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【イベントB】欲望渦巻く魔都・異能都市【その9】

1名も無き異能都市住民:2014/09/08(月) 21:21:41 ID:9nrcReK60
<<ルールとか>>
・ここは、各スレでなんらかのイベント・クエスト・戦闘が発生した場合に使います。
・雑談も可能ですが、日常の範囲で済むかどうかは各自で判断してください。
・クエストスレはA・B・Cの3つがあります。開いている場所ならどこでも使って構いません。
・逆に、使用中の場合は混乱の元になりますので、同じクエストスレで2つのクエストを進行させることはやめてください。
・クエストで使われている場所を、クエスト以外のスレで使うことは『構いません』。
 時間軸が異なる・平行世界である、など解釈は自由です。
・またクエストスレと他のなりきりスレに、同時に現れることは『構いません』。
 ただしそれによって起こり得る弊害は自力でなんとかしてください。
・GM役をあらかじめ決めておくとスムースにことが運ぶかもしれません。
・識別をしやすくするために、トリップをつけると幸せになれるかも。

前スレ
【イベントB】折れた翼と恋の異能都市【第八話】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12841/1302460867/

355焔リンネ:2019/03/04(月) 20:30:47 ID:ciGK1LWQ0
>>354

「……!!」
熱くは無い。急激に勢いを増す炎に驚いただけ。
余りにも怖くて、人に対して力を使ったことは無かったが、吸血鬼となればなおさらだ。
何が起きるのかわからない。だが、手ごたえは感じる。
少しして、さらに強いエネルギーの波が、手のひらに、中の髪束に押し寄せてくる。
確実に前に進んでいる。ぐっ、とより強く握りしめる。力を使えばいいだけなのに、自然と身体にも力が籠るのを感じた。

「アイ、リス……さん?」
炎に包まれていた時のシルエットから、少しの違和感は覚えていた。
直接目にして、それが間違いではないと知ったが……そんなことは些細な事だった。
いつの間にか槍を捨て、温かい笑みを浮かべてアーリルが抱き付いていくきょうだいのじゃれ合いを見て。
リンネ自身も、姿こそ違えど立ち居振る舞いに懐かしさを覚えていた。間違いなく、彼だ。

「はい。えっと、あの……」
今度はリンネの番とアイリスに微笑みかけられて、思わず言葉が詰まる。
もう一度会えたら、なんて考えていなかった。
もう一度投げかけられた、微笑みを前にしてどうしていいのかわからない。
頬を伝う涙を止めることも、それを頼むこともできなくて。
孤独な少女のほんの少しの想いで、故にとても大きな思い出が蘇り、感情の波が押し寄せる。
気付いた時には、アーリルと同じように、抱き付いていた。
「会いたかった、です」

356名も無き異能都市住民:2019/03/04(月) 21:00:46 ID:ORmT3UkU0
>>355
『(大丈夫、僕の目でもリンネもアルを壊さないはずだ。)』

リンネがアイリスに飛び込んで来ると、アイリスはリンネの頭を優しく撫でる。
白磁の肌に細くしなやかな指が優しくリンネの頭に添えられる。それは慈しむ様に。

『良い子だ、リンネ。よく頑張った。寂しかっただろう?
 だけど、これからはアルもいる。僕もいる。だからもう……怖くなんて、ないさ。
 それから――――ごめんね、リンネ。僕は君に心の拠所を用意するつもりだったが、
 僕が君の心を締め付けてしまったのかもしれないね…。』

リンネの頭を、優しく撫でた。
だから、今度は、下を向くのでは無く、少しだけ上を見てみよう。
すぐに出来るはずはないさ。だから少しずつで、いいさ。君のペース、でね。

「アヌビスさん?もいるので大丈夫です!」

リンネの違和感は些細なものだった。男の子か女の子か。伸びっぱなしの髪が少し鬱陶しい。
アイリスの希望としては、男の子でいたかったようだが、そういう訳には行かなかったようだ。
さすがに股間までは確認していないが、胸元を押し上げる胸部装甲は中々にご立派であった。
リンネよりも僅かに大きい88cm。両手で持ち上げて離してみると、ぷるんと震えた。
アイリスのこの姿は、遺髪が原因であった。
アイリスの家では、髪には魔力をため込むもので、ある程度伸びてしまえば、切ってしまう。
魔力がたまった髪を、特殊な力を持つもの、礼装として加工する際の素材とする。
だから男女問わず、長髪であることも求められるものだが、アイリスの場合は切った髪が“女性の時の髪”だった為。
女性に“戻って”固定されてしまったのだろう。

