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【分野】おすすめの本を書くスレ【不問】

31:2008/05/27(火) 08:43:59
http://www.asahi.com/culture/update/0527/TKY200805260355.html

32:2008/05/27(火) 09:07:26
http://www.yomiuri.co.jp/atcars/news/20080521ve01.htm

33よしはら ◆7lqX359TUk:2008/05/27(火) 12:49:15
>>31・32

ん?
これは、30の僕の書き込みに対するコメントではないですね?
ニューススレッドに張るつもりで、間違って張ってしまったのでしょうか。

34:2008/05/27(火) 12:56:48
あ,スイマセン。普通に間違えましたw

35よしはら ◆7lqX359TUk:2008/05/27(火) 12:59:48
「や」君がここに書く前に、挙げてしまいましょう。

石川健治「アプレ・ゲール、アヴァン・ゲール――コードとしての「戦後」」法律時報80巻6号(2008年)19頁以下。

興味深いことは興味深かったです。

ですが、重大な制約というか欠如が、二点どうしても気になりました。
諸々の事情から、この掲示板にはっきりと書くことはできません。
二つの問題点は、相関しています。

一つめの問題点は、僕自身もその制約はなかなか超えがたいので、それを指摘することは公平でないかもしれません。
26頁注(22)とそれ以外の箇所とを比較すると、僕の言いたいことが、お分かりになるかもしれません。

もう一つの問題点は、いくら石川教授のような方法論をとるとしても、かなり不公平であるように思われます。
石川教授の方法論の限界が顕在化するポイントとも言えそうです。
僕の今の居場所を想像していただくと、お分かりになるでしょう。

36:2008/05/27(火) 13:07:52
それは昨日読みましたが,正直なところbeyond my understandingといったところでしょうか。
まあそれは私の単なる勉強不足だとして,「85年生まれ(私)の憲法感覚」からの脱却というのもなかなか困難なものですね。

37よしはら ◆7lqX359TUk:2008/05/27(火) 13:25:08
>>36

そういえば、君が憲法の研究に向かったきっかけなどを聞いたことはありませんでしたね。
ここでそれについてお話しすることは避けたほうがよいでしょうから、またの機会に聞かせてください。
ちなみに、僕が憲法をゼミで勉強するようになったのは、大学入学以降のポストモダニズムとジェンダー論との出会い・コミットメントと、対抗者としての(近代)憲法学の意識からですから、相当に屈折したものではあります。
大学一年のころ、ドゥルージアンの先生による現代思想の授業を受けたあと、次のコマに大須賀明先生の憲法の授業を受講していたのですが、両者の差異は、僕にとって強烈なものでした。

38よしはら ◆7lqX359TUk:2008/05/27(火) 13:33:58
大学入学以降にポストモダニズムとジェンダー論とであったといっても、それらへのコミットメントに繋がるような問題意識というか違和感は、ずっと昔からもっていました。

上で憲法10条がどうとか述べましたが、僕のそういった発想も、実はポストモダニズムから出発しています。

39:2008/05/27(火) 13:45:18
すごいですね。私は小中高時代は随分呑気な感じでしたから,そんなこと何にも考えてませんでしたね。今から思えばそういう時期に色々な勉強をしておくべきだったと強烈に後悔していますが。
まあ私のきっかけは,随分個人的な要素もありますので,またの機会にでも。

40よしはら ◆7lqX359TUk:2008/05/27(火) 13:50:35
了解しました。

というか、おすすめの本を書くスレッドに、雑談スレッド向けのことを書いてしまってすみません。

41よしはら ◆7lqX359TUk:2008/05/28(水) 17:00:25
アーレントが出た関連で。

ジュディス・バトラー、ガヤトリ・スピヴァク(竹村和子・訳)『国家を歌うのは誰か?――グローバル・ステイトにおける言語・政治・帰属』(岩波書店、2008年)

今日発売だったので、僕も精読はまだですが、読むうちにぐいぐいと惹きつけられる、魅力的な対談です。
さすが、現代を代表する〈語り〉手の二人といった印象です。
アーレントについて、かなりの紙幅が割かれています。
訳も分かりやすく、かつ信頼が置けるので、おすすめです。

42よしはら ◆7lqX359TUk:2008/05/28(水) 17:02:06
このような本も読みつつ、ローの予習も、もちろんちゃんとやっています(笑)。

43:2008/06/03(火) 16:40:50
たまには本以外で。

小曽根真『Wizard of Ozone』(2000)
といっても私は殆どtrack11の「We are all alone」しか聴きませんが。元曲のBoz Scaggsのそれもたまに聴きます。古くても良いものは良いのです〔私にとって〕。

44よしはら ◆7lqX359TUk:2008/06/14(土) 20:31:39
>>43

小曽根真さんというのは、ジャズピアニストの小曽根さんのことですか?
この前の2月に聴きに行った演奏会で、彼が演奏されていたのを思い出しました。

聴きに行ったのは、
大阪フィルハーモニー交響楽団(大フィル)の演奏会で、
指 揮:大植 英次
独 奏:小曽根 真(ピアノ)

曲目
ラヴェル/道化師の朝の歌
ガーシュウィン/ラプソディ・イン・ブルー
ベルリオーズ/幻想交響曲 作品14

でした。
小曽根さんはガーシュインを演奏しておられ、またアンコールで彼のオリジナル曲も、かなり長く演奏してくださいました。
アンコールで演奏してくださったオリジナル曲は、"Bienvenidos al Mundo"だったかなあ。

小曽根さんは、超絶技巧を誇っておられましたが、もちろんそれだけではなく、演奏から豊かな音楽性が迸っていました。


ちなみに、上記の大フィルの演奏を聴きに行ったのは、僕は指揮者レナード・バーンスタインが好きで、その弟子である大植英次さんも好きだからです。
彼らは、音楽性も指揮の姿勢も、非常に情熱的です。

45よしはら ◆7lqX359TUk:2008/06/14(土) 20:50:28
ジャズがお好きであれば、こんなCDをご紹介しましょう。
輸入版で恐縮ですが。

"MASS and chamber music"
Compositions by Steve Dobrogosz
performed by Saint Jacob's Chamber Choir, Stockholm Chamber Orchestra
Steve Dobrogosz, piano, Gary Graden, conductor

