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戦争を考える

353犀角独歩:2005/12/16(金) 18:18:47

―352からつづく―

権威主義的パーソナリティについては、先に西田師の簡潔なまとめを紹介したので、ここでは繰り返しません。

以上、記してきた点で、いまの日本は「民主主義」国家といえるのという疑問をわたしは懐かざるを得ません。実質的な国家の様態としては、Juan Jose Linz がいうところの権威主義国家体制に移行しているのではないのかという強い危機感があります。また、国民も権威主義的パーソナリティの要素を依然として孕んでいる点が危惧されます。

なお、Linz がいう権威は政治体制の分類であり、 Fromm また、Adorno がいう権威は心理分析の側面です。

305において、敢えて Adolf Hitler を加えたのは、「民主主義」、それも議会制「民主主義」の許で、ファシズムを達成したからです。このナチズムの分析から権威主義的パーソナリティは言われるようになりました。このナチズムを生んだドイツと現代日本の酷似を論ずる声は多くあります。危機感を懐く動機にもなっています。

わたしはここで政治学的成果を語ろうという意図はないのですが、しかし、権威が近代政治を分析するキーワードになっている点は注意が引かれます。また、この権威は、また、政治に留まらず、宗教、さらに軍隊とも密接に関連しているからです。

なお、 Marcuse の『エロス的文明』からエロス(eros)とタナトス(thanatos)についても触れようかと思いましたが、この点はもう少し熟考してからにします。

Jurgen Habermas における公共理論は、先に望月哲也師の提言から、考えさせられた点です。戦後、信教の自由が認められる一方、政教分離は原則となりました。戦前の国家神道を頂点とする宗教政策は、例えば自律を対照とする個の宗教とも言うべき仏教を、鎮護国家論とはまた違う視点から国という枠組みから統合するものであったわけです。そんな反省から戦後の宗教は、政治と関わりに関してはかなりナーバスでした。結果、宗教のスタンスとは、「私」に留まるものになっていった傾向があったわけです。そこでただ創価公明だけがこのようなタブーを破り、いまや与党勢力にまでなっていったわけです。この創価公明の問題は別の機会にしますが、ともかく宗教は「私」においやられ、ある面、修辞道徳とのどこが違うのかというほど、個人レベルのものになっていった感があります。また、政との関わりは、それこそ世論に強い反発を生じさせるものでした。

しかしながら、こうなると、例えば仏教でいう菩薩行は、単なる弘教に留まるばかりで、一集団の利得と教線拡大という内部的意義を超えないものとなります。つまり、一宗教団体という閉じた系の中、悪くいえばコップの中の問題に過ぎないことになるわけです。しかし、社会の典型である政治へ関与すれば、それは公明党のごとく、政治活動であって、宗教活動そのものから乖離せざるを得ないというジレンマを有します。

ここで、望月師、また、西山師が Habermas の公共圏理論を通じて、提言されたことに、わたしは思わず頷いたわけです。

つまり、政(国)と教(私)という二分極ではなく、政の手の入りきらない、また、私の範疇を超えた私の集合であり、国家まではいかない中間地点、すなわち、公共圏において、宗教果たすべき役割があるのではないのかという提言です。国の一歩手前の市民運動という位置と換言もできるかも知れません。 Habermas 理論は、直ちに日本に当てはまるのかという点は今後の課題としても、わたしは宗教の受け持つべき場が「私」から公共に拡大されることは実に有意義なことであると考えます。ここに宗教の存在価値も見出せるとも思うわけです。しかしこれが政の活動となるときの教が反比例して衰えることもここではありません。

政治的には権威国家体制・軍国化の監視、公共圏における活動、そして、そのために個人的には権威主義的パーソナリティからの脱却という3つの柱は、いま日本の宗教と宗教者が担う使命ではないのかというのが、わたしの現段階における考えです。

この考証はしかし、当スレのテーマが示すとおり、『戦争を考える』点に主眼があり、それを仏教徒という立場から読み替えれば、軍縮、非戦、憲法擁護という立場に成らざるを得ないということでもあります。

以上、雑駁に示しましたが、ここでは政治討論をする気はわたしはありません。権威と権威主義的パーソナリティからの脱却を据えた宗教者、取り分け、日蓮門下は不殺生、非暴力、不服従というこれまた3本の柱に立ち、では、その鼎盆の上に載る21世紀の日蓮をどうするのかを考えることを、むしろ、わたしは個人的なテーマとしているからです。

以後、Milgram の分析も踏まえながら、もう少し考えてみたいと思います。

(以上、人名に関してはカタカナ表記が一様でないものも多々あるので、原語表記、もしくは英語表記としました)


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