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新アルテミスアナザーストーリー by BiBi

1BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/17(木) 20:09:42
ab.0001.info.01

『はじめに』

 こんにちわ。BiBiといいます。ネット小説『生体実験』のアナザーストーリーを、ここ『したらば掲示板』に投稿していた者です。

ずっと投稿をサボっていましたが、また性懲りもなく再開させていただきます。しかも前回の続きからではなく、無謀にもオリジナルストーリーの設定を大幅に変更するという、アナザーにあるまじき暴挙をともなっての、最初からの再スタートとなります。

なお、この物語は、『SM小説 生体実験 (以降、『生体実験』、またはオリジナルストーリーと呼びます)』のアナザーストーリーです。オリジナルストーリーを既読である事を前提に書かれています。当アナザーの前に、オリジナルストーリーをお読み下さい。

下記の注意事項 >>2->>5 をお読み下さい。

2BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/17(木) 20:12:37
ab.0002.info.02

まず初めに、『生体実験』の紹介です。

『生体実験』は、数年前に掲示板2ちゃんねるのアダルト板に連載が始まった、SMアダルト小説です。内容は、サディストのエイリアンが地球に襲来し、地球人が様々な拷問や生体実験に遭うというものです。ストーリー性も豊かなので、SMではなくSF小説としても十分に読みごたえがあります。なお、私BiBiはの『生体実験』のファンの1人に過ぎず、作者様とは面識がありませんので、作者様がどんな方なのかは、不明です。

オリジナルストーリーをお読みになるには、サイト『生体実験』
http://eirian.x.fc2.com/honkan.html
にアクセスしてください。または、グーグル等で、『生体実験』 『SM』 『小説』 『ネオガイア星人』などをキーワードに検索して下さい。

なお、サイト『生体実験』は、トップ画面にアダルト動画の宣伝などの画像が表示されます。アクセスする際は、周囲の目にご注意ください。

オリジナルストーリーの作者様が、amazonのKindle本に『小説 生体実験』を上梓なさってます。詳細はamazonにアクセスして、『コスミックエロス』と『エイリアン』の2ワードで検索して下さい。

3BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/17(木) 20:16:38
ab.0003.info.03

■ 注意事項です

1.これは変態的で残酷なシーンを含むアダルト小説です。18歳未満の方はもちろん、18歳以上であってもSMや残酷な描写に不快感を覚える方は、閲覧なさらないようお願いします。

2.この物語はフィクションです。登場する人物、団体、地名、設定、世界観、その他全てが架空の物です。

3.通販サイトや出会い系サイト、詐欺サイトなどのURLなどが記載されるかも知れませんが、私BiBiは一切関係ありません。クリックした結果どのような被害にあっても、私BiBiは一切関知しません。

4.当アナザーをお読みになった方が不快な思いをなさっても、また何かのトラブルに発展しても、私BiBiは一切関知しません。

5.当アナザーの著作権については、基本的に『したらば掲示板』の規約に従います。当アナザーの本文を、無断で他に転載流用するなどの行為はご遠慮ください。

6.過去に投稿したアナザーストーリーのコピペが、随所にみられると思います。旧アナザーストーリーをお読みの方には、退屈な思いをさせるかも知れませんが、お許しください。

7.感想やリクエストには、十分にお応えする事ができません。ごめんなさい。

8.三人称視点で書いていますが、けっこうブレます。読みづらい部分が多々あると思いますが、視点のブレに関しては、許して下さい。

9.更新は遅いです。

4BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/17(木) 20:19:00
ab.0004.info.04

■ 名前

当アナザーに限らず、私BiBiの『したらば掲示板』の投稿には全て、必ず『BiBi◆8cBPUextJk』が付きます。菱形は『◇』ではなく『◆』です。

また現時点では、オリジナルストーリーのサイト『生体実験』に書き込む予定ははありません。もしもBiBiという名前の書き込みがあっても、それは私によるものではありません。

■ 通し番号

当アナザーの各投稿には、最初に通し番号が振られています。

たとえば、ab.0009.prologue.03という番号が付いているとしたら、
・ abはartemis.bibiの略。
・ 全投稿中、9つめの投稿。
・ prologueはサブタイトル。
・ 同サブタイトル中、3つめの投稿。
という意味です。

■ 文字数

前回までの旧スレと違って、このスレはスマホでの閲覧用に、行間を多めにあけて、さらに改行せずに投稿しています。PCだと見づらいかも知れませんが、許してください。

5BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/17(木) 20:20:46
ab.0005.info.05

■ 予備知識

予備知識というほどではありませんが、本文中に毎回説明を記述するのは大変なので、当アナザーに頻繁に出てくる単語のいくつかの意味を記載しておきます。

人体の各器官の名称です。

1) モントゴメリー腺:乳輪にある小さなボツボツです。

2) 鼠径部(そけいぶ):身体の前面の、太股の付け根部分です。

3) 陰嚢(いんのう):男性の睾丸が納まっている袋です。

4) 会陰部(えいんぶ):男性では陰嚢の後ろから肛門まで、女性では膣口から肛門までの部分です。

その他、当アナザーには、拷問道具として手術器具がしばしば登場します。器具の具体的な形状が分かった方が、物語を読む上で臨場感が増すと思います。「この手術器具はどんな形なんだろう」と思った方は、ネットなどで検索して下さい。ちなみに『鉗子』の読みは『かんし』です。

*********

注意事項は以上です。お疲れさまでした。

6BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/17(木) 20:29:46
ab.0006.prologue.01
『プロローグ』

 西暦2003年、宇宙人――ネオガイア星人――による地球侵攻が始まった。この宇宙からの侵略者に対して、一部の地球人は抵抗を試みた。しかし両者のテクノロジーには、絶望的な隔たりがあった。多くの地球人が斃れ、捕虜として収容所へ送られた。ネオガイア星人の大半はサディストだった。だから収容所では、日常的に、捕虜の地球人に対して残酷な生体実験や拷問が行われていた。

捕虜収容所の一つ『さざなみ刑務所』には、大勢の地球人に混じって、ネオガイア星人の女が1人、同胞を裏切った罪で投獄されていた。名前を『アルテミス』という。

『アルテミス』は、元ネオガイア宇宙軍白兵戦コマンド隊長で、その軍人としての能力は、白兵戦の天才と謳われるほど優秀だった。容姿も素晴らしく、かつての部下に『女神のような美貌』とまで言わしめたほどだ。しかし現在は、ネオガイア星人としての戸籍を抹消され、さざなみ刑務所の女囚としての日々を送っている。『アルテミス』には、囚人ナンバー999号という登録名が与えられていたが、いつも頭に超合金の仮面をかぶっているため『鉄仮面』と呼ばれている。

7BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/17(木) 20:32:14
ab.0007.prologue.02

 『アルテミス』は、ネオガイア星人の生体実験の被験者となった。それは、あらゆる傷が超短時間で自然治癒する、不死身の兵士『パーフェクトソルジャー』を作る実験だった。

実験は成功し、『アルテミス』は不死身の肉体を手に入れた。今や彼女の肉体は、どんなに破壊されても、あっという間に傷ひとつない元の美しい姿に戻るのだった。ちなみに不死身体質は、処女膜も再生させる。ギリシャ神話に登場する同じ名を冠する女神が処女神というのは、なんとも面白い偶然だ。

 サディストが人口の大半を占めるネオガイア星人には珍しく、『アルテミス』は、どのような拷問も嬉々として受け入れる、重症の真正マゾだった。

さざなみ刑務所の全ての囚人の中で、『アルテミス』は最も身分が低かった。当然のように、この素晴らしい肢体の持ち主は、サディストの看守たちの餌食となった。

看守たちの中で特に『アルテミス』に執心していたのは、シンディという女だった。シンディはネオガイア星人ではなかったが、ネオガイア星人以上のサディストだった。

8BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/17(木) 20:33:57
ab.0008.prologue.03

 かつて白兵戦の天才と謳われたほどの『アルテミス』の軍人としての能力は、囚人に身を堕としてからも、全く衰える事はなかった。その能力を買われて、『アルテミス』は、しばしばネオガイア宇宙軍の作戦任務にかり出された。

『アルテミス』の主な任務は、ロボット兵器キュクロプスのパイロットだった。キュクロプスは、地球に駐留するネオガイア宇宙軍の戦力の要である。ヒト型の有人ロボット兵器で、全長約20メートルの巨体に加え、強力な火力と飛行能力も備えている。

そのようなわけで、『アルテミス』は、ある時は拷問奴隷として、またある時はキュクロプスのパイロットとして、さざなみ刑務所で充実した日々を送っていた。

9BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/17(木) 20:38:36
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに:ご挨拶と注意事項

>>6-8 プロローグ:プロローグ

10BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/19(土) 10:50:27
ab.0009.bastille.01

『監獄にて』

(※)この章は、時系列には、オリジナルストーリーの『第111話 帰ってきた拷問者』と『第115話 ロボットバトル(その2)』に当たります。

 さざなみ刑務所内に造られた狭く薄暗い独房で、『アルテミス』は眠っていた。『アルテミス』専用に造られた独房には、ベッドどころかトイレすらなく、睡眠も排泄もコンクリートの床の上でするしかなかった。

『アルテミス』は、仰向けのM字開脚姿勢で眠っていた。ヒトが最も無防備な睡眠中に、女体で最も弱いオマンコを拷問できるように、この体勢での睡眠を、シンディから命じられているのだ。『アルテミス』が着用を許されているものは、超合金の仮面だけだった。だから、乳房も性器もむき出しだった。

仰向けなので、乳房がその自重のせいで鏡餅のような形に拉げている。起立時には、砲弾型でGカップサイズを誇る巨乳だ。膨らみの頂点には、成人男性の人差し指第一関節くらいある、大ぶりの乳首が乗っている。この敏感な突起を、紅桜色の乳輪が囲んでいる。見ると、乳輪の表面には、米粒サイズのモントゴメリー腺と呼ばれるボツボツが散在している。

11BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/19(土) 10:52:02
ab.0010.bastille.02

股間を見ると、やや肉厚の左右の大陰唇が、まるで処女膜を守るかのようにぴったりと閉じている。髪と同じ黄金色の陰毛は、東洋人の使い古されたタワシのような黒い縮れ毛と違い、とてもやわらかそうだ。

陰唇の上端、包皮の間から、クリトリスがわずかに顔を覗かせている。『アルテミス』のクリトリスは人並み外れて大きく、勃起時には、成人男性の親指第一関節ほどの肉突起が、包皮を突き破って姿を現す。

『アルテミス』の乳首とクリトリスは異常に敏感で、この部分を拷問されたときの狂乱ぶりは、実際に見た者でなければ絶対にわからない。

 ボディーに視線を移すと、乳房から下腹部に向かって、腹筋がなだらかなラインを描いている。戦闘時にはヘビー級プロボクサーのパンチをはね返す筋肉の鎧も、眠っている今は女のやわらかい腹だ。

肌は透けるように白く、どんなに目を凝らしてもシミひとつ見つける事ができない。不死身の体質が、色素沈着などの皮膚の変化を消し去ってくれるのだ。『白磁のような肌』という言葉は、この女のためにあると言っても過言ではない。

股関節が軋むほど大きくM字に開かれた両脚は、スーパーモデルが裸足で逃げ出すほどの美しさだ。これほどの完璧な美女が重症の真性マゾだとは、誰も想像しないだろう。

12BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/19(土) 10:52:45
ab.0011.bastille.03

 鉄の扉が音もなく開き、残忍な性格で恐れられている女看守シンディが入ってきた。

シンディは、床の上で眠る『アルテミス』を見て嗜虐的な笑みを浮かべると、レザー製の黒色のミニスカートに包んだ尻を大きくくねらせながら、『アルテミス』に近づいた。

『アルテミス』のM字に開かれた両脚の間に立った。『アルテミス』のオマンコを見下ろすと、真っ赤なルージュで毒々しく塗られた唇の上を、これも真っ赤な舌でベロリと舐める。

『アルテミス』はというと、連日の拷問で体力を使い果たしているのか、シンディに気づかず、まだ静かな寝息をたてている。呼吸に合わせて、腹筋が上下している。両脚は大きく開かれたままで、女体で一番弱い急所は完全に無防備だ。これから、ここを破壊されるのだ。

 シンディが、エナメルブーツを履いた右足を、まるでPK戦でゴールを狙うサッカー選手のように、大きく後ろにひいた。そして一切の手加減なしに、『アルテミス』の股間を蹴った。ブーツが踝(くるぶし)のあたりまで、大陰唇の間にめり込んだ。

 シンディは今でこそさざなみ刑務所の看守だが、以前はアメリカ軍の兵士で、捕虜収容所で拷問の任務に就いていた。男女問わず何人もの捕虜の性器を破壊してきた蹴りのテクニックは、今も健在だ。

13BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/19(土) 10:53:43
ab.0012.bastille.04

文字通り、処女膜が蹴り破られた。一瞬の後、
「いぎゃああああああああああああ!」
『アルテミス』が凄まじい悲鳴を迸らせた。

ヒトが最も無防備になる睡眠中に、最も敏感な性器を蹴られたのだ。さすがの真性マゾも、Oの字に開いた口からヨダレを流し、両手で股間を押えながら床の上を転げまわった。見ると、指の間から血が流れ出ている。

「鉄仮面、いつまで寝てるの?」
シンディが床をのたうち回る『アルテミス』の尻を蹴飛ばした。

「あぐぅぅぅ……、も、申し訳ありません、シンディ様」
『アルテミス』が転げまわるのを止め、再び仰向けのM字開脚姿勢に戻った。見ると、オマンコからの出血は止まっている。不死身体質が、裂傷した膣と処女膜を再生させたのだ。

 傷が癒えたばかりのオマンコを、シンディが再び蹴った。肉の裂ける音がして、血しぶきが飛び散った。

「アヒィ……いやぁあああああああああ!」
『アルテミス』が股間にシンディのブーツを咥え込んだまま、身体を仰け反らせた。ブーツと陰唇の隙間から、破瓜の血が流れ出ている。

14BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/19(土) 10:54:28
ab.0013.bastille.05

「あははは。鉄仮面、ロストバージンしちゃったの?」
シンディが哄笑した。
「ほら、オマエをオンナにしてくれたブーツに礼を言いなさい」

「ブーツ様、私をオンナにしていただき、ありがとうございます」
「あははは。オマエ、もうどうしようもない所まで堕ちたね」

「は、はい。もっと私を家畜以下の存在に堕として下さい」
「バカ! すでにオマエは家畜以下なんだよ!」

シンディが『アルテミス』のオマンコにねじ込んだ足をグイッとひねった。『アルテミス』の身体がビクンと震え、陰唇との隙間から、赤黒い血がドロリと流れ出た。

 シンディが、部屋の外に待たせていた男囚を呼んだ。
「お前たち、このマゾを特別拷問室に運んで」
「ハ、ハイ! シンディ様」
「あと、新しく搬入したアレを用意して」
「ハ、ハイ!」
囚人たちはよほどシンディの事が怖いらしく、怯えきった表情を浮かべながら直立不動の姿勢をとった。

15BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/19(土) 10:55:26
ab.0014.bastille.06

 さざなみ刑務所の一画につくられた特別拷問室に、『アルテミス』は運ばれた。そこには、高さ2メートルほどの金属製の人形が置かれていた。

「今日は、新しい拷問器具を試してみることにするわ」
シンディが自慢げに紹介する、その金属製の人形は『鉄の処女』と呼ばれる、中世ヨーロッパの拷問器具だった。

『鉄の処女』の前面部は、観音開きの扉になっていた。重そうな扉が開かれた。あらわになった『鉄の処女』の内部を見た『アルテミス』が、歓喜の喘ぎをもらした。

『鉄の処女』の内部はヒトが入れる空洞になっていたが、その内側には無数の針が仕込まれていた。中に閉じ込められた人間は、全身を針に刺し貫かれる事になる。

「あぁ……素敵だわ」
『アルテミス』は、うっとりとした目で、この恐ろしい拷問器具を見つめた。早く中に入りたくてたまらないのだ。

 シンディに『鉄の処女』の中に入るように命じられると、『アルテミス』は嬉々としてそれに従った。
「扉を閉めるよ。覚悟はいいかい?」
「はい、お願いします」
シンディが、扉を閉めるように男囚に命じた。

「きゃあああああああああ!」
扉が閉まるのと同時に、『鉄の処女』の中から女のの悲鳴が迸り出た。扉の隙間から、おびただしい量の血が流れ出てきた。

「針から電流が流れるように、改造してあげたのよ」
シンディが『鉄の処女』の背中についているボタンを押すと、
「ぐぎゃあああああああああ!」
『アルテミス』の悲鳴が絶叫に変わった。流れ出てくる血に、オシッコが混じり始めた。


【鉄の処女の説明】
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%89%84%E3%81%AE%E5%87%A6%E5%A5%B3

16BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/19(土) 10:58:27
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに:ご挨拶と注意事項

>>6-8 プロローグ:プロローグ

>>10-15 監獄にて:さざなみ刑務所の拷問

17BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/21(月) 21:54:56
ab.0015.Cyclops1.01

『ロボットバトル1 アナザー』

 『アルテミス』が『鉄の処女』に入れられてから数時間が経過した頃、ネオガイア宇宙軍から『アルテミス』に出撃命令が下った。かつては白兵戦の天才と謳われるほどのエリート士官だった彼女には、さざなみ刑務所の囚人に身を堕とした今でも、しばしば出撃命令が下るのだ。

『アルテミス』は『鉄の処女』から出されると、傷が癒えるのも待たず、さざなみ刑務所からロボット研究所まで転送された。ロボット格納庫で彼女を迎えたのは、ピタゴラス博士とメビウス博士だった。

ピタゴラス博士はネオガイア星人の重鎮で、地球に駐留するネオガイア星人の提督を務めている。メビウス博士はロボット工学の権威で、巨大ロボット兵器キュクロプスの設計者でもある。

2人のネイガイア星人の博士は、『鉄の処女』から出されたばかりで血まみれの『アルテミス』を見て一瞬ギョッとした。しかし、この真性マゾのさざなみ刑務所での暮らしを知っているので、大騒ぎするような事はない。

 今回『アルテミス』に与えられた任務は、巨大ロボット兵器キュクロプス1号機を駆り、ロボット研究所から脱走したキュクロプス2号機を捕獲もしくは抹殺する事だった。

18BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/21(月) 21:55:40
ab.0016.Cyclops1.02

 ここで、キュクロプスと惑星タイタンについて、簡単に説明しておいた方が良いかも知れない。

既述の通り、キュクロプスは地球に駐留するネオガイア宇宙軍のロボット兵器だ。現在キュクロプスは2機製造されていて、稼働中のものが1号機、試作段階のものが2号機だった。

1号機はパイロットが乗り込んで操縦するタイプの有人ロボット兵器で、『アルテミス』がパイロットを務めている。2号機は惑星タイタンの巨人レアの身体をベースに作られた機体で、ロボットというよりはサイボーグに近い。

 惑星タイタンは地球から7000光年の距離にある星で、そこには身長20メートルの巨人が暮らしている。タイタンの巨人とネオガイア星人は敵対関係にあって、以前から武力衝突が絶えなかった。

レアは、惑星タイタンから地球に送られて来た、女の傭兵だ。しかし、『アルテミス』の駆るキュクロプス1号機との戦闘で重傷を負い、ネオガイア宇宙軍に捕らえられた挙句、キュクロプス2号機に改造されてしまった。その後、突発的な事故で元の自我が覚醒し、時空砲という兵器を奪い、ネオガイア星人のロボット研究所から脱走したのだ。

 時空砲というのは、ネオガイア宇宙軍の開発した、物体を別の時空間に転送する装置を応用した兵器だ。これに撃たれたら、文字通り『現世界から』完全に消滅してしまう。しかし作用原理については、不明な点が多い。

19BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/21(月) 21:56:32
ab.0017.Cyclops1.03

 キュクロプス1号機の出撃準備が完了した。キュクロプス1号機の操縦方法は独特だった。コクピットのシートはSMクラブにある三角木馬のような形状をしていて、シートの上にはバイブのような操縦桿が2本生えている。パイロットはこの2本を膣と直腸に挿入して、機体を操るのだ。

『アルテミス』はシートの上に跨ると、2本の操縦桿の先端をオマンコとアナルに当てがった。ゴクリと唾を飲み込むと、一気に腰を落とした。不死身体質によって再生した処女膜が、極太の操縦桿で突き破られる。
「アン……」
おもわず、甘い吐息が漏れた。

『アルテミス』の全身に、感覚を伝達するための電極が取り付けられた。これによって、キュクロプス1号機が受けた損傷を、痛覚として体感できるのだ。

(あぁ、このままオマンコとアナルをズボズボしたら、どんなに良いかしら……)
操縦桿を挿入したまま腰を振りたい欲望がこみ上げてきたが、それをなんとか抑えた。
「アルテミス。『1号機』発進します!」
どこなく上ずった声で叫んだ。

20BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/21(月) 21:57:14
ab.0018.Cyclops1.04

 サイボーグ手術で肉体を強化され、さらに時空砲を手にしたレアは強かった。ネオガイア宇宙軍から出撃した反重力戦車やアンドロイド兵を次々と撃退していく。そんなレアの前に、『アルテミス』の駆るキュクロプス1号機が立ちはだかった。

「貴様! また貴様かぁ!」
レアの精悍な印象を受ける美貌が、怒りに歪んだ。以前キュクロプス1号機との戦いに敗れた時の屈辱は、今でも鮮明に覚えている。

「なにを怒っているのでつか、レアたん?」
そう尋ねるのは、ネオガイア星人から生体実験を受けて透明人間にされてしまった日本人、天野孝だ。

キュクロプス2号機も、キュクロプス1号機のように股間部分にコクピットが取り付けられていて、そのコクピット内には孝が乗っているのだ。

もっとも、現在レアの身体を支配しているのは、コクピット内の孝ではなく、レア自身の意思だ。

「お前には、関係ないっ!」
レアは孝を一喝すると、キュクロプス1号機に向けてレーザーライフルを撃ちまくった。

 レアの発射したレーザーを、『アルテミス』は神技というべき操縦技術で全てかわした。『アルテミス』は宇宙戦闘機のA級ライセンスを持っていて、どのような機体も手足のように操る事ができるのだ。

 もしもレアがサイボーグに改造されていなかったら、この時点で『アルテミス』が勝利をおさめていただろう。しかしキュクロプス2号機に改造されたレアは、コンピューターを脳に埋め込まれていて、敵の動きを予測する事ができた。

21BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/21(月) 21:57:52
ab.0019.Cyclops1.05

「もう以前のあたしじゃないのよっ!」
レアのレーザーサーベルが一閃し、キュクロプス1号機の右腕が肩の部分で切断された。

「ひぎゃああああああ!」
キュクロプス1号機のコクピット内に、『アルテミス』の絶叫が響きわたる。

キュクロプス1号機のパイロットは、全身に取り付けられた電極を通して、機体が被る損傷と同じ感覚を得る。だから『アルテミス』も、右腕を切断される苦痛を味わったのだ。

「き、気持ち良すぎるぅぅぅ」
ただしアルテミスは真性マゾ。腕を切断されたような激痛も、脳内で快感に変換される。操縦桿を挿入されたままのオマンコが、ビュッビュッと小刻みに潮を噴いた。

「とどめだ!」
レアがキュクロプス1号機の股間部分にあるコクピットを貫こうと、レーザーサーベルを構えた。
「アァ……、あれで股間を貫かれたら……」
それを、『アルテミス』がキュクロプス1号機のコクピットの中から見つめながら、ゴクリと唾を飲み込んだ。

 その時、上空から自衛隊のジェット戦闘機の編隊が飛来し、レアに向けてミサイルを発射した。
「何だってんだよ、お前らあ!よってたかって、あたしを攻撃しやがって!」
レアが、自衛隊機に時空砲を発射した。戦闘機の1機が消滅した。どこの時空に飛ばされたのか、時空砲を使ったレア本人にも分からない。

レアが次の標的に時空砲を向けると、自衛隊機の編隊は慌てて空の彼方へ逃げて行った。

「フン。情けない連中だ」
レアがキュクロプス1号機にとどめを刺そうとレーザーサーベルを振り上げた――その時、空中にいくつもの光の玉が出現した。

光の玉は、レアが今まで見たことのない飛行艇に変わった。飛行艇は頭上に編隊を組むと、レアに向けて光線砲の集中砲火を浴びせ始めた。

「あいつらも攻撃してきやがった」
レアは飛行艇に時空砲を発射した。

時空砲が命中し、飛行艇が消滅した。しかしその直後、時空の彼方へ飛ばされたはずの飛行艇が再び現れて、レアへの攻撃を再開した。

「じ、時空砲が効かない!」
愕然とするレア。時空砲が効かない以上、この謎の飛行艇と交戦を続けるのは得策ではない。レアはキュクロプスにとどめを刺すのを断念して、その場から逃走した。

22BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/21(月) 21:59:01
ab.0020.Cyclops1.06

「ま、待ちなさい!」
『アルテミス』がキュクロプス1号機を起こそうと、操縦桿を挿入された腰をグイッと引いた。しかしが淫液で滑って、オマンコから操縦桿が抜けてしまった。
「しまった……」
前方を見ると、すでにレアが走り去ったあとだった。

この時、操縦桿がオマンコから抜けなければ……、『アルテミス』はレアの逃走を一瞬たりとも許す事がなかったかもしれない。そして、この後に起こる怪奇な物語も生まれなかったかも知れない。

 レアは時空砲を撃ちながら海岸に出た。そのレアの前に、片腕を失ったキュクロプス1号機が再び立ちはだかった。
「追いついたわ。ピタゴラス提督から破壊命令が出たわ」
キュクロプス1号機が、左手でレーザーライフルを構えた。

「も逃げ切れない!」
諦め気味になったレアに、
「レアたん、あきらめたら駄目ぼ。一つだけ逃げる方法があるでつ」
と、孝が妙案を提示した。

「なんだ。早く言え!」
「その時空砲で、自分を撃つでつよ」
「自分を撃つ? そうか!」

 暗く沈んでいたレアの表情に、希望の色が広がった。たしかに時空砲で自分を撃てば、別の時空間に脱出する事ができる。どんな世界に行くかはわからないが、この世界よりはマシだ。レアは時空砲を自分に向け、照射スイッチを押した。

虹色の光がレアの身体を包み込み、次の瞬間には身長20メートルの巨人の姿は跡形もなく消えていた。あとに残された『アルテミス』は、今しがたまでレアがいた場所を呆然と見つめるしかなかった。

23BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/21(月) 22:00:41
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに:ご挨拶と注意事項

>>6-8 プロローグ:プロローグ

>>10-15 監獄にて:さざなみ刑務所の拷問

>>17-21 ロボットバトル1 アナザー:キュクロプスvsレア

24BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/21(月) 22:02:18
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに:ご挨拶と注意事項

>>6-8 プロローグ:プロローグ

>>10-15 監獄にて:さざなみ刑務所の拷問

>>17-22 ロボットバトル1 アナザー:キュクロプスvsレア

25BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/27(日) 10:52:47
ab.0021.multiverse.01

『並行宇宙』

 アルテミスは薄明るい部屋の中で目を覚ました。
(今日はどんな拷問をしてもらえるのかしら)
上半身を起こそうと、硬い床についたはずの手が、柔らかいベッドに沈んだ。おもわずバランスを崩して、そのまま床に落ちた。

アルテミスが暮らす場所はさざなみ刑務所の独房で、ベッドどころかトイレすらないはずだ。

(なぜベッドで寝ているの)
不思議に思いながら、ベッドから落ちた時に床にぶつけてジンジンと痛む額をさする――、その手の動きが止まった。

指先に触れたのは、硬い超合金の仮面ではなく、柔らかい皮膚だった。慌てて自分の顔を撫でまわした。超合金の仮面をかぶっている月日があまりにも長くて、忘れかけていた自分の額、鼻、頬の感触。

決して外れる事のないはずの仮面は、跡形もなく消えていた。
「…………!?」

露わになった美貌に困惑の表情を浮かべながら、周囲をキョロキョロ見回した。そして、自分がいるのが、さざなみ刑務所の独房でない事に気づいた。

26BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/27(日) 10:53:43
ab.0022.multiverse.02

「ここは! どうして……、どうして私がここにいるのよ!?」
そこは見慣れたさざなみ刑務所の独房ではなかったが、アルテミスには、その場所に見覚えがあった。

「ここは、オリンポスの私の部屋……」
オリンポスとはネオガイア星の大型宇宙船で、アルテミスはそれに乗って地球にやって来たのだ。自分の部屋を見間違えるはずはない。そこはたしかに宇宙船オリンポス内の、アルテミスの居室だった。

訳が分からず、フラフラと立ち上がった。そして、自分が全裸ではなく、黒のネグリジェを着ている事に気づいた。それにも見覚えがあった。友人のアテナからプレゼントされた物だ。

 呆然とするアルテミスの耳に、壁のスピーカーから、聞き覚えのある声が入ってきた。
『白兵戦コマンド隊員は、作戦会議室に集合せよ』
声の主はペルセウスだった。

ペルセウスは、アルテミスが白兵戦コマンド部隊に所属していた時の隊長で、その後、さざなみ市の治安を統括する長官に昇進している。

「作戦会議室……。行かなくちゃ……」
想定外の事態に動揺していたアルテミスは、まるて夢遊病者のようにフラフラと部屋から出ると、作戦会議室に向かった。

27BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/27(日) 10:54:22
ab.0023.multiverse.03

 作戦会議室に入ると、すでに数名の隊員が来ていた。どれも懐かしい顔ばかりだ。想定外の出来事で呆然としていたアルテミスは、かつての戦友達の顔を見て、自分の現在の立場を思い出した。

ネオガイア宇宙軍の女士官アルテミスは、公式には戦死したという扱いになっている。ここにいるのは、ネオガイア星人の戸籍すら持たない、さざなみ刑務所の囚人なのだ。

「あぁ……、ごめんなさい。私には、ここに来る資格はなかったんだわ」
逃げるように部屋を飛び出そうとするアルテミスを、
「アルテミス!」
ペルセウスが呼び止めた。
「どうした? 資格がないって、何を言ってるんだ?」

「ぺ、ペルセウス長官……、私は……」
「長官? 何を言っている? 私は隊長だぞ。大丈夫か?」
「え……? アナタはさざなみ市の治安を統括する長官に……」
「さざなみ市? オイオイ、大丈夫か? 28歳の若さで認知症を発症したとか、言わんでくれよ?」
「え!? 2……8歳?」

アルテミスは言葉を失った。28歳といえば、アルテミスが宇宙船オリンポスで地球に到着した時の年齢だ。その後、人工冬眠処置をされていた年月などを加算すれば、現在は30歳を回っているはずだ。

28BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/27(日) 10:55:09
ab.0024.multiverse.04

アルテミスは唖然としながら、自分の両手を見下ろした。つやといい張りといい、たしかに二十代の若々しい肌だ。

「とにかく、早く席についてくれ」
ペルセウスは軽く咳払いをしてから、集まった白兵戦コマンド隊員たちを見渡した。
「さて、我々の乗る宇宙船オリンポスも、目的地の地球まで、残すところワープ1回分の距離となった。すでに地球には、ネオガイア星の調査宇宙船が到着している」

(え!? まだ地球に着いていないの?)
ペルセウスの言葉を聞いて、アルテミスは思わず叫びそうになり、慌てて手で口を押さえた。

 そんなアルテミスの顔を、隣に座っている男が心配そうに覗き込んだ。
「アルテミス、さっきから様子が変だぞ。どうしたんだ?」
男の名はテッセウス。白兵戦コマンド部隊の隊員で、アルテミスの同僚だ。

「だ、大丈夫よ。テッセウス」
「もしかして、頭をひどくぶつけて脳震盪でも起こしたのか?」
「え? 頭?」
「だってほら、額に痣ができてるぞ」

アルテミスは額に指を当てた。わずかに痛みを感じる。
(さっきベッドから落ちた時にできた痣だわ。でも、なぜ痣が残っているの?)
アルテミスの不死身体質なら、痣程度なら瞬きをする間に消えているはずだ。

29BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/27(日) 10:55:44
ab.0025.multiverse.05

(まさか……)
アルテミスはテッセウスに気づかれないように、自分の手の甲を爪で引っ掻いた。白磁のような肌に、赤い蚯蚓腫れが刻まれる。

5秒、10秒……。本来なら1秒とかけずに消えるはずの蚯蚓腫れは、1分経っても消えなかった。
(不死身体質でなくなっている!?)
アルテミスは、自分の手の甲を呆然と見つめた。

「船内時間で12時間後、オリンポスは地球に向けて最後のワープを行う。地球に到着後、先遣隊の調査宇宙船と合流する」
ペルセウスの話は続いていたが、その間も、アルテミスは、この異常な状況の分析に集中していた。

(もしも仮面や不死身体質の事が私の妄想でなく、これが誰かの悪戯でないとしたら、この異常な状況の原因は……)
そして、1つの仮説にたどりつき、その仮説の突拍子のなさにゴクリと唾を飲み込んだ。

(私の仮説が正しいかどうかを確かめるには……)
隣に座っている男を、横目でチラリと見た。おそらくアルテミスに特別な好意を寄せているだろうこの男は、後に、アルテミスの後任として白兵戦コマンドの隊長になっているはずだ。

30BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/27(日) 10:56:21
ab.0026.multiverse.06

「テッセウス」
「ん? 何だい?」
「今日は……何日だったかしら? 年号から教えて?」
「年号から? あぁ、えぇと……たしか……」

テッセウスが答えたのは、アルテミスの記憶にあるオリンポスが地球に着く、その日付だった。

(やっぱり……、この異常な状況の原因は……、私がタイムトラベルしたんだわ)
アルテミスは、自分の仮説が正しい事を確信した。

 タイムトラベルやタイムマシンの理論は、アルテミスもアカデミーでも講義を受けた。ただしタイムマシンは、その製造に高度なテクノロジーが必要なので、所有しているのはグレイを筆頭にごく一部の星間種族だけだ。

ネオガイア星人を含む大半の種族にとっては、時間旅行が可能な装置は、SF作品に登場する架空の装置とかわらない。

(これは通常のタイムトラベルではないわ。キュクロプスでレアと戦っていた時点から、肉体を置いて、意識と記憶だけがこの時代に転送されたようなタイムトラベルだわ)
アルテミスは自分の手を見つめながら、考えた。二十代のみずみずしい手の甲には、先ほどの蚯蚓腫れがまだうっすらと残っている。

31BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/27(日) 10:57:05
ab.0027.multiverse.07

 アルテミスがタイムトラベルについて色々思考していると、いつの間にか、ペルセウスの話が終わった。ペルセウスの話が終わると、白兵戦コマンドの隊員たちは、各々の自室に帰って行った。

テッセウスも、
「それにしてもペルセウス隊長の話は、いつも長いなぁ」
などと独り言を呟きながら席を立った。

そしてアルテミスを振り返ると、
「アルテミス。額の痣は、医療アンドロイドにきちんと治してもらえよ。ネオガイア宇宙軍随一の美女の身体に消えない傷ができたら、それこそ軍の損失だからな」
と言い残して、作戦会議室を出て行った。

作戦会議室には、アルテミスだけが1人残った。無言で椅子に座ったまま、自分の手の甲をじっと見つめている。まだ消えずに残っている蚯蚓腫れの痕を、指でそっとなぞった。

「消えない傷……」
テッセウスが別れ際に言い残した言葉を反芻して、細い喉をコクリと上下させた。

32BiBi ◆8cBPUextJk:2018/05/27(日) 11:01:31
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに:ご挨拶と注意事項

>>6-8 プロローグ:プロローグ

>>10-15 監獄にて:さざなみ刑務所の拷問

>>17-22 ロボットバトル1 アナザー:キュクロプスvsレア

>>25-31 並行宇宙 : アルテミスが目を覚ますと、そこは……

33BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/01(金) 11:42:30
ab.0028.Body Modification.Artemis.1.01

『肉体改造 アルテミス 1』

「室内の掃除を始めてもよろしいでしょうか?」

アルテミスが、作戦会議室で手の甲の蚯蚓腫れを指でなでながら物思いにふけっているところを、声をかけられた。声のした方を見ると、使役用アンドロイドがクリーナーを片手に立っている。周囲を見回すと、白兵戦コマンドの隊員は、誰もいなかった。
「え、ええ、いいわ」
アルテミスは席を立つと、自分の居室に向かった。

途中、何人かの若い男の兵士とすれ違った。兵士たちは皆、アルテミスの姿を見ると、やや緊張ぎみの表情で敬礼をした。

エリート部隊といわれる白兵戦コマンドに所属し、ネオガイア宇宙軍随一の美貌の持ち主と謳われるアルテミスは、若い兵士たちにとって憧れの存在なのだ。しかし兵士たちは、自分が敬礼をした美女の瞳が妖しく潤んでいる事に、誰も気づかなかった。

 アルテミスは自室に着くや否や、身に着けている衣類をはぎ取るように脱ぎ捨てた。
「3Dミラーを起動して」
室内の空調などを管理しているコンピューターに命じた。

『了解しました』
妙に甘ったるい女の声で応答があり、素晴らしい女体の立体映像が空間に現れた。3Dミラーはその名の通り、物体を立体で映す装置だ。一部分だけを拡大したり、録画する事もできる。

3Dミラーに向かって、ブロンドの髪をかき上げた。見ると、額には、先ほど床にぶつけた時にできた痣が、まだうっすらと残っている。

34BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/01(金) 11:43:05
ab.0029.Body Modification.Artemis.1.02

 アルテミスの不死身体質は、単純な切り傷や刺し傷程度なら数秒から数十秒で、身体を真っ二つにされるような傷でも30分ほどで完治させた。

この驚異的な再生能力のおかげでアルテミスが得たものは、パーフェクトソルジャーとしての戦闘力だけではなかった。どのような凌辱や拷問も、際限なく受ける事ができるようになったのだ。重度のマゾにとって、それは非常に都合の良い事だった。

 しかし不死身になったが故に、実現不可能な拷問が1つだけあった。肉体改造である。拡張やタトゥーなどでどんなに卑猥にな姿に肉体を変形させても、不死身の体質のせいで、あっという間に元に戻ってしまうのだ。

ピアスも例外ではなかった。外れないように念入りに装着しても、勝手に抜け落ちて、ピアスが穿っていた穴もあっという間に消えてしまう。

これには、アルテミスもずいぶんと落胆させられた。そして、ネオガイア星人の生体実験によって卑猥な姿に改造させられた地球人を見るたびに、羨望のため息をこぼしたのだった。

その不死身体質が今、失われたのだ。

「ここが過去の私の部屋だとしたら、たしかここに……」
アルテミスはベッドの下を手で探った。
「あったわ」
トランクケースほどのサイズの箱を引っぱり出した。

35BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/01(金) 11:43:39
ab.0030.Body Modification.Artemis.1.03

 アルテミスは生来の真性マゾで、少女の頃から自虐オナニーに目覚めていた。宇宙軍入隊後も自虐オナニーはやめられず、むしろより過激になっていった。白兵戦コマンドの厳しい訓練でどんなに疲れていても、毎日欠かさず、狂ったように自分の肉体を嬲ったものだ。その自虐のための道具が、この箱にしまわれている。

 興奮に震える手で、箱のふたを開けた。中には、ヘラのような形をした鞭、アイスピック、マッチ棒ほどのサイズの金属製のピアスが数本、成人男性の腕をかたどったバイブなどが入っている。

アルテミスは、それらを1つずつ丁寧に取り出して、ベッドの上に並べた。どれも懐かしい物ばかりだ。

 アルテミスは床の上に仰向けになり、両足をベッドの上にのせた。クランチ――台座に足をのせて行う腹筋のトレーニング――に似た体勢だ。そのまま両脚を大きく開いた。3Dミラーに映ったオマンコは、すでに淫液で濡れている。

 鞭を手に取った。最初からオマンコを狙った。渾身の力を込めて、女体の急所に叩きつける。肉を打ちつける音が鳴り響いた。
「う……ぐぅぅぅ」
普通の女ならその場でのたうち回るほどの痛みだが、アルテミスはうめき声を漏らしただけだ。

36BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/01(金) 11:44:14
ab.0031.Body Modification.Artemis.1.04

 さらに大きく両脚を開いて、今度は強烈な連打を叩きこんだ。
「ヒィ! アグ……グゥゥゥ……」
自分の股間を3Dミラーで見ながら、狂ったようにオマンコを滅多打ちにする。

「あおぉ……に、ひぐっ……」
Oの字に開いた口から、切迫したような悲鳴がもれる。見ると、額には汗の粒が滲んでいる。

空いているもう一方の手で、乳房を鷲掴みにした。Gカップの膨らみに爪を食い込ませ、乳首をねじ切らんばかりに捻る。その乳房に、赤い斑点が描かれた。鞭が叩きつけられるたびに、オマンコから血飛沫が降りそそいだのだ。

 すでに十分早かった鞭を振り下ろすペースが、さらに早くなった。乳房や腹の上に、赤い斑点がいくつも描かれる。
「あ、あぁ、イ、イイ、イイ、イイ……」
引きつったような喘ぎ声に変わった。胸元から首すじにかけて血管が浮き上がり、皮膚にサッと朱色がさした。

「い、いく……、い……」
身体が弓なりに反りかえった。大きく開いた左右の太股がブルブルと震え、その間から噴水のように潮が噴き出した。

(不死身ではなくなったけど、絶頂すると潮を噴く体質は以前のままなのね)
自分の噴いた潮を上半身に浴びながら、アルテミスはまだ終わらぬ絶頂の波に身をまかせた。

37BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/01(金) 11:45:40
ab.0032.Body Modification.Artemis.1.05

「はぁ、はぁ、はぁ……」
やがて潮を出し尽くすと、アルテミスは息も絶えだえといった様子で、その場に横たわった。呼吸に合わせて、胸が大きく上下運動をくり返している。

呼吸が落ち着くと、気だるげに上半身を起こした。見ると、床の上が噴出した淫液でベトベトになっている。絶頂のたびに、何度でも大量の潮を噴く体質だった。自虐オナニーの時も、サディストに拷問された時も、よく脱水症状をおこさないものだと自分でも感心したものだ。

 ベッドの上からアイスピックを取った。とがった切っ先が、鈍い光沢を放っている。切っ先を乳房に当てると、皮膚に『メスブタ』とネオガイア語で文字を刻んだ。

不死身の体質ならば数秒で消えるはずの『メスブタ』は、いくら待っても消えなかった。アルテミスの顔に、まるで宝物を発見した子供のような笑みが広がる。

「消えない。消えないわ。消えないのよ」
嬉々として、左右の乳房に、卑猥な単語を次々と刻み始めた。乳房が卑猥な単語で覆いつくされると、今度は腹にアイスピックの先端を突き立てた。

「マゾ……ヘンタイ……インラン……、あぁ、私の身体がいやらしい言葉に包まれいるのね」
嬉しそうに呟きながら、3Dミラーに映る自分の身体を見つめる目には、狂気の色が混じっている。

全身を淫語で覆いつくすと、傷から流れ出た血を顔や乳房に塗りたくった。見ると、滴り落ちた血で、足元に赤い水たまりができている。

38BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/01(金) 11:46:30
ab.0033.Body Modification.Artemis.1.06

 アイスピックの先端を、右の乳首に横から当てた。アイスピックの柄を握りしめる手は血まみれで、興奮のせいでブルブルと震えている。無造作に、突き刺した。アイスピックの刃が乳首を貫通すると、柄をグリグリとねじった。

「あ、あぁあああ……、堪らないわぁ」
敏感な肉突起を襲う苦痛をたっぷりと堪能してから、アイスピックをゆっくりと引き抜いた。そして今度は、同じ乳首を縦に貫いた。

 次いで、ベッドの上からピアスを2本取り、乳首に十字に突き通した。敏感な肉突起の内部で、2本の金属棒が擦れ合う感触が心地よい。

「あぁ……素敵。ピアスをつけられた乳首に、どんなに憧れたかしら」
アルテミスはピアスで十字に貫かれた右乳首を指先で愛しげに転がしながら、欲情に狂った声音で囁いた。不死身体質だった頃は、ピアスを装着しても、押し出されるように自然に取れてしまったのだ。

 今度は左乳首をアイスピックで貫いた。
「あぁ……、これだけでイってしまいそうだわ」
根元近くまでねじ込んで、ギリギリとねじった。乳首が引きちぎれそうだ。

39BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/01(金) 11:47:07
ab.0034.Body Modification.Artemis.1.07

 そのまま両足を大きく開いた。
「コンピューター、私のオマンコの映像をもっと拡大して」
『了解しました』
3Dミラーの股間部分の映像が、さらに拡大された。
「もっとよ。クリトリスの部分を拡大してちょうだい」
『了解しました』
映像が、クリトリスのアップに変わった。

 アルテミスの普段から大ぶりのクリトリスは勃起し、それに先ほどの鞭打ちなどによる炎症が加わって、バケモノのようなサイズに膨れあがっている。

アルテミスは、3Dミラーでクリトリスを見ながら、その根元にアイスピックの切っ先を当てた。細い喉がコクリと上下する。

アイスピックの柄を少しずつ押していった。少しずつ押すのは、怖いからではない。苦痛をゆっくり味わうためだ。金属製の切っ先が、クリトリスの表面にくぼみを作る。その光景を3Dミラーで見ながら、唇をベロリと舐めた。

 プツンという感触があり、アイスピックの切っ先がクリトリスに刺さった。
「はぁ、はぁ、はぁ……。い、いいわぁ」
そのままアイスピックを前進させる。じわじわと刺さっていく。

再びプツンという感触がして、クリトリスの反対側から、アイスピックの先端が突き出た。
「アァ……、アァ……、も、もう我慢できない」
切迫したような声で叫ぶと、そのまま一気にアイスピックの根元まで突き刺した。

40BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/01(金) 11:47:51
ab.0035.Body Modification.Artemis.1.08

 クリトリスを貫通したアイスピックの柄を握る手に力をこめると、そのままドリルのようにグリグリと回転させた。
「あぉおおお……、い、いい! これだけでイキ……そ……ぅ……」
甲高い嬌声をあげた。

アイスピックの回転を、更に激しくする。しかし、クリトリスが千切れそうになっているのを3Dミラーで見て、慌てて手の動きを止めた。

クリトリスは、最大限の苦痛と快感を生んでくれる。不死身体質だった時は、千切れてもすぐに再生したが、今は違う。たった1回のオナニーで、快感の源泉を失うわけにはいかないのだ。

(不死身でなくなると、肉体改造できるのは嬉しいけど、こういう点は不便だわ)

 アルテミスは、クリトリスが千切れてしまわないように注意しながら、ゆっくりとアイスピックを引き抜いていった。敏感な肉突起の中身を金属の棒にこすられる――その恥痛だけで、絶頂に達してしまいそうだ。

 アイスピックを完全に抜き去った。見ると、クリトリスは、萎びた杏の実のようになっている。

41BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/01(金) 11:48:37

ab.0036.Body Modification.Artemis.1.09

 ベッドの上からピアスを取り、ボロボロになったクリトリスに当てた。ゆっくりとピアスの背を押す。最初に少し抵抗があったが、思ったよりもあっけなくピアスは貫通した。

「アン。もう少し時間をかけて通したかったんだけど……。アイスピックで穴を広げすぎたのかしら」

新しいピアスを取って、
「2本めよ」
今ピアスを1本貫通させたばかりのクリトリスに当てた。

今度はなかなか入らなかった。ピアスの背を指で押す。ズキズキするような痛みが心地よい。ピアスを押す指に、さらに力を加えた。ズボッという感触とともに、2本目のピアスがクリトリスを貫通した。

「あぁあああ、イ、イイわ。すごくイイのぉ……」
アルテミスは快感にブルブル身体を震わせながら、新しいピアスを手に取り、今度はそれを尿道口に突っ込んだ。敏感な尿道粘膜を金属棒にこすられる痛みが、堪らない。

42BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/01(金) 11:50:15
ab.0037.Body Modification.Artemis.1.10

 3Dミラーに自分の全身を映した。全身に卑猥な単語を刻まれ、乳首とオマンコはピアスで貫かれている。クリトリスは、腫れあがった陰唇に隠れて見えにくいが、2本のピアスに貫かれている。

「あぁ、素敵だわ。私の身体がこんなに……」
アルテミスは不死身体質が失われた事に感謝した。もし不死身体質のままだったら、今頃、全身の傷は跡形もなく消え去り、装着したピアスも勝手に抜け落ちているだろう。

 2本のバイブを手に取った。形状とサイズは、こぶしを握り締めた成人男性の腕の、肘から先の部分にそっくりだ。膣に腕を挿入されるのを好む変態女の、オナニー用に作られたバイブなのだろうか……。ただ腕と違うのは、こちらは表面がイボイボで覆われている点だ。

 アルテミスは中腰になると、両脚を大きく開いた。2本のバイブの先端を、オマンコと肛門に当てる。そして、そのまま、『突っ込む』というよりも『叩き込む』という表現がピッタリ合いそうな勢いで、根元まで挿入した。

「ひあぁあああああああああ……」
それだけで絶頂を迎えそうになった。膝から力が抜け、そのまま膝から崩れ落ちた。

43BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/01(金) 11:50:51
ab.0038.Body Modification.Artemis.1.11

「はぁ、はぁ、はぁ……。2本同時は、さすがに効くわね」
横たわったまま、3Dミラーに視線を向けた。股間から、長さが成人男性の腕くらいあったはずのバイブが2本、股間から、3センチほど生えている。残りの部分は、膣と腸の中だ。

破瓜の血は流れていない。
「処女膜はもう無かったのよね」
少し残念そうに呟いた。不死身体質だったら、処女膜を破られる痛みも味わう事が出来たのだが、今のアルテミスは不死身ではない。

 再び中腰になると、股間から生えた2本のバイブを指でつかみ、ゆっくりと引き抜き始めた。
「お、おぉおおお……」
唸るような低い声が漏れる。

完全に抜き去る直前で止めた。一呼吸置いて、根元まで一気に突き刺した。
「アヒィイイイ!」
中腰のまま、上半身が後ろに反り返った。

44BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/01(金) 11:51:23
ab.0039.Body Modification.Artemis.1.12

 なんとか体勢を整えた。そして再びバイブをゆっくりと抜き始め、完全に抜き去る手前で止めると、一気に突っ込んだ。

「はぁ、はぁ、はぁ……」
再びバイブをゆっくり抜き、一気に突っ込んだ。ゆっくり引き抜き、一気に突っ込む。ゆっくり引き抜き、一気に突っ込む。それを繰り返した。

バイブを抜き挿しする勢いが少しずつ早くなっていった。早くなる。早くなる。早くなる。
「はぁ、はぁ、は、ハ、ハ、ヒ、ヒ、ヒ……」
そして、ものすごい勢いで、オマンコと肛門を突き始めた。ズブズブと卑猥な音がする。床に淫液がポタポタと落ちた。

 バイブの勢いはさらに早くなっていった。バイブが小陰唇を貫くピアスと擦れて、カリカリと音を立てる。

「あ、あぁ、あひ、あひ、あひ……」
喘ぎ声が切迫したような声に変わった。
「あ、も、もうだめ……。イク、イクわ……」
すでに十分早かったバイブの勢いが、さらに加速した。

「あ、あぁ……、イ、イグゥゥ……」
上下の歯が噛み合わされ、『ゥゥゥ』の部分でギリギリと音を立てた。歯の隙間から顎下まで、ヨダレがスジをひいている。股間から潮が噴き出し、ビチャビチャと音を立てながら床ではじけた。

潮に続いて、オシッコがジョロジョロと漏れた。尿道に挿入されていたピアスが、オシッコで押し出されて、床に転がった。

45BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/01(金) 11:51:57
ab.0040.Body Modification.Artemis.1.13

 アルテミスは、膀胱内の液体を全て出し尽くすと、淫液とオシッコの水たまりの中に崩れ落ちた。
(あぁ、オシッコ温かいわ)
そんな事を考えながら、絶頂の余韻に耽る。

『オリンポスは6時間後に、地球に向けて最後のワープを行なう』
スピーカーから流れる船内放送を、朦朧とした意識で聞いていた。

46BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/01(金) 11:55:29
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに

>>6-8 プロローグ

>>10-15 監獄にて

>>17-22 ロボットバトル1 アナザー

>>25-31 並行宇宙

>>33-45 肉体改造(アルテミス 1)

47BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/07(木) 11:01:31
ab.0041.Homecoming.01.01

『帰郷 01』

 場所は変わって、地球の衛星軌道上。そこに、小型の宇宙船が停泊していた。宇宙船オリンポスに先発隊として派遣された、ネオガイア星の調査宇宙船だ。

船長のソクラテスは、モニターに映し出された地球に関するデータを見ながら、パイロットのプラトンに尋ねた。
「地球人が我々に気づいている様子はないか?」
「はい。地球人に、我々の宇宙船を発見できる技術はありません」

「フフン、頭上にある宇宙船も探知できないのか。下等生物め……」
「はい、全くです」
2人のネオガイア星人は、侮蔑を込めた笑みを浮かべた。

ネオガイア星の宇宙船には、ステルス機能が標準装備されている。その性能は、グレイなどの高度なテクノロジーを有する種族に対しては無力だが、地球人から身を隠すには十分だった。

48BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/07(木) 11:02:38
ab.0042.Homecoming.01.02

 調査宇宙船に、1隻の宇宙船が接近してきた。拷問研究所のピタゴラス博士の宇宙船だ。拷問研究所というのは、ネオガイア星人の財団の1つだ。名称に『研究所』とついているが、その実態は、研究の名を借りて拷問を楽しむ変態クラブだ。

ピタゴラス博士は、拷問研究所の主要メンバーの1人だった。サディストとしてだけではなく科学者としても有名で、IQ300を超える頭脳の持ち主だった。

「ピタゴラス博士、オリンポスへようこそ」
拷問研究所宇宙船が調査宇宙船にドッキングすると、ソクラテスがピタゴラス博士を丁重に出迎えた。拷問研究所は、所属メンバーに政府高官や大富豪を多く抱えており、ネオガイア政府や軍に強い影響力を持っている。ピタゴラス博士はその拷問研究所の重鎮なのだ。

「あれが地球か。我々は数千年の時を隔てて、故郷へ帰ってきたのだな」
ピタゴラス博士は感慨深げに、窓越しに広がる青い星を眺めながら、
「なかなか美しい星じぁないか。噂では地球は環境の良い住みやすい星だと聞いているが、どうなんだね?」
隣に立つソクラテスに尋ねた。

「はぁ、それなんだが……、地球は、表面の大半が高濃度の塩水に覆われていて、わずかにある陸地も、砂漠や凍土といった居住に適さないした場所が多くを占めているのだよ。しかも不定期に、異常気象や地震が起きるらしい」

「何だそれは? 噂とずいぶんと違うな。それでは地球は、不動産価値の低い二等惑星という事かね?」
感慨深げに故郷の星を見つめていたピタゴラス博士は、拍子抜けしたように首を横に振った。

49BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/07(木) 11:03:28
ab.0043.Homecoming.01.03

 ネオガイア星人のピタゴラス博士が、地球の不動産価値を低いと言うには、それなりの理由があった。

 銀河系には数千億の恒星が存在し、惑星の数はさらにその数倍ある。地表に空気と水があり、生命が存在できる条件を備える星は、割合としては少数派だが、かなり多くある。広大な宇宙から見れば、地球は決して奇跡の創造物ではないのだ。

そして、光年の単位を一瞬で移動できるワープ航法を有する星間種族にとっては、そのような星の探索は、さほど難しい事ではない。

だから、地球人にとってかけがえのない地球も、ネオガイア星にとっては、『居住可能な星の1つ』にすぎないのだ。

「まぁ不動産価値が低いとはいえ、地球が我々の故郷である事には変わりない。なんとしてでも、地球を奪還しなくてはならない」
ピタゴラス博士は、少し面倒くさそうに呟いた。

「うむ。ただそうなると、地球人との戦争は避けられないでしょうな」

「そうだな。で、地球人の軍事力はどの程度なのだ?」

「全く問題にならないよ。もうすぐ宇宙船オリンポスが到着する予定だが、オリンポスに搭乗しているネオガイア宇宙軍だけでも、十分に殲滅可能だよ」

「そうか。まぁ一応念のため、オリンポスに乗っている友人のロボット工学博士に、新兵器の開発を頼んでおこう」

「新兵器? それは心強いですな」
ソクラテスは、そう答えてから、手をポンと叩いた。
「そうそう、新兵器といえば……、アテナ君が新薬を開発したらしいよ。人間のマゾに変える薬品らしくて、それを使えば、交戦しなくても地球人を奴隷にできるだろう」

「マゾ化薬だね? 拷問研究会の会員の間でも話題になっているよ。まぁ私としては、拷問して悦ばれるよりも、泣き叫ばれる方が好きなのだが……」

「フフフ。ピタゴラス博士に拷問されたら、どんなマゾでも泣き叫ぶでしょ」

「フハハハ、たしかに」

 2人のネオガイア星人は、窓越しに地球を見下ろしながら、愉快そうに笑った。今や、地球に暮らす人類の運命は、風前の灯火と化してしまった。地球人を遥かに上回るテクノロジーを有する宇宙人の前に、人類に滅亡が隷属しか道はないのだろうか……。

50BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/07(木) 11:08:02
ab.0044.Homecoming.01.04

 ここで、場所は、再び宇宙船オリンポスに戻る。オリンポスは、地球に向けて最後のワープを行なった。地球から見て月の裏側の空間に淡い紫色の光点が生じて、全長1キロメートルの宇宙船が実体化した。オリンポスにはステルス機能が備わっているので、地球人に発見される心配はない。

実体化したオリンポスは、そのまま月の外周を迂回して、ネオガイア星の調査宇宙船にドッキングした。調査宇宙船には、すでに拷問研究所の宇宙船が接合されている。

ドッキング後、オリンポスの上級幹部が調査宇宙船に乗り移った。その中には、メビウス博士や白兵戦コマンド隊長のペルセウスも含まれている。オリンポスと調査宇宙船の幹部を交えて、今後の地球奪還作戦について話し合うのだ。

 自虐オナニーで失神したアルテミスは、オリンポスが月の裏側に実体化した時には、すでに目を覚ましていた。

アルテミスはけだるげに身を起こすと、3Dミラーに自分の全身を映した。ネオガイア宇宙軍随一と謳われる完璧な女体に、卑猥な言葉とピアスが消えずに残っているのを確認すると、
「素敵……」
おもわず甘い吐息をもらした。しかし……。

(この傷とオマンコの炎症は、もしかしたら今後の任務に差し支えるかもしれないわ)
アルテミスは悩み抜いた挙句、医療用アンドロイドを呼んだ。

51BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/07(木) 11:09:03
ab.0045.Homecoming.01.05

 やって来た医療用アンドロイドが、手際よくアルテミスの全身に刻まれた傷を治療していく。全身にせっかく刻んだ卑猥な単語がみるみる小さくなっていくのを、アルテミスは名残惜しそうに見つめていた。

『乳首と性器に、金属製の異物が装着されています。除去しますか?』
自虐オナニーで装着したピアスの事だ。
「それは……、取らなくてもいいわ。気に入ってるの」

 30分ほどで、治療が完了した。全身を覆っていた傷は、目を凝らせばなんとか痕跡が分かる程度にまで快復した。数日もすれば、完全に消えるだろう。オマンコの内出血と腫れも、ほぼ治った。

実際のところ、ネオガイア星の医療技術をもってすれば、パーフェクトソルジャーの不死身性には及ばないものの、たいていの傷は治癒可能なのだ。

 アルテミスは調査宇宙船に移動した。調査宇宙船に乗っている友人、女医のアテナに会うためだ。アテナもアルテミスに会いたがっているだろう。

アルテミスが調査宇宙船に乗り込むと、その素晴らしい美貌に男たちがざわめいた。アルテミスは、男たちの憧れと欲情をブレンドしたような視線をはね返しながら、アテナの待つ部屋に向かった。

歩を進めるたびに、乳首とオマンコのピアスが衣服に擦れて、おもわず喘ぎ声が漏れそうになった。

52BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/07(木) 11:10:03
ab.0046.Homecoming.01.06

 部屋に着いたアルテミスを、アテナの笑顔が迎えた。
「久しぶりね、アルテミス」
「会いたかったわ、アテナ」
2人の美女は抱擁しあって、久々の再会を喜んだ。

アテナが、アルテミスを抱擁しながら、
(相変わらず軍人にしておくには勿体ないほどの美貌だけど……、しばらく見ないうちに少し雰囲気が変わったわね)
と、不思議そうに首を傾げた。

アテナが感じた違和感は、間違っていなかった。今のアルテミスは、肉体的にはアテナのよく知る28歳のネオガイア宇宙軍の女兵士だが、中身はさざなみ刑務所で徹底的に調教された真性マゾだ。その全身からは、『色香』というよりも『淫香』とでも呼ぶべきオーラがにじみ出ていて、それを同性のアテナは本能的に感じ取ったのだ。

53BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/07(木) 11:11:49
ab.0047.Homecoming.01.07

 アルテミスとアテナはテーブルを囲んで談笑を楽しんだ。アテナの執務室は機能的で、ともすれば殺風景な印象を受ける部屋だったが、2人の美女が談笑するその空間だけは、5つ星ホテルのラウンジのような雰囲気が漂っていた。

とりとめのない話が1時間近く続いていた。アルテミスは久々に会った友人の顔を見つめながら、感慨に耽っていた。
(私の未来の記憶では、もうすぐアテナにマゾである事を告白して、真理子様に出会うんだったわ)
真理子というのは、人間をサディストに変えるサド化薬を投与された地球人だ。

アルテミスが居た未来の世界では、アルテミスはアテナに自分の性的嗜好を打ち明け、真理子を紹介してもらったのだ。その後、さざなみ刑務所の囚人となったため、真理と再会する事はなかったが、『地球人にいじめられたい』と願望を初めて叶えてくれた真理子の事は、今でも甘い思い出として残っている。

54BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/07(木) 11:12:42
ab.0048.Homecoming.01.08

「アテナ、訊きたい事があるんだけど……」
「何?」
「タイムトラベルについてなの?」
「タイムトラベル? 随分と唐突ね。私は専門家じゃないけど……、私に分かる事なら何でも聞いて?」

アルテミスは、自分がタイムトラベルをしたかもしれない事は伏せて、タイムマシンなしでタイムトラベルが可能か否かを、アテナに尋ねた。

「そうねぇ。これは私の考えだけど……、タイムマシンやブラックホールを使用しない限り、日常遭遇する自然現象でタイムトラベルする事は不可能だと思うわ」

アテナは理知的な目でアルテミスを見つめながら、話を続けた。

「タイムトラベルが実在して、タイムマシンの製造が可能だってことは、アルテミスもアカデミーで習ったでしょ? でも実際は、質量のある物体がタイムトラベルするには、とてつもないエネルギーが必要なの。だからタイムマシンもブラックホールも利用せずに、自然現象として物体がタイムトラベルする事は、まずあり得ない思うわ」

 このアテナの考えには、アルテミスも全く異論はない。しかし、もしも……。

55BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/07(木) 11:13:34
ab.0049.Homecoming.01.09

「もしも、質量のない物、たとえば記憶や意識だけが、過去の身体にタイムトラベルするのだとしたら、どうかしら?」

「そうねぇ……、記憶や意識だけなら、質量のある物体よりは、タイムトラベルが起こりやすいかも知れないわね。それだけなら……」
アテナは、少し言葉を中断させてから、再び口を開いた。
「もしかしたら、タイムマシンじゃなくても、それに近い装置……、たとえばワープ機関や物質転送装置みたいな作用があれば、タイムトラベルが起こる可能性はあるかもしれないわね」

(ワープ機関や物質転送装置みたいな……)
アルテミスはハッと息をのんだ。
(時空砲? そうよ。私がタイムトラベルする前に戦ったレアは、時空砲を持っていたわ。あの時、時空砲の直撃は受けていないけど……、きっと時空砲がタイムトラベルの原因になったのだわ)

「ありがとう、アテナ。おかげでスッキリしたわ」
「そ……、そう? 役に立てたみたいで良かったわ」

アテナは、なぜアルテミスがタイムトラベルの話を始めたのか見当もつかなかったが、とりあえず友人の満足気な表情を見て、それで良しとした。

「それよりもアルテミス、私が開発を進めていた、ちょっとおもしろい薬の実験をするんだけど、よかったら見に来ない?」
そう言って、いたずらっぽい笑顔を浮かべた。

56BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/07(木) 11:16:10
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに

>>6-8 プロローグ

>>10-15 監獄にて

>>17-22 ロボットバトル1 アナザー

>>25-31 並行宇宙

>>33-45 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-55 帰郷1

57BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/11(月) 19:30:30
ab.0050.Yurika.001.dose.1.01

『梅本由梨香001 マゾ化薬実験1』

 ネオガイア星人のアテナは女医だった。専門は解剖学だ。

ネオガイア星の医学は地球よりも数段進んでいたので、ネオガイア星人自身の解剖学はほぼ完成の域に達していた。アテナの主な仕事は、ネオガイア星人以外の星間種族の解剖学の研究だった。これがけっこう重要な仕事で、例えば敵対関係にある星間種族の身体機能や弱点などの研究は、ネオガイア星人の宇宙戦略に欠かせなかった。

アテナには、解剖医として、もう1つ別の仕事があった。奴隷の洗脳と肉体改造である。ネオガイア星人の大半はサディストなので、この分野のニーズはかなり高かった。

58BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/11(月) 19:31:19
ab.0051.Yurika.001.dose.1.02

 ネオガイア星人のテクノロジーの1つに、X線望遠鏡というものがある。X線望遠鏡は、地球人が所有するいかなる望遠鏡よりも性能が高く、しかも遮蔽物を透視する機能も備えていた。また、名前に『X線』がついているが、鉛を含めたあらゆる金属も透視できる。

テクノロジーのもう1つに、物質転送装置というものがある。これは離れた場所に文字通り物体を転送したり、逆に離れた場所から物体を持ってくる事ができる装置だ。イメージ的には、物体をテレポートさせるような感じだ。

 地球の衛星軌道上に停泊しているネオガイア星の宇宙船にも、このX線望遠鏡と物質転送装置が装備されていて、ネオガイア星人たちはこれらの装置を使って、すでに何人もの地球人を捕獲していた。はるか上空の宇宙船から、透視機能を備えた望遠鏡で狙われて、物質転送装置で捕獲されてしまうのだから、地球人に逃れるすべはなかった。

59BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/11(月) 19:32:03
ab.0052.Yurika.001.dose.1.03

 地球人捕獲の任務に就いているのは、アリストテレスというネオガイア星人の男だった。アリストテレスは、X線望遠鏡を使って好みの地球女を物色する、という歪んだ趣味を持っていた。そして、好みの女を優先的に捕獲していた。アリストテレスの好みのタイプは、おとなしい性格の女だった。

「捕獲するなら、日本人の女がいいな。資料によると、日本の女は大和なでしこと呼ばれていて、大人しくて家庭的、料理や掃除が大好き、結婚するまで処女でいるらしい。まさに俺好みだ」

アリストテレスが何の資料を見たのかは不明だが、この誤解のせいで、捕獲される被害者には日本人が多かった。余談だが、アルテミスがもといた別の時間軸世界でも、アリストテレスは同じような誤解をしていて、育ちのよさそうな日本人の女子大生に恋をしている。

 そんなアリストテレスに、アテナから通信が入った。
「地球人を1人、捕獲してちょうだい。新薬の実験をしたいの。性別は男女どっちでもいいけど、若くて健康なのが良いわ」
「了解です」
アリストテレスはX線望遠鏡の起動スイッチを押した。

60BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/11(月) 19:32:38
ab.0053.Yurika.001.dose.1.04

 場所は変わって、ここは地球の日本の某所。ここでは、今、ゲームショーが開催されていた。広い展示会場の中には、日本をはじめ、世界各国のゲームソフトが一堂に展示され、業者やマスコミ関係者、一般客で賑わっている。

この手のイベントに花を添えるのが、イベントコンパニオンまたはキャンペーンガールと呼ばれる女性たちだ。会場内には、クライアントから配布されたユニフォームに身を包んだコンパニオンたちが、来場客たちに笑顔を振りまいている。

 梅本由梨香も、イベントコンパニオンの1人だった。年齢は23歳。イベントコンパニオンを務めるだけあって、なかなかの美人だ。配布されたユニフォームの、必要以上に丈の短いスカートからのびる脚がみずみずしい。

61BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/11(月) 19:33:11
ab.0054.Yurika.001.dose.1.05

「ユリたん」
「え? 私の事?」
由梨香が声のした方に振り向くと、40代くらいの眼鏡をした男が、スマートフォンを構えていた。この手のイベントには必ずと言っていいほど現れる、コンパニオン目当てのカメラ小僧だ。

「ユリたん、僕の事覚えてるよね?」
「え? えっと……」
「吉岡だよ。吉岡輝夫。3か月前の18日に会ったでしょ?」
「3か月前って、たしか横浜のイベント……。会ったかしら?」
「会ったよ! ユリたんを撮ってあげたでしょ?」

 吉岡は少しいらだったように声を荒げた。コンパニオンがカメラ小僧の事などいちいち覚えているはずないのだが、この男は、自分だけは例外だと思い込んでいるのだ。ストーカーになりそうな典型的なタイプだ。

「今、証拠を見せてあげるよ」
由梨香が戸惑っていると、吉岡は不満げに独り言をこぼしながら、スマホをいじり始めた。スマホに保存してある大量の女子小中学生の盗撮画像や、コンパニオンの画像の中から、由梨香の写真を探しているのだ。

「あった。ほら見て」
そう言って吉岡が顔をあげると、由梨香の姿は跡形もなく消えていた。

62BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/11(月) 19:35:20
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに

>>6-8 プロローグ

>>10-15 監獄にて

>>17-22 ロボットバトル1 アナザー

>>25-31 並行宇宙

>>33-45 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-55 帰郷1

>>57-62 梅本由梨香001 マゾ化薬実験1

63BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/20(水) 07:49:29
ab.0055.Yurika.002.dose.2.01

『梅本由梨香002 マゾ化薬実験2』

 由梨香は見たことのない部屋に実体化した。
(ここはどこ? さっきまでゲームの展示会場で、キモイ男に話しかけられて……)

不安げに室内をキョロキョロ見回した。そして自分以外に、室内に白人の女が2人いる事に気づいた。他には、SF映画に登場するロボットのような物が数体いる。

(もしかして倒れたのかしら。最近、ダイエットしすぎて貧血気味だし)
2人の白人女とロボットを交互に見つめた。
(綺麗な人だわ。どこかのゲームメーカーのコンパニオンね。ロボットみたいなのは、ゲームメーカーのオブジェなんだわ)

「あ、あの……、ここはどこですか? 日本語は分かりますか?」
由梨香は恐る恐る尋ねた。英語は苦手だった。数学や理科なども苦手だが……。

 2人の美女は、互いに顔を見合わせてクスクスと笑った。そして、年上らしき方が、
「ここはネオガイア星人の宇宙船の中。オマエは、物質転送装置でここに連れてこられたのよ」
と、日本語で答えた。

ネオガイア星人の女医アテナだ。もう1人はアテナの助手ビーナスだ。ちなみにネオガイア製の翻訳機で、日本語を含めた地球人の全ての言語を自在に使う事ができる。

64BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/20(水) 07:50:16
ab.0056.Yurika.002.dose.2.02

 由梨香は、ネオガイア星人、宇宙船、物質転送装置といった回答に実感がわかず、呆然としている。

「フフフ。下等生物の地球人には、説明しても無駄ね。この地球人を押さえて。ついでに服を脱がせて」

アテナが命じると、由梨香がゲームメーカーのオブジェだと思っていたアンドロイドが、由梨香の腕をつかんだ。

「な、何!? 嫌! やめて!」
由梨香は必死に抵抗するが、マシンのパワーに生身の人間が抗えるはずはない。イベントコンパニオンのユニフォームが、紙切れのように破られてしまった。