中島ゼミ生にもご存知の方がいらっしゃるはずです。
ジャズとクラシックの交錯と呼ぶべき性格をもっています。

"MASS"は曲目が
INTROITUS
KYRIE
GLORIA
CREDO
SANCTUS
AGNUS DEI
となっており、形式は伝統的なミサ曲のそれですが、表現はクラシックの枠にとどまらない、すごく格好いいものです。
おそらく、ジャズの性格をもっているためではないでしょうか。

46:2008/07/04(金) 11:37:46
内野正幸『憲法解釈の論理と体系』(日本評論社,1991)。

「厳格憲法解釈論」の考え方は,自分にとってある程度“あたりまえ”の思考方法になっているような気がします。
これは,私が,奥平康弘「試論・憲法研究者のけじめ」法学セミナー369号(1985) の年に生まれたことと関係あるかもしれませんね。もうそういう考えが有力な時代を生きている,と。

47:2008/07/04(金) 11:39:31
湯浅誠『反貧困』(岩波新書,2008)。

なんか日本はおかしい。

48:2008/07/04(金) 21:45:05
合宿前だし、自戒も込めて。

野矢茂樹=植田真『はじめて考えるときのように』(PHP文庫、2004)。

<「考える」とは?>ということが、例によって軽妙な感じで書かれています。

49:2008/07/06(日) 22:10:12
授業の関係で,以下のサイトを使っているのですが,これは非常にありがたいですね。
貴重な資料がふんだんに使われています。

国立国会図書館「日本国憲法の誕生」(http://www.ndl.go.jp/constitution/index.html)。

50:2008/07/11(金) 19:33:58
小山剛『基本権の内容形成』(尚学社,2004)。

うーん。悩ましい。

51:2008/07/11(金) 20:55:01
伊藤正己『憲法入門〔第4版補訂版〕』(有斐閣,2006)。

「おすすめの入門書はなんですか」という困難な質問には,最近はこの本を薦めることで答えています。
コンパクトですが,それなりにしっかりと書かれているように思います。

52:2008/07/12(土) 11:44:34
フジTV「チャンネルΣ・裁判長のお弁当」
結構面白かったですね。別に「お弁当」の内容が注目されているわけではありません。

というか裁判官室に「イトマコ」があった・・・

53:2008/07/12(土) 11:47:59

あんまり詳しく感想をいえないのは,途中から見たからです・・・。
裁判官の日常が少し伺えました。

54:2008/07/16(水) 22:03:01

樋口陽一『比較憲法〔全訂第三版〕』(青林書院,1992)。

部分的に読んだことはありましたが,通読したのは初めてです。
情報量が多く(559ページ),その点で「消化」しきれないでいますが,読んでいてかなり面白いです。最近の議論については,同『国法学〔補訂版〕』(有斐閣,2007)も参考になると思われます。

55:2008/07/24(木) 18:45:27
国籍法違憲判決などに触発されて…

松井茂記『司法審査と民主主義』(有斐閣,1991)。

司法審査は,なぜ,そしてどこまで許されるのか,という問題についてのアメリカ憲法学説史。面白いですよ。

56:2008/08/06(水) 20:18:43
引き続き,<司法審査の民主的正当性>について,

松井茂記『二重の基準論』(有斐閣,1994)。

United States v. Carolene Products Co.,304U.S.144 (1938)のFootnote4を巡るアメリカ憲法学説史。そして,日本における「二重の基準論」の受容史。そして,通説的理解へ挑戦状を叩きつける松井説。

なお,松井先生の理論については,阪口・後掲143頁註3を,それに対する反応(長谷部松井論争を含む)については,阪口・後掲143頁註4を参照。

57:2008/08/06(水) 20:19:42

阪口正二郎『立憲主義と民主主義』(日本評論社,2001)。

「どぎつい」(284頁他),そして「綱渡り」(292頁他)のような,“立憲主義か民主主義か”の選択。
個人的に,第5章「プロセス理論」は面白かったです。Ely≒松井説の「幻想」。前掲・松井『二重の基準論』を読んでいてよくわからなかった松井先生の多元主義と共和主義の関係(混乱?)についても整理されています(207頁以下)。
あと,289-299頁は私にとって強烈なパンチかも。

58:2008/08/06(水) 21:01:22
関連して,

長谷部恭男「司法審査と民主主義の正当性」法律時報69巻6号(1997)49頁以下。

なんかよくわからないなあ(論文本体よりもその後の「討論」のやりとりが)。
あと,同じ特集(「憲法学の可能性を探る」)における,蟻川恒正「人権論の名のもとに」同35頁以下は,判例の読み方のひとつとしてインパクトありますので是非。

59よしはら ◆7lqX359TUk:2008/08/08(金) 17:32:43
「司法審査の民主的正統性」の問題が、なぜか「立憲主義と民主主義」の問題に置き換えられることが多いのに、強い違和感を感じます。
前者については、矛盾を解消しなければならないと考える人がいてもおかしくないとは思いますが、立憲主義一般が民主主義一般と対抗的にのみ捉えられ、しかもその矛盾の解消が図られなければならない、という言説には、賛同できません。

60:2008/08/12(火) 16:22:22
関連して,

松井茂記「『ほっといてくれ』の憲法学から『みんなで一緒にやろうよ』の憲法学へ」紙谷雅子編『日本国憲法を読み直す』(日本経済新聞社,2000)84頁以下。

この本,松井論文に限らず,全体として刺激的で面白いですよー。特に前半。

61:2008/08/12(火) 16:24:12
関連して,

浅野博宣「プロセス理論へ」法学教室327号(2007)14頁以下。

62:2008/08/18(月) 14:16:11

長谷部恭男「法と戦略」『UP』8月号(2008)22頁。

うーむ。

63:2008/08/20(水) 15:21:36
…自分の勉強がいささか不十分な気がします。

藤田宙靖『行政法入門〔第4版〕』(有斐閣,2005)※第5版が2006年に出版されています。
宇賀克也編『ブリッジブック行政法』(信山社,2007)。

藤田先生の本は,いわゆる行政法総論,行政救済法について,初心者向けでありながらそれなりに難しい部分も含めやさしく書いてあります。
後者は,それらに加え,行政組織法,地方自治,行政法の現代的諸問題についても,かなり易しく書いてあります。
この二冊くらいを読めば,<行政法の入門レヴェル>はクリアといっていいのではないでしょうかね。

