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経済・企業関連スレその12

4574名無しさん:2022/03/11(金) 01:17:10 ID:NrdB.GxU0
「〇〇さんは最近どちらにいらっしゃるんですか」。ガラス大手AGCの「AGC横浜テクニカルセンター」で生産技術を担当する男性は、キーエンス営業担当の一言に時々ドキリとさせられる。臆面もなく人事異動や投資計画を聞き出そうとするその様子を、ライバルは嫉妬心も込めて「産業スパイのようだ」と表現する。

聞き方は礼儀正しいが、裏側にある意図ははっきりしている。AGCで購買や投資判断に関わるキーマンの動向を把握することだ。異動先のエリアを担当するキーエンス社員と共有できれば、次の製品の売り込みが容易になる。自身の営業成績にはならなくても、会社全体の受注が増えればボーナスとして跳ね返ってくる。

AGCレベルの大企業であれば、そうした営業担当が10人規模で張り付いている。電話やメールでのまめな接触により、横浜テクニカルセンターで生産技術を担当する数百人規模の社員の約半数がキーエンスと何らかの接点を持つようになった。あまりに情報通であるため、「キーエンスの社内にシステムがあって共有されているのでは」とAGCの技術者は不思議がる。

その推測は当たっている。キーエンスでは情報共有が当たり前。顧客の了承は前提だが、営業担当者が誰といつ会い、何を話したかといった情報は、上司だけでなく同じ顧客を抱える営業担当や時に海外担当にも共有する。

それでもなお顧客は逃れられない。AGCの担当者は「キーエンス営業担当の商品知識はずぬけている。競合の製品の使い方ですら懇切丁寧に教えてくれるので、ついつい相談してしまう」と話す。その過程で自社製品を売り込み、シェア拡大につなげていても不思議ではない。

世界では半導体不足や原材料高騰により納期の遅れが深刻化している。そうした中で、キーエンスがこだわる「当日出荷」が改めて強みになっている。同社は営業担当が得た顧客の声から需要動向を迅速に把握し、取引先工場への発注量や製品在庫を精緻に管理することで知られる。今回は競合に先駆けて半導体不足を察知し、普段より在庫を積み増した。多くの中小企業は「今は価格より納期。キーエンスには助けられている」と口をそろえる。

こうした顧客の支持が、キーエンスの業績を押し上げている。新型コロナウイルス禍で規模拡大は一時足踏みしたが、22年3月期の売上高は過去最高を更新し、10年前の3倍超になる公算が大きい。

注目すべきは規模拡大と収益性の向上を両立させてきたこと。21年4〜12月期の売上高営業利益率は55.4%で、10年前の同期と比べて9.6ポイント上昇した。製造業平均の3.1%(20年度、法人企業統計)はもちろん、ファナックの25.9%(21年4〜12月期)をも大きく引き離す。

キーエンスは創業以来、工場を持たない「ファブレス」経営を貫き、製造は委託工場で行っている。21年3月期末の総資産は2兆98億円あるが、有形固定資産は238億円にすぎない。ほとんどの資産は現預金と有価証券の形で保有する。だが本当の資産は、利益を生み出している一人ひとりの社員だ。

(日経ビジネス 中山玲子、西岡杏)

[日経ビジネス 2022年2月9日の記事を再構成]


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