「随分と貧相な身体ですね」
「仕方ないわ。これがアリストテレスの好みなのよ」
アテナとビーナスは、全裸の由梨香を見下ろしながら、嘲笑を浮かべた。しかし由梨香には、恐怖と混乱で一杯で、怒りや屈辱を感じる余裕などなかった。

65BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/20(水) 07:50:56
ab.0057.Yurika.002.dose.2.03

 アテナが注射器を取り出した。それを見た由梨香が、悲鳴をあげた。注射器は色々な事を想像させるので、銃や刃物とは異質の恐怖を感じさせる。

「これはマゾ化薬よ。これを注射されると、どんな人間もマゾになるのよ」

「マ……ゾ……? 嫌です。そんな注射しないで!」
由梨香の脳裏に、変質者に誘拐された女が媚薬を注射され色情狂になる――という、よくあるポルノ作品が浮かんだ。

「泣き叫んでも無駄よ。アンドロイド、その実験体の腕を……、そうねぇ、腕じゃつまらないわね。両脚を広げて」

アンドロイドが由梨香の両脚を広げた。大きく開いた股間には、陰毛は生えていなかった。正確には、イベントコンパニオンという仕事上ハイレグの衣類を着る機会もあるので、陰毛は剃っているのだ。

「フフフ。せっかくだから、クリトリスに注射してあげるわ」
「クリ……、クリトリス!? い、いやあああああああああ!」
アテナの恐ろしい言葉を聞いて、由梨香が悲鳴をあげながら身をよじった。

66BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/20(水) 07:51:56
ab.0058.Yurika.002.dose.2.04

「うるさい!」
アテナが由梨香の頬を、拳で殴った。
「あ……ぁ……」
平手で叩かれた経験すらない由梨香は、痛みよりも、拳で殴られた事が信じられず、呆然とアテナを見上げた。

「フフフ。そうやってじっとしていればいいのよ。このマゾ化薬を投与されたら、どんなひどい目に遭っても快感を得る事ができるようになるのよ? そんな素敵な身体になれたら、きっとオマエも私に感謝するわ」
そう言って、アテナは、由梨香の陰唇を指で割り開いた。

「小さいクリトリスね。これじゃあ注射できないじゃない。もっと膨らませなさい」
アテナが、由梨香のオマンコを手で乱暴にこすった。

「ヒィィィ、い、いや……やめてぇ!」
しばらくすると、グジュグジュと音がし始め、米粒ほどしかなかったクリトリスがグリーンピースくらいに膨らみ始めた。

「あら、クリトリスが大きくなってきたわよ? こんな状況で感じてるの? マゾ化薬を投与しなくても、オマエはマゾなのかしら?」
アテナが嘲笑する。

由梨香にレズやマゾの嗜好はないし、感じてなどいない。しかし、身体の生理的反応は別だ。ゲイの嗜好のない男でも、男にペニスを弄られると勃起してしまう事があるのと同じだ。もちろん女医のアテナはそれを知っていて、わざと由梨香を侮辱しているのだ。

67BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/20(水) 07:52:55
ab.0059.Yurika.002.dose.2.05

「さぁ、そろそろいいわね。女のオマエに説明するまでもないけど、クリトリスは女体の急所よ。ここに針を刺される苦痛は想像を絶するから、覚悟しておいた方が良いわよ」
アテナがクスクスと笑った。

 由梨香は、なんとかして両脚を閉じようとしたが、アンドロイドに拘束されていて、ビクともしない。アテナの持つ注射器を見つめる両目は、恐怖と絶望を湛えている。

 アテナが、由梨香のクリトリスに注射針を当てた。
「本当は全く痛みのないネオガイア製の注射器があるんだけど、地球の原始的な注射器を使ってあげるわ」
欲情したサディストの声で囁きかけると、生贄の表情を観察しながら、わざとゆっくりと針を刺していった。

今まで恋人の愛撫しか受けた事のない敏感な肉芽に、金属の鋭い針が侵入していく。

「ぎゃあああああああああ!」
悲鳴が室内の空気をビリビリと振動させた。おそらく由梨香は、生まれてから今までで、これほど絶叫した事はないだろう。

哀れなイベントコンパニオンは、両手足をアンドロイドに拘束されて、惨たらしい暴力にさらされる女の急所を庇う事すらできないでいた。両脚を必死に閉じようとするが、マシンのパワーの前に、生身の女は無力だった。見ると、太股がブルブルと震え、血管が浮き上がっている。

ビーナスが、由梨香の苦悶の表情を見ながら、唇を舌で舐めた。アテナと同じくビーナスもサディストで、他人の苦しむ姿に欲情するのだ。

68BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/20(水) 07:53:51
ab.0060.Yurika.002.dose.2.06

 アテナは、注射針をクリトリスに刺すと、注射器の内筒をゆっくりと指で押し始めた。人間をマゾに変えてしまう悪魔の薬が、何の罪もない23歳の女の体内に侵入していく。

「ひぃ!? あひぃぃぃ……」
敏感な部分に液体が侵入してくる異様な感覚に、由梨香の神経が悲鳴をあげた。見ると、口からヨダレが垂れている。

 注射が終わると、由梨香はアンドロイドの拘束から解放された。しかし、恐ろしい苦痛のせいで軽いショック症状を起こしたのか、床の上にうずくまったまま動かない。

 そのまま失神してしまったかに見えた――が、突然立ち上がると、
「誰か、誰か助けてぇ!」
と叫びながら、まるで出口を探すネズミのように、部屋の中を無茶苦茶に走り始めた。

「フフフ。状況が分かっていないのね。ここは宇宙船の中だって、さっき話したでしょ? 外は宇宙なのよ。オマエに逃げ場はないわ」
アテナとビーナスが、楽しそうにそれを見物している。

 由梨香が急に立ち止まった。そして、その場にへたりこんだ。
「あ、え? ハァ、ハァ、ハァ……」
息があらい。

「マゾ化薬が効いてきたみたいね」
アテナが、文字通り実験動物を観察するかのような冷酷な目で、由梨香を見ている。

69BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/20(水) 07:54:31
ab.0061.Yurika.002.dose.2.07

「あ、あぁ……、何これ? クリトリスがジンジンして気持ちいい。それに、なんか嬉しい……」

マゾ化薬が、由梨香の脳と精神を侵し始めた。クリトリスの注射針で刺された傷が、気持ちよくなってきたのだ。そればかりか、誘拐され知らない場所に監禁されている――という、普通ならば恐怖でおかしくなってしまいそうな今の状況が、嬉しいのだ。

今まで感じた事のない被虐の悦びにうっとりとしている由梨香を、アテナとビーナスは嘲りの目で見下ろした。

「フフフ。オマエのように捕獲された奴隷を除けば、この宇宙船に乗っているのは、全員がネオガイア星人よ。ネオガイア星人は、大半がサディストなのよ。この意味、分かる?」

由梨香が、焦点の定まらない目で、アテナを見上げた。

「きっと皆、よってたかってオマエを拷問してくれるわ。これからの毎日は、オマエにとっては天国のような日々になるでしょうね。どう、嬉しい?」

クスクスとおかしそうに笑う2人の女医に、由梨香はひれ伏した。そして、マゾ化薬の影響で精神が退行したのか、やや舌足らずな口調で、
「は、はい。由梨香すごく嬉しいですぅ。ありがとうございますぅ」
と、何度も何度も感謝の言葉をくり返した。

70BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/20(水) 07:56:19
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-8 プロローグ

>>10-15 監獄にて

>>17-22 ロボットバトル1 アナザー

>>25-31 並行宇宙

>>33-45 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-55 帰郷1

>>57-62 梅本由梨香001 マゾ化薬実験1

>>63-70 梅本由梨香002 マゾ化薬実験2

71BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/26(火) 12:51:25
ab.0062.Yurika.003.dose.3.01

『梅本由梨香003 マゾ化薬実験3』

 アルテミスは自室で、荷物の整理をしていた。正確には、自室にある私物を整理する事で、記憶の整理をしていた。

というのも、今のアルテミスの記憶は、この世界よりも数年後の未来からタイムトラベルしたものだった。

この世界で1日前の出来事は、アルテミスにとっては数年前の体験だから、記憶が曖昧なのだ。昨日の夕食のメニューは覚えていても、数年前のメニューは覚えていない――ようなものだ。

ただでさえ2つの時間軸の間で歴史に食い違いが起きているのに、それに加えて記憶まで曖昧では、色々と支障が生じるというものだ。

だから自室にある所持品を整理する事で、この時間軸、つまり数年前の記憶を再確認しようというのだ。

72BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/26(火) 12:52:16
ab.0063.Yurika.003.dose.3.02

(こんな事なら、日記でもつけておけば良かったわ)

軽く溜息をこぼして、クローゼットの中の整理を始めた。
(あ、これは……)
クローゼットの奥に、見覚えのある紫色のケースを見つけた。

取り出して、ふたを開けた。中には、女性ものの衣類が何枚も収まっている。アダルトグッズ専門の通販で購入した、卑猥なデザインのドレスや下着だった。

 その中から、パンティーを1枚手に取り、広げてみた。シルクのように滑らかな手触りの白い生地だが、クロッチ――股間に当たる部分――だけがボロボロで、茶色いシミが付いている。

(そういえば、このパンティをはいたまま、オマンコを鞭で叩く自虐オナニーをしたんだったわ)

クロッチの部分がボロボロなのは、あまりも激しく叩きすぎたせいだ。シミは、その時に流れ出た血と淫液の跡だ。

 当時を思い出しながら感慨に耽っていると、部屋に備え付けの通信機が呼び出し音を鳴らした。回線を開くと、相手は友人のアテナだった。

『以前アルテミスに話した、新薬の実験なんだけど。良かったら、今から私の実験室に見に来ない?』

耳をすますと、アテナの声に混じって、女の喘ぎ声が聞こえた。

73BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/26(火) 12:53:07

ab.0064.Yurika.003.dose.3.03

 アルテミスが実験室につくと、アテナが笑顔で迎えた。一緒にいるのは、アテナの助手のビーナスだ。アルテミスは、何度か会った事がある。

アルテミスはビーナスの会釈に笑顔で応えてから、室内に入り、ハッと息をのんだ。アテナの足元に、全裸の女が1人跪いているのだ。

「うふふふ。驚いた? これは地球人の女、Yurikaよ。オリンポスが到着する前から、何人もの地球人を実験体として捕獲しているの。Yurikaも、その1人よ」

アテナがクスクス笑いながら、由梨香の頭を踏みつけた。Yurikaと呼ばれた女が、嬉しそうに喘いだ。通信機から聞こえた、例の喘ぎ声だ。

「この女は、私が開発したマゾ化薬の実験体よ」

「マゾ化薬……」
アルテミスは、その薬の事を、未来の記憶で知っていた。そして、その開発の結末も……。

マゾ化薬は、地球人をマゾに変えて支配する目的で開発された薬品だった。たしかに効力は申し分なかった。しかし製造コストがかかりすぎるため、本来の目的に実用化される事はなく、ネオガイア星人の奴隷調教用に使われる事になった。マゾ化薬の開発は失敗に終わったのだ。

しかしアルテミスは、マゾ化薬開発の結末をアテナに話すのはやめた。この世界の出来事は、すでアルテミスの知る未来と微妙に違っている。それならば、この世界ではマゾ化薬が本来の目的に実用化されるかも知れない――、そう考えたからだ。

74BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/26(火) 12:53:58
ab.0065.Yurika.003.dose.3.04

 Yurikaと呼ばれるその地球人は、一心不乱にアテナのブーツの爪先を舐めていた。どれくらいの時間そうしていたのだろうか……。見ると、床の上にヨダレが水たまりを作っている。

 アテナの話によると、梅本由梨香は現在、オリンポス内に作られた奴隷収容所に監禁され、ネオガイア星人たちの慰み者となっているらしい。ただし監禁といっても、真性マゾとなった由梨香が逃亡する可能性はないので、部屋に施錠はされていない。

ネオガイア星人による拷問は激しかったが、由梨香はどんな拷問も嬉々として受け入れているという。

 待遇は、実験体として捕獲された他の地球人たちに比べると、それほど悪くはない。衣類の着用は許されなかったが、必要最小限の食事は与えられ、シャワーを浴びる事も許されていた。もちろんそれは、由梨香のためではない。栄養失調だと拷問に耐えられないし、不潔な身体では犯す気になれないからだ。

全身には拷問の傷が絶えなかったが、それらの傷も定期的に治療された。これも由梨香のためではない。あまりにも傷だらけの身体では、ネオガイア星人が拷問を楽しめないからだ。

ネオガイア星の医療技術は地球よりも遥かに進んでいるので、ひどい傷も治す事ができた。皮肉にも、拷問用の奴隷になった由梨香が、ネオガイア星の医療技術の恩恵を受けた、最初の地球人となったのだ。

75BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/26(火) 12:54:39
ab.0066.Yurika.003.dose.3.05

「美人ね」
アルテミスが、由梨香の横顔を見て呟いた。
「フフフ。アルテミスが言ったら、イヤミにしか聞こえないわよ?」
そう言って、アテナはアルテミスの完璧な美貌を見つめた。

アルテミスの言う通り、由梨香はイベントコンパニオンを務めるだけあって、十分に美人の範囲に入っていた。しかし、所詮はイベントコンパニオンやグラビアモデル、日本国内でしか通用しない女優やタレント、それとミス〇〇大レベルの『一般的な美人』だ。アルテミスには遠く及ばない。

 アテナがアルテミスに挨拶をするように命令すると、Yurikaはアルテミスに向き直って正座をした。
「マジョ奴隷のゆいかですぅ。どんなごめいえいにも、じぇったい服従しますぅ」
どれくらいの時間、アテナのブーツを舐めていたのだろう。顎に力が入らないのか、呂律が回っていない。見ると、顔の下半分がヨダレでベトベトになっている。

「転送装置で捕まったのね。ここでの生活はどう?」
「ふぁい。毎日ネオガイアしぇい人の皆様にいじめてもらえて、由梨香しゅごく幸せですぅ」
由梨香は至福の表情で答えた。

「地球に帰りたい? 家族や友人に会いたくないの?」
「ここにずっといたいですぅ。家族なんかどうでもいいんですぅ」

「そう……」
アルテミスの顔に一瞬悲しそうな表情が浮かんだのを、アテナもビーナスも気付かなかった。

76BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/26(火) 12:55:23
ab.0067.Yurika.003.dose.3.06

「フフフ。もうすぐ私たちネオガイア星人の、地球奪還作戦が始まるの。もしも戦争になれば、地球人がいっぱい死ぬわ? オマエの家族や友人も死ぬかもね。どう、悲しい?」

ビーナスがクスクス笑いながら、由梨香に残酷な現実を告げた。

「あ、あぁ……、も、もっと由梨香の髪を引っぱって下さいぃ」

しかし由梨香は、残酷な話を聞かされたにもかかわらず、うっとりとした目でアテナを見上げた。

「フフフ。家族や友人の身よりも、虐められる方が大事なの? このマゾ女!」

アテナが由梨香の顔に唾を吐きかけた。由梨香は、顔についたそれを舌で舐め取ると、美味しそうに飲みこんだ。

77BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/26(火) 12:55:56
ab.0068.Yurika.003.dose.3.08

「仰向けになりなさい!」
アテナが命じると、由梨香はその場に仰向けになった。そして命じられる事なく、両脚を大きく開いてオマンコをさらけ出す。

「あぁ、由梨香のオマンコに罰を与……フギャ……」

由梨香が話し終えるのを待たず、アテナがその顔をブーツで踏みつけた。

「フフフ、ダメよ。オマエには罰にならないもの」
アテナは由梨香の顔を踏みにじりながら、冷酷そうな笑みを浮かべた。

「そうねぇ、その代わり、オマエの口を便器代わりに使ってあげるわ。オシッコはたまってないから、ウンチを食べさせてあげる。どう、嬉しい?」

「うえいいえふぅ」
由梨香が顔を踏まれたまま、腰を上下にグラインドさせた。床に淫液がポタポタと零れ落ちる。

78BiBi ◆8cBPUextJk:2018/06/26(火) 12:58:26
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-8 プロローグ

>>10-15 監獄にて

>>17-22 ロボットバトル1 アナザー

>>25-31 並行宇宙

>>33-45 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-55 帰郷1

>>57-62 梅本由梨香001 マゾ化薬実験1

>>63-70 梅本由梨香002 マゾ化薬実験2

>>71-78 梅本由梨香003 マゾ化薬実験3

79BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/04(水) 03:12:15
ab.0069.Yurika.004.dose.4.01

『梅本由梨香004 マゾ化薬実験4』

 アテナは自分でパンツをずり下ろすと、由梨香の顔の上に跨った。由梨香がアテナの肛門を見つめながら、まるで親鳥に餌をせがむヒナのように口を大きく開いて、舌をのばした。

アテナが腹筋に力をこめた。プスプスと小さな音がして、細めの大便が姿を現した。近くにアルテミスやビーナスがいる事を、気にしている様子はない。ネオガイア星人は性にかなり開放的で、このあたりの感覚は地球人と違うのだ。

 由梨香が、運動会のパン食い競争みたいに、大きく開いた口でアテナの大便を追いかけた。大便を口で受け止めると、ゆっくり味わうようにモグモグと咀嚼(そしゃく)した。そして、アテナの肛門から新しい大便が顔を覗かせると、頬張っていた大便を急いで飲み込み、また口を大きく開いた。

そんな由梨香を、アルテミスは羨ましそうに見つめていた。なかば無意識のうちに、由梨香が咀嚼する動きに合わせて、顎を動かしている。

 やがて、アテナが排泄を終えて、由梨香の顔の上から腰を上げた。豊かさと張りを兼ね備えた尻には、排泄物は全く付着していない。全て由梨香が舐め取ったのだ。

 室内に、大便のニオイは全く漂っていない。空調装置のセンサーが大便のニオイを感知し、あっという間に消臭したのだ。ネオガイア製の空調装置は、地球製のものよりもずっと高性能なのだ。

80BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/04(水) 03:13:11
ab.0070.Yurika.004.dose.4.02

 アテナがすっきりした顔で、アルテミスに振り返った。

「ねぇ、アルテミスも、このマゾ女の口に排泄してみない? Yurikaもアルテミスのウンチを食べたそうにしているわよ?」

アテナの言葉通り、由梨香が、物欲しそうな顔でアルテミスを見つめている。

「私が……?」
アルテミスは戸惑った。

アルテミスのオマンコには、先日の自虐オナニーの際に装着したピアスが今も付いたままだ。ここで由梨香の口に排泄したら、ピアスまみれのオマンコを友人のアテナに見られるかも知れない。

ネオガイア星人はSEXに関して開放的なので、性器にピアスが付いている事を秘密にする必要など全くないのだが……、アルテミスは、少し考えて、
「いいえ、私は遠慮しておくわ」
と答えた。それを聞いて、由梨香が残念そうな嗚咽をもらした。

(残念そうね。でもいいじゃない。だってアテナのウンチを食べられたのよ。私だって食べたいわ)
アルテミスは、由梨香の口の周りにこびりついている大便のカスを見て、コクリと唾を飲み込んだ。そして……。

「ふふふ、ウンチの代わりにいい物をあげるわ。こっちに来て」
由梨香を呼んだ。由梨香は期待に目を輝かせながら、近づいてきた。そしてアルテミスの前に跪いた。

81BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/04(水) 03:13:43
ab.0071.Yurika.004.dose.4.03

「私の唾を飲ませてあげるわ」
アルテミスが、由梨香の顔を自分の方へ引き寄せると、その口に唇を重ねた。

「ちょっと、アルテミス!? 顔か床に唾を吐けば、飲ませる事ができるわよ? その地球人の口は私の大……べ……」
アテナは慌てたが、アルテミスと由梨香の口の間からジュルジュルという音がするのを聞いて、それ以上何も言えなくなった。

 アルテミスは、由梨香に唾を口移しで飲ませるフリをしながら、本当はその口の周囲に付着しているアテナの大便を舐め取っていた。苦味とも渋味とも区別のつかない味が、口腔内に広がる。

綺麗に舐め取ると、今度は由梨香の唇の間に舌をねじ込んで、歯の前面に付着した大便をベロベロと舐めまわした。

 横目でアテナを見ると、戸惑ったようにこちらを見ている。ビーナスも驚いたような表情を浮かべている。
(あぁ、今、アテナのウンチを食べているのね)
友人の排泄物を、下等な地球人から口移しで食べる――その異常な行為に、マゾの脳が蕩けていく。

歯に付着した大便を全て舐め取ると、舌先で、由梨香の閉じた歯をつついた。すぐに由梨香はその意味を理解して、上下の歯を開けた。すかさず歯の間に舌をねじ込んで、口腔内に残ったアテナの大便を舐め取った。

82BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/04(水) 03:14:17

ab.0072.Yurika.004.dose.4.04

 舌同士が絡み合い、唾液と大便を混ぜ合わせた。苦味のある生暖かい粘液が、2人のマゾ女の口の間を往復する。

 その粘液を由梨香が飲もうとした。すかさずアルテミスの指が、由梨香の喉に食い込む。
(ダメよ。これは私の物よ)
アルテミスの殺気にも似た眼光が、由梨香を硬直させた。
(フフフ、いい子ね)
アルテミスの舌が、由梨香の口腔内にたまった粘液を掬い取る。細い喉がゴクリゴクリと上下した。

(アテナのウンチをくれたお礼に、こうしてあげるわ)
アルテミスは指先で、由梨香の乳首をつまんだ。由梨香が少し残念そうに喘いだ。

(あら、マゾのくせに贅沢ね)
乳首をつまむ指先から爪先に変えると、由梨香の瞳が嬉しそうに輝いた。

そのまま指に力を込める。
「ングゥゥゥ……」
さらに爪を食い込ませたまま、ギリギリとねじった。
「ふぎぃぃぃ……」
由梨香が涙をためた瞳で、すがるように、アルテミスの目を見つめた。
「もっとしてほしい?」
アルテミスが目で問うと、由梨香がコクコクと頷いた。

 アルテミスは、由梨香の口腔内を、大便の味がしなくなるまで舐め続けた。その間、由梨香の乳首をねじり続けた。

83BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/04(水) 03:14:51
ab.0073.Yurika.004.dose.4.05

 アテナとビーナスは、アルテミスの予想外の行動にしばらく唖然としていたが、アルテミスがマゾだとは気づく事はなかった。そもそもネオガイア星人の中でマゾの占める割合は極めて低く、よもや自分の身近にマゾがいるなどとは考えもしない。

「ま、とりあえず……」
アテナが軽く咳払いをして、
「マゾ化薬の効果は実証されたわ。次は、効果の強さを数値で計測できればいいんだけど……」
独り言を呟いた。

それを聞いたビーナスが、
「それについては、私に当てがあります」
と答えた。

84BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/04(水) 03:17:19
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-8 プロローグ

>>10-15 監獄にて

>>17-22 ロボットバトル1 アナザー

>>25-31 並行宇宙

>>33-45 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-55 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

85BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/09(月) 20:09:22
ab.0074.Cyclops-P.01.01

『キュクロプスP 01』

 宇宙船オリンポスは、先遣隊の調査宇宙船と拷問研究所の宇宙船をその巨大な船体に接合させたまま、地球の衛星軌道上に停泊していた。船体はステルス化されて、地球人に発見される事はない。

全長1キロメートルの船体は、それ自体が1つの都市といっても過言ではなかった。実際、船内には都市の機能が全てそろっていた。

オリンポスの一画に、ロボット研究所があった。そこの所長メビウス博士は、ネオガイア星のロボット工学の権威で、ネオガイア宇宙軍の兵器開発にも携わっている。

ある日、メビウス博士は、ネオガイア宇宙軍に、一番優秀なパイロットを派遣するように要請を出した。

86BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/09(月) 20:10:01
ab.0075.Cyclops-P.01.02

 30分ほどしてやって来た宇宙軍兵士を見て、博士は目を丸く見開いた。そして宇宙軍に通信回線を開いた。
「これはどういう事だ? 私は、一番の美女ではなく、一番のパイロットを要請したんだぞ?」

メビウス博士のクレームに対する宇宙軍からの返答は、
「はい。ですから、彼女が一番優秀なパイロットなのです」
だった。メビウス博士は、なかば信じられないといった表情で、ドアの前に立つ美女を見つめた。

「白兵戦コマンドからまいりましたアルテミスです」
意志の強さと艶めかしさを兼ね備えた少しハスキーな声に、メビウス博士はおもわず口元を緩めた。

 2人が会うのは、この時間軸世界では、これが初めてだった。
(メビウス博士、少し若いわね)
アルテミスはメビウス博士を見て、ふと思った。この世界はアルテミスがいた世界よりも数年過去のものなので、2人とも若いのだ。

87BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/09(月) 20:10:42
ab.0076.Cyclops-P.01.03

 メビウス博士はしばらくアルテミスの美貌に見とれていたが、やがて我に返ると、壁に取り付けられたコントローラーに手を触れた。反対側の壁がシャッターのように上にスライドした。その奥には、格納庫が広がっている。

「友人のピタゴラス博士から開発を依頼されていた、新兵器が完成してね。そのテストパイロットを、キミにやってもらいたいのだ」 

 メビウス博士が格納庫の中に入り、アルテミスがそれに続いた。アルテミスは、前の世界ではロボット研究所を訪れた事はあるが、この世界で宇宙船オリンポス内のロボット研究所に足を踏み入れるのはこれが初めてだ。

野球場がすっぽり収まりそうな広い格納庫内には、様々な形状のロボットが並んでいる。中には、アルテミスが初めて目にするロボットもあった。

88BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/09(月) 20:11:12
ab.0077.Cyclops-P.01.04

 メビウス博士が、1機のロボットの前で歩を止め、アルテミスに振り返った。アルテミスは、そのロボットの形を見て、
「え? これって……」
と、小さく呟いた。

それは、ヒトのペニスにそっくりだった。勃起状態ではなく萎びた、そして仮性包茎のペニスだ。ただしサイズは、ペニスよりもはるかに巨大だ。

円筒状の本体部分、ペニスにたとえるなら陰茎にあたる部分は、全長が約6メートル、直径が約2メートルある。そして後尾には、直径2メートルほどの球体が2つ付いていて、まさに睾丸のようだ。さらにこの球体の周囲には、何本もの触手が生えていて、それはまるで陰毛のように見える。

「地球奪還のために開発した新兵器、ペニス型巨大ロボット兵器キュクロプスPだ」
メビウス博士が、得意げに新兵器を紹介する。

「キュク……」
アルテミスは、瞳を大きく見開いた。
(ヒト型じゃなくて、ペニス型? どういう事なの? そもそもキュクロプスが製造されるのは、オリンポスが地球に到着した後のはず)
アルテミスは訝しげな表情を浮かべながら、眼前のペニスそっくりなロボットを見つめた。

89BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/09(月) 20:11:52
ab.0078.Cyclops-P.01.05

 そんなアルテミスの疑問などつゆほども知らないメビウス博士は、得意げにキュクロプスPの紹介を続けた。

それによると、キュクロプスPは1人乗りの戦闘ロボットで、宇宙空間の飛行も可能らしい。短距離のワープ機能も備えている。陰毛のような触手を使って、地上や水中の移動も可能だ。ちなみに、この触手はマジックハンドのような機能も備えている。

武装は、先端部分、ペニスにたとえるなら亀頭にあたる部分に、レーザー砲を装備している。さらに後部の2つの球体、睾丸にあたる部分は100メガトン級の核爆弾になっている。

 アルテミスは興味津々といった様子で、このペニスそっくりな機体を観察した。そして、コクピットらしきものが見当たらない事に気づいた。

「博士、キュクロプスPのコクピットはどこですか?」
「本体を覆っている外殻は、伸縮可能な特殊強化ゴムでできている。それを剥けば、コクピットがある」

アルテミスはキュクロプスPに触れてみた。たしかにメビウス博士の言う通り、キュクロプスPの本体部分は、ゴムのような外殻で包まれている。

(この外殻、仮性包茎のペニスの包皮みたいだわ)
少しドキドキしながら、亀頭そっくりの先端部分まで包む外殻に両手をかけた。そして、文字通りペニスの包皮を剥くように、外殻をめくった。

90BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/09(月) 20:14:27
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-8 プロローグ

>>10-15 監獄にて

>>17-22 ロボットバトル1 アナザー

>>25-31 並行宇宙

>>33-45 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-55 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-89 キュクロプスP01

91BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/13(金) 17:12:24
ab.0079.Cyclops-P.02.01

『キュクロプスP 02』

 外殻を剥くと、その下にコクピットが現れた。狭いが、ヒトが1人入るくらいのスペースは十分にある。真ん中にパイロット用のシートがあり、それを複数のモニターが囲んでいる。シート正面にあるモニターは、機体の前方を映すメインモニターだ。

 アルテミスがキュクロプスPのシートを見て、訝しげに眉を寄せた。ヒト型ロボット兵器キュクロプスのような三角木馬タイプではなく、通常のシートなのだ。操縦桿も、シートの股間部分ではなく、左右のひじ掛けに取り付けられている。

「メビウス博士。シートの左右に操縦桿があっては、挿入できないのでは?」
「挿入? 何を言っているんだ?」
「え? あの……、操縦桿は、どうやって動かすのですか?」
「手で握って、だが?」

前にいた時間軸では、キュクロプスの操縦桿は腟と肛門に挿入したのだ。操縦桿で敏感な穴を抉られるたびに、アルテミスは快感に身体を震わせたものだ。それなのに、この世界のキュクロプスは……。

92BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/13(金) 17:13:06
ab.0080.Cyclops-P.02.02

(オマンコとアナルに挿入できないの? そんなの……あんまりだわ)
アルテミスは、メビウス博士に気づかれないように小さく溜息をこぼした。

「大丈夫かね?」
「あ、は……はい」
「それならいいが……」
「あの、博士。私は何をすれば?」

「うむ。キミには、キュクロプスPのテスト飛行をやってもらいたい。機動性や加速力などのデータをとりたい」
「はい」
「そして操縦に慣れたら、模擬戦闘もしてほしい」
「操縦に慣れたら……、ですか?」

アルテミスは、キュクロプスPのコクピットの内部をざっと見回した。そして、
「コクピットの構造は、宇宙戦闘機とほぼ同じですね。これなら、すぐにでも模擬戦闘が可能です」
と言って、メビウス博士を驚嘆させた。

93BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/13(金) 17:13:54
ab.0081.Cyclops-P.02.03

 アルテミスは宇宙戦闘機のA級ライセンスを持っている。たしかにキュクロプスPの操縦経験は全くないが、操縦システムが戦闘機とほぼ同じなら、問題なく操縦できるのだ。

「そうか。じゃあ早速、模擬戦闘を行ってもらおう。相手はアレだ」
アルテミスは、メビウス博士が指さした先を見て、息をのんだ。

「戦闘サイボーグ、コードネームASUKAだ」
「戦闘サイボーグ……ですか?」

「うむ。もとは地球人のスチュワーデスだったらしいが、それを捕獲し、サイボーグに改造したのだ。右腕にレーザーサーベル、左腕にレーザー銃を装着している。さらに反重力エンジンで、飛行も可能だ」
「美人ですね」

94BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/13(金) 17:14:31
ab.0082.Cyclops-P.02.04

 ASUKAと呼ばれるそのサイボーグは、アルテミスの美貌には及ばないが、それでも十分に美しいといえた。それだけに、レーザーサーベルとレーザー銃に改造された腕が痛々しい。

アルテミスは、ASUKAが何かブツブツと呟いているのに気づいた。
「博士。ASUKAの様子が変ですが、どうしたのでしょうか?」
「ん? 脳に移植された、戦闘ロボット用の小型端末の影響だろう」

「端末ですか?」
「そうだ。そして、その戦闘用脳内端末の働きによって、ASUKAは熟練パイロットや兵士と同じ動きができるのだ」

 キュクロプスPと戦闘サイボーグASUKAの模擬戦闘が始まる。場所は宇宙空間。使用する兵器は、キュクロプスPは先端部分に装備されたレーザー砲、ASUKAはレーザー銃だ。念のため、機体に大きな損傷を与えないように、出力は抑えられている。

95BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/13(金) 17:15:04
ab.0083.Cyclops-P.02.05

アルテミスはキュクロプスPのコクピットに乗り込んだ。シートに腰を下ろして、左右の操縦桿を握った。
(本当なら、この2本は私のオマンコとアナルに挿っているのね……)
おもわず溜息が出た。

操縦桿は、右が機体の動きを制御するレバーで、左がレーザー砲のコントローラーだ。操縦桿には脳波を捉えるセンサーが内蔵されていて、操縦桿と連動して機体を制御する。

 ネオガイア星の慣例で、宇宙船のメインコンピューターには、その宇宙船と同じ名前を付ける。したがってロボット兵器キュクロプスPのメインコンピューターのコードネームは【Cyclops】となる。この【Cyclops】は非常に優秀で、自動操縦、生命維持、索敵などをやってくれる。

 アルテミスは、モニターの1つに映っているASUKAを、冷ややかな目で見た。
「操縦桿をオマンコとアナルに挿れられない模擬戦闘なんてつまらないわ。悪いけど、すぐに終わらせてもらうわね」
操縦桿を握る指に力を込める。

96BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/13(金) 17:17:01
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-8 プロローグ

>>10-15 監獄にて

>>17-22 ロボットバトル1 アナザー

>>25-31 並行宇宙

>>33-45 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-55 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-96 キュクロプスP01〜02

97BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/18(水) 20:06:36
ab.0084.Cyclops-P.03.01

『キュクロプスP 03』

「では、模擬戦闘を始める。コンピューター、格納庫の外殻ハッチを開け」
メビウス博士が命じると、格納庫のハッチが開いた。それと同時に、キュクロプスPとASUKAが宇宙空間に飛び出した。

キュクロプスPの加速力は、その外見に似合わず、平均的な宇宙戦闘機を上回る。それに加えて、操縦桿を握っているのはアルテミスだ。あっという間に、キュクロプスPはASUKAの背後を取った。
 
 ASUKAがギョッとした顔で、背後から迫るキュクロプスPを振り返った。ペニスの亀頭そっくりなレーザー砲が狙っている。

ASUKAはジグザクに方向を変え、なんとかキュクロプスPの追撃をかわそうとした。しかしキュクロプスPは、まるで見えない紐か何かで繋がっているかのように、ASUKAの後ろを離れない。

98BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/18(水) 20:07:17
ab.0085.Cyclops-P.03.02

 アルテミスはレーザー砲の発射トリガーに指をかけた。キュクロプスPの亀頭そっくりな先端部分からレーザーが発射され、前方のASUKAに命中した。
「きゃああああああ!」
ASUKAが悲鳴をあげた。

(あの戦闘サイボーグ、苦痛を感じるの?)
アルテミスは、モニターに映るASUKAの苦悶の表情を見て、訝しげな表情を浮かべた。

苦痛は戦意を喪失させる原因になるので、通常は戦闘サイボーグの痛覚は取り除くか最小限に抑えられるのだが、ASUKAにはその処置がされていないのだ。

「残念だわ。アナタが私のようなマゾだったら良かったのに……。気の毒だけど、情けをかけるわけにはいかないの」
アルテミスは、レーザー砲を連射した。

「きゃあああ! やめて! もう許してぇ!」
ASUKAは悲鳴をあげながら必死に逃げ回ったが、キュクロプスPが発射したレーザーは狙いを外さない。もはやASUKAには、腕に取り付けられたレーザー銃で反撃する余裕すらなかった。

99BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/18(水) 20:07:52
ab.0086.Cyclops-P.03.03

 レーザーがASUKAの股間を直撃した。
「うぎゃあああああああああ!」
迸った悲鳴は、今までで一番大きい。見ると、股間からポツポツと氷の粒がこぼれている。苦痛のあまり漏らしてしまったオシッコが、真空の宇宙空間で、一瞬で凍ったのだ。

(あのアルテミスという兵士。キュクロプスPの操縦システムが宇宙戦闘機に似ているとはいえ、初めて乗る機体をここまで巧みに操縦できるとは……)
メビウス博士は、ロボット研究所のモニターでこの様子を見ながら、言葉を失っていた。
『はい。ですから、彼女が一番優秀なパイロットなのです』
先ほどの、ネオガイア宇宙軍の言葉を思い出した。

「おい、コンピューター。キュクロプスPのレーザー砲の命中率はどれくらいだ?」
『100パーセントです』
コンピューターが無機質な声で答えた。

100BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/18(水) 20:08:34
ab.0087.Cyclops-P.03.04

「100パーセントって、全弾命中しているのか!? うぅむ、これでは模擬戦闘にならないな。ASUKAの戦闘用脳内端末の稼働率は、今どれくらいだ?」
『約60パーセントです』

「稼働率を100パーセントに上げろ」
『身体に相当な負担がかかりますが、よろしいのですか?』

「かまわん。壊れたら、新しいサイボーグを作ればいいだけだ」
『了解しました。ASUKA脳内の戦闘用端末の稼働率を100パーセントに上げます』

 その直後、キュクロプスPのコクピットのメインモニターから、ASUKAが消えた。
「え?」
アルテミスはとっさに操縦桿を横に倒した。キュクロプスPが急旋回する。その残像を、レーザー銃の閃光が貫いた。パイロットがアルテミスでなかったら、レーザーの直撃を受けていただろう。

 これが、宇宙戦闘機の操縦システムに、脳波センサーだけでなく手動の操縦桿も併用されている所以だ。たしかに脳波センサーの反応速度は速くて精密だが、アルテミスレベルのベテランになると、脳で思考する前に直感もしくは第六感ともいえるものが身体を反応させる。その速度は、脳波センサーやコンピューターによる自動操縦をも上回る。

(どういう事なの? ASUKAの動きが急に……)
考えるよりも早く、再び操縦桿を倒す。再びキュクロプスPが急旋回、その残像を、ASUKAの放ったレーザーが切り裂く。
(速くなったわ)

 ASUKAの機動力は、脳内に移植された戦闘用端末の稼働率が100パーセントになった事で、ベテランパイロット並みに高められた。本当の模擬戦闘が始まる。

101BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/18(水) 20:09:38
ab.0088.Cyclops-P.03.05

 キュクロプスPがASUKAの背後をとった。それとほぼ同時に、ASUKAがほぼ直角にカーブし、小さな螺旋軌道を描きながら、キュクロプスPの背後にまわった。ASUKAがレーザー銃を構える。構えた時には、すでにキュクロプスPは、レーザー銃の射線上から消えていた。

 この攻防戦を、メビウス博士はロボット研究所のモニターで、唖然としながら見ていた。ただし、キュクロプスPとASUKAの動きがあまりにも速すぎて、メビウス博士の目には、モニター上にチカチカ点滅するレーザーの光しか見えない。

「コンピューター、命中率はどれくらいだ?」

『キュクロプスPの命中率は36パーセント、ASUKAの命中率は0パーセントです』

「36パーセント!? あのパイロット、戦闘用脳内端末の稼働率を100パーセントに引き上げたASUKAに、1/3以上の確率で命中させているのか」
メビウス博士の喉が、ゴクリと上下する。
「いや、それよりも……、ASUKAの命中率がゼロというのはどういう事だ……」

『キュクロプスPが全弾を回避しているという事です』
「そんな事、言われんでも分かっているわい!」
コンピューターのいかにも機械らしい応答に、おもわず怒鳴り返した。

 キュクロプスPとASUKAの攻防が始まって、3分ほど経過した。見ると、キュクロプスPのレーザー砲を回避しながら急旋回するASUKAから、何かの液体が放出されている。

それに気づいたアルテミスは、モニターに別画面を開いて映像を拡大した。ASUKAは白目をむいて、嘔吐していた。

既述の通り、ASUKAの脳には戦闘用端末が移植されている。この端末は、ASUKAの動きをサポートしてくれる。稼働率を100パーセントまで高められた端末は、アルテミスの操縦するキュクロプスP相手に互角の空中戦を可能にした。しかし、その負荷に、ASUKA自身の肉体が耐えられないのだ。

102BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/18(水) 20:10:59
◆ 目次 ◆
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>>6-8 プロローグ

>>10-15 監獄にて

>>17-22 ロボットバトル1 アナザー

>>25-31 並行宇宙

>>33-45 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-55 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-101 キュクロプスP01〜03

103BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/23(月) 17:06:03
ab.0089.Cyclops-P.04.01

『キュクロプスP 04』

アルテミスは、メビウス博士に通信回線をつないだ。
「博士、ASUKAの様子が変です。このまま模擬戦闘を続けますか?」
「ううむ、どうやら失神したらしいな。仕方ない、ある程度のデータはとれたし、模擬戦闘は終了だ」
「了解しました」
キュクロプスPはオリンポスに帰還し、失神したASUKAも回収された。

 ASUKAは回収された後、戦闘用脳内端末の稼働率を30パーセントに下げられた。

30パーセントの理由をアルテミスが尋ねると、メビウス博士は、
「脳内端末は、ネオガイア星人への忠誠心を保つ働きもしているのだ。脳や身体への負担をかけずに、忠誠心を維持するのに最適な稼働率が、30パーセントなのだよ」
と、説明した。

104BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/23(月) 17:06:45
ab.0090.Cyclops-P.04.02

 脳内端末の稼働率を下げたにもかかわらず、ASUKAは失神したままだった。サイボーグに改造された肉体を床に横たえたまま、ピクリとも動かない。見ると、元スチュワーデスらしい美貌が、吐しゃ物で汚れている。

「うぅむ……、これはただ失神しているだけではないな。おそらくキュクロプスPとの空中戦で、エネルギーをほぼ使い果たしたのだろう」
そう判断したメビウス博士は、壁のコントローラーを操作しはじめた。すると、床の一部がスライドして、X字型の装置が出てきた。

SMクラブによくあるX型の磔台に似たそれは、ASUKA専用の充電装置だった。キュクロプスPの動力源は補給の必要がない永久機関だが、ASUKAのそれは充電が必要だった。

その理由を尋ねたアルテミスに、メビウス博士は、
「ネオガイア星人に対するASUKAの忠誠心は、脳内に移植された端末によって強制されたものだ。もしも端末が何かの拍子で機能しなくなった時に、永久機関を備えていると厄介だからね」
と答えた。

105BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/23(月) 17:07:29
ab.0091.Cyclops-P.04.03

 メビウス博士が起動ボタンを押すと、充電装置から触手のような物が4本のびてきてた。触手はASUKAの両手足に1本ずつ巻きついて、その身体を、文字通り大の字に磔にした。

(あぁ……、羨ましい)
磔にされたASUKAを、アルテミスは羨ましそうに見つめた。自分も同じようにされたくて、堪らないのだろう。

 新しい触手が2本出てきた。その2本は、大きく広げられたASUKAの股下で一瞬だけ動きを止めると、そのまま一気にオマンコと肛門に突き刺さった。ASUKAの身体がビクンと震えた。

『充電を開始します。完全に充電されるまでの所要時間は、約27分です』
充電装置が無機質な声で告げた。

106BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/23(月) 17:08:41
ab.0092.Cyclops-P.04.04

次の瞬間、
「ギャォオオオオオオオオオ!」
ASUKAの絶叫が、広い格納庫内に響き渡った。先ほどまでグッタリしていたのが嘘のように、大の字に拘束された身体が、ガクガクと震えている。

「フハハハ。なかなか良い悲鳴をあげるではないか。まぁ充電といっても、本人にとっては、オマンコと肛門に電気ショックを受けているようなものだからな」
悲鳴をあげるASUKAを見ながら、メビウス博士が楽しそうに笑った。

(そう言えば、アルテミス君がさっき変な事を話していたな。たしか……操縦桿を挿入とかなんとか……)
メビウス博士が、触手を挿入されたASUKAの股間を見ながら、何やら考え始めた。

ASUKAはというと、その後30分近く悲鳴をあげ続けた。

107BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/23(月) 17:10:00
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>>85-107 キュクロプスP01〜04

108BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/27(金) 19:10:23
ab.0093.Pirate.001.01

『宇宙海賊 01』

 地球を含む銀河系は、直径10万光年。そこには数千億の恒星が存在する。この気が遠くなるほど巨大な銀河系を支配しているのが、爬虫類型の星間種族グレイだ。

グレイは銀河系を、52の区画に分けて支配していた。地球やネオガイア星は第26管区に所属する。26管区を管轄する銀河警察は、約500年前からグレイのヤ・グ・オイが責任者だった。

現在、銀河警察を悩ませているのが、宇宙海賊と宇宙暴走族の存在だった。特に宇宙海賊の一派である百足星人は、グレイに匹敵するテクノロジーを有していて、銀河系の全星間種族にとって最大の脅威だった。

109BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/27(金) 19:11:01
ab.0094.Pirate.001.02

 銀河系の一角にある小さな星が、百足星人に襲撃された。そこには、栗鼠のような大人しい知的生命体が平和に暮らしていた。

「うわああ、助けてくれっ、海賊だああっ!」
「ムカデだ、ムカデが襲ってくるうう!」

ろくな防衛力も持たない栗鼠型星人は、次々と宇宙海賊の餌食になっていった。

「このおっ、悪魔め!よくも母ちゃんを殺したなっ!」
栗鼠型星人の子供が、百足星人に噛みついた。発達した前歯が、平和な彼らにとって唯一の武器なのだ。
「母ちゃんの仇! こんなことでやられるも……ぎゃあああ!」
哀れな子栗鼠は、百足星人の毒針に刺されてあっけなく絶命した。

「SOS、SOS……。こ、こちら栗鼠型星人」
栗鼠型星人の1人が、必死の思いで銀河警察に通報した。
「百足星人の襲撃を受けている! た、助け……ギャアアア!」

 通報はすぐさま、銀河警察のヤ・グ・オイの元に届いた
「百足星人の海賊船が出現しました」

「なにっ、ついに網にかかったか。付近のパトロール船を全て現場に急行させろ!今度こそ逃がすな。殲滅してやる」

「了解!」
銀河警察のパトロール船が次々とワープした。

110BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/27(金) 19:11:36
ab.0095.Pirate.001.03

 銀河警察は、グレイを筆頭に有力な星間種族で構成されている。所有する宇宙船も高性能だ。

パトロール船は、ネオガイア星人の宇宙船ならエネルギーの充填をしながら何度もワープを繰り返さないと行けない栗鼠型星人の星に、あっという間に到着した。

 パトロール船の出現に気づい百足星人は、急いで海賊船に乗り込むと、栗鼠型星人の星から離脱した。

「海賊どもが逃げるぞ。レーザー砲発射!」
パトロール船がレーザー砲を発射した。

海賊船がバリアを張って、レーザーを遮蔽する。バリアで無効化できなかったレーザーエネルギーの一部が海賊船に降り注ぐが、船体はほとんど損傷を受けていない。

海賊船は、まるで銀河警察のパトロール船を嘲笑うかのように、悠々とワープした。

「海賊船が消えたぞ、ワープで逃げるつもりだ。超空間ソナーを作動して追尾しろ」

パトロール船団を指揮するグレイが、スクリーンに映る海賊船の消えた空間を指さした。

「駄目です。やつらの宇宙船には未知の技術が使われているようです。超空間ソナーが反応しません」

「馬鹿な! 取り逃がしたというのか」

指揮官は愕然とした。超ハイテクを誇る銀河警察のソナーが標的を取り逃がしたのは、初めてだった。

111BiBi ◆8cBPUextJk:2018/07/27(金) 19:13:14
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>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-8 プロローグ

>>10-15 監獄にて

>>17-22 ロボットバトル1 アナザー

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>>33-45 肉体改造(アルテミス 1)

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>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

112BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/02(木) 20:21:15
ab.0096.intermission

*これは本編ではありません。

次章の登場人物ラミアーは、オリジナルストーリーには登場しません。

113BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/02(木) 20:21:47
ab.0097.Lamia.birth.01.01

『ラミアー 出産実験01』

 宇宙船オリンポスが太陽系に到着してから随分と日が経つが、本格的な地球奪還作戦は始まっていなかった。

オリンポスは地球の衛星軌道上に停泊したままだ。ただし船体はカモフラージュされているので、地球人に発見される心配はない。

この間も、ネオガイア星人たちは、物質転送装置を使って地球人を拉致していた。しかし、物質転送というもの自体を知らない地球人にとって、人間が突然消えるという現象は都市伝説扱いで、ニュースにすらならなかった。

接近する宇宙船もなかった。オリンポスの管制官を務めるアリストテレスは毎日、X線望遠鏡で地球人の女を物色して、暇つぶしをしていた。
 
そんなある日、接近中の宇宙船が1隻、オリンポスへのドッキングを申請してきた。

「え!? これはクラスLの宇宙クルーザーじゃないか!」
アリストテレスが驚きの声をあげた。

 宇宙クルーザーは、ワープエンジンと居住設備を備えた、長期間の宇宙旅行を想定した宇宙船だ。船体の大きさによって、XS、S、M、L、XLの5つに分類されている。当然、大型になるほど、性能と内装が充実していく。

購入価格も、大きさに比例してはね上がっていく。最大のクラスXLにいたっては、政府や大企業が資産として所有しているケースが大半だ。クラスLだと、個人で所有している者はわずかにいるが、それでも大富豪や大企業のオーナーくらいにならないと手が届かない。

(一体、誰が乗ってるんだ?)
アリストテレスは、やや緊張した面持ちで、宇宙クルーザーに通信回線をつないだ。

「こちらオリンポスです」

『こちらはラミアー。宇宙船の名前はイリオンよ』
女性の声が返ってきた。温和そうな声だ。

114BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/02(木) 20:22:18
ab.0098.Lamia.birth.01.02

(ラミアー? どこかで聞いたような気が……、あ!)
アリストテレスはシートに座ったまま背筋をピンと伸ばした。喉が、ゴクリと上下する。

「ラ、ラミアー博士であらせられますですか!?」
裏返った声で、変な敬語を使う。

 ラミアーはネオガイア星の遺伝学の権威だった。遺伝学はもちろんの事、いくつのも学位を持っている。画期的な研究をいくつも手掛けて、受賞した回数は数え切れず、ネオガイア星の科学アカデミーの委員長を何期も務めている。名誉市民に選ばれ、どこかの星の大使にもなった事もある。

あまり人付き合いを好まない性格らしく、現在はどこの学会にも属していないが、科学者としての地位は、メビウス博士やピタゴラス博士よりもずっと上だ。

(そういえば……)
ラミアーはネオガイア星を統治するゼウスとも親しく、彼女が名誉市民に選ばれたお祝いに、ゼウスからクラスLの宇宙クルーザーを個人的にプレゼントされた――というニュースを昔見たのを、アリストテレスは思い出した。

115BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/02(木) 20:23:02
ab.0099.Lamia.birth.01.03

「ラララ……ラミアー博士。い、今すぐ、ドッキングの準備をいたしますです!」

『あらあらまぁまぁ、そんなに緊張しなくてもいいのよ? それよりビーナスはいるかしら?』

「ビーナスって……、解剖医のビーナスですか? まさか彼女が、ラミアー博士に何か非礼でも……? あわわわ……まことに申し訳あ……」

『あらあらまぁまぁ、違うわよ。ビーナスは私のお友達で、今日は彼女に会いに来たのよ』

「ビ、ビーナス……さん……さまが、ラミアー博士のご友人であらせられましたですか!?」

ラミアーとビーナスの地位は、天と地ほどの差がある。アリストテレスは、今までわりと馴れ馴れしく接してきた一介の解剖医がラミアーの友人だと聞かされ、驚きのあまり気を失いそうだった。

「い、今すぐ手配をさせていただきますです!」
アリストテレスは大急ぎで、宇宙船のドッキングの手続きを始めた。

116BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/02(木) 20:23:40
ab.0100.Lamia.birth.01.04

 研究室でアテナと2人で実験データの解析をしていたビーナスのもとに、ラミアーから通信が入った。

『ビーナス、久しぶりね』
「あら、ラミアー。どうしたの?」

横でアテナが、ギョッとした顔でビーナスを見ている。ラミアーのような高名な科学者と自分の部下が親しげに話しているのだから、その反応も仕方ない。

『今、オリオンに着いたところよ。久しぶりにビーナスに会いに来たの』

「モニター越しというのも愛想がないわ。私の部屋に来て」
ビーナスはアテナの方に振り向いた。
「アテナ、今日は早退していいですか?」

「い、いいわよ。当然じゃない」
ラミアーがわざわざ会いに来た友人を、仕事で拘束する事などできるはずがなかった。返事をするアテナの声が、どことなく上ずっている。

『じゃあビーナスの部屋に行くわね。お土産にアナタの好物もあるわよ?』
そう言って、ラミアーが小さな箱を見せた。

「ゴルゴーン産チョコチップクッキー!?」
ビーナスが叫んだ。

117BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/02(木) 20:24:52
ab.0101.Lamia.birth.01.05

 惑星ゴルゴーンは、もとはネオガイア星人の植民惑星だったが、現在は機械生命体が支配している。

ネオガイア星人が統治していた頃から、ゴルゴーン産の菓子は高級品として有名だったが、覇権が機械生命体に移った現在は入手が困難になり、その希少価値も手伝って、一般庶民にはちょっと手の出せない値段になっている。

特にチョコチップクッキーは、1個で反重力バイクの新車が3台買えるほどという、超高級品なのだ。

『そうよ。ビーナス、これ好きでしょ?』
ラミアーが箱を振った。カシャカシャと音がする。それを見たビーナスが、通信機のモニターに向けてダメダメと両手を振った。
「そんなに振ったらダメよ。クッキーが割れてしまうじゃない、バカ!」

横で、アテナが硬直した。
「今、ラミアー博士に向かって……バカって言った。バカって言った。バカって言った……」
見ると、壁に手をついてブツブツ呟いている。今にも泡を吹いて倒れそうだ。

『あらあらまぁまぁ、そんなの口の中で噛み砕いたら同じじゃない?』

「ゴルゴーン産のチョコチップクッキーは同じじゃないのよ!」

『あらあらまぁまぁ』

ラミアーが笑った。鈴を転がすような笑い声に混じって、ズルリと何かが擦れるような音がした。

118BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/02(木) 20:26:30
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-8 プロローグ

>>10-15 監獄にて

>>17-22 ロボットバトル1 アナザー

>>25-31 並行宇宙

>>33-45 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-55 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-118 ラミアー 出産実験01

119BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/07(火) 19:25:21
ab.102.Lamia.birth.02.01

『ラミアー 出産実験02』

 しばらくして、ビーナスの居室にラミアーがやって来た。ビーナスは笑顔で迎えたが、ラミアーの姿を見た瞬間、驚きの顔に変わった。

「ラ、ラミアー……その姿は……」

ラミアー半人半蛇の姿になっていた。腰から上はヒトの姿で、腰から下が全長5メートルほどのヘビの胴体なのだ。

なんとなく神話などに登場する半人半蛇のヘビ女に似ている。ただし神話などのヘビ女は、トップレスかブラジャーだけというのが定番だが、ラミアーは一目で高級品だとわかるシックなブラウスを着ていた。手に持っている物も、魔法の杖や剣ではなく、小さなハンドバッグだ。

腰から下は、何も着ていない。長さ5メートルのヘビの胴体にあう服がなかったのだ。

120BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/07(火) 19:26:02
ab.103.Lamia.birth.02.02

「ヘビ型星人と合体したのよ。遺伝子レベルで融合しているわ」

「え!?」

「ビーナスも知ってると思うけど、私、ヘビ型星人の母星の大使を務めていた事があったでしょ? その時に親しくなったヘビ型星人の将軍から、遺伝子を提供してもらったのよ」

「あのヘビ型星人の、しかも将軍の遺伝子!?」
ビーナスが驚くのも無理はなかった。

ヘビ型星人は爬虫類型の星間種族で、系統的にはグレイに近い。テクノロジーもかなり高く、銀河系で最も強力な星間種族の1つだ。ネオガイア星人にとっては、雲の上の存在と言ってもいい。

「優秀な種族と融合して、人為的に進化できるかを調べたかったのよ。できればグレイと融合したかったんだけど……」

「だからって自分の身体で実験するなんて……、何考えてるのよ!? バカじゃないの!?」

「あらあらまぁまぁ、そんなに怒らないで?」

「心配してるのよ、バカ!」

ビーナスの瞳が涙で潤んでいるのに気づいたラミアーは、いたずらっぽく微笑むと、
「これで機嫌を直して?」
と、ハンドバッグからチョコチップクッキーの箱を取り出した。

「食べ物で、私を買収できると思わないでよね!」
そう言いながらも、ビーナスはチョコチップクッキーを見つめながら、ゴクリと唾を飲み込んだ。

121BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/07(火) 19:26:50
ab.0104.Lamia.birth.02.03

 結局、買収された。

「全部で24個。アテナに1枚おすそ分けしよう。そうしたら、きっと特別休暇をもらえるわ。あぁ……でも、そうしたら23個に減ってしまうわ」
ビーナスは、独り言を呟きながら、皿の上にクッキーをきれいに並べ始めた。

「あらあらまぁまぁ、さっきから何を独り言を言ってるの?」
ラミアーがおかしそうに笑うと、クッキーを1個つまんで無造作に口に放り込んだ。

「キャアアア! なんて恐ろしい事をするのよ!」
ビーナスがラミアーの口元を指さしながら、叫んだ。見ると、膝が震えている。

「あらあらまぁまぁ、恐ろしい事って……。クッキーを食べただけよ?」

「それが恐ろしい事なのよ……」
ビーナスは、恐る恐るクッキーに手をのばした。そして大きく深呼吸をすると、数ミリ噛った。

「あらあらまぁまぁ、そんなに細かく齧っても、味が分からないんじゃない?」

「味を一生忘れないように脳に刻み込みながら、少しずつ食べてるのよ」
ビーナスは真顔で答えると、クッキーを5ミリほど噛った。

122BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/07(火) 19:27:29
ab.0105.Lamia.birth.02.04

 1時間ほど思い出話で盛り上がってから、
「ところでラミアー。今日は何か用事があって来たんじゃないの?」
と、ビーナスが尋ねた。

「あ、そうそう。実は私、新しい実験をしたいのよ。遺伝子レベルでヘビ型宇宙人と融合した私が、さらに他の種族とSEXしたら、どんな子供が生まれるのかをね」

どこぞの人権団体や宗教団体が聞いたら卒倒しそうな事を、ラミアーは平然と言ってのけた。

「そこで考えたのが、比較的ネオガイア星人に近い遺伝子を持つ地球人とのSEX。誰か調達してくれないかしら?」

「わかったわ。早速アリストテレスに、オスの地球人を捕獲させるわ」
ビーナスは笑顔で快諾した。

「待って。私と融合したヘビ型宇宙人はオスだったの。だから私の生殖器も雄性というわけ。地球人は、メスを用意してもらえるかしら?」

そう言って、ラミアーは腰の下辺りをビーナスに見せた。金色のウロコに覆われた長大な下半身には、足は生えていなかったら、ペニスが突き出していた。しかもペニスは、途中から2本に枝分かれしてた。

「メスの地球人といったら……、マゾ化薬を投与した真性マゾが1匹いるけど。名前はたしかYurikaだったかしら」

123BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/07(火) 19:28:44
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-123 ラミアー 出産実験01〜02

124BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/10(金) 19:29:12
ab.0106.Lamia.birth.03.01

『ラミアー 出産実験03』

 宇宙船オリンポスに誘拐され、マゾ化薬を投与され真性マゾとなった梅本由梨香は、毎日のようにネオガイア星人に拷問されていた。マゾ化薬に精神を侵された由梨香には、それは夢のような日々だった。

 由梨香を拷問している宇宙船オリンポスの整備技師カライスも、他のネオガイア星人と同じくサディストだった。カライスの好みは、針責めだった。

磔台に大の字に拘束された由梨香の全身は、すでに針まみれだ。

「あ、あひぃぃぃ! い、痛いですぅ」

針が刺さっているのは、皮膚だけではなかった。中には内臓を貫いていそうな針もあるが、ネオガイア星の医療技術をもってすれば、仮に心臓を貫いたとしても蘇生治療が可能だ。

もっとも由梨香は、マゾ化薬の実験体として捕獲された地球人で、その実験もすでに終わっているので、死亡しても別にかまわないのだ。だから責めには容赦がない。

「しかし貧乳だな。巨乳なら300本は刺せるのに、こんな貧乳では100本くらいしか刺せないじゃないか」

大量の太い注射針を刺された乳房は、まるでサボテンのようだ。

「揉むと大きくなるという噂が本当か、実験してやるよ」

カライスは針まみれの乳房を鷲掴みにすると、乱暴に揉み始めた。

「ぎゃああああああ! い、痛いですぅ」

「やめてほしいか?」

「あぁあああ、やめないで下さい。もっと、由梨香の貧乳を揉み揉みして、大きくして下さい」

カライスが揉むたびに、深く突き刺さった針先が乳腺を切り裂いていく。絞り出されるように流れ出た血が、由梨香の乳房と上半身を赤く染めた。

125BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/10(金) 19:29:49
ab.0107.Lamia.birth.03.02

そこへ、ビーナスから連絡が入った。
(なんだ? 解剖医のビーナスか)
カライスは、手の平にベットリと付いた血を由梨香の身体に擦り付けると、通信に出た。

「こちらカライス」

「解剖医のビーナスよ。そこにYurikaはいる?」

「Yurika? マゾ化薬の被験者かい? いるよ」

「Yurikaが必要になったの。すぐに私の部屋に連れてきて」

「はぁ、了解」

せっかくの針拷問を中断させられたカライスは、軽く舌打ちをして、由梨香の乳首に刺さった針をねじった。室内に、苦痛と快楽の混じった女の悲鳴が響きわたった。

126BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/10(金) 19:30:33
ab.0108.Lamia.birth.03.03

「ラ、ラ、ラミアー博士!?」
由梨香をビーナスの部屋に連れてきたカライスは、室内にいる半人半蛇の女を見て驚き、その正体をビーナスから聞かされて更に驚いた。ラミアーの高名は、一介の整備技師の耳にも届いているのだ。

「あらあらまぁまぁ、Yurikaを実験で使いたかったんだけど、全身血まみれね」
由梨香の全身は、先ほどまでのカライスの針責めの傷に覆われている。

「あわわわ。申し訳ありません。ラミアー博士の実験体を針で傷だらけにしてしまうなんて、俺はなんて事を……」
カライスは慌てた。ラミアーの性格は知らないが、その絶大な地位と権力は知っている。

「あらあらまぁまぁ、別にいいのよ? 私が実験でこの子を使う事を知らなかったんですもの。ご苦労さま。もう行っていいわよ?」

「は、はい、失礼します」
カライスは深々とお辞儀をしたまま、逃げるように部屋から飛び出した。ドアが閉まり、廊下で転ぶ音がした。

127BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/10(金) 19:31:20
ab.0109.Lamia.birth.03.04

 カライスが部屋を出て行った後、まだ針責めの余韻から覚めない由梨香は、呆けた表情で室内を見回した。

顔をラミアーに向けたところで、動きが止まった。数秒間ラミアーの姿を見つめていたが、徐々に顔が引きつってきた。

「へ、へび!? きゃああ! いやぁああ!」

さすがの真性マゾも半人半蛇の女は怖いのか、悲鳴をあげた。マゾ化薬を投与されてから、何度となく悲鳴をあげたが、快感ではなく恐怖の悲鳴は初めてだ。

「あらあらまぁまぁ。怖がり屋さんねぇ」
ラミアーは、その長大なヘビの尾を由梨香の身体に巻きつけた。

「ひぃぃぃぃ!」
「あらあらまぁまぁ、暴れん坊さんねぇ」

ラミアーがほんの少し胴体に力を入れただけで、由梨香は気を失い、おとなしくなった。

128BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/10(金) 19:32:47
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-128 ラミアー 出産実験01〜03

129BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/17(金) 17:20:00
ab.0110.Lamia.birth.04.01

『ラミアー 出産実験04』

 由梨香はビーナスの実験室に運ばれた。その時には、すでに失神から覚めていた。先ほどは半人半蛇のラミアーを見てパニックに陥ったが、今は落ち着きを取り戻している。それどころか、ラミアーの下半身を物欲しそうに見つめている。

ラミアーと融合したヘビ型星人は雄性だった。だからラミアーの下半身、つまり全長5メートルはあろうかという長大なヘビの胴体には、二股に分かれたペニスが生えているのだ。

「あらあらまぁまぁ。随分とコレが欲しそうにしているわね?」

ラミアーがペニスを誇示するかのように、由梨香の方へ下半身を突き出した。

「あぁあああ、2本に分かれたチンポ様、すごいですぅ」

「あらあらまぁまぁ。なんだかバカっぽいわね。マゾ化薬には知能を低下させる副作用があるのかしら?」

「ないはずだけど……。でもこのYurikaはマゾ化薬の最初の実験体だから、適正な投与量が分からなかったのよ。もしかしたら薬が多すぎて、その影響が出ているのかも知れないわね」

「あらあらまぁまぁ。可哀想に」

ラミアーがクスクスと笑った。温和そうな美貌だが、由梨香を見る目は、文字通り実験動物を見る科学者のそれだ。

130BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/17(金) 17:20:31
ab.0111.Lamia.birth.04.02

「ねぇ、ラミアー。アナタとYurikaとで、妊娠実験は可能なの?」

ビーナスの質問も、もっともだった。

交雑――異種の動物同士の受精妊娠――は、自然界では起こらない。人為的な交雑は、例えば地球人と純粋なネオガイア星人といった遺伝的に近い種同士なら、可能かも知れない。しかし爬虫類型のヘビ型星人と融合した今のラミアーと、地球人の由梨香とでは、仮に人為的であっても不可能なのだ。

「フフフ。私の開発した強制妊娠薬をYurikaに投与するから、大丈夫よ」

「強制妊娠薬を使うの!?」
ビーナスが少し驚いた顔をした後、視線を由梨香に移した。
「可哀そうに……。いいえ、真正マゾになったオマエにとっては、むしろ幸せかもしれないわね」

 強制妊娠薬とは、ラミアーが開発した薬品の1つで、これを投与されると、異種の生物間でも受精が可能になる。さらに妊娠期間も大幅に短縮され、仮にメスが妊娠期間10か月の生物の場合、わずか2週間で出産する。ただし母体にかなりの負担をかけるため、医療用ではなく、もっぱら食用の家畜の繁殖に利用されている。

「人工授精する?」
「いいえ、せっかくだから、普通のSEXで受精させるわ?」

ラミアーの言葉を聞いて、由梨香の顔が嬉しそうに輝いた。

131BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/17(金) 17:21:07
ab.0112.Lamia.birth.04.03

「そうそう、ラミアー。地球人の精力剤があるんだけど、SEXするなら、飲んでみる?」
ビーナスが冷蔵庫から小さな瓶を取り出した。

ラミアーは瓶のラベルを見て、首を横に振った。
「やめておくわ。なぜだか分からないけど、私の中に流れるヘビ型星人の血が、それだけは飲んではいけないって訴えているような気がするのよ」

見ると、小瓶には『マムシドリンク』と書かれたラベルが貼られている。

 ラミアーが由梨香を指先で招いた。由梨香が四つん這いのまま、ラミアーに近づいた。半人半蛇の異星人を見つめる瞳には、恐怖の色は全くない。

「フフフ、Yurikaといったわね? ヘビ型星人のオスは、毒の牙を持っているのよ。ただし相手を殺したり、麻痺させるための毒じゃないわ。一種の媚薬よ」

ラミアーが口を開くと、上の犬歯の前あたりに、牙が先端を覗かせた。由梨香の乳房に歯を立てた。由梨香がピクンと身体を震わした。

「ア、アァ……ア……」
由梨香の顔が、見るみる蕩けていく。

「あらあらまぁまぁ。マゾ化薬を投与された真性マゾだけあって、効果が発現するのが早いわね」
ラミアーが由梨香に顔を近づけて、舌の色や瞳孔の大きさを確認した。

由梨香がおねだりをするように口を開けて、舌を突き出した。ピンク色の舌先がプルプルと震えている。

「あらあらまぁまぁ。下等な地球人の分際で、この私にキスをねだるの? ダメよ。代わりに、こっちを舐めさせてあげるわ?」

ラミアーが仰向けに横たわった。由梨香はシックスナインの体勢で上になると、ラミアーの2股に分かれたペニスをしゃぶり始めた。

いかにも真性マゾらしい、自虐的なフェラチオを続けた。喉の奥をペニスの先端に突かれて嘔吐しそうになるのを、両眼に涙をためながら、必死に堪える。

「あ、あらあら……ま……アァアアア……。この地球人、下等種族のくせに、フェラチオだけは巧いわ」

由梨香の唇がペニスの表面を往復するたびに、ラミアーが切迫したような喘ぎ声を漏らした。

由梨香は、シックスナインの体勢で、自分もオマンコを舐めてほしそうに腰をくねらせた。しかしラミアーは、由梨香の股間には触れようとしなかった。このネオガイア星の女性科学者にとって、由梨香は下等な地球人なのだ。そんな下等生物の、しかも性器に触れるなど、まっぴらごめんだったのだ。

132BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/17(金) 17:21:45
ab.0113.Lamia.birth.04.04

ラミアーのペニスはすぐに勃起した。2股に分かれたペニスは、その1本1本がトウモロコシよりも大きい。そのサイズを見て、由梨香が歓喜と期待の喘ぎをもらした。

ラミアーは仰向けになったまま、ヘビの尾を由梨香の腰に巻きつけた。

「アァアアア……」
由梨香は嬉しそうに吐息を漏らすと、自ら両手をバンザイをするように頭の上にのばした。そして乳房を責めてほしいというように、自ら胸を反らした。

しかし、地球人の由梨香を悦ばせてあげる気などさらさらないラミアーは、由梨香の乳房には目もくれず、その身体にヘビの尾を巻きつけた。

由梨香の身体を楽々と持ち上げた。ヘビ型星人の尾の力は強く、人間の女1人など風船とかわらない。

由梨香が身体を持ち上げられたまま、両脚を大きく開いた。
「はぁはぁはぁ。オチンポが2本……。由梨香のオマンコとアナルに挿れてほしいですぅ」

「あらあらまぁまぁ。随分と欲張りねぇ。そうよねぇ。せっかく2本あるんだものねぇ」

由梨香がオマンコとアナルを同時に犯してもらえると思って、嬉しそうに喘いだ。

「あらあらまぁまぁ。何を期待しているの? 勘違いしちゃダメよ? これは妊娠実験なのよ? 地球人が腸でも妊娠できるのなら、アナルに挿れてあげてもいいけど、できないでしょ? だ、か、ら……」

ラミアーは冷酷そうな笑みを浮かべると、ヘビの尾を巻き付けた由梨香の身体を一気におろした。

133BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/17(金) 17:22:45
ab.0114.Lamia.birth.04.05

「ぎゃあああああああああ!」

由梨香の絶叫が響きわたった。二股に分かれたペニスは、オマンコとアナルではなく、2本ともオマンコに挿入されたのだ。

1本でもトウモロコシほどのサイズがあるので、2本合わせると、成人男性の二の腕よりも太い。さすがの真性マゾも悲鳴をあげるのを我慢できない。

「あらあらまぁまぁ、あっさりと根元まで入ったわね。オマエのオマンコって、ガバガバなのねぇ?」

由梨香のオマンコは、サディストのネオガイア星人に毎日のように犯されていたせいで以前よりは緩くなっているが、ガバガバというほどではない。その証拠に、二股のペニスを同時に挿入されて、陰唇の端が裂けて血が出ている。

かなりの苦痛のはずだが、
「はぁはぁはぁ……。ハイィ……、由梨香のオマンコはぁ……、ネオガイア星のご主人様たちの調教で、ガバガバになっちゃったんですぅ」
由梨香の顔には、歓喜の色に染まっていた。

「あらあらまぁまぁ、なぁに、その言い方は? それじゃあ、まるでネオガイア星人が悪いみたいじゃない?」

「あぁあああ、そ、そんな事は……」

「お仕置きね」
ラミアーがヘビの尾を使って、由梨香の身体を、オマンコに2本のペニスが挿入されたまま上下に動かした。まるで男が仰向けでパニスをしごいてオナニーをするような動きだ。

