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直観音楽アンサンブル とりあえず2

52千手★:2007/12/09(日) 05:25:56
【承前】
 2005年6月30日に都ホテルでお会いできたのは幸福なことだった。前日、メンバーの神村さんと訪ねた時は
お会いできず、ホテルの宿泊者名簿に名前すらないということだった。伝言すら伝えられなかった。その後東京や京都の
ゲーテ・インスティチュートの方々の尽力で、カチンカ・パースベーアさんとともに来ていて、カチンカさんの名前で
泊っているということがわかった。30日には妻と訪ねた。ホテルに戻ってくる頃の時刻。妻が目ざとくそれらしい人を見つけた。
追いかけて、「ヘルン・シュトックハウゼン」と呼びかけた。「二十数年前にお会いしたナカジですと」自己紹介した。
あの大きな目がすぐに変化する。その目が満身を込めた暖かい表情になり、そして両掌で握手をしてくれた。
このこれだけの行為で、何と大きなことが伝わることか。
 
 「CDはないのか」と訊かれた。まだないと答える他なかった。「直観音楽アンサンブル」として活動を
再開してまだ間のないときだった。「明後日の土曜日に演奏会をするが来ないか」、と誘った。
土曜日は人と会う約束があるということだった。その演奏会で録音したなかで一番いいものをDATテープのまま、
その翌日ホテルに届けた。お会いすることはできなかった。後日『来るべき時のために』の新作CDを送ってくれた。

 今てもとにわたしたち「直観音楽アンサンブル」が2006年11月26日に演奏したCDがある。
曲は「正しい長さ」と「無限に」。85点水準の演奏だ。これでもパリ・グループの演奏よりは優れたものだ。
わたしたちはケルン・グループの『短波』の演奏を100点と考えている。そして90点以上の演奏をして
お聞かせしようと思って録音演奏活動をつづけていた。今年11月11日に録音演奏会を開いたときには
ある予感があった。もういつ迄ご存命かわからない。時期を区切り、その時までの最高の演奏をまずはお
聞かせしておきたいと思ったのだ。期限を来年の3月いっぱい、とメンバーには言った。
気持ちではこの11月11日が最後だと思っていた。その時の「無限に」の演奏。
相当によい水準の演奏ができた。87点ぐらいだろうか。だが、わたしのミスで、録音ができていなかった。
録音に成功していれば、それをお送りしていたかもしれない。けれど今思うのだが、
録音されていないその時の演奏こそを、生前のシュトックハウゼンへの最後の贈りものと考えようと思う。
 シュトックハウゼンは巨大な人だった。わたしにとって、「溺れることのできる海」だった。
 満身の感謝を捧げたい。


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