64:2008/08/24(日) 19:27:40

稲葉馨=人見剛=村上裕章=前田雅子『LEGAL QUEST行政法』(有斐閣,2007)。

実に「御丁寧」なテキストだと思います。(超)重要判例については事実を含めそれなりの長さで引用がなされたり,各論点につき長すぎず短すぎずの記述がなされたりしています。水準は,「はしがき」にあるように,ロー既習者に期待される学習水準(かどうかは私は分かりませんが)です。

65:2008/08/24(日) 21:27:49
しかし行政法っていうものも,実に難しい。
「型にはまった理論」と「現実」との調整というかなんと言うか。

66:2008/09/01(月) 01:29:03
長谷部恭男=田中裕二=太田光『みんなの憲法入門』(講談社,2008)。

NHK「爆笑問題のニッポンの教養」の長谷部先生出演回が書籍化されたものです。

67:2008/09/01(月) 21:56:30
3冊目くらいの基本書として…

松井茂記『日本国憲法〔第3版〕』(有斐閣,2007)。

なぜ,書名が「憲法」でなく「日本国憲法」なのかは読めば分かります。
「法解釈でも科学的観察でもないところの,日本国憲法を内側だけでむりやりにでも自己完結させる(その体系的一貫性を証明する)」(By棟居快行「鏡の国の憲法学」『現代思想』2004年10月号123頁)―本書では,プロセス理論が頭から終わりまで徹底されています。通説的理解をより深く理解するためにも,読むのがよいように思われます。

68:2008/09/01(月) 22:35:12
>>67
でも,松井説については,前掲>>57阪口『立憲主義と民主主義』5章を参照のこと。

69:2008/09/09(火) 19:58:21

樋口陽一『一語の辞典 人権』(三省堂,1996)。

…深い。

70:2008/09/12(金) 22:53:25

芦部信喜『司法のあり方と人権』(東京大学出版会,1983)。

芦部先生の講演録と小論を集めた本。芦部先生の「裁判官を動かしたい!」という熱意が,伝わってきます。

71:2008/09/14(日) 19:52:07

樋口陽一『もういちど憲法を読む』(岩波書店,1992)。

特に、「第4回」(161頁以下)は、とても重要な指摘だと思います。もうこの本が書かれて16年ですが、日本の状況は…。

72:2008/10/23(木) 02:06:56
ネット不通だったのでここにも書いていませんでしたね。

奥平康弘『憲法裁判の可能性』(岩波書店,1995)

“触っただけで骨まで切れそうなカミソリ”のような鋭さ,です。

73:2008/10/27(月) 15:30:53

宮沢俊義『憲法Ⅱ〔新版〕』(有斐閣、1974)。

まずは手始めに。
「第一部」と「第二部」の<総論>が面白いですね。
この本の次は、当然あの本です。

74よしはら ◆7lqX359TUk:2008/10/28(火) 20:38:23
土井真一「人格的自律権論に関する覚書」初宿正典・米沢広一・松井茂記・市川正人・土井真一編、佐藤幸治古稀記念『国民主権と法の支配 下巻』(成文堂、2008年)所収。
および
佐藤幸治「憲法と「人格的自律権」」同『現代国家と人権』(有斐閣、2008年)所収。


土井論文は、人格的自律権の前提とする自律的人格の概念について、イマヌエル・カントの超越論的自我の観念に立ち戻って、再検討しています。
阪本昌成先生からの人格的自律権に対する批判、すなわちカントにおける自律/幸福のantinomyの指摘に対して、批判が試みられています。


しかしやはりここでも、私の抱き続けている、人格的自律権の空間的射程については、言及がされていません。
私は、人格的自律権の射程は、公的領域に及ぶのか、私的領域にとどまるのか、ずっと疑問に思っています。

佐藤幸治『憲法』(青林書院)では、人格的自律権に関する記述が、版によってかなり変更されています。
ある版では、「幸福追求」に関して「公的幸福」の存在を認め、あるいはハンナ・アーレントを引き合いに出しています。
ところが他の版では、これらの記述がなかったりします。

佐藤先生の執筆されたある文献では、人格的自律権(最狭義の。以下同じ)の対象として、「私的事柄」が挙げられているのに対し、他の文献では、「個人的事柄」と改められていたりします。


今回おすすめする、佐藤「憲法と「人格的自律権」」では、幸福追求における公的幸福の占める位置が、かなり重視されています。
この背景には、松井茂記先生の所説の影響もあるようです。
ともあれ、上記「憲法と「人格的自律権」」が現在の佐藤先生のお考えであるとすれば、人格的自律権が公的要素を含む、と考えておられるとも言えそうです。
もちろん、佐藤先生は適正手続保障をも13条によって基礎づけますから、始めから13条に公的要素を認めておられたとも考えられます。

しかしなお、人格的自律権は私的事項に関する主観的権利を類型化したもの、と考える余地もあります。

あいかわらず、答えは見つかりません。

75:2008/11/09(日) 15:38:51
>>73のつづき。書き忘れてました。

清宮四郎『憲法Ⅰ〔第三版〕』(有斐閣,1979)。

「総論」のところ以外は,なかなか進まなかったですね。
今の私には,この手の本(基本書的なもの)は当分不要なようです。

76:2008/11/19(水) 10:04:19

菊地良生『ハプスブルグ帝国の情報メディア革命−近代郵便制度の誕生』(集英社新書、2008)

土日で読みました。「郵便」を切り口にした歴史の本、といえそうです。検閲についての話は、とりわけ興味を持ちました。

77:2008/11/26(水) 12:31:17

石川健治「ところで」法教339号(2008)

ニヤ(・∀・)ニヤ

78よしはら ◆7lqX359TUk:2008/11/26(水) 20:13:29
>>77

「けだし」「が」は、実際気になります。

79:2008/12/07(日) 21:36:16

樋口陽一=栗城壽夫『憲法と裁判』(法律文化社,1988)

二年前にも,発表のために読んだ記憶がありますが,第一部(樋口「裁判と裁判官」)については,「よくわからん」という感想を持った記憶があります。
でも,今改めて読むと,「とても面白い」!

