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【場】『 歓楽街 ―星見横丁― 』

1『星見町案内板』:2016/01/25(月) 00:01:26
星見駅南口に降り立てば、星々よりも眩しいネオンの群れ。
パチンコ店やゲームセンター、紳士の社交場も少なくないが、
裏小路には上品なラウンジや、静かな小料理屋も散見出来る。

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                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
  └──┐    └┘  ┌─┘┌┐    十         《           ││
        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
        ┗┓└┐┌──┘    ┏━━━━━━━【星見駅】┛    ││    ┗
          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
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                      └───┐◇      .《.      ││
                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
                                └────┐││┌──┘
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★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
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410今泉『コール・イット・ラヴ』:2018/09/05(水) 00:05:26

              ザワザワザワ
                         ワイワイワイ

このあたりはいつ来てもにぎやか。
表通りよりも珍しい物が売ってるお店もあるし。
けど、待ち合わせ場所にしたのは失敗だったかな。

「…………」

学校が午前までだったから、
制服のままで来た。まだお昼だし。

                    ガヤガヤガヤ
 
・・・スマートフォンを見てみる。まだ連絡は着てない。

【待ち合わせの相手という事にして絡んでくれてもオッケーです】

411小石川文子『スーサイド・ライフ』:2018/09/11(火) 20:55:56
>>410

ふと、胸の内に寂しさを覚えることがある。
そんな時は、人の多い賑やかな場所を歩くことにしていた。
でも、それが裏目に出てしまったらしい。

  ――……!

不意に、腕を組んで仲睦まじく歩く男女の姿が視界に入る。
その瞬間に、心の奥底から強い想いが込み上げてきた。
それは『あの人に会いたい』という衝動だった。

      タッ

咄嗟に近くの路地裏に入り、急いでバッグを開いて『鎮静剤』を取り出す。
この強い衝動を抑える方法は、これ以外にない。
もどかしい思いで喪服の袖を捲くり上げ、色の白い腕を外気に晒す。

           グッ
                 スゥゥゥゥゥ――ッ

左手に握る『鎮静剤』――『果物ナイフ』の刃を肌に押し付け、
緩やかな動作で音もなく静かに引いていく。
細い血の筋が流れ、指先から赤い雫が滴り落ちる。
それを見ていると、次第に気分が落ち着いていくのを感じた……。

  ……ガヤガヤ

まだ夢心地の状態で、通りを行き交う人々の足音や話し声を聞いている。
その『自傷』が行われたのは、待ち合わせをする少女から、
そう遠くない場所だった。
少女は、どこかで『生物の負傷』が起きたことを感じ取ったかもしれない。

412今泉『コール・イット・ラヴ』:2018/09/11(火) 22:15:50

        ズギュン

「あれ、先生。どうしたんですか?」
「特に危ない事とかしてないですけど」
「歓楽街? お昼だし別にいいですよね?」

          『〝補修〟ガ 必要ナ 気配ヲ感ジマシタ』

「気配ですか? 滑ってこけた人でもいるのかな」

             スゥゥーーッ

「あっ、行っちゃった」

今ここで待ち合わせしてるのに、困った先生だと思う。

「…………」

こういうことってたまにある。理由とかは分からないけど、
先生には先生のフツーがあるのかな。でもどこに行くんだろう?

             ヴィー
                 ヴィー

そんな事を思ってたら、スマホに連絡が来てたし、先生の事はちょっと置いておく。

>>411

           シュルシュルシュルシュル

      シュルシュルシュルシュル
    
           『〝世界はそれを愛と呼ぶ(コール・イット・ラヴ)〟』

                シュルシュルシュルシュル

           『・・・コレヨリ "補修"ヲ 始メマス』

小石川が目にするのは、全身にマスキングテープが絡んだ歩く幽霊。
お迎えにしては奇矯すぎるそいつが・・・傷に吸い寄せられるように、近付いてくる。

413小石川文子『スーサイド・ライフ』:2018/09/11(火) 23:05:33
>>412

  ――あれ……は……?

前触れも無く目の前に現れた奇妙な人影を、ぼんやりした瞳で見つめる。
最初は、自分が見ている白昼夢だと思った。
しかし、徐々に意識が現実に引き戻されていくにつれ、
それが現実の存在であることを理解する。
見覚えのない姿だが、その異質な存在感には確かな覚えがあった。
自分に向かって近付いてくるのは明らかにスタンドと呼ばれる存在だろう。

  「――あなたは……?」

       スッ……

未知のスタンドに問い掛けながら、少しずつ後ろに下がる。
『補修を始める』という言葉は、この腕の傷のことを言っているのだろうか。
あるいは、『補修』というのは比喩のようなものかもしれない。

            スッ……

そのまま下がり続け、距離を離そうとする。
しかし、その先は行き止まりだった。
それ以上は先へ進めない。

                   カランッ

壁を背にした時、左手から果物ナイフが滑り落ち、
軽い音を立てて地面に落ちた。
その空になった左手に、自らの意識を集中させる。
次の瞬間、手品のように『新たなナイフ』が左手の中に現れた。

        スラァァァァァ――――z____

下ろしている左手に、自身のスタンド――『スーサイド・ライフ』が発現する。
しかし、こちらから手出しをするつもりはなかった。
これは、あくまでも『何かあった時のため』の行動だ。
このスタンドの素性は分からない。
だけど、何か危害を加えられたわけではないのだから。

