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全国の都市間競争の現実

120凡人:2012/01/12(木) 04:23:42
眠る海の資源、新産業に 函館の研究(4)
2012/1/11 1:53

 「生き残りをかけ限界に挑戦」――。年の瀬を迎えた12月27日、地元造船会社、函館どつくの本館屋上に2012年に向けた鮮烈なスローガンが掲げられた。同社は函館で115年の歴史を持つ。その老舗が新型船開発や大型船用修繕ドックの復旧など次々と新しい戦略を打ち出し始めた。

 同社は市電の終点になるなど市内での存在感は群を抜くが、その歴史は平たんとはいえない。オイルショックに端を発した造船不況、北洋漁業の衰退が社業を圧迫し、1970年代から経営の苦境を伝える記事が頻繁に新聞に躍った。赤字経営からの脱却を目指したが、07年、大阪市の名村造船所の連結子会社に。

■「若さ」が原動力

函館どつくは2014年まで1年に7隻前後の新造船の受注がある(同社提供)

 「挑戦しなければ、国際競争を生き抜くことはできない」。工藤英男執行役員は力を込める。10年に25万トン級の大型船を修理できる修繕用第3ドックを約30年ぶりに復活。15年ぶりに新型船の開発もスタートした。燃費を約2割削減できる省エネ船で、15年以降の受注を目指す。

 100年以上の歴史を持つ半面、現在の従業員平均年齢は43歳。ここ7年で10歳以上若返り、20代の現場リーダーも珍しくなくなった。不況時に採用を手控えた結果だが、「若いエネルギーが挑戦の原動力になっている」(工藤執行役員)。

 老舗が奮闘する一方、函館湾では、研究機関による試みが実を結びつつある。

 水深10〜20メートルの海中。長さ約100メートルのロープが張り巡らされ、そこからガゴメコンブがびっしりと生える。海温を測ることができる高性能ブイが海中の状態をチェックし、生産者はIT機器でリアルタイムで確認する。

 ハイテク技術を使い、函館の海を畑に変える――。北海道大学水産学部の安井肇教授らが始めた未来型生物資源生産工場「バイオファーミング」構想だ。ガゴメは健康や美容に良い影響を持つ粘性多糖類「フコイダン」を多く含む。すでに約40社が140以上の商品を市場に送り出している。

■海藻を食以外で

 安井教授はアカモク、ウガノモク、ダルスといったガゴメ以外の未利用海藻類の商品利用も研究中で、「函館には豊富な未利用資源がある」と夢は広がる。

 一方、東京工業大の中崎清彦教授も雑海藻を使い、バイオガソリンの原料となるバイオエタノールを精製する研究を始めた。実用化できれば、資源問題の解消にもつながる。中崎教授は「コスト面で課題はあるが、食用以外の海藻利用が新産業を生む」と期待する。

 研究開発が加速する背景には、経済低迷で閉塞する同市の現状がある。海洋資源が豊富な良港として発展したが、人口は約28万人(10年)と30年で約4万人減った。「海産物に頼るだけでは本州に勝てない」(市内の食品会社)。研究開発で付加価値を付け、生き残りを目指す機運が高まる。

 地元企業も次々と新製品開発に乗り出す。システム開発のエスイーシー(函館市)は、水温をリアルタイムに計測する海洋センサーを開発した。センサーを覆う容器にホタテの殻を使い、海中に捨てても2〜3カ月で溶ける。荒天時など、不安定な船上から安定して海洋センサーを海中に沈められる投下型ランチャーの研究開発も進めている。

 北栄(八雲町)は、ホタテの殻を原料に歯磨き粉を開発した。1本1500円(税抜き)の高額品だが、1年強で約8万本を販売。ネット通販のほか、現在では全国の東急ハンズなどでも扱われている。

 殻から抽出される「ハイドロキシアパタイト」が歯のエナメル質を修復し、再石灰化する働きがあることから歯周病予防などに効果を発揮するという。実は同社の本業はホタテの殻を使った土壌改良材の生産で、歯磨き粉製造は畑違い。北大がハイドロキシアパタイトの生成方法を発明し、商品化を持ちかけた。

 現状に安住せず未来を切り開く――。開港から150年が過ぎた函館の海を、新たな挑戦の熱気が包み込もうとしている。


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