「えーっと、兄様、では無く姉様…?」
『アルもよく頑張ったね。見違えたよ。ずいぶんと可愛くなった。』

自然とアーリルを撫でる手も優しくなっており。
しかし、笑みを崩さずにいるアイリスの頭には別のことを考えており。

買い物をすると金銭を支払う。
なら、僕の命は……何を支払うのか。
対価はリンネの死か?それとも僕自身の命か。或いは……
こればかりはリンネに聞いてみなければならない。そして、僕たちのこともリンネに教えるべきだろう。
――これから少し忙しくなるか

357焔リンネ:2019/03/04(月) 22:17:06 ID:ciGK1LWQ0
>>356

「……ごめんなさい。
 あなたに言われたことが、守れなくて。
 一人が怖くって、今もこうして、あなたを戻してしまった。
 覚悟を決めて、消えた筈のあなたに。会いたいと、思ってしまったから。
 いえ、あなたのやさしさは嬉しかった。それだけに、弱い自分が、許せなかった」
考えて、思考をまとめるまでもなく、次々に溢れてくる。
あの温もりにもう一度触れられた喜びが、嬉しくて、ただ、嬉しくて。

「はい。この子は……ずっと、私を見ていてくれたんです。
 この子も、私がこうやって、目覚めるのを待っていてくれていた。ごめんなさい……気付くのが遅れて」
リンネの背から灰の炎が噴き出して、大きな犬の頭を模る。
鼻先をちょこんと乗せたその姿、身体が作られていない今だけを見れば、相応にに愛らしい。
ぴんと立った耳を後ろから倒すように撫でてやる。

「私は、今日、生まれ変わりました。
 あなたたちのお蔭で……ありがとう」

358アーリル/アイリス:2019/03/04(月) 22:43:46 ID:ORmT3UkU0
>>357
アーリルは何も語らなかった。いや、語れなかった。
彼女は、少し前の自分と同じだったんだ。
弱い自分。自分も兄の蘇生を望んだ。守ってくれる人がいて欲しい。
では、何がきっかけだったか。それはアイリスの視線から語られる記憶。

「…私だって同じです、リンネさん。
 私も、兄s…姉様を求めました。守って欲しかったんです。一人は…寂しかった…。」

アーリルの場合は、自分の所為で、兄を殺した。自分が生きる為、兄が死んだ。
だから、アイリスに対する負い目は相応に重かった。

『約束…か。リンネ、一人は寂しい、といった感覚は捨ててはいけないよ。
 もっと周りに頼ったら良いんだよ。一人で出来ることなんて、たかが知れてるのだから。
 僕なんて、周りにたくさん頼ってきたよ。それこそ、迷惑なくらいにね。』

考えてみなよ。この都市の住人なんて厄介事なんて大歓迎な人ばかりさ、なんて笑みを浮かべた。
アイリスはリンネことを心配していた。何処かの悪いやつに攫われていないか。何処かの組織に捕まっていないのか。
体が生き返ること無く、土の中に入っていないか。はたまた殺人鬼に狙われていないか。好事家に売られていないか等など。
それはもう、本当に心配した。
この都市には可笑しな性質を持つ者が多く、戦う力を持たないリンネには抵抗出来ないのは明白だった。

『ただ、この子の容態が急に悪化してね。その前に伝えることが出来たら良かったんだけど…。
 とにかく、改めてただいま、でいいかな、リンネ。それから、君も。』

ぎゅっとアイリスの腰に腕を回し、強く抱きつくアーリルの頭を撫でて。
花の髪飾りを見て、自身が残してしまった“痼り”を嫌でも意識してしまった。
本来なら、自身が感じるものでは無い、痼り。自分の行動には、胸を張れると思っていたのに。

『(蘇生を予測していながらも残される側の気持ちを考えていなかった、か。つくづく馬鹿だね、僕は。)』

ただ、アーリルが蘇生に走るのは想像していた。が、これほど早いとは思ってもいなかった。

「……姉様、お会いしとう、ございました…リルは大変嬉しく、思います。
 また城に来て下さい。今はルゥ…私の妹もいるのです。是非お会いになって下さい。」

『とはいってもね、僕たちはやりたい様にした。それが結果的に良い結果につながった。
 それだけだよ、リンネ。君が元気で本当に、良かったよ。』

アーリルの涙は止まらない。留まることを知らない涙は、溢れ続ける。
アーリルにとって、アイリスは自身の為に命をくれた人。そして優しく包んでくれた人。
アーリルはリンネに対して、僅かな嫌悪感を持っていた。俯いてばっかりの子。だけど姉様になっちゃった人を慕う人。今は嫌悪感は無い。
前を向き始めたのだから!そんな子は『応援』しなくっちゃ!

