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オリロワ:Winter Apocalypse

1 ◆EuccXZjuIk:2025/05/30(金) 01:17:03 ID:vFcOatxY0
繁栄を極めた人類に、終わりは突然やってきた。
記録上類を見ない急激な地球寒冷化。世界中が雪と氷で覆われ、凍てつく大気は地球全土を支配した。
全球凍結現象(スノーボールアース)。わずか数日でそれは完了し、追い打ちをかけるようにさらなる混沌が到来する。

後に禍者(アナテマ)と呼ばれる、異能力者の出現。
禍者は日を追う毎に増加し、すぐに全人類が超人と化した。
禍者同士の紛争が各地で勃発。吹雪荒ぶ氷点下の世界大戦は壊滅的結果を生み、多くの汚染地域を作り出す。
結果として地球から国家が消えたが、それでも禍者は殺し合い続け、地球人口は百分の一を遥か下回るまで減少した。事実上の人類滅亡である。

人は、これを神の意思だと受け取った。
神が人類は生きるに値しないと判断し、最も醜悪で苦悶に満ちた終わりを迎えるよう審判を下されたのだと。

緩やかに残存人類は数を減らし、絶滅へ近付いていく。
凍死。餓死。自殺。他殺。凍土化した地球では何処にいたって常に事故死の危険が伴う。
絶望して凍え死ぬか。この黙示録を欲望のままに貪るか。


極東で救世主が立ち上がったという噂が広まり出したのは、そんな冬の日のことだった。


【@wiki】ttps://w.atwiki.jp/winterapocalypse/pages/1.html

2 ◆EuccXZjuIk:2025/05/30(金) 01:17:54 ID:vFcOatxY0
実際に氷河時代が再来した時、果たして人類はどう対抗するのか?
あらゆる学者が盛んに議論を交わしてきた命題であるが、いざ実際に世界が雪下に沈んだ時、その結論はあまりにも明確な形で示された。
解答は『何もできない』だ。数多の想定を超えて押し寄せる終わらない大寒波は、賢しらに築かれた人類の共栄圏を完膚なきまでに蹂躙し、次から次へと崩壊せしめた。
それに加えてあの呪わしい祝福だ。コミックの世界にしか存在を許されなかったミュータントが人類の基本形となり、力を手に入れた子供のように稚拙で無法な殺し合いが、滅亡の進行に拍車をかけた。
世界を絶え間なく揺らした戦争がようやく終わった時、地上から国家という制度は消え失せて、インフラとテクノロジーは生みの親に先駆けてその生涯を終えた。極寒の氷河時代に対抗できる設備など雀の涙で、文明は中世レベルまでの後退を余儀なくされた。

極東、かつて日本と呼ばれていた国の辺境。切り立った崖の上に慎ましく鎮座するこの教会に、最後に来客があったのは一体いつだったか。
力による現状変更を、誰しも容易にやれるようになった時代、神を信じるということに値打ちを感じる者は、もはや絶滅危惧種となって久しかった。
荒れ果て、埃と黴の匂いが渦を巻き、凍てつく潮風に撹拌されて不快のマリアージュを醸し続ている、廃屋同然な神の家。
来る日も来る日も握り締めて歪んだロザリオを抱いた、一人の修道女がそこにいた。彼女が跪いて祈る十字架も小汚く変色し、父なる神が既に不在であることをこれ以上ない分かりやすさで物語っている。

「ご満足ですか、主よ」

呟いて、流血するほど強くロザリオを握る。それはもう愛に満ちた祈りではなく、怨嗟を捧げるための呪いと化していた。
ここにあるのは底なしの憎悪と失望だ。かつて抱いた信心が純粋であればあるほど、反転した時に生じる闇は深遠になる。

「あなたが見放した我々は痩せ細り、善き心を喪って日がな一日殺し合っていますよ。あなたが望まれた滅びの時は遠からず現実になるでしょう。隣人同士で殺し合い、親は乳飲み子を絞め殺し、誰も彼もが糜爛している。救いなど何処にもありません」

女は、誰よりも神の愛に期待した聖職者だった。
たとえどれほどの不幸に苛まれようと、善き心と信仰を標に歩んでいればいつか必ず福音は降り注ぐ。そう信じ、悩める者に説いてきた。だからこそ、それが嘘っぱちだったと知った時の絶望も誰より大きかったのだろう。

「あなたがそれを奪い去ったのだ。我々から、私の愛する箱庭から」

かつて誰もの母たらんと努めた聖女の身体も、今やその他大勢と同じように、神の禍呪によって汚染されている。
手前勝手に救いを奪い、呪いを押し付け、私がこれまで捧げてきた祈りさえ侮辱するのかと女は憤怒していた。

秦皮のロザリオが砕け散って、空を握った掌から一滴の血が垂れ落ちる。
床に落ちたそれがぽちゃりと音を立てたその瞬間が、彼女の信仰の終焉だった。

「……理解した、もはやおまえは要らん。天の神など無用の長物。おまえが我が子らを救わないというのなら、私がこの手で人の王国を築くまで」

――絶海の孤島と化したある極東の島国で、美しい救世主が立ち上がったという。救世主は硝子の瞳を持ち、鉄の杖を突いている。その手が翳されるだけであらゆる傷病はたちどころに癒え、踏み締めた地面には花が咲く。
そんな噂が山越え海越え、息の詰まるような困窮した世界に聞こえ始めたのは、最後の聖者が堕天したこの日を境にしてのことだった。



◇     ◇     ◇

3 ◆EuccXZjuIk:2025/05/30(金) 01:19:15 ID:vFcOatxY0



終末の後に生まれた子供は、青空というものを知らないらしい。
全球凍結現象(スノーボールアース)。学校で教わる知識としてしか知らなかった氷河期という現象が地球を覆って、今日でちょうど五年になる。
空は昼夜を問わず分厚い鉛色の雲で覆われ、現代で言う晴れの日とは降雪の弱い日のことを指す。
であれば今夜の天気模様はまさしく晴れであった。なんと言っても、雪が降っていない。視界は夜の暗闇に澄み渡り、肌を刺す冷気さえ何処か爽やかに感じられる。

雲に閉ざされた天蓋の下に、無数の人がいた。年齢や性別はもちろんのこと、国籍までバラバラだ。東洋から西洋、果ては南米まで、地球上のあらゆる地域から差別なくかき集めたのだろう人々が、誰しもある一点に視線を向けている。

彼らに共通点を見出すのは意外にも簡単だった。
首を一周する形で刻まれた輪形の傷跡だ。そんな代物が、曇天の下に佇む全員に共通して刻まれている。釘で刺した痕のようにも、はたまた茨の冠を巻き付けて棘に貫かせたようにも見えるその傷に、痛みはない。膿んで疼くことも、ない。
だが不思議なもので、ここに集うすべての人間がこの傷に対する同じ認識を共有していた。

これは命を縛り、奪うモノだ。自分達は皆、このスティグマに命を握られている。
少しでも誤ったことをすれば忽ち裁きが下るのだと、男も女も、善人も悪人も誰もが抱くその確信。真贋を証明するのは、彼らの視線の先に立つ二人の女を除いて他にはなかった。

「はじめまして、私はソピアという者です。かつては東洋の辺境で、教会を管理しておりました」

最初に口を開いた女は妙齢だった。虫の一匹も殺せないような、穏やかな顔立ちをしている。
修道服に身を包んだ敬虔そのものの佇まいはこの命消えた世界において、一輪の花のように人々の心を安らがせただろう。平時ならば、という枕詞が付いてしまうのが悲しいところだったが。

「全球凍結。神が我々を見放し、悪意まみれの試練を差し向けてきたあの日から五年が経ちます。かつてこの星を埋め尽くすほど隆盛していた文明は見る影もなく衰退し、数え切れない命が雪の下に埋もれていきましたね」

女――ソピアの語り口は聖職者そのもの。にも関わらずその端々からは、修道女が心酔してあるべき大いなる主への憎悪が滲み出ていた。
花の咲くような笑顔で紡がれるからこそどんな激怒の声よりも恐ろしい。細められた眦の隙間から覗くサファイアブルーの虹彩は、笑顔の傍ら、何処か蛇を思わせる鋭さで皆のことを睥睨している。

「豊かな自然は無価値な白雪の下に埋もれ、人間の輝きは神禍(エスカトン)という呪いによって汚染された。知っていますか? 終末からわずか一年で、人類はすべて禍者(アナテマ)に成り果てたと言われています」

神禍――それは神の呪い。全人類に等しく降り注いだ殺人手段。
手を翳すだけで火炎を放射し、地面を一蹴りしただけで初速から自動車の最高速度を超える。
呪いの力を得た人間は禍者と呼ばれ、ソピアの言う通り、今や地球上に呪われていない人間は存在しないと言われている。

明けぬ冬に覆われて恐慌する世界に突如降り注いだ力の誘惑は、あまりに容易くこの世から倫理と道徳を廃絶せしめた。
個人も国家も等しく殺し合ったその結果が、惑星の六割にも及ぶ重度汚染地域の形成と、それに伴う数十億人単位の犠牲者だ。
現在、地球の総人口は五千万人ほどだという見方が強い。寒さという外的要因(ネクローシス)と、内輪揉めという内的要因(アポトーシス)。世界を自在に操れる聖なる独裁者が悪意を持って実行したとしか思えない災禍。
それが白の大地を今も蹂躙し続けていることは、不幸にもまだ生き残ってしまっている残存人類達であれば、誰もが知っているところである。

「人類はこのまま緩やかに滅亡し、我々が愛した世界は白紙に戻される。なるほど神の思し召し、確かにそうなのでしょう。神に愛して貰うには、人類は増えすぎた。強くなりすぎた。その程度の想定外も許せないほど天上の神は器の小さい御仁であった、それだけの話と諦めるしかありません」

ソピアが手を合わせ、目を伏せる。
しかし、すぐにその目は見開かれた。憎悪と失望を宿した蒼玉が、冒涜の象徴めいた輝きを帯びて白紙の大地に晒される。

「かくなる上は、人の手で人を救うより他にない。極東の地に一人立った救世主。このルクシエルの手によって」

修道服を纏いながら神を侮辱し、呪うように糾罵する妙齢の美女。本来であれば十分すぎるほど彼女は異常な存在だったが、今この場に限っては見劣りさえしていた。
ソピアの隣に立って沈黙を守る一人の少女の存在感が、あまりにも強すぎたからだ。

4 ◆EuccXZjuIk:2025/05/30(金) 01:20:23 ID:vFcOatxY0

その少女は鉄の杖を突いていた。膝元ほどまで長く伸ばされた黒髪が寒風を受けて優しく揺れている。
救世主(ルクシエル)と呼ばれた娘が、冒涜の聖女の言葉を受けてようやくその口を開く。
ただそれだけの動作にすら異様な神秘性が付いて回るのは、果たして気のせいだろうか。真実は定かでないものの、この場に集められた人間の大多数が、この吹けば飛ぶような幼い娘の一挙一動に釘付けにされていたことだけは事実だ。

「皆さんには、これから殺し合いをしていただきます」

ルクシエルは開口一番に言った。
殺し合い、命を奪い合えと。救世主と呼ばれておきながら、彼女はそう言い放ったのだ。

「わたしの名前はルクシエル。本当の名は別にありますが、救世主として立ち上がった時に捨てました。わたしの目的は二つあります。それらを成就させるために、皆さんの犠牲が必要なのです。どうかご理解ください」

ぺこりと頭を下げる姿には人形のような愛嬌すらあるのに、発言の内容がすべてを台無しにしている。
なのに罵詈雑言、悲喜こもごもの反応が起こらなかったのは、彼女にそれだけの格があったからに他ならない。

理性も倫理も廃れ果てた白の大地は、本質的には砂漠のようなものだ。渇き切って潤いに欠け、一寸先の明日を見通すことすら叶わない。そんな世知辛い時代の中で、ルクシエルの存在はクリスタルの塔を思わせる抜群の存在感を放っていた。
あらゆる光を反射して輝く、荒野の神聖だ。誰もが世界の救いのなさを知っているからこそ、聖なるものは誰もにとってのオアシスとして格を高める。仮に今夜が血潮も凍る猛吹雪の夜だったとしても、この美麗を見失うなどあり得ない。
根拠なくそう断言させる説得力が、そこにはあった。理屈ではなく本能に訴えかける美であったからこそ、それは人の心を打つのだろう。

「一つ。傲慢なる神の冷酷によって、わたし達の住むこの星は死んでしまいました。わたしは、これを蘇らせます。忌まわしき吹雪の空を晴らし、緑の芽吹く豊かな大地を取り戻します」

ある者は吐く言葉、立ち振る舞いの一つ一つまで、どれを取ってもそこには極限の隔絶が宿っていると確信した。
しかしまたある者は、その姿を現象のようだと思った。

「もう一つ。終末の日から世界大戦、そして今日までの緩慢な悲劇の積み重ねによって、あまりにも多くの命が失われました。これも全て蘇らせます。散っていった命のどれ一つ取り零すことなく、地獄の底から全て拾い上げて祝福すると約束します」

吐く言葉、振る舞いの一つ一つまで、どれを取ってもそこには人間味が宿っていない。
救世主という役柄をこなすためだけの無機質な人形に、何故だか類稀な風格が宿っている奇怪さ。

何にせよ、誰もが彼女を恐れ、畏れたことに違いはない。ルクシエルは救世主であると……そう呼ばれるに足る存在であると認めてしまった。よって彼女はこの場における絶対者の資格を得る。語る言葉の一言一句に無二の力が宿り、それを餓鬼の戯言と笑うことは誰もできない。

「――もし、あなた」

集められた内の一人を、救世主が呼び止めた。杖を突きながらルクシエルが歩みを進め、その前に立つ。
硝子を連想させる透き通った瞳が、その消えかけの命を見据える。伸ばされたか細い右手は、哀れなる羊の頭に触れた。

「癌を患っていますね。それでは儀式に臨むどころではないでしょう、明日を迎えられるかも分からないはずです」

救世主は杖を手放した。足が不自由なのだろう、よろよろと、今にも倒れそうな覚束ない両足で、しかし彼女はその場に立ち続ける。バランスを取ろうと四苦八苦するのも後回しにして、彼女は静かに両手を合わせた。

「もう大丈夫ですよ」

祈りの形を取り、瞑目する。その上で僅かに口を開いて、数言の神聖を呟いた。

「我汝らを棄てじ、終わりの日までも共にあらん――秘蹟なる慈罪(サクラメンタム・ミゼリコルディア)」

刹那、祈りを捧げられた者の身体に異変が起こる。

たまさか墓から起き上がってきたような青白い、いやそれを通り越して土気色に染まっていた顔色がみるみる血色を取り戻していき、痩せ細った手足には肉さえ戻り始める。
白濁した眼球からは濁りが覗かれ、ひゅうひゅうと痛ましく響いていた呼吸音は瞬時に健常者のそれに変わっていく。真紫だった唇も食べ頃の林檎宛らに赤く染まり、……その人物が死の一文字など何処にも見て取れない様相になった頃、ルクシエルはようやく祈りを止め、目を開けて杖を拾い上げた。

5 ◆EuccXZjuIk:2025/05/30(金) 01:21:46 ID:vFcOatxY0
「お大事に……なんてわたしの言うことじゃないか。ごめんなさいね」

にこりともせずにそう言うほんの少しの茶目っ気らしい部分さえ、誰も気にしなかった。
いや……そうする余裕がなかったのだ。誰もが目を見開いて、今見た光景にただただ驚愕していた。

神禍とは神の呪い。愚かな人類を自滅に導くために与えられた、忌まわしい能力である。
その人間が抱く信念、思想、精神性……。そういうものに基づいて生まれる呪われた力の形は、まさに千差万別。地球上に一つとして同じ能力は存在しないとまで言われているが、そこには一つだけ絶対の不文律が存在している。

神禍は他人を害するためだけの力だ。それ自体が直接的に攻撃を意味しておらずとも、最終的には必ず誰かを害するという方向に向かっていく。
火熾しの力は焼殺。家をも吹き飛ばす拳は撲殺。一見すると攻撃性を感じない自己強化の力でさえ、これを使って命を奪えと言われていることが本能的に分かるのだ。
これは不変の真理。例外はない。そしてそんな不文律が示すのは、ある救い難い事実。

『自他を問わず、他人を癒せる神禍はこの世に存在しない』。

考えてみれば当然のことだ。これは人類を自滅させるための呪いなのだから、そこに再生の要素を含める理由はない。
凶悪で強烈な殺人手段を授けてやれば、人は自ずと隣人と殺し合う。そうして徐々に数を減らしていき、いずれ神の失敗の産物たるホモ・サピエンスは滅亡に至る。神禍が神の意思で与えられたものであるという定説を信じれば信じるほど、癒しの神禍は存在し得ないという救いのなさが浮き彫りになっていくのだ。
そんな世界でかれこれ五年間、誰も彼も生き続けてきた。だからこそ誰しも、驚愕の定めからは逃れられなかった。

救世主(ルクシエル)は今、全員が見ている前で、『誰か』を癒してみせたのだ。
他人を救うことのできる神禍という未知を、絶望に包まれたこの世界の中で唯一人証明してみせた。

呆気に取られる皆の衆を正気に戻すように手を叩いて、ソピアが再び話し始める。

「さて、救世主の御言葉も伝え終えたところで……私の神禍についても説明をしておきましょう。
 『涜し否定する神拒の密域(エクスコミュニオン・バトルロワイアル)』。巨大な結界を形成し、その内側で殺し合いの儀式を行わせ、ただ一人の生き残りを占うという神禍です。我ながら性格の悪い力だと思うのですがね。実はこの神禍の真価は、儀式が完遂されたその先にこそあるんですよ」

世界を救う。
その一点を目的に据えて、救世主とそれを見出した聖女は君死に給うと願いを懸けた。

「命が命を奪い、そして奪われる。その過程はあまりに膨大な想いを生み出す。人間の感情もまたエネルギーです。愚神の教えに基づいて言うならば、祈りとでも呼ぶべきでしょうか。
 兎角そうして生まれた力の全てを、主催者である私は儀式完遂後に抽出することができる。勿論、抽出した力の使途は私の自由ですので――私はこれを、偉大なる救世主ルクシエルに全て捧げるつもりです」

ルクシエル、とソピアが言った。救世主は小さく頷くと、鉄杖の石突で地面を叩く。すると、雪に覆われた地面から何かがせり上がってくる。
緑だった。地上から姿を消して久しい、生命(イノチ)の色だ。在りし日の地球で愛されていた季節・春の青葉がそこにはあった。
だが芽生えた青葉はすぐに萎れてしまう。死んだ星の劣悪な土と極寒の大気に、とても普通の植物は耐えられないのだろう。萎れた草を見て救世主は憐れむように眉を寄せた。かつてなら誰もが意識にさえ入れず踏み締めていた足元の草花にさえ、この娘は慈しみを抱くのか。

「ルクシエルの神禍は命あるもののみならず、命なきもの……大地そのものに対しても適用することができる。
 皆様の殺し合いから抽出した力全てを、私はルクシエルへと捧げます。
 さすれば救世主の慈罪は、最早目の前の命や自然を再生させる程度の異能では収まらなくなる。神の呪いの範疇を飛び出して、傲慢な支配者の悪意を超越し、忽ち星のすべてを満たすでしょう。
 遍く緑を呼び戻し、遍く白雪を溶かし尽くし、そして遍く命を我らが愛したあの日の地上に舞い戻らせるでしょう。神の千年王国などでは到底足りぬ。我らが我らの手と犠牲によって、真に終わらない永遠の幸福を――人の永年王国を築き上げてみせると此処に誓います」

千年王国では最早不足。神が信ずるに値しない傲慢な愚者であると分かった時点で、その教えは無用の長物に堕した。
だからこそ千年では終わらない永年王国を築くのだと聖女は言う。死が覆い尽くし、争いが満たした不毛の白い大地に人の救世主は立ち上がり、必ずや全ての犠牲と豊かな大地を取り戻してみせるのだと、殺し合いを命じた者の一人とは思えない清らかさでそう断じてみせる。

6 ◆EuccXZjuIk:2025/05/30(金) 01:22:46 ID:vFcOatxY0

「とはいえ、救世に力添えした功労者に何の報酬もないというのは不義理なもの。勝ち抜いた者にはそれが男であれ女であれ、このルクシエルを伴侶とする権利を与えます。形の有無に縛られず、この世のあらゆる概念を癒し満たすであろう真の救世主。永年王国の象徴、そして絶対なる人の規範になる彼女を娶る権利です。
 この世における欲望は全て満たせるでしょう。それが善であろうが、悪であろうが……救世主と道を同じくする『あなた』の未来に影はない。
 失った命を取り戻したい。失った夢を取り戻したい。この世の栄誉を全て貪り尽くしたい。地上に於ける酒池肉林を命尽きるまで、いや命尽きても味わい抜きたい。全て叶います。この娘には、それを可能にする力があるのだから」

強いられるのは殺し合い。だが、与えられるものは世界の再生と無限の栄光。

「不要と思う奇特な方も、もしかしたらいくらかはいるかもしれませんね。その場合でもしかし、命を繋ぐことは出来る。逆に言えば儀式の勝者とならない限り、誰であろうと私の庭を生きて出ることは不可能とお考えくださいな。
 皆の衆――この際善悪は問いません。願いの純不純も、戦う動機も不問と致しましょう。ただ殺し合いなさい。ただ隣人の心臓を抉り出しなさい。父が見捨てた地上にあっては、あれが忌み嫌う所業もまた正道となるのだから」

雪が降ってきた。はらはらと、白雪が落ちてくる。吹雪く気配はないが、やはり死んだ世界にこの白色は付き物であるらしい。そんな――絶望の象徴に見守られながら。

「世界を救う時が来たのです」

聖女(ソピア)は饒舌に。救世主(ルクシエル)は機械じみた寡黙さで。
白雪の降る極寒の夜を舞台にして――世界を救う戦いは、その幕を開けた。



◇     ◇     ◇



ソピアの神禍、『涜し否定する神拒の密域』は血塗られた儀式を支配する神禍だ。
自身の指定した区域内に数十人の生贄を集め、血で血を洗う殺し合いを演じさせる。

生贄を集める行程を自分で行わなければならないハードルの高さの反面、それを満たして儀式を開闢めた場合に得られる権限は絶大に尽きる。
参加者全員に生殺与奪を握るスティグマを施した上で、儀式の管理者として彼らにあらゆる不自由と残酷を押し付けることができるのだ。
六時間置きに結界が収縮していく仕組みなどその最たるものだろう。結界から出た者は誰もがスティグマの起動で焼死する都合、生贄達は一方的に通知される結界の縮小範囲から羊のように逃げ惑うしかない。

そうやって生存圏が狭まれば狭まるほど生贄同士でかち合う率は高まり、殺し合いは促進され、終わりへと近付いていく。
事の当人であるソピアは安楽椅子に座りながら眺めているだけで全てが終わる。世界を救う条件が整い、神を呪う女の願いは全うされる。そういう仕組みだった。

7 ◆EuccXZjuIk:2025/05/30(金) 01:23:20 ID:vFcOatxY0

「ルクシエル。まだ自覚が足りないようね」

協力者(ジョーカー)による全員の転送が終わるなり、ソピアはつい先程まで救世主と崇めていた少女の頬を打った。
ルクシエルはそれを逆らいもせずに受け止めて、相も変わらず表情のない顔で聖女の前に立っている。

「権威を示すのは重要だけれど、まるで市井の子のような振る舞いをするのは止しなさいとあれほど言った筈でしょう。あなたは救世主。皆の偶像……死の星に一人立ち上がったジャンヌ・ダルク。
 ならばせめてそうあれるようにあなた自身でも努めなさい。何のために私がこれだけお膳立てを済ませてやったと思っているの?」
「ごめんなさい、お母様(ソピア)。精進します」
「まったく……。あなたは本当に私がいないと駄目なのね。日本の片隅で見つけた頃から何も変わっちゃいない」

救世主は、極東のある国で発見されたという。
彼女が紛争や凍傷で傷ついた民草達に手を翳すと、忽ちあらゆる生傷が癒え、それどころか失われた四肢すら新しく生えてきた。
神の呪いが降り注ぐ純白の世界の中でただ一人、命を癒やすことを許された娘。その姿を偶然見つけ、身寄りのなかった彼女を拾い上げてルクシエルの名を与えたのは、冒涜の聖女を名乗るこの邪聖だった。

「世界は救われなければならない。だってそうでなければ、祈り続けてきた私があまりに哀れでしょう。誰にもこの信仰は否定させない――たとえ神であろうとも」

願いは一つ、世界を救うこと。冬に閉ざされ、神に呪われた人間の星を再び豊かな命の色で満たすこと。
そして人は神の庇護から自立し、真に終わりを知らない永年帝国を築き上げる。
それは人類の総意である。聖女ソピアの名の下にそう断言する。神よ、どうか死に給え。もはや愚神の慈愛など我らには一切不要である。
我らはお前の愛玩動物に非ず。神よ、どうぞ死に給え。善なる者は救われると説いた虚実の支配者よ、腐り給え。

「始めるわよ、ルクシエル。大恩ある私のため……存分にその威光を輝かせなさい」

父の見捨てたこの星に、神の資格を持つ者はただ一人。
救世主を用立てよう。奇跡を起こさせ、死んだ星を意のままに蘇らせてまたあの美しい庭を咲き誇らせよう。ルクシエルが人の救世主ならば、それを見出した自分が何と呼ばれるべきかは誰よりこの身がよく知っている。

我こそは神の座に相応しき唯一の善き人(クライスト)なり。黒い聖母は傲岸不遜に断言し、邪悪のままに笑っていた。



◇     ◇     ◇

8 ◆EuccXZjuIk:2025/05/30(金) 01:24:24 ID:vFcOatxY0
ルール

・絶海の孤島で参加者(生贄)達が殺し合いを行う企画です。
・勝利条件は最後の一人まで生き残ること。
・島は結界で覆われており、この結界は時間経過で縮小します。結界の外に出た参加者は例外なくスティグマにより焼死します。
・初期位置はランダムです。

・リレー上のルールに関してはコンペ終了後に改めてお伝えします。地図などもその時に。


世界観

・いわゆるポストアポカリプスものです。人類は滅亡し、空はいつも分厚い雲に覆われて、来る日も極寒だけが続く世界。
・国家は存在しません。町や集落のようなものはあるかもしれませんが、ほとんどは相互扶助とは無縁の暴力的な支配の中で成り立っています。
・現在、人類の死因第一位は凍死。第二位は他殺。第三位は自殺。病死や老衰は五位にも入っていない。


神の呪い――『神禍』

「父はお示しになられた。もはや人類は、生きるに値しない」

エスカトン。一般的にはそう読まれるが、地域や個人的なローカルな読み方も多い。
人類を滅ぼすために神が与えた呪い。これを持つ者を禍者(アナテマ)と呼ぶ。生き残っている人類の全員が禍者である。

その人間が持つ価値観や思想、主義信念を攻撃的に歪めた形で発現することが多い。
最大の特徴として、一部の例外を除いて神禍は他人を害するための力である。
一見そうは見えなくても、突き詰めると必ず人殺しに帰結していき、誰かを救うための神禍は存在しない。
たとえ発現者が正義感にあふれた善人だったとしても、『正義の味方とは悪の敵。ならば外敵を殺す力をやる』とばかりに敵の撃滅に特化した神禍を与えられる……といった具合。特に回復の神禍は前例がなく、救世主ルクシエルを除いて発現例は皆無とされている。

抱く信念、抱える歪み、人格の破綻や切なる願い――想う力が強ければ強いほど、神禍の力は凶悪になる。
逆に何らかの理由でそれが揺らぐと性能が落ち、完全に喪失すれば禍者は神禍に喰われて自己を失う。
こうなった禍者はゴグと呼ばれ、力を暴走させ、命ある限り命持つもの全てを攻撃し続ける救い難い魔獣になってしまう。

ごく稀に複数の神禍を持つ事例があるというが、今の時点では参加者(生贄)達の中にその実例は確認されていない。

9 ◆EuccXZjuIk:2025/05/30(金) 01:25:26 ID:vFcOatxY0
キャラコンペについて

【期限】
・投下日から一ヶ月ほどとさせていただきます。
・正確な日程は追って通知します。

【投下方法】
・下にあるキャラシートをお使いください。トリップは付けても付けなくても構いません。
・投下はオリジナルキャラクターに限ります。
・実在の犯罪者などをモチーフにしたキャラや過度の版権キャラパロディなどはお控えください。

【採用方法】
・期限終了後、ルールと設定に矛盾しているキャラクターのみこちらで削除させていただき、投票可能なキャラクターの一覧を掲示します。その後こちらで用意した専用掲示板で投票を行い、上位キャラクターをまず採用とします。
・上記の方法で決定した参加者に加えて企画主が欲しいと思った参加者を一定数採用します。残りの枠は書き手枠にするつもりです。
・具体的な採用数に関しましては応募の数を見ながら追々通知しようと思います。
・システムは変更する可能性があるのでもしそうなった場合は改めてお伝えします。

【その他】
・より広い範囲の読者に読んでいただきたいので、本編では過度の性的描写を入れない方針を予定しています。キャラシ段階ではあまり激しく規制するつもりはありませんが、ある程度ご承知の上で投下していただければ助かります。
・設定はあくまで世界観の土台です。明かされていないことや決めきっていない部分もあります。なので、ある程度自由にキャラメイクしていただいて多分大丈夫です。大丈夫じゃなかったらごめんなさい。かなり謝ります。


【キャラシート】

【名前】
【性別】
【年齢】
【性格】
【容姿】
【神禍】※必ず能力の元になった思想、信念を記載してください
【詳細設定】

10 ◆EuccXZjuIk:2025/05/30(金) 01:29:36 ID:vFcOatxY0
続いて、キャラ募集とは関係なく採用の決定している三名のキャラシートを投下します。
三人の中で生贄として儀式に参加するのは『エヴァン』のみです。


【名前】ルクシエル
【性別】女
【年齢】14
【性格】口数少なく無機質な性格。生まれつきいくつかの感情が欠落しており、誰かを救うこと以外で能動的に行動する場面がほとんど見られない。その振る舞いは彼女を信じる者からは神秘の象徴のように見え、疑う者からは人間味の欠落した得体の知れない存在に見える。
【容姿】東洋人らしい顔立ちに膝丈までの長い黒髪、硝子のような眼をした、小柄で鉄の杖を常に携帯した少女。右足に障害がある。

【神禍】
『秘蹟なる慈罪(サクラメンタム・ミゼリコルディア)』
思想:???
四肢の欠損、末期疾病、致命傷でさえ瞬時に健康体まで再生させられる。地球上唯一の癒しの力。
生き物だけでなく、無機物や大地そのものに対しても使用でき、雪に覆われた死んだ土地に青葉を芽吹かせることも可能。
ただし能力の範囲は限定的で、地球そのものを再生したり、死者を蘇らせることはできない。今はまだ。

【詳細設定】
鋼の杖を片手に、極東にて立ち上がった少女。救世主ルクシエル。
元は日本の辺境で細々と人助けを行いながら根なし草同然に暮らしていたが、ソピアに拾われ、救世主として擁立される。
極度に自己主張が薄く、人を助けること以外の全てに対して消極的。自分から誰かに話しかけることもほぼなく、ソピアと出会うまでは数日間一言も発さないなどザラだった。


