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エスペラント改造論

268松戸彩苑:2008/06/07(土) 14:16:16
>>267 の続き)

それから、1900年ごろに執筆されたと予想されている「国際語思想の本質と将来」のなか
にも、次のような箇所がありました。

  もっと便利な形にした方がよい単語がいくつかあるのは事実だ。だが、そういう単語はご
  く少数だ。エスペラント以後に現れた多くの言語案のどれ一つを取っても、語彙の少なく
  とも六〇パーセントはエスペラントと同じ形になっていることを見れば、この点がよく分か
  る。さらに、付け加えれば、残りの四〇パーセントの単語がエスペラントと形が違ってい
  るのも、言語案の作者が国際語の種々の重要原則に留意しなかったとか、まったく必要
  もないのに語形を変えたとかいう理由によるにすぎない。だから、容易に出て来る結論
  としては、もっと便利な形にするためエスペラントとは異なる語形になった単語の実際の
  数は一〇パーセント前後を越えることはないと言える。だが、このようにエスペラントの
  文法はほとんど変える必要がなく、語彙も一〇パーセント程度変えればすむとしたら、か
  りに新人工語が創造され、あらゆる分野で実用に役立つとして、そういう新しい人工語は
  いったいどんな姿となるのだろうか。そういう言語は、じつは新言語ではなく少し修正した
  エスペラントにすぎないことになるのではないか。したがって、国際語の将来に関する問
  題は、エスペラントを変更なしに採用するか、それともいくぶん修正を加えて採用するか
  という選択の問題にほかならなくなるだろう。だが、こういう問題は、エスペランチストに
  とっては、もはやまったく意味がない。彼らは、個々の人間が思いつきで勝手にエスペラ
  ントを変えることに反対しているだけなのだ。だから、権威ある会議や学士院のような機
  関がエスペラントに部分的修正を加える決定をしたら、エスペランチストはその決定を歓
  迎しても何も損にはならない。そうなっても、新しい難しい言語をはじめから学び直す必
  要はなく、一日か長くても数日かけて修正部分を習得するだけですむのだ。

  我われエスペランチストは、自分たちの言語がぜったいに完璧で、それよりすぐれた言語
  は存在するはずがないなどとは、まったく主張していない。事実はその反対だ。権威ある
  会議が開催され、その決定が全世界に効力を有することが分かれば、エスペランチスト
  たちは、言語全体の見直しや有益な改良を任務とする委員会の設置を、みずから進んで
  その会議に提案するであろう。そのけっか、エスペラントが原型をとどめないほどに変更
  されても、異議はないのだ。だが、そういう委員会にその仕事が果たしてできるのか、際
  限もなく長い年月がかかるのではないか、委員の合意によって首尾よく決着がつくのか、
  できあがった言語は実際に役に立つかなどについては、まったく予想がつかないのが現
  状である。したがって、もしその委員会が事実上あらゆる点で完結し試験ずみのげんに
  ある言語をしりぞけ、問題の多い将来の言語を採用するとしたら、もちろん、それは愚か
  で許しがたい行為だ。だから、エスペラントは不適当だという結論に達したとしても、選定
  会議が決定できることは、たかが知れている。つまり、さしあたってエスペラントをいまの
  ままの形で採用し、これと並行して委員会を任命して、エスペラントの完成か、またはもっ
  と理想的な新言語の作成にあたらせる。そして、委員会の作業が首尾よく終わり、できあ
  がった言語がいろいろと試してみてじゅうぶん役に立つと分かったときに、そのとき初めて
  「現在の形の国際語は時代おくれだから、その代わりに新しい形の言語が登場した」と発
  表できるのだ。選定会議はもっぱらこのように運営されるべきだということに、良識ある人
  なら誰でも同意するだろう。したがって、未来の世代の言語がエスペラントではなく、これ
  から作成される言語になるとしても、その新言語はかならずエスペラントを経由して作られ
  るはずなのだ。

  (同書85〜89ページ)


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