『ところで、今の日付はいつかな?』

359焔リンネ:2019/03/06(水) 03:25:08 ID:ciGK1LWQ0
>>358

「私は、ずっと、一人で。
 頼り方なんて、わからない、ですけど……」
あの時は、必死だった。
一人で抱え込んでいたのを、初めて独りにしてくれなかったのがあのひとだ。
泣きじゃくって、縋りついて、必死だった。助けてほしいって願った。

「あなたたちなら、こうやって、今みたいに。
 自分をだしていけるような気がします。だから、すこしだけ、頼れるかもしれません」
テレビのニュースや、クラスメイトが話している雑談が耳に入ってきたりして、取り入れる情報は、どれも不可思議なことばかりだ。
力に関していえば自分もそれらに負けないと思うが、逆に話には上がらないようにしないといけないとは念を押されている。
大事なのは、誰もかれもが得意を抱えているということなのかもしれない。だからこそ、お互いがお互いを知らなければいけないということかもしれない。
そんなことに今更気づいて、ふと、笑みがこぼれる。
「だから……おかえりなさい」
だったら、もう少し、他人を知ってみるのもいいのかな。なんて。

リンネがアーリルに対して苦手意識を持っていたのは、アイリスの面影を感じていたからだ。
事情を知っているならば、尚更。その後の愚行が、彼の想いをどれだけ裏切ったことか。罪悪感に苛まれていた。
だが、それを今一度許してくれるなら、こんどこそ。

「……今日、ですか?」
きょうだいから姉妹となった二人のやり取りが微笑ましい。
アーリルの慕う姿は、血の定めなんか関係ない、普通の姉妹のように映る。
そんな中で、夫コ聞こえた問いかけにぽつりと返し、ブレザーのポケットを探る。
生徒手帳だ。巻末にはカレンダーが付いていたはず。「ここです」と日付を指して見せた。

360名も無き異能都市住民:2019/03/06(水) 18:46:24 ID:ORmT3UkU0
>>359
『それほど時間が経っていたのか。』

アイリスは、自分が命を捧げてから経った時を聞いた。
時間の差異はあればあるだけ情報の取得が手間になる。今までの都市の出来事。大小の差はあれど、大凡変わりないものだろう。
毎日が事件、事故。それからアーリルが持つ情報の確認や城の確認。考えば時間が足りない。
まあいい。それは追々。
アイリスはリンネの愚行については行動も含めて、何も言うつもりはなかった。
リンネにとっては約束でも、アイリスにとっては警告だったからだ。意図して重く伝えたところはあったが…

『なら、今日は誕生日と記念日にしないかな。彼――で良いのかな。それとも彼女か。
 僕にはわからないけれど誕生日にしてさ。それから、今日は君が前を向き始めた記念日。』

「アヌビスさんです。姉様。」

『アヌビス、の誕生日だね。』

リンネに懐く様子を見る限り、雌雄どちらとも見えてきた。リンネに甘える様子を見れば尚更だ。

『僕たちにはもちろん頼ってくれて構わない。ある程度の力にもなれるつもりだしそれなりにネットワークもあるからね。
助けて。ただ、一言で良いんだよ、リンネ。どうだい?簡単だろう?』

恋の悩みは僕たちには難しいと思うけれど、と、箒の様な髪のまま、アイリスは笑った。

『君が少しでも他人に興味を持とうとするのは嬉しく思う。今までは君は自分の殻に閉じこもってきた。
 でも、他人を少し知ろうとしているんだからね。大丈夫、怖くなんてないよ。勇気を出して話しかけてご覧。
 君は一歩を踏み出す勇気をもう持っているはずだ。』

アル、髪を頼むよ。と言えば、アーリルはアイリスの髪を後ろにまとめ上げる。
僅かに髪を緩めているのは少しでもオシャレ感を出すためか。赤い目が露わになった。

『ああ、そうだ。リンネ。未来視を極力使用しない様にする気はあるかな?
未来なんて、知らないから楽しいし、楽しみでもある。未来を知ってしまうと、きっと楽しくない。
 このように考える方が前向きになると、僕は思うよ。それに、君もこんなところに来ないだろうし、ね。』

アイリスは未来視を持っていないのでわからない。
勿論、未来を知るメリットは計り知れない。だが、未来がわからないからこそ、今日を過ごし、明日の楽しみができるのではないか。
アイリスもアーリルも未来視を持たない。だから、今日を過ごすし、何かが起きれば自分にできることをする。
人というのはそういうものではないだろうか。
アイリスは■を見て、そう思えた。それが人だから。