【名前】ソピア
【性別】女
【年齢】33
【性格】信心深く慈悲深い性格だが、神に失望しそれを呪うようになってからは地金の独善的な気質が滲み出すようになった。自分の信仰は常に正しいと固く信じて疑わないので、異論を唱えたところで話が通じない。が、その分そこには一切の嘘がない。バトルロワイアルをやり遂げ、必ず世界を救うのだと使命感に猛っている。自分が神となり、永年王国の象徴として君臨しようと目論む。
【容姿】修道服を着用した妙齢の女性。日本で聖職者をしていたが、国籍はイギリスであるため髪色は淡いプラチナブロンド。

【神禍】
『涜し否定する神拒の密域(エクスコミュニオン・バトルロワイアル)』
思想:無責任な神の教えを否定したい――自分が神となって君臨したい。

絶大な恩恵を得られる分、リスクとして使用する度に寿命を大きく削られる。

巨大な結界を形成し、その内側で殺し合いの儀式を行わせる。
参加者全員の身体にはスティグマが刻まれ、ソピアの意思、または結界の外に出ると起動。神の炎で全身を焼き払う。
結界は時間経過で段階的に縮小され、範囲外に出るとスティグマの起動条件が満たされ、いかなる生物であろうと焼死する。
規模、精密性、操作性いずれも規格外と言っていい能力であり、始まった儀式を中断させることは事実上不可能である。

これだけでも規格外の力だが、真髄は儀式が終わった瞬間にある。儀式参加者が最後の一人になった時、儀式は達成され、儀式中に生まれた莫大な想念をエネルギーに変えて抽出することができる。
ソピアはこの時に抽出した力をルクシエルに注ぎ、癒しの神禍を進化させ、星を蘇らせようとしている。

【詳細設定】
過去には敬虔な聖職者だったが、人類を見放した神に強く失望し、ならば自分が神になると歪んだ決意を固めて行動を始めた邪聖。
非常に利己的な性格の持ち主で、真っ当に修道女をやっていた頃も自分こそが神の教えを最も正当に理解している人間であると信じ疑わなかった。
その信心が人類の滅亡を受けて反転、自分を裏切った神を呪い、真の聖女である自分が新たな神になるのだと決意して行動を開始。
ルクシエルを導き、エヴァンという転送能力者の男を協力者として抱き込んだ上で、今回のバトルロワイアルを主催する。

11 ◆EuccXZjuIk:2025/05/30(金) 01:30:23 ID:vFcOatxY0
【名前】エヴァン
【性別】男
【年齢】47
【性格】無気力で無頓着、かと思えば急に殺意を向けてくるなど掴みどころのない男。星の再生などどうでもいいと憚りもなく公言し、どちらかというと計画よりもルクシエル個人に肩入れしている節がある。
【容姿】白髪で口髭を生やした壮年の男。甚兵衛をだらしなく着崩し下駄を履いている。

【神禍】
『恩寵の簒奪者(ラケル・カリス)』
思想:欲しいものが手に入らないことが許せない
物体転送能力。俗に言うアポートとテレポート。ただし自分自身は転送できない。
視界に存在する物体、人間を、総数無制限で視界内の自由な位置に転送する。
ソピアが生贄を世界中から集められたのはエヴァンのおかげだが、通常時の彼はこの通り視界の中にある物・人以外は動かせない。
しかし儀式を主催するにあたり、地球上のあらゆる地域から蒐集を行ったのはまぎれもなくこの男である。真実は闇の中。今はまだ。

【詳細設定】
本企画におけるジョーカー。ソピアとルクシエルの協力者であり、バトルロワイアル開催の立役者。主催側の人間でありながら生贄として儀式に参加し、殺し合いを促進させる役割を担っている。
命のやり取り以外の全てにだらしなく、自堕落。世界が終わる前は仕事もせずギャンブル三昧の生活を送っていた。心に深い諦めを飼っており、話が通じるようで微妙に通じない。
日本人でありながらフリーランスの傭兵として活動していた過去を持ち、銃も爆弾も使うことなく剣一本で幾つもの部隊を壊滅させてきた超人級の使い手。戦地で何かあって堕落の道に走ったそうだが、その詳細は不明。
ソピアとは犬猿の仲で、ロワ開催に漕ぎ着けるまでに三度ほど本気の殺し合いになりかけている。ルクシエルに止められるとすぐに折れるのがお決まりらしい。話の通じない者同士、同族嫌悪のようなものがあるのかもしれない。

12 ◆EuccXZjuIk:2025/05/30(金) 01:30:57 ID:vFcOatxY0
それではこれよりキャラクターの公募を開始します。
何かあれば気軽に質問してください。これからよろしくお願いします。

13名無しさん:2025/05/30(金) 12:06:18 ID:m4IB9kRk0
【名前】ハード・ボイルダー
【性別】男
【年齢】45
【性格】豪快な暴君。粗野で下品、横暴。自分こそが本物の男であると豪語して憚らない。
【容姿】髭を蓄えた巨漢の白人。毛皮付きのフライトキャップに分厚いダウンジャケット。旧時代のハイブランド品で服装を固めている。
【神禍】
『荒れ狂う馬(ブレイジング・サドル)』
思想:自分が一番滾ってる。自分こそが誰よりも熱い男だ。

自身の肉体を起点に「燃焼のエネルギー」を発生させる。
エネルギーをジェット噴射させることで高速移動したり、超スピードの攻撃を繰り出すことができる。
火炎放射のような直接攻撃として発射することも可能。
彼は常にこの能力を微弱に使い、自らの身体を温め続けている。

実質的に熱や炎を操る力だが、この能力を用いてもなお氷河期を克服することは出来ない。
彼自身が内心では凍死を恐れ、極寒の時代に屈しているからだ。

【詳細設定】
かつては一介の警察官に過ぎなかった男「ジョナサン・デリンジャー」。
内に秘めた支配欲と承認欲求を燻らせる日々を送っていたが、文明崩壊の混乱に乗じてその凶暴な欲望を剥き出しにした。
暴力を駆使して多数のゴロツキ達を従えるようになり、略奪と殺人に明け暮れる「ならず者のボス」へと成り果てたのだ。
過去にラスベガスと呼ばれた土地を根城にし、廃墟化したカジノを自らの「城」と称している。

「ハード・ボイルダー」という名は文明崩壊後に名乗りだし、周囲にもそう呼ばせている。
当人曰く、支配者としての名前らしい。
まるで王の如く横暴に振る舞い、暴力による支配ができる現状に満足している。
しかし数多の凍死体を目の当たりにしたことで、内心では凍死を恐れている。
そのため自らの神禍で頻繁に身体を温めているし、いついかなる時も防寒具を手放せない。

14名無しさん:2025/05/30(金) 16:28:48 ID:Nl8/WNCE0
質問なのですが全球凍結現象では、海も全て数千mの氷床に覆われて同じく氷床に覆われた陸地と続きになり境目がわからないんじゃないかと思います
そこで絶海の孤島というのはどういう意味合いでしょうか

15 ◆EuccXZjuIk:2025/05/30(金) 17:05:51 ID:oBQ.7Sr.0
>>14
お答えします。
確かに考えてみればそうなので、ソピアの神禍によって周辺区域が都合のいい形に調整されていると認識してもらえればと思います。
wikiの方で後ほど(明日位には)その旨書き足しておきますね。ご指摘ありがとうございました!

16名無しさん:2025/05/30(金) 18:03:42 ID:KTSENG2s0
質問です
純粋な治療系の神禍はルクシエルのみっぽいのですが
本来なら攻撃系の異能を禍者が己の技術で治療もどきな行為を可能としてるパターンはありでしょうか?

17名無しさん:2025/05/30(金) 19:16:30 ID:7Ry.q4Ko0
【名前】ウォーク・ディスウェイ
【性別】男
【年齢】19
【性格】普段は寡黙だが、突飛で支離滅裂。掴み所がない。独り言を繰り返したかと思えば、唐突に黙り込んだりする。
【容姿】褐色の肌に短い黒髪。丸いゴーグルにヘルメット。作業着のような防寒ブルゾン。
【神禍】
『歩け、歩け(ノーモア・ノーモア)』
思想:目的を果たすまで、足を止めたくない。

自身に向けられたあらゆる攻撃を自動で反射する。
斬撃や銃弾などの物理攻撃に加えて、神禍による念動力や概念攻撃さえも受け止めて跳ね返す。
如何なる害意をも飄々と跳ね除けながら、彼は歩き続ける。
ただし「歩くこと」が発動のトリガーとなるため、能力を機能させるためには決して足を止めてはならない。

【詳細設定】
「全球凍結現象」による氷河期は地球の環境を激変させた。
全世界が猛烈な寒気に覆われたことで、太平洋の海域さえも“巨大な凍土”へと変わり果てた。

ウォーク・ディスウェイ。
かつては海洋だった凍土を彷徨い歩き、風の噂で「太平洋の亡霊」と呼ばれる青年である。
何処からか調達した保存食などで食い繋ぎ、只管に旧太平洋の散策を続けている。
彼と出会った者によれば、会話は通じるが支離滅裂な言動や思考が目立つとされる。

曰く、彼は故郷に帰りたがっているらしい。
凍土と化して境目を失った海域の上で、自らの故郷を探し続けているのだという。
しかし突飛な挙動を取り続けているため、彼の真意は誰も掴み切れない。

18 ◆EuccXZjuIk:2025/05/30(金) 20:13:40 ID:oBQ.7Sr.0
>>16
お答えします。
そういう形の場合は問題ありません。

19◆DpgFZhamPE:2025/05/30(金) 20:58:43 ID:???0
投下します
よろしくお願いします。

【名前】焔宗(えんそう)
【性別】男
【年齢】26
【性格】皮肉屋で冷めている。が、後述の理由によりテンションが上がった際には相手を煽る言動が目立つ。この世界における彼の神禍の特徴により仲間意識というものは薄く、ビジネスライクな付き合いを好む。
求めるのは"薪"。燃え上がらせてくれるような、誰か。
【容姿】東洋人。三白眼が特徴的な赤い瞳。耐火性の強い服を着ていたが、ところどころが焼け焦げボロボロになっている。
【神禍】
『この身を捧げ、焔に殉じよ(コールプス・フランマ)』
思想:欠乏。足りないことへの執着。
火焔。掌や足裏から焔を放ち、操る。火力、攻撃範囲共に高く、攻撃性が強い。足裏と掌から放つことで推進力や僅かな時間の飛行に使える。彼の噂を聞いた人からは、歩く火炎放射器、歩く山火事とも呼ばれた。
しかしいくら神禍に目覚めた能力と言えどその火焔に人体が耐えられるはずがなく、ある程度までの火力なら耐えられるが許容範囲を超え火力を上げると己の身体が徐々に焼ける。故に自分の火力の限界を知らない。
火力を更に上げると共にハイになる癖があり、歯止めが効かなくなる。

この焔を狙い彼を飼い殺しにしようとした人間は数多くいた。
全員、灰となったため数は覚えていない。

【詳細設定】
生まれた時から、父母はいない。故に苗字を知らない。
極東の小さい集落にて暮らしており、氷の世界にてその焔は人々の生活を大いに助けた。暖をとるなり、獲物を焼くなり、食と住において大きな役目を持っていた。
しかし足りない。何かが足りない。
焔の見返りに食事も貰った。耐火性の強い服も作ってもらった。
なのに足りない。何かが足りない。
人々の笑顔があった。利用し合う関係と言えばそこまでだったが、助け合う関係だった。
けれど足りない。何かが足りない。

何が足りない?
決まっている。
───焔を燃やし続ける、生き続けるだけの"薪"(衝動)が足りない。
その晩、彼は集落の人や物、全てを焼き尽くし旅に出た。
好嫌でも、執着でも憎しみでも何でもいい。
生き続けるだけの"薪"をくれよ。

20名無しさん:2025/05/30(金) 21:51:25 ID:gdGuI2Pc0
【名前】ナルク
【性別】男
【年齢】11
【性格】狩りや祖父の話題を好む、寡黙な少年。とはいえ心を開くと意外と年相応。
初対面の人物には基本的に警戒から入るが、無礼という訳ではない。
【容姿】癖毛のイヌイットの少年。毛皮から作った帽子と外套、その下は雪原に馴染みやすい彩度の低いややくたびれたシャツと厚手のズボン、頑丈なブーツ。

【神禍】
『大なる守護者(ナルク・アンギユク)』
思想:早く大きくなって家族を守れる存在になる
ナルクの身体および服などの身につけているものを4倍程度まで一時的に拡大できる能力。現在身長148cmの彼なら、6m弱になれる。
応用として、身体の一部だけを拡大することも出来る。
拡大に伴う本人の体にかかる物理法則の悪影響は無視できるが、身につけている物は物理法則に従うので、例えば電子機器などは正常に動作しなくなる。

ナルクは氷河期が来る前は学校に行く年齢ですらなく、極地の先住民の集落に両親と祖父と共に住んでいた。
変わる前の世界を詳しく知らないナルクが、世界の崩壊に面してなりたいと望んだ"家族を守る、大きな存在"とは、赤子の頃に見た家族の朧気な記憶の名残だ。

約4倍というのは、つまり赤子と大人の体格差である。

【詳細設定】
北極圏の狩猟採集民族出身の少年。前世紀に文明化された集落で、両親の職業も集落の教師だったが、ナルクの祖父を含めた集落の人々は伝統として狩猟や雪原生活の技術を維持し続けており、ナルクのような子供にもその技術の一端を教え込んでいた。
ナルクの両親は共働きであり、祖父に遊んでもらい狩りや雪原の話を聞かせてもらうのは、ナルクにとってとても楽しいことであった。

──氷河期においては、ナルクの集落の人たちはかなり幸運な部類であったと言って良い。
氷河期においてナルクたちは、極地の知識と狩猟の技術を活かし、氷原において辛くも命を繋いでいくことができた。
もっとも氷河期の極地の冬は彼らであっても生存に堪えるものではなく、彼らは住み慣れた地を離れて南下していくことになる。

例え知識と技術と、超人の力があったところで、雪原の旅はあまりに厳しく。
櫛の歯が欠けるように減っていく隣人たちの中で、ナルクのような子供たちも守られるだけでは居られなかった。
5年が経った今、外界との接触を最低限に、氷原に隠れ住む一団の一人として、ナルクは狩人かつ戦士として、家族を守るために戦っている。

狩人であり、獣の命を奪うことには躊躇がないし、招かれざるよそ者と戦って追い払ったことも何度もある。
それでも、人を殺したことはまだない。
あと結婚の意味もあまりよく分かっていない。

21 ◆EuccXZjuIk:2025/05/30(金) 22:45:02 ID:oBQ.7Sr.0
【おしらせとお詫び】
早速のたくさんのご応募ありがとうございます。
当スレの世界観(設定)についてなのですが、>>1およびオープニングにある通り全球凍結が起きており、外は極寒に包まれています。
が、現状の設定では展開やキャラメイクの幅を狭めてしまいそうだと考えまして、少し設定の方を追加します。

全球凍結現象
・スノーボールアース。歴史上類を見ない急激な地球寒冷化現象。
・地球全土を強烈な寒さが席捲している。外気温は平均でマイナス20〜40度。本来の全球凍結よりも気温だけで見ると良好だが、それでも降雪も相俟って殺人的な寒さであることに変わりはなく、寒気は神禍という殺人手段を手に入れた人類をより進んで暴虐へと駆り立てている。

朝令暮改のようで恐縮ですが、設定として聊か見通しの甘い部分があったことは否定のしようもなく、無理やり貫いて物語を歪ませるよりかは早急に対応した方が良いと考えた次第でございます。
また、重ね重ねにはなりますが今回の設定追加の後でも殺人的な寒さであることに変わりはありません。よってこれまで有難くも投稿いただいたキャラクターの設定変更などは不要かと存じますが、こちらの落ち度ですのでもしも取り下げたい、改変したいなどありましたらその際はどうぞ申し出ていただければ幸いです。
企画の運営経験は今回が初めてとなるため、今後も至らない部分やミスなどあるかと思いますが、なるべく良い企画に出来るように努力改善していく所存ですので、宜しければ今後とも本企画を何卒どうぞよろしくお願いいたします。
(こちらの追加した設定の方も後ほどwikiに反映の上、トップページで分かりやすく掲示させていただきます)

22名無しさん:2025/05/30(金) 23:08:00 ID:5gOqtdQI0
【名前】ミーア・ヴァケット
【性別】女
【年齢】28
【性格】表面上は穏やかで物腰柔らかだが、内面には強烈な孤独感と諦観を抱えている。
【容姿】肩までの黒髪に青白い肌。痩身で背が高く、厚手のセーターとロングコートを重ね着している。
【神禍】
『虚ろなる団欒(エンプティ・ファミリア)』
思想:誰も去っていかない世界が欲しい―――大切な人だけは、絶対に失いたくない

自分にとって「本当に大切だった故人」の人格を物体に憑依させることができる。
人格は物体を自らの体のように自在に動かすことが出来、物体が破壊されてもミーアの元へ帰っていくため実質的に不滅。
現在憑依可能なのは、軍人だった兄「レオン」、病弱だった妹「リリィ」、そして忠実な番犬「バスター」の三つの人格。
兄の人格を憑依させた椅子は頼もしく的確な助言をくれ、妹の人格を憑依させたぬいぐるみは甘えるように話しかけ、犬の人格を憑依させた古いラジオは警戒の鳴き声で危険を知らせてくれる。
これらの人格はミーアの記憶に基づいているが、彼女の予想を超えた反応を見せることもある。
例えば「レオン」はミーアの身の安全を最優先とするため他者への気遣いが皆無であり、「リリィ」は極度の人見知りと化している。
極めつけに「バスター」は家族以外に対して完全に敵意むき出しであり、自立行動可能な物体へ憑依させれば周囲を見境なく攻撃してしまう。

【詳細設定】
氷河期以前は大都市で心理カウンセラーとして働いていた女性。
文明崩壊後は兄レオン、妹リリィ、そして番犬バスターと共に生き延びてきた。
レオンの戦闘技術とリーダーシップ、バスターの警戒能力に支えられながら、ミーアは妹の看病と一家の精神的支柱として家族を支え続けた。
しかし、ある吹雪の夜、食料を求めて出かけたレオンとバスターが襲撃者に襲われ致命傷を負い、何とか帰還するも妹たちの目の前で絶命。
目の前の現実を受け止められなかったリリィも病状が急激に悪化して息を引き取ってしまう。
一夜にして全てを失ったミーアの絶望の中で、神禍が覚醒した。
現在は廃墟となった病院を拠点とし、兄の人格を宿した診療椅子、妹の人格を宿した古いテディベア、犬の人格を宿したラジオと共に暮らしていた。
「レオン」は今でも彼女を守ろうとし、「リリィ」は甘えるように話しかけ、「バスター」は侵入者を警戒する。
時折迷い込んでくる人々を治療することもあるが、誰かと親しくなりそうになると無意識に距離を置いてしまう。
排他的になったしまった「家族たち」のこともあるが、新たに大切な人を得て、そしてその人を失えば、自分の能力にまた新しい「声」が加わることを理解しているから。
ミーアは家族の「声」に囲まれた温かな日常を演じ続けているが、心の奥底では新しい出会いへの憧れと、それを失う恐怖の間で揺れ動いている。

23名無しさん:2025/05/31(土) 17:44:53 ID:NQCrH3Bo0
【名前】霖雨(りんう)
【性別】不明
【年齢】不明
【性格】戦意以外で他人と関わることをよしとせず興味も持たない、降り頻る長雨のように起伏のない声で淡々と話す武人。詭道は好まないが命をあらゆる要素で区別せず、生あるなら何にも情けをかけない鉄鬼。
【容姿】全長3メートルにもなる機械装甲の鎧武者。繋ぎ目のない漆黒の鋼甲で全身を覆い、腰に巨大な鞘と長刀を佩く。

【神禍】
『即死即空皆殺観音(ヴァルシャイシューヴァラ)』
思想:神仏の見放した常世にて、死とは即ち救済である

戦闘に特化した人型機械兵器『ヴァルシャイシューヴァラ』と一体化し、自分の体として操る。
銃弾程度では傷一つ付かず、砲弾の直撃にさえ容易に耐える屈強な機体は超高速での駆動を可能とし、そこに操縦者である霖雨の技量や奥義が加算されて襲いかかる殺戮兵器。
霖雨の脳は完全に機体と同化しているため、人体を動かすのと同様のプロセスで機体を動かせる。入力から動作までの過程にほぼタイムラグが存在せず、達人の技量をそのまま引き継いで迫る死神という悪夢。長剣『安居兼光』を主武装に、一撃必殺の唐竹割りを絶技として持つ。
更に副武装として、メインカメラで認識した生体反応を機体に引き寄せる対人引力発生機構を搭載。皆殺観音と出逢ってしまえば逃げられない。黒い巨人は死の執行者。男も女も老人も子供も、もの皆斬り殺す殺戮の霖雨である。

【詳細設定】
本名は秋津霖雨。剣術の名門に生を受け、破竹の勢いで師範代へと駆け上がった達人。多くの門下生を抱え皆に尊敬される武人であったが、泰平の時代に生まれたこともあり、実際に人間を斬った経験はなかった。
しかし全球凍結後、重度の凍傷に冒された弟子を介錯したことがきっかけで死の尊さに取り憑かれる。
死とは人間に与えられた一度きりの終末。産声をあげて生まれることが尊いのなら、鼓動を止めて召されることもまた同等に尊い。
神も仏もとうに地上を見放した。凍え、先細るばかりの地上における救いとは即ち死であり、これを与える皆殺しの観音菩薩が必要だ。その思想を基幹にして剣士は禍者となる。

男だったかもしれないし女だったかもしれない、若者だったかもしれないし老人だったかもしれない。
そんなことはどうでもいい。肉体はとうに鉄に置き換えられ、脳は観音機体を駆動させるためのCPUと化した。
『皆殺観音』の悪名は南日本から朝鮮、中国にまで響いている。数え切れないほどの死(じひ)と共に。

24名無しさん:2025/05/31(土) 18:40:10 ID:1kyghiC.0
【名前】橋黒味代(はしぐろ みよ)
【性別】女
【年齢】26
【性格】
良妻を絵に描いた人。
温厚で笑顔を絶やさず、人の嫌がるような事を代わりに進んでやる献身もある。
ここまで書くと無害な善人に見えるが、愛した相手を自らの神禍で食べる事を極上の喜びとしており、相手への献身や施しも、全ては食べた時の味を高めるためである。
家事はだいたいできるが特に料理が上手く、食材を活かしどれ程美味しく作れるかを楽しみにしている。
【容姿】
フワフワしたグレーのロングヘア、極寒には似合わず栄養状態のよさそうな血色のいい肌と肉付きのいい身体、いつも穏やかな笑顔を絶やさない。
首から足元まで隠れるブラウンロングコートと厚手のベージュのマフラー、白いイヤーマフ。
一見すると、悪意や憎しみとは無縁のように見える。
【神禍】
『愛の呼ぶ方へ(ラヴァーブル・フィースト)』
思想:愛した人を最期まで味わいたい。共にいたい。自分の全てで相手を感じたい
自分の身体の任意の場所に強い吸引力を持った口を生み出す。
口の大きさは自由自在。
毒、危険物、銃火器などの兵器も食べることができる。(あまりおいしくないらしい)
満腹になることはめったにないらしく、神禍を使う本人はいつも腹を空かせている。
【詳細設定】
元々は日本の集落にある地主の娘だった。
極寒で食料の確保もままならない村の中では最も豊かだった食事を日々食べていたが、幼い頃の彼女は食事では埋まらない『飢え』を常に感じていた。
やがて成長し、見合いの相手が決められていたのを、当時幼馴染だった男と駆け落ちする。
彼が味代の最初に愛した男であり、同時に最初に食べた人間の男だった。男を食べた時、永く感じていた『飢え』がようやく満たされる充足感を感じた。
その後は各地を転々としては様々な男と恋をし、共に暮らし、愛し合った末に彼らを食べた。
そうすることで彼女の空腹は満たされる。空腹になるとまた次の恋人を探し、食べる。
氷で覆われた世界で生きることは大変だが、外面の良さがあり、初めて会った人を信じ込ませ取り入るのが上手い。

25名無しさん:2025/05/31(土) 19:39:23 ID:Nk67M/bI0
【名前】シンシア・ハイドレンジア
【性別】女
【年齢】29
【性格】他人から見た印象は、善良さがあり、冷静で話の通じそうに思える、自分の神禍に悩む女性。
実際の内面は、自分の悪行を神禍のせいにして責任から逃れており、反省も本気ですることはなく現状を追認している。
【容姿】"指示書"の影響で常に喪服のように黒一色の服を着ている。黒縁の眼鏡をかけた知的そうな印象を持つ、アイルランド系の黒髪の女性。
達成するべき"指示書"を保管し確認するための名刺入れを常に身につけている。
【神禍】
『誰かの指示書(ブランクディレクティブ)』
思想:他責思考
被害者でいたい。誰かのせいにしたい。指示されたからやったという理由が欲しい。

不定期にどこからともなく出現する紙片"指示書"に書かれた指示を実行する時、自分の身体能力を強化する。
シンシアが指示を達成できたと認識すると、"指示書"は消失する。

"指示書"の内容は平易なもの(特定の食べ物を食べる、特定の動作をするなど)から、解釈を必要とするもの(例えば、朝と昼の区切りを探す、木星とカエルの共通点を30個見つけるなど)、倫理に反するもの(例えば次に出会った髪の長い人物を殺害する、など)、自傷的なもの(例えば左腕に7本針を刺す、など)まで、全くランダムで法則性のないような指示として来る。

彼女が黒い服を着ているのは、"指示書"「黒一色で身を飾る」を達成するため。
目の色が黒よりはブラウンに近いため達成できていないと判断しているので、黒いカラーコンタクトを探している。
目を潰しても達成できそうだと認識しているが、それは最後の手段にしようと思っている。

本来"指示書"の指示を無視してもペナルティはないが、シンシアは口では不満を言いつつも必ず忠実に実行する。
指示を解釈することはあるが、意図的な曲解はしない。
この指示に従ったから、5年間生き続けているのだから。

【詳細設定】
シンシアは全球凍結前、核戦争を想定した大型シェルターを販売していた企業の従業員だった。
カリスマ経営者に憧れ入社したシンシアは、繁忙の中でも良く働き優秀さを認められていた。

シンシアが全球凍結の初期を生き延びることが出来たのは、会社がモデルケースとして作成していた大規模シェルターに入ることが出来たからだった。
しかし、氷河期の到来など想定していないシェルターは、神禍の発言と共に不安定さを増していく。

強力な神禍を発現した経営者はシェルターの安定のために圧政を敷き、シンシアは忠臣として振る舞った。
──"指示書"がそう命じた。

やがて経営者はシェルターの安定を乱す人物を追放、或いは殺すようになる。シンシアもそれを手伝った。
──"指示書"だってそう命じた。

破綻しゆくシェルターの中で、シンシアは経営者を殺し、残された物資を奪ってシェルターから逃げた。
──"指示書"がそう命じたんだ。

凍った世界で、シンシアはある時は他の生存者と協力し、ある時は殺し、ある時は略奪し、ある時は裏切り生き延びる。
──"指示書"がそのように命じたからだ。
──"指示書"が、こんな惨劇を命じたからだ。
──だから、一番悪いのは私じゃない。


なお、"指示書"の指示は一見完全なランダムに見えるようなものだが、実際には決定的な場面では必ず深層心理で"純粋に利己的に考えれば得な決断"と判断した内容を命じる。
シンシア自身も、それに気づいてはいない。

26名無しさん:2025/06/01(日) 02:20:16 ID:4X8vYB.U0
【名前】タツミヤ
【性別】男
【年齢】33
【性格】無口で警戒心が強く、自分の内面を見せないよう常に気を張っている。加えて感情表現が不器用なため、他者との関わりでは相手を怯えさせてしまうことが多い。
【容姿】フード付きの黒いダウンジャケットとマスクを着用し、常にフードを被っている。黒髪黒目。年齢の割に若く見えるが、目元には酷い隈が浮かんでいる。
【神禍】『深愛なる抱擁(ディープ・アフェクション)』
思想:特殊性癖、葛飾北斎「蛸と海女」への憧憬

肉体を媒介に蛸の特性を再現する。
強靭な筋肉組織と吸盤を持つ触手を生やしたり、吸い込んだ水や体内で生成した墨を加圧して吹き出したりできる。
触手には彼の言葉にできない想いが反映され、無意識のうちに相手に触れようとする習性がある。
これが相手を怯えさせる原因となることが多く、彼自身もこの衝動を持て余している。

【詳細設定】
邪神信仰教団で暗殺者として育てられた男。
古くから教団に仕える忍者の末裔一族に生まれたため、生まれた時から名すら付けられず、必要時には便宜上「竜宮」という姓を名乗っていた。
教義への理解もないままに指示された殺人を遂行するだけの人生だったが、世界が氷に閉ざされたことで教団は一切の活動を停止する。
それに伴い一族は離散し、タツミヤもまた独りで生き延びてきた。

文明崩壊後、神禍の覚醒時期は比較的遅く、廃墟となったとある図書館にて偶然葛飾北斎の画集を目にし、「蛸と海女」に衝撃を受けたことで肉体変化能力に目覚めた。
「蛸と海女」に対しては、特に女性と触手との間に悪い感情が無いかのように描かれていることに感銘を受けているが、自分の特殊な性癖を受け入れてくれる女性などいないと考えている。

27名無しさん:2025/06/01(日) 02:35:07 ID:aS0MnkfE0
【名前】
レイ・マンフレッド

【性別】


【年齢】
38歳

【性格】
表面上は皮肉屋で無関心を装っているが、根は寂しがり屋で愛情に飢えている。誰かに選ばれたい、必要とされたいという欲望を心の奥底に抱えており、それを素直に表現することができず、破壊的な形でしか人と関わることができない。自己嫌悪と虚無感に囚われながらも、完全には過去を断ち切れず、心のどこかで贖罪を求めている。

【容姿】
痩せぎすで顔色が悪く、常に眠たげな目をしている。顎髭は無精に伸び、髪も整っていない。古びたロングコートとブーツを身につけ、まるで過去の亡霊のような雰囲気を漂わせている。左腕には細かい傷跡が無数に刻まれており、薬物依存の痕跡が隠されている。

【神禍】
『懺悔を焼き尽くす剣(インクエスト・イン・フレイム)』
思想:「愛されなかった自分を、せめて力で証明したい」

巨大な業火をまとった剣を生み出し、対象の「罪の記憶」を引きずり出して焼き尽くすことができる。剣は実体と幻影の中間のような存在で、本人の精神状態に比例して炎の威力と範囲が変化する。罪を自覚し、悔いるほどに剣は強く、深く燃え上がる。
ただし、この神禍は「他者の罪を焼く」ふりをしながら、実際にはレイ自身の罪悪感を昇華するための行為に過ぎない。相手が赦しを乞おうが悔いようが、レイの心がそれを「赦せない」と判断すれば、炎は止まらない。

【詳細設定】
レイ・マンフレッドは、幼少期から父親に無視されて育った。存在を認めてもらえない孤独の中で、それでも父の一言、ひとつの視線を求めて生きていた。だが、父親は突如、他人の少年を養子に迎え入れる。その少年に「息子」の座を奪われた瞬間、レイの心は深く、静かに壊れていった。
どれだけ努力しても、自分は“最初から息子ではなかった”のだと痛感した彼は、やがて薬物に手を出し、自堕落な生活を送るようになる。唯一、父に会う理由は金をせびるためだった。そんな関係しか築けなかったことに、自分でも失望していた。

