 名無しさん :2017/06/13(火) 17:04:29 ID:YH.33L620
面白いと思ってるの?

66 名無しさん :2017/06/14(水) 04:03:38 ID:sxWJmnuc0
本人達は面白いと思ってるんだろう

67 名無しさん :2017/06/17(土) 12:40:17 ID:tQcxI0Wc0
指摘とは名ばかりの難癖が湧くのはアニロワシリーズの伝統だぞ

68 名無しさん :2017/06/17(土) 13:00:12 ID:ZocSq3DU0
>>67
難癖?指摘だが?

69 名無しさん :2017/06/21(水) 23:47:28 ID:slPNzGRg0
こうなると正解もクソもねー分堂々巡りでどうしようもない

70 ◆WqZH3L6gH6 :2017/06/28(水) 12:35:18 ID:5kUk/sz.0
専用掲示板で仮投下いたしました。
ご確認の方をお願いします。

71 ◆WqZH3L6gH6 :2017/07/01(土) 11:57:13 ID:R3T6NoRI0
今から本投下を行います。

72 黒き呪縛は灰色の祝福 ◆WqZH3L6gH6 :2017/07/01(土) 11:58:31 ID:R3T6NoRI0

・??

それは数日前のあるゲームの運営者達の一幕。
もし支給品が何らかの原因で許容以上の効果を発揮したらどうするの?と誰かが訪ねた。
当時その場にいた責任者はこう返した。
その時点、その場にいる責任者次第だと。
質問者は恐る恐る質問を続けた。
それは拙くないかと。
その場の責任者は苦笑しながら言った。責めてどうなるんだい?と。



・神威1



ホテルから本能字学園へ、そして駅までの道のりを走破した神威は、息を整えると身近の掲示板を見る。
時刻は既に夜10時を過ぎている。だが、これくらいの時間なら間に合うと神威は思った。
若干強い風が吹いた。冷たい風だ。
手に持った袋から声が聞こえる。
彼は袋から小さく大雑把に切り取られたクリアファイルを出し、青のルリグ ミルルンに声を掛けた。

「今度は何だい?」

透明色のファイルに挟まれたルリグカードは訝しげな面持ちで口を尖らせながら返答した。

「さっきの校庭の死体あったるん?」

神威は小さく頷く。

「それで……ここにも死体があるるん」

数時間前、初めて黒カードからミルルンが開放された場所でもある。
神威は瞬きをしながら意外そうに訪ねる。

「また何か感じたのかい」

ここにあったルリグが感知できる白カードは既に回収済みだ。
少々とはいえ何があるか、海賊として興味があった
ミルルンは頬杖を突きながら、真顔で言う。

「学校のと、ここでの死体、雰囲気が違うるん。さっきまでは不自然に思わなかったけど変るん」

「へぇ……」と神威は好奇からの声を上げ、掲示板に隠されてる遺体へと近づいた。
学校での遺体は間桐雁夜と園原杏里とジャンヌ・ダルクのもの。
彼が危険視していた妖刀が何者かに回収されている以外は変化がない。
ミルルンが気づけた現象も雁夜の遺体から弱い何かが感じるようなくらいのもので、両者の興味を強く引くものはなかった。
2人が本能字学園の校庭でやった事は白カードを回収し、遺体を荷車に乗せちょっと移動させたくらいだ。

ここでは発見がありそうな予感に浸りながら、彼は遺体を見る前にミルルンに質問をした。

「これまで感じた力の中では、ここのは何が近いのかな?」

ミルルンは目を瞬きしながら言った。

73 黒き呪縛は灰色の祝福 ◆WqZH3L6gH6 :2017/07/01(土) 12:00:59 ID:R3T6NoRI0

「ホテルの……遊技場にあった、あの人形に近い力を感じるるん」

神威は一瞬宙を仰ぎ、手に持った袋を動かしながら2つの遺体を検分する。
彼の瞳が不思議そうに揺れた。


「……どっちがだい」
「神威が今見てる方にきまってるるんっ」

神威は苦笑いに近い笑みを浮かべ、少々途方に暮れたように呟く。


「俺、呪いには詳しく無いんだけどな」
「ミルルンもるん」
「……後回しにしようか?」
「……賛成るん」

彼は力とやらを感じる遺体をもう一度凝視するや、迷わず方向転換し駅へ向かった。
入巣蒔菜だった遺体を、変化があったにも関らず再度放置しつつ。


・桂1



『犬吠埼風さんのスマホから書き込んでいます。
 放送までにこちらから連絡出来なければ、先に行くようお願いします。
                   狂乱の貴公子とブランゼルより』




映画館の中を再度探索するは桂小太郎とコロナ・ティミル。
あちこちに点在する大きな穴を確認しながら、桂は思索を続けている。
本来ならスマホで皐月に連絡をした後、旭丘分校に行く予定だったが、それは出来ないでいた。

「電話線はすべて切られているか」

彼は羽織を小さく揺らせながら、穴から覗く電話線を見つつ表情を厳しくさせる。
結城友奈ら勇者達のスマホは同じ勇者スマホで通話出来ないようにされているのを知ったのは、ついさっきの事。
なら施設の電話ならと劇場の電話の使用を試みたが、既に荒らされ電話のみならず大半の映画館の機能が利用できなくなっていたのだ。
そうなると身近な施設で電話がありそうなのは駅となってくる。
同じく勇者スマホを所持する皐月達も同じ状況と見たコロナの提案で、もう少し映画館を調べて見ようと決めたのはその直後だった。
絢瀬絵里達の電話を通じ、こちらへの連絡を待つ為に。
2人は階段を降り、やがて地下への出入り口を発見した。


「……ちょっと失礼しますね」

コロナは自重に耐えきれず崩れた壁の前に立つと、ブランゼルを掲げ魔法を行使する。
破損した壁が固まり、石人形が形成される。
DIOとの戦闘で用いたゴライアスと比べれば小さくデザインが違うゴーレム。
そしてコロナは額に浮かんだ汗を拭い、勇者スマホを操作し変身を解除した。

74 黒き呪縛は灰色の祝福 ◆WqZH3L6gH6 :2017/07/01(土) 12:01:34 ID:R3T6NoRI0

「何を?」

コロナの行動の意図を桂は尋ねる。
出現した魔法陣も前とどこか違っている。何か無理したのではないか。


「大丈夫です。確認したい事がありまして」

コロナは桂に説明すると、彼はそれに納得する。
桂にはコロナの持つような魔力はないが、一応はそれに習い変身を継続する事にした。

2人は扉を開き、入った。
階段を降りてゆく。
目の前に広がる光景は2人が予想だにしないものだった。
桂の視界にある物体が入り込む。
彼は大きく口を開いた。



――コロナは桂の顔を見る。彼は首を振り、顔を上げる。
彼女は僅かに顔を俯かせると、地下通路を見渡す。
外壁は白く、あのゲーム開始時のあの部屋のようだった。
ゴーレムの両手は崩れている。
コロナは外壁に興味を持ち、強度を確かめるべく壁の破壊を試みたのだ。
繭の居場所を突き止めれば、そこは要塞で多少なりとも破壊活動が必要になると思ったからだ。
しかし、壁には傷一つつかず、ゴーレムの両腕が自壊したのみだった。

コロナは壁の破壊を一旦諦め、せめて材質を把握すべく手に触れた。
壁は依然固く、より大きな力を加えても壊れないかもしれない。そう思わせる不気味さがあった。
先が思いやられる。コロナは意気消沈しそうになるが、それでも自分を奮い立たせた。

「……地下通路があったのは盲点でしたね」

気を取り直したようにそう言うと、コロナは埃の付いた学生服を払った。

「コロナ殿、魔力の調子はどうだ?」

コロナは右掌を握りしめ考え込む。

「回復していってます。桂さんの方は?」

桂はつま先で壁を軽く蹴りながら変わらぬ調子で返答する。

「分からん。だが不調は感じられない」

変身中は魔力の回復がしない。その事を知ったコロナは心配そうに言う。


「れんげちゃんにその事伝えた方がいいですね」

桂は頷く。

75 黒き呪縛は灰色の祝福 ◆WqZH3L6gH6 :2017/07/01(土) 12:02:19 ID:R3T6NoRI0

「調べた甲斐があったな」

桂はあえては明るい調子で強く言った。

「ですね」

コロナも笑顔で応え……目に着いた物体を見て思わず目を反らした。

『吸血鬼』


――ここは地下通路施設モンスター博物館の出口付近。
桂が威嚇の叫びを挙げたそれは模型と解るような材質で作られていた。
でなければ桂は一目見て破壊に踏み切っていただろう。


「できればもっと沢山の人と見て回りたかったですね」


コロナは嘆息し、桂は首をコキコキ回し出口の方を向いた。
今は駅に向うが先決。全て見て回るには時間が惜しい。
そう未練を残しながら、コロナは桂に続こうとする。

「あれ?」

階段を登る途中、彼女は丸っこい毛玉のような物体を発見する。
地下通路発見の衝撃から気づけなかったのか。
コロナは足早に階段を登り切ると、汚れた物体をそっと拾い上げた。


・皐月1

れんげから借りたスマホの通話を切り、現在の持ち主へ返却する。
皐月は白カードの僅かな明かりを頼りにれんげと共に南下を再開した。
脇にはアスファルトで舗装された道路が見える。照明灯は見当たらない。
僅かに乱れたれんげの息遣いを感じながら、皐月はさっきのチャット内容と絵里からの連絡を思い出す。
絵里の無事が確認できた。その上、友奈の仲間であった三好夏凛や、杏里と親しかったセルティと同行していたのは更なる幸いだった。
桂とコロナの無事も伝えられた。
後は平和島静雄達と合流できれば本格的に前進できる。
それだけにより一層の連携の為にも坂田銀時の死は早めにれんげに伝える必要がある。
どのタイミングで言おうか。
桂さんとコロナの使用しているスマホはこちらへの通話は無理だ。

そうなって来ると現状頼れるのは平和島静雄が所持していると思われる端末だが、
北上しているはずの彼らの車が一向に見つけられない。何かあったのか?
少々の焦りを感じつつ、皐月はれんげの方を向く。
れんげはこちらを振り向き、返答を待とうとする。
皐月は「いや、まだいい」と小さく言うと正面に顔を向けた。
彼女が纏う神衣鮮血も安心したかのように小さく動いた。

通話から時間は経っていない。
先程聞かされた、未だに凶行を働いているであろう纏流子を意識しているからだ。

76 黒き呪縛は灰色の祝福 ◆WqZH3L6gH6 :2017/07/01(土) 12:03:22 ID:R3T6NoRI0
用心に越したことはないが、焦るのは良くない。
何てていたらく。彼女は笑うように息を吐いた。

「おっ」

突如、れんげが声を上げた。
皐月も彼女が見つけた何かを発見する。

「ほたるん!!」

黒い車らしき物体の側で途方に暮れたように座り会話をする2人の男女がいた。
2人もこちらに気づき、女性の方――一条蛍が嬉しそうに立ち上がった。

「れんちゃん……!」

両手を上げて駆け寄るれんげと、とてとてと疲労が残る足取りで近づく蛍。
男――平和島静雄はカードホルダーを手に、一応警戒してるのだろう――周囲を見回しながら早足で皐月の方へ向かった。

皐月はそれを見て、ちょっと怒ったように両手を組んだ。
静雄はバツが悪そうに頭を掻いた。

「鬼龍院皐月……さんか。あー車……がよ」

手にしたカードから女性の声がした。

「生き物とは思わなかったっすねー」
「ああ……」


皐月はその声を一瞬不思議に思った。だがそれは話に聞いたルリグ エルドラと気づき理解。
彼女は両手を腰に当て口元に微かに笑みを浮かべて言った。

「何をやってるんだ、あなた達は」

静雄は両手を繋いで手を振る蛍とれんげを横目で見つつ「すまねぇ」と返答した。

皐月が二の句を継ごうとした時、背筋に寒気が走った。

「な……」

彼女が身を動かす前に、それは聞こえた。


平和島、愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛
静雄、愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛
見つけた、愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛
愛しましょう愛しましょう愛しましょう愛しましょう愛しましょう愛しましょう愛しましょう愛しましょう……
愛しましょう愛しましょう愛しましょう愛しましょう愛しましょう愛しましょう愛しましょう愛しましょう……


「ひっ……」

妖気に当てられたエルドラが短く悲鳴あげた。

77 黒き呪縛は灰色の祝福 ◆WqZH3L6gH6 :2017/07/01(土) 12:04:15 ID:R3T6NoRI0
・コロナ1

冷たく気持ちいい。そう夜風を感じながらコロナは前向きに足取りを軽くしようとする。
映画館の探索を終えた桂とコロナは駅に向かっていた。
彼女の手には風呂敷があり、中には数時間前にヴァニラ・アイスが手荒に扱ったティッピーの模型が収納されている。
破損とまでは行かなかったが汚れたそれを何となく不憫に思い、余裕があればコロナが洗おうと回収したのだ。

目の前に駅が見える。

「……コロナ殿」

緊張を孕んだ桂の声。
小さく何かが擦れる音がした。
警戒し身体を固くするコロナ。
しかし桂の息遣いが徐々に緊張が薄らいだものに変化していく。

「……お前は」

理由はコロナにも解かった。駅付近にいた男から殺気のようなものは感じられない。
だが同時に桂の声色に険しさらしきものが混じってるのに疑問に思う。
彼女は目を凝らし、男の姿をよく確認しようとする。

「あ、あなたは!」

声が震える。
それは彼女達を散々痛めつけた吸血鬼を力においては圧倒した男だったから。
今の彼の事は絵里を通じて三好夏凛から聞いている。
吸血鬼DIOの居場所が解らぬ以上、ここに居ても不思議でないが……。