414今泉『コール・イット・ラヴ』:2018/09/12(水) 01:00:43
>>413

          『私ハ 〝コール・イット・ラヴ〟』

          『傷ヲ〝補修〟スル スタンド デス』

      シュルルルルル

手短な自己紹介だった。
それよりも行動に移る方が早かった。

          『手ノ傷ヲ 見セテクダサイ』
          『私ガスグニ 元通リ二 シマスカラ』

      シュルルルルル

体に巻き付いたマスキングテープをほどき、
まるで包帯のようにそれを差し出して来る。

          『剥ガストキモ 痛クハナイデスヨ』

          『傷ニ 染ミルヨウナ薬モ 使ッテイマセン』
          『繋イデ元通リ』『マサニ〝ラヴ〟デス』

奇妙な――スタンド。そう、スタンドだ。
なのに、この『コール・イット・ラヴ』には本体が見当たらない。

まるでロボット・・・教師のような口調で、諭すように語りかけてくるのだ。

415小石川文子『スーサイド・ライフ』:2018/09/12(水) 01:42:44
>>414

スタンドの自己紹介を受けて、軽く頭を下げて会釈を送る。
先程まで緊張していた表情も、心なしか和らいでいた。
続いて、挨拶を返すために再び口を開く。

  「……ありがとうございます」

  「――『コール・イット・ラヴ』……」

  「それが……『あなたの名前』なのですね……」

全身にマスキングテープを身に纏うスタンド――『コール・イット・ラヴ』は、
名乗る前に『私は』と言った。
本体が操作しているのなら、『このスタンドは』と言う方が自然だろう。
もしかすると、『コール・イット・ラヴ』は、
『自分自身の意思』で行動しているのかもしれない。

        スゥッ

穏やかに諭すような言葉を聞いて、
未だ血が流れ続けている右腕を静かに持ち上げる。
そして、その手を『コール・イット・ラヴ』に向けて差し出した。
剥き出しの腕には、果物ナイフによって生じた自傷の『切り傷』が、
生々しく刻まれている。

  「『私の名前』は……小石川文子です……」

  「そして、これは『スーサイド・ライフ』――そう、お呼び下さい……」

反対の左手には、まだ『スーサイド・ライフ』が握られていた。
解除はしていないが、動かすこともしていない。
その腕は下ろされたままであり、発現させた時と同じ状態だ。

416今泉『コール・イット・ラヴ』:2018/09/12(水) 03:19:12
>>415

         『ソレデ 〝正解〟デス』
         『ヨロシクオ願イシマス 小石川サン』
         『ソシテ〝スーサイド・ライフ〟』

              シュルシュルルルル

         『時間ヲ オ取リスル事ハ アリマセン』

傷のいきさつを問う事はない。
『コール・イット・ラヴ』は『補修する』。
ただ、そこにある傷口を。

         ピタッ

巻き付けられたマスキングテープが傷口を覆い隠す。

         『コレデ〝元通リ〟』『補修ヲ終ワリマス』

   スゥゥーーー ・・・

         『ソレデハ ソロソロ戻リマス』
         『待タセテ イルカタガ イマスノデ』

                   『ソレデハ オ元気デ』

スタンドはそれを終えれば、役目を果たしたように去って行く。
追えば本体に辿り着けるかもしれないけれど、意味があるかどうかは小石川次第。

417小石川文子『スーサイド・ライフ』:2018/09/12(水) 17:08:07
>>416

  「――傷を『治す』……」

  「これが……あなたの……」

自傷を終えた後、普段は自分で包帯を巻いている。
だけど、今はその必要はなかった。
マスキングテープの下で、急速に傷が癒えていくのが感じられる。
『コール・イット・ラヴ』の言葉通り、傷口はすぐに塞がった。
元通りになった腕を見つめて、その能力を目の当たりにする。

                   フッ……

今まで握っていた『スーサイド・ライフ』が、幻のように消えた。
空いた左手で、捲くっていた袖を下ろす。
それから、再び『コール・イット・ラヴ』に向き直る。

  「……ありがとうございました」

感謝の言葉と共に、深く頭を下げる。
そして、自身を癒してくれたスタンドの後ろ姿を見送った。
『コール・イット・ラヴ』の本体に全く関心がないと言えば嘘になってしまう。
だけど、『彼女』は傷のことには何も触れないでいてくれた。
だから、今ここで後を追うことはしないのが自分なりの礼儀だった。

              スゥゥゥ……

深呼吸を一度し、先程まで昂ぶっていた心が鎮められたことを確認する。
地面に手を伸ばし、足元に落ちている『鎮静剤』を拾い上げる。
きちんと鞘に収めてから、丁寧にバッグの中に戻す。

    コツ コツ コツ……

  「――……」

路地を出て、少しの間その場に立ち止まる。
おもむろに顔を動かし、一度だけ『彼女』が立ち去った方向に目を向けた。
その方向に対して、慎ましく目礼を送る。
やがて、踵を返して背を向け、反対方向に向かって歩いていく。

誰にも知られることのない町の片隅で、
ほんの僅かな時間の間に起こった、奇妙で小さな邂逅だった――。

418今泉『コール・イット・ラヴ』:2018/09/12(水) 23:30:06
>>417

            ワイ

                ワイ

白昼でも仄暗く、静かな路地を出ると、
歓楽街のにぎわいが世界に戻ってくる。
奇妙なスタンド『コール・イット・ラヴ』は、どこへ?

通りは人であふれている。
誰もが小石川に無関心で、
今起きたことを知る筈も無い。

               スタ スタ スタ

「ごめんね、待たせちゃってさあ」

「平気平気、こっちもフツーに今来たところでしたから」
「じゃあ行きましょう」「さっき見たときはまだ並んでませんでしたし」

                    スタ スタ スタ

小石川の横を通り過ぎてゆく、『清月学園』の女子生徒が二人。
目が合う事も無く、そのまま離れていく。ごくフツーの、日常風景。


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