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雑談&連絡スレッド

2413無精髭:2008/07/25(金) 20:30:20
志賀直哉は、推敲を重ねる毎にどんどん文章を削ったと聞きます。
作家が推敲する場合、普通、原稿は長くなるものらしいですが、
志賀の場合は、決まって短くなったのだそうです。しかも、幾度も
推敲しなければ気が済まない質だったらしいですから、猶更です。

無駄のない、簡潔明瞭な描写、極限まで肉を削ぎ落として骨だけを
残し、その太さを誇示するかのような印象がある反面、脱字と見紛う
かのような省略法、文法的に明らかにおかしい構文、異様に即物的な
文体であるのに、それが自己の主観や感性に愚直なまでに忠実である
という事実に支えられているというような面も窺えます。小林秀雄が
「ウルトラエゴイスト」とか「原始人」とか言ったのにも頷けると
いうものです(因みに小林は、尊敬の念を込めてこう言ったのでした)。
悪文家と言われることもある志賀直哉ですが、作品は古典の中でも名文
の雛形と見做されていますし、その文才においては他の文豪からも一目
置かれていたようですので、日本語を操る者にとっては、彼に学ぶべき
所は多いのかも知れません。日本語における究極的な完成型の一つとして。

議論向きの文章では絶対にないと思いますがね(笑)。


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