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科学と疑似科学とを判別する

762diamonds8888x:2020/12/04(金) 05:39:39 ID:Qix9q/lA
【To All】この投稿はKenさん向けではなく、ご覧になっている他の人達向けです。
【まず訂正】>>758 で3ステップに分けた中の「推論」は「演繹」とします。その方が、この部分は数学なんだということが忘れにくいでしょう。


 >>743>>743 における問題は、熱力学(統計力学)というよりもむしろ、「確率論の中の数学と自然科学」という問題だと、私は気が付きました。確率論を学習したり応用したり考察したりする場合に、数学プロパーの人でもない限りはサイコロなどの具体例を使って考えます。そのために数学の部分(仮説と演繹の世界)と自然科学の部分(経験と観測の世界)とを混同してしまうというわけです。

例1)
第1ステップ 1-6の目の出る確率が全て等しいサイコロを用意する
第2ステップ 600回振って1の出る回数を計算する ;演繹
  その結果 100回付近での各回数の確率が正規分布で得られる ;演繹予測結果
第3ステップ 実際に600回振って1の出た回数を数える ;検証

 これでは、物であるサイコロを用意するとか、実際に600回振ってとか数学ならぬ自然科学での操作が含まれてしまっています。もっと数学らしくしましょう。

例2)
第1ステップ 1-6の目の出る事象の確率が全て等しいとする ;仮定または公理
第2ステップ 600回振って1の出る回数を計算する ;演繹
  その結果 100回付近での各回数の確率が正規分布で得られる ;演繹予測結果
第3ステップ いやいや、「その結果」までで数学は終わりですよ(^_^)

 この比較を見れば分かる人にはもう数学と自然科学との混同という意味は一目瞭然ですから、ひとまずここまでとしてもいいのですが、ちょっと第1ステップの比較を考えてみましょう。

 後者は典型的な数学における仮定をおく形になっていますが、前者では「用意する」などと日常的な、すなわち数学ならざる作業になっています。これはまさに自然科学的操作であって、「どうやって確率の等しいサイコロを用意するのか?」「用意したサイコロの目の出る確率が等しいことはどうやって保証するのか?」という疑問が生じるわけです。生じない人は・・・考えがあまーーーい。

 そして「サイコロを用意する」という操作を自然科学的操作と意識して、現実に近いものに表現すれば、次のようになります。

例3)
第1ステップ 1-6の目の出る確率が全て等しくなるであろうようにサイコロを作る
第2ステップ 既述と同様 ;演繹
  その結果 既述と同様 ;演繹予測結果
第3ステップ 既述と同様 ;検証

 第3ステップはまさしく作ったサイコロが思惑どおりに確率が全て等しくできたかどうかを確認検証しているのです。では第1ステップでは、「確率が全て等しくなるであろう」ものの作成法をどう決めるのでしょうか? それは色々と考えられます。
 例えば、全体が均質で正確な立方体となっていて、各面の摩擦とかも等しい、とか、「ともかく各面が区別し難く作れば確率も等しくなるだろう」という一種の「理論」に基づいて作ります。
 別法では例えば、作り方を試行錯誤して、上記3ステップによる検証を繰り返しながら調整していくという方法もありますね。

 で、次のような例も考えられます。
例4)
第1ステップ サイコロを用意した。1-6の目の出る確率は不明。なのでこの確率をPi (i=1-6) とする。
第2ステップ 既述と同様 ;演繹
  その結果 既述と同様 ;演繹予測結果
第3ステップ Pi を推測 ;測定値を求める

 いやいや、この例4はよくやられてますね。放射性元素の壊変定数の測定とか、素粒子の寿命の測定とか、所定量の薬物を100匹のねずみに与えた時に何匹死ぬかとか、色々。当然ながら、測定値には誤差があります。

 ひとまず、ここまで。


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