カードの様な物を拾い上げた男は2人の前に顔を向け言った。
少年と言ってもいい若い男の声だった。

「……参ったなぁ、あんたと出遭うかぁ」
「戦意は無い、か。……絵里殿の言った通りだな」

感情の抑えた声で桂は呟く。
少年はそれを受け笑うように口元を歪める。

「話があるんだけど……良かったらそちらの子に話して置くけど?」

桂は視線を逸らさず、真剣な面持ちで言った。

「……否、いい」

神威は「へぇ?」と意外そうに返事する。

ぐ……と歯を食いしばる音がした。
神威の目を見据えながら、桂はやや掠れた声言った。

「絵里殿とあいつの選択を無駄にしたくない」
「ふぅん……」

桂は神威の持つカードを見る。

「それに今のお前はDIO以外の相手に全力を出せまい」

78 黒き呪縛は灰色の祝福 ◆WqZH3L6gH6 :2017/07/01(土) 12:05:34 ID:R3T6NoRI0

神威は虚ろな笑顔を止め、目を閉じ溜息をつくように返した。

「……解っていたか」

コロナは少し緊張を解き、桂の裾を引っ張り何かを伝えるべく神威の持つ袋の方に注目するように目配せする。
神威は笑顔になると袋からルリグカードを出した。

「……!」
「それは?!」
「あれれ、知り合い?」


神威はミルルンに対し無言で頷くと駅の方に踵を返す。

「あ……」

2人が呼び止める前に神威はすかさず提案した。


「発車時刻まではまだ時間がある。それまでホームで話をしようか」



・静雄1

「天々座理世……桐間紗路の友人」

皐月の呟きに静雄は深く頷くと、蛍の方に顔を向けた。
蛍は訴えかけるように皐月の目を見た。

『俺が動ければ力になれたんだが』
「未知の力を持つ銃か……」

電話越しで会話した時より濃密な情報交換は終えた。
残りの参加者の危険性もヴァニラ・アイスとセイバー以外はほぼ把握できた。
静雄とエルドラは少し離れた位置を見て憂鬱そうに顔を曇らせる。
地面に一本の刀が突き刺さっているのが確認できる。
れんげが遠目からその刀――罪歌を観察していた。

「我々だと見つからないよう取り押さえるしか無いな」
「そんな……」
『すまんな』

鮮血が蛍に謝意を伝える。
本来なら鮮血はある程度の自律行動を行えるはずだった。
だが制限の為にそれは出来ない。ただの服と見せかけてリゼを取り押さえるのは無理なのだ。

「で、コイツはどういう訳か変わらねえのかよ」

鬱陶しそうに静雄は罪歌を見やる。
静雄の姿に反応した罪歌は皐月をこれまでにない支配力を持って操ろうとした。
だがそれでも支配するに遠く及ばず、皐月自身が静雄から離れ地面に突き刺し事なきを得ている。
その際、黒カードに収納しようとしたがその機能は何故か無かった。

79 黒き呪縛は灰色の祝福 ◆WqZH3L6gH6 :2017/07/01(土) 12:08:24 ID:R3T6NoRI0
「私はこれに乗っ取られはしない自信はあるが、戦闘で自在に操るとなると難しいな」
「なるべく俺は離れた方がいいって事か」
『解せん』

鮮血は不満そうに罪歌を睨む。
念の為に鮮血の状態をチェックしたのも先程。
その際、鮮血は他の支給品同様黒カードに収納できた。
ちなみに今は皐月は鮮血を着用している。

「……黒カードの仕組みの解明もいずれ必要になるんだ。手がかりを得られたのは悪い事ではない」
「私も解放されたいっすね」

皐月は考える。
纏流子の神衣純潔も黒カードに支配されているのかを。
もし支配がされていたなら無理に引き剥がさなくても解放するのは不可能では無いと。
しかし。

「あの皐月さん」
「ん?」
「流子さんの事」
「向こうから攻めてきたなら、こちらも対応するしか無い」
「だけど……」
「蛍ちゃん」

皐月に詰め寄ろうとする蛍を静雄が止める。

「あいつは止めたって意味ねぇよ」
「なぜ!?」
「……蛍ちゃんが庇ったところで足止めにもならないんだよ」

そのやり取りを聞き、れんげが心配そうに蛍に顔を向けた。
蛍は悲しみと困惑が入り交じった表情で立つ尽くす。
皐月はしばし考えた後、何かに気づいた様子で蛍に言った。

「何か勘違いしているようだが……」
「え?」
「平和島は薄情とか決めつけで君に言ってるのではないぞ」
「それって……」
「平和島、ちょっと模擬戦がしたいんだが、いいか?」
「……構わねえが、大丈夫か」

皐月の身体の他に、蛍への影響も危惧しての発言。

「私は蟇郡の主だぞ、舐めるな」


不敵に皐月は笑う。蛍の精神状態も折り込み済み。
静雄は少し考えた後、エルドラに周囲の警戒をするよう伝え、皐月に向き合った。
皐月が強い事は聞いている。ほぼ基礎能力のみの強者である静雄でも皐月が只者で無いのは伝わる。
蟇郡が守れなかった約束を皐月が果たそうとするのだろうか。

シグニ化した蝙蝠がエルドラの命で再び舞う。
よく分からないままわたわたと2人を止めようとする蛍を、これまたよく分からないまま直感のままにれんげは蛍を押しとどめる。
皐月が地面を蹴る音がした。静雄が反応したのは少し遅れてからの事だった。

80 黒き呪縛は灰色の祝福 ◆WqZH3L6gH6 :2017/07/01(土) 12:12:08 ID:R3T6NoRI0

・桂2

桂とコロナと神威はベンチに座ったまま情報交換と交渉を続けている。
神威が数枚の白カードを桂に手渡した。
その中にはラビットハウス内で死んでいた銀髪の男 ポルナレフの顔もあった。

「全員は調べきれそうに無いから、渡した分はあんた達が調べてくれよ
 俺はDIO相手に集中したいからさ」
「お前……繭を倒すつもりなのか」

驚いたように桂は言う。神威は心外とばかりに言い返す。

「俺は戦いも楽しむけど、同時に繭ちゃんも倒すつもりだったんだ
 その為に情報収集や腕輪の解析も進めなきゃね」
「そうだったんですか……」

コロナが声をわななかせながら、劣等感が混ざった眼差しで神威を見つめる。
ミルルンがそんな彼女達を見て、呆れたようにジト目で見続けている。

「じゃあ、神威……さんは何か手がかりを……」
「まぁ、決め手に欠けるけど幾つかはね。あと呼び捨てでいいよ」
「……信じられん」

桂の声が震える。コロナが泣きそうな声色で言う。

「桂さん……わたし達無力ですね……」
「ねー、帰っていいるん?」
「まぁ冗談はさておき、どういうつもりだ?」
「持て余した情報をお裾分けって感じかな?」

桂は棒状の物体――乖離剣エアを手に持ちながら会話を続ける。

「DIOの動向は伝えたが、その見返りとしては大きすぎる感じだが」
「ああ、地下闘技場にいるかもだっけ?これ俺には扱いにくくてさ、そこの君なら使えるんじゃないかな?」

コロナはハッっとした様子で宝具を見た。
今の自分には扱えそうにないが、魔法の心得がある自分なら神威や桂よりは有用に使えるかも知れない。

「DIOを過小評価し過ぎてないか、それに敵は奴だけでは……」
「それは心配する事ではないだろ」
「……お前」

旧友の仇を前にしても、一切の怒りを見せなかった桂の表情に初めて怒りの色が浮かぶ。
桂の羽織の裾をコロナがぎゅっと握った。

「小湊るう子ちゃんだっけ?彼女の悪いようにはする積もりはないさ」
「…………俺達と同行はできないのか?」
「それはできないね。理由はあんたには言うまでも無いだろ?」
「そうだな。しかし詰まらない事でお前は命を落とす気か」
「……あいつを倒せるなら詰まらなくはないさ」

神威の声に少しだが怒りの色が孕む。

「準備くらいは充分に整えたらどうだ?」
「? 俺は充分に整えた積もりだけど」

81 黒き呪縛は灰色の祝福 ◆WqZH3L6gH6 :2017/07/01(土) 12:28:53 ID:R3T6NoRI0

「いいや、整えていない。お前がDIOや繭以外の敵に倒されるという詰まらない結末の恐れがまだまだ残っている」
「うるさいなぁ。そんなにあいつの命を無駄にしたくないのかい」
「そうだ。あいつの命を終わらせた貴様の終わりは、こんな場所などではない」
「……あいつと一緒にケリを着けたいと言う事かな?」

そのあいつは銀時ではなく、神威とも関係があるもう1人の幼馴染というのが神威に解った。

「……単純な命のやり取りで終わらせる積もりはない。
 もっと訳の分からないドロドロとした状況で話を着けてみせる」
「……その状況っていうのは解んないけど、もし、そうなったら春雨も相手だからアンタに勝ち目なんか無いと思うけど」

王の財宝を片手に自らの肩をトントンと神威は叩く。挑発するように。

「いーや俺が勝つさ」
「あの……」
「むかつくなぁ。邪魔する気?」
「フッ……」

風を切る音がし、金属が擦り合う音がした。
空気が爆ぜた重圧をコロナは感じた。

「……」
「詰まらない終わりには腹が立つのだろう、お前も」
「誰の事を言ってるんだかね……」

攻撃を受け流した桂を見ながら、神威は凄絶な笑みを浮かべながら該当する人物を当てはめようとする。
妹……は納得できないから除外するとして、他は眠りながら殺された少女と助けられたのにすぐ死んだ宇治松千夜の姿が浮かぶ。
どちらかは決められそうもない。となると……。
神威は疲れた口調で手をひらひらとさせて、宝具を収める。

「本気でやったんだけどなぁ……。なまっちゃったか」

神威は手の痺れを感じつつ自嘲する。
桂は淡々と晴嵐を鞘に収めた。

「お前が弱くなっただけだ」
「友奈ちゃんが使ってたアレを使って言えることなのかな」
「使わずともさっきの一撃は防いで見せたさ」
「……いいさ、準備をもっと整える事にするよ」

神威は無理に納得した様子でベンチに座り、コロナの方へ顔を向けた。

「で、そちらはどう?」

殺気立った先ほどと違い、からかう様子で神威は言い、桂が気まずそうに答える。

「……手持ちの品が少なくてな、現地調達品でやりくりしている最中だ」
「へぇ」

神威はニヤニヤしながら考えを巡らせる。
当初は絵里から譲渡された支給品の大半を渡して、さっさと北西に向かおうと思ったが、ああいう悶着をした手前素直に渡すのも何か釈然としない。
そうなると先に見せるのはあれがいいか。
神威は自らに支給された黒カードを一枚取り出した。

「むっ」
「俺には不用だと思って取っておいたんだけど、使う覚悟はあるかな?」
「どういう事ですか?」

尋ねるコロナに神威は真顔で渡す。

「品が品だ、よく考えて使うかどうか判断しなよ」


コロナは渡されたカードの裏面を見る。
彼女の目が軽い驚きで見開く。
その時、桂のスマホが振動した。



・皐月2

蛍が呆けたように岩に座り込んでる。
れんげが顔の前に手を振りつつ声を掛け続けている。
程なくして、蛍は我に返り、ぎこちない笑顔でれんげに応じた。
周辺の幾つかの岩や木が切断、あるいは粉砕されている。
静雄と皐月の所謂超人バトルを目撃したのは蛍にとってそれは初めての事。
刺激が強かった。例え、それが静雄の暴力を皐月がいなし続ける内容だったとしても。
身を挺したくらいで流子の殺人行為は止められないどころか、なんにもならないのは明白。
静雄が少々疲れた様子で水を飲んだ。

そんな彼女彼を他所に皐月と連絡先の桂の会話は続く。

「車を入手できたのか?」
「ああ、うん」
「? どうした歯切れが悪いな」

電話の向こうの桂の説明がされる。
皐月は渋い顔になった。

82 黒き呪縛は灰色の祝福 ◆WqZH3L6gH6 :2017/07/01(土) 12:35:50 ID:R3T6NoRI0

「…………これは考えものだな」
『皐月殿、そちらはどうだ?』
「あるにはあるんだが。生き物だったらしくてこれまでのダメージが蓄積されて休ませないといけないんだ。
 それに乗用車として利用するにしてはライトがなくて不便でな」

セルティの愛馬であるコシュタ・バワーの事である。
本来ならこれまでの静雄の暴力によるダメージでも大したものでは無かったのだが。
制限で相応にダメージを受けていたのが発覚し、これ以上の使用に躊躇せざるを得ないの状況だ。
それは蛍とエルドラの提案でコシュタ・バワーをシグニ化できないかで試行した際に明らかになった。


『仕方がない。俺達は……』
「……ああ、無理はするなよ。もし、纏流子や天々座理世を発見したら……」
『了解だ、皐月殿』
「……あ、待ってください」

慌てて蛍が皐月の元に駆け寄る。そして桂達に皐月が伝えたのとほぼ同じ要望を伝える。

「空条承太郎さんと……風見雄二さんもお願いします」
「解りました一条さん」

桂の代わりにコロナが返答した。そして電話が切れた。
皐月は地面に突き刺した罪歌を拾う。
静雄がそっと近づく、罪歌が活性化するが所持者に依然支配は及ばなかった。

「……さて平和島、少し離れてくれないか?」
「ああ」

罪歌を刺激させないべく静雄は移動を開始する。
男の足音と軽やかな少女の足音が交差した。
皐月の手には罪歌の他に蛍に渡された裁縫セットが有った。
罪歌が活性化すれば戦闘時のコントロールが困難になってくる。
針目縫戦のように鮮やかに形状変化させての使用など望めない。
だから静雄を遠ざけた。
皐月は視線を下に落とした。
皐月の側に移動したれんげが治療魔法の準備をしている。

れんげが勇者の変身を解けば、皐月の切り傷を縫っている緑の糸が消える。
その前にれんげは再び治癒魔法を掛けて皐月の切り傷を更に癒やす。
その際、もし完全に癒えなかった場合に備えて、再出血しないよう再度罪歌を針に変化させて実体のある糸で縫おうというのだ。

変身を解かせるのはれんげの魔力の回復の為。
そのままだと治癒魔法は後1、2度の行使が限度。今後の事を思うと拙いし、れんげ自身の身体も心配になってくる。

「平和島さん、大丈夫ですか?」
「俺は問題ねえ」

2人の会話を耳にし、皐月はふと再考する。
よく見れば静雄の流子から受けた傷も浅くはない。
救助活動はまだしも戦闘において、静雄の力は実に有用だ。
治癒魔法で癒やすのは静雄を優先すべきではないか。
こちらの傷は実体のある糸で縫えば、当面は問題ないくらいの状態にまで改善している。
そう思案をし皐月は結論を出した。