80:2008/12/15(月) 11:23:07

樋口陽一『比較のなかの日本国憲法』(岩波新書、1979)。

最近、ますます樋口先生ファンです。4章はとても興味深いです。

81:2008/12/18(木) 13:32:52

水林彪「近代民法の本源的性格−全法体系の根本法としてのCode civil」民法研究5号(2008)
同「近代憲法の本源的性格−societe civileの基本法としての1789年人権宣言・1791年憲法」戒能通厚他編『企業・市場・市民社会の基礎法学的考察』(日本評論社、2008)


比較参照、高橋和之「『憲法上の人権』の効力はは私人間に及ばない−人権の第三者効力論における『無効力説』の再評価」ジュリ1245号(2003)など。

82:2008/12/18(木) 15:31:46

愛敬浩二「立憲主義」、樋口陽一「企業・市場・市民社会と国家」、前掲・戒能他編『企業・市場・市民社会の基礎法学的考察』。

83よしはら ◆7lqX359TUk:2008/12/22(月) 23:51:49
毛利透『表現の自由――その公共性ともろさについて』(岩波書店、2008年)。

著者の一冊目の単著である、毛利透『民主政の規範理論――憲法パトリオティズムは可能か』(勁草書房、2002年)とは様子が異なり、ドイツとアメリカ合衆国の、表現の自由に関する判例の分析が、多くを占めます。
分析の視座が斬新なところが多く、興味深いです。

84:2009/02/09(月) 21:14:52

遠藤周作『沈黙』(新潮文庫,1981)。

だいぶ前に読みましたが,本棚で発見。これは引き込まれました。

85:2009/02/12(木) 00:25:54

川端康成『雪国』(新潮文庫)。

「夜の底が白くなった。」からはじまる,様々な「色」の描写に引き付けられます。解説は,伊藤整のものが付いていて,非常に参考になります。

86:2009/02/14(土) 01:27:39

夏目漱石『こころ』(新潮文庫)。

7〜8年ぶりに読みました。前回はサッパリ解りませんでしたが。
野暮なことは言えません。が,本多顕彰の手になる解説は,私には役に立ちませんでした。私なりに,解った気がします。

87:2009/02/14(土) 22:22:26

野中尚人『自民党政治の終わり』(ちくま新書,2008)。

さしあたり,「リーダーシップ」よりも「それでも権力分立を」ではないでしょうかねえ。

88:2009/02/17(火) 01:36:35

阿部謹也『「世間」とは何か』(講談社現代新書,1995)。

とりわけ,「序章」と「おわりに」。

89:2009/02/17(火) 22:37:46
関連して,

阿部謹也『近代化と世間―私が見たヨーロッパと日本』(朝日新書,2006)。

90:2009/02/21(土) 19:02:06

山本祐司『最高裁物語(上)(下)』(講談社+α文庫,1997)。

面白かったです。最高裁発足前〜発足直後のことは,判決はともかく,
あまり「知識」がなかったもので。ただ,「ノンフィクション」といえど,
どこまでが「史実」かはよくわかりませんが。

91:2009/02/23(月) 18:15:59

門倉貴史『貧困ビジネス』(幻冬舎新書、2009)。

92:2009/03/01(日) 23:55:55

丸山真男『日本の思想』(岩波新書,1961)。

以前,第2章がわからなくてそこで放置していました。
今度も,第2章はよくわかりませんでしたが,最後まで読みました。
第1章,第4章が特に面白かったです。

93:2009/03/02(月) 00:03:41

丸山真男といえば,「超国家主義の論理と心理」『世界』1946年5月号(同『丸山眞男集<第3巻>』〔岩波書店,2003〕所収)も,大変面白かったです。

94:2009/03/04(水) 00:56:45

トマス・ホッブズ(永田洋訳)『リヴァイアサン(1)〜(4)』(岩波文庫)。

万人の万人に対する闘争か,それとも,絶対的主権者への服従か?

95:2009/03/04(水) 20:53:53

ルソー(中山元訳)『人間不平等起源論』(光文社古典新訳文庫,2008)。

新訳で読みました。
ホッブズの「自然状態=万人の万人に対する戦争」観念を否定し,真の自然状態は,人間=野生動物=基本的には争わない,と。人間の始原的な不平等から,どうしようもない後天的制度的不平等にいたる,一種の「人類進化史」。

96:2009/03/15(日) 21:53:56

ルソー(中山元訳)『社会契約論/ジュネーブ草稿』(光文社古典新訳文庫,2008)。

その「どうしようもない後天的制度的不平等」をやめて,「自由と平等」を「とりもどす」ための「社会契約」について。個人的に,ジュネーブ草稿の方がすっきりしてる感じがあります。

97よしはら ◆7lqX359TUk:2009/03/18(水) 23:37:54
船越資晶「法的思考におけるポストモダンの条件――ダンカン・ケネディのウェーバー論を手がかりに――」法学論叢163巻4号(2008年)1頁以下。

私がかつて受けた授業内容が、ほぼそのまま論文化されています。

万人におすすめできる文献ではありません。
たとえば、「ラング」「パロール」「リゾーム」などの概念が、ほとんどまったく説明なしに援用されています。
憲法の勉強を深めたいのであれば、もっと他の文献を、たくさん読んだ方がよいです。

しかし仮に、上記「ラング」などの概念についてご存知であれば、非常におすすめです。
「社会科学としての憲法学」など、憲法解釈学説群を、違った角度から眺めることができます。

98名無しさん@中島ゼミ:2009/06/09(火) 14:49:23
あるオープンの授業で勧められた本です。
上川あや 『変えていく勇気 性同一性障害の私から』

99名無しさん@中島ゼミ:2009/06/25(木) 22:07:38
>>発表班の人へ

日比野勤「外国人の人権(1)(2)(3)」法学教室210、217、218号(1998)
安念潤司「『外国人の人権』再考」芦部信喜先生古希祝賀『現代立憲主義の展開(上)』(有斐閣、1993)
長谷部恭男「外国人の人権」同『Interactive憲法』(有斐閣、2006)

とりあえずこれくらいにしておきます。

100名無しさん@中島ゼミ:2009/07/03(金) 19:29:30
CiNii(http://ci.nii.ac.jp/)を使って検索しなよ。
本文のあるやつをたくさん検索して読むと良いよ。

101名無しさん@中島ゼミ:2009/07/08(水) 17:22:18
「表現の自由」と「政治」の関係を考える人のための本として
2冊ほど紹介します。

【専門書】

「放送法を読みとく」(2009.7)
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4785716649.html

概念的、抽象的な「マスメディア論」「ジャーナリズム論」ではなく、
法学者の観点から、現代の放送法制の抱える問題点、そして、2011年に予定されている
「情報通信法」構想の概要と問題点を法律的観点から、わかりやすくまとめた一冊。
放送業界の現状と課題から、行政機関の在り方とその国際比較、放送法の逐条解説まで入っていて、
これ一冊を読めば放送行政のすべてがわかる、かも?

