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なぜエスペラントは普及しないのか?

16松戸彩苑:2008/01/18(金) 04:22:39
たしか半年くらい前だったと思いますが、私はこの掲示板のどこかに「町田健という言語学
者がエスペラントについて論じている」と書いたんですが、最近、部屋の掃除をしているとき
にこの文章をコピーしたものが見つかりましたので、ここに引用することにします。

出典は、町田健(著)『言語学が好きになる本』(1999年 研究社)の172〜177ページで
す。

なお、この文章には脚注がついているんですが、これを忠実に再現することは困難ですの
で、本文のあとに注を付すという形にしておきました。

エスペラントをやっている我々のような者が読むと、あちこちに文句をつけたくなるような文
章なんですが、しかしこれが、東大の大学院を出たプロの言語学者なんですよね。
---

Q24 英語とエスペラントはどっちが国際語にふさわしい?

  エスペラントは本当にやさしい?

エスペラントは、一八八七年にポーランドの眼科医である(注1)ザメンホフが考案した人
工言語です。人工言語に対して、日本語や英語のような「普通の」言語を「自然言語」とい
います。自然言語は、まさに自然に、いつの間にかできあがっていたコトバでして、誰かが
作ったものではありません。一方、人工言語は、エスペラントの場合のように、誰がいつ作
ったかちゃんと分かっているコトバのことをいいます。

人工言語として一番有名なのはエスペラントですが、人間なら誰でも使える人工言語の
発想は(注2)十七世紀からあり、特に十九世紀の終わりから二十世紀の初めにかけて、
たくさんの人工言語が作られています。たとえば、「ボラピュク」「インテルリングア」「イド」
「オクシデンタル」「ノビアル」などで、ほとんどが英語とかラテン語とかの、ヨーロッパの言
語をもとにして作られた言語です。

さてエスペラントは、世界中の誰でもが、同じコトバでコミュニケーションを取り合うことが
できるようにすることを目的として作られた言語ですから、覚えなければならない単語の数
は自然言語よりも少ないですし、語形変化などの文法規則にも例外がないようになってい
ます。

そういう点では、英語や日本語に比べると覚えやすい言語なのでして、それじゃあなんで
エスペラントが世界のどこでも通じる国際語として使われるようになっていないんだろう、
と思う人がいても不思議ではありません。多分、(注3)世界に百万もいるというエスペラン
トの愛好者(「エスペランチスト」と呼ばれます)もそう思っているはずです。

その理由としては、まずエスペラントそのものの性質があります。エスペラントは覚えるの
が簡単だと申し上げましたし、エスペランチストもそう言っているのですが、それはヨーロッ
パ諸語を話す人々にとってであって、日本語とか中国語などを使う非西欧人にとってはそ
うではありません。

エスペラントでは(注4)「人間」は homo、「本」は libro、「パン」は pano、「美しい」は bela、
「持つ」は havas と言うのですが、こういう単語は、イタリア人とかスペイン人なら、大体の
ところの意味の見当はつくでしょう。でも私たち日本人の大多数は、イタリア語もスペイン
語も知らないのですから、pano はパンかなあ、そういえばどっかの本屋の名前が「リブロ
栄」とか言ってたから、libro っていうのは「本屋」っていう意味なのかなあ、みたいな感じ
でぼやっと分かる程度ではないでしょうか。

英語を使う人々だって、やっぱりスペイン語なんかを勉強していないんだったら、意味の見
当がつくのは、havas ぐらいだと思います。エスペラントで覚えるべき単語の数は少ないと
いっても、全部で一万五千もあるのだそうですから、これだったら英単語を覚えるほうが楽
かもしれませんよね。


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