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雑談&連絡スレッド

2593無精髭:2009/02/04(水) 01:35:01
そうそう。事件indexに、立て続けのUP乙でした。凶悪犯罪ではなく、一風変わった事件が続いているのが
なんだかいい感じですね(笑)。

世田谷「9」の字事件ですけど、ミステリー作家・評論家の法月綸太郎氏がデビュー作の『密室教室』を
執筆する際に実際の事件を参考にしていたとはお恥かしながら初耳でした。ミステリー小説お約束の「謎の解明」が、
学校という平凡な日常を非現実的な異界へと急転直下に変貌させるさまがなかなかに良作だったと記憶しております。
ちなみに、この作品にはノーカット版とやらもあります。

そういえば、法月氏はミステリー・推理小説界では新本格派に分類されるのですが、同じ新本格派の代表的作家で、
京都大学推理小説研究会の同期でもある綾辻行人氏のデビュー作『十角館の殺人』も、実際の事件に取材したわけでは
ないようなのですが、当時大学サークル内での新入生歓迎会だか何だかの酒の席で、学生が先輩から飲めない酒を
飲むように強要されて急性アルコール中毒で死亡する事件があったらしく、そういう当時の学生の浮かれすぎで
インモラル&退廃的(?)な雰囲気が社会で取り沙汰されていたというような背景も執筆に影響しているとか、
笠井潔氏が確かどこかで書いていました。まあ、受験地獄から解放された勢いそのままにはっちゃけてしまい
大学生活をエンジョイしすぎた結果が、お酒の一気飲みで病院行きというのは、今でもよくある話かも分かりませんけどね(苦笑)。
一般的に新本格派というのは、松本清張に代表される社会派のような一種のリアリズム小説がミステリー界で
支配的だったことに対する反動として、エラリー・クイーンとかアガサ・クリスティなどで有名な、
戦前の欧米ミステリー黄金時代への憧憬と回帰から生まれたというのが通説※らしいので、つまるところ
そもそも現実や社会問題よりも空想と知的遊戯を描くことに比重が置かれますから、ややごり押し気味に
現実と観念を対応させる笠井氏の解釈は、普通に考えればちょっと無理のある話とのことなんですけど。
しかし、犯人の動機に着目したという点では新本格なんてものは荒唐無稽だという凡百の批判を退けるくらいには
鋭い指摘だったと思います。

※更に詳しく記しますと、『死霊』の作者・埴谷雄高曰く「黒い水脈」と呼んだ日本ミステリの三大奇書や、
いわゆる教科書的な文学史における純文学系列とは別の、裏の文学史とも称すべきものに名を連ねる江戸川乱歩や
戦前の探偵小説雑誌『新青年』の作家群など、主に澁澤龍彦などが好んで取り上げた異端文学にも影響を受けて
いるとのこと。戦前の探偵小説作家(今で言う推理小説家)は、ヴァン・ダインとかクイーンとかジョン・ディクスン・カー
などから、極東の小国に位置するとはいえリアルタイムで多大な影響を受けていたわけです。となれば、巧妙なトリック目当てで
ミステリーを濫読する現代の若者たちが、過去に同じ作品を同じような情熱で読み漁っていたという、そんな戦前の作家たちに対して
興味と親近感を持たないわけがありません。

もはや話がとんでもない方向へ飛んで行ってしまっていますので、もう破れかぶれで言いたいことは残らず言わせていただくとしましょう。
法月綸太郎氏といえば「後期クイーン問題」。詳しくは下記のサイトを見ていただくとして。。。
http://d.hatena.ne.jp/pucci2486/20080825/1219666498
なにやらゲーデルの不完全性定理といった難解な言葉が散見しておりますが、これはたぶん柄谷行人氏がゲーデルについて
批評したことに法月氏が過剰反応した結果でしょう(彼は柄谷シンパですから...)。ミステリーに興味のない人にとっては
馬鹿馬鹿しく感じられるでしょうけどね。
http://elleryqueen.seesaa.net/article/80211283.html
http://elleryqueen.seesaa.net/pages/user/m/article?article_id=80832273&stq=session%3A%3Ablog%3A%3A6e8dbcd07fb2db90c4d61a0887fa3285


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