83 黒き呪縛は灰色の祝福 ◆WqZH3L6gH6 :2017/07/01(土) 12:36:50 ID:R3T6NoRI0

・桂3

螺旋状のサイドポニーをした人形の頭部を手に抱え、コロナはそれを見つめている。
数時間前、DIO討伐の為ホテルを捜索した神威の戦利品。
麻雀卓に座らされていた、3体の人形の内1体。
ミルルン曰く、結構な力を感じたから取ってきたとの事。
また同様の魔力を放つ物体――遺体が北の駅付近にもあり、その遺体には異様な変化を遂げていたとの情報も神威によってもたらされた。

桂は一枚の白カードを見つめる。
短めのツインテールの少女――入巣蒔菜のカード。
名は知らないが、神威がかねてから興味を持ったという件の遺体の少女。
これらの怪情報が繭打倒の手がかりになるのか?桂はそう思った。

「桂さんどうしました?」
「いや、何でも無い。コロナ殿本当に良かったのか?」
「……やだなぁ、背に腹は変えられませんよ」
「う、うむ。油断はしないようにな……」

彼らが乗っているのは高性能ジープ。譲渡された神威の支給品の一つ。
コンピューター制御で悪路も難なく走行できる代物だが、使用するのに条件がある。
それは。

「使用には参加者の命を一生共有とはな……」
「大丈夫ですって……殺し合いの破壊が出来れば解決ですし」

表情は明るく、ただし冷や汗をダラダラ流しながらコロナは言う。
神威がこの支給品をこれまで使わなかったのは自分じゃすぐ壊すからと判断しての事。
廃棄せず取っておいたのは、闘技場での戦いの前は頭脳明晰な対主催を利用する為の材料に使えると思ったから。
桂は内心ビクビクしながら車を発進させた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【G-4/北/夜中】

【鬼龍院皐月@キルラキル】
[状態]:疲労(小)、全身にダメージ(中)、袈裟懸けに斬撃(回復中)
[服装]:神衣鮮血@キルラキル(ダメージ小)
[装備]:バタフライナイフ@デュラララ!!、罪歌@デュラララ!!
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(5/10)、青カード(8/10)
    黒カード:片太刀バサミ@キルラキル
    白カード:針目縫
    針目縫の腕輪、鉛筆2本
[思考・行動]
基本方針:纏流子を取り戻し殺し合いを破壊し、鬼龍院羅暁の元へ戻り殺す。
0:転移装置使用の為、分校に向う。途中妨害や探し人(承太郎やリゼ)に遭えばそっちの解決を優先する。
  可能な限り、別行動の仲間と連絡をする。
1:れんげの治癒魔法を自分か静雄どちらを優先させる。
2:れんげに銀時の死を伝える。
3:鮮血たちと共に殺し合いを破壊する仲間を集める。
4:纏流子を取り戻し、純潔から解放させる。その為に、強くなる。
5:ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲を調べてみたい。
6:襲ってくる相手や殺し合いを加速させる人物は倒す。

84 黒き呪縛は灰色の祝福 ◆WqZH3L6gH6 :2017/07/01(土) 12:41:05 ID:R3T6NoRI0

[備考]
※纏流子裸の太陽丸襲撃直後から参加。
※静雄との合流前に絵里達から連絡を受けました。
※罪歌を支配しました。支配した場合の変形は身体から実際の刀身以上までの範囲内でなら自由です。
 ただし静雄が付近にいればコントロールが困難になります。その場合でも支配はされません。
 黒カードの制限から解放されました(理由は現状不明)
※静雄との会話で蟇郡が流子に殺されたらしい事を知りました。
※静雄と模擬戦を行いました。


【宮内れんげ@のんのんびより】
[状態]:魔力消費(中〜大)、勇者に変身中
[服装]:普段通り、絵里のリボン
[装備]:アスクレピオス@魔法少女リリカルなのはVivid 、犬吠埼樹のスマートフォン@結城友奈は勇者である
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(8/10)、青カード(9/10)
    黒カード:満艦飾家のコロッケ(残り三個)@キルラキル
    飴の入った袋(残り8割)
[思考・行動]
基本方針:うちも、みんなを助けるのん。強くなるのん。
1:銀さん、えりりん心配のん。
2:ほたるんにあえてうれしいけど、しんぱい。
3:あんりん……ゆうなん……。
4:きんぱつさん、危ないのん?
[備考]
※魔導師としての適性は高いようです。 魔術師的な感覚も備わり始めました。
※放送を聞いていません。
※樹の勇者スマホに臨也のスマホとラビットハウス、ゲームセンター、映画館、万事屋銀ちゃんの電話番号が登録されました。
※変身を解除しない限り魔力は回復しません。回復魔法の使用は現状あと1、2回が限度です。
※静雄と皐月の模擬戦を観戦しました。



【平和島静雄@デュラララ!!】
[状態]:遊月を死なせた自分への怒り(中)、全身にダメージ(中)
[服装]:バーテン服、グラサン
[装備]:ブルーアプリ(ピルルクのカードデッキ)@selector infected WIXOSS
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(18/18)、青カード(12/18)
    黒カード:縛斬・餓虎@キルラキル、 コルト・ガバメント@現実、軍用手榴弾×2@現実、
         コシュタ・バワー(ダメージ中、回復中)@デュラララ!!、不明支給品0〜1(本人確認済み)
    白カード :紅林遊月、衛宮切嗣、ランサー
    自分と蛍の換えの服(上下1〜2着分)@現地調達、蛍作のカードホルダー

[思考・行動]
基本方針:あの女(繭)に報いを与えたい。殺す発言は極力しないように心がける。
  0:皐月達と分校に向う。
  1:蛍を守りたい。強くなりたい。
  2:小湊るう子を保護する。
  3:2を解決できたら蟇郡を弔う。
  4:リゼが気がかり。
  5:余裕があれば衛宮切嗣とランサーの遺体、東條希の事を協力者に伝える。

[備考]
※一条蛍、越谷小鞠と情報交換しました。
※東條希の事を一条蛍にはまだ話していません。
※D-4沿岸で蒼井晶の遺体を簡単にですが埋葬しました。
※D-4の研究室内で折原臨也の死体と桐間紗路の近くに臨也の不明支給品0〜1枚が放置されています。
※校庭に土方十四郎の遺体を埋葬しました。
※H-4での火災に気付いています。 遊月を埋葬した時点では拡大も鎮火もしていないようです。
※G-4とH-5の境界付近で紅林遊月を簡単にですが埋葬しました。
※ピルルクの「ピーピング・アナライズ」は(何らかの魔力供給を受けない限り)チャージするのにあと1時間かかります。
 まだ寝てます。
※皐月と模擬戦を行いました。その際に岩や樹がいくつか破壊されました。

85 黒き呪縛は灰色の祝福 ◆WqZH3L6gH6 :2017/07/01(土) 12:43:13 ID:R3T6NoRI0

【一条蛍@のんのんびより】
[状態]:全身にダメージ(小)、精神的疲労(中)
[服装]:普段通りに近い服@現地調達
[装備]:ブルーリクエスト(エルドラのデッキ)@selector infected WIXOSS、蝙蝠の使い魔@Fate/Zero(シグニ化?)
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(17/20)、青カード(18/20)
    黒カード:フルール・ド・ラパンの制服@ご注文はうさぎですか?、カッターナイフ@グリザイアの果実シリーズ、
    ジャスタウェイ@銀魂、折原臨也のスマートフォン(考察メモ付き)
    ボゼの仮面咲-Saki- 全国編、赤マルジャンプ@銀魂、ジャスタウェイ×1@銀魂、     
    超硬化生命繊維の付け爪@キルラキル 、およびM84スタングレネード@現実
    越谷小鞠の不明支給品(刀剣や銃の類ではない)、
    白カード:越谷小鞠
    筆記具と紙数枚+裁縫道具@現地調達品 、蛍作のカードホルダー

[思考・行動]
基本方針:誰かを死なせて悲しむ人を増やしたくない。自分の命についてはまだ分からない。
   1:平和島さんと皐月さんに付いて行く。
   2:どうにかしてリゼさんを含めた仲間達を助けたい。   
   3:主催者と遭えたら話をしてみたい。
   4:折原さんがどんなに悪い人だったとしても、折原さんがしてくれたことは忘れない
   5:何があっても、誰も殺したくない。

[備考]
※セレクターバトルに関する情報を得ました。ゲームのルールを覚えている最中です。
※『越谷小毬殺人事件の真犯人はDIOである』という臨也の推理(大嘘)を聞きました。現状他の参加者に伝える気はありません。
※衛宮切嗣が犯人である可能性に思い至りました。
※折原臨也のスマートフォンにメモがいくつか残されていることに気付きました。 現状、『天国で、また会おう』というメモしか確認していません。
 他のメモについては『「犯人」に罪状が追加されました』『キルラララララ!!』をご参照ください。また、臨也の手に入れた情報の範囲で、他にも考察が書かれている可能性があります。
※静雄と皐月の模擬戦を観戦しました。

※エルドラの参加時期は二期でちよりと別れる少し前です。平和島静雄、一条蛍と情報交換しました。
 ルリグの気配以外にも、魔力や微弱ながらも魂入りの白カードを察知できるようです。
 黒カード状態のルリグを察知できるかどうかは不明です。
※現在、蝙蝠の使い魔はエルドラと感覚を共有しています。

86 黒き呪縛は灰色の祝福 ◆WqZH3L6gH6 :2017/07/01(土) 12:46:25 ID:R3T6NoRI0

【G-6/道路/夜中】

【桂小太郎@銀魂】
[状態]:胴体にダメージ(小) 、勇者に変身中
[服装]:いつも通りの袴姿 、高性能ジープ@現実?
[装備]:風のスマートフォン@結城友奈は勇者である
    晴嵐@魔法少女リリカルなのはVivid
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(17/20)、青カード(17/20)
    黒カード:鎖分銅@ラブライブ!、鎮痛剤(錠剤。残り10分の9)、抗生物質(軟膏。残り10分の9)
    白カード:長谷川、ポルナレフ、蒔菜、心愛、雁夜、杏里、ジャンヌ
[思考・行動]
基本方針:繭を倒し、殺し合いを終結させる
1:皐月達を先に分校に向かわせ、自分達は他の参加者との合流、または危険人物を無力化させるべく動く。
  放送が過ぎるか、あるいは皐月達が分校にいけなくなった場合は何らかの方法で北西を目指す。
2:コロナと行動。
3:殺し合いに乗った参加者や危険人物へはその都度適切な対処をしていく。
  殺し合いの進行がなされないと判断できれば交渉も視野に入れる。用心はする。
4:入巣蒔菜の遺体の異変や小走やえ人形について調べる。
5:スマホアプリWIXOSSのゲームをクリアできる人材、及びWIXOSSについての(主にクロ)情報を入手したい。
6:金髪の女(セイバー)に警戒
7:勇者スマホの性能をもっと調べる。
[備考]
※【キルラキル】【ラブライブ!】【魔法少女リリカルなのはVivid】【のんのんびより】【結城友奈は勇者である】の世界観について知りました
※ジャンヌの知り合いの名前とアザゼルが危険なことを覚えました。
※金髪の女(セイバー)とDIOが同盟を結んだ可能性について考察しました。
※勇者に変身した場合は風か樹の勇者服を模した羽織を着用します。他に外見に変化はありません。
 変身の際の花弁は不定形です。強化の度合いはコロナと比べ低めです。
※入巣蒔菜(名前は知らない)の遺体の異常とホテル内の様子を神威から伝えられました(詳細は後続の書き手さんにお任せ)。

※神威と別行動を取った場合、彼の支給品を譲渡されている可能性があります。


【コロナ・ティミル@魔法少女リリカルなのはVivid】
[状態]:胴体にダメージ(小) 、ちょっとドキドキ、高性能ジープ(支給品)と命を共有
[服装]:制服
[装備]:友奈のスマートフォン@結城友奈は勇者である
    ブランゼル@魔法少女リリカルなのはVivid 、
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(16/20)、青カード(17/20)
     黒カード:トランシーバー(B)@現実、勇者部五箇条ポスター@結城友奈は勇者である
     ティッピーの模型(汚れている)、小走やえ人形の頭部
[思考・行動]
基本方針:殺し合いを終わらせたい。
1:桂さんと行動。
2:桂さんのフォローをする。
3:入巣蒔菜の遺体の異変や小走やえ人形について調べる。
4:金髪の女の人(セイバー)へ警戒
5:高性能ジープと命を共有したことにちょっと後悔
[備考]
※参戦時期は少なくともアインハルト戦終了以後です。
※勇者に変身した場合は友奈の勇者服が紺色に変化したものを着用します。
 髪の色と変身の際の桜の花弁が薄緑に変化します。魔力と魔法技術は強化されません。
※高性能ジープと命を共有しました。修理不可まで破壊された場合彼女は死にます。
※入巣蒔菜(名前は知らない)の遺体の異常とホテル内の様子を神威から伝えられました(詳細は後続の書き手さんにお任せ)。
※小走やえ人形の頭部を神威から譲渡されました。多少の魔力を有しています。
※地下施設 モンスター博物館からティッピーの模型を回収しました。

※神威と別行動を取った場合、彼の支給品を譲渡されている可能性があります。

87 黒き呪縛は灰色の祝福 ◆WqZH3L6gH6 :2017/07/01(土) 12:48:34 ID:R3T6NoRI0

【?/?/夜中】※G-6の駅のホームか、G-6/道路で桂と同行。
【神威@銀魂】
[状態]:全身にダメージ(小)、頭部にダメージ(小) 、宇治松千夜の死に対する苛立ち(小)
    よく分からない感情(小)、桂小太郎への苛立ちと対抗心(小)
[服装]:普段通り
[装備]:王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)、ブルーデマンド(ミルルンのカードデッキ、半分以上泥で汚れている)
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(24/30)、青カード(24/30)、電子辞書@現実
    黒カード:必滅の黄薔薇@Fate/Zero、不明支給品0〜1枚(初期支給)、不明支給品1枚(回収品、雁夜)
    黒カード(絵里から渡されたもの) :麻雀牌セット(二セット分)、麻雀牌セット(ルールブック付き)、不明支給品(銀時に支給、武器)
                      ウィクロスカード大全5冊セット、アスティオン、シャベル、携帯ラジオ、乖離剣エア
    白カード:友奈、風、樹(切れ込みあり)
    
