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なぜエスペラントは普及しないのか?

23松戸彩苑:2008/01/19(土) 18:20:44
>>22
いくつかコメントしたい事があります。

まずザメンホフは、自分の思想(Homaranismo と言います)を、あくまでも「個人的な意見」
として発表してるんですね。
つまり「誰にも無理強いしない」ということを自ら明言してるんですね。

それから、ザメンホフの思想の内容ですけれども、これについて説明する前に、まずザメ
ンホフが生きていたころのヨーロッパ情勢について知っておく必要があります。

ザメンホフが生きていたころは、ポーランドという国は無く、ポーランドの東半分はロシア領、
西半分はドイツ領、そして南側のほうはオーストリア=ハンガリー帝国の領土だったんで
すね。

で、ザメンホフが住んでいたのはロシア領となっていたポーランドの東半分だったんです
が、ロシアにおいてはユダヤ人がひどく差別されていたんですね。

高校に入りたくても、ユダヤ人の受け入れ人数はものすごく少ないとか、基本的にユダヤ
人は公務員になれないとかというのはまだ序の口で、何十年かに一度「ポグロム」と呼ば
れる反ユダヤ暴動が起こって、キリスト教徒の一般民衆がユダヤ人を襲撃して殺害する
ということまであったわけです。
ザメンホフ自身も、生涯のあいだにポグロムに2度遭遇してまして、そのときは地下室に何
日か隠れていたそうです。

日本では「ユダヤ人差別」というと、ナチスによるものと、ドレフュス事件くらいしか知られて
いないみたいなんですが、現実には、昔は今以上にキリスト教色が強かったわけですから、
程度には差があっても欧米全体に反ユダヤ的な雰囲気というものがあったわけです。

で、ロシアは特にユダヤ人差別がひどかったんですね。

ザメンホフの思想というのは、このような当時の社会のなかで「生存の権利」を求めるもの
だったんですね。

「思想」というと、なんだか胡散くさいものだと思ってしまう人が多いわけですが(もちろん、
胡散くさい思想が多いのも事実なんですが)、しかし、ザメンホフの要求したものは、あくま
でも「生存の権利」を求めるものであり、きわめて真っ当なものだと思うんですよね。

ザメンホフの思想について考える際には、こういった当時の事情を理解していただきたい
ものです。

また、こういったことについてもっと詳しく知りたい場合には、ザメンホフの伝記であるとか、
あるいはザメンホフの演説や論文を邦訳した水野義明(編・訳)『国際共通語の思想』(19
97年 新泉社)という本を精読されると良いと思います。
---

それから「ザメンホフやエスペランティストたちが、エスペラントを特別視する」というお話で
すが、これには理由があります。

つまり「民族語」のあいだには優劣は無いのですが、しかし「国際共通語」として使われる
言語については、学習が困難で、ネイティブとそうでない人とのあいだに深刻な差別を生
む民族語であってはならず、必ず、合理的に作られた人工語でなければならない、という
考え方がエスペラント界にはあるんですね。

これは「国際語思想の本質と将来」という1900年ごろに執筆・発表されたザメンホフの論
文のなかに書いてありまして、先述の『国際共通語の思想』のなかにも収録されています。

ということで、ご指摘のような「自国語至上主義」などとはまったく違うんですけれども、ど
うもこの点がなかなか判っていただけないようですね。
まぁ、説明のしかたが良くないのかもしれませんが。


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