「ぎゃ、ぎゃあ……オ、オマンコが……裂け……ヒィィィ!」
やがて、由梨香の悲鳴に、快感を訴える響きが含まれ始めた。見ると、膣を貫くペニスを伝う血にも、淫液が混じっている。

ラミアーの息も荒い。由梨香の身体を、さらに激しく上下に振り続けた。見ると、その動きに合わせて、由梨香の手足が糸の切れた操り人形のように振れている。

134BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/17(金) 17:23:20
ab.0115.Lamia.birth.04.06

「で、出るわ……」
ラミアーが、切迫したような声を発し、身体をビクンビクンと硬直させた。そのまま数秒。深く息を吐くと、由梨香のオマンコからズルズルとペニスを引き抜いて、た。そのまま由梨香の身体を、無造作に床に放り投げた。

ラミアーは、自分の下半身を見下ろして、不快そうに顔をしかめた。
「あらあらまぁまぁ。私のペニスが、下等生物の汚液で汚れてしまったわ。ビーナス、シャワーを借りるわね」
そう言って、部屋に備え付けのシャワー室に入った。

 身体の汚れを落としてシャワー室から出てきたラミアーは、床に横たわったままの由梨香を、まるで道に転がる石ころでも見るかのような目で見下ろした。

「出産予定日まで、あと2週間程あるわね。それまでYurikaはアンドロイドに任せておけばいいわ?」

「ねぇラミアー」
ビーナスが悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「その2週間、もし予定がないのなら、お願いがあるんだけど……」

 力なく床の上に横たわる由梨香が、ビクンと身体を震わせた。赤くただれたオマンコから、ヘビ型星人の精液が漏れ出した。

135BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/17(金) 17:24:35
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-135 ラミアー 出産実験01〜04

136BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/17(金) 17:30:17
ab.0116.Lamia.birth.05.01

『ラミアー 出産実験05』

 ラミアーの精子を受精した由梨香の出産予定日まで2週間。それまで、ラミアーとビーナスは、ラミアーの自家用宇宙クルーザーイリオンで宇宙旅行に出ていた。

イリオンは一般人には絶対に買えないクラスLの高級宇宙クルーザーで、ビーナスが一度でいいから乗ってみたいと、ラミアーに要望したのだ。

 宇宙船イリオンを含めて宇宙クルーザーは、手動でも操縦可能だが、通常はコンピューターによる自動操縦だ。イリオンの全システムを制御しているのは、メインコンピューターのILIONだった。

 ラミアーはイリオンの操縦をILIONに任せて、ビーナスに船内を案内した。各船室に足を踏み入れるたびに、ビーナスは「格差社会」と独り言を呟き続けた。

ラミアーのキャビンで、備え付けの冷蔵庫の中を見て、呟き声が叫び声に変わった。

「な、何よ、これ!? ゴルゴーン産のチョコチップクッキーのケースが山積みじゃない! なんなの、この格差社会は……」

「あらあらまぁまぁ。大げさねぇ」

「大げさじゃないわよ。この冷蔵庫の中身だけで宇宙船が買えるわよ?」

「あらあらまぁまぁ」

137BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/17(金) 17:30:48
ab.0117.Lamia.birth.05.02

 クラスLの宇宙クルーザーの豪華な内装に圧倒され、メインサロンにたどり着いたビーナスは、これもまた豪華なソファに腰を下ろした。給仕アンドロイドが、目の前のテーブルに紅茶のカップと皿を置いた。カップと皿も、1客でビーナスの1週間分の給料がとびそうな高級品だ。

ビーナスは皿を見つめながら、ゴクリと唾を飲み込んだ。そこには、ゴルゴーン産のチョコチップクッキーが山を作っている。

「一度でいいからやってみたかった事を、今から実行するわ?」

「あらあらまぁまぁ、何をするの?」

「ゴルゴーン産のチョコチップクッキーを……、に、に、2枚重ねて、ひと口で食べるのよ! 分かる? 2枚重ねて、ひと口でよ?」

「えぇ、分かるけど……」

ビーナスが皿の上からクッキーを2枚取り、口に近づけた。緊張と興奮のせいで息が荒い。

「い、いくわよ? いい? ラミアー、止めるなら今の内よ?」

「あらあらまぁまぁ、止めないわよ?」

ビーナスはチョコチップクッキー2枚を口に入れると、シャクシャクと咀嚼し始めた。

138BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/17(金) 17:31:29
ab.0118.Lamia.birth.05.03

シャクシャク

シャクシャク

シャクシャク

5分近く噛み続けている。

「あらあらまぁまぁ、そんなに咀嚼してどうしたの?」

「だ……だめ。自分の行為が恐ろしくて、飲み込めない……」
ビーナスは、口に中でトロトロになったチョコチップクッキーをこぼさないように細心の注意を払いながら、答えた。

「あらあらまぁまぁ。まだたくさんあるし、好きなだけどうぞ?」

「格差社会……」

2つめは、チビチビ囓るようにして食べた。

139BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/17(金) 17:32:54
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

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>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

140BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/20(月) 23:08:09
ab.0119.intermission

*これは本編ではありません。

本章の登場人物エウドラは、オリジナルストーリーには登場しません。

141BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/20(月) 23:09:03
ab.0120.Measuring instrument.001.01

『SMスカウター01』

 ここで、物語は、ビーナスとラミアーが宇宙船イリオンでバカンスに出かける前日に遡る。

 調査宇宙船だけでなく宇宙船オリンポスにも、大勢の科学者が搭乗していた。女性科学者エウドラも、その1人だった。この女性科学者の性格を簡単に言い表すと、面倒くさがり屋で我儘だった。

そんな我儘な彼女だが、その反面、竹を割ったようなさっぱりとした性格の持ち主で、同性の友人は多い。解剖医のビーナスも、エウドラの友人の1人だった。

142BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/20(月) 23:09:52
ab.0121.Measuring instrument.001.02

 ある日、エウドラは友人ビーナスからゴルゴーン産チョコチップクッキーがあると聞かされて、大急ぎでビーナスの元に向かっていた。

(ゴルゴーン産チョコチップクッキーなんて、数年前の科学アカデミーのパーティーで1かけら食べて以来だわ。どんな味だったかしら……)

そんな事を考えながら歩いていたせいか、廊下の角を曲がったところで、1人の女とぶつかった。

「あ、ご、ごめんなさい」
「いいえ、こちらこそ、ごめ……え!? アナタ、それ……」

エウドラは、その女を見て息をのんだ。素晴らしい美貌だが、原因はそれではない。スカートが股下数センチという短さで、少しかがめば卑猥な部分が丸見えになりそうなのだ。

なぜそんな服装なのか理由を聞こうとしたが、その美女は、
「ごめんなさい」
再度謝罪の言葉を残すと、よほど急ぎの用事があるのか、そのまま立ち去った。

(なんて卑猥な服装なのかしら……。それよりも、あんな綺麗な女、初めて見たわ。オリンポスに女優かモデルでも乗ってたのかしら?)
エウドラは女を後姿を無言で見つめていたが、すぐに
「そうだわ。こんな事をしている場合じゃないわ!」
ビーナスの居室に向かった。

143BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/20(月) 23:10:33
ab.0122.Measuring instrument.001.03
 
 ビーナスの部屋に着くと、その手に持たれている小さな箱を見て黄色い歓声をあげた。
「ビーナス! ゴルゴーン産のチョコチップクッキーがあるって言っていたけど……、箱詰め!?」

「そうよ」
ビーナスが誇らしげに箱を突き出した。

「は、箱入りなんて、初めて見たわ」

「フフフ。友達から、わけてもらったのよ」

ビーナスの言葉を聞いて、エウドラが目を大きく見開いた。

「ちょっと待って。箱ごと他人におすそ分け!? 誰からもらったのよ? どこかの王族?」

「まさか。ラミアーよ。でね、明日からラミアーの宇宙クルーザーでバカンスに行くんだけど、その前にエウドラと食べようと思って呼んだのよ」

「あぁ……ラミアー博士ね」
エウドラは納得したように頷いた。ラミアーなら、1枚で反重力バイク3台分はするという超高級菓子の箱詰めを持っていても、不思議はない。

144BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/20(月) 23:11:08
ab.0123.Measuring instrument.001.04

 2人の美女は、チョコチップクッキーをチビチビと齧り始めた。それ1つが、反重力バイク3台分と同じ値段なのだ。一口で食べるなんて、勿体なくて、いや畏れ多くてできるはずがない。

超高級な菓子を齧りながら、他愛のない話が続く。

「そうそう、ここに来る途中、信じられないほどの美女に会ったわ。まぁ、会ったというか……、廊下でぶつかったんだけど。あれ、誰かしら……」

「さぁ……。あ、美女といえば、私も1人すごいのを知ってるわ。アテナの友人なんだけど、驚いたことに職業は兵士らしいのよ」

「兵士で美女……。なんだか想像できないわね」
エウドラはそう呟くと、チョコチップクッキーを小さく齧った。

145BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/20(月) 23:11:45
ab.0124.Measuring instrument.001.05

「そういえばビーナスは、今は何の実験をしているの?」

「アテナの下で働いているわ。今は、人間をマゾに変える薬の開発をしているわ」

「人間をマゾに? で、実験は成功したの?」

「ええ。Yurikaという名前の地球人で実験したんだけど、注射したとたんに真性マゾになったわ。エウドラはフリーの仕事を続けてるのね?」

ネオガイア星では、エウドラのように、特定の研究機関には所属せずに、クライアントと個別に契約して実験や開発をするフリーの科学者がいる。

「ねぇ、エウドラ?」
ビーナスがエウドラの顔を見つめた。
「お願いがあるんだけど、いいかしら?」

「何でも言ってちょうだい。ゴルゴーン産のチョコチップクッキーをご馳走になって、断れる訳ないじゃない。もうビーナスの奴隷になってもいいくらいよ!」
エウドラはあながち冗談とは言えない表情で答えた。

「ありがとう。実は、いま話した人間をマゾに変える薬、マゾ化薬なんだけど。効果がある事は分かったんだけど、どの程度の効果があるのかは分かっていないのよ。人間のマゾ性の強さを数値で計測できる、そんな装置を作れないかしら?」

エウドラはしばしの沈黙の後、
「たぶん作れるわ」
と答えた。

 次の日、エウドラは、ビーナスとラミアーを乗せた宇宙船イリオンを見送ると、早速ビーナスの依頼に取りかかった。

146BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/20(月) 23:13:32
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-146 SMスカウター01

147BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/21(火) 09:50:24
ab.0125.Measuring instrument.002.01

『SMスカウター02』

 ラミアーとビーナスが宇宙船イリオンでバカンスに出かけて数日後。エウドラは装置を完成させた。

その機能は、半径1キロメートル以内にいるサディストとマゾヒスストを感知する事ができる。さらに特定の対象者の種族とSM嗜好の内容と強さを測定する事も可能だ。ただし今のところ、判別可能は種族は、ネオガイア星人と地球人だけだ。

装置の形状は、『オペラ座の怪人』の主人公エリックが付けている 額の半分と片目のみを覆うマスクに似ていて、実際に頭に装着する事も出来る。

装置は、SMスカウターと名付けられた。

「とりあえず、テストしてみようかしら」
エウドラはSMスカウターを起動した。SMスカウターに、いくつもの【S】マークが青い光点となって表示された。ちなみにサディストは【S】、マゾヒストは【M】と表示され、ネオガイア星人の場合は青い光点、地球人の場合は赤い光点になる。

測定範囲が1キロメートルなので、スカウターが感知するのは、捕獲された地球人は少しいるものの、ほぼ全てがネオガイア星人だ。

(ネオガイア星人の大半はサディストだというのは本当ね)

実際、スカウターには青い【S】マークしか表示されていない。

エウドラは、測定のスイッチを押した。こうする事で、特定の対象者の種族とSM嗜好をスキャンする事ができるのだ。

『ピピピ……。対象S。オマンコに腕を突っ込んでかき回したい。SM強度120』

『ピピピ……。対象S。睾丸を蹴りたい。SM強度108』

『ピピピ……』

エウドラは満足げに頷いた。SMスカウターの性能は申し分ない。

148BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/21(火) 09:51:02
ab.0126.Measuring instrument.002.02

 エウドラはあちこちの方向にSMスカウターを向けて、スキャンを続けた。

『ピピピ……。対象S。オシッコを浣腸してみたい。SM強度144』

『ピピピ……。対象S。マゾ奴隷の身体を切り刻みたい。SM強度279』

『ピピピ……。対象S。まずは拷問、とにかく拷問、何がなんでも拷問。SM強度666』

「SM強度666のサディスト? 誰かしら……。この方向は、たしかピタゴラス博士の居室ね」

ピタゴラス博士は、サディストが大半を占めるネオガイア星人の中にあっても、群を抜いてサド性が高い事で有名だ。

149BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/21(火) 09:52:09
ab.0127.Measuring instrument.001.03

スカウターに青い【M】マークが1つ表示された。

「え!? 青い【M】という事は、ネオガイア星人のマゾ? 誰なの?」

エウドラが、興味津々といった様子で、測定スイッチを押した。

『ピピピ……。対象M。下等な地球人に虐められたい』

エウドラは興味津々といった表情で、スカウターのモニタを見つめた。次の瞬間、スカウターの数値が一気に上がり始めた。

『ピピピ……SM強度……100、270、480、810……』

「ちょ、ちょっと……、何よ、この数値!?」

『930、999、1000……、測定不能、測定不能、測定ふ……ビィィィ』
SMスカウターが爆発した。

「何なの、今の?」

エウドラは、床に散らばったSMスカウターの残骸を見つめながら、呆然と呟いた。そして、SMスカウターを向けた方向に視線を移した。それは、宇宙軍の白兵戦コマンド部隊の兵舎の方角だった。

150BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/21(火) 09:53:33
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

151BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/24(金) 17:38:08
ab.0128.Cyclops-P.05.01

『キュクロプスP 05』

 ここで物語は数日前、ちょうどエウドラがビーナスのもとを訪れた日に遡る。

ネオガイア星人による地球奪還作戦に、まだ具体的な進捗はなかった。

作戦が始まっていなくても、アルテミスは訓練を欠かさない。今日も自室で腹筋のトレーニングをしていた。見ると、トレーニングウェアで吸いきれなかった汗が、床に小さな水たまりを作っている。

トレーニングを終えると、トレーニングウェアと下着を脱いで全裸になった。汗に濡れて火照った女体がエロチックだ。

3Dミラーを起動して、自分の身体を観察した。先日の自虐オナニーで全身に刻んだ傷が、跡形もなく消えている。医療用アンドロイドは優秀で、たいていの傷は完治させてしまうのだ。

乳房を持ち上げた。巨乳にふさわしい、ずっしりとした重みがある。膨らみの頂点で、ピアスが鈍い光を放っている。

(まだ不死身体質は失われたままみたいね)
不死身体質なら、ピアスは勝手に外れている。

 乳首を貫くピアスを指先で転がした。鈍い痛みが心地よい。
「あぁ……」
おもわず股間に手がのびる――、その動きを、通信回線の呼び出し音が止めた。

152BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/24(金) 17:39:11
ab.0129.Cyclops-P.05.02

「は、はい、アルテミスです」
『アルテミス君。私だ』
相手はメビウス博士だった。
『実は、キュクロプスPの操縦桿の位置を変更したのだ。一度、キミに試乗してもらいたい。ロボット研究所に来てくれたまえ』

(操縦桿の位置を変更? それって……)
アルテミスは、宇宙軍の制服に着替えようとクローゼットにのばした手を、途中で止めた。見ると、ブルーの瞳に淫蕩な光が点っている。

 着替えを終えると、ロボット研究所に向かった。これから起こる事を想像すると、無意識のうちに歩が速くなる。そのせいか、角を曲がったところで、1人の女とぶつかった。

「あ、ご、ごめんなさい」
「いいえ、こちらこそ、ごめ……え!? アナタ、それ……」

その女はアルテミスを見て一瞬ギョッとして何かを言いかけたが、アルテミスは、
「ごめんなさい」
そのまま足早に立ち去った。頭の中は、キュクロプスPの操縦桿の事で一杯だ。

153BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/24(金) 17:40:02
ab.0130.Cyclops-P.05.03

 数分後、ロボット研究所に現れたアルテミスを見て、メビウス博士は目を丸くした。
「な……、何だね、その格好は?」

アルテミスの下半身を包んでいるのは、ネオガイア宇宙軍の制服ではなかった。股下わずか数センチというミニスカートだった。身体を少しかがめただけで下着が覗きそうだ。

「申し訳ありません。部屋を出る直前に制服に飲み物をこぼしてしまって……」
アルテミスは、いかにも恥ずかしそうに答えたが、もちろん嘘だ。

 メビウス博士は、しばしアルテミスの肢体に見とれていたが、アルテミスの視線に気づいて軽く咳払いをした。
「ま、まぁ、着る服がなかったのなら、その格好も仕方ないだろう」
なんとか威厳を保とうと渋い顔を作るが、声が嬉しそうだ。

「さ、さて。キミに来てもらったのは、他でもない。さっき話したように、キュクロプスPの操縦システムを少し変更したのだ。そこでキミに、もう一度テストパイロットをやってもらいたい」

話している間も、メビウス博士は、アルテミスの太股をチラチラ見ていた。スーパーモデルとポルノ女優を掛け合わせたような美脚を見せつけられては、それも仕方ないだろう。

154BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/24(金) 17:41:07
ab.0131.Cyclops-P.05.04

「その新しい操縦システムなんだが……、まずは実物を見てもらおう」
メビウス博士は壁のコントローラーを操作すると、床が自動ドアのようにスライドし、キュクロプスPが姿を現した。外見は、先日と全く変わらない。相変わらず、仮性包茎のペニスに似ている。

「コクピットを見てくれたまえ」
ピタゴラス博士が、キュクロプスPの外殻に手をかけた。そして文字通りペニスの包皮を剥くかのように、ズルズルとずらすと、コクピットがあらわになった。

 アルテミスがコクピットの中を見て、「アァ!」と声をもらした。

ASUKAと模擬戦闘を行った時は普通の形状だったシートが、SMクラブにある三角木馬のような形に変わっているのだ。そして、シートの上には、操縦桿がそそり立つように生えている。まさに、あのヒト型ロボット兵器キュクロプスと同じだ。

(あぁ、私が求めていたのはコレよ! これで、操縦桿をオマンコのアナルに突っ込んで、ズボズボでき……、え?)

欲情に潤ませた瞳で新しいシートを見つめていたアルテミスは、ふと違和感を感じて、
「メビウス博士、シートの上に……」
と、メビウス博士を振り返った。

155BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/24(金) 17:43:16
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-155 キュクロプスP5

156BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/26(日) 18:22:15
ab.0132.Cyclops-P.05.01

『キュクロプスP 05』

 ここで物語は、数日前、ちょうどエウドラがビーナスのもとを訪れた日に遡る。

ネオガイア星人による地球奪還作戦に、まだ具体的な進捗はなかった。

作戦が始まっていなくても、アルテミスは訓練を欠かさない。今日も自室で腹筋のトレーニングをしていた。見ると、トレーニングウェアで吸いきれなかった汗が、床に小さな水たまりを作っている。

トレーニングを終えると、トレーニングウェアと下着を脱いで全裸になった。汗に濡れて火照った女体がエロチックだ。

3Dミラーを起動して、自分の身体を観察した。先日の自虐オナニーで全身に刻んだ傷が、跡形もなく消えている。医療用アンドロイドは優秀で、たいていの傷は完治させてしまうのだ。

乳房を持ち上げた。巨乳にふさわしい、ずっしりとした重みがある。膨らみの頂点で、ピアスが鈍い光を放っている。

(まだ不死身体質は失われたままみたいね)
不死身体質なら、ピアスは勝手に外れている。

 乳首を貫くピアスを指先で転がした。鈍い痛みが心地よい。
「あぁ……」
おもわず股間に手がのびる――、その動きを、通信回線の呼び出し音が止めた。

157BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/26(日) 18:23:13
ab.0133.Cyclops-P.05.02

「は、はい、アルテミスです」
『アルテミス君。私だ』
相手はメビウス博士だった。
『実は、キュクロプスPの操縦桿の位置を変更したのだ。一度、キミに試乗してもらいたい。ロボット研究所に来てくれたまえ』

(操縦桿の位置を変更? それって……)
アルテミスは、宇宙軍の制服に着替えようとクローゼットにのばした手を、途中で止めた。見ると、ブルーの瞳に淫蕩な光が点っている。

 着替えを終えると、ロボット研究所に向かった。これから起こる事を想像すると、無意識のうちに歩が速くなる。そのせいか、角を曲がったところで、1人の女とぶつかった。

「あ、ご、ごめんなさい」
「いいえ、こちらこそ、ごめ……え!? アナタ、それ……」

その女はアルテミスを見て一瞬ギョッとして何かを言いかけたが、アルテミスは、
「ごめんなさい」
そのまま足早に立ち去った。頭の中は、キュクロプスPの操縦桿の事で一杯だ。

158BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/26(日) 18:23:45
ab.0134.Cyclops-P.05.03

 数分後、ロボット研究所に現れたアルテミスを見て、メビウス博士は目を丸くした。
「な……、何だね、その格好は?」

アルテミスの下半身を包んでいるのは、ネオガイア宇宙軍の制服ではなかった。股下わずか数センチというミニスカートだった。身体を少しかがめただけで下着が覗きそうだ。

「申し訳ありません。部屋を出る直前に制服に飲み物をこぼしてしまって……」
アルテミスは、いかにも恥ずかしそうに答えたが、もちろん嘘だ。

 メビウス博士は、しばしアルテミスの肢体に見とれていたが、アルテミスの視線に気づいて軽く咳払いをした。
「ま、まぁ、着る服がなかったのなら、その格好も仕方ないだろう」
なんとか威厳を保とうと渋い顔を作るが、声が嬉しそうだ。

「さ、さて。キミに来てもらったのは、他でもない。さっき話したように、キュクロプスPの操縦システムを少し変更したのだ。そこでキミに、もう一度テストパイロットをやってもらいたい」

話している間も、メビウス博士は、アルテミスの太股をチラチラ見ていた。スーパーモデルとポルノ女優を掛け合わせたような美脚を見せつけられては、それも仕方ないだろう。

159BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/26(日) 18:24:29
ab.0135.Cyclops-P.05.04

「その新しい操縦システムなんだが……、まずは実物を見てもらおう」
メビウス博士は壁のコントローラーを操作すると、床が自動ドアのようにスライドし、キュクロプスPが姿を現した。外見は、先日と全く変わらない。相変わらず、仮性包茎のペニスに似ている。

「コクピットを見てくれたまえ」
ピタゴラス博士が、キュクロプスPの外殻に手をかけた。そして文字通りペニスの包皮を剥くかのように、ズルズルとずらすと、コクピットがあらわになった。

 アルテミスがコクピットの中を見て、「アァ!」と声をもらした。

ASUKAと模擬戦闘を行った時は普通の形状だったシートが、SMクラブにある三角木馬のような形に変わっているのだ。そして、シートの上には、操縦桿がそそり立つように生えている。まさに、あのヒト型ロボット兵器キュクロプスと同じだ。

(あぁ、私が求めていたのはコレよ! これで、操縦桿をオマンコのアナルに突っ込んで、ズボズボでき……、え?)

欲情に潤ませた瞳で新しいシートを見つめていたアルテミスは、ふと違和感を感じて、
「メビウス博士、シートの上に……」
と、メビウス博士を振り返った。

160BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/26(日) 18:25:44
◆ 目次 ◆
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>>85-107 キュクロプスP01〜04

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>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-160 キュクロプスP5

161BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/29(水) 17:41:09
ab.0136.Cyclops-P.06.01

『キュクロプスP 06』

「ん? 気づいたかね?」
メビウス博士がさらに自慢げに笑った。
「ASUKAとの模擬戦闘実験でキミが言った『操縦桿を挿入』と言葉がヒントになったのだよ」

メビウス博士が自慢げに説明し始めたが、未来の時間軸からタイムトラベルしてきたアルテミスは、その特殊な操縦システムの事はすでに知っている。アルテミスが違和感を感じたのは、キュクロプスPのシートに生えている操縦桿の本数だ。

ヒト型ロボット兵器キュクロプスの操縦桿は2本で、パイロットはそれをオマンコとアナルに挿入して機体を操るのだが、目の前のキュクロプスPのシートには、オマンコとアナルに挿入するらしき2本の太い操縦桿の他に、細い操縦桿が1本生えているのだ。

162BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/29(水) 17:41:49
ab.0137.Cyclops-P.06.02

(この細い1本は、まさか……)
アルテミスの喉が、コクリと上下した。

「パイロットはあの3本の操縦桿の内、太い2本をオマンコとアナルに、そして細い1本を尿道に挿入して操縦するのだ」

(あぁ、やっぱり。尿道に挿入するんだわ!)
メビウス博士の話を聞いて、アルテミスはおもわず甘い吐息をもらした。

 未来の記憶にあるヒト型ロボット兵器キュクロプスとは色々な点で食い違いが生じているが、今のアルテミスには、そんな事はどうでもよかった。

(あぁ……、早く、早くアレを3つの穴に挿れたい!)
アルテミスは、舌なめずりをするような目で3本の操縦桿を見つめた。すでにオマンコはしどろに濡れている。注意深く観察すれば、内腿を伝う淫液のスジが見えるだろう。

163BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/29(水) 17:42:22
ab.0138.Cyclops-P.06.03

「私は、この操縦桿を敏感な部分に挿入しなくてはならないのですね?」
そう尋ねるアルテミスの声は、どことなく淫靡な響きを含んでいる。

「ん、うむ。マゾでもないキミには少し大変かもしれないが、任務だと思って耐えてくれたまえ」
一方メビウス博士の声は、少し遠慮がちだ。この時間軸の世界では、アルテミスがマゾだという事を、まだ誰も知らないのだ。

「はい。私もネオガイア宇宙軍の兵士です。耐えてみせます」
アルテミスはネオガイア宇宙軍式の敬礼をした。もっとも本心では、早く操縦桿を敏感な穴に挿入したくて仕方ないのだ。

164BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/29(水) 17:42:53
ab.0139.Cyclops-P.06.04

「スカートを脱ぐ必要がありますね」

 みると、アルテミスのスカートは、前の部分にボタンが6つ縦に並んでいる。フロントボタンスカートというデザインで。四角形の布をを腰に巻いて、ボタンで留めているだけなのだ。だからボタンを全て外せば、スカートは1枚の布に戻り、床に脱げ落ちてしまう。

アルテミスが、いかにも恥ずかしそうに顔を横にそむけながら、ボタンに手をかけた。そして、必要もないのに、両足を肩幅よりも広く開く。

 下から順番にボタンを外し始めた。両足を開いているので、ボタンを1つ外すごとに、股下わずか数センチというミニスカートの前部分がスリットのように大きく開いていく。徐々にあらわになっていく、太くはないがムッチリと肉感的な太股が、実にエロチックだ。

下から3つまでボタンが外れた。メビウス博士の喉が、グビグビと音をたてた。

アルテミスが4つめのボタンを指でつまんで、
「おかしいわね。外れないわ?」
と、いかにも困った風に独り言を呟いた。

165BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/29(水) 17:43:35
ab.0140.Cyclops-P.06.05

「メビウス博士、ボタンが引っかかっているみたいです。外していただけませんか?」

「ボ、ボタンを……?」

「はい。お願いします」
アルテミスは両足を開いたまま、その必要もないのに両手を頭の後ろで組んで、腰を前方に突き出した。

メビウス博士が下から4つめのボタンを指でつまんで、軽くひねった。ボタンはあっさりと外れた。それも当然で、実はボタンが外れなかったのは、アルテミスの演技だった。

(ん? 簡単に外れるぞ?)
メビウス博士は訝しげな表情を一瞬浮かべたが、眼前のアルテミスの太股を見ると、ゴクリとつばを飲み込んで、5つめのボタンに指をかけた。

5つめのボタンが外れた。両脚を左右に開いていたせいで、すでにはち切れそうになっていたスカートの前部分が、ガバッと開いた。黒いレースのパンティに包まれた下半身がむき出しになる。

166BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/29(水) 17:44:08
ab.0141.Cyclops-P.06.06

「オォ……すごい」
メビウス博士はおもわず呟いた。

アルテミスは淫液の分泌量が異常に多く、ニオイも強い体質だった。しかも、ここロボット研究所には、先ほど自室でのトレーニングでかいた汗をわざと流さないで来ていた。そのため、スカートの前部分が開いたとたん、汗と淫液をブレンドされたニオイがムワッと拡がった。

(なんという卑猥さだ。キュクロプスPのあの天才的な操縦技術を見ていなかったら、とても兵士とは信じられないところだ)

メビウス博士は、鼻をクンクン鳴らしながら、むせかえるようなメスのニオイを愉しんだ。

メビウス博士が、最後のボタンを指でつまんだ。女性服には詳しくないが、そのボタンを外せばどうなるかは、スカートのデザインを見れば分かる。喉がゴクリと音をたてた。何度唾を飲み込んだのか、もう本人にも分からない。

最後のボタンが外された。6つのボタンによってミニスカートの形を与えられていた布は、本来の姿を取り戻し、床に落ちた。

アルテミスの下半身を覆う物は、黒いレースのパンティ1枚だけとなった。それも、紐を腰の左右で結んで穿く、俗にいう紐パンだ。

「パンティも脱がせて下さい」
そう言うアルテミスの声は、蕩けるように甘い。

メビウス博士が、パンティを留めている紐の端をつまんで、ゆっくりとひっぱった。

結び目がほどけた。淫液をたっぷりと吸ったパンティが床に落ちて、ベチャッと音をたてた。

167BiBi ◆8cBPUextJk:2018/08/29(水) 17:45:22
◆ 目次 ◆
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168BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/03(月) 21:00:59
ab.0142.Cyclops-P.07.01

『キュクロプスP 07』

 アルテミスの下半身を覆う物はなくなった。秘裂をかろうじで隠しているのは、陰毛だけだ。見ると、毛先に淫液の水玉がついている。

メビウス博士が、陰毛の隙間から覗く金属に気付いた。
「アルテミス君、その金属は……」

「ピアスですわ。宇宙軍の女性兵士の間で流行っているんです」
もちろん嘘だ。本当は、数日前の自虐オナニーで付けたピアスだ。

 アルテミスがキュクロプスPに乗り込むため、機体に片手をかけた。コクピットの高さは、床から約1.5メートル。アルテミスなら一気に飛び乗る事が可能だが、わざとゆっくりと機体によじ登り始めた。途中何度も、背後に立つメビウス博士の位置を横目で確認しては、オマンコと肛門がよく見えるように、腰の向きを調整した。

キュクロプスPの機体に登った時には、すでにオマンコは淫液でドロドロになっていた。見ると、キュクロプスPの機体に、したたり落ちた淫液が跡を作っている。

169BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/03(月) 21:01:31
ab.0143.Cyclops-P.07.02

 コクピットに潜りこんだ。アルテミスがコクピット内に入ると、キュクロプスPの外殻が自動的に閉じた。

アルテミスは鋭角にとがったシートに今すぐにでも跨りたいのを我慢して、あたらめてコクピット内を観察した。

 シートは、SMクラブにあるような三角木馬にそっくりだ。全体は弾力のあるゴムのよう材質でできているが、三角形の頂点の部分は硬い金属板で覆われている。シートに跨れば、金属製の角が股間に食い込む事になる。

「素敵……」
アルテミスは、思わず呟いた。

シートの上には、3本の操縦桿がそそり立つように生えている。2本はオマンコとアナルに、1本は細く尿道に挿入する。

操縦桿のサイズは、オマンコと肛門用がトウモロコシくらい、尿道用が鉛筆くらいある。3本とも形はペニスそっくりで、ご丁寧に亀頭部分には尿道口が、陰茎部分には血管が再現されている。

 ASUKAとの模擬戦闘時にあった、ひじ掛けは取り外されている。その代わりというべきか、シートの前面部にレバーが2つある。またシートの左右には、ペダルのような物が取り付けられている。これだけを見ると、なんとなく自転車を連想させた。

170BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/03(月) 21:02:05
ab.0144.Cyclops-P.07.03

(あぁ……、オマンコとアナルだけでなく、オシッコの穴までズボズボできるのね)
アルテミスは、3本の操縦桿を指で愛しげに撫でた。

唇をベロリと舐めると、なかば無意識のうちに操縦桿に顔を近づけていった。口をOの字に開き、操縦桿に舌をのばす。

『聞こえるかね?』 
舌先が操縦桿に届く寸前、コクピットに備え付けの通信機からメビウス博士の声がした。

「は、はい。聞こえます」
ハッと我に返って、操縦桿から顔を離した。

171BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/03(月) 21:02:37
ab.0145.Cyclops-P.07.04

『正面メインモニタの上に、小さなカメラが設置されている。それの電源をONにしてくれたまえ』

「カメラですか?」
見ると、たしかにメインモニタの上あたりに、小さなカメラが設置されている。着脱が可能なタイプだ。

『そのカメラを通して、キミがキュクロプスPを操縦しているところを見たいのだ』
「私が操縦している所を……ですか?」
アルテミスの瞳に、淫蕩な光が点った。

 アルテミスはカメラを取り外すと、オマンコ用とアナル用の操縦桿の間に、天井を見上げるような向きに取り付けた。これで、シートに跨れば、股間を下から見上げるように映す事になる。その映像は、メビウス博士に中継される。

電源をONにした。

『ん? カメラの向きが変だな』
通信機からメビウス博士の訝しげな独り言が聞こえたが、アルテミスは聞こえないフリをした。

172BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/03(月) 21:04:09
◆ 目次 ◆
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>>151-172 キュクロプスP5〜7

173BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/07(金) 19:57:52
ab.0146.Cyclops-P.08.01

『キュクロプスP 08』

 アルテミスはペダルに足をのせて、シートに跨った。まだ腰は浮かせたままで、操縦桿は挿入していない。

両脚をガニ股に開いた。そのまま、ゆっくりと腰を下ろしていく。操縦桿の先端が股間に接触する手前で、腰の位置を止めた。この時には、両脚はガニ股というよりも、相撲の四股(しこ)のように開かれている。

『…………』
通信機からは、メビウス博士の息遣いだけが聞こえる。シートのカメラを介して、オマンコとアナルが余すところなく見えているはずだ。

(あぁ、オマンコもアナルも丸見えなのね)
アルテミスは四股立ちのまま、すでに十分に開いている尻の左右の肉を、両手でさらに大きく割り開いた。肛門をヒクヒクさせた。排泄のための肉穴が、プックリと膨らんでは窄まるのを繰り返す。

174BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/07(金) 19:59:46
ab.0147.Cyclops-P.08.02

 2本の太い操縦桿の先端をオマンコと肛門の入り口に、細い1本を尿道口に当たるように、腰をずらして位置を調節した。

(オマンコとアナルの同時挿入の経験は何度もあるけど、尿道も一緒というのは初めてだわ。どんなに痛いのかしら……、どんなに気持ちいいのかしら?)

舌で唇をベロリと舐めた。瞳には狂気の光がともっている。

一気に腰を落とした。ズブッという音が聞こえてきそうな勢いで、3本の操縦桿が肉穴に突き刺さった。

「あひぃいいいいいいいいい……」
コクピットの中に、悲鳴とも嬌声とも区別のつかない声が響き渡った。

『だ、大丈夫かね?』
通信機から、メビウス博士の戸惑い気味の声がした。まさかアルテミスが操縦桿を一気に挿入するとは思っていなかったのだ。

「アァ……、た、堪らないわ」
アルテミスが歯を噛みしめた。奥歯がギリギリと音をたてる。

175BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/07(金) 20:00:34
ab.0148.Cyclops-P.08.03

『無理なら、いったん中断してもかまわんのだよ?』
メビウス博士はアルテミスの性的嗜好を知らないので、『堪らないわ』の意味を完全に取り違えていた。
『尿道用の操縦桿を取り外して、後日やり直せば……』

「ダメ!」
おもわず叫んでいた。せっかく敏感な3つの肉穴を操縦桿で滅多尽きにできるのに、中断されたくない。

『そ、そうか。では、さっそくキュクロプスPを動かしてくれたまえ。操縦マニュアルは、サブモニタを見てくれたまえ』
見ると、メインモニタの下に小さなモニタがあって、そこに操縦マニュアルが表示されている。

キュクロプスPの操縦方法は、ヒト型ロボット兵器キュクロプスと基本的に同じだった。宇宙戦闘機のA級ライセンスを持つアルテミスなら、問題なく操縦できる。

176BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/07(金) 20:01:19
ab.0149.Cyclops-P.08.04

『ではガイドに沿って、格納庫内を移動させてくれたまえ』
広々とした格納庫内に、矢印のライトがいくつも表示された。

「はい」
アルテミスは、キュクロプスPを床上1メートルほどの高さに浮上させると、格納庫の中を、矢印に沿って移動させた。

『うぅむ、すばらしい。さすがだ』
はじめて操縦したとは思えない、その滑らかな動きに、メビウス博士が驚嘆の声をもらした。
「ありが……とうございます」
そう答えるアルテミスの声は、少し上ずっている。

操縦桿が敏感な肉穴を刺激するのだ。操縦桿に貫かれたオマンコはすでに淫液まみれで、肛門も粘液でじっとりと濡れている。

『次は、宇宙空間を飛ばしてもらおう。少し激しい動きになるが、我慢してくれたまえ』

「激しい動き? アァ……、は、はい。耐えてごらんにいれますわ!」

格納庫の外殻ハッチが開くや否や、アルテミスは腰を前方に突き出して、一気に宇宙に飛び出した。敏感な肉穴をこすられる恥痛が、マゾの脳を蕩けさせる。

177BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/07(金) 20:02:42
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-177 キュクロプスP5〜8

178BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/09(日) 08:54:47
ab.0150.Cyclops-P.09.01

『キュクロプスP 09』

 宇宙空間に、直径100メートルほどの光のリングが30個ほど出現した。見ると、1から30まで番号がふられている。
 
『まずはキュクロプスPの機動性をテストする。そのリングを、1から順番にくぐってくれたまえ』

「はい」
アルテミスはキュクロプスPを巧みに操り、あっという間に1から30までくぐってみせた。敏感な肉穴をこすられるのは快感だったが、この程度の快感で操縦に支障をきたすような事はない。

『うぅむ、素晴らしい。では、少しずつ難度を上げていくぞ?』
メビウス博士が手元のコントローラーを操作した。

すると、各々のリングの直径が狭くなり、さらに不規則に動き始めた。これをくぐるのは至難の業のはずだが、アルテミスはあっさりとやってのけた。

その後、レーザー砲の発射テストも実施されたが、アルテミスは命中率100パーセントという驚異的な結果をたたき出し、メビウス博士を驚愕させた。。

メビウス博士は、はじめはモニタに映し出されるアルテミスの股間の映像に見入っていたが、最後にはその天才的な操縦技術に純粋に感心していた。

179BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/09(日) 08:55:22


ab.0151.Cyclops-P.09.02

「メビウス博士?」

『ん? 何だね?』

「キュクロプスPの操縦に慣れておきたいので、少し自由に飛んでもかまいませんか?」

『ん? あぁ、もちろんだ。機動性とレーザー砲のテストは終わったから、あとは自由に飛んでくれたまえ』

「あ、ありがとうございます!」

アルテミスは、嬉々と答えた。まるでデートの申し込みで『OK』の返事をもらった女子高生のようだ。

180BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/09(日) 08:56:17
ab.0152.Cyclops-P.09.03

 アルテミスは、ゆっくりと腰を浮かせ始めた。オマンコと肛門、そして尿道から、操縦桿がズルズルと引き抜かれてくる。完全に引き抜かれる直前で動きを止めた。

(不死身体質でなくなって、処女膜を突き破られる痛みを味わえないのがちょっと残念だわ)

そのまま一気に腰を落とした。3本の操縦桿が、再び付け根まで肉穴に突き刺さった。

「ぐ……!」
アルテミスの奥歯がギリギリと音を立てた。

シートの上を見ると、尿道用の操縦桿の付け根に血がたまっている。弱い尿道の粘膜が傷ついたのだ。

「さぁ、本番はこれからよ」
唇をベロリと舐めると、ハンドルとペダルにのせた手足に力を込めた。

181BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/09(日) 08:57:02

ab.0153.Cyclops-P.09.04

 アルテミスが、腕と脚の筋力の全てを使って、ものすごい勢いで腰を上下させ始めた。
「あ、あぁ……、い、いい……! すごい、すごいぃ……」
息も絶えだえになりながら、喘いだ。

グジュグジュという音に混じって、カラカラといピアスと操縦桿が擦れる音が聞こえる。見ると、カニが噴く泡のように、オマンコからあふれ出た淫液がブクブクと泡状になっている。ただしカニの泡と違って、尿道から流れ出た血で赤い色をしている。

「アヒ、アヒ、アヒ……ふぎぃぃぃ……ングゥゥゥ……」
噛みしめた歯の隙間からも、泡状のヨダレが流れ出た。ヨダレは顎を伝って、Gカップの巨乳の上にボタボタと滴り落ちた。

182BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/09(日) 08:57:43
ab.0154.Cyclops-P.09.05

 慌てたのは、モニタ越しにキュクロプスPの動きを観察していたメビウス博士だった。

アルテミスが腰を動かすたびに3本の操縦桿も激しく動くので、キュクロプスPがデタラメに飛行するのだ。もっともアルテミスは宇宙戦闘機のA級ライセンスを持つ優秀なパイロットなので、どんなに激しく腰を動かしても、キュクロプスPの機体をオリンポスや他の障害物に衝突させるような事はない。

『アルテミス君? キュクロプスPの動きが異常なんだが、大丈夫かね?』

「は……い、だ、大丈夫です。キュクロプスPが……激しい動きに耐えられるか……テストしてい……アァアアア! イ、イイ! して……います」

『そ、そうか。それなら問題ない。うむ、もっと続けてくれたまえ』
メビウス博士は手元のモニタを見ながら、唾をグビグビ飲み込んだ。

そこには、操縦桿で抜き挿しされるオマンコとアナル、そしてオシッコの穴が映っている。動きに合わせて通信機から聞こえるのは、淫猥な喘ぎ声だ。

その喘ぎ声が切迫したような嬌声に変わり、カメラに何か液体がかかるのが映った。アルテミスが潮を噴いたのだ。

次の瞬間、バキンと音がして、モニタの画像が消えた。

『アルテミス君!? どうしたのだね? カメラが映らなくなったぞ? 大丈夫かね?』

「ハァ、ハァ、ハァ……、メ、メビウス博士……。操縦桿が……根元の部分で折れてしまいました」
そこで、通信が切れた。

183BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/09(日) 08:59:09
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

184BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/12(水) 17:43:55
ab.0155.Artemis Holiday.01.01

『アルテミスの休暇 01.01』

 操縦桿の1本を失ったキュクロプスPは、自動操縦で宇宙船オリンポスに帰還した。

アルテミスはオリンポスの治療室に搬送された。医療用アンドロイドの診察で、尿道にひどい擦過傷が見つかった。ただし、グレイの技術を転用した治療液があるので、完治するのにさほど時間はかからなかった。

 治療を終えたアルテミスを、メビウス博士が見舞った。

「アルテミス君。傷のことは医療用アンドロイドから聞いたよ。申し訳ない事をしたね」

メビウス博士は、自分の開発した操縦桿が原因でネオガイア宇宙軍兵士が負傷したので、かなり落ち込んでいる様子だった。

「お気になさらないで下さい。それよりも私のせいで、キュクロプスPの操縦桿が折れてしまいました。これでは新しい操縦桿のテストは、いったん中止するしかありませんわね」

「テストはほぼ全項目が完了したから問題ないよ。あとはErectionモードの起動チェックだけだが……、それは後回しでいいだろう」

「Erectionモード? 何ですか、それは?」

「ん? まぁいずれ話すよ。それよりも、操縦桿で怪我をさせてしまったお詫びという訳ではないが……、休暇はいらないかね? なんならキミの上司のペルセウスに話してもかまわんよ?」

「休暇……ですか」
アルテミスは無言になり、何か考え事を始めた。

185BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/12(水) 17:44:36
ab.0156.Artemis Holiday.01.02

 アルテミスに1週間の臨時休暇が与えられる事になった。同僚のテッセウスは、上官のペルセウスからその話を聞いて素っ頓狂な声をあげた。

「アルテミスに1週間の臨時休暇!?」

テッセウスが驚くのも当然で、地球奪還作戦を控えているこの時期に、常に最前線で戦う白兵戦コマンドに1週間の休暇が与えられるのは異例の事なのだ。

「隊長、俺も休暇をもらっていいですか?」

「ダメに決まっているだろ。休暇なら俺だって欲しいのだ」
白兵戦コマンド隊長ペルセウスが、呆れたように答えた。

「そうですよねぇ。1週間の休暇か。いいなぁ、アルテミスのやつ。で、アルテミスはどこかに行くんですか?」

「ん? 本人の希望で、地球に降下する事になった」

「地球に!? いいのですか? 今は地球奪還作戦の前ですよ?」

「まぁ彼女なら心配いらないだろう。通信機も携帯するし、いざとなったら物質転送装置で呼び戻せるからな」

(しかしアルテミスのやつ、なんで地球なんかに……。地球人を襲って拷問する気なのかな?)
テッセウスは不思議そうに首を傾げた。
(そういえば……、あいつが誰かを拷問したって話を聞いた事ないな……)

テッセウスはアルテミスがマゾだという事を知らなかった。

186BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/12(水) 17:46:48
◆ 目次 ◆
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187BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/14(金) 19:47:24
ab.0157.intermission

*これは本編ではありません。

『動物園の理沙』の元ネタは、オリジナルストーリー『生体実験』
http://eirian.x.fc2.com/honkan.html
の第5, 14, 56, 85, 114話をお読み下さい。

注)オリジナルストーリーのサイトは、TOPページにHな画像が表示されます。周囲の目に注意して下さい。

この後、本編に戻ります。

188BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/14(金) 20:20:55
ab.0158.Risa.001.01

『動物園の理沙 1』

 ネオガイア星人に誘拐された地球人は、工藤明日香と梅本由梨香だけではなかった。

ネオガイア星人は、宇宙船オリンポスからX線望遠鏡で狙いを定め、物質転送装置で誘拐した。宇宙人の存在にすら気づいていない地球人に、身を守る術はなかった。

著名人が誘拐されたのならともかく、被害者は皆ごく普通の一般人だったので、話題になる事すらなかった。

家族が警察に失踪届けを出しても、担当の警察官が失踪者の名前などを書類に記入するだけだ。それでも、「家出じゃないの?」と面倒くさそうに言われた以前と比べたら、随分と改善した方だ。

 工藤明日香に梅本由梨香と、日本人女性の誘拐が続いているのには、理由があった。物質転送装置を管理しているのは、アリストテレスというネオガイア星人の男だが、彼の好みのタイプは大人しくて可憐な女だった。

アリストテレスは地球の映画か何かを観て、日本女はおとなしくて恋人や夫に従順なのだと勘違いしてしまい、誘拐の標的に日本女を選ぶようになったのだ。

189BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/14(金) 20:21:41

ab.0159.Risa.001.02

 20歳の女子大生、阿部理沙も誘拐された1人だった。

花火大会の会場から宇宙船オリンポスに転送された理沙の前に、アテナと名乗る金髪碧眼の美女が現れて、
「あなたは生体標本として私達の本国へ生きたまま送られます」
と告げた。

 理沙は金属性のカプセルのような物に押し込まれた。しばらくするとカプセルの内部にガスが噴出して、理沙はそれを吸い込むと意識を失った。

理沙が入ったカプセルは小型宇宙艇に載せられた。宇宙艇はオリンポスから射出され、自動操縦でネオガイアの母星に針路をとった。

宇宙艇はワープを繰り返し、2週間後にネオガイア星に到着した。そこで、理沙はいくつかの身体検査をされた後、動物園で飼育される事になった。

190BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/14(金) 20:22:17
ab.0160.Risa.001.03

 動物園で、理沙は人気者になった。ネオガイア星人の先祖の星に棲息する生物というプロフィールに加えて、男のアリストテレスが自分の好みで選んだだけあって、容貌にも恵まれていたのだ。

理沙が飼育されている檻は比較的清潔で、最低限度の食事も与えられた。衣服は着用できなかったが、ネオガイア星は惑星規模で気候をコントロールされているので、寒くはなかった。

そんな訳で、理沙は檻から出たいとは思わなかった。檻から出ても、地球人を家畜としか思っていない宇宙人の街を独りでさまようだけだ。そんな事なら、動物園の檻の中にいる方が安全なのだ。

 しかし、そんな生活も長く続かなかった。客が理沙に飽きてきたのだ。理沙目当てで来園する客が減っていくにつれて、理沙の待遇も悪くなっていった。4畳半ほどの狭い檻に移され、ついには餌の支給もストップした。

「これからは餌は自分で手に入れろ。客に芸を見せて、餌を買ってもらうんだ」
空腹を抱えた理沙に、動物園の園長は冷たく言い放った。

しばらくは歌やダンス、地球にいた頃に見たお笑い芸人のネタなどを披露して餌にありつけたが、それも飽きられた。

191BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/14(金) 20:24:07
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>>187-191 動物園の理沙

192BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/18(火) 12:21:57
ab.0161.Risa.002.01

『動物園の理沙 2』

(地球で観たお笑い芸人と全く同じ芸をしているのに、どうしてこんなに早く飽きられてしまうの?)

理沙は気づいていなかったが、お笑い芸人が同じネタを繰り返してもウケるのは、初めから笑う気満々のファンの共感によるところが大きい。だから地球人の理沙がネオガイア星の動物園で芸をしても、すぐに飽きられてしまうのだ。

(もうエッチな芸しか残っていないのかしら……)

悲観にくれる理沙のお腹が、グゥーと鳴った。この3日間、口にしたのはバナナ2本だけだ。

(やるしかないわ。ここは地球じゃないわ。だからどんな卑猥な事をしても、家族や友達に見られる心配ないのよ)

そう考えると多少は気が楽になったが、同時に、自分が故郷から遠く離れた星にいるという現実を、あらためて思い出してしまった。

193BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/18(火) 12:22:30
ab.0162.Risa.002.02

 次の日も、動物園は定刻通りにオープンした。

「今からオナニーをします。とてもエッチなオナニーショーですよ」

理沙は、檻の前を歩くネオガイア星人に必死に声をかけた。しかし興味を示したのは数人だけだった。十分な餌を確保するには、まだまだ不足だ。

「え、えぇと……、数千光年離れた幻の星、地球に棲息するという珍獣のオナニーです。今を逃したら、もう見られないかも知れませんよ!」

このとっさのアドリブが功を奏した。何人ものネオガイア星人が歩を止め、檻の前に観客の集団ができた。

 理沙はその場で仰向けになって、両足を広げた。全裸なので、オマンコが丸見えだ。

(あぁ、オマンコが丸見えだわ)

理沙は、恐るおそる顔を持ち上げた。目に入ったのは、ネオガイア星人たちの蔑みに満ちた顔だった。

(あぁ、そんな蔑んだ目で見ないで! せめていやらしい目で見て)

最初は食料のためと割り切っていたが、あまりにも惨めで、おもわず両眼を閉じた。

「オイ、珍獣。目を開いてこっちを見ろ。でないと餌を買ってやらないぞ?」
観客の1人がヤジをとばした。

(あぁ……、どこまで私を辱しめれば気が済むの?)
開いた両目から、涙で溢れ出てきた。

194BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/18(火) 12:23:03
ab.0163.Risa.002.03

 理沙は、ネオガイア星人をまっすぐ見つめ返すと、
(私はオナニーを見られて悦ぶマゾよ。マゾよ。マゾよ。マゾなのよ)
そう自分に言い聞かせながら、オマンコを弄り始めた。

オマンコがグジュグジュと音を立てた。
(気持ち良くなってきたわ。このまま最後まで……)
理沙は快感だけに全神経を集中させた。

「あ、あぁ……いいわぁ。き、気持ちいい……」
喘ぎ声が切迫している。

「あ、あ、す、すごい……オ、オマンコ良すぎぃぃぃ……」
開いていた両膝が、開閉を繰り返した。オマンコを弄る手の動きが、どんどん早くなっていく。もう一方の手を口に咥えて、強く吸った。

「う、うあぁあああ……イ、イク、イク、イ……グゥゥゥ!」
仰向けのまま身体が弓なりに反りかえった。オマンコを弄る指の隙間から、潮が噴き出した。

195BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/18(火) 12:23:38
ab.0164.Risa.002.04

「珍獣っていうから期待したけど、普通のオナニーじゃないか」
「ただの露出狂の変態じゃないの?」

ネオガイア星人たちのそんなささやき声が、絶頂の余韻にふける理沙の耳に届いた。

(ダメだわ。まだインパクトが足りない。これでは十分な餌にありつけない)

身体を起こして、周囲をキョロキョロと見回した。

(どうすればいいの?)

最近は満足に身体も洗わせてもらえないので、淫液や汗のニオイがひどい。

(あぁ、惨めだわ。せめてシャワーだけでも浴びたい。シャワー……ニオイ……、そうだわ、それよ!)

「皆様、この珍獣には、面白い習性があります」
理沙は、立ち去ろうとするネオガイア星人を呼び止めた。

196BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/18(火) 12:24:10
ab.0165.Risa.002.05

「それは、自分の出した淫液を舐めとるという習性です。なぜかというと……」
理由を頭の中で考える。

「この珍獣の淫液は異常に臭くて、そのニオイを嗅ぎつけて天敵の肉食獣がやって来るからです。だから、恐ろしい肉食獣から身を守るために、自分の淫液を舐めとる必要があるのです」

そう言って、理沙は、淫液まみれになった自分の身体を舐め始めた。

「オイ、地面にも淫液が撒かれているぞ?」
ネオガイア星人の声が飛ぶ。

「は……、はい。もちろん地面の淫液もきれいに舐め取ります」
理沙は、淫液が飛び散った地面に舌を這わせた。

「そんな習性があるのか。地球人は俺たちネオガイア星人と共通の先祖を持つという話を聞いたが、全く別の進化を遂げたんだな」

「はい。か……下等生物ですから……」
理沙の両目から屈辱の涙が地面にこぼれ落ちで、淫液に混じった。

 理沙の珍獣オナニー芸は屈辱だったが、ネオガイア星人には好評で、連日のように大勢の客が動物園にやって来た。こうして理沙は、久しぶりにお腹いっぱい餌を食べる事ができた。

197BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/18(火) 12:25:39
◆ 目次 ◆
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>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

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>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-197 動物園の理沙

198BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/20(木) 11:20:33
ab.0166.Risa.003.01

『動物園の理沙 3』

 理沙は、動物園が閉園した後は、新しい芸の開発に務めた。淫液を舐めとる珍獣オナニー芸は、たしかにネオガイア星人に好評だが、その人気もいつまで続くか分からないのだ。

幸い、地球にいた頃にお笑い番組をよく観ていたので、参考になるお笑い芸人を何人も知っている。理沙は、人気の芸人をベースに、新しい芸を次々と考え出した。

 しかし苦労して考えた芸も、いざ動物園で披露する場面を頭の中でシミュレーションしてみると、ネオガイア星人にウケるとはどうしても思えないのだ。

「そういえば私、お笑い番組を観て笑った事なんてあったかしら?」

理沙は、今までに観たお笑い番組のいくつかを思い出してみた。

「芸人が何かをするたびに、共演者や番組スタッフは大きな声で笑っていたけど、私はお腹がよじれるくらい笑った事なんて一度もないわ。ここはネオガイア星よ。何をやっても身内に笑い声を発してもらえる、そんな甘い世界じゃないわ」

こうして理沙は、地球で観たお笑い芸人のネタを参考にするのをやめた。そして身内ではなく、客にウケる芸の開発に心血を注ぐことを誓うのだった。

199BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/20(木) 11:21:14
ab.0167.Risa.003.02

(舞台は動物園だから、基本は珍獣芸でいいわ。問題はネタの中身ね。何がいいかしら?)

両眼を閉じて、頭の中に、舞台となる動物園の檻を思い浮かべる。

(考えるのよ、理沙。まず、客はネオガイア星人ね。ネオガイア星人といえばサディスト。じゃあ自虐SMショー?)

「ダメよ!」
理沙は首を大きく横に振った。
「そんなのは、ただの露出狂の自虐オナニーと変わらないじゃない! 芸とは呼ばないわ。お笑いは、客との戦いなのよ!」

理沙は思考を巡らせた。

(これが地球の動物園なら、身内が大爆笑してくれるのかしら……。あ……眠いわ……)

結局その日は、新しい芸は思い浮かばず、いつの間にか眠っていた。他の檻にで飼育されている動物たちが笑ってくれる夢を見た。

200BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/20(木) 11:21:48
ab.0168.Risa.003.03

 新しい芸が思い浮かばなくても、理沙は芸をして、その日の糧を客に買ってもらわなくてはならない。

幸い珍獣オナニー芸は好評で食料には困らなかったが、芸のたびに潮を噴かないといけないのが問題だった。

肉食獣から身を守るために淫液を舐めとってニオイを消す珍獣――
、この設定には、どうしても潮を噴かなくてはならない。しかし朝からぶっ通しでオナニーをするので、夕方には、絶頂を迎えても潮が出てこないのだ。

(私には芸人の才能がないのかしら……。せめて1度でいいから、全国放送のお笑い番組に出たかったな……)

そんな事をぼんやりと考えながら、理沙は、飼育係から与えられた雑巾で、淫液と唾液まみれの身体を拭いた。身体の汚れを落とすこの瞬間が、心が最も休まるひとときだ。

(下半身がベトベトで臭いわ。まるで別人の身体みたい)

そう思った直後、ハッとして雑巾を握る手の動きを止めた。

(え、いま何か閃きかけたわ。別人の身体? 別人の下半身、別人の、別人の……。あ! 新しい芸を思いついたわ!)

理沙は雑巾をギュッと握りしめた。吸い取った淫液がポタポタと滴り落ちた。

201BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/20(木) 11:23:00
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-201 動物園の理沙

202BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/21(金) 20:46:22
ab.0169.Risa.004.01

『動物園の理沙 4』

 次の日も、動物園は定刻通りに開園した。ネオガイア星人の客たちが、目当ての動物の檻に移動していく。

見ると、理沙の檻の前にも、人だかりができる。目当ては珍獣オナニー芸だ。もっとも、観客が何人いようと、餌を買ってもらわなかったら意味がない。

「数千光年離れた地球で捕獲された幻の珍獣アベリサよ」
早速、理沙は客たちに自分をアピールし始めた。

(さぁ、新しい芸の披露よ)
緊張のせいで、心臓がドキドキしている。しかし顔の笑みは絶やさない。

203BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/21(金) 20:47:18
ab.0170.Risa.004.02

「今まで内緒にしていたけど、実はこの珍獣は二重人格獣なの」

そう話しながら、客の反応を観察した。まだ反応が弱い。

「でも普通の二重人格とは違うわ。なんと半身二重人格獣なの」

客の興味が少し高められた。

「上半身と下半身に、サディストとマゾ、別々の人格が宿っているの」

檻の前を通り過ぎようとしていたネオガイア星人が立ち止まり、ゾロゾロと集まってきた。理沙の狙い通り、ネオガイア星人は大半がサディストなので、SMネタには反応が良い。

「2つの人格は、生理のたびに入れ替わるの。ちなみに今は、上半身はサディスト、下半身はマゾよ」

かなりの数の観客が集まった。いよいよ新ネタを披露する時だ。理沙の喉がゴクリと音を立てた。

204BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/21(金) 20:48:09
ab.0171.Risa.004.03

「今から、上半身が下半身を虐めるわ。名付けて、ハーフ&ハーフSMショーよ」

 理沙は平手で、自分の太股や尻を叩き始めた。

「アァン、アァン、上半身さま、もっと叩いてください。上半身さまの上腕二頭筋、とっても太くて硬いわぁ」

ただ卑猥なだけなら、ただの露出狂の自虐オナニーで終わってしまう。だからおどけた仕草を適度に混ぜるのだが、そのさじ加減が難しい。理沙は自分の尻を叩きながら、観客の表情をよく確認した。

「アハハハ、なかなか面白いじゃないか」

サディストの上半身がマゾの下半身を虐めるという奇抜な設定が、思った以上にウケた。

「ありがとうございます。お気に召したら、餌を買って下さい。ちなみにこの身体は上半身と下半身が別人格だから、栄養は2人分必要なの」

栄養が2人分必要というのはアドリブだ。

「アハハハ、いいだろう。餌を2つ買ってやるよ」

「こっちも2つだ」

「じゃあ俺は4つくれ」

アドリブが効いた。客たちは餌を買っては、理沙の檻に次々と投げ込んだ。

205BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/21(金) 20:49:45
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-205 動物園の理沙

206BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/25(火) 17:38:00
ab.0172.Risa.005.01

『動物園の理沙 5』

 ハーフ&ハーフSMショーはネオガイア星人に好評だったが、理沙は同じネタを漫然と繰り返すような真似はしなかった。

客が飽きないように、生理のたびに上半身と下半身の役を入れ替えたり、淫液を舐めとる珍獣オナニー芸に不定期に変更した。

「下半身さま、足を舐めさせて下さい」

理沙は自分の下半身に向かって懇願すると、身体をくの字に曲げて、足に舌を這わせた。この体勢ができるように、毎日30分の柔軟運動を欠かさない。

207BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/25(火) 17:38:32
ab.0173.Risa.005.02

 理沙は芸のたびに、買ってもらった餌の量を数えていた。
(お尻を叩くだけではダメだわ)
買ってもらった餌の量を計算して、溜息をこぼした。ここ2週間ほど、少しずつ減ってきているのだ。

(お尻じゃなくオマンコを叩けば、たぶん人気が出ると思うけど……、どれくらい痛いのかしら?)

性器を叩かれた経験はない。恐るおそる両脚を開いて、手を振り上げた。ゴクリと唾を飲み込んでから、オマンコめがけて平手を振り下ろした。

柔らかい肉同士がぶつかる音が1つ鳴り、その数秒後に、
「ふぎゃああああああああああ!」
悲鳴が響き渡った。

性器を叩かれる痛みは想像以上だった。しかし理沙は、股間を両手で押さえながら、
「た、耐えるのよ理沙。芸のためなら、オマンコの1つや2つどうなってもいいわ」
と、自分に言い聞かせた。

208BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/25(火) 17:39:42

ab.0174.Risa.005.03

 そして次の日。今日のハーフ&ハーフSMショーは、上半身がサディスト、下半身がマゾの配役だ。

「上半身さま、どうかお尻を叩いて下さい」
まずはマゾの下半身が、尻へのスパンキングをおねだりをする。ここまではいつもと同じ展開だ。

理沙は客の様子を確認した。初めての客は楽しそうにしているが、常連客は少し退屈そうな表情を浮かべている。

「お尻を叩いても悦ぶだけよ。それじゃあお仕置きにはならないわ。今日はオマンコを滅多打ちにしてやるわ!」

そう言って、再び客の様子を確認した。先程まで退屈そうにしていた常連客が、興味津々といった表情を浮かべている。オマンコを叩くのは怖いが、全ては芸の為だと覚悟を決めた。

「い、いや! 許して、上半身さま。オマンコなんか叩かれたら、死んじゃうわ!」
悲鳴のような声で叫んで、両脚を閉じる。

「諦めなさい。さぁ、両脚を開くのよ!」
両膝を掴んで、両脚を割り開き始めた。その間も、いかにも下半身が抵抗しているかのように、ガクガクと膝を震わせるのを忘れない。

オマンコがむき出しになった。

209BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/25(火) 17:40:27
ab.0175.Risa.005.04

 片手を振り上げた。ゴクリと唾を飲み込む。オマンコに平手打ちを叩きこんだ。

「ギャォオオオ!」

演技ではない本物の悲鳴が迸った。隣の檻に飼われている動物がびっくりして、寝床の穴倉に逃げ込んだ。

 痛みで頭の中が真っ白になりかけた時、地球のお笑い番組の映像が脳裏に浮かんだ。共演者や番組スタッフに「あははは」と笑い声を発してもらって、嬉しそうにしている芸人の顔が。

(わ、私は……、私は芸人よ。芸のためなら、オマンコを叩かれる痛みなんてどうって事ないわ!)

「脚を閉じるんじゃないよ、下半身!」
おもわず閉じてしまった両膝に手を当てて、ガバッと割り開いた。

210BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/25(火) 17:41:07
ab.0176.Risa.005.05

(芸は客との闘いなのよ!)
再び片手を振り上げて、1発めよりも強くオマンコに叩き込んだ。

「ひぐぅぅぅぅ……」
身体が硬直し、おもわず苦痛の表情が浮かぶ。その直後、理沙はハッとして笑顔を作った。

(痛そうな顔をしてはダメよ。今の上半身はサディストなのよ。マゾのオマンコを、楽しそうに叩くサディストよ)

苦痛に耐えながら必死に作った笑顔は、妙に狂気のサディストっぽい雰囲気を醸し出していて、観客のネオガイア星人たちにウケた。

(ウケてる。私の芸がウケてるわ!)