【小説】

「虚像の砦(文庫版)」(真山仁著)
http://www.jbook.co.jp/p/p.aspx/3480379/s

『ハゲタカ』著者が描き出すテレビ局の実像
中東で日本人が誘拐された。その情報をいち早く得た、民放PTBディレクター・風見は、
他局に先んじて放送しようと動き出すが、予想外の抵抗を受ける。
一方、バラエティ番組の敏腕プロデューサー・黒岩は、次第に視聴率に縛られ、自分を見失っていった。
二人の苦悩と葛藤を通して、巨大メディアの内実を暴く。

‐‐
NHK番組改編事件など、放送局への政治介入が問題とされた例は枚挙に暇がないが、
この小説で題材として扱われているイラク人質事件報道もその一つであり、
それがちょうど放送局の再免許の年にあたっていたことも指摘がされている。
従軍慰安婦、台湾統治など、歴史認識問題での政治介入が話題となる中、
放送と政治はどのような関係にあるべきか、放送法制、免許法制はどうあるべきか。
気軽に読める小説でありながら、本質的な問題を突き付ける一冊。

102よしはら ◆7lqX359TUk:2009/07/11(土) 00:22:44
現在進行中の長谷部恭男=毛利透論争を、私の把握しているかぎりでご紹介します。


長谷部恭男『憲法とは何か』(岩波新書、岩波書店、2006年)。

毛利透「市民的自由は憲法学の基礎概念か」井上達夫編『岩波講座 憲法1 立憲主義の哲学的問題地平』(岩波書店、2007年)3頁以下。

長谷部恭男「自己目的化の陳腐さについて」UP417号(2007年)47頁以下。

毛利透「市民的自由は憲法学の基礎概念か」同『表現の自由――その公共性ともろさについて』(岩波書店、2008年)25頁以下。
←上掲同名の論文に、長谷部教授に対する反論が付加されている。

長谷部恭男「学説の誤解」法学教室345号(2009年)75頁以下。

毛利透「公私区分の意味――長谷部教授への反論」法律時報1011号(2009年)98頁以下。


論争の概要としては、長谷部教授のきわめて厳格な公私二元論(彼はそれを「立憲主義」の名で語ります)に対して、毛利教授が、表現の自由の場面に着目して、長谷部教授の立論を批判している、というものです。
毛利教授の主張は、長谷部教授のような公私二元論は、表現の自由に関するかぎり、現実に成立しようがない。
また長谷部教授の立論は、表現の自由に関する従来の憲法学説の前提、および国会議員の責任に関する憲法条項の方向性に反する、というものです。

長谷部教授は毛利教授に対して反論を試みていますが、私のみるかぎり、毛利教授の批判は、相当鋭いです。
長谷部教授は論文「学説の誤解」で、従来の彼の学説の理論的先鋭さを、かなり鈍らせています。
「学説の誤解」は、捉え方によっては、長谷部流立憲主義に、法的拘束力はないかのような書きぶりになっています。
立憲主義に法的拘束力がないなど、語義矛盾ではないか、との批判もありえましょうが、実際そう読める叙述になっています。
長谷部教授の「学説の誤解」における理論的「転回」は、後の学説史理解において、ジョン・ロールズの「転回」同様の、重大なものと受け取られる可能性が、大いにあります。

103名無しさん@中島ゼミ:2009/07/13(月) 19:09:56
「誤解」を読み込みすぎではないでしょうかね。また、毛利先生への評価が随分甘い気がしますが。

104よしはら ◆7lqX359TUk:2009/07/13(月) 20:17:26
>>103

>>「「誤解」を読み込みすぎではないでしょうかね」

それはそうかもしれません。
私は、「学説の誤解」により、長谷部教授がこれまで「立憲主義」の名で語っていたところは、「まっとうな政策論や憲法論であるため」の「常識的な話」であることが明らかになった、と考えています。
これをもって、長谷部教授が立憲主義の法的拘束力を否定したものだ、と捉えるのは、「読み込みすぎ」といわれれば、そうかもしれません。
毛利教授の「学説の誤解」に対する理解としても、長谷部教授が立憲主義の法的拘束力を否定したとまでは捉えておられないでしょうが、かなり立憲主義の拘束力を弱めた、と捉えているであろう点では、私と同じ方向にあります。
長谷部教授が、毛利教授の理解に対して、やはり「トンチンカン」と主張する可能性は十分にありますから、現段階で、「学説の誤解」をもって長谷部教授の「転回」と断定するのは、たしかに時期尚早です。

>>「毛利先生への評価が随分甘い気がしますが」

私はかねてから、長谷部教授のきわめて厳格な公私二元論に対しては、非常に批判的でした。
そのために、毛利教授への評価が「随分甘い」ものになっている可能性があります。
もちろん、毛利教授にも批判されるべき点はあって、たとえば毛利透「市民的自由は憲法学の基礎概念か」井上達夫編『岩波講座 憲法1 立憲主義の哲学的問題地平』(岩波書店、2007年)7頁の最終段落2文目「この文からは」ではじまる文は、そのような反対解釈をしてしまってはまずいのではないか(実際長谷部教授が、この点について反論しています)、と思います。
しかし、長谷部教授の厳格な公私二元論に対する批判として、全体的に捉えれば、毛利教授の批判は当たっているところが多いのではないでしょうか。
たとえば言論を、公的言論・私的言論(私的価値観というほうが精確かもしれません)に二分し、 一方は公的言論の場に載せ、他方は排除する、という制度が、現実離れしているというのは、そのとおりだと思います。