そして、ある日。
老いた父の家で、レイは養子と激しく口論になった。憎しみと嫉妬のぶつかり合い。子どもじみた罵声の応酬の末、それを見ていた父は、激しいストレスと悲しみで心臓発作を起こし、その場で死亡する。

その瞬間、レイの心に芽生えたのは「恐怖」だった。自分が殺したようなものだ、という罪悪感と、再び何もかもを失うという恐怖。
咄嗟に彼は嘘をつく。「養子が父を殺した」と。
それにより、本来なら養子が受け取るはずだった遺産の全てを、自らの手に収めた。
だが手にしたのは金でも贖罪でもなく、虚無だった。
金で満たされることも、酒や薬で忘れられることもない空っぽな現実。父の死によって、ようやく完全に「ひとり」になったことを、遅れて知った。
それ以来、レイは定期的に父の墓を訪れるようになる。誰にも言えない罪と、向き合いたくない過去を抱えながら。
墓前に立つたびに、彼は胸の奥で問いかける。
「お前の本当の息子は、俺じゃなかったのか?」
答えはない。
だが、それでもレイは墓に通い続ける。
それが、たった一つ、彼に残された「赦されたい」という願いの証だから。

その深い罪悪感と自己否定の感情が、神禍『懺悔を焼き尽くす剣(インクエスト・イン・フレイム)』として具現化した。
剣を振るうたびに他人の罪を焼いているように見えて、実はレイは自分自身を焼き尽くしたいのだ。だが、それすら叶わない。

彼の剣は「誰かに赦してほしい」と叫ぶ心の延長線であり、その炎は、誰よりも彼自身を裁いている。
今もずっと。きっと永遠に。

28名無しさん:2025/06/01(日) 02:51:09 ID:aS0MnkfE0
【名前】ジーザス(コードネーム)※本名は不明。出生記録や過去の身元は一切存在しない。
【性別】男
【年齢】おそらく30代前半(正確な年齢は不詳)
【性格】感情に乏しく、倫理や共感といった概念が欠落している。だが、それは冷静さではなく、“人間としての設計ミス”のような異物性から来る。唯一心を動かされるのは「他者が死に際に放つ絶叫」や「命の終焉に生じる静寂」。彼にとってそれらは芸術であり、純粋な快楽である。殺しを仕事ではなく「作品作り」として捉えている芸術家気質の殺人者。
【容姿】白いロングコートを常に纏い、どこか神父のような雰囲気を意図的に演出している。髪は銀色で、目は薄い灰色。顔立ちは中性的で整っているが、表情に人間味がまるでないため、異様な印象を与える。銃器を携帯していないように見えて、実際は手ぶらで現場に赴くスタイルを好む。
【神禍】
『受胎せし黙示の銃(アポカリプティック・チャイルド)』
思想:人間の“終わり”こそが、もっとも純粋な真理である。ならば自分は、その終焉を産み出す存在でなければならない。

ジーザスの神禍は、“己の内から銃を創造する能力”。それはまるで神が天より火を与えるかのように、彼の手の中で一瞬にして構成される。銃は形状も性能も任意で、時に古典的なリボルバー、時に対戦車ライフル、時に物理法則を超越した“ありえない”銃器となる。
ジーザスが銃を作る瞬間、彼には「誰をどう殺すか」が完全に見えており、それに最適化された殺意が具現化している。まるで“運命に組み込まれた死”のように、ジーザスの弾丸からは逃れられない。


【詳細設定】
”ジーザス”
。それはコードネームにすぎず、彼の本名も、記録も、過去の痕跡すら残されていない。だが一部の裏社会の住人は、「生まれなかった男」と呼ばれることもある。
氷に覆われたこの世界が、まだ“死にかけていた頃”。
ジーザスは、旧世界の地下に設けられた極秘の対心理兵器実験施設で育成された。人間の悲鳴や死の表情に生理的快楽を感じる異常者――というより、そのように“設計された”存在だった。
彼の役割は、凍結戦争の囚人や反乱者から情報を引き出す「尋問官」。ただし尋問は目的ではない。恐怖による支配の象徴として“公開処刑”を芸術的に行うための存在。
だが、戦争が終わり、世界そのものが氷に沈みゆくと、施設は閉鎖され、通信は断たれ、命令系統は崩壊した。
兵士たちは凍死し、研究員は発狂し、機械は沈黙した。
最後に残ったのは、誰もいない静寂と、それを歩く“死の器”だけ。
その沈黙の中で、ジーザスは自らの存在理由を再定義した。

「人間は死ぬときに最も純粋な音を発する」
「その音こそが、この凍りきった世界に残された唯一の“熱”である」
「ならば、自分は――その火を撃ち抜く者であるべきだ」

以来、彼は生き残った人々の間に現れ、誰に命じられるでもなく殺しを始めた。
だがそれは衝動ではない。選別された死だ。
“静寂の中で、最も美しい音を出す魂”を探し、その終焉を「作品」として完成させていく。
神禍『受胎せし黙示の銃(アポカリプティック・チャイルド)』は、まさに彼のその異常な思想が具現化したもの。
銃とは、“魂に撃ち込まれる問い”であり、
弾とは、“終わりを導く答え”だ。
死んだ者は凍りつき、沈黙する。だが、その直前にだけ、氷を砕くような“叫び”が生まれる。
それを聞くためにジーザスは殺す。
その音にだけ、彼は心を揺らす。
この世界に残された最後の火薬の音。
それを「祈り」と呼ぶ男。
――救世主(ジーザス)。

29名無しさん:2025/06/01(日) 03:09:41 ID:y/kv5hhM0
【名前】リズ/Liz
【性別】女性
【年齢】12
【性格】
 無口だけどマイペース。いつだって自分の好奇心とモチベーションを最優先に行動する。
 情や一般的な感性はあるものの、悲劇や不幸も現実は現実なので仕方ないと割り切れる。
 どんな世界、どんな時代でも生きていけるタイプの人間。たまに一緒に旅をする人間ができるけれど、いつの間にかいなくなってしまう。
【容姿】
 身長140cm、体重35kg。銀白色のロングヘアー。シャーマニックな防寒具を身につけており、全体的に民族風の趣が強い容姿。
 防寒と機能性を一挙に兼ねる優れもの。なんでも旅先で(なりゆき上)助けてやった相手に仕立ててもらった特注品なのだとか。
【神禍】
『凪いだ水面の登攀者(カラーレス・フォーリナー)』
思想:ままならない現実に文句を言っても仕方がない――という、割り切りの精神。
 あらゆる状況に"適応"する。普通なら命を奪うような過酷な状況も、この神禍の前では"ちょっとしんどい"くらいの塩梅にまで緩和される。
 例えば全球凍結下の超低温も、リズにとっては精々「厚着しないと寒いなあ」くらいの認識になる。
 普通の人間は生存できない超高温や、極端な例だと深海や宇宙空間に生身で投げ出されてもすぐに適応できるので問題ない。
 これは禍者との戦闘時にも応用が利き、点を狙った単一の攻撃には適用できないものの、逆に面での制圧を目的とする範囲攻撃はリズの神禍に"環境"であると認識されるため大幅なダメージ軽減と影響無視が見込める。
 旅の最中やむなく戦闘になった際には、この能力と持ち前の体術でなんとか切り抜けてきた。
【詳細設定】

 まだ知らない景色(もの)を見たい。知りたい。私が願うのは、ずっとそれだけ。

 社会が崩壊する前から親元を離れて世界中を巡り、難攻不落の霊峰や極地に挑み続けてきた冒険者。
 別に特別な過去があるわけではない。生まれた時から人より感情が薄くて、未知の世界への好奇心が人並み外れて強かっただけ。
 着の身着のまま旅をして、旅先でちょっと縁を作ってはまた次の場所に向かい、そこでまた縁を作っての繰り返し。
 別れや痛みに対して鈍感。心の痛みを"それはそれ、これはこれ"で割り切ることに異常なほど長けている。
 ある種の精神的無痛症。他人への情は抱けるし、悲劇に出会えば眉くらいは顰めるが、それもすぐに割り切れてしまう。
 全球凍結後の戦争で故郷の両親が死んだと聞かされた時も、一時間後には次の目的地に歩き出していた。
 それを歪んでいると指摘する者はいたが、何しろ割り切れてしまうので、いまひとつ実感が抱けないままここまで生きてきた。

 前述の神禍に加えて、生存と狩猟に特化した我流の体術を会得している。
 全球凍結下の地球を旅するのはすさまじいリスクを伴う。何しろ禍者に襲撃されることも決して珍しくない世の中だ。
 なのでその時は仕方なく殺してきた。何人殺したかは覚えていないが、十人くらいは殺しているらしい。正当防衛だからとは本人の弁。
 とはいえ理由ない殺しはまずしない。重ねて言うが情はあるのだ。ただ痛みを引きずらないのが上手いだけで。

30名無しさん:2025/06/01(日) 03:19:36 ID:4X8vYB.U0
【名前】ラタン・サリム
【性別】男
【年齢】22
【性格】礼儀正しく温厚で、困っている人を見過ごせない優しさを持つ。しかし理不尽な暴力や弱者への迫害には激しい怒りを覚え、普段とは別人のように激昂する。
【容姿】東南アジア系の浅黒い肌に短い黒髪。引き締まった体格で、常に竹製の長棒を背負っている。厚手の防寒具の下には薄手で簡素な道着を着用している。
【神禍】『水牛の暴走(ランパサン・カルバウ)』
思想:穏やかな者ほど、怒った時が一番恐ろしくあるべき。

自分の「怒り」の感情を物理的な重量に変換し、武器に込める能力。
怒りが強いほど棒の重量と破壊力が増大し、最大で通常の数十倍の威力を発揮できる。
軽い苛立ち程度なら棒が少し重くなる程度だが、激怒状態では建物を破壊するほどの一撃を放てる。
しかし重量増加に比例して自分の動きも鈍くなり、極度の怒り状態では棒を振るうのがやっとになってしまう。
また怒りが収まると重量も元に戻るため、感情のコントロールが戦闘の鍵となる。
普段は温厚な彼だが、理不尽な暴力や弱者への迫害を目の当たりにすると制御が困難なほど激昂する。
水牛のように普段は穏やかだが、一度怒ると手がつけられなくなる二面性を持つ。

【詳細設定】
マレーシアの田舎町で水牛と共に稲作を営む農家の息子として育った青年。
幼い頃から水牛の世話をしており、彼らの習性を熟知している。
町の道場で棒術を学んでいたが、氷河期の到来で故郷は凍土と化し、家族も水牛たちも全て失った。
絶望と怒りの中で神禍が覚醒。普段は亡き水牛たちのように穏やかで辛抱強いが、弱者が理不尽な目に遭う光景を見ると激昂し、制御を失いがちになる。
現在は各地を放浪しながら、同じように故郷を失った人々を助けている。
水牛への愛着は深く、凍土の下に眠る故郷の水牛たちの形見として、小さな角笛を首から下げている。

31名無しさん:2025/06/01(日) 03:56:55 ID:aS0MnkfE0
【名前】チャシャ・アリス
【性別】女
【年齢】9
【性格】無垢で快活。よく笑い、よく喋り、誰にでも話しかける。だがその純粋さは善悪を区別しない。人が死ぬことに痛みも悲しみも感じない。相手が泣くから、それが「よくないこと」だと学習するだけ。ルールも倫理も理解はするが、納得はしていない。残酷さが混じった無垢は、時に悪意よりも恐ろしい。
【容姿】薄桃色の髪に大きなリボン、ボロのワンピースを着た少女。肌は白く、目は宝石のような水色。常に笑顔でぴょんぴょん跳ねている。体はやせ細り、骨が浮き出るほどだが、それを気にする様子はない。

【神禍】
『おとぎの国の透明遊戯(アンシーン・アンバースデイ)』
思想:「いなくなっちゃえば、怒られないね!」

子供ならではの純粋な「隠れたい」という願いが発端。自分の姿が見えなくなるだけで、物理的な攻撃や触れ合いは普通にできる。気配や音も消えないから、完全なステルスでもない。
さらに、見られていないことで罪悪感を感じず、殺人や破壊行為に一切のブレーキがかからなくなる副作用がある。
この副作用はある種の精神汚染であり、時間経過と共に思考が他者への加害へと、アリス本人も自覚のないままに誘導されていく。
透明状態の時間は不定(精神状態と比例)。
透明状態での「遊び」が楽しいと感じるほど、能力の持続時間と効力が上がる。
効力が上がった状態では、気配や音がなくなるなど、”他者の感知されない”方向に能力が進化する。

【詳細設定】
元はヨーロッパ北部の地下都市の孤児院で暮らしていた少女。
親に捨てられた過去を持つが、その記憶は既におぼろ。
周囲の子どもたちがゴグ化や事故死で減っていく中、透明化能力を使って生き延びてきた。
遊び感覚で人の食料を盗み、隠れ、追われ、逃げる。それを繰り返すうちに、「見つからないことが正義」という歪んだ価値観が形成された。
数年前、自分を叱った保育士を透明状態で突き落とした際、誰にも気づかれなかったことが「勝利体験」として脳に刻まれた。
それにより「見つからなければ、悪いことをしてもいいんだ」という価値観が完成する。
以後は、自分が透明な間に悪さをする→見つからない→怒られない→もっとやる、というループに入り、「透明な自分は、ほんとうの自分じゃない。だから、なにしても大丈夫」という精神構造を形成。

寒さと飢え、暴力と喪失を生き延びる術として、この世界を「全部遊び」だと信じ込んでいる。
暴力も死も、彼女にとっては「おままごとの一環」に過ぎず、罪悪感は持たない。

32名無しさん:2025/06/01(日) 04:07:54 ID:aS0MnkfE0
【名前】バグズ・バグ
【性別】男
【年齢】28
【性格】穏やかな口調と柔和な物腰を持つ青年。礼儀正しく、どこか気品すら漂わせる態度を崩さない。だが、その内側にはねじくれた好奇心と倒錯した快楽主義が巣食っており、人の“秘密”や“本音”を暴くことにこの上ない興奮を覚える。とりわけ、苦痛の中で吐露される真実には「芸術的価値」があると信じて疑わない。
【容姿】肩まで伸びたややウェーブのかかった金髪を後ろで結んでいる。白を基調とした仕立てのいいシャツとベストを好み、拷問具とは似つかわしくない清潔感を漂わせている。目元は眠たげで、口元に常に微笑を浮かべているが、その笑みは冷たい。

【神禍】
『真理の疼痛(ドローレス・ヴェリタス)』
思想:真実は痛みによってのみ語られる。

触れた対象に激烈な痛覚を刻み込む神禍。
直接接触することで、対象に通常の感覚では味わえない苛烈な痛みを与えることができ、肉体的な傷がなくとも拷問が成立する。対象の精神状態や罪悪感に応じて痛みの種類・質が変化し、より深い“秘密”を引き出すほど痛みは鋭くなる。
この能力は、「苦痛は最も正直な言葉である」という確信に根ざしている。暴力ではなく、情報という“真実”を掘り起こすための手段としての痛み。
それがバグズ・バグにとっての神聖な作業である。

【詳細設定】
人類の崩壊後、いくつもの集落や勢力を渡り歩き、戦争・反乱・粛清の裏で“情報の提供者”として暗躍してきた。
その情報源の大半は「拷問による自白」であり、彼はそれを「口よりも誠実な情報収集法」として扱っている。
“バグズ・バグ”という名は本名ではなく、「秘密を暴く虫」「心の奥に巣食う害虫」として周囲から恐れられた通り名。
基本的には傭兵にも政治犯にも中立の立場で接するが、“面白そうな秘密”を持つ相手には目を輝かせて接近してくる。

極寒と暴力が支配するこの終末世界を、「人の本音がむき出しになる舞台」として心から楽しんでいる。
快適な生活や復興などには興味がない。バグズ・バグが望むのは、人がどこまで本性をさらけ出せるかという極限状態。
あらゆる混乱と悲劇は、貴重な資料であり、生きた芸術である。

33名無しさん:2025/06/01(日) 04:19:20 ID:aS0MnkfE0
【名前】マモン
【性別】女
【年齢】76
【性格】抜け目なく強欲、冷徹な判断力と商才を併せ持つ女傑。誰よりも金に執着し、そのためには命すら秤にかけることを躊躇わない。だが貧民出身の過去を忘れておらず、部下や庇護下の者にだけは最低限の生を保証する義理堅さも持ち合わせている。口癖は「生き残るのに大事なのは拳と懐じゃよ」。
【容姿】背は低く、痩せて皺深く、枯れ枝のような老婆。だが目は鋭く、微笑んだまま人を刺すような眼差しをしている。ボロ布を継ぎはぎにしたケープと、古銭や金属片で作った派手なアクセサリーを身につけている。見かけは粗末だが、その一部は高価な遺品や略奪品である。

【神禍】
『貪欲なる鋼の老腕(アヴィディタス・メルス・マニュス)』
思想:己の肉体こそ、最大の資産。

肉体強化能力。普段は貧相な身体を晒しているが、神禍を起動することで筋出力・骨密度・反応速度が飛躍的に上昇。
鍛え抜いた拳法と相まって、若者を遥かに凌ぐ戦闘力を発揮する。
持続には高い集中力と精神統一が必要で、欲望(特に金銭欲)に強く囚われているほど能力が高く安定するという特異な性質を持つ。

【詳細設定】
もとは終末前のスラム街で“質屋”を営んでいた老婆。暴力と貧困に晒されながらも、交渉術と素手の拳法で店を守り抜いた。
終末が訪れて以降、「価値」を見極める目と戦闘力を武器に、流通と略奪の狭間で暗躍する武装商団“ピクシーズ”を組織。現在はそのボスとして、他勢力すら無視できない経済的・軍事的影響力を持つ。
名の「マモン」は、富を司る悪魔から自ら取った通り名であり、本名を知る者は少ない。

マモンにとってこの終末世界は“最も血と金の匂いが濃い黄金期”。
正義も救済も信じていないが、守るに足る者のためには拳を振るう覚悟を失ってはいない。
欲望こそが生きる証。
新しい神や救世の話にすら、「それで相場がどう変わるか」の視点でしか興味を示さない。
ゆめゆめ忘れるなかれ。拳と懐が空になったら、そこで人生は終わりなのだ。

34名無しさん:2025/06/01(日) 04:41:01 ID:aS0MnkfE0
【名前】ラルフ・ローガン
【性別】男
【年齢】58歳
【性格】厭世的で粗暴。皮肉屋で人間嫌いを装っているが、実際は「守れなかった者たち」への贖罪を抱えている。不器用に他人を突き放しながらも、正義感や誠実さを完全には捨てきれない“頑固な老犬”タイプ。神や信仰に対しては憎しみに近い絶望を持っており、善意や希望を口にする者には強く噛みつく。
【容姿】頭髪は完全に禿げ上がり、皺の刻まれた額と鋭い目付きが印象的。長年の鍛錬を感じさせる筋肉質な体躯を持ち、無駄のない動きが際立つ。いつもボロボロの軍用コートを着ており、中には使い古された一本のレイピアが仕込まれている。

【神禍】
『瞬きよりも速く(エクス・テンペスト)』
思想:神なんぞ待ってられるか。助けたきゃ、自分の脚で走れ。

──祈っても、叫んでも、あの時、娘は助からなかった。
だからラルフは決めた。神に救いを乞う時間があるなら、自分が誰よりも速く動いて、奪われる前に守ると。
その信念が歪み、視界がスローモーション化する超加速の神禍を発現させた。時間を引き伸ばしたような感覚の中でも、ラルフは動体視力と剣技で一撃必中の「突き」を放つことができる。
ただし、この力は「何かを守りたい」という原初の衝動からしか発動しない。

【詳細設定】
ラルフ・ローガンは、かつて武門の家に生まれた男である。
文明の瓦解以前、彼の家系は旧時代の儀礼的な騎士道を受け継ぎ、剣術を家業としていた。だが世界が崩壊して以降、そうした名誉や伝統は無価値となり、ラルフもまたただの剣を振るう老人となった。
娘は唯一の希望だった。聖職者の道を志し、自らの命を奉じて人を救おうとした少女。だが過酷な寒さと略奪、そして力を持つ者たちの理不尽な暴力の中で、その娘は無惨に命を落とした。何の意味もなく、誰にも悼まれず。
その喪失はラルフの信仰を完全に打ち砕いた。神などいない。いたとして、そんなものは信ずるに値しない。ただ生きる。剣を振るい、自分が納得できる死に場所を探している。かつての騎士の誇りも、父としての後悔も、すべてを心の奥底に押し込めて。
神禍に目覚めたのは、娘の死の直後だった。「救いたい」という願いは決して力にはならず、その代わりに彼の中に残ったのは、「奪われる前に先んじて動け」という戦場の直感だった。
それが今の彼に与えられた力、常人の目では追えぬ速さで動き、殺すために突く神禍の正体である。

35名無しさん:2025/06/01(日) 04:52:04 ID:aS0MnkfE0
【名前】九条 流我(くじょう りゅうが)
【性別】男
【年齢】15
【性格】静かで無感動に見えるが、内には強烈な美意識と偏執を抱える。液体の形、動き、温度、色……そのすべてに陶酔的な執着を示す。特に“流れ”に対しては神聖視に近い感覚を抱いており、自らを「この世界の最後の川」だと本気で信じている。その信念に反するもの(流れを堰き止める者、乾き、固着、静止。特に、『氷』)は、「美しさを壊す者」として憎悪の対象となる。
一人称は川(おれ)。
【容姿】艶やかな黒髪を無造作に垂らした、無表情な美少年。極端な色白で、どこか濡れたような艶を肌に帯びている。服はかつての雨具を改造したような防水コートを羽織っており、その裾は常に濡れて重く垂れている。首元には、乾いた川底で拾ったという砕けたガラス瓶の欠片をペンダントとして吊るしている。

【神禍】
『常しえの滴下(ドリップ・アーキタイプ)』
思想/信念:この世界に残るべきは“流れ”だけだ。あらゆるものは、固まる前に美しく滴れ。

あらゆる液体を自在に操作・変質・創出できる。
既存の水・血・油・毒などを温度、密度、圧力ごとに操る他、空中から微量成分を抽出し“液体化”することも可能。
液体の塊を刃とする、血を操る、凍らせて罠とするなど応用力に富むが、操作対象は“液体”に限る。
「液体」と認識される範囲には非常に厳格で、彼の感性に“美しくない流れ”は操作不能。

【詳細設定】
かつて科学者の家系に生まれ、幼い頃から蒸留装置や試験管に囲まれて育った。
「液体はすべてを溶かし、混ぜ、還元する。絶えず形を変えながら全てを抱擁する最も完成された形態だ」と教え込まれ、それが彼の世界の全てとなった。
神禍の発症は、彼が“乾いた死体を美しくない”と拒絶し、生きた血液を「まだ動いている」と魅了された時に始まる。
自らの体液を使って絵を描き、血を流す者を「最も美しい存在」と讃えるなど、倒錯した美学に呑まれながら、それを正義だと信じている。

彼にとって、この死にかけた世界は「美の残滓(ざんし)」でしかない。
氷結した川や、凍り付いた血管、蠢動を止めた目玉、永遠に閉じた口――すべてが“流れを失った死骸”として忌むべき対象。
その中で、ほんの少しでも血を流す人間、吐く人間、涙をながす人間、生きている人間には「まだ流れている命」として美を見出す。
だから彼は殺し合いの中で、自分以外の人間の「最後の一滴」を見届けることを己の使命と信じている。
静かに、そして歪んだ愛情を持って、流れる者たちを見届けるために行動する。

どうか、諦めないでほしい。
生き、流れる我々は、流れるがゆえにどこまでも往くことができるのだから。

36名無しさん:2025/06/01(日) 05:38:01 ID:aS0MnkfE0
【名前】トーマス・レッドフィールド
【性別】男
【年齢】16歳
【性格】楽天的で陽気、誰とでも気さくに打ち解ける社交性の高さを持つが、その明るさの裏にどこか焦燥と諦観が滲む。勝負事に強く執着し、どんな場面でも「賭け」に持ち込もうとする。人を試すような言動も多く、信頼関係を築くには一筋縄ではいかないタイプ。弟のためなら、自分の命すら「賭けの種」にしても構わないと考えている危うさを内包する。
【容姿】茶色の無造作な短髪に、常に笑っているような狐めいた目元。華奢な体型で年齢より幼く見えるが、指にはギャンブラーらしくいくつかのリングとサイコロ型のペンダントをつけている。よれたベストにストライプのシャツ、つぎはぎのズボンといった小汚い格好だが、不思議と品を感じさせる。

【神禍】
『運命を焼く賭火(フォルトゥナ・イン・フレイム)』
思想:運命は操作できない。だから、燃やしてしまえ。

触れた物体に自身の意思で高熱の火を宿らせ、焼き尽くす能力。炎は通常の火と異なり、燃焼対象の“意味”や“価値”に反応して強さを変える。
たとえば紙幣や宝石といった「価値のある物」を燃やせば爆炎が生まれるが、石ころのような「無価値な物」では火種すら点かない。
この能力の根底にあるのは、「この世界の運や価値は不平等に過ぎる」という、少年の拗れた世界観への反発である。
己の不運と向き合い、弟の命を繋ぐため、世界を燃やしてでも賭けに勝つという強烈な願望が、神禍として昇華された。

【詳細設定】
トーマス・レッドフィールドは、滅びかけた旧ロンドン郊外のスラム街に生まれた。
父は早くに蒸発し、母は難病を患った弟に薬を与え続けるため、薬物の運び屋に身を堕とした末に死亡。以来、兄弟は身寄りもなく、生きるために街のギャンブル小屋を渡り歩くようになる。

少年は気づいていた。この世界では、運のいい奴が生き残る。
それは知恵でも力でもない。運こそが命を握っている。
だからトーマスは運を操る術として賭け事を磨いた。
イカサマもブラフも駆使し、喧嘩すら「ゲーム」に変える。
だが、どれだけ勝ちを積み上げても、弟の命は延びなかった。

ある時、金貨を山のように抱えたトーマスの手から、弟の小さな心臓が零れ落ちた。

あの時、彼の心に火が灯った。この世界の“運命”ごと燃やしてしまえ、と。
神禍はその瞬間、発現した。
この力は運命を壊すための火であり、弟を奪った世界への反抗なのではないか、そう思った。
以来、トーマスは「まだ勝負の最中」と信じ続けている。
もう一度だけ、最後の賭けができるなら、今度こそあいつを取り戻せると。

崩壊した都市のスラムで、賭博と情報の仲介を生業としながら生き延びていた。
腕一本でギャンブルを勝ち抜く少年として界隈では名が知れていたが、孤独なまま、「弟の幻影」と共に生きていた。
誰とも深く関わらず、勝ち続けることが生きる意味であり、価値だった。

ある日、ルクシエルの癒しの奇跡を耳にする。
もし本当に死んだ奴も癒せるようになるなら――。
その瞬間、少年の中で世界に再挑戦する火が再燃した。

37名無しさん:2025/06/01(日) 06:27:14 ID:aS0MnkfE0
【名前】ゴグマゴグ
【性別】男
【年齢】20歳前後(正確な年齢は不明)
【性格】常に無表情で淡々とした口調。感情は存在するが、社会的な共感や倫理観を持たない。「人を傷つけてはいけない」という概念を理解していない。それゆえ、残酷な行為すら子どものような純粋さで実行する。美しいもの、面白いものには目を輝かせるが、それが他者にとっての地獄であっても罪悪感はない。
【容姿】白い肌に銀灰色の髪。左右非対称のオッドアイ(片目は金、片目は黒曜)。無機質な表情が常で、衣服は古びたマジシャン風のローブをまとい、首元には壊れた懐中時計を提げている。
【神禍】『幻滅する手品師(ディスイリュージョニスト)』思想:「現実はつまらない。だから面白くしてみせる」視界内の物体・生物の因果律を“トリック”として改変し、虚構の現象を現実に変える魔術(マジック)。例えば「この鳩は帽子から出てくる」「この人間は真っ二つになっても生きている」など、観客(=対象)が信じれば信じるほど、現実に成立する。ただし、信じられなければ成立しない。また、一度でも“種明かし”されるとそのマジックは二度と使えなくなる。

【詳細設定】元は旅芸人の一座で生まれ育ったが、幼少期に座長を含む大人たち全員が虐殺された事件に遭遇。笑顔のまま動かなくなった死体を見て「人は簡単に消える」と知った。以後、彼は「このつまらない現実」をマジックで塗り替えることに固執するようになる。残酷なイリュージョンの中で人が死んでも、それが面白く美しければそれでいい、という歪な純粋さを持つ。
ゴグマゴグは、荒廃した世界を「退屈で失敗した舞台劇」と捉え、それを自らのマジックで塗り替えることを使命としている。食料も寝床も彼にとっては“舞台装置”でしかなく、生存よりも「演出」としての生死のほうに強く興味を示す。戦闘では相手の理解を逆手に取った“嘘の奇跡”を現実に変えながら愉悦を覚える。

38名無しさん:2025/06/01(日) 06:34:49 ID:aS0MnkfE0
【名前】バラケル・デュラン
【性別】女
【年齢】16歳
【性格】理知的かつ冷静。誰に対しても一歩引いた態度を取り、自分の心の内を見せることは少ない。利のない戦いを嫌い、徹底して狡猾に立ち回ることを是とするが、それは敗北が許されないという強迫観念から来ている。誇りを重んじるが、それに縛られる者を内心では愚かとも思っている。
【容姿】鍛えられた細身の肢体に、深紅の外套を羽織る少女。黒髪を一つに結わえ、瞳は青灰色。鎧の一部を裁ち落とした軽装を好み、利便性を優先するが、その佇まいにはどこか旧時代の騎士の影を残す。

【神禍】
『刃に堕ちる誇り(グロリア・カタストラ)』
思想:「誇りだけで勝てると思うな。勝たなければ誇りなど意味がない」

斬撃力を著しく強化する神禍。
金属・肉体・魔力障壁問わず、切れ味が敵意に比例して鋭くなる。
敵を明確に「倒すべき存在」として認識するほど能力は高まるが、誤認や迷いがあると逆に切れ味が鈍る。誇りを語る父と、無様に散った騎士たちを見て育ったバラケルが抱く、「誇りなど勝利と比べれば意味がない」という歪んだ思想から生まれた。

【詳細設定】
騎士の家に生まれ、幼少期から武と礼節を叩き込まれて育つ。しかし、敵対勢力による理不尽な暴力の前に理想を貫き命を落としていく父や兄たちの姿に、彼女は「誇り」そのものに疑問を抱くようになる。人を救えない信念に価値はあるのか――。やがてバラケルは、誇りを表に掲げつつも、裏ではその言葉を冷笑し、確実に勝てる手段を選ぶようになった。周囲からは騎士の系譜を継ぐ天才と称えられたが、当人にとって騎士道は信仰ではなく「武装した交渉術」に過ぎない。父と兄の死をきっかけに家を出奔、自由を得るため生存競争の世界へ身を投じる。バラケルは他人を「交渉相手」として見る癖がある。信頼も好意も、それが自分の生存に資するかどうかが判断基準だ。ただし、情がないわけではなく、取引の中で思わぬ感情を抱いてしまうことに本人も戸惑っている。終末の世界では、信念に縋る者ほど早く死ぬ――そう思いながらも、彼女はどこかで「誇りの美しさ」に惹かれ続けている。敵として相対する者が誇りを守って死ぬ姿に、嘲笑と同時に、嫉妬にも似た感情を覚えることがある。