[思考・行動]
基本方針:DIO討伐、その後の事は現状未定
0:G-6駅で電車を待つか 、桂達と同行するか。
1:気が向けば見どころのある対主催に情報や一部支給品を渡したい。
2:眠り姫(入巣蒔菜)について素性を知りたい。ただしあまり執着はない。
[備考]
※DIOおよび各スタンド使いに関する最低限の情報を入手しました。
※「DIOとセイバーは日が暮れてからDIOの館で待ち合わせている」ことを知りました。
※DIOの館は完全に倒壊させました。
※大まかですがウィクロスのルールを覚えました。
※ルリグは人間の成れの果てだと推測しました。入れ替わりやセレクターバトルの事はまだ知りません。
※樹の白カードに切れ込みがあるのを疑問に思っています。
※入巣蒔菜の遺体の異常を確認しました。多少の魔力の他に明らかな変化があります(詳細は後続の書き手さんにお任せ)
※ホテルの遊技場に強大な力(魔力)があるのを発見しました。
※ミルルンのルリグカードは別途クリアファイルに挟まっております。

※白カードは通常は損壊、破壊する事は不可能です。すぐ復元されます。
 (ジョジョ6部の各種DISCみたいな感じ)
※友奈、風、樹のカードは他参加の白カードより強い力を発しているようです。

※桂とコロナと別行動を取った場合、神威の支給品の幾つかが譲渡された可能性があります。

【高性能ジープ@現実?】
神威に支給。現代世界で考えうる限り最高級の性能を持つ車体。
危険回避にそこそこ以上のコンピューターが使われている。多少の悪路は平気。
ただしカーナビなどロワ進行に不都合な機能は停止させられている。
使用には生きてる参加者の白カードで認証する必要があり。一度登録すると一生車と命を共有しなければいけない。
車が修理不能にまで大破すると認証した参加者は死ぬ。一層解除できない。
認証した参加者が先に死亡すれば、使用不可となる。再起動には新しく認証が必要。



【桂&コロナ、神威、皐月&れんげ&静雄&蛍の共通認識】

※衛宮切嗣の遺体とランサーの生首は埋葬されました。影響はありませんが両者の遺体からは差異はあれど魔力が残留しています。
※旭丘分校からの転移先は本能字学園の校庭です。装置に関する説明文の有無や細かい場所は後の書き手さんにお任せします。
※IDカードは針目縫との空中戦の折紛失しました。現在D-4かD-5の海上に落ちている可能性が高いです。
※【キルラキル】【ラブライブ!】【魔法少女リリカルなのはVivid】【銀魂】【結城友奈は勇者である】
 【デュラララ!!】【selector infected WIXOSS】の世界観について知りました 。
※金髪の女(セイバー)とDIOが同盟を結んだ可能性について把握しました。
※一条蛍(I)の書き込みまでチャットを確認しました。
※IDカードから転送装置の存在と詳細を知りました。
※参加者の時間軸がずれている可能性を認識しました。
※地下通路とモンスター博物館の存在を知りました。
※ヴァニラ・アイスとセイバー以外の現参加者の大まかな人物像を把握しました。
※黒カードによる支給品の制限を大体把握しました。
※エルドラとピルルクのルリグカードは一条蛍作の透明のカードホルダーに収納されています。
※コシュタ・バワーが生物でダメージを受けてるのを知りました。

88 ◆WqZH3L6gH6 :2017/07/01(土) 12:49:05 ID:R3T6NoRI0
投下終了です。

89 名無しさん :2017/07/01(土) 17:03:17 ID:xSbAEWss0
投下乙です
桂も絵里に近い感情を神威に持ったか
情報も道具も得てできる事は増えたがどれだけ手を着けられるやら
コロナちゃん生きろ

90 名無しさん :2017/07/01(土) 23:28:09 ID:JHyPxZ2U0
投下乙
地下通路と生き残りのほとんども知れたし、マーダー達との決着は近い?
静雄と皐月、桂と神威が結構いい感じでテンション上がる

91 ◆WqZH3L6gH6 :2017/08/18(金) 08:11:24 ID:dyexpAT.0
本投下します。
題名はまだ決まってないので決まり次第レスします。

92 ◆WqZH3L6gH6 :2017/08/18(金) 08:11:51 ID:dyexpAT.0

・承太郎1

四半刻は過ぎただろうか。本人の望みとは程遠い緩やかな足取りで空条承太郎は前を進む。
紅林遊月と分かれた後、空条承太郎は南東へ向かっている。

「っ……」

全身が痛む。殺戮者達に負わせられた多数の小傷と、小と言えぬ3つの裂傷。
その肉体的ダメージは仲間である風見雄二を探し求める承太郎にとって行動を阻害するものであった。

「…………」

何度目になるか解らぬ深い息を彼はつく。
吐息を漏らす度に彼の脳内に少女の糾弾のような高音が響く錯覚に囚われる。
その声ではない声は紅林遊月が捜索している天々座理世のに似ていた。
突き放すような事を言ったのが行けなかったのは解っている。
先の乱戦の初めに親しかった香風智乃を殺され、激昂の最中気絶させられ、目覚めた時にはここまでの戦況も
ろくに把握出来ていなかった。これで落ち着けと言うのが無理な話だろう。
自分の欠点からの負い目が承太郎の傷の痛みを更に強くする。彼の体力だけでなく気力も削るように。

「!」

負荷に耐えきれなくなったのか、ついに承太郎の右膝がかくんと折れた。
彼は態勢をすぐ整えるものの、顔を少し下げてしまい、観念したかのように両膝を折った。
背中と後頭部が草と軟土にとすんと軽く落ちる。焦りを覚える間もなく承太郎は意識を失い、仰向けに倒れた。




・1日目 11:?? ラビットハウス1階

「これのことは、あとで話すよ」

遊月はピルルクのルリグカードを仕舞うと別の話題を雄二に振る。
雄二は針目縫の変装を見破った理由を話し、仲間達を感心させた。
それから承太郎は情報交換に臨もうと言峰と雄二の方へ向かう。
それに対し女性3人はぎこちない空気を漂わせつつ、
情報交換の場にいるのを申し訳なさげに拒否するや一塊になって二階に行こうとする。

その時、遊月の身体が承太郎に軽く当たった。遊月は返答に詰まる。
承太郎は気にしないという素振りを見せた。
遊月は彼の思いを察したのか軽く微笑む。承太郎はルリグカードを仕舞った箇所を見る。
それにも遊月は気づいた風だったが、今度は無視して理世と智乃と一緒に二階に上がった。

放送後の三好夏凛の放送局からの放送の際も、承太郎は遊月に説明を求める様に見つめる事で暗に促したが、

「……」

それでも尚、遊月がルリグカードについて話す事はなかった。

93 題名不明 ◆WqZH3L6gH6 :2017/08/18(金) 08:12:32 ID:dyexpAT.0

・承太郎2

きな臭い煙の匂いがする。承太郎の瞼が震え、僅かな光が目に入った。
吸い込まれるような眠気が彼の意識を再び刈り取ろうとするのを感じた。

「っ……」

承太郎は気合を入れ目を見開く。
夜空の何割かを遮る木の葉の隙間から、ごく微弱なオレンジ色の光が見えた。
慌てて上体を起こす。すぐ近くに火の熱と煙はない。
彼はすぐ立ち上がろうと思考したが、身体はまだ満足に動かせそうになかった。

承太郎は仕方なく引き摺るような感じで後ずさりをし、木の幹にもたれ掛かる。
少々和らいだ疲労と痛み、焦りが彼の心身を巡る中、彼は亡き戦友の忠言を思い出した。

――待つのは君だ、承太郎!

ついさっき理世を追いかけようとした時も傷が開いたのも思い出す。

――その怪我で行けば殺されるだけだ

「くっ」

今の状態で風見雄二に加勢しようとした所で何になる。
承太郎は現状を憂いた。だが彼は弱さに屈せず不調の身体の代わりに頭を働かせた。

ここで、ある事に気づく。セイバーから奪い、言峰に託された黒カード。
特にセイバーの黒カードはチェックさえしてない。

「やれやれだぜ……」


承太郎はため息を付きつつ小声でぼやきながら、再度も含め黒カードを確認し始める。

「………………」

全ての黒カードの裏面確認が終わった。その中で彼が強く意識させるカードは2つ。
ただのと思っていたが、実際は体力回復の効用があるとの説明書があった酒。
そして、もう1つは遊月が所持していたのと同種のルリグカードが含まれた、カードゲームウィクロスの
カードセット レッドアンビジョンだった。

言峰が生前、その正体を知りたがっていた読心能力を持つカードの中の少女ピルルク。
彼がそれを知る事が不可能となった今、それは……。
沈んだ表情のまま、承太郎は思案した。彼は木と木の影に身体を移動させながら、瓶の蓋を回そうとする。

「……!」

その時、彼は思い出した。
ゲーム開始時の繭の説明と、カードから出てきた龍の腕を。
そして殺人ゲームに巻き込まれる前の旅の最中戦った、魂を形にするスタンドの事を。

「カードの中の女、カードに封じ込まれた魂……まさかな」


彼にはカードに封じられた魂の解放方法も、死者の魂との交信方法も知らない。
だがルリグやあるいはスタンドの使い方によっては、白カードからの魂の解放は不可能ではないのではないかという推測は立てられた。
これまでは実行しなかったが、スタンドは魂に触れられるのではという可能性。
主催の打倒には直接結びつかない、加えて制限が課せられている事もあり、試みようとした所で失敗に終わる確率が高い試み。
いずれも0に等しい行動かも知れない。だが探る価値はあると思った。

94 題名不明 ◆WqZH3L6gH6 :2017/08/18(金) 08:12:58 ID:dyexpAT.0

「……」

承太郎は死者を蘇らせられるとは思ってはいない。仮に死者との会話が可能になっても向こうから望まない限りは考えようとさえしないだろう。
けれど繭により孤独を強いられた魂をドライに見捨てられる男でもない。
承太郎は瓶の蓋を強く持った。囚われた死者の魂の解放、それを自分の目標の一つと定めつつ。
彼は両目を見開き、気を強く持ちながら瓶の中身を飲んだ。


・?日前 ??:?? 主催基地

数々の武具、道具、果ては玩具が白い地面に散らばっている。
何人かの男女がそれを拾っては確認し口を出し、それを聴いた別の者がメモを取りつつ歩き回っていた。
ある1人の男が怪訝そうな表情で、その場を監督している者に近づく。
その男は2つの銃と2つの瓶を手に取っている。
それは所謂重複した支給品。男は■日後始まるゲームにおいてこれは良いのかと尋ねた。
監督役は懐から電子機器を取り出し、向こうに聞いた。
通話はすぐ終わり、監督役は男を一瞥すると「別に構わない」と返答した。
ゲームは予定通り行われ、同種の2丁の銃は1人は天々座理世、もう1丁は宇治松千夜に支給された。
そして2つの瓶――ある薬品は1つは園原杏里に、もう1つは――


・理世1

息はとうに切れている。
視界に映るは黒と深緑と霞がかった白。
天々座理世の胸中に渦巻く感情は混乱と罪悪感だった。
彼女は走っている。ゲームの舞台H-4地点に向かって。
森の外に近づくに連れ熱気と煙が濃くなるのを感じる。
理世は知らない風見雄二と纏流子による戦火が広がっていたから。

「っ……」

だが火災があろうと、危険があろうと理世は構わずある場所に向かった。
香風智乃の遺体があるだろう場所に。
ラビットハウスに代わる新たな拠り所として。たとえ先で敵である白装束の女がまちうけてたとしても。

「…………」

森を抜けた。やや離れた火の手の煙に顔をしかめつつも彼女は進む。
自らが殺めてしまった紅林遊月のように真っ直ぐではなく、おぼつかない足取りでふらふらと。


仰向けに倒れている香風智乃の遺体が見えて来る。
遺体に近づくに連れ、理世は生前の智乃に持っていた感情が変化していくのを感じ焦った。
それはやっと見殺しにせずに要られる罪悪感の緩和などではなく、遺体に対する恐怖と嫌悪だったから。
遺体は紛れもなく智乃なのに。ついさっきまでは彼女の死を認められなかった筈なのに。

「……智乃だ、よな」

理世は遺体の直ぐ側でそう呟いた。
智乃の遺体の状態は悪くない。絶望に固まった表情と致命傷である腹の傷を別にすれば。
戻ってきた理由はただ一つ、智乃を弔うこと。
理世は顔をこわばらせながら近づき、遺体に触れた。

「……」

意外と悲しみも絶望も感じなかった。
理世は遺体の両腕を持ち森の方へ運ぼうとする。
遺体は固く、冷たく、そして重かった。
移動させるに連れ、体力が急激に消耗していくのを感じる。

「う、うぅ……」

これは人でなくだった物だと、重みから理世は過酷な現実を痛感した。

95 題名不明 ◆WqZH3L6gH6 :2017/08/18(金) 08:13:16 ID:dyexpAT.0

「ん、んぐ……うぁ」

疲労が蓄積する中、彼女が承太郎達を突き放してまで行おうとした行為も、
実現できる体力がもう残っていない事実を理世はすぐ認める事はできない。

それを悲しくも認められたのは、一息着いた頃だった。

理世は顔を上げ森を見る。森までまだ遠い。そして彼女はもう一つ気付く。
なぜ丁寧に遺体を運ぼうと考えなかったのか。それは冷たさと生理的嫌悪をこれ以上味わいたくなかったからか。
彼女は脱力し、遺体から手を離す。遺体の背はどすんと地に落ちバウンドした。何の感情も湧かない。
理世はかくんと仰向けに仰け反る。空には雨雲が見えた。

「はは……」

理世は呆けた表情のまま口から乾いた笑いを出す。
そして大粒の涙が右目からこぼれた。わたしは何もできない役立たずのひどい人間と思ったから。
理世は両手を地面に着き、うずくまり掠れた声で泣いた。

霞んだ視界には智乃の遺体と一枚のカードがぼんやりと見えている。



・??日前 ??:?? 主催基地

自動車爆弾に何の懸念もなかった訳ではない。
そう思考すると、ある者は1人の少女に尋ねた。
あの施設やあの施設対しあの爆弾を爆発させるとどうなるのかを。
少女はしばし考えてから、返答する。