105よしはら ◆7lqX359TUk:2009/07/14(火) 14:34:57
長谷部=毛利論争をご紹介するだけのつもりだったのですが、べらべらと私見を述べてしまいました。
あらためてスレッド名を読み返してみると、「おすすめ本」スレッドとしては、スレ違いもはなはだしいです。
申し訳ありません。

>>103でご批判をいただいたことですし、これ以上憶測・深読みで物を言うことはせず、論争の行く末を見守りたいと思います。

106名無しさん@中島ゼミ:2009/07/14(火) 15:46:53
>>105
>>103とは別人ですが、まあ「おススメの理由」としては、
別にスレ違いでもないし、よろしいかと思います。

107名無しさん@中島ゼミ:2009/07/14(火) 15:56:27
ただし、ゼミ生へのおススメとしては、>>102よりも先に、

Jurist増刊 新・法律学の争点シリーズ
『憲法の争点』(有斐閣、2008.12)をおススメしたいですね。

これは、憲法上の争点について、現在論争となっている点について
幅広く取り上げられていて、ゼミでの発表・論点探しにも使いやすいですし、
特に、p.114『表現の自由の保障根拠』は、現在の東大学長である浜田純一先生がお書きになっていて、
表現の自由の根拠をどこに求めるかによって、保障の範囲や理論構成がどう変わってくるのか、
ということが見開き2ページでわかりやすく説明されています。

まずはこれを読んで、全体像を掴んだ上で、>>102に紹介されているような、
毛利透『表現の自由――その公共性ともろさについて』(岩波書店、2008年)
などを読むほうが良いように思います。

108:2009/07/14(火) 19:47:29
長谷部毛利論争については考えるところはありますが,それはさておき,盛り上がっているところで私も紹介します。

三宅雄彦「保障国家と公法理論 : ドイツ規制緩和における国家任務の位置」社会科学論集(埼玉大学)126号,S.31ff.(2009)。
http://sucra.saitama-u.ac.jp/modules/xoonips/detail.php?id=KY-AN00109186-0126-02
ここの「Download」から読めます。なかなか専門的ですが,興味深く読みました。

入門といえば,有賀弘他編『政治思想史の基礎知識』(有斐閣,1977)もいい本だと思います。

109よしはら ◆7lqX359TUk:2009/09/08(火) 23:09:37
雑談スレッド>>195でもご紹介した、内田樹先生と、社民党の福島党首との対談です。
http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/other/peace0908.htm

内田先生の書かれる文章は、エマニュエル・レヴィナス(やジャック・ラカン)を扱う専門的論文も非常に興味深いのですが、彼の政治的言論も、大変刺激的で、参考になります。

哲学がお好きな方であれば、彼の政治的議論を、レヴィナスの他者論などと照らし合わせる、といった楽しみ方もできます。

110名無しさん@中島ゼミ:2009/10/30(金) 01:47:36
西原博史『自律と保護』(成文堂、2009)。面白かったです。

111名無しさん@中島ゼミ:2009/12/02(水) 13:30:32
安念潤司「判例で書いてもいいんですか?」中央ロー・ジャーナル6巻2号85頁

「判例は神、学説はゴミ」の真意。

112名無しさん@中島ゼミ:2009/12/07(月) 17:29:49
>>111
読みました.いかにも安念先生といったところですかね.

113よしはら ◆7lqX359TUk:2009/12/25(金) 22:28:17
「法科大学院コア・カリキュラム第一次案」
http://www.congre.co.jp/core-curriculum/result/index.html

私の所属するロースクールでは、「まだ、中間案の段階ですが、みなさんの学習にとって参考となるものと考えられますので、目を通すようにしてください」との通知がなされています。

とりあえず、憲法に目を通してみました。
「共通のミニマム・スタンダード」(「総論」より)とされてはいますが、なかなか難しい問題も、かなり含まれています。
これを網羅的に知識として定着できれば、かなりの力がつくと思われます。

統治機構編のあとに人権編が配置されているな、と思ったら、土井真一先生が主任を務められているのですね。

114名無しさん@中島ゼミ:2010/03/23(火) 18:42:25
あまんきみこ(文)二俣英五郎(絵)『きつねのおきゃくさま』

「はずかしそうに わらって しんだ」キツネの顔の表情こそが,
この絵本の神髄だと思います。

115名無しさん@中島ゼミ:2010/04/24(土) 02:33:51
これおもしろいよー
http://www.nhk.or.jp/harvard/

116よしはら ◆7lqX359TUk:2010/04/27(火) 00:31:12
土井真一「憲法判断の在り方――違憲審査の範囲及び違憲判断の方法を中心に」ジュリスト1400(2010年5月1-15日)号(2010年)51頁以下。

新司法試験受験生は、必読の文献です。
憲法訴訟論の諸概念・論じ方が、きわめて明確に説明されています。

日本の最高裁の違憲判決は、そのほとんどが、立法事実に基づいて法令自体を違憲とする方法によっています。
適用違憲の例は、第三者没収事件くらいだといわれます(私自身は、政教分離に関する諸判例のほとんどは、適用審査が行われたものだ、というべきではないかと思っていますが)。
しかし、これら違憲判決の大半は、芦部信喜先生の用語法だと、文面審査にも、適用審査にも、分類することができません。
彼によれば、文面審査は、立法事実を顧慮せずに、法令の文字面だけを判断材料にするものです。
けれども最高裁は、違憲判決を下す際、ほとんど常に、立法事実を顧慮します(森林法判決しかり、最近の国籍法違憲判決しかり)。
そのため、芦部先生の用語法だと、これを文面審査と呼ぶことはできません。
適用審査を行ったものということも、もちろんできません。

上記土井論文を読めば、最高裁の違憲判決のほとんどをなす、立法事実に基づく法令自体の合憲性審査についても、適切に呼称することができるようになります。
立法事実に基づく客観的審査(佐藤幸治先生をはじめ京都学派の用語法)、あるいは立法事実に基づく広義の文面審査(法令審査)、と呼べばよいのです。