理沙は再び手を振り上げると、狂ったようにオマンコを叩き始めた。

「ぎゃ、ぎゃあああ!」
「い、痛いか? 下半身」
「痛いです。お、お願い、もう許して!」
「甘えるんじゃないわよ!」

オマンコに平手打ちが炸裂するたびに、理沙は引きつった笑顔を浮かべたまま、サディストとマゾの演技を続けた。そんな地球で捕獲された珍獣を、隣の檻で飼育されている動物が、穴倉の中からおびえた目で見ていた。

その日、過去最高の量の餌が、理沙の檻に投げ込まれた。

211BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/25(火) 17:42:37
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

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>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-211 動物園の理沙

212BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/27(木) 21:51:38
ab.0177.Risa.006.01

『動物園の理沙 6』

 生理のたびに半身の人格が入れ替わるというネタは、芸の幅を広げてくれた。

その日も理沙は、いつものようにハーフ&ハーフSMショーを披露していた。役どころは、上半身がマゾ、下半身がサディストだ。

「下半身さま、私の顔を踏んで下さい」
自分の下半身に向かって懇願すると、顔に足の裏をこすりつけた。

 ここまでは普段と同じだが、理沙は新しいネタを秘めていた。

足の裏をベロベロと舐めている最中に、陰唇の間から経血が流れ出てきた。
(来た!)
理沙は生理が始まるのを待っていた。

足を舐めるのをやめて、仰向けのままガクガクと腰を上下に振り始めた。
「オォオオオ……」
苦し気な呻き声を発する。もちろん全て演技だ。

理沙は腰を振りながら、観客の反応を観察した。檻の前を通り過ぎようとしていたネオガイア星人が、興味をひかれて集まってくる。

213BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/27(木) 21:52:13
ab.0178.Risa.006.02

 十分な人数が集まった。理沙は、身体を大きく仰け反らせたまま硬直させた。白目を剥いて、両手の指をカギ爪の形に曲げる。

その体勢を維持すること数秒間続けてから、何事もなかったかのように身体を起こした。観客をぐるりと見回す。客たちは興味津々といった様子だ。

「アベリサは、生理のたびに上半身と下半身の人格が入れ替わるという、世にも珍しい生物です。皆さんはたった今、その人格が入れ替わる瞬間を目撃なさいました」

「オォー」と観客たちがどよめいた。

(ウケてる。ショーの最中に人格が入れ替わるネタは成功だわ)
理沙は内心でほくそ笑んだ。

「人格は入れ替わりましたが、ハーフ&ハーフSMショーはまだまだ続きます」

人格が入れ替わり、今は上半身がサディスト、下半身がマゾとなった。

214BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/27(木) 21:53:51
ab.0179.Risa.006.03

「下半身! さっきはよくも私の顔を踏んだわね? お仕置きよ!」
理沙は自分の下半身を睨みながら、尻をバシバシ叩き始めた。

「ヒィィ! お、お許しください、上半身さま」
両膝をカクカク動かしながら、悲鳴を発する。

「ダメよ。マゾの分際で私の顔を踏んだ罰よ。オマンコを叩き潰してやるわ!」
両膝を掴んで、ギリギリと割り開くと、
「覚悟しなさい!」
片手を振り上げてオマンコに叩きつけた。

「ギャアアアアアア!」
絶叫が響き渡る。この悲鳴だけは、演技ではなく本物だ。

215BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/27(木) 21:54:37
ab.0180.Risa.006.04

 オマンコを叩いた痛みは凄まじいが、いつまでも痛がってはいられない。今はショーの真っ最中なのだ。

「あぁ……、下半身の悲鳴を聞いただけで、乳首が勃ってきたわ」
胸を揉んで、加虐に欲情した上半身を演じた。そのまま、痛みがひくのを待ってから、
「もっと悲鳴を聞かせなさい!」
再びオマンコに平手を叩きつけた。

「ギャアアアアアア! お、お許しください、上半身さまあ」
「ダメよ。もっと悲鳴をあげなさい!」

理沙は一人二役の演じながら、オマンコを叩き続けた。

観客の数はさらに増えて、檻の前に大きな人だかりができている。

理沙は頃合いを見計らって、オマンコを叩くのをやめた。身体をゆっくりと起こし、
「自分が奴隷だと思い知った? さぁ、オマンコを見せるのよ!」
下半身を怒鳴りつけた。

「はいぃ……。あぁ、オマンコが叩き潰されて血まみれです」
そう言って、経血でベトベトになった股間を、観客たちに晒した。

216BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/27(木) 21:55:14
ab.0181.Risa.006.05

‌ この人格が途中で入れ替わるという芸は、生理中だけの期間限定のショーだった。理沙の生理が始まると、『生理中限定! ハーフ&ハーフSMショー』とプリントされたポスターがあちこちに貼られ、動物園には普段の倍以上の客が押し寄せた。

 理沙は生理中以外も、芸の幅を増やしていった。上半身はサディストの時は、オマンコを叩く以外に、クリトリスを爪で捻り潰す芸もした。客の大半がサディストなので、理沙が苦痛に耐える姿は好評だった。

 上半身がマゾの時も、芸の幅を広げていった。
「あぁ、下半身さま。どうかオシッコを飲ませて下さい」
仰向けで身体をくの字に曲げて、口を大きく開き、その中に排尿した。

「ゴボゴボ……ありがとうご……ゴボゴボ」
飲みきれないオシッコが、口からあふれ出した。

(オシッコの人気が落ちてきたら……、次はウンチね。芸のためなら、ウンチを食べるくらい平気よ!)
理沙は自分のオシッコを飲みながら、そんな事を考えていた。

数日後、理沙の芸は全国放送番組で紹介された。

217BiBi ◆8cBPUextJk:2018/09/27(木) 21:56:24
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

218BiBi ◆8cBPUextJk:2018/10/03(水) 17:46:45
ab.0182.Artemis Holiday.01.01

『アルテミスの休暇 01.01』

 テスト飛行中に操縦桿の1本を失ったキュクロプスPは、自動操縦で宇宙船オリンポスに帰還した。

アルテミスはオリンポスの治療室に搬送された。尿道に操縦桿による擦過傷が見つかったが、細胞回復促進剤によって、さほど時間をかけずに完治した。

 治療を終えたアルテミスを、メビウス博士が見舞った。

「アルテミス君。傷のことは医療用アンドロイドから聞いたよ。申し訳ない事をしたね」

メビウス博士は、自分の開発した操縦桿が原因でネオガイア宇宙軍兵士が負傷したので、かなり落ち込んでいる様子だった。

「お気になさらないで下さい。それよりも私のせいで、キュクロプスPの操縦桿が折れてしまいました」

「いやいや、テストはほぼ全項目が完了したから問題ないよ。あとはErectionモードの起動チェックだけだが……、まぁそれは後回しでいいだろう」

「Erectionモード? 何ですか、それは?」

「ん? まぁいずれ話すよ。それよりも、操縦桿で怪我をさせてしまったお詫びという訳ではないが……、休暇はいらないかね? なんならキミの上司のペルセウスに話してもかまわんよ?」

「休暇……ですか」
アルテミスは無言になり、何か考え事を始めた。

219BiBi ◆8cBPUextJk:2018/10/03(水) 17:47:32
ab.0183.Artemis Holiday.01.02

 アルテミスに1週間の臨時休暇が与えられる事になった。同僚のテッセウスは、上官のペルセウスからその話を聞いて素っ頓狂な声をあげた。

「アルテミスに1週間の臨時休暇!?」

テッセウスが驚くのも当然で、地球奪還作戦を控えているこの時期に、常に最前線で戦う白兵戦コマンドに1週間の休暇が与えられるのは異例の事なのだ。

「隊長、俺も休暇をもらっていいですか?」

「ダメに決まっているだろ。休暇なら俺だって欲しいのだ」

「そうですよねぇ。それにしても、1週間の休暇か。いいなぁ、アルテミスのやつ。で、彼女は休暇中どこかに行くんですか?」

「ん? 本人の希望で、地球に降下する事になった」

「地球に!? いいのですか? 今は地球奪還作戦の前ですよ?」

「まぁ彼女なら心配いらないだろう。通信機も携帯するし、いざとなったら物質転送装置で呼び戻せるからな」
ペルセウスのアルテミスに対する信頼は大きい。

(しかしアルテミスのやつ、なんで地球なんかに……。地球人を襲って拷問する気なのかな?)
テッセウスは不思議そうに首を傾げた。この時間軸世界では、アルテミスがマゾだと知る者はいないのだ。

220BiBi ◆8cBPUextJk:2018/10/03(水) 17:48:05
ab.0184.Artemis Holiday.01.03

 アルテミスが1週間の休暇を地球の日本で過ごす事にしたのには、理由があった。

日本は、この時間軸にタイムトラベルする前の世界で、最も見慣れている国だ。だからこの世界の日本を自分の目で見て、タイムトラベルする前と比べてみる事にしたのだ。

 アルテミスには、ネオガイア宇宙軍から、自動翻訳装置と通信機が支給された。どちらも新型で、奥歯に被せるタイプだ。

自動翻訳機は、言葉を、声質を維持したまま同時変換してくれる。だから傍からは、翻訳機を使用している事さえ気づかれない。

通信機も高性能だ。口の中で小さく呟くだけで送信可能で、骨伝導を利用した受信は周囲の騒音の影響を受けない。

通信機は同時に、GPSのような機能も備えていたる。そのおかげで、アルテミスが地球上のどこにいようと居場所を特定し、いつでも宇宙船オリンポスに物質転送する事が可能だ。

221BiBi ◆8cBPUextJk:2018/10/03(水) 18:03:12
ab.0185.Artemis Holiday.01.04

 アルテミスが地球に行く目的は、この時間軸世界の地球の様子を見るだけではなかった。下等な地球人に虐められたい、という被虐願望を叶えるためでもある。 

アルテミスは、ベッドの下からトランクケースほどのサイズの箱を引っ張り出した。中にはアルテミス愛用のアダルトグッズがぎっしりと詰まっている。乳房と性器に装着しているピアスも、この箱に入っていた物だ。

(他の物なら、必要になった時にオリンポスに要請して、転送してもらえばいいんだけど。さすがにアダルトグッズは気が引けるわ)

仕方なく、箱の中からいくつか適当に選んで、ハンドバッグに詰め込んだ。

(何を着ていこうかしら……)

女が旅行に着ていく服で迷うのは、地球人もネオガイア星人も変わらない。ただしアルテミスが服を選ぶ基準は、可愛さや豪華さではなかった。

さんざん迷った挙句、白いニットのタンクトップを選んだ。パンツは、脚にピッタリとフィットしたレザー製にした。股下から尻にかけてファスナーがついていて、これを開けばオマンコと肛門が露出する。

下着は、紐やワイヤーのない乳房に貼るタイプの、白いブラジャーにした。イメージ的には地球のヌーブラというのに近いが、サイズはずっと小さい。実際に付けてみると、ピアスに貫かれた乳首と乳輪がギリギリ隠れる程度だ。パンティは穿かない事にした。

衣服を着て、3Dミラーで全身を映してみた。

Gカップを誇る砲弾型の乳房が、タンクトップを大胆に押し上げている。ニットの網目が粗く、乳房の輪郭が透けて見える。乳首と乳輪は、ブラジャーに隠れて見えない。

レザーパンツは下半身に吸いつくようにフィットしていて、脚や尻の形がはっきりと分かった。さらに肉厚の大陰唇によって、股間の前部分がモッコリと盛り上がっている。

かなり卑猥な格好だが、パンツの股間のファスナーを開かない限り、変態の露出ファッションというよりも『少し大胆なファッション』といった印象を受ける。

222BiBi ◆8cBPUextJk:2018/10/03(水) 18:03:48
ab.0186.Artemis Holiday.01.05

 着替えを終えたアルテミスが物質転送室に行くと、白兵戦コマンドのテッセウスが待っていた。

「あら、テッセウス。どうしたの?」

「ん? あ、あぁ。アルテミスに渡す物があったんだ」
テッセウスは、 アルテミスのニットのタンクトップから透ける乳房をチラチラ見ながら、小さなケースを差し出した。蓋を開くと、耳につけるピアスが1対入っている。

「テッセウス、これ……?」

「あぁ、強盗対策の護身用のレーザー銃だよ。まぁ民間用だから威力は弱いけどね」

「強盗対策?」

「見た目は安物のピアスだけど、それには理由があるんだぜ? 安物っぽい方が、盗まれる可能性が低いだろ? それに指輪や腕輪と違って、耳のピアスまで盗もうとする強盗は少ないし」

テッセウスの言う通り、たしかに高級品には見えない。

「ありがとう。嬉しいわ」

「ヘヘヘ」
テッセウスが照れくさそうに頭を掻いた。この男は、アルテミスに好意を寄せているのだ。

「転送先はどこにしますか?」
物質転送装置を管理しているアリストテレスが、アルテミスに尋ねた。

「日本という国に。そうねぇ、さざなみ市という小さな街がいいわ」

「了解です。では転送します。お帰りの際は、通信機で連絡をください」

アルテミスの身体が淡い光に包まれ、次の瞬間、転送室から消えた。

「はぁ……綺麗な人ですねぇ……」
そう独り言をつぶやくアリストテレスを、
「ん? 手を出すなよ?」
テッセウスがジロリと睨んだ。

「あ、恋人ですか? 失礼しました」
「恋人じゃない。未来の恋人予定者だ」

「予定……ですか」
得意げに胸を張る白兵戦コマンドの男を、アリストテレスは呆れたように見つめた。

223BiBi ◆8cBPUextJk:2018/10/03(水) 18:04:21
ab.0187.Artemis Holiday.01.06

 アルテミスは、さざなみ市内にあるショッピングモールの、無人の女子トイレに実体化した。アリストテレスが、アルテミスが突然現れても騒ぎにならないような場所を、X線望遠鏡で選んだのだ。

なるほどトイレから出てきたアルテミスを見て、騒ぐ者は1人もいなかった。ただし、周囲の視線を集めた。

原因は、ニットの網目から透けて見える乳房だけではない。輝くようなブロンドの髪、ギリシャ彫刻を思わせる美貌、それに巨乳と美脚。寸胴体形の日本人の中に突然現れた長身の金髪美女は、さながら石ころの中に投げ込まれた大粒のダイヤのようだ。

ただし堂々と見惚れる者は1人もいなくて、日本人たちは皆、少し離れた所からジロジロ見ていた。
(あぁ、地球人がいっぱいいるわ)
下等な地球人に虐められたいというアルテミスは、潤んだ瞳で周囲を見回した。

224BiBi ◆8cBPUextJk:2018/10/03(水) 18:13:29
ab.0188.intermission

*これは本編ではありません。

『アルテミスの休暇』を加筆修正しました。

225BiBi ◆8cBPUextJk:2018/10/03(水) 18:16:52
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-225 アルテミスの休暇(加筆修正版)

226BiBi ◆8cBPUextJk:2018/10/11(木) 17:16:20
ab.0189.Artemis Holiday.02.01

『アルテミスの休暇 02』

 日本のさざなみ市に転送されたアルテミスは、電車の駅に向かった。この時間軸にタイムトラベルする前から、日本の電車に乗ってみたいと思っていたのだ。

切符を買う金に困る事はなかった。宇宙船オリンポスから銀行のATMを遠隔操作して、いくらでも現金を引き出す事ができるのだ。もちろんATMの監視カメラに姿が映らないようにする事も可能だ。

アルテミスが電車に興味を持ったのは、鉄道マニアだからではなく、痴漢が目当てだった。

(日本には痴漢と呼ばれる変質者が多い、という話を聞いた事があるわ。私も痴漢に遭ってみたいわ)

日本の痴漢発生数は、被害届がある分だけでも年間3千件を超える。もちろん中には冤罪というケースもあるが、痴漢に遭っても10人に1人は被害届を出さないという調査結果もあり、それを考慮すると実際の痴漢は毎年数万件はあると推測される。

227BiBi ◆8cBPUextJk:2018/10/11(木) 17:16:57
ab.0190.Artemis Holiday.02.02

 アルテミスは、なるべく混んでいそうな電車を選んで乗った。電車に乗って最初に目を奪われたのは、座席の前に横一列に並んでいる吊革だった。

(なんだかSM用の手枷みたいだわ)
電車の吊革を見てSMの手枷を連想するあたりは、いかにも真性マゾらしい。

試しに吊革に両手を通してみた。しかし日本人の体形に合わせて設置された吊革に、長身のアルテミスが手を通しても、両手を吊るされた奴隷のようにはならなかった。

 車内放送の後、電車が走り始めた。

(ずいぶんと原始的な交通手段ね。でも……)
床から伝わってくる振動を感じながら、アルテミスは窓の外を眺めた。
(でも窓の外を景色が流れていくというのは、嫌いじゃないわ)

 痴漢は現れなかった。

痴漢が狙うのはいかにも泣き寝入りしそう女だ――という事に、この真性マゾは気づいていなかった。そもそも痴漢をはたらくような下衆に、長身の金髪碧眼の美女の尻を触るような度胸はないのだ。

(痴漢、いないのかしら?)

アルテミスは周囲をキョロキョロと見回した。そのとたん、今までアルテミスをジロジロ見ていた乗客たちが、一斉に目をそらした。

228BiBi ◆8cBPUextJk:2018/10/11(木) 17:17:37
ab.0191.Artemis Holiday.02.03

(…………?)

ふと視線を感じた。正面の座席に座っている少年が、上目遣いにアルテミスを見ているのだ。年齢は十代後半くらいだ。

(どこを見ているのかしら? 胸と……腋?)

アルテミスはニットのタンクトップを着ている。だから手を吊革に通すと、正面のシートに座る少年からは、腋下が余すところなく見えるのだ。さらに、乳輪と乳首は貼り付けるタイプのブラジャーで隠れているが、乳房の輪郭はニットの網目から透けて見える。

 アルテミスは少年を見返した。少年が慌てて目をそらした。アルテミスは『目を逸らさないで』と言うかのように、膝で少年の足を小突いた。少年が顔を上げた。

アルテミスは挑発的な瞳で少年の目を見つめながら、吊革から手を引き抜いた。そしてタンクトップの上から左右のブラジャーをつまむと、ゆっくりと剥がし始めた。

少年は戸惑ったように視線をそらしたが、そのたびにアルテミスは少年の足を膝で小突いた。

229BiBi ◆8cBPUextJk:2018/10/11(木) 17:18:21
ab.0192.Artemis Holiday.02.04

 ブラジャーが剥がれた。これで、タンクトップの下はノーブラだ。

ネオガイア星人の身体的特徴は地球の白人に似ているので、乳首と乳輪の色素沈着は少ない。しかし乳房を包む肌が白磁の白さで、タンクトップの生地も白いので、乳輪の色と輪郭がはっきりと透けて見える。むしろ何も身に着けていない時よりも卑猥だ。

少年は、アルテミスが自らすすんで露出していると分かると、タンクトップから透ける乳首と乳輪を無遠慮に視姦し始めた。

 アルテミスは、妖しい光を湛えた瞳で少年を見つめながら、舌で唇をベロリと舐めた

(私の胸を見ながら、何を考えているのかしら? きっとこの少年はサディストなんだわ。私を誘拐して拷問する計画をたてているんだわ?)

たまたま同じ電車に乗り合わせただけの少年を、頭の中でサディストに仕立てた。

(どんな拷問をする気なの? あぁ、クリトリスだけは許して。そこは女の急所なのよ。クリトリスを拷問されるのがどれほど辛いか、アナタには分からないのよ!)

変態的な妄想劇が展開される。

230BiBi ◆8cBPUextJk:2018/10/11(木) 17:18:52
ab.0193.Artemis Holiday.02.05

 乳首が勃起し始めた。アルテミスの乳首は人並外れて巨大で、勃起時には成人男性の人差し指第一関節ほどになる。タンクトップの上からでも、乳房の先端が見るみる突起状に隆起していくのが分かった。


レザーのパンツの下では、オマンコはすでにしどろに濡れている。アルテミスが股間部分のファスナーを開こうと下半身に手を滑らせた――その時、電車が駅に着いた。

ドアが開いた。少年が座席から立ち上がると、名残惜しそうに何度も後ろを振り返りながら、電車から降りた。

(あ、待って……)

アルテミスは少年を追いかけようとしたが、電車が混んでいて、降りるのに手間取った。なんとか降りる事ができたが、その時には、すでに少年の姿はなかった。

(どうしようかしら……。日本には痴漢が多いと聞いていたのに、1人も会わなかったわ)

残念そうに溜息をこぼした。

231BiBi ◆8cBPUextJk:2018/10/11(木) 17:20:07
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-231 アルテミスの休暇(加筆修正版)

232BiBi ◆8cBPUextJk:2018/11/01(木) 18:01:10
ab.0194.Artemis Holiday.03.01

『アルテミスの休暇 032』

 アルテミスは少年を見つけるのを諦めた。たまたま同じ電車に乗り合わせただけの地球人だ。無理をして探す必要はない。

かと言って、再び電車に乗っても、痴漢に遭えるという保証もない。仕方なく、地上に出て市内を見て回る事にした。今回の休暇には、タイムトラベル前後のさざなみ市と比べる目的もあるのだ。

 ブラジャーは外したままだ。乳首の勃起はおさまっているが、乳首と乳輪がニットの網目から透けて見える。レザーパンツの股間のファスナーは閉じられている。

すれ違う男は皆、タンクトップの上からでも巨乳と分かる膨らみに、目を奪われた。そして、透けて見える乳首と乳輪に気づいて、驚きの表情を浮かべた。

 アルテミスはブラブラ歩きながら、さざなみ市の町並みを観察した。市内の様子は、タイムトラベル前と特に大きな違いはなかった。

233BiBi ◆8cBPUextJk:2018/11/01(木) 18:01:44
ab.0195.Artemis Holiday.03.02

 1軒の寂れた店の前で歩を止めた。表に貼られた何枚ものポルノ作品のポスターに、目が惹かれたのだ。

ドアの横に、『個室ビデオ』と書かれた電照看板が置かれている。見ると、蛍光灯が切れかけているのか、電照がチカチカと点滅している。

 個室ビデオというのは、文字通り個室でビデオを観られる店だ。イメージ的にはインターネットカフェの個室に近いが、ネットカフェと異なり、大半の客はアダルトビデオの視聴に利用する。

個室ビデオ店は、昔はそこそこ需要があったが、ポルノの視聴がネットで可能になった今では、軒並み廃業に追い込まれている。

 アルテミスは、個室ビデオが何なのか知らなかったが、とりあえず店に入ってみる事にした。

 店内は、建物の外観よりも広く感じられた。壁に備え付けの棚に、一般ビデオのケースが少しだけ並んでいる。『人気』とか『最新作』といった手書きのラベルが貼られているが、新作は1つもない。

奥にカウンターがあり、店主が競馬新聞を読んできる。くたびれた風体の中年男で、全身からやる気の無さを漂わせている。アルテミスが店に入ってきても、ちらりと見ただけで、『いらっしゃいませ』の一言もない。

234BiBi ◆8cBPUextJk:2018/11/01(木) 18:02:37
ab.0196.Artemis Holiday.03.03

 店は3階建てだった。

アルテミスは店内をぐるりと見まわしてから、階段を上り始めた。店主は何か言おうとしたが、アルテミスの金髪碧眼の容姿を見ると、口を数回パクパクさせただけで、競馬新聞に視線を戻した。

 2階はアダルトビデオのコーナーだった。アルテミスは、興味津々といった様子で店内を見回した。

壁に備え付けの棚に、アダルトビデオが並んでいる。見ると、DVDやブルーレイは1つもなく、全てVHSビデオだ。壁には、ポルノ女優のサイン入りのポスターが何枚か貼られているが、どれも破れていたり色がかすんでいる。この店の、そして個室ビデオ業界の現状を如実に物語っていた。

実際、アルテミスは知る由もないが、この個室ビデオ店の経営状態は悪く赤字が続いていた。店主もやる気を失っていて、カウンターで競馬新聞を眺める毎日を送っていた。

235BiBi ◆8cBPUextJk:2018/11/01(木) 18:03:13
ab.0197.Artemis Holiday.03.04

 かように寂れた店だが、客が2人いた。50過ぎの男と、20代前半と思しき男だ。

50過ぎの男は、アルテミスの姿を見ると、ビデオケースを1つ持って気まずそうに階段を降りて行った。

20代の男は、SM物やマニア系のコーナーで、床にしゃがんでビデオを物色している。アルテミスに気づいていない。見ると、両耳にイヤホンを装着している。かなりの音量で聴いているらしく、イヤホンから漏れた音はアルテミスの耳にも届いた。これでは、人の気配どころか、近くで爆発事故が起きても気づかない。

 アルテミスは男の姿を確認すると、唇をベロリと舐めた。自分の胸元に視線を落とした。タンクトップの白いニット生地から、乳首と乳輪が透けている。レザーパンツのファスナーは閉められたままだ。

アルテミスは、男にそっと近づくと、男と背中合わせになるように立った。2人の距離は1メートルもない。これでも、男はアルテミスに気づいていない。

アルテミスは、男に背中を向けたまま両足を肩幅の倍近く広げると、レザーパンツの股間部分のファスナーを開いた。

へその数センチ下から、尾てい骨の近くまで露出した。見ると、見ると、股間部分は、先ほど電車に乗っていた時からレザーパンツの内側に溜まっていた大量の淫液で、ベトベトに濡れている。

ファスナーが開いたとたん、むせかえるようなメスのニオイが周囲に漂いはじめた。そのニオイでようやく人の気配に気づいた男は、後ろを振り返って、目を大きく見開いた。

236BiBi ◆8cBPUextJk:2018/11/01(木) 18:04:33
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237BiBi ◆8cBPUextJk:2018/11/26(月) 11:01:07
更新は少し先になります。

238BiBi ◆8cBPUextJk:2019/01/30(水) 18:55:12
ab.0198.Artemis Holiday.03.05

 アルテミスは、男に背中を向けたまま、お辞儀をするように上半身を前屈させた。レザーパンツのファスナーは、大きく開いたまで、白桃のような尻が露出している。尻と男の顔は、30センチと離れていない。

アルテミスはさらに、男に見せつけるように、会陰部――陰唇と肛門の間――に力を入れた。陰唇の間から膣に溜まっていた淫液がドロリと流れ出し、肛門がヒクヒクと窄まりと弛緩を繰り返す。

 男ははじめは困惑気味だったが、眼前の尻を視姦し始めた。それでも、アルテミスに声をかける決心はつかないらしく、物言いたげな表情を浮かべている。

男が声をかけるかどうか迷っていると、3階から階段を駆け降りてくる足音が聞こえた。見ると、ビデオテープとヘッドホンを抱えた中年男が1人、足早に1階へ降りて行った。アルテミスの存在には気づいていない。

「3階には何があるのかしら?」
おもわず出たアルテミスの独り言に、
「こ、個室ビデオ……」
背後から遠慮がちな声が返ってきた。

「え?」
アルテミスが振り返ると、男はギクリとした表情を浮かべた。卑猥な部分を露出していた女の美貌に驚いたのだ。

「個室ビデオ?」
「あ……う、うん。ビデオを観る個室があって、そこで好きなビデオを観るんだ」

(個室ビデオ……)
アルテミスはようやく、店の入り口にあった看板の意味に気づいた。今まで『個室ビデオ』というのは店の屋号だと思っていたのだ。

そもそも故郷のネオガイア星は、地球よりもはるかにネットワーク網が発達しているので、劇場ならまだしも、個室ビデオなるものは存在しないのだ。

239BiBi ◆8cBPUextJk:2019/01/30(水) 18:55:52
ab.0199.Artemis Holiday.03.06

 個室ビデオというものに興味を覚えたアルテミスは、3階に行ってみる事にした。物欲しげにアルテミスを見つめる男を残して、3階に続く階段をのぼった。

3階は、狭い廊下が奥まで続いていて、その廊下を挟むようにカーテンが並んでいた。

(何のカーテンかしら?)
アルテミスは、一番手前のカーテンを開けてみた。

カーテンの奥は、小部屋になっていた。2×1メートルほどの広さで、ソファが1脚と、その正面にテレビとビデオプレーヤーが置かれている。文字通り個室ビデオだ。

(この部屋で、あのポルノビデオを観るのね。さっき1階へ降りて行った男も、ここでポルノを観ながらオナニーをしていたんだわ)

男がオナニーをしているシーンを想像しながら、あらためて個室内を見回した。

(あら?)
ソファの横に置かれた小さなゴミ箱に気づいた。
「何かしら?」
中を覗き込んだ。丸めたティッシュが詰まっている。

240BiBi ◆8cBPUextJk:2019/01/30(水) 18:56:25
ab.0200.Artemis Holiday.03.07

1枚を取り出した。見ると、なかば乾燥しかけた粘液が付着している。

(このニオイは……)
形のいい鼻がヒクヒクと動く。
(精液だわ)

この時間軸にタイムトラベルする前の世界から、ゲップが出るほど精液を飲み続けてきたのだ。間違えるはずはない。確かに精液のニオイだ。

(あぁ、精液を吸ったティッシュが詰まったゴミ箱が、個室の数だけあるんだわ!)
カーテンを開けて、隣の個室に移動した。

どの個室のゴミ箱も、精液を吸ったティッシュが詰まっていた。中には、長い間ゴミ箱を放置していたらしく、乾燥しきってパリパリになった物もあった。それらも含めて、アルテミスは、全てのティッシュを集めた。

最初の個室に戻り、集めたティッシュをソファの上に山積みにした。ティッシュの山ができた。全部で100枚近くある。

(凄いわ。地球人の精液がこんなにいっぱい……)
下等な地球人に虐められたいという願望を持つ、この真性マゾにとって、地球人の精液は最高のご馳走なのだ。

ティッシュの山に鼻に近づけた。
スー、ハー、スー、ハー……。
ニオイを嗅いだ。

(あぁ、もう我慢できないわ)
ティッシュの山に顔から突っ込むと、フガフガと音をさせながら精液のニオイをむさぼり始めた。

口を大きく開いて、何枚か頬張った。口腔内に精液の味が広がる。たっぷりと味わってから、どこの誰のものとも分からない精液を吸ったティッシュを飲み込んだ。

ソファの上に山積みになったティッシュの半分近くが、胃に収まった。水に溶けやすい素材とはいえ、これだけの量を飲み込めば腸閉塞になりそうなものだが、気にならない。

241BiBi ◆8cBPUextJk:2019/01/30(水) 18:56:55
ab.0201.Artemis Holiday.03.08

 アルテミスは血走った目で室内を見回すと、ビデオプレーヤーに目をとめた。

テレビと繋いでいるコードを引き抜いた。全部で4本ある。

ソファに仰向け気味に腰掛けて、両足を大きく開いてひじ掛けに乗せた。分娩台に横になった妊婦のような体勢だ。

両膝を、2本のコードでソファの脚に縛りつけた。レザーパンツの股間部分は開いたままなので、正面からだと、オマンコも肛門も丸見えになる。

残り2本の内、1本をソファの脚に回してから輪を作って、首に巻いた。上半身が少しずり落ちただけで、首が絞まる。

 次に、先ほど食べ残したティッシュの半分ほどを鷲掴みにして、口に頬張った。20枚近くあるので、形の良い頬がプックリと膨らんだ。

さらに数枚を丸めて、オマンコにねじ込んだ。誰のものかも分からない精液の付いたティッシュが、膣の中で淫液を吸って膨張する。

先ほどのコードの最後の1本を、ギリシャ文字の『α』の形にした。端を握って、ソファのひじ掛けに振りおろした。空気を切り裂く音に、『バシン!』と炸裂音が続いた。

コードを使った即製の鞭だが、威力はかなり強そうだ。アルテミスは満足げにうなずくと、残ったティッシュをきれいに広げて顔に被せた。口に頬張ったティッシュと合わせて、即製の口枷と目隠しが完成した。

242BiBi ◆8cBPUextJk:2019/01/30(水) 18:58:42
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>>218-242 アルテミスの休暇(加筆修正版)

243BiBi ◆8cBPUextJk:2019/03/01(金) 18:11:07
ab.0202.Artemis Holiday.03.09

 アルテミスは、分娩台上の妊婦のような体勢で、ソファに横たわっていた。

両脚は大きく開かれ、ビデオのコードで縛られている。首にもコードが巻かれ、身体が少しずり落ちただけで窒息しそうだ。

レザーパンツのファスナーは大きく開き、オマンコと肛門がむき出しになっている。口と膣には、誰のものとも分からない精液を吸ったティッシュが詰まっている。

 見ると、勃起したクリトリスが包皮を突き破るように顔を覗かせている。

この真性マゾのクリトリスは人並み外れて大きく、包皮に隠れた部分を含めると、成人男性の人差し指第一関節ほどある。

感度も異常に敏感で、軽く触れられただけで悶え狂うほどだ。この部分を拷問された時の狂乱ぶりは、実際に見た者でなければ想像もつかないだろう。

244BiBi ◆8cBPUextJk:2019/03/01(金) 18:12:14
ab.0203.Artemis Holiday.03.10

 アルテミスは、ビデオコードを『α』の形に捩った即製の鞭を振りあげた。顔を覆ったティッシュの下から、荒い息遣いが漏れている。今からする事を想像して、欲情しているのだ。

渾身の力を込めて、鞭を振り下ろした。最初からオマンコを狙った。電線をゴムのチューブで巻いただけのコードが、敏感な性器を直撃する。

「ふぐぅぅぅ……!」
身体が硬直した。普通の女だったら、床の上を転げ回るほどの激痛だ。

身体の硬直が治まるのを待たずに、強く2発めを振り下ろした。今度はクリトリスを直撃した。
「ンギィィィィ!」
顔を覆うティッシュの隙間から、苦悶のうめき声がもれた。

「フゥーフゥーフゥー……」

喘ぐような吐息を数回もらすと、すでに開いていた両脚をさらに大きく開いた。

空いている方の手をオマンコに当て、指で包皮をめくった。クリトリスと小陰唇が完全に露出した。女体で一番弱い部分を護ってくれるものは、もう何もない。

鞭を再び振り上げた。

「フゥーフゥーフゥー……」

鞭の柄をかたく握りしめると、狂ったようにオマンコを叩き始めた。1秒間に2〜3発という猛烈なペースで、鞭がオマンコを襲う。

「フグゥゥゥ……う、うぅぅぅ……」
口にティッシュを頬張っているので、漏れるのは悲鳴というよりも呻き声に近い。

 喘ぎ声に合わせて上下する腹の上に、血飛沫が散った。鞭がオマンコの粘膜を切り裂いたのだ。見ると、股間の皮膚が赤黒く変色し、蚯蚓腫れから血が滴っている。

それでも、鞭を振り下ろす勢いが落ちる事はない。数発に1発の頻度で鞭が敏感なクリトリスを直撃し、その時は悲鳴が1オクターブ高くなるのだった。

245BiBi ◆8cBPUextJk:2019/03/01(金) 18:13:08
ab.0204.Artemis Holiday.03.11

 アルテミスが自虐に狂っている時、個室のカーテンが数センチ開いた。隙間から、先ほど2階でアルテミスがオマンコを見せていた男の顔が覗いた。オマンコを露出していた女の事が気になって、3階に上がってきたのだ。

男はカーテンの隙間から個室内を覗いて、息をのんだ。オマンコを露出していた変態女だから卑猥な行為に耽っているとは予想していたが、まさか自分の身体を鞭のような物で滅多打ちにしているとは思っていなかったのだ。

 男は、アルテミスの顔がティッシュで覆われている事に気づいた。ティッシュが目隠しになるか疑問だが、男は自分の姿が見られる心配はないと判断すると、個室に入ってきた。

男は、女の顔を覆うティッシュが剥がれないかを気にしながら、アルテミスの前に立った。

アルテミスはというと、男に見られている事に気づかず、鞭を振り続けている。

 男は、眼前の女体に触れようか迷ったが、オマンコに詰まったティッシュと空になったゴミ箱を見比べて、思い止まった。どこの誰かも分からない男の精液を吸ったティッシュが詰まったオマンコに触れる気がしない。

代わりに、ジーンズのファスナーを開けた。女の顔を覆うティッシュが剥がれない事を確認しながら、ペニスを引っぱり出すた。すでに勃起している。

ペニスを握りオナニーを始めた。

246BiBi ◆8cBPUextJk:2019/03/01(金) 18:13:39
ab.0205.Artemis Holiday.03.12

 アルテミスは、1メートルと離れていない所で男がオナニーをしていると知らず、オマンコを叩き続けていた。すでに股間と、陰唇の包皮をめくる手の甲は血まみれだ。ソファの上には、膣に詰めたティッシュで吸いきれなかった淫液が血と混じり、ピンク色の水溜りができている。

「ヒグ……う、ぐぅ……、ヒ、ヒ、ヒ……」
喘ぎ声が切迫したものに変わってきた。見ると、股関節が外れそうなほど大きく開いた両膝が、ガクガクと震えている。オマンコに振り下ろされる鞭の勢いが、更に激しくなった。

そして数十発、もしかしたら数百発目の凄まじい一撃が女体の急所を抉った瞬間、アルテミスの身体が弓なりに仰け反った。この真性マゾは、苦痛だけで絶頂を迎える事ができるのだ。

 満開のオマンコが、潮を噴いた。大量の潮は、オマンコに詰まったティッシュを1メートル近く吹き飛ばした。どこの誰のものとも分からない精液と、アルテミスの淫液と血を吸ったティッシュが床に落ちて、ベチャッと音をたてた。

アルテミスの身体は、弓なりで10秒ほど硬直した後、ソファからずり落ちた。ただし、首と足首にビデオコードを巻いたまま……。

 不死身体質ならどうという事ないが、今のアルテミスはそうではない。ネオガイア星人の身体構造は地球人とさほど違いはなく、地球人と同じように、首が絞まると死の危険性がある。

首が絞まり、脳への血流が遮断された。ソファからずり落ちた体勢を立て直す暇もなく、アルテミスの意識は遠のいていった。こればかりは、百戦錬磨の白兵戦コマンドでも、どんな苦痛も受け入れる真性マゾでも、常人と変わらない。

身体が弛緩し、股間から薄黄色の液体がジョロジョロと滴り落ちた。

247BiBi ◆8cBPUextJk:2019/03/01(金) 18:14:53
◆ 目次 ◆
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>>6-9 プロローグ

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>>47-56 帰郷1

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>>218-247 アルテミスの休暇(加筆修正版)

248BiBi ◆8cBPUextJk:2019/03/11(月) 19:24:36
ab.0206.Artemis Holiday.03.13

「ちょっと……、ちょっと大丈夫?」

アルテミスは、朦朧とした意識で誰かの声を聞いていた。

(…………?)

目を開き周囲を見回して、自分が先ほどのビデオ用の個室でソファの上に寝かされている事に気付いた。首と足首に巻かれていたコードは、いつの間にか解かれている。

(首が絞まって気を失ったんだわ)

首筋を撫でた。ビデオコードが食い込んでできた痕に、指が触れた。

(不死身だった時の癖で、無茶をしてしまったわ。気をつけないと……)

オマンコに焼けるような痛みを感じた。見ると、股間が血まみれになっている。傷は痛々しいが、ネオガイア星の医療技術をもってすれば、さほど時間をかけずに完治させる事ができる。

「大丈夫?」
再び、先ほどの声がした。声の方を見上げると、2階にいた男の顔があった。心配そうな表情を浮かべている。

「ありがとう。アナタが助けてくれたのね?」
「え? あ、あぁ、うん」
男は照れ臭そうに笑った。

249BiBi ◆8cBPUextJk:2019/03/11(月) 19:25:14
ab.0207.Artemis Holiday.03.14

男は、アルテミスが無事なのを確認して安心したのか、チラチラとアルテミスの股間を見た。レザーパンツのファスナーは開いたままで、今でも卑猥な部分が丸見えだった。

アルテミスは男の視線に気づくと、妖艶な笑みを浮かべた。
「お礼をしたいわ?」
そう言って、ソファから立ち上がるた。男と並ぶと、アルテミスの方が10センチ以上背が高い。全て脚の長さの差だ。

「え、お礼なんて……」
男は長身の美女を目の前にして戸惑ったようにゴニョゴニョ口ごもった――その口を、アルテミスの唇がふさいだ。

男は咄嗟に身を退こうとしたが、その背中にアルテミスの両腕が巻きついた。Gカップの巨乳が、2人の胸の間で拉げた。

アルテミスは、舌先で男の唇をこじ開けて、噛み合わされた歯をつついた。男はすぐにその意味を理解して、上下の歯を開けた。

アルテミスの舌が、男の口腔内をまるで触手のように蠢いた。舌同士を絡みつかせ、唇から歯茎の裏まで舐め回した。

アルテミスの口は先ほどまで誰の物とも分からない精液を吸ったティッシュを頬張っていたのだが、その唇と舌の感触は、そんな事など気にならないほどの心地よさだった。男は、まるで恋人に接吻される少女のように、アルテミスに身を任せた。

男のジーンズの前部分が、みるみる膨らんできた。アルテミスとキスをして、勃起を免れる男はいない。

250BiBi ◆8cBPUextJk:2019/03/11(月) 19:25:56
ab.0208.Artemis Holiday.03.15

アルテミスは男の股間の変化に気づくと、挑発的な笑みで男の目を見つめながら、腰を落とした。そして男の顔を見上げながら、膨らんだジーンズの前部分を舌でベロリと舐めた。

ジーンズのファスナーを下ろして、ペニスを引っぱり出した。すでに勃起している。亀頭に鼻を近づけ、ニオイを嗅いだ。舌先を尿道孔に這わせる。それだけで、男は「う……」と呻いた。

唇をOの字に開いて、亀頭を包み込んだ。わざとジュルジュルと音をさせばがら、頬がゆっくりと動かし始める。片手で男の陰嚢を優しく揉み、もう一方の手で男の肛門をまさぐった。

更に、Gカップの巨乳を男の腿に押し当てた。男のジーンズの裾をめくり、オマンコを脛に擦りつけた。淫液で濡れた陰毛が男のすね毛と絡み合い、グジュグジュと音を立てた。

唇の内側で舌がどんな動きをしているのか分からないが、フェラチオが始まるや否や、男は女のような喘ぎ声をもらし始めた。アルテミスは、その反応が嬉しくて、男の顔を見つめる瞳をスッと細めた。

「う、あ……」
男の声が徐々に切迫していく。

(まだよ。もう少し味わいたいの)
アルテミスは、男の射精が近いのを察すると、舌の動きを遅くした。快感と勃起は続くが、射精には達しない微妙な力加減で、亀頭を刺激する。

「うぁ……おぉ……」
男は射精を迎える事はできず、低く呻いた。それでも、アルテミスにされるがままだった。このまま永遠に射精できなくてもかまわない、と思った。このブロンドの美女のフェラチオは、それほど気持ち良かった。

251BiBi ◆8cBPUextJk:2019/03/11(月) 19:26:34
ab.0209.Artemis Holiday.03.16

アルテミスは男の反応を観察しながら、射精のギリギリ手前でのフェラチオを続けた。そして、いよいよ男が限界に達した時、亀頭から口を離した。

ピクピクと脈打つペニスに唾液をたっぷりと垂らすと、両手で愛撫し始めた。片手で亀頭をこねくり回し、もう一方の手で陰茎部分をしごく。

「ここに出して。精液を飲ませてちょうだい」

甘く蕩けるような声で囁くと、亀頭の正面で唇をOの字に大きく開いて、舌を大きく突き出した。舌先を触手のように動かしながら、ペニスを愛撫する手の動きを一気に速めた。見ると、掌と亀頭の間で、唾液が気泡を含み白濁している。

「う、お、ああぁ……」
激しすぎる刺激に、男が悶えた。アルテミスの頭を両手で押さえる。ゴツゴツした指に、柔らかそうなブロンドの髪が絡みついた。

「うぁ……あ、あおぉ……」
ペニスから白濁した精液が噴き出した。アルテミスは、1滴たりともこぼさないと言わんばかりに口を大きく開いて、迸る精液の飛沫を追った。

精液を舌の上でたっぷりと転がしてから、飲み込んだ。喉がゴクリと音を立てた。そして、今までの淫猥極まりない表情とうって変わって、童女のような笑顔を浮かべた。

252BiBi ◆8cBPUextJk:2019/03/11(月) 19:27:41
◆ 目次 ◆
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253BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/01(月) 19:43:47
ab.0210.Artemis Holiday.03.17

 アルテミスは男の頬に軽くキスをして、ソファに座らせた。見ると、男のペニスは、大量に射精したばかりだというのに、まだ勃起の硬度を失っていない。

アルテミスは男の正面に跪くと、ペニスを優しく握り、顔を近づけた。鼻をクンクン鳴らしながら、亀頭から陰嚢の間を何度も往復させる。

「地球人の精液、味もニオイも最高だわ」
うっとりと呟きながら、精液と唾液まみれのペニスに愛し気に頬ずりをした。

(地球人の精液? まるで宇宙人みたいな事を言うヒトだな)
男はアルテミスの言葉を聞いて、ふと思った。その勘は当たっていたが、眼前の女が金髪碧眼なので、
(外国人だから、日本語に慣れていないんだろう)
と1人で納得した。

254BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/01(月) 19:44:20
ab.0211.Artemis Holiday.03.18

 アルテミスが上気した顔をあげた。額に垂れたブロンドの髪が、精液で汚れている。
「ねぇ、もっとできる?」
男の首がコクリ上下に振られるを見て、嬉しそうに微笑んだ。
「嬉しい。次はどこに精液を注入したい? オマンコ? それとも次も口にする?」

アルテミスに尋ねられた男は、少し躊躇いがちに、
「あ、あな……あな……」
と呟いた。

「あな……?」
アルテミスは小首をかしげたが、すぐに男の言いたい事に気づいて、淫猥な笑みを浮かべた。挑発的な目で男を見つめながら立ち上がると、男に背中を向けた。尻を後ろへ突き出し、両手で尻の肉を左右に割り開いた。
「アナル? この穴がいいの?」
蕩けるような声で男に囁きかけ、肛門をヒクヒクさせた。

男が頷いて、喉ぼとけをゴクリと上下させた。

255BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/01(月) 19:44:50
ab.0212.Artemis Holiday.03.19

 アルテミスは、男に背を向けたまま、ゆっくりと腰を落としていった。左右の肉を両手で割り開かれた尻が、男のペニスに近づいていく。

肛門にペニスの先端が触れた。排泄のための穴がキュッと窄まる。

「アァ、嫌よ。そんな太いペニスを突っ込まれたら、私のアナルが裂けちゃうわ?」

アルテミスが背後の男に振り向いて、怯えたような声で訴えた。しかし怯えた仕草が被虐心を昂めるための演技だという事は、男の膝の上にボタボタと垂れる大量の淫液を見れば明らかだ。

「お願い、せめてゆっくりと挿れて」
そう懇願しておいてから、男が挿入するのを待たずに、自ら一気に腰を落とした。

「オォオオオ……。私のアナルが串刺しよぉ!」
Oの形に開かれた口から、嬌声が迸る。文字通り、肛門がペニスで串刺しにされている。

256BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/01(月) 19:45:22
ab.0213.Artemis Holiday.03.20

「アァ……酷いわ? アナルはウンチをひり出すためにあるのよ? ペニスでズボズボする穴じゃないわ?」

アルテミスは、肛門を犯される哀れな女を演じ続けた。そして今度は、男に肛門がよく見えるように両手で尻肉を左右に割り開いたまま、ゆっくりと腰を持ち上げ始めた。肛門からペニスがズルズルと引き抜かれていく。

亀頭の部分まで引き抜いたところで、腰の動きを止めた。背後の男に妖艶に微笑みかけると、再び一気に腰を落とした。直腸内に入った空気で、ボコッとポンプを押したような音を立てた。

257BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/01(月) 19:46:02
ab.0214.Artemis Holiday.03.21

 アルテミスは挑発的な目で男を見つめながら、腰を上下にグラウンドさせ始めた。

肛門括約筋でペニスを締めつけながら、男に見せつけるように腰を持ち上げた。見ると、ペニスに引きずられて、肛門が脱肛のようにめくれ、赤い直腸の襞が顔を覗かせた。そして亀頭まで引き抜くと、『挿入する』というよりも『叩き込む』という方がしっくりくるほどの激しさで、腰を落とした。

「アァ、ダメ! もう嫌よ! アナルを抉られるのがどれほど辛いか分からないの!? お願いだから許して」

アルテミスは男に『許して』と懇願していたが、実際に動いているのはアルテミス本人だった。男の方は、ペニスにからみつく肛門の感触があまりにも気持ち良いのに加えて、ソファに腰かけた状態で上に跨る女をペニスで突き上げるのは難しいので、アルテミスに身を任せるしかないのだ。

こうなっては、アルテミスと男のどっちが犯されているのか分からない。

258BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/01(月) 19:47:25
ab.0215.Artemis Holiday.03.22

(アァ、イイわ。バカンス先を地球にして良かった)
アルテミスは腰を上下させながら、悶え狂った。バカンス先に地球を選んだのは、タイムトラベルする前の時間軸と比較するためだったが、今はそんな事はどうでも良かった。

(ツッ……!?)

肛門に鋭い痛みを感じた。今までも何度も同じ痛覚を経験しているので、見なくても原因は分かる。肛門が切れたのだ。アルテミスは腰を上下に振りながら、尻肉を割り開いている手を確認してみた。予想通り、指に粘液の混じった血がついている。

以前は不死身体質だったので、アナルセックスによる裂傷など一瞬で治ったのだが、今は違う。ペニスが肛門壁を擦っている間は、出血が続くだろう。

「アァ、酷いわ。アナルが裂けて血が出てるわ。死ぬ、死ぬ、死んじゃう! もう限界よ!」

血走った目で背後の男を見つめながら、叫んだ。相変わらず犯される哀れな女を演じている。しかし腰の上下運動はさらに激しさを増している。この真性マゾにとって、自分の肉体が傷つき出血するのは、被虐の炎に油を注ぐだけだ。

259BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/01(月) 19:47:58
ab.0216.Artemis Holiday.03.23

 アルテミスの下で、男がソファに腰かけたまま、両脚を突っ張らせた。
「あ、う……」
眉間にシワを刻みながら、アルテミスの尻を背後から鷲掴みにする。射精が近いのだ。

「ア、ア、ア……出して。私の直腸の中に精液を注入してちょうだい!」
男の射精が近い事を悟ったアルテミスは、先ほどまでの哀れな被虐女の演技をやめた。

「お願い、アナタの唾液を飲ませて!」
肩越しに男に振り向いて、男の口に吸いついた。舌を口腔内にねじ込み、歯茎の裏側まで舐め回す。細い喉が、コクリコクリと上下する。

唇を離して、
「わ、私もイクわ。地球人にアナルをメッタ突きにされて、みじめにイってしまうのぉ! お願い、もっと唾液を飲ませて!」
狂乱したように叫んで、再び男の口にむしゃぶりついた。

 その時……、個室のカーテンが勢いよく開いた。
「ア、アンタら、何してんだ!?」
そこに立つのは、個室ビデオ店の店主だった。

260BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/01(月) 19:48:37
ab.0217.Artemis Holiday.03.24

 アルテミスたちは気づいていなかったが、各個室には天井に小さな監視カメラが設置されていて、個室内の様子を1階のカウンターで見る事ができた。

アルテミスが悶え狂っている間、カウンターでは、相変わらず店主が競馬新聞を読んでいた。やる気のなさが、全身から滲み出ている。インターネットで手軽にポルノビデオを観られるようになってからというもの、ビデオ店の売り上げは激減し、店を畳むのも時間の問題だった。

競馬新聞のページをめくろうとした時、上のフロアから聞こえてくる女の喘ぎ声に気づいた。
(ビデオが再生してるのか? 3階に客はいたっけな……?)
不審に思った店主はモニターを見て、仰け反った。競馬で大穴を当てても、ここまでは驚かない。それもそのはずで、

モニターの中では、女が男の上で腰を振っている。

「じょ、冗談じゃない!」
店主はカウンターから飛び出すと、階段を駆け上がった。

261BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/01(月) 19:49:21
ab.0218.Artemis Holiday.03.25

 個室ビデオ店は、実際は、客の大半はレンタルしたポルノビデオを観ながらオナニーをしているが、表向きは、個室でゆっくりと映画鑑賞する店という事になっている。性風俗店でもないのに個室でSEXなどされたら、下手をしたら営業停止になりかねない。

店主は3階に上がると、件の個室のカーテンを一気に開けた。個室内では、先ほどモニターで見た通りの行為が進行中だ。
「ア、アンタら、何してんだ!?」
怒り心頭で、個室内の2人を怒鳴りつけた。

「え!? ア、アウ……」
アルテミスのアナルを堪能していた男は、突然現れた店主に驚いて、慌ててソファから立ち上がった。アルテミスのアナルからペニスが引き抜かれ、それと同時に精液を噴出した。粘液が店主の上着に降りかかる。

男はアルテミスを押しのけると、ジーンズを半分ずり下ろしたまま個室を飛び出し、階段を駆け下りていった。ドタドタと、何かが階段を転げ落ちる音がした。

262名無しさん:2019/04/01(月) 19:49:55
ab.0219.Artemis Holiday.03.26

「二度と来るんじゃねぇ!」

店主は、男が降りていった階段の方に向かって怒鳴ってから、個室に1人残ったアルテミスを睨みつけた。ただでさえ店の売り上げが悪いのに、ビデオをレンタルしない冷やかしの客に個室でSEXされたのだから、怒り心頭だ。

「オイ! 何考えてるんだ! オマエみたいな奴がいるから、ウチの店は……え!?」
そこまで怒鳴ったところで、言葉を詰まらせた。アルテミスの股間を凝視しながら、口をパクパクさせている。

 アルテミスのレザーパンツはファスナーが開いたままで、オマンコが丸見えだった。そしてその部分は、先ほどビデオコードの鞭を使った自虐オナニーによる蚯蚓腫れに覆われていた。

「ア、アンタ……その傷……」
店主は呆然と呟いて、アルテミスの顔と股間を交互に見た。そしてアルテミスの首に浮かぶ痣に気づいた。その痣も、自虐オナニーの際、アルテミス自身がビデオコードで絞めた痕だ。

263BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/01(月) 19:50:29
ab.0220.Artemis Holiday.03.27

「アンタ、さっきの男に襲われたのか!?」

首に絞められた痣と股間を覆う蚯蚓腫れを見て、自虐オナニーが原因だと思う者などいない。店主は、眼前の女が無理やり個室に連れ込まれて暴行されたのだと勘違いした。

「大丈夫か?」
店主は、先ほどの怒鳴り声と打って変わって、心配そうにアルテミスに声をかけた。

そんな店主の心配をよそに、絶頂の直前でアナルセックスを中断させられたアルテミスは、潤んだ瞳で店主の上着に付着した精液を見つめていた。

店主は、この潤んだ瞳を見て、暴行されたショックで涙ぐんでいるのだとまた勘違いした。

「アンタは外国人だから知らなかったのだろうが、日本の個室ビデオ店は普通にビデオを観る場所じゃないんだ」

店主はアルテミスを個室から連れ出すと、1階へ連れて降りた。そしてカウンターのレジから、なけなしの売り上げ1万円札を取り出した。

「タクシー代だ。とりあえず今日はもう帰った方がいい」
そう言って、小さく折りたたんだ1万円札をアルテミスに握らせた。

264名無しさん:2019/04/01(月) 19:51:16
ab.0221.Artemis Holiday.03.28

 なかば追い出されるように店をあとにしたアルテミスは、満足げな表情で空を見上げた。

「さっきは最後までイク事はできなかったけど、地球人の精液を飲んでアナルセックスもできたし、有意義な休暇だったわ」
そう呟いて、レザーパンツのポケットに手を入れた。

「戦利品も手に入れた事だし……」
ポケットの中には、個室ビデオ店で拾った、精液まみれのティッシュが詰まっていた。

タイムトラベル後の地球の様子を調べる、という当初の目的は、完全に忘れていた。

265名無しさん:2019/04/01(月) 19:51:53
ab.0222.Artemis Holiday.03.29

 さて、ビデオ店の店主は、アルテミスを送り出した後、監視カメラの録画映像を見て仰け反った。そこには、暴行されたと思っていた女が自分の性器を自虐する姿が、映っていた。

その後の顛末だが、店主は、件の録画映像からアルテミスの自虐シーンをコピーして、販売した。敏感な性器を血まみれになるまで自虐する女の映像は、マニアの間で飛ぶように売れた。店主は、その売り上げを元手にDVDプレーヤーを導入し、在庫のビデオを人気作品に一新した。おかげで店の売り上げがアップし、個室ビデオ店は閉店を免れた。

なお、アルテミスはティッシュで顔を覆っていたので、ビデオからその素顔がばれれる事はなかった。

266BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/01(月) 19:53:38
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

267BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/09(火) 19:58:10
ab.0223.intermission

*これは本編ではありません。
以前に投稿したお話と内容がだぶります。
何かを連想する名称が出てくるかも知れませんが、無関係です。
この後、本編に戻ります。

268BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/09(火) 19:58:50
ab.0224.Coprophagy Exp.001.01

『食糞実験1』

 アルテミスが地球での休暇を楽しんでいた頃、宇宙船オリンポスでは――。

(やっと終わったわ。面倒くさかったわ)
ネオガイア星人の女性科学者エウドラは、修理を終えたSMスカウターをテーブルの上に置いて、小さく欠伸をした。

SMスカウターは、エウドラが友人のビーナスの依頼で製造した、他人のSMの嗜好をスキャンする事のできる装置だ。それが、偶然発見したマゾのネオガイア星人をスキャンした時に壊れてしまい、エウドラはこの数日間、ずっと修理におわれていたのだ。

エウドラは、修理が完了した事をビーナスに知らせようかと思ったが、ビーナスがラミアーとバカンスに出ている事を思い出して、やめた。無粋な通信で、高名な科学者ラミアーのバカンスに水を差す事はない、と判断したのだ。

269BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/09(火) 19:59:27
ab.0225.Coprophagy Exp.001.02

 修理を終えたSMスカウターを弄りながら、それが壊れた時の事を思い出していた。

(スキャンした方角に地球人がいなかった事は、すでに確認済みよ。という事は、あれはネオガイア星人!?)

エウドラは、突拍子もない考えをかき消すように、頭を振った。

(でも、そんな事あり得ないわ)

ネオガイア星人の大半はサディストだ。マゾというだけでも珍しいのに、SMスカウターで計測しきれないほど重症の真性マゾとなると、珍しいを通りこして奇跡に近い。

270BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/09(火) 20:00:08
ab.0226.Coprophagy Exp.001.03

 謎の真性マゾについて色々思惑しているところへ、ピタゴラス博士から通信が入った。

「エウドラ博士、私だ。ピタゴラスだ」

「あら、ピタゴラス博士」

「実はキミに頼みたい事があるんだが……」

「面倒くさい事ならお断りします」

「そこまでハッキリと言われると、頼みにくいんだが……、実は――」

…………。

エウドラはピタゴラス博士の話を終えると、通信を切って、
「面倒くさそうね」
と呟いた。

271BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/09(火) 20:01:39
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-271 食糞実験

272BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/11(木) 18:51:30
ab.0223.intermission

*これは本編ではありません。

上の3つの投稿(268、269, 270)を加筆修正しました。

以前に投稿したお話と内容がだぶります。

この後、本編に戻ります。

273BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/11(木) 18:52:08
ab.0224.Coprophagy Exp.001.01

『食糞実験1 加筆修正』

 アルテミスが地球での休暇を楽しんでいた頃、宇宙船オリンポスでは、ネオガイア星の女性科学者エウドラがSMスカウターの修理におわれていた。

SMスカウターは、エウドラが友人のビーナスの依頼で製造した装置で、他人のSMの嗜好とその強さをスキャンする機能を持っている。対象がサディストの場合は【S】の文字が、マゾの場合は【M】の文字が表示される。さらに種族を判別する機能も備えていて、【S】と【M】の文字が、ネオガイア星人の場合は青く、地球人の場合は赤く表示される。

そのSMスカウターが、先日、偶然発見したマゾのネオガイア星人をスキャンした時に、そのマゾ性があまりにも強すぎてショートしてしまったのだ。

(やっと直ったわ。面倒くさかったわ)
エウドラは、修理を終えたSMスカウターをテーブルの上に置いて小さく欠伸をした。

エウドラは、修理が完了した事をビーナスに知らせようかと思ったが、ビーナスがラミアーとバカンスに出ている事を思い出して、やめた。無粋な通信で、高名な科学者ラミアーのバカンスに水を差す事はない、と判断したのだ。

274BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/11(木) 18:53:01
ab.0225.Coprophagy Exp.001.02

 エウドラは修理を終えたSMスカウターを弄りながら、スカウターが壊れた時の状況を思い出した。

ネオガイア星人の大半はサディストだ。マゾは極めて少なく、それもほとんどは少しマゾっ気がある程度だ。SMスカウターがショートしてしまうほどの重症マゾの存在は、もはや奇跡に近いのだ。

(私のSMスカウターをショートさせるほどのマゾ……。何者なの?)

エウドラはもう一度、その謎の重症マゾをSMスカウターでスキャンしてみる事にした。スカウターは改良してあるので、今度はショートする心配はないはずだ。

 SMスカウターの電源をONにして、宇宙船オリンポス内をスキャンしてみた。いたるところに青く【S】の文字が表示された。全てサディストのネオガイア星人だ。

(ホント、ネオガイア星人はサディストばかりね)
スキャンを続けた。
(あら、マゾの地球人がいるわ? かなり強いマゾ性の持ち主だけど……、きっとビーナスが話していたマゾ化薬の実験体ね)

スカウターのモニターに、マゾのネオガイア星人を表す青い【M】がポツリポツリと表示されるが、どれもSM度の数値は低く、SMスカウターをショートさせるほどのものではない。

(無いわ。やっぱり先日のあのマゾの反応は、スカウターの誤作動だったんだわ)

エウドラは1人で納得して、スカウターの電源をOFFにした。

 もしもSMスカウターの測定可能範囲が地球上もスキャンできるほど広かったら、エウドラはまたスカウターの修理をする羽目になっていただろう。

275BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/11(木) 18:53:40
ab.0226.Coprophagy Exp.001.03

 エウドラももとに、ピタゴラス博士から通信が入った。

「エウドラ博士、私だ。ピタゴラスだ」

「あら、ピタゴラス博士」

「実はキミに頼みたい事があるんだが……」

「面倒くさい事ならお断りします」

「そこまでハッキリと言われると、頼みにくいんだが……、実は――」

…………。

エウドラはピタゴラス博士の話を終えると、通信を切って、
「面倒くさそうね」
と呟いた。

276BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/11(木) 18:57:20
ab.0227.intermission

*これは本編ではありません。

本文中に、何かを連想させる名称(地名、人物名など)があったとしても、全く関係ありません。
全て偶然です。

この後、本編に戻ります。

277BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/11(木) 18:58:03
ab.0228.Coprophagy Exp.002.01

『食糞実験2』

 物質転送装置の取扱責任者アリストテレスは、朝からずっと仕事に追われていた。原因は、先ほど突然やって来た、1人の女性科学者である。

その女性科学者は部屋に入ってくるなり、腰に手を当てて、アリストテレスを見下ろした。

「私はエウドラ、科学者よ。アナタ名前は?」

「ア、アリストテレスです」

「そう。じゃあアリストテレス、今日中に実験体の地球人を捕獲してちょうだい。条件は、人前でも平気で排便する人間、それから大便を平気で食べる人間よ」

「ご依頼の内容は分かりました。しかしX線望遠鏡には、排便や食糞といった嗜好を見分ける機能はありません。そんな実験体、どうやって探せばいいんですか?」

「そんなの知らないわよ! 実験体を集めるのはアナタの仕事でしょ? 言っておくけど、この食糞実験は、ピタゴラス博士からの要請なのよ? 博士の機嫌を損ねたくなかったら、頑張って実験体を捕獲しなさい」

「ピタゴラス博士の!? わ、わかりました!」

ピタゴラス博士は宇宙拷問研究所の重鎮である。機嫌を損ねるわけにはいかない。エウドラのワガママぶりに閉口しかけていたアリストテレスは、大急ぎでX線望遠鏡を起動させた。

278BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/11(木) 18:59:24
ab.0229.Coprophagy Exp.002.02

 アリストテレスが作業を始めると、エウドラは、室内の椅子の一つに深々と腰掛けて、くつろぎ始めた。実験体の捕獲が完了するまで、そこで待つ気らしい。

どこから用意したのか、片手にはティーカップが握られている。高級な茶葉独特の甘苦い香りを乗せた湯気が室内に広がり、アリストテレスはゴクリと唾を飲み込んだ。しかし、作業に追われるこのネオガイア男性の飲むお茶はなかった。

279BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/11(木) 19:00:33
ab.0230.Coprophagy Exp.002.03

 約30分後……。

「排便や食糞ができる地球人を捕獲して、どんな実験をなさるんですか?」

アリストテレスが、X線望遠鏡で地球上を物色しながら、遠慮がちにエウドラに尋ねた。

「食糞実験よ」
エウドラが、いかにも面倒くさそうに答えた。
「ピタゴラス博士が、自分の排泄物を栄養源にできる人間循環器というサイボーグの開発を進めているんだけど。その前実験として、人間がどれだけ排泄物を食べられるかを、私が調べる事になったのよ」

「へぇ、すごいですね」
アリストテレスが、いかにも感心したといった風に、返事をした。実際は、エウドラの実験に興味などなかった。ただエウドラが不機嫌そうにしているので、何とか場を和ませようとしたのだ、が……。

残念ながら、場が和む事はなかった。

280BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/11(木) 19:01:34
ab.0231.Coprophagy Exp.002.04

 1時間後……。

アリストテレスは、横目でエウドラをチラチラ見ながら、小さく溜息をこぼした。

X線望遠鏡には人間の趣味や嗜好を透視する機能は備わっていないので、エウドラの条件に合う実験体を選別する方法が分からないのだ。

 さらに1時間、
「ちょっと、何をしているの!? 下等な地球人を捕まえるような単純作業もできないの? アナタ馬鹿なの?」
ついにエウドラの怒りに火がついた。

「す、すみません。もうしばらくお待ち下さい」
ヒステリーを起こした女には逆らわない――というのは、地球人もネオガイア星人も変わらない。アリストテレスはいかにも申し訳なさそうに謝罪した。

281BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/11(木) 19:02:09
ab.0232.Coprophagy Exp.002.05

 アリストテレスは何度目かのためいきをこぼした時、突然ひらめいた。

(そうだ! 路上に糞便が散乱している地区を探せば、条件に合う人間が見つかるかも知れない!)

人前でも平気で排便する人間が住んでいる地区なら、きっと町のあちこちに糞便が散乱しているはずだ。X線望遠鏡なら、人間の趣味や嗜好を透視する事はできなくても、路上の糞便の見つける事はできる。

X線望遠鏡で該当する地区を探査し始めると、エウドラをチラリと見て、
「どうせ捕獲するなら、ワガママでない美女がいいなぁ……」
と呟いた。

282BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/11(木) 19:02:47
ab.0233.Coprophagy Exp.002.06

 しばらくして、1つの地区が見つかった。望遠鏡のモニターには、路上のあちこちに落ちている糞便が映し出された。糞便以外にも、ゴミや痰などがいたる所に散乱している。まるで町全体がゴミ捨て場のようだ。しかし不思議なことに、空き缶だけが1つも落ちていない。

あまりにも汚い町並みに唖然としながらも、アリストテレスは実験体の候補を探し始めた。すぐに見つかった。それも1人や2人ではない。町のあちこちで、それこそ所かまわず、住民が路上にしゃがみ込んで排泄をしている。予想以上の戦果にほくそえんで、アリストテレスは、部屋のすみでお茶を飲んでる女性科学者を振り返った。

「エウドラ博士、日本という島国に、すごい地区を発見しました。ここなら博士の条件に合う実験体がいくらでも見つかりそうです」

「え? どこ? 私にも見せて」

「見て下さい。日本人は家に入る時も靴を脱ぐような綺麗好きな種族だと聞いていましたが、この地区は例外のようです」

「ホントだわ! あ、この黄色いコートの男、ゴミ箱から残飯を拾って食べ始めたわ」

「こっちでは子供の集団が、1人の男と何かを奪いあってます。えぇと、どうやら空き缶を奪い合っているみたいです。地球では空き缶が貴重品なのでしょうか……?」

「すごい地区ね……。いいわ、さっそく捕獲を始めて」

283BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/11(木) 19:03:20
ab.0234.Coprophagy Exp.002.07

 アリストテレスは意気揚々で、排便中の住民の1人に転送機の照準を合わせた。転送機のモニターに、標的の姿がアップで映し出される。それを見たとたん、2人のネオガイア星人の顔が引きつった。

「な、なによ、コレ! こ、こんな生物、私はイヤよ!」

「あわわわ……。は、はい。私も同感です。ただちに別の標的を探します」

「ひぃ! こ、これもイヤ。ていうか、こんなの転送したら、宇宙船が汚染されるわ!」

「ど、同感です!」

アリストテレスは次々と新しい住民に照準を移すが、モニターに映し出されるのはいずれもフケとアカまみれで、まともな神経の持ち主ならば同じ部屋の空気を呼吸する事すらためらわれるような者達ばかりだった。中には身体にハエを這わしている住民までいた。

「き……却下よ! 他の地区を探しなさい!」

「はい! 同感です!」

X線望遠鏡の座標モニターには『寝屋真市』と表示されていた。

284BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/11(木) 19:05:08
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-284 食糞実験

285BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/17(水) 19:24:07
ab.0235.Coprophagy Exp.003.01

 数時間が過ぎた。排便の嗜好がある人間。そんな実験体の候補は見つからなかった。

エウドラは不機嫌そうに俯いて、ずっと無言状態だ。ティーカップは空になっている。お茶でお腹がタプンタプンだ。もう飲めない。

「はぁ……。X線望遠鏡に、SMスカウターみたいな機能がついていたら楽なんだけど……」
エウドラの口から、独り言がもれた。そして突然、何かを思いついたようにハッと顔を上げた。
「そうか、その手があったわ!」
エウドラはSMスカウターを握りしめて立ち上がった。

「聞いて、アリストテレス。実験体の条件に合いそうな地球人を、片っ端から転送して頂戴! ハズレでもかまわないわよ?」

「どういう事ですか?」

「これは私が開発したSMスカウターという機械よ。これを使えば、相手のSM嗜好が分かるの。アナタが転送してくれたら、条件に合うかどうかは、このスカウターを使って調べるわ」

「分かりました。人種はどうしますか?」

「どこでもいいわ。さっきの島……、たしか日本とかいったわね。? そこでいいわ」

「はい」

早速アリストテレスはX線望遠鏡を操り、主にSMクラブに的を絞って獲物を物色し始めた。闇雲に探すよりも、SMクラブを探した方が条件に合う実験体に当たる確率が高い、そう判断したのだ。

北は北海道から南は九州まで、全国のSMクラブを片っぱしから物色し、良さそうな女が見つかると物質転送機のスイッチを押した。

次々と転送されてくる女達。気がつくと、転送された女の数は47人になっていた。転送室にすし詰め状態になった女達を見て、さすがに多いと思ったアリストテレスは、あと1人で転送をやめる事にした。

「えぇと……最後の1人は誰がいいかな……」

15分ほどで48人目が見つかった。1人の女がSMクラブの店先で、タバコをふかしている。アリストテレスは女に転送機の照準を合わせて、転送スイッチを押した。その直後、火のついたタバコが地面に落ちた。店のドアの上で、『罪と罰』と書かれたネオンが淡く光っていた。

286BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/17(水) 19:25:00
ab.0236.Coprophagy Exp.003.02

 SMクラブで捕獲された48人の実験体候補の前に、エウドラは本物の女王様のように胸の前に腕を組んで仁王立ちになり、全員をぐるりと見回した。女達は皆、男のアリストテレスが選んだだけあって、そこそこの美人が揃っていたが、どの顔も整形手術を思わせた。

「アリストテレス。どれも似た顔をしてるけど、こういうのが好みなの?」
「いえ。私の好みは、清純そうなタイプです。こういうワガママそうな女はちょっと……あ!」

アリストテレスは慌てて手で口をふさいで、チラリとエウドラを見た。しかしエウドラは気にした様子もなく、48人の女たちを観察している。

「とりあえずご苦労さま。じゃあ早速、SMスカウターでスキャンするわ」
エウドラはSMスカウターを装着して、電源を入れた。

女たちは状況が把握できず、不安そうな顔で周囲をキョロキョロ見回している。それもそのはずで、地球人の彼女たちは、物質転送の経験がないのだ。

『ピ……対象S。目障りな店長を刺し殺したい。SM強度11』
『ピ……対象S。鬱陶しい親を殴りたい。SM強度6』
『ピ……対象M。業界関係者と一発やって芸能人になりたい。SM強度8』
『ピ……対象S。外国人の男と付き合いたい。ただしアジア系はパス。SM強度3』
『ピ……対象M。医者弁護士とのコンパに行きたい。SM強度9』
『ピ……』

「何よコレ。ロクなのがいないわね。SM強度も低すぎるわ」
「そうなんですか? 一応はSMクラブで捕獲したんですが……」

「まぁいいわ。48人もいるんだし、使える実験体も見つかるわよ」
そう言って、エウドラはスキャンを続けた。

結局、人前で平気で排便するというエウドラの条件に合いそうな女は、3人だけだった。名前は、出山杏奈、小家志津香、そして大嶋菜月といった。一方、食糞できる人間は1人もいなかった。アリストテレスの予想に反して、女達はSMマニアなどではなく、金のためにSMクラブで身体を売っているだけなのだ。

「はぁ……。これだけ集めて、使えそうなのはたった3匹?」
エウドラは大きく溜息をこぼした。

それを聞いて、アリストテレスが
(だからX線望遠鏡には嗜好をスキャンする機能はないと、何度も言ってるのに……)
小さく溜息をこぼした。

287BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/17(水) 19:25:45
ab.0237.Coprophagy Exp.003.03

「まぁ、いいわ。とりあえず3匹は確保できたし」
エウドラが、3人の正面に仁王立ちになった。
「私はエウドラ。ネオガイア星の科学者よ。ここは宇宙船オリンポスの中。オマエ達には、今から私の実験を手伝ってもらうわ?」

「宇宙船? 実験? ちょっと何の事よ!」
3人の中で一番気の強そうな出山杏奈が、エウドラを睨みつけた。状況を考えるとたいした度胸だが、同時に無謀とも言える。

「生意気な下等生物ね」
エウドラの瞳が、スッと細くなった。
「私への質問や要望は一切認めないわ。私の実験に協力して生き延びるか、拒んで早死にするか、オマエ達の選択枝は2つに1つよ」

「ちょっとぉ、アタシ今アンタに質問したよね? アタシまだ答え聞いてないんだけどぉ?」

「質問と要望は認めないと言ったはずよ?」

「はぁ? なんかウザイよぉ、このパツキンオバサン……」
杏奈も負けてはいない。比較的安全な日本でぬくぬくと育ってきたので、怖いもの知らずなのだ。もっとも、この後に、いやというほど知る事になるのだが……。

「面倒くさい事させないでほしいわ?」
エウドラが、腰から提げた金属製の棒を手にとり、杏奈の身体に押し当てた。それは電撃棒といって、触れた相手に電気ショックを与える器具だ。

たちまち杏奈の身体が硬直し痙攣した。

288BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/17(水) 19:26:46
ab.0238.Coprophagy Exp.003.04

 杏奈は、SMクラブで働いているだけあって、低周波治療器の類を使ったSMプレイの経験はあるが、本当の電気ショックを受けたのは初めてだった。電気ショックは、殴る蹴るに比べて見た目は地味だが、その苦痛はずっと大きい。

「ギャアアアアアアアアア! や、やめ……や……ひ、ひぃぃぃ」
中止を請おうにも、満足に言葉を発する事もできない。

「やべでえええ!」
本人は『やめて』と言ってるつもりだが、言葉になっていない。

「要望は一切認めないと言ったでしょ? だから『やめて』とか『許して』も認められないのよ?」

言葉にならない悲鳴で必死に許しを請う杏奈を、エウドラは冷ややかな目で見下ろした。電撃は、杏奈が白目をむいて悶絶するまで続いた。

「私は面倒くさい事が嫌いなの。だから同じ事を何度も言わせないでちょうだい」
エウドラが、傍らに立ちすくんでいる小家志津香と大嶋菜月を、ジロリと睨んだ。2人は怯えきって、エウドラの顔を見返す事すらできなかった。SMクラブで客のM男を罵倒していた時の雰囲気は、欠片ほども感じられない。

 エウドラは、電撃を受けて失神している杏奈に蹴りを入れて、強制的に覚醒させた。

「本題に戻るわ? さきほど実験を手伝ってもらうと話したけど、やってもらうのは簡単な作業よ?」
エウドラは女達に実験について説明を始めた。

――――。

289BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/17(水) 19:27:24
ab.0239.Coprophagy Exp.003.05

 エウドラの口調は、有無を言わさぬ響きがあった。このネオガイア星人の女性科学者の目には、地球人などただの物体としか映っていないのだ。

他人に大便を食べさせる――、自ら異星人と名乗る金髪碧眼の女の話はとんでもない内容だった。しかし女の持つ金属棒の恐ろしい威力を目撃した女達には、だまって頷くしか選択枝はなかった。

ちなみに、実験体に選ばれなかった残りの45名が、その後どうなったかは不明である。

290BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/17(水) 19:28:59
◆ 目次 ◆
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>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

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>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

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>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-290 食糞実験

291BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/22(月) 17:51:05
ab.0240.Coprophagy Exp.004.01

「とりあえず排便する側は、この3匹でいいわ。アリストテレス、次は大便を食べる実験体を捕獲してちょうだい」

「あのぉ、エウドラ博士?」
アリストテレスは遠慮がちにエウドラを見た。
「思ったんですが……、残りの45人に、食べさせればいいのではないですか?」

SMクラブから48人を集めても、人前で排便できる人間はわずか3人しか見つからなかったのだ。自ら進んで食糞をする人間が簡単に見つかるとは、アリストテレスには思えなかった。

「アナタ、馬鹿じゃないの!?」
それに対して、エウドラから返ってきた言葉は辛辣だった。
「私は面倒臭いことが嫌いだって、さっき言ったでしょ? 食糞の嗜好のない実験体に、大便を無理やり食べさせるなんて、面倒臭いわ。自らすすんで大便を食べる実験体が必要なのよ。分かった?」

「はぁ……」

「今、溜め息をこぼしたでしょ?」

「た、溜め息だなんて飛んでもありません。『ハイ』と返事をしたんです」

「そう? 溜め息に聞こえたけど……」

アリストテレスは、今度はエウドラに聞こえないように小さく溜め息をこぼすと、再びX線望遠鏡を起動させた。

292BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/22(月) 17:51:38
ab.0241.Coprophagy Exp.004.02

