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トンデモネタに対する突っ込み用情報ソース備忘録

12NATROM:2006/08/24(木) 00:37:27 ID:Z2veARY2
反証可能性を持つことを科学の必要条件であるとしたポパーの基準を自然淘汰説に適用し、「自然淘汰説は反証不可能であり、科学ではない」と主張されることがしばしばあります。ポパー自身が自然選択説は検証不可能であるとしたと主張されることもあります。この問題についてきちんと書こうと思いつつほったらかしにしています。本当は原著にあたって書くべきですが、幸いなことに複数の日本語の文献でこの問題に触れたものがありますので、それを紹介することにします。「進化をめぐる科学と信仰」大谷順彦著P65より。ちなみに、この著者はクリスチャンです。[ ]内は引用者による。

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[ダーウィニズムは検証可能な科学理論ではなく、形而上学的な研究プログラムでしかないとした1976年のポパーの論文を大谷が紹介したのち]

ここでポパーが「ダーウィニズム」とよぶのは、全体の文意から「進化論」ではなく、「自然選択」を指していることがわかります。これだけ読むと、「創造科学」者たちの指摘は正しいかのようです。しかし、重要なのは、その翌年ポパーが上記の自説を次のように撤回していることです。

「これらの著者に影響されて、過去に私はこの(自然選択の)理論をほとんどトートロジーとし、そして、自然選択の理論が(トートロジーなので)検証できないにもかかわらず、どうして科学的にひじょうに重要であるかを説明しようとした。これについてのわたしの解決法は、自然選択論が一つのもっとも成功した啓示上学的な研究プログラムであるというものであった。自然選択論は、多くの分野で詳細な問題を提起し、こうした問題の受容しうる解答はいかなるものかを教えてくれる。わたしは、現在でも、自然選択はこのような研究プログラムとして機能していると考えている。しかしながら、自然選択という理論の検証可能性と論理的な立場について、私は見解を変えた。そして、これまでの自説を撤回する機会がもてたことを喜んでいる。わたしの撤回が、自然選択の立場を理解することに少しでも貢献できることを望んでいる。」
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また、ポパーは過去の自分の主張が「創造科学者」たちに利用されていることを聞いて、

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「ある人々はわたしが古生物学や地球上の生命進化史のような歴史的科学の科学性を否定していると考えているようである。これは誤りであって、これらや、また他の歴史的科学も、わたしの見解では科学的な性質をもっていること、また、これらの科学の仮説が多くのばあい検証が可能であることをここで確認しておきたい。」
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と述べたそうです。「ポパーは『自然選択はトートロジーで検証不可能』と述べたけど、後に『いや間違い。検証可能で科学である』と意見を撤回した」という話は、他、複数の文献で出てくる有名な話であるようです。ネット上では、上記引用した部分を含め、原文・和訳つきで、

http://transact.seesaa.net/article/20950421.html

で詳しく論じられています(こんなページがあるなら私がやる必要ないじゃん)。少なくともポパーを援用して、「進化論こそポパーの意味での科学とはいえない」とは言えません。


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