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白書さん
:2009/11/07(土) 17:49:02 HOST:wcache2.waseda.ac.jp
〈金融政策パネル〉
金融危機がもたらしたマクロ経済学上の課題
経済産業研究所 小林 慶一郎
景気循環を扱うマクロ経済学の過去30年の方法論は、単純な新古典派成長モデルをベースに、様々な市場摩擦や生産技術、効用関数を導入し、現実的な経済変動の再現を目指すというものである。景気循環の性質について、技術進歩(生産性の変化)によって説明できる部分とできない部分を明らかにしようとするのが実物的景気循環モデル(RBC)であり、価格の硬直性を導入することで説明しようとするのがニューケインジアンモデルといえる。
現実の景気循環データへのフィットが良いモデルは存在するものの、異なったメカニズムで同じような景気循環を生成する様々なタイプのモデルが併存し、モデル間の優劣はつけにくい状況にある(Chari, Kehoe, McGrattanによる批判)。モデルの優劣を判断するための一助として、ビジネスサイクルアカウンティングという手法が近年盛んにつかわれるようになり、その結果、景気循環を説明する要因としてLabor wedge(労働投入のゆがみ)が注目されている。ただし、Labor wedgeも複数の異なる要因によって説明できるため、モデルの選別基準としての有効性は十分ではない。
今回の金融危機で課題となったことは、金融システム(あるいは金融的な市場摩擦)を景気循環モデルの中でどのように扱うかという問題である。これまでも投資資金の借入に対する担保制約、資産価格の外生的バブルなどの形で金融的な摩擦が導入されたが、これらの要因は景気循環に大きな影響を与えず、金融的摩擦に対して金融政策が反応する必要性は小さいと判断されてきた(この点は、バブルへの事前的な政策対応に消極的なFEDヴューの根拠となり、今回の金融危機を激化させた一因とも推察される)。
今回の金融危機の本質は、交換媒体としての(広義の)マネーが大量に消失したことであると考えられる。Robert Lucasシカゴ大学教授は、大恐慌時に銀行取付により米経済全体で貨幣量が収縮したことと同型のメカニズムによって、今回の危機でもマネーが消失した、という見解を示している(金融の規制緩和と技術進歩により、リスキーな金融資産が実質的な交換媒体(マネー)として機能していた点に問題があり、バブル崩壊によってマネーが消失するという重大な結果をもたらした)。
ある種の資産が交換媒体として機能するようになり、あるきっかけで、その機能が失われる、という現象は、現状の景気循環モデルでは取り扱い困難である。最近検討されつつあるLagos-WrightのMonetary Searchモデルの枠組みなどを応用し、政策分析のためのモデルの発展を図る必要があるものと考えられる。
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