 アリストテレスは、SMクラブをはじめとしていくつかの性風俗店、アダルトグッズの販売店などから、地球人を誘拐し始めた。

誘拐した地球人の性的嗜好を、エウドラはSMスカウターで片っ端からスキャンした。

スカトロプレイに興味を持つマゾは何人か見つかったが、SMプレイの中でも食糞はかなりハードルが高いらしく、自ら進んで食糞をするようなマゾは見つからなかった。

アリストテレスの苦労も知らず、エウドラは苛立ちを高めていた。不機嫌そうに、ヒールの先で床を小突く。カツカツという音が、無言の室内に響いた。

(まったく、いつまで時間がかかってるのかしら。例のSMスカウターをショートさせたような真性マゾを、早く見つけてよ! え? 真性マゾ……?)
エウドラがハッと顔を上げた。
(そうだわ! たしかビーナスのマゾ化薬実験の被験者がいたわ)

293BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/22(月) 17:52:27
ab.0242.Coprophagy Exp.004.03

 人口の大半がサディストというネオガイア星人の宇宙船オリンポスには、乗員の欲求を満たすための奴隷を収容する施設が備わっていた。

そこには物質転送装置で捕獲された地球人が収容されていて、ネオガイア星人は自由に奴隷をレンタルして、拷問や生体実験に使う事ができた。

マゾ化薬を投与されて真性マゾになった梅本由梨香も、収容所に収容されていた。ただし現在は、ラミアーの実験が終了するまで、つまり出産するまでは、他の実験や拷問に使用する事を禁じられていた。

 収容所を管理しているのは、ナルキッソスという若いネオガイア星人だった。そのナルキッソスのもとに、通信が入った。

「科学者のエウドラよ。そこに、マゾ化薬を投与された真性マゾが収容されているわよね? その地球人を貸してちょうだい」

「検索しますので、少しお待ちください」
ナルキッソスはコンピューターのパネルを操作し始めた。
「はい。Yurikaの事ですね?」

「そう、Yurikaよ」

「えぇと……、申し訳ないのですが、Yurikaは別の実験に使用中ですので、レンタルできません」

(別の実験?)
エウドラが怪訝そうな顔をして、すぐに頷いた。
(あぁ、ビーナスのマゾ化薬実験の事ね。マゾ化薬実験ならほぼ終了して、あとは私のSMスカウターでSM度を測定するだけだから、食糞実験に使っても問題ないはずよ)

エウドラは由梨香がラミアーの実験に使用されている事を知らなかった。

「それなら問題ないわ。すぐに私の実験室にYurikaを寄こしてちょうだい」

「しかし……」

「問題ないと言ってるでしょ! ホント面倒くさい男ねぇ!」
エウドラは、ナルキッソスが何か言いかけたのを遮って、一方的にまくしたてると、そのまま通信機を切ってしまった。

ナルキッソスは、切られた通信機に向かって、
「ラミアー博士が実験中なんだけど、ホントに大丈夫なのかなぁ……」
と呟いた。

294BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/22(月) 17:54:00
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-294 食糞実験

295BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/26(金) 20:41:07
ab.0243.Coprophagy Exp.005.01

 由梨香が使役アンドロイドに連れられて、エウドラの実験室にやって来た。そこには、エウドラと、食糞実験のために捕獲された出山杏奈、小家志津香、大嶋菜月の3人がいた。3人とも何も身につけていない。

杏奈、志津香、菜月の3人は、アンドロイドに連れられて来た由梨香を、訝しげな表情で見た。

「この女はYurika。オマエ達よりも前にオリンポスに来た先輩奴隷よ?」
エウドラが由梨香を紹介し、さらに、
「Yurikaは、宇宙船オリンポスに連れてこられる前は、イベントコンパニオンだったらしいわ。SMクラブで身体を売ってる淫売とは大違いね?」
意地悪く煽った。

 3人のSM嬢の顔に、怒りの色が浮かんだ。しかしエウドラの恐ろしさは先ほどの電撃棒で思い知らされているので、由梨香をキッと睨みつけるしかできなかった。

「あらあら、淫売のくせに、プライドだけは高いのねぇ?」
エウドラが楽しそうに笑った。
「でも安心していいわよ? 淫売がイベントコンパニオンに復讐する機会を与えてあげる。今からオマエ達は、このYurikaに大便を食べさせるのよ?」

このエウドラの言葉を聞いて、3人のSM嬢は困惑の表情を浮かべたが、由梨香の顔に浮かんだのは歓喜の表情だった。

296BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/26(金) 20:41:41
ab.0244.Coprophagy Exp.005.02

「せっかくだから、色んな方法で食糞実験をしましょう。1人は普通に排便してもらうわ。残りの2人は浣腸よ?」

エウドラがアンドロイドに命じて、何やら怪しげな液体の入ったボトルと巨大な浣腸器を持ってこさせた。

「浣腸液は2種類。1つは、地球のブランデーよ。わざわざXOを用意してあげたのよ。感謝しなさい。もう1つは、地球のブタの精液よ。ブタといっても地球人の事じゃなくて、家畜のブタの事ね」

見ると、浣腸器の1つには琥珀色の液体が、もう1つには白濁した液体が入っている。どちらも1リットル以上ありそうだ。

「自然排便か、ブランデーか、ブタの精液。好きなのを選ばせてあげるわ?」

杏奈、志津香、菜月の3人は、お互いの顔を無言で見回した。

「中止する事はできないわよ? 早く決めなさい。早くしないと、これを使う事になるわよ?」
エウドラが電撃棒を軽く振ってみせた。3人の顔が恐怖にひきつる。

一方、由梨香はというと、粘りつくような目で電撃棒を見つめている。電撃棒で虐めて欲しくてたまらないのだ。

297BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/26(金) 20:42:11
ab.0245.Coprophagy Exp.005.03

「決めるって……、どうやって……」

杏奈が消え入るような声で訊いた。勤務先のSMクラブでは、客のマゾ男を怒鳴りつけていたが、電撃棒の洗礼を受けた今は、どんな真正マゾよりも弱々しい。

「そうねぇ……。じゃあ、ここでオナニーしなさい。先に絶頂を迎えた順に、決めていいわ? さぁ、早くした方がいいわよ? 自然排便はともかく、アルコールや家畜の精液の浣腸なんて、私だったらご免だわ」

「…………」

再び3人の女たちが、無言でお互いの顔を見つめあった。ブタの精液を浣腸されたら、何か伝染病に感染する危険性がある。ブランデーにいたっては、急性アルコール中毒で死ぬ危険性がある。

298BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/26(金) 20:42:59
ab.0246.Coprophagy Exp.005.04

 杏奈が自分の胸を揉み始めた。
「アァンアァン」
アダルトビデオのような喘ぎ声を発しながら、オマンコに手を這わせた。

それを見た志津香と菜月も、オナニーを始めた。

「イク、イク、イクゥ!」
しばらくして杏奈が身体を数秒間硬直させてから、グッタリとなった。

「イッたフリしてんじゃねぇよ!」
志津香がオナニーを中断して、杏奈の髪の毛を鷲掴みにした。同じ性風俗を生業としている者同士、イッた振りを見抜く事ができるのだ。

「ギャアアア! は、離せ、ブス!」
杏奈が志津香の手に噛みついた。

「ギャアアア! ブスはテメェだ!」
「オマエだ。この整形女!」
杏奈と志津香がオナニーを忘れて、喧嘩を始めた。口汚く罵り合いながら、お互いの髪の毛を引っぱる。

そのすぐ横で、1人で一心不乱にオナニーを続けていた菜月が、身体を引きつらせた。
「ひ、ひ……くぅぅぅ」
オマンコをこする指の間から、潮が噴き出した。

299BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/26(金) 20:43:44
ab.0247.Coprophagy Exp.005.05

「あははは。喧嘩をしている間に、その女に先を越されてしまったわね」
エウドラがおかしそうに笑った。
「多分その女は自然排便を選ぶだろうから、残るは、ブランデーとブタの精液よ? 喧嘩している暇はないんじゃないかしら?」

杏奈と志津香は、先に絶頂を迎えた菜月を恨めしそうに睨みつけると、オナニーを始めた。

「アハハハ。お酒と精液の浣腸を賭けてオナニーするなんて……、地球人って、ホントにどうしようもないわねぇ」
エウドラが、狂ったようにオマンコをこする2人の女を見て、おかしそうに笑った。

「あ、あ……、ヒ、ヒィ……」
少しして、杏奈が切迫したような喘ぎ声をもらし始めた。今度は演技ではなく絶頂が近い事は、誰の目にも明らかだ。

「い、イカせてたまるか……」
志津香が、オナニーを続けながら、片足でゲシゲシと杏奈を蹴った。

「や、やめろ、ブス。は……、早く、早くイカないと……」
杏奈は身をよじって志津香の蹴りを避けつつ、乳房を揉んでいた手を下半身に移し、肛門に指を突っ込んだ。もう一方の手はオマンコを激しくこすっている。

「あ、あぁ、イク、イク、ホントにイク……」
杏奈が身体を仰け反らせた。

「あら、どうやら決着がつきそうね?」
エウドラがクスクス笑った。

300BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/26(金) 20:44:16
ab.0248.Coprophagy Exp.005.06

「そ、そうはさせるか、このブス女!」
志津香がオナニーを中断し、立ち上がった。そして杏奈の股間を、渾身の力を込めて蹴った。

「ウギャアアアアアアアアア!」
男でなく女にとっても、性器は敏感な急所だ。杏奈が股間を両手で押さえながら、床の上を転げまわった。アルテミスのような真正マゾならともかく、普通の女がこの状況で絶頂を迎える事など不可能だ。

「ざまぁみろ!」
志津香が、床の上で身体をくの字に曲げて苦しそうに呻く杏奈に唾を吐きかけると、再びオナニーを始めた。

「あ、あ、あぁ……い、いく……」
数分後、志津香のオマンコが潮を噴いた。その時も、杏奈はまだ床の上で苦悶のうめき声をもらしていた。

「あそこでオマンコを蹴る作戦にでるなんて、さすが下等生物の淫売ね」
エウドラが侮蔑の笑みを浮かべた。
「Yurika。オマエもそう思うでしょ?」

「あぁ、由梨香もオマンコを蹴られたいですぅ」

「アハハハハハハ。地球人って、もう最高だわ」
エウドラがおかしそうに笑い転げた。

301BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/26(金) 20:45:28
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-301 食糞実験

302BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/07(火) 20:24:20
ab.0249.intermission

*これは本編ではありません。

スカトロのシーンが出てきます。苦手な方はスキップして下さい。スキップしても、本編の物語の展開には影響しません。

この後、本編に戻ります。
*****************************************

303BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/07(火) 20:25:05
ab.0250.Coprophagy Exp.006.01

 オナニー勝負の結果、1位の菜月が予想通り自然排便を選んだ。2位の志津香は、迷った挙句ブタの精液を選んだ。ブランデーを浣腸される事になった杏奈は、恐怖で震えている。科学の知識など全くない風俗嬢だが、職業柄、アルコールの浣腸の危険性は知っているのだ。

最初に菜月の大便を食べる事になった。

エウドラが床に皿を置いた。

「わざわざ地球から物質転送で取り寄せた、ミントンとかいうブランドの皿よ。下等な地球人の為にそこまでするなんて、感謝してほしいわね」

たしかに高級そうな皿だ。

 エウドラが菜月に、皿の上に排便するのを命じた。菜月は一瞬だけ戸惑ったが、エウドラの手に握られている電撃棒を見ると、諦めたように皿の上に跨った。

由梨香が舌なめずりをするような目で、菜月の尻の下に置かれた皿を見つめている。早く大便が食べたくて仕方ないのだ。

「腸に溜まった大便を残らず出しなさい。もしも残っていたら、これを味わう事になるわよ?」
エウドラが電撃棒を軽く振ってみせた。それを見る菜月のが恐怖に引きつる。

菜月が腹に力を入れた。肛門がプックリと膨らみ、茶色い塊が顔を覗かせた。女なら絶対に他人に聞かれたくない破裂音を発しながら、野太い大便がひり出された。皿の上に『し』の形を作った。

304BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/07(火) 20:26:16
ab.0251.Coprophagy Exp.006.02

由梨香がゴクリと唾を飲み込んだ。物欲しそうな目で、エウドラを見つめた。この場の主導権が誰にあるのか、分かっているのだ。

「フフフ。早く食べたくて仕方ないといった感じね。食べていいわよ」

エウドラが言い終えるや否や、由梨香が口を大きく開いて、大便に顔をつっこんだ。そのまま大便を大きく囓り取る。恍惚の表情を浮かべながら、咀嚼し始めた。たっぷり味わってから、一切の躊躇なくゴクリと飲み込んだ。

皿の上には、まだ大便が残っている。見ると、由梨香の歯形が残っている。それを再び噛り取って飲み込んだ。

 菜月ら3人の女達は、信じられないものを見るような目で、由梨香を見つめた。勤め先のSMクラブにも食糞プレイを希望する客は大勢来るが、大半の客は飲み込む事ができない。仮に飲み込めたとしても、吐き気をこらえながらだ。口いっぱいに頬張った大便を躊躇なく飲み込む、由梨香のようなマゾは滅多にいない。

周囲に大便のニオイが漂い始めた。エウドラがアンドロイドに消臭を命じた。

由梨香は皿の上に残っている大便を、まるで数日ぶりに餌にありついた野生動物のように、貪り食った。全て食べ終えると、皿に付着した大便の残りを舌で舐め取った。

口の周囲についた大便を指で取ると、その指を咥えてジュルジュルと音を立てながら吸った。

「アハハハ。綺麗に食べたわね。どう、美味しかった?」
由梨香を睥睨しながら、エウドラがおかしそうに笑った。

「はい、美味しかったですぅ」
由梨香が、大便で茶色くなった歯を見せながら答えた。

305BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/07(火) 20:27:24
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-305 食糞実験

306BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/16(木) 20:20:22
ab.0252.Coprophagy Exp.007.01

 由梨香は菜月の大便を食べ尽くしても、満足しなかった。今は、粘りつくような目で、志津香と杏奈を見つめている。

志津香にはブタの精液が、杏奈にはブランデーが浣腸される事となった。

ブタの精液は2リットルもあった。それに使用する浣腸器も巨大で、女の太股くらいある。ブランデーは、ボトル1本分が浣腸される。浣腸ではなく口から飲んでも、急性アルコール中毒を起こしてしまう量だ。

2人のSM嬢は、怯え切った目でアンドロイドの持つ浣腸器を見つめている。彼女たちを『女王様』と崇めてくれる者は、ここには1人もいない。

「まずは……そうねぇ、ブタの精液から始めましょ」
女王が、志津香に浣腸するように、アンドロイドに命じた。

307BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/16(木) 20:20:59
ab.0253.Coprophagy Exp.007.02

 アンドロイドが志津香の腕を拘束した。志津香は必死に抵抗したが、マシンのパワーの前に人間は無力だ。あっという間に両脚を割り開かれて、肛門に浣腸器の先端を突っこまれる。志津香の悲鳴がむなしく響き渡った。

浣腸液の注入が始まった。巨大な浣腸器の中筒を押すにはかなりの力が必要だが、アンドロイドのパワーなら問題ない。

「あぅううう……」
志津香が呻き声をもらした。SMクラブで客に浣腸した事はなんどもあるが、自分がされるのは初めてだ。しかも直腸内に入ってくるのはブタの精液だから、そのおぞましさは格別だ。

浣腸用の精液は2リットルもある。見ると、浣腸液が注入されるにつれて、志津香の下腹部が妊婦のように膨らんでいった。同時に、膨らんだ腸が胃を圧迫して、吐き気が志津香を襲った。

「オ、オエ……、く、苦しい……。お、お腹が……、オエ……。ト、トイレに行かせて……」

浣腸が終わった後も、志津香は膨らんだ下腹部を両手で押さえながら、苦しそうに喘いだ。

「まだ出したらダメよ。もしも出したら、これで死ぬほど罰を与えるわよ?」
エウドラが手にした電撃棒を軽く振ってみせた。

志津香は小さく悲鳴をあげて、便が漏れ出さないように、片手で肛門を押さえた。

308BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/16(木) 20:22:11
ab.0254.Coprophagy Exp.007.03

「次はブランデーよ?」
エウドラが杏奈に視線を移した。アンドロイドが杏奈に手をのばした。

「何さらすんじゃ、ぶっ殺すぞテメェ! キモイ手で触るんじゃねぇ!」

杏奈が、アンドロイドに向かって喚き散らした。SMクラブの客にも見せた事のない、ものすごい迫力だ。しかしどんなに凄んでも、感情のないアンドロイドの前では、非力な1人の女に過ぎない。結局、志津香よりも簡単に押さえつけられてしまった。

琥珀色の液体が満たされた浣腸器が肛門に突き刺り、注入が始まった。

「ギャアアア、い、痛い、痛い!」
アルコールが直腸の粘膜を焼くのか、杏奈の口から悲鳴が迸る。

30秒ほど時間をかけて、ボトル1本分のブランデーが、直腸内に注入された。

「あ、あぁ……あ……」
杏奈の額に脂汗がにじみ出てきた。さほど時間をかけずにアルコール度数40%を超える液体が腸から吸収され、急性アルコール中毒の症状を引き起こさせるだろう。

309BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/16(木) 20:23:22
ab.0254.Coprophagy Exp.007.03

「次はブランデーよ?」
エウドラが杏奈に視線を移した。アンドロイドが杏奈に手をのばした。

「何さらすんじゃ、ぶっ殺すぞテメェ! キモイ手で触るんじゃねぇ!」

杏奈が、アンドロイドに向かって喚き散らした。SMクラブの客にも見せた事のない、ものすごい迫力だ。しかしどんなに凄んでも、感情のないアンドロイドの前では、非力な1人の女に過ぎない。結局、志津香よりも簡単に押さえつけられてしまった。

琥珀色の液体が満たされた浣腸器が肛門に突き刺り、注入が始まった。

「ギャアアア、い、痛い、痛い!」
アルコールが直腸の粘膜を焼くのか、杏奈の口から悲鳴が迸る。

30秒ほど時間をかけて、ボトル1本分のブランデーが、直腸内に注入された。

「あ、あぁ……あ……」
杏奈の額に脂汗がにじみ出てきた。さほど時間をかけずにアルコール度数40%を超える液体が腸から吸収され、急性アルコール中毒の症状を引き起こさせるだろう。

310BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/16(木) 20:24:09
ab.0255.Coprophagy Exp.007.04

「ただ待っているのも退屈だから、少し遊びましょう」
エウドラが杏奈の方へ、何やら放り投げた。

「地球のSMクラブから入手した物よ。これを使って、その地球人の腸の中をかき混ぜてあげなさい」
そう言って、床の上で吐き気と便意に耐えている志津香を、顎でしゃくった。

 エウドラが放った物は、ペニスバンド――人工のペニスをベルトで腰に取り付けるアダルトグッズ――だった。主にレズビアン同士や、S女がM男のアナルを責める時に、ペニスの代用として使われれる。

「さっきオマエのオマンコを蹴った女よ? それに、その女のせいで、オマエはブランデーを浣腸される事になったのよ?」
エウドラは笑みを浮かべながら、杏奈を見下ろした。
「それを使って、好きなだけ復讐しなさい」

311BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/16(木) 20:24:51
ab.0256.Coprophagy Exp.007.05

 杏奈はフラフラと立ち上がると、ペニスバンドを腰に装着した。SMクラブで働いていただけあって、手慣れた手つきだ。

志津香は逃げようとしたが、アンドロイドに取り押さえられ、四つん這いにされた。

杏奈は、志津香の尻を背後から鷲掴みにすると、肛門にペニスバンドの先端を当てた。そのまま男よりも荒々しく、腰を突き出した。憎しみすらこもっているような勢いだ。

「ギャアアアアアアアアア!」
志津香の絶叫が響き渡った。

杏奈が腰を前後に動かし始めた。
「ギャッ、ギャア! ヒィ! ヒィ! や、やめ……ヒィィィ……」
そのたびに、志津香が悲鳴をもらした。

見ると、肛門とペニスバンドの隙間から下痢便が漏れ出して、床の上に黄土色の水たまりができている。それを、由梨香は物欲しそうに見つめた。

「舐めていいわよ、Yurika」
エウドラが許可すると、由梨香はパッと顔を輝かせて、四つん這いになった志津香の腰の下に頭を潜り込ませた。そして床の上に溜まった下痢便を、ジュルジュルと音をさせながら啜り始めた。

「死ね、死ね、死ね!」
杏奈は、志津香を罵倒しながら、その肛門を犯し続けた。

「アハハハ。なんて浅ましいの? やっぱり地球人は下等生物ねぇ」
2人の姿を見ながら、エウドラがおかしそうに笑った。

312BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/16(木) 20:25:25

ab.0257.Coprophagy Exp.007.06

 しばらくして、杏奈の腰の動きが遅くなり始めた。疲れたのではない。浣腸されたブランデーが、腸から吸収され始めたのだ。
「ウ、ア、ァ……ウ……」
半開きになった口から呻き声を漏らしながら、夢遊病者のように腰を振り始めた。見ると、顔が紅潮している。

「フフフ。あんなに激しく腰を振ったら、アルコールの回りが早くなる事も分からないの? ホント、下等生物ねぇ」
エウドラがクスクスと笑った。

ほどなくして、杏奈が昏倒した。

 志津香の肛門は、ペニスバンドが抜けた後もしばらく、ポッカリと開いたままだった。不思議と、便はほとんど漏れ出てこない。

「お、お願い……。トイレに行かせて……」
志津香は息も絶えだえになりながら、エウドラに懇願した。

「あら、便器ならそこにあるわよ?」
エウドラが由梨香を顎でしゃくった。由梨香の顔が、期待と喜びにパッと輝いた。その顔の鼻から下は、志津香の漏らした下痢便まみれだ。

「Yurika、肛門から直接飲みなさい」
エウドラが命じると、由梨香は、四つん這いの志津香の尻の割れ目に顔を埋めた。そしてまだ完全に閉じきらない肛門に吸い付いた。

313BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/16(木) 20:25:55
ab.0258.Coprophagy Exp.007.07

 由梨香の口が肛門に吸い付くや否や、すでに便意が限界に達していた志津香は、一気に排便を始めた。

浣腸されたブタの精液だけで2リットルある。ペニスバンドで犯されている時に一部は漏れ出たとはいえ、かなりの排泄量になるはずだ。それを、由梨香は、全て胃に流し込んだ。

志津香が排便を終えると、由梨香が小さくゲップをした。細かった腹が、ポッコリと膨らんでいる。

「正直、驚いたわ。まさか全部飲み込んでしまうとは思っていなかったわ」
エウドラは感心したように由梨香を見つめた。

この我儘なネオガイア星人の女性科学者をここまで感心させた地球人は、後にも先にも由梨香1人だけだ。

「さて、あと1人いるけど……」
エウドラが杏奈に視線を移した。

杏奈は急性アルコール中毒を起こして、悶絶していた。かろうじて意識はあるが、身体の自由はきかない。

314BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/16(木) 20:26:29

ab.0259.Coprophagy Exp.007.08

 エウドラはアンドロイドに命じて、長さ1メートル、太さ3センチほどの透明なチューブを用意させた。

「Yurika、飲み込みなさい。いい? 胃袋まで飲み込むのよ」

「はい」

由梨香はチューブを両手で握りしめると、その端を咥えた。そして太さが手首の半分ほどもあるそれを、自ら食道にねじ込み始めた。咽頭を擦られて嘔吐しそうになるのを、必死に抑える。

長さ1メートルほどあったチューブは、半分ほど残して、由梨香の食道におさまった。先端は胃に達しているだろう。

「いいわ。じゃあもう一方の端を、この地球人に肛門に突っ込みなさい」

「ふぁ……ふぁぃぃ」

由梨香は、エウドラの意図を悟って、期待に両目を輝かせた。自分の口から触手のように飛び出ているチューブを握り、杏奈の肛門にねじ込んだ。急性アルコール中毒を起こした杏奈は、されるがままだ。

由梨香の口と杏奈の肛門が、チューブで繋がった。しかし由梨香の期待に反して、直腸内に溜まっているはずの大便が流れてこない。

「フフフ。今たっぷりと飲ませてあげるわ?」
エウドラがクスクス笑いながら、杏奈の腹に電撃棒を押し当てた。

315BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/16(木) 20:27:03
ab.0260.Coprophagy Exp.007.09

「ンギィィィィィ!」

弛緩状態だった杏奈の身体が、怪鳥のような絶叫とともに、弓なりに仰け反った。同時に、肛門から、黄土色の液体が噴き出した。

下痢便はゴボゴボと音をたてながらチューブ内を通り、由梨香の口の中に流れ込んだ。とたんに、2人分の大便を食べてすでに張っていた腹が、さらに膨らみ始めた。

由梨香が、胃に異様な圧迫を感じて、両目をキョロキョロさせた。それでも口のチューブを引き抜こうとはしなかった。

エウドラは、そんな由梨香を楽しそうに見物しながら、杏奈の身体に何度も何度も電撃棒を押し当てた。そのたびに杏奈の肛門から下痢便が噴き出し、チューブを通って由梨香の胃に流れ込んだ。

 突然、由梨香の両目がグルリと反転し、唇とチューブの間から黄土色の「液体が噴き出した。鼻の穴からも、同じ色の液が流れ出ている。そして両腕をガクガクと痙攣させたかと思うと、そのまま床に崩れ落ちた。見ると、腹は、まるで妊娠後期のそれのようだ。

「フフフ、マゾ化薬で真性マゾになったとはいえ、さすがに限界みたいね? でも実験はまだ終わっていないのよ?」

エウドラは、息も絶えだえの由梨香を冷たく睥睨すると、杏奈の身体に電撃棒を押し当てた。杏奈の肛門から、血の混じった下痢便が噴き出した。

316BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/16(木) 20:27:34

ab.0261.Coprophagy Exp.007.10

 エウドラは、杏奈の肛門が便を放出しなくなるまで、電撃棒を杏奈の身体に何度も何度も押し当てた。
 
大便が出尽くす頃には、杏奈は完全に意識を失っていた。電撃棒を当てられても、身体を硬直させるが、悲鳴をあげる事はなくなっていた。電気ショックから解放されると、死体のように動かなかった。

由梨香も床の上で悶絶していた。かろうじて呼吸はしている。日本人らしいきめ細やかな肌は、ボツボツと毛穴が浮き上がり、紅潮している。杏奈に浣腸されたブランデーの多くが胃に流れ込み、杏奈と同じく、急性アルコール中毒を起こしたのだ。

 エウドラが、由梨香の口からチューブを引き抜くように、アンドロイドに命じた。アンドロイドがチューブを握り、無造作に引き抜いた。

「おげぇぇえええ……ゲェ、ゲボォ……」
チューブが引き抜かれると同時に、由梨香の口から、黄土色の液体が噴き出した。

数滴がエウドラのブーツにかかった。
「何するのよ! この下等生物!」
エウドラが、床に横たわったままの由梨香の乳房を、ブーツで踏んだ。しかし文字通り泥酔状態の由梨香は、小さく呻き声を発しただけだった。

「とりあえずはかなりの量の大便を食べる事ができるみたいね。私はシャワーを浴びてくるわ。Yurikaが飲み込んだ大便の量を測っておいてちょうだい」
エウドラはアンドロイドに命じると、「面倒くさかったわ」と不満をもらしながら、部屋を出て行った。

踏まれた時に由梨香の乳房から漏れた母乳に、この我儘なネイガイア女性科学者は気づいていなかった。

317BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/16(木) 20:29:42
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-317 食糞実験

318BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/17(金) 21:36:04
ab.0262.Coprophagy Exp.008.01

 エウドラは自分の実験室に向かって全力疾走した。面倒くさいことが何よりも嫌いな彼女にとって、自分の足で走るのは苦行以外何物でもなかったが、今はそんな事を言ってる場合ではなかった。

 食糞実験に使用するため由梨香を収容所からレンタルする時、管理人のナルキッソスから、由梨香が別の実験に使用中だと聞かされた。

エウドラは、その『別の実験』というのはビーナスのマゾ化薬実験の事だと思った。マゾ化薬実験なら、ほぼ実験は終了していて、あとはSMスカウターでSM度を測定するだけだから、その測定前に食糞実験をしても問題ない――はずだった。

 食糞実験を終えたエウドラは、シャワを浴びてすっきりしたところで、ビーナスからメールが届いている事に気づいた。何気なくメールを開封して、エウドラは悲鳴をあげた。そこには、由梨香がラミアーの実験に使用されている旨が書かれていたのだ。

(まさかラミアーの実験中だったなんて……。もしも私の食糞実験のせいで、ラミアーの実験が失敗するような事になったら……)

ラミアーの地位は、エウドラや友人のビーナスはもちろん、その上司のアテナ、さらにはピタゴラス博士やメビウス博士よりも遥かに高い。ラミアーがその気になれば、エウドラを社会的に抹殺する事など朝飯前なのだ。

実際、ピタゴラス博士やメビウス博士も、ラミアーにだけは頭が上がらない。保身と出世しか考えない政治家などは、ラミアーのご機嫌を取ろうと必死だ。

エウドラは、友人のビーナスがラミアーに馴れ馴れしくタメ口をきいているのを見ては、背筋が凍り付きそうになったものだ。

319BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/17(金) 21:36:35
ab.0263.Coprophagy Exp.008.02

 実験室に入って、室内を見たエウドラは、今日2度目の悲鳴をあげた。

由梨香は、志津香や杏奈が食糞実験後に漏らした大便を、身体に塗りたくりながら、オナニーしていた。顔も乳房も股間も大便まみれだ。大便を頬張りながら、片手で大便を乳房に塗り、もう一方の手で、オマンコをこすっている。

尿と違って大便は雑菌の巣で、腟に侵入すると、腟炎や膀胱炎のリスクがある。特に空気に触れると、そのリスクは高くなる。ローションのように身体に塗りながら、その大便がついた指をオマンコに出し入れするなど、危険極まりない行為だ。

「ちょ、ちょっと、何してんのよ!?」

「う、うんち、温かいですぅ」

「やめなさい、バカ! さ、最悪だわ。私、ラミアーの実験体に、とんでもない事してしまったわ」

エウドラは軽く眩暈をおぼえた。

「やめなさいと言ってるでしょ! この下等生物め!」

エウドラは由梨香を蹴ろうとしたが、思いとどまった。へたに蹴って由梨香の子宮を傷つけでもしたら、大変な事になる。

320BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/17(金) 21:37:10
ab.0264.Coprophagy Exp.008.03

「どうする? 全てラミアーに打ち明ける? ダメダメ。そんな事したら、彼女『あらあらまぁまぁ』と言いながら、私を撃ち殺すわ」

エウドラは両手で頭を抱えた。

「Yurika、よく聞きなさい。アナタは私と会った事はないの。アナタは……、そう、ナルキッソスよ。ナルキッソスに命令されて、大便を食べたの。ナルキッソスよ。ナ、ル、キッ、ソ、ス。分かった?」

「なるそすですかぁ?」

「ナルキッソスよ、バカ! 私は……、宇宙へ旅に出るわ。あと数日でラミアーが帰ってくるんだもの。こんな所にはいられないわ。ピタゴラス博士の依頼なんて、もうどうでもいいわよ!」

エウドラは宇宙クルーザーをチャーターして、オリンポスを飛び立った。

321BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/17(金) 21:38:57
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

322BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/18(土) 11:49:46
ab.0265.Grey vs Artemis.001.01

『グレイ襲来』

 アルテミスが地球での休暇を終え、宇宙船オリンポスに戻ってきて間もなく。そしてラミアーとビーナス、エウドラがバカンスで不在中。地球の衛星軌道上に停泊中のオリンポスに、重大な事件が起きようとしていた。

オリンポスのレーダー観測の任務に就いているアリストテレスが、地球に接近する小型宇宙船を発見した。早速、ソクラテスに通信回線を開く。

「小型の宇宙船が地球に接近中です」
「どこの宇宙船だ?」
「船籍は……あ、グレイです。どうしますか?」
「どうもこうもない。彼らのやる事には干渉できない」

 グレイは数千万年にわたって銀河系を支配している種族だ。当然ネオガイア星人よりも遥かに進んだテクノロジーを有している。ちなみにネオガイア星人は、今でこそ独立した国家を形成しているが、以前はグレイの家畜だったのだ。

グレイの小型宇宙船は、悠然とオリンポスの横を通過し、地球に向かっていった。

323BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/18(土) 11:50:21
ab.0266.Grey vs Artemis.001.02

 その1時間後、ソクラテスに、銀河の彼方から通信が入った。発信元は銀河警察だった。銀河警察は、その名の通り、銀河系の治安を守る警察組織だ。その上層部は、グレイをはじめとする有力な星間種族で構成されている。残念ながら、その中に、ネオガイア星人の名はない。

回線を開くと、1人のグレイが映しだされた。
「私は銀河警察のヤ・グ・オイだ」

「銀河警察が何のご用ですか?」

「グレイの犯罪者が地球に潜入した。我々が到着するまで足止めをしてくれたまえ。よろしく頼んだぞ」

「ちょっと待……、あ、切れた」
ヤ・グ・オイは要件を告げると、ソクラテスの返事も聞かず、一方的に通信を切った。

(地球に潜入したグレイの犯罪者? あの小型宇宙船か……。これは大変な事になったぞ)
ソクラテスは、大急ぎで、ピタゴラス博士やメビウス博士といった主要メンバーを招集し、緊急会議を開いた。

 集まった面々は、ソクラテスから事情を聞かされて、ひどく動揺した。なんと言っても、相手はグレイの犯罪者だ。当然グレイ製の兵器で武装していると考えるべきだろう。戦闘になれば、かなりの被害が出る可能性がある。

ネオガイア宇宙軍の一個中隊を投入する――という案も出たが、ペルセウスの反対で却下された。地球奪還作戦を前にして、貴重な戦力を消耗したくないのだ。

324BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/18(土) 11:50:59
ab.0267.Grey vs Artemis.001.03

 ソクラテスが妙案を思いついた。

「メビウス博士。たしか、地球人を改造した戦闘サイボーグがいましたね。そのサイボーグを投入する、というのはどうでしょう?」

「ASUKAだね。たしかに地球人のサイボーグなら、失っても惜しくない。しかし……」
メビウス博士が、困ったように頭を抱えた。
「グレイの犯罪者を相手に、ASUKA1体では、力不足と言わざるを得ない」

「そういえば、メビウス博士」
と、ピタゴラス博士。
「前に開発を依頼していた、地球奪還作戦のための新兵器はどうなったんだね? その新兵器とASUKAの2つなら、何とかなるのではないかね?」

「うむ、キュクロプスPとアルテミス君なら……、たしかに期待できる」
メビウス博士は、アルテミスの操縦するキュクロプスPの、予想を遥かに上回る性能を思い出した。

 この決定に、アルテミスの友人であるアテナは猛反対した。
「いくらなんでも、グレイの1個小隊を相手にするのは無理です。アルテミスが殺されてしまいます」

しかし、銀河警察の要請を断る事はできない。アテナは渋々、この決定を了承した。

325BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/18(土) 11:51:36
ab.0268.Grey vs Artemis.001.04

 すぐさま、件の決定事項は、地球での休暇を終え宇宙船オリンポスに戻ってきたアルテミスに伝えられた。

(まさか、この世界にタイムトラベルして、いきなりグレイと戦闘になるとは思ってなかったわ)
さすがのアルテミスも、緊張の色を隠せない。しかし不思議と、恐怖はない。

 アルテミスがロボット格納庫に行くと、すでにASUKAが発進準備に入っていた。標準装備のレーザー銃とレーザーサーベル以外に、背中にバズーカー砲のような物を装備している。

「頑張りましょうね」
声をかけたが、ASUKAは何の反応も示さなかった。脳内に移植された端末に、すでに意識と肉体が支配されているのだ。

326BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/18(土) 11:53:20
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-326 グレイ襲来

327BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/24(金) 20:39:29
ab.0269.Grey vs Artemis.002.01

アルテミスがキュクロプスPに乗り込むと、
『アルテミス、聞こえる?』
通信機から、アテナの声がした。

「アテナなの? えぇ、聞こえるわ。なぜアテナと通信がつながってるの?」

『私だけじゃないわ。ここ、管制指令室には、メビウス博士やピタゴラス博士たちもいるわ。私たちで可能な限り、アルテミスをサポートするわ』

「ありがとう。心強いわ」

『アルテミス、出発の準備ができたらいつでも……、え? 何よ、これ。どうしてシートにこんな物が生えてるの!?』

キュクロプスPのコクピットは、メインモニターの上にカメラが設置されている。そのカメラを通してキュクロプスPのパイロットシートを見たアテナが、素っ頓狂な声をあげた。アテナは解剖医で、キュクロプスPの開発には携わっていない。だからキュクロプスPの操縦桿の事を知らなかったのだ。

『アルテミス、ちょっと待ってね』
そこで通信が切れた。その直後、オリンポスの管制指令室にアテナの金切り声が響き渡った。

328BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/24(金) 20:40:07
ab.0270.Grey vs Artemis.002.02

「メビウス博士、これは、どういう事ですか!?」

「うむ。操縦桿を膣や直腸に挿入して機体をコントロールするという、画期的な……」

「画期的ですってぇ!? そんな所に操縦桿を挿入する事に、何の意味があるんですか!?」

「いや……、それはだな……」

「メビウス博士、アルテミスはネオガイア宇宙軍の兵士ですよ? その彼女に、こんな卑猥な事をさせるなんて、何を考えてるんですか!?」

「いや……、それはだな……」
メビウス博士はしどろもどろに答えるしかなかった。

「まぁまぁ、アテナ君。とりあえず今は緊急事態だ。アルテミス君には気の毒だが、このまま出撃してもらうしか……」
仲裁に入ったピタゴラス博士は、アテナの突き刺すような視線を受けて、口をつぐんだ。

「わ、分かりました。でも、このコクピットのカメラはOFFにさせてもらいます」
アテナは、メビウス博士をキッと睨むと、カメラの受信をOFFにした。そして、何事もなかったように、再びアルテミスに回線をつないだ。

329BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/24(金) 20:41:27
ab.0271.Grey vs Artemis.002.03
「アテナ、どうかしたの?」
『いいえ、何でもないわ。それよりも、銀河警察からの情報によると、グレイの犯罪者は3人よ。全員、特殊戦闘服を着用しているわ。どう、大丈夫?』

「相手が正規軍ではなく一介の犯罪者で、銀河警察が到着するまで足止めするだけなら……、何とかなるわ」
『あのグレイを相手に何とかなるって……、さすがアルテミスだわ』

アルテミスはキュクロプスPのシートについた。敏感な3つの穴に操縦桿を侵入したが、今回はさすがに快感で悶える気にはなれなかった。ちなみに、コクピットに設置されたカメラはアテナが電源を切ったので、卑猥な姿の映像を見られる事はない。

「キュクロプスP、発進します」
キュクロプスPが、オリンポスを飛び立った。戦闘サイボーグのASUKAが、それに続いた。

330BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/24(金) 20:42:32
◆ 目次 ◆
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>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-330 グレイ襲来

331BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/28(火) 17:50:42
ab.0272.Grey vs Artemis.003.01

 モスドナルドは全国にチェーン店を展開する大手ファストフード店である。主な商品は、サンタクロースに似た白髭の創業者が調理法を考案したという、牛丼だ。

牛丼のスパイシーな味付けとジューシーな歯ごたえに加えて、丼一杯がわずか300円程度、ホットコーヒーとホットカフェオレがお代わりOKというお得感もあって、どの店舗も賑わっている。

客層は、ランチタイムは、限られた時間内に昼食を終える必要のあるビジネスマンやOLが中心だが、昼の1時を過ぎる頃には、暇な中年女性客が店内を占拠しはじめる。

 その日も午後2時を回った頃、2人の中年女が、2人掛けのテーブルを3つ占拠しながら、店中に響きわたるような大声で話をしている。

「近所の田中さん。半年前に挨拶したのに、無視するのよ」
「えぇ!? それ、ヒトとして許されないわよねぇ」

2人の会話はどんどんエスカレートしていき、田中さんは、半年も前にたった1回挨拶を返さなかっただけで、人間失格の烙印まで押されてしまった。

見ると、他のテーブルも、中年女の客が興奮気味に語り合っている。どの話題も、お昼のワイドショーのように他人のゴシップだ。話す内容も、ワイドショーに出演するコメンテイターのように薄っぺらいものばかりだが、本人たちは、これもコメンテイター同様、まるで宇宙の真理でも発見したかのように、お互い頷き合いながら熱弁をふるっている。

332BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/28(火) 17:51:15
ab.0273.Grey vs Artemis.003.02

 そんな中年女の客に混じって、仲の良さそうな母娘のテーブルが1つあった。

「綾香、進路は決まったの?」
「ううん、まだ決めてない。それよりJAP48のオーディションを受けたいんだけど、いいでしょ? ママ」
「JAP48? 何それ?」
「えぇえええ!? 知らないの? いま一番人気のあるアイドルグループなのに」
「じゃりんこクラブとかなら知ってるけど……」
「ふる!」

母親は20代後半で、かなりの美人だ。娘は小学生くらいだが、将来は母親と同じくらい美しくなるだろう。

333BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/28(火) 17:51:48
ab.0274.Grey vs Artemis.003.03

 他には、男女2人組のテーブルがあった。男の名は吉岡輝夫。40代にして独身で無職、ずっと母親と2人暮らしをしている。

女の名は八谷早苗。化粧で誤魔化しているが、こちらも年齢は40代で、独身。以前はココ増岡という詐欺まがいの宝石販売業者の営業をしていたが、ココ増岡が詐欺で摘発され廃業した後は、サプリメントのマルチ商法に手を染めている。

早苗の手口は、年齢を偽ってお見合いパーティーなどに参加しては、カモになりそうなマヌケな男を物色し、色仕掛けでマルチ商法に勧誘するというものだ。吉岡もそんなマヌケの1人だった。

「吉岡さん、これは画期的なビジネスなんですよぉ。夢をかなえるチャンスですよぉ。すごいですよねぇ、夢がかなうんですよぉ?」

早苗は、テーブルの上に広げた紙にピラミッドのような絵を描きながら、必死に吉岡を勧誘していた。

必死になるのも当然で、早苗は借金まみれだった。ブランド物のスーツとバッグで羽振りが良いふりをしているが、自宅のアパートには売れ残りのサプリメントの在庫が山積みになっている。それらを売りさばく事ができなかったら、自己破産するしかない。

 早苗は必死だったが、吉岡は早苗の話など聞いていなかった。親と同居し、生活費も母親が出してくれるのだから、ビジネスなどに興味はないのだ。

334BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/28(火) 17:52:56
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335BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/09(日) 10:12:34
ab.0275.Grey vs Artemis.004.01

 モスドナルドの前に、奇妙な格好をした3人組が現れた。

「おい、姿を見せてもいいのか?」
「フフン。かまうものか。下等な地球人を相手に、わざわざ特殊戦闘服の透明化装置を使う必要などない」
「ウム、それもそうだな」

小型宇宙船から地上に転送されてきた、グレイの犯罪者たちだ。宇宙船は、上空に停泊している。

「え? 何あれ、何かのコスプレ?」
「うわ、キモ」

グレイの特殊戦闘服をコスプレと勘違いした地球人のカップルが、数千万年にわたって銀河系を支配し続けている種族を、恐れ気もなく指さしながらヘラヘラ笑い始めた。

「生意気な下等生物だ」

グレイの1人が、カップルに向けてレーザー銃を発射した。カップルは一瞬で消滅した。厳密には蒸発したのだが、レーザーのエネルギーが強力すぎて、マジックか魔法のようにパッと消滅したようにしか見えない。

「なんだ?」
「今、ヒトが消えたぞ」
「何、あの3人?」

周囲の人間たちが、異常に気付いて騒ぎ始めた。

「下等生物どもが騒ぎ始めたな。地球人など問題にならないが、もしも銀河警察が騒ぎを聞きつけてやって来たら、面倒だ。さっさと地球人どもを回収してしまおう」

グレイは特殊戦闘服の牽引ビームの発射装置を起動させた。

336BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/09(日) 10:13:35
ab.0276.Grey vs Artemis.004.02

 グレイの特殊戦闘服には色々な機能が標準装備されていて、牽引ビームもその1つだ。このビームは、その名の通り物体を引き寄せる事ができる他、離れた場所に転送する事も出来る。

グレイは牽引転送ビームを使って、地球人を片っ端から狩り始めた。牽引ビームを照射された地球人は、はるか上空に停泊中の宇宙船に転送された。

グレイの牽引ビームは遮蔽物などおかまいなしに物体に照射する事ができる上、特殊戦闘服には透視装置も標準装備されているので、建物の中にいる人間も逃れようがなかった。

337BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/09(日) 10:14:22
ab.0277.Grey vs Artemis.004.03

「そうよねぇ、だから田中さんの子供も非常識な……、え? 何?」
モスドナルド店内で田中さんを糾弾してた中年女が、外の騒ぎに気付いた。
「何、あの変な格好の3に……」
窓の外を指さしたその身体が、店の外から発射された牽引ビームを受けて、消滅した。正確には、宇宙船に転送されたのだ。

「ひぇええええええ!?」
田中さんについて一緒に熱く語り合っていた、もう1人の中年女が、怪鳥のような奇声をあげた。数秒後、この中年女も牽引ビームを受けて、奇声とともに消滅した。

この2人に続いて、店内にいた他の中年女たちも、次々と消滅していった。

338BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/09(日) 10:15:06
ab.0278.Grey vs Artemis.004.04

「うわぁあああ、バケモノだぁあああ」

モスドナルドの店員が、窓の外にいるグレイを指さして叫んだ。マックジョブ労働者に、客を誘導して避難させる芸当などできるはずはなく、店員たちは客を置き去りにして、我先に外に逃げ出した。そして店の外に飛び出したところを、牽引ビームを浴びて、消滅した。


「うわぁあああ、うわぁあああ……」
早苗の話を聞くふりをしながらテーブルの下に潜ませた携帯で早苗のスカートの中を盗撮していた吉岡が、窓からグレイの姿を見ると、悲鳴をあげた。そして早苗の身体を盾にするように、その後ろに隠れた。

「ちょ、ちょっと離せよ! キモオタのマザコン!」
早苗がもがいて、吉岡の手に噛みついた。

「痛い、痛い、痛い!」
吉岡が、今にも死にそうな悲鳴をあげながら、暴れる早苗の後頭部を後ろから拳で殴り始めた。

「ぎゃ、ぎゃあああ! や、やめろぉ! 殴るんじゃねぇよ!」
「オマエこそ手を噛むなよぉ!」
2人とも自分だけは助かろうと必死だった。

339名無しさん:2019/06/09(日) 10:16:02
ab.0279.Grey vs Artemis.004.05

「綾香!」
「ママ!」

仲の良さそうな親子は、お互い抱きしめ合いながらブルブル震えている。店内にいた中年女の客は、1人残らず消えてしまった。あとは、吉岡と早苗の2人組と、自分たちだけだ。

「だ、大丈夫よ。ママが守ってあげるから」
窓の外にいる奇妙な格好をしたバケモノを、気丈にも睨み付けながら、久美子は娘を抱きしめた。

 これだけの災害にもかかわらず、警察や自衛隊の姿はなかった。とっくに誰かが通報しているはずなのだが……。

 グレイが親子に牽引ビームの発射口を向けた。

(お願い、誰か助けて……!)
久美子が目をかたく閉じた――その時、何かがぶつかるような轟音が鳴り響いた。

久美子がうっすらと目を開くと、先ほどまでバケモノがいた場所に、巨大なマシンが浮遊している。そのマシンを見上げて、久美子が、
「仮性包茎……?」
と、呟いた。綾香はかたく目を閉じたままだ。

340BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/09(日) 10:16:58
ab.0280.Grey vs Artemis.004.06

「早く逃げなさい!」
その仮性包茎のペニスそっくりなマシンが、妙に艶のある少しハスキーな声を発した。

「え? あ、は、はい!」
久美子は綾香を抱きかかえるようにして、その場を脱出した。

見ると、吉岡と早苗は、母娘がグレイに狙われているどさくさに紛れて、とっくの昔に逃走済みだった。

 キュクロプスPのコクピットで、アルテミスは宇宙船オリンポスに通信回線を開いた。
「こちらアルテミス。地球に到着。グレイと接触したわ」

『大丈夫? 怪我はない?』
すぐに、アテナの声が返ってきた。不安げな、今にも泣きだしそうな声だ。過去、ネオガイア星人がグレイと直接交戦した事は一度もない。

「大丈夫よ。銀河警察の情報通り、グレイは3人いるわ。その内の1人に、キュクロプスPで体当たりしてやったわ」
『体当たり!? やっつけたの?』

「いいえ」
アルテミスはメインモニターを見据えながら、独り言のように答えた。

モニターには、強烈な体当たりを食らったのに平然と立ち上がるグレイの姿が映っていた。

341BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/09(日) 10:18:39
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342BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/14(金) 18:23:14
ab.0281.Grey vs Artemis.005.01

 キュクロプスPに体当たりされたグレイの隣に、残り2人のグレイが、周辺の地球人をあらかた狩り終えて戻ってきた。

(ASUKAはまだかしら……)
アルテミスは、サブモニターの1つでASUKAの位置を確認した。そのサブモニターはレーダーになっていて、ASUKAの位置が光点として点滅している。

 ASUKAは、キュクロプスPと一緒にオリンポスを飛び立ったが、速度や大気圏突入時の耐熱性能でキュクロプスPよりも劣るので、到着が数分遅れているのだ。

(特殊戦闘服を装着したグレイ3人と真正面から戦っても勝ち目はないわ。銀河警察が到着するまで、時間稼ぎしなくては……)

343BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/14(金) 18:24:01
ab.0282.Grey vs Artemis.005.02

『いきなり不格好な形のマシンが現れたと思ったら……。オマエ、何者だ?』
体当たりを受けたグレイが、話しかけてきた。

「犯罪者相手に、名乗る必要などないわ!」

『犯罪者? 食材を調達しているだけだ。俺たちは美食家だからな』

「美食家にしては、随分と野蛮な調達方法ね?」

『下等な地球人をどう狩ろうと、俺たちの自由だ。ん……待てよ? 俺たちが犯罪者だと知っているという事は……、オマエ、銀河警察の回し者か!?』

グレイが慌てて周囲を見回した。

『センサーを見る限り、太陽系内に銀河警察の宇宙船の反応はないな』

(戦闘服のセンサーだけで、この一瞬で太陽系全域をスキャンできたの!?)

グレイの話を聞いて、アルテミスは、あらためてそのテクノロジーの高さに驚かされた。おもわず、唾をゴクリと飲み込む。

344BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/14(金) 18:24:39
ab.0283.Grey vs Artemis.005.04

『センサーで確認できるのは、地球の衛星付近に停泊している原始的な宇宙船が1隻だけだ。データによると、ネオガイア星人の宇宙船だ。さてはオマエ、ネオガイア星人だな?』

「あら、ばれちゃったわね。銀河警察だと勘違いしていて欲しかったんだけど……」
不敵に浮かべた笑みは、どこか引きつっている。
「どうするの、グレイの犯罪者さん?」
銀河警察が到着するまで、会話を長引かせて少しでも時間を稼ぐ。

『ネオガイア星人ごときに、俺達グレイがコケにされてたまるか。思い上がったやつに目にもの見せてくれる!』
グレイがレーザー銃を構えた。

アルテミスの喉が、またコクリと上下した。グレイに銃を向けられるのは初めてだ。白兵戦コマンドとして数々の戦場をくぐり抜けてきたが、これほどの緊張と恐怖を感じた事はない。

「オリンポス。こちらアルテミス。今からグレイと戦闘を開始します」
もしかしたら最後になるかもしれない通信を終えると、操縦桿を挿入した腰をグイッと引いた。

345BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/14(金) 18:25:45
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346BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/15(土) 10:52:01
ab.0284.Grey vs Artemis.006.01

 キュクロプスPが、仮性包茎のような残像を残して、急上昇した。コンマ5秒で音速を超えて、数秒で音速の30倍まで加速した。ソニックブームが響きわたったが、すでに音速を超えているキュクロプスPにはその音は届かない。

あっという間に高度1万メートル以上まで上昇し、さらに加速し続ける。地球上のいかなる航空機もミサイルも、絶対に追尾不可能な圧倒的な速度だ。

そのキュクロプスPを、3人のグレイが悠然と見上げながら、
「なんてノロマな機体だ」
特殊戦闘服の下で、爬虫類型の顔に嘲笑を浮かべた。

347BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/15(土) 10:52:38
ab.0285.Grey vs Artemis.006.02

 グレイは、特殊戦闘服を飛行モードに切り替えると、わずか1秒足らずで、キュクロプスPに追いついた。アルテミスがキュクロプスPを急旋回させた。この時の速度は、すでに秒速100キロメートルを超えている。しかしグレイは平然とキュクロプスPについてくる。

「やっぱり速度も機動力も、グレイの特殊戦闘服が上ね。それなら……」
アルテミスがキュクロプスPを一気に減速させた。グレイがキュクロプスPを追い抜く形で、キュクロプスPの前方に出た。

「レーザー砲発射」
キュクロプスPの先端、亀頭に似た部分からレーザー砲が発射された。グレイに命中した。しかしグレイの特殊戦闘服には個体バリアが張られていて、レーザー砲は全てバリアによって遮断されてしまった。

348BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/15(土) 10:53:22
ab.0286.Grey vs Artemis.006.03

 グレイの1人がレーザー銃を構えた。アルテミスはキュクロプスPを急旋回させると同時に、バリアの出力を最大に上げた。そのバリアを、グレイの放ったレーザーがかすめた。それだけで、キュクロプスPのコクピットまで激しい衝撃が走った。

「状況を解析して!」
『ピピピ。当機のバリアに敵機のレーザーが接触。バリアが消滅しました』
キュクロプスPのメインコンピューター【Cyclops】が状況を報告する。

「たった1発かすめただけで!? バリアを再起動して」
『了解です』
高出力を誇るキュクロプスPの発電機だが、バリアの再起動には数秒を要する。その間にレーザーの直撃を受けたら、一巻の終わりだ。

(相手は軍ではなく、一介の犯罪者よ!? これが……グレイ……)
アルテミスの額に、汗がスジを引いた。

349BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/15(土) 10:54:03
ab.0287.Grey vs Artemis.006.05

(2発目が来るわ!)
アルテミスは次の攻撃を本能的に察知して、キュクロプスPを急旋回させた。その直後、すぐ横をグレイの放ったレーザーが通過した。

アルテミスは、日本海の上空に出た。市街地の上だと地球人に被害が出る――そう、判断したのだ。


アルテミスは、キュクロプスPはさらに加速させた。速度は秒速600キロメートル。地球のいかなる戦闘機もミサイルも決して追いつけない速度だが、コクピットのサブモニターには、平然と後ろをついてくるグレイが映っている。

3人のグレイは、順番に1人1発ずつ、キュクロプスPにレーザー銃を発射していた。

(まるで遊び感覚ね)

グレイにとってはゲーム感覚の攻撃だが、アルテミスは天性ともいえる勘と操縦技術を最大限まで発揮して、レーザーを躱し続けるしかなかった。ギリギリ躱したレーザーが日本海の海中に吸い込まれていく。

350BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/15(土) 10:54:33
ab.0288.Grey vs Artemis.006.05

 キュクロプスPの機動性が落ちてきた。かなり無理な動きをさせたので、機体に負担が蓄積しているのだ。グレイのレーザーを躱すのが、少しずつ難しくなっている。

グレイが18発目に放ったレーザーは躱せなかった。幸い、直撃ではなかった。レーザーはキュクロプスPのバリアをわずかにかすめて、そのまま日本海に吸い込まれていった。

次に放たれたレーザーが、キュクロプスPの機体をわずかにかすめた。地球の大気圏突入にも余裕で耐える外殻が、たったそれだけで蒸発した。

 オリンポスの管制指令室から戦況をモニタしているアテナが、メビウス博士に喚き散らした。
「ちょっと、何とかしてよ! アルテミスが殺されちゃうわ!」
「何とかといってもだな……」
「オリンポスのビーム砲でグレイを撃てばいいじゃない!」
「無茶言わんでくれ。相手はグレイだぞ? このオリンポスの位置から、地球上のグレイに命中させる事は不可能だ」
「役立たず!」

351BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/15(土) 10:56:23
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

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>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

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>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-351 グレイ襲来

352BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/24(月) 22:38:13
ab.0289.Grey vs Artemis.007.01

(核爆弾を使うしかないのかしら)
キュクロプスPの後部に取り付けられている睾丸に似た2つの球体は、核爆弾だった。核爆弾がグレイの戦闘服に効果があるかどうかは分からないが、レーザー砲が全く通用しない以上、残された攻撃方法は核しかない。

(たしか威力は100メガトンだったわね。ここで100メガトンの核爆発を起こしたら、さっきの母娘も死んでしまうわね……)
現在の位置は日本海上空だが、ここで100メガトンの核爆発が起きたら、日本本土も無事では済まない。

(仕方ないわ)
核爆弾を起爆させようとした――その時、
『アルテミス君。ASUKAが到着した』
メビウス博士から通信が入った。

353BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/24(月) 22:39:10
ab.0290.Grey vs Artemis.007.02

『戦闘用脳内端末の稼働率は、すでに100パーセントに上げている』
ASUKAの脳内には戦闘用の端末が移植されていて、それのおかげで、ベテラン兵士並の戦闘が可能になるのだ。端末の稼働率を100パーセントまで上げると、ASUKA自身にかなりの負担がかかるが、今はそんな事は言ってられない。

戦闘用脳内端末の稼働率を100パーセントに高められたASUKAは、ジグザグに飛びながら、グレイに向けてレーザー銃を連射しまくった。

レーザーは全て特殊戦闘服の個体バリアに遮断されたが、キュクロプスPを追撃するグレイの動きを乱すのには成功した。

「オリンポス。核爆弾の使用許可をください」
『いや、その前に、キュクロプスPにはもう1つ秘密兵器がある。Erectionモードだ』

(Erectionモード? たしか以前、メビウス博士からその単語を聞いた事があるわ)

『Erectionモードというのは、キュクロプスPを一時的にパワーアップさせる機能だ。起動すれば、全出力が6倍にアップする。ただし持続時間は3分間だけで、それが過ぎたら、逆に出力は30パーセントにダウンする』

アルテミスは、ヒト型ロボット兵器キュクロプスにも、『加速装置』という同じような機能があった事を思い出した。パイロットが絶頂に達すると起動する、というものだ。

354BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/24(月) 22:39:44
ab.0291.Grey vs Artemis.007.03

サブモニターに、グレイの発射したレーザーを必死に躱すASUKAの姿が映っている。脳内の端末の稼働率を100パーセントに上げた影響か、顔が吐しゃ物まみれだ。動きも、明らかに動きが鈍くなっている。

「博士、ASUKAが限界です。早くErectionモードを起動しないと……」
『うむ。こちらから遠隔操作で、Erectionモードを起動させる。正確には、Erectionモードモードを起動させるために、キミに苦痛を与える』

『メビウス博士、なぜアルテミスが苦痛を感じないといけないのですか!?』
通信にアテナの声が割り込んだ。アテナはメビウス博士と同じ場所で、キュクロプスPの戦闘をモニターしているのだ。

『理論上はErectionモード終了後に出力が30パーセントに低下するだけなのだが、最悪の場合はキュクロプスPが大爆発を起こすかも知れない』

『そんな……』
アテナが絶句した。

『そんな危険を伴うErectionモードを、安易に使うわけにはいかない。パイロットが生命の危険に陥っている時、つまりひどい苦痛を感じている時にだけ起動するように設計されている』

『…………』
アテナの悲痛な吐息が聞こえた。

355BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/24(月) 22:40:21
ab.0292.Grey vs Artemis.007.04

尿道用に挿入された操縦桿の付け根部分から、吸盤のような物が出てきて、アルテミスのクリトリスに吸い付いた。

『アルテミス君、それを使ってキミに苦痛を与える。どうか耐えてくれ』

「はい。耐えてみせます」
答えるアルテミス。心の中を占めるのが、苦痛への覚悟なのか期待なのか、それは本人にしか分からない。

吸盤からクリトリスに電気ショックが送られた。
「ヒギャアアアアアアアアア!」
アルテミスが手足を拘束されたまま、ガクガクと身体を痙攣させた。
「アヒィィィィィィィィ!」
吸盤が吸い付いた部分から、ブスブスと煙がたちのぼった。尿道口から、操縦桿を挿入されたまま、オシッコがジョロジョロと漏れだした。

キュクロプスPのパイロットシートに設置されたカメラは電源が切られているので、オリンポスの管制指令室からはアルテミスの姿を見る事はできないが、悲鳴は通信機から流れてくる。アルテミスの友人であるアテナが、耳を押さえてその場にうずくまった。

356BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/24(月) 22:41:13
ab.0293.Grey vs Artemis.007.05

アルテミスが電気ショックを受けている間は、キュクロプスPは【Cyclops】が自動操縦する。しかし、アルテミスの天才的な操縦テクニックをもってしても逃げるのが精一杯というグレイを相手に、コンピューターの自動操縦では太刀打ちできない。

グレイのレーザーがキュクロプスPをかすめた。その衝撃だけで、機体が激しく揺れる。

『いかん! Erectionモードが起動するまでもたない。ASUKAの脳内端末の稼働率を200パーセントに上げるしかない』
メビウス博士が手元のコントローラーを操作した。

グレイがキュクロプスPに照準を合わせた、その瞬間、脳内端末の稼働率を200パーセントに高められたASUKAが、グレイに体当たりした。まさか体当たりをしてくると予想していなかったグレイは、特殊戦闘服にはかすり傷一つつかなかったものの、おもわずバランスを崩した。

『まだか? まだErectionモードは起動しないのか!』

357BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/24(月) 22:41:53
ab.0294.Grey vs Artemis.007.06

電気ショックは、殴る蹴るといった暴行と比べて地味に見えるが、実は非常に強い痛覚を生む。実際の拷問にもしばしば使われて、どんな拷問にも屈服する事のない筋金入りのテロリストやスパイも、電気ショック拷問には耐える事ができない。

「ぎゃああああああああああああ……」
アルテミスの内腿の筋肉がビクビクと痙攣し、血管がムクムクと浮き上がった。しかし……。

「どういう事だ? なぜ、Erectionモードが起動しない?」
オリンポスの管制指令室で、メビウス博士が叫んだ。
「もうやめて! 銀河警察の要請なんか無視すればいいじゃない!」
アテナが金切り声で叫んだ。

メビウス博士にとっても、これは想定外の事態だった。アルテミスは重症の真性マゾなので、あらゆる苦痛が快感に変わる。だから、キュクロプスPのコンピューターは、アルテミスの苦痛を生命の危機と判断しなかったのだ。

358BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/24(月) 22:42:51
ab.0295.Grey vs Artemis.007.07

 ASUKAの腰にレーザーが命中した。その1発で、ASUKAの下半身が、文字通り蒸発した。戦闘サイボーグは、煙の尾を引きながら墜落していった。

ASUKAを撃墜したグレイが、キュクロプスPにレーザー銃を向けた。

(あぁあああ……、も、もう駄目だわ。せめて絶頂してから死にたい……)
アルテミスは、クリトリスを襲う電気ショックの快感に悶えながら、敗北を確信した。

グレイがレーザーを発射した。少しかすっただけでもキュクロプスPのバリアを消滅させるレーザーは、バリアをあっさりと貫通し、キュクロプスPの機体を直撃した。

「あ、あ、あぁあああ……、イ、イクゥ……」
それと同時に、アルテミスのオマンコが潮を噴いた。

359BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/24(月) 22:44:40
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-359 グレイ襲来

360BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/27(木) 20:49:06
ab.0296.Grey vs Artemis.008.01

 キュクロプスPは、ほぼ原形をとどめる事なく、日本海に落下していった。
「アルテミス!? あぁあああ、そんな……」
オリンポスの管制指令室で戦況をモニタしていたアテナが、絶叫した。
「ちょっと、何してるの!? はやくアルテミスを救助しなさいよ!」
アテナがペルセウスに詰め寄る。

その時、通信機に、
『こちら銀河警察だ。今、到着した』
銀河警察から通信が入った。

「遅いのよ、このバ……」
メビウス博士が慌てて、アテナの口を手でふさいだ。事情がどうであれ、銀河警察をバカ呼ばわりしたら、大変な事になる。

 同時に、空中に銀河警察の宇宙船が出現した。グレイの犯罪者たちがワープで逃亡を図った。グレイの戦闘服には、ワープ機能が備わっているのだ。

しかしワープする直前、その戦闘服にレーザー砲が命中した。日本海に墜落したASUKAが、最後の力をふりしぼって、背中のバズーカー砲のようなレーザー砲を発射したのだ。

個体バリアに守られたグレイの特殊戦闘服には傷1つつかなかったが、不意を突いた1発は、ワープを阻止するのに成功した。こうなってしまっては、戦闘服の兵装だけで銀河警察の宇宙船に対抗する事は不可能だ。グレイの犯罪者たちは、銀河警察に逮捕された。

361BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/27(木) 20:49:43
ab.0297.Grey vs Artemis.008.02

 日本海に墜落したキュクロプスPとASUKAは、ネオガイア宇宙軍のレスキュー部隊によって回収された。
キュクロプスPは、ほぼ原形をとどめていなかった。もしキュクロプスPがバリアを張っていなかったら、キュクロプスPはアルテミスもろとも跡形もなく蒸発していただろう。
ASUKAは、一命はとりとめたが、下半身を完全に失っていた。

「アルテミス、アルテミス!? 聞こえる? アル……きゃあああ!」」
アテナは、キュクロプスPから担ぎ出されたアルテミスの姿を見て、絶叫した。解剖医の彼女は死体ですら見慣れているはずだが、それが友人の身体となると話は別だ。

キュクロプスPの緊急生命維持装置のおかげで、とりあえず心肺機能と脳への血液供給だけは維持されたが、身体はボロボロだった。

362BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/27(木) 20:50:32
ab.0298.Grey vs Artemis.008.03

 アルテミスの治療のため、医者のアスクレピオスが呼ばれた。アスクレピオスはアテナの同期だ。
「うむ。生きているのが不思議なくらいだ。とりあえず脳だけでも保護しなくては」
「助ける事はできない?」
アテナがすがるような目で、アスクレピオスを見つめた。

「ネオガイア星の設備の整った病院なら何とかなるが、オリンポスの医療設備では難しいだろう」
「あぁあああ……、アルテミス。銀河警察の要請なんか無視すればよかったのよ」

「銀河警察? そうか、その手があった!」
アスクレピオスが、空中に停泊中の銀河警察の宇宙船に通信回線をつないだ。
「こちらネオガイア星人の医師アスクレピオスです。グレイの犯罪者との交戦で負傷したパイロットの治療をお願いします」

アスクレピオスの言葉を聞いて、アテナの顔がパッと輝いた。銀河警察は、グレイを筆頭に有力な星間種族で構成されていて、高度な医療技術を有している。アルテミスの治療も可能なはずだ。

 しかしアテナの思いに反して、銀河警察からの返答は非情だった。
「ネオガイア星人を治療しているほど、我々はヒマではない」

これに対してアスクレピオスが、
「ちょ、ちょっと待って下さい。パイロットは、銀河警察からの要請でグレイの犯罪者と交戦し、負傷したんですよ?」
抗議したが、銀河警察は、
「そもそも犯罪者3人を足止めするような簡単な任務で負傷するような無能なパイロットは、治療せずに死なせた方がいいのではないか?」
と冷たく言い放って、通信を切ってしまった。

363BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/27(木) 20:51:07
ab.0299.Grey vs Artemis.008.04

「ば……馬鹿にして! 何様のつもりなのよ!」

アテナが回線の切れた通信機に向かって叫んだ。通信機を蹴ろうとするアテナを、アスクレピオスが止めた。

「アテナ、気持ちは分かるが、今はアルテミスの治療が最優先だ」

「そ、そうね……。アスクレピオス、彼女を助ける事はできる?」

「まぁ全く手段がない、というわけではない。彼女の脳を冷凍保存し、ネオガイア星に帰還した後、サイボーグのボディに移植するのだ」

「サイボーグ……。あの美しかったアルテミスがサイボーグになるの? そうね、死ぬよりはマシだものね……」

こうして、アルテミスは首の部分で切断され、頭部が冷凍保存される事となった。胴体部分は破棄された。またその際、頭蓋骨の損傷もひどかったので、超合金の人工頭蓋骨に置換された。

アテナは、アルテミスの首が収納された冷凍カプセルの前に、1人で立ちつくしていた。

364BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/27(木) 20:52:25
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365BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/03(水) 20:46:18
ab.0300.Pirate.002.01

『宇宙海賊 02』

 ネオガイア星人のラミアーとビーナスを乗せた宇宙クルーザーイリオンは、地球から30光年離れた宇宙域を航行中だった。操縦はメインコンピューターの【ILION】にまかせているので、2人はクラスLの豪華クルーザーの船旅を満喫する事ができた。窓の外には、宇宙旅行の観光名所の1つでもある、薔薇色ガス星雲が広がっている。

由梨香の出産予定日、つまりバカンスの終わりが間近に迫った日。優雅な時間が、突然【ILION】の音声に中断させられた。
『緊急事態発生。百足星人の海賊船の接近を探知しました』

「む……百足星人!?」
ビーナスが素っ頓狂な悲鳴をあげた。宇宙旅行者にとって、百足星人は最も会いたくない存在なのだ。

「き、緊急回避して!」
【ILION】に命じるラミアーの声も、緊張と恐怖で引きつっている

『緊急回避します。ワープエンジン起動。ワープまで6秒、4、3、2……、ワープ』

イリオンはカウント0と同時に、近距離のワープをした。同時に、バリアと物質転送妨害装置を起働。海賊船からの直接攻撃と船内への侵入を防ぐ。

『第1次ワープ完了。百足星人が本船を追尾中。SOS信号は、百足星人の妨害電波のため、発信不可能。第2次ワープまで9秒、7、6、5……』

イリオンが2回目のワープをした。その数秒後、今しがたまでイリオンがあった空間の近くに、百足星人の海賊船が出現した。

『第2次ワープ完了。百足星人は依然として本船を追尾中。第3次ワープまで15秒、13、12……』

「6秒、9秒、15秒……。徐々に長くなっているわ」
ビーナスが不安げに呟いた。

366BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/03(水) 20:46:53
ab.0301.Pirate.002.02

 ワープは膨大なエネルギーを消費する。グレイの宇宙船なら間髪入れずに連続でワープが可能だが、イリオンはエネルギーのチャージに時間がかかるのだ。

『第3次ワープ完了。百足星人は依然として本船を追尾中。第4次ワープまで39秒、37、36……、3、2……、ワープ』

イリオンがワープしたのとほぼ同時に、百足星人の宇宙船が現れた。

『第4次ワープ完了。百足星人が本船を追尾中。第5次ワープまで78秒、77、76、75……。百足星人の宇宙船が、本船の後方に出現しました。第5次ワープ可能まで69秒。ワープによる回避は不可能です』

「こうなったら戦いましょ!」
ついにビーナスが叫んだ。その声は金切り声に近い。

「無理よ。グレイですら手を焼いている百足星人の海賊船に、ネオガイア星のクルーザーで戦っても勝ち目はないわ」
ラミアーの声は比較的冷静だが、緊張は隠せない。

「ワープは中止よ! エンジン最大出力、百足星人からできるだけ離れて!」

『了解です。エンジン最大出力。衝撃に注意してください』

直後、【ILION】が一気に加速した。加速による衝撃でラミアーとビーナスが床に転んだ。テーブルの上にあったゴルゴーン産のチョコチップクッキーが床にばら撒かれて、粉々に砕ける。

ビーナスは床に這いつくばりながら、両目をかたく閉じた。
(お願い、お願い、お願い……)
誰に祈っているのか、本人にも分からない。

367BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/03(水) 20:47:27
ab.0302.Pirate.002.03