39名無しさん:2025/06/01(日) 07:30:15 ID:lb9krc2w0
【名前】チェリー・ボム
【性別】女
【年齢】38
【性格】刹那的。破壊的。凶暴。豪放磊落にして大胆不敵。ロックをこよなく愛する。
【容姿】赤く染まったパンクなショートヘアの英国人女性。分厚く着込んだ毛皮付きボマージャケットにはワッペンなどの装飾が付けられている。
【神禍】
『雷帝疾走(ワイルド・ワン)』
思想:世界はじきに終わる。ならば目が眩むほどの栄光に包まれながら駆け抜けたい。

閃光のように迸る電撃を自在に操る。
高圧の電撃で敵を直接攻撃する他、自らの体内電流を活性化させて身体能力を大きく上昇させることも出来る。

この能力を用いることで無機物を強引に駆動させ、その性能を限界まで引き出すことができる。
彼女はバイクやスノーモービルなど数多の乗り物を稼働させ、凍土を走破する「暴走族」を形成していた。

【詳細設定】
凍土の暴走族。氷河期のカリスマ。
黙示録のロックンローラー。
人類最後の女傑(ワイルド・ワン)。
ハード・ロックが聴こえたなら、迷わず逃げろ。
命知らずの狂犬どもがやってくるぞ。

略奪集団の女リーダー。
掻き集めた旧時代の乗り物を自らの神禍で稼働させ、「暴走族」を結成して各所を荒らし回っていた。
同じく神禍で稼働させたラジカセから大音量でハード・ロックを轟かせながら、彼女達は暴走を繰り返す。
多数のゴロツキ達を従え、彼らからはカリスマ的存在として崇拝されている。

彼女は仲間達と共に破壊を繰り返す。
死の匂いを纏い、刹那的に駆け抜けていく。
まるで破滅へと向かう叫びを上げるかのように。
世界の終わりへと生き急ぐように、彼女はロックをけたたましく掻き鳴らす。

40名無しさん:2025/06/01(日) 11:54:38 ID:aS0MnkfE0
【名前】小日向 純也(こひなた じゅんや)/通称:“ハーメルン”
【性別】男性
【年齢】46
【性格】無気力・皮肉屋・観察眼鋭く冷静。過去に情熱を燃やした痕跡を感じさせるが、現在は虚無的でどこか諦観している。人との距離を常に一枚隔てて接するタイプで、理屈っぽくもある。
【容姿】くたびれたトレンチコートと中折れ帽がトレードマーク。痩せ型で、顎の無精髭が年齢以上に老けた印象を与える。目は眠たげで焦点が合っていないようにも見えるが、油断した相手の内面を射抜くような一瞥をすることがある。

【神禍】
『共振する真理(ヴァイブレート・トゥルース)』
思想:真実は揺さぶられる時にしか露わにならない。

手にした物体を高周波で振動させ、内部構造や結合を破壊する。刃物は超振動刃に、杖や棒は衝撃波を生む打撃兵器へ変わる。
言葉や証拠で真相を解明することを望んでいたが、冷え切った世界で“壊すことでしか真理に触れられない”という結論が歪んだもの。

【詳細設定】
かつては理想に燃えた探偵だった。
治安が崩壊しきった世界で、弱者のために“真実”を掘り起こす存在になろうとした男。

しかし、依頼人は次々と死に、真実を明らかにしても何も変わらない現実を前に、彼の情熱は風化していった。
ある日、助けたはずの子供に背中を刺され、「あんたのせいで俺の居場所がなくなった」と告げられた。
それ以降、“探偵”を名乗ることは皮肉でしかなくなった。
“ハーメルン”という異名は、かつて彼が救った子供たちに付けられたものであるが、本人はそれを嫌っていない。

彼は今、“探偵”の看板を掲げながら、もっぱら物資の取引や死体の始末、依頼人の遺言の代読など、人がやりたがらない「終わった事後処理」を請け負っている。
人助けとは違う。
自分が動いたところで、誰も喜ばないし感謝もされないと分かっている。
ただ、それでも彼は「まだ何かを見ておく必要がある」と思っている。
記録者のように、滅びていく世界の断片を拾い集めながら、今日もまた無表情に灰色の雪を踏みしめて歩いている。

41名無しさん:2025/06/01(日) 14:49:31 ID:n5RDRupk0
【名前】佐藤椿(さとう つばき)
【性別】女
【年齢】28
【性格】一人称は「私」。温和で聞き上手。人の話にじっくり付き合って、頼まれ事もよく引き受けてくれたので、組合員からの好感度は上々だったという。 ※当時の勤務先での評判を大まかにまとめた内容。
【容姿】日本人女性としては中肉中背。セミロングの黒髪、やや垂れ目、ふっくらした頬。威圧的な印象を受けることはまず無い雰囲気。
【神禍】
『私という遺産(オンリー・ミー)』
思想:あの人に生かされた命を喪いたくない。

手で触れた任意の飲食物を『毒入り』に変える。
飲食物の見た目や味は一切変化せず、いかなる方法によっても『毒』を検出することはできない。
この『毒』は未知の物質なのか、または呪いの類なのか、椿自身にもわかっていない。
ただ、摂取した者が一分以内には苦しみに悶えながら死に至る必殺の『毒』であること、
どんな生物に対しても有効だが、椿だけが唯一この『毒』を食べても全く平気であるということは理解している。
なお、触れる過程としては飲食物本体ではなく、容器や包材の上からでも可。

【詳細設定】
日本のある協同組合の配達員として働いていた女性。両親は早くに亡くしていて、他の親族との付き合いもない。
担当エリアの組合員の一人である『サチコさん』という老婆が、ある日突然「いつか地球が永遠の冬を迎える」と怯え悲しむようになった。
ただの妄想だろうとしか言いようが無い話だったが、孤独な生活環境にある老人の唯一の話し相手として、『サチコさん』を励ます日々を過ごすこととなる。
数年ほど経ってから『サチコさん』は老衰により逝去し、遺言により彼女の遺産は全て椿が相続することとなった。
ただし、その形式は金銭ではなく。大量の保存食、薪材や防寒具等のサバイバル用品、到底読み切れないような冊数の書籍、これらを保存するために生前の時点で財産をはたいて開設したらしい地下倉庫といった、「冬を生き延びるための手段」であった。

そして、「全球凍結現象」が発生したのは、相続の完了からおよそ三ヶ月後のことであった。

『サチコさん』の遺産のおかげで、椿はどうにか一人で食い繋ぐことが出来ていたが、そんな安寧も程なくして脅かされることとなる。
数名の男女が、地下倉庫を襲ってきた。葬儀周りの数日間しか顔を見せなかった『サチコさん』の息子夫婦と、遺産の相続に立ち会った元弁護士が、協力して『サチコさん』の遺産を椿から強奪するためだった。
暴行を受けて倒れた椿を尻目に、我が物顔で『サチコさん』の遺産の全てを手中に収めようとする彼等の姿を見つめながら、椿の神禍は目覚めた。
せめてもの抵抗として両腕で庇っていた缶詰を嘲笑いながら取り上げた息子夫婦は、戦利品のようにその場で缶詰を開封。中に入ってた乾パンを仲良く揃って口に入れて飲み込み、そして死んだ。
二人の唐突な死を目の当たりにした元弁護士は、椿が精一杯の言葉で脅した途端、恐怖と混乱に喚きながら逃走していった。その後の行方は知れない。

その日以降、椿は自分なりに神禍を活用することも覚えつつ、変わらず保存食の在庫を磨り減らしながら、なるべく目立たずひっそりと命を繋ぎ続けている。
なぜ『サチコさん』は「全球凍結現象」を予知することができたのか。その真相を知ることは、椿には叶わない。
確かなのは、『サチコさん』の遺産は今もここにあるという一つの事実である。

42名無しさん:2025/06/01(日) 16:18:30 ID:y/kv5hhM0
>>29のキャラシですが、全球凍結から五年が経過していることを失念していたので、年齢を14歳に修正させていただきます。
申し訳ありません。


【名前】シャーリー・ヴェルナティア/Shirley Vernatia
【性別】女性
【年齢】17
【性格】
 穏やかで善良。誰かの涙に心から共感し、少しでも安らげるように寄り添える優しい少女。
 この崩壊した世界の中にあっても神を信じ、祈りを捧げることを怠らない。
 一方で自己評価はとても低く、自分は至らない人間だと事あるごとに自罰しがち。
【容姿】
 身長150cm、体重44kg。黒いシスター服に身を包んだ薄桃色のロングヘアー。毛量多めでふわふわしている。
 頭のヴェールには装飾として十字架があしらわれていて、首からは家族の形見のロザリオを下げる。
【神禍】
『我、皆を照らす灯火たれ(ラブ・ユア・ネイバー)』
思想:試練の中にあっても、大切な人達と共に生きたい
 自分と、自分が大切にしたいと願う人間に加護を与える。
 加護はシャーリーを中心とした半径三百メートルの円形で展開され、彼女が生存している限り常時展開される。
 肉体強化と精神の安らぎを提供することができ、毒や病気の進行も大きく遅らせることができるまさに"加護"と呼ぶべき力。
 ただし神禍は呪いの力であり、誰かを殺すための力である。隣人を愛せと謡う加護(これ)もまた、その例外では決してない。
 シャーリーの優しさは彼女が大切と思う人間にしか降り注がず、その寛容からあぶれた人間には重圧と消耗という形で押し付けられる。
 隣人を愛せと言いながら、愛する対象以外を排斥する都合のいい日だまり。
 シャーリー・ヴェルナティアは自分の神禍の本質に気付き、常に苦悩している。
 だから彼女はいつも常に、誰より優しい人間であれるようにと自分を律するのだ。
【詳細設定】

 わたしたちは試練の中にいる。辛い日々だからこそ、せめてわたしだけは皆に優しい灯火でありたい。

 どこにでもある教会で生を受け、物心ついた時から神の教えと共に生きてきた。
 何ひとつ不自由なく、悪徳を育むこともなくすくすくと成長し――十二歳の時に全球凍結の日を迎える。
 戦火の中で両親と死に別れてからは、命からがら町を脱出し、郊外の田舎で小さな集落に加わって暮らしていた。
 暴力が支配する極寒の時代の中で、シャーリーの集落は彼女の神禍のおかげで比較的平和だったし、死人の数も少なかった。

 しかし、ある時少女は気付いてしまう。
 自分の好きな人達が健やかに暮らす一方で、乱暴者や強欲な人間はみるみる衰え弱っていくこと。
 自分は誰もを照らすのではなく、好きな人だけを無意識に選りすぐって照らしていたのだということに。
 その日からずっと、シャーリー・ヴェルナティアは優しくあることに囚われ続けている。
 誰より優しく寛容に。今度こそ、誰の命も取りこぼさないみんなの灯火であれるように。
 ――救世主みたいに、あれるように。

43名無しさん:2025/06/01(日) 18:15:23 ID:aS0MnkfE0
【名前】ギース・ヨルムンガンド
【性別】男
【年齢】39歳
【性格】陽気で皮肉屋。だが内には、神や正義を嗤う冷酷な合理主義者としての一面を秘めている。人間の欲望と暴力を信じており、世界が滅んでもそれだけは不変だと考えている。
【容姿】頬に浅黒い焼け跡のある中東系の顔立ち。肩まで伸びたボサボサの黒髪をゴムでまとめ、軍用のロングコートに身を包む。身体のどこに何の銃を隠しているのか分からないほど、全身に武装を仕込んでいる。

【神禍】
『万象弾庫(パンドラ・ロア)』
思想:人間の本質は破壊であり、銃はそれを最も純粋に体現する“神”である。

どのような状況でも、手にした銃器は即座に作動し、残弾や整備状況、気候条件に一切影響されず、必ず正常に発砲される。
さらに、銃器の性能や特性を極限まで引き出す“最適化”が自動的に行われ、トリガーを引くだけで最も効果的な形で弾丸が放たれる。
ただし「自分の手で持つ銃火器」に限定され、他者に貸したり遠隔操作することはできない。

【詳細設定】
凍土の中、古代の軍事用地下シェルターを改造したアジトを持ち、旅商人のように各地の武装勢力を渡り歩いている。
「弾とメシを交換する」のが定番スタイルで、銃器一丁で村一つと交換することも珍しくない。
また、“神禍に対応した兵器の密造”にも手を出しているという噂があり、単なる商人ではなく戦争のブローカーとして活動している一面もある。
いずれ自分も殺されると確信していながら、神と人間、どちらが最後まで笑うかを見届けようとしている。

全球凍結の5年前、ギース・ヨルムンガンドは国境なき武器商人として、飢餓、内戦、粛清が日常のように起きる紛争地帯を渡り歩いていた。
そこでは思想も宗教も、自由も正義も、銃の火力の前にはただの飾りに過ぎなかった。
寒波が訪れ、世界が終わりはじめて、彼は一つの気づきを得た。

それでも人間は、撃ち合いをやめない。
──暴力は死なない。

以降、気候がどうあろうと人間が死に絶えようと、欲望と殺意のあるところに銃を届けるという信念のもと、武器を売り続けてきた。
取引先は集落の独裁者、流浪の盗賊団、地下教会など。

44名無しさん:2025/06/01(日) 18:39:49 ID:aS0MnkfE0
【名前】カセッティ・イズニア
【性別】男
【年齢】38歳
【性格】冷静沈着で理知的。人を見下す癖があり、情を切り捨てる思考が染みついている。だがその裏には、過去に誰かを救えなかった悔恨があり、自分の感情にすら自信を持てなくなっている。傭兵稼業に身を置く今も、人を斬る時だけは迷いを殺すために「吸血鬼」の仮面を被っている。
【容姿】痩身でしなやかな体格。青白い肌に血の気は薄く、切り揃えられた黒髪。左目には赤い義眼を入れており、右目には十字の切り傷がある。着ているのは旧時代の警察制式服の上から黒いマントを羽織ったもの。腰には細身の軍刀。

【神禍】
『渇愛なる鮮血の真祖(ネイサンス・ノワール)』
思想:「救えなかった命を忘れたくない。だからこそ、自分の体に刻みつけたい」

自身の身体を吸血鬼のような存在に変質させる神禍。
夜目・身体能力の強化・自動再生・致命傷の無効化を代償なしに得ることができる。
他者の血液を摂取すれば記憶の一部を読み取ることができる。

【詳細設定】
元は警官だった。
かつては人を守る職業を誇りに思っていたが、全球凍結による世界崩壊の初期、彼が守っていた街区は略奪と暴力の嵐に飲まれ、家族も部下も庇いきれず失われた。

誰も助けられなかった。
市民は彼を責めた。
彼は自らを責めた。
その罪を忘れまいと、カセッティはあえて「人を救う警官」の皮を捨て、「人を狩る怪物」として生きる道を選んだ。
それが生き延びるためだったと同時に、贖罪でもあった。

神禍は、彼が死の淵で抱いた願いによって発現した。
「誰かの血を啜るたびに、その死を、自分に刻みたい」。
誰かが死ぬたびに、自分に痛みを刻み、それを背負って進む。そうすれば過去の自分を殺せる気がした。

現在は“吸血鬼”という異名を持つ傭兵として、都市の瓦礫を拠点に独り傭兵稼業をしている。
報酬は物資ではなく、仕事を請ける基準はただ一つ、「殺す価値のある奴かどうか」。
必要最低限の食料と寝床さえあればいいという暮らしを続けており、人との関わりは避けているが、なぜか孤児や子供に対してだけは無意識に庇ってしまう癖がある。
そんな自分に気づくたびに、彼は眉間に皺を寄せて「また化け物になりきれなかった」と自嘲する。

45名無しさん:2025/06/01(日) 18:49:48 ID:aS0MnkfE0
【名前】ジーク・ベックマン
【性別】男性
【年齢】38歳
【性格】外面は芝居がかった扇動屋で、虚勢と誇張を愛する小物。しかし身内や部下には徹底して義理堅く、裏切りは決してしない。臆病で保身的でありながら、自分を誤魔化しながらも、「誰かの恐怖の盾」になることだけは忘れなかった。
【容姿】背は低めでずんぐり体型。くたびれた高級スーツを着崩し、左頬には銃創の傷。常に葉巻をくわえ、革の手袋を欠かさない。見た目だけは「ギャングの顔」を演じきっているが、疲れきった目が常に泳いでいる。

【神禍】
『虚勢の軍勢(パレード・フォース)』
思想:「恐怖は力になる、見せかけでもな」

現実に干渉可能な幻影兵士(最大5体程度)を常時召喚できる。
兵士はそれぞれ銃火器を持ち、命令に忠実。
外見も質感も本物に見えるが、実体は“ジークが持つ虚勢・恐怖・承認欲求”そのもの。
心が弱るほど兵士の数や精度が乱れ、逆に自信に満ちるほど幻影の実効性は上がる。ただし、幻影が傷つけるたびにジーク本人の精神も摩耗し、“自分が本物か幻か”という自我の危うさが加速する。

【詳細設定】
ジーク・ベックマンはかつて、国家に仕える警官だった。
腐敗しながらも秩序の名を借りた暴力の世界で、彼は“市民の敵を取り締まる”という虚構に乗っかって生きていた。
だが全球凍結が始まり、国家も秩序も崩壊すると、彼が信じていた正義は何の支えにもならなかった。
仲間の裏切りと略奪。銃声の中で市民を守れず、上層部は逃げ、家族は寒さに死んだ。

虚無の中で彼が拾ったのは、かつて敵視していたギャングの残党だった。
彼は過去を捨て、警察官であった事実すら偽り、「ジーク・ベックマン」というギャングのボスとして再出発した。
最初はハッタリと声の大きさだけで人を従わせた。
自信などなかった。
だが、部下が死ねば弔いを欠かさず、食料があればまず配り、身代わりにも立った。
そうやって、「小物が義理を通す」姿を周囲は徐々に信じていった。

神禍で召喚した兵士へ、ジークは時に話しかける。
かつての同僚、死んだ部下、あるいは家族の声が、幻影の中に聞こえると錯覚している。
彼は気づいていないふりをしているが、もう自分が「善だった」のか「悪だった」のか、わからなくなっている。

そんな男が部下の前で、今も派手な身振りで演説をぶち上げる。
だがそれは、誰よりも孤独を恐れる男の悲鳴にも聞こえる。

ジークは今、ある凍結都市の地下に拠点を構え、十数人の部下を率いて生活している。
かつての軍施設跡を占拠し、武器と食料をかき集めながら、周囲の弱小グループに“組織”としての保護を提供することで影響圏を広げている。
名声を得ることに執着しており、ラジオや落書きで「ジーク・ベックマンここにあり!」と喧伝するなど、滑稽ともいえる広報活動をしている。

一方で、部下の死には過敏に反応し、敵に対しては激しい報復を誓う。
彼にとっての「名声」は、世界に自分が存在した証を残すための手段であり、それが失われることは“死”より恐ろしい。ギャングのボスを演じることでしか自我を保てないジークは、今日も笑い、吠え、虚勢の幻影たちとともに氷の街を生き延びている。

46名無しさん:2025/06/01(日) 18:59:08 ID:aS0MnkfE0
【名前】ノース・スプリンジャック
【性別】女性
【年齢】49歳
【性格】苛烈で容赦ない。敵にも味方にも妥協を許さない厳格さと冷酷さを併せ持つが、内心では自分にしか聞こえない声で「もっと優しくあれ」と常に呟いている。信念は強いが、決して不動ではない。
【容姿】切り揃えられた銀灰のショートヘアに、鋭く跳ねた眼尻。寒冷地仕様の軽量戦闘服に身を包み、腰にはナイフ、銃火器、そして音もなく作動する携行式スレッジ(重鈍な打撃武器)を下げている。傷跡はすべて隠しているが、首筋に古い銃創の跡がある。

【神禍】
『運命、秒読み(テン・セカンズ・オブ・サイレンス)』
信念:「間違いを、繰り返さない」

10秒先までの未来予知が可能。
肉体的な反射能力ではなく、“最も確率の高い未来”を予測する冷静な判断力を神禍が補完している。
ただし、未来の情報に依存しすぎると信念が鈍り、予知の精度が下がる。
神禍の本質は「後悔と修正」であり、己の過ちを先に知り、それをなぞるか否かを選び直す能力とも言える。

【詳細設定】
ノース・スプリンジャックはかつては北米某所の外資系企業で働く平凡なOLだった。
日々のデータ整理と上司の顔色に追われ、人生は「間違いなくこのまま終わる」ものだった。
そんな彼女の人生が一変したのは、全球凍結の夜明け。
社会は崩壊し、都市は廃墟と化し、政府も秩序も人間関係もすべて凍え死んだ。

最初の冬を越えるまでに、ノースは婚約者を失い、飢えを知り、そして自分が「誰かを殺せる人間である」と知った。
生存のための殺害、それを正当化するまでに時間はかからなかった。

その後、混乱の中で発生した武装商団“ピクシーズ”にスカウトされ、暗殺者として再教育を受ける。
都市と都市の間を命がけで物資輸送するこの組織にとって、重要なのは「裏切り者の処理」だった。
ノースは、敵だけでなく味方の粛清すら淡々と請け負い、5年を生き延びた。

現在も“ピクシーズ”に所属し、移動商隊の護衛・工作・粛清を請け負っている。
移動商団は氷原を越えて都市間を繋ぐ数少ないネットワークであり、彼女はその影に潜む「矛」として機能する。任務の合間には“凍結前の地図”を独自に収集し、かつて自分が働いていた企業の跡地や、失った人々の痕跡を静かに巡っている。

47名無しさん:2025/06/01(日) 19:07:37 ID:WMsPjlEM0
【名前】エイリネ・ソムナ
【性別】女
【年齢】44
【性格】物静かで、常に笑顔を浮かべている。自らのことを率先して語ることは少なく、他人の話を聞いて共感する側にまわることが多い。
【容姿】防寒用の貫頭衣を着込んだ、茶髪で細身の薄幸そうな女性。
    涙の跡が顔にはっきりと残り、拭いても拭いても決して消えない。
【神禍】『いつか聞いた子守唄(グレイス・ララバイ)』
思想:終わった世界で苦しみながら生き続けるより、安らぎのまま死を迎えるべき
彼女の声を聞くと徐々に心が安らぎ、闘争心が収まってくる。
母親の子守唄を彷彿とさせるその響きは、やがて眠気を呼び寄せる。
そして眠りについたものが命を落とした時、夢の景色がエイリネの脳裏に記憶される。

今は極寒の世界。備えもないままに深き眠りに落ちた人間がどのような運命をたどるのかは、推して知るべし。
彼女の神禍によって眠りに落ちた者は、善き夢に包まれ、安らいだ表情のまま凍り付いて終焉を迎えるのだ。

【詳細設定】
辺境の田舎村にも、地球寒冷化現象と神禍による災いは押し寄せた。
家族ぐるみの付き合いをしていた村で、いつしか村人同士での諍いが絶えなくなった。
夫も息子も別人のように荒れ果てて、毎日のように誰かと争い、身体を傷付けていた。
エイリネのまわりでも、苦悶の表情を浮かべて命を落とした人は少なくなかった。

希望のない世界に絶望した彼女は、せめて来世は幸福を掴めるようにと、最愛の息子と夫を永遠に覚めない夢へと送った。
父、母、親友、隣人。生きることに疲れた人々を、彼女は来世へ旅立たせていった。

村人たちは安らいだ笑顔を浮かべて永遠の眠りにつき、彼らの最期の表情に応えるように、エイリネもまた涙を流しながら笑顔を浮かべた。
いつしか、この地獄のような世界で苦しむ人々を、笑顔で眠りに付かせることこそが、自らの使命なのだと思うようになった。
知己はみな死に絶えたが、彼女は独り人々を決して覚めない夢へと導いている。

48名無しさん:2025/06/01(日) 19:12:02 ID:aS0MnkfE0
【名前】保谷 州都(ほうや しゅうと)
【性別】男性
【年齢】19歳
【性格】短慮で直情的。だが根は素直で、情に厚い。自信に見せかけた空元気で自己を武装している。強者に媚びず、弱者を踏みにじらない一線を自分の中に持っているが、それを声高には語らない。信頼と力に飢えているが、それを表現する手段を知らない。
【容姿】褪せた赤のスカジャンを羽織り、ボロボロのブーツを履いた青年。頬には凍傷の跡が残り、左目は過去の喧嘩で白濁している。短く刈り込んだ黒髪と、やや猫背の姿勢が少年と男の中間の不安定さを印象づける。口調はぶっきらぼうだが、顔立ちはどこか優しい。

【神禍】
『模倣(ミラーコード)』
思想:お前みたいに強くなれたら、俺は彼らを守れたのに。

目を合わせて20秒が経過すると、対象の神禍を模倣・使用可能になる。
ただし持続時間は1回につき最大2分程度。コピーした神禍はあくまで“借り物”であり、精度や出力は本人には及ばない。

【詳細設定】
保谷州都は、全球凍結が始まったその日、偶然にもアメリカのホームステイ先にいた。
ホストファミリーとは英語もろくに通じなかったが、温かい毛布と飯をくれた彼らは、最初に彼が「守れなかった」人たちだった。
目の前で凍え、泣きながら崩れていく家族を、何もできずに見ていた少年は、5年間で“銃を取る意味”を覚えた。

雪と欲望に塗れたラスベガスで、”ハード・ボイルダー”を名乗る男が率いる組織が勢力を拡大していた。
混乱に紛れ、暴力で秩序を維持し、殺しで信頼を稼ぐその組織に、州都は拾われた。
初めは駒、次に盾、やがて“危険な神禍を相殺するピース”として重宝され、組織の幹部付きの用心棒になった。

だが、本人は自分を「何かになれた」とは思っていない。
他人の力を借りて立つ自分は、あくまで“誰かの影”。
“お前みたいに強くなれたら”という想いで模倣を繰り返すが、なろうとするほど、「でもお前は俺じゃない」と言い聞かせるジレンマを抱えている。
保谷州都は、いまだに本当の意味で自分の生き方を見つけていない。

ラスベガスに拠点を持つ無法組織で、州都は“見せ札”として雇われている。
自分が模倣能力者であることは隠されておらず、むしろ相手の神禍を封じる抑止力として使われている。
寝床は掘っ立て小屋、食事は配給と略奪。
誰かに命じられて動く毎日でも、それは裏を返せば“必要とされている”ことの証明でもある。
まともな人間関係はないが、拳で交わす信頼のようなものは、少しだけ感じている。

49名無しさん:2025/06/01(日) 19:56:02 ID:aS0MnkfE0
【名前】グール・グラッセ
【性別】女性
【年齢】15
【性格】純粋にして残酷。戦闘に快楽を感じ、殺すことに罪悪感を持たないが、決して無秩序ではなく自分なりの「戦士の誇り」に則って行動する。他者に対しては無垢で幼さの残る言葉遣いをするが、戦場では老練な兵士のような口調になることも。
【容姿】白銀の短髪と氷のような瞳。肌は雪のように白く、凍土での生活でやや痩せぎすだが、芯の通った筋肉が宿る。騎士を模したボロ布のようなマントと、拾い集めた様々な武具をまとう。背丈は小柄だが、その存在感は戦場で異様なまでに膨れ上がる。

【神禍】
『喰戦(じきせん)』
思想:「私は、勝つためであれば何にでもなれる」

命あるものを捕食することで、その個体が持っていた戦闘経験や知識を蓄積・再現する。
ただし、獲得するのは“情報”であり、肉体そのものはあくまでグールのままであるため、フィジカル的な限界は越えられない。
例外として神禍を蓄積することはできない。


【詳細設定】
グール・グラッセは、もとは温室育ちの「騎士の娘」だった。
血筋は本物かは分からないが、彼女の家系は古の騎士道を信奉し、氷河期が来る前から「戦いを貴しとする」思想を少女に叩き込んだ。
だが世界が終わり、騎士道も国家も無意味となった瞬間、彼女の育ての親たちは「貴き死」を選び、自ら凍死していった。
残された少女は、その思想の外側に放り出される──そこには敵も、ルールも、意味もなかった。ただ「生き延びる」ために、彼女は剣を取った。いや、歯を使った。喰らった。死体から、戦いを学んだ。

グールの神禍『喰戦』は、彼女の騎士道が歪められた形で現れた。
戦いの誇りは「勝つためならば、何にでもなる」という信念に変容し、その結果、敵を喰らうことで戦技と経験を得る能力となった。
彼女の中には、名もなき傭兵、斧使い、弓の名手、蹴り技師、奇襲の専門家……「死んだ戦士たちの業」が幾人も棲んでいる。

戦闘の最中、彼らの口調や癖がふと表に出る時もある。
グール自身はそれを「自分が強くなるなら、それでいい」と笑う。
そこに迷いはない。

しかし、彼女の奥底には、未だ騎士の魂が残っている。
汚れきった世界で、殺しのなかに気高き形を探し続け、純潔を尊ぶように、戦いの中に「美しさ」を求める傾向がある。

グールは都市でも集落でもなく、あえて人の通る戦場や危険地帯を選んで流浪している。
彼女にとっての“居場所”は争いのある場所だけだ。廃墟に身を潜め、戦場に姿を現しては、傭兵や匪賊の依頼を受けて、敵対勢力を文字通り食い尽くす。
依頼を終えるたび、何の感情もなく報酬を受け取り、再び姿を消す。

戦士としての名は知られておらず、「喰い殺す子ども」や「笑う死神」などの噂話だけが、凍てつく風に乗って流れている。
彼女の「日常」は戦いだけだ。食事は肉、睡眠は瓦礫の陰、会話は死者の記憶と。そうしてグール・グラッセは、今日も誰かの“強さ”を喰らい、誰でもない自分を更新し続けている。

50名無しさん:2025/06/02(月) 00:52:38 ID:CR3mOHdc0
【名前】エトランゼ・ティリシア・ミルダリス
【性別】女
【年齢】23
【性格】高潔。彼女と関わった人間は誰しも口を揃えてこのように評する。それが称賛であれ、将又嘲笑ってやろうという悪意ありきの皮肉であれ、彼女の気風を前にしてそれ以外の感想を懐くことは難しい。
【容姿】獅子の鬣になぞらえられる金髪を短く切り揃えた、装甲姿の騎士然とした美女。善を助け悪を挫き、敵であろうと敬意を払うことを惜しまない騎士の手本のような人間。時代が時代なら後世に名を残す英雄になっていただろう。

【神禍】
『雷電心王・聖戦剣姫(クールドリオン・レコンキスタ)』
思想:荒廃した世界で正しいことを為す聖騎士になりたい

雷の剣を呼び出し、これを振るうことで落雷を操る。単なる素振りが砲撃を超える強力な遠距離攻撃になり、薙ぎ払えば数十倍の軍勢だろうが蹴散らす殲滅の神禍。
この神禍で生み出される電気はエトランゼに対して無害だが、剣の柄を通じて彼女の身体は帯電状態に置かれるため、敵は迂闊に触れることも出来ない。更に雷撃を操りながら先陣を切り、勇ましく突撃する姿というのは後ろの友軍にとって純粋に勇気を与える物であり、エトランゼが戦っているだけで自然と聖騎士団の士気は上がっていく。