ある者は肝を冷やした。それは懸念通りの解答だったから。
慌ててその者はそうならないように少女に陳情した。
少女は薄い笑みを浮かべつつ、「わたしが管理する訳じゃないもの」と言った。

ある者はゲームの際のあの施設の管理担当者を思い安心する。
繭の返事はその者の懸念が消えるものではなかったが、一応納得できるものだった。
中身が入っている以上、あれを爆破することによるデメリットは大きい。
爆発の余波は確実に転送装置がある施設も巻き込、装置も破壊されてしまう。
よって管理担当者が爆破を許可するはずがないとある者は予測した。
それにその者の主の気を害する行為は、あの管理担当者がする訳がないと確信しているから。
その者は安堵のため息を付いた。


・流子

白い神衣を着た化物はトラックから降りる。
遠ざかっていく爆弾を見送りながら纏流子は南に向かい疾駆する。
そして先の木陰に見を躍らせると、制止した。

「……」

彼女は周囲を見渡す。
追跡者がいないかとフェイントを掛けたが、人影は確認できない。
流子は舌打ちをし、南に向けて走った。数時間前、刺殺した少女がいた場所に。
さっきまで戦っていたあの連中はかつての自分と仲間と多分同類だと流子は予測している。
仮に戦闘が終わったと判断すれば、仲間の遺体を弔うだろうと思っている。
彼女は走りながらもなおも考える。見つけた獲物を逃さない方法を。
あの自動車爆弾が目標である、彼女が一番嫌悪しているゲームの施設 ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲に
あれが接触する時間を考慮に入れつつ。


・雄二

白装束の女から離れた後、風見雄二は高所からある物体を見下ろしている。
無人で動くトラックらしき物体。よく確認したい気はあるが、あの女が近くにいる可能性が高いのでそれはできなかった。
雄二は踵を返すと南へ向かった。女剣士や白装束と戦うなら戦闘痕も相応に目立つだろうと予測しながら。
彼は人外相手に勝機を拾うべく考える。空条承太郎や言峰綺礼の戦力も算段に入れつつ。
雄二の双眸は尚も静かで熱い光を放っている。
彼は香風智乃が倒れた場所に向かった。

96 題名不明 ◆WqZH3L6gH6 :2017/08/18(金) 08:13:47 ID:dyexpAT.0

・理世2

自己嫌悪と罪悪感から来る痛みからに腹や胸を押さえつつ理世は当てもなく森を進む。
手には一枚のカードがあった。
彼女は服で泣き跡のある顔を拭うと、そのカードを見た。
カードに写った香風智乃は綺麗なカメラで綺麗に撮られているように見える。
理世はバツが悪そうに視線を反らし、仲間の捜索を再開した。

「……」


結論から言うと天々座理世は香風智乃を弔う事はできなかった。
地面を掘り起こす体力も、遺体を森へ移動させる体力も無かったから。
代わりに出来たのは智乃の魂が封じられたカードを回収した事と遺体の手を組ませる事のみだった。
理世は疲労と痛みから思わず呻き、動きを止めた。

周囲を見ると同じような光景だった森林がどこか開けたように見える。
今、理世は探している。自らの救いの主と定めていた風見雄二だけでなく、喧嘩別れしてしまった空条承太郎も。
ついさっき自らの非力と醜さを自覚した彼女は、承太郎に対するけじめを果たしたかった。
再開した際、どうなるかは深く考えられない。ただ理世は承太郎に謝りたかったのだ。
今の彼女は平和島静雄と一条蛍に見つかるなら、それでも構わないとさえ思っている。
白装束の女や針目縫といったマーダーに殺されるのだけは嫌だが、最悪それも覚悟している。

自暴自棄と薄々気づいていながらも彼女は承太郎達がいた場所に向かって進んだ。



・承太郎2

疲労感に身を捩らせつつ、承太郎は目を覚ます。
手から微かなアルコール臭がする。
眠ってしまったようだ。敵に遭遇しなかったのは幸運という他ない。
承太郎は自嘲からの苦笑をすると立ち上がり目的地に向かった。
しばらく歩くと風が吹いた。上空の枝葉が揺れ、隙間が広がる。

「……!」

隙間に何かが舞っているように見えた。
虫の存在は何度か確認している。しかし鳥や小型哺乳類と言った小動物はこれまで一度も確認していない。
小さい何かが過ぎったように見えた。あれは……何だ。

承太郎は星の白金を現出させると、視界をスタンドへと切り替える。
承太郎は声を上げようとした。

「いつまで黙ってるんだい」

突如、手に持ったカードデッキから少女の不機嫌な声が聞こえた。
風が止み、上空の隙間が埋まり、向こうは見えなくなる。

声の主の顔を見ようと承太郎はカードの上面を顔に近づけた。
妖精に似た長髪の少女の姿をしたルリグ。

「……」

花代と言ったか。彼女からも情報を聞こうと解放したまま捜索を続けていたが。
どちらもどうにもいかない。承太郎は悩んだ。さっきの二の舞いは御免だと思いつつ、どうにか上手く接しられないかと。
一時期、彼は母に対して猫被っていた事を思い出した。彼は微かな自己嫌悪を覚えつつもあの頃の演技はできないかと考えた矢先、その光景が目に入った。

97 題名不明 ◆WqZH3L6gH6 :2017/08/18(金) 08:14:25 ID:dyexpAT.0

「これは……」

異様な光景だった。前方には木々がいくつもなぎ倒されている。
地面も人外の力で抉られたと推測できる箇所が幾つもある。
承太郎は唾を飲み込んだ。花代も緊張した面持ちで沈黙する。

そこは纏流子が平和島静雄と蟇郡苛が戦い、蟇郡が命を落とした場所のすぐ近く。
強い風が吹く。

「……!」

その時だった。
何者かの気配を感じた承太郎は身構えた。

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【G-4/南部(蟇郡の遺体がある場所のすぐ近く)/真夜中】

【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
[状態]:ダメージ(大)、疲労(大?回復の可能性あり)、精神的疲労(小)、胸に刀傷(中、処置済)、全身に小さな切り傷、
    左腕・左肩に裂傷(処置済み)、貧血(大)、強い決意、焦り(小) 、神代の酒による酔い(小?)。
[服装]:普段通り
[装備]:レッドアンビジョン(花代のカードデッキ)@selector WIXOSS(解放中)
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(37/38)、青カード(35/37)
黒カード:約束された勝利の剣@Fate/Zero、不明支給品0〜1(言峰の分、確認済み)、スパウザー@銀魂、
         キュプリオトの剣@Fate/zero 、不明支給品2枚(ことりの分、確認済み)、神代の酒@Fate/zero (3分の1消費)
    現地調達品:雄二のメモ、噛み煙草、各種雑貨(ショッピングモールで調達)
[思考・行動]
基本方針:脱出狙い。DIOも倒す。
   0:目の前の相手に対応する。
   1:雄二と遊月と理世を探す。
   2:白カードに閉じ込められた魂の解放方法を探る。
   3:花代から情報を聞き出す。
[備考]
※少なくともホル・ホースの名前を知った後から参戦。
※折原臨也、一条蛍、香風智乃、衛宮切嗣、天々座理世、風見雄二、言峰綺礼と情報交換しました(蟇郡苛とはまだ詳しい情報交換をしていません)
※龍(バハムート)を繭のスタンドかもしれないと考えています。
※風見雄二から、歴史上の「ジル・ド・レェ」についての知識を得ました。
※参加者の時間軸がずれている可能性を認識しました。
※越谷小鞠を殺害した人物と、ゲームセンター付近を破壊した人物は別人であるという仮説を立てました。また、少なくともDIOは真犯人でないと確信しました。
※第三放送を聞いていませんが、脱落者と禁止エリアは確認しています。
※神代の酒3分の1を摂取しました。その効果から体力が回復をしている可能性があります。詳細は後の書き手にお任せします。
※承太郎の前に何者かが現れました。誰かは後の書き手にお任せします。




【G-4(詳細不明)/真夜中】

【風見雄二@グリザイアの果実シリーズ】
[状態]:ダメージ(中、処置済み)疲労(小)右肩に切り傷(処置済み)、全身に切り傷 (処置済み)
[服装]:美浜学園の制服
[装備]: トンプソン・コンテンダーと弾丸各種(残りの弾丸の種類と数は後続の書き手に任せます)@Fate/zero 、ベレッタM92@現実(残弾0)
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(7/10)、青カード(7/10)
   黒カード:マグロマンのぬいぐるみ@グリザイアの果実シリーズ、腕輪発見機@現実
   歩狩汗@銀魂×2、旧式の携帯電話(ゲームセンターで入手、通話機能のみ)
   小さな木杭3本、小さな鉄杭3本、タオル2枚、包帯代わりの布2枚、包丁一本(低品質)
[思考・行動]
基本方針:ゲームからの脱出
   0:承太郎と理世と言峰と遊月に合流する。
   1:纏流子を始めとする危険人物への対策を考える。

98 題名不明 ◆WqZH3L6gH6 :2017/08/18(金) 08:14:59 ID:dyexpAT.0

[備考]
※アニメ版グリザイアの果実終了後からの参戦。
※折原臨也、衛宮切嗣、蟇郡苛、空条承太郎、紅林遊月、言峰綺礼と情報交換しました。
※キャスターの声がヒース・オスロに、繭の声が天々座理世に似ていると感じました。
※参加者の時間軸がずれている可能性を認識しました。
※『越谷小毬殺人事件の真犯人はDIOである』という臨也の推理(大嘘)を聞きました。必要に応じて他の参加者にも伝える可能性があります。
※言峰から魔術についてのおおまかな概要を聞きました
※纏流子の純潔の胸元に隙間があるなどの異変に気づいています。

[雄二の考察まとめ]
※繭には、分の殺し合いを隠蔽する技術を提供した、協力者がいる。
※殺し合いを隠蔽する装置が、この島のどこかにある。それを破壊すれば外部と連絡が取れる。
※第三放送を聞いていません。
※城近くの山小屋から武器になりそうなものを入手しました(鉛筆サイズの即席の木杭3本、即席の鉄杭3本、包丁一本(低品質))
※自動車爆弾が北西へ向かうのを目撃しました。爆弾とは気づいていません。
※承太郎のすぐ近くにいる可能性があります。



【G-4(詳細不明)/真夜中】

【天々座理世@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:疲労(大)、精神的疲労(極大) 、無力感(大)、自暴自棄
[服装]:メイド服・暴徒鎮圧用「アサルト」@グリザイアの果実シリーズ
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(9/10)
    黒カード:キャリコM950(残弾半分以下)@Fate/Zero
    白カード:香風智乃
[思考・行動]
基本方針:風見雄二、又は承太郎に再会し自分の処遇を委ねる。
   1:白い服の女には殺されたくないし、許したくもない。

[備考]
※参戦時期は10羽以前。
※折原臨也、衛宮切嗣、蟇郡苛、空条承太郎、一条蛍、香風智乃、紅林遊月、言峰綺礼と情報交換しました。
※参加者の時間軸がずれている可能性を認識しました。
※『越谷小毬殺人事件の真犯人はDIOである』という臨也の推理(大嘘)を聞きました。必要に応じて他の参加者にも伝える可能性があります。
※第三放送を聞いていません。ラビットハウス周辺が禁止エリアになったことは知りました
※承太郎のすぐ近くにいる可能性があります。



【G-4(詳細不明)/真夜中】

【纏流子@キルラキル】
[状態]:全身にダメージ(中)、左肩・左太ももに銃創(糸束で処置済み)、疲労(中)、精神的疲労(極大)、
    数本骨折、説明しきれない感情(恐怖心?)
[服装]:神衣純潔@キルラキル(僅かな綻びあり)
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(19/20)、青カード(17/20)
    黒カード:縛斬・蛟竜@キルラキル、自動車爆弾@現実?、番傘@銀魂、生命繊維の糸束(一割消費)@キルラキル、遠見の水晶球@Fate/Zero、
         花京院典明の不明支給品0〜1枚(確認済み) 、ジャンヌの不明支給品1枚(確認済み、武器とは取れない)

99 題名不明 ◆WqZH3L6gH6 :2017/08/18(金) 08:15:32 ID:dyexpAT.0

[備考]
※少なくとも、鮮血を着用した皐月と決闘する前からの参戦です。
※DIOおよび各スタンド使いに関する最低限の情報を入手しました。
※満艦飾マコと自分に関する記憶が完全に戻りました。
※針目縫に対する嫌悪感と敵対心が戻りました。羅暁への忠誠心はまだ残っています。
※第三放送を聞いていません。
※肉体のダメージは前の話よりは良くなっています。
※雄二が比較的近くにいるのに気づいていません。
※現在自動車爆弾は屋根に乗った流子と共に健在のランドマークか各エリアの中央のいずれかにへ向けて移動しています。
 妨害がなければ一定時間後に標的の施設は爆破されます。

※承太郎のすぐ近くにいる可能性があります。


・支給品説明

【神代の酒@Fate/Zero】
ギルガメッシュの宝具の一つ。酒。
媒体によっては体力回復のような効用を持つ。
3分の1以上の量を飲むと何らかの回復効果が得られる。治癒効果はない。
回復するのは体力か魔力か、効果の度合いはどれほどかは不明(詳細は後の書き手にお任せ)。

100 ◆WqZH3L6gH6 :2017/08/18(金) 08:16:03 ID:dyexpAT.0
投下終了です。

101 ◆WqZH3L6gH6 :2017/08/18(金) 22:09:32 ID:dyexpAT.0
題名は『死者は交叉への標』です。

102 名無しさん :2017/08/18(金) 23:16:41 ID:sTeAeocI0
投下乙
迷った少女も次こそは身の丈に合った行動ができるかな

103 名無しさん :2017/08/18(金) 23:55:28 ID:cU1thgF60
投下乙です。
理世がどうなるか気になるなぁ

それと、流子の[思考・行動] 欄がないのは意図的ですかね?

