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【セ】『それは頁を手繰るように重く』【ブラミト】

252太刀川 千尋『王とサーカス』:2018/04/05(木) 00:23:28

「……いいや、聞いていないね」

 太刀川千尋は、空になったベッドを見つめていた。
 驚きも、戸惑いもなかった。むしろ、もっと早くこうあるべきだったと思う。

「これは、僕たちは二人とも振られた、ということになるかい?」

 へら、と薄ら笑いを浮かべ、デヴィットを横目で見遣る。
 その言葉に、本気をうかがわせる重さはない。
 ただ、冗談にしては軽すぎた。まるで、感情を入れ忘れたかのように。

 互いが互いの鳥かごだったのだ。
 閉じた世界の中で、リスクもない関係に安心しきっていた。
 彼女は飛び立った。ならば、どこに向かったかは知るべきではないのだろう。


「色々と、お手数をおかけしました」

 さんざん独りごちた後、ようやく取締官に恭しく頭を下げる。

「……でも参ったな。数えるほどしかいない、大切な友達だったんですが」

 ルーズリーフは、覗かないようにする。


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