【詳細設定】
歴史ある騎士の家、ミルダリス家の長女。ミルダリス家は中世に騎士として多くの武勲を挙げ発展したことで知られ、エトランゼの父も政治家として次期首相候補に挙げられるなど、現代においても華々しい活躍を見せていた。
しかし全球凍結後の戦争によって国土は破壊され、エトランゼが誇りにしていた家族も歴史も一つ余さず雪の下に埋もれてしまう。エトランゼは絶望したが、明日の食べ物にも困窮しながら凍死の恐怖に震える民衆を見て、泣いている場合ではないと一念発起。
宿った神禍を用いて悪の禍者を次々と撃破し、自警団『守護聖騎士団(シュヴァリエ・デュ・リオン・サクレ)』を組織する。雷電心王、聖戦剣姫、稲妻のエトランゼ。その名は英雄として、この絶望的な世界の中で確かな希望とあり続けている。
エトランゼ・ティリシア・ミルダリスは高潔な聖騎士である。が、騎士の活躍の影にはいつだって、轍のように踏み潰された敵の存在があるのも事実。誰かの犠牲なくして勝利は成り立たず、エトランゼも歴史上の騎士や英雄達と変わらず、それを許容できるメンタルを確立している。
それが必要な犠牲であるなら雷電心王は惜しまない。救世主が掲げたお題目……『星の再生』のための殺し合いなど、その最たる所であろう。

51名無しさん:2025/06/02(月) 01:29:53 ID:B8ceIRaA0
【名前】宝木 末寺(たからぎ まつじ)
【性別】男性
【年齢】19歳
【性格】一見すると柔らかく、社交的で気配りもできるが、その実、非常に計算高く自己防衛本能が強い。人を信用せず、敵にも味方にも一定の距離を置いて接する。笑顔は武器であり、言葉は貨幣だと理解している冷静な現実主義者。
【容姿】痩身で平均的な背丈。着古したコートの内側に、隠しポケット付きのベストを重ねている。目は薄い茶色で、常に何かを値踏みするように観察している印象を与える。表情は豊かだが、どれも作られた仮面のような印象があり、素の顔を見せることはほとんどない。

【神禍】
『渇きの天秤(ディザイア・バランス)』
思想:人は、欲望なしには動かない。

対象の人物の「欲望」だけを読み取る。
思考全体を読むわけではなく、あくまで「何が欲しいのか」に関する一点に限って、相手の本質に迫る。
対象が無意識に抱える欲望にも反応するため、本人さえ気づいていない渇望を突き止めることも可能。
逆に、欲望の薄い者や諦観している者には機能しづらい。
情報の質や強さは、自分自身の心の安定と「交渉によって相手を動かせる」という信念に比例する。信念が揺らぐと、欲望が歪んで知覚されるリスクがある。

【詳細設定】
宝木末寺は、凍てつく終末の世界を「商売」で渡り歩いた少年だ。
全球凍結が始まったとき、彼はまだ中学生だった。
家族は寒波に呑まれて死に、彼だけが奇跡的に生き残った。飢え、寒さ、略奪、騙し合い――あらゆる地獄の中で、「人間が何かを欲しがる限り、そこには価値がある」という考えに行き着いた。
これは生存術であり、人生哲学でもある。

最初は物資の横流しから始まり、やがて情報、仲介、通行証の偽造まで手を広げた。
身一つで移動できる“情報”の強さに早くから気付き、各地の小さな集落や勢力を転々としながら、自らを「ただの若い商人」として売り込み続けた。
歳の割に大人びて見えるのもその経験の積み重ねゆえだ。

神禍『渇きの天秤』は、彼の生き方そのものの延長線上にある。
誰かが欲しがるものを知れば、交渉は必ず成立する。
その信念は、彼にとって家族の死に代わる“新しい安全保障”であり、世界を再構築するための武器でもある。
しかしこの能力は、同時に彼の人間性を削っていった。
人を「欲望の容器」として見る癖が染みつき、誰を目の前にしても「こいつは何を欲しがっているのか」としか考えられない。
純粋な感情、無償の行動を理解することが難しくなっている自覚もある。

現在は、特定の勢力や拠点に属さず、各地を放浪する「自由商人」として活動している。
主な取引対象は、物資に飢える集落のリーダーや、裏取引を行う傭兵団、情報屋、教義的なカルト集団など。どこへ行っても歓迎されるわけではないが、「話ができる少年」として一定の需要はある。
彼は物を売る以上に、「人と人を結びつける」ことに価値を置いている。たとえば、「武器が欲しい勢力」と「武器を抱えすぎて困っている廃村」の仲立ちをし、互いの“欲望”を補完し合うような交渉を好む。自分自身は過剰な所有欲を持たず、最低限の装備と機転、そして神禍を武器に、凍える世界を巧みに渡り歩いている。
ただし、彼の視線の奥には常に孤独がある。誰かと長く共にいることができない。
欲望だけを見てきた彼は、いつか“誰にも欲しがられなくなる”日が来ることを、どこかで恐れている。だから今日も、彼は「誰かの欲望」を探し求めて旅を続けている。取引と引き換えに、“ほんの少しのつながり”をもらうために。

52名無しさん:2025/06/02(月) 02:15:43 ID:B8ceIRaA0
【名前】フィスク
【性別】男
【年齢】47
【性格】皮肉屋で冷笑的。他人の情熱や信念を斜に構えて見ているが、自分の内面の空洞を隠すための仮面でもある。決して感情的ではなく、あくまで事実を処理するように人と関わるが、内心は過去の傷に囚われ続けている。
【容姿】頬が痩けた彫りの深い顔立ち。日焼けと凍傷の痕が混在し、全体的にくすんだ肌色。防寒と武装を兼ねた重く無骨なコートを着用し、古びたホルスターに一挺のハンドガンを常に携帯。目は鋭く、青白く濁った視線は常に観察する者の本質をえぐるよう。

【神禍】
『偏執の弾丸(オブセッション・バレット)』
思想:真実などない。あるのはそれぞれが抱く妄信だけだ。

使用するハンドガンの弾丸が絶対貫通の魔弾と化す。
装甲や壁、生体、概念的な「防御」さえも貫くが、“撃つ対象に強く執着し、偏見を持っている”状態でなければ発動しない。
逆に言えば「この者は虚偽の象徴だ」と内心で確信することで、どんな対象にもその“嘘”を貫かせることができる。
真実ではなく、“思い込み”が力の源。

【詳細設定】
フィスクは元・私立探偵だった。
冷静沈着な観察力と、人の嘘を見抜く勘に長け、崩壊前の世界では都市部での難事件に携わっていた。

全球凍結が始まった当時、妻と娘がいた。フィスクは彼らを守るために避難を急いだが、混乱する人々の中で信じていた親しい知人に裏切られ、家族を攫われ、人身売買のカタに売られた。
信じていた友情は妄信で、真実は見えていたはずなのに、彼自身がそれを直視しなかった――それが彼の悲劇の核心だった。

その後、”妻と娘はまだ生きている”という妄信を抱き、極寒の廃墟都市を流れ歩き、最終的に“ならず者の楽園”と化したラスベガスへ辿り着く。暴力と陰謀に支配されたこの都市で、フィスクは皮肉な形で再び「探偵」としての技能を活かすことになる。
嘘を暴くことも、正義を語ることもやめた。
現在のフィスクは、瓦礫と化したベガスの片隅で、“探偵”の名を借りた情報屋兼処刑人として生きている。
依頼を受けて調査し、ときに始末も引き受けるが、彼自身には善悪の基準はない。
ただ彼は、路銀を稼ぐために非道を働く。
”まだ生きているはずの”妻と娘を見つけるために。

53名無しさん:2025/06/02(月) 02:31:22 ID:B8ceIRaA0
【名前】グレゴリー・ゲンガー
【性別】男
【年齢】34
【性格】静かな圧を放つ冷徹な現実主義者。理屈よりも経験と感情で他人を測る傾向があり、信頼には慎重だが一度認めた者には分け隔てない忠義を示す。情を断ったようでいて、どこか”家族”という言葉に未練がある男。
【容姿】刈り上げ頭に無精髭、血で汚れたボロコートを纏った壮健な男。体躯はがっしりしており、かつての拷問官時代を彷彿とさせる無数の傷痕が全身に残っている。右目には義眼を装着しているが、特別な機能はない。

【神禍】
『流血する覇声(ヴァーミリオン・ドクトリン)』
思想:痛みを背負ってこそ、誰かを導ける。

拷問官時代、自らも苦痛に耐えながら相手の心を抉り、恐怖と忠誠を植え付けるという”責任ある暴力”を信じていた。
その信念が反転し、自分の出血量に応じて、敵に恐怖を、味方に鼓舞を与える力となって神禍が顕現した。
自身の流血がトリガーであり、出血量に応じて効果が強化される。
敵には視覚・聴覚・感覚を通して”死を予感させる幻覚(畏怖)”を強制し、味方には「この人と一緒なら生き延びられる」という安心と高揚感を伝染(鼓舞)させる。
出血しすぎると本人の命も当然危うくなるが、死の間際こそ最大の効果を発揮する。

【詳細設定】
全球凍結が訪れる以前、グレゴリー・ゲンガーは政府組織に所属する合法的な「拷問官」だった。
政治犯・反体制派を”人道的に”扱うための職であったが、実際には違法と紙一重の尋問が日常だった。彼はその任務に使命感を持ち、「痛みとは人間を最も正確に測る手段だ」という独自の信念を育んだ。

しかし、世界が凍り始め、秩序が崩壊する中で、組織も国家も消えた。彼が築いてきた倫理も居場所も失われ、荒廃した都市の廃墟で彼は”無力なひとりの人間”に戻った。
死と隣り合わせの日々。食料のために奪い、仲間を裏切られ、子供が凍死するのを見た。
「この世界に倫理は不要だ」と考え、暴力で小さな集団を束ね、ギャング組織「ブラッドハーレイ」を築く。
彼の統率の鍵は、拷問官時代に培った”痛みを共にすることで育まれる支配と絆”だった。
血を流して先陣を切る彼の姿に、人々は恐怖と同時に安心を覚え、彼を「ボス」と呼んで従った。

彼にとって、神渦は「正義の代わりに人を導く力」であり、信仰に近い形で信じている。

54名無しさん:2025/06/02(月) 02:45:24 ID:B8ceIRaA0
【名前】アーノルド・トロイメライ
【性別】男
【年齢】56
【性格】温厚で思慮深く、人との距離を詰めることに慎重。対話を重視し、他人の感情や記憶に無遠慮に踏み込むことを避ける。表面上は穏やかだが、誰よりも人間の「深淵」を知っている。決して激情に走らないが、その内には静かな怒りと悲しみが宿る。
【容姿】白髪混じりのウェーブがかった髪を後ろで束ねている。細身の長身で、くたびれたコートを常に羽織っている。どこか古い西洋の探偵小説に出てくるような佇まい。片目は昔の負傷で見えず、黒い眼帯で覆っている。声は低く、物静か。

【神禍】
『無言の傍観者(ノート・ウィットネス)』
思想:真実は、他人の意志をもって語られるべきで、自分が暴くものではない。

相手の深層記憶に潜む最も強烈なトラウマを、幻覚として強制的に再体験させる能力。
使用時、対象は意識の支配を一時的に失い、記憶に飲まれる。
肉体的ダメージは伴わないが、精神の崩壊や錯乱を引き起こす危険性が高い。
トラウマの映像は、他者にもぼんやりと投影されることがある。
アーノルド自身はこの力を「暴力」と見なしており、極力使用を拒む。

【詳細設定】
アーノルド・トロイメライは、かつて戦火の絶えない地域で臨床心理士として活動していた。
人々の心の痛みに向き合い、治癒を導くことこそ自らの使命だと信じていた。
だが、全球凍結が起こったあの日、彼はカウンセラーとして守っていた患者たちを救えなかった――少女の首に縄をかけた母親、雪の中で死を待つ兵士、泣きながら銃を握る少年。何人もの「壊れていく心」を目の前で看取った。

世界が崩壊した後、彼は瓦礫と死体の中を彷徨い、やがて「真実」を求める人々に頼られ、探偵としての生を始める。
「カウンセリングでは救えなかった命を、せめて事実の解明で報いるために」。
神禍の力を使えば「真実」にたどり着くことは容易い。
だが彼はそれを拒み続ける。自分の力は、真実を語る“口”ではなく、黙らせる“刃”だからだと。
アーノルドの眼帯は、誤って神禍を使ってしまい、ある女性にトラウマを想起させ、錯乱させた末に傷を負わされたものである。
彼は今もその出来事を忘れていない。人の記憶に土足で踏み込む者は、どれほど正義を語ろうと、「人の尊厳を奪う加害者」だ――彼は、誰よりもその事実を知っている。

終末の世界で、アーノルドは「口を閉ざした探偵」として知られている。
孤独を好み、小さな仮設居住地を拠点に、時折依頼を受けては真実を探しに旅に出る。
だが、依頼人に事実を突きつけることはなく、語らせるだけで立ち去るのが常。
彼が真相を握っていると誰もが知っていても、彼の口から語られることはない。
世界が終わった後も、人の尊厳を守り続けることを意識している。

55名無しさん:2025/06/02(月) 02:53:17 ID:B8ceIRaA0
【名前】ガーゴイル(本名不詳)
【性別】男
【年齢】38
【性格】卑劣かつ慎重。正面からの衝突を極端に嫌い、あらゆる局面で最もリスクの低い選択肢を取る。それゆえに陰湿で臆病と評されるが、本人にとっては「生き延びる」ことこそが最大の倫理であり、勇敢さを愚行と断じている。常に冷静で無感情を装っているが、内心は恐怖と不信にまみれており、それを制御するために理屈と距離を置いた人間関係を保っている。
【容姿】煤けた防寒マントに身を包み、全身の大部分を覆い隠した男。氷点下の地でも顔を隠すフードを手放さず、素顔を見せることはない。唯一見えるのは、蛇のような鋭い目と、常に冷たく歪んだ笑み。体型は中肉中背。背中には仕込み刃を複数隠しており、移動の際も足音をほとんど立てない。

【神禍】
『断罪せし石化の印(レリクス・ジャッジメント)』
思想:「誰かを信じるくらいなら、裏切られる前に無力化するべきだ」

刃物で切りつけた相手を、徐々に石化させる能力。
石化の進行速度は傷の深さや位置に比例し、心臓や脳に近づくほど早まる。完全石化まで至れば即死と同義。
石化は「能力を受けた本人の自我が崩れたとき」に完成するため、精神的動揺や恐怖を与えることで加速させることもできる。
この能力は彼が「誰も信じられず、全てを拒絶したい」という根源的な不信と防衛本能から発現した。

【詳細設定】
名をガーゴイル。本名は捨てた。
全球凍結の始まりと共に国家というシステムが瓦解し、武力だけがものを言う時代になった。
元々、都市の下水道管理職という地味な職についていたが、氷に覆われた街が機能不全に陥ったことで職場も家族も崩壊。飢えと寒さ、そして略奪者に追われる日々の中、早い段階で“人を殺す”覚悟を固めた。
5年の間に、依頼を受けてターゲットを仕留める「暗殺者」として生き延びることを選んだ。
武力の強さより、確実に背後を取る頭脳と、裏切りも厭わぬ冷酷さが彼の武器だった。

昔、“信じた仲間”に裏切られ、大きな借金を背負わされたトラウマを抱えている。
「信じた自分が愚かだった」「もう誰も信じない」という断絶の思想が、彼に“切りつけた者を石に変える力”を与えた。
彼は敵だけでなく仲間すらも一線を引いて扱い、「裏切る前に動きを封じる」ことを徹底するようになる。
その陰湿さゆえに評判は最悪だが、依頼の確実性から一部の地下組織や放浪者の間では重宝されている。

56名無しさん:2025/06/02(月) 03:09:14 ID:B8ceIRaA0
【名前】ジャッジ(本名不明)
【性別】男
【年齢】38
【性格】冷静沈着で無感情に見えるが、内心では常に「罪を正す」ことに執着している。正義や倫理ではなく、あくまで“秩序”の視点で罪を測る。他人の命に対して極端に無関心だが、「見逃した罪人」がのうのうと生きていると知った時だけ、異常なまでの執念を見せる。
【容姿】黒ずくめのコートとフードで全身を覆った痩身の男。瞳は鈍い灰色。雪に溶け込むような無個性な顔立ちをしている。
常に無音で行動する訓練が染みついており、影のように現れ、影のように去る。

【神禍】
『審きの気配(クライム・センシング)』
思想:罪に見合わぬ命が生き延びることは、世界の秩序への裏切りだ。

自身の周囲半径数百メートル内にいる人間の「罪科の重さ」を感知する。罪が重いほど“存在感”が濃く可視化され、輪郭が浮かび上がるように知覚できる。
対象の罪に応じて、視覚だけでなく、重低音のような“心音”としても感じ取る。

【詳細設定】
ジャッジ──それは、本名を捨てた男に他人が与えた通称だ。
かつては法を司る者だった。国家がまだ息をしていた頃、彼は裁判所の技術職として、膨大な証拠資料や監視記録を整理し、判例の裏打ちを行っていた。正義を語るには向かず、戦場にも立てず、ただ静かに「事実」を積み重ねる役目だった。
だが、全球凍結が始まった混乱の中、彼の勤めていた裁判所は略奪者に襲われ、仲間は殺された。
そのとき、彼の目の前で略奪者が笑っていたのを忘れない。彼は「正しさ」を語る者たちの末路を見た。そして、判断した。

──裁かれなかった罪人を、生かしておいてはならない。

彼は姿を消し、5年間に渡り「暗殺者」として生きた。ただの殺し屋ではない。
彼が狙うのは、かつて国家が捌ききれなかった罪人、混乱の時代に弱者を殺してのし上がった者たち、秩序を蹂躙した全ての存在だった。
その能力──神禍──がいつ芽生えたのかは、彼自身も気づかなかった。
だがいつしか、彼は“罪”を感知できるようになっていた。暗闇の中で響く心音、足跡のような殺気、色彩を持って浮かぶ罪の輪郭。
それは世界が彼に与えた「審判者」としての感覚だったのか、それとも彼がそれを望んだ結果なのか。

そして今、ジャッジは再びある“名簿”を手に入れた──バトルロワイヤルの参加者一覧。
その中に、かつて自分が裁き損ねた者の名前を見つけた。
秩序がないなら、自分がそれになるしかない。
神ではない。ただの裁定者として、ジャッジは戦場に足を踏み入れる。

無法地帯となった極寒の都市廃墟を根城に、ジャッジは“審判の記録”をつけながら一人で生きている。
時折、罪深い者が殺されたという噂だけが風に乗って広まる。
彼に雇い主はいない。ジャッジが動くのは、裁くべき名前を見つけたときだけだ。

57名無しさん:2025/06/02(月) 03:47:59 ID:B8ceIRaA0
【名前】大川 陽介(おおかわ ようすけ)
【性別】男
【年齢】26歳
【性格】粗暴で無遠慮。口が悪く喧嘩腰だが、実は情が深く、特に「弱い立場の人間」にだけは妙に優しい。
【容姿】短く刈った黒髪に、煤けたジャケットと鉄製の防寒肩当てを身に着けている。小柄ながら筋肉質な体格で、常に鉄パイプを携行。顔にはいくつかの古傷。口元には未だ治りきらない凍傷痕が残る。

【神禍】
『拒絶する掌(レジスト・マニュアル)』
思想:誰にも奪われたくない。だったら全部、突き返してやる。

近接斥力操作能力。
触れた対象に一瞬だけ強力な反発力を付与し、吹き飛ばすことができる。
また、一定距離内の物体や攻撃を、掌を向けることで「拒絶」するように弾き返す。
強い「拒絶の意思」が能力の起点であるため、感情が揺らぐと精度が落ちる。意図的な防御・攻撃には優れるが、不意打ちや精神動揺に弱い。

【詳細設定】
全球凍結以前の陽介は、ただのどこにでもいる貧乏学生だった。
弁当屋と引っ越しバイトを掛け持ちし、母と弟を養っていた。
だが、冬の訪れとともに世界は変わり、数日の間に母はあっけなく命を落とした。

全球凍結から半年後。
避難先のビルで、弟が食料を巡る争いに巻き込まれ、仲間だと思っていた男に殺された。
その瞬間、陽介は全てを「拒絶したい」と強く願った。
悲しみも、奪う者も、弱さも──全部だ。
誰にも奪わせない、誰にも近づかせない。彼の神禍はその「強すぎる拒絶」によって芽吹いた。

絶望に沈む暇もないまま、生きるために暴力の世界へと堕ちた陽介は、やがて「爆走仁義"赫焔會(かくえんかい)"」という暴走族集団を組織する。
バイクを運転する才能があったようだ。
食料と燃料を奪い、反抗する者は殺す。そんな地獄のような日々の中で彼は、ただひたすら「奪われたくない」という想いだけを胸に戦い続けてきた。

5年に及ぶ暴徒生活の中で、陽介は何度も死線を越え、そのたびに神禍が磨かれていった。
だが、ある時仲間の一人を自らの能力で殺してしまったことが転機となる。
「守るはずの誰か」をまたしても奪ってしまった罪悪感が、陽介の精神にひびを入れた。
赫焔會は解散し、陽介は独り雪の荒野をさまようようになる。

現在は、元族仲間から受け継いだバイクの残骸を改造したソリに乗り、雪に閉ざされた集落を転々としている。共に行動しているのは、かつて助けた3人の子ども。食料を探し、凍死寸前の者を拾い、物資を奪われれば取り返しに行く。時にはまた暴力に手を染めるが、「自分からは絶対に仕掛けない」と固く決めている。ただし、誰かを守る時だけは──一切の遠慮を捨てて拳を振るう。

58名無しさん:2025/06/02(月) 05:51:03 ID:CyeYzZgs0
【名前】メリィ・クーリッシュ
【性別】女
【年齢】27
【性格】自由奔放で明朗快活。よく笑いよく泣く面倒見の良い姉御肌。『みんなの頼れるお姉さん』を自負している。が、最近は若干やつれ気味。
【容姿】少し顔にそばかすは浮かんでいるが整った容姿の白人。肩にかかる程のブロンドヘア。瞳の色はワインレッド。
    仕事中は紅いコートにズボンとキャップ、白い袋を腰につけた所謂サンタ衣装で活動している。

【神禍】『十二月の贈呈者(クローズド・サンタマリア)』
 思想:いま、ここにない何かを届けて欲しい。

「サンタさんはね、本当にいるんだよ」

 少女の頃、抱いていたクリスマスへの愛着。
 サンタクロースへの強い憧憬が形になった能力。

 外部から内側の状態を目視できない容器・空間に手を入れ、『欲しい』と念じる事で、実在しない物質を取り出す。
 上記の条件を満たせば箱や穴など、どこからでも発動は可能だが、メリィはもっぱら腰に下げた白い袋に手を入れて使用する。
 今、必要な物、欲しい物を念じながら袋から手を引き抜くと、それに応じた物体が出てくる。
 手を差し入れた時間が長いほど現れる物質の規模が大きくなり、比例して体力と気力も消費する。

 便利ではあるが思い描いた物を自由に出せるわけではない。
 本質はやはり神禍らしく、銃器や爆弾など、どうしても人間を害する方向性に偏ってしまう。
 その事実に直面したときから彼女はずっと自分の能力を改変したいと願っており。
 毎日、"子供が喜ぶような普通のお菓子"を取り出そうと挑戦しているが、未だに成功したことはない。

 取り出す物質は必ず現実に在る物体と相違点のある不思議アイテム。
 例えばメリィが身に纏うサンタクロースのような紅い衣服は、この能力によって取り出した防弾加工の戦闘服である。


【詳細設定】

 氷に閉ざされた大地で"サンタクロース"を名乗り、運び屋を営んでいる女性。
 食料や嗜好品など、世界各地で託された貴重な物資を、巨大な改造トラックに積み込み、集落から集落へと移送している。
 寒気と暴力に塗れた外界に出る手段のない一部村落にとっては、たまに訪れる彼女の存在が希望になっていた。
 近頃は本拠地のアメリカで細々と活動しているが、以前は氷床の上を走行し、海を超えた大仕事を行うこともあった。

 一応、報酬を貰って動くと嘯いているが、今の世界で割に合った報酬を渡せる者は極僅か。
 物が無くて困っている人がいれば見捨てられず、ほぼ無報酬で働く慈善事業めいているのが実態。
 特に、泣いている子供がいれば放っておけないらしい。
 仕事柄、物資の運搬中に襲撃されることや、依頼を通じて組織間の諍いに巻き込まれることも多々あり。
 戦いの場数はそれなりに豊富。重火器の使用や、近接格闘、乗り物の運転は一通り出来る。

 メリィ・クーリッシュは"サンタクロース"の二代目である。
 彼女に運び屋のイロハ、凍土を移動しながら生き残る術を叩き込んだ先代は数年前の仕事中、何者かによって殺害されている。
 先代が存命時は二人で長距離輸送を敢行し、曰く世界を変える為の試みを行っていたらしい。
 師を失い、世界環境が悪化するに伴い、やれることの規模は小さくなる一方で、この頃はちょっとやつれ気味。

 小さい頃はクリスマスが大好きな純真少女で、かなり大きくなるまでサンタクロースを本気で信じていた。
 イブの夜に枕元に現れるのが変装した父だと知った後も、誰かに夢を届けられる存在への憧憬は消えぬまま。
 成人後はトラック運転手として気ままに生活していたが、全球凍結現象とその後の混乱期に、あっという間に家族と友人を失う。

 降りかかる悲劇と容赦ない現実、そして自らの憧れが歪んだような神禍を自覚し、「もう希望なんてない」と途方にくれていたとき。
 孤独の身を拾ってくれた先代の言葉に、メリィは生きる道筋を得たのだった。

 ―――それなら、お前が『次の希望(サンタクロース)』になれ、メリィ。

59◆DpgFZhamPE:2025/06/02(月) 15:32:43 ID:???0
投下します。
よろしくお願いします

【名前】ヴィクトル・シャル
【性別】男
【年齢】28
【性格】
日常では温厚かつ優柔不断。性格自体がほわほわとしている。
好きなものは多数の人と囲む食事。
しかし世界が今の有り様になる前から狩猟をして暮らしていたため、"早急に判断を下す必要がある"場面では覚悟のある決断を素早くできる。
狩猟を主に生活する過程で育ったものなので、死生観に対してはシビアであり、命を投げ打つことを良しとしない。「優しく相手を思いやる人だけれど、それはそれとして良くないことは良くない」というスタンス。
【容姿】ロシア系。身長2m30cmで筋骨隆々の大男。茶の長い髪を後ろで纏め、熊の毛皮で作った防寒着を身に纏っているが、下に着ているシャツは身体に合うものが調達できないためボロボロ。
【神禍】
『降りて宿れ、大いなる超人よ(メノー・ダイナミス)』
思想:生存本能。自然と付き合い生き残るという強い意志。
身に宿る剛力。腕で大木を割り、拳で巨岩を砕き、投石は空高く飛ぶヘリすら落とし、武器を振れば衝撃波が飛ぶ。
剛力に耐久性、俊敏性、身体能力の全てを上げる。
苛烈な環境の中で生き残るため、その自然と付き合った人類としての力。
数多の賊を力で叩き伏せた、突き詰めた"力の塊"。

強力でシンプルかつ、本人の狩猟の経験により高い応用力を発揮する。
獲物に警戒させないため、不注意に見えながら隙は一切ない構えを好む。

【詳細設定】
幼い頃から山で育った彼は、父と共に狩猟を生活にしていた。齢15で熊と格闘し大きく育った彼は、一家の誇りだった。
母に父、妹と共に暮らし優しく育った彼は、自然との付き合い方、命への感謝、死生観を学んだ。
人間死ぬ時は死ぬ。自然の前では呆気なく。しかし──できるならば、多くの人に看取られて死ぬべきだ。
一人立ちし、数年経ったあと世界が変わってからもそれは変わらなかった。
その大柄の身体で世界を彷徨いながら、彼は知った。自分ならともかく、女性や子供がこの秩序が崩壊した世界で生きるにはどれだけ厳しいかと。
子供を助け、女性を助け。襲い来る自然や賊を撃退し、志を同じくする男たちと小さな村を作った。
人は、幸せに生きて看取られて死ぬべきだ。
子供が戦場に立つべきではない。弱いものが戦場に立つべきではない。
人が、一人でも幸せに生き、旅立てるのならば。
その手助けができるのならば、この大きな体も悪くない。

60◆DpgFZhamPE:2025/06/02(月) 17:22:35 ID:???0
>>59
修正します
【性格】
日常では温厚かつ優柔不断。性格自体がほわほわとしている。
好きなものは多数の人と囲む食事。
しかし世界が今の有り様になる前から狩猟をして暮らしていたため、"早急に判断を下す必要がある"場面では覚悟のある決断を素早くできる。
狩猟を主に生活する過程で育ったものなので、死生観に対してはシビアであり、命を投げ打つことを良しとしない。「優しく相手を思いやる人だけれど、それはそれとして良くないことは良くない」というスタンス。 



【性格】
日常では温厚かつ優柔不断。性格自体がほわほわとしている。
好きなものは多数の人と囲む食事。
しかし世界が今の有り様になる前から狩猟をして暮らしていたため、"早急に判断を下す必要がある"場面では覚悟のある決断を素早くできる。
狩猟を主に生活する過程で育ったものなので、死生観に対してはシビアであり、命を投げ打つことを良しとしない。「優しく相手を思いやる人だけれど、それはそれとして良くないことは良くないと判断する」というスタンス。

でした。
申し訳ございませんでした

61名無しさん:2025/06/02(月) 19:23:08 ID:mhl3MKdU0
◆EuccXZjuIk氏に質問です。
先日投稿した案について、内容を若干修正することは可能でしょうか。
トリップを付けずに投稿してIDも変わってしまっているため、必要でしたら書き込み後に掲示板の管理人様にIP確認を依頼します。

62 ◆EuccXZjuIk:2025/06/02(月) 20:12:39 ID:CR3mOHdc0
>>61
かしこまりました。
修正していただいて大丈夫ですが、何か問題が生じた際には管理者様に此方からIPの確認をお願いする可能性がございますので、その点だけご承知お願いします

63名無しさん:2025/06/02(月) 20:39:42 ID:mhl3MKdU0
>>62
ご返信ありがとうございます。
それでは、>>41の【神禍】の箇所を下記の通り修正します。
-----
【神禍】
『私という遺産(オンリー・ミー)』
思想:あの人が遺したものを無意味にしたくない。

手で触れた任意の飲食物を『毒入り』に変える。
『毒』の主な性質は以下の通り。
・一口でも摂取すれば、効果が現れた途端にどんな生物でも苦しみに踠きながら死に至る。なお、椿自身だけは摂取しても全く平気である。
・死なない程度のダメージに抑えたい、徐々に弱らせたい等、効果を弱めることはできない。
・飲食物の見た目や味は一切変化せず、いかなる方法によっても『毒』を検出することはできない。
・摂取後に『毒』の効果が現れるタイミングを、対象の飲食物に触れる際に調整できる。最短で五秒後、最長で約一ヶ月後。
・一度『毒入り』に変えた飲食物を元の状態に戻すことや、効果が現れるタイミングを上書きすることはできない。
・触れる過程としては飲食物本体ではなく、容器や包材の上からでも可。
・『毒』が未知の物質なのか、または呪いの類なのか、椿自身にもわかっていない。

64名無しさん:2025/06/02(月) 22:27:49 ID:B8ceIRaA0
【名前】山口 遥斗(やまぐち はると)
【性別】男
【年齢】21
【性格】快活で人懐っこいが、どこか醒めている。状況に応じて立ち回る「現実主義者」であり、情に厚い一方で、感情に流されすぎることはない。未来を信じる気持ちは捨てていないが、目の前の現実を無視することもない。表面上は軽口を叩くが、本音はあまり語らない。
【容姿】凍傷で指先を数本失っている。かつてのアスリート体型を保っており、細身ながら筋肉質。髪は耳下まで伸びた黒髪、ゴーグルを首にかけ、スノーボード用のジャケットとスキーウェアを改造したような防寒着を着ている。

