したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【イベントB】欲望渦巻く魔都・異能都市【その9】

354アーリル/アイリス:2019/03/04(月) 19:05:05 ID:ORmT3UkU0
>>353
灰の炎はアイリスの髪を媒介にすると、埠頭を覆うほどの熱波がまず巻き起こった。
巻き上がる砂にアーリルは思わず手で顔を覆うが熱くない。
不思議そうに炎を眺めるが、未だアイリスの姿は見えず。
その後、都合3度熱波が巻き起こった後、熱波はアイリスの髪に収束する。
収束した熱波は灰色の火柱へと変わると、その勢いは次第に落ちていく。その時間はどれほどだっただろうか。


――――そして


―――――――――アイリスはこの世に蘇る。


アイリスの髪を媒介にし、アイリスが蘇る。
アイリスを構成するパーツが順番に形作られていく。
最初に現れたのは、艶やかな金色の髪。
色白の肌に、鮮血の様な瞳。縦に伸びた楕円形の黒い瞳孔。顎は細く。唇は薄い桃色で。
胸元を大きく盛り上げるバストラインを隠すのは、薄く仕上げられた花の装飾。背中が大きく開いた至極色のホルターネックのドレス。
首には宝石があしらわれたチョーカーがあって。
二の腕から手の甲まで伸びるのは、グローブ(手袋)と言うべきなのだろうか。
両手の中指で止め、手の甲、肘、二の腕をしっかりと隠している。またそれらも細かな装飾が施されており。
マーメイドドレスを思わせる様な、裾の長いドレスは通常のものより長く。
ただ、このドレスの変わったところは右足の太ももの半ばまで入ったスリットだろうか。
歩くだけで裾が大きく靡き、美しい姿を見せる。黒いヒールが、砂地に深いキスをした。

しかし、アイリスの体はぐらりと傾く。
砂という足場に取られたという理由もあるが、それよりも……ただ弱っていた。ただただ弱っていた。
リンネでも見てわかるほどに弱りきっていた。
長い休息の間に、体を動かさなかった代償であり、力を完全に取り戻せていない証左でもあった。

「兄様!兄様……?」

アーリルは兄様?に飛びつき体を支える。手に持っていた槍はいつの間にか倉庫にしまわれており。
兄様と呟くアーリルは、見た目通りの少女の姿だった。
そこには先ほどまでの朱槍を携えた力強い姿は無かった。

『アル、リンネ……。久しぶりというべきかな
 元気だったかな、と確認するのは野暮か。』

「アル、僕さ。君の兄の僕はここにいる。しかし…随分と大きくなったね。もう、抱っこはしなくてもいいかな。」

顔すらも隠すほど伸びた、伸びっぱなしの髪を掴み、ふむ、これはどうするか、と頷いてみせる。


『ありがとう、リンネ。此処にこうして、再び立つとは思ってもいなかったよ。』

今の気分はどうだい?
そんな風にアイリスは戯けて笑ってみせた。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板