『百足星人の宇宙船が、本船に牽引ビームを照射しました。本船のエンジン出力では、脱出不可能です』
ビーナスの祈りを、【ILION】の音声が打ち砕いた。

【ILION】のアナウンスに続いて、
『ギギギ……。降伏しろ。抵抗は無意味だ』
通信機が、耳障りな声を発した。

百足星人の声帯の構造は独特で、声に、錆びた金属を擦り合わせるようなノイズが乗るのだ。

「ラミアー……?」
ビーナスが今にも泣きだしそうな顔で、ラミアーを見つめた。

「降伏するわ。欲しい物はあげるわ。だから命は助けて」
ラミアーはビーナスの手を握ると、緊張気味の声で答えた。

数秒の沈黙の後、
『ギギギ……。命は助けてやる。ただしオマエ達は奴隷として、我々の母星に連れて行く。栗鼠型星人の時は銀河警察の邪魔が入ったが、今回はそうはいかない』

百足星人の母星は、あまりにも危険すぎてグレイや銀河警察ですらうかつに手が出せない暗黒星雲内の、惑星ゲロリアンと言われている。そんな所に連れて行かれたら、脱出は絶対に不可能だ。

ビーナスは恐怖と絶望のあまり、気を失いそうになった――、その時。

『百足星人による牽引ビームが消失しました』
【ILION】が告げた。

「百足星人に最大出力でレーザー砲発射。同時に長距離ワープよ!」
『了解。レーザー砲発射。ワープします』

イリオンが百足星人の宇宙船にレーザー砲を発射した。百足星人の宇宙船が張っているバリアに、レーザー砲が命中し、眩い閃光を発した。レーザー砲のエネルギーは全てバリアで遮断されたが、百足星人の宇宙船が大きくよろめいた。それと同時にイリオンがワープした。

『ワープ完了。百足星人による追尾はありません。回避は成功しました』

368BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/03(水) 20:48:16
ab.0303.Pirate.002.04

 百足星人の海賊船。船をコントロールする情報指令室。

「ギギギ……。なぜ牽引ビームが突然消えたのだ?」
1体の百足星人が、イリオンが消えた宇宙空間をモニタ越しに見つめながら、不思議そうに呟いた。

「ギギギ……。さっき栗鼠型星人の星で銀河警察から受けた攻撃で、システムに損傷したのだろう」
と、別の百足星人。百足星人は姿がよく似ているので、2体の区別がつかない。
      
「ギギギ……。銀河警察どもめ」
最初の百足星人が、食べかけの栗鼠型星人の死体を、忌々し気に床に吐き捨てた。

「ギギギ……。さっきの宇宙船の正体が分かったぞ。ネオガイア星人の宇宙船だ」

「ギギギ……。ネオガイア星人? あぁ、あのサルどもか。すると逃げた先はネオガイア星か?」

「ギギギ……。いや、ここから30光年離れた恒星系を目指していたみたいだ」
百足星人が操作すると、空間に、黄色い恒星とその周囲を回る青い惑星の映像が表示された。
「ギギギ……。これは面白い。そこの3番めの惑星には、ネオガイア星人の先祖が住んでいるらしい」

「ギギギ……ギギギ……」

百足星人の不気味な笑い声は、錆びた金属を擦り合わせたようなノイズのように聞こえた。

369BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/03(水) 20:50:41
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370BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/09(火) 19:55:01
ab.0304.Perfect Soldier.001.01

『パーフェクトソルジャー1』

 ここ宇宙船オリンポスの一画にある会議室に、ネオガイア星人の所要メンバーが、ピタゴラス博士に召集された。

集まったのは、ピタゴラス博士の他、暫定的に提督に選ばれたヘラクレスと、ソクラテス、メビウス博士、ウラノス博士、そしてペルセウスの6人だ。今回もクロノス博士は欠席していた。

「皆、忙しいところを、わざわざ集まってくれてありがとう」
ピタゴラス博士が集まった面々を見回した。
「さて、皆に集まってもらった理由は、例の地球奪還作戦について新しい懸念が生まれたからだ」

 地球はネオガイア星人の先祖の故郷だった。オリンポスで地球に帰ってきたネオガイア星人たちは、地球人の手から故郷を奪還する計画を立てていた。

地球人のテクノロジーはネオガイア星人よりも遥かに劣るので、宇宙船オリンポス1隻だけでも、地球奪還は可能なのだが……。

371BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/09(火) 19:55:36
ab.0305.Perfect Soldier.001.02

「懸念というのは……、例のグレイの犯罪者を銀河警察が到着するまで足止めした、というネオガイア宇宙軍の兵士……、名前は何といったかね?」

「アルテミスですか? 私の部下で、非常に優秀な兵士ですが、何か彼女に問題でも?」
と、訝しげにペルセウス。

「そうそう、アルテミス君だ」
ピタゴラス博士がウンウンと頷いた。
「もちろん、そのアルテミ君自身には何の問題もない。むしろ、グレイを相手にあそこまで戦えたというのは、賞賛に値するだろう。しかし……」

ピタゴラス博士が、やや声のトーンを落として話を続けた。
「我々のテクノロジーは、グレイよりも遥かに劣る。たしかに、これは残念な事だ。しかし見方を変えると、そのおかげで我々はグレイの眼中にない、つまりグレイから警戒されずに済んでいる――、と言えるのではないかね?」

「つまり、アルテミスがグレイの犯罪者を相手にあそこまで戦えた事で、ネオガイア星人がグレイから警戒されるかも知れない――と?」

「そうだ。グレイは、自分達の銀河系支配の地位を脅かされる事を、何よりも警戒している。彼らには、『ネオガイア星人は取るに足らない下等種族だ』と思っていてもらう方が、安心できる」
ピタゴラス博士は、全員の顔を見回した。
「そこで、例の地球奪還作戦だが……、今は、地球を武力制圧するような目立つ行動は、避けた方が無難ではないかね?」

372BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/09(火) 19:56:07
ab.0306.Perfect Soldier.001.03

「うむ。惑星を1つ武力制圧したくらいでグレイに警戒視されるとは思えないが……、何といっても相手はグレイだからな。リスクはできるだけ少ない方が良い」

「では、地球の奪還はどうする? 延期するかね?」

「いや、延期の必要はないだろう。地球人の適当な国を植民地にして、そこを拠点に、勢力範囲を広げていってはどうだろうか?」

「なるほど、それがいい」

「そうとなると……、どの国がいいかだな」

こうして皮肉にも、グレイの犯罪者が地球に襲来したおかげで、地球人はネオガイア星人による大量殺戮を免されたのだった。

373BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/09(火) 19:56:38
ab.0307.Perfect Soldier.001.04

「そういえば、アテナ君の姿が見えないが……」
ピタゴラス博士が全員の顔を見回して、怪訝そうな顔をした。

「彼女はアルテミスの見舞いに行っています。2人は友人同士でしたし」
と、ペルセウス。

「そうか……。2人には気の毒な事をしたな。ちなみにアルテミス君の容体はどうなのだ?」

「頭部、つまり脳だけで冷凍保存されています。ネオガイア星に帰還して、サイボーグのボディに移植する予定です」

「たぐいまれな戦闘技術の持ち主だ。失うには惜しい」

「それについてなんだが」
ずっと無口だったウラノス博士が、口を開いた。
サイボーグではなく、元通りの身体に戻せるかもしれないぞ?」

374BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/09(火) 19:58:16
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>>267-321 食糞実験

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>>365-369 宇宙海賊2

>>370-374 パーフェクトソルジャー

375BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/18(木) 18:33:40
ab.0308.Perfect Soldier.002.01

『パーフェクトソルジャー2』

 ウラノス博士は、アルテミスの身体が、正確には首が冷凍保存されている部屋に向かった。保存カプセルの前には、簡易ベッドが置かれ、アテナが眠っていた。アルテミスの事で憔悴したのか、美しかった顔が少しやつれたように見える。

「アテナ君、起きたまえ」
「え? あ、ウラノス博士」

「これがアルテミス君か……。メビウス博士から美女だと聞かされていたが、これは想像以上の美しさだ」
ウラノス博士は、冷凍保存カプセル内のアルテミスの首を見て、小さくうなった。

「そういえば記録によると、アルテミス君の頭蓋骨は、超合金製に交換されているのだね?」
「はい。脳だけでも冷凍保存しようとしたのですが、頭蓋骨の損傷もひどくて……」
そう言って、アテナが涙ぐんだ。

376BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/18(木) 18:40:24
ab.0309.Perfect Soldier.002.02

「アテナ君、涙をふきたまえ。実は今日は、良い知らせを持ってきたのだ。アルテミス君の肉体を、元通りにする事ができるぞ」

「ほ、本当ですか?」
アテナの涙で潤んだ瞳が、ぱぁっと明るくなった。

「うむ。私の研究していたパーフェクトソルジャー実験が、実用段階に入ってね。首さえあれば、胴体を再生する事も可能だ」

「じゃあアルテミスは完全に元通りになるのですね?」

「いや、完全に元通り、というのとは少し違う。傷の再生能力は、一生維持される。言うなれば、不死身の肉体に生まれ変わるのだ」

「不老不死ですか?」

「いや、不死身というだけで、不老ではない。ただし不死身体質によって、皺やシミといった老化現象も治るので、実年齢よりも若い容姿でいられるとは思うが、寿命が延びるわけではない」

「たとえ体質が変わったとしても、それでアルテミスが助かるのなら、私は嬉しいわ」
アテナの顔が、希望に輝いた。

377BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/18(木) 18:40:58
ab.0310.Perfect Soldier.002.03

「アテナ君、実は問題は別にあるのだ。この処置には1週間を要するのだが、その間ずっと相当な苦痛がともなう」

「そ……そんな……。1週間も……」

「もしかしたら苦痛のあまり、精神に異常をきたすかもしれない。処置を受けるかどうかを、決定しなくてはいけない。しかしアルテミス君自身はこの状態だし、ネオガイア星にお住いのご両親は、ショックのせいで冷静な判断ができない精神状態だという。だから、友人であるキミに、決めてもらうしかない」

「私が?」
アテナは困惑の表情を浮かべた。冷凍保存カプセル内の、首だけになった友人を見つめながら、カプセルを指先で撫でた。

 そして、1分近くの無言の後、ウラノス博士の顔を真正面から見た。
「アルテミスは、女神のような美しさでした。その美しい肉体がサイボーグに変わるのは、私は我慢できません。処置をお願いします」
そして再び、アルテミスに視線を戻した。
「頑張って。1週間の我慢よ」
冷凍保存されたアルテミスに聞こえていない事は分かっていたが、そんな事はどうでもよかった。

378BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/18(木) 18:41:37


ab.0311.Perfect Soldier.003.01

 ウラノス博士は、アンドロイドに命じて、DNAを変換して生物を不死身体質に改造する装置を持って来させた。

「ウラノス博士、この装置は……?」
「DNA変換装置だ。これによって不死身の肉体に変わるのだ」
「この装置で、アルテミスが元に戻るのですね……」
「まずは、アルテミス君の冷凍状態を解凍するぞ」

凍結されていたアルテミスの首が、解凍された。解凍と同時に、生命維持装置が脳への酸素の供給を開始する。

「アルテミス」
アテナが保存カプセル内を覗き込んだ。アルテミスの目はまだ虚ろで、アテナに気づいているのかどうかも、定かでない。口と声帯はあるが、肺がないので、声を出す事はできない。

「アルテミス、聞こえる?」
アテナは、保存カプセル内で首だけになった友人に話しかけた。
「ここはオリンポスの中よ。アナタはグレイの犯罪者との戦闘で重傷を負って、胴体を……、胴体を失ったの」

アテナがアルテミスの頭部をやさしく撫でた。解凍されたばかりのアルテミスの頭部は、氷のように冷たかった。アテナの目に涙が浮かんだ。

「でも大丈夫よ。今から、ウラノス博士がアナタを治してくれるわ。ただ……」
アテナの声が暗く落ちこんだ。
「ただ、それには苦痛が1週間続くの。辛いと思うけど、頑張って」

アテナは、アルテミスの口元に笑みが浮かんだような気がした。しかし、それが目の錯覚なのか、身体が元通りになる喜びからなのか、あるいは1週間続く苦痛への淫らな期待からなのかは、アテナには分からなかった。

379BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/18(木) 18:42:12
ab.0312.Perfect Soldier.003.02

 アルテミスの頭部が、DNA変換装置のカプセルに入れられた。

「ではDNA変換処置を開始する」
ウラノス博士が、装置の起動スイッチをONにした。アルテミスの首が、紫色の放射線に包まれた。

次の瞬間、アルテミスの口が大きくOの字に開かれた。同時に両目も大きく見開かれ、見ると、瞳孔が散大している。肺がないので実際に声は出ないが、アルテミスは絶叫をあげていた。カプセルの中で、首だけの美女が声にならない絶叫をあげている様は、異様だった。

「あぁあああ……アルテミス、アルテミス……」
アテナは、その場にうずくまり、友人の名を呼び続けた。

 ウラノス博士は、DNA変換装置を操作する手を止め、アテナの肩に乗せた。
「アテナ君。この処置は、一度始めたら、途中で中断する事はできない。気の毒だが、アルテミス君には、この苦痛に1週間耐えてもらうしかないのだ」

「あぁ……、アルテミス。ごめんなさい、ごめんなさい……」
ブルブルと震えるアテナの肩の振動が、添えられたウラノス博士の手に伝わった。

「アテナ君。全ての処置は、DNA変換装置が自動でやってくれる。だから、我々がここにいる必要はないのだよ? ここにいても、アルテミス君の苦しむ姿を見るだけだ。キミはいったん、自分の居室に戻ってはどうかね?」

「こ……、ここにいます」
アテナは力なく呟いた。しかし次の日には、友人の苦悶の表情に耐えられず、逃げるように自分の居室に戻った。

380BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/18(木) 18:43:24
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-380 パーフェクトソルジャー

381BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/23(火) 17:23:09
ab.0313.Perfect Soldier.004.01

 アルテミスを不死身体質にするためのDNA変換処置が始まって、2日が経過した。この間、アテナは自分の居室に閉じこもったまま、仕事も休んでいた。

さて、当のアルテミスはというと、そんなアテナの心痛をよそに、絶え間なく襲ってくる苦痛にご満悦だった。

(アァアアア!? い、痛い……なんて苦痛なの。でも感じちゃう。ア!? だ、だめ、イク、イク、イッちゃう……、あ!? だめ、イケないわ。イケない、イケない、イケないのぉ!)

アルテミスは愛撫ではなく苦痛だけで絶頂に達する事ができる真性マゾだったが、首だけでは、いくら苦痛を感じても絶頂を迎える事ができないのだった。

(触れない!? 拘束されていないのに触れない。どうして、どうして触れないのぉ?)

アルテミスは自分が胴体を失っているという事を認識できなかった。絶頂を求めて、あるはずのない手で、あるはずのないオマンコを必死に弄ろうとした。

(アヒィィィ……、イ、イキたくてもイケない。イキたい、イキたい……、お願い、イカせて、一回、一回だけでいいからイカせてぇえええ! お願いよぉ……お……ぉ……)

アルテミスの両目がグルリと反転し、白目をむいた。その瞳から涙が流れ出たが、全て、保存カプセル内に満たされた保存液に溶けてしまった。

アルテミスは、すでに何度も失神していた。しかし……、
(ヒィ!? オ、オォオオオオ……)
そのたびに、凄まじい苦痛によって無理やり覚醒させられ、発狂寸前の快楽に失神した。

(アァアアア、痛いのもイケないのも、死ぬほど辛いけど……でも、い、いいわぁ。い、いい……、失神もイク事も許されないなんて、最高よぉ)

常人だったら1日ともたずにショック死してしまいそうな苦痛に苛まれながら、絶頂の一歩手前で焦らされ続ける。そんな無間地獄すら感じてしまう、アルテミスだった。

382BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/23(火) 17:23:41
ab.0314.Perfect Soldier.005.01

 アルテミスのDNA変換処置が始まって、1週間が経過した。自分の居室でふさぎ込んでいるアテナのもとに、ウラノス博士から処置が終了したとの連絡が届いた。アルテミスは、医療エリアの病室に搬送されたという。

アテナが病室のドアをおそるおそる開けると、ウラノス博士と医師のアスクレピオスがいた。そして部屋の中央に置かれたベッドに、アルテミスが横たわっていた。見ると、肩までかけられた毛布が、呼吸に合わせて静かに上下している。

「ウラノス博士。アルテミスは……?」
「うむ。大丈夫だ。胴体部分は完全に再生している。グレイとの戦闘による傷はもちろん、それ以前の傷や痣も消えている」

「あぁ、良かった。本当に良かったわ」
アテナの瞳から、涙がこぼれ落ちた。ここ10日ほど何度泣いたか、アテナ自身も覚えていないが、今度は悲愴の涙ではない。

383名無しさん:2019/07/23(火) 17:24:13

ab.0315.Perfect Soldier.005.02

「少し気になるのは……、ウラノス博士の話では、不死身体質は体内の異物を排出する作用があるらしいのだが……」
と、アスクレピオス。
「移植された超合金の頭蓋骨だけは、なぜか除去される事なく、頭部に残ったままなのだよ」

「問題はないのですか?」
「いや、健康の問題は全くない」

「アルテミス……」
アテナは、アルテミスの頭をそっと撫でてみたが、見た目も触感も違和感はない。指にからみつく髪の感触は、まるで最高級のシルクのようだ。

「見るかね?」
そう言って、ウラノス博士が、アルテミスにかけられた毛布を腰の辺りまでずり下ろした。

アルテミスは、何も身につけていなかった。同性のアテナの目から見ても、おもわず見とれてしまいそうな美しさだった。

384BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/23(火) 17:24:43

ab.0315.Perfect Soldier.005.02

「少し気になるのは……、ウラノス博士の話では、不死身体質は体内の異物を排出する作用があるらしいのだが……」
と、アスクレピオス。
「移植された超合金の頭蓋骨だけは、なぜか除去される事なく、頭部に残ったままなのだよ」

「問題はないのですか?」
「いや、健康の問題は全くない」

「アルテミス……」
アテナは、アルテミスの頭をそっと撫でてみたが、見た目も触感も違和感はない。指にからみつく髪の感触は、まるで最高級のシルクのようだ。

「見るかね?」
そう言って、ウラノス博士が、アルテミスにかけられた毛布を腰の辺りまでずり下ろした。

アルテミスは、何も身につけていなかった。同性のアテナの目から見ても、おもわず見とれてしまいそうな美しさだった。

385BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/23(火) 17:25:16
ab.0316.Perfect Soldier.005.03

アテナはふと違和感を感じて、ウラノス博士を見た。
「もしかして、若返りました?」
「前にも話した通り、アルテミス君に施したDNA変換処置には、若返りの効力はないよ。たしか彼女は28歳だったね? ならば、肉体年齢は28歳のままだ」

「それにしては、これは……」
アテナは、アルテミスに視線を戻した。どんなに目を凝らしても傷どころかシミ1つ見られない。

「まぁアテナ君がそう感じるのも、無理はない。アルテミス君の肉体年齢はたしかに28歳だが、不死身体質が傷や痣だけでなく、シミやシワも消してしまうのだ。若返ったように見えるのは、そのせいだろう」

「これが28歳の身体……。皮膚の張りや艶は、20歳前後みたいだわ。ちょっと悔しいわ」
アテナは、なんとかシミの1つでも見つけようとアルテミスの身体を観察したが、結局1つも発見する事ができず、不満そうに口を尖らせた。

「さっきまであんなにアルテミス君の心配をしていたのに、無事だと分かったとたんにこれか。まったく女という生き物は……」
ウラノス博士が、ヤレヤレといった風に肩をすくめた。

386BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/23(火) 17:25:50
ab.0317.Perfect Soldier.005.04

「ア……アテ……ナ?」
アルテミスが、うっすらと目を開いた。
「アルテミス! 目が覚めたのね? 良かった。本当に良かったわ」
アテナはアルテミスを抱きしめた。

アテナの瞳から、再び涙があふれ出てきた。その目の下には、アルテミスの事が心配で何日も泣き明かしてできた隈(くま)が、くっきりと刻まれている。
「アテナ……。私よりもひどい状態ね。美人が台無しよ?」
その隈に気づいたアルテミスが、微笑んだ。

「いいわね、こんな美肌になれて」
そう言って、アテナは再び口を尖らせた。アルテミスは、なぜアテナが拗ねているのか分からなかった。

387BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/23(火) 17:27:02
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-387 パーフェクトソルジャー

388BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/29(月) 20:11:49
ab.0318.Perfect Soldier.006.01

 2日後に、アルテミスは退院を許可された。退院までに何度か精密検査を受けたが、どこにも異常はなかった。それどころか、不死身体質のおかげで、以前よりも体調が良くなったほどだ。超合金の頭蓋骨は頭に埋まったままだが、特に支障はなかった。

 自室に戻ると、見舞いの手紙や品が山のように室内に積まれていた。差出人の名前を見ると、大半が友人や白兵戦コマンドの同僚からだったが、メビウス博士やピタゴラス博士の名前もあった。他にも、初めて見る名前もいくつかあったが、それらは全てアルテミスのファンの男たちだ。

たしかにネオガイア星人に大半はサディストだが、それはあくまで性的嗜好の話であって、友人や仲間を大切に思う気持ちは地球人と変わらないのだ。

 アルテミスは3Dミラーを起動し、自分の身体を確認してみた。

肉体は28歳のそれだが、不死身体質のおかげで、古傷はもちろん色素沈着などの加齢性の変化もなくなり、もっと若く見える。グレイの犯罪者との戦闘で受けた傷や、冷凍保存される際に首を切断された痕も、跡形もなく消えている。

頭を触ってみたが、超合金製の頭蓋骨が埋まっているとは、全く分からない。ウラノス博士から頭蓋骨の件を聞かされなかったら、自分でも全く気付かなかっただろう。

389BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/29(月) 20:12:20
ab.0319.Perfect Soldier.006.02

(タイムトラベルする前は、超合金の仮面をかぶっていたんだけど……。まさか、この世界で超合金の頭蓋骨を移植されるとは、思ってなかったわ)

次に、自虐オナニーでピアスを装着した乳房と股間を確認してみたが、やはりピアスは1つも無かった。もともとグレイにキュクロプスPを撃墜された時点で、ピアスは肉片と一緒に千切れていたのだ。

手の甲を口に当て、皮膚を噛んだ。赤い蚯蚓腫れができたが、5秒とかけずに、もとの傷ひとつない皮膚に戻った。
(不死身体質にもどったみたいね)
再び3Dミラーに全身を映した。誰もが羨む美しい肢体だが、口から出てきたのは溜息だった。不死身体質に戻ったので、先日の自虐オナニーのような肉体改造はもうできなくなったのだ。

390BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/29(月) 20:13:30
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

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>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

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>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

391BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/08(木) 18:38:13
ab.0320.intermission

>>3『注意事項』にも記載されていますが、このアナザーストーリー全編に登場する人物、団体、地名、設定、世界観、その他全てが架空の物です。パロディーですらありません。完全に架空の物です。同じまたは似た名称があったとしても、それはただの偶然です。

392BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/08(木) 18:39:16
ab.0321.Prime Minister Hitsugi.01

『棺(ひつぎ)首相』

 ここで物語は、オリンポスが地球にたどり着く2年前に遡る。そして舞台は地球に移る。

日本は、数十年にわたり続いていた辞民党政権が選挙で敗れ、万年野党だった民捨党が政権に就いた。

民捨党の党首、すなわち棺首相には、年金や原発といった辞民党時代から山積みになっている数多くの問題に対処する能力が、歴代の辞民党党首に輪をかけて不足していた。

393BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/08(木) 18:40:40
ab.0322.Prime Minister Hitsugi.02

 2年の歳月が流れ、宇宙の彼方からネオガイア星人がやって来た。ネオガイア星人達は姿を隠していたが、その後にやって来た3体のグレイは姿を隠す気などさらさらなく、白昼堂々と日本の市街地を急襲した。

 現地から届いた映像を見た棺首相は、警察の手におえる状況ではないと判断し、直ちに自衛隊に出動を命じた。 

ところが、自衛隊からは『道路が渋滞していて派遣が遅れる』との連絡が来て、それっきり電話が繋がらなくなった。自衛隊の助けもなく、市民たちは次々とグレイの餌食となっていった。

 アルテミスの活躍でグレイが逮捕され、宇宙人襲来という未曽有の危機は去ったが、日本の政界では相変わらず与野党の泥仕合が繰り広げられていた。

辞民党はここぞとばかりに、自衛隊の派遣が遅れた件で棺首相を糾弾した。ネット上には、様々な噂や憶測が飛び交った。中には、棺首相が自衛隊を妨害した――というデマまであった。

394BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/08(木) 18:43:03
ab.0323.Prime Minister Hitsugi.03

 民捨党は次第に追い詰められていき、棺首相の辞任が囁かれ始めた。その棺首相に、思わぬ知らせが入った。

グレイとキュクロプスPの交戦中、グレイが放ったレーザーの1発が、日本海に位置する寸閣孤島に着弾した。グレイのレーザーは、寸閣孤島の岩だらけの地面を、豆腐のように切り裂いた。地殻がめくれ上がり、古い地層がむき出しになった。そこから、レアメタルの鉱脈が発見されたのだ。

 棺首相はこの知らせを聞いて、狂喜乱舞した。レアメタルの採掘が成功すれば、莫大な経済効果を生む。辞民党時代から続く不況が改善されれば、民捨党の支持率アップは間違いない。

(今まで辞民党の連中が甘い汁を吸ってきたが、今度は俺がいい思いをする番だ)

棺首相はニヤニヤ笑いながら、政治献金を出しそうな企業や個人のリストを作り始めた。その顔は政治家というよりも、時代劇に登場する強欲な商人のようだった。

395BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/08(木) 18:44:37
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

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>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

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>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-395 棺(ひつぎ)首相

396BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/16(金) 00:03:35
ab.0324.Prime Minister Hitsugi.04

 砂原知事は、東京都知事を何期も務め、カラス対策という輝かしい功績をあげた人物だった。 

グレイの犯罪者が日本の市街地を襲撃した時、砂原知事はガラパゴス諸島の視察中だった。

砂原知事は、宿泊先のエクアドル随一の高級ホテルのスイートルームで、ソファに腰をおろして眉間を軽く揉んだ。日本との往復はファーストクラスなので移動は快適だったが、さすがに疲れがたまっている。

視察は、エクアドル政府による高級レストランでの接待、ストリップショー、カジノ、ゴルフ、ハイブランド品のショッピングと、連日ハードなスケジュールが続いていた。明日からは、豪華クルーザーをチャーターしてガラパゴス近海を視察する予定だ。

397BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/16(金) 00:04:21
ab.0325.Prime Minister Hitsugi.05

 砂原知事がそろそろ寝ようかと考えた時、ベッド横の電話が鳴った。
(こんな時間に誰だ? 女からの電話だったら切るぞ)
不機嫌そうに舌打ちをしてから、受話器を取った。

「夜分失礼します。防衛庁の鶉山(うずらやま)です」
返ってきたのは男の声だった。

(鶉山? 異邦人が俺に何の用だ?)
砂原知事は、意外な人物からの電話に、眉をひそめた。

 鶉山は防衛庁のキャリア官僚だった。日本でも有数の資産家の長男として生まれ、東京大学を首席で卒業、アメリカに留学し博士号を取得、帰国後は大学教授やシンクタンクの顧問を務め、官僚となった。

IQが180以上とも噂される優秀な頭脳の持ち主だが、生まれた時から敗北や挫折とは無縁の人生を歩んできたせいで、価値観が一般人と少しずれている。そして、ついたあだ名が『異邦人』だ。

398BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/16(金) 00:05:12
ab.0326.Prime Minister Hitsugi.06

「防衛庁のキャリア官僚が俺に何の用だ?」

「寸閣孤島でレアメタルの鉱脈が発見された事はご存じですよね?」

「あぁ」

「もしもレアメタルの採掘で日本の景気が改善したら、民捨党の支持率がアップするでしょうねぇ」

「そんな事は分かってる。バカな事を言ってるんじゃないよ!」
砂原知事が忌々しげに吐き捨てた。辞民党と懇意にしていたこの知事は、民捨党を快く思っていないのだ。

「では、このレアメタルの発見を利用して民捨党を窮地に立たせる事ができるとしたら、どうします?」
不機嫌な砂原知事とは対照的に、鶉山の声からは、感情の起伏というものが全く感じられない。

399BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/16(金) 00:06:27
ab.0327.Prime Minister Hitsugi.07

「はぁ? そんな事ができるのか?」

「はい。実は寸閣孤島は、個人の所有物なんです。だからレアメタルを採掘するには、所有者から島を買い取る必要があります。そこで……」
鶉山は一呼吸おいてから、言葉を続けた。
「寸閣孤島を東京都で買い取る、と発表して下さい」

「なるほど。寸閣孤島を東京都で買い取って、民捨党が手出しできなくするんだな」

「いいえ、少し違います。棺首相は、砂原知事の発表を聞いたら、レアメタル採掘の手柄を横取りされまいと、日本政府が寸閣孤島を買い取ると発表するはずです」

「そんな事はさせん!」
砂原知事は力強く頷いた。

「いえいえ。棺首相が日本政府で買い取ると発表したら、砂原知事は、東京都で買い取るという発表を取り消して下さい」

「はぁ!? どういう事だ? それじゃあ棺の手柄になってしまうじゃないか!」

「はい。それでいいんです。それで、砂原知事にしていただく事は終わりです」
鶉山は、そこまで告げると、短く別れを言って電話を切った。

砂原知事は、訳が分からず呆けた顔で電話機を見つめていたが、鶉山の指示通りにする事にした。鶉山という男は、考えている事は分からないが、ずば抜けた頭脳の持ち主だという事は分かっている。

400BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/16(金) 00:07:33
ab.0328.Prime Minister Hitsugi.08

 砂原知事は、ガラパゴス諸島から日本に帰国すると、早速、東京都が寸閣孤島を買い取ると発表した。これを聞いた棺首相は慌てて、寸閣孤島を日本政府が買い取ると発表した。その直後、砂原知事は自分の発表を撤回した。

棺首相は、寸閣孤島に調査船団を派遣した。頭の中は支持率の事で一杯で、砂原知事が自身の発表をあっさり撤回した件を疑問に思うような余裕はなかった。

 調査船団派遣から数日後、棺首相のもとに秘書から連絡が入った。

「総理。寸閣孤島に派遣した調査団が、攻撃を受けました」

「何!?」

「中国の漁船から、銛(もり)で攻撃されているんです」

「何!? あれほど優遇してやったのに、中国人どもめ。すぐに警備艇を出動させろ。中国人どもに、日本の造船技術を思い知らせてやれ!」

警備艇が出動し、銛を投げる中国漁船に放水機で応戦した。

 もとからそりの合わなかった日本と中国の関係が、この寸閣孤島の一件でさらに悪化した。日本のレアメタル採掘は、連日のように押し寄せる中国漁船に阻まれて、完全に頓挫した。

 それまで寸閣孤島に関して全く言及をしていなかった辞民党が、ここぞとばかりに、レアメタル採掘の頓挫と日中関係悪化の件で民捨党を非難し始めた。

辞民党の追及に、棺首相は曖昧な回答を繰り返すだけだった。つい先日まで支持率の事しかなかった頭の中は、今はどうやって首相の座に留まるか、しかなかった。

 ネットの匿名掲示板では、民捨党を非難する様々な怪情報が飛び交った。普通なら会社や学校のある平日の昼間でもひたすら掲示板に書き込みを続ける、そんな投稿主の正体は謎に包まれていた。

民捨党の支持率は過去最低まで下がり、連日その記録を更新し続けた。寸閣孤島近海での日本警備艇と中国漁船の小競り合いの様子は、警備艇の乗員によって、ネット上に公開された。辞民党議員たちは、その映像を、笑い転げながら観ていた。

401BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/16(金) 00:08:16

ab.0329.Prime Minister Hitsugi.09

 数日後、鶉山のもとに砂原知事から電話がかかってきた。

「おや? 砂原知事。何かご用でも?」

「どういう事だ? なんで中国がしゃしゃり出てくるんだ? 俺にも解るように説明しろ」

「おや、ご存じなかったんですか? 数十年前、辞民党は中国と、寸閣孤島の領有権問題を棚上げするとの密約を交わしていたんですよ」

「何!?」
砂原知事が素っ頓狂な声をあげた。

「そんな密約を交わしているにもかかわらず、棺首相は、寸閣孤島を国有化すると発表してしまったんですよ。中国にしてみれば、日本に密約を破られた、という事になります」

「それで中国の漁船が攻撃してきたのか……」

「はい。そんな事情を知らない棺首相にとっては、いきなり中国漁船から銛を撃たれた、という事になりますが」

「…………」
砂原知事は鶉山の奸計に驚かされたが、ふと疑問に思った。
「オイ、もし棺が密約の事を知っていたら、どうなっていたんだ?」

「その場合は、棺首相は『寸閣孤島を国有化する』なんて言わなかったでしょうねぇ……」

(コイツ……!)
砂原知事は小さく舌打ちをした。
(もしそうなったら、日中関係の悪化は、東京都で買い取ると発表したオレの責任になっていたぞ)

402BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/16(金) 00:09:10
ab.0330.Prime Minister Hitsugi.10

「密約を利用したわけか……。だが真相が明るみになったら、オマエもタダでは済まなかったぞ?」

「それはご心配なく。僕は超エリートで、実家も資産家ですから、防衛庁をクビになっても平気です。先日も、母から2000万円のお小遣いもらいましたし」

(2000万だと?)
砂原知事は、鶉山の実家が日本でも有数の資産家だった事を思い出した。一族の資産は数百億円だという。

「最後に1つ訊いてもいいか? 民捨党と棺を嵌める、そんな目的のために日中関係を悪化させたのか?」

「ククク」
砂原知事の問いに対して、鶉山は鳩のような含み笑いだけを返すと、そのまま電話を切った。

403BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/16(金) 00:10:09
ab.0331.Prime Minister Hitsugi.11

 密約の事を知らない棺首相と、密約を破られたと思い込んでいる中国は、お互いに一歩も退く気はなかった。

民捨党の支持率は下がり続けた。そして毎日のように辞民党から日中関係悪化の責任を問われ続けた棺首相は、任期を全うする事なく、辞任した。棺首相の辞任後に解散総選挙が行われ、民捨党は大敗、日本は再び辞民党政権となった。

 辞民党政権になって、寸閣孤島を国有化する案はいったん白紙に戻されたが、日中関係は改善しなかった。寸閣孤島近海には、中国漁船が毎日のように姿を現した。

中国に便乗するように、韓国が毒茸島の領有権を主張し、近海に漁船を送りこんできた。

日本は、この中国韓国の漁船に対抗するため、防衛予算を大幅に増大した。防衛庁も防衛省に格上げされた。防衛庁キャリア官僚の鶉山は、その功績を認められ、昇進と将来の天下りを保証された。

 棺元首相が件の密約の事を知ったのは、辞任後だった。この一件で人間不信に陥った棺は、日本行脚の旅に出ると言い残して姿を消した。

404BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/16(金) 00:12:47
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-404 棺(ひつぎ)首相

405BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/28(水) 18:50:35
ab.0332.intermission

>>3『注意事項』にも記載されていますが、このアナザーストーリー全編に登場する人物、団体、地名、設定、世界観、その他全てが架空の物です。パロディーですらなく、完全に架空の物です。同じまたは似た名称があったとしても、それはただの偶然です。

406BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/28(水) 18:51:51
ab.0333.Prime Minister Dabu.01

『駄部(だぶ)首相』

 辞民党党首、すなわち日本首相には、駄部云三(だぶうんぞう)が就任した。

云三と書いて、『うんぞう』だ。云々(うんぬん)が決して『でんでん』とは読まないのと同じように、云三も『でんぞう』ではない。

駄部首相は、愛国心に燃える男だった。執務室の本棚には、悪の秘密結社やマッドサイエンティストから日本を守る合体ロボットや美少女戦隊の活躍を描いたコミックが、ぎっしりと並べられている。

駄部首相は就任早々、いくつもの改革を行った。その成果はすぐに表れた。平均賃金や求人倍率といった、政府が毎年発表している経済指数は軒並み改善した。同時に株価も上昇した。民捨党政権下の暗黒時代が、ようやく終わりを告げたのだった。

407BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/28(水) 18:52:48
ab.0334.Prime Minister Dabu.02

 都内にあるアブホテルの一室。防衛庁キャリア官僚の鶉山は、ソファに腰掛けながら、TVで新政権発足の特別番組を見ていた。

『民捨党が消耗税を導入しました。民捨が年金を破綻させました。民捨が……』
TVモニタの中で、就任したばかりの駄部首相が、興奮気味に演説をしている。

「さっきからDabuは『ミンシャガー』を連呼しているが、たしか日本の消耗税は辞民党が導入したのではなかったかね?」
鶉山の背後から、やや外国訛りのある日本語がした。見ると、金髪碧眼の男が壁にもたれながら立っている。

「はい。消耗税だけじゃありませんよ。年金問題や原発問題など、駄部首相が民捨党の責任だと主張しているものは、全て辞民党時代に起きています」

「つまり自国民を騙しているという事かね?」
金髪碧眼の男は、呆れたように肩をすくめた。

「フフフ。印象操作ですよ。寸閣孤島のどさくさに紛れて、悪い事を全て民捨党の責任にして、『辞民党なら日本は良くなる』と国民に印象付けるんです」
鶉山がニコリと微笑んだ。


「なるほど。まぁそれでも、結果的に平均賃金や求人倍率が改善したのだから、印象操作も政策としては悪くないな」

408BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/28(水) 18:53:24
ab.0335.Prime Minister Dabu.03

「フフフ。それにはからくりがあるんです。平均賃金は大企業の正規雇用者だけで算出して、その一方で、求人倍率は非正規雇用の求人も合算しているんですよ。ちなみに株価は、年金や国庫金で大量に株を買ってつり上げたんです」

「それも印象操作かね?」

「フフフ。アナタのご祖父も、同じ方法で政権をお取りになったでしょう?」

「私の祖父を、こんな男と一緒にしないでくれたまえ」

金髪碧眼の男は鼻で笑うと、TVを顎でしゃくった。TVモニタの中では、駄部首相が『ミンシャガー』を連呼していた。

409BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/28(水) 18:54:00
ab.0336.Prime Minister Dabu.04

「それにしても……、なぜアナタほどの人物が、こんなホテルに宿泊なさってるんですか?」
鶉山はそう言うと、室内を見回した。

「ん? 客室に置かれているこの本が気に入ったんだよ」
男は、ベッドの上に置かれた1冊の本を顎でしゃくった。

鶉山は本を手に取って、ペラペラとページをめくった。
「えぇと……、ユダヤ人は利益をタックスヘイブンに動かし税金を……。なるほど、たしかにアナタの好きそうな本ですね」

「素晴らしい著書だと思わないかね?」

「それにしてもこのホテル、耐震性とか大丈夫なんですかね?」
鶉山は、男の問いには答えず、壁を軽く叩いてみた。カポカポと音がした。

410BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/28(水) 18:54:43
ab.0337.Prime Minister Dabu.05

 場所は変わって、東京都の某所。

2人の女子高生が、スマホをいじりながら話していた。2人とも、制服を着ていなかったら、キャバクラ嬢にしか見えない。

「ねぇねぇ聞いて。あの3人組って、宇宙人だったらしいよ」
1人がスマホを見ながら、小さく叫んだ。

「3人組? あぁ、あの包茎ロボットとバトルしたって奴?」

「そうそう」

「それって、どこ情報?」

「これ。ネットの書き込み」
そう言って、スマホの画面を見せた。

「あ、ホントだ。じゃあガチ情報じゃん。けど包茎ロボットって、マジうけるんだけどぉ」

そんな女子高生の横を、時代遅れの帽子とトレンチコートを着た中年の男が通り過ぎた。

「うわ、ダサすぎぃ。今時あんな帽子とトレンチコート無いよね」
女子高生たちが、男の背中を指さしながらケラケラ笑った。

「誰でも匿名で好きな事を書き込めるインタアネットの掲示板ってのを信じるようじゃあ、日本も終わりだな」

男は呆れたように呟くと、片手をあげてタクシーを停めた。

「警視庁まで頼む。領収書も頼む」
男はそう言うと、窓の外を無言で見つめた。

411BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/28(水) 18:56:14
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

412BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/02(月) 18:51:13
ab.0338.Cyclops-P.10.01

『キュクロプスP 10』


「アァアアア……す、すごいわぁ」

地球の衛星軌道上に停泊中の宇宙船オリンポスの周囲を、包茎ペニスに似たマシンが、高速で旋回していた。有人ロボット兵器キュクロプスPだ。そのコクピットの中で、パイロットのアルテミスが淫らに腰を振っていた。

キュクロプスPは、ネオガイア星人の地球奪還作戦の要として開発された兵器である。その操縦方法は特殊だった。パイロットシートに3本の操縦桿が生えていて、パイロットは腟と直腸、そして尿道に挿入して機体を操るのだ。

今もアルテミスの敏感に肉穴に、3本の操縦桿が深々と刺さっている。見ると、オマンコに挿入された操縦桿の表面には、血がスジを引いている。不死身体質によって再生した処女膜を、操縦桿が突き破ったのだ。

413BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/02(月) 18:52:27
ab.0339.Cyclops-P.05.02

 今オリンポスの周囲を飛んでいるキュクロプスPは、正確には2号機だった。先代のキュクロプスPは、グレイの犯罪者との戦闘で破壊されてしまった。今日は、この新造のキュクロプスP2号機のテスト飛行の日だった。

 グレイとの戦闘で傷ついたのは、キュクロプスPだけではなかった。開発者のメビウス博士のプライドも、いたく傷ついていた。

メビウス博士は友人のピタゴラス博士と2人で、ロボット研究所から、キュクロプスPのテスト飛行の様子を見ていた。キュクロプスPは、テスト飛行用に指定された軌道を、寸分も外れる事なく正確かつ超高速で飛行している。

「アルテミス君の操縦技術は凄い。その彼女が操縦していたのに、グレイに撃墜されてしまった。私の開発したキュクロプスPの性能が低かったからだ」

ガックリと肩を落とすメビウス博士を、ピタゴラス博士が心配そうに見た。

「ま、まぁ、メビウス博士。正規軍ではなく一介の犯罪者とはいえ、相手は特殊戦闘服で武装したグレイ3体だ。撃墜されても仕方なかろう?」

「そうなのだよ。正規軍ならまだしも、一介の犯罪者に撃墜されてしまったのだよ……」

ピタゴラス博士が励まそうとしたが、メビウス博士は更に落ち込んでしまった。

414BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/02(月) 18:53:30
ab.0340.Cyclops-P.10.03

「メビウス博士、そんなに気を落とさないでくれ。グレイとの戦闘を参考にして、キュクロプスPを改良すればいいじゃないか。キミにはその才能があるのだ」
ピタゴラス博士は、なんとか友人を力づけようとした。

「キュクロプスPを改良か……」
メビウス博士は自分の手をじっと見つめた。その手で拳を握りしめると、
「そうだな。ありがとう、ピタゴラス博士。元気が出たよ」
ピタゴラス博士に力強く頷いた。

「ウム。その意気だ。キミには凡人にはない独創性と閃きがある。自信を持ちたまえ」
ピタゴラス博士も、力強く頷き返した。

「そういえば、メビウス博士。独創性で思い出したのだが、キュクロプスPの3本の操縦桿について、伝えておかないといけない事があるのだ」

「ん? 何かね?」

「アテナ君がアルテミス君の友人だという事は、知っているね? 実は、あの操縦桿の事で、彼女がかなりご立腹でね。グレイの時は緊急事態という事もあって我慢してくれたのだが、次はセクハラでキミを訴えかねないぞ?」

415BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/02(月) 18:54:14
ab.0341.Cyclops-P.10.04

 アテナは、アルテミスの友人だった。前回のグレイとの戦闘時に、自分の友人が操縦桿を股間の穴に挿入してキュクロプスPを操縦している事を知って、激怒したのだ。実際は、真性マゾのアルテミスは操縦桿を挿入する事を悦んでいるのだが、アテナはアルテミスの性的嗜好を知らない。

「実を言うと私も疑問なのだよ。操縦桿を股間に挿入する事に、何か意味があるのかね?」

そう尋ねるピタゴラス博士に、メビウス博士は意外そうな顔をした。

「ん? 分からないかね? 想像したまえ。アルテミス君のような美女が、敏感な肉穴を操縦桿で突かれる苦痛と快感に耐えながら、戦闘ロボットを操縦するのだよ? これこそ、サディストのロマンではないか!」

メビウス博士が、胸の前で拳をキュッと握った。見ると、青い目がキラキラ輝いている。

「…………」
ピタゴラス博士は、ヤレヤレといった風に、指でこめかみを押さえた。

『アァアアア……す、すごいわぁ』
その時、キュクロプスPと繋がったままの通信機から、アルテミスの喘ぎ声が聞こえた。

416BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/02(月) 18:54:56


ab.0342.Cyclops-P.10.05

「そう言えば……メビウス博士。さっきから気になっていたんだいが、アルテミス君の声が快感の喘ぎ声に聞こえないかね?」

「いや、それはないだろう。重症のマゾでもない限り、あの操縦桿を挿入して快感を得られるとは思えない。きっとピタゴラス博士の気のせいだろう」

ネオガイア星人の中でマゾは極めて稀な存在なので、2人とも、アルテミスがマゾだとは想像もしていなかった。

『あぁあああ……た、堪らないわぁ』

「それにしても卑猥な声だな」
2人の科学者は、とりあえずネオガイア宇宙軍随一の美女と謳われる女の卑猥な声を、鑑賞することにした。

417BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/02(月) 18:57:08
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-417 キュクロプスP10

418BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/14(土) 19:53:24
ab.0343.Cyclops-P.10.06

 新造キュクロプスPのテスト飛行は、順調に進行していた。宇宙船オリンポスの周囲に投影された、複数のリングの立体映像を順番にくぐり抜けていく。宇宙戦闘機のA級ライセンスを持つアルテミスにとっては、舗装された道を自転車で走るようなものだ。

 コクピット内の状況をオリンポスに伝えているのは、マイクとスピーカーだけだった。カメラも設置されているのだが、アテナがキュクロプスPのあまりにも卑猥な操縦システムに激怒して、緊急時以外のカメラの使用に猛反対したのだ。

実際は、真性マゾのアルテミスは、操縦桿を股間で咥えて悶える姿を見られたがっていたのだが、アテナの気遣いを無碍にする事はできなかった。

そんなわけで、メビウス博士とピタゴラス博士は、ネオガイア宇宙軍随一と謳われる美女の悶える姿を見る事ができなかった。

419BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/14(土) 19:54:37
ab.0344.Cyclops-P.10.07

 キュクロプスPのコクピットでは、アルテミスがオマンコと肛門、そして尿道に操縦桿を咥えながら悶えていた。腰を動かすたびに、3本の操縦桿が敏感な肉穴を刺激する。不死身体質によって再生した処女膜を操縦桿に突き破られた痛みは、すでに消えている。見ると、三角木馬に似たシートの上には、淫液と破瓜の血がベットリとついている。

 アルテミスは、思い切り腰を振りたいという欲求に、必死に耐えていた。操縦桿を挿入したままそんな事をしたら、キュクロプスPがどんな動きをするか予想がつかず、テスト飛行にならないのからだ。

せめて手で乳房でも揉めれば良かったのだが、両手は天井から吊り革のように垂れ下がった、脳波センサー内蔵のリングに通されていて、それもできない。

「はぁはぁはぁ……」

どんな苦痛にも耐える真性マゾも、性欲を抑えるのは辛いらしく、リングに通した手首の先で、握りしめた拳がブルブルと震えている。

「アァアアア……つ、辛いわ……」
思わず出てしまった言葉に、
『辛い? アルテミス君、どうしたんだね?』
スピーカーから、メビウス博士の心配そうな声が返ってきた。

『やはり操縦桿を挿入するというのは、無理があるのではないか? このままだと、本当にアテナ君に訴えられるぞ?』
ピタゴラス博士のやや焦り気味の声が、それに続いた。

 コクピットのカメラは電源を切られているので、今2人に届いているのは声だけだ。アテナと同じく2人もアルテミスの性的嗜好を知らないので、当人が快感に悶えているとは、思っていないのだ。

『アルテミス君、大丈夫かね? キュクロプスPの操縦はどうだね?』

「はぁ、はぁ……、快感ですわ」

『そうか、快適か。それなら良いのだが……、え、快感?』

「アァアアア、たまらないわぁあああ!」

420BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/14(土) 19:55:40
ab.0345.Cyclops-P.10.08

 宇宙空間に立体投影されたリングをそれまで完璧にくぐり抜けていたキュクロプスPが、突然リングを外した。

「あ、ダメ……」
アルテミスが自分の股間を見下ろした。

『どうしたんだね? 今まで外した事などなかったのに。やっぱり、その操縦システムが辛いのかね?』
スピーカーから、メビウス博士の声がした。

「も、申し訳ありません。操縦桿が滑って抜けてしまいました」
抜けてしまったのは、腟に挿入されていた操縦桿だった。見ると、表面が淫液でドロドロになっている。

(そういえば、以前にも同じような事があったわね)

アルテミスは、この時間軸にタイムトラベルする前の世界でも、ヒト型巨大ロボット兵器キュクロプスの操縦中に操縦桿が淫液で滑って抜けた事を、思い出した。

(グレイとの戦闘時には操縦桿が抜ける事はなかったから、すっかり忘れていたわ)

グレイとの戦闘時は、快感を感じているような余裕がなかったので、淫液自体が分泌されていなかったのだ。

 アルテミスは、シートに股間を擦りつけて淫液を拭き取ると、抜けた操縦桿を再び挿入し直した。

「もう大丈夫です。機体のコントロールは回復しました」

『うむ。とりあえず今日のテスト飛行は、これで終了しよう。オリンポスに帰還してくれたまえ』

「了解」
アルテミスはキュクロプスPの進路を、オリンポスのロボット格納庫にとった。

421BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/14(土) 19:56:37
ab.0346.Cyclops-P.10.09

 宇宙船オリンポスのロボット研究所では、
「うぅむ。まさか操縦桿が滑って抜けてしまうとは……。これは改良の余地がありそうだな」
メビウス博士は胸の前で両腕を組みながら、ウンウンと何度も頷いた。

(それ以前に、股間に挿入したりせずに、通常の操縦桿にすれば良いのではないか?)
と、ピタゴラス博士は思った。

422BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/14(土) 19:57:48
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

423BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/20(金) 18:02:18
ab.0347.Lamia.birth.06.01

『ラミアー 出産実験06』

 ラミアーとビーナスを乗せた宇宙クルーザーイリオンは、百足星人の襲撃を受けたため、バカンスを1日早く切り上げて宇宙船オリンポスに帰った。それは、バカンスで出かけて12日め、妊娠実験の実験体由梨香の出産予定日の2日前だった。

 イリオンがオリンポスにドッキングすると、ソクラテスとピタゴラス博士がとんで来た。2人とも正装をしている。そしてイリオンからラミアーとビーナスが姿を現すと、直立不動になった。

「ラミアー博士。イリオンから、百足星人の襲撃を受けたとSOS信号を受けたので、心配しておりました。でもご無事で良かったです」

「あらあらまぁまぁ、大袈裟ねぇ」

「ビーナス君も無事で良かった。アテナ君も心配していたよ。彼女は自室にいる。元気な姿を見せてあげたまえ」

「はい」
立ち去ろうとするビーナスを、ラミアーが呼び止めた。

「これをアテナにお渡しして。お土産よ」
そして脇に抱えていた箱を手に取り、シャカシャカと振った。

「あ! ナニ振ってるのよ、バカ!」
それを見たビーナスが叫んだ。

ギョッとしたソクラテスが、ビーナスに、
「ビーナス君。今、ラミアー博士に『バカ』って……」
と、小声で囁いた。

「はい。だって、あれゴルゴーン産チョコチップクッキーの箱詰めなんですよ」

「ゴルゴ……て、あの!? 箱詰めなんて初めて見たぞ」
1つの値段が、反重力バイク数台分という超高級菓子だ。さすがのソクラテスも驚きを隠せない。
「しかし、いくらなんでもラミアー博士に向かって『バカ』と言うのは……」

「甘やかしたらダメです。誰かがビシッと厳しく言わないと……」

「ビシッと厳しくって……」
ピタゴラス博士も戸惑い気味に、ラミアーを横目でチラチラ見ている。それだけラミアーの地位は高いのだ。

424BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/20(金) 18:03:41
ab.0348.Lamia.birth.06.02

 ビーナスがアテナの自室につくと、アテナが心配そうな顔で迎えた。

「ビーナス、無事で良かったわ。イリオンからSOSが届いた時は、大騒ぎだったわ。ゼウスがネオガイア宇宙軍に、主力艦隊の出撃を命じたほどよ?」

ゼウスは、ネオガイア星人の首脳だ。ラミアーとは公私ともに親しく、宇宙船イリオンはラミアーが名誉市民に選ばれた記念に、ゼウスが個人的に贈ったものだ。

「それで、バカンスはどうだった?」

「格差社会を実感する旅でした。クラスLの宇宙クルーザー、あれは……クルーザーじゃありません。客船、それも豪華客船です」

「そ、そうなの? 実際に乗った事はないから、よく分からないけど、格差社会というのはちょっと大袈裟な気が……」

女医のアテナの地位は決して低くはないが、ラミアーとは比較にならない。実際アテナには、ラミアーの地位や権力、そして富がどの程度なのかハッキリと分からないのだ。

「そうそう、ラミアーからアテナにお土産です。どうぞ」

差し出された箱を、アテナは無言で数秒間見つめた後、奇声をあげた。
「こ、こ、こ……、これ、ゴルゴ……」

「ゴルゴーン産チョコチップクッキー……の、箱・詰・め・です!」

「ちょっと……さすがに、これはいただけないわ」

アテナが戸惑うのも当然で、ゴルゴーン産のチョコチップクッキーは、1枚で反重力バイク数台分の値段がする。それの箱詰めとなると、もはやちょっとした財産と変わらない。

「気にする事ありませんよ。だってイリオンの冷蔵庫の中には、これが30箱くらい入ってるんですから」

「さ、さんじゅう!?」

「ね、格差社会でしょ?」

ビーナスが悪戯っぽく微笑むと、アテナはコクリと頷いた。

 アテナとビーナスは、テーブルをはさんで無言で座っていた。テーブルの上には、ゴルゴーン産のチョコチップクッキーが2枚、皿に盛りつけられている。1箱全部を盛り付ける事は、畏れ多くてできなかった。

「食べていいのかしら?」
10分以上沈黙が続いた後、アテナがボソリと呟いた。

425名無しさん:2019/09/20(金) 18:04:46
ab.0349.Lamia.birth.06.03

「え!? グレイの犯罪者と交戦?」
アテナから、グレイの犯罪者の一件を聞かされたビーナスは、ひどく驚いた。
「ひ、被害は?」

「実害はなかったわ。でもアルテミスが重傷を負ったわ」

「重傷を!? それでアルテミスは?」

「身体を不死身にするパーフェクトソルジャーの処置を受けて復活したわ。しかも以前よりさらに美女になってね……」
そう呟いて、アテナは口を尖らせた。

426BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/20(金) 18:06:37
ab.0350.Lamia.birth.06.04

 その日、ピタゴラス博士やソクラテスの出案で、宇宙船オリンポスあげて『ラミアー博士ご帰還祝賀会』が開催された。

もっとも、主役のラミアーは、人付き合いがあまり好きでない性格に加えて、梅本由梨香の出産予定の前日という事もあり、最初に20分ほど顔を出すと早々にパーティー会場を後にした。

そのわずか20分の間に、ネオガイア星随一の名声と権力を持つこの女性科学者と何とかしてお近づきになろうという野心家が行列を作ったのは、言うまでもない。

そしてラミアーが退場した後は、案の定、友人のビーナスが生贄になった。

「ビーナス君、いや、ビーナスさん。ラミアー博士との会食をセッティングしてもらえないでしょうか?」

「ラミアー博士に贈り物をしたいので、博士のお好みを教えて下さい」

「ラミアー博士と……」

「ラミアー博士と……」

「…………」

ビーナスは、次々と殺到する者たちの対応に追われて、料理も口にできずにいた。そして遂にキレた。おもむろに通信をラミアーに繋ぐと、端末に向かって叫んだ。

「ラミアー! どこ行ったのよ! アナタがいなくなったせいで、何も食べられないじゃない!」

『あらあら……』

「あらあらじゃないわよ! バカ!」

そして、ラミアーが『まぁまぁ』と言うのも待たずに通信を切ると、呆気にとられる周囲をジロリ一瞥してから、料理を食べ始めた。

ラミアーに向かって『バカ!』と言い放てるビーナスに、会場にいた全員が恐れおののき、その後は、まるで葬式のように静かなパーティーとなった。

427BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/20(金) 18:08:58
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-427 ラミアー出産実験06

428BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/30(月) 22:17:24
ab.0351.intermission

『ラミアー出産実験』はこの先、グロいシーンが出てきます。耐性のない方は、お読みにならないように。

梅本由梨香の子宮から出てくるのは、ヒトの新生児ではなく、ラミアーの精子と由梨香の卵子が何らかの反応を経た何物かです。生命の誕生を愚弄するものでは、決してありません。

なお、過去のスレに投稿していたものと、内容等が重複します。

429BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/30(月) 22:19:44
ab.0352.Lamia.birth.07.01

『ラミアー 出産実験07』

 ヒトの妊娠出産には約10ヶ月を要する。この10ヶ月というのは胎児が成長するための期間であると同時に、母体の出産準備期間でもある。

強制妊娠薬を投与された由梨香の子宮内では、由梨香の卵子とラミアーの精子の結合体は、わずか2週間でヒトの胎児並みの大きさに成長した。この2週間という期間は、母体である由梨香の身体が出産準備をするには、あまりにも短すぎた。

 ラミアーの実験体になった由梨香は、奴隷という立場は変わらなかったが、健康管理では最高の待遇を受けていた。アンドロイドが身の回りの世話をし、清潔な衣服、栄養管理の行き届いた食事、衛生的で快適な居室が与えられた。

かように快適な生活を与えられた由梨香だが、本人が満足しているかというと、実はそうではなかった。由梨香への拷問は一切禁止され、由梨香自身もオナニーができないように貞操帯を装着された。拷問もオナニーも許されない日々は、この重症の真性マゾにはむしろ辛かった。

「ダメ、もう我慢できない」
両手で股間を擦るが、貞操帯のせいで何も感じない。仕方なく胸に手を這わすが、胸にもプロテクターのような物が装着されていて、乳房に触れる事ができない。

430BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/30(月) 22:22:17
ab.0353.Lamia.birth.07.02

 由梨香の健康管理は主に医療用アンドロイドが行っていたが、定期的に医師のアスクレピオスが回診をした。

「Yurika、体調はどうだ?」

「あぁ、お願いします。由梨香を虐めて下さい。どんなひどい拷問をされてもかまいません」

「ダメだ。オマエを拷問するのは禁じられている。諦めろ」

「じゃあ、せめてフェラチオだけもさせて下さい!」

「ば、馬鹿を言うな! 俺ごときが、ラミアー博士の実験体にそんな事できるはずないだろ!」

アスクレピオスが回診に来るたびに、由梨香は拷問を懇願したが、その願いが叶えられる事は決してなかった。

「あ?! あぉおおお?!」
由梨香の陣痛は突然始まった。
「あ、あぉおおお……。い、痛い。痛……ふぅううう……」
さまざまな拷問を受けてきた真性マゾも、陣痛は初めてだった。額に玉の汗を浮かべて、床の上に横たわった。
「あぁ……。い、痛いけど……なんか気持ち良い……」
10分ほど後、粗末な食料を運んできたアンドロイドによって、床の上にうずくまる由梨香が発見された。

431BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/30(月) 22:24:00
ab.0354.Lamia.birth.07.03

 由梨香はそのままラミアーの実験室に運ばれた。実験室には、ラミアーの他、助手としてビーナスの姿もあった。

由梨香は、用意された分娩台に、文字通り妊婦のように寝かされた。仰向けで、両手はバンザイをするように頭の上にのばし、両足は支脚器と呼ばれる台の上にのせた。ただし産婦人科のそれと異なり、両脚を股関節が外れそうなほど大きく開かれ、手足を拘束されている。貞操帯は外され、全裸になっている。

2週間という異常な短期間で母乳を出せるようになった乳房は、いびつな形に膨隆し、まるで美容外科医の下手な豊胸手術を受けたようだ。乳輪と乳首は使い古した十円硬貨のような色になっていて、それを中心に青い血管が乳房全体に広がっている。下腹部は風船のように膨らみ、皮膚は針で突けば破裂しそうなほど引きのばされている。

「フフフ。どんな物体が出てくるか楽しみだわ」
由梨香を見下ろすラミアーの目は、文字通り実験用の標本を見るようだ。『子供』ではなく『物体』だ。『生物』ですらない。

「ところでラミアー、名前は考えた?」
そう尋ねるビーナスに、ラミアーが首を傾げた。
「名前? 何の事?」

「子供の名前に決まってるじゃない。アナタが父親でしょう、ラミアー?」
「あははは。そのジョーク、面白いわ」

「まぁ、冷たいのね。それなら私が考えてあげるわ。2人の名を合わせて、ユリアーというのはどう?」

「あらあらまぁまぁ、素敵な名前ねぇ。Yurika、赤ちゃんの名前が決まったわよ。ユリアーちゃんよ?」
由梨香の額に浮かんだ脂汗を、ラミアーが撫でた。
「ちなみに名付け親はビーナスよ」

産みの苦しみに必死に耐える女を見下ろしながら、2人のネオガイア星人は楽しそうに談笑していた。

432BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/30(月) 22:26:13
ab.0355.Lamia.birth.07.04

「ねぇ、Yuria。陣痛はつらい?」
「ハァハァハァ……。辛いけど、気持ちいいですぅ」

「ふふふ。良かったわね。もうすぐここからユリアーちゃんが出てきて、ママになるのよ? 楽しみねぇ」
ラミアーが由梨香のオマンコを乱暴にこすりあげた。拘束された両脚がガクガクと震える。
「あおぉおおお……。由梨香がマ、ママ? うれしい、由梨香うれしいですぅ」

「アハハハ。面白いわぁ、この地球人」
ラミアーがおかしそうに笑った。

「ねぇ、ラミアー。いつになったら産まれるの?」
「もうすぐのはずだけど。待ってるの退屈だし、ゲームをしない? ルールは簡単。2人でYurikaの乳房を搾るの。母乳が多く出たほうが勝ち。ディナーを賭けましょう?」
「ふふふ、面白そうね。じゃあ私は左の乳房ね」
2人のネオガイア星人は各々、陣痛に苦しむ女の乳房を搾り始めた。

パンパンに張った乳房が、2人の手の中で拉げた。ビーナスはさすが解剖医だけあって、乳腺の構造などを熟知しているのだろう。いかに
も臨月といった感じの黒ずんだ乳首から、白い母乳が間欠泉のように噴き出した。一方ラミアーはというと、母乳は出るには出るが、明らかにビーナスよりも量が少なかった。

搾乳ゲームはビーナスに軍配があがった。
「負けちゃったじゃない! この役立たず!」
ラミアーが由梨香の乳房を平手で叩きのめした。掌がなめすたびに、母乳が飛び散った。

433BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/30(月) 22:27:46
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>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-433 ラミアー出産実験06〜07

434BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/06(水) 20:29:41
ab.0356.Lamia.birth.07.05

 由梨香は分娩台の上で、快感とも苦痛とも区別のつかない声で喘いでいた。陣痛が始まって、すでに30分近く経つ。

「ねぇ、ラミアー。アナタの事だから実験を失敗する事はないと思うけど……、破水しないというのは変じゃない?」

そう尋ねる友人に、ラミアーはニコリと微笑んだ。

「そういえば話していなかったわね。強制妊娠薬を使うと、破水しないのよ」

「そうなの? 知らなかったわ。それにしても、いつになったら出てくるのかしら……」
ビーナスが退屈そうに欠伸をした。

「たしかに、このまま待っていても退屈ね」
ラミアーが時計をチラッと見た。
「いっその事、子宮に腕を突っ込んで引っぱり出そうかしら」

「えぇ! そんな事して、実験に影響しないの?」

「大丈夫よ。必要なのは生まれくるサンプルの遺伝情報だけだから、どうやって出てくるかは関係ないわ?」
ラミアーが由梨香を冷酷そうな目で見降ろした。この高名な科学者にとって、由梨香の胎内に生まれた命は、文字通り『サンプル』にすぎないのだ。

 2人のネオガイア星人の会話を聞いて、由梨香は、陣痛に歪む顔をパッと輝かせた。
「あぁ、由梨香、嬉しいですぅ」
喘ぎながら、手足を拘束された腰を上下に振り始める。分娩台の上にボタボタと淫液がこぼれ落ちた。

435BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/06(水) 20:30:51

ab.0357.Lamia.birth.07.06

 ラミアーが4本の指を揃えて、由梨香のオマンコに当てた。見ると、陰唇がおねだりするようにヒクついている。

「あらあらまぁまぁ、ずいぶんと嬉しそうね。覚悟はいい?」
「は、はい。由梨香、覚悟はできてい……ぎゃあああああああああ!」

由梨香の口上が終わるのを待たずに、ラミアーが腕を突っ込んだ。一突きで、手首を超えて肘の手前まで膣の中に侵入した。

「あらあらまぁまぁ、子宮口は開いてるみたいだけど、さらに押し広げて腕をねじ込んであげるわ」
ラミアーは腕をグリグリと回転させながら、さらに深くねじ込み始めた。

「うぎゃああああああ!」
由梨香が仰向けに拘束されたまま、首を滅茶苦茶に振った。分娩台に頭が打ちつけられて、ガンガンと音をたてた。

436BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/06(水) 20:31:36
ab.0358.Lamia.birth.07.07

「ギッ?! ぶぎゃあああああああああ!」

気の弱い者が耳にしたら悪夢にうなされそうな絶叫が、室内の空気をビリビリと震わせた。宇宙船オリンポスに来てから様々な拷問を受けてきた由梨香も、子宮に腕を突っ込まれるのは初めてだ。

「あははははははははは。白目剥いてるわ。そんなに痛いの?」
ビーナスが由梨香を見下ろしながら、おかしそうに笑った。

「あらあらまぁまぁ。ママになるために必死に頑張っているYurikaを笑うなんて、ビーナスったら酷い人ねぇ」
「あははは」
悲痛な絶叫に、2人のサディストの哄笑が重なる。


「ギャォオオオ! じ、じぬ、じんじゃうぅぅぅ」
ラミアーが子宮内で手を動かすたびに、由梨香の口から怪鳥のような悲鳴が迸った。ラミアーの手に腹筋が押し上げられて、下腹部がウネウネと脈打った。

「フフフ。大丈夫よ。これ位じゃ死なな……」
ビーナスが由梨香の股間を覗き込んで、
「まぁ、すごい量の出血だわ? ごめんねぇ、やっぱり死んじゃうかも……」
心配げな表情を浮かべた。しかし目と声は楽しそうだ。

437BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/06(水) 20:32:14
ab.0359.Lamia.birth.07.08

「あがぁあああ……、イ、イイの。じんでもいいから、もっとやって!」
由梨香は鬼の形相で叫んだ。見ると、涙と鼻水、そしてヨダレでベトベトだ。

「あらあらまぁまぁ、何てこと言うの? Yurikaはこれからママになるんだから、命は大切にしなきゃダメよ?」

「アハハハ。ラミアーって、意外と笑いのセンスあるのねぇ?」

「ビーナスったら、『意外と』だなんて、失礼ねぇ」

「ギャォオオオ! ぎ、ぐぎぃぃぃ……」
由梨香は、手足の拘束を引き千切らんばかりにのた打ち回りながら、絶叫を放ち続けた。
「ふぎゃあああ……、おぇえええ!」
子宮内に侵入したラミアーの腕が胃を押し上げた為、由梨香が嘔吐した。

「ユリアーちゃんに指先が触れたわ。今から引きずり出し……」
一瞬、ラミアーは怪訝そうな表情を浮かべた後、妖しく冷酷そうな笑みを浮かべた。
「あらあらまぁまぁ、これは想定外の出来事ねぇ」

「どうしたの?」
「ウフフフ。面白い事になりそうだわ。楽しみにしていて、ビーナス」
小首をかしげるビーナスに、ラミアーがウィンクを返した。

「さぁ出ていらっしゃい。ユリアーちゃん」
ラミアーが微笑んだ。表情と声音は優しいが、やっている事はどんな凶悪犯も泣き出す鬼畜の所業だ。

438BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/06(水) 20:32:47
ab.0360.Lamia.birth.07.09

 ラミアーはユリアーを掴むと、腕を引き抜き始めた。ズルズルという音が聞こえてきそうだ。引き抜かれる腕の表面は、粘液と血にまみれている。

「ぎゃあああ! ふぎゃあああああああああ! ヒィィィ!」
由梨香が両目を大きく見開いた。赤く充血して、目の焦点は合っていない。噛み合わされた上下の歯が、ギリギリと音をたてた。

由梨香の下腹部がいびつに盛り上がり、それが足の付け根に向かって移動し始めた。ラミアーの腕が手首の部分まで引き抜かれ、陰唇との隙間から血の色をした粘液が大量に流れ出した。

「ンギィィィィィィィィィ!」
由梨香の目がグルリと反転した。ホラー映画の悪魔に憑依された女さながらの顔は、イベントコンパニオン時代の由梨香を知る者が見ても、本人だと分からないだろう。

439BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/06(水) 20:33:44
ab.0361.Lamia.birth.07.10

 ラミアーの腕が、オマンコからズルリと引き抜かれた。両手の間に『それ』が挟まれている。

 地球人梅本由梨香の卵子。そしてヘビ型星人と融合したネオガイア星人ラミアーの精子。この2つが結合して生まれた物体。ユリアーと名づけられた『それ』は、人間の新生児とほぼ同じ姿をしていた。

 ビーナスが興味津々といった様子でユリアーを見つめた。
「ヘビ型星人らしい部分は見られないわね」
このネオガイア星人の女医の言う通り、ユリアーにはヘビのような尻尾は生えていないかったし、口から覗く舌もヒトのそれと変わらない。

 へその緒らしきものがユリアーの身体に巻き付いていた。
「ほら、家畜らしく自分で噛み切りなさい」
ラミアーはそう言うと、へその緒を由梨香の口に挟んだ。由梨香は半ば無意識のうちに、それを歯で噛み切った。

「妊娠実験は成功したみたいね。おめでとう、ラミアー」
そう言うビーナスに、ラミアーが意味深な笑みを返した。

440BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/06(水) 20:35:16
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441BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/26(火) 20:51:17
ab.0362.Lamia.birth.07.11

「どうしかの、ラミアー?」

「さっき子宮に腕を入れたときに分かったんだけど、Yurikaは双子を妊娠してるのよ」

「えぇ?! 双子? するとまだ子宮の中には……」
ビーナスが由梨香に視線を移した。たしかに下腹部は、まだ大きく膨らんでいる。

「じゃあ2人めも引きずり出す?」

「うふふふ。2匹とも引きずり出すのは、少し芸がないわ。ビーナスは解剖医だから、地球人の身体の構造にも詳しいんでしょう?」

「えぇ。地球人の身体はネオガイア星人とほぼ同じ構造をしているから詳しいけど、それがどうかしたの?」

「地球には、帝王切開といって、子宮を切り開いて胎児を取り出す出産方法があるのよ。ビーナスがやってみない?」

「あら、素敵。私にやらせてくれるの?」
ビーナスがブルーの瞳をキラキラ輝かせた。

442BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/26(火) 20:51:56
ab.0363.Lamia.birth.07.12