104 名無しさん :2017/08/18(金) 23:57:02 ID:/J9MT8SE0
ここで露骨なご都合回復アイテムか……

105 ◆WqZH3L6gH6 :2017/08/19(土) 07:56:46 ID:IRpsYeII0
感想と指摘ありがとうございます。
修正スレの328に修正文を投下したので確認をお願いします。

ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17204/1438784746/328

106 名無しさん :2017/08/20(日) 21:56:52 ID:H6eB8/cs0
>>104
アンチは消えて、どうぞ

107 名無しさん :2017/08/20(日) 22:02:53 ID:1mXBeVOc0
そんな悲しいこと言うなよ

108 名無しさん :2017/08/21(月) 14:15:20 ID:PTnsCU6I0
ごめんなさい。
こういう時どんな顔すればいいか分からないの。

109 ◆D9ykZl2/rg :2017/09/29(金) 19:46:49 ID:2eumFbQg0
遅れましたがこちらにも。昨夜したらばの方で仮投下をしてきました

110 ◆NiwQmtZOLQ :2017/09/30(土) 20:22:55 ID:wNw./RFs0
本投下します。

111 ◆NiwQmtZOLQ :2017/09/30(土) 20:24:46 ID:wNw./RFs0
 
足取りは、思っていたより重くなかった。
人間、もうどうにでもなれと一度思ってしまえば、とことん楽になれるらしい。
重荷も責任も、全て投げ捨てて歩んでいるのだから、当然といえば当然か。
そんな無意味な自嘲が頭に浮かび、そしてその度に理世は乾いた溜息で己の中の澱を吐き出していた。
一つ一つ、身体の内側にあったものを廃棄していくように。

「……はは」

その内、理世の顔には段々と笑いが込み上げてくる。
嗄れた笑い声が、森の騒めきに掻き消されて隠されていく様は、彼女にとっては何処か痛快にすら感じられていた。
まるでそれは、自分が消えていくようだったから。
最早どうしようもない人間となってしまった自分など、消えてしまってもいいのかもしれない。
それでもそうしないのは、やはりただ申し訳が立たないからだった。
彼女を守ってくれた空条承太郎、そして銃の撃ち方、心構え、ここまで生きてくるためにしがみついていた縁をくれた風見雄二。
せめて彼等に謝って、そして、その後は──どうしようかな、と、楽観的にすら思える予想を始める。
ああ、こんなことを考えてしまう自分は、なんて酷いヤツなんだろう。
そんな退廃的な自虐の笑みを浮かべながら、理世はただ歩き続けていた。


退廃的な行軍は、彼女が広場を見つけたことで停止した。
精神の摩耗とは別に、肉体も着実な疲労を溜め込んでいたことを、そこでようやく彼女は思い出した。
このままあてのない歩みを続け、その結果倒れるというのは、格好がつかない──というより、無様に過ぎる。
とりあえず一度、腰を下ろして水分でも摂ろうと、茂みを掻き分け広場に出た。

「誰だ」

──と。
そこで、唐突に声が聞こえた。
ビクリ、と肩を震わせるが、声そのものに対する聞き覚えがあった為にすぐに恐怖は無くなった。

「承太郎、さん」
「……天々座」

空条承太郎──探し人の一人が、そこにいた。

「無事、だったみたいだが──何も無かった、って訳でも無えみてぇだな」

何やら支給品らしきものを制服のポケットにしまいつつ、此方にゆっくりと歩み寄ってくる承太郎。
そんな彼に対し、安心感とともに何かを言おうとして。

「……えっと、あの」

そこでようやく、彼女は自分が何を言うか、その具体的な内容を何一つ決めていなかったことに気が付いた。
どうしようか、と思考が硬直しかけるも、頭の冷静な部分が、彼に会ったら言わなければならないと思っていたことをすぐにサルベージする。

「……まずは、ごめんなさい」

──まず、最初に。
天々座理世は、空条承太郎に謝罪をせねばならないのだ、と。
頭を垂れ、心の底にあった罪悪感という最後の澱を、そうやって吐き出した。

「勝手に、私のワガママで逸れて……」
「……別に、テメーがやったことだ」

ぶっきらぼうに吐き出した承太郎に、思わず理世は萎縮する。
彼にしては珍しく、僅かに仏頂面を和らげてはいたのだが、それが伝わる程に理世は彼と長く過ごしていなかった。
それでも、一つ目の謝罪の意図は伝わったということを確認はでき──そこで、彼女は一度深呼吸した後にもう一度口を開いた。

「それと、……もう一つ」

それは、何があろうと言わなければならないことだった。
自分達をずっと守ってくれていた、彼に対しては。

「……遊月ちゃんは、死にました。……私が、……殺しました」

その言葉は、他の言葉よりも遅く、それでも彼女が思ったよりも遥かに早いスピードで流れ出た。
場の空気が一瞬にして冷えていくのが、彼女にも分かった。
頭を下げている故に顔こそ見えないが、それだけの威圧感、気配が、目の前の男から発せられている。

「……お前が、紅林を?」

ポケットに手を突っ込んだままそう問いかけた承太郎の声音に、思わず背筋が凍る。
同年代とは思えぬ程の重圧、そして決して小さくない警戒の音を耳に入れながら、それでも理世はただ静かに耐えていた。

112 Girls Murder License ◆NiwQmtZOLQ :2017/09/30(土) 20:27:51 ID:wNw./RFs0
 
「……何があった」

やがて、僅かな静寂の後、承太郎はそんな簡潔な言葉を投げてきた。
どこから話すか迷ったものの、結局は気付いたら別れてからここに至るまでの過程を全て打ち明けていた。
追いかけてきた遊月との対峙。平和島静雄と一条蛍。肉の芽で操られている可能性のある二人。向けた銃口。飛び出してきた彼女──。

「──なるほど」

すべて語り終えた時には、少なくとも先よりは幾分か重圧は和らいでいた。
尤も、それでも此処に来る前までの理世なら恐怖で動けなくなっていただろうが。
ともあれ、幾分かは和らいだ雰囲気に、理世も下げていた頭を漸く上げる。
見上げてみれば、承太郎は、神妙な顔をして佇んでいた。

「一条や平和島についても気になることはあるが──」

そう言いながら、承太郎は背後を振り替える。
彼の視線の先へと理世も目を向けようとして、それが遮られる。
そこに突如として現れたのは、何度か見てきた彼のスタンド、スタープラチナ。
なぜ突然それを出現させたのか、理世が問おうとした次の瞬間──


「オラァ!」

──めきり、と音を立てて、『承太郎と理世の方向へ飛来した樹』が、拳に弾かれ飛んでいった。
空を舞い、その後轟音と共にそれが着地して、理世は始めてその現実を正しく認識する。
あれだけの質量がもし直撃していたら、即死とはいかないまでも甚大なダメージを受けることは疑いようもない。まして、これを投げてきた、悪意があるとしか思えない相手を、その状態で相手取るなど不可能に等しい。
そして、そもそもこんな芸当ができるような人間で、こちらに殺意を向けている存在といえば──

「──オイオイオイ、気付いてんじゃねーか。それで無視してるたぁ随分とデカい態度でいるもんだなぁ?」

──無論、それは生命繊維を纏った白亜の獣。
からからと笑い声を上げながら、纏流子が現れる。
その存在だけで、理世の背筋に氷柱を挿されたかのような感覚が走る。
時間だけ見れば彼女達の邂逅は僅かだが、その間に理世に刻まれた恐怖は並大抵のものではない。
先程までの思考は一割も残らず吹き飛んで、彼女には立ち竦むことしか出来なかった。

「誰かさんが分かりやすいくらいの殺気を出してくれていたお陰だぜ…礼は言わねえがな」

対して、その横にいる承太郎は、あくまで己のペースを崩さぬままに言葉を返す。
ぴったりと寄り添うように構えるスタープラチナと共に立つその姿に、しかし纏流子は不敵に笑う。

「生意気な口を叩く余裕は残ってるみてえだなぁオイ。ちったあ遠慮して優しめにブッ殺してやろうかと思ったが、余計な心配だったようで何よりだよ」

そんな流子の言葉に、承太郎は眉一つ動かさない。
だが、事実、その指摘自体は的を得ていた。
セイバーとの戦いによって蓄積された疲労、そして負傷は、彼の行動を縛る重石となって積み上げられている。
空条承太郎程の男であっても、つい先程まで癒しの酒と休息に随分と助けられていた──それほどの痛手であったのだ。

「全く、あの騎士王サマも優しいこったなあ。わざわざテメーの獲物を残しといて、しかも殺しやすくしてくれるたあな」

それを煽るように流子が野次を飛ばすが、承太郎は尚も動きはない。
だが、流子の笑いを遮るように一陣の風が吹き──それと同時に、空条承太郎が纏う空気が変わる。
それまでのどの空気よりも張り詰めた、しかしそれに護られている者には何処か安心感を与える空気。
空条承太郎の持つその覇気は、それこそ星の輝きと形容するのが道理であろう。

「テメーに勝手に心配される筋合いはねえ──それに、獲物、とか言ったが、ソイツは違うぜ」

学帽のツバを掴み、それまでより僅かに深く被る。
鋭い眼光を更に尖らせ、曇りなき瞳で流子を睨む。
ざり、という砂利の音と共に、力強くその脚が一歩を踏み出し。
唸りを上げた幻影が、拳を高く振り上げて。

「テメーはこれから、俺が倒すんだからよ」

空条承太郎のスタープラチナが、纏流子へと真正面に殴りかかった。

対し、化物は笑う。
口の端を吊り上げ、歯を剥き出しにしたその顔は、正しく肉食獣が如し。
同時にドンと大地が鳴り、彼女の足元が僅かに沈む。
蓄えられた力に弾みをつけ、次の瞬間──

「──随分と言ってくれるじゃねえか、老け顔野郎がよォ!」

流星にも見紛う白の弾丸となり、その拳を正面から殴り返した。

113 Girls Murder License ◆NiwQmtZOLQ :2017/09/30(土) 20:29:47 ID:wNw./RFs0
 
大砲にも似た轟音が響く。
拳と拳の衝突が生み出した衝撃が、木々を、大地を、理世の臓腑を震わせる。
数分にすら感じられる一瞬がすぎ、ギチリ、と、肉の擦れる音が続いて──その直後、承太郎が僅かに後退する。
セイバーとの戦いで流した血の多さは、流子程の実力を持つ相手ではやはり誤魔化しきれない。寧ろ、そこまでの傷を負っていながら応戦できる程のスタープラチナと承太郎の精神力の強さが窺い知れる。
だが、この場に於いて試されるのは一時の強さであることには変わりはない。

「ハッ、想像以上に酷えみてえだな!大丈夫かよオイ!」

押すべきタイミングを見逃す流子ではなく、即座に取り出した縛斬の刃で畳み掛けんとする。
辛うじて踏みとどまり、斬撃を受け流すスタープラチナ。しかし、純潔の圧倒的な膂力が齎す熾烈な連撃を受ければ受ける分だけ、スタンドも承太郎自身も余裕は無くなっていく。
弾き、弾き、受け流し──その直後に飛来した大鎌のような左足の一撃で、流石に後退を余儀なくされる。
その勢いを逆に利用し、幾らか距離を置こうとするも、それすら純潔は認めない。
獣が喰らい付くかのような踏み込みの後に、承太郎のウィークポイント、左半身へと一気に攻勢を仕掛ける。
必然、そのカバーに回らざるを得ない承太郎だが、それは同時により大きな隙を作るという意味だ。
より鋭く、より強かに、より荒々しく。加速度的に激しさを増す猛攻に、如何に承太郎といえども反撃の隙を見出す事が出来ずにいた。
その間にも、流子の手が休まる事はなく──遂に、承太郎のガードが甘くなったその瞬間を流子が射止めた。
辛うじて受身を取り着地した承太郎だが、その隙はあまりにも大きく。
再び瞬時に間合いを詰めた流子が、止めとばかりに縛斬を閃かせる。
だが、承太郎の次の行動を見て、流子も流石にその動きを止めた。
スタープラチナが持ち上げ、構えたそれは──先程流子が投げつけ、承太郎が殴り飛ばした一本の樹。
真下から抉るように放たれたフルスイングが、辛うじてガードを間に合わせた流子の体を強かに打ち据える。
角度がついた放物線を描いて吹き飛ぶも、流子も為されるがままとはいく筈もない。
冷静に純潔を飛行形態に変え、追撃に留意して距離をとりつつ着地した。

「認めたくはねえが、どうやらそうみてーだな」

それに対し、承太郎は深追いすることもなく、戦闘中に流子が吐き捨てた台詞に律儀にも言葉を返す。
その内容は、現状を的確に認識した上での判断だった。
──空条承太郎はクレバーな男だ。
周りが見れなくなる程に怒る事は少なく、戦闘中においても冷静に立ち回る事ができる人間。
スタープラチナを一目置くべき存在たらしめている要因のひとつは、間違いなくその主人である彼の冷静さと知性なのだ。
そして、その承太郎が下した判断は。

「こいつは、ジョースター家に伝わる伝統的な戦術を使うしかねーようだな…」

その一言に、ピクリ、と流子が反応する。
伝統的な戦術──聞き慣れない言葉だが、しかし相対している彼女としてはむしろ上等。それをどう打ち破るかの算段すらも始める。

「へえ、面白えじゃねーか。一体全体なんなんだよその戦術ってやらは?」

何が来ようと正面から叩き潰す、そんな殺意を漏らす流子に対し、あくまで承太郎は表情を変えない。
広場をゆっくりと、間合いはそのままに円を描くように歩きながら、流子を睨み続けていた。

「ああ、それはだな………」

スタープラチナが力を溜めるように腕を引き、それに呼応して流子もまた全身に力を漲らせていく。
やがて、承太郎がある場所で立ち止まり、ゆっくりと流子の方へ向き直る。
張り詰めた空気が、今にもパンクしそうになった──その、瞬間。

スタープラチナと承太郎が、思い切り振り返り。
スタープラチナの腕が、いつの間にか近付いていた理世へと伸び、その身体を抱き締めて。
スタープラチナの両足が、承太郎と重なるように地に着いて。

「──『逃げる』、だぜ」

スタンドパワーで思い切り地面を蹴り上げ、二人分の体重を物ともせずに射出した。
残されたのは──力の行き場を無くした、白い化物ひとり。

114 Girls Murder License ◆NiwQmtZOLQ :2017/09/30(土) 20:31:24 ID:wNw./RFs0
■  



「──じょ、承太郎さん!」
「なんだ、天々座」

森の中、木々を蹴って飛び続ける承太郎に対し、いきなり連れ去られたに等しい理世は只管に混乱していた。
そのまま吹き飛んでいく景色に気を取られそうになるが、辛うじて理性を取り戻した彼女は承太郎に呼びかける。