さて憲法訴訟論は、学部はもちろん、ロースクールでも、あまり時間が割かれないので、理解が不正確な人が多いです。
たとえば、世間に出回っている「答案例」の類では、(広義の)文面審査(=法令自体の合憲性審査)をする際には、一定の違憲審査基準を採用して、目的・手段審査を行っているのに、適用審査になると突如、なんら違憲審査基準を省みず、当該事案の事実関係を羅列して、合憲/違憲の結論を導き出すものが、非常に多いです。
広義の文面審査で目的・手段審査をした以上、適用審査だからといって、いきなり比較衡量法によるのは、不自然ですし、誤りです。
広義の文面審査で、一定の違憲審査基準を採用したのならば、適用審査でも、制約されている人権・制約の態様が同じであるかぎり、基本的に同じ違憲審査基準を用いて合憲性審査をしないと、おかしいです。
ですが、学生のなかでは、これを理解している人のほうが少ないようです。

そういった点も含め、ぜひ一度、土井論文をご覧ください。

117よしはら ◆7lqX359TUk:2010/04/27(火) 00:37:05
安西文雄「政教分離と最高裁判所判例の展開」ジュリスト1399(2010年4月15日)号(2010年)56頁以下。

最近の、砂川市空知太神社事件違憲最高裁判決に関する判例評釈です。
同判例の評釈は、いくつか出始めましたが、現時点では、上記論文が最良のものです。
きわめて精緻かつ網羅的に検討しています。

もちろん、まずは、ジュリストの同号に収録されている最高裁調査官解説を読む必要がありますが、同解説は、判決文を読んで分かる以上のことは、あまり説明していません。
そのため、判例分析をするには、他の評釈を読む必要があります。

118よしはら ◆7lqX359TUk:2010/04/27(火) 01:03:28
>>116に追記。

政教分離に関する諸判例は、公権力の行為が合憲性審査の対象となっているので、精確には処分審査というべきですが、処分審査は適用審査に含めて論じられることが多いので、>>116のように書きました。

119名無しさん@中島ゼミ:2010/05/07(金) 21:58:16
プラトン(北口裕康訳)『ソクラテスの弁明 関西弁訳』(パルコ出版、2009年)

これは読み進めるのが速かったです。岩波文庫版はどうしても眠たくなってしまうもので・・・(笑)半ば上方落語ですね(笑)

120名無しさん@中島ゼミ:2010/05/10(月) 21:27:32
必要あって,高橋和之=佐藤幸治=棟居快行=蟻川恒正「(座談会)憲法60年」ジュリスト1334号(2007)を読んでいたのだが、高橋=佐藤VS棟居のやり取りにおもわず噴出してしまった(17-21頁)。

121名無しさん@中島ゼミ:2010/07/15(木) 23:33:27
中島徹「『公務員は一切、政治活動をしてはならない』のか――猿払の呪縛」法学セミナー668号(2010)

122名無しさん@中島ゼミ:2010/09/22(水) 02:02:29
山口いつ子『情報法の構造――情報の自由・規制・保護』(東京大学出版会、2010年)。

非常に勉強になる本です。

今までほとんど日本の憲法研究者が扱ってこなかったテーマについて、深く掘り下げています。
叙述のスタイルはオーソドックスで、アメリカの判例や学説を、手際よく整理しています。
アメリカの判例からマイナーな理論に至るまで、非常にフェアに扱っており、内在的な解説がなされています。
判例・学説の紹介に当たって、主として支持者による議論の蓄積をしっかりと論じたうえで、批判説を紹介しています。
著名な判例からマイナーな理論まで、まずは支持者による内在的な議論をしっかりと分析する、という点は、当該判例・理論を学ぶうえで、大変役に立ちます。

現在日本で、日本やアメリカの判例を紹介するアプローチは、内在的なアプローチと外在的なアプローチとに、二極化しています。
内在的なアプローチとは、時代背景まで史料によって把握し、判例に関する学説の蓄積を踏まえたうえで、判例を内在的に理解しようとするアプローチです。
外在的なアプローチとは、判例に関する学説の蓄積にはほとんど言及せず、自己の独自の理論体系に適合するように、判例を外在的に読み替えるアプローチです。
たとえば、日本の判例を、アメリカの法思想・社会思想によって正当化しようとするアプローチや、日本の一定の判例は、ドイツの歴史的な国法学説に依拠したものだとするアプローチなどです。
後者のアプローチは、十分に判例を理解した者にとっては、興味深いものですが、これからはじめて当該判例を理解しようとする際に、参考書として用いるのは、不安が残ります。
山口先生の本は、判例・理論を内在的に理解しようとするものなので、内在的アプローチに属しますが、非常に新しい問題を扱っていることもあって、時代考証まではなされていません。
しかし、さまざまな判例・理論を非常にフェアに扱っているので、アメリカの判例・学説に疎い人間にとっては、大変安心感があり、勉強になる本です。

123名無しさん@中島ゼミ:2010/10/03(日) 00:53:56
法セミの駒村新連載の展開にわくわく。
あと法教の青井演習の展開もわくわく。

124よしはら ◆7lqX359TUk:2010/12/08(水) 23:56:17
ジョン・ロールズ(川本隆史・福間聡・神島裕子訳)『正義論 (改訂版)』紀伊国屋書店、2010年11月24日。

長らく熱望されていた訳書です。
学部のうちに、またマイケル・サンデルを読む前に、本書を読んでおくことをおすすめします。

125名無しさん@中島ゼミ:2011/01/17(月) 22:51:47
ここを見てる人はもはやいるのか疑問ですが。

山口進=宮地ゆう『最高裁の暗闘』(朝日新書、2011)
面白いですよ。非常によく調べられていると思います。

126よしはら ◆7lqX359TUk:2011/06/09(木) 18:39:41
櫻井龍子「行政法講座――福島第二原発訴訟」自治実務セミナー2011年6月号。
福島第一原発の事故と原発訴訟との関係に興味があれば、読むべきです。
著名な行政法研究者による論考ですが、行政法教義学というよりは、行政法社会学の要素を強くもった論文です。

127よしはら ◆7lqX359TUk:2011/06/09(木) 22:32:08
すみません、上記論文の著者名を、最高裁判事の名前と、間違えていました。
正しい著者名は、「櫻井敬子」です。

