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機動戦士ガンダム 〜Mission The Destroy 『TINZYU』〜
1
:
名無しさん
:2010/10/16(土) 17:54:22
―久々に夢を見た。
―親父やお袋、兄貴や妹まだ生きてた頃の夢。
―いつか失った記憶。
―何処に置いてきてしまったのだろうか。
―いや、捨ててしまったのだろうか。
―今日も俺はコントロールスティックを握る。戦いを終わらせるため。答えを見つけるために。
海面上昇、生活環境の変化から人類が宇宙に移民を始めて18年、世界は不況の末、恐慌状態に突入した。
宇宙からの輸入品に高い関税を設け、地球全体の経済の回復を図る地球連邦政府。
宇宙連合、U2はこれを越権行為と非難。関税撤廃を主張するも、連邦政府は聞く耳を持たず、とうとうU2は宣戦布告、同時に生物兵器「グエルト」の地球侵攻を開始し、2陣営の血で血を洗う戦争が始まった。
開戦から4年後。
泥沼状態の中、少しずつ戦況が動き始めた…
4
:
nameko
:2010/10/24(日) 13:07:10
―おい、ミハル。起きろ。
誰かが俺を呼んでいる。
どこかで聞いた声だ、だけど思い出せない。
―ミハルさーん、朝ですよー。
その話し方はお袋?
いや、声の太さは親父や兄貴に似たところがある。
―もう!お兄!いい加減にしてよ!
…まさか。
「だぁぁぁめんどくせぇ!!!早く起きろってんだクソボケ!!!!!」
「うわぁぁっ!」
テーブルクロス引きの要領で引っ張られたベッドシーツごと、ミハル・カトウは床に叩きつけられた。
痛む背中を擦りながら見上げた先には―
「イダチ!何すんだよ!」
「それはこっちの台詞だっつーの!昼寝かと思ったら朝まで寝やがって、こっちはこの冷た〜い床で一晩過ごす羽目になったんだぞ!」
同僚、シュンスケ・イダチは半泣きで床を指差し檄を飛ばす。
ああ、思い出した。
昨日珍獣撃退し帰還して即効寝たんだっけ。
ベッドに寝転んだときは多少の違和感があったけど、眠気と疲労でそんなの気にしてられる状態じゃなかったし。
「しかも変な声色まで使う羽目になるしよぉ!」
それは別に関係ないだろ…
そう言い掛けた所で、ドアベルが鳴った。
『イダチ、朝ぐらい静かにしたらどうなんだ』
「コグレか、今開けるからちょっと待ってろ」
イダチが手元のコントロールパネルを操作しドアロックが解除すると、もう一人の同僚、ノブタカ・コグレが部屋に入ってきた。
どうやらこの騒ぎで起きてしまったらしい。無造作な髪を掻きながら欠伸をしている。
「一体何の騒ぎだよ」
「ミハルのバカが俺のベッドで寝やがるから俺は床で寝る羽目になっちまったんだよ!」
指を指されたミハルはわざとらしく苦笑した。
「いや、ソファーで寝れば良いじゃん」
一蹴され驚愕しているイダチを他所に、視線はミハルへ。
「お前もどうしてこんな所で寝てるんだよ」
「…まぁ、それはだな…」
どこか恥ずかしそうにミハルはこれまでの経緯を説明し始める。
5
:
なめこ
:2010/10/24(日) 14:42:49
どこか修学旅行気分が抜けない少年3人組と対照に、司令室は物々しい雰囲気に包まれていた。
《それで、どの程度の被害を我々は被っているのだ?》
《日本の茨城県、ブラジルのサンパウロ、イギリスもイギリス海峡からロンドンに向けて侵攻してきましたが、すべて撃退に成功しています》
地底ケーブル通信を用いた多数の中継モニターには、いかにもな服装をし、勲章をぶら下げた軍幹部の人々が映し出されている。
中でも一際大きな髭を生やした男は《そうか》と呟くと、手元のキセルを咥えては離す。
最近のU2のグエルトによる強行偵察は目に余るものがあり、形成逆転を恐れている人間も現れ始めた。
次第に恐怖は幹部にも感染し始め、戦艦の建造や新型MS「パペットプロジェクト」のテスト機の実験を実戦と平行して行うまでに至った。
冷戦状態だった戦争が少しずつ動き始めたのだ。
かくして、「パペットプロジェクト」の試験先に選ばれたここ―群馬県の邑楽基地も、例外的に幹部会議に参加しているのだった。
《それで、試験機のテストは良好か?アキツ君》
「ええ、異常といったものはこれといって見当たりません。戦績も上々です」
顎鬚を生やした基地指令アキツは、凛々しい表情で返答した
《そうか、では引き続き頼むぞ》
「了解しました」
すぐさまモニターは暗転、会議は終了。司令室も重苦しい空気から開放された。
「お疲れ様でした。アキツ司令」
基地オペレーターのマヤが持ってきたコーヒーを一口すすると、愚痴が突いて出てきた。
「…やっぱりこの仕事は俺に向いてないな」
「そんなこと無いですよ、司令はがんばっていると思います」
重役達による会議はまだ続くのだろうが、おおよそ手駒の自分たちが知るような内容でもないのだろう。
そうぼんやり考えると、コーヒーを一気に飲み干し、カップをテーブルに置いた。
おかわりを勧めるマヤに断りを入れ、窓際のブラインドに手を伸ばす。遮られていた朝日が、質素な部屋を暖かく照らし始めた。
外を見ると、ジョギングをする兵士達。
「俺もあれぐらい若ければなぁ」
そっと呟く。
現役を引退した老兵の、ちょっとした反発心からでた言葉だった。
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