【神禍】
『逸脱の視力(ディフレクティヴ・ビジョン)』
思想:届かない夢を、それでも見たい。

極限まで遠くを視認できる視力を持つ。
数キロ先の人物の顔、遠方の地形、気流の動きまで把握できる。
また、物体の軌道や動きを予測する能力へ進化しており、視認対象の“到達点”を直感的に捉えることができる。
ただし、肉眼で捉えられるものに限る。夜間や遮蔽物越しには無力。

【詳細設定】
山口遥斗は、元・高校生スキー選手だった。
全球凍結の発生前、遥斗は全国大会出場を目前に控え、スキー漬けの日々を過ごしていた。家族も応援してくれていたし、世界がどんなに理不尽でも、自分の足で「未来に滑っていける」と信じていた。
全日本ジュニア強化選手に選ばれる直前、全球凍結が発生。
大会は中止、家族は雪崩と寒波に巻き込まれ全滅した。遺体すら見つからなかった。
凍結が起こり、家族を失い、夢も砕けた。だがそれでも、目を閉じると滑走の感覚が蘇った。

絶望の中、夢を見たい気持ちが消えていない自分に気づいた時、彼の心に「届かない夢でも見たい」という諦めきれない視線が生まれ、それが神禍の源となる思想である。
凍土と化した世界で、遥斗は滑走技術を活かして雪山を移動し、物資を届ける運び屋となった。次第に、武装集団からの護衛を頼まれるようになり、「動ける用心棒」として知られるようになる。移動力と先読み能力、そして視力が何よりの武器だった。

神禍が発現したのは凍結後半年、ある吹雪の夜。遭難した少女を捜索中に、何キロも離れた白い点が「助けを求める手」だと直感的に理解できた。それは神禍だった。
彼の神禍は、失われた夢をもう一度“見る”ための力だった。滑走という生の感覚、未来を切り裂くあの疾走感。もう届かないそれを、それでも「見たい」と願った。視力はその願いの形だった。
今、彼は氷原を旅する運び屋になっている。必要とあらば傭兵としても戦う。
仲間も定住地もなく、あくまで「移動する人間」として生きている。

65名無しさん:2025/06/02(月) 23:12:23 ID:CR3mOHdc0
【名前】ミア・ナハティガル
【性別】女
【年齢】12
【性格】いつもオドオドと何かに怯えている。一見すると無害に見えるが、しかしその小さな体の内側では12歳の少女に似つかわしくない苛烈な憎悪が呪いのように沸騰している。
【容姿】薄汚い襤褸布のような服を着た、この氷河時代に似合わない風体の幼女。成長期を劣悪な環境で過ごしてきたため発育が悪く、背丈は年齢の平均よりもかなり小さい。くすんだ白髪のツインテール。顔以外のあらゆる場所に惨い傷跡が残っている。

【神禍】
『発狂界・不浄曼荼羅(プララーパタ・アシュッチャヤーナ)』
思想:人間は自分以外みんな穢れている

背後に浮かべた曼荼羅の回転に合わせて、この世に存在するあらゆる不浄な概念を洪水のように放出する。
人間の暗黒面を休む暇なく刻まれ続けた奴隷が抱く、自分以外の全人類に対する超極大の呪詛。一度でもこれに汚された土地や建造物は使い物にならなくなり、多種多様な病原体が蔓延る汚染地帯となる。
嗅いだだけで意識が崩壊しそうになる程の悪臭を放ちながら溢れ出す不浄の波は極強酸性を帯びており、それそのものが凄まじい殺傷能力を持つ。なお波の中には無数の腕が混じっていて、腕は構造を無視して伸長し、近くにいる人間を手当たり次第に引きずり込む。
引きずり込まれてしまった場合、被害者は不浄曼荼羅の内側、即ち発狂界(プララーパタ)に触れることになる。ミアの憎悪と記憶を追体験という形で脳裏に直接流し込まれながら、息するのもままならない汚濁の海の中で精神的蹂躙を受ける。
普通の人間であればまず間違いなく精神死して廃人になるが、もし生き延びたとしても発狂の記憶と不浄の理に侵され……最底辺から全人類に憎悪を向けて死滅を願う、ミアと同じ発狂界の住人に堕してしまう。
これほどの不浄を扱っていながら、使い手であるミアは一切の影響を受けておらず、悪臭がこびり付くこともない。発狂界に至った者だけが、この穢れた世界の中で唯一汚れずにいられるのだ。

【詳細設定】
上流階級の家庭に生まれて育つが、父親と不倫相手の間に生まれた子であることが判明し、激怒した母親により好事家達の闇市に奴隷として売り飛ばされる。
彼女を買ったのは世界的に有名な富豪だった。そこであったことの詳細は伏せるが、彼が肉欲を愛する類の変質者であったならまだ救いがあったというのだけは確か。ミアの『飼い主』になった男は美しい少女の苦しむ姿だけを愛する殺人鬼で、彼の玩具になったミアは数年間に渡って殆ど休む暇なく拷問の日々を味わう。
全球凍結が起きた後は富豪に連れられて地下の核シェルターに移送され、引き続き地獄の日々が続くかに思われたが、神禍の覚醒によってミアはシェルターを不浄で満たし、富豪と彼の従者達、更には同じ境遇に置かれていた奴隷達も全員溺死させて脱出した。
以降は亡霊のように氷河の世界を彷徨いながら、数え切れないほどの集落や町を壊滅させている。現在生存している禍者の中でも確実に指折りの犠牲者を出しているのは間違いない。
ミアの格好は普通なら数時間も保たずに凍死するものな上、長い間拷問を受け続けた身体の中身は生きていることも可怪しいような状態であるが、彼女は特逸した憎悪で理屈を無視しながら虐殺に励んでいる。度を外れた呪いを抱える彼女は、名実共に人間を超え始めているのかもしれない。

66名無しさん:2025/06/03(火) 00:22:40 ID:EPxBkAWU0
【名前】大山 冬将軍(おおやま ふゆしょうぐん)
【性別】男
【年齢】55
【性格】苛烈に逸脱した嗜虐趣味
【容姿】自在に変幻する氷の真球
【神禍】
『冬よ永遠なれ(フユノソナタ)』
思想:凍らせた物を破壊したい
認知した物を凍らせて操る、それだけのシンプルな能力。自身の身体をも氷の玉に変えて動かしているように運用の幅は極めて広いようだ。
【詳細設定】
四季色とりどりな島国に生まれた彼は何不自由なく成長し、要領よく働いて30歳半ばで生涯賃金を稼ぎ切ってFIRE(経済的独立・早期退職)した。
豊かな環境で育った人間ではあったが生来のものかあまり良くない趣味嗜好を持っていた彼は大型の冷凍トラックを特注させて全国を回る放浪者となる。
その目的は拉致した人間を凍らせてからバラバラに分解して殺害するという非常に猟奇的な"愉しみ"にあり、10年以上の旅路で被害者数は200人を優に超えていた。
そんな暗い悦楽の日々はスノーボール・アースにより急変する。社会機能の停止、社会倫理の激変は犯罪者である彼にとっては『望むところ』だったのか?
率直に言うと"否"であった。
喜び勇んで前々から目をつけていた国内最大の孤児院にトラックを突入させ、子供たちの一斉冷凍殺人を敢行しようとした彼の目に入った光景は自然の極寒により凍え死んだ亡骸の山。
自らの手によらず氷り絶えた命を初めて目の当たりにし、思考を介さない慟哭を上げる彼が気付いた自身の真実、それは『温かな命だからこそ冷まして終わらせたい』という原始の衝動であった。凍てついた世界になど彼は居たくはなかった。
神禍に覚醒した彼は自分が幸せに生きていた世界を歪ませた何者かに対する憎悪に駆り立てられるまま、自らの肉体をも捨てて神禍の奥底に精神を没入させた。
結果として禍者の中でも飛び抜けた異形と化した氷の真球はその異常な執着心によりゴグに落ちることもなく存在し続ける。

「アノ スバラシキ セカイヲ カエセ」

完全自分本位の救世の為、冬将軍は聖女の導きに応じたのだ。

67名無しさん:2025/06/03(火) 03:27:49 ID:KcitmzSA0
【名前】マルコキアス=ヴェルナー
【性別】男
【年齢】28
【性格】元来は几帳面で義に厚い生真面目な男。しかし現在は皮肉屋かつ冷笑的な態度を取ることが多く、他者との距離を常に意図的に保とうとする。だがその内面には、今なお「何かを守りたい」「誰かに誇れる生き方をしたい」という、かつての騎士道精神の残滓がくすぶっている。
【容姿】全体的に鋭い印象を持つ青年。浅黒い肌に長めの黒髪を後ろで束ね、鋭く光るグレーの瞳を持つ。防寒用の厚手の外套の下には、磨耗した皮の胸当て。腰には細身のレイピアが吊られており、柄には家紋を刻んだ金の意匠が残っている。顔立ちは整っているが、いつも無精髭を生やしており、眼光の鋭さと相まって近寄りがたい雰囲気を纏っている。

【神禍】
『真実に届く突き(ラメント・ド・ランス)』
思想:この刃(レイピア)を他者のために使いたい。

所有するレイピアの刺突リーチを伸ばす能力。
最大で十数メートル先の対象を貫くことができ、伸縮は任意、即座に可能。
視線さえ合えば刃は瞬時にその間合いを詰め、通常の刺突では届かない位置の対象を正確に狙い撃つ精密性を持つ。
この力は、マルコキアスの「届かぬものを斬れなかった己への忸怩」が歪んで昇華したもの。
騎士でありながら守れなかった過去が、彼に「もっとも遠くにいる者をもこの手で守るか、殺す力を」と願わせた。

【詳細設定】
マルコキアス=ヴェルナーは、かつて“高地のヴェルナー”と呼ばれた一族の末裔である。
彼の一族は、旧世界において儀礼的な剣術文化を守り続けた古流騎士の家系である。
戦争とは無縁な時代にあっても、彼らは「誇り」と「形式」の象徴として、子に剣術を教え、家訓を守り、時には社会的な矛盾に反発する義士として語られてきた。

マルコキアスはその中でも特に優秀で、礼儀作法や騎士道においても祖父の誇りであった。10代後半にはいくつかの自警団にも所属し、困窮する地方の人々を守る任務に従事するなど、“真の騎士”になろうと努力していた。
しかし、全球凍結がすべてを変えた。
冬が終わらず、作物が枯れ、文明が崩壊し、人々の目が信頼や誇りから「食料と火」に向けられたとき、マルコキアスはなす術もなくすべてを失った。家族は寒さと飢えにより次々と命を落とし、剣の腕も、誓った騎士道も、何一つ役に立たなかった。

彼は知ってしまったのだ。「義に生きる者から先に死ぬ」ことを。
飢えを凌ぐため、全球凍結から一月後には彼はその剣を初めて"略奪"に使った。相手は、同じく生き延びようとする者たち。だが、そこで彼が驚いたのは、自らの手が震えなかったことだった。
以降、彼は「略奪者」となり、凍結後の五年間を生き延びた。複数の集団を渡り歩きながら、略奪や護衛、時に殺人さえ請け負いながら飄々と日々を過ごす日々。
しかし、彼は「残酷」になれなかった。見捨てた命の数だけ、夢に見る子供の幻影、叫ぶ老人、膝を抱える女が瞼に焼きついた。

彼の神禍は、全球凍結から数ヶ月の後に発現する。
当時、彼は一人の少女を護衛していた。貴族出身の少女で、凍死しかけていた彼女を見捨てきれず、彼は自らの食料を削ってまで保護していた。しかし、ある日遠くから放たれた銃弾が彼女を撃ち抜いた。間に合わなかった――レイピアは届かなかった。
全球凍結で世界が終わってから、彼のレイピアは自分のためにしか使えていない。

皮肉なことに、恥知らずなことに、これが彼の思想の起点になった。

「もしも、あの時、この刃が届いていたら――」

以降、彼はこの力を"殺し"にではなく"未然の抑止"に使ってきた。例えば、「あいつはこの距離でも殺せる」と相手に思わせ、戦闘を避ける――そんな使い方だ。
マルコキアスは今、孤独にさまよう一匹狼として、凍土を放浪している。正義も悪もない。生きるための契約をこなし、報酬を受け取り、また次へと渡るだけの日々。
だが、それでも。
みにくく汚れたこの命が尽きる前に、何か一つ――誇れる仕事をしたい。
そう思っている自分に、彼はまだ気づいていない。

68名無しさん:2025/06/03(火) 03:32:55 ID:KcitmzSA0
>>67
すみません、こちら

以降、彼は「略奪者」となり、凍結後の五年間を生き延びた。→×
以降、彼は「略奪者」となり、凍結後の数ヶ月を生き延びた。→○

に修正させてください。

69名無しさん:2025/06/03(火) 03:58:27 ID:KcitmzSA0
【名前】アンダーグラウンド(通称)
【性別】男性
【年齢】43
【性格】極限の生存本能から手段を選ばぬ「生き汚さ」を持つ。他者との交流を避ける無口で孤高な現実主義者。
【容姿】歴戦の傷跡と凍傷痕が刻まれた顔。鋭く、獲物を捉えるような眼光。使い込まれた防寒具に身を包む。
【神禍】
『絶禍断界(ぜっかだんかい)』
思想:生存を阻む総てを断つ。

対象や空間座標を指定し、そこに不可視の次元断層を発生させる。断層はあらゆる物理的防御を無視して対象を「切断」する。射程は約50メートル。
精密操作には集中を要し、連続使用は体力を消耗する。単純な斬撃だけでなく、空間そのものを短時間「隔離」するような壁を形成することも可能だが、維持には多大な精神力を要する。
強烈な生存への執着が、文字通り障害となる物理的存在、時には人間関係や自身の感情すらも断ち切り、道を切り開く力として発現した。




【詳細設定】
アンダーグラウンドは、かつて旧文明で平凡な技師として暮らしていた男、本名マサキ・タカベ。
廃墟の地下や忘れられたシェルターを転々としながら、集落の有力者や時には他のゴグ狩りからの依頼を受け、ゴグを狩って糊口をしのいでいる。得た報酬は最低限の生存物資に換え、残りは神禍の維持と身体能力を保つための僅かな嗜好品(旧世界の保存食など)に使う。他人との関わりは必要最低限。
全球凍結による世界の崩壊は、彼の家族も日常も全てを奪い去った。凍える絶望の中、彼はただ生き延びることだけに執着するようになる。
当初はその力に戸惑い、人間を殺めることに抵抗を感じたが、極寒と暴力が支配する世界で生き抜くためには、綺麗事は通用しないと悟る。
いつしか「アンダーグラウンド」と呼ばれるようになり、その名の通り、日陰で泥水を啜りながら生きる道を選んだ。
ゴグ狩りを始めたのは、それが最も効率的に生存資源を得られる手段であり、また、かつて人間だったモノの成れの果てを「処理」することで、歪んだ形ではあるが、世界の浄化に貢献しているという微かな自負があるからかもしれない。
彼は依頼があればどんな危険なゴグでも狩る。報酬は食料や燃料、弾薬など、生きるために必要なものだけ。他人と馴れ合うことはなく、常に単独で行動する。
自身の生き汚さは、失ったものへの贖罪か、あるいは単なる生存本能の極致か、彼自身にも分からなくなっている。

70名無しさん:2025/06/03(火) 04:04:08 ID:KcitmzSA0
【名前】アリウス
【性別】女性
【年齢】50
【性格】冷静沈着かつ極めて合理的。感情の起伏をほとんど表に出さず、常に状況を分析し、最も効率的な手段を選択する。他者に対しては基本的に無関心だが、自らの定めた「規律」や「有用性」に反する者には冷徹な判断を下す。潔癖な一面もあり、自身のテリトリーや道具は常に整頓されている。長年の過酷な経験から、人間不信が根底にあり、容易に他人を信用しない。
【容姿】手入れはされているものの、実用性のみを追求した短めの灰色の髪。鋭く細められた眼差しは、長年凍てついた世界を見続けてきたかのように冷ややかで、観察対象の僅かな動きも見逃さない。顔には風雪に刻まれた深い皺が走り、年齢以上の厳しさを漂わせる。動きやすいようにカスタマイズされた防寒着を常に着用し、腰には自作のメスや止血鉗子などを収めた革製のポーチを提げている。指先は常に清潔に保たれ、その動きは外科医のように精密かつ無駄がない。

【神禍】
『絶対凍域(アブソリュート・ゼロ・エンクロージャー)』
思想:崩壊した世界に必要なのは絶対的な秩序。不純物や無秩序は凍てつかせ、完璧な静寂と統制をもたらすべき。

空気中の水分を急速に凍結させ、対象を物理的に拘束する分厚い氷の牢獄や、内側から破裂させる鋭利な氷柱を生成する。足元に薄い氷膜を張って敵の体勢を崩したり、自身の傷口を一時的に凍結止血することも可能。ただし、この止血は組織へのダメージを伴う。

アリウスの「絶対的な秩序と統制への渇望」が、万物を停止させ、動きを封じる「凍結」という形で発現した。
彼女の目指す完璧な静寂は、生命活動すら許さない氷の世界であり、氷の牢獄は彼女の秩序を乱す者を封じ込めるための具現化。鋭い氷柱は、秩序を破壊する「不純物」を排除するための攻撃的な意志の表れ。

【詳細設定】
アリウスは全球凍結以前、高度な医療技術を持つ大病院の外科部長として、数多くの命と向き合ってきた。
しかし、彼女はそこで人間の非合理性、規律の欠如、そして避けられない「死」という無秩序に常に苛立ちを感じていた。
「完璧な手術、完璧な管理体制があれば、もっと多くの命を"制御"できるはずだ」という歪んだ理想を抱いていた。

全球凍結が世界を襲い、社会システムが崩壊。病院も例外ではなく、略奪と暴力が横行し、彼女が信じていた「秩序」は完全に失われた。目の前で人々が獣のように資源を奪い合い、無益な争いで死んでいく様は、彼女の価値観を決定的に変えた。「やはり人間は愚かで、絶対的な力による統制がなければ救いようがない」と。

この強烈な絶望と使命感が、全球凍結後、彼女の神禍を発現させた。
当初はその力を制御できず、周囲のものを無差別に凍結させてしまうこともあったが、持ち前の分析力と冷静さで徐々にコントロール術を習得。
以来5年間、彼女は生き残るために、そして自らの信じる「秩序」を限定的ながらも実現するために、その神禍と外科医時代の知識・技術を駆使してきた。彼女の行う「外科的処置」は、もはや人命救助のためではなく、生きている人間であれば利用価値を見極めるため、死体であれば「有用な部品」を効率的に回収するため、あるいは情報を引き出すための威嚇や拷問に近いものへと変質している。彼女にとって、人間もまた「管理」し「利用」する対象でしかない。
彼女の行動原理は「生存」と「自らの秩序の維持・拡大」。その秩序にそぐわない者、あるいは彼女の生存を脅かす者は、容赦なく氷の牢獄に閉じ込められ、あるいは氷柱によって「処理」される。

基本的には単独で行動し、廃墟となった医療施設跡などを転々としながら、利用可能な医療器具や薬品を収集している。時折、小規模な集落と一時的な協力関係を結ぶこともあるが、それはあくまで彼女にとって「有用」である期間に限られる。彼女の外科技術や神禍は、時に用心棒として、時に「処理屋」として利用されるが、彼女自身は誰にも心を開かず、常に他者を観察し、利用価値を査定している。

71名無しさん:2025/06/03(火) 04:38:48 ID:KcitmzSA0
【名前】四十万 高路戯(しじま こおろぎ)
【性別】男性
【年齢】24
【性格】極度の人間不信で猜疑心が強い。口数は極端に少なく、他者と馴れ合うことを徹底して避ける。常に周囲を警戒し、僅かな物音や気配の変化にも敏感に反応する。感情を表に出すことは滅多にないが、唯一「渇き」への恐怖と、それを満たすための執着だけは時折、獣のような鋭い眼光として表出する。生き汚いと罵られようと、生き残ることを至上命題としており、そのためには非情な判断も厭わないリアリスト。しかし、その心の奥底には、かつて失った「当たり前の日常」と「温もり」への微かな残滓が凍りついている。
【容姿】中肉中背だが、長年の極限生活で贅肉は一切なく、引き締まっている。顔色は悪く、目の下には常に濃い隈が刻まれている。髪は黒く、無造作に伸びて目元を隠しがち。極寒に対応するため、複数の衣服を重ね着し、最も外側には防水・防寒性の高いボロボロのコートを羽織っている。首元は汚れたマフラーで覆い、顔の下半分は高機能マスクで隠していることが多い。手には常に耐寒グローブを装着。腰には氷を砕くためのピッケルや、手製のろ過装置、そして数本の空の水筒をぶら下げている。その瞳は、常に獲物を探す獣のように鋭く、それでいてどこか虚無感を漂わせている。

【神禍】
『渇望・水脈探知(サースト・ファインダー)』
思想:渇きへの恐怖と、それを満たす渇望。
半径約500m以内の「飲用可能な水」及び「利用価値のある清浄な氷」の正確な位置、量、質を感知する。
汚染された水や危険な不純物を含む氷はノイズとして識別し、安全な水源のみを特定可能。地中深くの水脈や、巧妙に隠された貯水槽なども見逃さない。ただし、感知できるのはあくまで「水」そのものであり、それ以外の物質や生物の探知はできない。

【詳細設定】
四十万高路戯、通称「コオロギ」。
その名は、か細くも生命力の強い虫のように、どんな状況でも生き延びようとする彼の執念を表しているかのようだ。
全球凍結が始まったあの日、彼はまだ19歳の平凡な学生だった。家族と共に避難所へ向かう途中、暴徒の襲撃に遭い、両親と妹を目の前で失う。

唯一生き残った彼もまた、食料と水を奪われ、雪原に置き去りにされた。三日三晩、凍える寒さと絶望的な渇きに苛まれ、死を覚悟したその時、彼の神禍『渇望・水脈探知』は覚醒した。それは、「生きたい、水が欲しい」という本能的な叫びが、神の呪いと結びついた瞬間だった。

神禍の力でかろうじて汚染されていない氷塊を見つけ出し、九死に一生を得たコオロギ。
しかし、その経験は彼の心を深く歪ませた。信じていた人々にあっけなく裏切られ、奪われ、家族を失った悲しみと怒り。そして何よりも、喉が張り裂けるような渇きの苦しみ。それらがトラウマとなり、彼は「二度と渇きたくない」「誰にも奪われたくない」という強迫観念にも似た渇望を抱くようになる。

以来5年間、彼は誰にも頼らず、誰のことも信用せず、ただひたすらに水を探し、生き延びてきた。彼の能力は、この極寒のポストアポカリプス世界において、生存に直結する極めて重要なものだ。しかし、それは同時に、他者からの嫉妬や敵意を招く原因ともなった。水は命そのものであり、それを容易に見つけ出せるコオロギは、多くの生存者にとって垂涎の的。実際、彼の能力を知った小規模な集落に一時的に保護されたこともあったが、結局は水の分配を巡る争いや、能力の酷使を強いられる状況に嫌気が差し、あるいは裏切られ、逃げ出すことを繰り返してきた。

そうした経験が、彼の人間不信をさらに加速させた。今では、他人と関わることを極力避け、見つけた水源も独占し、誰にも分け与えることはない。もし他者に出くわしても、基本的には気配を殺してやり過ごすか、必要とあらば威嚇して追い払う。彼にとって水は、生きるための糧であると同時に、他者を遠ざけるための盾であり、そして、時に他者の命を間接的に脅かす「武器」にもなり得るのだ。凍りついた世界で、彼の心もまた、硬く冷たく凍てついている。
しかし、その凍りついた心の奥底、最も深い場所には、かつて家族と交わした「また一緒に温かいお茶を飲もう」という、今となっては叶わぬ約束が、消えない残り火のように燻っている。

72名無しさん:2025/06/03(火) 04:48:54 ID:KcitmzSA0
【名前】パンデモニウム(本名:不明。自称であり、周囲もそう呼ぶ)
【性別】男
【年齢】29歳
【性格】寡黙で、感情を表に出すことは少ない。必要最低限の言葉しか発さず、その眼光は常に獲物を定める獣のように鋭い。代理決闘という血生臭い稼業に長年身を置いているため、他者との間に一線を引いており、容易には心を開かない。
【容姿】長身痩躯だが、全身が鍛え上げられた筋肉で覆われている。凍てつく世界を生き抜いてきた証として、顔や身体には無数の古い傷跡が刻まれている。特に左の目元には大きな斜めの傷があり、時折疼くように瞬きをする癖がある。髪は無造作な黒で、常にフード付きの分厚い防寒コートを羽織り、その下には動きやすさを重視した継ぎ接ぎの革鎧を着用。腰には年季の入った戦闘ナイフと、依頼に応じて使い分けるためであろう複数の武器を携行するためのベルトやホルスターが見える。その佇まいは、常に死と隣り合わせの緊張感を漂わせている。

【神禍】
『血戦代行人(サブスティチュート・ブッチャー)』
思想:争いは代理され、強者が弱者を喰らい終結する。

他者(個人または集団)からの「代理の渇望(明確な言葉でなくとも、強い殺意や復讐心、守護願望など)」を感知し、その「代理人」として立つことを自身が選択すると発動。対象の敵対者に対する自身の五感、身体能力、そして振るう全ての攻撃手段の殺傷能力が飛躍的に増強される。特に、渇望の源となった感情(怒り、憎しみ、恐怖、絶望)が強烈であるほど、能力の増幅率も高まる。

【詳細設定】
パンデモニウム――「万魔殿」の名を自ら名乗るこの男の本名は、彼自身ももう覚えていないか、あるいは捨てたのかもしれない。全球凍結という未曾有の大災害に見舞われる以前、彼はどこにでもいる、ただの青年だったのかもしれない。だが、世界が一変し、秩序が崩壊し、力こそが正義となった時、彼は生き残るために、そしておそらくは誰かを守るために、その手を血に染めることを選んだ。

全球凍結直後の混乱期。彼は大切な家族(あるいは恋人、友人)を、食料を奪おうとした暴徒たちの手で無残に失った。目の前で繰り広げられる理不尽な暴力に、彼はなすすべもなかった。もしあの時、自分が彼らの代わりに戦えるだけの力があれば、と血の涙を流した。その強烈な無力感と怒り、そして「誰かがこの悲劇を代理し、力で終わらせるべきだ」という歪んだ願望が、彼の神禍の根源的な思想を形作った。

彼が「パンデモニウム」と名乗るのは、自らが引き受ける争いの醜悪さ、そしてその中で振るう力の禍々しさに対する自嘲であり、同時に、この混沌とした世界で秩序(たとえそれが血塗られたものであっても)をもたらす存在としての覚悟の表れでもある。彼は報酬として食料や燃料を得るが、それ以上に、争いを終わらせるという行為そのものに、歪んだ存在意義を見出している節がある。
凍結後5年間、彼は数えきれないほどの代理決闘をこなし、多くの命を奪い、そして多くの命を(結果的に)救ってきた。その過程で、人間不信は深まり、感情は摩耗し、かつての彼が持っていたであろう純粋な理想は、極寒の大地の下に凍り付いてしまった。それでも、彼は歩みを止めない。なぜなら、この絶望的な世界で、彼の神禍を求める声が絶えることはないからだ。そして彼自身もまた、血の匂いが染みついたその生き方以外を知らないのかもしれない。

73名無しさん:2025/06/03(火) 05:06:50 ID:KcitmzSA0
【名前】町中 桃香(まちなか ももか)
【性別】女性
【年齢】41
【性格】陽気で好奇心旺盛。危険の中にも楽しさを見出す冒険者気質。だがその内側には、過去を喪った痛みと、「もう一度人間らしさを取り戻したい」という強烈な執着がある。
【容姿】肩までの髪を後ろで一つに束ね、廃材を再利用した防寒コートと登山ゴーグルを常に着用。背負うリュックには様々なガジェットや道具が詰め込まれており、腰には電源が入らない古いスマホをタリスマンのように提げている。

【神禍】
『追想の零度(アーカイブ・グレイス)』
思想:過去には、今も価値がある。

触れた物体に宿る「過去の断片」を凍結された映像・音声のように再現する能力。建物や遺物、死体などから、その場所や対象に最後に刻まれた“記憶”を抽出できる。ただし再現された映像は断片的で真偽が曖昧であり、主観によって変質する危険を孕む。

桃香は、失われた文明や人々の“痕跡”に価値を見出していた。彼女の神禍は、そうした過去への強い執着が歪んだ形で実現したものである。だが再現される記録は曖昧で、本人の心象や願望によって書き換えられる。そのため、過去を知るための力が、いつしか“見たい過去しか見ない”呪いへと変わっていく。

【詳細設定】
町中桃香は、文明が崩壊する以前から、廃墟や工場跡、ゴーストタウンを巡る“都市探訪者”だった。元々は地理学者の助手をしていたが、探検的な活動を通して過去の遺構を「人類の宝箱」と捉えるようになり、各地の廃墟を旅しては記録を残していた。全球凍結が始まり、世界が崩壊していく中、彼女のその技能は皮肉にも最適化されていく。凍土に埋もれた旧施設から発電機を発掘し、倉庫の天井から凍結肉を見つけ、再利用可能な知識や装置をサルベージして生活圏を広げる集団“アラキエル”を結成。そのリーダーとして数十人規模の共同体を率いた。

だが神禍が発現してから、桃香は「廃墟の声」を聴くようになる。それは録音でも幻聴でもない、視覚・音声・感触を伴う“記憶の再現”。彼女はこの力を通じて、過去の笑い声や、死に際の叫びを追体験する。それらの記録はあまりにも断片的で、一見真実に見えても、実は彼女の願望をトレースしているだけかもしれない。にも関わらず彼女は「ここにあったもの」を見たい一心で神禍を使い続ける。過去への執着は、文明の復興という建前を装いつつ、徐々に“壊れた過去に浸る快楽”へと変質しつつある。本人はまだそれに気付いていない。

全球凍結の初期、桃香は避難先の地下鉄で家族を凍死で失った。死体の隣で、一枚の家族写真を見つめながら「この時に戻れたら」と思い続けた。現実は破壊されていくのに、写真はそこに在り続けた。「過去こそ真実だ」という考えが、いつしか彼女の中に根を下ろした。

74名無しさん:2025/06/03(火) 05:12:40 ID:KcitmzSA0
【名前】ティティヴィラス(本名不詳)
【性別】女性
【年齢】19歳
【性格】快活で口数が多く、常に物語めいた調子で話す。だがそのテンションの裏には冷徹な分析眼と、世界に対する根深い不信が潜んでいる。自らの存在を演技として成り立たせている少女。
【容姿】薄い灰色のコートに赤いチェックのスカートを合わせ、古い時代の少女探偵のような帽子を被る。ボロボロだがどこか統一感があり、「キャラクターを演じている」意図が透けて見える。眼鏡はレンズが片方欠けており、代わりに拡張鏡を針金で取り付けている。

【神禍】
『脚本なき密室(スクリプトレス・ルーム)』
思想:すべてには筋書きがあるはずだ。

対象の行動・言動・記憶を一時的に「筋書き」へと書き換える能力。ただし、対象が抱く“自己の整合性”を破壊しすぎると神禍が暴走する。強制的な催眠や錯覚のように使うことも可能で、虚構を現実に侵食させる力を持つが、制御には極めて高い知性と冷静さを要する。