「逃げる、って、アイツはまだ──!」

そう、承太郎は流子を完全に、何ら制約をすることもダメージを与えることもなく放置したまま離脱したのだ。
これまで見てきた彼のスタンスとはあまりにかけ離れた行動。流子をそのまま放置すれば、被害が出続ける事は予想出来る。
それに、彼女は智乃の仇でもある。願わくば相応の報いを受けさせたい、という気持ちも全くなくなった訳ではない。

「安心しな」

しかし、そんな理世の言葉を奪うように、承太郎が呟く。
その言葉に込められたのは、確かな力強さ。
聞くものすらも立ち上がらせるような勇気を底に秘めた、ジョースター家の男の言葉。

「ヤツを放っておく気はさらさら無え。キッチリと、俺とスタープラチナでブチのめさせてもらうぜ」

──ジョセフ・ジョースターに曰く、戦闘から逃げたことはあっても、戦闘そのものを放棄したことは一度も無い。
それと同じく、承太郎もまた、纏流子との戦いそのものを放棄してなどいない。
彼の胸に宿った正義の光は、彼女を見逃すなどということを許すつもりはさらさらないのだ。

「じゃあ、何で……」

しかし、それでは今の行動はどういう事なのか。
事実として、今二人はこうして流子に背を向け、森を駆けているのだ。
どういうつもりなのか──そんな視線を察し、承太郎は一言、簡潔に答える。

「お前を巻き込む訳にはいかねえ」

その言葉で、理世はう、と言葉に詰まった。
あくまで一般人の範疇を出ない彼女が、先の戦闘に於いても承太郎にとって足枷となっていたのは、庇われる側だった理世自身が良く理解していた。

「どうせヤツは俺を追ってくる。だが、ヤツの狙いは思い切り虚仮にしてやった俺に移っているはずだ」

承太郎の判断からするに、流子はやはり感情に任せることが少なくないタイプだと踏んだ。
理性的な部分も決してないというわけではなかろうが、少なくとも、あのような巫山戯た真似をした相手をわざわざ見逃すほどに寛大な心を持っているようには見えなかった。
だからこそ、理世の近くに寄るまでの時間をあそこまで掛けたのだ。彼女が「ハメられた」という事に気付いた時、よりその精神を刺激できるように。
そうでなくとも、今逃げているのと同じ方法を用いれば、承太郎はあの近辺まですぐに舞い戻れるのだが。
そして、それをする理由は明らか。

「それなら、お前を逃した上で、俺も周囲を気にせずヤツをブン殴れる」

理世に対する不意打ちや、戦闘の余波を考慮して戦う──そこまでのことを手負いの身でやるには、あの纏流子が持つ個人戦力は規格外に過ぎる。
針目縫との戦闘において、衛宮切嗣に気を払いつつ戦ったのとは訳が違う。バッドコンディションに加えて森の中という立ち回りづらいフィールド、何より不穏な行動にさえ気を配れば良い「見張る」と全ての条件を考慮して立ち回る必要がある「守る」には天地の差があるのだから。

「……承太郎、さん」

そんな承太郎の真意を知り、理世は言葉に詰まる。
自分なんてどうだっていいのにという思い、足手まといになっているという罪悪感、そして承太郎のことを少しでも疑った自分への嫌悪。
それらを一先ずは飲み込むと同時に、承太郎から言葉が飛んできた。

「──もう少しで下ろす。一旦城に戻れ。ヤツを倒したら俺もあそこに戻る」

115 Girls Murder License ◆NiwQmtZOLQ :2017/09/30(土) 20:34:01 ID:wNw./RFs0
 






──と、そこで。

「──ところが、そういうワケにもいかないんだよなあ?」

響く筈のない声が、『前方から』聞こえた。
な、と両者が呆気に取られると同時に、正面から伸びるのは二本の白い槍。
神衣純潔の肩部が変形したそれを前に、一瞬二人の思考は完全に停止した。

「──オラァ!」

それでも、承太郎は無理矢理意識を引き戻してスタンドの拳を振るう。
迫ってきた二本のそれを理世を抱えていない方の手で弾くと、そのまま進行方向の障害となる木や枝を殴り飛ばす。
地に足を着けてブレーキをかけ、立ち止まろうとして──そこで、初めて承太郎は気付く。

「──よお、死ね」

その場所、ちょうど両脇にゲートのように生えた木の間に立っている、先程まで戦っていた化物に。
何故彼女が先回り出来たか──それは、彼女が持つ遠見の水晶玉によるもの。
細かい作業が苦手故に一度は使用を諦めたが、反対に単純な操作なら十分に利用できるということ。
流子自身が飛び上がって目立つ位置に陣取り、山頂の城と見比べて方角を確認。その後ズームアウトし、二人が動いている方向を察知する──程度の使用なら、どうにか彼女にも使用出来た。
彼女が振り上げている刃が、無慈悲にも止まることの出来ない彼等へと降り注ぎ──

「──スタープラチナッ!!」

それでも、空条承太郎は最適解を導き出した。
止まることなく、反対に地を蹴って加速。懐に潜り込むことで刃を回避し、拳を以て流子が阻む道を押し通る。
その行動は、確かに彼がその場で採れる選択肢の中では最適解であっただろう。
事実、流子の刃が届くことはなく、反対に承太郎の拳は流子に突き刺さらんとしていた。

「──残念だったなぁ」

しかし。
その拳が収まる先は、纏流子の掌の中。
軌道がわかりきっている攻撃に対する正確な防御──しかもそれを行うのが生命繊維の化物ともなれば、如何にスタープラチナの速度を以てしても貫くことは出来ず。

「死ね」

今度こそ、翻った刃が二人まとめて刺し貫かんと閃いた。
それを間一髪で逸らし、乱暴ながらも逃す為にと理世を放り投げ。
次の瞬間、承太郎の眼前には左ストレートが迫っており──それを最後に、彼の意識は途切れた。







「──口程にも無かったなぁ、オイ」

左手をぷらぷらと振りながら、流子はつまらなさそうにそう吐き棄てた。
視界の先には、吹き飛んでピクリとも動かない承太郎の姿。
純潔を纏った流子の膂力で殴られたのだから、人間の顔面などとうに挽肉になっているのが普通なのだが──彼の頭部は依然として残っており、脳漿を撒き散らしてもいないようだった。
その理由は、何より殴った流子がよく知っていた。
こちらが顔面を殴り飛ばそうとした直前に、スタープラチナを頭部に纏わせ反対に頭突きをお見舞いしてきたのだ。
スタンドの力に後押しされた頭部は、その頭蓋に致命的な損傷を与えることなく拳の衝撃をも和らげた、という訳だ。
──尤も、殺しきれなかった余波が引き起こした脳震盪かそれに近い症状は彼の意識は吹き飛ばすに足るものだったようで。
先程まで彼女と渡り合っていた男は、無防備な姿を晒して気絶していた。
こうなってしまえば、最早殺すことなど造作もない。
溜息を一つ吐いて、再び縛斬を握り直し──

116 Girls Murder License ◆NiwQmtZOLQ :2017/09/30(土) 20:35:47 ID:wNw./RFs0
 
「……やめ、ろ」

と、そこで。
余りにも頼りなく、か細い声が、流子の耳に届いた。
それと同時に、立ち塞がるように現れたのは──紫の髪の、少女だった。
先程承太郎に守られていた、如何にも何も出来ない一般人ですと書いてあるかのような外見の少女。

「あァ?何だテメェ、テメェから先に殺されてえのか?」

鐵の切っ先を突きつけながら、嘲るように言葉を放つ。
下らない義憤とやらでここまでやるというのは大したタマだが、しかしこうして目の前に死を提示してやってもそれが保つものか。
惨めに引き下がって後で殺すか、さもなくば両断してやろうか──そう思いながら、ゆっくりと歩み寄っていく。

「……そうだ。殺すなら、先に私を殺せ」

それでも尚、理世が退くことはなかった。
ほぼ無駄な行為だろうと理解しているだろうに、無様な立ち姿を続けていた。
その哀れにすら見える様に、

「その胆力だけは認めてやるよ。わざわざゴミが出しゃばりやがって、何で死に急ぐかねえ」

──それは、問いかけですら無かった。
答えなど求めていない、ただ独りごちることと何ら変わらない言葉。
けれど、それに確かに、天々座理世は反応して。

「──私は、人を殺したから」

ぽつり。
唐突に零れ出たそんな言葉に、流子は不意に立ち止まる。
歩みを止めた彼女とは反対に、堰を切ったように、理世の口からは言葉が漏れ出す。

「私は、人を殺したんだ。謝らなきゃいけなかった人を」

先の承太郎とのやり取りの時のように、ゆっくりながらも詰まるところ無しに。
ただ滔々と、目の前の化け物に向けて、理世は言葉を吐き出してゆく。
兎にも角にも、言わずにはいられない、とばかりに。
承太郎に話した時と何も変わらないかのように、止まることなく。

「だったら、罰を受けなきゃいけない。こうやって殺されることで、それで罪が償えるなら……それなら、安いものだから」

──だから、そうして語ることに夢中の理世は気付かない。
纏流子が纏う気配の変化も、その感情の変化も。
何もかもに気付かぬまま、延々と、理世は己の罪を告白し。

「──償わなきゃ、いけないんだ。遊月を殺した私は、裁かれなきゃ──」

そう、言いかけたところで、理世の言葉は止まる。
否、止まらざるを得なくなった。
彼女の首根っこを、流子がつかんで持ち上げたから。

「──何を、ほざいてやがる」

締め上げられ、文字通り息が詰まる感覚。
辛うじて呼吸こそ出来るが、ただ掴んでいるだけの流子の右手から伝わるありのままの力が、逃げられないと彼女に告げていて。
そして、何より、理世はその瞬間、真正面からその時の流子の表情を直視してしまって。

「テメェの勝手で殺したからなんだってんだ。それが私やアイツに関係あんのか、えぇ?」

そして、その瞬間、理世は──初めて、明確に恐怖した。
纏流子の、その表情に。
嘲りでも、怒りでもない、彼女が未だ見たことも無いその表情に。
──『■■』の、表情に。
その表情が真に意味するところを、理世は理解できていなかった。
ただ、分かることは──きっと、自分が、彼女の何よりの地雷の、その一端を踏んでしまったこと。
そして、このままいけば取り返しのつかないことになるような、そんな予感。

けれど、彼女に為す術などなくて。
纏流子がその言葉を発するのを止めることなど、出来なかった。

117 Girls Murder License ◆NiwQmtZOLQ :2017/09/30(土) 20:37:03 ID:wNw./RFs0
 


「テメーはただ、許してほしいだけだろうがよ」



──時間が、止まった気がした。
ざわめく木々の葉の音も、ただ頬を撫でる風も、何一つ彼女の脳に届くことはなかった。

「……ちが、う」

ほぼ、何も考えずに出てきた言葉だった。
気付けば、自然とそんな否定が口から零れ落ちていた。
──無論、それは致し方ないことでもあっただろう。
だって彼女は、所詮ただの一般人、高校生の少女に過ぎないというのに。
人を殺して、その罪を背負う、なんてことが、そう簡単にできるわけがないのだから。
それも、自分の寄る辺を全て失っているような状態でなら、尚更。
天々座理世が、誰かに許してもらう、あるいは殺されることで、「楽になりたい」と思うのは、やはり仕方ないというべきことでもあったのだろう。
そして──例えば、「遊月の知り合いの誰か」の存在、とりわけ彼の弟──いわば彼女にとっての智乃に対しての想像を避けるのも、またしかり。
だが、そんな深層心理、卑怯とも言える本性を理性的に認められるかは、別の話で。

「違う、違う違う違う!!私は、そんな事を思ってなんか──」

いない、と言おうとしたところで、首を持つ位置が乱暴に持ち上がる。
ぐ、という呻き声を漏らした彼女のその位置からは、いつの間にか俯いていた流子の表情は見えない。
だが、その陰に隠れた表情に、恐らくは先程から変わっていない表情に、先程以上にどうしようもなく恐怖を感じる。
──いや、恐怖ではない。
それは、きっと。
どうしようもなく人間らしい、悔やむかのような表情を。
まるで自分が、遊月を殺した時のような表情を。
そこに見出すのが、嫌だったから。

「……あぁ、そうだろうなあ」

尚も俯いたまま、静かに流子が呟く。
それが既に理世に向けられたものではないと、彼女は気付かない。
けれど、それでもその言葉は理世を抉る。

「認められねえよなあ──認めたくねえよなあ」

纏流子の発言が、これまでただの人殺しで、歩み寄る必要もない、許せないと思っていた人間の言葉が。
自分と同じようなことを思っている、などとは、思いたくはなかった。
どれだけ堕ちたとしても、それでも尚、好んで人を殺すような彼女たちに会って死ぬことなど嫌だと思っていたのに。
それと自分が、同じ穴の狢だったなんて、信じたくはなかった。

「──良いよなあ、そうやってテメェは、優しい優しい誰かさんに助けてもらえてよォ」

──その言葉だけは、明確に理世に向けられたもので。
彼女が、そんなことを叫ぶのかと言えば。
それは、そう思えたらどんなに楽かと、そんな羨望を叫んでいるようなものだったのかもしれなくて。
そう思えて、そして実際にそうやって彼女を迎えてくれる──どんなことがあってもきっと迎えてくれるだろう人間が。
彼女にとっての讃美歌を歌ってくれるような人間が理世にはまだいることに、どうしようもなく嫉妬していたのかもしれない。
しかしそんな、何処か透けて見える嫉妬の情こそが、理世の心を突き刺す槍となってもいた。
その感情こそが、まさに今、自分が憐れまれるべきではない「ただの人殺し」としての証明を突きつけているものだったから。
だから、そのまま背後の樹木に叩きつけられ、首元を締め付ける力がどんどん強くなっても、最早抵抗するだけの力は残っていなくて。
段々朦朧となっていく世界の中で、理世はただ譫言のように繰り返していた、