――ただいま、リンネ。ずいぶんと待たせてしまったけれど、僕は此処にいるさ。

361焔リンネ:2019/03/07(木) 22:14:18 ID:ciGK1LWQ0
>>360

「誕生日……。よかったですね、アヌビスさん」
所詮、炎の塊であるそれは感情を表現するそれを持たない。
しかし、リンネとは通い合うことが出来るようで、撫でる手に穏やかさが、頬には明るさが出ていた。
「それから、私にも。
 簡単……。まだ、誰かに助けを求めるのは、難しいかもしれませんけど。
 アイリスさんとアーリルさんにだったら、お願いできるかもしれません」
リンネは物心ついてから孤独。そのせいか内向的で、外に対しても自ら壁を作ってばかり。
人と離すことなんて、学内のちょっとしたやりとりや買い物の途中の事務的なことが殆ど。
そんな少女が、はにかみながら出した結論。少なくとも、恋の相談はまだできそうにない。
「……はい。頑張ってみます。もっと、色々な人と……」
知らない人と話すのは、まだちょっと想像が付かないでいる。
自分から話しかけたことなんかも、ほとんどないから、どうやって話すのが良いんだろうか、とか考える。
そして気づく。今既に、昨日までの自分では考えもしなかったことを心配している。そして、それが少し楽しみにも感じているということに。

「未来を……視ないようにする?」
未来視を持たない者達が、未来視をよく理解できないように。
未来視を持ち活かしてきたリンネには、それに頼らないようにするというのは想像が付かない。
どうすればいいのか、判断に迷ったときは未来に従うことすらあった。今日の様に。
当たり前のように用いてきた力に頼らないとするのは難しい。
「それも、頑張ってみようと思います」
ただ、アイリスが言うなら、やってみようかな。と思っていた。

362名も無き異能都市住民:2019/03/07(木) 22:44:18 ID:ORmT3UkU0
>>361
『すぐになんて出来ることじゃないけれど、一回できたんだ。
 次からは簡単なんだ。何も、難しいことは無い。』

アイリスは笑みを浮かべて、目の前のリンネの心の成長に感心していた。
リンネは内向的な子、と想像するのは難しくない。
だから、自分の心は良く分かっているはずだ。だが、それは分厚く、固い殻であるとも言える。
『自分の芯』がブレないという意味では素晴らしいことだが、多少内向きに向かいすぎているとも思える。
何か、自分の殻を打ち破るきっかけがあれば良い。
殻にヒビを入れてしまえば、後はリンネは自分で殻を破るなんて簡単だろう。
そのきっかけが、今回の件で。アーリルは偶々出くわしただけで。本当の意味で頑張ったのはリンネ自身だ。

「はい!私にお任せあれっ、です!」

アーリルは笑顔で私も少し戦えるんですよと言い、頼りない力こぶを作る仕草。
アイリスはその仕草に笑みを浮かべて。

『きっかけなんて、何でも良いんだよ。席替えの時に隣になった子に話しかけたりしてね。
 本当に、本当に些細なきっかけなんだ。大丈夫、君になら出来る。リンネ。』

「姉様、そろそろ戻りましょう。お体にさわります。」
『そう、しようか。リンネ。決めるのは君だ。だから君が決めるんだよ。何かあれば、僕たちでも相談に乗れるからね。
 あまり、気負わずに、ね。』

僕たちはそろそろ行くよ。帰りには気をつけて、と笑みを浮かべ、アイリスはアーリルに転移を促す。
するとどうだろうか。二人の体は火の粉へと変わっていき。
火の粉に変わる前にアイリスとアーリルの手が振られていた。

363焔リンネ:2019/03/31(日) 20:21:02 ID:ciGK1LWQ0
>>362

「……はい」
背中を押してくれる言葉が、温かい。
思い出す限り、孤独だったリンネに差し伸べられた初めての手。
何処かで、誰かに。自分からも手を差し伸べられるだろうか、まだ、自信は無い。
けれども。応援してくれる二人の為に、自分自身の為にも、頑張ってみようかな。そう思える。

去って行く二人を見つめる。
火に移り変わり風に消えていく最中で、別れを示すサインに気付いて。
ふふ。と思いもせずに吐息を漏らしながら見送った。

後に残るのは日差しと砂。周りにはだれも居ない。
今この瞬間だけを見れば、いつもと同じ独りに見えるかもしれない。
ただ、少女の顔はどことなく明るく、踵を返す足取りは軽かった。
何処かへ向かい、何をしようか。想像を働かせることへ、僅かながらの楽しみを見出しながら、進んでいく。


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