極寒と暴力に支配された無秩序の中で、ティティヴィラスは「全ての事象には理由がある」という信念にすがることで狂気から逃れた。その信念が歪に拡大され、「現実を物語の一幕に変えてしまう力」として神禍が発現。彼女は他者の意識すら書き換える“作者”となり、世界に仮初めの秩序を与えることで、自己の崩壊を防いでいる。

【詳細設定】
ティティヴィラスは元々、平凡な少女だった。ミステリー小説が好きで、日常の中に“謎”を探すことで退屈を埋めていた。全球凍結が発生したのは彼女が14歳のとき。家族は凍死、逃げ込んだ都市部は略奪と暴力の巣窟となっていた。追い詰められた彼女が選んだ生存戦略は、“日常を失った世界の中で、あえて日常的なロールプレイを続けること”だった。少女探偵を名乗り、推理口調で世界を観察し、自分自身が物語の登場人物であると信じることで正気を繋いだのだ。

神禍を自覚したのは、全球凍結から半年後。凍死寸前の状況で、かつて自分がノートに綴った“探偵日誌”の筋書き通りに、目の前の略奪者が崖に足を滑らせて死んだ。その瞬間、彼女の中で「物語は現実を律することができる」という確信が生まれ、それが能力として結晶した。

以後、ティティヴィラスは“探偵としての筋書き”に則って行動し、自らの観察と脚本によって周囲の行動や思考に影響を与えて生き延びてきた。だが彼女の行為は他者にとっては“洗脳”にも近く、その罪悪感を自覚するたびに彼女の人格はひび割れる。だがそれでも彼女は語るのだ。「これはただの物語。誰も本当には傷ついていない」と。

全球凍結が始まり、家族を失い、殺し合いの現場を幾度も目撃したティティヴィラスは、「すべての出来事には意味がある」と信じなければ心が壊れてしまうと感じた。自分や他人の行動に理由がなければ、存在の耐えがたい空白に呑まれてしまう――そうして生まれたのが“筋書き”という思想だった。

各地の集落を転々としながら、自らを「少女探偵」と称しては事件の解決を持ちかけ、食糧や情報と交換している。その言動は芝居がかっていて胡散臭いが、極寒の地で5年も生き延びた実績が、誰にも否定できない“現実の証拠”として彼女の肩書きを支えている。彼女の目的は、物語の結末を“見届けること”にある。

75名無しさん:2025/06/03(火) 05:23:12 ID:KcitmzSA0
【名前】白石 冬花(しらいし とうか)
【性別】女性
【年齢】24
【性格】明るく無鉄砲、負けず嫌いで口が悪い。だが、どこか楽しげで、死さえも娯楽の一部として笑っているように見える。一方で、深層には“勝ち負けに意味を見いだせない虚無”が静かに沈んでいる。
【容姿】凍傷跡が残る手指と頬。短く切った髪に分厚いスカーフ、背丈に合わない革のジャケットを身に着けている。武器を隠し持てるスカート付きのスパッツを愛用しており、口紅だけは常に丁寧に塗っている。

【神禍】
『血染めの鉄槌(ブラッディ・ハンマー)』
思想:力で帳消しにできるならそれでいい

握った武器、もしくは己の拳に対して物理的破壊力を極限まで高める神禍。対象は主に鈍器。小さな金属片すら壁を貫通させる圧力を持ちうる。発動時は血管が浮き、周囲に低音振動を放つ。精神状態や信念により破壊力の上限が変動し、無意識の恐怖や迷いで不発に終わることもある。

冬花の根幹には「負けを認めたくない」という歪な自尊心がある。ギャンブルに弱く、負けを繰り返す中で、自分が無価値だと認めるのが怖かった。だから、最後に力で帳消しにすれば「私は間違ってなかった」と言える――その願望が神禍となった。力でしか認められない自己肯定。それが鉄槌の原点。

【詳細設定】
白石冬花は、凍結前の都市部で育った。母子家庭。幼い頃から周囲に「お前には無理」「どうせ失敗する」と言われ続け、反発として賭け事に傾倒していく。ギャンブルは負け続きだったが、冬花にとってそれは“確率の悪い成功体験”だった。勝てないと知りつつも挑み、裏をかいて勝つという偶発性に、自分の生きている意味を見出していた。

全球凍結が始まって間もない頃、冬花は仲間の一人に裏切られ、ギャンブルで負けた末に命まで賭けさせられた。絶望の中で相手を鈍器で撲殺した瞬間、神禍が発現。その後、彼女の中で「負けても最後に殴れば勝ち」という自己防衛的信念が固まっていった。
以来、勝負に負ければ暴力で決着をつけるという、破綻した“勝ち逃げの美学”を身につけるようになる。

5年間の生存で彼女は多くのものを失い、憎み、壊し、食ってきた。けれど、それでもなお“生き延びている”。「生きてるってだけで、だいたい勝ちじゃん」と笑う冬花の目の奥には、言い訳では拭えない“敗北感”がわだかまっている。力で何もかも帳消しにできると信じて、それでも決してゼロにはできないものが、彼女を喰い続けている。

冬花は物資の奪取や護衛などを請け負う流れ者として、各地の集落を渡り歩いている。賭け事を見つけては参加し、勝てば上機嫌、負ければ血で清算する。暴力にまみれながらも、どこか「勝負の舞台」を探し続けているような目をしている。それが本当の意味での生への執着かどうか、本人にも分からない。

76名無しさん:2025/06/03(火) 05:35:34 ID:KcitmzSA0
【名前】郭 琪琪(グォ・チーチー)
【性別】女性
【年齢】16
【性格】無感情に見えるが、冷静なだけ。感情を殺して生き延びてきたため、人懐っこさや優しさは表面に出ない。指示には忠実だが、内心では他人の矛盾や虚飾を冷ややかに見ている。嘘を見抜く眼を持つが、嘘で守られるものも知っている。
【容姿】黒髪をきつく結い、動きやすいボディスーツの上に古びたコートを羽織る。細身ながら筋肉は引き締まり、無駄のない動作を好む。目は細く、常に何かを見透かすような無表情をしているが、笑うと年相応の面影が垣間見える。

【神禍】
『重力歪曲点(グラビティ・ワープポイント)』
思想:誰にも自分の重心を決めさせない。

一定範囲内の空間に対し、重力の方向・強度を自在に操作する。対象を地面に叩きつける、天井へ吹き飛ばす、あるいは重力の無い空間を一時的に作り出すことも可能。対象は自身以外でも物体でも可。ただし、使用者の精神集中が必要なため、長時間や同時多重使用にはリスクを伴う。

重力という絶対法則をねじ曲げる力は、「誰にも縛られない自分」を希求した結果の歪んだ具現化である。

【詳細設定】
郭 琪琪は、上海近郊のスラム出身。
生まれた瞬間から世界は彼女に選択肢を与えなかった。5歳のとき家族を飢餓で失い、拾われた先がチャイニーズマフィアの殺し屋育成機関だった。物心ついた頃には、人の死に鈍くなる訓練と、感情の切除が日課になっていた。

彼女が11歳のとき、全球凍結が始まり、組織は崩壊。
荒廃した中国内陸部を彷徨っていた時に、ある武装集団に拾われる。
当初は戦力として利用されるだけだったが、やがて彼女の戦闘能力と冷静さは評価され、護衛・略奪任務などで一線を任されるようになっていった。
神禍が発現したのは全球凍結から半年後。襲撃された交易路で仲間が無惨に殺される中、彼女は一人“抗う”ことを選んだ。選ばされるのではなく、自分で選ぶ。その瞬間、空間に歪みが生まれ、敵は圧壊した。

全球凍結の数か月前、護衛任務中に「指示に従った結果、味方を死なせた」。それは彼女の友人だった。
命令に従うことでしか存在できなかった自分の「重心」が初めてぐらついた。その夜、琪琪は「自分の重さ(生き方)は自分で決める」と誓った。
それが神禍の芽になったのだろうか。

それ以来、彼女は自分を押し潰そうとするすべての力に抗うため、この神禍を磨き続けている。
一見すると戦闘マシーンのような存在だが、今も時折、物陰で壊れた小さな人形を修理し続ける姿が目撃される。その人形は、幼少期に母親から与えられた唯一の記憶の残骸だという。

琪琪は現在、武装集団の護衛兼傭兵として各地を巡っている。しかしそれは以前とは違い、報酬と引き換えに働く“契約”としてであり、自らの意思で動いていると感じている。物資の乏しい世界で、彼女は「生きるために人を殺す」ではなく、「生きるために生きる」ことを覚えようとしている。

77名無しさん:2025/06/03(火) 06:12:00 ID:KcitmzSA0
【名前】イエティ(本名不明)
【性別】男
【年齢】15
【性格】寡黙で無表情。言葉より拳を信じており、敵には容赦がない一方、弱者や仲間に対しては不器用な優しさを見せる。物事を善悪で判断せず、状況と力のバランスで判断するタイプ。人間としての情動を内に閉じ込め、化け物であろうとする自覚がある。
【容姿】全身に原始的な防寒具と獣皮をまとい、常にフードを深く被っている。痩せているが、脱げば筋肉質な肉体が現れる。表情に乏しく、話す際も短くぶっきらぼう。普段は15歳には見えないほど年齢不詳の雰囲気を醸している。

【神禍】
『白き咆哮の護り手(イエティ・プロテクト)』
思想:恐れられても、生きねばならない。

発動と同時に全身が白い毛に覆われ、身長は3メートルを超す巨体へと変貌。筋出力、耐久性、瞬発力が飛躍的に上昇し、雪原においてはさらに強化される。叫び声は周囲の聴覚と感覚を一時的に麻痺させ、敵意を向けた者に対してのみ、自動的な迎撃行動を行う防衛型の異形化能力。

【詳細設定】
イエティは本名すら知られぬ存在として、終末の雪に埋もれた世界に現れた。彼が生き延びた地域は旧東欧の寒冷地帯。全球凍結後、文明は崩壊し、生存者たちは小規模な群れで争い、奪い合い、そして死んでいった。10歳の彼は、凍えた家族を看取った最後の生き残りだった。

彼の神禍は、世界が凍結して半年が経つ頃、強盗に襲われていた年下の子どもをかばった際に発現した。それは怒りでも憎しみでもなく、ただ「死なせてはならない」という本能に近い衝動だった。変貌した彼は襲撃者を惨殺し、その姿を見た周囲から「イエティ」と恐れられるようになる。
流浪の末、ピクシーズの武装キャラバンに捕らえられるが、彼らはイエティを殺さず、「使える」と判断。以降、彼は用心棒として護衛、拷問、戦闘要員として商団に仕えることとなる。最初は野獣として扱われたが、徐々に任務をこなす中で信頼と評価を得ていく。

外の世界では“雪山の怪物”として語られるが、内部では「義に報いる化け物」として部下から密かに尊敬されてもいる。本人は他者との繋がりを極力拒むが、時折見せる不器用な気遣いや行動が、彼の中の“人間”を証明している。

全球凍結後の初期、凍死しかけた妹を背負い、彼は三日三晩吹雪の中をさまよい続けた。最後には妹も自分も命を落としかけるが、彼の中には「誰にも頼れなくても、自分だけは自分を裏切るな」という信念が芽生え、それが神禍の核となった。

イエティはピクシーズの用心棒として、武装キャラバンの護衛や敵勢力との戦闘に従事している。金には無関心だが、食糧と居場所を得るための対価として働いている形。必要とあらば人を殺すが、自分に助けを求めた者を見捨てたことは一度もない。夜には雪の上で一人、空を見上げて座っていることが多い。

78名無しさん:2025/06/03(火) 07:13:18 ID:KcitmzSA0
【名前】サーニャ・スケイル
【性別】女性
【年齢】29
【性格】外向的で陽気な印象を与えるが、それは防衛本能と子供のための「演技」でもある。実際には冷静沈着で、非常に現実主義的。自己犠牲をいとわない一方で、自らが「善人」になれるとは思っておらず、過去の罪や矛盾を抱えたまま、それでも誰かを守ろうとする「矛盾の人」。計算高く、必要とあらば冷酷な選択も取れるが、そのたびに内心では己の中の「何か」が削れていく感覚に苛まれている。
【容姿】短く刈り込んだアッシュグレーの髪と、鋭い琥珀色の眼が印象的。やや精悍で中性的な顔立ちをしており、体格は細身ながら引き締まっている。かつての警官時代の名残である重めのジャケットと、護衛業の名残である実用主義的な装備を身につけている。左耳にだけ古びたピアスをつけており、それはかつての同僚が遺したもの。笑うときの表情にどこか影があり、それを見抜ける者には「演技」だとすぐに分かる。

【神禍】
『魂喰らいの魔弾(ソウルイーター・バレット)』
思想:生きるということは、誰かの命の上に立つことだ。

自らの生命力を削って生成する「魂喰らいの弾丸」を撃ち出す。命中した対象の生命力や精神力を吸収し、自身の体力・感覚・力に転換する。弾丸は銃器がなくとも生成・発射でき、掌や指先、さらには目などからでも撃つことが可能。
生命の代償としてしか行使できないため、使用のたびにサーニャは“少しずつ死ぬ”。

神禍の発現はサーニャ自身の「生の重さ」に対する認識の具現である。
「生き残る」ことはすなわち「他者を犠牲にする」ことだという諦念と、それでも守りたい者のために「自らを削ってでも生きる」決意がないまぜになり、それが能力として結晶した。

【詳細設定】
サーニャ・スケイルは、スラム街で生まれた。
父の名も知らず、母は死んだ。
盗みと暴力だけが生存手段だった環境の中、サーニャは“生き残る”という一点のみに特化して少年窃盗団の一員として育つ。

10歳の時、仲間の一人が暴行死した事件をきっかけに、巡回中の警察官に補導される。収容施設では更生という名の管理の中で“教育”を受けるが、それは秩序という名の別の暴力に他ならなかった。そこに現れたのが、後の相棒である刑事だった。
刑事は、すべてのスラム出身者を否定しない稀有な人物だった。サーニャの過去を知りながらも、それを口実に彼女を見下さなかった。彼の“対話”と“責任”の信念に触れたことで、サーニャははじめて“信頼”というものの形を知る。

やがて彼女は、腐敗した都市警察に適応しながらも、独自のやり方で「法の網からこぼれる者たち」を助けるようになる。しかしそれは表面的には汚職と変わらなかった。何かを助ければ、何かが切り捨てられる。ある強姦事件では、告発を揉み消した見返りに、別件の人身売買組織を潰した。彼女にとって正義とは、数字ではなく“結果”だった。

全球凍結が始まった頃、都市は暴徒に蹂躙され、エネルギー不足と物流の崩壊により暴力と死が日常になっていく。そんな中、ある暴徒の鎮圧任務で刑事が死亡。彼は、死の直前にサーニャへ娘を託した。

「俺が信じたお前なら、あいつを生かしてくれる」

凍りついた都市からの脱出劇の中で、サーニャは満身創痍になりながらもメアリを連れて脱出し、廃墟地帯の中で小さな生存集落にたどり着く。その過程で彼女の心はすでに罪の帳消しではなく、命のバトンを繋ぐことに向かっていた。

現在は、全球凍結により氷結した地域の端にある小規模な集落で暮らしている。集落には20人ほどの住人がおり、主にかつての都市生活者の生き残りで構成されている。
サーニャはその中で、唯一の「戦闘担当」として外敵(他集団の襲撃者など)と対峙する役割を担っている。

物資調達のために氷原を越えて旅に出ることもあり、時折他の集落と接触する。娘は今では10代後半に成長しており、医療知識を得ようと学んでいる。

サーニャはあくまで「自分が最後の防壁」として存在していると考えており、自分の命を惜しむことはない。しかし、戦うたびに魔弾が削る寿命に焦燥を抱えているのも事実。娘が自立できるまでに、自分が間に合うかどうか——その問いだけが、彼女の内側に横たわっている。

79 ◆EuccXZjuIk:2025/06/03(火) 16:30:39 ID:tLkeCEb20
沢山の投下をありがとうございます。
予想を超える盛況大変嬉しく思うのですが、現在の応募状況を鑑みまして、一つルールを追加させていただきます。

・一日に同一IDで投下可能なキャラクターは『3人』までとします。それ以降の同IDでの投下は無効となりますが、日を改めての再投下は問題ありません。

このルールはこれまでに投下されたキャラシートに遡及して適用されるものではありませんのでご安心ください。

80名無しさん:2025/06/03(火) 18:43:39 ID:pd9bYbCI0
【名前】ドクター・サーティーン
【性別】男
【年齢】65
【性格】奇怪、異常、饒舌。支離滅裂。完全に正気を失っている。しかし言動の端々から高い知性と洞察力を覗かせる。
【容姿】痩せ型で長身の老人。異様な眼光のギョロリとした目付き。表情の変化が激しい。厚手のコートを纏う。
【神禍】
『偶像神狂(インサニア・ロンギヌス)』
思想:この災厄は神罰だ。神を乗り越えるために、人は神に近付かなくてはならない。

自他を問わず、生物を自在に改造する能力。
身体機能を拡張できる他、無機物などを肉体に組み込むことも可能。
彼はこの神禍を行使し、既に自らの肉体を改造している。

【詳細設定】
終末のマッドサイエンティスト。
本名不詳。自称、ドクター・サーティーン。
各地で人間やゴグなどを捕獲し続け、自らのラボで”実験“に明け暮れる狂人。

かつては環境保護を訴え続ける生物学者だった。
“全球凍結現象”が発生した当初も生き延びた他の科学者達と協力し、世界存続のために必死の努力を尽くした。
しかし如何なる知識や技術を駆使してもなお天災は止められず、“神禍”と呼ばれる奇跡の出現によって世界の崩壊は加速する。

繰り返される惨劇。次々に死にゆく仲間達。
絶望的な世界に摩耗し続けた彼は、やがて論理をも超越する“神の天罰”を確信。
そして彼は発狂した。自らの本来の名も忘れ、狂気の科学者へと成り果てたのだ。

神罰を乗り越えるためには、人間を神の領域へと至らせなければならない。
そんな盲信に囚われ、彼は災厄をも超越する“究極の人間”を創ろうとしている。

81名無しさん:2025/06/03(火) 21:27:56 ID:tLkeCEb20
【名前】マハティール・ナジュムラフ
【性別】男
【年齢】60
【性格】美味を愛し、女を愛し、金を愛し、殺戮を愛し、そして不滅を崇拝する男。楽しみのために生きていると豪語し、実際にこの世の楽は何でも食らう。地獄のマハティールの辞書に禁欲の文字はない。
【容姿】背は高く、2メートルに迫る巨漢。筋肉は乾いた鋼のように硬質で、肌の色は砂鉄のように黒い。軍章が炭のように焦げ付いたかつての軍服を着込み、歩く度に火薬の臭いを放つ。
【神禍】

『不滅なりし地獄の王(マリク・ジャハンナム)』
思想:この世に不滅の生物が存在するのなら、そいつこそが神である

あらゆる無機物を自分の肉体に融合させて取り込む能力。取り込んだ物体が毒性を持っていたとしても、この神禍はそれを無効化し、マハティールの肉体へ適合させる。命ない全てを魔王の名の下に平伏させ、支配する力と言い換えても過言ではない。
これまで取り込んできた兵器、武装、金属etc――あらゆる無機物は魔王の牙となり、彼の前に立った禍者へ無慈悲に襲い掛かる。五年に渡って貪り続けた無機物の総量は非常に膨大で、弾切れとはほぼ無縁。マハティールに持久戦を挑もうとするのは自殺行為に等しい。
兵器の放出だけでなく、普段は細胞サイズまで圧縮して融合させている物質を元のサイズに戻すことも可能で、これを応用して擬似的な巨大化まで可能とする。重さとは即ち力であり、全動作が破滅的な脅威となることは言うまでもない。ただし過度な体肥大をすると身体に尋常でない負担が掛かるため、マハティールとしてもなるべくなら使いたくない手だという。
融合という仕組み上、マハティールは肉体の損傷や欠損を手持ちの物質を使って修復することが出来る。これはいつでも新しい細胞、臓器、血液を自由に用意できるようなもので、マハティール・ナジュムラフは既に老化さえ克服している。
手足をもがれようが心臓を吹き飛ばされようが再生できる脅威の不滅性だが、それでも限界は存在し、脳の広範囲に渡る破壊に対してだけは再生を使えない。修復の過程で脳による思考が必要なため、此処を破壊されると処理の伝達が不可能になってしまうため。マハティールはこの弱点を克服したいと常に考えていて、真の不滅者になるべく日夜実験と研究を繰り返してきた。

【詳細設定】
元軍人。第三次大戦では規格外の神禍に物を言わせてどんな状況でも突撃のみを取り続け、虐殺の限りを尽くした『魔王』。その働きは彼の祖国を大いに利したが、最終的には軍部を丸ごと抱えてクーデターを起こし、敵味方関係ない大殺戮を敢行する。
大戦の顛末は皆も知るところ。地球上から国家は消滅し、彼の祖国と部下達もその例外ではなかったが、マハティールだけは神禍によって生き延びる。
マハティールは神を信じていない。何故なら目に見える形で存在していないからだ。どんな尤もらしい理屈を並べたところで、見えないものの実在を証明することなど誰にも出来ず、ならば信じるに値しないと彼は考えている。
もし神なるモノが本当に存在するのなら、そいつはちゃんと肉体を持って現世に存在し、それでいて滅びることなく永遠に生き続ける不滅の生物であろう、というのがマハティールの持論であり信仰。無神論者の詭弁であることは彼自身も理解していたが、神禍によって実質の不死身を実現できた事実は、マハティールに大きな自信と確証を抱かせた。

神の条件とは不滅であること。そして恐らく、今最もそこに近い存在は誰あらぬこの俺だ。
魔王の目的は真の不滅に至り、人類が滅んでも唯一人永劫生き続ける自分基準の『神』になること。神禍の進化を求めて禍者を集め、研究し、時に殺してあらゆる形で探究を続けてきた。彼の組織は『ジャハンナム』を名乗り、中東に於ける恐怖と支配の象徴として知られている。

82名無しさん:2025/06/03(火) 22:17:54 ID:5I8hemug0
【名前】セラ・ミュリエル
【性別】女
【年齢】19歳
【性格】
柔和で慈愛に満ちた態度を崩さないが、その精神構造は完全に異常。
すべての不完全を哀れな病と捉え、それを「救済」することを自らの使命としている。
他人の痛みを否定せず、ただ静かにその死を看取ろうとする姿は、優しさなのか狂気なのか分からない。

【容姿】
膝下まで伸びた滑らかな銀髪に、左目だけが濃い藍色の義眼。
顔立ちは穏やかで美しく、僧衣を彷彿とさせる白と灰のローブを纏っている。
手には常に古びた聖典を携えており、それを用いて「死に方の美しさ」を語るのが癖。

【神禍】
『不完全なる者に救済の手を(オラース・ヴェルネ)』
思想:完全でない存在は死するべきである。

肉体・精神・神禍において欠損や崩壊を抱えた存在を自動的に認識し、それを即座に死へ導く。
能力は発動者の意思を問わず、条件に一致した対象へ発動しうる。
特に有効なのは「すでに傷を負った相手」「精神に歪みの兆候がある相手」「神禍が暴走しかけている者」。
この神禍による死は、表面的には「安らかな眠り」として現れる。セラはこれを美しい死と表現し、「救済」の儀式と称して対象を静かに看取る。

【詳細設定】
かつては南欧に存在していた修道団に属していたが、全球凍結により団は壊滅。
彼女だけが生き残り、全員の遺体に祈りを捧げた後、自らの神禍に目覚めた。
彼女の神禍は無差別殺戮型でありながら、「苦しみを終わらせる」という名目のもとに行使されるため、受け手の多くは感謝とともに逝くという異様な事例を残している。
ルクシエルとソピアによる召集に応じたのは「救われたがっている人が、たくさんいると感じたから」。
彼女は心からこの地獄に癒しを与えるつもりで、この血塗られた儀式に臨んでいる。

83名無しさん:2025/06/03(火) 23:58:50 ID:KqtDolOg0
【名前】星野 眞未(ほしの まみ)
【性別】女
【年齢】22
【性格】負けず嫌いで向上心が強く、どんな逆境でも諦めない不屈の精神を持つ。野球への愛情は人一倍で、試合や練習の話になると饒舌になる。
【容姿】ショートカットの茶髪にそばかすが特徴的な女性。野球チームのユニフォームを防寒着の下に着込み、愛用のバットを肩に担いでいる。
【神禍】『不屈なる九回裏(ナインス・イニング・スピリット)』
思想:最後まで諦めない。逆転のチャンスは必ずある。

追い込まれるほど身体能力が向上する能力。
劣勢になればなるほど、怪我を負うほど、バットスイングの速度と威力、反射神経、動体視力が飛躍的に上昇する。
九回裏のような絶体絶命の状況で真価を発揮し、文字通り「逆転満塁ホームラン」のような奇跡を起こすことができる。
ただし優勢時や平常時には一般人並みの身体能力しか発揮できず、能力を活用するには自らを危険に晒す必要がある。

【詳細設定】
氷河期前は地方の強豪校で女子野球部のエースとして活躍していた。
全国大会出場を目前に控えていた矢先に世界が凍りつき、チームメイトや家族を失った。
それでも野球への愛は失わず、廃墟となった球場でひとり素振りを続けていた時に神禍が覚醒。
「最後まで諦めない」という野球精神が能力として発現した。
現在は各地を放浪しながら生存者たちと小さなコミュニティを形成し、野球を通じて人々に希望を与えようと奮闘している。
5年間の過酷な生存競争を経て、かつての純粋な球児から逞しい戦士へと成長した。
愛用のバットは高校時代から使い続けているもので、グリップには「Never Give Up」の文字が刻まれている。
戦闘では主に投石やバッティング技術を応用した戦術を得意とし、劣勢に追い込まれた時の爆発力は圧倒的。
野球のルールやデータに詳しく、戦略的思考にも長けている。

84名無しさん:2025/06/04(水) 00:04:15 ID:2aB3.tNs0
【名前】『ヘルメース』(本名不詳)
【性別】男
【年齢】39
【性格】軽薄で胡散臭いが、人を惹きつける話術と妙な信頼感を持つ男。嘘と真実を巧みに織り交ぜ、相手の心に真実らしい虚構を刻み込む。シニカルで底抜けに楽天的に他者へ応じる。自らを語る時は常に冗談交じりで、誰も彼の本音を知らない。
【容姿】いつも和洋折衷の奇妙な格好をしている。紺のインバネスコートの下に白い袈裟のような衣を巻き、肩に獣皮をかける。左目には飾り彫金の入ったモノクル、右手には数珠と指輪を重ねてはめている。全身が演出で構成されたような風貌。黒髪で面長、年齢より少し若く見える。

【神禍】
『歪刃顕現・千騙の鋼(ライヤーズソード・オーバーロード)』
思想:真実は、信じたヤツのもの。

嘘を語ることで、その嘘を具現化する刀剣創造能力。
自分が今、語っている物語に応じた性質・形状・能力を持つ刀を作り出せる。
刃そのものの性能は彼の話術の説得力と信念に依存。それは嘘を真実として捻じ曲げる干渉力を得るが、嘘でその場にいる全員にわずかでも”筋が通っている”と思わせないと、能力は発動しないほか、作り出した刀の特性も無効化されてしまう。無効化されても刀としては使える。

【詳細設定】
ヘルメースという通り名を名乗る以前、彼は日本の都市部で探偵をしていた。
安アパートに事務所を構える無許可の私立探偵。
だが、彼は探偵という肩書を演出として楽しんでいた。架空の世界に存在する探偵に憧れがあったのもあるだろう。
事務所にはあえてレトロな電話機、分厚い灰皿、ブラインドにかかったスーツ姿のシルエットが置いてある。
すべてが物語に、フィクションに出てくる探偵を模していた。

彼は嘘つきだった。
だが、彼の語る面白い真実(うそ)は人を救うこともあった。
例えば、恋人の裏切りに苦しむ依頼人には、浮気相手に嵌められていたという物語を語り、最悪の別れを少しだけ穏やかにした。
自殺しようとしていた青年には、君の母親は君のことを最後まで探していたと、捏造の真実を語り、生き延びさせた。
彼は本当のことを語る意味を見失っている。
人は嘘に救われる。ならば、それを語る者こそが真実の語り部なのではないか。
彼はそう信じた。虚飾の力を何よりも。

地球が凍り、文明が崩壊した後、彼は何も持たず吹雪の都市を歩いている。
武器も仕事も、居場所すらなく、物語を語っていた。騙っていた。
オレはむかしむかしに実在した氷の民に選ばれた語り部でね、と言えば、面白がった人々は彼に暖を与えた。
この刃は、かつて竜を斬った武器の一部なんだ、と言えば、拾った鉄くずが聖なる刃に見え、襲撃者を退ける手段となった。
いつしか、彼は数多の欺瞞をもってして多くの人間から真実を暴かぬ虚飾の探偵、『ヘルメース』と呼ばれるようになっていた。

ここからは、蛇足の話。
ある夜のこと。なんだったか、恨みを買ったカルト教団による襲撃者に囲まれ、命を落としかけた時。
彼は、弁舌で襲撃者を丸め込みつつ、ダメ元で口にした。

この刃は、どんなものでも切り裂く。神すらも、と。

すると、言葉に応じるように彼の手元に奇妙な刀が出現した。
神殺しの概念を付与された刀が、禍々しく光を放つ。
こんなモンも作れちまうのかよ。ヘルメースは苦笑した。
襲撃者を退けた後の、刀の行方は、誰も知らない。誰かに渡したかもしれないし、生贄として攫われた際に没収されてしまったかもしれない。
あるいは、彼の手元にまだ残っているのやも。

85名無しさん:2025/06/04(水) 00:05:21 ID:2aB3.tNs0
【名前】劉 雷童(リウ・レイトン)
【性別】男
【年齢】23
【性格】無口かつ寡黙。言葉を信じていないが、行動には一貫した信念を持つ。生を問うために闘うという独自の哲学を持つ。
【容姿】鋭く切れた瞳に、煤けたような黒髪を逆立たせた東洋系の青年。精悍な顔立ちだが、感情の起伏は乏しく、薄く張りついた無関心さが人を遠ざける。筋肉質で、厳しい環境に適応した柔軟な動きが可能な身体をしている。薄手の防寒着の下に刃物の隠し場所がいくつもある。

【神禍】
『無明逆刃(むみょうぎゃくじん)』
思想:戦いとは、他者との対話である。

自身が敵意を感じた存在に対し、あらゆる打撃や刃物の威力を衝撃波として跳ね返すカウンター能力。(PRGゲームで散見される物理反射のようなもの。ペルソナのテトラカーンなど……)
受けた力を蓄積し、任意のタイミングで放つことも可能。
敵意を感じないと発動しないため、遠距離攻撃やステルスによる奇襲攻撃はこの神禍対象外となる。

攻撃を受けることは、彼にとって相手からの問いかけであり、それに応えるカウンターとは返答にあたる。
雷童はこれをいつの間にか覚えていた技の一つだと認識しており、神禍であると気づいていない。

【詳細設定】
崩壊した都市や集落を流れ歩き、強い奴がいるという噂を聞けばそれだけを目当てに現れ、戦いを挑む戦闘狂。
戦利品や物資には興味がなく、戦いで死んだ相手の遺体には必ず一礼する。
闘争は、彼にとって会話であり、祈りに近い。
ニュースに疎く、生れによって人間と関わって来なかったため、神禍が自分以外の全人類がデフォルトで持っている当たり前のものであると認識している。