──違う。

──私は、そんな人間じゃ、ないんだ。

──だから、誰か──私を、間違って、ないって──

118 Girls Murder License ◆NiwQmtZOLQ :2017/09/30(土) 20:37:59 ID:wNw./RFs0
 



「──随分とお喋りなのは、治ってはいないようだな」



──銃声が、澱んだ空気を切り裂いて走る。
顔面を狙ったそれを、流子は空いていた左手で弾き飛ばす。
尚も断続的に放たれる弾丸に対し、流子は理世を盾にしようとするが──その一瞬を突いて、飛び出してきた男が思いきり地面を蹴る。
一気に肉薄し、すれ違い様に理世を持つ右腕に弾丸を撃ち込む。
咄嗟に理世を手放し腕を引く流子、放り出された理世を拾うのは、乱入者──風見雄二の右腕。

「…よぉ。わざわざ来やがったか」
「あれだけ喚いていれば、近くに来れば来ないやつはいないさ」

縛斬を再び抜刀して雄二へと向き直る流子に対し、雄二は姿勢を立て直しつつ油断なく周囲に気を配る。
少し離れたが、流子よりは近い位置に承太郎がいるのを確認すると、再び立ち上がって銃を突きつけ直す。

「随分と癇癪を起こしていたようだが、何か気に入らないことでもあったか?」
「うっるせぇんだよ…テメエには関係ねえ」

その声に籠る怒気は、先程とは比べ物にならない程のもの。
理世に向けていた感情を薪にして、猛々しく燃え上がるがごとき怒りの炎を滾らせた獣が、雄二へと狙いを定めていた。

「理世」

そんな彼女を冷静に観察しながら、雄二は理世に対して言葉を飛ばす。
へたりこんでいたままの彼女が、それでものろのろと顔をあげて反応したのを見て、僅かに安心したかのような表情を浮かべる。
だが、その焦燥しきった表情は、やはり安心できるようなものではなく。

「承太郎を連れて、ここから逃げろ」

故に、彼女にはそう命ずる。
それは、二人の安全のためにも、そして理世の精神を僅かに安定させるために必要なこと。
何事か必要なことをして、僅かでも気を紛らせるという処方──状況も加味すれば、今できることは、これしかない。
理世が何をして、どう思ったのか聞いている猶予など、今は無いのだから。

「……待って、風見、さん」

──それでも。
そんな憔悴しきった声をした少女を、そのまま放り出すことは出来ず。
何を言うべきか、一瞬迷い──そこで、ふと思い出した事があった。
奇しくも状況の似たこんな山の中で、自分の姉が周防天音を助けた時の言葉。
天音を身を挺して逃した時に言ったという、その言葉。
あの天才の「姉」の言葉を借りて、言葉を伝えることにした。

「──大丈夫だ。お前はまだ、生きるために人を殺すしかない鬼なんかじゃない。お前はまだ、人として生きることができる。
だから逃げろ、そして──生き延びろ」

微笑みながらそう言い残して、後はただ「行け!」と叫ぶ。
その声で弾かれたように顔を上げた理世が、承太郎を担いだまま歩き出す。
承太郎の重みに苦戦しながら、それでも何とか逃げるだけの速度を確保していることわ確認し──そこで、空気を割く刃の音。

「させっかよ──テメーら全員、ここで殺──」

流子がその全てを言い終わる前に、もう一度銃声が鳴響く。
反対に突撃し、クロスカウンターの要領で放った銃弾が、流子の頭部左二センチの場所を飛んでいく。
そのまますぐさま流子の背後へと取り付き、頭部に向けて弾丸を発射しながら身体を捻る。
先と同じような体術で、ある程度は凌ぐ──その基本戦法は、場所が変わろうと同じだった。
しかし、仕掛ける直後に唸りを上げて飛んできた裏拳を避け、更に回転を活かしてそのまま殴りかかってくるという連撃を間一髪で避けた時、雄二も悟る。
先と同じではない──より感情を剥き出しにして、「とにかく殺す」という殺意のままに暴れている獣と化している。
動きを読みやすいのが救いだが、速度と荒々しさは数割増しているような気さえする。

「さっきも言ったが、やたらとお喋りだな。おかげで二人を逃がせた」

煽るような言葉を投げるが、流子の様子が変わる事はない。
言動や態度から滲み出る殺意から察するに、既に彼女の感情は相当に振り切れているのだろう。
彼女に近しいものでもなければ、これ以上の刺激を与える事は難しいだろう──それほどまでに、彼女は今暴走している。
そこまでの地雷を、理世が踏んだ、ということか。
ともあれ、ここからが正念場。
改めて剣の矛先を此方に向ける流子に対し、雄二も右手の銃の状態と残弾を確認する。

「変わんねえよ、とっととテメーをブッ殺して彼奴らも殺すだけだ」
「やってみろ」

その言葉を最後に──真夜中の戦場を、二者が駈け出した。

119 Girls Murder License ◆NiwQmtZOLQ :2017/09/30(土) 20:40:38 ID:wNw./RFs0

【Gー4(中心部)/真夜中】

【纏流子@キルラキル】
[状態]:全身にダメージ(中)、左肩・左太ももに銃創(糸束で処置済み)、疲労(中)、精神的疲労(極大)、
    数本骨折、大激怒、説明しきれない感情(恐怖心?)、理世に対する嫉妬
[服装]:神衣純潔@キルラキル(僅かな綻びあり)
[装備]:縛斬・蛟竜@キルラキル
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(19/20)、青カード(17/20)
    黒カード:番傘@銀魂、生命繊維の糸束(一割消費)@キルラキル、遠見の水晶球@Fate/Zero、
         花京院典明の不明支給品0〜1枚(確認済み) 、ジャンヌの不明支給品1枚(確認済み、武器とは取れない)
[思考・行動]
基本方針:全員殺して優勝する。最後には繭も殺す
   0:雄二を殺す。承太郎と理世も追って殺す。
   1:次に出会った時、皐月と鮮血は必ず殺す。
   2:神威を一時的な協力者として利用する……が、今は会いたくない。
   3:消える奴(ヴァニラ)は手の出しようがないので一旦放置。だが、次に会ったら絶対殺す。
   4:針目縫は殺す。    
   5:純潔の綻びを修繕したい。
   6:マコの事を忘れたい。

[備考]
※少なくとも、鮮血を着用した皐月と決闘する前からの参戦です。
※DIOおよび各スタンド使いに関する最低限の情報を入手しました。
※満艦飾マコと自分に関する記憶が完全に戻りました。
※針目縫に対する嫌悪感と敵対心が戻りました。羅暁への忠誠心はまだ残っています。
※第三放送を聞いていません。
※肉体のダメージは前の話よりは良くなっています。
※現在自動車爆弾はネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲にへ向かって移動しています。
 そのまま行けば一定時間後に標的の砲台は爆破されます。誘爆し爆発範囲が広がる可能性があります。


【風見雄二@グリザイアの果実シリーズ】
[状態]:ダメージ(中、処置済み)疲労(小)右肩に切り傷(処置済み)、全身に切り傷 (処置済み)
[服装]:美浜学園の制服
[装備]: トンプソン・コンテンダーと弾丸各種(残りの弾丸の種類と数は後続の書き手に任せます)@Fate/zero 、ベレッタM92@現実(残弾0)
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(7/10)、青カード(7/10)
   黒カード:マグロマンのぬいぐるみ@グリザイアの果実シリーズ、腕輪発見機@現実
   歩狩汗@銀魂×2、旧式の携帯電話(ゲームセンターで入手、通話機能のみ)
   小さな木杭3本、小さな鉄杭3本、タオル2枚、包帯代わりの布2枚、包丁一本(低品質)
[思考・行動]
基本方針:ゲームからの脱出
   0:理世と承太郎が逃げる時間を稼ぐ。
   1:纏流子を始めとする危険人物への対策を考える。

[備考]
※アニメ版グリザイアの果実終了後からの参戦。
※折原臨也、衛宮切嗣、蟇郡苛、空条承太郎、紅林遊月、言峰綺礼と情報交換しました。
※キャスターの声がヒース・オスロに、繭の声が天々座理世に似ていると感じました。
※参加者の時間軸がずれている可能性を認識しました。
※『越谷小毬殺人事件の真犯人はDIOである』という臨也の推理(大嘘)を聞きました。必要に応じて他の参加者にも伝える可能性があります。
※言峰から魔術についてのおおまかな概要を聞きました
※纏流子の純潔の胸元に隙間があるなどの異変に気づいています。

[雄二の考察まとめ]
※繭には、分の殺し合いを隠蔽する技術を提供した、協力者がいる。
※殺し合いを隠蔽する装置が、この島のどこかにある。それを破壊すれば外部と連絡が取れる。
※第三放送を聞いていません。
※城近くの山小屋から武器になりそうなものを入手しました(鉛筆サイズの即席の木杭3本、即席の鉄杭3本、包丁一本(低品質))
※自動車爆弾が北西へ向かうのを目撃しました。爆弾とは気づいていません。

120 Girls Murder License ◆NiwQmtZOLQ :2017/09/30(土) 20:43:36 ID:wNw./RFs0
 




表情を動かす余裕すらも、もう残っていなかった。
自分がどれだけ醜いか、少し考えただけでも本当に嫌になるのに、それでも歩みを止めるわけにはいかないという呪いだけが自分を縛っている。
千夜に会えばきっと蔑まれ、他の人間にも人殺しと呼ばれるだろうという悲観的な未来以外に、この先の見通しなんてもう一つも見えなくて。
今はただ、背負っている承太郎の命が、歩みを止めるなと彼女を詰る。
すぐに死に至るような傷こそ追っていないが、気絶から目覚めるまではまだ時間がかかる。それまでに襲われるようなことがあれば、二人ともどうしようもない。
雄二に逃がしてもらっておいて、このまま倒れるということは嫌だ──そんな気持ちが、今は唯一の原動力だった。
一歩一歩、己の体が前に進んでいる感覚だけを頼りにして。
吐き出した息は、じっとりと身体に纏わり付いて離れない。
今の自分の酷すぎるであろう表情も、誰にも見られたくなかった。

「……わた、しは」

もう、吐き出すものは何一つなくて。
最早余計なものとなった思考をそれでも巡らす度に、どうあっても取り除けない己の愚かさに辟易するしかなく。
自分の中に残された醜さと約束が、何よりもずっしりと体を重くする重りとなって。
今はもう、苦痛でしかない行軍をただ進んでいくしかなくて。
足取りは、ただ只管に重かった。

──理世は、未だに知る事は無い。
紅林遊月の死に対し、衝撃を受けるであろう存在の内の一人はは、すぐそこにいるという事に。
承太郎が理世と出会ったとき、咄嗟にカードに戻しておいたルリグ『花代』。
未だ真実を知らぬ彼女との相対の時が、何を生むのか、それもまた──




【G-4/アナティ城周辺/真夜中】

【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
[状態]:気絶、ダメージ(大)、疲労(大?、ある程度回復した可能性あり)、精神的疲労(小)、胸に刀傷(中、処置済)、全身に小さな切り傷、
    左腕・左肩に裂傷(処置済み)、貧血(大)、強い決意、焦り(小) 、神代の酒による酔い(小)。
[服装]:普段通り
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(37/38)、青カード(35/37)
黒カード:約束された勝利の剣@Fate/Zero、不明支給品0〜1(言峰の分、確認済み)、スパウザー@銀魂、
         キュプリオトの剣@Fate/zero 、不明支給品1枚(ことりの分、確認済み)、神代の酒@Fate/zero (3分の1消費)、レッドアンビジョン(花代のカードデッキ)@selector WIXOSS
    現地調達品:雄二のメモ、噛み煙草、各種雑貨(ショッピングモールで調達)
[思考・行動]
基本方針:脱出狙い。DIOも倒す。
   0:……………
   1:理世に対し何らかの処置をとりたい。
   2:白カードに閉じ込められた魂の解放方法を探る。
   3:花代から情報を聞き出す。
[備考]
※少なくともホル・ホースの名前を知った後から参戦。
※折原臨也、一条蛍、香風智乃、衛宮切嗣、天々座理世、風見雄二、言峰綺礼と情報交換しました(蟇郡苛とはまだ詳しい情報交換をしていません)
※龍(バハムート)を繭のスタンドかもしれないと考えています。
※風見雄二から、歴史上の「ジル・ド・レェ」についての知識を得ました。
※参加者の時間軸がずれている可能性を認識しました。
※越谷小鞠を殺害した人物と、ゲームセンター付近を破壊した人物は別人であるという仮説を立てました。また、少なくともDIOは真犯人でないと確信しました。
※第三放送を聞いていませんが、脱落者と禁止エリアは確認しています。
※神代の酒3分の1を摂取しました。その効果から体力が回復をしている可能性があります。詳細は後の書き手にお任せします。


【天々座理世@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:疲労(大)、精神的疲労(極大)、無力感(大)、自分自身に対する疑心と絶望
[服装]:メイド服・暴徒鎮圧用「アサルト」@グリザイアの果実シリーズ
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(9/10)
    黒カード:キャリコM950(残弾半分以下)@Fate/Zero
    白カード:香風智乃
[思考・行動]
基本方針:?
   1:今は、ただ、逃げる。
[備考]
※参戦時期は10羽以前。
※折原臨也、衛宮切嗣、蟇郡苛、空条承太郎、一条蛍、香風智乃、紅林遊月、言峰綺礼と情報交換しました。
※参加者の時間軸がずれている可能性を認識しました。
※『越谷小毬殺人事件の真犯人はDIOである』という臨也の推理(大嘘)を聞きました。必要に応じて他の参加者にも伝える可能性があります。
※第三放送を聞いていません。ラビットハウス周辺が禁止エリアになったことは知りました

121 ◆NiwQmtZOLQ :2017/09/30(土) 20:45:24 ID:wNw./RFs0
本投下を終了します。理世と承太郎の位置を前話から変え忘れていた為に修正してあります。

122 名無しさん :2017/10/02(月) 07:18:18 ID:GTVlaIi.0
さよなら雄二、君のことは忘れない

123 名無しさん :2017/10/02(月) 13:35:22 ID:xm8U8tKg0
投下乙くらい付けろよバカが

124 名無しさん :2017/10/02(月) 14:12:44 ID:7UaCQH9.0
お前の方が馬鹿だおー


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