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エスペラントの学習法

1ladio:2006/11/05(日) 20:09:21
皆さんはどんな方法でエスペラントを学習されましたか?
kiamaniere vi lernis esperanton?
私たち、後輩にぜひともご指導お願いします。
Bonvole instruu al ni.

単語の覚え方、おすすめの学習書、などなど

52松戸彩苑:2008/02/09(土) 13:17:12
【松戸彩苑の考えるエスペラント学習法 (8)】

私はこれまで「使用頻度に過剰にこだわるのは良くない」「挫折する可能性が高いし、また、
たとえ憶えられたとしても潜在的な能力しか付かないのではないか」と論じてきました。

しかし、それはあくまでも一般論でして、他方では「使用頻度にこだわったほうが良い」場
合もあるんですね。
それは何かと言いますと「大学入試に備える」場合です。
こういう場合にかぎっては、使用頻度がきわめて重要な意味を持ってくるんですね。

言うまでもなく、エスペラントの場合「入学試験」はまったく関係ないんですが、しかし、使用
頻度について徹底的に考えることが、エスペラントの学習法を考える際にも必要だと思い
ますので、これについても論じることにします。
---

1967年に出版された森一郎(著)『試験にでる英単語』(青春出版社)という本があります
が、皆さんもご存じのように、この本はベストセラーになり、現在でも販売されてるそうです。
(余談ながら、著者は1991年に死去されています)

この本のまえがきや第Ⅰ章に、この単語帳がどのようなコンセプトのもとに編まれたのかが
書いてありますが、それを要約すると次のようになります。

  従来の単語帳は、ソーンダイクの頻度表をもとにして作られているが、これらは日本の
  大学入試に出る英単語をうまくカバーしていない。

  たとえば technology、reverie、snobbish、antipathy、generalization、intuition、frustrati-
  on、supplement、urban、contagion、concede、trait、deflation といった単語は大学入試
  によく出てくるのに、従来の単語帳には載っていない。

  また逆に abdomen、abominate、accede、aggregate、bawl、dungeon、efficacy、confis-
  cate、confute、deign、alumnus、auditor、parry、phosphorus、pith といった単語は多くの
  単語帳に載っているが、最近の入試にはまったく出ていない。

  そこで、過去数十年分の大学入試問題を分析して、単語帳を作った。

というわけです。

「なるほどな」という感じはするのですが、しかし考えてみますと、これはあくまでも「日本の
大学入試」を基準にしたものなんですね。

ご存じのように「日本の大学入試の英文というのは、英語を母語とする人たちから見て、や
たらと難しく、そして不自然だ」と言われていたんですよね。
私の知るかぎりでは、少なくとも1980年代にはそう言われていました。
(私は、それ以前はどうだったのかは知りませんし、また現在のこともよく知りません)

そういう問題があるのですが、森氏は

  大学入試の英語の問題には、犬とねこがけんかして、ねこが、ついに、犬の耳をかみ
  切ってしまった、というような、愚にもつかない poor な内容のものは、まったくないので
  あって、もっと知的・抽象的なものがほとんどである。一例を示すならば

  (1975年に出た改訂新版では23〜24ページ)

と大見得を切って、お茶の水女子大学の入試に出た英文をあげておられます。
ここでは先に、その日本語訳のほうを見ていただきましょう。


  【訳】 妥協というものは、常に、議論の結実であり、妥協はイギリスにおいて政治的行
  動の精髄である。(しかし一方では)妥協は政治の具として非常に不完全なものでもあ
  る。それは、変化の過程を遅れさせ、たいていの偉大な改革案の鋭鋒をにぶらせる。
  それは、人間関係の諸問題において、あらゆる楽天主義の敵である。なぜなら、それ
  の根本的理論は、変化というものは善い結果のみならず悪い結果をも、もたらすという
  ことであるから。

  (同書24ページ)

53松戸彩苑:2008/02/09(土) 13:18:42
>>52 の続き)

どうでしょうか。
日本語なのに、なんとも判りにくいんですよね。

で、元の英文のほうを見ると

  Compromise is ever the fruit of discussion, and compromise is the essence of poli-
  tical behaviour in England. Compromise is a very imperfect instrument of government.
  It slows down the process of change and takes the edge off most great reforming
  proposals. It is the enemy of all optimism in human affairs, for its basic theory is that
  change does harm as well as good.

  (同書24ページ)

ということになっています。
たしかに、文法的にも、単語の難易度にしても、それほど難しすぎるわけではないというこ
とは判るんですね。
でも文章全体は、日本語で読んでも、なんとも判りにくいものになってしまってるんですね。

で、もしも日本語を学んでいる外国の人たちが、先にあげた和訳のような文章を、苦心惨
憺して読んでいたら、日本人なら誰だって「これで良いのかな?」って思うと私は思うんで
すよね。

でも、(少なくとも数十年前の)日本の大学入試の英語の問題はこういうものだったのです
から、たとえ英文としては変だったとしても、それを何としてでも解かないといけなかったわ
けです。

ということで森氏は

  「諸君にとって、最も重要な単語とはどういう単語ですか?」と質問してみると、たいてい
  の人から「最もしばしば用いられる単語です」という答えがはねかえってくる。しかし、こ
  れは誤った答である。もう一度、念のためにいうが、われわれにとって最重要単語とい
  うのは、使用頻度数の多いものではなくて、たとえ、そんなにしばしば使用されないもの
  であっても、その1語を知らないと、その文全体の意味が把握しにくくなるような知的・
  抽象的な単語である。

  (同書25ページ)

などと公言してるんですね。
「もう、とにかく入試に合格することしか目標にしていない」という、なんとも割り切った態度
であるわけですね。

なお、この引用文のなかで「われわれにとって最重要単語というのは、使用頻度数の多い
ものではなく…」と書いてありますが、私に言わせれば、これは「頻度至上主義」の亜流に
過ぎないものだと思います。
---

このように「大学入試のためのツール」としてならば、頻度順の単語帳というのも大いに役
に立つのです。
しかし、こういうもので勉強しますと、やさしい言い回しを身につける前に、難しい単語をたく
さん憶えることになってしまいますので、かなり歪んだ知識を身につけることになってしまう
んですね。

ですから、さんざん苦労して難しい単語をたくさん憶えたのに、海外旅行に行ってみたら、
必要最小限のことも表現できない、なんて事になってしまうんですね。
これでは、あちこちから恨み節が聞こえてくるのも無理はありません。

でも最近では、かつてのように難解な英文が出題されたりはしなくなったようです。
もっともそのせいで、大学において英語の専門書を読むのが大変になったという話もある
みたいですが、でも私は

  大学において英語の専門書を読ませたいというのであれば、その大学の英語の授業で、
  その分野に絞って教えれば、効率が良い。

と思うのです。

先にも述べたように、やさしい言い回しを身につける前に難しい単語をたくさん憶えさせると
いうのは、とくに会話能力をおかしくしますので、良くないと思います。

私はそう思うのですが、しかしエスペラントを推進する立場からすると、このようにしないでく
れたほうが都合が良いわけなんですね。

(終わり)


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