雷童は生まれながらの戦闘狂だった。幼少期より都市を離れ、老いた剣聖と山中で生活をしていた。
文明には触れず、言葉も最小限で育てられた。
戦うことが日常であり、痛みが成長だった。剣戟で愛情を測り、血の流れで自分の意味を知る。
だからこそ、他者と本当につながれる手段は、命のやりとりしかなかった。

全球凍結が発生した初冬も、彼は山中の庵に一人で籠もりながら、生存をかけて師と呼んでいた剣聖と日々命がけの鍛錬を行っていた。
ある日、剣聖が突然こう言った。

「最後の稽古だ。殺し合うぞ、雷童」

その一戦は雷童にとって家族を殺す戦いだったが、同時に彼らにとって最初で最後の、腹を割って話す経験でもあった。
極限の寒さの中で二人は戦い、今まで使うことのなかった殺意を込めたやりとりを繰り返し、そして雷童は勝った。が、勝利の瞬間、剣聖の口からこぼれた言葉はこうだった。

「わしの命で、お前に生を教えたつもりだった」
「教えたつもりだったのだがなあ」

その日、雷童は初めて山を降りた。
彼の言葉の意味が理解できなかったから。
雷童は、初めて師の死に疑問を持ち、“殺し”の中に答えを探そうと世界へ出た。

世の中が崩壊しても、彼の生活には何の変化もなかった。ただ雪が増え、外に行く理由ができた。それだけだ。

86名無しさん:2025/06/04(水) 00:08:56 ID:2aB3.tNs0
【名前】『スワンプマン』(本名不詳)
【性別】女
【年齢】8
【性格】自己という概念が希薄で、極めて空虚な内面を持つ。反面、他人の人間らしさへの強い執着があり、表情・言葉・行動を模倣しようと観察することもある。冷静沈着だが、模倣した人物の人格が混ざり、ときに矛盾した情緒や言動を見せる。
【容姿】常に誰か別の人物の外見をしている。基準とする姿は、白髪に近い淡色の長髪、無表情な薄い顔立ち、身長140cm台の痩身の少女。誰の身体だったかは覚えていない。

【神禍】
『空っぽの皮(ゼロ・マスク)』
思想: ”わたし”でいたくない。

他人の肉体を素材として取り込み、その人物の姿・声・癖・記憶の断片までも再現する。
対象の死体に触れることで変身可能(生者は不可)。一度変身した後は、必要に応じていつでもその姿を再現できる。
ただし、変身中はその人物としての人格に引っ張られることがあり、使いすぎると自我が曖昧になる。

【詳細設定】
極寒の廃都市を彷徨いながら、人間の死体を糧に新しい仮面を得ている。
ただ、誰かの外見を得て、その人になろうとする。
現場に残る死体と、そのそばで目撃者の前に立ち、言葉を話す故人と遭遇したという奇怪な報告が何度も確認され、一部の間で『スワンプマン』という怪人物にまつわる怪談・都市伝説が広まっている。

地球が凍結して間もない時期。
避難所での生活の最中、夫が死に、姉が行方不明になった。その極限状況のストレスに押し潰された母親が彼女を別の誰かにすり替えるようになった。

「■■なんて子、うちにはいない」
「あんたはこれから、死んだお姉ちゃんの代わりなの。あの子のふりをして。お願いだから」

それ以来、少女は日替わりで別の子として生きさせられた。彼女は心を殺し、他者の真似をすることで母親に可愛がられる誰かとして振る舞い続けた。
そうしているうちに、だんだんと彼女の中の自分がなくなっていく感覚による恐怖と、誰かになれば愛されるかもしれないという願いが生まれた。

一年が経って、母がとうとう姉の亡骸を見つけてしまい、その夜、自ら首を切って死亡した。
神禍の力で姉の姿を模倣した彼女は、かつて母親から受けた数々の命令を反芻し。
「こう笑って」「こう食べて」「こう泣いて」を思い出しながら、彼女の形を完璧に再現した。
その時、何もかもが変わってしまった日常の中で、はじめて笑えた。
誰かになっているときだけ、心が楽になる。空っぽのまま、何かを持っているふりができる。
その後、彼女は廃墟と化した都市を彷徨いながら、死体を媒体として次々と他人の皮を被りながら生き延びていく。
倒れた避難民。凍死した兵士。誰かの母。誰かの子。
彼らの記憶の断片、言葉遣い、笑い方を吸収し、入れ替わるように生きる。

こうして彼女は、『スワンプマン』と呼ばれるようになった。
それは哲学用語で、「死者の記憶・肉体のコピーにすぎないが、外見だけは完璧に再現された人間」。
彼女自身が、かつて誰かに教えられた言葉だった。

今では自分の声すら忘れてしまった。
わたしという言葉が、他人を指す代名詞になった。

87名無しさん:2025/06/04(水) 00:49:36 ID:te3j95vw0
【名前】エーリク・ヴァルグルンド
【性別】男
【年齢】20
【性格】頼まれるとつい安請け合いしてしまう、押しに弱いお人好し。劣等感が強く、自分を取り巻く現実に悲観的だが、心の奥ではままならない運命への怒りを噛み殺している。
【容姿】色白で目付きの悪い、黒髪ウルフカットの青年。

【神禍】
『餓狼の卑境(アルス・ニヒラ)』
思想:こんな自分にも価値があるのだと信じたい

彼は狼。みすぼらしい灰色の、狂おしく吠える度胸もない野良犬。
そんな自分でも生きている。なら、そこには何か意味があるのだと信じたい。
そう願った青年に宿った呪いは、自分を見ない強い生き物達に剥き出す牙。

狼(ヴァルグルンド)の敵に、強制的に隙を作り出す。
決して隙が生まれ得ない状況でも関係なく、道理をねじ曲げてでも虚を突くことができる。
発動条件は相手がエーリクを侮っていること。エーリクが無価値な存在である限り、敵はずっと原因の分からない苦戦に襲われ続ける。
ただし敵が彼へ向ける侮りを捨てた場合、その瞬間にこの神禍は効果を失う。

【詳細設定】
能力はあるのだが要領が悪く、流されるままに生きてきた青年。
自分の非才を誰より知っているが、それでも自分の価値を諦めたくないと葛藤している。

ロックが好きで、ハード・ロックを轟かせながら凍土を駆け回る「暴走族」に一時傾倒。
その集団に所属もしていたが、周りの仲間やボスのように振り切れることのできない自分に気付き、逃げ出してしまった。
何をするにも中途半端な自分への絶望と、生まれた意味は必ずあるのだと追いかける希望。
板挟みになりながら、今日もエーリクは死んだように生きている。
相棒は学生時代に買ったエレキギター。もう折れて使い物にならないのだが、どうしても捨てられず、半身のように持ち歩いている。

88名無しさん:2025/06/04(水) 02:58:59 ID:/7/D3ceo0
【名前】No.4『魔王』 / ゲルトハルト・フォン・ゴッドフリート
【性別】男
【年齢】38
【性格】寡黙。冷酷無比。その行動は苛烈。
【容姿】氷水の如く耽美な青い長髪。冷めきった碧眼。
    黒地に青のラインが入ったドイツ軍服。灰色の外套。
    目深に被った軍帽。右の胸元にⅣの刻印。

【神禍】『第四崩壊・最終冰期(エルケーニヒ・カイルヅァイツ)』

 思想:現人類を可能な限り上質な状態で保存する。

 第四の災禍。
 上記、神禍の名称は当機関による命名。
 併記した思想は推測に過ぎないが、対象による過去の発言、行動記録から大凡このようなものと判断された。

 神が地へ降ろした凍土の魔王。
 対象は知覚する範囲の気温を著しく低下させ、氷結や降雪を初めとした汎ゆる低温現象を自在に行使する。
 神禍発現の黎明期、先立って地球全土を席巻した寒冷化現象の影響により、寒気を操る禍者は大量に出現していた。
 しかし対象のそれは単純に規模と威力が規格外に図抜けており、冬の神が遣わした意思を持つ冰期と評される。

 そして、なによりも特異な点は、対象によって凍結された物質は永久に凍ったまま、時間の経過を停止すること。
 即ち生命体としてだけでなく、存在として自然界から外れ、たとえ地球が停止しようとも永久に在り続けると判明した。
 つまり彼が作り出した環境は不可逆であり、復興は永遠に不可能であることを知らしめ、国際社会を絶望の淵に叩き落とした。

 最終冰期とは地球最新の寒冷期であるが、対象の神禍は永遠に更新されることのない最後の氷河期を齎すだろう。
 軍部のコントロールを外れ僅か数ヶ月、単一で欧州のほぼ全域に渡る社会秩序を崩壊させた規格外の魔王。
 以上の記録から当機関は対象、ゲルトハルト・フォン・ゴッドフリートを4番目の災禍に認定する。


 ―――『国連秘匿資料:過重神禍・第四位』より。
 
 


【詳細設定】 

 過重神禍・十二崩壊。
 寒冷化現象の黎明期、地球上に12体発生したとされる特級の災禍。 
 当時まだかろうじて機能していた国連機関が認定した、やがて人類を滅ぼし得ると目されし、恐るべき禍人たち。

 人間社会にとどめを刺したのは寒冷化ではなく、後に発生した神禍による国家間紛争や内乱であることは今や周知の事実である。
 中でも極めて異端とされし、神の見えざる手によって世界各所に配置された十二崩壊は、人類を効率的に自滅させる術を授かっていた。
 必ずしも彼らの全員が人類に仇なしたわけではないが、多くは近隣国家に壊滅的被害を与え、厄災を振りまいたという。
 人類滅亡が決定的になるにつれ、役割を終えたように討滅、同士討ち、自滅等によって数を減らし、現存確認される個体は僅かとされる。

 ゲルトハルト・フォン・ゴッドフリート。
 ドイツにて発生した4番目の災禍は、史上最も直接的な手段で人類を滅ぼした暴君として記録されている。
 即ち意思を持った寒冷化現象。人の生存を決して許さぬ、絶対零度の化身。

 人類の最盛期は常に現在であり、以降は緩やかな衰退あるのみ。
 故に最も素晴らしきイマをもって、人の歴史を永久に保存する。

 由緒正しき騎士家系に育ち、ドイツ陸軍の中でエリート街道を邁進していた彼が、如何にしてその破滅的結論に至ったかは不明である。
 いずれにせよ神は滅びの担い手として彼を見初め、彼は正しくその神命を実行した。

 寒冷化から間もない混乱の時代、暴走する諸外国から国境を警護する任を受けていた彼は、神禍に目覚めて程なく反転。
 狂奔する部下と民衆を従え、一夜にして自国の首都を制圧せしめた。
 驚異的な手際で軍部の実権を掌握するやいなや、今度は周辺諸国に攻め入り、瞬く間に欧州全域を戦乱の嵐に巻き込んでいく。
 彼の進軍の後に残されたものは、鏖殺の暴威と永遠に停止した氷像のみであったという。 

 国連のヨーロッパ支部が定期連絡を断って程なく、彼の姿もまた忽然と消えた。
 しかし我々は、彼はまだどこかで生存していると信じている。
 魔王が作り上げた氷像の世界は、未だ朽ちることなくこの地に残されている。
 それが彼の、生存の証明でなければならない。

 魔王の死をもって永遠の氷は砕ける。
 そう信じなければ、あまりにも救いが無いからだ。


 ―――『ベルリン研究所の跡地から発見された手記』より。

89名無しさん:2025/06/04(水) 06:34:36 ID:KUSzuutU0
【名前】エンブリオ・“ギャングスタ”・ゴールドスミス
【性別】男
【年齢】34
【性格】饒舌かつ傲慢。強引で身勝手。気取った言い回しでよく理不尽や屁理屈を捲し立てる。
【容姿】筋骨隆々の黒人。厳ついタトゥーやジャラジャラしたアクセサリー。厚手のストリート風ファッション。聖書(要点のみを纏めたコンパクト版である)を持ち歩いている。
【神禍】
『悪童の楽園(ギャングスタ・ステイツ)』
思想:俺がボスだ。俺が国家だ。

自身を中心に“結界”を展開。
その内部で空気の振動を自由自在に操る。
振動を衝撃波に変えて攻撃したり、不可視の障壁を作り出して防御してりする。

また空気の振動で“音”を生み出すことも可能。
彼は結界内でビートを掻き鳴らしたり、自らのリリックを増幅させるなどする。

【詳細設定】
アメリカ合衆国、“自称”第49代大統領。
閣僚と称した暴徒達を従え、ホワイトハウスを占拠し続ける怪人物。
未曾有の緊急事態に際して人民と国家の権利を守るべく、超法規的措置として合衆国大統領へと就任した――と自称する。

明らかにMCやラッパーを思わせる風貌であり、大統領はおろか政治家にすら見えない。
自称閣僚たちも全員ストリートファッションに身を包んだゴロツキの集まりである。
そもそも彼は寒冷化と戦争の果てに秩序が崩壊したどさくさに紛れて、ホワイトハウスに乗り込んだだけの人物に過ぎない。
しかし彼は頑なに自らの“正当なる資格”を主張し続け、アメリカ合衆国の偉大な復権を約束している。

“必要に際して神に誓うため”という理由で、コンパクト版の聖書を常に持ち歩いている。
なお本来なら35歳以上でなければ合衆国大統領の資格を得られないが、“超法規的措置”の一点張りであらゆる不条理を強引に押し通している。

90名無しさん:2025/06/04(水) 19:29:04 ID:Oyj/738g0
【名前】魂木 雄仁(たまき・ゆうじん)
【性別】男
【年齢】42歳
【性格】
理性的かつ現実主義。調整型の中道主義者で、対立の中で最善を探るタイプ。笑顔の裏に打算と野心を隠している。

【容姿】
整ったスーツ姿。眼光鋭く、柔和な表情の中に鋭さを感じさせる男。ネクタイはいつも中央に線が入っている。

【神禍】《中庸の相克(ちゅうようのそうこく)》
思想・信念:対立を超え、調和の未来を築くという“中道”思想。

能力:あらゆる二項対立(善悪・左右・攻防など)を中和・吸収し、力に変換できる。
完全な中立性を維持している間のみ発動する。調整・吸収・変換に特化したバフ型万能能力。

【詳細設定】
若者に支持されている政治家。
神社の家系に生まれ、調和と秩序を重んじて育った。
一時期過激思想に傾倒した過去を持つが、今は徹底してバランスを保つことに命を懸けている。
周囲には好人物と思われているが、最も危険なのは“彼が本気を出した時”だという。

91名無しさん:2025/06/04(水) 19:31:22 ID:Oyj/738g0
【名前】日真 空禍(ひま・そらか)
【性別】女
【年齢】18歳(高校中退)
【性格】
理屈と皮肉で相手を追い詰める論破系女子。冷静なふりをしてキレやすく、ネットに棲む自称・正義の番人。精神年齢は高めだが、ポストに全力でキレるなど子供っぽさも残る。

【容姿】
桃色の髪に探偵帽。
背中にはUSBメモリを大量に仕込んだショルダーバッグ。ネット越しに見た時だけ異様なカリスマ性を発揮する。

【神禍】《万理炎上(ばんりえんじょう)》
思想・信念:言葉と証拠があれば、巨悪すら倒せる。

能力:自分の主張と証拠により、相手の能力や人格に“疑義”を発生させて戦闘不能に追い込む。論理矛盾や発言ミスを見つけると“沈黙フィールド”を展開。被弾した者はSNS人格が崩壊する。
ただし自分の発言が虚偽だった場合、精神・肉体・SNSアカウントが同時に燃える。

【詳細設定】
探偵に憧れている少女。
炎上で世界を変えたネットアカウント“空禍”を名乗る少女。
リアルでは引きこもりだが、ネット上では全方位に火をつける存在。
「わたしが黙ってたら世界は腐る」が口癖。
炎上ログで敵を爆撃し、戦場を言論裁判所に変える。フォロワーが増えると強化、ブロックされすぎると消滅する。

92名無しさん:2025/06/04(水) 19:32:21 ID:Oyj/738g0
【名前】田貫 覚榮(たぬき・かくえい)
【性別】男
【年齢】76歳(故人扱い)
【性格】
豪快、義理人情、叩き上げのド根性。論理より根性、金より人間味、でも金も使う。

【容姿】
スーツに作業着を羽織り、恰幅のいい体。眼光鋭く、「今すぐ工事が始まりそう」な重機オーラを放っている。

【神禍】《列島造化(れっとうぞうけ)》
思想・信念:国は作るもの。地図にない道を、金と根性で引くべき。

能力:あらゆる場所に“道路・建物・資源”を出現させる地形再編系。発言に“予算”を乗せることで現実改変の強度が跳ね上がる。「ここに10兆円使え!」で地形そのものが書き換わる。
利権疑惑が指摘されると不安定になる。

【詳細設定】
“貧しさ”と“泥”の中から這い上がった帝王。
生前、列島の風景を変えた存在として“死後神格化”された。いまだ多くの信者(地方議員系)に崇められている。
登場時に地鳴りが起きることがある。

93名無しさん:2025/06/04(水) 19:53:06 ID:Oyj/738g0
企画主様。
お忙しいところ恐れ入ります。
確認させていただきたいのですが、日付が変わりましたら、再び三名までのキャラクター提出が可能という認識でよろしいでしょうか。

大変恐縮ながら、明日もまた参加させていただけるのを心より楽しみにしております。
何卒よろしくお願いいたします。

94名無しさん:2025/06/04(水) 23:02:36 ID:DKkZKIv.0
【名前】クラウス・ベッカー
【性別】男
【年齢】48
【性格】一見紳士的で落ち着いているが、内面には強烈な支配欲と完璧主義を秘めている。他者を「教育すべき劣等な存在」と見なし、暴力を躾や指導の手段として正当化する。
【容姿】グレーのスーツを着込んだ中年男性。金縁眼鏡の奥の鋭い眼光と、常に背筋を伸ばした威厳ある立ち振る舞い。右手に教鞭を持つ。
【神禍】『劣等生への矯正鞭(コレクティブ・ディシプリン)』
思想:愚かな者達には痛みを以て真理を教えねばならない——体罰こそが最良の教育手段

教鞭で打ち据えた相手の「悪癖」や「弱点」を一時的に強制的に表面化させる能力。
臆病な者はより怯えやすくなり、短気な者は冷静さを失い、傲慢な者は油断しやすくなる。
相手の本来の性格や感情を極端に増幅させるため、普段は抑制している負の感情が暴走し、判断力の大幅な低下を招く。
効果は数分程度で、一度に一人にしか使用できない。
彼は相手の心理状態を巧みに読み取り、最も効果的なタイミングで「矯正」を行う。
また教鞭自体も神禍の力で強化されており、通常の武器では防げないほどの破壊力を持つ。
戦闘では相手の精神的な隙を突いて一気に決着をつけることを好み、長期戦になると能力の制約により不利になる。

【詳細設定】
氷河期以前は名門私立学校の校長を務めていた男。
厳格な管理教育で知られ、生徒たちを絶対的な規律の下に置くことに異常な執着を示していた。
体罰を「愛のムチ」として正当化し、反抗する生徒には容赦ない制裁を加えていた。
世界が凍りついた後、学校の生存者たちを「教育」の名の下に支配下に置いたが、食料不足による反乱で仲間たちに見限られ、独りになった時に神禍が覚醒。
現在は各地で出会う生存者たちを「新入生」と称し、自分の理想とする「完璧な生徒」に育て上げようと執着している。
バトルロワイアルも彼にとっては「優秀な生徒を選別する試験場」でしかなく、参加者たちを教育し、自分の生徒にしようと目論む。

95 ◆EuccXZjuIk:2025/06/05(木) 00:12:04 ID:3vdtmiF60
>>93
はい、その認識で問題ございません。
その日一日の内に投下できるキャラクターの数が三名まで、ということで合っております。

それとは別件でのお話になりますが、実在人物のパロディ要素が強いキャラクターは募集終了後の選考で弾かせていただく可能性がございます。特に存命中の人物に関しましては、採用することで色々と問題が生じることも想定されますのでかなり厳しく選考するつもりです。
これについては企画主が権限を持つトキワ荘のルールに則りまして、私個人の裁量で判断させていただきますのでご了承願います。
具体的な人物名の明言は避けますが、氏が投下されたキャラクターはそうした要素が強い印象を受けましたので、念の為お伝えさせていただきました。何卒この点、ご承知いただければ幸いでございます。

96名無しさん:2025/06/05(木) 00:35:42 ID:2nH7HNS20
【名前】『ブラックサンタクロース』(通称。本名はイーライ・シンクレア)
【性別】男
【年齢】26
【性格】冷酷非情かつ粘着質。善悪の基準は狂っており、「悪人は罰を受けて当然」という歪んだ正義感に基づいて行動する。他者の後悔や恐怖を嗅ぎつけては、躊躇なく断罪する。
【容姿】常に黒いサンタ服を着用し、赤黒く染まった綿入りの袋を引きずって歩いている。口元には張りついたような笑みと、明らかにフェイクと分かる白い付け髭。体格はがっしりしており、獣のような動きで悪人を襲う。

【神禍】
『贖いの贈物(プレゼント・フォー・ギルティ)』
思想:いま、濯がれなかった罪に罰を届けよう。

「大丈夫だ。大丈夫だからな、ぼうやたち。いま、サンタさんが悪いやつをやっつけてやるから───」

罪を犯した人間に対してのみ効果を持つ、強制的な因果応報能力。
対象が過去に犯した罪(殺人・裏切り・暴力・背徳行為など)をブラックサンタクロースが認識すると、それに相応しい罰として袋から武器が現れる。それを使い、『ブラックサンタクロース』は”プレゼント”を届ける。
武器は本人の罪状に応じた形で現れ(例を挙げると、放火犯と相対した際には火のついた松明が、暴行犯と相対した際にはメリケンサックなど、etc.....)、基本はそれを武器にして戦う。
武器は袋の中に自動で生成される。
余談だが武器を袋から取り出す際、ブラックサンタクロースは“選ぶ”演出を行うことで満足感を得ている。
これはかつて孤児院で毎年”サンタ役”をしていたことが原因。
無実の者には発動しないが、本人が罪を自覚していない場合でも発動する(サンタが悪い子と見なせばそれで十分)。

【詳細設定】
凍りついた都市部の廃墟や地下鉄の残骸を転々としながら、夜な夜な悪人狩りを敢行する狂人。
主に罪を背負った旅人や流民の噂を聞きつけては出没し、“プレゼント”を配っては姿を消す。
空腹も寒さも罪なき者からは奪わず、時に食料や燃料を渡して去ることもあり、悪人には地獄と絶望を、善人には小さな恵みを与える奇怪な殺人鬼として認識されている。

全球凍結の1年前、アメリカ・オハイオ州。
孤児院の職員だった彼は、かつて児童虐待の告発を握り潰され、子供たちが次々と壊れていく現場を目撃しながら何もできなかった。
クリスマスの夜、自分の保護していた少年が、別の職員の暴力に耐えきれず首を吊った。
その現場を前にして、彼は一線を越えた。
職員を監禁、子供たちがされたように暴力を振るい、最終的に“絞首刑”に処した。
以降、『ブラックサンタクロース』を名乗り全米を放浪。
悪人に地獄と絶望を振りまく、殺人鬼の誕生である。

彼自身も家庭での虐待経験があり、暴力を暴力で解決してはいけないという考えが信条だったが、理不尽に誰も救えなかった無力感が、思想を極端に変質させていった。
もう、そんな甘いことは言ってられない。世界が凍り付いた今この時こそ、子供たちが悪人に襲われているかもしれないのだから。

97名無しさん:2025/06/05(木) 16:04:14 ID:gCiCSGyU0
【名前】クォン・ムヨル
【性別】男
【年齢】24
【性格】一言で表せば陰気。自己肯定感に乏しく、いつも自信なさげな態度。相手の目を見て会話することも、ハキハキと喋ることも苦手。辛い気持ちを上手く発散できずに抱え込みがち。
【容姿】韓国の成人男性の平均よりやや小さめの身長と、痩せても太ってもいない体形。顔には若干の吹き出物。趣味の野鳥観察に使っていた双眼鏡を、首元にぶら下げて持ち歩いている(高校時代に父親が買ってくれたもの、あの日持ち出した数少ない荷物の一つ)。
【神禍】
『許されざる重圧(レッツ・リベンジ)』
思想:僕の犯した罪が正当な報復であると、確かめたい。

視界内に収めた特定の一人に対して、「許すな」と唱えることで発動する。双眼鏡越しでも可。
発動後、十分間のみ有効。有効時間の完了(または対象となった人物の死亡)から更に一時間経過するまでの間、再発動は不可。

神禍の対象となった人物は、「他人から自身へ向けられるネガティブな感情」を過敏に、且つ過剰に察知する状態となる。
半ば被害妄想に囚われたような状態に陥ることで脳に与えられるストレスは大きく、正常な自制心・判断力を維持することはまず困難。
転じて、多くの場合で「ストレスの元となる人物」を排除しなければならないという衝動に駆られることとなる。

ネガティブな感情とは、憎悪や侮蔑、敵意や害意などに限らない。
食卓の副菜の盛り付けが隣の者より少なかった、冗談への突っ込みのつもりで馬鹿と言われた、すれ違い様に服がちょっと擦れた……などのような切っ掛けで生じる、顔にも大きく表れずにすぐ消えるような些細な不満さえも拾い上げ、極端に増幅して受け止めてしまう。
なお、ムヨル自身が他者へ向ける感情は、神禍の影響を受けない。

【詳細設定】
ムヨルという青年は、ありふれた悲劇の主役でしかない。
片親の下で育ち、十八歳の時にソウル市の名門大学の受験に失敗。レベルを下げた大学に進学後、すぐに休学し再受験に向けて準備するも、経過は芳しくなかった。
自らがエリートの人生を邁進してきたために息子にも一流の道以外を認めない父親からのプレッシャーは、日に日に増していく。
ついに耐え切れなくなったことで起きた諍いの末、思いがけず父親を殺害してしまう。
自宅からの逃走を図るも、警察の捜査網を潜り抜け続ける展望など見えず、いずれ逮捕されて殺人犯として実刑判決を下される未来を悲観するだけだった。

その最中に起きたのが、全球凍結現象である。
命拾いした後の国内では、警察も司法機関も既に機能を失っていた。秩序の壊れた社会は、皮肉にも自由な生き方が許される世界でもあった。ムヨルに今更責任を問おうとする者など、もう誰もいないのだ。
そして、それは公正な場でムヨルの言い分に耳を傾け、彼の境遇と罪に情状酌量の余地を認めてくれる者が現れる可能性も消えたことを意味していた。

世界大戦が勃発する中、兵役すら未経験のムヨルに齎された神禍は、自ら戦うためのものではなかった。
影から憎しみと報復を煽り、集団が自壊するのをじっと待ち、最後に遺品を漁って立ち去る。
卑劣で臆病で、武烈の二文字とは無縁の戦い方で、ムヨルは半島各地を逃げるように生き延びてきた。
その過程で多くの者達を死に追いやる実績を重ねてきた彼の表情は、しかし自信とも愉悦とも程遠い。
他人から押し付けられる激情に耐えられなければ、最悪の手段に訴えるのも仕方ないではないか。
そんな主張を人前で堂々と叫ぶ勇気を、今もムヨルは得られていない。

9893:2025/06/05(木) 18:01:34 ID:DYxUR/2A0
>>95
お応えして頂きありがとうございます。
畏まりました。
例え採用されなくても陰ながら応援させていただきます。

9993:2025/06/05(木) 18:04:39 ID:DYxUR/2A0
【名前】山摩 蛇太郎(しま・ちかげ)
【性別】男
【年齢】50歳
【性格】
淡々としていて、何事にも取り乱さない冷徹な観察者。
だが、内心では「世界が壊れる様」を誰より楽しんでいる皮肉屋。
理屈と合理性を重んじ、感情論を極端に嫌う。自他ともにドライ。

【容姿】
黒髪混じりのグレイヘア。眼鏡をかけた痩身の長身。
スーツのようでいて僧衣にも見える独特の和洋折衷の服装。
右手には常に「万年筆型のナイフ」を携帯。目は細く、決して笑わない。

【神禍】《壊理の観測者(かいりのかんそくしゃ)》
思想・信念:「世界は既に壊れている。ならばそれを記述することで救済せよ」

能力:
■「現象」を観測・記述することで、それを物理・因果・概念として保存・再現・改変できる。
■戦闘中に見た相手の行動・能力・感情などを筆記具で記すと、それを“凍結”できる(=一時的に使わせない)。
■逆に「壊れた」ものを書き直すことで**再構成(リペア)**も可能。
■ただし、自分の記述が“真実とズレている”と判定されると、観測者としての資格を一時喪失し、能力が封じられる。

【詳細設定】
かつては災害記録官・戦地観測者として、あらゆる地獄を文章に残してきた男。
目の前の死よりも「記録を誤ること」の方が重大だと思っており、殺人も戦争も客観的に“現象”と見なしている。
彼が残した記録は“聖典”として扱われる一方、彼自身は“何も救えなかった記述者”として恐れられている。

100名無しさん:2025/06/05(木) 18:15:53 ID:3vdtmiF60
【名前】轍迦楼羅(わだち かるら)
【性別】男
【年齢】25
【性格】他人を見下すことに躊躇いがなく、それを恥じることもない傲慢な人物。唯我独尊にして傍若無人。悪癖を悪癖と解った上で臆面もなく振り翳す無頼漢。が意外と義理堅く、自分の信念を何よりも優先して行動する硬骨な一面も持つ。
【容姿】日本人離れした長身の持ち主で、黒髪を後頭部で結い合わせているのが特徴。黙っていれば色気のある顔をしているのだが、性格が性格なので浮かべる表情も与える印象も凶悪に尽きる。初対面の相手から好印象を懐かれることはまずない。

【神禍】
『独尊者の矜持(アンスロポセントリズム・ヤコブ)』
思想:弱く無様であってこそ人間である

轍迦楼羅は戦闘の天才であり、彼の徒手空拳はそれ単体で禍者の神禍に匹敵する脅威度を誇る。そんな彼が持つ神禍は、全ての『超人』の否定。
より正しくは、人間であるにも関わらず自らを怪物だと驕る者達へのアンチテーゼ。敵の精神の形が人間とかけ離れていればいるほど、驕っていればいるほどその耐久度を劣化させる。
我は人を超えた存在と信じる者に対してはただの拳でさえクレーターを生むほどの威力を持ち、対処不能の爆速拳となって襲い掛かる。この耐久劣化は神禍に対しても適用され、迦楼羅の鉄拳を前に、薄紙のように破られるレベルまで貶められてしまう。
人間とは自分含めて誰しも弱く無様なもの。そんな情けない生物だからこそ、そこには本気で付き合う価値がある。轍迦楼羅の信念はそういうもの。

【詳細設定】
超大手企業社長の長男。典型的なドラ息子で、物心ついた頃から親の権力と金に物を言わせて遊び歩いてきた放蕩人。酒も煙草も小学生の内に覚え、それどころか夜の町で女遊びまでこなしていた程の札付きのワル。
出る釘は打たれる、それが人間の社会の通例。悪人を気取る子供など、普通は大人の悪意に叩き潰され、型に嵌められて終いだが、迦楼羅の場合そうはならなかった。何故なら彼はあまりに悪く、そして自分のケツを拭ける『力』を持っていたからだ。
戯れに始めた格闘技ではあっという間にチャンピオンになり、闇討ちに遭った回数は数知れないが、掠り傷一つ負ったことはない。
全ての人間を馬鹿にしていると言われがちで、本人もそう認めているが、迦楼羅は人間の弱さを誰より愛している。


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