 由梨香は分娩台の上に大の字に寝かされた。脂汗に濡れた胸が呼吸に合わせて上下し、天井の照明を反射している。

 ビーナスがアンドロイドに、手術器具を用意するするように命じた。運ばれてきたワゴンの上には、手術器具が整然と並べられている。

ビーナスが、ワゴンの上からメスを手に取ると、
「ネオガイア星ではなく地球の手術器具を使うわ。その方が痛みを与える事ができるわ。もちろんYurikaには麻酔は使わないわ」
金属の鈍い光沢を放つ手術器具をうっとり
つめながら、独り言のように呟いた。

麻酔なしで手術をされる――、常人なら恐怖で気が変になりそうな状況だが、由梨香は、ビーナスが持つメスを粘りつくような目で見つめている。早く身体を切り裂かれたくてたまらないのだ。

443BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/26(火) 20:52:41
ab.0364.Lamia.birth.07.13

 ビーナスが由梨香の臍の下あたりにメスの刃を当てた。
「覚悟はいい?」
由梨香の返事も待たずに、メスを下腹部に向かって一直線に滑らせた。

由梨香の身体がビクンと硬直した。刃の軌跡に沿って皮膚が裂け、赤い血が滲み出てくる。硬直が数秒間続いた後、
「きゃあああああああああ! お、おなかが、由梨香のおなかがぁああ」
悲鳴が室内に響き渡った。

「大げさねぇ」
ビーナスが冷ややかな笑みを浮かべた。血をガーゼで吸い取ると、皮下脂肪に覆われた腹筋が露出した。イベントコンパニオン時代から細身だったが、宇宙船オリンポスに連れてこられてから更に痩せて、脂肪は申し訳程度しかない。

ビーナスが、先端がワニ口のようになった鉗子で、腹筋をつまみ上げた。由梨香の口から、引きつったような悲鳴が漏れる。腹筋の真ん中にメスで小さな切れ目を入れると、ハサミで縦に10センチほど切り裂いた。左右の腹筋の境界線を正確に切ったので、出血は意外と少ない。内臓の生温かいニオイが、周囲に漂い始めた。

由梨香の呼吸に合わせて、腹筋の切れ目から内臓がはみ出した。見ると、腸がゆっくりと動いている。
「膀胱が邪魔ねぇ」
ビーナスが腸を腹腔内に押し戻すと、オシッコで膨らんだ膀胱を鷲掴みにした。由梨香の股間から、黄色い液体がジョロジョロと流れ出た。

444BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/26(火) 21:49:45
ab.0365.Lamia.birth.07.14

 腸と膀胱をかき分けると、子宮が露出した。毒々しい赤紫に変色している。先ほどラミアーに子宮内を乱暴にまさぐられた為、出血しているのだ。

ビーナスがワニ口の鉗子で子宮を引っぱり上げて、ハサミで切り開いた。

「ふぎゃあああああああああ!」
由梨香の悲鳴が響きわたった。拘束された両脚がガクガクと震えて、股間から膀胱に残っていたオシッコが間欠泉のように噴き出す。由梨香は悲鳴を迸らせながら激しく身体を捩ったが、ビーナスは優秀な解剖医なので、ハサミの刃が子宮内を傷つけるような事はなかった。

「あら、羊水がないわ? これだと破水しないはずね」
ビーナスが子宮の中を覗き込んで、感心したように呟いた。

445BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/26(火) 21:50:54
ab.0366.Lamia.birth.07.15

「フフフ。強制妊娠薬を投与すると、ただでさえ2週間で胎児が大きくなるでしょ? それに加えて羊水まで溜まると、子宮が大きくなりすぎて母体に負担になるのよ。だから羊水が溜まらないように薬を改良したの」

「強制妊娠薬の開発だけでも難しいのに、そんな改良まで加えていたなんて……。ラミアーって普段はバカっぽいけど、やっぱり天才なのね」
事も無げに話す友人を、ビーナスは感心したように見つめた。

「あらあらまぁまぁ、バカっぽいだなんて失礼ねぇ」
ラミアーが拗ねたように口を尖らせた。もちろん怒ってなどいない。このネオガイア星随一の権力をもつ科学者に向かって『バカ』と言えるのは、ゼウスを除けばビーナスくらいで、むしろ『バカ』と言われるのを楽しんでいるのだ。

「ねぇ、ラミアーが死んだら、私に脳を解剖させてくれない?」

「あらあらまぁまぁ、怖い事を言うのね。なんだか、目が本気っぽいわよ?」

「本気よ」
ビーナスは真面目な顔で答えると、分娩台の由梨香に視線を戻した。由梨香はというと、半ば意識を失っている。
「じゃあ取り出すわね」
ビーナスが、子宮の中に手を突っ込んだ。由梨香が半ば意識を失ったまま、引きつったような声を発した。

ビーナスが子宮の中を指先でまさぐった。
「あら、元気に動いているわ」
子宮の切れ目から手を引き抜き始めた。由梨香が口をOの字に開いて、嗄れた息を吐いた。声にならない悲鳴だ。拘束された手足がブルブルと震わせる。

呼吸が荒くなり、隙間から腸がボコッとはみ出した。
「ちょっと、腸が邪魔なのよ! 何度いったら分かるの?」
ビーナスが由梨香の顔を平手で打った。あまりにも理不尽な仕打ちだ。

446BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/26(火) 21:52:04
ab.0365.Lamia.birth.07.14

 ビーナスの手が子宮から引き抜かれた。血まみれの物体が握られている。ユリアーと名づけられた、先に取り出された物体と形が似ている。
「オスメスどっちかしら……。あら、ユリアーちゃん、弟ちゃんでちゅよぉ?」
ビーナスがユリアーに微笑んだ。その笑顔だけを見ると、出産を祝福する産科医か助産婦のようだが、由梨香にした事は鬼畜の所業と変わらない。

「ラミアー、この子の名前は何にするの?」
「そうねぇ……、じゃあ私の『ラ』とYurikaの『リカ』を合わせて、ラリカにしようかしら」
「安易なネーミングねぇ」
「あらあらまぁまぁ、失礼ねぇ。これでも一生懸命考えたのよ」

 こうして、ネオガイア星人と地球人、そしてヘビ型星人の遺伝子を併せ持つ2つの生命体、ユリアーとラリカが誕生したのだった。2体は、医療用アンドロイドによって手際よく産後の処置を受けた後、保育器に入れられ、静かに寝息をたて始めた。

 由梨香はというと、白目を剥いて失神していた。呼吸に合わせて弱々しく上下する胸の動きで、なんとか生きている事だけは分かるが、顔は蒼白で、唇も血の気を失っている。生きながらにして地獄巡りをした哀れなマゾ女の成れの果てだ。

由梨香も医療用アンドロイドに治療を受けた。実はビーナスは用済みとなった由梨香を廃棄処分するつもりでいたのだが、ラミアーがユリアーとラリカに由梨香の母乳を飲ませてみたいと言い出して、廃棄処分とならずに済んだのだ。もっとも死を免れた事が、この哀れなマゾ奴隷にとって幸せかどうかは、誰にも分からない。

447BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/26(火) 21:53:31
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>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

448BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/17(火) 09:23:47
ab.0366.unemployed.001

『吉岡1』

 吉岡親子は、近所でも有名なクレーマー一家だった。店でも病院でも鉄道会社でも、クレームをつけては代金を踏み倒す常習者だ。

母親の輝子は無職のバツ1。息子の輝夫(42歳 独身)は、小さな保険代理店で、歩行者に保険のパンフレットを配るアルバイトをしている。ただし親戚や友人には、大手商社で保険と法律の仕事をしていると騙っている。

歩行者にパンフレットを配るだけの簡単な仕事も、輝夫は長く続かなかった。輝夫は盗撮の常習犯で、勤務先の保険代理店の女子トイレに盗撮用のカメラを仕かけた事がばれて、解雇されたのだ。

 解雇された後は定職にも就かずブラブラしていたが、ある日、出会い系サイトで知り合った女からサイドビジネスの話を持ちかけられた。

449BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/17(火) 09:24:23
ab.0367.unemployed.002

 待ち合わせ場所のファストフード店に着くと、40代と思しき女が待っていた。女は八谷早苗と名乗った。

 早苗はサプリメントを扱うネットワークビジネスに手を染めていた。しかしネットワークビジネスなどで利益がでるはずはなく、手元には借金と大量の在庫だけが残った。今は、出会い系サイトなどを使って、在庫を売りつけるカモを探す日々を送っている。今回のカモが輝夫だ。

輝夫が席に着くと、早苗がパンフレットのようなものを取り出した。

「アメリカの有名な学者が書いた、サプリメントに関する論文です。アメリカの学者ですよ。凄いですよねぇ、ウンウン」

早苗は、自分の言葉にウンウンと頷きながら、パンフレットのページをめくり始めた。パンフレットは、科学誌ではなく明らかに自家製の物だが、写真やイラストがカラーでプリントされていて、著名な科学誌よりも立派に見えた。

 早苗は、ひとしきりサプリメントの話を終えると、今度はテーブルの上に紙を広げて、ピラミッドのような絵を書いた。あとは、『夢はありますか?』から始まり、『画期的なビジネスだ』とか『夢を叶えるチャンス』だとか一方的に語り始めた。

 早苗が熱く語っている間、輝夫は、テーブルの下にスマホを忍ばせて、早苗のスカートの中を盗撮していた。

生まれて今まで定職に就いたこともない輝夫は、初めからビジネスなどに興味はなかったのだ。早苗の誘いに応じたのも、あわよくばSEXできるかと期待しての事だった。

吉岡が性的興奮を覚える対象は、主に女子小学生とアニメキャラクターだが、中年女にも変態的な欲情を燃やした。

450BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/17(火) 09:24:54


ab.0368.unemployed.003

 異変が生じたのは、盗撮の枚数が100枚を超えた頃だった。店内に女の奇声が響き渡った。

「ひぇええええええ!?」

怪鳥のような奇声を発する中年女の指さす先に視線を移すと、窓の外に奇妙な格好をした3人組が立っているのが見えた。その3人が見た事もない銃を乱射している。さらに奇妙なのは、銃で撃たれた人間が跡形もなく消えてしまうのだ。

パニックに陥った客が、一斉に出口に殺到した。その客を押しのけるように、店員が我先に外に逃げ出した。

「うわぁあああ、うわぁあああ……」
輝夫は悲鳴を発しながら、早苗の身体を盾にしてその後ろに隠れた。
「ちょ、ちょっと離してよ! キモオタのマザコン!」
早苗が輝夫の手に噛みついた。
「痛い、痛い、痛いぃぃぃ!」
輝夫が大げさに悲鳴をあげながら、早苗の後頭部を拳で何度も殴った。

 3人組が、店内に取り残された仲の良さそうな母娘に銃を向けた。母親は娘を庇うように抱きしめながら、気丈にも、3人組を睨みつけている。どんなロクでなしでも、その姿を見たら、なんとかして助けたいと思うに違いない。

輝夫は、3人組が親子に銃を向けている隙に、盾にしていた早苗を蹴り飛ばして店から1人で逃走した。

451BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/17(火) 09:25:33
ab.0369.unemployed.004

 輝夫は、豚のような喘ぎ声を発しながら、ひたすら走り続けた。自分が助かる事だけを考えた。あの親子や早苗の事などどうでも良かった。

10分ほど走った所で、自転車に乗っている小学生を見つけた。小学生を突き飛ばして自転車を奪い取ると、それに乗って家に向かった。小学生用の自転車は乗りづらく、輝夫はペダルを漕ぎながら、「クソ」とか「ボケ」といった罵声を発し続けた。

 家に着くと、トイレの中から母親の声がした。

「輝夫、どこ行ってたんや? さっき外で『ドン』って音がしたけど、何の音か分かるか? 鼓膜が破れたって言いに行ったら、金になるでぇ」

「し、知らんわ」 

「そぉか、じゃあしゃあないな。クソ出したら、駅前のうどん屋に行くでぇ。先月食ったきつねうどんで腹痛くなったって、店員に言うんやでぇ。分かったか?」

「うるせぇ、ババァ!」

「親に向かって、何やその口のきき……あ、出るわ!」
輝子の怒鳴る声に、放屁の音が続いた。

「親っていうなら小遣いよこせ、ババァ!」
輝夫も怒鳴り返して、自室に閉じこもった。

452BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/17(火) 09:26:06
ab.0370.unemployed.005

(何やったんや、あれは?)
ベッドに寝そべって、ファストフード店での出来事を思い返したが……、
(それよりも、さっきの中年女のパンツ画像や)
すぐに考えるのをやめて、ポケットからスマホを取り出した。

小学生用の自転車でも移動できるような距離で人が消滅する事件が起きたにも関わらず、今の輝夫には危機感は全くなかった。この危機感のなさが、42歳にして無職でいられる所以だった。

 スマホの電源をONにすると、ズボンをずり下ろして横にティッシュの箱を置いた。

(あの中年女……、サナエたんは、絶対ボクに気があるわ)

八谷早苗とのSEXを妄想しながら、オナニーを始めた。1分もかからずに、42年間女に一度も触られた事のないペニスから汚液を噴き出した。

精液を拭いたティッシュを床に捨てると、別の盗撮画像を物色し始めた。

(あ、あの変な3人組も写ってるわ)

そこにはグレイの犯罪者の姿がくっきりと写っていた。輝夫はそれを画像投稿サイトに投稿した。

453BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/17(火) 09:29:54
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>>448-453 吉岡

454BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/20(金) 19:28:46
ab.0371.unemployed.006

『吉岡2』

 公安捜査官の城山朋子は、グレイの犯罪者3人による襲撃を、反政府グループによるテロだと勘違いしていた。

目撃者への聞き込みによると、奇妙な格好をした3人組が銃を乱射していたという。

警察が現場に到着した時には、犯人グループの姿はなかった。自衛隊にも出動要請が出されたが、渋滞のため現地には到着していないという。

(民捨党政権になってから、政府が出動を要請ても、自衛隊の派遣が遅れる事が多いわねぇ。人員不足なのかしら……)

そんな事を考えながら、朋子は聞き込みのファイルに目を通し始めた。

「銃の乱射事件にしては、死体どころか血痕すらないんです。そして行方不明者は数十人。麻酔銃かガスでも使って、動けなくなったところを誘拐したんでしょうか?」
そのファイルを覗き込みながら、後輩の白木雪枝が首を傾げた。

「犯人は3人よ。そんな大勢を誘拐できるとは思えないわ。ホント、不可解な事件だわ」
朋子は疲れたように、自分の首筋を揉んだ。

「そういえば……、先輩。最近、行方不明者が多い気がしませんか?」

「そうなの? 特に気にした事はないけど」

「行方不明者の多くが若い女性なんですよ。OL、スチュワーデス、コンパニオン、看護婦、それにSMクラブの風俗嬢などもいます。場所は北海道から沖縄まで、日本全国です」

「日本全国!? そんな広範囲で、若い女ばかりが行方不明か……。犯罪が絡んでいるとしたら、大規模な人身売買組織の犯行も考えられるわね」

455BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/20(金) 19:29:21
ab.0372.unemployed.007

 朋子は仕事の合間に、ネットへの投稿を調べていた。日本政府や企業などへの批判的な投稿の中から、内容が過激で具体的なものを抽出する。

「あら? これは……」
朋子は、投稿された画像の1つに目をとめた。

『エイリアンがモスドナルドあぼーんWWWWWW』

(頭悪そうなタイトルね。でも写ってるのは、襲撃されたファストフード店だわ。日付も一致してる)

朋子は投稿画像を調査を依頼した。その結果、画像に合成や修正などの形跡はみられない、という事が分かった。

(どういう事なの? とりあえず投稿主に会って話を聞くしかないわね)

 公安はプロバイダや通信業者に個人情報の提供を強制できるので、それが輝夫の投稿だという事はすぐに分かった。さっそく朋子は白木雪枝を伴って、吉岡家に出向いた。

玄関のチャイムを押すと、ガラの悪そうな女が出てきた。輝夫の母親だ。朋子は輝夫との面会を求めた。

456BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/20(金) 19:29:57
ab.0373.unemployed.008

「輝夫さんですね。年齢と職業を教えていただけますか?」
雪枝は丁寧に訊いた。昔と違って最近の警察関係者は、敬語を使える程度のスキルは身につけているのだ。

「42歳で、職業は……、商社で保険と法律の仕事をしてます」

「商社で? たしか以前お勤めだった保険代理店はお辞めになったと聞いていますが、別の商社に再就職を?」

「え、あ、はい」

「そうですか。まずは再就職おめでとうございます」
雪枝は笑顔を作ってから、さりげなく右手で髪をなでた。

 朋子と雪枝はお互い、いくつかの合図を決めていて、右手で髪をなでるのは『嘘だ』という意味だ。実は輝夫が無職である事は、公安ですでに調べがついていたのだ。

(こいつ、嘘をつくタイプだわ。見栄のために嘘をつく奴は、保身のためなら平気で嘘を吐くわ)
朋子はさりげなく輝夫の部屋の中を観察した。

「先日この近所で人が行方不明になる事件が発生しましたが、その現場にいましたね? 画像投稿サイトに、輝夫さんの投稿がありました」
と、雪枝。

「え、あ……」
輝夫の目が泳ぐ。

「ご心配なく。輝夫さんに過失はありません。むしろ、そんな危険な状況なのに、事件解決のために容疑者を撮影したのはご立派です」

雪枝が、いかにも感動したという風に瞳を輝かせた。鏡を見ながら何度も練習して身につけたテクニックで、女にモテなさそうな男を尋問する時に効果を発揮する。

457BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/20(金) 19:30:40
ab.0374.unemployed.009

「でも輝夫さん、できれば投稿サイトへの投稿ではなく、私にその画像を見せてくださいませんか?」

「い、いいよ」

輝夫はスマホを雪枝に手渡した。すでに頭の中では、(この捜査官たんは絶対ボクに気がある)と妄想を始めている。

朋子と雪枝は、スマホの保存フォルダを開いた。そして、そこに保存されている画像を見て、眉をひそめた。

「輝夫さん、これはどういう事ですか?」

輝夫のスマホには、明らかに盗撮とわかる女たちの画像がギッシリと収まっていた。しかもその大半が、大人の女ではなく、女子小学生だった。

「え!? あ、あ……、それは……知らない間に誰かがボクのスマホに送信してきた画像で……」
輝夫の目が、以前にも増して泳ぎ始めた。

「少し話を聞かせてもらえますか? それから、このスマホをお借りできますか?」

「え? スマホを?」

「私が確認したいのは、輝夫さんが撮影した3人組に関してです。他の画像には興味ありません」

輝夫は、公安捜査官の2人にスマホを差し出し、モスドナルドでの出来事について話し始めた。

458BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/20(金) 19:31:52
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>>448-458 吉岡

459BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/27(金) 18:40:13
ab.0375.unemployed.010

『吉岡3』

 朋子と雪枝は、輝夫から話を聞き終えると、吉岡家を後にした。

「吉岡輝夫の話、どう思います?」
公安への帰りの車の中、雪枝はハンドルを握りながら、助手席に座る朋子に尋ねた。

朋子は、押収した輝夫のスマホをいじる手をとめた。

「盗撮の証拠を見られた吉岡は、自分が助かるために、私たちの機嫌を損ねまいと必死だったわ。少なくともモスドナルドの件では、嘘をついているとは思えないわね」

「巧妙に嘘をついている可能性は?」

「盗撮画像を保存したスマホを、公安の私たちに渡してしまうような男よ。辻褄の合う作り話をとっさに考えるような知能はないわよ」

「なるほど」

「それにしても、すごい数の盗撮画像だわ。しかも女子小学生か中学生の画像ばかり。変態というよりも変質者ね。あら、大人の女もいるわ?」

「あ! その女……」
雪枝がスマホのモニタをチラリと見て、小さく驚きの声を発した。

「前に行方不明者が多いと話しましたが、その1人に似ているんです。何かのイベント中に行方不明になったコンパニオンで……、名前はたしか……梅本です。まさか吉岡が人身売買組織のメンバー!?」

「それは絶対にないわ。あそこまで低スキルな男を受け入れる組織なんてないわよ」
朋子は確信をもって答えると、
「でも気になるわね。雪枝、Uターンよ。吉岡にこの画像の女の事を聞くわよ」

460BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/27(金) 18:40:45
ab.0376.unemployed.011

 朋子と雪枝は吉岡の家に戻ると、輝夫に由梨香の事を事情聴取した。

「ユリカたんは、いきなり消えちゃったんだよ」

「消えた? どういう事ですか?」
雪枝が質問した。内心では(キモイわね。なにがユリカたんよ!)と毒づいていたが、表情は穏やかだ。

「ボクがスマホを触ってる間に消えちゃったんだよ」

「キモイ変態男が現れたから逃げたとかでは?」
横から朋子が質問した。雪枝がギョッとして、先輩の顔を見た。

「キモイ男……? そんな奴は現れなかったけどなぁ……」
輝夫が呆けたような顔で、天井を見上げた。

461BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/27(金) 18:41:16
ab.0377.unemployed.012

 再び、公安へ戻る車の中。雪枝は運転しながら、笑いをこらえていた。
「先輩。あそこでいきなり『キモイ男』って……。もう、ビックリしちゃいましたよ」

「フフフ。ごめんごめん」
朋子はクスクスと笑った。
「吉岡はすぐにカッとなるタイプだから、皮肉を言って逆上させれば、何か聞き出せるかと思ったのよ。まぁ結果は、皮肉に気づく知能すらなかったらしく、逆上作戦は失敗したけどね」

「どうしてカッとなるタイプだと分かるんですか?」

「吉岡の室内を見た? 壁の低い所が、あちこち凹んでいたわ。吉岡がカッとなって蹴ったからよ」

「なるほど」

「まずは公安に戻って、一連の行方不明者の件も含めて、もう一度検証してみるわよ。今日は残業よ、雪枝」

462BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/27(金) 18:41:49
ab.0378.unemployed.013

 朋子と雪枝は、公安に戻ると早速、最近の失踪事件に関する資料を見直した。

「梅本由梨香の他には……、阿部理沙、女子大生。工藤明日香、スチュワーデス。これも怪しいわね」

「先輩、今はスチュワーデスじゃなくて、CAというんですよ」

「CA?」

「美人が多いですね。それを考えると、人身売買組織の干与も考えられるんですけど……。モスドナルドとは別の事件かしら?」

「分からないわ。でも一番分からないのは、人間が一瞬で消えている事よ」

朋子が首を傾げた。梅本由梨香がいきなり消えたという目撃証言は、吉岡以外からも得ている。モスドナルドに関しても、変な3人組に銃で撃たれて消えた、という証言がいくつもあるし。

「まるで……、SF映画とかにでてくる瞬間移動とか物体転送とか、あんな感じなのよね」

「実は宇宙人の仕業とか……」

その推理は当たらずも遠からずだったが、公安捜査官が報告書に『瞬間移動した』などと書ける訳がなかった。

463BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/27(金) 18:42:23
ab.0379.unemployed.014

 2人は、公安の職務を果たしながら、独自に一連の謎の失踪事件の捜査を続けた。しかし捜査が進めば進むほど、テロ組織や人身売買組織が関与している可能性が低くなっていった。そもそも、犯人の正体が誰であろうと、人間が跡形もなく消滅するというのが考えられないのだ。

(どういう事なの? 私たちの常識を超えた何者かの仕業としか考えられないわ? まさか本当に宇宙人の仕業とか……)

朋子は正体不明の不安を感じていた。

464BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/27(金) 18:43:45
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465BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/31(火) 20:54:52
ab.0380.Homecoming.02.01
『地球奪還作戦会議』

 メビウス博士は自室で、地球のアダルト動画を見ていた。画面では、メビウス博士お気に入りのポルノ女優が口とオマンコ、さらにアナルの3穴を犯されている。

「観るたびに思うが、地球人にしておくには勿体ないほどの美女だな。しかも3穴同時とは……、きっとマゾに違いない!」
我慢できずにズボンを脱ごうとした時、通信機の呼び出し音が鳴った。

「誰だ、こんな時に……」
不機嫌そうに回線を開くと、ソクラテスの顔が像を成した。
「メビウス博士、地球奪還について会議を開きたいんだが、今から来てくれないか?」

「地球奪還? 分かった。今は実験の最中だから、あと……」
メビウス博士は、アダルト動画の残り時間を確認すると、
「20分ほどで、そっちに行くよ」
と答えて、回線を切った。

466BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/31(火) 20:56:04
ab.0381.Homecoming.02.02

 地球奪還作戦は、前に会議でピタゴラス博士がグレイに関する懸念を提言した結果、ネオガイア宇宙軍の総力をもって地球を一気に制圧するという当初の計画から、地球のどこかを拠点として徐々に支配領域を拡げていくというものに変更された。

そこで作戦の要となるのは、アテナが開発中の、人間をマゾに変えるマゾ化薬だった。もし地球人全てにマゾ化薬を投与できれば、地球奪還作戦は一気に完了するのだ。

マゾ化薬のプロトタイプはすでに完成していて、その効力は実験体の梅本由梨香で証明済みだった。問題は、1人ずつ注射が必要な事だった。マゾ化薬を地球奪還作戦に使うには、一度に多数の地球人に投与可能な、例えば大気中や飲料水に混入できるものに改良する必要があった。

マゾ化薬の改良は困難を極めた。しかしアテナは、試行錯誤の末、ついに飲料水に混入して使用可能なマゾ化薬の開発に成功した。

467BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/31(火) 20:57:39
ab.0382.Homecoming.02.03

 この新型マゾ化薬開発の報告を受けて、地球奪還作戦の会議が再び開かれた。出席者は、ヘラクレス提督、ピタゴラス博士、メビウス博士、ソクラテス、ウラノス博士、ペルセウス、そしてアテナの7人だ。クロノス博士は今回も欠席した。

 アテナは、新しいマゾ化薬の説明を始めた。それによると、この飲料型マゾ化薬は、飲み水を媒介にして人体に吸収されるので、プロトタイプの注射型マゾ化薬と違って、都市の水源に流せば広範囲の地球人に一度に投与が可能だった。

広範囲への投与が可能な反面、飲料水で成分が希釈されるので、効果の持続時間と強さでは、注射型よりも劣る事が分かった。注射型が、半永久的に人間を真正マゾに変えてしまうのに対して、飲料型は、持続時間は数か月と短く、強さも『少しマゾッ気のあるタイプ』に変える程度だった。

また、注射型マゾ化薬と同様に、製造コストはかなり高くついた。一度に多数の人間に投与できるので、注射型マゾ化薬と比べると1人当たりの単価はかなり抑える事ができるが、それでも中規模の都市1つか2つに使用するのが限界だった。

このように、まだまだ改良の余地を残す新型マゾ化薬だったが、ヘラクレスをはじめ全員が、開発者のアテナの功績を称えた。

468BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/31(火) 20:58:42
ab.0383.Homecoming.02.04

 そんなヘラクレス達以上に新型マゾ化薬の完成を喜んだのが、アテナの友人アルテミスだった。

アルテミスは、新型マゾ化薬の話を聞かされると、おもわずアテナに抱きついた。

「アテナ、おめでとう。すごく嬉しいわ!」

「ちょ……、アルテミス!? どうしたの?」

 アルテミスがこの時間軸にタイムトラベルする前の世界では、マゾ化薬の開発は、製造コストがかかりすぎるという理由で、地球人の奴隷化という本来の目的に使用される事なく頓挫してしまったのだ。だからアルテミスは、この時間軸世界で友人の研究が無事に実を結んだ事に、感激したのだ。

しかしそのような事情を知らないアテナは、アルテミスがあまりにも大喜びしたので、面食らってしまった。

469BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/31(火) 20:59:34
ab.0384.Homecoming.02.05

「まだ改良の余地はいっぱいあるんだけど……、でも嬉しいわ。ありがとう」

アテナも、アルテミスの背中に両手を回した。2人の乳房がくっつき、ひしゃげる。

「マゾ化薬はいつ使うの?」

「さぁ。私の仕事は開発までで、ここから先は軍の仕事だから、分からないわ。多分、どこかの都市に使用するんだろうけど……」

「でも素晴らしいわ。マゾ化薬で地球人の反抗がなくなれば、ネオガイア星人も地球人も戦争の犠牲にならずに済むもの」

(地球人が犠牲にならずに済む……? アルテミスったら、下等生物の心配をしているの? 変な子ね)
アテナが一瞬だけ訝しげな表情を浮かべた。

 アテナは知らなかったが、アルテミスには、タイムトラベルする前の記憶がある。もとから地球人の奴隷になりたいという願望を持っていた事に加えて、シンディや真理子などの地球人から調教を受けた事で、アルテミスは知らず知らずの内に『地球人好き』になっていたのだった。

470BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/31(火) 21:01:46
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>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

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471BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/02(木) 09:05:55
ab.0385.Homecoming.02.06

 オリンポスが地球の衛星軌道上に停泊してから数か月が経とうというその日、地球人、とりわけ日本人の運命を左右する会議が開かれた。

会議室に集まったのは、ヘラクレス提督、ピタゴラス博士、メビウス博士、ウラノス博士、ソクラテス、アテナ、そしてペルセウスの7人だ。今回もクロノス博士は欠席していた。

「諸君」
ヘラクレスが全員の顔を見回した。
「オリンポスが地球の衛星軌道上に停泊して、随分と長くなる。マゾ化薬もアテナ君のおかげで、ほぼ実用可能なレベルになった。そろそろ故郷の星である地球の奪還作戦を本格的に始動させて良い頃だと思うが、どうかね?」

「うむ」
ソクラテスが頷いた。
「となると、最初に決めなくてはいけないのは、地球のどこを作戦の拠点にするかだが。いい場所はあるかね?」

「それなんだが……、うってつけの場所を見つけたよ」
ピタゴラス博士はそう言って、手元のコントローラーを指で操作した。

472BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/02(木) 09:07:51
ab.0386.Homecoming.02.07

 テーブルの上に地球の立体映像が現れた。見ると、一か所だけ赤く点滅している部分がある。

「ここだ。見た目は小さな島だが、これでも一応は国なのだよ。名前は日本という」

「日本? たしか例のグレイの犯罪者が襲撃した国だったな。ピタゴラス博士、なぜ日本がおススメなのだね?」

「理由は、日本には軍隊がないのだ」

「軍隊がない!? 驚いたな。そんな国家があるのか……」

「うむ。これが日本の政治機構だ」
ピタゴラス博士がコントローラーを操作すると、各自の目の前に、日本の行政組織の体系図が表示された。

「内閣……外務省……最高裁判所……、ふむ。たしかに軍隊がないな」

「この……、自衛隊というのは何だね?」

「名前から察するに……、自然衛生隊の略だろう。いずれにしても環境汚染や伝染病などを担当する部署だ。奪還作戦の支障にはならないよ」

「国民はどうなのだ? 国に軍隊がなくても、国民が武装しているのではないかね?」

「実は日本人も、銃刀法という法律で、銃はもちろん刃物の所持も禁じられている。つまり日本という国は、国家も国民も戦う術を持っていないのだよ」
ピタゴラス博士は、一呼吸おいて全員の顔を見回した。
「どうだね? 我々の拠点にするのに、最適な場所だと思わないかね?」

「おぉ……、素晴らしい」
全員がピタゴラス博士の発見を拍手で称えた。

473BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/02(木) 09:08:44
ab.0387.Homecoming.02.08

「では次の議題は、日本のどの都市を地球奪還作戦の拠点にするか、だな」

「日本の首都、東京はどうだ?」

「残念ながら、飲料型マゾ化薬の製造コストからいって、東京全域の水源に使用するのも難しいですわ。もう少し小さな、中規模の都市なら問題ありませんが」
と、アテナ。

「うむ。では、どこにするかな……。適当な都市があればいいのだが……」

「特に候補地がないのなら……」
ペルセウスが何かを思い出したかのように、人差し指をピンと立てた。
「先日、アルテミスが休暇で行った街はどうだろうか? 名前はたしか……、さざなみし市だ」

「ほぉ、アルテミス君が? どこから、さざなみ市という名前が出てきたのかね?」
メビウス博士が怪訝そうに首を傾げた。

「さぁ……、分かりません。そういえば、オリンポスが地球に向けて最後のワープをする前にも、『さざなみ市がどうこう』と話していたな。あの時は、私のことを『長官』と呼んでいたし」

「そうか。じゃあ、まぁこれも何かの縁だ。地球奪還作戦の拠点は、さざなみ市でいいかね?」
ピタゴラス博士が全員を見回した。異論をとなえる者はなかった。

 こうして、ピタゴラス博士が自衛隊と銃刀法を誤解した為に、日本は宇宙人による侵略という未曽有の災厄にさらされる事となった。そしてアルテミスが休暇をさざなみ市で過ごした為に、さざなみ市民がマゾ化薬の対象となってしまった。

474BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/02(木) 09:09:40
ab.0388.Homecoming.02.09

 アルテミスは、地球奪還作戦の拠点に選ばれた都市の名前をアテナから聞かされて、小さくため息をこぼした。

(この世界でも、オリンポスはさざなみ市に降下するの? これは偶然? それとも必然? 時間軸が変わっても、さざなみ市に住む地球人は辛い思いをするのね)

アルテミスは、オリンポスの降下先にさざなみ市が選ばれた原因が自分だとも知らず、さざなみ市民に少しだけ同情した。

475BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/02(木) 09:11:13
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-464 吉岡

>>465-475 地球奪還作戦会議

476BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/08(水) 20:26:41
ab.0389.Cyclops-P.11.01

『キュクロプスP』

 ネオガイア星人の解剖医アテナは、ひどく怒っていた。

話は、数時間前、新造のキュクロプスPのテスト飛行を終えたアルテミスが、訪ねてきた時にさかのぼる。

「アルテミス、傷はすっかり治ったみたいね。ウラノス博士のパーフェクトソルジャー実験のおかげね」

アルテミスの身体は、衣服の上からではあるが、傷一つない。アテナは安心したように微笑んだ。

「超合金の頭蓋骨はどう? 違和感はない?」

「えぇ、ないわ。私の頭って、超合金と相性がいいみたい」

「そう、良かったわ」

先のグレイとの交戦で頭蓋骨にひどい損傷を受けたアルテミスは、超合金の人工頭蓋骨を移植され、その後ウラノス博士の手によって不死身のパーフェクトソルジャーとして蘇った。

不死身体質には、体内の異物を排出する作用がある。銃弾などはもちろん、精液や病原菌も異物として排出されるので、アルテミスが妊娠したり伝染病にかかる事はない。

ピアスや医療用のインプラントも排出される。しかし理由は不明だが、異物であるはずの超合金の頭蓋骨だけは排出される事がなかった。そして不死身体質であるにもかかわらず、本来の頭蓋骨が再生する事もなかった。だから今も、アルテミスの頭皮の下には、超合金の頭蓋骨が埋まっているのだ。

477BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/08(水) 20:27:37
ab.0390.Cyclops-P.11.02

「今日はアテナに相談があって来たのよ。アテナは解剖医だから、専門分野とは少し外れるけど……」

アルテミスは、キュクロプスPのテスト飛行で、操縦桿が淫液で滑って抜けてしまった事を、アテナに話した。

「操縦桿が滑らないように、キュクロプスPの操縦中だけ、淫液が分泌されないようにする方法はないかしら?」

アルテミスの話を聞いて、アテナは眼を丸くした。

「ちょっと待って、アルテミス? つまり……新しく製造されたキュクロプスPのシートにも、まだアレが生えているの!?」

「そうよ?」

「…………」

あっさりと答えるアルテミスを、アテナは何とも言えないといった表情で見つめた。

478BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/08(水) 20:28:36
ab.0391.Cyclops-P.11.03

 ここで話は、現在に戻る。場所はロボット研究所のメビウス博士の部屋。

室内にいるのは、アテナ、アルテミス、メビウス博士、そして偶然というか運悪くその場に居合わせたピタゴラス博士の4人だ。

「メビウス博士、一体どういう事ですか!?」
アテナがメビウス博士のテーブルを手で叩いた。バンッという音が響き渡る。
「キュクロプスPの操縦桿の件は、先日お話ししましたよね?」

「あ、う……うむ。あれは操縦桿を挿入するという画期的な……」

「先日もお聞きしましたが、それのどこが画期的なのですか!?」

「いや、それはだな……。アルテミス君のような美女が、敏感な……ウググ、な、何だね、ピタゴラス博士?」

ピタゴラス博士が慌てて、メビウス博士の口を手で押さえた。
「まぁまぁまぁ、メビウス博士。ちょっと2人で話さないかね?」
そして、メビウス博士を部屋の隅に引っ張って行った。

479BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/08(水) 20:29:23
ab.0392.Cyclops-P.11.04

「メビウス博士、正気かね? アテナ君はアルテミス君の友人なんだぞ?」
メビウス博士の耳元で囁く。
「キミが以前私に言った、『美女が肉穴を操縦桿で突かれるのが、サディストのロマン云々』なんて台詞を彼女に言ったりしたら、間違いなくセクハラで訴えられるぞ?」

「うむ。それは困るな」

「何の相談をしているのですか?」

アテナの鋭い声に、ピタゴラス博士の額に汗がスジをひいた。地位でいえば、メビウス博士やピタゴラス博士の方がアテナよりも上だが、セクハラ裁判に関しては、高い地位はむしろ不利な条件となりうる。

 アテナはピタゴラス博士たちを鋭い視線で睨んでから、隣に立つ友人に同情を込めた視線を移した。

「アルテミス、アナタも遠慮する事ないのよ? あの操縦桿は、ネオガイア宇宙軍の任務というよりも、明らかにメビウス博士の趣味よ? 嫌なら嫌と言いなさい」

そう言って、アテナはアルテミスの手を両手で握りしめた。

480BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/08(水) 20:30:20
ab.0393.Cyclops-P.11.05

「実は……」
アルテミスは、アテナとメビウス博士を何度か見つめてから、アテナの手を握り返した。
「私、実はマゾヒストなの。私の願望は、地球人に虐めてもらう事なの」

「えっ、そ、そうなの!?」
突然の友人からの告白に、アテナは驚いた。

驚いたのはピタゴラス博士やメビウス博士も同じだった。

なにせネオガイア星人は人口の大半がサディストで、マゾヒストは極々少数派だ。それが、白兵戦の天才と謳われる現役の兵士がマゾだというのだから、驚くのは無理もない。

「今まで秘密にしてきたの。ごめんなさい」

「い、いいのよ。別に悪い事じゃないんだから」

「だから、キュクロプスPのあの操縦桿は、嫌ではないの。むしろ……、あんな素敵な物を作ってくださったメビウス博士に感謝しているくらいよ」

「そ、そう……」

本人の口から『嫌ではない』と聞かされて、アテナは納得するしかなかった。こうして、メビウス博士は訴えられずに済んだのだった。

 ピタゴラス博士の判断で、アルテミスがマゾだという事は、直属の上官であるペルセウスにだけ伝えられて、他のネオガイア星人には伏せられた。

481BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/08(水) 20:32:59
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>>465-475 地球奪還作戦会議

>>476-481 キュクロプスP11

482BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/15(水) 21:43:20
ab.0394.Cyclops-P.11.06

 数日後、アルテミスは手書きのイラストをもって、メビウス博士のもとを訪れた。

「メビウス博士、例のキュクロプスPの操縦桿が滑ってしまう問題で、お伺いしました。アテナには淫液の分泌を止める方法について相談したのですが……、これなら……」

アルテミスは、好きな男に手書きのラブレターを渡す女子高生のような表情で、持参した紙をメビウス博士に渡した。

「きっと問題は解決しますわ?」

メビウス博士は、受け取った紙を見て、そのまま固まった。10秒近く時間をおいてから、
「こ……これは……」
と呟いて、言葉を失った。

紙に描かれていた物は、ラブレターとは似ても似つかないものだった。

483BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/15(水) 21:43:51
ab.0395.Cyclops-P.11.07

 アルテミスが自分の居室に帰った後、メビウス博士はピタゴラス博士に会いに行った。

ピタゴラス博士の居室で、2人の科学者は、テーブルをはさんでかれこれ10分近くも無言で向かい合っていた。テーブルの上には、アルテミスから受け取ったメモが置かれている。

「メビウス博士。本当に、これを作る気かね?」
沈黙をやぶったのは、ピタゴラス博士だった。

「…………」
メビウス博士は無言のままだ。

「まぁ、パイロットのアルテミス君本人の希望なら仕方ないが……」

「…………」

「アテナ君がこれを知ったら、アルテミス君本人の希望だとしても、さすがに激怒するだろうなぁ」

「…………」

2人は、同時に溜息をこぼした。

484BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/15(水) 21:44:56
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485BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:23:24
ab.0396.Cyclops-P.11.08

 さらにその数日後、アルテミスは、ロボット研究所のメビウス博士に呼ばれた。

ロボット研究所に現れたアルテミスを見て、メビウス博士は感心したように唸った。アルテミスは軍用のコートをマントのように羽織っていたが、この美女が着ると、機能性のみを追求した地味な軍服がトップブランドのそれに見えるのだ。

 メビウス博士はアルテミスの美貌にしばし見とれていたが、ハッとして咳払いをした。
「先日キミからもらった提案を参考に、キュクロプスPにいくつかの改良を加えたよ。ところで……」
声のトーンをやや落とした。
「この新しいキュクロプスPの事を、アテナ君は知っているのかね?」

「いえ、彼女にはまだ話していません」

「そうか。さて、どうしたものか……」
メビウス博士は、困った風に天井を見上げた。

486BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:23:55
ab.0397.Cyclops-P.11.09

 アテナは、グレイの犯罪者が襲来した時にアルテミスの出撃に心ならずも同意してしまい、結果的にアルテミスが瀕死の重傷を負ってしまった事に、無意識のうちに責任を感じていた。それからというもの、アルテミスの身体が傷つく事に強い拒否反応を示すようになっていて、パイロットへの負担が大きいキュクロプスPの操縦システムにも、内心では反対しているのだ。

「アテナは、私が不死身体質の真性マゾだと知っています。だから問題ありませんわ?」

そう言うアルテミスに、メビウス博士はゆっくりと首を横にふった。

「アテナ君がキミの身を案じるのは、友人だからだ。その気持ちは、キミが不死身のマゾであっても変わらないよ」

「そう……ですね」

アルテミスは今になって、パーフェクトソルジャー処置から覚めた時に見たアテナの焦燥しきった顔を思い出して、胸がしめつけられるような気持になった。その一方で、自分の身を案じてくれるアテナの気持ちが、嬉しくもあった。

結局、新しいキュクロプスPの事は、今はアテナには伏せておく事になった。

487BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:24:33
ab.0398.Cyclops-P.11.10

「まぁアテナ君の件はひとまず置いておいて、まずは新しいキュクロプスPを見てくれたまえ」
メビウス博士がコントローラーを操作すると、壁がスライドし、包茎ペニスそっくりなキュクロプスPの機体が現した。

「少し大きくなりました?」
アルテミスが怪訝そうな表情を浮かべた。

「気づいたかね? 以前は全長6メートルほどだったが、この新しいキュクロプスPは約8メートルある。大きくなった分、パワーと装甲が大幅に強化されている」

そう説明するメビウス博士の声は、誇らしげだ。

「それから、例のErectionモードだが、キミが苦痛でなく絶頂を迎えたら起動するように変更したよ」

Erectionモードは、パイロットが苦痛を感じるとキュクロプスPの出力がアップするという、一種の緊急対処システムだ。しかし、パイロットがアルテミスのような真性マゾだと、苦痛ではなく快感を感じてしまうので、Erectionモードが正常に起動しない――という不具合が、グレイの犯罪者との戦闘で明らかになった。

ちなみにアルテミスがこの時間軸にタイムトラベルする前の世界では、ヒト型巨大ロボット兵器キュクロプスに、パイロットが絶頂に達するとパワーアップする『加速装置』という機能が備わっていた。

488BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:25:04
ab.0399.Cyclops-P.11.11

「では実際にキュクロプスPの新しいコクピットを見てくれたまえ」

キュクロプスPの仮性包茎の包皮を思わせる外殻が後ろへめくれた。文字通り、包皮がむかれたように見える。機体から数枚のプレートがせり出して、タラップのように床とコクピットを繋げた。タラップは以前はなかった機能だ。

「メビウス博士。この後すぐに、新しい操縦桿を試してみたいのですが、かまいませんか?」

「ん? あぁ、かまわんよ」

「それだと、コートが邪魔ですね」

「ん? そうだな」
メビウス博士が首肯した。たしかに股間に挿入するキュクロプスPの操縦桿には、ロングコートは邪魔になる。

 アルテミスが、コートの襟元を結んでいる紐を、指先でつまんだ。挑発的な瞳でメビウス博士を見つめながら、ゆっくりと紐を引っぱり始める。紐がほどけて、コートが足元に落ちた。

「アルテミス君……!?」
コートの下から現れたアルテミスの姿に、メビウス博士が両目を大きく見開いた。

「操縦桿を挿入しやすいように、スカートとパンティは脱いできました」
コートの下から現れたのは、片手で乳房を隠しただけの全裸の女体だった。

489BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:25:37
ab.0400.Cyclops-P.11.12

「たしかにスカートとパンティは邪魔だが、まさか上半身まで何も身に着けていないとは……」
メビウス博士は、眼前の女体から目を離す事ができないでいる。

「そんな……、上半身まで裸だなんて恥ずかしすぎます」
アルテミスが、片手で乳房を隠しながら、いかにも恥ずかしそうに顔を横に向けた。
「下半身は何も身に着けていないけど……、胸には」
数秒間の沈黙の後、
「これを着けています」
乳房から手を離して、頭の後ろで両手を組んだ。

「…………!?」
メビウス博士が、あんぐりと口を開いた。

たしかに、上半身は何も身に着けていない、という事はなかった。乳房の先端には、ニップレスが貼られていた。ニップレスというのは、乳房に貼って乳首を隠すのに用いられるシールだ。

「これなら、乳首が見える心配はありません」

「たしかに乳首は見えないが……」

 アルテミスが付けているニップレスは、サイズが1円硬貨ほどしかなく、かろうじて乳首を覆っているだけだ。桜色の乳輪は完全にはみ出ていて、米粒ほどもあるモントゴメリー腺がボツボツと散在している。むしろ何も付けていないよりも卑猥に見える。

メビウス博士がゴクリと唾を飲み込んだ。何回飲み込んだのか、もう本人にも分からない。

「恥ずかしいから、そんなにご覧にならないでください」
そんな言葉に反して、アルテミスは乳房と腋下を見せつけるように、自ら胸を反らせた。メビウス博士にはマゾの性的嗜好を告白済みなので、卑猥な行為に躊躇はない。見ると、むき出しになった腋の下で、髪と同じ色の腋毛が汗でじっとりと蒸れている。

490BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:26:14
ab.0401.Cyclops-P.11.13

(あぁ、見られているわ。今ここでオナニーをして見せたら、どんなに快感かしら……)

アルテミスは、オナニーの衝動を必死に抑えた。今ここで少しでもオマンコに手を触れたら、潮をまき散らしながら絶頂を迎えるまで手の動きを止められる自信はない。淫液が溢れているのは、手で触れなくても分かる。クリトリスも破裂しそうなほど勃起しているだろう。

「コクピットに……向かいます」
やや上ずった声で伝えると、アルテミスはタラップをのぼった。歩を進めるたびに、タラップの上に淫液がボタボタと滴り落ちる。最上段までのぼり、コクピットの中を覗き込んだ。

「あら? 博士、シートの数が……」

「うむ。この新型キュクロプスPは、定員が2人に増えているのだよ。ただし、機体を操縦するのは1人だけだから、もう1人のシートは予備だがね」

先代のキュクロプスPはパイロット用シートが1つだけだったが、この新型キュクロプスPには2つある。

パイロット用シートは、SMクラブの三角木馬のように座面が尖っている。普通の者なら、座るのを想像しただけで、おもわず両足を閉じてしまいそうだ。もう1つは普通のシートで、座り心地も良さそうだ。2つのシートは、対面式になっていた。

491BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:26:52
ab.0402.Cyclops-P.11.14

 アルテミスはコクピット内に入った。キュクロプスPの外殻が自動で閉じて、タラップが機体内に収納された。

アルテミスはコクピット内部をぐるりと見まわした。先代のキュクロプスPよりも機体が大きくなった分、コクピットのスペースもかなり広くなっている。シートが2つに増えたが、窮屈感は全くない。

天井も適度に高く、長身のアルテミスが立っても頭から10センチほど余裕がある。メビウス博士が、パイロットのアルテミスの体格に合わせて設計したのだ。

 アルテミスは瞳をキラキラ輝かせながら、コクピット内を見回した。キュクロプスPのコクピットには、いくつかの変更が加えられていた。

 パイロット用シートには、手で握るレバーやボタンの類は見られなかった。その代わり、天井から腕輪が2つ垂れ下がっている。電車の吊り革のようにも見えるが、天井とつないでいるのが金属製の鎖なので、SMの手枷という印象のほうが強い。

シートの左右ににも、足輪が、馬具の鐙(あぶみ)のように取り付けられている。

腕輪と足輪には脳波センサーが備わっていて、これを介して、パイロットは機体の細かな操作が可能になる――と、メビウス博士が説明してくれた。

 さらにチューブが1本、天井から生えている。長さは約1メートル、太さは直径5センチくらい。先端がパイロットの顎下あたりにくるように、『し』の字にカーブしている。メビウス博士によると、このチューブはキュクロプスPのレーザー砲のコントローラーで、パイロットはフェラチオをするかのようにこれを口で咥えて、レーザー砲を操作するらしい。ご丁寧に、チューブ先端は亀頭の形をしている。

 カメラが、シートの正面に2つ、シートの上に1つ取り付けられている。正面の2つの内1つはパイロットの顔を、もう1つは全身を映すように配置されている。シートのカメラは上を向いていて、パイロットがシートに跨れば、その股間を真下から捉えるだろう。カメラの映像と音声は、メビウス博士の端末に中継される。

492BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:27:34
ab.0403.Cyclops-P.11.15

 かように個性的なキュクロプスPのコクピットだが、最大の特徴は操縦桿にあった。

キュクロプスPのパイロット用シートの座面には、3本の操縦桿がそそり立つように生えている。サイズは、1本が鉛筆くらい、残り2本は大きめのトウモロコシくらいある。パイロットは三角木馬のようなシートに跨り、細い1本を尿道に、太い2本を膣と直腸に挿入して機体を操るのだ。

このユニークな操縦桿は、設計者のメビウス博士に言わせると画期的な操縦システムだが、実は重大な欠陥があった。操縦中に、淫液で滑って抜けてしまうのだ。

今回、アルテミスは、その欠点を解決する方法をメビウス博士に提案したのだった。

493BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:28:16
ab.0404.Cyclops-P.11.16

『アルテミス君。操縦桿は君から受け取ったメモの通りに設計したのだが、本当にそれでいいのかね?』

アルテミスは操縦桿の1本を握った。触感を確認するかのように指に力を込めると、妖しい笑を浮かべた。そのまま、手で上下にこすった。

操縦桿から手を離して、手のひらを見た。皮膚が裂けて、血がにじんでいる。傷は不死身体質によって3秒とかけずに跡形もなく消えたが、握っただけで皮膚が裂ける操縦桿とは一体……?

「はい。これなら、もう滑って抜ける事はありません」
アルテミスは、潤んだ瞳で新しい操縦桿を見つめた。

3本の操縦桿の表面が、長さ3ミリほどの小さな棘でビッシリと覆われている。先ほどアルテミスの手のひらの皮膚を切り裂いたのは、この棘だった。

494BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:28:50
ab.0405.Cyclops-P.11.17

「メビウス博士、すぐに新しい操縦桿のテストをしたいのですが、かまいませんか?」

『ん? あぁ、かまわんよ』

新型キュクロプスPのテスト飛行が行われる事になった。アルテミスがシートに跨った。ブルーの瞳は、これからする事を想像して、妖しく潤んでいる。天井から垂れ下がる腕輪と左右の足輪に、手首と足首を通した。ここがロボット兵器のコクピット内でなかったら、SMクラブの三角木馬の上で両手を吊るされた生贄の女にしか見えない。

まだ操縦桿は挿入しない。

『外部モニターを起動します』
妙に艶っぽい女の声と同時に、アルテミスの視界からコクピット内の光景が消え、周囲に、キュクロプスPの外の映像が広がった。まるでキュクロプスPの機体が透明になったようだ。

「これは?」

『キュクロプスPの外部モニターです』
アルテミスの問いに、先ほどの声が答えた。声の主は、キュクロプスPを管理するAI【Cyclops】だ。
『立体映像ではありません。外部の光景を、パイロットのに網膜に直接照射しています』

(網膜に照射?)
アルテミスは興味深げに、周囲をキョロキョロ見回してみた。すると映像もそれに同期して変化した。天井から顔の正面まで伸びている『し』の字型のレーザー砲のコントローラーも、視界の邪魔にならない。

まるでVRゴーグルのようだが、VRゴーグルが顔を向けた方向にだけ映像が変わるのに対して、キュクロプスPのそれは眼球の動きにも対応していた。

一点を凝視すると、その部分が拡大され、その対象までの距離が表示された。視野の隅には、レーダーなどの各種モニターと、バックミラーのように背後の映像が描出されている。死角は全くない。

495BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:29:24
ab.0406.Cyclops-P.11.18

 コクピットに意識を向けると、コクピット内が、外部の映像に重なるように半透明で描出された。正面に視線を移すと、予備シートが見える。パイロット用シートと予備シートは、対面式に配置されている。予備シートに座った者には、パイロット用シートに跨るアルテミスの全身が丸見えになるはずだ。

 コクピットに意識を向けたまま真下を見ると、三角木馬のようなシートと、そこからそそり立つように生える3本の操縦桿が見えた。トウモロコシほどのサイズの1本を凝視すると、映像が拡大された。サボテンのように、無数の棘が表面を覆っている。
(敏感な部分が、これで串刺しにされるのね)
思わず、コクリと唾を飲み込んだ。

496BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:31:03
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-464 吉岡

>>465-475 地球奪還作戦会議

>>476-496 キュクロプスP11

497BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:36:38
ab.0404.Cyclops-P.11.16

加筆修正です
***************************

『アルテミス君。操縦桿は君から受け取ったメモの通りに設計したのだが、本当にそれでいいのかね?』
通信機のスピーカーから、メビウス博士の困惑気味の声がした。

アルテミスは操縦桿の1本を握った。触感を確認するかのように指に力を込めると、妖しい笑を浮かべた。そのまま、手で上下にこすった。

操縦桿から手を離して、手のひらを見た。皮膚が裂けて、血がにじんでいる。傷は不死身体質によって3秒とかけずに跡形もなく消えたが、握っただけで皮膚が裂ける操縦桿とは一体……?

「はい。これなら、もう滑って抜ける事はありません」
アルテミスは、潤んだ瞳で新しい操縦桿を見つめた。

3本の操縦桿の表面が、長さ3ミリほどの小さな棘でビッシリと覆われている。先ほどアルテミスの手のひらの皮膚を切り裂いたのは、この棘だった。

498BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:37:42
◆ 目次 ◆
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>>476-498 キュクロプスP11

499BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/31(金) 18:59:26
ab.0407.Cyclops-P.11.19

 斜め下に視線を移すと、手元のモニタを食い入るように見つめるメビウス博士の姿が見えた。シートに取り付けられたカメラが、アルテミスの股間を真下から映しているのだ。

アルテミスは妖しい笑みを浮かべると、両膝を左右に大きく開いた。相撲の四股立ちのような姿勢だ。真下のカメラは、オマンコだけでなく肛門も余すところなく捉える事ができる。

「メビウス博士?」

アルテミスが話しかけると、メビウス博士はハッと顔を上げて軽く咳払いした。

『ご、誤解しないでくれたまえ。キミのオマン……、じゃない性器に見入っていたのではないぞ?』

「はい。新しい操縦桿を観察しているのですね?」

『そ、そうだ。もちろんそうだ。今後の量産化に向けて、操縦桿のデータを取らなくてはならないのだよ』

アルテミスがクスッと笑うと、両脚を大きく開いた体勢のまま、肛門をヒクつかせてみせた。通信機から、『ゴクリ』とメビウス博士が唾を飲み込む音がした。

「ところでメビウス博士、このレーザー砲のコントローラーはどう使うのですか?」

アルテミスは、コクピットの天井から鼻先まで『し』の字を描きながらのびている、太さ5センチほどのチューブの先端に視線を移した。先端の形状はペニスの亀頭にそっくりだ。

『うむ。まずはデモ映像を見てくれたまえ』

500BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/31(金) 19:00:18
ab.0408.Cyclops-P.11.20

 アルテミスの視野の一角に、ブロンド美女の姿が描出された。ブロンド美女の顔前にも、ペニスにそっくりなコントローラーが映っている。これも網膜に照射されている映像だが、そうとは思えないほどリアルだ。

『こんな風に舌先で先っぽをペロペロすれば、照準を調整できるのよ?』
ブロンド美女は【Cyclops】の声でそう告げると、コントローラーの先端に舌を這わせ始めた。舌の動きに合わせて、正面の照準ポインターが移動した。

レーザー砲のコントローラーのデモ映像だが、ブロンド美女がペニスそっくりなコントローラーを『美味しいわ』とか囁きながら舐めるので、アダルトビデオのフェラチオシーンにしか見えない。

『先っぽを吸うと、レーザーがドピュって出るわ』
ブロンド美女がコントローラーの先端を強く吸った。柔らかそうな頬が、キュウっと窄まる。同時に、映像の中で、照準ポインタに白濁した粘液が降り注いだ。もっとも実際は、粘液ではなくレーザーが標的を襲う。

ブロンド美女が、蠱惑的な笑みを浮かべた。見ると、唇の横から白濁した粘液が糸をひいている。
『デモ映像は、これでオシマイよ?』
ブロンド美女とコントローラーの映像が消えた。

501BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/31(金) 19:01:07
ab.0409.Cyclops-P.11.21

『では操縦桿のテストに移るが……、本当に大丈夫なのかね?』
デモ映像が終わると、メビウス博士が困惑気味に訊いた。

メビウス博士が困惑するのも当然だった。先ほどはアルテミスのオマンコとアナルの映像におもわず見入ってしまったが、そこに棘だらけの操縦桿を挿入するとなると、話は別だ。

「はい。私はネオガイア宇宙軍の兵士です。覚悟はできています」

メビウス博士とは対照的に、アルテミスの声からは強い決意が滲み出ていた。ただし台詞は兵士の鏡のように立派だが、本当は早く操縦桿を挿入したくてたまらないといった様子だ。

「メビウス博士は、棘で覆われた極太バイブを女体の急所に突っ込まれた女がどんな悲鳴をあげるか、データを取って下さい」

『いや、バイブではなく操縦桿なのだが……。もしこんな事がアテナ君に知れたらと思うと、気が気でないよ』
メビウス博士はますます困惑気味だ。キュクロプスPの卑猥な操縦システムの件では、アテナから猛烈なクレームを受けてからまだ日も浅い。

そんなメビウス博士の言葉は、アルテミスには届いていなかった。この真性マゾの頭の中は、棘で覆われた操縦桿で挿入したらどんな苦痛を味わえるか、その事で一杯だった。見ると、操縦桿の上に淫液がボタボタと滴り落ちでいる。

「博士、操縦桿を挿入してもかまいませんか?」

『う、うむ。では始めてくれたまえ。無理せず、ゆっくりと挿れ……』

(あぁ、もうダメ。待ちきれない!)
アルテミスは、メビウス博士が話し終えるのを待たずに、シートの上に一気に腰を落とした。

502BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/31(金) 19:02:03
ab.0410.Cyclops-P.11.22

 アルテミスの身体が鋭角の座席に落ちるドスンという音と、ブチブチッという肉が引きちぎるような音がした。棘で覆われた3本の操縦桿が、膣と直腸、そして尿道に根元まで突き刺さった。

「グギャアアアアアア!」
キュクロプスPのコクピット内に、絶叫が響きわたった。

三角木馬のような座面に股間から落ちただけでも相当な苦痛なのに、棘で覆われた操縦桿で敏感な部分が串刺しになったのだ。とても耐えられる痛みではない。

「ひ、ひぃぃぃ……。私のオマンコがぁ……」
アルテミスが身体を仰け反らせた。天井と腕輪を繋げる鎖が、ジャラジャラと音をたてた。床の上には、滴り落ちた血が、赤い斑点を描いている。

「はぁ、はぁ、はぁ……」
やがてアルテミスの吐息に、甘い響きが混じり始めた。見ると、出血も止まっている。操縦桿を挿入されたまま、不死身体質が傷を治したのだ。

『だ、大丈夫かね?』
しばらく沈黙を保っていたメビウス博士が、心配そうな声で尋ねた。シートのカメラを介して、アルテミスの血まみれの股間が見えているのだ。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

『アルテミス君!?』

「はぁ、はぁ、はぁ……だ、大丈夫ですわ。これくらいの苦痛、耐えてみせますわ」
アルテミスは、先ほどの悲鳴とはうって変わって、甘く蕩けるような声で答えた。口調も『ですわ』調になっている。アこの真性マゾには、被虐の欲望に火がつくと、口調が『ですわ』調に変わる癖があった。

『それならいいのだが……。では飛行テストを始めてもいいかね? 前回の飛行テストと内容は同じだ』

「は……はい。いつでもどうぞ?」

壁の一角が開いた。外は、真空の宇宙空間だ。ただしバリアによって気密は保たれているので、急減圧の心配はない。

アルテミスが操縦桿を挿入したまま、腰を前に突き出した。敏感な粘膜を操縦桿に擦れれて、おもわず甘い吐息がもれる。キュクロプスPが宇宙空間に飛び出した。

503BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/31(金) 19:07:50
◆ 目次 ◆
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>>448-464 吉岡

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>>476-503 キュクロプスP11

504BiBi ◆8cBPUextJk:2020/02/24(月) 00:14:32
ab.0411.Cyclops-P.11.23

 宇宙空間にリングがいくつも出現した。宇宙船オリンポスから投影された立体映像だ。テスト飛行では、アルテミスはキュクロプスPを操って、これらのリングをくぐり抜けなくてはならない。それ自体は前回のテストと同じだが、今回は操縦桿が無数の棘で覆われている。

『大丈夫かね?』
メビウス博士が、さっきと同じ質問をした。ただし今回は、声が心配そうだ。

博士の手元のモニタには、コクピットのカメラを介してアルテミスの姿が映っている。アルテミスが不死身体質の真性マゾだと分かっていても、ネオガイア宇宙軍の兵士が股間を血まみれにしているのだから、心配にもなるというものだ。

「はぁ、はぁ、はぁ。だ、大丈夫ですわ」
メビウス博士とは対照的に、アルテミスの声は甘く蕩けるようだ。

成人男性の人差し指第一関節ほどのサイズに勃起した乳首を見れば、アルテミスが欲情している事は明らかだ。見ると、乳輪に散在するモントゴメリー腺も、米粒大に膨らんでいる。クリトリスの状態は、股間が血まみれなので確認できない。破裂しそうなほど勃起しているか、あるいは操縦桿の表面を覆う棘に抉り取られてしまったか……。

505BiBi ◆8cBPUextJk:2020/02/25(火) 19:49:21

ab.0412.Cyclops-P.11.24

『それなら良いのだが……。ではテスト飛行を始めてくれたまえ』
メビウス博士が躊躇いがちに、テストの開始を命じた。同時に、宇宙空間に浮かんだリングが不規則に動き、その内の1つが点滅し始めた。

アルテミスが操縦桿を挿入したまま、腰をひねった。キュクロプスPが急加速し、点滅するリングをくぐり抜けた。続いて、別のリングが点滅を開始。キュクロプスPが小さく旋回、2つめのリングをくぐり抜けた。

その後も次々とリングが点滅し、キュクロプスPはそれらをくぐり抜けていった。失敗は1度もなかった。しかもそのペースが異常に早い。実際、アルテミスが30個近くあるリングを全てくぐり抜けるのに、3分もかかっていない。

『アルテミス君、ご苦労だった。やはりキミの操縦技術は神業だ』
メビウス博士は、手元のモニタに表示されたテスト結果を見ながら、感心したようにウンウンと何度も頷いた。
『これでテスト飛行は終了だ。オリンポスに帰艦して、傷の手当てをしてくれたまえ』

アルテミスはテスト飛行の終了を告げられで、落胆した。
(そんな……。せっかく棘だらけの操縦桿を敏感な穴に挿入したのに、もう終了だなんて……)
まだ1回も絶頂を迎えていないのだ。

506BiBi ◆8cBPUextJk:2020/02/25(火) 19:49:53
ab.0413.Cyclops-P.11.25

「あ、あの……、メビウス博士?」

『ん、何かね?』

「こ、このテスト飛行の目的は、操縦桿が滑って抜けないかどうかを調べる事です」

『うむ。今の飛行で操縦桿が抜ける事は1度もなかったから、目的は果たせたのだよ』

「ダメ! ダメです。まだダメです」
アルテミスは必死だ。
「そ、そうだわ。もっと激しい操縦でも抜けないかどうかを、テストする必要があります」

『う……む、まぁパイロットのキミが言うのなら、続けたまえ』

「はい、ありがとうございます。ありがとうございます」
アルテミスの顔が、歓喜に輝いた。

アルテミスは、ゆっくりと腰を持ち上げ始めた。尿道と膣、直腸から操縦桿がズルズルと引き抜かれる。操縦桿の表面は血まみれだ。敏感な粘膜を棘に擦られて、切なげな喘ぎ声をもらした。

507BiBi ◆8cBPUextJk:2020/02/25(火) 19:50:32
ab.0414.Cyclops-P.11.26

操縦桿を完全に引き抜いたところで、腰の動きを止めた。そのまま20秒ほど動かない。

『どうかしたのかね?』
アルテミスが動かずにいるので、メビウス博士が怪訝そうに尋ねた。

「テスト飛行の準備が終わるのを待っていましたの。でも」
アルテミスは、潤んだ瞳でコクピット正面のカメラを見つめるながら、
「準備ができましたわ?」
妖しい笑みを浮かべた。

『準備? 何の事だね?』

「さっきのテスト飛行で負った傷は完治しました。もちろん……処女膜も」
やや肉厚の形の良い唇に、舌を這わせる。

『…………』

「さっきのは準備運動みたいなものです。これからが本当の生体実験ですわ?」

『いや、生体実験ではなくテスト飛行なのだが……』
メビウス博士が訂正したが、これからする事で頭の中がいっぱいのアルテミスには、半ば聞こえていない。

見ると、白磁のような肌が、うっすらとピンクに色づいている。乳首は成人男性の人差し指第一関節ほどのサイズに勃起し、乳輪には米粒大のボツボツが浮かんでいる。

508BiBi ◆8cBPUextJk:2020/02/25(火) 19:51:30
ab.0415.Cyclops-P.11.27

股間は、今も血まみれだが、操縦桿の棘で抉られた傷は完治している。勃起したクリトリスが、包皮を突き破るように顔を覗かせている。

アルテミスのクリトリスは、平常時でも大ぶりだが、勃起時には人並外れて巨大化する。

感度も人並外れて敏感で、この部分を責められた時のアルテミスの狂乱ぶりは、実際に目撃した者でなければ絶対にわからない。

成人男性の人差し指第一関節大を優に超える肉突起が、ピクピクと脈打っている。針で突けば、破裂してしまいそうだ。

「オシッコの穴とオマンコ、そして肛門を無数の棘で覆われた3本のバイブでメッタ突きにされた女が、どんな風に泣き叫ぶか楽しんで下さいね」

『いや、さっきも言ったが、それはバイブではなく操縦桿なのだが……』
メビウス博士がまた訂正したが、やはりアルテミスの耳には入っていない。

(やっとこれを突っ込んで、好きなだけズボズボできるのね。あぁ、私、最後まで耐えられるかしら……)
何をもって最後なのか、耐えるのは苦痛か快楽か、それは本人にしか分からない。

アルテミスは、膣と尿道孔、そして肛門が3本の操縦桿の先端に接するように、腰の位置を調整した。オマンコから操縦桿の先端に、淫液がトロリと垂れた。

509BiBi ◆8cBPUextJk:2020/02/25(火) 19:52:32
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-464 吉岡

>>465-475 地球奪還作戦会議

>>476-509 キュクロプスP11

510BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/09(月) 20:58:29
ab.0416.intermission

以下、>> - >> には、少しグロい描写があります。苦手な方は、お読みにならないように。これらはストーリーの展開には不要なので、読み飛ばしても全く問題ありません。

511BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/09(月) 20:59:17
ab.0417.Cyclops-P.11.28

 3本の操縦桿を敏感な肉穴に挿入し、思う存分メッタ突きにする――、その時を、この真性マゾはどれほど心待ちにしていただろうか……。

操縦桿は全部で3本。サイズは膣と肛門用は大きめのトウモロコシほど、尿道用は鉛筆ほどあり、いずれも表面を小さな刺で覆われている。

アルテミスは『バイブ』と呼んだが、シリコン製のバイブと違って、操縦桿はアルテミスの人工頭蓋骨と同じ超合金でできている。取り外して武器にすれば、大男だって殴り殺せそうだ。

 アルテミスの股間は、血と淫液で汚れてはいるが、傷はすでに完治していた。もちろん処女膜も再生している。見ると、成人男性の人差し指第一関節ほどに勃起したクリトリスが、ピクピクと震えている。

 アルテミスは、3本の操縦桿の先端が尿道、膣、直腸の入り口に当たっている事を確認すると、下半身に力を入れて大陰唇と肛門をキュッと締めた。操縦桿を締め付けて、より強い痛みを得る為だ。

正面のカメラを見つめた。キュクロプスPのコクピットには複数のカメラが設置されていて、それらを介して、アルテミスの姿がメビウス博士の持つ端末に中継されている。

本当なら宇宙船オリンポスの船内に中継してほしかったが、アルテミスの性的嗜好は一部の者以外には秘密にされているので、その希望がかなう事はない。

512BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/09(月) 20:59:59
ab.0418.Cyclops-P.11.29

 カメラに向かって妖艶にほほ笑むと、何の躊躇いもなく一気に腰を落とした。肉の裂けるブチブチという音がした。

「ぐぎゃあああああああああ!」
コンマ5秒ほどおいて、すさまじい絶叫がコクピット内に響き渡った。空気がビリビリと振動した。

操縦桿は根元まで突き刺さった。処女膜が無残に突き破られ、粘膜が操縦桿の棘に引き裂かれた。

陰唇と操縦桿の隙間から、ドクドクと血が溢れ出した。それとは別に、一条の赤い血が間欠泉のように噴出した。棘が動脈を切り裂いたのだ。

「ひぐぅぅぅ……、い、いいわぁ。なんて快感なのかしら」
常人なら悶絶しそうなほど痛みだが、アルテミスの口からもれるのは甘い吐息だった。Gカップの巨乳の頂点で、勃起した乳首がブルブルと震えている。

513BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/09(月) 21:00:29
ab.0419.Cyclops-P.11.30
 
 アルテミスは、両脚を踏ん張ると、そのままゆっくりと腰を持ち上げ始めた。股間をくし刺しにし操縦桿が、ズルズルと引き抜かれていく。

「オォオオオ……オオオ……」
腹の底から響いてきたような低い呻き声をもらした。操縦桿と肛門の隙間から、直腸内に溜まっていた血が、ボタボタと床に滴り落ちた。

操縦桿が完全に引き抜かれたところで、中腰のような体勢のまま動きを止めた。

『どうしたんだね? 辛かったら中止してかまわんよ?』
アルテミスが動かないのを見て心配するメビウス博士に、
「はぁ、はぁ、はぁ。大丈夫ですわ。準備ができるのを待っているだけですわ?」
蕩けるような甘い声で答えた。

『準備? 何の準備だね?』

アルテミスは問いに答えるかわりに、正面のカメラを挑発的な目で見つめた。そのまま約10秒。

「あぁ……、準備できましたわ?」
準備――処女膜の再生――が終わると、一気に腰を落とした。3本の凶器が、再び敏感な肉穴を襲った。

「ひぎゃああああああ!」
顔を仰け反らせながら、悲鳴を迸らせた。
「フ、フフフ。す、すごいわ。こんな快感、私、もうやめられない」
左右の腿に力をこめると、そのままゆっくりと腰を持ち上げ始めた。

514BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/09(月) 21:01:00
ab.0420.Cyclops-P.11.31

 ゆっくりと腰を持ち上げ、処女膜の再生を待ってから一気に落とす。アルテミスは、これを何度も何度も繰り返した。顔をのけ反らして、喘ぎ声と悲鳴を交互に発する。

(あぁ、こんな快楽がこの世にあるなんて……)

天井を見上げる瞳は血走り、半開きになった唇の間からヨダレが垂れている。

(ダメ。処女膜の再生なんか、もう待っていられない!)