128名無しさん@中島ゼミ:2011/06/17(金) 17:59:30
大前研一『日本復興計画 Japan; The Road to Recovery』(文芸春秋、2011)
原発関連で、私からも1冊ご紹介を。著者は原子力工学博士号を
取得した後、原子炉プラントの設計にかかわった経歴の持ち主です。
なぜIAEAが、その予算の多くを日本に割いてきたのか。その理由の
一端が見えるような気がします。

「国策といえば、『夢の原子炉』高速増殖炉やプルマーサルも国策である。
使用済み燃料の中からフェニックスのようにプルトニウムが再生し、これを
循環させれば、日本のエネルギー問題よ、さようなら。だから国策として
やりなさいというのが日本の政策である。
 これをオモテの国策とするなら、実はウラの国策がある。プルトニウムを
抱えていれば、90日で原爆が作れる。だから、国内に使用済みプルトニウムを
貯蔵して持っておくこと自体が日本の抑止力となり、安全保障になるという
理屈である。」
(上記書籍より抜粋)

129よしはら ◆7lqX359TUk:2011/07/22(金) 20:24:21
山本真敬「藤田裁判官の「判断過程統制」の検討」早稲田大学大学院法研論集138号(2011年)201頁以下。

1、はじめに
著者の山本真敬君とは、今も親しくさせてもらっています。
彼の初めての公表論文、しかも後述のように、大変な力作が公にされたことは、誠に慶賀の至りです。
研究者でもない私には、彼の論文についてとやかく言う資格も能力もないとは思いますが、より多くの人に本論文に接していただくため、若干のコメントをさせていただきます。

2、特筆すべき特長
(1)藤田意見自体の分析
本論文は、藤田宙靖最高裁元判事が、議員定数不均衡訴訟において明らかにした「判断過程審査」の手法について、「考慮要素審査」と「時宜適合判断審査」とに分かったうえで、両者が藤田判事の意見においてどのような意味をもっているのかを探究しようとするものです。
従来、毛利透先生の著作などにおいて、考慮要素審査ではなく時宜適合判断審査こそが、判例にとって重要な意味をもっていることが、明らかにされてきました。
本論文も、そのような理解と軌を一にします。
しかし本論文は、それにとどまらず、藤田意見の文言を丁寧に読み解くことから出発しつつ、意見の帰結にとって真に意味のある判示とそうでない判示とを具体的に摘示し、考慮要素審査よりも時宜適合判断審査のほうが、意見にとって重みをもっていることを、明らかにしています。
判示の峻別手法も、あくまでも判文を基礎にしつつ、大変周到になされています。
(2)藤田意見の多数意見に対する影響
藤田意見が、最高裁の多数意見に対して影響を及ぼしたかについては、学界の関心も高いです。
本論文は、考慮要素審査・時宜適合判断審査のそれぞれについて、最高裁の多数意見に影響を及ぼしたことを、明らかにしています。
その手法は、考慮要素審査については、多数意見が挙げるようになった種々の考慮要素を、具体的に挙示し、また時宜適合判断審査については、藤田意見の背後にあった政治的意図をも考慮に入れつつ検討する、という綿密なものです。
藤田意見の多数意見に対する影響について、考慮要素審査と時宜適合判断審査とを明示的に区別しつつ論じた著作は、従来あまり見当たりません。
両者を明確に区別しつつ検討することで、藤田意見の多数意見に対する影響の存在が、非常に見やすくなっています。
(3)このように、本論文は、判決の文言にしっかりと定位しつつ、説得力のある新たな分析の視座から、藤田意見を精緻に分析するものであり、きわめて有益な著作です。

130よしはら ◆7lqX359TUk:2011/07/22(金) 20:24:59
3、アドバイス
僭越ながら、若干のアドバイスもさせていただきます。
(1)表記
ア、「考慮要素審査」
本論文が用いる「考慮要素審査」は、一般的な用語なのでしょうか。
本論文は、「当然考慮に入れるべき事項を考慮に入れず,又は考慮すべきでない事項を考慮し,あるいはさほど重要視すべきではない事項に過大の比重を置いた判断をしてい」ないかの審査を、「考慮要素審査」と呼称しています。
しかし、行政法学では一般にこの審査を、「考慮不尽・多事考慮」の審査と呼んでいるはずです。
イ、「判断過程統制」
「判断過程統制」のなかに、考慮要素審査のみならず、時宜適合判断審査をも含めていることには、違和感を感じます。
従来、考慮要素審査は、行政裁量に関する判断過程審査のなかに含めて論じられてきました。
しかし、時宜適合判断審査は、行政裁量統制において問題とされてこなかったために、いきなり判断過程統制のなかに含めて論じられると、用語法上違和感を感じます。
実質的にも、時宜適合判断審査においては、立法府がなんら判断を行わず、漫然と制度を放置した場合も審査の対象となります。
立法府がなんら判断をしていないのに、「判断過程」統制を云々することは、不自然です。
このようなことが生ずるのは、本論文において「判断過程審査」の定義が示されていないことによります。
立法裁量統制と行政裁量統制のあり方は、異なるものであり、行政裁量統制の場面で使用されている「判断過程審査」の定義は、立法裁量統制の場面では、一定の変容を被る可能性があります。
にもかかわらず、立法裁量統制について論じた本論文で、「判断過程審査」の定義が示されていないことには、問題があります。
そもそも行政法学においてすら、「判断過程審査」は必ずしも頻用される概念ではないだけに、よりいっそう、本論文での定義が求められました。
ウ、判示
判示が、多数意見のものなのか、個別意見のものなのか、一つ一つ説明がないために、非常に読みづらくなっています。
たとえば、209頁後半の判示引用は、多数意見の引用に読めますが、実際は藤田意見の引用です。
また、判示が衆議院に関するものか、参議院に関するものかの摘示がないのも、非常に分かりづらいです。
215頁以下では、もっぱら参議院に関する叙述が展開されていますが、同頁なかほどでは、衆議院に関する分析もするかのような論述があります。
そのため、その後の叙述が参議院に関するものなのか、衆議院に関するものなのかが、とても分かりにくかったです。
エ、「又は」「若しくは」
「又は」「若しくは」の使い分けは、法律学の基本なので、正確に理解しておきましょう。


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