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戦争を考える
222
:
犀角独歩
:2005/12/07(水) 03:18:37
> 214 01さん
ローレンツ『攻撃 ― 悪の自然誌』(みすず書房)はいまから30年前に発刊された名著でした。訳者の言を借りれば
「ローレンツは同種個体――種(アルトゲノツセ)を同じくする仲間(Artgenosse)――どうしの闘い、すなわち攻撃性(アグレツシヨン/Aggession)について、彼が歩んだと同じ道を辿りながら、読者に語る」(P384)
というのが、この書の内容でしょう。
動物学者である著者はしかし、人間の戦争を動物に見られるそれから分析したところにこの書のユニークさと価値があるとわたしは思います。
動物の同種どうしの攻撃性は、その種の発展と維持に役立っている。ところが人間の場合はそうはならない点を分析するこの書の切れ味は鋭いと思います。
動物には本来、同種を殺せる能力のある種とない種があると言います。前者はたとえばオオカミは一咬みで同種のオオカミを殺すことができる。このような種の場合、攻撃性はセーブされ、どのような闘争になっても、実際に相手を殺すに至らない抑制が種全体の特徴となっている。実際のところ、喧嘩するたびにかみ殺し合っていれば滅んでしまうわけだから、このような抑制が発達したと言うことでしょう。一方、ウサギなどは同種の仲間を殺す能力は持っていない。このような点では、上述のような発達は起こらないとまず観察結果を報告します。では、人間という種は、どちらかというと、後者に属するといいます。つまり、人間という種は、オオカミのようには、同種攻撃の抑制が発達しなかった種であるといいます。ところが人間は武器をもつにいたったわけです。いわば、オオカミの牙をもつことになった。オオカミであれば、その牙で同種をかみ殺さない発達を遂げているが人間はその発達がない。その発達のないところで、武器を手にした人類は無制限の同種殺戮を開始することになった。
これが第一段階である。
それでも同種殺戮は、手斧といった武器であった限りは、殺す相手の苦痛の死は、同種死に過敏反応を示す生物共通の心的特徴から抑制にはなっていた。ところが近代の兵器の発達は、その抑制すら取り除いてしまったと指摘します。
「近代の遠隔操作兵器…使う際、わたしたちは抑制を解発し、同情をかき立てるいっさいの刺激状態から全く切り離されてしまっている。私たちの情緒的深層は、この人差指の発射の合図が他人のはらわたを引き裂くのだということに、全く気付きはしないのだ。もし野獣を歯や指の爪で殺さなければならないとしたら、人はウサギ狩りにだって行かなくなるだろう。
わたしたちの武器が届く距離が増せば増すほど、私たちの行為がもたらすいっさいの結果はますます感情に届かなくなる。こうして、行儀の悪い子に一発見まうことすら、おいそれとできない人にも、ロケット兵器とか爆弾投下装置のボタンを押し、それによって何百人というかわいらしい子供たちを焼き殺すことは、やすやすとできる。善良な、ちゃんとして礼儀正しい一過の父親たちが、じゅうたん爆撃をやってのけた。驚くべき、そして今日ではもう本当にあったとは思えないような事実ではないか」(P332)
頁は前後しますが、ローレンツは以下のように人類を観察します。
「かりにひとりの行動学者が、ある別の惑星、たとえば火星から、人間の社会行動を望遠鏡を使って客観的に調べてみたとしよう。その望遠鏡は、人間をひとりひとりを見分けて個人の行動を追うには倍率が低すぎるけれども、民族の移動とか戦闘のような大きな出来事はちゃんと観察できる。さて、その結果、かれは人間の行動が理性とか、まして、責任感に従っているどころか、人間の集団はネズミのそれとたいへんよく似た構造をもっているのだと、十分な根拠をもって結論するだろう。かれらはネズミ同様、閉じた民族の間では社交的に平和に暮らそうとするが、自分の党派ではない仲間に対しては文字通り悪魔になるのだ。さらに、この火星の観察者が、人口の爆発的増加とか、武器の脅威の増大とか、人類が二、三の政治陣営に分かれていることなども知ったらどうだろう。かれは人類の未来を、ほとんど食料もつきた船の上でいがみ合っているネズミの群の行く末とさして換わらないと判断するだろう。それでもネズミのほうはまだ楽観できる。というのは、ネズミの場合には大量殺戮のあとでも、ともかく種を保つにたるだけの数だけは残っているだろうからだ。水素爆弾を使ったあとの人類については、それは極めて疑わしい」(P328)
以上のようなローレンツの分析は、人類の特性から戦争を考えていくものでした。わたしは以上の記述を読みながら、日本という国家も、ネズミの集団賭さして変わらない暴走をはじめようとしているのではないのかという危惧を抱いたわけです。この本については、また取り上げようと思います。
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