腰を上下させるペースが少しずつ速くなり、床にできた血だまりの直径が1メートルになる頃には、狂ったように腰を上下していた。

「ぎゃっ、ぎゃっ、ひっ、ひっ、ぐひぃ! あぐあぐあぐっ! あひぃ!」

腰のグラインドにあわせて、Gカップの巨乳がブルンブルンと上下に揺れた。血しぶきが飛び散り、色白の乳房に赤い斑点が描かれる。すでに下腹部は血まみれで、陰毛にもベットリと血がこびりついている。

三角木馬のようなシートの上で、両手を吊るされた血まみれの女が半狂乱で腰を振りながら悶える姿は、SMというよりもホラー映画のワンシーンのようだ。

手枷のようなコントローラーに通した手首の先で、指が意味もなく開閉する。両目の焦点は定まらず、何度も白目に反転した。上下の歯が噛み合わされて、ギリギリと音を立てた。悲鳴が放たれるたびに、歯の間から泡状になった唾液が飛び散る。美しい顔は涙と鼻水、そしてヨダレでベトベトだ。

「イ、イイ! もっと、もっと、もっとよぉ! アヒィ! ヒィ! ヒィ! ヒィィィ……」

操縦桿の表面をびっしりと覆う棘が粘膜に食い込み、腰を上げるたびに、小陰唇と直腸が操縦桿に引きずられて外側にめくれた。腰を落下させるたびに、大陰唇と肛門が、体内へめり込んだ。

すでに陰唇は原型をとどめていない。操縦桿の表面には、棘で削り取られた小さな肉片がこびり付いている。直腸をえぐる操縦桿には、大便もベットリと付着している。

「ヒィッヒィッ、い、いい、堪らない……スゴイ、凄すぎるぅ……」

アルテミスは、女体の急所を破壊される地獄の苦しみに翻弄されながら、一心不乱に腰を振り続けた。

515BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/09(月) 21:01:51
ab.0421.Cyclops-P.11.32

(あぁ、なんだか眩暈がするわ)

貧血を起こしていた。見ると、もとから白磁のようだった肌は白蝋のように白くなり、桜色の唇も血の気を失っている。

ただしアルテミスの不死身体質は造血機能も飛躍的に高めるので、この程度の出血で意識を失う事はない。それどころか腰の上下するペースは遅くなるどころか、ますます速くなっていた。

『うぅむ、すごい出血だ。大丈夫かね?』
通信機のスピーカーからメビウス博士の声がした。アルテミスの状態は、コクピット内に設置されたカメラを通して見えている。しかし興奮状態の真性マゾには、メビウス博士の声は聞こえていない。
『はぁ……。どうかアテナ君にバレませんように……』
メビウス博士は困ったように独り言を呟くと、そのまま黙り込んだ。

 何度目かの腰の突き上げで、尿道用の操縦桿が肥大したクリトリスをえぐり取った瞬間、アルテミスは全身を硬直させた。
「ぐひぃ! ひっ、ひ、ひ、ひくっ! い、イクッ! イグゥゥゥ!!」
もはや原形を留めていない秘裂から、潮が間欠泉のように噴出した。潮は血の色をしていた。

516BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/09(月) 21:02:31
ab.0422.Cyclops-P.11.33

 アルテミスは三角木馬のようなシートに跨ったまま、絶えだえといった様子で、半ば失神していた。両手を吊るされていなかったら、シートから落ちてしまいそうだ。

(あ……あぁ……、こんなに気持ち良かったのは久しぶりだわ)
呆けたような顔で、自分の下腹部を見下ろした。シートも床も血の海だ。目を凝らすと、血に混じって小さな肉片と大便が散らばっている。

『ス君……ミス君……』

アルテミスは霞がかかったような目で、正面のカメラを見つめた。

『テミス君……アルテミス君?』

「あ……、ハ、ハイ、メビウス博士」
メビウス博士に呼ばれている事に、ようやく気付いた。

『アルテミス君、大丈夫かね?』

「はい、大丈夫です」

『そうか、それなら良いんだが。とりあえず操縦桿が滑って抜けてしまう事はなさそうだ。操縦桿のテストは終了だ』

「メ、メビウス博……」

『オリンポスに帰艦してくれたまえ』

メビウス博士は、アルテミスにみなまで言わせず、一方的に通信を切った。

517BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/09(月) 21:03:01
ab.0423.Cyclops-P.11.34

 メビウス博士は通信を切ると、疲れたように溜息をこぼした。

「ふぅ……。危ないところだった。通信を切らなかったら、アルテミス君は間違いなく、テスト飛行を続けたいと言い出していただろうな」

そして手元のモニタを見ると、また溜息をこぼした。モニタには、下半身を血まみれにしたアルテミスが映っている。

「これ以上続けて、もしもそれがアテナ君にばれたらと思うと、もう気が気ではないよ」

 アルテミスの友人のアテナは、キュクロプスPの操縦桿の件で激怒した事がある。その時は、アルテミスが自分の性的嗜好を告白して、なんとか怒りは収まった。しかし操縦桿の表面が棘で覆われている事を知ったら、さすがに黙っていないだろう。

「それにしても、まさかアルテミス君があそこまで乱れるとは……、とんでもない真性マゾだな」

別のモニタで、キュクロプスPの動きの録画映像を見た。映像の中で、キュクロプスPが宇宙空間をデタラメに飛行している。

(そういえば……)

アルテミスが腰を振るたびに操縦桿が不規則に動くので、キュクロプスPはデタラメに飛行する。しかしオリンポスには一度も衝突していない――、その事に、メビウス博士は気付いた。

(まさか半ば無意識のうちに、キュクロプスPをコントロールしていたのか……?)
メビウス博士は、アルテミスの操縦技術の高さを改めて知り、舌を巻いた。

518BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/09(月) 21:07:24
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-464 吉岡

>>465-475 地球奪還作戦会議

>>476-518 キュクロプスP11 (>>510-518 には、少しグロイシーンがあります。苦手な方はお読みにならないように。この章を読み飛ばしても、ストーリーの展開には影響ありません)

519BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/17(火) 20:42:00
ab.0424.intermission

>>3『注意事項』にも記載されていますが、このアナザーストーリー全編に登場する人物、団体、地名、設定、世界観、その他全てが架空の物です。パロディーですらなく、完全に架空の物です。同じまたは似た名称があったとしても、それはただの偶然です。

520BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/17(火) 20:42:44
ab.0425.Prime Minister Dabu.06

 ネオガイア星人が地球奪還作戦の準備を進めている頃、作戦の拠点に選ばれた日本は、新たに首相に就任した辞民党の駄部首相の大胆かつユニークな経済政策が功を奏して、史上まれにみる好景気に浮かれていた。

駄部首相の経済政策はダメノミクスと命名された。ダメノミクスは4つ政策で構成されていて、各々第一の柱、第二の柱、第三の柱、そして第四の柱と呼ばれた。

第一の柱では、少子化や年金問題といった辞民党政権下で起きた問題を、全て民捨党政権の失政によるものだという事にした。そのおかげで、辞民党への期待が一気に高まった。

第二の柱では、すでに破綻気味の年金を投入して、株価を引き上げた。年金破綻はさらに進んだが、株価上昇のおかげで、富裕層の懐は大いに潤った。

第三の柱では、平均賃金を正規雇用者だけの名目賃金で集計し、その一方で失業率を非正規雇用や休業者も就業者として集計して算出した。その結果、平均賃金が高くなり、失業率が低くなった。

第四の柱では、国の豊かさを示す指標の1つであるGDPの算出方法を変更して、計算上のGDPを引き上げた。

マスコミは、駄部首相のこの偉大な功績を毎日のように新聞の第一面で取り上げ、ネット上では、平日の真昼間から駄部首相を称賛する匿名の書き込みで溢れかえった。駄部首相は、民捨政権下で破綻した日本経済を立て直す、まさに救世主だった。

521BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/17(火) 20:43:51
ab.0426.Prime Minister Dabu.07

 経済政策に先立って、駄部首相の最初の仕事は、内閣閣僚の任命だった。官房長官には、管(くだ)氏が任命された。駄部首相が記者会見などで使用する原稿の漢字にフリガナまで付けてくれる、とても頼りになる人物だ。他の閣僚も次々と任命された。誰もが駄部首相の事を気遣ってくれる、まさに適材適所といえる人選だった。

「閣僚はこれでいいでしょう。あとは検察庁ですね」
と、管官房長官。
「そので問題が1つあります。検事長の黒腹の定年が迫っています」

「黒腹?」
駄部首相が何かを思い出そうとするかのように天井を見上げたが、頭の中には何も思い浮かばない。
「誰だ、そいつ?」

「辞民党の守護神と呼ばれる人物です。辞民党の不祥事を全て不起訴にしてくれます。駄部内閣を盤石のものとするには、この守護神を検事総長にしなくてはなりません」

「ならすればいいだろ」

「いえ、今の検事総長が退任する前に、黒腹検事長が定年を迎えてしまうので、それは無理です」

「じゃあどうするんだ?」
駄部首相はカッとなって怒鳴り散らした。駄部首相は炎のように熱い漢(おとこ)なのだ。

「検察庁法ではなく公務員法を適用すればいいんですよ」
それに対して、管官房長官は冷静だ。と言うよりも、もとから常にしかめっ面なので、感情を読み取れない。

「検察庁法? 何だ、それは?」
熱い漢がさらに苛立ったように語気を強めた。

(まさかご存じないのですか!?)
管官房長官は喉元まで出かけた言葉をグッと飲み込んで、
「まぁとりあえずは黒腹の定年延長を発表して下さい。法的な問題は法務大臣に任せましょう」
と進言した。

 数日後、黒腹検事長の定年延長が決定した。弁護士の資格を持つ法務大臣は、検察庁の人事に検察庁法ではなく公務員法を適用する前代未聞の人事について野党から追及されて、消え入りそうな声で『法の解釈を変更したから、全く違法ではない』と繰り返した。

522BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/17(火) 20:44:25
ab.0427.Prime Minister Dabu.08

 内閣改造で内堀を埋め、検事長の定年延長で外堀を埋めた駄部首相に次に必要なのは、いわゆるブレーンの確保だった。適材適所で任命された閣僚は確かに優秀だったが、それとは別に頭脳となり得る人材が必要だったのだ。

「そういえば1人、優秀な男がいます。かなりの変わり者で、周囲からは異邦人などと呼ばれていますが、能力面では申し分ありません」
と、管官房長官。

「どんな奴だ?」

「実はすでに官邸に呼んでいます。今からお会いになりますか?」

管官房長官に呼ばれて、首相執務室に入ってきた鶉山は、にこやかに微笑んだ。

「はじめまして、総理。防衛省の鶉山です」

「おぉ、防衛省か。よく来たな」
駄部首相は防衛省と聞いて、嬉しそうに顔をほころばせた。

愛国心の強いこの首相は、愛読書のコミックに登場する、世界征服を目論むマッドサイエンティストと戦う地球防衛軍の司令官に自分を重ね合わせる事が好きで、防衛省に思い入れが強かった。

523BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/17(火) 20:46:20
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-464 吉岡

>>465-475 地球奪還作戦会議

>>476-518 キュクロプスP

>>519-523 首相2

524BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/19(木) 17:50:16
ab.0428.intermission

>>3『注意事項』にも記載されていますが、このアナザーストーリー全編に登場する人物、団体、地名、設定、世界観、その他全てが架空の物です。パロディーですらなく、完全に架空の物です。同じまたは似た名称があったとしても、それはただの偶然です。

525BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/19(木) 17:51:05
ab.0429.invasion.001

『侵攻』

 駄部首相は今日も首相官邸でくつろいでいた。側近からはダメノミクス成功の報告が次々と届き、その一方で失敗や懸念材料を伝える報告は皆無だった。マスコミも毎日のように、ダメノミクスの成果を第一面で報道した。

ネットの匿名掲示板も、駄部首相を讃える投稿で溢れかえった。24時間365日、普通なら仕事や学校があるはずの時間帯でも投稿してくれる熱心な一般国民の活動に、駄部首相は感激した。

1週間前に秘書から手渡された予算案に関する資料にざっと目を通したが、書かれている内容がよく解らないので、見るのをやめた。

書棚から愛読書を1冊手に取った。駄部首相は勉強のために、毎日1冊ずつ本を読むのを日課にしていた。今日の1冊は、宇宙戦艦がエイリアンと戦うという内容のSFコミックだ。見ると、書棚には、大量のコミックがぎっしりと詰まっている。

(オレは宇宙戦艦の艦長だ。戦艦の名前は……ムサシ、ムサシがいい)
ページをめくりながら、主人公に自分を重ね合わせる。
(副官は……そうだ、中島亜矢だ。亜矢ちゃんはオレの副官で、恋人だ)
中島亜矢は、駄部首相のお気に入りの女子アナの1人だった。

コミックを読みながら白日夢に耽る、駄部首相の至福のひと時だ。その至福の時間を、電話の着信音が断ち切った。

「何だ? オレは忙しいんだ」
受話器を耳に当て、不機嫌そうに怒鳴りつけた。

「総理、大変です! テ、テレビをつけて下さい」
電話は管(くだ)官房長官からだった。

「テレビ? アニメの新番組でも始まったのか……?」
ブツブツ独り言を呟きながら、テレビをつけた。そしてテレビ画面を見て、口をポカンと開けた。

 テレビには、緊張した面持ちの中島亜矢が映っていた。
『先ほど、さざなみ市上空に現れた謎の飛行物体は、依然として……』
声も、どことなく引きつっている。

526BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/19(木) 17:51:56
ab.0430.invasion.002

 ここで、時間が少しだけ遡る。

1999年7月。宇宙船オリンポスでは、アルテミスがパーフェクトソルジャーとなり、由梨香が出産を終え、地球では日本の政権が民捨党から辞民党に移ってから、さらに幾日が経過した頃。

ついにネオガイア星人による地球侵攻が始まった。宇宙船オリンポスが、地球に降下を開始した。

 オリンポスにドッキングしてた2隻の小型宇宙船――調査宇宙船と拷問研究所の宇宙船――は、衛星軌道上にとどまった。

ネオガイア星人の大半はオリンポスに乗り込み、2隻の小型宇宙船には必要最小限の人員しか搭乗していない。ちなみに2隻とも、ステルス機能によって、地球人に発見される心配はない。

 オリンポスの降下先は、日本のさざなみ市だ。日本が選ばれたのはピタゴラス博士の勘違いが原因で、さざなみ市が選ばれたのはアルテミスの発言が原因だった。

 オリンポスは、ネオガイア星のステルス機能によって、地球のレーダーで捉える事はできない。これは船体を透明にする機能も備えていて、肉眼で見る事もできない。

しかし、このステルス機能は、地球に降下する時にOFFにされた。あえてその巨大な船体を地球人に見せつけて、威圧するためだ。そんな訳で、地球人がオリンポスに気づいたのは、さざなみ市上空の雲を突き破るように、全長1キロメートルの巨大な船体が姿を現した時だった。

空気との摩擦熱でオレンジ色に発光しながら降下してくるオリンポスは、まるで地球人類を滅ぼすために天上から遣わされた怪物のようだった。ちなみに『空気との摩擦熱』と呼ばれているが、実際は空気が船体と擦れあって発熱しているのではない。

 オリンポスは、さざなみ市の上空500メートルで停止した。

全長1キロメートルの宇宙船が高度500メートルに浮遊する光景は、まるでさざなみ市を覆いつくさんばかりだった。実際、船体で日光が遮られて、地上は夜のような暗さに包まれた。

人々は恐怖におののきながら、頭上を見上げた。しかしオリンポスが巨大すぎて、その形を視認する事ができない。

527BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/19(木) 17:52:28
ab.0431.invasion.003

 ここで時間は、現在に戻る。

この未曾有の事態に、真っ先に現場に到着したのは、警察でも自衛隊でもなくマスコミだった。

テレビ局のレポーターが、オリンポスをバックに実況中継している。テレビ局では、女子アナの中島亜矢が、緊張気味の面持ちで原稿を読んでいた。中島アナの隣には、番組のレギュラーコメンテーターを務める、タレントのマツ子デトックスが座っている。

「先ほど、さざなみ市上空に現れた飛行物体は、依然として上空に停止したままです。正体は不明です。さざなみ市の皆さん、落ち着いて行動して下さい」

中島アナは一気にまくしたてると、一呼吸おいて、更に神妙な表情を浮かべた。

「ここでCMです。CMの後は、芸能界のご意見番マツ子デトックスさんを交えて、モデルの蛇原優里さんの恋人発覚疑惑の真相を探ります!」

ジャジャーン♪
効果音が流れ、番組は30秒のCMに入った。

528BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/19(木) 17:54:02
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-464 吉岡

>>465-475 地球奪還作戦会議

>>476-518 キュクロプスP

>>519-523 首相2

>>524-528 侵攻

529BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/25(水) 18:23:37
ab.0432.invasion.004

 場所は変わって、アメリカ合衆国ホワイトハウスでは、大統領ポッシュ3世が、大統領補佐官から、日本に出現した飛行物体の報告を受けていた。

「テロではないのだな?」

「はい。捕らえたテロリストを拷も……、過酷な尋問をしましたが、関与は認められません」

「尋問は誰がやった?」

「アメリカ軍の女性兵士です」

「だめだ。女兵士では、筋金入りのテロリストの口を割らせるのは無理だ。CIAで尋問しろ」

「いえ、大統領。その点は心配いりません。尋問を担当した女性兵士は、筋金入りの真性サディストです。彼女の尋問に耐えられる者は絶対にいません」

「そうか。で、問題の飛行物体について何か分ったか?」

「現時点で分かっているのは、大きさが全長1キロメートルある、という事くらいです」

「1キロメートル……」
ポッシュ大統領はゴクリと唾を飲み込んだ。1キロメートルというと、アメリカ海軍最大の空母の3倍ある。

「それと、あまり役に立つ情報とは思えませんが……、あの飛行物体の出現を予言していたという宗教団体があります」

「宗教団体? どうせ、のちに何とでも解釈できる表現を使っておいて、いざ事が起こったら『予言が的中した』とか言い出す、いつもの手口だろう」

「それが、そうでもないのです。大統領、これを」
補佐官が、1冊の本を取り出した。
「144ページです」

大統領はページをめくり、文字を指でなぞりながら読み始めた。その指が止まり、眉間にシワが刻まれた。

そこには、
『1999年7月、巨大な卵に乗って、恐怖の大王が降臨する』
そう記されていた。

「1999年7月という具体的な数字。そして『巨大な卵』というのは、あの宇宙船の形と一致しています。非科学的ですが、偶然とは思えません」

「まだ何とも言えないな。まずは、これの著者から話を聞きたい」

「それは不可能です。本の初刊の発刊日をご覧ください」

巻末には、1555年と書かれていた。

「その本は、400年以上も昔に書かれたものです。著者はもうこの世にいません」

「では本当に予言が当たったというのか? 著者の名前は?」

「ミシェル・ド・ノートルダム。信者はノストラダムスと呼んでいます」

「ノストラダムス? 初めて聞く名前だ。で、その宗教団体の名前は?」

「宇宙人類教団です」

「何だ、そのふざけた名前は? まぁいい。念のため監視しておけ」

「はい」
補佐官は短く返事をすると、声のトーンを落とした。
「大統領、例の飛行物体に関して、憂慮すべき懸念があります」

「何だ?」
ポッシュ大統領は、ゴクリと唾を飲み込んだ。

「この飛行物体は、透明になる事ができるようです。さらにレーダーをはじめ、いかなるセンサーでも捉える事ができません」
補佐官は一呼吸おいて、言葉を続けた。
「仮に出現場所が日本でなくワシントンDCだったとしても、これが頭上に現れるまで、我々は、その接近に気づく事すらできないという事です」

「…………」

「これが敵の兵器だとしたら、我が国の領空内への侵入を防ぐ術は、我々にはありません」

「…………」
ポッシュ3世は、疲れたように大きく息を吐て、ソファに腰を下ろした。
「主要各国と緊急会議を開きたい。ビデオ会議の手配をしてくれ」

530BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/25(水) 18:24:16
ab.0433.invasion.005

 日本の首相官邸では、駄部首相が官房長官に怒鳴り散らしていた。

「あれの正体は何なんだ!? 何とかしろ! 俺は日本の総理大臣だぞ!」

「はい……粛々と対応を検討していますが……」

「あいつ、名前は……う、鶉山。あいつはどこに行った? こんな時こそあいつの出番だろ」

「それが……、先ほどから連絡が取れません」
管官房長官は額の汗を拭った。
「まぁ鶉山は変わり者ですから、行動は私にも予測不能でして……」

「そうだ! 年金問題や原発問題みたいに、あれも民捨党の責任という事にしろ」

「さすがにそれは無理です。辞民党で対策するしかありません」

「じゃあどうすればいいんだ! 何とかしろ! 俺を助けるのがオマエの仕事だろ!」

「とりあえず国民向けのパフォーマンスとして、緊急閣僚会議を開いて下さい。そうして時間を稼いで、アメリカがなんとかしてくれるのを待ちましよう」

官房長官は、緊急会議の準備とマスコミへの緊急記者会見の準備のため、部屋を出て行った。

 1人残った駄部首相は、ソファに座り込んだ。
「こんな事なら、民捨党政権のままが良かった」
独り言を呟き、頭を抱えた。この未曽有の事態に対して、何一つ対策が思いつかない。

その後に開かれた緊急記者会見では、ひたすら「民捨党が」を繰り返した後、事前に決められたメディアから事前に決められた質疑応答を済ませると、そそくさと会見会場を立ち去った。

531BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/25(水) 18:24:57
ab.0434.invasion.006

 駄部首相が頭を抱えている頃、アメリカ、ロシア、英国、フランス、中国。主要5か国の首脳によるビデオ会議が開かれていた。全員が、日本上空に出現した謎の飛行物体に関する会議だと分かっているので、やや神妙な面持ちだ。

会議の冒頭に、さざなみ一般市民が偶然撮影しネット上に投稿した、オリンポス出現の動画が再生された。映像には、雲を突き破るように降下してくる巨大な物体が映っている。

「諸君」
ポッシュ大統領が、モニタ越しに各国の首脳を見回した。
「すで知っていると思うが、この物体には、未知のテクノロジーが使用されている」

レーダーにまったく映らないという強力なステルス技術、そしてジェットもプロペラも使用せずに、全長1キロメートルの巨体を空中に浮遊させる技術だ。

「腹の探り合いはやめて、単刀直入にお尋ねする。これは、諸君たちのいずれの国の物かね?」

「我が国でもない」
「うちも違うぞ」
ポッシュ大統領の質問に、どの国も関与を否定した。

「うむ、分かった。アメリカも関与していない」
ポッシュ大統領は小さく頷いた。
「諸君。これの正体が何にせよ、大きな脅威である事には変わりない」

「まさか宇宙人、とかじゃないだろうな?」
「なら金星人か火星人あたりか?」
「いや、クリプトンかバルカン星人かも知れないぞ?」

各国首脳たちは冗談を交わしながらも、どの顔にも狡猾そうな表情が浮かんでいる。全員が内心では、この物体を開発した者と接触して未知のテクノロジーを独占できないかを、考えているのだ。

532BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/25(水) 18:25:31
ab.0435.invasion.007

 そんな時、北朝鮮から、ビデオ会議に割込みの通信が入った。
「ん? 北朝鮮から? こんな忙しい時に何の用だ……?」

北朝鮮は取るに足らない小国だが、一応は核保有国なので無視する事はできない。ポッシュ大統領は渋々回線を繋いだ。

「重大な……発表……をする」
北朝鮮の通信回線は低品質で、音声が途切れ途切れだ。
「こ……の飛行……物体は、偉大な将軍さ……まが開発……なさった……人類史上かつてない……強力無比な新兵器である」

数秒の沈黙の後、
「あはははははははは!」
「ぎゃははははははは!」
「オイオイ、新兵器って、笑い殺す兵器か?」
「お、おい、やめろ。ヒーヒヒヒ……ほ、本当に死んでしまいそうだ。アハハハ……」
一同は笑い転げた。

中国主席だけは笑うのを我慢していたが、見ると、鼻の穴がヒクヒクしている。

「邪魔だ、さっさと切っちまえ!」
北朝鮮の高官が何か言おうとしたが、回線が切られた。

「着信拒否にできないのか?」
「既読無視というのはどうだ?」
「アハハハ、おい、これ以上笑わせるな」

「ヒィーヒヒヒヒ」
ついに中国主席も我慢できず、笑い声をあげた。

533BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/25(水) 18:26:32
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-464 吉岡

>>465-475 地球奪還作戦会議

>>476-518 キュクロプスP

>>519-523 首相2

>>524-533 侵攻

534BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/06(月) 20:06:05
ab.0436.invasion.008

 日本のテレビ局では、CMの間、人気女子アナの中島亜矢が、現場のレポーターをスマホで怒鳴りつけていた。

「この特別報道番組のために、プロ野球選手との合コンをわざわざキャンセルしたんだからさ! もうちょっとマシなネタを探してよね!」

「すみません、すみません、すみません」
現場のレポーターの泣きそうな声が返ってくる。

「ヘリでも何でもいいから、その変な物に乗り込んでよ!」

「そんな……無理です」

「無理? アンタ、そんなんじゃいつまでたっても現場担当よ? この役立たず!」

 CMが終わり、番組が再開した。中島アナは、素早くスマホを切った。カメラに向き直った時には、清純派で人気の女子アナの顔に戻っていた。

「蛇原優里さんの恋人発覚疑惑の次は、女優の永沢エリカさんのその後について迫ります!」

ジャジャーンと効果音が流れた。

「マツ子さん、永沢エリカさんが先日の記者会見で涙を流していましたが……、それをご覧になってどう思いましたか?」

中島アナは、隣に座っているマツ子デトックスに話をふった。マツ子デトックスは、インテリコメンテーターとして有名なタレントだ。

「あんなのウソ泣きに決まってるわよ。あの厚化粧で有名なエリカが、アイラインをつけずに記者会見に来たのよ?」

アイラインとは、目をくっきりと際立たせるために瞼に塗る化粧品だ。これをつけた状態で涙を流すと、目の下に垂れてくるのだ。

マツ子デトックスが熱弁をふるっていると、番組スタッフが中島アナにメモを手渡した。

中島アナは、そのメモに目を通して、大きく頷いた。
「途中ですが、たった今、首相官邸から重大な発表がありました!」

マツ子デトックスは、話を途中で遮られて不機嫌そうな顔をしたが、何も文句は言えなかった。芸能人のスキャンダルや一般視聴者からの不倫嫁姑相談では饒舌を誇るインテリタレントだが、政治経済やサイエンス、芸術や文学などの分野は専門外なので、さざなみ市上空に出現した飛行物体に関しても発言できる事はないのだ。

「駄部首相は緊急閣議の結果、さざなみ市上空に出現した謎の飛行物体の呼称を『卵型UFO』にする、と発表しました! ここでいったんCMに入ります」

ジャジャーンと効果音が鳴り、番組はCMに入った。

CMの後、永沢エリカのウソ泣き疑惑について、芸能界のご意見番マツ子デトックスの鋭い指摘が花を咲かせた。

535BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/06(月) 20:06:38
ab.0437.invasion.009

 主要国首脳によるビデオ会議は、紛糾していた。

最初のうちは本心を隠していたが、次第に、日本上空に出現した飛行物体に使われている未知のテクノロジーの独占を主張し始めたのだ。

ちなみに、飛行物体が出現地点である日本の権利を主張する者は、1人もいなかった。

「日本はアメリカ合衆国の同盟国だ。だから飛行物体に関する権利はアメリ……」
そんな時、各国首脳に熱弁中のポッシュ大統領の姿が、ビデオ会議のモニタから忽然と消えた。

「カ合衆国にあ……れ?」
ポッシュ大統領は周囲を見回して、自分が知らない場所にいる事に気づいた。
「何だ? ここはどこだ?」

「宇宙船オリンポスの中だ」
背後から声がした。声のした方を見ると、白人男性が1人立っている。

「誰だ!? 宇宙船だと? 馬鹿な冗談はやめろ」
ポッシュ大統領が気色ばんだ。くだらないジョークを言って周囲を凍らせるのは好きだが、ジョークを言われるのは嫌いだった。

「オリンポスは、日本の上空に停泊している宇宙船だ」

「日本の上空……、例の飛行物体か!」

「我々はネオガイア星から来た、オマエから見れば宇宙人という事になる」

「う、宇宙人……?」
地球人はいまだに地球外生命体との接触がない。ポッシュ大統領は、いきなり宇宙人だと名乗られて、訝しげな表情を作った。

しかし、すぐに、
(こいつが宇宙人かどうかに関係なく、このオリンポスという物体に未知のテクノロジーが使用されているのは確かだ)
側近の閣僚にしか見せた事のない狡猾そうな顔になり、マスコミ向けの温厚そうな顔に変わった。

「そ、そうか。私はアメリカ合衆国の大統領ポッシュ3世だ。ネオガイア星の諸君、地球へようこそ。地球人を代表して、諸君たちを歓迎する」

「…………」

「できれば友好関係を築いていきたい。アメリカ合衆国……、いやポッシュ家が、キミたちとの交易の窓口になろう。ポッシュ家は、何人もの大統領を輩出した名門なのだ」

「…………」

宇宙人だと名乗るその男は、ポッシュ大統領の話を無言で聞いていた。

536BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/06(月) 20:07:20
ab.0438.invasion.010

「な、何か私は変な事を言ったかね?」

ポッシュ大統領は少しムッとしたように、口をへの字に曲げた。無視されるのは、ジョークを言われるよりも嫌いなのだ。

「例えば……」
男が口を開いた。
「オマエが1匹のサルを捕まえたとしよう。そのサルから『自分が交易の窓口になる』と言われたら、どう思う?」

そう言って、男――ヘラクレスが侮蔑の笑いを浮かべた。

「へ? サル?」

30秒ほどして、言われた事の意味をやっと理解できたポッシュ大統領は、怒りで顔を真っ赤にさせた。チンパンジーに似た顔が、ニホンザルのように変わった。

「わ、私を誰だと思っている! アメリカ合衆国の大統領だぞ!」

「いい事を教えてやろう。オマエをアメリカから日本上空のオリンポスまで移動させた装置は、物質転送装置という。その名の通り、離れた2つの場所を瞬間移動させる技術だ」

「そ……それがどうした」

「分からないのか? なんて愚鈍な頭脳だ」

ヘラクレスは、あからさまに侮蔑の表情を浮かべた。

「つまりだ、物質転送装置を使えば、オマエたち地球人がどこに隠れようと、簡単に捕らえることができるし、軍事基地をはじめどんな施設へも、軍隊を送り込む事ができる、という事だ。地球人には、それを防ぐ手段はない」

1分近くして、ようやく意味を理解できたポッシュ大統領は口をポカンと開いた。

「物質転送装置1つをとっても、ネオガイア星人は圧倒的に優位な立場にあるのだ。にもかかわらず交易などとは……、これが笑わずにいられるか?」

ポッシュ大統領は、その場にへたり込んだ。

 実際、物質転送装置は、それを持たない種族に対して、圧倒的な兵力になった。その気になれば、政府要人を簡単に誘拐できるし、軍事施設などに軍隊や爆弾などを転送する事もできる。

一定以上のテクノロジーを持つ星間種族は、この物質転送技術を使った攻撃を防ぐ装置を所有している。しかし地球人には、この攻撃から身を守る術はないのだ。

「3日間の猶予をやろう。その間に地球人は全ての武装を放棄し、ネオガイア星人に無条件降伏しろ」

ヘラクレスはそう告げると、ポッシュ大統領をホワイトハウスに転送した。

537BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/06(月) 20:07:55
ab.0439.invasion.011

ポッシュ大統領はホワイトハウスに戻ると、主要国の首相にネオガイア星人の事を話した。交易による利権を独占できない以上、主要国に情報を提供して、リスクを分散する方が賢明だと判断したのだ。

「…………」

「それは本当なのか? にわかに信じられんが……」

「こんなくだらないジョークを言って何になる? 全て本当だ」

「ネオガイア星人といったな? じゃあその未知のテクノロジーを我々主要国で独占するというのは……」

「無理に決まってるだろう! それどころか我々は絶滅の危機に瀕しているのだ」

「抵抗できないのか?」

「その宇宙人は『地球人は全ての武装を放棄しろ』と言ったのだろう?」

「そうだ」

「つまり地球人の武器は連中に効果がある、という事ではないのか? もしも全く効果がないのなら、武装放棄させる必要はないだろう?」

「…………」

「とりあえず今は、無用なパニックを防ぐために、国民には宇宙人の事は伏せておこう」

「では飛行物体の正体をどう説明するんだ?」

「そうだな……、北朝鮮が開発した新兵器って事にしておこう。北朝鮮も否定はしないだろう」

こうして、さざなみ市上空に浮遊する飛行物体は、北朝鮮が開発した飛翔体だが現時点では特に危険はない、と発表された。この発表を北朝鮮が否定する事はなく、むしろそれに便乗して、自国の技術力の高さをアピールした。

538BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/06(月) 20:09:04
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-464 吉岡

>>465-475 地球奪還作戦会議

>>476-518 キュクロプスP

>>519-523 首相2

>>524-538 侵攻

539BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/14(火) 18:33:15
ab.0440.invasion.012

 駄部首相のもとに、アメリカ大統領ポッシュ3世からホットラインがかかってきた。

「こ、これは、ポッシュ大統領」
駄部首相は受話器を持ったまま、愛想笑いを浮かべた。

『Mr.Dobu。日本の上空に出現した、例の飛行物体の件だが……』

ポッシュ3世は駄部首相を『Dobu』と呼んでいた。ただの勘違いなのだが、駄部首相本人は、自分がDabuではなくDobuと呼ばれている事に気づいていない。

『日本では何か進展はあったのか?』

「はい。例の飛行物体への対応について、緊急閣議を開きました。そして検討に検討を重ね、重大な決定をくだしました」

『重大な決定だと? まさか日本だけで攻撃するつもりなのか?』

「い、いえ。飛行物体の呼称を『卵型UFO』とする事が決定いたしました!」

『…………』

「あ、あのぉ、もしアメリカ合衆国ですでに呼称が決まっているなら、そちらに変更し……」

『オリンポスだ』

「へ?」

『オリンポスだ。あれの名前はオリンポスだ』

「オリンポスですか。ブラジルの山の名前ですね」

『ギリシャだ!』
ポッシュ大統領はおもわず激昂したが、深呼吸をしてなんとか気持ちを落ち着かせた。
『そんな事はどうでもいい。あれの正体が判明したのだ』

「はい。北朝鮮の新兵器ですね?」

『北朝鮮があんな物を作れる訳がないだろう!』

ポッシュ大統領は、さざなみ市上空の飛行物体がネオガイア星人と名乗る宇宙人の物である事、ネオガイア星人が地球人を遥かに上回るテクノロジーを持っている事、武装放棄と降伏を迫られている事を、駄部首相に話した。

主要各国の首相たちはポッシュ大統領の話をすぐに理解したが、駄部首相が理解できるまで30分以上も要した。

『我々はエイリアンどもの侵略には屈しない。各国と結束して抵抗の準備を始める。アメリカの同盟国である日本も参加してもらう』

「え!?」

『話は以上だ、Mr.Dobu』
そう言って、ポッシュ大統領は一方的にホットラインを切ってしまった。

540BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/14(火) 18:34:09
ab.0441.invasion.013

 ポッシュ大統領は、軍事力が比較的ある国のリストを作って、各国の首相宛に、人類の同盟と宇宙人への徹底抗戦を打診した。

「シュレッダー首相、久しぶりだね」
「これはポッシュ大統領。前回の国連以来だね」

今回の電話の相手は、ドイツのシュレッダー首相だ。

「実はシュレッダー首相に重要な話があるのだ。例の日本上空に浮遊する物体の事だが――」

ポッシュ大統領は、その飛行物体がネオガイア星人のものである事、ネオガイア星人が地球人の征服を目論んでいる事、そして宇宙人に抵抗するため全人類が同盟を結ぶ必要性を、かいつまんで説明した。

シュレッダー首相は、さすが国の首相を務めるだけあって、話を1回聞いただけで理解した。

「うぅむ、まさか宇宙人の船だとは……」

「うむ、にわかに信じがたいが、事実だ」

「イヤイヤ、あれを北朝鮮が製造しという話よりは、ずっと真実味があるよ。一般市民はともかく、一国の首脳の中に、北朝鮮のホラ話を信じるようなマヌケはいないだろう」

「いや、実は1人だけいる」
ポッシュ3世は疲れたように天井を仰いだ。
「まぁ当の北朝鮮は得意満面で、自分たちの新兵器だと騙っているんだし、そういう事にしておこう。で、シュレッダー首相、宇宙人に抵抗する同盟の件だが、協力してくれるかね?」

「うむ、当然だ」

こうして、ドイツのシュレッダー首相をはじめ、どの国の首相も宇宙からの侵略者という話は半信半疑だった。しかしポッシュ大統領の説得のおかげで、多くの国が同盟への参加を承諾した。

 同盟への参加を拒否したのは、中国と韓国の2国だけだった。

中国は、その異常に強い自尊心が、アメリカが同盟のリーダー的な立場になる事を許せず、参加を拒否した。

韓国は、宇宙人が日本上空に停泊しているのは日本の責任だと言い出し、日本が謝罪と賠償をしないかぎり同盟に参加しないと発表した。

では中国と韓国が日本と同盟を結んだかというと、そんな事はなかった。日中韓の3カ国は、世界から、侮蔑を込めて惨国民と呼ばれた。

宇宙からの侵略という、全人類、もしかしたら地球に生きる全ての生命体が滅亡の危機に直面しているというのに、地球人は互いに手を取り合う事ができなかった。

541BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/14(火) 18:35:56
ab.0442.invasion.014

 ポッシュ大統領と各国首脳の会談に使用されたホットラインは、絶対に傍受できないと言われるほどセキュリティーが厳重だった。しかし高度なテクノロジーを有するネオガイア星人には、内容が筒抜けだった。

意外な事に、それで困ったのは地球人ではなく、むしろネオガイア星人の方だった。

たしかにネオガイア宇宙軍の戦力をもってすれば、地球人を武力制圧するのは容易だ。しかし不用意に地球人を武力制圧すれば、グレイから警戒される恐れがあるのだ。それは何としても避けたかった。グレイには、『ネオガイア星人は取るに足らない弱小種族』と思わせておく方がいい。

「このオリンポスの巨大な船体と物質転送装置の威力を見せれば、降伏すると思ったのだが、まさか抵抗を考えるとは……」

オリンポスから地上を見下ろしながら、ヘラクレスが忌々し気に呟いた。

「仕方ない。ここはやはり計画通り、この日本を拠点に少しずつ占領範囲を拡げていくしかないだろう。まず手始めに、さざなみ市の地球人どもを奴隷にしよう」

と、ピタゴラス博士。

「全く忌々しい下等生物どもだ。こんな連中が我々の先祖とは、実に嘆かわしい」

2人のネオガイア星人は、ヤレヤレといった風に肩をすくめた。

542BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/14(火) 18:36:41
ab.0443.invasion.015

 オリンポスは、さざなみ市の上空500メートルに浮遊したまま、周囲に半径50キロメートルのバリアを張った。それはさざなみ市全体を覆いつくすのに十分な大きさだった。

さざなみ市の内外をつなぐ道路の数か所に、バリア解除装置が設置された。バリア解除装置は、車が1台通れるほどの隙間をバリアに開ける装置で、これによってさざなみ市への出入りが可能になる。

 次に、アテナが開発した飲料型マゾ化薬が、さざなみ市の水源に混入された。

飲料型マゾ化薬は、梅本由梨香に使用された注射型マゾ化薬と比べて、効果の持続時間が数か月と短く、効力もずっと弱かった。しかし注射型と違い、飲料水などを介して投与が可能なので、浄水場や河川に混入すれば、広範囲の地球人に一気に投与する事ができる。

「フフン、地球人が虫のようだ」
ヘラクレスはオリンポスから地上を見下ろして、鼻で笑った。
「地球人どものTVをジャックして、連中に、我々の恐ろしさを教えてやろう」

「うむ。では……、マゾ化薬を混入した事だし、もう少し楽しもうではないか」
隣で、ピタゴラス博士が悪魔的な笑みを浮かべた。

543BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/14(火) 18:41:11
ab.0444.invasion.016

 駄部首相はパニックに陥っていた。想定外の状況が目まぐるしく変化して、脳細胞が処理できないのだ。日本上空に全長1キロメートルの物体が浮遊している現状では、得意の国民向けのパフォーマンスもたいして効果はない。

できる事といったら、管(くだ)官房長官を呼び出して、怒鳴り散らすしかなかった。

「何とかしろ! 俺が失敗しないようにするのがオマエの仕事だろ!」

「はぁ……。まずはポッシュ大統領と会談をしてみては……」

「そんな事できる訳ないだろ! ポッシュと話なんかしたら、色々と要求されてしまうだろ! オマエ馬鹿じゃねぇの?」

「ば、ばか……ですか」

「そ、そうだ。民捨党だ。民捨党政権が悪かったせいで宇宙人が攻めてきた、という事にしろ」

「さすがにそれでは国民は納得しません」

「じゃあ……、え、えと……、そ、そうだ! 鶉山、あいつを呼べ!」

「はい」

管官房長官が鶉山に連絡を取ろうとしたその時、テレビの電源がついた。テレビに金髪碧眼の白人男性が映っている。

「我々は、ネオガイア星からやってきた宇宙人だ。地球は我々の所有物である。それから……」

有無を言わさぬ口調で語るのは、ピタゴラス博士だ。

「さざなみ市の水源に、人間をマゾに変える薬を混入した。水道水を飲めば飲むほど、マゾになっていく。飲んでマゾになるか、飲まないで脱水症状に陥るか、好きな方を選ぶがいい」

そこでテレビが切れた。

駄部首相と管官房長官は、茫然とテレビを見つめて、数秒後、両目を大きく見開いた。テレビのコンセントが抜けているのだ。

 この映像は、日本だけでなく全世界に流れた。テレビ、パソコンモニター、携帯電話やスマホの画面など。しかも、コンセントを差し込んでいない機器や、バッテリー残量がゼロの機器まで全てだ。

さざなみ市の水道水の成分が調べられたが、薬品の類は全く検出されなかった。

しかし上空に浮遊する巨大な物体の存在と、件の映像ジャックの事実から、人々は、映像の男が地球人を遥かに上回るテクノロジーの持ち主である事を悟った。人間をマゾに変える薬の話を疑う者はいなかった。

マゾ化薬を混入されたさざなみ市の水は、被虐水と呼ばれるようになった。

544BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/14(火) 18:42:25
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-464 吉岡

>>465-475 地球奪還作戦会議

>>476-518 キュクロプスP

>>519-523 首相2

>>524-544 侵攻

545BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/21(火) 19:21:49
ab.0445.invasion.017

 アメリカのポッシュ大統領は、大統領執務室でピタゴラス博士の映像を見て、激怒した。

「宇宙人どもめ。せっかく北朝鮮の新兵器という事にしたのに……、もはや隠しておくのは無理だ」
大統領補佐官を呼び出した。
「日本に一番近いミサイル原潜はどれだ?」

「パリス・トランポリンです」

「もう我慢ならん! あの忌々しい宇宙人に核ミサイルを撃ち込んでやれ。先制攻撃で一気にけりをつける」

「そ、それは……。少しお待ち下さい」

「日本は同盟国です。我が国には、日本のアニメやコミック、Hentaiポルノのファンが大勢います。その日本に核ミサイルを撃てば、支持率に影響します」

「じゃあどうすればいいのだ?」

「まずは世論を味方につける必要があります」
補佐官は数秒の沈黙の後、やや声のトーンを落として、答えた。
「イラクを攻撃した時に使った例の手を使いましょう」

「イラクの時の……、あぁ、あの手か」
ポッシュ大統領は狡賢そうな顔になると、ペンタゴンを呼び出した。
「至急、海洋学者と特殊部隊を招集しろ」

 3日後、太平洋沖の原油基地の一つが、謎の爆発を起こた。大量の原油が流出し、原油は海流に乗って南国の孤島に流れ着いた。その島は海鳥の生息地で、多くの海鳥が犠牲になった。

 次の日、ポッシュ大統領は、ホワイトハウスで緊急会見を開いた。

「皆さん、非常に嘆かわしい発表をしなくてはなりません。日本が故意に原油基地を爆破した事が判明しました。これは環境テロです」

ポッシュ大統領のバックには大型のモニタが置かれ、油まみれの海鳥たちの映像が流れた。人々は映像を見て、涙を流した。

「我々はテロに屈しません。我々には自衛する権利があります。神のご加護を」

そこで記者会見が終了した。

 会見終了後、大統領補佐官が小走りでやって来た。
「素晴らしい演説でした」

「何が素晴らしいだ! イラクでは石油の利権を手に入れたが、日本では何も得がない。忌々しい宇宙人め、どうせなら石油かダイヤでも掘れる所に着陸しろ」
ポッシュ大統領は忌々し気に毒づくと、リンカーン大統領の石像に唾を吐きかけた。

546BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/21(火) 19:22:22
ab.0446.invasion.018

 日本の駄部首相は、ポッシュ大統領の会見の中継をTVで見て、憤慨した。

早速、PCの電源を入れると、大型匿名掲示板のサイトにアクセスした。『アメリカ』『ポッシュ』とキーワードを打ち込むと、いくつものスレッドがヒットした。

駄部首相は、それらに片っ端から投稿を始めた。。
「えぇと……、ポッシュを反日に認定する」
文章を打ち込み、【投稿する】をクリック。

クリック、クリック、クリック……。

さらには『好きな映画を挙げるスレ』や『おススメのホテルを挙げるスレ』などにも投稿していく。匿名掲示板への投稿は慣れているから、お手の物だ。

「ざまぁ見ろ! インターネットの力をなめるなよ! 真実はネットにあるのだ!」
PCのモニタに向かって威勢よく啖呵を切る。

 そこへ官房長官が飛び込んできた。
「総理、何をなさってるんですか!?」

「何だ? 俺は今忙しいんだ」

「ネットの書き込みをしている場合じゃありません。ポッシュ大統領の会見をご覧になったでしょう?」

「あぁ、見た。だから今こうやって、ネットでポッシュを反日認……」

「それどころじゃありません。日本が危険なのです」

「危険?」

「まさか……本当に分からないのですか!?」
官房長官が、信じられないといった顔をした。
「アメリカは宇宙人に徹底抗戦する構えなのですよ?」

「そんな事分かってる!」

「そしてこのタイミングで、日本を環境テロの犯人に認定したんです」

「そんな事分かってる! だから今こうやって、アメリカを反日国家に認……」

「アメリカが日本をテロリストに認定したのは、日本上空にあるあの宇宙船を核攻撃するための布石なんです!」

「…………ほへ?」

「今すぐ、日本はテロには加担していないと声明を出して下さい! 総理、日本国民が、宇宙からの侵略だけでなく、同盟国からの核攻撃の脅威にさらされているんです! 今こそ、日本の首相としての責務を果たして下さい!」

「に、日本に核が……。た、た、大変だ!」
ようやく状況を理解できた駄部首相は、大急ぎで部屋を飛び出していった。

 官房長官は短く溜息をこぼすと、書棚に目を移した。そこには駄部首相の愛読書、地球人を守るためにエイリアンと戦う宇宙戦艦や美少女戦士を描いたコミックが、ぎっしりと並んでいた。

「頼みますよ、総理」
駄部首相が飛び出していったドアを見つめながら、呟いた。
「それにしても、こんな緊急時に鶉山はどこに行ったんだ?」

窓の外は、快晴だった。

547BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/21(火) 19:23:13
ab.0447.invasion.019

 アメリカの思惑も知らず、さざなみ市民は、飲料水を求めて、コンビニやスーパーに殺到した。店はここぞとばかりに全ての飲料品を大幅に値上げした。

「ラスベガスのホテルのレストランでも、ここまで高くはないぞ!?」

「すみません。ミネラルウォーターの入荷が滞っていまして……」

コンビニ店長は、詰め寄る客に申し訳なさそうに弁解したが、内心では思わぬ売り上げアップにほくそ笑んでいた。しかし、それも長くは続かなかった。さざなみ市はバリアによって市外との流通が遮断されているので、ミネラルウォーターが入って来ないのだ。

 ネット上では、飲料品が定価の30倍という高値で転売された。彼らは転売ヤーと呼ばれた。

定価の30倍という法外な値段に怒った人々が、思わぬ反撃に出た。

支払方法をコンビニ決済にして注文して、料金を支払わないのだ。コンビニ決済には数日の猶予があるので、その間、転売ヤーは料金が支払われるのを待たなくてはならない。しかし支払いがないので、注文は自動的にキャンセルされる。すると転売ヤーは、また商品を出品し直さなくてはならない。出品されたら、またコンビニ決済で注文して料金を支払わない。これを繰り返すのだ。

しかし転売ヤーとそれに怒る人との攻防も、転売ヤー自身の在庫が底をついたため、長く続かなかった。

 さざなみ市を手入りするには、バリア解除装置が設置された幹線道路のいくつかを通るしかない。当然そこには、ネオガイア宇宙軍によって検問が敷かれ、人や物資の出入が制限されていた。

昔の日本の関所に『入り鉄砲、出おんな』というのがあったが、さざなみ市も似たような状況だった。地球人が市内に入るのは比較的簡単だが、市外に出るのはほぼ不可能で、それに対して物資の類が市内に入るのは厳しく制限された。

それはまるで、ナチスのユダヤ人強制収容所や、パレスチナ人が閉じ込められているガザ地区のようだった。

548BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/21(火) 19:24:38
ab.0448.invasion.020

 1か月とかからずに、コンビニもスーパーは、飲料品以外の在庫も少なくなってきて、店を閉じた。

市民の一部はマゾ化薬入りの水道水を飲んだが、多くの市民は店に押しよせた。そして、店のドアを叩き割り、飲料品を奪い合った。どさくさにまぎれて、食料品や書籍、化粧品などを奪う者もいた。市内のあちこちで、略奪行為が発生した。

この地上の光景を、ピタゴラス博士とヘラクレスは、オリンポスから見物していた。

「ギャハハハハ。なんて浅ましい連中だ」

「データには日本人は民度が高く礼儀正しい種族だと記録されていたが、飲み水がなくなったとたん本性がむき出しになったらしい」

2人のネオガイア星人は、蔑みの笑みを浮かべた。

「そうだな、せっかくだから飲み物を提供してやるか」
ピタゴラス博士が、何か妙案を思いついたのか、手をポンと叩いた。

 さざなみ市のTVが、またジャックされた。画面に映るのは、ピタゴラス博士だ。

「さざなみ市民の諸君。水不足にあえぐキミ達に同情して、我々ネオガイア星人から飲み物を提供してやろう。オシッコだ。我々のオシッコにはマゾ化薬は入っていないから、安心して飲んでくれたまえ」

市内のあちこちに給水所が設置された。正確には、クーラーボックスが転送されただけだが。中には小さなボトルが詰まっていて、見ると、ボトルは黄色い液体で満たされていた。

549BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/21(火) 19:25:42
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-464 吉岡

>>465-475 地球奪還作戦会議

>>476-518 キュクロプスP

>>519-523 首相2

>>524-549 侵攻

550BiBi ◆8cBPUextJk:2020/05/13(水) 19:56:33
ab.0449.invasion.021

 駄部首相は、アメリカによる日本への核攻撃の可能性を官房長官から聞かされるや否や、政務を全て放棄して、体調不良を理由に緊急入院した。

入院先は、さざなみ市や東京都からできるだけ離れている、つまり仮に戦争になっても攻撃の対象にならなさそうな、森掛医院という個人病院だった。

 駄部首相は病院に到着すると、若い巨乳の看護婦がいない事に激昂して、診察中の森掛院長を呼びつけた。

「オイ、俺は日本の総理大臣だぞ。なんで俺の担当がババァの看護婦なんだ!?」

「そ、そう言われましても……」

「俺は総理大臣だ。忖度(そんたく)しろ!」
最近覚えたばかりの『忖度』という単語を、ここぞとばかりに使う。

「忖度と言われましても……」

 そこへ駄部首相のスマホが着信音を奏でた。着信メロディはアニメの主題歌だ。

「誰だ? 俺は今忙しいんだ!」

「アタシよ。民捨党の吊元よ」

(うげ!? なんで吊元が俺のスマホの番号を知ってい……、あ!)

駄部首相は、昨年の辞民党恒例のノーパンしゃぶしゃぶでの忘年会を思い出した。

その忘年会で、駄部首相は、酔っ払って吊元議員にイタズラ電話をしたのだ。その時、吊元議員のスマホは留守電になっていて、『テメェが産めよ。あぁ、産めねぇのか』とメッセージを残して電話を切ったのだが、番号を非通知にする184を押すのをうっかり忘れたのだ。

(クソ! いつもは184を押していたのに)
小さく舌打ちをする。
「何だ!? 俺は緊急入院中だ!」

「どうせ仮病でしょ? それより、さざなみ市はどうすんのよ!? アメリカが上空の宇宙船を核攻撃するって噂じゃない! 被虐水はどうするのよ? アンタ、一応は日本の首相でしょ?」

「う、うるさい! 被虐水は完全にコントロールされている!」
駄部首相はそう怒鳴ると、スマホを床に叩きつけた。

「そーり、そーり、そーり……」
スマホから、吊元議員のヒステリックな声が続いていた。

551BiBi ◆8cBPUextJk:2020/05/13(水) 19:57:07
ab.0450.invasion.022

「クソ、クソ、クソ! 民捨党め! いつもいつもいつも代案も出さず、俺の上げ足ばかり取りやがって」

駄部首相は忌々しげに喚き散らすと、隣で唖然としている森掛院長に向き直った。ここは誰かに八つ当たり押して鬱憤を晴らすしかない。

「若い看護婦がいないのか? じゃあその謝罪として、俺の嫁をこの森掛医院の名誉院長にしろ」

「そ、そんな無茶苦茶な……」

「忖度(そんたく)しろ! 俺は日本の総理大臣だぞ! 俺の決定は、国民の民意を得ているんだ!」

 その時、病室のドアが静かに開いた。入ってきた人物を見て、駄部首相は怒鳴るのをやめた。

「な、なんでオマエがここにいるんだ!?」

「ククク。私は総理のブレーンですよ? 常に総理のおそばにいて、サポートするのが私の仕事です」
鶉山が鳩のような含み笑いをもらした。

「そ、そ、それじゃあ、アレ、アレを何とかしろ!」

「アレというのは、宇宙船オリンポス、別名卵型UFOの事ですか?」

「そうだ」

「オリンポスは宇宙を航行してきた宇宙船ですし、大気圏突入時の高熱でもダメージは受けていません。少なくとも現時点では、我々の武器であれを撃墜する事は不可能でしょう」
かなり悲観的な内容だが、鶉山の表情は、むしろ可笑しそうだ。

「うぅむ…………」

「万が一撃墜できたとしても、まぁオリンポスの質量が不明なのでハッキリとは言えませんが……、高度500メートルからあの巨大な物体が落ちてきたら、さざなみ市どころか近隣の街も壊滅して相当な被害が出ます。あの民捨党のことですから、きっと総理の責任を追及するでしょう」

「そ、それだけは絶対にダメだ!」

「ククク。困るというのは、人的被害が出る事ですか? それとも責任を問われる事ですか?」

「お、俺は……」
駄部首相がカッとなったように顔を紅潮させた。

552BiBi ◆8cBPUextJk:2020/05/13(水) 19:57:42
ab.0451.invasion.023

 鶉山は、そんな駄部首相を興味深げに観察していた。駄部首相が気に入らない者に対して報復人事をする事は、政界では知れ渡っていて、それを恐れて誰も逆らわないのだが、鶉山は全く恐れていないように見えた。

実際、恐れていなかった。かつて本人が砂原都知事に語ったように、再就職に困らないだけの高いスキルとキャリアを持っているし、実家も日本有数の資産家なので、報復人事など全く恐れる必要がないのだ。

 そんな2人のやり取りを、森掛院長はオロオロしながら見つめていた。
(もしかして私は、聞いてはいけない話を聞いてしまったんじゃないだろうか……)
目が、そう語っている

 鶉山は、一瞬だけ何かを考えるように沈黙すると、
「幸い日本には新型宇宙生物特措法というものがあります。それを適用するのが先決ではないでしょうか?」
と進言した。

「しんがたうちゅ……、何だそれは?」

「本来は宇宙から隕石などに付着して地球に侵入したウイルスや細菌などに対処するための法律ですが、宇宙人にも適用できます」

鶉山は、駄部首相でも理解できるように、言葉を選びながら説明を加えた。(首相のくせに、そんな事も知らないのか!?)とは、おくびにも出さない。

「まぁ私に言わせれば、隕石の大気圏突入時の温度を考えれば、ウイルスや細菌の心配はほぼないんですがね」

「そんな法律があったのか。じゃあそれを適用すればいいんだな?」

「はい。それであの巨大な宇宙船をどうこうできるとは思えませんが、少なくとも国民には『政府は適切に対策をしている』とアピールできます。一時的ですが、国民のパニック防止には役立つでしょう」

「そうか……。それにしてもそんな法律があった事など知らなかった」

「えぇと……、総理がご存じないのも仕方ないかも知れません。この法律は民捨党政権が施行したものですから」

「民捨党だと!?」
駄部首相が両目を大きく見開いた。
「駄目だ駄目だ駄目だ! 民捨党が施行した法など使ったら、連中の手柄になってしまうだろうが!」

「おやおや、それは困りましたねぇ」
鶉山は、むしろ可笑しそうに「ククク」と含み笑いをした。何を考えているのか分からない、不気味な男だ。異邦人というあだ名も伊達ではない。
「どうしても総理が施行したという事になさりたいのなら、適当に法改正でもしますか?」

「そうだな、法改正すればいい」

「おや、私は冗談のつもりで申したのですが……。法改正となるとそれなりに日数を要しますよ?」

553BiBi ◆8cBPUextJk:2020/05/13(水) 19:58:13
ab.0452.invasion.024

「かまわん。俺は『立法府の長』だからな」
立法府の長を自称する駄部首相の顔は、自信に満ち溢れている。

「クックック、なるほど」
内閣総理大臣は行政府の長であって立法府の長ではないのだが、鶉山は駄部首相の発言を軽く流して、言葉を続けた。
「まぁ新型宇宙生物特措法はそれでいいとして、例の被虐水はどうしますか?」

「そうだな……」
駄部首相は指先を顎に当てて、無言になった。見ると、眉間にシワが刻まれている。そのまま考え込むこと数分、ハッと顔を上げて叫んだ。
「濾紙(ろし)だ! さざなみ市の各家庭に布製のろ紙を2枚ずつ郵送しろ」

「ろし……? 濾紙って、泥水とかをろ過する紙の事ですか? そんな物でどうするのですか?」
異邦人の異名を持つさすがの鶉山も、呆気にとられた

「被虐水を濾す(こす)に決まってるだろ! それに紙じゃなくて、布だ! 布だから、何度でも洗って使えるぞ」

鶉山は、何かを言おうとしたが、駄部首相を見て言葉を失った。駄部首相の顔は、布製の濾紙という案がよほど誇らしかったのか、自信に輝いていた。

(本当に被虐水をろ過できると思っているのか……。さすがに驚きましたね。この話題をこれ以上続けるのはやめておきましょう)
鶉山は話題を変えるキッカケを探そうと、室内を見回した。
「そういえば……、奥様は来られていないのですか?」

「あいつは『梅を見る会』に行っている」

「あぁ、『梅を見る会』ですか。どんな方を招待なさったのですか?」

「招待客は全て嫁が決めたから、俺は知らん。俺は招待客は募ったが、募集はしていない」

「なるほど、募りはしたけれど、募集はなさらなかったと。クックック」
鶉山が大きく頷いた。

その隣で、森掛院長が不思議そうに首を傾げている。頭の中で『募る』と『募集』の違いを探しているのだ。

「今後の予定はどうなさいますか? まずは対策本部を設置しておきますか? 2日もあれば設置できますが、総理の出席のご都合は?」

「そんな暇あるわけないだろ、俺は忙しいんだ。漫画家とのお食事会、閣僚のお誕生日パーティー、フグの試食会、大学の同窓会……、他にも支持者との会食の予定が詰まっているんだ」
支持者を大切にする駄部首相だった。

554BiBi ◆8cBPUextJk:2020/05/13(水) 19:59:19
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

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>>10-16 監獄にて

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>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

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>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

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>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-464 吉岡

>>465-475 地球奪還作戦会議

>>476-518 キュクロプスP

>>519-523 首相2

>>524-554 侵攻

555BiBi ◆8cBPUextJk:2020/06/18(木) 19:27:11
ab.0453.invasion.025

 駄部首相と鶉山のやり取りを、森掛院長はオロオロしながら見つめていた。
(もしかして私は、聞いてはいけない話を聞いてしまったんじゃないだろうか……)
目が、そう語っている。

一国の首相が、この非常時に、布の濾紙を配布するとか、宇宙戦艦とか発言しているのだ。もう自分の耳を疑うか、首相の知性を疑うしかない。

 そんな森掛院長の目の前から、突然、駄部首相の姿が消えた。森掛院長が驚いて周囲をキョロキョロ見回すが、駄部首相の姿はどこにもない。

この院長に対して、鶉山は特に慌てた様子もなく天井の一点を無言で見つめていた。それがさざなみ市の方向だとは、森掛院長は気づかなかった。

556BiBi ◆8cBPUextJk:2020/06/18(木) 19:27:41
ab.0453.invasion.025

 駄部首相と鶉山のやり取りを、森掛院長はオロオロしながら見つめていた。
(もしかして私は、聞いてはいけない話を聞いてしまったんじゃないだろうか……)
目が、そう語っている。

一国の首相が、この非常時に、布の濾紙を配布するとか、宇宙戦艦とか発言しているのだ。もう自分の耳を疑うか、首相の知性を疑うしかない。

 そんな森掛院長の目の前から、突然、駄部首相の姿が消えた。森掛院長が驚いて周囲をキョロキョロ見回すが、駄部首相の姿はどこにもない。

この院長に対して、鶉山は特に慌てた様子もなく天井の一点を無言で見つめていた。それがさざなみ市の方向だとは、森掛院長は気づかなかった。

557BiBi ◆8cBPUextJk:2020/06/18(木) 19:29:50
ab.0454.invasion.026

 駄部首相は、森掛病院から姿を消したのとほぼ同時に、別の場所に像を結んだ。そこは知らない部屋だった。

呆けた顔で周囲をキョロキョロ見回して、背後に男が立っている事に気づいた。屠殺される豚のような悲鳴をあげながら男と反対の方へ逃げ、壁にへばりついた。おそるおそる男の顔を見る。その顔には見覚えがあった。

「ネ、ネ、ネオ……、ネネネ……」
走って逃げようとするが、腰が抜けて立てない。

「とても一国の首脳には見えないが……、オマエが駄部か?」
ピタゴラス博士が、侮蔑をこめた目で駄部首相を見下ろしていた。見ると、駄部首相がへたりこんだ床の上に、失禁した尿が水溜まりを作っている。

(TVで見た宇宙人だ。ど、どうする? きっと日本の総理大臣を人質にとる気だ。他人のフリをしようか? いやいや、そんな事をしたら、人質にする価値がないと判断されて、殺されてしまうかも知れない)

駄部首相は、めまぐるしく頭を回転させた。この首相は、保身のために脳細胞をオーバーブーストさせるスキルだがずば抜けて高い。

「は、はい。そうです」
考えに考えた末、ピタゴラス博士の方を振り向くと、消え入りそうな声で答えた。

558BiBi ◆8cBPUextJk:2020/06/18(木) 19:32:09
ab.0455.invasion.027

「そうか。オマエを見て、物質転送装置が故障したのかと思ったぞ」
ピタゴラス博士は、駄部首相のデータを表示させると、
「学歴といいキャリアといい、オマエのような男が、よく一国の首脳になれたな?」
本人と見比べながら不思議そうに首を傾げた。

自尊心の強い駄部首相は一瞬ムッとしたが、相手が秘書や閣僚ではなく宇宙人なので、いつものように激昂して怒鳴り散らす事はない。

「ん? たいしたキャリアがないと思ったが、アメリカの大学に留学して、政治学を修めているのか?」
ピタゴラス博士が、データの一部を見て感心したように頷いたが、すぐに怪訝そうな表情を浮かべた。
「変だな。そのアメリカの大学には、政治学の講座がないぞ? どういう事だ?」

「は、はぁ……」
駄部首相は、ばつが悪そうに目をそらした。

「フフン。まぁいい。オマエを観察していると、おおよその見当はつく。まぁ我々としては、あのポッシュという男よりも、むしろオマエのような男を歓迎したい」

「は、はぁ……。どうもありがとうございます」
『歓迎』と言われて、駄部首相は少しホッとした。恐怖とパニックで引きつってた顔に、必死に愛想笑いを浮かべる。

「オマエも知っての通り、我々はネオガイア星から来た。オマエたち地球人から見れば、宇宙人という事になる。しかしネオガイア星人の祖先は地球出身なのだ。したがって地球は、ネオガイア星人の所有物という事になる」

「そ、そんなご無体な……」

「アメリカのポッシュに地球の明け渡しを命じたが、あの男は我々に抵抗する気でいる。そこでだ……」
ピタゴラス博士が駄部首相の顔を覗き込んだ。

559BiBi ◆8cBPUextJk:2020/06/18(木) 19:39:40
ab.0456.invasion.028

「日本はネオガイア星人に全面降伏しろ。我々と地球人の兵力では、全く比較にならない。このままアメリカに協力しても、他の地球人と一緒に滅びるだけだぞ?」

「そ、そんな……。私はどうなります?」

「フフン。日本国民ではなく、真っ先に自分の心配をしたか。やはり見込んだ通りの男だ。日本が降伏すれば、国民は奴隷になるが、オマエの身の安全は保証してやろう」

「降伏します!」
駄部首相が返答するのに1秒と要しなかった。

「お、おい!? そんなにあっさりと降伏を決めていいのか? 日本国民は奴隷になるのだぞ?」
これには、さすがのピタゴラス博士も驚かされた。まさか一国の首脳が、自分の安全の為にあっさり降伏するとは、予想していなかったのだ。

「はい。私が総理大臣に選ばれたという事は、民意を得たという事です。総理大臣は立法府の長です。だから私の決定は、日本国民の総意なのです!」

「アハハハ、この地球人、実に面白い」
ピタゴラス博士は大笑いした。

「お、面白いですか? お褒めにあずかり光栄です。」

「では降伏文書に調印してもらおう」
ピタゴラス博士が、書類のような物を取り出した。

「降伏文書ですか!? えぇと、それには必要な手続きが……」
駄部首相は呆けた顔で天井を見上げた。しかし立法府と行政府の違いも分からない男が、降伏文書調印の手順を知っているわけがない。

「そんな手続きなどどうでもいい。今すぐ調印しろ」

「あのぉ、調印の前に……、さっきお約束した件は?」
駄部首相が卑屈な愛想笑いを浮かべながら、上目遣いにピタゴラス博士を見上げる。

「約束? 日本が降伏したら、オマエの安全は保障するというアレか? 心配するな。約束は守ってやる」

「ありがとうございます、ネオガイア星人様。ありがとうございます。ありがとうございます」
先程まで宇宙戦艦を建造して宇宙人を撃退すると息巻いていた男は、安堵の表情を浮かべながら、銀バエのように両手をすり合わせて感謝した。

駄部首相は、ピタゴラス博士から恭しく書類を受け取った。全てネオガイア星の文字で書かれていて内容は分からなかったが、自身の身の安全さえ約束されれば、他の事はどうでも良かった。

「では調印させていただきます」

1999年8月14日、日本はネオガイア星人に降伏した。

560BiBi ◆8cBPUextJk:2020/06/18(木) 19:51:42
ab.0457.invasion.029

 駄部首相は物質転送装置で、先程までいた森掛病院に帰された。

「おやおや、降伏なさったのですか?」
駄部首相から降伏の話を聞かされたにもかかわらず、鶉山は特に驚いた様子はない。

その隣では、森掛院長が呆然と立ち尽くしている。それもそのはずで、自分の国の首相が目の前から突然消えて、再び現れたと思ったら、今度は本人の口から降伏の話を聞かされたのだ。

「う、う、宇宙人は日本人を皆殺しにする計画を立てていたのだ。俺が交渉し、その計画を中止させた。降伏は苦肉の選択だったのだ。俺だから交渉が成功したのだ。民捨党だったら、だめだったに決まってる」

駄部首相が一気にまくし立てた。ただし、一国の首相が自身の安全のために降伏した事は、口が裂けても言えない。

「それはさぞかし苦渋の選択だった事でしょう。お疲れさまでした、総理」
鶉山が感心したように大きく何度も頷いた。

「そうだ。苦肉の選択だったのだ」
鶉山につられるように、駄部首相も何度も頷いた。頷いている内に、自身の安全のためではなく日本人の命を守るために降伏したのだと思い込み始めた。

561BiBi ◆8cBPUextJk:2020/06/18(木) 19:53:31
ab.0458.invasion.030

 駄部首相は、森掛病院からFAXで、降伏文書調印の件を日本政府に伝えた。すぐさま、官房長官から電話がかかってきた。

「何の用だ! 俺は忙しいんだ」
駄部首相はスマホに向かって怒鳴り散らした。

「総理。FAXを拝見しました。降伏文書に調印って、一体どういう事ですか?」
いつもは駄部首相の機嫌を損ねないように話す官房長官も、今回ばかりは、声に困惑と怒気がこもっている。

「う、宇宙人は日本人を皆殺しにする計画を立てていたのだ。俺が交渉し、その計画を中止させたのだ。民捨党だったら、日本人は全員死んでいたに決まってる」

「総理……。こればかりは、『民捨党が』をいくら連呼しても、国民は納得しません。とりあえず降伏文書はどんな内容だったのですか?」

「ま、まぁ普通だ」
駄部首相はバツが悪そうに語尾を濁らせた。降伏文書はネオガイア星の文字で書かれていて、駄部首相はその内容を全く確認せずにサインしたのだが、そんな事は言えない。

「普通って……。とりあえず宇宙人対策本部を設置しますので、ご出席ください」
官房長官は怒りを抑えた声でそう告げると、電話を切った。

 その夜、宇宙人対策本部が設置された。しかし駄部首相は、フグの試食会、閣僚のお誕生日会、大学の同窓会、友人の漫画家との会食といった重要な政務が詰まっていて、対策本部に出席する事はできなかった。

562BiBi ◆8cBPUextJk:2020/06/18(木) 20:04:42
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-464 吉岡

>>465-475 地球奪還作戦会議

>>476-518 キュクロプスP

>>519-523 首相2

>>524-562 侵攻

>>3『注意事項』にも記載されていますが、このアナザーストーリー全編に登場する人物、団体、地名、設定、世界観、その他全てが架空の物です。パロディーですらなく、完全に架空の物です。同じまたは似た名称があったとしても、それはただの偶然です。

563名無しさん:2020/09/24(木) 12:22:54
このアナザーのアナザーを別サイトに投稿したいのですがかまいませんか?
一部は部分的に加筆修正して転用してもかまいませんか?

564BiBi ◆8cBPUextJk:2020/11/27(金) 20:06:07
>>563
私が書いた物に関しては、加筆修正の有無に関係なくご自由にどうぞ。


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