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それは連鎖する物語Season2 ♯2
24
:
西口
:2014/09/08(月) 17:01:09 ID:LJRlUVYg0
ウェディングケーキめいた積載構造の噴水の上で、塔のように屹立する記念碑。
異なる五つの人種が複雑怪奇なポーズで絡み合い、その周囲をらせん状に取り囲んでいる。
何でも五界の恒久的な平和を表現しているらしいが、人体の骨格をまるきり無視したそれらは、どう控えめに表現しても地獄の業火にもだえ苦しむ亡者としか言いようが無い。
初めて見た子供は必ず泣く。纏わる怪談の数は両手足の指を用いてなお余りある。
不気味という感覚をあらん限り詰め込んだようなそれこそが、五界戦乱終結の記念碑「夢と希望の階《きざはし》」だ。
数年ぶりに拝むそれは、ソウジの記憶の底に残っていた昔の姿と寸分も違わず気色が悪い。
顔を見ずとも、傍らの真川が若干引いているのが手に取るようにわかった。
嘗ての自分もそうだったとはいえ、よくもまああんな物を待ち合わせの目印に出来るものだ。
一歩一歩近付いていくたびに、より精細なディテールが判明してきて、その不快さが加速度的に増大していく感覚は、ちょっとした心霊体験だ。
何故無駄に芸術性を取り入れようとしたのか。オーソドックスに加工岩に字を刻めばよかったじゃないか。
(四拾七氏の地位向上とか謳うなら、せめてコレの建設捨て身で止めろ、亡爺ども)
胸中で毒を吐き、知らず記念碑に釘付けになっていた視線を逸らしたソウジの視界に、一人の大男の背が映った。
短く切り揃え、刈り上げた頭髪に、日に焼けて浅黒い肌。
甚平に下駄というこの上なくラフな恰好は、とても元名家の現当主とは思えない。それは薄手の服装故に、より激しく自己主張するその隆々たる筋骨もそうだ。
190を越える長身と合わせて見ると、その男は人の形をした巌のように思えた。
彼こそが伏神聡治の実兄、伏神劔である。
――昔より、また大きくなったんじゃないか。
対象との距離、10メートル。
口元が無意識に綻んでいる事にも気づかず、ソウジは右手を上げ、「兄さん」声を掛けようとして、そのままの状態で停止した。
劔の陰になって見えなかったが、ソウジに背を向ける彼の眼前には、どうやら何者かがいたようだ。
なにやら不機嫌な様子でその陰から飛び出してきた人物を見て、ソウジは固まってしまったのだ。
透き通るような、それこそ「雪のように」白い短髪に、それとは相反するかのような褐色の肌。
一般的な和服の人間が多い街中にあって、その顔以外の全てをローブで覆った出で立ちは非常に目立つ。
その顔立ちは整っているが、その鋭い目つきは遠くから見ても分かるほどに剣呑な輝きを放っており、右目尻から頬を通り、顎先まで奔る一条の赤い刺青も相俟って、明らかに尋常なものとは思えない。
身長は160程度。体格は判然としないが、ただ立っているだけで油断の無さがうかがい知れる。
見覚えが、ある。本人を知っているわけではないが、その面影に重なる人間を、ソウジは知っていた。
だが、彼の足を止めさせたのはその事ではない。その人物の性別である。
女性であった。まがう事無き、女性であった。
「兄さんが女の人と口喧嘩してるッ!?」
「叫ぶほどの衝撃ですか……!」
実際に目の当たりにした衝撃は相当のものだったらしい。
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